ここからサイトの主なメニューです

教学マネジメント特別委員会(第6回) 議事録

1.日時

令和元年7月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教学マネジメントに係る指針及び学修成果の可視化等について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)日比谷潤子座長
(副座長)小林雅之副座長
(臨時委員)佐藤東洋士、清水一彦、伹野茂、益戸正樹の各臨時委員
(専門委員)浅野茂、大森昭生、沖裕貴、川並弘純、小林浩、佐藤浩章、林隆之、深堀聡子、松下佳代、溝上慎一、森朋子、両角亜希子、吉見俊哉の各専門委員

文部科学省

(事務局)浅田文部科学戦略官、白間私学部長、岩本文部科学戦略官、三浦大学振興課長、石橋高等教育政策室長、平野大学改革推進室長 他

5.議事録

【日比谷座長】  時間より数分早いんですけれども,委員おそろいですので,始めることにいたします。おはようございます。
 本日は,第6回の教学マネジメント特別委員会でございます。大変申し訳ありませんけど,私,ちょっと本務の 都合で本日は11時40分に退席しないといけませんので,それ以降の司会は副座長・小林委員に引き継ぐということにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは,初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。
 机上の議事次第,資料と参考資料,掲げてあるとおりの資料でございます。資料が1から資料5,参考資料が1及び2,その後,机上資料についてはタブレットの方に格納してございます。抜けなどがある場合には,事務局までお声掛けをお願いいたします。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 本日の議題は,「学修成果の把握・可視化」でございます。既にお示ししてあります審議ロードマップにもありますように,このテーマは,今回と次回の2回にわたって議論をする予定としております。ここでフォーカスすることは,大学内部における学修成果の把握と可視化,そしてその利活用についての議論になります。
 学修成果を含み,それ以外のものもありますけれども,大学の情報をどのように大学の外に公表すべきかということを「情報公表」と呼んでおりますけれども,こちらにつきましては第9回と第10回で扱う予定ですので,本日は,学修成果を大学の中でどのように把握・可視化し,活用していくかに絞って議論を頂ければと思います。
 本日は,まず,御専門でございますけれども,松下委員から20分程度でこのテーマで御発表いただきます。その後,事務局からの資料説明を経て,議論の時間としたいと思います。
 松下委員の御発表に対する質疑,コメントは,議論の時間の冒頭に10分程度設けたいと思っておりますので,そのようによろしくお願いいたします。
 それでは,松下委員,どうぞよろしくお願いいたします。
【松下委員】  よろしくお願いします。「学習成果とその可視化」というタイトルでお話しします。
 アウトラインですが,まず,学習成果の可視化の方法として,評価方法の多様性についてお話しします。そして,事例として,新潟大学歯学部の事例をお話しします。
 まず,学習成果の可視化の方法ですけれども,学習成果とは何かということなんですが,学士課程答申での定義では,「プログラムやコースなど,一定の学習期間終了時に,学習者が知り,理解し,行い,実演できることを期待される内容を言明したもの」となっています。この定義はOECDなどの定義ともほぼ同じで,一定の一般性を有するものと考えられます。
 この定義から引き出される含意として,大きくは2つあると思います。
 1つは,学習成果には目標と結果――結果というのは評価対象のことですけれども――,この両方の意味があるということです。英語ですと,learning outcomesの前に,目標の場合はintended,結果の場合はachievedといったような形容を加えて区別されることもあります。
 それから2点目は,学習成果の評価は,第一義的には,学生の知識や能力の表出に基づく直接評価によって行われるということです。先ほどの定義では,「実演できる」というところで,英語では“can demonstrate”といった表現が使われます。
 以上,学習成果について把握した上で,では,その評価としてどういうものがあるかということになります。現在,学習成果の評価の方法は多岐にわたっていますが,その分類の仕方として大きく3つの軸で分類してはどうかと考えています。1つ目は直接評価と間接評価,2つ目は量的評価と質的評価,3つ目は科目レベル・プログラムレベル・機関レベルの評価というものです。こうした分類軸を組み合わせることによって,様々な評価方法の特徴を把握することが容易になると考えています。
 3つ同時に掛け合わせるのはなかなか大変なので,2つずつ考えていきたいと思います。まず,直接・間接と量的・質的ということなんですが,量的・質的については,皆さん大体お分かりかと思いますので,きょうは直接・間接の方を詳しくお話しします。この2つの軸を掛け合わせると,そこに書きましたような4つの象限ができます。間接の質的評価というのは,学習者自身が書いた学びについての記述ですね。間接の量的評価というのは質問紙調査。それから,直接の量的評価というのは客観テスト。そして質的な直接評価というのはパフォーマンス評価とかポートフォリオ評価といったようなものになるかと思います。
 以上お話ししてきた中の直接評価・間接評価と学習成果がどういうふうに関係するかということなんですが,直接評価・間接評価というのは,そこに書きましたような定義で使われる言葉です。Direct assessmentとかmeasuresとかevidenceといったような言葉が使われます。直接評価というのは,学習者の知識や能力の表出を通じて,つまり,「何を知り何ができるか」というのを実際に学習者自身にやってみさせることで,学習成果を直接的に評価する方法です。より広義には,学習成果の直接的なエビデンスに基づく評価方法と言うこともできるかと思います。
 一方,間接評価というのは,学習者による学習成果についての自己報告を通じて,つまり,「何を知り何ができると思っているか」とか,あるいは,「どのように学習を行っているか」といったようなことを学習者自身に答えさせることによって,学習成果を間接的に評価する方法です。より広義には,学習成果の間接的なエビデンスに基づく評価方法と言うこともできるかと思います。
 この直接評価と間接評価というのは,大学教育の評価においては非常に重要な区別だと思うんですが,特にここで申し上げたいことが3点あります。1点目は,先ほど挙げました学習成果の定義に従えば,学習成果の評価のメインは直接評価になるということです。実際,アメリカの認証評価機関などでは,「学生の学習のエビデンスは,質問紙調査以上のものを含むべきである」「学生の学習のエビデンスを提供するには,学生の学習の成果物の直接評価の結果を含む,より多くの異なるタイプのエビデンスが求められる」といったことが言われています。
 それから2番目は,直接評価を間接評価によって代替することは困難だということです。これについてはいろんな研究がありますが,私が重要だと思っているのは,例えばダニング=クルーガー効果というものです。これは,能力が低い者は能力を過大評価し,また,能力が高い者は控えめに評価する傾向があるというものです。したがって,能力を見るには間接評価だけでは不十分であるということになります。それから,実際に私たちのグループで直接評価と間接評価の相関をいろいろ見ているんですが,例えばライティング能力とかプロブレム・ベースト・ラーニングの問題解決能力などで見ましたときに,直接評価と間接評価の間にはほとんど相関がないというような結果が得られています。
 ただし,では,間接評価は意味がないかというと,そんなことは全くありませんで,価値観とか興味・関心,成長実感などの学生自身の認知や,学習成果に至る学習行動,例えば学習時間とか学習方略などについては,学生の自己報告に基づく間接評価というのが非常に重要であると考えております。これが3番目に申し上げたいことです。
 もう一つの2つの軸の掛け合わせは,直接・間接と科目レベル・プログラムレベル・機関レベルということなんですけれども,これについては,アメリカの認証評価機関の方で整理されていましたので,ご覧ください。本日は詳しくお話はしませんが,参考にはしていただけるかなと思います。
 こうした枠組みを使いながら,日本の学習成果の可視化の状況を見たときに,私が重要だと思っているのは,プログラムレベル,つまり学位プログラムレベルの評価をどう行うかという課題です。これについては,文科省の調査でほぼ毎年ですが,「課程を通じた学生の学修成果の把握方法(学部段階)」が調査結果として出されています。それを見ますと,標準テストや質問紙調査についてはかなり増えてきていますが,ルーブリックとか学修ポートフォリオについては伸び悩んでいるという感じです。ただ,質問紙調査とか標準テストにはそれぞれ限界もあります。質問紙調査については,先ほど言いましたように直接評価の代替にはならないということです。また,標準テストについては,ディプロマ・ポリシーとか教育目標と合致しているとは限らないということです。そのほか,我が国の大学で以前から用いられているものとして卒業論文があります。これは非常に重要な学習成果の評価方法だと思いますが,1つネックになるのは,卒業直前になるまで把握できないということです。
 こうした問題を踏まえて,ではプログラムレベルの直接評価にほかにはどんな試みがあるかということですが,まず,卒業論文や修士論文でも,これはここにいらっしゃる佐藤浩章先生が愛媛大学におられた頃に関わっておられた取組ですが,修士論文用リサーチルーブリックというものを作って,入学時から年に二度,学生が教員と一緒に評価することにより,作成プロセスにも関わって評価をするという例があります。
 それから,ポートフォリオとかeポートフォリオについて見ますと,関西国際大学の例は非常によく知られているかと思いますが,例えば,京都大学の教職科目でも,5つの目標を設定し,ルーブリックを用いながらポートフォリオを作成・評価するというようなことをやっています。
 それから,創価大学では,各学部の1,2,3・4年次の専門科目3つをアセスメント科目として設定し,全学共通ルーブリックを用いながら,学生が汎用的能力を自己評価するといったような試みも行われています。
