科学技術・学術審議会(第70回)議事録

1.日時

令和5年3月23日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省13階13F1-3会議室及びWeb会議

3.議題

  1. 会長及び会長代理の選出等について(非公開)
  2. .部会及び委員会の設置について(非公開)
  3. 総会の議事運営について
  4. 最近の科学技術・学術の動向について
  5. 第12期の活動について
  6. その他

4.出席者

委員

大野会長、上田会長代理、相澤委員、五十嵐委員、小川委員、勝委員、金井委員、狩野委員、菅野委員、久世委員、栗原委員、佐伯委員、白波瀬委員、鷹野委員、高橋委員、田中委員、寺井委員、原田委員、日野委員、観山委員、明和委員、村岡委員、村山委員、門間委員

文部科学省

永岡文部科学大臣、井出文部科学副大臣、山本文部科学大臣政務官、柳文部科学事務次官、柿田科学技術・学術政策局長、森研究振興局長、千原研究開発局長、佐伯科学技術・学術政策研究所所長、西條大臣官房審議官(高等教育・科学技術政策連携担当)、阿蘇大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、山下科学技術・学術総括官、齋藤計画課長、神谷研究開発戦略課長、橋爪人材政策課長、仙波振興企画課長、黒沼大学研究基盤整備課長、永田学術研究推進課長、工藤参事官(情報担当)、佐野科学技術・学術戦略官、岡人材政策課人材政策推進室長、河村振興企画課学術企画室長、畑山ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室安全対策官、ほか関係官

5.議事録

○会長には、科学技術・学術審議会令第4条第1項の規定に基づき、委員が選挙した結果、大野委員が選任された。
○会長代理は、科学技術・学術審議会令第4条第3項の規定に基づき、大野会長が上田委員を指名した。
 
※事務局から、科学技術・学術審議会に置く部会及び委員会(案)について説明があり、了承された。
 
【大野会長】  それでは、ここで、まず永岡大臣から御挨拶を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【永岡大臣】  皆様、おはようございます。朝早くからこうやってこちらに来ていただきまして、本当にありがとうございます。文部科学大臣の永岡でございます。第70回の科学技術・学術審議会の総会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 皆様方におかれましては、本当に御多忙の中、こうやって12期の委員に御就任いただきましたこと、大変感謝を申し上げます。また、今期は、本審議会の委員の皆様方、約半数の方、新しい方をお迎えいたしました。そして、ただいま選出されました大野会長、上田会長代理、これから審議をやっていただきますこと、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 科学技術立国は、岸田内閣の成長戦略の重要な柱でございます。文部科学省といたしましては、博士課程の学生を含みます若手研究者等への支援、活躍の促進に取り組むとともに、「知と人材の集積拠点」であります大学の振興、そして、戦略的に重要な技術領域におけます優越性の確保等を図ってまいります。
 特に、我が国の研究力の強化は喫緊の課題となります。大学ファンドによります国際卓越研究大学への支援、それと同時に、地域の中核となります大学や特定の研究分野に強みを持つ多様な大学の機能の強化、そして、我が国全体の研究力の底上げ等を図ることとしております。
 本審議会では、各界を代表する委員の皆様方によりまして、科学技術立国としての実現に向けた忌憚のない御意見をしっかりといただきますとともに、科学技術・学術行政への御支援を賜りますように、どうぞどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 私の開会での御挨拶とさせていただきます。どうぞこれからよろしくお願い申し上げます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、山本大臣政務官から御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山本大臣政務官】  皆様、おはようございます。文部科学大臣政務官の山本左近でございます。一言御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 研究力の強化が最重要課題の1つとなる中で、文部科学省では関連施策の充実強化を進めております。先ほど永岡大臣からお話がございましたとおり、研究力向上に向けた大学の機能強化をはじめ、大学発スタートアップの創出支援や、国際頭脳循環の推進など、新たな施策がスタートいたします。
 このように、今後の我が国の科学技術・学術政策が大きく展開していく状況の中で、政策の進化に伴う新たな課題への対応を含め、大野会長はじめ委員の皆様方におかれましては、ぜひとも忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、私からも一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 先ほど第12期の本審議会の会長に選任されました。身の引き締まる思いでございます。
 不確実さが増す社会、そして世界、時代、その中で未来を切り開き、私たちが社会を豊かにしていくためには、知の活用が不可欠でございます。この新たな時代における日本の科学技術と学術が果たすべき役割は極めて大きいものがございます。社会から期待を寄せられている深い学術、あるいは科学技術に基づく社会課題の解決やイノベーションの創出、それらを支える人材育成をはじめとするエコシステム、これらに関して、皆様と審議を進め、政策に反映させていっていただきたく思います。
 主な論点の主要なところは、前会長の濵口先生が、第11期の最後の総会において表明された所感に挙げられてございます。後ほど御紹介の時間もございますが、本日の資料としても配付されているところでございます。
 我が国の研究力強化は、今、永岡大臣のお話にもございましたけれども、喫緊の課題でございます。上田会長代理をはじめ、委員の方々の知恵を結集し、あるいは山本政務官、そして文部科学省の皆様の力添えを得て、ぜひ議論をまとめ、実現、様々な政策に反映していきたいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、会長代理をお引き受けいただいた上田委員からも御挨拶をぜひお願いしたいと思います。

【上田会長代理】  このたび会長代理に御指名いただきました上田でございます。まさに非常に重要な役割をいただきまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、科学技術立国という視点では、日本も厳しいということを言われていますけれども、これからまだまだ日本の成長は、科学技術に依存するものがあるということから、大野会長の下、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 私ども島津は、1875年(明治8年)に創業しまして、当時は20名から会社をスタートしました。ですから、言わば明治のスタートアップということになるのですが、その後、分析計測事業及び医療機器事業を中心に、ある意味で、産学官連携という取組をかなり進めまして、そういう意味では、オープンイノベーションというのは創業時代から続いていた島津のDNAではあるのですが、そういう取組をやることによって、いろいろな方々と社会課題の解決に取り組んでまいりました。島津の社是は、科学技術で社会に貢献するということでありまして、科学技術・学術審議会の趣旨である、まさに科学技術政策という観点では、非常に縁を感じております。
 今後、国際頭脳循環を含めた、いろいろな若手技術者の育成、研究者の育成ということを含めて、皆さんと一緒に取り組んでまいりたいと思いますので、今後とも、御指導、御支援のほど、よろしくお願いいたします。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 これで、永岡大臣、山本大臣政務官は、御予定がございますので退室をされます。どうもありがとうございました。

