11月答申の提出に当たって[大学設置・学校法人審議会会長コメント]

平成17年11月28日
大学設置・学校法人審議会会長 永田 眞三郎

1  このたび、大学設置・学校法人審議会は、本年5月及び7月に諮問のあった平成18年度開設予定の公私立の大学、大学院などについて答申を行った。大学等の設置について諮問のなされたもののうち、今回認可の答申に至った案件は91件であり、それぞれ円滑かつ確実に設置計画を履行し、特色ある充実した教育研究活動を展開されることを期待したい。

2  本年度の申請の大きな特色の一つは、大学院大学関係が12件と、過去最多であったということである。このうち、今回の答申で認可となったのは7件であり、その他は、申請が取り下げられたり、当審議会において、法令・基準に適合していない、又は、更に吟味を必要とするという判断を示したりすることとなった。大学院大学に関する申請については、総じて準備不足の傾向が顕著であり、教員組織や教育課程などの内容、施設・設備などの態様の面で、大学としてふさわしくないと言わざるを得ない案件や、強い疑義の生ずる案件が見られた。

3  また、審査過程では、現在あるいは過去の申請書類について、虚偽の内容を含んでいたり、その真実性が強く疑われたりするような事例が相次いで発生したことは、大学運営に携わる者のモラルが問われる問題であると同時に、設置認可制度の根幹を揺るがす問題であり、極めて遺憾である。

4  こうした問題の背景には、各申請者において、大学間競争の激化に伴い、学生確保を急ぐ余り、申請に先立つ設置計画の検討・準備が拙速に行われていることがあるものと考えられる。質の高い大学づくりのためには、大学制度や大学改革の動向を十分に理解した上で、相応の時間をかけて基本構想を練り、これに整合した体系的な教育課程を研究し、広く適切な教員の確保を図っていくことが不可欠である。このことは、学生保護の観点からも、各申請者に対して強くお願いしたい。

5  同時に、文部科学省に対しては、適正な審査のため、当面以下のような取組の検討を期待したい。
(1)  申請者と審議会との「対話」をより深めて、補正の機会を確保するなど、審査手続の改善を図ること。特に、大学院大学の設置については、大学新設に準じた取扱いを検討すること。
(2)  虚偽申請に対するペナルティを明確化するなど再発防止策を講ずること。
(3)  設置認可後の年次計画履行状況調査の充実を図ること。

6  当審議会としては、国際通用性のある大学の質保証のため、審査に遺漏のないよう、引き続き適切に対応してまいりたい。

(高等教育局大学振興課大学設置室)