質保証システム部会(第13回) 議事録

1.日時

令和4年2月16日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

(1)質保証システムの見直しについて
(2)その他

4.出席者

委員

(部会長)吉岡知哉部会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)永田恭介委員
(臨時委員)浅田尚紀,飯吉透,大森昭生,川嶋太津夫,小林浩,杉谷祐美子,瀧澤美奈子,谷本和子,曄道佳明,長谷川知子,濱中淳子,林隆之,古沢由紀子,前田早苗,宮内孝久,吉見俊哉,米澤彰純の各委員

文部科学省

(事務局)森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),西田高等教育企画課長,柿澤高等教育政策室長,一色大学振興課課長補佐,大塚専門教育課課長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐,竹花大学設置室室長補佐ほか

5.議事録

【吉岡部会長】  所定の時刻になりましたので,第13回質保証システム部会を開催いたします。ビデオをオンにしていただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
 御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。本日は新型コロナウイルス感染症対策のため,ZoomによるWEB会議として開催し,その様子をYouTubeライブ配信にて公開いたします。会議資料,それから,こちらからの音声等,届いていますでしょうか。何かありましたら,御連絡いただければと思います。
 それでは,議事に入る前に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【柿澤高等教育政策室長】  本日はWEB会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は挙手マークのボタンを押していただき,部会長から指名されましたら,名前をおっしゃってから御発言いただきたいこと,また,御発言後は再度挙手マークのボタンを押して,表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますとありがたく存じます。不都合が生じることもあろうかと存じますが,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また,会議資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前にメールでお送りしているところでございます。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  よろしいでしょうか。それでは,議事に入りたいと思います。
 前回の部会の後,作業チームを2月3日に開催いたしました。それから2月9日に,大学分科会でも本部会における審議状況を中間報告いたしました。作業チームで議論した内容を審議まとめ素案としてまとめてまいりましたので,本日はこちらを基に議論いただきたいと思います。
 本部会としては,年度内に審議まとめを行う予定です。本部会の取りまとめるイメージとしては,おおよそ,この後説明する素案のような形で,設置基準をはじめとする質保証システムの改善・充実の方向性を示すものとなります。
 そして,具体的な設置基準の条文案や各種制度設計については,本部会の審議まとめを踏まえ,文部科学省において作業が行われ,大学分科会に諮問等が行われる。そういう手順になりますので,その認識を共有いただければと思います。
 作業チームを代表いたしまして,資料1に即して,質保証システムの改善・充実について御説明いたします。この後,ほかの作業チーム委員からも補足等ございましたら,御意見いただきたいと思います。
 
 それでは,資料1-1と1-2を御覧いただけますでしょうか。
 資料1-1が概要になっております。今申しましたように,大学分科会では令和2年7月より質保証システムの見直しに係る議論を進めてまいりまして,1月の第12回部会に作業チームでの検討状況を報告いたしました。その後,作業チームで検討を深めつつ,先ほど言いましたけれども,2月9日に大学分科会にも審議経過を報告したところであります。それらも踏まえまして,作業チームとしてまとめた,質保証システム部会の審議まとめ素案が,今お手元にある資料1-1と1-2でございます。
 資料1-1の方が全体の概要となっております。一番上の四角囲みのところを御覧ください。全体図を簡単に御説明いたします。大学設置基準,大学設置認可審査,認証評価,情報公表という我が国の公的な質保証システムは,事前規制型と事後チェック型,それぞれの長所を併せ持つように設計されており,一定程度機能しているということ。しかしながら,いわゆる3ポリシーに基づく教育の実質化を進める必要があるという指摘や,グローバル化やデジタル技術の進展に対応する必要があるという指摘,また,新型コロナウイルス感染拡大を契機とした,遠隔教育の普及・発展を踏まえた対応を行う必要があるとの指摘があります。
 これらを踏まえて,大学における国際通用性のある教育研究の質を保証するため,質保証システムについて,一つは共通となる最低限の水準を厳格に担保しつつ,もう一つ,2として,大学教育の多様性・先導性を向上させる方向で改善・充実を図っていくことが求められている。この点を共通認識として議論を行ってまいりました。
 その上で,質保証システムで保証すべき質とは,学校教育法の規定に照らすと,教育研究の質であり,学生の学びの質と水準とともに,教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現する観点からは,持続的に優れた研究成果が創出されるような研究環境の整備や充実等についても,一定程度確認する必要があるということを確認しております。
 そして,改善・充実の方向性として,1として学修者本位の大学教育の実現と,2,社会に開かれた質保証の実現,この二つを検討方針とするとともに,各質保証システムの改善・充実を検討していく際の視座として四つの視座,1,客観性の確保,2,透明性の向上,3,先導性・先進性の確保(柔軟性の向上),4,厳格性の担保,この四つを設定して検討を行ってまいりました。
 具体的な各システムの改善・充実の方向性については,資料の下部,(1)大学設置基準・設置認可審査,(2)認証評価制度,(3)情報公表,(4)その他の重要な論点という形で,それぞれ整理をしているところでございます。
 それでは,1月のシステム部会からの主な更新事項を網かけしております,1-2の方の資料を基に説明させていただきますので,御覧いただければと思います。
 
 資料1-2です。まず,審議まとめのタイトルを「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」というふうにしております。また,「はじめに」に入りますけれども,現行の質保証システムに至る経緯の部分については,大学設置基準,設置認可制度,認証評価制度,情報公表が,我が国の公的な質保証システムを構成する主たる要素となっており,これらが今回の改善・充実の議論の対象となるということを記載してあります。
 3ページ目を御覧ください。
 3ページ目から4ページにかけて,前回のシステム部会で吉見委員や飯吉委員,土屋委員の方々から,オンライン教育の重要性及び国としての考え方を示すべきではないかという御指摘があったことを踏まえ,新型コロナウイルス感染拡大を契機とした遠隔教育の普及・進展という項目を,新たに書き起こす形にしてございます。それが3ページから4ページの部分です。この中では,ICTを生かした遠隔教育の最大の利点は,地理的・空間的・時間的制約からの解放であるということ,世界的な人材獲得競争が激しさを増す中,我が国においても遠隔教育等が切り開く可能性を生かした新しい高等教育の姿を構築していくことが求められているということ,学修者本位の視点に立ち,面接か遠隔かの二分法から脱却し,面接と遠隔の双方の良さを最大限に生かした教育の可能性を追求することが重要であること,また,大学は単に知識を習得するためだけの場ではなく,全人格的な教育の場であり,大学における全ての経験がオンライン環境で代替し得るものではないことにも留意が必要であること,遠隔教育の取組はまだ試行錯誤をしながら改善を図っていく段階にあり,今後大学における先進的・先導的な取組が積極的に行われ,その実践の検証や評価を通じて知見を蓄積していくことが求められていること等を指摘してございます。これが,この3ページから4ページの網かけしてある部分でございます。
 5ページから8ページまでが,質保証システムで保証すべき質についての整理です。7ページ目を御覧ください。
 前回のシステム部会における永田委員の御意見も踏まえて,教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現する観点からは,持続的に優れた研究成果が創出されるよう,研究環境の整備や充実等が行われていることについて,例えば設置認可審査や認証評価などの質保証システムにおいて,一定程度確認していくことも検討すべきではないかという旨を追記してございます。
 8ページ目,最後の部分ですが,今回の質保証システムの改善・充実について,現在の大学の多様な在り方も踏まえ,大学における国際通用性のある教育研究の質を保証するため,一つは共通となる最低限の水準を厳格に担保しつつ,一方で大学教育の多様性・先導性を向上させる方向で,改善・充実を図っていくことが求められているということを明記してございます。
 