【永岡大臣】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。

【大野会長】  プレスの皆様も、ここで退室をお願い申し上げます。

【大野会長】  それでは、議事を進めさせていただきます。
 まずは、議題3、総会の議事運営についてです。
 事務局より説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  それでは、説明をさせていただきます。
 資料3-1でございます。通しページ番号で申し上げますと、007でございます。科学技術・学術審議会運営規則(案)について説明をさせていただきます。
 まず、科学技術・学術審議会の議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項につきましては、参考資料1の2ページ目、通しページの参002にお示しをさせていただきます科学技術・学術審議会令に定めるもののほかに、この規則で定めるということになってございます。
 この運営規則でございますが、記載の内容につきましては、現在、会議の招集、それから書面による議決、会議の公開、ウェブ会議システムを利用した会議への出席、会議の公開、審議会における分科会、部会、委員会の設置等についてを規定しているものでございます。
 今般、この科学技術・学術審議会の事務といたしまして、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化の法律に基づきまして、その権限に属せられた事項を処理することにつきましても、科学技術・学術審議会の事務の1つに加えられたところでございます。この審議会は、大学の関係の方も多いため、あらかじめ利害関係の考え方について加えておくことが適当と考えまして、この運営規則の中に条項案として入れたものについてお諮りをするというものでございます。
 具体的には、第6条、ページで言いますと、008の下のところでございます。ここに(審議参加の制限)という項目を付け加えさせていただくという案を作成させていただいております。
 具体的には、記載のとおりでございますが、「当該案件に直接の利害関係を有する委員及び臨時委員は、当該審議に加わることができない」としてございます。
 ここで言うところの文部科学省設置法第7条第1項第6号といいますのは、先ほど御紹介いたしました参考資料1の1ページ目でございます。この真ん中あたりを御覧いただければと思いますが、技術士法及び国際卓越大学法の規定により、その権限に属せられた事項を処理することを差しておるところでございます。
 また、その次、資料3-2でございます。ページで言うと、010でございます。こちらにつきましては、公開の手続について記したものでございます。こちらの変更は、運営規則が先ほどの説明により1条増えたという案でございますので、これによりまして、一番最初の項における条ずれということでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 本件に関しましては、規則の改正でございますので審議の対象でございます。何か御質問、あるいは御意見ございますでしょうか。
 審議参加を制限するということでございますが、参加の制限に関しましては、利害関係者と認められる方は審議に参加をしないということをここで条文として明らかにするということでございます。
 よろしゅうございますでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、この変更案のとおりに決定をしたいと思います。
 続きまして、議題4、最近の科学技術・学術の動向についてです。ここでは、大学研究力強化に向けた取組について及び令和5年度予算(案)等について、意見交換をしたいと思います。
 まずは、事務局より御説明いただき、その後、まとめて意見交換を行います。
 それでは、資料4-1について、黒沼大学研究基盤整備課長及び山下科学技術・学術総括官より説明をお願いいたします。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  それでは、資料4-1、ページ番号011から御説明させていただきます。
 まず1点目の国際卓越研究大学の公募・選定の状況についてでございます。
 14ページ、014をお願いできますでしょうか。
 前期から御審議に参加していただいている方は御案内かと思いますけれども、国際卓越研究大学につきましては、今御覧のページのように、10兆円規模の大学ファンドからの支援を通じて、御覧のような大学を目指していくということでございます。世界最高水準の研究環境を整えて、あるいは博士課程の学生の支援を行いながら、右にあるような人材が集まる、知の好循環が生まれるような大学、あるいは資金の好循環が生まれるような大学を育てていくというものでございます。
 次のページをお願いいたします。
 今までの経過が書いてございますけれども、2020年度に大学ファンドを設置する法案が成立いたしまして、その後、中頃、2022年度には、どうやって大学を選ぶのかという枠組みを定める法律が成立いたしまして、第11期の議論の中で、その右に書いてある基本方針策定というところまで御審議をいただいたところでございます。
 この後、どういうふうに大学を選んでいくのかという、この法律、あるいは基本方針の枠組みに従いまして、大学を具体的に選定していくというプロセスに入っていくわけでございます。
 選び方につきましては、次のページをさらに御覧いただければと思います。
 これは御審議いただきました基本方針の中身を要約したものでございますけれども、選び方としては、まず、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革の意思とコミットメント、これを提示していただく大学を選定していこうということでございます。
 大学数としては、数校程度ということを言っておりますけれども、大学ファンドの運用状況を踏まえまして、段階的に選んでいく。一気に数校選ぶということではなくて、段階的に選定をしていくということでございます。
 また、選定基準としては、御覧の3つの緑の要件、研究力、大学の機能拡張をしていくための裏支え等の事業・財務戦略、それから、自律と責任あるガバナンスと、この3つの観点から選んでいくということでございます。
 選び方としては、審査体制は後ほど御紹介いたしますけれども、段階的審査というところに書いてございますが、研究現場の状況把握、大学側との丁寧な対話を通じて実施をしていく。申請書が出てきて、それを丸バツをつけるような審査ではなくて、この計画でこれで本当に実現できますかというような対話を通じて、何度かやり取りをしながら審査をしていくことを想定しているところでございます。
 次の17ページは飛ばしていただいて、18ページでございます。
 選定、審査のプロセスを書いてございますけれども、現在は、この左端にある公募開始から応募締切までの間の期間でございまして、公募をしているところでございます。3月31日までが公募期間になっておりまして、これから、その後、審査をしていくわけでございますけれども、書面審査あるいは対面での審査、それから現場視察なども踏まえて、丁寧に審査をしていくということでございまして、秋頃ぐらいまでには一定のめどをつけつつ、その後、ガバナンスの体制変更につきましては、国立大学であれば法改正、公私立であれば寄附行為や定款の変更などが必要になってくるかと思いますので、そういった期間に充てていただきまして、最終的には、それが終わってから正式な認定、認可を出していくという、そのようなプロセスになろうかと思います。
 次のページ、審査体制でございます。
 先ほどのどうやって選んでいくかという枠組みを定めた法律の中では、総合科学技術・イノベーション会議、それから科学技術・学術審議会、両方の意見を聞いて、認定、認可を行うということにされてございます。
 ですので、双方の会議から委員に入っていただいたアドバイザリーボードを大臣の下に設置いたしまして、そこで具体の審査を進めていきたいと考えているところでございます。
 科学技術・学術審議会には、こちらのアドバイザリーボードで一定の選定の案をつくっていただいて、それに対しての御意見を伺うという形になろうかと思っております。
 審査の状況につきましては、随時、審議会のほうにも御報告を差し上げたいと思っておりますが、具体的には、大学研究力強化委員会という委員会でこれまでも御審議いただいてきましたので、そちらのほうに御報告をすることになるのかなと思っているところでございます。審査の状況が整いましたら、またこちらの審議会にも御報告させていただきたいと思います。

【山下科学技術・学術総括官】  それでは、続きまして、科学技術・学術総括官の山下でございますけれども、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージについて、御説明を申し上げたいと思います。
 021を御覧いただければと思います。
 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージにつきまして、今回改定が行われたということなので、その内容を中心に簡潔に御説明をしたいと思います。
 この資料の上の箱でございます。1つ目の段落にございますけれども、日本全体の研究力を向上させるためには、今、御説明いただいた大学ファンドによる国際卓越研究大学といった形での支援と同時に、地域の中核となる大学や特定分野に強みを持つ大学など、実力と意欲を持つ多様な大学の機能を強化していくことが重要かと考えてございます。
 そのため、2つ目の段落の中段以降にございますけれども、政府全体の支援策を「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」として取りまとめ、昨年2月の総合科学技術・イノベーション会議において決定しておるところでございまして、前期のこの会議においても、折に触れて御報告をさせていただいているところでございます。
 この総合振興パッケージにつきまして、3段落目にございますけれども、関係府省が連携し、当該パッケージに基づいた支援を着実に推進するとともに、中段以降にございますけれども、大学ファンド支援対象大学と地域中核・特色ある研究大学とが相乗的・相補的な連携を行い、共に発展するスキームの構築に資するパッケージ内容へと、さらに発展・進化させていくという観点から、先月の総合科学技術・イノベーション会議において、一部その改定をされたというところでございます。
 その改定の内容ですけれども、この資料の下半分でございます。量的拡大、それから質的拡充という2点を書いてございます。
 まず、量的拡大という観点で申し上げますと、後ほどまた概算要求等の予算案の説明のところで出てまいりますけれども、令和4年度の補正予算において、2,000億円規模の基金事業等が創設されるといったように、大学自身の取組を強化する事業等を中心とした支援が大幅に拡大されてございますので、そうした内容を盛り込むというふうな観点でのものでございます。
 そのための質的拡充ということにつきましては、その次の022を御覧いただければと思いますけれども、総合振興パッケージにおいて、目指すべき大学像をこの資料のような形でまとめてございまして、特に、右側に機能面ということで、大学に求められる機能ということで申し上げれば、研究活動に係る機能と、それに連動した高度人材育成に係る機能とを、「卓越性」と「地域・社会貢献」の観点から、3つの要素に分解し、整理をしてお示しをしてございます。
 その上で、この資料の下半分にございますような、羅針盤というふうな考え方をお示しして、それに基づいて、大学自身が、現在の位置、それから将来目指すべき位置というものをしっかりと自己分析をしていただこうというようなことが提案されたという2点での改定が行われたということでございます。
 その次の023でございますけれども、この振興パッケージは、様々な関係省庁の施策が入ってございますけれども、特に文部科学省関係の施策をこちらにまとめさせていただいておりますけれども、後ほど予算案のところで改めてそういった部分についても触れさせていただきますので、ここでは説明を省略させていただきたいと思います。
 私からの説明は以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き、令和5年度予算(案)等のうち、科学技術関係について、山下総括官から御説明をいただき、続けて、高等教育関係について、西條大臣官房審議官、その後、文教施設企画・防災部関係について、齋藤計画課長から御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