 こういったものも非常にすぐれていると思うんですが,きょうは,もう一つ新しい提案を行いたいと思います。それは,カリキュラムの中で重要科目を選び,その重要科目で,教員チームによってしっかりした評価を行い,それによって科目レベルの評価とプログラムレベルの評価をつなぐというものです。これを私たちは,「重要科目での埋め込み型パフォーマンス評価」,Pivotal Embedded Performance Assessment(PEPA)と名付けました。
 それぞれ聞き慣れない言葉かと思いますので,簡単に説明させていただきます。まず,「重要科目」というのは,その授業科目の目標がプログラム全体の目標に直結するような科目のことです。例えば,それまでに学んだ知識やスキルを統合して,高次の能力を育成・発揮することを求めるような科目がそれに当たります。具体的には後ほどお話ししていきます。
 「埋め込み型」というのは,「追加型」と対照的に使われる言葉で,授業科目の評価の中に埋め込む形でプログラムレベルや機関レベルの評価を行うというものです。授業科目のカリキュラムとは別立てで追加型で評価を行うのではなく,その授業科目の評価の中にプログラム・機関レベルの評価を埋め込むということです。
 3番目の「パフォーマンス評価」というのは,学習者のパフォーマンス,これは作品――作品といっても,レポートとか卒業論文や製作物などですが――,それから実演――こちらは口頭試問とかプレゼンテーションなどですね――,そういったものを手掛かりに,概念理解の深さや知識・スキルを総合的に活用する能力を評価する方法をパフォーマンス評価と言っています。
 以下では,この方法,PEPAについて,新潟大学の歯学部の事例を用いながら御説明していきたいと思います。
 私は,新潟大学歯学部の先生方とこの8年ほど共同研究を行ってきました。PEPAは,その中で作られてきたものです。新潟大学の歯学部には2つの学位プログラムがあります。1つは歯科医を育てる歯学教育プログラム,もう一つは歯科衛生士や社会福祉士などを育てる口腔保健福祉学教育プログラムです。以下では歯学教育プログラムの方に絞ってお話ししていきたいと思います。
 3ポリシーは,公表されておりますので,詳しくはそちらをごらんいただくといいんですが,現在修正中ということですので,修正案の方をここには載せています。ディプロマ・ポリシーについては,読みませんけれども,そこに書いているように,特に問題解決ということが重視されております。そして,そのディプロマ・ポリシーからプログラムの到達目標が設定されています。それから,カリキュラム・ポリシー,これは一部を抜粋したものですが,こちらは読みます。「本プログラムでもっとも重視する学習成果である歯科臨床能力は,歯科医療という文脈における問題解決能力と定義できる。低学年から高学年に向けて,問題解決能力から歯科臨床能力へと専門性・総合性・真正性を高めて育成し,その学習成果をプログラムの教育目標に直結する重要科目で直接評価して卒業生の質を担保する」となっています。
 今も出てきましたが,プログラムの到達目標は――新潟大学の場合はどの学位プログラムでもそうなんですが――,知識・理解,専門的能力(分野固有の能力),汎用的能力,態度・姿勢の4つの柱があって,そのそれぞれについて複数の目標が立てられています。一見すると目標が非常にたくさん並んでいる感じがするかもしれませんが,6年間で身に付けたい,達成したい目標ということで考えると,それほど多いということはないのかなと思います。
 続きまして,では,そのカリキュラムと評価の関係がどういうふうになっているかということなんですが,そこにカリキュラムツリーを挙げております。新潟大学の歯学部の6年間のカリキュラムは,大きく4つの時期に分かれています。第1期が教養教育と大学の学習への転換の時期,第2期が基礎,第3期である程度の応用を学んで,第4期は臨床実習などで実践をし,自己省察を行っていくという,この4つの時期です。細かく丸数字を入れておりますのが先ほどの到達目標です。この4つの時期それぞれについて重要科目が選ばれていまして,そこでしっかりしたパフォーマンス評価をやることによってプログラム全体の評価につなげるというのが,先ほど申し上げました「重要科目における埋め込み型パフォーマンス評価(PEPA)」という方法なのです。
 では,そのパフォーマンス評価としてどういうことが行われているかということなんですが,第1期は,大学学習法でのレポート評価です。これは歯学部に限らずいろんな学部で使えるものではないかと思います。第2期では,プロブレム・ベースト・ラーニングにおける問題解決能力の評価です。第3期は――ここら辺から非常に歯科らしくなってくるんですが――,模型・シミュレーション実習における歯科臨床能力の評価。そして第4期が診療参加型臨床実習におけるポートフォリオ評価と臨床パフォーマンス評価ということになります。
 きょうはこのうち,ある程度汎用性があると思われます第1期のレポート評価についてお話ししていきたいと思います。
 大学学習法の授業で私たちが使っているのが,ここに挙げた「論証モデル」です。これはトゥールミン・モデルなどを参考にして作ったものです。レポートにしても,卒論にしても,まず問題を立てて,それに対する結論を導くということが大きな柱です。その結論に至るプロセスでは,複数の主張が組み合わされ,構造化されるわけですが,そのそれぞれの主張に対して,どんな事実・データを用い,それをどう解釈し,論拠として,主張の根拠とするかということが一方で必要になります。それからもう一方では,設定した問題に対して異なる意見とか対立意見が普通あると思うんですけれども,その対立意見に対してどういうふうな論駁を行うことによって自らの主張を正当化していくか,それが必要になります。こういった形でレポートを組み立てるという学習を,まず授業の中でかなりやります。
 この論証モデルに沿った形で,私たちはライティング・ルーブリックというものを作りました。これもかなり試行錯誤を行って,今ではこの6観点と4つのレベルで構成されています。ちょっと済みませんが,ここは詳細を省かせていただきます。
 そして,このルーブリックを使いながら,学生自身の自己評価と教員による評価とを行っていきます。この大学学習法という科目は1年の前期と2年の前期に置かれていまして,そこに挙げた図に1年の前期と2年の前期の得点の変化を載せております。図のヨコ軸の項目,例えば「背景と問題」というのが先ほどのルーブリックの各観点,6つの観点です。これをごらんいただくと,すぐ気づかれることが2点あるかと思います。1つ目は,1年生のときと2年生のときの教員評価――青い濃い色とオレンジの濃い色――を比べると,非常に伸びているということです。それからもう一つは,1年生のときは教員評価と学生の自己評価の間に大きなずれがあるんですが,2年生になるとそのずれがほとんどなくなってくるということです。これは非常に大きな変化だと思います。新潟大学の歯学部では,どの学生もルーブリックのすべての観点でレベル1までは最低達成する。理想的にはどの学生もレベル2まで達成する。もちろん3まで行ければいいわけですけれども,どの学生もということになると難しいので,レベル2までということを理想的な合格基準というふうにしています。
 この変化というのは,ルーブリック得点によって把握されるというだけではなくて,学生の感想や意見などを聞いてみますと,学生自身も1年生と2年生のレポートの比較を通じて,その伸びというのを実感できているということがよく分かります。こういった学生自身が自分の変化をどう捉えているかということも非常に重要な学習成果の評価方法だと思います。
 こういうふうにして,単なる学習の評価ではなくて,学習のための,あるいは学習としての評価になっている,つまり,形成的評価としての機能を持つようになっているということが,新潟大学歯学部の重要科目で2回にわたって評価を行うことの意味です。
 ここまでは大学学習法という科目のお話をしてきたんですが,どの重要科目でも,こういうふうに1・2というふうになっていまして,1回目は合格基準に達してなくても,2回目には合格基準に達するようにという形で形成的評価の機能を持たせるようにしています。診療参加型臨床実習というのはいろいろな科を回ってポートフォリオを使って評価をしていきますので,1・2というふうにはなっていないんですが,やはり形成的評価の機能は持たせてあります。
 こうした重要科目というのはなかなか運営が大変だと思うんですけれども,新潟大学では特定の教員に負担が偏らないように,まず学部長,副学部長の下で,各重要科目についてコアメンバーを選定し,そして,そのコアメンバーの先生方がチューターを組織するという形で運営されています。コアメンバーは1人ではなくて複数いらっしゃるんですが,コアメンバーの先生方にある程度責任を持ってもらって,こういう形でチームを組んでやっておられます。それから,ガイドブックも作成しておられまして,リソース面でも先生方の負担を減らす努力をしていらっしゃいます。
 最後にまとめです。大きく5つあります。
 まず,学習成果の可視化(評価)には多様な方法があるということです。それらの方法の特徴を把握して,使い分けることが必要で,くれぐれも評価疲れにならないようにするということが重要かと思います。
 2番目に,学習成果の定義を踏まえれば,評価のメインは直接評価になると思います。間接評価による代替は困難であるということです。しかしながら,一方で,間接評価には,独自の意義と使用法があります。
 3点目は,学位プログラムレベルの評価をどうするかというのが,大学教育やその質保証における大きな課題になっているということです。ここでは質問紙調査や標準テストがかなり用いられるようになっていまして,それはそれで意義があると思いますが,それだけでは不十分だと考えております。
 4番目に,教員と学生が日常的に関わっている科目レベルの評価というのをもっと活用すべきではないかということです。学位プログラムレベルの評価とつなぐということを考えるべきではないかと思います。従来は,卒業論文・卒業研究やポートフォリオ評価,アセスメント科目の設定などが提案されてきましたが,本日,新しい方法として,重要科目での埋め込み型パフォーマンス評価というものを提案させていただきました。
 きょうお話ししたのは歯学部で,医療系というのは資格を取ることになっていて非常に目標が設定しやすいということもあります。今,ほかの分野でもこういう形の評価ができるないか,試験的にやっているところです。
 以上です。
【日比谷座長】  御発表ありがとうございました。