 少し飛びまして,12ページ目から18ページ目が,かなり具体的な議論に入っております。18ページまでが大学設置基準・設置認可審査の改善・充実についての整理です。12ページ目を御覧ください。これは記載位置を前回から移してきたものですけれども,設置認可審査の仕組みについて,前提を記述してあります。
 13ページ目から14ページ目にかけて,大学分科会において単位制度に係る意見が多く出たということも踏まえて,追記してございます。具体的には,大学教育は国際的に単位制度を標準として構築されており,学士課程を修了するに当たり,おおむね5,400時間程度の総学修量が求められているということ,それから,学期の区分や授業期間,授業回数等についても,現行制度上,各大学の判断で柔軟に行うことは可能であるということ,一方で,ほとんどの大学で2学期制,1授業科目2単位15回と,そういう授業が実施されており,それが慣行化してきたということがありまして,授業科目の細分化が生じている,それが学修の実質化の課題につながっているという指摘もあるということについて,記述してございます。加えまして,施設整備,教育環境等について,通学制の大学はキャンパスを通じて,学生同士や学生と教職員との間の人的な交流が行われることを想定したものであることなど,学修者のための最低限の学習環境を整える基準であることにも留意が必要であるということを追記してございます。14ページの真ん中辺りです。
 それから14ページ以降の四角囲みの中が,具体的な設置基準・設置認可審査の改善・充実の方向性についてであります。
 主立ったものを紹介しますと,15ページ目に専任教員の見直しの具体的なイメージについて,作業チームでの議論を踏まえて書き込んであります。見直しの内容として,専任教員の概念を基幹教員,これは仮称ですが,基幹教員と改め,その定義を教育課程の編成等に責任を負う者であって,一定以上の授業科目を担当する教員,例えば年間8単位以上というような形ですけれども,そういう一定以上の授業科目を担当する教員というふうにして,設置基準上最低限必要な教員の数の算定に当たり,一定以上の授業科目を担当する常勤以外の教員については,一定の範囲,例えば半数までとか,4分の1までというところまで算入を認めるということはどうかと。また,主要授業科目の担当を基幹教員とするということが考えられるかという提案が書いてございます。このことによりまして,一の大学に限り専任教員となるという現行の専任教員の概念を改めて,基幹教員の概念を導入することによって,複数の大学で基幹教員となるということを可能にするとともに,民間からの教員登用が促進されるということが期待できるだろうということです。
 なお,作業チームや,あるいは大学分科会においても,専任教員の見直しによって,教育研究の質の低下が起こらないようにすべきという意見は当然あったわけですが,留意事項といたしまして,教育研究の質の低下を招かないよう,学内及び学外での兼務の際の取扱いや,その際の条件については制度化に当たり留意する必要があるということ,また,大学の教育研究体制等への影響も踏まえ,各大学において基幹教員の情報,例えば学位であるとか,教育研究業績,あるいは経歴等を常時公表し,外部からの検証が受けられるようにするなど,データやエビデンスに基づく分析等が行うことができるようにすることが求められるということを明記しました。
 また,16ページを御覧ください。四つ目の丸です。質保証システム部会での議論を踏まえまして,大学通信教育設置基準について,クラウドでの教材提供やオンデマンドでの映像教材配信など,デジタル時代に対応する観点で一定の見直しを行う必要があるということを明記してございます。また,実務家教員の定義の明確化や,大学名称に関する周知については,従前その他の部分に記載してございましたけれども,設置認可審査の充実に係る内容ということで,こちらの方に記載位置を変更してあります。
 16ページ目の一番下の部分からですが,単位制度の見直しにつきましては,大学分科会における議論も踏まえ,単位当たり時間は標準時間であることの明確化など,単位制度の柔軟な運用を可能とするよう見直しを行うとともに,現行制度下でも,大学の判断で学期の期間や授業期間,科目当たり単位数など,弾力的な教育課程の編成が可能であるということを周知するという旨を追記してございます。
 それで18ページ目です。18ページ目,大学設置基準の特例制度について記してございます。前回の質保証システム部会において,飯吉委員,古沢委員から,特例制度がごく一部の大学に限られたものにならないようにという御意見をいただいております。それを踏まえまして,留意事項として,大学の申請が要件を満たしていれば特例制度の活用が認められるような,要するに意欲ある大学が活用しやすい仕組みにするということが必要であるという旨を明記してございます。加えて,特例措置の効果を検証するためにも,特例を認める期間を定めることも検討すべきこと,また,問題が生じた際の特例取消し等についても措置するとともに,当然のことですけれども,所属する学生にとって不利益のないよう制度設計をすることが必要である旨を明記してあります。また,校舎等施設の見直し,運動場,体育館等の見直しについては,具体的な設置基準の改正イメージがしやすいように,記述を充実した形にしてございます。
 
 続きまして,19ページからを御覧ください。19ページから21ページにかけて,認証評価制度関係の記述になっております。
 19ページ目の下の部分からの,認証評価の見直しの背景の部分について,前回の質保証システム部会で,前田委員から高みを目指す評価機関の取組をという御指摘があったことを踏まえまして,第三者評価を取り入れることで認証評価機関としての質の向上に取り組んでいる機関の例や,大学基準協会の評価結果の公表の取組事例などについて記してございます。また,前回の質保証システム部会で,宮内委員より評価機関と大学が共に成長していく在り方が望ましいという御意見がございましたことを踏まえまして,認証評価について,大学の自己改善のプロセスに伴走し,大学教育と認証評価が一体となって大学全体の質向上につながっていくような在り方が望まれるという旨を明記してございます。
 具体的な改善・充実の方向性といたしましては,21ページ目に,枠の中ですけれども,評価結果について,認証評価機関や評価を受ける大学の多様性に配慮しつつ,国等のホームページにおいて公表してはどうかということ,また,分野別評価の合理化の在り方について,認証評価の実施状況や受審大学の状況も踏まえ,引き続き検討してはどうかということについて追記してございます。
 
 続きまして,22ページからになりますが,25ページまでが情報公表の関係です。最初の部分は大きく変わっておりません。
 25ページ目,大学分科会における議論を踏まえまして,大学ポートレートの見直しに当たっては,大学ポートレートが大学コミュニティによる自律的な運営が行われていることも踏まえる必要があるということを追記してあります。また,情報公表の在り方について,作業チームでの議論も踏まえ,情報公表の対象,情報の読み取り方を併せて明示するなど,公表の際の工夫など,大学による自主的・自律的な情報公表が促進される方策について,引き続き検討することとしています。加えて,大学入試の在り方に関する検討会議提言,これが昨年7月に出ておりますが,これを踏まえまして,学校教育法施行規則に規定する,各大学が情報公表を行うべき項目として,大学入学者選抜に関することを追加することも検討してはどうかということも追記してございます。
 
 めくっていただきまして,26ページから29ページ目にかけて,公的な質保証システムを構成する要素そのものではないのですが,既存制度の周知や運用の改善によって,大学教育の質の向上につなげることが期待できる項目について整理してあります。
 26ページ目は,既存制度の周知や,大学現場での効果的な運用に関するものです。遠隔授業の単位上限については,制度上は大学の運用で相当程度までの遠隔授業の活用が可能であるということ,また,大学が既に授与している学位の種類及び分野を変更しない範囲での新たな学部や学科などの設置・学位プログラムの開設については,認可ではなくて届出による設置が可能であるというようなこと,これらは現行の枠組みで実施可能な事項ですが,これらがかなり多くあるわけですけれども,大学関係者に必ずしも十分に浸透していないケースが見られるという指摘をしてあります。また,前回の質保証システム部会で飯吉委員,古沢委員からも御指摘があったように,ハイブリッド型教育の確立に向けたガイドラインの策定等が求められているということです。それから,これらの趣旨を具体的な改善・充実事項につなげるという形で記載してあります。
 27ページの下の方からですが,最後の部分からです。本部会で集中的に議論いただいた定員管理に関するものです。本部会でも議論いただいたとおり,定員管理の在り方については,教育環境の確保等の観点から,大学の質保証を行う上で重要な論点であります。その点で,28ページにかけてですけれども,一つは大学設置基準における「学科・課程を単位として学部ごとに定める収容定員に基づき管理する」という規定がありますが,この規定,及び,当該規定に基づいて,専任教員数や校地校舎の面積等を審査する設置認可審査上の取扱いと,もう一方,経常費の配分であるとか,設置認可審査の際の定員超過の場合に適用される取扱いといった政策上の取扱いという2点が,二つの観点からの検討が必要であろうということです。
 前者の方につきましては,教育の質の保証という観点からは,定員管理は必要な教育環境の確保を目的としたものであって,引き続き学部学科を単位とした定員管理が必要であろう。一方,後者の経常費の配分とか,設置認可審査の際の定員超過等についてですが,後者については,安定した見通しを持って大学による新たな取組を促す観点からも,定員管理が必要な教育環境を担保するための仕組みであることに留意しつつ,一定程度弾力化していくことも必要であるというふうに整理してございます。
 その上で,大学における社会変化に応じた組織改編等を促す観点から,基盤的経費の配分や,設置認可申請等における定員管理に係る取扱い,後者の部分です,については,大学設置基準が収容定員を基に管理していることと併せて,現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは,収容定員に基づく複数年度の算定へと改めてはどうかというふうに考えている次第です。
 29ページ目,質保証を担う教職員の資質能力の向上という項目を立てました。前回のシステム部会でも,谷本委員,飯吉委員,宮内委員から,事務職員の重要性についての指摘があったところです。それも踏まえまして,学修者本位の大学教育の実現と社会に開かれた質保証の実現により,大学が社会変革の駆動力となっていくためには,大学の経営面や教育研究活動を支える大学運営の専門職である事務職員の果たす役割は,極めて大きいということを明記してあります。また,質保証を実質的に担うのは,学内における内部質保証を担う個々の教職員であり,認証評価機関における評価者であるということから,学内で質保証に関わる職務を担った教職員が,認証評価機関の評価委員等で他の大学の取組等を知るとともに,より深く内部質保証等の考え方を理解し,また,その大学に戻って内部質保証を担う人材となっていくといった,質保証に関わる人材の好循環が生じることが期待されるということを追記してございます。
 
 最後のページを御覧ください。以上が作業チームで議論した上でまとめた審議まとめの素案になっております。30ページの「おわりに」のところに記述してありますけれども,今般の質保証システムの改善・充実については,新設を提言している特例制度に限らず,どのような影響をもたらしているのかについて,データやエビデンスに基づいた適切な評価・検証を行うことが必要であるというふうに考えています。今後,本日の質保証システム部会での議論も踏まえ,年度内に審議まとめをつくり上げたいと思っております。
 なお,質保証システム部会でまとめた議論を受けた,具体的な大学設置基準改正等の制度改正につきましては,来年度,大学分科会に諮問されて,具体的に検討されるということになります。この点も踏まえて御審議いただければと思っております。
 
 よろしいでしょうか。以上が,私からのまとめについての大まかな説明でございます。
 それでは,今御説明いたしましたが,作業チームのメンバーの方が御出席されておりますので,補足をお願いしたいと思っております。ちょっとこちらから,順番に御指名させていただきます。
 まず日比谷委員,御発言いただければと思います。