【山下科学技術・学術総括官】  それでは、私から、引き続き、科学技術予算関係につきまして、御説明申し上げたいと思います。
 024からの資料でございますけれども、まず025を御覧いただければと思います。
 科学技術予算案の関係でございますけれども、こちらの資料の一番右上にございますとおりで、令和5年度予算額(案)といたしましては、9,780億円でございます。その下に小さく書いてございますが、加えて令和4年度の第2次補正予算額におきまして、7,447億円が既に計上されてございますので、この第2次補正予算額と合わせて一体的に今後事業を進めていくという格好になろうかと思います。
 主な重点施策でございますけれども、その1本目の柱(1)でございますけれども、我が国の抜本的な研究力向上と優秀な人材の育成、国際頭脳循環の推進に関しまして、1つ目の二重丸、我が国の研究力の総合的・抜本的な強化に関連いたしましては、幾つか項目が並んでございます。科学研究費助成事業、いわゆる科研費であったりとか、そのすぐ下の戦略的創造研究推進事業、3つ目にございますけれども、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)であったりとか、上から5つ目でございますけれども、先ほどの総合振興パッケージの直接の中核事業になりますけれども、地域中核・特色ある研究大学の振興、さらにその下の博士課程学生の支援等というふうな事業でございますけれども、こちらは、令和5年度予算額(案)におきまして、前年度同額もしくは拡充というふうな形で計上をされておるところでございますし、それに加えまして、科研費、先ほど申し上げました上から5つ目の地域中核・特色ある研究大学の振興、それから、この表の1ページの一番下の創発的研究支援事業などにおきましては、令和4年度の第2次補正予算額におきまして必要な予算が計上されてございます。
 例えば、地域中核であれば、令和4年度におきまして2,000億円が計上されておりますし、創発的研究支援事業では553億円ということで、こうしたもので基金を形成するなどして、継続的な充実的な支援を行っていくという形でございます。
 それから、その次の026でございます。
 (1)の続きでございますけれども、2つ目の二重丸、国際共同研究・国際頭脳循環の推進というところでは、そのうちの1つ目の丸にございます先端国際共同研究推進事業という事業につきまして、同様に令和4年度の2次補正予算で501億円が計上されるなどというようなことで取組を進めていくという形になります。
 それから、この026の中段あたりから(2)、2つ目の柱でございますSociety5.0を実現し未来を切り拓(ひら)くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化というところでございます。そこの1つ目の二重丸、イノベーションの創出のところの1つ目の丸でございますけれども、大学発スタートアップ創出と起業家教育の拡大ということでございまして、こちらにつきましても、令和5年度予算額(案)で21億円、これは前年度同でございますが、加えて令和4年度の第2次補正予算で、基金等による支援を可能とするということで、998億円が計上されているところでございます。
 さらに、26ページの下のほう、2つ目の二重丸でございますけれども、世界最高水準の大型研究施設の整備等というところでございますが、ここでは1つ目の丸にございますけれども、次世代放射光施設(NanoTerasu)の推進というところでございまして、令和6年度からの本格的な稼働に向けて、令和4年度の2次補正予算、それから令和5年度の予算(案)で必要な額を計上しておるというところでございます。
 次に、027でございますけれども、こちらの3本目の柱、(3)、重点分野の研究開発の戦略的な推進のところでございますけれども、ここの1つ目の二重丸、量子・AI等の重要先端技術の研究開発の推進というところでございますけれども、ここの1つ目の丸でございます量子コンピュータ・スーパーコンピュータの組合せによる研究DX基盤の高度化ということで、令和5年度の予算(案)、それから令和4年度の2次補正予算額、両方合わせて70億円程度の予算を計上しておるところでございます。
 それから、ここの上から5つ目でございますけれども、経済安全保障重要技術育成プログラムということで、我が国が確保すべき先端的な重要技術の研究開発を公募により進めていくというものでございますけれども、令和3年度補正予算におきまして1,250億円を基金で計上してございますが、令和4年度の2次補正予算でも1,250億円を計上できたという状況でございます。
 中段あたりでございますけれども、二重丸の2つ目、健康・医療分野の研究開発の推進では、再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラムが、令和5年度予算額(案)といたしまして92億円、令和4年度2次補正予算でも17億円ほど計上されておるところでございます。
 さらに、この27ページの中段以降(4)の国民の安全・安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進につきましては、ずっとその次の028にかけて、宇宙・航空分野、海洋・極域分野、防災・減災分野、それから環境エネルギー分野、原子力分野、それぞれの研究開発の推進のために、令和4年度2次補正予算、令和5年度の当初予算(案)で所要の額を計上という形になっているところでございます。
 その次に、029をお開けいただければと思います。
 もう1つ、税制の関係につきましても御説明申し上げます。
 昨年末に閣議決定されました令和5年度税制改正の大綱におきまして、研究開発税制に大きな改正が盛り込まれたところでございます。研究開発税制の概要につきましては、029に、御覧のとおりでございますけれども、研究開発に力を入れる民間企業に税制上の優遇措置を設けるというものでございます。
 本日は、今回の改正におきます2つの主なポイントについて御説明申し上げたいと思います。
 次の030でございます。
 研究開発型スタートアップの範囲の拡大についてということでございまして、現在、民間企業がスタートアップ企業を相手に共同研究や委託研究を行った場合、その試験研究費の額の一定割合を法人税から税額控除することが可能となってございます。しかしながら、現行の制度では該当するスタートアップ企業の要件が非常に厳しく定められておりまして、200社程度しか対象にならないと言われてございます。こちらの資料の左下に、そのような旨が記載されてございます。
 今回の改正で、この要件をかなり緩和することによりまして、対象となるスタートアップ企業を現在の10倍程度ということで、2,000社超にしていくというふうに対象範囲を広げようという税制改正が行われるということでございます。
 もう1点でございますけれども、次の031を御覧いただければと思います。031、企業による先導的研究開発人材の活用育成ということでございます。企業が博士号取得者を雇用した場合や、既に企業内で研究している者が博士号を取得した場合、一定要件の下で、その授与から5年以内に限って、その人件費の一定割合を法人税から税額控除できる、そういった内容の改正でございまして、企業による博士号取得者等の雇用を促進しようとするものでございます。
 博士号取得者を採用することによる税制上の優遇措置は、これまで講じられてまいりませんでしたので、今回初めての画期的な制度改正ということになろうかと思います。
 今回の見直しにより、民間の研究開発投資が増大し、それによって我が国のイノベーション創出力が強化されることを期待しておるところでございまして、文部科学省といたしましては、今後、経済産業省等と連携しつつ、制度がより一層活用されるよう、企業、大学、研究開発法人などに対して、今回の制度改正の趣旨、内容等につきまして、積極的に周知を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 私からの説明は以上でございます。

【大野会長】  続いて、高等教育関係、西條大臣官房審議官から御説明いただけるということで、お願いいたします。

【西條大臣官房審議官(高等教育・科学技術政策連携担当)】  それでは、続きまして、高等局主要事項ということで、高等局関係の令和5年度予算(案)について、高等局審議官の西條ですが、私のほうから御説明させていただきます。
 資料4-2-2、通し番号で046になります。こちらを御覧ください。
 高等局関係予算でございますけれども、まず最初に、高等教育機関の多様なミッションの実現ということで、最初に基盤的経費の充実や客観的指標に基づくめり張りのある配分による改革の徹底、高専の高度化・国際化の推進ということで掲げさせていただいております。
 主な事項といたしましては、まず、国立大学改革の推進ということでございまして、これを1兆834億円でございます。教育研究を通じた社会的インパクトの創出に向けた支援や教育研究基盤の整備・強化、実績・成果に基づく評価配分などを通じまして、自らのミッションに基づき、自律的・戦略的な経営を進め、社会変革や地域の課題解決を主導していく国立大学を支援するというものでございます。
 こちらは運営費交付金につきましては1兆784億円ですが、そのほかに、国立大学の経営改革構想を支援するための経費、経営改革促進費を50億円計上しているところでございます。
 また、高専のほうにつきましては、特にデジタル、数理・データサイエンス・AI、ロボット、半導体教育、こういったものについての高度化、さらに、海外との関係をつくっていく国際化ということで628億円を計上させていただいております。
 このうち、右側にあります令和4年度の2次補正予算のほうでも130億円を計上しておりますが、特に高専のスタートアップ、人材育成として、その環境整備ということで、これは新たに60億円を補正で計上しているところでございます。
 また、もう一方、私立大学等の改革の推進等ということで、私学助成を中心にしまして4,095億円を計上させていただいております。
 また、高度専門人材の育成等の推進ということで、1つ、大学・大学院における教育改革の推進ということで11億円ですが、これは大きく2つ、地域活性化人材育成事業、SPARCと呼んでおりますが、地域社会のリソースを総結集して、個別大学の枠を超えて横断的な教育プログラムを構築していくということで、事業の成果を基に学校の再編等を目指す取組を支援するというもの。
 それから、人文・社会科学系ネットワーク型大学院構築事業ということで、こちらは人文・社会系への支援を新たに2億円計上させていただいております。
 また、数理・データサイエンス・AI教育の推進ということで、これはこれまでも進めさせていただいておりますが、引き続き23億円。
 また、ページ047、2ページ目になります。高度医療人材の養成ということで、こちらは特に次世代のがんプロフェッショナル養成プランということで、がん医療の新たなニーズや急速ながん医療の高度化に対応できる医療人を養成するために、特に大学院レベルにおける教育プログラムを開発・実践する拠点形成を支援するということで、これは新規に9億円を計上させていただいております。
 あとは、グローバル社会で我が国の未来を担う人材の育成ということで、これはまさに留学支援ということでございますけれども、こちらは372億円を計上させていただきまして、大きく2つ、大学教育のグローバル展開力の強化、また、大学等の留学生交流の充実は、インバウンド、アウトバウンド合わせて332億円を計上しております。
 また、もう1つ大きな項目として、誰もが学ぶことができる機会の保障ということで、各教育段階の負担軽減による学びのセーフティネットの構築ということで、こちらは、計上はこども家庭庁計上ということにはなっておりますけれども、高等教育の修学支援の新制度を含めた奨学金制度を含めて6,314億円を計上しているところでございます。
 それと、令和4年度の補正にはなりますけれども、一番下にあります成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援ということで、これは令和4年度の2次補正予算で計上させていただいておりますが、まさにデジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて、意欲のある大学が、その成長分野のほうへ学部転換、こういった改革がちゅうちょなく踏み切れるように、複数年にわたる継続的、また機動的な財政支援を行うために基金を創設しております。こちらが補正予算で3,002億円が計上されているところでございます。
 詳細につきましては、その後、48ページ以降に書いてございますけれども、大きな項目としては以上でございます。
 私のほうからの説明は以上でございます。

【大野会長】  では、齋藤課長、お願いします。ありがとうございます。

【齋藤計画課長】  文教施設企画・防災部計画課長の齋藤でございます。国立大学等の施設整備に関する令和5年度予算(案)等について御説明いたします。
 通し番号79ページを御覧ください。
 国立大学等の施設は、日本の次世代を担う人材育成の場であり、社会の様々な人々との連携により創造活動を展開する共創の拠点となる重要な基盤でありますが、老朽化が深刻で、共創活動に支障を来しかねない状況になっております。このため、令和3年3月に大臣決定した「第5次国立大学法人等施設整備5か年計画」、これに基づき、キャンパス全体を社会の多様なステークホルダーと連携して新たな価値等を生み出す共創拠点(イノベーション・コモンズ)とすることを目指し、計画的、重点的な整備を進めながら、老朽化対策、機能強化を図ることとしています。
 また、カーボンニュートラルの視点では、施設のZEB化など、社会の先導モデルとなる取組を推進していくこととしております。
 予算については、右上を御覧ください。令和5年度予算額(案)は363億円、令和4年度第2次補正予算は582億円、両方合わせて1,000億円近い予算を計上しております。
 参考ですが、次ページで、国立大学法人等施設整備費の予算額の推移についても資料を載せておりますので、御参照ください。
 説明については以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明のありました2件、大学研究力強化、そして令和5年度予算(案)等ですけれども、意見交換をさせていただきたいと思います。御質問あるいは御発言ございますでしょうか。
 観山委員、お願いします。

