第3編 各国の教育(基本)法と教育施策一覧

 ここでは、これまで記述してきた調査対象国について、各国の教育分野の基本となる法律とそれに基づく各種教育施策について、一覧表のかたちでまとめた。
 次ページ以降に一覧を示す。

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
アメリカ 【計画名】
<連邦>「落ちこぼれを作らないための初等中等教育法」(NCLB法)

【計画期間】
2002年〜2014年

【所管】
連邦教育省
【計画の背景】
  • 社会経済の背景:国際競争力の低下、国際情勢の変化(共産主義の崩壊、グローバル経済の進展)に対する危機感
  • 学校の荒廃、学力低下、財政の悪化(高等教育)
  • このような背景から、教育行政は州の専管事項であるが、アメリカ全土の教育水準の維持には連邦政府の支援が必要との意識が高まり、中等初頭教育法(1965年)を全面改訂する形でNCLB法が制定された。
【統治システム】
  • アメリカでは、教育行政は州の専管事項であるため、各施策の詳細は州によって策定。
  • 連邦政府は、州に補助金交付の条件として施策を策定させ、各州における児童生徒の学力向上達成の度合いによって報奨金を提供、制裁(補助金減額など)を課すことでモニタリングを行う。
【計画の対象】
 初等中等教育

【主要施策】
 NCLB法に掲げられている主要分野は次の6分野。
  1. 恵まれない人々の学力向上、
  2. 優秀な教師の育成、
  3. 英語能力が不足している児童生徒に対する語学教育、
  4. 21世紀にふさわしい学校づくり、
  5. 教育機会の拡大、
  6. 学力向上のためのアカウンタビリティ
また、NCLBを推進するにあたり、重視している主要施策は次の4分野。
  1. 結果責任の重視…学力テストの毎年実施、年間の学力向上の目標(Adequate Yearly Progress)設定と実施・評価、州によるリポートカード(実績通知表)の作成
  2. 州や地方の裁量拡大…優秀な新規教員の雇用、教員の給与の増額、教員訓練における裁量の拡大
  3. 研究に裏づけされた教育方法の導入…研究に基づく読む能力を高める教育の実施(Reading First program,Early Reading First Program
  4. 教育機会の拡大…「実績低迷校」に対する改善策策定の勧告、児童生徒および親に対する支援(転校、家庭教師など)
【数値目標】
  • 2013〜2014年度までに州の全ての児童生徒が、州が定めた標準学力に達すること。

国名 3教育投資
アメリカ 【概況】
  • 連邦政府による教育および教育関連プログラムの資金は、教育省だけでなく、他の省庁に対して配分される。2005年度には、教育省に710億ドル、その他省庁に合計で613億ドル、その他機関に95億ドル配分された。合計で1418億ドルとなり、名目GDPに占める割合は、1.1パーセント。(しかし、全米の初等中等教育への支出の内訳をみると州や地方政府の資金が連邦資金の約10倍となっているため、教育分野全体で連邦、州および地方政府による教育資金を合算した額はGDPの約10パーセントに達している可能性が高い。)
  • 教育省に対する連邦資金をみると(2006年度)、566億ドルで、01年度から06年度の年平均増加率は約6パーセントであった。その内訳をみると、NCLB関連が233億ドルと最も大きく、41.3パーセントを占めた。その他の初等中等教育が23.2パーセントでNCLBと合わせると64.5パーセントとなり、連邦政府が初等中等教育に注力していることが示されている。
【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】


【国と地方の財政比率】
(中央政府)1パーセント:(州・県に相当する地域政府)1パーセント:(市町村に相当する地方政府)99パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
イギリス 【計画名】
教育5ヵ年計画Five Year Strategy for Children and Learners

