大学分科会において審議をお願いしたい項目について

 平成20年の諮問「中長期的な大学教育の在り方について」に関する検討に当たっては,これまでの審議経過を踏まえ,特に,以下の観点に重点を置いていただくようお願いいたします。

1.教育の質の保証・向上の推進方策について

(1) 大学教育の質保証・向上に関し,これまでの取組を踏まえた更なる推進方策

(2) 上記に関連して,各大学の取組を支援する仕組み

(3) 公的な質保証システムに関し,設置基準,設置認可審査及び認証評価の改善

2.大学の機能別の分化や連携に関する推進方策について

(1) 学生・社会からの多様なニーズに対応するため,各大学が,そのミッション(使命)を明確化しながら機能別に分化・連携することに関する政策の方向性

(2) 各大学のミッション(使命)を明確化する観点から,各大学が重視する役割・機能等を積極的に発信するための方策(大学のプロファイルの可視化)

(3) 各大学のミッション(使命)を明確化する観点から,各大学が重視する役割・機能に着目した評価や支援の在り方(各大学が,多様な役割・機能を持ち,また,それが時代や環境に応じて可変的であることを踏まえた対応)

(4) 大学の様々な機能に関する連携を促進する方策の在り方

3.大学の組織・経営基盤の強化について

(1) 各大学の組織基盤の強化の在り方

(2) 各大学の将来の方向性を見据えた経営基盤の強化と,その支援の在り方

大学分科会において審議をお願いしたい項目について

1.教育の質の保証・向上の推進方策について

(1) 大学教育の質保証・向上に関し,これまでの取組を踏まえた更なる推進方策

    ○ これまでの大学分科会での審議や答申を受けて,各大学では,以下の三つの方針の具体化に関する改革に取り組んでおり,国は,関連する設置基準の改正や,国公私立大学を通じた教育改革支援等を通じて,そうした活動を支援しているところ。それらの成果や課題を踏まえつつ,各大学の主体的な取組を一層促す方策について。

    1. 学位授与の方針(国際的な動向や我が国の実情を踏まえ,学位授与の方針の明確化)
    2. 教育課程の内容・方法の方針(教育課程の体系化と単位制度の実質化,学生の学ぶ意欲を高め学修成果につながる教育方法の工夫,成績評価)
    3. 入学者受入れの方針(入学者選抜,初年次の教育上の配慮,高大連携)

    ○ 各大学が機能別に分化し,また,学問分野別に多様な取組が見られる中で,学生の卒業後の社会的・職業的な自立のための教育について(キャリア教育や職業教育に関する検討,大学教育に関する産学の相互理解を含む)。

    ○ これらに関連して,大学教育におけるグローバル化の進展について(大学教育を通じた学修成果,教育の内容・方法の充実と,その国際的な発信を含む。)

(2) 上記に関連して,各大学の取組を支援する仕組み

    ○ 個々の教職員の努力とともに,教職員の組織的な活動を通じて質保証・向上を果たすためのFD・SDについて。
    ○ 大学の活動を支援する法人など,全国的観点から,高い専門性に基づいて各大学の活動を支援する枠組みについて。
    ○ 国公私立を通じた大学改革支援の在り方について。その際,支援事業の目的と,支援対象大学の教育目標の一層の明確化とともに,支援終了後の定着と,その成果の学内外への発信と普及について。

(3) 公的な質保証システムに関し,設置基準,設置認可審査及び認証評価の改善

    ○ 各大学における教育の質保証を制度的に担保する仕組みとして,設置基準,設置認可,認証評価が設けられており,これまでに随時その改善がなされている。第5期までの論点整理を踏まえ,これらの公的な質保証システムの改善について。

    • 設置基準 (施設・設備の基準の明確化,専門職大学院の質保証 等)
    • 設置認可審査 (学生確保の見通しを踏まえた審査 等)
    • 認証評価 (評価の内容・方法の改善,国際的な対応 等)

2.大学の機能別の分化や連携に関する推進方策について

(1) 学生・社会からの多様なニーズに対応するため,各大学が,そのミッション(使命)を明確化しながら機能別に分化・連携することに関する政策の方向性

    ○ 大学に対する学生・社会からのニーズは,グローバル,ナショナル,ローカルの各段階において多岐にわたるが,各大学は,大学としての役割・機能のうち,自らの“強み”となるものに重点化することで,それぞれのミッション(使命)を果たしている。あわせて,多くの大学において,それぞれの“強み”を生かしながら,機能別に連携する取組が進展している。
     このように,各大学が,ミッション(使命)を明確化しながら,機能別に分化し,また,連携に取り組むことは,我が国の大学が,資源を有効に活用しながら,全体として質の高い教育研究を実現する上で重要であり,そうした活動の更なる推進のための政策の方向性について。