【観山委員】  私は、国際卓越研究大学、非常に期待感を持っておるわけでございますけれども、今までの大学への支援というのは、科研費であるとか、大きなプロジェクトであるとか、研究者や研究組織などの単位にいろいろ支援があったわけですが、今後、大学全体に支援するという非常に画期的なもので、期待はしておるわけです。ただ、この国際卓越研究大学に選ばれるところは、そのようなことはないと思いますけれども、学長はじめ、ある方向にどんどん進めていくということでよろしいかと思いますが、大学というのは、個々の研究者の自由な発想に基づく研究を展開していく、非常に多様な研究を推進するという機能もありますので、そこの調和をうまく図っていただきたいということであります。いろいろな点検の過程があると思いますけれども、大学全体が1つの方向に向くというのは、いいような気もしますけれども、ただ、大学というのは非常に様々な多様性を持った仕組みなので、そこら辺は注意深く推進をしていただければと思います。期待しているところでございますけれども、そういう感想を持ちます。
 それで、ちょっと質問ですけれども、こういうふうに国際卓越研究大学に認定されたところは、たくさんの資金が投入されることになろうかと思いますが、質問は、いままで当該の大学に対する大きな競争的経費だとか、研究所支援経費だとか、いろいろな資金の提供とかあると思うのですが、それらが国際卓越研究大学に指定されると、どのようになるのでしょうか。特に私が注目したいのは、昔の附置研というか、今は共同利用・共同研究、共共拠点というのは、これは個別の大学に設置されていますけれども、基本的には、いろいろな分野のコミュニティを支えるための共共拠点、拠点なので、そこの支援というのは、大学、日本の学術の横断的な支援でありますので、そこら辺は注意深く行っていただければと思っております。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  御質問ありがとうございます。国際卓越研究大学に認定、認可された後に、ほかの資金の対象から除外されてしまうのではないかというような御懸念の御質問かと思います。
 こちらの大学ファンドからの支援は、基本的には、基盤的経費、運営費交付金などとは別枠で、その上乗せで支援をするということを考えているところでございます。
 御指摘いただきました共同利用拠点とかの経費につきましては、おっしゃるように、その大学のためだけに措置している経費ではございませんし、全く別に措置をしなければいけない経費だと考えているところでございますが、まさに申し上げたように、運営費交付金で措置している世界ですので、そこについては大学ファンドからの支援が得られたからといって、それを削るというようなことは考えてございません。
 他方で、その他の競争的資金とかにつきましては、大学ファンドと同じ趣旨で支援しているような経費があるのであれば、そこは重複しての支援はしていかないということになろうかと思いますので、それぞれの資金の性格によって、対象外とするもの、引き続き措置するものということを検討していくことになろうかと思っております。

【大野会長】  ありがとうございました。
 続きまして、白波瀬委員、御発言をお願いいたします。

【白波瀬委員】  よろしくお願いします。白波瀬です。
 質問は、研究開発税制についてです。かなりの前進があったと御報告をいただいて感じましたし、大変好ましいと思うのです。一方、私、文系ということもあるのですが、これ、スタートアップという言葉遣いを含めまして、かなり分野的には限定的な印象を受けました。この辺り、対象をまだ限定したところでのエリジビリティというか、民間企業の対象枠を広げるということになっているのか。より広い、これは研究開発型ということになるわけですけれども、人材投資という点では民間との連携はこれからますます重要になってくると思いますので、一般的な税制の枠組みの中で、研究教育への投資に対する優位というか、お得感を税制で出していただくというのは非常に重要だと思うのです。今、現状についての、私もフォローワークができていないので後れているのかもしれないですけれども、その辺りをちょっと情報というか、教えていただければすごくありがたいです。もう1つは、やっぱり博士課程の採用につきましても、どちらかというと、実験系というか、理系の研究者ということで、これはある意味で見えやすいのですけれども、政策分野を中心に、やはり文系におきましても、より高度人材というのは本当に必要になってきます。この辺りの整合性というか、全体俯瞰性というのは、この時点ではどういうふうにお考えなのか、2点お願いいたします。

【大野会長】  いかがでしょうか。

【神谷研究開発戦略課長】  研究開発戦略課長の神谷と申します。よろしくお願いします。
 今おっしゃられたような文系の観点、人文・社会の観点につきましては、全体として、研究開発を進める中で行われる、例えばデザインなどは研究開発税制の対象になっております。
 博士課程については、現時点では、税制当局の判断にもよってくるのですが、基本的には、博士課程の分野が限定されているという話は聞いておりませんで、その辺りは、今おっしゃられたような人文・社会系の博士課程も含まれるのではないかと、今後こういったところは、税制当局の判断が最終的には尊重されますので、そのように回答させていただきます。

【大野会長】  ありがとうございます。

【白波瀬委員】  ありがとうございます。

【大野会長】  ほかにはいかがでしょうか。
 明和委員、お願いいたします。

【明和委員】  明和でございます。私からは、通し番号019の国際卓越研究大学の審査の体制について、一言、意見を申し上げさせていただきたいと思っております。
 現時点で、CSTIと科学技術・学術審議会から数名が参加する、これを中核としてアドバイザリーボードが設置されると理解をしております。そして、その中で、多様性や利益相反の観点にも留意するというところ、私は、この点が非常に大事だと思っております。国際卓越研究大学で育った学生たちは、20年後、30年後の日本の科学技術を担う、リーダーシップを取っていく方です。そうした見方から、例えば、評価の軸として、いわゆる対物、自然科学、世界のディシプリンが共通している分野では評価は比較的スムーズにいくと思うのですけれども、他方「総合知」という観点からいたしますと、こうした知をどのように展望し、評価すべきか、こうした点を熟慮いただくことが、きわめて重要だと思います。
 私は文理という枠を超えた学問分野、いわゆる脳の働きやメンタルヘルスを研究している基礎研究者ですけれども、ヘルスケア分野におきましても、いわゆる医学的な視点だけでは、なかなかうまく展開がしない、心の側面はとくにそうです。総合知の中で、社会、文化、とくに欧米とは異なる、日本人にとって重要となる指標や支援の在り方を重視した総合知を創出し、ヘルスケアを考えていく。国によって異なる施策が、多様なかたちで今行われはじめています。そうした視点、見方を持っていただけるような先生方が、このアドバイザリーボードに入っていただけるかどうかが大切です。こうした点はすでに十分議論していただいているとは思うのですが、私からは、この懸念について改めて指摘をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【大野会長】  ありがとうございます。
 事務局から何かありますか。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  委員の人選につきましては、まだ発表するような段階ではございませんので、御指摘を踏まえて検討したいと思います。ただ、委員だけではなくて、19ページの下にございますように、国内外のレビュアーの方々に見ていただいて、広い意見も踏まえながら審査をしていくことを考えておりますので、委員だけではなくて、そのレビュアーも含めて多様な知見を取り入れられるような体制を考えていきたいと思います。

【大野会長】  それでは、ほかにいかがでしょうか。
 原田委員、お願いいたします。

【原田委員】  原田です。私からは、025ページの1つ目の丸のところの科学研究費助成事業、それから、博士課程学生の処遇向上と研究環境確保について発言します。博士の課程の学生、それから若手の支援については、いろいろなところで出てくるかと思うのですけれども、最近、多くの企業でも、初任給を上げていくことがよくニュースになったりしています。日本の場合は、特別研究員の給与が、世界標準で比べて、かなり安いところが非常に大きな課題になっていて、国際頭脳循環を図ろうというところでも、より優秀な若手を日本に呼び込むことが果たしてできる給与体制になっているかどうか疑問を持ちます。
 とはいえ、この点は文科省の方々も非常によく認識してくださっているところで、例えば、特別研究員たちが所属する大学と雇用関係を結ぶということが可能になり、それまで給与から出していた社会保障の費用を、雇用関係を結ぶことで組織から出していただけるようになったというところは非常に大きな前進であると思います。これまでの取組に御礼を申し上げます。
 さらに一歩進んで、特別研究員あるいは博士課程の皆さんに支給する給与の本丸のところも、国際標準のレベルに引き上げていただくような予算要求をぜひともお願いしたいと思い発言させていただきました。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 さらに一歩ですけれども、何か事務局からは。

【永田学術研究推進課長】  原田先生、ありがとうございました。学術研究推進課長の永田でございます。
 今、原田先生におっしゃっていただきましたように、令和5年度予算(案)におきまして、科研費で特別研究員PDにつきましては、学術条件整備として、機関雇用していただいた機関に対しては、100万円を1人当たり措置するというような新たな制度を今回入れたいと思ってございます。
 そういったところでの処遇改善を今進めているところでございますけれども、今、先生のほうから御指摘いただきました給与単価の増額につきましては、こちらは日本学術振興会の運営費交付金の予算の中で見ているわけでございますが、諸外国の状況なども踏まえながら、予算要求等を含めて検討してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【大野会長】  ぜひよろしくお願いいたします。
 勝委員、お願いいたします。