【計画期間】
2004〜2008年

【所管】
教育技能省
【計画の背景】
  • 国際的な経済競争の激化
    → イギリス国内産業の国際競争力維持のための人材育成の必要性
  • 児童生徒の学力低下
    → 国際的にみた場合の児童生徒の学力低下に対する危惧
  • 保守党から労働党への政権移譲
    → 教育水準向上の政策は継続。教育は政府与党における最重要課題。
【統治システム】
中央政府が、全体的な教育計画立案、予算策定を行う。地方教育当局(LEA)は学校設備など、地域における計画の実施に関与する。
【計画の対象】
5ヵ年計画の対象分野は以下の6つ。
1就学前教育、2初等教育、3中等教育、4生涯学習(成人教育)、5高等教育、6教育基盤整備

【主要施策】
 中等教育分野が重点分野。特に専門中等学校(independent specialist schools)の導入が本戦略の中心的位置づけとされている。
 各教育段階・分野について、5〜6施策の設定あり。主な施策は以下のとおり。
  1. 就学前教育…エデュケア(educare)による無料サポート提供、子どもセンター設置
  2. 初等中等教育…学力の向上、児童数に連動した学校予算支給(3年間保証付)、専門中等学校の設置、学校の大規模修繕
  3. 成人教育…職業訓練内容に対する雇用者の関与、職業技能向上センター設置
  4. 高等教育…高等教育進学率向上
【数値目標】
各教育段階・分野について、5〜6の数値目標設定あり(2008年までと長期の目標設定あり)。主な数値目標は以下のとおり。
  1. 就学前教育…子どもセンターを最低1,700ヶ所設置
  2. 初等中等教育…標準到達レベルに達する児童割合が65パーセント以下の初等学校を40パーセントまで削減、初等学校全体の3分の2を改修または新築
  3. 成人教育…150万人の成人の基礎的技能向上、職業技能向上センターを最低400ヶ所設置
  4. 高等教育…青年層(18〜30歳)の高等教育進学率を50パーセントに引上

国名 3教育投資
イギリス 【概況】
  • 5ヵ年計画には、一部の教育段階・分野について個別施策に対する投資額の提示があるものの、各教育分野の全体的な投資額についての記述はない。2004年の政府支出見通し(Spending Review)が、5ヵ年計画の財政的裏づけを行う形となっている。
  • 教育関連分野の投資総額は、1998年に400億ポンドであったものが、2006年では年610億ポンド、2008年には680億ポンドに達する見込み。教育技能省の投資総額のうち、教育資本投資は全体の18パーセント程度。教育資本投資のうち、学校関係のものは6割を占める。
【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】


【国と地方の財政比率】
(中央政府)25パーセント:(市町村に相当する地方政府)75パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
フランス 【計画名】
学校教育改革基本法の附属報告書(rapport annexé)

【計画期間】
2006年〜2010年

【所管】
国民教育省
(Ministère de l’éducation nationale, enseignement supérieur, et de la recherche)
【計画の背景】
  • 1970年代半ばから続く不安、失業問題の深刻化、欧州統合の進展
  • 初等中等教育段階における基礎学力不足、大学第1期課程での高い中退率、職業資格未取得での離学
  • 2005年3月24日に「学校の未来のための基本計画法」(通称 フィヨン法)が成立し、この法律に付随して数値目標を含む附属報告書が作成された。本報告書には法的効力はないが、政府の教育改革の方針とされている。基本法制定の背景には、現行の教育システムが現代社会とミスマッチを起こしているという現状認識の下、社会変動に対して学校はどのように立ち向かうべきかという視点がある。
【統治システム】
中央政府が策定した計画を各教育施設が実施する。教育施設は大学区長ならびに大学区視学官が管轄している。視学官は国民教育省の直轄である。
【計画の対象】
 就学前教育、初等・中等教育に大部分のページが割かれている。高等教育、生涯学習、教育基盤整備についても記述がある。