 それでは,質疑の時間は後ほどとしまして,これから事務局より本日の資料の御説明をお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  それでは,資料の説明をさせていただきます。資料2は,前回の主な御意見ということでございますので,説明は省略をさせていただきます。
 資料3でございます。資料3は,先ほど座長の方からもお話ございましたが,この特別委員会における今後の議論の見通しなども踏まえますと,実は「情報公表」というのが後ほど用意されているわけでございます。グランドデザイン答申の中において,学修成果の「把握・測定」ということと「公表」ということをちょっとフェーズを分けて書かれておりまして,「把握・測定」の目的としては,主にどうやって教育活動の見直しなど大学内部において情報を利活用するかと。公表という部分は対外的な説明責任ということで位置付けられているものでございます。
 今回は,ロードマップ上も「学修成果の把握・可視化」ということでございますけれども,丸6番の方で「情報公表」というものがございますので,実際に今回,「把握・測定」をどのように行うかということの議論はしていただきたいと思うわけでございますが,これをどのような形でどう公表していくのかという議論は,また別の機会でということで整理をさせていただきたいと思っているものが資料3でございます。
 続きまして,参考資料の1をお手元ごらんいただきたいんですが,本日から学修成果の把握・可視化という議論に入っていくわけでございます。これまでも5回にわたって御議論を繰り広げていただいたわけでございますけれども,学修成果の把握・可視化という部分については,これまでの答申でもそれほど多くの部分が触れられているわけではないという話題なわけでございます。今回御議論いただく指針については,この日比谷座長の方でおまとめいただいたペーパーにもございますように,これまで改革に真剣に取り組んで先導的な成果を生み出してきた大学を一定の型にはめるということを意図するものではなくて,なかなか改革の成果が十分な成果に結び付いていない大学に確実に実施されることが必要とされる水準というものを骨太に示していこうということの方向がまとめられているわけでございます。学修成果の把握・可視化については,特に大学の自主的な取り組みが求められるという趣旨も踏まえまして,一度,この整理について言及をさせていただきました。
 資料4-1を御説明させていただきます。資料4-1については,学修成果の把握・可視化ということでございます。
 丸4番の下に四角がございまして,2つ,大学全体レベルの前に黒丸がございます。
 学修成果の1つ目,黒丸でございますが,把握・可視化の議論に当たっては,学位プログラムがいわゆるディプロマ・ポリシーに定める能力を備えた学生を育成できていることを,エビデンスとともに説明できるようにすることが必要であると。これは大学側の理屈でございます。
 また,学修者の目線に立てば,一人一人の学生が「卒業認定・学位授与の方針」に定められた到達目標をどの程度達成しているかということをエビデンスと共に自らが説明できるようにするということが重要であるということでございます。当然,学位というものの性格に照らして考えれば,ディプロマ・ポリシーというものにはかなり多様な内容が盛り込まれるということが考えられるということでありますし,また,学生が身に付けたものをどのように表現するのか,表すのかという部分も相当多様なものがあるのであろうということだとは思うわけでございますけれども,今回の特別委員会,これまで何ができるようになるのかとか,また,特に○○できるといったような観点というものに着目して,どのように教学を改善していくのかというような御議論を頂いているところでございます。
 今回は,そのような意味において,ディプロマ・ポリシー,また,こういった能力のうちに,特に何ができるようになるのか,○○できるというという点に着目して,以下の整理というものをさせていただいているものと御了解を頂ければと思います。
 大学全体レベルでございます。
 1つ目の黒丸でございます。これは従来から書かせていただいてございますが,学修成果の可視化,教育成果の把握,こういったものについては,世界的にもこれが決定打だという標準化されたものが存在しているわけではないということから,やはり各大学が自主的に策定・開発を進めていくということが強く期待されるということでございます。
 2つ目の黒丸でございます。この把握・可視化した情報というものについて,しっかり学位プログラム共通の考え方,尺度,従来はアセスメント・ポリシーと称していたものでございますけれども,このようなものを踏まえて点検・評価に適切に活用するということ。これをしっかりとあらかじめ定められた目標の達成状況と照らし合わせて,既存のカリキュラムや教育手法の見直し等の改善につなげていくということが必要ではないかということでございます。
 3つ目の黒丸は,しっかりと体制を整えて行う必要があるということについて軽く言及しているものでございます。
 次が,2.の学位プログラムレベルでございます。
 今回の内容としてはここが大きく中心になるかと思うわけでございますけれども,1つ目の黒丸でございます。一人一人の学生が学修成果を自ら説明することを可能とする。大学が対外的に教育成果を説明すると。そして,それを教育改善につなげていくということができるようにするためには,ディプロマ・ポリシーに定める能力を学生が実際に身に付けているのか,また,個々の授業科目の成果とか大学内外のおける学生としての活動の成果というものが,その掲げられた能力を身に付けることに実際にどのように寄与しているのかということの関係性を明らかにするということが非常に重要でございます。
 2つ目の黒丸でございます。こうした考え方を踏まえますと,従来,いわゆる科目ごとの評定を示した成績表というものは存在するわけでありますけれども,これだけでは「卒業認定・学位授与の方針」が達成できているかどうかということの達成状況を明らかにすることは直ちには難しいだろうと。もちろん,エビデンスとして活用可能な情報というのは多岐にわたるわけでございますが,このような情報というものをしっかりと組み合わせて,また,ディプロマ・ポリシーの各項目と関連付けながら,このディプロマ・ポリシーに定める能力をどのように身に付けているのかということを示していくことが考えられるのではないかということでございます。
 3つ目でございます。その観点から極めて重要なことでございますが,個々の授業科目において設定される到達目標を達成することで,ディプロマ・ポリシーに定められたどの能力を伸長させるのかということがあらかじめ明らかになっていることが重要でございます。このように,ここでは,個々の掲げられた能力というもの,何々できるようになるということの観点でございますけれども,と個々の授業科目の評価というもののひも付け関係というものが明らかになることによって,一定,ディプロマ・ポリシーの達成状況というものを説明するということが可能になってくると考えられるわけでございます。
 4つ目の黒丸でございます。そのような観点から,同じように,授業科目のみならず,ディプロマ・ポリシーに定められた能力にどのように結び付くのかということをあらかじめ検討して明らかにした上で,アセスメントテストや学外試験等の結果を活用するであるとか,また,学生の成長実感や満足度の情報というものもそういったものに組み合わせて,より包括的に様々な形で学生の持つ能力に関する説明を行っていくということが考えられるのではないかということでございます。
 ここまでは,個々の掲げられたディプロマ・ポリシーの何々できるということと,個々の情報をしっかり結び付けていくことが重要だということを述べた部分でございますが,5つ目の22行目,黒丸からでございますけれども,ここからはディプロマ・ポリシーの内容そのものをどのように,直接的に把握にいくのかという観点で書かれているものでございます。学位プログラム単位で「卒業認定・学位授与の方針」に定める能力を測定するための例えばルーブリックを作成した上で,その定められた能力のそれぞれの項目と極めて関連性が深い特定の授業科目や卒業論文,また,学修ポートフォリオに蓄積された学修履歴を総体的に評価するなどして,直接的な――ここではちょっとこういう言葉を使っておりますけれども,手法でディプロマ・ポリシーに掲げられた能力の獲得状況というものを評価しにいくと。そのような結果として,一人一人の学生がより具体的に自らの学修成果というものをポリシーに照らして説明していくことを可能にしていくということも考えられるのではないかということでございます。
 このように,ディプロマ・ポリシーに掲げられた能力というものを本当に見出しているかどうかということを直接的に評価にいくというものは,先ほどの委員の御発表にもありましたけれども,かなり負担が大きいということもありますので,では,全てでこれをやれというのはなかなか現実的ではないんだろうと。そのような観点から,重要な特定の授業科目とか仕組みでございますね,卒業論文とかポートフォリオとか,こういったものに限定して実施をするということが,負担の軽減の観点からは重要ではないかということでございます。
 一番下の黒丸でございます。方針に照らして適切な場合に,その能力というものを直接捉まえにいくという手段としてアセスメントテストや学外試験というものの活用ということも当然考えられ得るわけでございますが,アセスメントテスト等の目的や測定方法というものがその能力の測定にとって本当にフィットしているものであるのかどうかということは,これは慎重に検討していく必要があるということではないかと思います。テストをやればそれでよしということではないのではないかということを書いているものでございます。
 次のページに行っていただきます。上の部分でございます。学生の学修時間・学修に対する意欲というものについては,単位または大学に関する制度の趣旨ということを考えると,その学位プログラムというものが構築された上で,当然,期待される水準の能力を身に付けるための前提条件,一般的な前提条件を満たしているかとかいうことを明らかにするための情報として活用していくということが考えられるわけでございます。誤解のなきようにという意味で申し上げておきますと,これは学修時間の把握とかの話は後でまた出てまいりますけれども,これは以前ここでも御説明申し上げた学生調査とかいう話とは全く別の話でありまして,ここは各大学で行っていただく活動ということについて触れているということであるということについては強調させていただきたいと思います。