【勝委員】  御説明、大変ありがとうございました。
 私は、2点、コメントと質問をさせていただきたいですけれども、最初は、先ほど観山委員が言われたように、卓越大学制度、これは非常に選択と集中というところで、少ないところに巨額の資金を入れていく、これは非常にすばらしい政策だと思うのですが、ただ一方で、例えば、Times Higher Educationの大学ランキング等によると、日本の大学の特徴は、2023年度版ですと1,799の大学が対象になっているのですけれども、日本の場合、対象となっている大学の数がほかの国に比べて非常に多い。つまり、裾野が非常に広いというのが日本の大学の研究力の特徴だと思います。その中において、先ほど競争条件は変わらないというお話があったのですけれども、そうであるとすると、かなりそこで大学間の格差が開いてしまうというようなことも懸念されると思われますが、それについて、どのように考えていらっしゃるかということを質問したいのが1点。
 それから、先ほどのお話ですと、基盤的経費に上乗せするということで、大学全体にお金が入ってくることですが、これを考える上では、やはり日本の研究者の裾野を広げていくという意味からいうと、やはり任期なしの研究者といったポジションを増やしていくということが非常に有効であると考えられるのですが、その辺はどのように考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいこと。
 最後に1点、白波瀬先生が言われたように、税制改正、これは非常に大きいと思います。先ほどの御回答ですと、社会科学分野においても、これ、分野を問わないというような形になったということですが、これは例えばイギリスで博士人材は近年非常に増えているのですけれども、その多くは社会科学系でもあるということから見ると、かなり大きなインパクトを与えると思われるのですが、この辺は実際にはどのような見通しになるのかということを、これもお伺いできればと思います。
 以上です。

【大野会長】  よろしくお願いします。

【神谷研究開発戦略課長】  先生、ありがとうございます。すみません。最後の質問のところだけが聞きとれませんでしたので、もう一度お願いしてもよろしいでしょうか。

【大野会長】  税制のところですか。

【神谷研究開発戦略課長】  税制のところです。

【勝委員】  税制のところは、先ほども社会科学系の博士人材も、この税制改革の対象になるというお話だったのですが、それはまだ決まっていないというようなことも言われていたので、この辺の見通しがどうなのかということが1点と、それから、最初のところだと、やはり卓越大学と、その他の大学院でかなり格差が、研究力という意味でも、あるいは競争的資金を取るコンペティションの中でもかなり広がっていくということも考えられるので、この辺については何か手当等は考えているのか、その2点です。

【神谷研究開発戦略課長】  ありがとうございます。申し訳ございません。博士課程の税制改正に関しましては、博士課程ということについて、特に要件がついておりませんので、人文科学は基本的に含まれるであろうと考えております。最終的には、税制ですので、税制当局が判断することになると思いますが、基本的にはおっしゃられるとおりでございます。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  国際卓越研究大学に選ばれたところと、その他の大学の格差というお話でございますけれども、格差ということで申し上げますと、今、注目しているのは、我が国の中だけで見ているわけではなくて、当然大学、世界を舞台にやっているわけでございますので、世界のトップ大学との格差がどんどん広がっていってしまっているというところも含めて考えていかなければいけない話だと思っておりまして、その一環で出てきた施策でございます。
 他方で、では、国内を放っておいていいのかということではなくて、そのために地域中核大学の支援ですとか、その他の様々な政策も御用意しておりますので、国際卓越だけで考えるということではなくて、その他のものも含めて、国内の研究力底上げと、それと、海外との格差を埋めていくということが狙いでございます。

【山下科学技術・学術総括官】  今、黒沼のほうから申し上げたとおりでございますけれども、裾野の拡大ということで申し上げれば、先ほど私のほうから御説明申し上げましたけれども、総合振興パッケージに基づいて、地域中核あるいは特色ある大学に対する積極的な支援というようなこともさらに実施してまいりたいと思いますし、また、裾野の拡大ということであれば、科研費といった個人向けの研究費も充実をさせていくというようなことも1つの手法ではなかろうかと思っております。
 あともう1つ、先生のほうで最後に、恐らく研究者の任期つきの雇用についてどう考えるのかというところでございますけれども、やはり安定的な雇用と、それから頭脳循環というところのバランスを両方あり得るのではないかと考えてございますので、我々もそういった観点で、一方で安定的な雇用というものもしっかりやっていかないといけないと思いますし、また、優秀な研究者の方というところは、様々な研究機関で、海外も含めて大いに活躍をし、それでまた日本の大学等々で活躍していただく、そういう循環も必要ではないかと。その辺のバランスも踏まえながら施策を講じていきたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、次の議題もありますので、まずは狩野委員に御発言いただいて、それから栗原委員と、お二人に御発言いただいた後、次の議題に移りたいと思います。よろしくお願いします。

【狩野委員】  機会をいただきまして、ありがとうございます。狩野でございます。3方向ございます。
 1つ目が、私、外務省の外務大臣次席科学技術顧問という仕事を去年までいただいていたのと、それから、OECDの「S&T Policy 2025」のアドバイザーに文科省から派遣していただきまして、これらの経験を通じた観点からです。いずれの方面でも、最近、気候変動等々を含めて社会がいろいろな問題に相対しなければいけない状態になっているわけで、こういう課題に対して科学技術を発展させたいという気持ちが非常に高く感じられます。
 今回、この政策になっております卓越という考え方の中に、そういったことに対応するような物差しが入った卓越性というものも加わっている必要があるのではないでしょうか。こうした動きが他国、いわゆる我々が今現在卓越ということで比較対象だと思っている地域において、動きが始まろうとしているわけです。社会的課題に対する考え方は、今から我が国でも入っていないと、次の時代にそうした国で育ってきた人たちの中での卓越性と違う卓越性ばかりを育てることにならないかという懸念を持っております。この点について、何かお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思いました。例えば、オランダでは、若手研究者の価値軸の中に、サイエンティフィックなインパクトのほかに、ソサエタルなインパクト、どっちあるいは両方を選んであなたは評価されたいですかという軸が国策として入ったように拝見しました。こうした考え方が国際的に出てきている中で、どのように我が国で卓越性を測定するかということは、広く考えるべきではないかと思って、これを1つ目に伺いたいと思います。
 2つ目ですが、税制改正のこと、大変重要な内容で、ありがとうございます。私はこれまで人材委員会を比較的長くさせていただきましたので、この観点でありがたく思いました。例えば、日本企業で拝見しておりますと、大きな会社様の中の社内におけるスタートアップ、そうした動きのほうが、全く新しいベンチャーをつくるよりもうまくいきやすいように見える機会もあります。私、企業人ではないので、あまりちゃんとは知りませんけれども。そうした社内ベンチャー的なものも支援するのもよいのでは、と思うところがあって、こうした動きに対しても、この税制改革が対応できるかどうかというのは比較的大きな視点かと思いますので、これもぜひ伺いたいと思いました。
 3つ目の視点ですが、高等教育局からのお話で、STEAM教育のことがございましたけれども、ちょっと局が違うのかもしれませんが、中高において探究学習というのが必修化されました。この動きと、大学におけるSTEAM、この方面は非常に、本当は相性がいいはずなのだけれども、中高においては、この探求をうまく進められるかどうかということで、教員の間に非常にいろいろな思いがあるように感じております。こうした中高での教育との接続性ということについて、もしお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
 以上、3点です。すみません。長くなりました。以上です。

【大野会長】  よろしくお願いします。

【黒沼大学研究基盤整備課長】  それでは、1点目の国際卓越の卓越性の選び方に関する御指摘でございますけれども、今回の国際卓越研究大学は、必ずしも研究計画とかを審査するわけではございません。研究力という観点と、それから、それを裏支えする事業財務戦略、ガバナンスというところで審査をしていくわけですけれども、まさに先生御指摘のような、次世代で求められているようなものを、社会と対話しながら自らそういう体制をつくっていけるような大学を選んでいきたいとは考えているところでございます。
 簡単ですが、以上です。

【神谷研究開発戦略課長】  スタートアップに関する件ですが、資料30ページの右下にございます。いろいろな形態があるかと思いますが、見直し後は、これまで産業競争力強化法による経産大臣の認定したベンチャーファンドから出資を受けたベンチャー企業とか、かなり限定的だったところが、その右側を見ていただきますと、設立15年未満、それから、売上高研究開発費割合が10%以上とか、その下のほうにいきますと、未上場の株式会社かつ他の会社の子会社ではないものということになりますので、そういった意味では、社内において子会社になっているのであれば対象ではない、のかなと思いますが、そうでないようなもので、この要件を満たせば対象になるということになるとお答えさせていただきます。

【西條大臣官房審議官(高等教育・科学技術政策連携担当)】  高等局でございます。3つ目の先生からのSTEAM教育の関係ですけれども、おっしゃるように、今、中高のほうから探求ということで、いわゆる課題を自分で見つけて解決していくという力をつけていく。これを非常に大きな力、フォーカスしてやらせていただいています。そういった大きな流れの中で、大学におけるSTEAMというところは、全体として一旦つながっているという御理解でいいと思うのですが、一方で、今回、地域活性化人材育成事業とか、こういったSTEAM教育をやる上で、その地域の課題に対しての対応も1つ大きなテーマに掲げておりますので、こういったところにいろいろプロジェクトに参加していただくというのは、手法としてはあるのかなと。そういう中で、中高の、高校生なども一緒に参加してできるということがやれてくると、これはまさにそういった教育が初等中等段階にも及ぶというところで、別に高等教育に限るわけではなく、全体として、そういった方向に持っていければということはメリットとしては置いているところでございます。
 以上でございます。