【日比谷委員】  はい。皆様方からいろいろな御意見をいただきまして,作業チームで非常に多角的な議論をいたしました結果が,先ほど吉岡部会長から取りまとめとして御説明いただいたものです。
 目玉としては,やはりポストコロナといいますか,もう誰も後戻りできないということは,みんなが自覚していることだと思いますが,その中で,これからの教育はどうあるべきかということを真剣に考えまして,オンライン授業のこととかいろいろ書いてありますけれども,そこの部分,それから二つ目は,最後のところに出てきていましたが,教職協働と言われるようになって本当に久しいんですけれども,事務職員という名前自体もどうなのかという議論もしたんですが,やはり高等教育において職員が果たす役割というのは非常に大きいものがありますので,それをしっかり,もっと進めていきたいということと,それからあともう1点は,認証評価機関の国際通用性,これ私大変に重要なことだと思っております。このやり方でいきますと,設置基準等で特例を認めることが,何かある種の目玉になるかと思います。どこに特例,どういうふうにというのはまた詰める必要はありますが,それと同時に,やはり事後チェック,認証評価をしっかりしていくということの重要性がますます増しますので,そのときに,やはり世界的な基準では,アクレディテーションというのは大変に重要なものですので,そこをしっかりさせるということが,今後非常に大きくなっていくかと思います。
 取りあえず以上でございます。後からまた,何かありましたら付け加えます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 続いて,浅田委員,お願いします。

【浅田委員】  浅田でございます。まずは,この大変な審議をまとめていただきまして,ありがとうございます。非常に幅広い議論があったと思いますが,それぞれ重要なことをバランスよく収めるというのは大変だったと思います。吉岡部会長,また事務局の方に感謝申し上げます。
 私から気づいたことといいますと,後ほど説明いただけると思うんですけれども,参考資料1に,現行制度において,各大学の運用等で実施可能の取組例というのが具体的に示されていて,これをまとめていただきましたのは非常にありがたいと思っております。現行制度の中で,大学が工夫すれば実施できることが多々あるということが,法令などを丁寧に読めば分かっていたはずなんですが,なかなか理解が進まなかったところを,今回,資料を出していただけたのはありがたいと思っています。
 それから,今回のまとめでは,特例が大学の進展に使われることになりますが,他にも,設置基準改正という項目が幾つか入っております。これは既にある800近い大学全てに適用されることになりますので,かなり影響の大きい内容なります。例えば,先ほど説明がありました基幹教員や,単位制度のことなどは,かなり幅広い影響を与えていくものになると思います。これらは実質的に緩和する方向の改正になるのですが,それは裏返せば,各大学が自律的に質を保つ,質を向上するという前提のものであるという共通の認識が,広く行き渡らないといけないと思います。
 また,その他には,学生の定員管理の話も入っています。全体としては,社会の流れ,国際的な動向に合わせていくという意味での,大学の改革を促すものだろうと思いますので,この議論が更に進んでいけばいいと思いますが,一方で,質を十分保てなくなるリスクがある部分についてどう手当てをしていくかという,そこの部分は,これからも慎重に見ていく必要があるんだろうと思います。
 私からは以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 大森委員,お願いします。

【大森委員】  ありがとうございます。大森でございます。まとめが大分充実してきたなと思っております。吉岡部会長には本当にありがとうございます。
 今回その概要をおまとめいただいたという,これ非常に分かりやすくなったなとも思っているところです。私としては,細かなところでいうと,オンライン授業の部分で,きちんとディプロマ・ポリシーに照らして,それがその達成に資するものであれば,カリキュラム・ポリシーでちゃんと明記した上でやっていけばいいという,そのDP,つまり達成目標ということに照らして,オンラインがいいのか,そうじゃないのかというのを各大学が判断するという原理原則がきちんと書かれたというところは,非常に大きなところだし,そこは外しちゃいけないなと思ったところです。
 まとめをしていただいてこう見ると,今回の審議まとめというのは,ある意味ちょっとドキドキするというか,かなり前向きにつくられたものだということが改めて分かるかなと思います。改善・充実の方向性,二つの方針と四つの視座の中で,四つの視座のうち厳格性の担保ということと,それから先進性の確保,柔軟性の向上ということがトレードオフだという議論がずっと作業チームでもあったわけですけれども,そこを乗り越える一つの手段としての,まずは第一歩を特例制ということなんですが,このまとめを見てみると,その四つの視座の中で出てきているのが,客観性とか先導性,透明性というところなんですけれども,厳格性というところが認証評価制度のところに出てくるというぐらいでとどまっていて,もともとの設置基準が一定程度の厳格性を持っているということはあると思うんですが,それに対して柔軟性とか,そういった透明性というところが多く書かれているというところに,今回のまとめの意気込みみたいなもの,それから,これからの大学いろいろチャレンジしていかなきゃいけないよねという,その共通の認識というものが現れたんじゃないかなというふうに理解をしているところです。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 それでは,続いて川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  川嶋です。よろしくお願いします。もう既に吉岡部会長,あるいは作業チームの委員の方々が御発言されているので,私からは特に新たに付け加えて述べる点はあまりないのですが,一つは,今回の改善・充実の検討の観点としては,教学マネジメント指針が出されて,これは大学がしっかりと教育の質を保証していくという,そのための指針だったわけです。今回の議論は,大学がこの教学マネジメント指針等にのっとって,自らの責任で教育の質を保証し,学生の学びの水準を高めていくにあたって,そのための大枠としての制度というものについて,もう少し現状に合った方向で変えてはどうかというところから始まったというふうに理解しております。ですから,制度の内容と大学がやるべきことがらを,整合性を持った形になるよう,制度改正していくべきだと思います。
 もう少し具体的な話になりますと,特例措置とか,収容定員とか,関係者にとって非常に関心を呼ぶところはあるかと思いますが,その中でもオンライン教育をどうするかというところが,関係者の大きな関心を集めるかと思います。3ページ以降のところに関係しますが,本日ニュースで,早稲田大学で同時に複数の授業を聴講していて,これは不正行為だということで100人余りが不可になったということが報道されておりました。正にこれは質保証に関わることですので,オンラインによる授業提供をどんどん推進していくということが,先ほど日比谷委員からも御発言ありましたが,もう戻ることはできないにしても,質保証という観点から,大学が何をすべきか,何をすべきでないかということを含めて,今後,より具体的な議論を進めるべきかと思います。
 これは正に単位制度に関わることで,今でも60単位までは学士課程ではオンライン授業だけで単位取得を認められておりまして,参考資料でも明示されているように,更にそれに加えて,残りの64単位の半分ぐらいも対面との組合せでオンライン授業を活用するということができるので,まずは現在のオンライン授業の60単位という制度の中で,質保証を保つ,単位制度をきちんと保証するという方向で,オンライン教育と対面授業をどう組み合わせていくのかということを,制度の議論をしっかりと進めると同時に,各大学でも,質保証の責任主体として,しっかりと議論する方法で進めていくということが非常に重要かと思います。制度というのは,あくまでも枠組み,容れ物なので,そこに魂を入れていくのは,やはり各大学ということになります。そのため,重要なことは,各大学での質保証の取組を,オンライン教育のことも含めて,いかに,推進,支援するということが必要ではないかと,今回議論の中で思った次第です。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 それでは,杉谷委員,お願いします。

【杉谷委員】  杉谷です。よろしくお願いいたします。前回の作業チームの会議から,また一段と細かな点まで留意点を具体的に追加していただきまして,吉岡部会長はじめ事務局の皆様,本当にありがとうございます。
 いろいろと懸念点も踏まえて,留意事項もあるので,全体として非常にまとまりもあって,その思いが伝わるんではないかなと思います。全体としては,質保証システムの見直しということがテーマにあって,ともすると質保証システムをこれまでよりも厳しくとか,厳格にというふうに受け取られがちかもしれません。ところが,これまでの質保証システム部会ないし作業チームの御議論でも,できるだけその大学の現状に合った形で,より発展的な取組ができるようにということで,いろいろな意味で,特例制度をはじめ,ある意味緩和の方向に向かっているという,むしろ大学を応援するようなメッセージ性が含まれた内容になっているかと思います。
 恐らく特例制度が注目はされるかと思うんですが,それ以外に収容定員の問題とか,基幹教員の問題とか触れられているので,そこら辺も大きく関わってくるところだと思います。前回の作業チームの中でも,特に基幹教員のところなど,実際にシミュレーションを幾つかやってみて,質の低下ということにつながらずに,安易に安上がりな教育という方向に流れないようにというふうな御議論もあったかと思います。今後の制度設計でどこまでそうした点が詰められていくのかなと思います。
 基幹教員に関していえば,特に教育課程編成に責任を担うという内容が入っていたかと思うんですけども,作業チームの中でも,例えば教授会,ないし教学関係の会議に参加する等,どういう形でこのことを担保するかということは少し議論に上がっていたかと思うので,今回の審議まとめでは直接触れられることはないかと思うんですが,今後の制度設計の中で,うまく具体化していければというふうに願っております。
 私からは以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  ありがとうございます。もう全体として多くの議論が出ておりますので,それはもう繰り返さないでと思っております。その上で,よくまとめていただいて,私自身も参加して非常に勉強になりました。
 一つの,私自身が今回,今期から参加した委員として改めて感じたことは,今回のまとめに至る経緯で,実際には設置基準の審査,それからアフターケア,それから認証評価の中で,それなりにやっぱり20年,あるいはもっとかけて成熟してきている部分というのは相当にあって,その中で実際に行われていることの連続の上にあるんだなということを改めて感じた次第でございます。
 その上で,やっぱり幾つかまだ,その連続の上で一歩を踏み出すだけに,課題も大きいなというのが本音に近いんですけれども,具体的には17ページの辺りの一番下の留意事項のところは,うまく状況が伝わればいいなというか,意図が伝わればいいなというところを今でも感じているところで,留意事項の最初のところを読むと,大学の申請が要件を満たしていれば特例制度の活用が認められるような,意欲ある大学が活用しやすい仕組みというのは,意欲ある大学というのを何らかの形で誰かが認めていくしかないところがあって,そこで,どのようなものも意欲があるというふうに認めるわけにも当然いかないし,その先に何かが起きてしまってからでは遅い部分,それから,何かが起きたときに,何というか,それがもし良い仕組みであれば,速やかに全体に普及していくような仕組みにするとか,その辺のところについては,まだ実際に制度化を進めていく中で議論しなきゃいけないところはたくさんあるなというふうにも感じております。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。委員の先生方,本当に一緒にやりながら,そういう意味では楽しい会議だったと思っております。
 今,様々な意見が出てまいりました。作業チームのメンバーではない方もお聞きになっていてお分かりかと思いますが,基本的には割と前向きな議論がなされています。すごく大ざっぱに言うと,あまり性悪説になってしまわないように,制度をつくることによって,むしろやはり新しい試みというのをできるだけ進めていくことができるように,なおかつ下支えするといいますか,基本的な部分を支えていくようにということで,悪用しようと思えばできる穴はもしかするとあるかもしれないんですが,全体としては,方向性としては,現在の様々な状況に合わせられる道をかなりフィジブルな形で提示できるようなことを考えてまいりました。ということで,質問のような形がありましたら,またお答えできる範囲でお答えいたします。
 それでは,作業チーム以外の委員の方から,御意見,御発言,御質問あればと思います。いかがでしょうか。
 吉見委員,お願いします。