 次の黒丸,学修ポートフォリオというものについては,様々な情報を体系的に蓄積・収集するという観点から非常に効果的に機能すると考えられることが書かれてございます。
 3つ目の黒丸でございます。進路の決定状況,卒業後の状況,また,卒業生に対する評価というものについては,大学全体の教育成果に対する評価を示す情報として重要ではないかということでございます。実際にディプロマ・ポリシーに定める能力を身に付けているかとか,また,大学が自ら評価している成果というものと,また,就職先の社会などにおける評価というものを照らし合わせて,より詳細に把握することで自らの教育活動を顧みる情報として活用することができるのではないかということでございます。
 別紙の方でグランドデザイン答申において示された各観点について,把握する意義,どのような内容を把握・可視化すべきか,考え方を整理してございます。後ほど説明をさせていただきます。
 このペーパーをまず説明させていただきます。最後の黒丸でございます。学修者本位という視点に立ったときに,自ら説明できるようになることが重要であるということを累次申し上げているわけでございますが,大学としてもこういった把握・可視化した様々なエビデンスというものを,「卒業認定・学位授与の方針」の各項目にひも付けて分かりやすく整理をする,それを学生に使える形として提示をしていくということが望まれるということでございます。学生は,その個々の項目にひも付けて整理された情報というものをしっかり社会に示していくというような活用が考えられるということと,学生が同意するということが前提でありますけれども,学修ポートフォリオに蓄積された情報というものを一定社会に開示していく。こういったこともその学修成果というものを見せるという意味では有効ではないかということでございます。
 一旦,最終ページ,授業科目レベルについて説明させていただきます。
 個々の授業科目については,これは成績評価などのところで言及されているところでございますが,「卒業認定・学位授与の方針」を踏まえて設定された個々の授業科目の到達目標というものを,まずどの程度達成できているかどうかということが明らかにされることが大前提でありまして,そのためには,到達目標に応じた適切な成績評価手法が選択されるということ。また,これに基づいて個々の授業科目において厳格かつ客観的な成績評価を実施するということが大事なわけでございます。個々の授業科目の評価というものを,「学位授与の方針」の能力を身に付けているということにひも付けるということによって,学生一人一人が自らその能力を満たしているということの説明というものを一定行うことが可能になるということになりますので,学生の個々の授業科目の成績評価,こういったものを含む「単位の取得状況」というものは,これは最も基礎的な情報でありまして,学修成果の把握・可視化の「出発点」ということで位置付けられるということでございます。ですので,学位プログラムのところが中心になっているように見えるわけでございますけれども,科目の部分というのが出発点であり,中心であるということでございます。
 最後の黒丸でございます。ここにつきましては,学位プログラム単位で「卒業認定・学位授与の方針」に定められた能力を測定するためのルーブリックを作成した上で,学位プログラム全体の到達目標と関連性が深い科目であるとか,卒業論文であるとか,こういったものを評価していくということを考える場合には,非常に作り込みというものをしておくということが重要だろうという趣旨のことが書いてあるわけでございます。カリキュラムレベル,授業科目レベルの双方において,どのような形で課題を設定して評価をするのか。また,その授業科目の内容そのものについても慎重に設計することが必要でありまして,特にそういった方針に掲げられた能力というものを評価するという科目の重要性というものに鑑みますと,個々の教員ではなく教育課程を担当する教員が集団で体制を組んで,学位プログラム全体で通用する評価となるようなことというのを作り上げていくということが極めて重要だということが書かれているものでございます。
 4-1は以上でございます。
 4-2でございます。4-2は非常に詳細・多岐にわたっている資料でございます。これ,全部説明していると議論の時間が確保できないわけでございますので,ちょっと作りを御説明した上で重要な点だけ御説明をさせていただきたいと思います。
 一番上の部分に前提という部分が書かれているわけでございます。これは,これまでの各会議で資料上位置付けられてきたものというものが書かれているわけでございます。このような条件というものが満たされて初めて,把握・可視化というものの意義というものが利いてくるというふうなものとして御理解いただければと思います。
 そして1.と2.に分かれてございます。1.というものが,グランドデザイン答申において把握・可視化というものを大学に義務付けることが考えられる情報でございます。2.というものについては,これはどの分野,どの大学でもということでは必ずしもないものであるので,把握・可視化の在り方について義務付けということではなく,一定の指針を示すということが考えられる情報ということでございます。
 そして1.の情報という部分に黒い太い枠で囲われているわけでございます。これは最後,義務付けということになると,もちろん法令上,省令上という形になると思いますけれども,位置付けられていくときには,もちろん,この右に書いてある意義とか内容とか方法という部分まで義務付けるというよりは,この事項というものについて位置付けた上で,その運用方法という部分をこの教学マネジメントの指針において一定のガイドラインとしてお示ししていただいていくというような想定でございますので,義務付けという意味においては,この太字の項目というものが法令上位置付けられていくということが想定される項目ということで,あえて強調しているものでございます。
 さて,各項目につきまして,先ほど申し上げたように丸1番,把握・可視化の意義,丸2番,どのような内容を把握・可視化するのか,そして,どのような方法で行うのかということを書いているものでございます。
 ちょっと例を挙げて御説明をしたいと思います。単位の取得状況という部分で申し上げますと,把握・可視化の意義といたしまして,学生が「卒業認定・学位授与の方針」を踏まえて設定された個々の授業科目の到達目標をどの程度の水準で達成できているかどうかがまず明らかになるということでございます。これに加えまして,ディプロマ・ポリシーに定める能力を直接的に測定できるというふうに設定された科目においては,この科目の状況というものを知ることで,学生がディプロマ・ポリシーに掲げられた能力をどの程度の水準で備えているかを明らかにすることができるということでございます。
 2つ目,把握・可視化の考えられる内容ということでございますと,ここに書いているように,学生が単位を取得した授業科目に関する情報でございますとか,また,下のポツになりますけれども,ディプロマ・ポリシーに定める能力を測定できる科目については,その能力の達成状況というものを把握するということでございます。
 このような形で,各項目,位置付けられているわけでございます。例えば進路の決定状況,1枚目の下という部分でございますと,学位プログラムが,進学や就職を希望する学生に対して進路を保証できているかどうかを明らかにするといった意義でありますとか,また,実際に自分のプログラムというものがディプロマ・ポリシーに照らして期待される人材育成を行っているかどうかを,進学先の大学院や就職先の企業における評価と対照することなどを通じて明らかにするといったこと。
 例えば丸2番,把握・可視化する内容としては,もちろん,進路ということは把握するわけでありますが,それ以前に,そもそも学生が何を進路として希望しているのかということを把握しておく必要があるということでありますとか,最後のポツでありますと,特定の職域の人材育成を目指すような学位プログラムということであれば,実際にその職域に人材が輩出されているのかどうか,このような観点については把握することが必要だろうと,このようなことを書いているわけでございます。
 また,右側,把握・可視化の方法で言いますと,これは学生にお伺いするということに当然なるわけでございますけれども,特定の進路という部分,自分の学位プログラムというものが特定の職域などに送り込むということを設定している場合には,あらかじめこれを決めておいた上で,その一致の程度というものを把握するといったことも必要だろうということが書かれているわけでございます。
 このようなことが,2枚,3枚,4枚と書かれているわけでございます。
 2枚目の方の義務付け項目については,学修時間,成長実感・満足度といったものと,学修に対する意欲といったものが書かれてございます。これについても様々説明が書かれているわけでございますが,個々省略をいたしますけれども,学修時間の丸3番の部分,これは先ほど申し上げた国で今後施行いたします学生調査とは全く別の文脈,大学が自らとり行う把握ということでございますけれども,もちろん,学生にアンケートを行った上で学修時間等については把握をするということ。丸2番に書いてありますように,単に実際何時間やったんですかということではなくて,それは学生さんが履修している単位数に応じて当然その時間は変わりますので,何単位履修しているのか,それに応じて,当然,これぐらいは一般的には期待される学修時間だろうということと対照するということが必要なわけですが,こういったものを把握するときの方法という部分で,ちょっと斜体で書いてございますけれども,学修時間というものの集計単位というものはどのような形で把握するべきなのか。1時間単位なのか,例えば幅を持たせて調査をするのか。集計期間というものはどのような形でお示しするべきなのか。平均的な1週間とここで書かせていただいておりますけど,例えば試験前の1週間ということになれば,それは学修時間が上ぶれするといったことも考えられるわけでございますので,こういった辺りは指針として何かお示しすべきなのか,するとしたらどの程度なのかというところについては御意見を賜れればと思います。
 また,2.に入りまして,個々の一定の指針というものについては,アセスメントテスト,学外試験のスコア,資格取得,受賞,表彰歴の状況,こういったものがまず書かれているわけでございます。この辺りにつきましては,当然,個々のテストとか個々の試験,個々の受賞,資格というものが何を能力として表し得るものなのかということは十分把握した上で,また,自らの大学の方針というものとどのように関係しているのかということを分析しておいた上で把握をするということが重要であるといったようなことが共通して書かれているわけでございます。特に,先ほど申し上げましたが,学外試験やアセスメントテストというものを使う場合には,その内容というものが自分の大学のポリシーというものと合致しているかどうかということを十分検討することが必要でございます。