【大野会長】  ありがとうございました。
 それでは、栗原委員、お願いいたします。

【栗原委員】  冒頭のほうの説明でありましたように、国際卓越研究大学と地域中核・特色ある研究大学、これは両輪だと思っております。そこで、地域中核・特色ある研究大学については、どこの大学が、あるいはどのプログラムが認定されているのか必ずしも明確ではないのではないかと思いますので、ぜひ国際卓越研究大学と同様に、この地域中核大学に選ばれた大学のプレゼンスが上がるような情報発信をしていただきたいと思いますし、取り組んでいる大学を支援していただきたいと思います。
 それで、22ページにその大学の総合振興パッケージがあり、そのパイチャートがありますけれども、ここで求められている機能の中で、地域貢献という観点と社会実装・イノベーションという観点が、特にこれらの大学に求められると思います。逆に言うと、これらの機能を発揮できる、まさに地域振興のハブになることがこれら大学ではできるのではないかと思います。
 この機能を発揮するためには、何よりも人材が必要だと思いますので、そういった人材を大学の中の方、あるいは外からの方を含めて、適切な人材がインボルブされるようにして頂きたいです。そして、実行するための予算も必要ですので、予算が例えば施設整備等のハードだけに限らず、人材等のソフトに利用できるようにしていただきたいと思います。
 特に、いい人材を雇おうと思っても、今の仕組みの中でできないということをよく耳にしますので、その辺についての柔軟性を確保していただきたいなと思います。

【大野会長】  いかがでしょうか。

【山下科学技術・学術総括官】  地域中核の関係でございますけれども、今まさにでございますけれども、先ほど御説明したとおり、2,000億円というふうな規模で予算を獲得いたしまして、うち1,500億円程度をこの地域中核・特色ある研究大学強化促進事業ということで、設備の、あるいは人材、体制、そういったものの整備のためにお金を使えるようにし、残り500億円程度をそのための施設の整備に充てるというふうな形で、今、事業を進めているところでございます。
 実際に事業の対象となる大学につきましては、現在、公募をかけたり、あるいは、今後、公募をして選考していくというスケジュールでございますので、まだ具体的なところは決まってございませんけれども、そういった対象大学が選考されれば、そして、そういう取組が本格的に始まれば、1つは、それらの取組に関する情報を積極的に公表していくという取扱いは、今後、十分考えられることではないかと思っているところでございます。
 また、この事業でございますけれども、特に基金でもって支援します体制整備であったり、設備であったりというふうな事業に関して申し上げれば、今おっしゃられたような、例えば社会貢献あるいは地域貢献といったことを行う大学の取組についても、必要な設備であったり、体制、人材、そういったものにお金を充てて、そういうものを整えるということに使えるような形の運用は取ってまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

【大野会長】  その点、ぜひよろしくお願いします。特に、やっぱり使い勝手がいいということ、余分な負荷をかけないということは極めて重要だと思います。書類を書いて書いて書きまくって時間を使いやっと研究開始にたどり着くということがないように、ぜひしていただければと思います。
 それでは、時間もございますので、議題5、第12期の活動について、に入りたいと思います。こちらでも皆様の御意見、広く御発言いただければと思いますので、今までのところでも何かございましたらば、ここでも発言いただければと思います。
 冒頭、私の御挨拶で申し上げましたように、第11期の本審議会の会長所感、前会長による所感がございますので、その説明、それから、第12期における主な検討事項について、第11期の活動状況などをまとめていただくということ、まず、その2点を説明いただいた後、自由討議にさせていただきたいと思います。
 最初に、佐野科学技術・学術戦略官から、第12期における主な検討事項ということで御説明いただければと思います。

【佐野科学技術・学術戦略官】  それでは、ページで081、資料5-1-1から御説明をさせていただきます。
 こちらには、第12期科学技術・学術審議会における主な検討事項がございます。こちらにつきましては、先ほど設置をいただきました部会、委員会も含めまして御審議をいただくという内容につきまして、事務局が考えているものをまとめさせていただいているものを示させていただいております。主なものを幾つか紹介をさせていただきます。
 まず、丸の上から3つ目、学術研究の振興方策についての検討ということで、「総合知」の創出・活用及びポストコロナ下における科学技術・イノベーション政策の在り方等を念頭に、学術の振興方策について検討するというもの、丸で言うところの下から4つ目でございます、基礎研究の振興に関する検討ということで、基礎研究の振興に資する個別施策、それから基礎研究の社会的意義・価値についての討議を行う、というものでございます。また、下から2つ目、研究成果の普及・活用の促進、地域が行う科学技術の振興等に関する検討ということで、スタートアップ・エコシステム形成の促進等におけるイノベーションエコシステムの形成に向けた議論を行うというふうなことが書かれております。
 次のページでございます。
 下から丸2つ目のところでございます、博士後期課程学生を含む研究者や研究マネジメントの人材等の育成・支援方策に関する検討。一番最後でございますが、多様な研究大学群の形成に向けた調査検討という、こういうようなものにつきまして、主な検討を行うということで考えているところでございます。
 資料5-1-2でございます。こちらは11期の科学技術・学術審議会の審議事項ということで、前期で行われました主な審議事項、報告等、それから、開催回数について2ページにわたってまとめさせていただいているものでございます。
 前回の総会から少し報告書が出ておりますので、幾つか紹介をさせていただきます。
 まず、学術分科会というところ、上から4つ目でございます。こちらでは、「人文学・社会科学の研究成果のモニタリング指標について」ということで、85ページからということで、資料5-1-2-1に報告書を添付させていただいております。
 それから、「第11期研究費部会における審議のまとめ」ということで、これは少し飛びますが、133ページのところからまとめたものをつけさせていただいております。
 それから、技術士分科会、83ページの下のところでございます。ここにつきましても一番最後のところでございますが、「第11期技術士分科会における技術士制度改革の検討報告」ということで、これも通し番号172ページのところから、まとめたものを添付させていただいておるところでございます。
 少し資料が飛びまして、資料の216ページに飛ばせていただければと思います。これは、第11期の科学技術・学術審議会総会における主な御意見ということでございまして、この総会、5回開催しておりますが、そこでいただいた御意見につきまして、ランダムに御意見をいただいておりますが、事務局のほうで少し柱立てをさせていただいて、その御意見について、8ページにわたってまとめさせていただいているものでございます。
 216ページが、この御意見の柱立てということで、時間もございませんので、柱立てのみ御紹介させていただきます。
 まずは、一番上のところで、人材の育成・活用、その次が研究資金の確保、研究が進むための環境の整備、科学技術・イノベーション政策を進めていくに当たっての総合的な視点の必要性、科学技術・学術情報の利活用、経済安全保障、技術・知財の管理、激動する世界の動向を踏まえた対応の必要性、そして研究評価というようなことで、この形で御意見をいただいたわけではございませんが、いただいた御意見につきまして、このような形で整理をさせていただいておるところでございます。
 私のほうからの説明は以上でございます。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、神谷研究開発戦略課長、すみません、少し後ろが気になってまいりましたので、短めによろしくお願いします。

【神谷研究開発戦略課長】  では、端的に御説明させていただきます。
 まず、今御紹介いただきましたように、濵口先生は4期8年間の会長を務められまして、その結果として会長所感を取りまとめられております。
 1段落目にございますように、基本的に、この所感は、科学技術・学術政策全体に通じる懸案として、特筆すべき点を述べたものであって、網羅的でないものということに御留意いただきたいと思います。
 そして、若手研究者支援、国際頭脳循環ということで、真ん中の辺りから御説明させていただきますが、6行目ぐらいでしょうか、いわゆる大学院教育と、それに続く若手研究者の育成は最も強化すべき課題の1つである。この点、近年の政府による博士後期課程学生への奨学金事業の充実は極めて高く評価できる。さらに、博士課程の企業へのインターンシップ、それから海外派遣、国際共同研究は、非常にいいものであって、企業や海外との間での好循環が起こる兆しも見られている。そういった取組を積極的に引き続き推進しなければならない。
 同時に、研究者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組める環境を充実し、博士課程学生のキャリアパスの不透明さ、それから、若手研究者の雇用の不安定さ、自立性の弱さといった若手研究者を取り巻く厳しい環境の改善に取り組むべきである。
 次のページをお願いします。
 大学の研究力強化・社会への貢献ということで、これまでも議論にはなりましたけれども、大学ファンド、それから地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、こういったことによって若手研究者が研究に専念できるよう、人的サポートや設備・機器の研究環境を充実させるとともに、国際頭脳循環を積極的に推進していく必要がある。さらに、国内に目を向けると、都市部のみならず、地域の産業や社会の活性化に大きく貢献することが期待されている。2行ほど飛んで、地方の大学は、学生が地方に根づく定着先の確保、それから、一度地方を離れても戻ってこられる定着先の確保、さらには、地域の文化と特性を生かしたイノベーションの創成にも貢献すべきである。あわせて、各地域における大学等が地域のニーズに応えつつ、それぞれの強みや特色を生かした連携や統合を進め、財政的、人的制限を突破していく必要がある。
 EBPMについてですが、こちらは基本計画でも述べられているとおり、客観的な証拠と分析に基づく政策立案が重要だと、こういったものを徹底することが求められているわけですが、一方で、科学技術の進展は膨大な情報を生み出しており、個人が全てに精通し俯瞰的視点を持つことは、もはや不可能な時代になっている。この点、NISTEP等が公表する定量的、定性的な情報は非常に重要であって、今後とも政策に必要なデータ収集・分析とその活用をより積極的に行うことが求められている。
 個別分野を具体的に見ていきますと、学問分野においての専門分化、それから小規模化が進展する傾向にありますが、これらが将来的に科学技術・学術政策にどういった影響を及ぼすのか。また、論文など、各種指標などについて、分野ごとにどのような特有な事項があるのか、整理して真剣な検討を行っていく必要があるだろう。
 さらに、学術研究基盤の整備についてですが、国立大学等の組織・体制、施設・設備等の整備について、大学、研究室等の自律的な取組だけでは、全体のバランスを踏まえた効果的な実施が困難な現状である。中大規模の設備、それを支える専門技術人材の整備、さらには近隣分野の研究組織等を複数の大学等が連携して整備するといったことも含めまして、全国的な学術振興の観点から検討すべきである。
 総合知につきましては、第6期基本計画で打ち出されたわけですけれども、様々な問題がある中で、昨今のこの大きな問題に対して、単一の学問領域では解決不能であって、総合知に基づく専門を超えた協働が今こそ求められている。一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)の実装を展開する課題設定から、それを達成するために必要な施策を検討して、あらゆる分野の科学技術を総合的に活用して目標を達成していくような取組が求められる。その進展をいかに社会に還元していくか、その過程における様々な形や進め方を模索し、総合知を現実の課題解決の力にしていく必要がある。
 最後に、総会議論の活性化ということで、3行目になりますが、本総会での議論を、より一層、科学技術・学術政策に反映させ、国民に見える形で裨益させていくべく、議論のさらなる活性化に向けて総会の在り方、体制も含みますが、そういったことについて検討していくべきではないかということでございます。
 以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 濵口前会長の所感ということで、主要な論点等もここで挙げていただきました。
 この内容を踏まえて、残りの時間、自由に御発言をいただければと思います。ぜひまだ御発言されていない方を中心にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 相澤先生、お願いします。