【吉見委員】  ありがとうございます。今,吉岡部会長からもお話がありましたけれども,とても前向きな全体のまとめと受け止めております。特に,グローバル化やデジタル化という大変大きな波をこれからどう乗り越えていくのかで,一つの指針を示していると感じていますし,また,先ほど日比谷委員からお話がございましたけれども,認証評価の仕組みを国際標準にちゃんと合わせていく,アクレディテーションに合わせていくということは大変重要な課題だと私も思います。
 そういうことを踏まえた上で,2点,質問と要望を述べさせていただきます。一つは,これは目玉の一つになってくると思いますが,基幹教員のところですが,一の大学に限り専任教員となるのではない仕組みをつくっていくことは,大変ポジティブで良いことだと思っております。その時のイメージとして,多分ここで狙っているのは,ある種トップレベルの教員が複数の大学に所属しながら,それぞれでちゃんとした教育のレベルアップをしていくことを可能にするという仕組みだと私は思うし,そこは大賛成なわけですけれども,しかしながら,これとは逆に,大学の中には,若手の非常勤講師クラスの人を基幹教員に全部入れていって,それでそういう若手の負担増というか,あからさまに言えばたくさん授業を担当している事実上は非常勤講師の若者たちにもっといろいろ押しつけちゃうとか,それでST比も何かこう改善したかのように見せるとか,そういうふうに悪用,中身と見せかけを使い分けてこの仕組みを巧妙に使う大学が出てくることを危惧します。そういうふうにされることは,今,私たちが考えている方向とは正反対だと私は思うのです。そうすると,この基幹教員はどういうふうに定義をするんだということを,もうちょっと積極的に踏み込んで明確に示す必要があるのではないかなと感じました。
 それからもう1点は,やはり単位の話です。当然その基幹教員のところで,一の大学にというのではない形をつくっていく,少しいろいろフレキシブルにしていくとすると,単位のところで,ちゃんと質保証していく必要が出てくるわけですね。特にポストコロナでオンライン教育をどんどん広げていくとすると,この単位が非常に重要になってきます。このときに,これはちゃんと13ページの後半から14ページに書かれているんですが,単位制度で最も重要なことは,これは学生の学習時間に対応して単位が決まっているということです。ですから,それは個々の学生の生活時間構造と非常に関係していて,その中で学生の学習時間があって,それに対応して単位が決まっている。この根本的なことが,もっと理解されなければいけないと思うのです。というのは,一般社会はもちろん,大学一般教員の中でも,えてして単位というのは,授業時間だけに対応していると思っている人が圧倒的に多いわけですね。これは,かなり誤解ですね。この間違った前提からすると,学習時間じゃなくて授業の時間だから,何かこう,学生が生活の中で勉学にどう時間を使うのかは関係ないみたいに思っている人が多いことになる。そうではない,単位は学習時間に対応しているんだということが理解されれば,なぜ,学生は複数の授業を同時にオンラインで聞いちゃいけないのか。自分が得る単位とは何かということが,もうちょっと一般社会や教員の中でも理解されるはずなのですが,そこが理解されていないという印象を持っております。その辺り,つまり単位とはそもそもこういうものだということをもうちょっと踏み込んで言っていく必要もあるんじゃないかと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。今,吉見委員がおっしゃったことは,非常に議論になったことでもあります。最初の方の,この基幹教員を入れることによって,どの大学の専任でもないみたいな形で,非常にその負担だけが実は増えて,全てが非常勤みたいになっていくような形で使われてしまうというようなことが,制度をきちんとしないと起こらないわけではない。それから非常に有名な基幹教員が幾つかのところを兼ねて,それによってはほかの人が非常勤化してしまうみたいな,何かそういうような形の悪用がないようにしなければならないということは,議論の中でも出てきたことです。非常に重要なことです。抜け道として使われないようにしないとというふうに考えているところです。
 それから単位の点もおっしゃるとおりだと思います。私,個人的にやっぱり,個々の教員が自分の授業で単位を考えているという,その発想自体が多分違っていて,やはり大学,大学以外もそうですけれども,やはり,例えば教授会であるとか,学科の教員たちの会議というのがどういうカリキュラムを組んで,どういうふうに授業をやって,学生たちがどういうふうに勉強するのかというところまで考えた上で,単位制度といいますか,教育のシステムが動いていると思いますので,その辺りの教育,教員の啓発ということと,それから組織の組み方ですよね。教育組織の組み方みたいなところまで進められるような形で,ここに書き込むかどうかは別として,展望できればいいかなと思っております。ありがとうございます。
 今手を挙げていらっしゃる,小林委員,それから林委員,曄道委員,古沢委員,永田委員の順番でお願いいたします。小林委員からお願いします。

【小林委員】  ありがとうございます。このようなおまとめありがとうございました。大変私も整理できまして,特にこの「共通となる最低限の水準を厳格に担保しつつ,大学教育の多様性・先導性を向上させる方向」というところは非常に賛同しております。そこに向けて四つの視座というところが重要視されているというところも,非常によくまとめていただいていて,感謝申し上げます。
 その中で一つ,私は大学の外からの視点ということで一つ申し上げたいと思うんですが,特にこの認証評価と情報公表のところに関わる問題だと思います。今回25ページのところの最初のところに,「大学ポートレートが大学コミュニティによる自律的な運営が行われていることも踏まえつつ」というふうに書き加えていただいております。この件に関しまして,今,外から大学を見たときに,高校生なり,高校の先生なり,その他のステークホルダーが,大学の質が保証されているかどうかというのを見るのは,やはり認証評価の結果が一番信頼できるものだと考えています。私も認証評価に関わっていまして,多くの大学の先生が非常に力を入れて,時間もかけて評価をされているというのも存じ上げております。そのため,この評価がちゃんと使われていて,社会に浸透することが非常に重要だと考えています。
 そうしたときに,認証評価で今,適合,不適合ということで保留がなくなって,不適合の大学が徐々に増えてきているように思います。そうした不適合の大学が出たときに,外から見たときにまだ見えないというところがあります。先ほど国が一律で情報公表するようにというふうなのもありましたが,その不適合を受けた大学側が,ホームページにその情報を掲載していなかったり,あるいは,大学ポートレートから直接その認証評価の結果を見ようとしても,その大学の結果が見られない,見えないような形での運用をされている大学もあります。例えばポートレートの認証評価結果というところを押すと,その認証評価機関トップページの方に飛んでしまって,大学まで飛ばないといったことも起こっています。
 先日ある会議で,それを,ポートレートを活用している高校の先生のお話を伺った時に,高校生の進路指導で活用していて,気になった大学の認証評価機関の審査を受けているかどうかというのは見ているんです。ただ,適合か不適合かまでは見ていないとおっしゃっていました。つまり,受審さえしていればオーケーだというようにまだ思われているという点があると思います。これは大学の方からすると信じられないかもしれないのですが,外から見ると,まだそのような運用になっていますので,特に消費者保護という観点からも,その認証評価の結果をきちんと伝えるような伝え方というのも,この中に入れていただければと思っております。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。少し何人かに発言していただいてから,事務局も含めて,お答えするなり,議論を進めることにしたいと思います。
 次,林委員,お願いします。

