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講座制は、大学内の教育研究の責任体制を確立し、教授の各専攻分野における責任を明確にして当該分野における教育研究を深く極めることなどを目的として導入されたものであり、学科目制は講座制を採らない学部の内部組織を明確にするために導入されたものである。
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大学が組織的に教育研究を行っていくためには、各教員の役割分担と連携の体制を確保するとともに、責任の所在を明確化することが不可欠であり、講座制や学科目制は、かかる趣旨を実現する役割を担ってきたものである。
しかし、特に、国立大学においては、講座制や学科目制が、国の行財政上の仕組みによる制約と相俟って、人事、予算、教学面等の様々な側面において硬直的・閉鎖的な運用を招き、教育研究の進展等に応じた柔軟な組織編制や、各大学の自主的・自律的な取組みを阻害しているとの指摘がなされてきた。
このため、平成13年には、大学設置基準の改正により、講座制や学科目制以外の教員組織を編成することも可能となった。
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今日、私立大学では、一部を除き、講座制や学科目制以外の教員組織が設けられている例が多く、国立大学においても、従来の講座制・学科目制とは異なった多様な教員組織となってきている。
しかし、一部には、依然として、講座制・学科目制について、硬直的・閉鎖的な運用に陥っている例も見られ、平成13年の制度改正の趣旨が十分浸透していないとの指摘がなされている。
このため、今後、各大学等が個性化・特色化を図っていくためには、平成13年の制度改正の趣旨を改めて徹底することが必要である。
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一方、現在、各大学においては、全学的な教養教育の実施、シラバスの作成、学生による授業評価、FD等、大学等全体としての取組みが進められている。
このような大学全体として取組みを効果的に推進するためには、各大学において、それぞれの目的・理念に基づいて、全学的に、各教員の分担と連携の体制が確保されることが必要である。
また、学生や学外に対して、各大学において教育上の責任の所在を明確に示すことも説明責任の観点から不可欠である。
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前述のように、「新職」や准教授を設け、教育研究を主たる職務とするとしても、大学、学部等には、組織として方針等を定め、その方針等に従って、役割を分担し、連携の下で行わなければならない事務が存在し、このような事務の遂行に支障が生じないようにすることが必要である。
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