(参考)平成17年の答申「我が国の高等教育の将来像」では,大学は,

    ○世界的研究・教育拠点,
    ○高度専門職業人養成,
    ○幅広い職業人養成,
    ○総合的教養教育,
    ○特定の専門的分野(芸術,体育等)の教育・研究,
    ○地域の生涯学習機会の拠点,
    ○社会貢献(地域貢献,産学官連携,国際交流等),

等の各種の機能を併有しており,これらの機能の比重の置き方の違いに基づいて分化することを想定した。
 この機能別分化の考え方は,大学が七つに種別化されることを意味するものではなく,大学の個性・特色が,教育研究活動として具体化される際には,極めて多彩なものとして表現される。
 現在までに,こうした方向性を踏まえた仕組みが整備されている(例:国公私立を通じた大学改革支援,国立大学の組織・業務全般の見直しに関する要請,私学助成の特別補助での取扱い)。

(2) 各大学のミッション(使命)を明確化する観点から,各大学が重視する役割・機能等を積極的に発信するための方策(大学のプロファイルの可視化)

    ○ 各大学は,学問分野ごとに人材養成等の教育研究目的を公表しており,平成23年4月には,それらを含め,教育情報の公表を促進するための学校教育法施行規則の改正が施行される。そうした状況も踏まえつつ,各大学のミッション(使命)を明確化する観点から,各大学が重視する役割・機能や教育研究活動等の状況を積極的に発信するための方策について(大学のプロファイルの可視化)。
    ○ その際,大学が,自らのミッション(使命)を果たすため,どのような役割・機能に重点を置いているか,その結果として,個性・特色が,教育研究活動等としてどう具体化されているか分かりやすく示す仕組みについて。
    ○ 各大学の状況を海外に発信する工夫について。

(3) 各大学のミッション(使命)を明確化する観点から,各大学が重視する役割・機能に着目した評価や支援の在り方(各大学が,多様な役割・機能を持ち,また,それが時代や環境に応じて可変的であることを踏まえた対応)

    ○ 認証評価や国立大学法人評価等の様々な評価があることを踏まえ,評価制度全体の調和を図り,また,大学・評価機関の業務負担も踏まえた検討について。
    ○ 機能別分化の考え方は,大学が七つに種別化されることを意味するものではなく,大学の個性・特色が,教育研究活動として具体化される際には,極めて多彩なものとして表現されるものであり,機能別の評価に当たっては,「将来像答申」の七つの機能に限らずに検討することについて。
    ○ 機能別の評価の導入に際しては,たとえ類似の機能に重点を置いた大学でも,具体的な教育研究活動としては大きく異なるものとして表現されることが想定され,そのような各大学の個性・特色を十分踏まえることについて。

(4) 大学の様々な機能に関する連携を促進する方策の在り方

    ○ 国公私立の設置形態を超えた大学間連携を一層促進する方策について(各大学が,それぞれの地域・分野等の状況を踏まえ,機能別の連携を一層進められるようにする枠組み)。
    ○ その際,大学間連携により,地域の人材育成需要に対応した教育を推進することについて(地域の大学群が,地域の産業界や公的セクターとともに教育プログラムを整備し,幅広い年齢・背景を持つ者が,地域で継続的に学修できる機会の提供に向けた取組)。

3.大学の組織・経営基盤の強化について

(1) 各大学の組織基盤の強化の在り方

    ○ 国公私立のそれぞれの設置形態において,大学・法人のガバナンスを強化していくための具体的検討について。
    ○ その際,組織運営の改善に関する国の制度的対応や各大学の取組,国公私立の設置形態ごとの特色等の状況を踏まえた今後の課題について(例:学長を中心とする運営体制,教職員人事,学校法人の理事会と教学組織の関係)。

(2) 各大学の将来の方向性を見据えた経営基盤の強化と,その支援の在り方

    ○ 大学の主体的判断を促す情報提供の仕組みの整備について(例えば,大学を支援する団体が,大学の教学・組織・経営に関する情報を整理・分析し,大学がそうした情報を活用)。
    ○ 各大学への経営相談等の充実について(各大学が,自主的・自律的な機能別分化を通じて,それぞれの有する分野・機能に関し,自立・発展,連携・共同,撤退等の方向性を早期に判断できるよう支援。また,そのための支援体制の整備)。

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