【主要施策】
  1. より公正・適正な学校へ・知識習得関連、奨学金・健康・障害児対応、男女平等など全10項目
  2. より効率的な学校へ…教員関係、安全、試験、IT、生涯学習など全11項目
  3. より開かれた学校へ…親・非営利団体などとの関係、文化芸術、環境教育など全11項目
【基本方針における数値目標】
  1. 生徒全員が学校教育の終了時点で何らかの公認資格を得ること
  2. 同一年齢層の80パーセントがバカロレア(高校卒業資格兼大学入学資格試験)水準に達すること
  3. 同一年齢層の50パーセントが高等教育修了
【数値目標】
2010年までに達成すべき7つの数値目標を掲げている。
  1. 恵まれない社会階層の子どもの一般バカロレア取得率…20パーセント増
  2. 保健医療を除く科学分野の高等教育の学生の割合…20パーセント増
  3. 理系女子高校生の割合…20パーセント増
  4. 義務教育修了時点で欧州評議会が定めるB1(身近な話題について標準的な話し方をされたときに理解できる、その地域を旅行しても対処できる、脈略のあるテキストを作ることができる、意見等を短く述べることができる)水準の現代外国語を習得する
  5. ドイツ語を習得する学生…20パーセント増
  6. 古典語(ラテン語・ギリシャ語)を習得する学生…10パーセント増
  7. 工業高校の学生…50パーセント増

国名 3教育投資
フランス 【概況】
学習障害児のための教育プログラム予算(小・中・農業学校)、奨学金予算(中・高、大学、農業学校)、看護師育成予算、障害児の統合教育予算などが記されている。

【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】


【国と地方の財政比率】
(中央政府)74パーセント:(州・県に相当する地域政府)14パーセント:(市町村に相当する地方政府)12パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
ドイツ 【計画名】
ベルリン市州 学校発展計画

【計画期間】
2006〜2011年

【所管】
ベルリン市政府教育科学研究省
【計画の背景】
  • 東西ドイツの統一、欧州統合の進展と労働市場の拡大、経済不調と失業問題の深刻化
  • 基礎学力の低下、経済発展を維持できる人材要請への展望、高等教育の学生増と研究・教育条件の悪化
  • 国際的な学力調査TIMSSとPISAにおいて成績不振となったことを機に、初等中等教育の強化が進められることになった。このため、連邦政府は「初等中等教育における学力の維持・向上(のための学校の質的向上)」を重視。
【統治システム】
  • 教育は基本的に州の管轄。連邦政府は憲法に相当する「基本法(国際的比較からみた教育制度の有効性、ならびにこれに関連する報告書の作成や推薦状により、連邦政府と州が協力できる)」に基づく限りにおいて、教育に関与できる。連邦政府は高等教育に限り、「高等教育大綱法」を制定(連邦レベルでの基本計画は策定されず)。
  • 州毎に学校法や高等教育法を定めており、また一部の州においては学校法に基づいた計画書を策定。ただし、各州が全く独自に教育政策を展開しているわけではなく、各州の文部大臣が出席する「各州文部大臣会議」が各州の教育政策を調整し、連邦としての共通の方向性を維持。
【計画の対象】
初等中等教育を対象。二部構成となっており、
  • 1学校の質的発展のための施策」、
  • 2学校ネットワーク計画」

に分け、細目を設定。

【主要施策】
 多数の施策が記述されており、主要か否かの判断はできないが、連邦政府が重視する下記重点施策の記述あり。

  1. 全日制学校
  2. 教育スタンダード゛
  3. 教員養成
  4. 情報コミュニケーション技術教育
【数値目標】
 記述なし(生徒数、教室占拠率の推計値、教師需要予測などのデータのみ)

国名 3教育投資
ドイツ 【概況】
ほとんどの施策について投資額の提示がないため、ここから重点投資分野を判断することは困難。なお、ドイツでは公的経費の約85パーセント(高等教育費では80パーセント)を州と地方が負担。連邦政府としては高等教育分野に重点配分しているほか、全日制については別枠で予算を充当。

【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】

ベルリン市の2007年の文化・教育関連予算はベルリン市の予算全体の21パーセントを占める。文化・教育費の支出総額は2007年予算ベースで48.75億ユーロであり、2006年の49.14億ユーロに比べわずかながら減っている。