 最後の裏のページでございます。ここについては,卒業論文・卒業研究の水準というものが書かれているわけでございます。卒業論文・卒業研究というものにつきましては,いつぞやの会議で委員からも御指摘を頂いているわけでございますけれども,非常に包括的に能力を測定するという意味において非常に考えられる手法ということでございます。卒業論文・卒業研究というものをしっかりと評価することによって,一般的には専門教育に係る能力というものがどの程度に身に付いているかということが総合的に分かってくると。これに加えまして,それ以外につきましても様々な卒業論文・卒業研究にまつわるプロセス,過程を通じていろいろなものを測定することができるということが考えられるということでございます。内容と方法については,ルーブリックなどを使うといったようなことについて言及をされているものでございます。
 最後,卒業生に対する評価という部分でございます。これは単に,以前出てまいりました卒業後の状況を把握すると,数字で把握するということを超えまして,実際に就職先の企業とか進学した大学院というところにヒアリングなどに行きまして評価をお伺いしてくると。こういった形でより詳細にやっていくということも必要なのではないかということを挙げさせていただいているものでございます。
 若干時間を超過して恐縮でございますけれども,私の説明はまずはこの程度とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,まず,先ほどの松下委員の御発表に関する質疑,コメントを10分程度行いたいと思いますので,どなたからでも札をお立てください。
 では,大森委員,お願いします。
【大森委員】  先生,ありがとうございました。大森です。
 お尋ねしたいのは,間接評価と直接評価の,頂いた資料だと6ページのところがすごく分かりやすく,量と質と直接と間接ということでお示しいただきました。この全体に流れるところなんですけれども,間接であろうが,直接であろうがということかもしれないんですけど,評価といったときの評価者とは誰なのかということはどうなんでしょうかというのは,この後の意見の部分でも関連してくるんですけど,私の主張としては,やっぱり学生自身ということを主張し続けたいと思っているんですが,さっきの例えば関西国際大学さんなんかは勉強させてもらっていますけれども,基本的にはあれは評価者は学生自身であると思うんですが,それでも直接評価の例として挙げていらっしゃったと思うんですね。つまり,学修者による記述というのは間接ですよと。だけれども,学修者によるポートフォリオ評価は直接ですよという理解でよろしいんでしょうかという。お願いします。
【松下委員】  御質問ありがとうございます。すごく重要なところを御指摘いただきまして,感謝申し上げます。
 間接評価・直接評価の区別と,教員による評価と学生自身による自己評価の区別というのは,よく混同されるんですけれども,私はその2つの区別は別物だと考えております。どういうふうに間接と直接が分かれているかというのは,その次のスライド7の定義にあるように,実際に何かの評価課題を用いて知識とか能力といったものを表出し,それをどんな基準を用いて評価するのかということがちゃんとたどれるようなものが直接評価になります。評価者が教員であっても学生であっても,それに関係なく直接評価です。例えば,先ほど新潟大学の事例,スライド20で,同じ課題のパフォーマンスについて,同じルーブリックを使って学生と教員でこういうふうな違いがありましたというお話をしました。これはどちらも直接評価なんですが,学生による自己評価と教員による評価の得点の差を見たわけです。
 先ほど大森先生がおっしゃったように,最終的には学生が自分でちゃんと評価ができるようになるということはとても重要ですが,自己評価能力を育てるということが一方で行われないといけないと思います。きょうの資料4-2にありますように,学修成果の把握・可視化ということが,「学生が」という主語と,それから「学位プログラムが」という主語――「学位プログラムが」というのは,「大学が」とか「教員集団が」ということになるんだと思うんですが――,この2つの主語でどの資料も書かれているんですね。ここはすごく重要なポイントだと思います。ただ,ここで1つ申し上げておきたいのは,学生は最初から自己評価能力があるわけではないということなんですね。学生の自己評価能力を育てていくことと併せてやらないと,学生がなかなか自分では自分の学力とか能力といったようなものについて適切に評価できないことが結構あるということです。
スライド20にありますものでも,1年生と2年生でライティングの能力が付いてきて,それをきちんと自己評価できるようになった2年生の段階ですと,学生の自己評価も使えると思いますが,1年前の段階ですと,ちょっとこれをそのままエビデンスとして使うことは難しいかなと考えています。
【大森委員】  ありがとうございました。
【日比谷座長】  それでは,浅野委員,佐藤浩章委員,それから溝上委員の順でお願いします。
【浅野委員】  御発表ありがとうございました。私の方から2点ほど確認をさせていただきたいと思います。まず1点目は,スライド12のところに挙げていただいている重要科目についてです。本日の資料では「授業科目の目標がプログラム全体の目標に直結する科目」と定義いただいていますが,DPごとにそれぞれ到達目標があって,個々の授業が到達目標の達成に寄与するという従来の考え方で対応関係を示すのが難しいように見えてしまいます。なぜなら,単一の重要科目が全てのDPの到達目標に貢献するというような状況は基本的に想定できないか?といいにしにくいかなというのがありまして,そこをどう捉えるのかというのが1点目です。
 もう一つは,本日の資料11、深堀委員が出しておられる資料とも関わって,ちょっと気になったのは,重要科目を仮に埋め込んだとしたときに,それぞれのDPの達成度をどうやって区分けして見ていくのかと。要は,重要科目でプログラム全体の達成度を評価するとしても,個々のDPの達成度が分からないと,結局それぞれのDPがどういうふうに達成されたのかというのは分からなくなるというところがあるので,そことの兼ね合いでちょっとお伺いしたいと思いました。
 以上です。
【松下委員】  2点の御質問はかなり関連があると思いますので,まとめてお答えしたいと思うんですけれども,スライド16をごらんいただけますか。この図が分かりやすいと思うんですが,重要科目というのは,ディプロマ・ポリシーあるいは到達目標に対応する複数の目標がその1つの科目の中で目指されているような科目です。それまで学んだことを使いこなす,知識やスキルといったものを統合して使いこなすようなことが求められる科目です。ですので,1対1に対応しているわけではありません。もちろん,日本は単位制度をとっていますから,それぞれの授業科目で目標が挙げられていて,その授業科目でちゃんと合格するということは一方でやりつつ,ただ,単に単位の集積ということだけではディプロマ・ポリシーへの到達というか,それをちゃんと実現できているかが分かりにくいということと,学生にとっても,複数の授業で学んだことをまとめて統合して発揮するような機会を与えるということがとても重要であるという考えから,こういうふうな重要科目を設定して,そこで教員集団で評価をするという,そういうやり方を考えました。
【浅野委員】  ありがとうございます。
【日比谷座長】  佐藤委員,どうぞ。
【佐藤(浩)委員】  私の質問も今の浅野委員とちょっと関連しています。19ページに大学学修法のライティング・ルーブリックというのがありまして,これを「大学学修法」の1と2でどちらでも使うということですよね。同じく「PBL」でも「模型シミュレーション」でもそれぞれ別のルーブリックがあって,1と2で同じものを使う,こういう構造でよろしいですか。
【松下委員】  はい。
【佐藤(浩)委員】  そう考えたときに,今の浅野委員の質問とも関連するんですけれども,例えば6年間にわたって同じルーブリックを使うというアイデアも一つあるかと思うんですね。そうするとDPの測定にも使えるような気もするんですけれども,それは現実的だというふうにお考えですか。それとも,こうのように,1年間ぐらいのスパンで伸びを見ていく方が現実的であるというふうにお考えでしょうか。
【松下委員】  まず,私は評価課題と対応してルーブリックがあると考えていまして,全ての科目をカバーできるようなルーブリックというものは考えていません。例えばレポートですと,毎回,書くテーマが違いますので,全く同じルーブリックを使っていますけれども,例えばPBLですと,部分的には同じものを使いますけれども,評価課題が異なりますので,その評価課題によって少しだけ中身が異なるルーブリックを使います。スライド22で,各ルーブリックの観点を挙げています。ただ,これ,実は観点の名称だけ見るとすごく違うように見えますけれども,基本的には問題解決の最初の立案から最後の実行,そして振り返りまでをそれぞれの課題に合わせて表現しているということであって,そういう意味では,同じルーブリックではないですが,根底に流れているものは共通です。
【佐藤(浩)委員】  そうすると,若干形を変えながらであれば, 4年とか6年ぐらい通して使えるようなルーブリックもあり得ると考えてよろしいですか。
【松下委員】  そうですね。PBLなんかは3年ぐらいにわたって使っていますし,それから最後の診療参加型臨床実習なんかは,「できた」というレベルに達するのは大学にいる間では難しいので,卒業後も,例えば研修医でも使えるようにという,割と長期的な仕様というのを考えて作ってあります。
【佐藤(浩)委員】  ありがとうございます。
【日比谷座長】  溝上委員,お願いします。
【溝上委員】  溝上です。
