文部事務次官補足説明
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中央教育審議会

  


文部事務次官補足説明


平成7年4月26日

  大臣から諮問に関する基本的な考え方を御説明申し上げましたが,その趣旨を更に補足して,具体的に検討すべき課題として文部省が考えておりますことを御説明申し上げます。
  まず,「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」についてであります。
  今後における教育の在り方については,学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方をはじめとする検討事項について御検討いただくに当たって,まず,今後の教育はどうあるべきか,すなわち,21世紀に向けて教育の基本的な在り方をどう考えるかについて御検討いただく必要があると思われるので,最初の検討事項としたものであります。
  学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方については,それぞれの教育の役割と連携の在り方についての検討をお願いするものでありますが,特に,これからの時代における学校の役割をどう考え,また,地域社会における拠点としての学校づくりをどう進めていくのか,家庭や地域社会の教育力が低下しているとの指摘がある中で,家庭や地域社会における教育機能の充実をどう図っていくのかなどについて御検討いただきたいと存じます。
  また,依然として憂慮すべき状況にあるいじめや登校拒否問題等について,学校・家庭・地域社会を通じ,今後さらにいかなる対応をすべきか,子どもたちの自然体験や社会体験が不足しているとの指摘がある中で,自然体験活動や集団活動などの学校外活動の充実をどう図るのか,ボランティア活動についての社会的な関心が高まる中で,こうした活動をどう奨励していくのか,さらに,子どもを取り巻く環境が急変する中で,子どもの心と体の健康について,どう保持・増進していくのかといった課題などについても御検討いただきたいと考えております。
  なお,学校週5日制の今後の在り方については,子どもの立場に立つことを基本的な視点として実施してきたこれまでの状況も考慮しながら,今後の方向性についての御議論をお願いいたします。
  次に「一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善」についてであります。
  一人一人の能力・適性に応じた教育については,学校教育における教育内容や教育方法面を中心とした多様化・弾力化を進める観点から,小中学校におけるティームティーチングやグループ指導の一層の拡充など指導方法の改善,高等学校における総合学科の今後の在り方や選択制の拡大,大学におけるカリキュラム改革の促進など,各学校段階を通じ,幅広く御検討いただきたいと考えております。
  また,学校間の接続の改善については,教育の一貫性を高め,過度の受験競争を緩和する観点から,学校の各段階相互の教育内容の連携,大学・高等学校における入学者選抜や進路指導の改善について検討をお願いしたいと存じます。さらに,企業の雇用慣行が変化し,少子化が進む中で,今一度,過度の受験競争の現状を改善するための学校・家庭・企業等を通じた取組について御検討いただきたいと考えております。
  なお,特定の分野において稀(け)有な才能を有する者についての教育上の例外措置については,平成6年度から実施しておりますパイロット事業の状況なども考慮しながら,御検討いただきたいと存じます。
  最後に「国際化,情報化,科学技術の発展等社会の変化に対応する教育」については,今後の社会の変化を見通しつつ,いかなる教育施策の改善・充実を図るべきかという観点から,国際社会で活躍する人材の養成や外国語教育の改善・充実,教育の改善・充実に資するためのマルチメディアの活用や学校における情報教育の推進,豊かな科学的素養の育成と理工系の人材養成,地球環境問題に対応した環境教育の改善・充実などについて,御検討いただきたいと考えております。さらに,これからの日本を担う人材を育成するという観点から,創造性や指導力の涵(かん)養・育成といった課題についても,御検討いただきたいと存じます。
  以上,文部省として考えております課題を御説明申し上げましたが,大臣からも申し上げたとおり,このほかにも,これらに関連して取り上げる必要があると考えられる課題につきましても,幅広い視野の下に忌憚(たん)のない御意見を頂きたいと考えております。
  これをもって私の補足説明を終わります。




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