【国と地方の財政比率】
(中央政府)10パーセント:(州・県に相当する地域政府)69パーセント:(市町村に相当する地方政府)21パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
韓国 【計画名】
第2次国家人的資源開発基本計画

【計画期間】
2006〜2010年

【所管】
教育人的資源部
【計画の背景】
  • 2005年に終了した第1次国家人的資源開発基本計画には人材需給展望や成果指標がなく、人的資源開発会議も各省庁の事業評価や予算調整権限を持っていなかったため、人的資源開発政策を統合推進していくことに限界があった。そこで、第2次国家人的資源開発基本計画では、計画期間内の達成成果目標、政策内容、推進日程、財政投資計画などを具体的に提示して、政策推進の実用性を一層高める方策が採られ、政府の20の省庁が共同で2006年から2010年までの国家レベルで推進する人的資源開発の政策課題を解決することになった。
【統治システム】
中央政府が、全体的な教育計画立案、予算策定を行う。国家人的資源委員会が政府各省庁の人的資源開発予算の策定に協力するとともに、主に国家レベルの重要課題の評価などを実施する。
【計画の対象】
就学前教育、初等中等教育、高等教育、生涯学習、教育基盤整備に関わる分野を網羅。

【主要施策】
  1. 国際的に競争力ある核心人材の育成
  2. 全国民の生涯学習の向上
  3. 格差社会の是正及び教育・文化・福祉の増進
  4. 人的資源開発のためのインフラ拡充
上記の4大政策領域に各々5つの政策課題が設定されている。政策課題の中にはさらに3〜4つの細目課題(合計200課題)が設定されている。これらの政策課題には、計画期間内の達成目標、政策内容、推進日程、財政投資計画などが具体的に提示されており、政策推進の実効性を高めている。また、科学技術立国の基盤整備、女性や中・高齢層の社会参加の推進、国際的人材の育成などの現代的課題も多く提示されている。

【数値目標】
政策ビジョンとしては、人的資源分野の国家競争力10位圏内の達成という大きな目標を掲げている。
また、2010年までに達成すべき18の数値目標を3分野にわけて掲げている。
  1. 国家の成長を主導する核心人材の育成
    • 1世界200位圏内の国内大学数…10校/2SCIの論文順位…10位
    • 3世界水準の経営専門大学院の育成…10位
    • 4大学教育と経済社会の要求符合度…20位圏内/5英才教育対象校…1パーセント
    • 6国内外国人留学生の誘致…5万人
  2. 国民の基本能力の向上及び生涯学習能力開発
    • 7人的資本(国民平均の教育年数)…13.5年/8初等教育の1学級当たりの学生数…30名
    • 9国際学業成就度(PISA)…数学1位/10生涯学習参加率…30パーセント
    • 11生涯学習都市…100ヶ所/12人的資源基盤の優秀機関(企業、公共機関)認定…500ヶ所
    • 13民間企業の労働費用中の教育訓練費率…2パーセント
  3. 人的資源開発の提供及び教育、文化、福祉の拡充
    • 14女性の経済活動参加率(15歳以上)…55パーセント/15満5歳児の教育福祉支援…80パーセント
    • 16障害者雇用比率…2パーセント/17教育福祉投資の優先地域…100ヶ所
    • 18放課後の学校開放…全校実施

国名 3教育投資
韓国 【概況】
5カ年計画の年度別・政策領域別の財政投資額が提示されている。教育予算では、「格差社会の是正及び教育・文化・福祉の増進」への配分が57.5パーセントと最も高い。また、年度別の財源構成が提示されており、5年間平均では国費71.7パーセント、地方財政27パーセント、民間負担1.3パーセントになっている。

【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】


【国と地方の財政比率】
(中央政府)1パーセント:(州・県に相当する地域政府)30パーセント:(市町村に相当する地方政府)69パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

国名 計画名・計画期間 1計画の背景、教育に関する国の統治システム 2計画の対象、主要施策、数値目標
フィンランド 【計画名】
教育・研究振興 5か年計画Education and Research2003〜2008)