【林委員】  ありがとうございます。おまとめいただいた委員の方々,ありがとうございました。私前回の会議を欠席してしまったものですので今回,改めてコメントをさせていただくんですけれども,5点コメントをさせていただければと思います。
 まず1点目,6ページから7ページにかけての研究の質のところの,これ記述ぶりについてのコメントなんですが,概要の方でも,保証すべき質が教育研究の質で,教育の方は学生の学びの質と水準だと。通常これは学びの質がプロセスであって,水準がアウトカムというふうに普通理解すると思うんですけれども,それなのに研究の方は研究環境だと。プロセスだけだと。そういう記述ぶりになっているわけです。一方で,実は認証評価では,初期の頃は教育をちゃんと最新,先端の研究の知識に基づいて教育をアップデートしているかという点で研究がちゃんと行われているかという基準は,評価機関によってはあって,それを見ていたんですけれども,ただ,認証評価を簡素化すべきだという話で,恐らく今もう既にその基準ないと思うんですが,こういうのがある種研究の中身の質というか,別にエクセレントな研究をしているかしてないかという話ではなくて,ちゃんと一定の必要な研究をしているかということだと思いますので,そういうのを既に行われていたこともありますし,今後,そういうのもちゃんともう1回見ていくというのが必要なんだろうと思います。
 あと,加えて環境のところも,前回研究室の整備の話とかあったように理解していますけれども,設置基準の36条で研究室の話は書いてあるところですが,ただ,ほかの国の評価における研究の環境とかですと,例えば,まず倫理とか,研究インテグリティー,特に今,日本も経済安全保障を含めてのインテグリティーの話ありますし,それから研究資金,特に学内の研究資金配分であるとか,サバティカルの研究時間の配分,それからポスドクを含めた若手人材の育成の環境,それからオープンサイエンスの推進を含めた研究成果の発表の促進とか,そういうのが研究環境の,ある種保証に入ってくるところなので,そういうのをどうちゃんと見ていくのかというところ,特にこれらは大学院教育では全部重要な話なので,我々今,学部教育の話ばっかりしているんですけれども,大学院教育だとこういう研究環境重要ですので,そういうところをどう見ていくのかというところは,もうちょっと書き込めるんじゃないのかというのが1点目でございます。
 それから2点目なんですが,15ページの専任教員のところです。これ質問なんですけれども,ここに書かれているのは,ほかの大学等,複数の大学,ほかの大学で仕事をしている,あるいは大学以外のところで仕事をしているような人たちが,この基幹教員として見られるかという話なんですが,一方で教教分離している中で,一大学の中でも,例えば数学を専門としている先生が理学部と工学部とほかの学部と,複数のところの教育を責任を持ってやる可能性はあって,でも今までだと,恐らく理学部だけで専任教員としての位置だったんじゃないかなと思うんですけれども,そういうのを,例えばFTEで換算して,一大学内で複数学部の専任教員として考えていくと,そういう議論というのはどうなされたのか,なされてないのかというところについて質問でございます。
それから17ページ,特例の話です。ここは先ほどからずっと議論で,目玉というところだと思うんですけれども,ちょっと私,前回休んだこともあって,規制改革会議のまとめも一緒に併せて読んで,規制改革会議のある種前のめりの改革推進という意見に対して,どこまで応えられているかというのが微妙なところも感じていたんですが,恐らく,これ読んだだけのイメージだと,特例をある種条件付で認めてやるという感じのようにも見えたんです。ただ,規制改革会議の方の議論を見ても,例えばメタバースを使った教育をするであるだとか,あるいは,今後オンラインになれば,もう海外の大学と一緒に,同じ場で,オンライン上で学生が授業を受けるみたいな,そういう状況が出てきたときに,じゃあそこでの専任教員って何なんだと結局よく分からなくなるので,そういう10年後の教育を考えて検討してほしいというのが規制改革会議のコメントとしてもあったところですけれども,それをどこまで応えられているかというところだと思うんです。ただ一方で,10年後どうなるかというのは,当然基準として書き込むのは非常に難しいところなので,ここの特例のトーンとして,効果が上がるような先進的な取組であれば積極的に促進をしていくというような,ある種文部科学省の姿勢みたいなものがもうちょっとあってもいいんじゃないかなと思いながら聞いていました。もちろんそこで効果が上がっているかどうかを内部質保証でしっかりと確認をさせるというのがセットになるわけですけれども,何かもっと,革新的な取組をもっと進めるんだという姿勢をもうちょっと書き込めないかなという感覚を受けたところです。
 それから,すみません。4点目。同じような流れで,28ページの定員の話なんですけれども,これも,例えば今情報系の学生がニーズが高いというところで,学生定員を柔軟化できないかと。例えば,一大学内でほかの学部から定員を持ってくるであるとか,あるいは定員を純増するとか,そういう議論だと思うんですけれども,ここ28ページに一定程度弾力化していくという表現はあるんですが,そういう定員管理の社会ニーズに対する弾力化みたいな話をどこまでここで考えていらっしゃるのか,あるいは,そういうのは政策の話なので,ちょっとここの議論とは別だということであればしようがないのかもしれないんですけれども,その辺りのニーズに対する弾力化みたいな話はどうかというところが疑問に思いました。
 そして最後なんですけれども,26ページに戻ります。先ほど参考資料1にも,例えば授業実施週が35週とか,あるいは1授業は15週でなくてもいいんだという話が書いてあるんですけれども,実際すると質保証,認証評価機関の現場のマインドは,まず大学が35週カレンダーになっているかというのをチェックして,シラバスをサンプリングして15回あるかとチェックしている,それが今の認証評価機関のマインドなんです。これ基準に,例えば15週や35週を原則とするというのを残すのか,それとも,例えば基準が,効果が上がるような週の設定をするという程度の基準にしておいて,それを大学が説明するときに,実際に15週とか,あるいはカリキュラムの1年間の実施週が35週であるとか,そういうことで説明をするのか,それとも,もっと短くて集中的な形でやっていると説明するのか,それは認証評価で説明すればいいと思うんですけれども,一応原則がこういう数字で書いてあるというのを残すのかどうかというのは,法文を考えるときに,是非,更に考えていただければと思いました。
 以上になります。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。お答えできる部分もあるのですが,ほかのメンバーもちょっと聞いてからにしたいと思います。
 それでは,曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】  よろしくお願いいたします。まずは取りまとめ,どうもありがとうございました。私も大変分かりやすく,更に自分自身も整理が進みました。
 ここで取りまとめていただいた内容を今後実現していくためには,一つは各大学での内部質保証ということに対する取組が重要であると同時に,やはり設置認可,それから認証評価というものの水準をどのように高めて維持するかということで,これは日比谷委員もおっしゃっておられましたけれども,国際通用性も含めて,とりわけ認証評価に関しては,やはりその体制を構築することも今後必要かなというふうに感じました。
 それから,先ほどもお話に出ておりました特例制度についても,具体的な記述が入ったことで,理解がしやすい状況になったかなと思います。ただ,御指摘がこれまでにあったように,意欲ある大学というものが一体どういうように判断されるのか,あるいは,特例制度といってここで挙げていただいていることを整備しているうちに,先ほど指摘があったようなメタバースとか,新たな,新しい教育の方法についての議論が進んでいって,またその段階で,我々はその基準とか,取組を更新していかなければならないといったようなことに,逆に,どのような準備を今後構築していかなければならないかといったことも,並行して考えていかなければならないなというふうに印象として持ちました。
 最後1点ですが,これはすみません,ちょっと私自身も,もう少し早くに意見として述べるべきだったかなと思うんですが,各所に書かれている学修者本位の大学教育の実現という項目について,今回のこの質保証システムの議論の中で,やはり新しい教育の在り方という中での学修者本位というのはキーワードだと思うんですが,例えば15ページにあるように,一番上段にありますように,内部質保証による教育研究活動の不断の見直しが求められることを明確にすると。一般の方が読まれると,これと学修者本位の教育の実現とがどうリンクするのかというのが,若干見えにくいかなという気がいたします。例えば29ページの方にも,教職員の資質能力の向上という中の最後に,囲みの中に,学修者本位ということがありまして,FD・SDをより改善・充実をさせるというふうに書かれているわけですが,学修者本位の教育を実現するために,そういったものがどう機能すべきかといったようなところが見えていないので,直ちにリンクをさせるということに若干ハードルがあるかなというのが私の印象でございます。
 以上であります。どうもありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 続いて,古沢委員,お願いします。

【古沢委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。全体的に非常に手厚い記述になっていまして,どなたも分かりやすい内容だと思います。例えば4ページのところで,遠隔授業についてディプロマ・ポリシーを達成するためにカリキュラム・ポリシーを適切に,カリキュラム・ポリシーの中に遠隔教育は適切に位置づけられることが必要だと書いてありまして,とても大切なことだと思いました。
 17ページの特例のところで,私が前回か前々回か申し上げたのは,必ずしもごく一部の大学が認められることのないようにという意味というより,むしろ特例を認めるのであれば,その目的,特例を申請することの目的と,それに伴う教育効果を明確にした大学に対して認定してほしいという意味で申し上げました。もしできればちょっと教えていただきたいんですが,この要件というのが今のところ具体的には書かれていないんですけれども,経営上問題がないとか,そういう割と,非常に基本的なことなのか,それとも特区制度などのように,その申請内容をきちんと判断して認めるということなのか,個人的には後者の方がふさわしいのかなと思っているんですけれども,それをちょっと,もしお分かりになれば教えていただきたいと思います。
 これに絡んで校地校舎のこととか,あと先ほどから出ている基幹教員については,やはり教育の質が絡むことなので,最低限の質を保証する工夫がやっぱり必要だと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 永田委員,お願いします。