【相澤委員】  国立情報学研究所の相澤です。簡単に、人材の育成・活用のところで1つ述べさせていただきます。
 若手研究者の身分の安定性については、先ほど御意見があったところでございますけれども、組織の中で全員がPIをやっていても研究としては動かないので、やはり研究を支える技術的面での専門家に、しっかりとテニュアの身分を保障して御活躍いただく、また、そういった専門家を育成していくという観点も必要だと感じております。
 特に、私ども情報分野は、研究者の皆様に対して基盤を提供するというミッションも担っています。その中で必要となる、大規模シミュレーション、データ駆動サイエンス、AI駆動科学とを支える人材は、最先端の技術力が必要とされる人材でもあり、社会全体で求められている人材でもあります。そういった方々にアカデミアの世界でも御活躍頂けるよう、ぜひキャリアパスとしても御検討の項目の中に入れていただければと思っています。

【大野会長】  まずは御意見を頂戴して、時間が許せば、事務局から回答をいただければと思います。
 五十嵐委員、お願いいたします。

【五十嵐委員】  五十嵐でございます。濵口先生所感の2ページ目、EBPMのところです。真ん中辺りで、科学技術の進展は膨大な情報を生み、もはや個人が全てに精通し、俯瞰的視点を持つことは不可能と、ここまで言い切っています。そこでNISTEPを活用して、この問題に対応するべきであると。ここのところ、すごく根本的な課題だと思います。よく知の構造化とか、知の総合化とかいわれていますが、これ、個人個人が全てに情報に原典から精通するのは無理なので、2次情報でまとめたものから判断するということで、それはそれでいいのかなというところがひとつ。学問分野が専門化して非常に小さなところにはまり込んでいくことの課題というか、欠陥と言ったら言い過ぎなのですけれども、もう既に現れているような感じがします。3ページ目の、これも真ん中辺りですが、あらゆる分野の科学技術を総合的に活用して目標を達成していくとあります。総合的に活用していこうと思うと、やはり先ほど話をしたような個別のところをどう個人個人がどう深く理解して、そこから組み上げていくかということが肝腎かと思います。この点がこれからの産業競争力とか、国力とかにすごく関係していると思っています。
 以上、感想です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 久世委員、お願いします。

【久世委員】  人材の育成のところで1番目に挙げていただいている博士人材の社会との関わりとその育成支援は、本当に重要な課題だと考えています。また、大学側だけでなく、産業界も協力して、博士人材の採用も活発化する必要があります。これは、企業におけるジョブ制の導入にも関係しています。海外では博士人材は即戦力として、それなりのポジションと処遇と権限、役割をアサインしますが、残念ながら、日本では、そのような状況にはなっていません。これは、産業界サイドの課題でもあります。
 旭化成では、2019年から東工大の博士課程の学生を対象に、デジタルで企業の実課題を解いてもらうインターンシップを推進しています。毎年、20人弱の博士課程の学生に、6週間、会社に通っていただき、旭化成の研究者や技術者のサポートを受けながら、我々の実課題を解決してもらっています。例えば、マテリアルズ・インフォマティクスによる材料の開発や改良にも取り組んでもらいます。材料開発以外にも、製造現場での品質向上や生産性向上、デジタルツインの実現などの課題も、現場の実データによる分析で解決してもらっています。このプログラムは、大学と企業でお互いにWin-Winの関係になっています。ただ、6週間というのは、より大きな効果や成果に結び付くには、短いと思われます。IBMが海外で実施しているインターンシップは、もう少し長くて、3か月から1年以上になることもあります。そうすると、企業側もその博士課程の人により重要な仕事やタスクをしてもらい大きな成果がでることを期待します。企業サイドも処遇について様々なサポートもする必要もありますが、大学としても、そのインターンシップが単位になるといった配慮も必要だと考えています。企業と大学が協力して、そういったところを改善していくと、もっと日本の企業で、博士課程人材に活躍してもらう場面と機会が増えるはずです。そのことは、学生本人、大学、企業、社会にとって非常にプラスになります。この環境の実現を加速するようなプログラムがあればよいと考えています。よろしくお願いいたします。

【大野会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 門間委員、お願いいたします。

【門間委員】  濵口先生の資料225ページで地方の大学について触れられていらっしゃいます。第11期で国際的な研究力の比較の中で、ドイツだったと思うのですけれども、全国どこにいても高度な教育を受けられる、そういう体制が整っていることが強みになっていると伺いました。ドイツでは、地域の高度な教育を受けられることに加えて、卓越したトップのレベルを上げるというふうな方向性が出ていると伺ったかと思います。先程栗原先生のお話にもありましたように、地域の産業と連携して、地域の発展につながるような人材育成、研究開発を行っていくような方向性を期待しておりましたので、今回ありました地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの量的、質的な拡充というのは、非常に期待を持って見させていただいております。ぜひ地域の連携を有機的につなげて、発展につながるようなものを進めていただけたらなと考えています。
 また、今回、コロナでいろいろなデジタル化が進んだところではあるのですけれども、オンライン教育というのは、日本は、ほかの国に比べて、まだまだ可能性があるのかなと思っています。デジタル化の推進についても御検討いただけたらと思います。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 村岡委員、お願いします。

【村岡委員】  村岡です。第11期会長の所感の3ページ目、通し番号226番の総合知に関するところでございますけれども、ここでも書かれていますように、地球規模の様々な問題、環境問題、あるいは社会の問題、経済的な問題、様々ありますけれども、同時にここで大事だと思いましたのは、一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)、科学技術及び人材育成によって、それをどうつなげて考えるかというところがこれからますます重要になると思いました。地球温暖化の問題、あるいは生態系、生物多様性を含む自然資本への対策の問題、こういったものが複雑に絡み合っていく中で、いかに地球温暖化の問題、カーボンニュートラルの推進もございますけれども、こういった様々な複雑に絡み合った問題を、いかに地域社会において対策を取っていくのか。その中でアカデミア、あるいは行政、地域社会、市民社会が連携していくのかというところで、ますます科学技術の問題、あるいは、これをいかに社会のインフラ化するかという日々の行動変容、あるいは意識改革において、私たちが日々、天気予報を手元で見られるように、そういった環境問題に関する情報をいかに現場に届けるかというところが、あるいは、それが活用できるような人材を育てるかというところはますます重要になるかと思いました。
 これは意見ですけれども、今後そういったところも議論できればと思いました。よろしくお願いいたします。

【大野会長】  ありがとうございます。
 それでは、オンラインで御参加の小川委員、お願いいたします。

【小川委員】  今まで発言していなかったので、発言させてもらいます。ありがとうございます。
 ちょっと思いつきな意見で恐縮ですけれども、自分の研究領域は生命系ですけれども、1人の優秀な研究者がやっていくというよりは、チームとか、あるいはペアでやっていい成果を出すということは多々ありますし、私自身の経験でも、自分が手を動かすのではなくて、学生なり、あるいは部下の人たちとやっている。そのときに自分の部下の方たちはすばらしい能力を持っているけれども、だけれども、自分一人でやっていく力があるかというと、なかなかそうでもないかもしれないという例は多々見かけます。
 僕が言いたいのは、テクニシャンとか、PIまでにはならなくても、でも、すごい能力を持っている人は多いですよね。そういう人たちの活用ということはよくないですけれども、生かしていきたいと。
 そのときのアイデアとしては、よく研究の賞も、一人のリーダーに与えることはありますけれども、グループとかペアに与えられるということはあまりないような気がします。古い話ですけれども、ジョン・レノンとポール・マッカートニーではなくて、ビートルズとして表彰するみたいな形も科学領域に取り入れても面白いのではないかなと思って、ちょっと突拍子もないアイデアですけれども、発言させてもらいました。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 支援者等を含めたチームというのは非常に大きな力を発揮すると思いますので、そういう仕組みをインプリメントしていくということは、日本にとって重要なことと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 日野委員、お願いします。

