学校教育法の改正の方向性(高等教育関係)に対する意見

平成19年2月27日
日本私立大学団体連合会

(1)学校種の目的及び目標の見直し等関係

  1. 大学に関する事項について:改正教育基本法第7条の条文を、学校教育法第52条に反映させることには異存がない。しかし、学校教育法は、教育基本法という上位規程を受けて定められる、いわば中位規程であるので、教育基本法の文言を繰り返すのではなく、教育基本法第7条の趣旨をさらに具現化することでなければ無意味である。例えば、社会への情報提供、社会活動への参加、社会との教育研究の連携なども明記すべきと思われる。
  2. 高等専門学校に関する事項:上記と同様の意見である。
    その他関連事項:短期大学も視野に入れ、現行学校教育法第69条の2についても、第62条と併せて適切な改正を行う必要があると思われる。

(2)学校の評価及び情報提供関係

 現行学校教育法第69条の3において、諸種の点検・評価と結果の公表が規定されているが、公表の対象について特段の定めはない。いわゆるステークホルダーに対する公表義務は、現行法でも類推解釈することはできるが、法律の文言で規定することは大学のアカウンタビリティーを明確にする上で不可欠と思われる。私立大学として、本案件に反対する理由はない。

(3)大学等の履修証明制度の創設関係

 本案件に関しては具体的な意図と実行方法が不分明であり、その目的、制度設計、運用方法などが詳らかにならない限り、賛同することはできない。すなわち、大学分科会資料においてこれがあくまで「履修証明制度」とあり、また大学の「教育課程」とあって、現行の学位授与規定、そして単位認定基準との関わりが問題になる。したがって、その波及するところについて疑念をもたざるを得ない。
 公開講座、エクステンション講座等として大学が開講する、学籍を有しない社会人等を対象とした授業は、大学の教育課程外のものであり、その履修証明については、証明証を即時交付するか否かにかかわらず、すでに各大学で行われている。本案件には、再チャレンジを国家認証に基づいて容易にしようとする意図があると思われるが、この種の社会活動は本来各大学あるいは認証団体などの責任と信用の下に行われるべきものであろう。
 また本案件は、近年とみに厳正化が叫ばれている課程教育とは本質的に趣を異にしている。大学は大学設置基準に基づき、総合的な人間育成カリキュラムを構築して教育課程を定め、同様に設置基準に基づいて学生に単位を付与している。このような、大学の教育課程の充実の方向に反するものと感じられる。学籍を持たない者に対して教育課程を提供し、かつ履修証明を出すとすれば、正規学生の存在理由が問われることとなろう。また、現行の科目等履修生、聴講生、あるいは各大学で定める研究生の位置付けと深刻な齟齬が生じることを危惧するものである。本案件のみにとどまらず、国家百年の計である教育については、長期的視野と具体的施策を分明にして意見聴取を行われることを望みたい。

以上

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