 重要科目の埋め込み型辺りを特に念頭に置いて,実践的な総論は賛成なんですが,こういう教育成果の可視化ということを議論していくときに,こういう直接評価とか間接評価とかそれに基づく評価観が出てきますので,細かい話をするように聞こえますけれども,ちょっと先に結論を言っておくと,余り測定論的な議論というのを踏まえた主張というか,しないほうがいいというのが私の考えです。つまり,私,心理測定をずっとやっていますけれども,教育の中でデータをとったり,あるいは非常に領域固有性というか,非常に個別な課題から,例えばルーブリックとかそういうところで点数化していく,それ,すごく学修成果につながる大事な作業なんですけれども,そこを測定論的に詰めていくというのは,実践的にそんなに時間とか労が多い割には有益でないことが多いですし,先生がおっしゃるような,先ほどの浅野先生のお話にもつながるかもしれませんけれども,最後のDPを基にした学修成果,これが最終的な成果になるわけですけれども,そこにつながるとも限らない。つなげようと思う努力をすることも可能ですけれども,それを実践的にできるのかという問題があると思います。結論は測定論的に余り言い過ぎない方がいいんじゃないかということです。ちょっと2つに分けて言います。
 1つは,特に8ページを皆さん見ていただきながら,多分ここに結構集約されていると思いますけれども,学修成果の評価のメインが直接評価というのは,こういう教育実践的に私も全く異論はないんですね。そこで止めておけばいいのに,間接評価に対する批判がいろいろ入ってくるので,そこに対していろいろ言いたくなることが出てくるわけです。つまり,結局,自己評価に対する学生の不信感,自己評価に対する先生の不信感というのがやっぱりまず根底にどこかであるんだと思うんですね。それは間違えてないと思います。認知的なゆがみとか,あるいは社会的な望ましさの影響ということは,こういう自己評定というか,調査とかアンケートにおいては必ず介入するものですので,それはもちろんそうなんですけれども,でも,それを測定論的に,あるいは統計的に相関とか関係性を持って言っていくんだったら,それは普通は測定論的にはサンプルの数ですね,これで一つクリアしていくということがあるのと,それでもゆがみを受ける項目はどけていったりすることで,できるだけゆがまないような項目を使っていくということだってあるわけですね。だから,例えば斎藤さんの,今のダニング=クルーガー効果と先生が挙げられているところに言った一つの私の返しですけれども,例えば斎藤さんの直接評価と間接評価の相関でないと言ったって,その間接評価で使われた例えば項目であったり,そこでどれぐらいの精度を持った尺度とか測定をしたのかということがもうちょっと示されないと,測定論的に言えばそこをつなげていく作業だってやろうと思ったらできると思うんですね。だから,ないなんてそんな簡単に言ってもらっては困ると思います。
 それから,DPに結局つなげていかないといけないので,そういう意味では重要科目の抽出をして,そこからパーソン・パフォーマンス評価とかを通していろいろ見ていくというのは,私はとてもいいと思います。その上においても,本当にDPに基づく学修成果というのをどう測定していくかというのは,先ほどの浅野先生の話に絡むかもしれませんけど,非常に難しくて,例えば歯学部のように非常に専門性の高いところでの学修成果,DPに基づく学修成果という話と,そこが非常に多くのいわゆる領域とか課題の多様性をカバーしていくような学位プログラムでのDPというものの測定というのとは,大分性格が違う。かなり難しい話なんですね,これ。だから,幾ら重要科目の埋め込み型を入れていって――私,ここは100%賛成ですので,これ自体,否定はしないんですけれども,でも結局,例えばそれが最後の到達的なところと関連を持たないということであって,多分かなりの数で出てくると思います。そのときにどういう説明をされるのか。私は,そこはあんまりうるさく関連を言っていかない方がいいと。それは冒頭に申し上げた心理測定的に余り言い過ぎない方がいいということを考えとして伝えているわけですけれども,むしろ多分,直接評価はベースとしてとても大事で,間接評価も併せて見ていきながら,そして今進んでいる学修行動調査とか,そういったところも世の中見ていくわけですから,多元的に見ていくということの話がいいんじゃないかなと思いまして,ちょっと長くなりましたけれども,コメントします。
【松下委員】  ありがとうございました。いや,直接評価を間接評価によって代替することが可能であったら,もう間接評価でやればいいという話になると思うので……。
【溝上委員】  いや,その発想が間違えているという話をしているんですね。
【松下委員】  あ,そうですか。
【溝上委員】  代替とかという辺りを,いや,間違えているというか,私から見ればですね。だから,代替じゃなくて,併用すればいいのであって,直接評価がメインであるとは私も賛成しているので,だから,こういう言い方をされるとちょっといろいろ言いたくなる。
【松下委員】  間接評価でずっと研究されていますからね。私は,きょう,あえて測定論的にならないように余りデータとかは出さないでお話ししたつもりなんです。なので,そのデータを出さなかったところについて何かいろいろ言われるのはちょっと心外なんですが。
 私がきょうお話ししたかったことというのは,学生にとって単に学習成果を測定するということよりは,その評価を通じて学ぶという,力を付けていくということができるような評価課題というのをカリキュラムの中の何か所かに埋め込んでいくことが重要だということなんですね。実は,ルーブリックによって評価するかどうかというのは2番目に来るようなことで,別にルーブリックじゃなくても,もう少し包括的に評価するようなやり方でもいいと思っています。ですが,重要なことは,ちょっと繰り返しになりますけれども,それまでに学んだようなことを学生が自分で組み合わせたり,かなり現実場面に近いような課題の中で使いこなすような,そういうふうな課題をカリキュラムの中に複数回入れていくということによって,学生の成長を支えていくような評価というのを考えるべきじゃないかということであって,これが,きょう申し上げたかった一番のところです。
 その評価課題というのは,DPに沿って立てられた目標に合わせて作っていきますので,その評価課題をやることでDPからそれるということはちょっと考えにくいですね。きょうお話ししたようなというものも……。
【溝上委員】  いやいや,だから……。
【松下委員】  あ,それはもうない?
【溝上委員】  測定論的にと言っているので。多分ね,私の言っている測定論的と先生の言う測定論的は違うと思います。この議論は……。
【松下委員】  あ,してもね。
【溝上委員】  する必要はないので。
【松下委員】  はい,そうですね。
【溝上委員】  先生のおっしゃっている,今,そこが大事だとおっしゃっているところは私も大事だと理解していますので。
【松下委員】  あ,そうですか。はい,分かりました。
【溝上委員】  はい。私もやっていきたいと思いますし。
【松下委員】  はい。ただ,8ページで挙げた研究の中で用いた間接評価は,間接評価としては非常によく使われている,有名なものを使っております。ただ,もちろん,間接評価でも細かく評価項目を具体的に書いていくと,直接評価とのずれは多分小さくなるかなとも思っています。そこはおっしゃるとおりかなと思います。
 それからもう一つ,医療系で非常に限定されているという点もちょっと指摘されたと思うんですけれども,私は教育学部出身なんですが,例えば教育学部でも,例えば2年生でゼミレポートを書いたりとか,あるいは実験や実習をやったときに,そのレポートを書くとか,そういうところで割と複数の知識とかスキルを統合的に使いこなすような課題というのはあると思うんですね。ですから,私は,医療系に限らず,きょうお話ししたような発想で評価を組むことはできるのではないかなと考えています。
【日比谷座長】  それでは,11時も過ぎましたので,松下委員の御発表に対する質疑応答はこれで終えまして,先ほど御説明がありましたけれども,資料4-1,4-2に基づいて可視化についての議論に移りたいと思います。
 事前に書面で御意見をお寄せいただいている委員もいらっしゃいますが,その方々につきましては,是非書面にも言及しながらおっしゃっていただければと思います。
 益戸委員,お願いします。
【益戸委員】  ありがとうございます。民間企業の経営側の視点から,本日のお話を聞かせていただいて,感想と意見を述べさせていただきたいと思います。
 まずお話ししたいのは,松下先生の御発表のようなことがきちっと行われていれば,この委員会での議論は要らないというのが実感です。もともとグランドデザイン答申は何故必要だったかを常に私たちは考えていないといけません。2040年に向かって大学は大きく改革していかないといけないという大前提がありますから,それを忘れてはいけないということをもう一度申し上げます。
 とすると,今松下先生がおっしゃった、評価を通して学ぶということはすごく大切なキーワードです。今,私は外資系の金融からRPAを扱っているIT系の会社に移りました。実際良くわかったことは、今後何が起こっていくかです。本来人間がやるべき仕事をきっちりやれる人が生き残れるということです。機械に代替されるようなことは何かを常に時代の進歩の中で問われながら我々は生きていかないといけない時代が来るということを,今,私は働きながら実感しています。
 とすると,やはり学生に限らず社会人にとっても,自分がこの仕事ないしはこの勉強がどの程度の達成なのか,ないしは自分はどんな能力を持っているのかという,きちっとした能力のポートフォリオを自分で分かっているということは非常に重要です。そのためにも,学生のうちからきちっとした評価をしていただくということに慣れるというのは大切ですよね。決して大学1年生,2年生が自己評価がうまくできなくて,3年,4年になるとできるとは思いません。じゃ,社会人1年生はどうかというと,社会人1年生も駄目ですね。社会人の1年生,2年生になっても自己評価させると,自分の仕事ができているのか,できていないのかすら分からないのが現実です。何がポイントかというと,今,自分がやるべきこと,目的,目標は何かということを明確にして,それに向かってきちっとした評価なり客観的なことを伝えていかないといけないということです。
 だんだんこれから,多分,その手法の話になると思いますが,もちろん,その手法も大切なんですが,それをどう実行していくのかの手段も重要です。吉見先生がおっしゃった,何で日本の学生は勉強しないんだというお話,それからICUの御説明の中でどうやって教員をサポートするのかというようなお話も出ましたが,その手法をきっちりしていくと同時に,それを実現していく手段はゴールです。ですから,松下先生のお話の中で教員間の協働みたいなお話が出てきたんですけれども,私はこれは本当にそれでいいんだろうかと思います。教員は教員としてもっとプロフェッショナルになっていただき,それを支えるスタッフというものをきっちり充実する。さらにスタッフと教員の間を取り持つような仕事ももっと出てくるのではないでしょうか。とすると,いや,そんなことできない,うちの大学ではそんなゆとりがない様な話になりますが,だから,グランドデザイン答申って出たのではないかと,きょう改めて思いました。ですから,今後,どうやって可視化をしていくのか,どうやって公表していくのかという議論もよろしくお願い致します。