【日野委員】  幾つか、特に濵口先生の所感は、非常に考えるところが多くて重要な課題だなと思っていましたけれども、その中で1つだけ、若手支援のところですけれども、若手研究者が今から育って一人前になって世界をリードするまでは、10年、15年、簡単にかかってしまいます。そういう意味では、いろいろな施策はスピーディーに打っていかなければいけないけれども、持続性とか継続性、その根っこにあるところは非常に重要だと思っています。
 それともう1つは、研究者を集めるのは、お金はもちろんそうですけれども、居心地のよさというのが多分非常に重要で、そういう意味では、支援の対象になっている若手研究者の人たちの実感ですよね。そういうものを長期にわたってちゃんと効果を追跡していくという仕組みも、また重要な、施策を打つというのと、その効果をちゃんと見て、必要なことがあれば柔軟に変えていくという、そういう施策が必要なのかなと、今日の議論を伺いながら思っていました。
 以上です。

【大野会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 栗原委員、お願いします。

【栗原委員】  すみません。2回目なのですが、よろしいでしょうか。

【大野会長】  はい。

【栗原委員】  前会長所感の最後のほうで、総合知というのと、総会議論の在り方というところに関係するのですけれども、日本、そして世界的でも様々な災害や食料問題、エネルギー問題、経済安全保障問題等の課題が起きており、こういう課題に対しても、ここの審議会で横断的に取り組みを議論または確認することが必要なのではないかなと思います。
 そういう議論がなされると、先ほどの令和5年度予算においても、こういう社会課題に対して適切に予算がついて進むのではないかと思って聞いていたのですけれども。例えばAIですとか宇宙、防災・災害、それから海洋、環境エネルギー、原子力、こういったそれぞれの分野に予算がついていますが、審議会あるいは各分科会、部会で、これらの課題がどう議論されているのか、横断的に見て整合しているのか、国家戦略としてどう取り組んでいくのかなどを総合的に見るべきではないかと思います。この審議会または部会等で戦略的に議論して、予算だけでなく、政策を何がしか打ち出せたらいいのではないかと思います。

【大野会長】  ありがとうございます。
 審議会の体制で、今おっしゃられたことがどう表現できるか、重要に思います。
 それでは、上田委員、お願いいたします。

【上田会長代理】  私のほうからは2つお話しさせていただきたいと思います。1点目は、国際頭脳循環です。我々の企業では、様々な共同研究を進めており、国内では大体年間150ぐらいの共同研究、海外ではその二、三倍進めている中で、海外で日本人研究者の方と共同研究することもよく見かけます。話を聞いていると、海外に行ったのはいいけれども、日本に帰ってもポストがないため、ずっと海外にいるしかないという話を、アメリカだけでなく、中国、ヨーロッパ、ドイツ、フランスあたりでも時々聞くことがあります。このような状況になったときに、具体的に国際頭脳循環をどうやっていくかのかについて、大学関係のみで対応するのが難しい部分があるのであれば、企業も一緒になって国際頭脳循環を考えていくべきではないかなと感じました。
 我々の企業のほうでも、若手を3年から5年くらい海外に派遣し、様々なことを学ばせて、日本に戻して、新しいことに取り組んでもらう、あるいはマネジャーに昇格させる、ということを進めています。そういうところに、大学の先生方も我々企業に入社し、基盤技術研究所というところで基礎研究をやっていただくということも実際に起きています。従って、企業も活用した国際頭脳循環というものが、これからの日本の技術立国という観点では、1つ大事なポイントになってくると感じました。
 2点目は、総合知という話です。どうしても科学技術となると、理科系というのがイメージに浮かんでくるのですが、濵口先生の所感にもありますように、今、我々のところでも、人文科学系との協働を始めています。これは理科系の方々と協働して、様々な新しい製品開発をやる、ということだけではなくて、Well-beingということを考えると、さきほど、明和先生のお話にもありましたが、脳の研究とか、あるいは人の心の研究という話になってきますとこれは理科系だけではやっていけないと思います。従って、人文科学系の方々の協働ということを、現在進めているのですが、この濵口先生の所感を見て、我々が向かっている方向が間違っていないということで大変勇気づけられました。そういう意味では、この総合知というときに、先ほどから多くの方が心配されているのは、科学技術イコール理科系というイメージや、先入観を持っているケースがどうしても多いと思いますので、「人文科学」という言葉をキーワードとして入れていくと、もっと正しい理解につながっていくのではないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 鷹野委員、お願いいたします。

【鷹野委員】  鷹野でございます。今お話がございました上田委員の最初のお話と関係するのですけれども、国際頭脳循環ということで、企業も一緒にという大変すばらしいアイデアをお聞かせいただきました。
 私の少ない経験の中なのですけれども、大学院生が、私の知っているのは欧州に留学したわけですけれども、共同博士ということで、個別に協定を結びました。私が知っているのは10名はいないですけれども、六、七名の学生が共同博士を取得しまして、その中で半分が外国で研究しております。外国で研究している方々が、日本とのかけ橋といいましょうか、そういった役割も果たしているように思っております。
 先ほどからあります若手の頭脳循環とか、留学とか、そういった話の中で、まだ私の知る範囲では、日本では共同博士というのはあまり盛んでないように思いますが、欧州では普通になされていることです。共同博士のよいところは、1年とか1年半とか、長期に留学して、2人以上の指導者から、しかも背景が違う、育った背景の違う研究者からの指導を受けて経験が豊富になる、視野が広がるという点であり、大変にすばらしい制度だと思っております。その制度設計は非常に難しいところだと思いますが、文科省としては視野に入れてやっていただけると良いのでは、と思っております。
 以上です。

【大野会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、短くよろしゅうございますか。明和委員、お願いします。

【明和委員】  今の上田委員の御発言に、私どももとても勇気づけられたというか、もうすぐに京都大学に帰って学生たちに伝えたい、と思いました。
 それに関しまして、ぜひ文科省の皆様、先生方に御理解いただきたいことがあります。私自身は、脳と心の発達の研究を行っていますが、国家主導の調査、例えばアメリカNIHやヨーロッパの大規模調査を見ていますと、18歳からエリートを育てようとしても難しいです。就学前に受ける環境が、18歳以降、あるいは成人期になったときの身体と心の健康の状態にまさに影響するというコホートの結果が何十年もかけて出てきております。そう考えますと、今年度、「こども家庭庁」の発足という非常に大きなアクションが日本で起こったわけですが、先ほど話題となりましたSTEAM教育のお話は探求学習も含め、幼少期から高等教育につながる道筋として、縦割り組織のなかでの教育ではなく、広く長期的に教育を考えていくことが日本の大きな課題ではないか、と、ほかの先進国の動向を見ていて思います。
 私の個人的意見として申し上げさせていただきました。ありがとうございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 時間が来てしまいました。ほぼお一人一言、御発言いただけたかと思います。
 本日いただいた御意見につきましては、今後、議論を進められるように、事務局において整理をお願いします。
 議題6、その他は、ございませんね。
 それでは閉会に当たりまして、井出副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。
 井出副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

【井出副大臣】  副大臣の井出でございます。今日は、第12期の最初の総会ということで、新しい会長の御選出をはじめ、熱心な議論をいただきまして、ありがとうございました。
 私は、昨年の8月に副大臣になりまして、この審議会、11期の先生方にも、僅かですが、お世話になってまいりましたし、今日も遅れてまいりましたが、先生方の貴重な御意見をいただいて、少し御意見をいただきっ放しといいますか、重ねてご意見をいただいたものも出てきておりますし、御指導いただいたからには、時間のかかるものもございますが、できるものは、その御指導をきちんと形にしていくというところを、文科省事務方と一生懸命できるところからやらせていただきたいと思っておりますので、粘り強い御指導をいただきたいと思います。文科省もよくやってくれているというようなお言葉も再三いただいておりますので、引き続き、御指導賜りますようお願いいたします。
 それともう1点、研究者の待遇のところで、安定性ですとか流動性、頭脳循環という話がございましたが、いろいろな先生方ですとか研究者の皆さんから、本当にまだ浅い期間しかやっておらないのですが、その1つ、改善の取っかかりとして、透明性、研究室とかいろいろな機関の採用ですとか雇用、流動に係る透明性というものが、1つ、それに相反するものは、多分人脈みたいな話になってくると思うのですけれども、透明性が出てくれば、若い皆さんも、いろいろなところに、全然違うところにチャレンジをしたりですとか、国際頭脳循環を進める上でも、透明性が欠かせないのかなと思っております。政治の世界も透明性がなければいけないし、年功序列はいかんと思っておるのですが、特に研究の分野もそういうものが必要なのかなと思います。ちょっと僣越ではございますが、私からも1つ問題提起をさせていただきましたので、また引き続き御指導いただきたいと思います。
 今日は本当にありがとうございました。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 ご発言したいことがまだありましたら、メールで事務局までお知らせいただければと思います。2回目の発言にちょっとハードルを感じられた委員の方々もいらっしゃったかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  それでは、本日の議事録でございます。後日、事務局より送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。御確認いただきましたものを文科省ホームページに掲載いたしますので、御承知おきくださいますようお願いいたします。
 また、本日の会議資料につきましては、郵送の希望がありましたら、机上に残していただければ事務局で手配をいたします。
 以上でございます。

【大野会長】  どうもありがとうございました。
 不手際で5分ほど超過してしまいましたが、これで科学技術・学術審議会の第70回を終了させていただきます。今日は皆様、どうもありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付
電話番号:03-5253-4111(内線3848)
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(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)