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3.講座制・学科目制等の教員組織の職の在り方について

1.現状と課題
 
 講座制は、大学内の教育研究の責任体制を確立し、教授の各専攻分野における責任を明確にして当該分野における教育研究を深く極めることなどを目的として導入されたものであり、学科目制は講座制を採らない学部の内部組織を明確にするために導入されたものである。

 大学が組織的に教育研究を行っていくためには、各教員の役割分担と連携の体制を確保するとともに、責任の所在を明確化することが不可欠であり、講座制や学科目制は、かかる趣旨を実現する役割を担ってきたものである。
 しかし、特に、国立大学においては、講座制や学科目制が、国の行財政上の仕組みによる制約と相俟って、人事、予算、教学面等の様々な側面において硬直的・閉鎖的な運用を招き、教育研究の進展等に応じた柔軟な組織編制や、各大学の自主的・自律的な取組みを阻害しているとの指摘がなされてきた。
 このため、平成13年には、大学設置基準の改正により、講座制や学科目制以外の教員組織を編成することも可能となった。

 今日、私立大学では、一部を除き、講座制や学科目制以外の教員組織が設けられている例が多く、国立大学においても、従来の講座制・学科目制とは異なった多様な教員組織となってきている。
 しかし、一部には、依然として、講座制・学科目制について、硬直的・閉鎖的な運用に陥っている例も見られ、平成13年の制度改正の趣旨が十分浸透していないとの指摘がなされている。
 このため、今後、各大学等が個性化・特色化を図っていくためには、平成13年の制度改正の趣旨を改めて徹底することが必要である。

 一方、現在、各大学においては、全学的な教養教育の実施、シラバスの作成、学生による授業評価、FD等、大学等全体としての取組みが進められている。
 このような大学全体として取組みを効果的に推進するためには、各大学において、それぞれの目的・理念に基づいて、全学的に、各教員の分担と連携の体制が確保されることが必要である。
 また、学生や学外に対して、各大学において教育上の責任の所在を明確に示すことも説明責任の観点から不可欠である。

 前述のように、「新職」や准教授を設け、教育研究を主たる職務とするとしても、大学、学部等には、組織として方針等を定め、その方針等に従って、役割を分担し、連携の下で行わなければならない事務が存在し、このような事務の遂行に支障が生じないようにすることが必要である。

2.講座制・学科目制に代わる規定の新設
 
 現在の大学設置基準では、講座制又は学科目制を原則とするような趣旨の規定となっており、講座制又は学科目制について詳細に定めている。
 このため、平成13年の大学設置基準等の改正の趣旨である柔軟かつ機動的な教育研究の展開を実現することや、今日の教員組織の多様化の趨勢への対応等の観点からは、これらの規定を削除することが適切である。

 大学設置基準等上には、教員組織の基本となる一般的な在り方として、
 
 教育研究上の目的を達成するため、必要な教員を置くこととし、主たる授業科目は原則として教授、准教授が担当すべきであること
 大学は、教員組織の編制に当たり、それぞれの教育研究上の目的を達成するために、教授、准教授、「新職」等のすべての教員について、分担及び連携の組織的な体制が確保され、かつ、責任の所在が明確であるよう配慮すること
  のみを定めることとし、具体的な教員組織の編制の在り方については、各大学が自由に設計できるようにすべきである。

 なお、講座制や学科目制に関する規定を削除するとしても、このことは、講座制や学科目制を採ることを否定するものではない。一部に見られる講座制等の硬直的・閉鎖的な運用は改めるべきであるが、各大学において、自らの方針や分野の実情等を踏まえて、十分に検討した結果、教育研究の活性化や若手教員の養成に最も資するものであり、社会的にも責任体制が十分説明できると判断した場合には、引き続き講座制や学科目制を採用することもありうると考えられる。

 また、事後の認証評価に当たって、講座制・学科目制に代わる新たな規定に基づいて、各大学が、各大学、学部等の教育研究上の目的を達成する上で、適切な教員組織が編制されているかどうかについて評価することが不可欠であると考えられる。


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