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資料 2

パートタイム学生に関する主な論点

課題
     現在、大学においては、学生が多様な履修形態で学位を取得できるよう、昼夜開講制や夜間大学が開設されているが、これらは4年間フルタイムで学び修了する課程となっている(夜間大学の場合には4年以上の課程を設けることも可能)。
   一方、パートタイム的に学び単位を修得できる制度として科目等履修生制度があるが、この場合は、たとえ卒業に必要な単位を修得したとしても、学位を取得することはできない。
   このような中、大学における社会人の学習需要は一層拡大しており、職業等を有しながら、個人の事情に合ったペースで学び学位を取得できるシステムを導入することが求められている。 
   
  <参考>
大学審議会答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」(H12.11.22)−抜粋−

(パートタイム学生の受入れの検討)
   今後、我が国の大学が生涯学習機関として社会人の受入れを積極的に推進するに当たり、正規の学生としてパートタイム学生を受け入れられるようにすることには、大きな意義があると考えられる。
   パートタイム学生の受入れを具体的に推進するに当たっては、フルタイム学生の学修の在り方を明確にした上で、大学に在学することが可能な期間や、一年間あるいは一学期中に履修し修得することが可能な単位数の設定など、パートタイム学生の学修の在り方を検討することが必要である。また、パートタイム学生に提供する教育の質を確保するとともに、学生の学修上の便宜に配慮する観点から、収容定員、授業料等の在り方などについて、検討する必要がある。もとより、これは単に修学形態の区分であり、大学による効率的な教育提供を阻害したり、フルタイム学生とパートタイム学生とが共に学ぶことによって豊かな人間形成が図られるという長所を損なったりすることのないよう留意しなければならない。また、地域に密着して生涯学習機会を積極的に提供することが期待されている短期高等教育機関や、社会人の専門的な知識・技術の向上等に大きな役割を果たすことが期待される大学院においては、特に、パートタイム学生の受入れを検討する必要がある。
   
方向
     社会人がパートタイム的に学びながら学位を取得できるよう、大学において正規学生としてパートタイム学生を受入れられるようにすることが必要ではないか。
   
論点
  1.パートタイム学生の定義
2.パートタイム学生受入れにあたっての配慮事項
 
【1.パートタイム学生の定義】
   どのような形態で履修する者をパートタイム学生として扱うここととするか。
  【論点例】(*主に学部を例として論点例を整理している。)
   
1−1   学生の身分
     正規の学生で、大学の定める単位を修得して卒業(=学位を取得)する者としてよいか。
   
1−2   在学年限
     入学時点で4年を超えて在学することがあらかじめ予定され、それが大学に認められた上で在学することとしてよいか。
   大学に在学する年数は、学生の希望に応じ、大学の判断で定めることとしてよいか。
  <参考>
◆留年者について
   留年者は、4年で卒業することがあらかじめ予定されており、4年を超えて在学することが大学に認められた上で在学する者ではないながら、在学中に生じた何らかの個人的事情で、結果として4年を超えて在学することになった者である。
   
1−3   年間修得単位数
     大学の定める範囲内で、学生が決定することとしてよいか。(ただし、在学年限内にすべての単位が修得できるように設定することが必要。)
  <参考>
◆履修科目の登録の上限を定めることについての努力義務
(大学設置基準)
第27条の2   大学は、学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するため、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、学生が1年間又は1学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならない。

◆履修イメージ
フルタイム学生
   4年間在学し124単位以上取得。
   1年間で約30単位程度取得。1コマ4単位とすれば週8コマ程度の授業に出席。
パートタイム学生
   4年を超えて在学し124単位以上取得。
   1年間で30単位以下取得。1コマ4単位とすれば、週に数コマ程度の授業に出席。 (場合によっては一定期間授業に出席しない。)
   
1−4   教育課程
     パートタイム学生は、パートタイム学生を対象とする4年を超える年限の教育課程を履修するのではなく、(すなわち、大学側がパートタイム学生専用の教育課程を提供するのではなく)、フルタイム学生が履修するのと同じ4年の修業年限の課程を、学生個人の都合で4年を超える期間をかけて履修するものと考えてよいか。
   
【2.パートタイム学生受入れに当たっての配慮事項】
   パートタイム学生を受け入れるに当たってどのような配慮が必要と考えられるか。
  【論点例】
   
2−1   パートタイム学生を受け入れる学校種
     短期大学、大学(学部)、大学院修士課程、大学院博士課程について、それぞれパートタイム学生受入れの適否についてどう考えるか。
   なお、平成10年の大学審議会答申においては、大学院修士課程に長期在学コースを導入するにあたって、パートタイム修学について、「履修する授業科目及び研究指導の系統性の確保の困難などを考慮すると、あらかじめ期間を定めないという在り方は必ずしも適切なものとは考えられない。したがって、あらかじめ在学期間を定める長期在学コースと同種のものととらえることが適当である」と提言している。
   
2−2   入学定員及び収容定員
     入学定員や収容定員におけるパートタイム学生の算定方法についてはどのように考えるべきか。
   
2−3   教員数、施設
     パートタイム学生を受け入れるにあたって、教員数や施設(校舎面積)の増加の必要性についてはどのように考えるべきか。
   
2−4   授業料
     パートタイム学生はあらかじめ認められて4年を超えて在学する者であるとする場合(1−2参照)、留年者のように在学中の個人的事情で修業年限を超えて在学する者とは区別して、授業料の算定上何らかの措置を講じることについて、どのように考えるべきか。
   
2−5   私学助成
     私学助成の算定上、パートタイム学生を受け入れることが大学等にとって不利とならないような措置を講ずることについて、どのように考えるべきか。

<補足>
修業年限について
修業年限とは、一般的には、「学校の定める教育課程のすべてを修了するのに必要と定められた年限」とされている。
   
  修業年限が定められていることに伴い、次の法的効果が生じる。
1学校は、修業年限に応じて教育課程を編成しなければならない。
2学生は、学校の教育課程を修業年限の期間以上在学して履修しなければならない。

したがって、大学が4年を超える在学年数に応じた教育課程(いわゆる長期在学コース)を編成する場合には、修業年限を4年以上と変更することが必要である。しかしながら、大学の編成する教育課程はあくまで4年間のコースで、学生個人の判断で4年を超えて在学する場合には、修業年限を変更する必要はない。


<参考>
米国のパートタイム学生の特徴
〜第2回制度部会 舘委員の報告資料より〜
パートタイム学生

・単位取得のための学費負担(load)がフルタイムの単位修得学習負担の75%未満の高等教育の課程の学生

(国立教育統計センター)


パートタイム学習

・15(16)単位の75%、12単位未満
・仕事や家事負担がある者に許される
・通常の連邦給費奨学金は受けられない
・授業料免除を受けられる場合がある
・雇用主などが負担する場合が多い
・過去の学習(2年制卒、中退、経験学習)での単位をもって出発する者が多い
・夏季学期にも学習する者が多い


パートタイムの授業料

・フルタイムの場合でも、多くの大学が、授業科目ごとに、単位数や科目の種類・レベルに応じて授業料を課している
・一括徴収の場合でも、標準を越えた場合は追加徴収をするし、パートタイムの場合は、履修の量に応じた徴収をする


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