【永田委員】  皆さんいろいろおっしゃっています。まとめというものは,これからこの精神で法文や法令をつくるためのものです。その下で更に,例えば設置審であれば,設置の趣旨をしたためる書類というのはこのように書くべきであるというようなものを,またつくるわけです。それが整理できていないから,先ほど,ある意味では微に入り細に入った議論となっています。まとめとして残ったものはこれであるという認識で,法文や法令に入る部分のものであれば,基本的にはよくまとまっていると思います。しかし,もう一つ下の段階で検討すべき,例えば設置の趣旨の書類を書くとなったら,先ほど林委員がおっしゃったように,例えば研究の質とはこういうものを全部入れるというような議論がされていないといけません。仮にここにいらっしゃる委員が全員いなくなって,その趣旨のところをつくる会議体が生まれたら,もう一度議論することになります。どのレベルを今議論しているかというのは少し難しいと思ってはいて,ここにいる方々は多分それを理解されていると思います。
 そのような議論で,一つだけ申し上げます。その例外なのかもしれないが,気になるのが,8ページに例の教育研究の質を保証するために,丸1と丸2があります。「共通となる最低限の水準を厳格に担保しつつ」,丸2は問題を感じないのですが,丸1が,もし基本的に精神を述べているとすると,非常に問題があります。「共通となる」という部分の「共通」というのは,どのような意味であるのか。まさか指導要領的な意味での共通性を求めているわけではないと思います。最低限の水準を厳格に担保しつつというのは,各大学が自分の大学の3ポリシーに合った最低基準を厳格に担保していただくことであるが,「共通となる」と言われると疑問があります。要するにこれが法文をつくる大本になるとしたら,「共通となる」という部分は後でものすごく利いてくるので,この意味は教えていただきたい。もし適合しないのであれば,この「共通となる」という5文字は,慎重に使った方がいいのではないかと思います。
 基幹教員の件も,全部議論されたと思いますが,設置審を行っていると思うことがあります。一つ目の大学のアフターケアもしないうちに二つ目の大学の教員になっていて,そこからまた違うところの教員になっていて,設置のための教員という先生がいらっしゃって,いろいろなところの設置に出てくることがあります。だから基幹教員に関しては良いと思います。きちんと質保証を各大学ができればいいので,せめてデータで,Aの先生はどことどこ,Bの先生はというように全ての教員がどの大学でどれだけ教えているかのような,一元化したリストがないと,設置審のときに大もめにもめてしまいます。ある先生がその大学で新しく出てきたが,実はほかの大学で担当しているという情報なしに設置審で見るので,その先生が本当に担当いただけるかどうかが分からないです。ですから,少し細かいことを言うと切りはないのですが,そのような具体例はこれからつくっていくと思います。8ページの「共通となる」という部分の説明だけは,お願いしたいです。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 瀧澤委員,お願いします。

【瀧澤委員】  ありがとうございます。以前からの議論で,大学によっては,最低限の基準を満たしているぎりぎりのところと,あるいは非常に先進的なことをやりたいんですだけれども制度が足かせになっているような大学と,まちまちだという前提条件があったと思います。ですから,今回整理して,後者を特例ということで扱うことにより,両方が満たされるような柔軟性を持たせたというのは,やっぱり非常に大きなことではなかったかと思います。ですので,パッと見たときの資料のつくりとして,これ事務局の方にお願いすればいいと思うんですけれども,資料の1-1の概要の中に,是非その「特例」ということを,もう少し分かりやすく表現された方がいいのではないかなと思います。以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 長谷川委員,お願いします。

【長谷川委員】  ありがとうございます。先ほど,この作業チームにおける検討でも先導性と厳格性がトレードオフになるという議論があったと伺いましたけれども,そういう中で,非常にバランスのとれた取りまとめをしていただいていると思います。特に15ページにございます専任教員の見直しや,特例制度などは,非常に前向きな取組として,評価できると考えております。
 2点,指摘したいのですが,まず,16ページにございます,先導性・先進性の箇所で,単位制度の見直しとして,講義・演習・実習の時間区分の大括り化や,標準時間であることの明確化など,単位制度の柔軟な運用を可能とするような見直しを行うと指摘されていますが,この議論の中で,今後の方向性として,いわゆるオンラインを活用したようなハイブリッド型,ハイフレックス型の授業,または教育カリキュラムが普及していくという今後の方向性を踏まえますと,単位の考え方自体が,学習の時間に紐づけられたものであり続けて良いのかに関する議論があったかどうかお伺いしたいと思います。学修者本位のということで言えば,学修者にはいろいろな学生がいるわけですので,必ずしも学習の時間ということだけで単位を評価すべきなのかという議論はあるかと思います。そういった検討があったかどうかということをお教えいただきたいと思います。
 2点目は最後の情報公表のところですけれども,20ページに,大学に関する情報を多様な観点から比較可能な形で,共通のプラットフォームを通じて提供するということが書いてございますが,このこと自体は経団連が以前からずっと要望してきた内容です。この1月に,改めて大学教育改革の提言を経団連で公表しておりますが,その中でも,今後,大学が自律した経営体として企業や個人などから寄附金などの外部の資金を獲得していくためには,現在,多くの企業が,財務報告のアニュアルレポートと,サステナビリティに関する報告,サステナビリティレポートを兼ねた統合レポートを公表するようになっておりますが,そういった多様なステークホルダーに向けた大学版統合レポートの作成・公表なども,今後は検討していただければと考えております。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 飯吉委員,お願いします。

【飯吉委員】  後半からの参加になってしまい,申し訳ありませんでした。前半は聞いておりませんので,若干重複するところもあると思いますがご容赦ください。
おまとめいただき,どうもありがとうございました。全体的にはよろしいかと思いますが,既に多くの御指摘があるように,やはり先導性のところが気になっています。先ほど瀧澤委員が御指摘になったこととも意見が多少重複しますが,概要のところで,「先導性・先進性については,この程度か」というような印象を持たれないのかということが少し心配です。特に,既存の大学が既に質保証のシステム整備や制度をきちっとやっているから「御褒美的に特例として認める」というように見られてしまうと,やはり新規に全く新しいものをつくっていこうとする場合にはどうなのかと。既存の大学で,これまで質保証のシステム・制度がしっかりできているところですら,先進的なものをつくろうとすると,今までの既存の質保証のやり方を見直していかなければならない,考え直さなくてはならないという部分も出てくる可能性があると思います。にもかかわらず,今までは良かったからということだけで認めれば,その延長線上,つまり「想定できる範囲内」でしか先進的なことが起こらない,ということになりかねないので,そこを何かもうひと踏み込みしていただかないと先進的なものがそれほど出てこないのではないか,という懸念があります。少なくとも,そこを後押ししているようには見えません。今までの優等生には,特例的なことをやってもいいと許可を出すというようなイメージなので,もう一押し何かしていただければ,というお願いです。
 以上です。

【吉岡部会長】  前田委員,お願いします。

【前田委員】  ありがとうございます。作業チームの委員の方々,おまとめありがとうございました。私も,もともと認証評価がぎりぎり締めつけるようなことをするのがいいと思っていたわけではないのですが,認証評価機関によって,評価の仕方が違うことは気になっています。その中で,今回のこの方針からいきますと,今までのような,形式が整っているか,というところを重点的に見るような評価では,認証評価は駄目だろう,本当に大学は改善に向けて動いているのかを見るようなことをしていかないといけないと思います。この審議まとめに基づいて法令が整ってから,さあ認証評価システムの改革を始めようということではなく,そして,内部質保証の規程があるからいいでしょうといった形式的な評価ではなく,本当に大学の質改善機能が動いているのかという評価をすることが必要です。例えば認証評価機関の一団が大学に出向いて,大学の代表者と2日間話をして帰ってくるというような評価では,多分そこは見えてこないだろうと思います。飯吉委員もおっしゃいましたけれども,認証評価の在り方を根本的に変えていかないと,実質的な質保証は実現できないだろうと思いました。それが一番強い印象でした。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 濱中委員,お願いします。

【濱中委員】  濱中でございます。作業チームの委員の方々,本当にありがとうございました。とてもよくまとまっていて,私自身も本当に勉強になりました。
 私からは,もう既に委員の方々から多くの御意見が出ていますので,現場の一教員として,認証評価への対応に携わっている教員としての意見を申し上げます。
現場の教員を取り囲む空気を一言で申し上げれば「漂流中」といったところでしょうか。認証評価で取り組まなければならない課題が押し寄せ,対応するということが続いていますが,この質保証の全体の動きがどこに向かっていて,自分たちは今どこまでできていて,これから更にどこまで求められるのだろうという,何とも言えない不安を,現場の先生方は抱いているように見受けられます。そうした中で,これまでも,例えば単位制についての理解が不十分といった基本的な問題が挙がってきましたが,基本も,そして全体の流れもわかっていないのに課題ばっかり降ってくるということが生じている。こうした混乱のような悩ましさが少なくない大学で見られるのではないかと思います。
 何を申し上げたいのかということですが,「はじめに」の部分で,見取り図というか,地図というか,質保証システムを構築する試みの中で,何がどこまで進み,どこに課題があり,だから今こうした提案がある,という説明を加えていただけないでしょうか。そのような説明があれば,現場の教員にとっても意味のある,そして何より現場の教員が手に取ろうとするまとめになると思いました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。 谷本委員,お願いします。

