総合科学技術会議の審議状況について

1.総合科学技術会議の審議状況

・平成21年2月20日

○ 平成21年度科学技術関係予算案の概要について

 「平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針(平成20年5月総合科学技術会議決定)」を踏まえて編成された、係省庁の平成21年度科学技術関係の予算案について、戦略重点科学技術や、革新的技術などの重要政策課題への重点化の状況が報告された。

○ 「環境エネルギー技術革新計画」の戦略的推進について

 昨年5月の総合科学技術で決定した「環境エネルギー技術革新計画」のフォローアップと重点的推進方策を早期に検討していくことが報告された。

○ 2009年の科学技術政策の重要課題について

 総理の施政方針演説や「経済財政の中長期方針と10年展望(平成21年1月19日閣議決定)」を踏まえて、昨今の激動の時代において、環境・資源制約を突破し、グローバル化する世界の中で日本が生き残り、日本社会の構造的危機(国力の低下)を回避するために、科学技術に対して何を期待されているのかの視点から、喫緊の重要課題を有識者議員が「2009年の科学技術政策の重要課題」としてとりまとめた。これをもとに、将来の成長に向けた科学技術の果たすべき役割等について議論した。

○ 意見交換(高齢者・障害者の自立支援に役立つロボット技術開発・実用化促進にむけた取組)

 人間の身体機能を増幅・拡張する装着型のロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)を世界で初めて開発した筑波大学の山海嘉之教授から、研究内容や研究が目指すものについて説明いただいた後、このような研究成果を実用化していく際の課題などについて意見交換を行った。
 山海教授は、ロボットを利用することによって実現する身体機能の拡張・強化・補助について説明され、今後の実用化の課題も併せて提起された。これを受けて麻生総理大臣は、「身体障害を持った人が、自らの意思で身体が動かせるようになる。これは、まさに夢の技術。前回の会議のときはiPSだったが、そのときにも申し上げた通り、これらは実用化が大事だと思う。これが実用化したら、夢の技術として、将来日本が世界の人たちに福音を与えることになるかもしれない。関係省庁には、最初から、これを進める方向で、安全基準などの検討に取り組んでもらうようお願いしたい。」と述べた。

・平成21年4月21日

○ 諮問第7号「特定胚の取扱いに関する指針の改正について」及び諮問第8号「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針の改正について」に対する答申

 平成16年7月、総合科学技術会議は、人クローン胚の作成・利用を、他に治療法のない難病等に関する再生医療の研究に限定して容認する、との意見を決定した。これを受けて作成された「特定胚の取扱いに関する指針」及び「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の改正案について、法律等の規定に基づき昨年10月に総合科学技術会議に諮問を行った。これら両指針について、総合科学技術会議に設置される生命倫理専門調査会において審議が重ねられ、その結果を基に、共に妥当である旨の答申を行った。

○ 国家的に重要な研究開発の評価(「イネゲノム機能解析研究」の事後評価)

 総合科学技術会議は、大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発(国費総額が約300億円以上)について、国の科学技術政策を総合的かつ計画的に推進する観点から、自ら事前評価を行うこととしている。また、総合科学技術会議が事前評価を実施した研究開発のうち、研究開発が当該年度の前年度に終了したものについては、事後評価を行うものとされている。
 今般、農林水産省の実施した「イネゲノム機能解析研究」が平成19年度をもって終了したことから、評価に関する本会議決定に基づき、本年度にその事後評価を、評価専門調査会に当該研究開発に関係する分野の専門家・有識者を交えて調査・検討を行った。その結果を踏まえて評価を行い、その結果をここにとりまとめ、原案どおり決定した。

○ 将来の成長に向けた科学技術政策上の重要課題について

 平成21年2月の総合科学技術会議において、有識者議員が提起した「2009年の科学技 術政策の重要課題」のうち、「経済財政の中長期方針と10年展望(平成21年1月19日閣議決定)」にいう成長戦略(シナリオ)に反映されるべきものを「将来の成長に向けた科学技術政策上の重要課題」として、有識者議員がとりまとめた。
 これを基に、関係閣僚議員からも、各議員の考える「将来の成長に向けた科学技術政策上の重要課題」について発言があり、議論を行った。

○ 意見交換(炭素繊維の技術開発から見た研究成果の産業化へのあり方)

 先進材料であった炭素繊維の技術開発は、研究成果がスピーディーに産業化された例として著名であり、現在では日本の炭素繊維生産は品質、生産量共に世界一の実績を誇るに至っている。炭素繊維協会(プレゼンター:吉永稔氏)を招き、炭素繊維の技術開発を例に、研究成果の産業化への在り方について、意見交換を行った。

2.専門調査会等の主な審議状況

○ 基本政策推進専門調査会(下記組織図参照)

 現在、総合科学技術会議において、第3期科学技術基本計画の実行に寄与すべく、「基本政策推進専門調査会(以下、専門調査会)」を設置して調査審議を行っている。今後は、第3期科学技術基本計画の策定から3年が経つことから、今夏に計画のフォローアップについて取りまとめを行う予定。また、専門調査会の下にはPTやWGが設置され、専門調査会との連携のもと、個別分野についての集中的調査審議を行っている。PT及びWGの最近の主な動きは以下の通り。

・分野別推進戦略(平成18年3月28日総合科学技術会議決定。第3期科学技術基本計画に 記述されている、政策課題対応型研究開発に対応)については、専門調査会の下に分野別推進戦略総合PT、さらにその下に各分野PTが設置され、フォローアップの中間取りまとめに向けた検討を行っている。
・基礎研究強化に向けた研究資金の改革や研究システムの改革、若手研究者の育成等を調査審議するため、平成21年2月に「基礎研究強化に向けた長期方策検討WG(座長:本庶議員)」が設置され、5月を目処に専門調査会に中間報告を提出する予定。
・高度科学技術人材育成の観点からの、大学院教育の現状と課題及びその在り方について等を調査審議するため、平成21年2月に「大学院における高度科学技術人材の育成強化策検討WG(座長:奥村議員)」が設置され、5月を目処に専門調査会に中間報告を提出する 予定。

基本政策推進専門調査会組織図

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)