【計画期間】
2003〜2008年

【所管】
教育省
【計画の背景】
  • 移民流入による社会構造の変化、少子高齢化にともなう労働人口の変化、地域格差、グローバル化など、社会経済的環境が変化。
  • こうした環境変化に対応した教育制度を整備し、かつ、「国民がすべての段階の教育を安心して受けられること」を目標に、本計画が策定された。
【統治システム】
中央政府が教育計画を立案し、各分野の基準にしたがって予算を配分する。各教育機関や訓練機関は施策を実施し、評価を行う。国全体の教育の評価は教育評価審議会が行い、高等教育については、高等教育評価審議会が行う。
【計画の対象】
教育の機会均等の方針に基づき、就学前教育、初等中等教育、高等教育、生涯学習、教育基盤整備に関わる分野を網羅。

【主要施策】
教育制度、子供や若者への支援・指導、成人の教育・訓練機会を一層充実させることが重点分野である。各教育段階・分野について施策があり、主たる施策は以下のとおり。
  1. 初等中等教育…上級中等教育(普通教育)と職業教育学校との協力推進、職業教育・訓練の水準の向上、カウンセリングや補習教育などを通じたドロップアウトの減少
  2. 高等教育…教育省、大学およびポリテクニクの三者による異なる分野の単位互換制度の調整促進、大学の研究成果の社会や地域における有効活用、大学法の改正、新学位体系の導入
  3. 生涯学習…訓練水準の低い成人者に対する中等教育レベルの資格取得のための学習機会の提供、勤労成人などの成人者を対象にした大学学位取得の機会の拡大
  4. 教育基盤整備…将来の教員減に備えた教員養成、移民子女の後期中等教育への進学支援
【数値目標】
  • 教育段階別の入学者数の2008年における目標値(かっこ内は2002年)後期中等普通教育…5.6万人かっこ5.4万人)、職業訓練…11.3万人かっこ10.5万人)、ポリテクニク…5.9万人かっこ4.5万人)、大学…12.2万人かっこ11.0万人)成人教育…2.4万人かっこ2.1万人)
  • 各教育段階における施策の目標値
  1. 中等教育…25〜29歳の青年層で最低中等教育レベルの資格を有するものを、2015年までに現在の85パーセントから少なくとも90パーセントに増加させる。
  2. 高等教育…2008年までにポリテクニクの定員(新入生)の25パーセント、大学の定員(新入生)の2〜3パーセントを職業過程コース履修の生徒に割り当てる、30〜34歳の年齢層の高等教育修了率を現在の40パーセントから2015年満までに最低50パーセントに増加させる、ポリテクニクおよび大学生について、それぞれ毎年8,000人および6,000人に海外で学ぶ機会を与える、大学入学者の75パーセントが標準的な修学期間で修士レベルを取得することを目指す、博士課程入学者を1,600人増加させる
  3. 生涯教育…すべての成人に年間1〜2週間の教育・訓練機会を保障、さらに10〜15年に一度6ヵ月間の教育・訓練機会を保障

国名 3教育投資
フィンランド 【概況】
中央政府の教育支出は2005年に62億ドルから年々増加傾向にあり、2007年には66億ドルとなった。最も直近のGDP比(2005年)は3.9パーセントであった。一方、中央政府に地方当局や学生への金融支援などを加えたフィンランド全体の教育支出は、2004年に97億ドルでありGDPに占める割合は6.5パーセントであった。教育省の予算は国家予算の16パーセントを占め、99年から2003年までに130億ユーロ増加。予算額が最も大きいのは一般教育、次いで大学教育・研究、奨学金、職業教育と続く。2006年に前年比伸び率が11パーセントと著しく高かったのが職業教育で、重点分野となっている。

【教育予算総額ならびにGDP比率の推移】


【国と地方の財政比率】
(中央政府)9パーセント:(市町村に相当する地方政府)91パーセント
(出典)文部科学省「教育指標の国際比較」平成19年版

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