【谷本委員】  作業チームの委員の方々,大変分かりやすくまとめていただき,ありがとうございました。私からは学生支援に携わってきた教員として,2点感想というのか,意見を言わせていただきたいと思います。
 1点目は,大学職員の役割と資質能力についてです。今回,大学職員の役割を整理して検討していただきました。大学の経営や教育活動を支えている,大切なステークホルダーの一つですが,大学院,大学,短期大学,そしてそれぞれの専門,専攻,学位プログラム等によって,求められる職員の役割や関わり方というのが異なってくると思います。だから何か共通した基準を定めることは難しいと感じます。これから教育研究支援や学生生活支援,教職協働のプロジェクトなどで,実践的な取組が数多くなされていくと思いますので,その取組の事例を蓄積していくことで,質保証につながる資質や能力を検討していけたらと思いました。
 二つ目は,カリキュラム・ポリシーに遠隔教育を位置づけること。遠隔教育の取組は,試行錯誤しながら改善を図っていく段階にありますが,コロナ前の状態に戻すことは難しいと思います。デジタル化を含めた新しい教育の在り方の構築に,これから積極的に取り組んでいかなければいけないと思います。大学は知識や技能を修得するだけではなく,全人格的な教育が行われる場としていますので,キャンパスでの教育活動に加えて,オンラインでの教育や活動も全人格的な教育の一端を担えるものと思います。遠隔教育は時間や空間,地理的な制限を受けないメリットがありますので,国際的な交流を中心に様々な活用ができていくと思います。ここはあまり厳しく縛らずに,少しいろいろな実践を積み上げていく中で,教育の充実に取り組んでいくのがいいかなと思いました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。ほぼ全員の委員の方に御発言いただいたと思います。もしも何かありましたら,また御発言いただければと思いますが,大変いろいろな御意見ありがとうございました。
 一つのやっぱり重要な点は,認証評価の問題だと思います。認証評価は,もちろん最初のところにも書きましたけれども,質保証システムの最初の事前チェック,事前の規制というところから事後チェックへ,そのプロセスで大学における質保証,内部質保証,あるいは自律的な質保証というものをいかに担保していくかというような,そういう流れの中で,当然ですが,認証評価が非常に重要な役割をしてくるというのはそうなのだろうと思います。
 一つは,これは前回のときにも申し上げたかと思いますけれども,ここでの議論が一つ,まずこれが作業チームとしての議論が基になっているということもあって,かなり技術的なところから入っていったという制約があるのかもしれませんが,それともちょっと絡んでいるんですけれども,認証評価の問題は,理念的なところでもちろんそうなのですが,一つは認証評価というのは,基本的には国の政策と直結しているわけではなくて,認証評価団体という団体の自律性をむしろ尊重する形でつくられている。したがって,認証評価が重要である,こういう点で重要であるということを強調する形にはなっていますが,なかなかこうすべきである,法制度的にこうすべきであるというような議論というのはしにくいといいますか,あまりそういう形では立ち入っていないということになります。でも御意見のあったとおり,要の一つであるということは大変重要な点だろうと思います。したがいまして,その認証評価団体が今後より認証評価団体の質を高めていくために,例えば国際的な認証評価団体同士の評価であるとか,それから認証評価のシステム自体の明確化ということを今後進めていくべきであるということを書き込んであるということです。その点,そのように認証評価の問題というのは若干ここでの議論のところに入り切らない部分があるけれども,ある意味で一番重要な問題だということだろうと思います。
 それから,そうは言いながらと言ってもいいかもしれませんが,小林委員がおっしゃったみたいに,例えば大学ポートレートとどういう形で連携するのかとか,それから,例えばホームページで認証評価団体のところに単にリンクが貼ってあると,普通の人が見ても認証評価の膨大な書類とリンクされても,読み取れるわけではないので,例えばその認証評価を出している団体の方の評価のある部分が,分かりやすい形で出るような形とか,そういうようなことは多分考えていくことができるのではないかというふうには考えています。
 永田委員,認証評価について何かありますか。今,幾つか認証評価が議論になりましたが。

【永田委員】  ありがとうございます。前田委員がおっしゃったことを,きちんとしたシステムで書き直していけばうまくいきます。要は,現行の認証評価の法的基準は設置基準です。それをアフターケアして,その後も設置基準にのっとって行っているからいけないのであってミニマムだけチェックすればいいわけです。
 内部質保証というのは,例えば科目全体でノーベル賞学者を育てますと書いてあり,その準備も整っていたとします。だからといってノーベル賞学者が出なかったら不適合とするわけではありません。そのような内容に向かって不断に努力を大学が行っているかということが重要です。ですから,内部質保証の本質が分かるように,現在法的制約の中で行っているものに加えて,内部質保証のコンテンツをより具体的に,そしゃくして見ていけば良いと思います。
 大学基準協会の会長の立場で考えると,大学基準協会としては苦いこともたくさん経験していて,例えば,我々が不適合にしたがほかで適合になったことがありました。そのようなことがないようにするために,認証評価団体そのものの評価が重要です。お互いに比べずに吉岡部会長が書かれたように,海外の質保証システムと比べることが良いと思います。
 いずれにしても,少し認証評価のやり方を法的制約プラス,次の段階の,よりポジティブな意味での,しかし単にアチーブメントを求めずに,その大学の在り方を見る質保証を,すなわち内部質保証を見るシステムに変えないといけないと思います。それが読み取れると良いのですが,若干難しい書き方にもなっていて,認証評価団体はスタンダードを高めていってくださいということだと理解します。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。ということで,やはり現行の認証評価を基にしたとしても,それを外といいますか,実際にそれを読む人たちですね。一般の人たちにも理解できるような形で,きちんと整理するということは可能だろうと。まずはそこから入っていくしかないかなとは思います。非常に重要な点だろうと思っております。それから,また認証評価のことがあれば御意見いただければと思います。
 やや細かい点ですが,林委員もおっしゃっていた研究の問題ですけれども,一つはここで議論しているところは,基本は学部教育を中心に考えています。ここで研究ということを入れる,永田委員の発言が重要な役割を果たしたんですけれども,実際に設置審査等をしていくときに,教員というものが研究と切り離されてきつつあるような要素がある。それに対して,やはり研究と教育というのは両輪として必要であるということで,ここで考えたのは非常に,それこそ最低限の研究の担保というレベルにとどまっています。林委員がおっしゃったとおり,研究環境ということでいうならば,例えば資金の問題とか何とかまで全部入るんですが,ここではそこまでは直接は考えていません。大学院というよりも学部の教育という範囲で,必要であるということは十分に承知しているんですけれども,ここでの意味はそこまでは踏み込んで形にはなっていないと思います。
 それから専任教員の大学内での,教教分離になっていたりして,学部ごとに超えることができるかというのは,それは基本的に超えられると思います。それは,そうですね。事務局としても,そのことは問題にならないだろうと思います。
 それから特例制度に幾つか御発言がありました。作業チームでの議論も,この部分もちろん重要な議論だったんですけれども,やはり特例というのを単なる御褒美ではなくて,きちんと特例の対象になるような機関というものをどういう形で認定するのかというのは非常に難しいんですが,積極的に認めていくというのが基本的な方向性である。書きぶりでそれが出ていないというのであればちょっと考えますけれども,特例はさほどハードルを高くするというふうには,むしろ考えてはいないと思います。
 それから,谷本委員がおっしゃった,学修者本位というのをどういう形で載せるかというのはもう少し,もう一度考え直してみます。
 それから,永田委員がおっしゃった8ページのところ,「共通となる」ということです。ここでのこの書きぶりは書き直した方がいいかもしれませんけれども,ここで言っているのはむしろ最低限の水準というので,「共通となる」というのは,例えば設置基準のような形で,どの大学でも最低限として考えられるという趣旨の共通です。共通という言い方は確かに,誤解を招くとすればちょっと考えた方がいいかもしれませんけれども,例えば現在の設置基準におけるような,数値で表せるものであるとかということを最低の水準として,まず担保するというところで,この言葉が入っているということです。ちょっと,おっしゃるとおり,確かにこれが何か,何というんですか,学習指導要領のような形で,中に踏み込んだ形にするという趣旨ではないので,ちょっとその辺りは誤解のないようにしたいと思います。
 大きな問題,認証評価のことは最初にお話ししたので,あと長谷川委員がおっしゃった,学習時間で評価できるかという問題は,これは非常に重要な指摘だというふうには考えております。ただ,現行の,日本だけではなくて,欧米も含めて,一定程度の単位の考え方の基礎に,やはり学習時間というものが基本に置かれています。学位というのは,例えば博士の学位というのは論文博士というのがあるわけで,全て獲得した資質なり,獲得した知識によって判断するという方向がないわけではありませんし,そういう方向を取っているということも少しずつ出てきているようですけれども,今のところ国際的な共通性・通用性を考えた場合には,現段階では時間で考えていくというのがいいのではないかというふうに考えています。
 その点が,例えば吉見委員がおっしゃったような形で全体像を考えていく時の,むしろ一つの要になっているので,これを外す外し方というのはかなり大きな問題なので,ちょっと作業チームレベルでは考え切れていないということでございます。ただ,将来的にはそういうこともあり得るし,そういう学位の出し方というのが,もしかすると出てくるということはあり得るのかなとは,個人的には思わないわけではありません。
 あと,すみません,メモが飛んだりしているので,発言された方でこれ是非という発言の方,あるいはこのこと答えていないじゃないかというのがあれば発言してください。前田委員は手を挙げていらっしゃいました?