 最後に1つ,学生がその卒業後どうなったのかということについても,重要な情報と思います。企業間において,例えば初対面で会ったときに,「益戸さんの会社はどんなところと取引をしているんですか」,「どこがメインバンクですか」,「どんな業績ですか」って聞かれるのは当たり前ですよね。ですから,それと同じように,「あなたの大学はどんなところで,どんな人がどんなふうに働いているんですか。どんなことができるようになるんですか」ということが説明できないといけない。ということは,大学はきちっとしたエビデンスに基づいて自信を持って説明をするようなことができないといけない。それをできるか,できないかは,やりたいか,やりたくないかは,それは各大学の判断だと僕は思いますが。できればそういう教育機関が増えていくことがグランドデザイン答申を作ったときの一つの考え方でもないかなと思いました。
 以上です。
【日比谷座長】  両角委員,それから浅野委員でお願いします。
【両角委員】  ありがとうございます。資料4-1に関してちょっとお伺いしたいと思います。
 学修成果を把握して,学生一人一人が何を身に付けたかということを自覚できるようにしてあげるという,その方向性自体はもちろんそのとおりだと思うんですが,具体的に4-1の3ページ目の一番最後に書いてあることがちょっとどういうことなのかがよく分からなかったので,教えていただけますでしょうか。「学生の同意のもとで学修ポートフォリオに蓄積された情報を,就職先等の社会に向けて提供していく」というのは,具体的に何なのか。学修ポートフォリオって大学によって全然違って,中にはかなり細かいものがすべて詰め込まれていますが、それを全部出すということなのか,それは何のために,誰が何を見るのかということがちょっとよく分からなかったので,教えていただきたいなと思いました。あと,学修成果を把握するときに,どうやってやるかとか手法も大事で,こういう議論になっていくと,より正確にできる限り測ろうとか,どんどんどんどんやりすぎる傾向があります。特に日本の大学関係者は真面目な方が多いので、政策も大学も自分たちの首を絞めるというか,測定を一生懸命やることに労力を使いすぎて、肝心の教育の改善にほとんどつながっていなく、皆がつかれているといったやり過ぎる方向に行く危険をいろんな大学を見ていて感じています。ですから,こういうことも考えられる,考えられるってやると書くことで,これもあれもしなきゃいけないんだというメッセージとして伝わってしまう恐ろしさをちょっと感じています。必要最低限のことを書くだけで、これもある、あれもあると書きすぎないことも重要ではないかと思いました。詳細はそれぞれの大学の中で考えて議論することも本質的に教育をよくしていく上で大事だと思います。
【平野大学改革推進室長】  2点,御質問をいただきました。
 1点目でございます。1点目については,ポートフォリオというものの内容というのは大学ごとに応じてかなり多岐にわたりますし,また,非常に包括的な,先ほど申し上げたような卒業論文のような包括的なものから,非常に日常的なものまで入っているということがありますので,これは全てを公開するか,公開しないかということを意図している記述ではございません。それは,大学としてこの部分というのは学生が自分の能力というのを社会にアピールする上で有用であろうというような判断ができるものを,大学ごとの特性に応じて判断していただいて公開するということも,これは2点目の質問につながりますけど,考えられるのではないかということでございます。
 2点目の「考えられる」といったようなところ,いろいろ書いてあるということはそのとおりでございますけれども,これは座長,副座長ともいろいろお話をしながら作ったわけでありますが,ここを「考えられる」としたのは,やはりこれは大学が自主的に,一番最初に申し上げたように,学修成果の可視化というものは自分のポリシーに照らして考えていくべきことでありまして,これを「考えられる」ということにしたのは,そのような候補の一つとして提示をするということでございます。ですので,これをどのように組み合わせてやっていくのかというのは,正に各大学の特性が反映される部分でありまして,これが例えば全部,「やらなければいけない」,「しなければならない」と書いてあれば,そのような御指摘というのもそうかなという気はするんですが,意図としては,これはそのような大学の自主性というものを踏まえた上での選択肢を提示しているというものとして捉えていただければと思うんですが,ちょっと最終的にまとまったときにどのような表現がそのような意図も含めて伝わるのかは考えさせていただきたいと思ってございます。
【日比谷座長】  ばばっと札が上がりましたので,ちょっと整理いたしますが,浅野委員,次に大森委員,森委員,川並委員,清水委員,吉見委員の順でお願いいたします。それから深堀委員です。では,浅野委員,どうぞ。
【浅野委員】  ありがとうございます。まず,資料4-1に関係する,あるいは全体に共通するかもしれませんが,山形大学の実践事例について情報提供させていただきます。学修成果の測定は,短期にできるものではなく,かなりの時間が掛かるということ。そしてもう一つは,苦労して測定した結果について,学内での理解を得ることは容易ではありませんし,学外あるいは産業界については、更に難しいということを前提に置く必要があると考えます。先ほど両角委員もおっしゃっていたように,このガイドラインが出たら,大学では早急にやらないといけないという認識で動き始めて,短期的にそこに走ってしまう傾向がありますので,そうではなくて,すごく時間の掛かる,かつ難しいことだということを発信しておかないといけないのかなと思います。
 それを前提に,事前に提出いたしました資料を説明させいただきます。資料5として数ページございますが,現在,山形大学では,ここにある基盤力テストを実施し,学生の能力値と達成度を測定を試みております。先ほどの松下先生から御発表いただきました分類でいきますと,これは客観テストの分類3に入るものだと認識しています。
 スライドめくっていただきまして,1ページ目の下にありますように,基盤力テストは平成28年度に採択いただいたAPの補助により実施しているものであります。先ほど益戸委員からご発言のありました手法について,実際の取り組みとしてお話をさせていただきたいと思いますので,少しお時間をいただきたく存じます。
 この基盤力テストに関しましては,その次の2ページの上のスライドにありますように,3つの分野で構成しています。学問基盤力テスト,それから実践地域基盤力テスト,国際基盤力テストです。本日は時間の関係で,一番上の学問基盤力テストに絞ってお話させていただきたいと思います。
 ポイントは,次のスライドにありますように,入学時,それから学生が1年間の教育を経た2年次進級時,そして3年間の教育を経た後ということで3回測定するということがポイントになります。この3つの時点を通じて教育効果を測定していくことにしています。
 では,その手法がどうなのかというところで見ていきますと,5ページにありますように,スマートフォンのアプリを独自に開発して実施しております。なぜかといいますと,テストをやるうえで,回答率が非常に大きな問題になります。回答率が低いと学内の先生方にはなかなか納得していただけませんので,スマートフォンアプリを使って入学時や学期初めのガイダンスで全員の学生が一堂に会するタイミングをうまく利用して,そこで実施する必要があり,学生にとって身近なスマートフォンでやるというのが現実的であると判断いたしました。もう一つ理由がありまして,それは時間の問題です。実施に当たり,学内で審議したところ30分程度で完了できるものであれば合意できるということになりましたので,テストをかなり効率的にやる必要がありました。そうなると,ペーパーテストではこの条件を満たすことは難しく,コンピューター適応型テストでIRT(項目反応理論)を導入して効率化するということにしました。このことで,学生の能力に応じて出てくる問題が変わることで,現在,1領域5問ずつ出していますので,理論的にはペーパーテストで約70問の問題に相当する形で測定できます。学生によって答えられる質問が違ってきますので,学生の上限または下限を知ることができるという利点もあります。
 このような形で実施することで,次の6ページのスライド10と番号が入っている表にありますように約9割を超える回答率が誇れるという状況であります。
 回答時間も次のスライドに示していますように,中央値です22分,約9割の学生が当初の予定どおり30分程度となっております。
 この測定結果を次の幾つかのスライドにお示しております。いくつか数字がありますが,一番最後の11ページをごらんいただけますと,数字の解釈と要約がございます。この資料は,山形大学で実施しております学長定例記者会見でお示ししたものですけれども,表にありますように,先ほどのスライドで見ていただきました化学(スライド8)と数学(スライド14)の分析結果です。先ほどお話ししましたように,入学時,2年,3年という形で学年進行に合わせて見ていきますので,例えば化学において,カリキュラムAでは入学時の段階でマイナス0.22だったものが,2年生になった段階では0.5に上がったという結果が得られています。一方,数学に関して,カリキュラムBでは入学時の能力値が0.48と高いものが,2年生になると0.06に落ちていくという結果が得られました。これは何を示しているかといいますと,カリキュラムBは数学を専門としないカリキュラムですので,1年間を通じてほぼ数学の教育を受けていないため,一気に能力が落ちていくということが示されています。
 こういった測定結果を受けて,カリキュラムBについては,ここまで落ちるはずがないというのが該当する学部の先生方の率直な印象でしたので,現在,履修履歴などを見ながら今後の対策を検討しております。また,本日ご紹介いたしました内容で社会にお示ししておりますが,なかなか解釈が難しかったり記者の方々には取り上げていただけない状況です。先ほどお話ししましたように,大学が一生懸命努力して測定した結果については,すぐに社会からご理解いただけるフェーズには至っておらず,引き続き工夫していく必要があると考えております。
