第1 全体的な審議状況について

(1)大学分科会の「第一次報告」及び「第二次報告」

 中央教育審議会大学分科会(以下「分科会」とする。)では,中長期的な大学教育の在り方について審議を進めている。その論点は多岐にわたっており,分科会の下に,複数の部会やワーキンググループ(以下「WG」とする。)等を設け,それぞれが検討を深めている。
 平成21年6月には,それまでの分科会の審議経過を,「中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告」(以下「第一次報告」とする。)に取りまとめた。そこでは,公的な質保証システムの整備,大学教育のグローバル化の進展,大学の量的規模の検討,大学の適正規模を踏まえた自主的な組織の見直しの支援等について論点を整理した。
 また,同年8月には,「第一次報告」以後の審議経過を,「中長期的な大学教育の在り方に関する第二次報告」(以下「第二次報告」とする。)に取りまとめた。そこでは,公的な質保証システムの検討を深めるとともに,社会的・職業的自立に関する指導等,大学院教育の充実,学生の経済的支援等の論点を整理した。

(2)平成21年8月以降の審議状況

平成21年8月以降,分科会の審議は以下のように行われた。
平成21年
8月4日(第82回)
・各部会等からの報告に基づく審議
8月26日(第83回)
・認証評価機関の認証について答申
・「第二次報告」の取りまとめ
10月6日(第84回)
・大学設置基準の改正について諮問・答申
11月18日(第85回)
・認証評価機関の認証について諮問
・法科大学院に関する審議状況の報告
平成22年
1月29日(第86回)
・大学設置基準の改正について諮問
・法科大学院に関する設置基準と認証評価の評価基準の省令改正について諮問

 分科会は,学校教育法第94条により,大学設置基準等の改正について審議することを任務の一つとしている。第84回分科会では,地域の医師確保等に早急に対応するよう,大学設置基準を改正し,医学教育の定員増のための専任教員数と校舎面積の規定を整備することを答申した。また,第86回分科会では,社会的・職業的自立に関する指導等を大学設置基準等に位置づける改正について答申した(その内容は「第2」の「1」を参照)。

(3)「認証評価機関の認証に関する審査委員会」及び「法科大学院特別委員会」の審議

 学校教育法第112条により,認証評価機関を認証するための審査や,認証評価の評価項目に関する文部科学省令の改正の審議も,分科会の任務とされている。そこで,「認証評価機関の認証に関する審査委員会」での専門的な審査を経て,第83回分科会では,新たな認証評価機関の追加(短期大学の機関別認証評価と,臨床心理分野の専門職大学院の認証評価)を答申した。第85回分科会では,専門職大学院に関する認証評価機関を新たに認証するための諮問を受けており,現在,同委員会が審査している。
 法科大学院については,「法科大学院特別委員会」が集中的に審議を行っており,第85回分科会で,その状況が報告された。同委員会での更なる審議に基づき,第86回分科会では,法学未修者の学修の充実に係る専門職大学院設置基準の改正と,認証評価の評価項目の追加等のための文部科学省令の改正を答申した。

(4)各部会及びWGの審議

 上記のほかに,各部会及びWGが,それぞれ所掌する内容を審議,検討している。
 次ページ以降では,平成21年8月から平成22年1月までの各部会及びWGの審議経過の概要を整理し,分科会の審議状況を俯瞰できるようにした。個々のテーマの記述では,現状等を述べた上で,囲みの枠内に提言や検討課題を表記した。
 各部会及びWGが扱っている内容は,公的な質保証,大学院教育の充実,大学の規模や経営,行財政等のように,相互に関連しており,分科会としての全体的な議論を要するものが多い。今後,分科会として各界の幅広い意見もいただきながらこれらの課題を検討していきたい。
 「第一次報告」及び「第二次報告」に関連して,以下の2つを付言する。
 これまでの2つの報告での提言も踏まえ,平成22年度政府予算案には,大学教育の充実と質保証,大学生の就業力育成支援(社会的・職業的自立に関する指導等への対応),奨学金の充実(貸与人員の増),多様な人材をはぐくむ私立大学への支援  (経常費補助の拡充のほか,自主的に経営改善に取り組む大学の支援  等)等に関する予算措置が計上されている。
 また,「第一次報告」の提言を踏まえ,学校教育法施行規則が改正され,大学教育や学生支援のための全国共同利用拠点制度が創設されている(内容は「第4」を参照)。

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