【前田委員】  はい。挙げていますが,今の質問にお答えいただいていないということではなく,認証評価制度のことでちょっと発言したいと思いましたので。

【吉岡部会長】  ではどうぞ前田委員,ご発言ください。

【前田委員】  私多分,一番機関別認証評価に関わっている人間だと思います。というのは,認証評価される方として,制度が始まる前から関わっています。それからずっとこう歴史的に見てきまして,先ほどの吉岡部会長の御発言の中にも認証評価は設置審査とは違うというお話がありましたが,認証評価機関を認証する委員会の委員も変わりますし,文部科学省の御担当の方も変わります。それで,認証する際の要件というのも,私はかなり揺れていると思っています。認証評価が法令の手を離れているというお話がありましたが,認証したのは文部科学大臣なので,認証後も,やはり一貫性をもう少し持っていただきたいと思う次第です。前に認証の際に言われていたことが,認証の要件として変わってくるとしたら,それは法令や状況の変化があって変わったのならよいですが,その時の委員によって認証の要件が変わるということがあってはならないと思います。なので,認証評価機関の認証というのは,かなり重要なことですので,もう少し文部科学省としても,責任を持つなり,認証の方針を持つなりということはしていかないといけないのではないかと感じています。

【吉岡部会長】  はい。おっしゃるとおりだろうと思いますし,制度を制度として,しかも設置基準だけではないですけれども,公的な法文の形でやった場合の一番重要な要素は予測可能性,安定性と予測可能性だと思うのですが,それが揺らいでしまうと,それに関わっている人間は大変困りますので,その辺のところは,まだそういう意味では制度が十分成熟していないのかもしれませんけれども,その点は大変重要なことだと思います。
 吉見委員,挙手されましたか。

【吉見委員】  はい。全然別のことなんですけれども,すぐ終わりますが,一言是非発言させていただければと思ったことがございまして,手を挙げました。
 ずっと委員の方々のお話をお聞きしていて強く思いましたのは,やはりこの質保証,あるいは永田委員の大学分科会全体なのかもしれないのですが,私たちが打ち出していくことについて,パブリックリレーションズの戦略や技術が必要だということです。この部会で我々が前提にしている認識のレベルや,大学分科会で委員の方々が前提にしている認識のレベルと,例えば大学の教務担当の先生とか,学部長も含めて一般の先生たちや,あるいはメディアのジャーナリストもそうです。それから企業の経営者の皆さんもそうなんですけれども,そういう方々の認識のレベルとの間に,結構,ものすごい差があって,ここでは皆さんの前提なのですが,一般には全くそういう認識の上で議論がなされていないことが,ものすごくあるような気がします。そうすると,結論をどう出していくかという時に,実は「広報」と「パブリックリレーションズ」は全く違う概念なのですけれども,パブリックリレーションズを戦略的に文部科学省がやる仕組みが要るんじゃないか,それが今,あまりないのではないかということを強く思いました。これはやはり文部科学省の仕事ですね。是非是非インターネット時代に合わせた効果的なパブリックリレーションズの仕組みを戦略的に是非考えていただきたいという意見を申し上げさせていただきました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。それもものすごく重要な問題と思います。根本の問題ですし,最初の,今日の最初の時のどなたかの御意見もありましたけれども,そもそも設置基準というものはどういうものであって,どういうふうに質保証システムが現在動いているのかということを,多分大学の,例えば新しい学科をつくったり,学部をつくるとかということを担当した職員を除いては,ほとんど分かっていないのではないかと。どういう観点でどういうことが見られているのかということについての理解というのが,非常に少ないというのは,おっしゃるとおりだと思います。
 今回資料,参考資料という形で,現行の制度でもこういうことができるということをつけた一つの趣旨は,これができるという,その内容もなんですけれども,こういう形のいろいろな制度ができているということをアピールするという趣旨も,事務局の方にはあったと思います。現在の中でもできることはたくさんあるということと,それから,やはり教育というのは,繰り返しになりますけれども,その場での教室の中での教員と学生の関係だけではなくて,例えば教授会であるとか,教員がある種の集団をもっていろいろなカリキュラムを組んだり,それをこうやってどういう形で質を上げていくかという内部質保証を実質的に行っていくためには,大学もその意識を持っていなければならないですし,大学の中がどういう形で動いているのかということについて,大学外,あるいは一般の人たち,あるいは企業の方々も含めて,大学というのはどういう形でカリキュラムを組んだり,どういう基準でものを考えているのかということがもう少し分かっていかないと,大学というのは非常に特殊な世界であり続けてしまうと思います。その辺りのところは意識していく必要がありますが,作業チームの報告書としてそこまで書き込むことはできておりませんけれども,参考資料をつけたりしているところ,若干そういう意図が入っているところです。
 ほかにいかがでしょうか。 日比谷委員,どうぞ。

【日比谷委員】  ありがとうございます。吉岡部会長がもうおっしゃったんですが,参考資料はそのような意図で今回特につけたということを補足したかったことと,それから本体も,資料1-2の26ページに,既存制度の周知や大学現場での効果的な運用というセクションも設けておりますが,そこの意図はそれです。ただ,そもそもこういうものも,最終的に完成すれば文部科学省の中央教育審議会のホームページにも出たりするんですけれども,私もある大学団体の集まりで,教学マネジメントの指針をつくったときですが,議論の流れとか,議事録も全部公開されています。それちょっと,あんまり言っちゃいけないかもしれない。ほぼ学長,副学長の集まりであったにもかかわらず,読んだことがある人は正直に手を挙げてくださいと言ったら,あまり手が挙がらなくて,特に意識が低い集まりとも思わなかったんです。なので,やっぱりここにあるぞ,ここを見よということ,これは文部科学省と相談したいと思いますが,もう少しその補強をする必要は非常に強いと思います。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  あと,すみません。お答えというか,御意見に対してですが,飯吉委員がおっしゃるように,まだまだこれじゃあ先進性が少ないんじゃないかというのは,確かにそうかもしれないとは思います。一つはやはり質保証ということから入っているので,どうすると質が崩れてしまわないかという,そういう意味では,そもそもちょっと防衛的な説明の仕方になっているというところはあると思います。この会は,この会はというか,作業チームは特にですけれども,どうすれば大学が次のステップに進むかという議論をしているわけではなくて,例えば新しい技術が出てきたり,今現状で現れているような新しい局面に対して,それに対応していくときに,なお質をいかに保証するかという発想でお話をしているところがありますので,おっしゃるように,こういう方向をもっと進めるためにこういう装置をつくるというふうな議論が,不十分であると言えばそうだろうと思います。この辺りはむしろ大学分科会とかの方で,先に恐らく進めていくべき議論かなと思います。ということ,言い訳っぽい言い方ですけれども,基本はやはり質保証をどうするかという議論になっているということです。
 それから,これも飯吉委員がおっしゃっていたみたいに,特例制度は,これ飯吉委員だけじゃないですけれども,特例制度というのが既存の大学の御褒美という言い方を飯吉委員はされていましたが,そういうふうにならないようにした方がいいとは思います。ただ,いきなり新設の大学に対して,現在の設置審査のシステムの上にいきなりこの大学が新しいのを出してきたという場合に,その大学を特例に入れるというのはなかなか難しい,実際には難しいかなと思います。ただ,その辺りのところは,ややちょっと制度設計でもう一度考え直すという必要,考え直すといいますか,どうすればより積極的な方向に機能するようにできるか,足かせにならないようにするかということは考えていく必要があるだろうと思います。
 それから,設置審の人間として一言だけ言っておきますと,設置審の実際の審査というのは,単にその最低限の,法律上の数値が合っているかということを審査しているわけではなくて,そこで行われているのは,どういう教育を行おうとしているのか,先ほど永田委員が,例えばノーベル賞を取るようなというようなことをおっしゃっていましたけれども,そういうのでもいいんですが,どういう形で自分たちが教育をしようとしているのか,そのためにどういうポリシーを組み立てていて,それに対してどういうカリキュラムを組んでいるのか,それに対して設備や教員のシステムがきちんと筋が通っているかという審査をしています。そういう意味ではかなり立ち入った議論をしています。それに応えられなければ審査が通らないというふうには機能している。そういう意味では,何というんですか,人間の手を経て審査されているというところはかなり重要なところです。ですから,今回の設置基準を改正するなりしていった場合でも,その部分がなくなっていくわけではないですし,むしろその点が重要な役割を果たすということは,ちゃんと考えておいた方がいい,考えておくべきだと思いますし,設置審が必要なくなるというような制度がつくれるわけではないというふうに考えているところです。
 というところでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 非常に多くの意見をいただきまして,うまく答えられていない部分もあるかと思いますし,ちょっとここでの議論の中では十分答えられなくて,もう少し先に,ここで,例えばこのまとめの中にうまく入り切らない部分もあるかもしれませんが,どの問題も非常に重要な問題であるという認識は共有されていると思います。そういう意味では,ここで審議まとめを出したことでものは終わるわけではないので,そこから先,もちろん条文化するという,そういう技術的な作業だけではなくて,内容的に先につなげていく部分というものをきちんと記憶していくという必要があるだろうと思います。
 ということで,いただいた御意見を踏まえて,次の部会ではこの部会の審議まとめ(案)という形で,委員各位に御議論をいただくということになります。よろしいでしょうか。
 では,本日の議題,以上ということになります。
 また御発言で,この点がやはりもう少し重要であるとか,もっと単純に,読んでみてここはちょっと筋が通らないとか,この部分とこの部分がかみ合っていないんじゃないかというようなことも,何か御意見ございましたら,事務局の方にお伝えいただければと思います。
 それでは,今後の質保証システム部会の開催日程等について,事務局からの説明をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  事務局でございます。本日は活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。次回の質保証システム部会の日時,開催方法等につきましては,追って御連絡させていただきます。
 なお,今,部会長からも御発言ありましたけれども,本日,時間の都合上御発言できなかった内容等ございましたら,事務局宛てに御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。対面での議論というのができない状態が続いておりますけれども,この会議,非常にこう,何か自分の頭をもう一度考え直すのに良い機会にもなっておりますので,次の会議,できれば対面と思いますがちょっと難しそうですけれども,この次のときまでに,また何か御意見がありましたら,お寄せいただければと思います。
 それでは,本日の会議,これにて終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)