 このことを踏まえた上で,本日の資料4-1を示すうえで社会から理解を得られる内容にすることもそうですが,学内での活用においても,結局のところ測定した数字が分野別に見てどうなのかという議論が次に出てきます。資料4-1では,こういった視点が少し欠けているなと感じております。以前,深堀委員がおっしゃっていたように,やはり海外では国レベル,そして分野別という形でそれぞれの分野のレベルというのが示されていて,我々はそれに対して測定した結果がどこら辺にあるのかというのを示せないと,なかなか次の展開が見出せないということがあります。現在,質保証が強く求められていることに対応するうえで重要なポイントですので,資料4-1に限らず,ガイドラインの検討において看過できないことであるように思えます。例えば1ページ目の28行,29行目辺りに出てきますが,これはあくまでも大学がみずから掲げる水準というところに限定されていて,それを超えて,分野であったり,国あるいはもう少し大きなクオリフィケーション・フレームワークみたいな話になりますけれども,そこも併せて考えないと,なかなかこの話は進まないんじゃないかというのが今考えているところです。
 もう1点だけ,資料4-2についてコメントさせていただきます。お示しいただいている項目はどれも必要だと思いますが,卒業率が含まれていないということに違和感を覚えました。学修成果の一つの重要な指標として,海外でも標準修業年限内や1.5倍の卒業または修了率がありますので,そういったものがここに入ってない理由などがもしあれば教えていただきたいなと思った次第です。
 以上です。
【日比谷座長】  最後の点だけ平野さんから回答ありますか。
【平野大学改革推進室長】  グランドデザイン答申の中において,いわゆる卒業率というのは情報公表の方の項目として分類されているという整理の関係がございまして,今回,学修成果の把握・可視化というところには入ってないという整理になっているわけでございますけれども,情報公表の議論をする際には,また同じように,この情報を把握・可視化する意義は何なのかというところから,併せてどのような情報を公表するのかという議論をさせていただきますので,その際に取り上げさせていただきたいと思います。
【日比谷座長】  では,大森委員,お願いします。
【大森委員】  ありがとうございます。私も資料5の12ページから意見をまとめさせていただきました。
 3つなんですけれども,まず,意見の1,この学修成果の可視化の主体は誰なのかというのは,先ほど松下先生に御質問申し上げたときのことでございます。やっぱりさっき教えていただいたように,学生たちが自律的な学修者になるように,自らの学びを自ら評価できる人に育っていく,このプロセスも含めて学修成果を可視化していくということをやっていって,さっき益戸委員がおっしゃっていた,これからの社会の中で学生たちは常に学び続けていかないといけない。そのときに学びを自ら評価して自己プロデュースをしていかなきゃいけない。そういった,本当に学生は幸せな生涯を送ってほしいって,それだけに大学はあるわけですから,そのためのことということを考えたときには,学修成果の可視化の主体はやっぱり学生であるのかなと。それを学生ができるようになる,あるいはできるその支援をするのが大学の責務という位置付けをきちんとすべきかなと思っていて,用語が,ちょっと私,素人なので分からなくて,学修成果を可視化するのは学生であり,教育成果は大学に説明責任があるみたいなことなのかなと。資料の中でも学修成果と教育成果というのがちょっと混同していろいろ使われていたので,そこを整理すると素人なりには分かりやすくなるなと。学修成果は学修者の成果であって,それを支援した教育者の成果というか,で,そこに間接評価的ないろんなデータがあって,こういうことで大学が教育を提供したから,結果こういう学修成果を学生が自ら評価できたんですよという立て付けなのかなとちょっと感じたりもいたしました。そこが大学は学修してないと思うので,大学が学修成果を示すというのはちょっと違和感を感じたというところです。そういう意味では記述が曖昧になっているのかなと思いました。
 さっきの松下先生の御発表等に関連して,直接評価と間接評価という話でいくと,先ほど御説明いただいた4-2というのは,ほぼ間接評価に部類するものなのかなというふうにも感じて,直接というのはあそこのどこに入っているのかというのは後でもしお聞きできればと思いました。
 それから,めくっていただきまして意見の2,これは先ほど御説明いただいたように,各大学のディプロマ・ポリシーによるわけですから,それはいろんな方法論というものを指針としては提示するにしても,そのやり方や目標というのは大学によるというのは当然のことなので,画一的なものというのは無理でしょうというところです。ただ,学修時間であるとか,そういう間接的にどういう教育環境を提供しているかというのを説明するためには,今般御準備いただいている学生調査等も含めて,共通の項目というのは十分にあり得るなと。そこも学修成果と教育成果というか,何というか,そこを分けると非常に分かりやすいのかなと思いました。
 それから,先ほど,「考えられる」という表記は各大学で考えてくださいということだという,両角先生の御質問の後でお答えがあったんですけど,各大学が頑張っちゃうだけじゃなくて,各部署も頑張っちゃうことがあって,あ,そうか,これをやらなきゃいけないんだねということで,ここでは「各大学にお任せします」って決めるんだけど,ほかのところでは「それを使って各大学さんこれをやりなさい」というふうになるということもありますので,そこは強くそこを記述するというか,何かそういうことは必要かなというふうにも感じました。
 それから意見の3つですけれども,表記として,これは本当にすごく上から目線な言い方で本当に申し訳ありません。事務局で一生懸命作っていただいているのは承知なんですけれども,記述が「組み合わせて」とか「関連付けて」とか「総合的に」って,そうすると,何をどうしたいのかちょっと分からなくて,組み合わせ,関連付け,包括的,総合的に評価した結果,どういうものが出てくるのかというのが素人にはちょっと分からないです。なので,できているところはいいんだけど,そうじゃないところに頑張ってもらおうという指針を作るとしたら,これを読んだ時点でちょっと挫折するかなという感じがあって,御提案としては,段階を追って,例えば学生が学修成果を把握するためには,最低限こういうことができるんじゃないですかと。それができたら次はこういうこともいいですよね,理想的にはこうなんですけどというような,あ,これならできるかなというところからのを示していくというのが大事なのかなというふうには思っています。出来上がったもの,例えばホームページに掲げるものがどんな絵になるのかというのも分からないと,本当に専門家がいない大学が山のようにある中では,これが実効性を持てるかどうか,非常に重要なことだと思っています。出来上がりです。
 最後,ちょっと予定はなかったんですけど,本学の直接評価の学修成果可視化プロセスというのはここに,あとはお読みくださいだったんですけれども,両角先生がさっき,社会に出していくというのはどういうことですかというふうにおっしゃったので,参考として17ページをがーっと開いていただいて,本学の場合は,このポートフォリオに更にショーケースというのを実装していまして,学生がポートフォリオにためていった様々な学修の振り返りや活動の振り返りというものの中から,学生が自らの学びを公表できるというか,アピールできるというか,そういったものをチョイスすると,それがURLが生成されて,エントリーシート等に記載をして企業さんに見ていただく。これは地元の企業さんにずっとヒアリングをして,こういうものがあったら有り難いということも踏まえて作っています。で,このショーケースづくりというのもキャリア系科目の中で学生と一緒にやっていまして,そのプロセス自体もまた,学生が自らの学びを言語化していく,そういう過程につながっていっているかなと思っていて,学びとしても有効かなと思っています。
 以上です。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 たくさん札が上がっておりますので,文科省からの回答は,時間もございますので,森委員に行きたいと思います。
【森委員】  関西大学の森でございます。大きく分けて3つ申し上げます。済みません,これ,本当は事前に申し上げればよかったんですが,今となったことをお許しください。
 まずは,1つ,大森委員の話を受けて,私の方の資料,提出させていただきました23ページの方にこの鮮やかな赤とかピンクとか青とかの図を示しているんですが,私の理解ですと,教育改善と学修評価は,循環関係にあると考えています。ですので,「教える」を改善するためには,必ず「学び」の評価をメタ的に活用することが必要。学生がどう学んでいるかをしっかり見取って教育を変えていくということが前提なのではないかなと思っています。
 そのためにやはり適切に学習や学びの現状を評価をしていかなければいけないということで,資料4-1に戻るんですけれども,学修成果の可視化,④の冒頭部分,四角で囲ってあって,学修成果の可視化をすることの意義が書いてございますが,ここにあるように,「大学が教育改善に活用できるように学修成果の可視化」を行ういうことが書かれている。これ,大前提にあると思います。そうなったときに全体を見渡すと,やっぱり改善するために,というよりも,教育の評価をすごく一生懸命しましょうというふうに書かれているように見えてしまうんですよね。私が学修研究者としてやっぱり申し上げたいのは,先ほどのそもそもの意義に立ち戻り,学生のためにPDCAのA,つまり改革をするために学びのアセスメント,つまりCをしっかりしましょうねっていったような,そこの部分をもっともっと強調しなければいけないのではないかなと。これですと,いわゆる評価のための評価になってしまうことが非常に危惧されるということです。あと,認証評価では内部質保証システムですとか内部質保証と言われていて,こっちではPDCAサイクルと書いてあって,そういう用語の統一がなかなかとれていないのかなというところもあると思うんですが,やっぱりあくまでも何のためにやるのかというところに向かって記述していくべきだろうということですね。
 2点目,これは松下先生の御発表にあったように,私も,溝上先生もおっしゃっておられましたが,大賛成で,評価が学生自身の学びの成長につながるような,こういったような示唆が必要ではないかなと思います。大森先生は自己プロデュース何でしたっけ。
【大森委員】  ま,そんな感じ。
【森委員】  そんな感じですよね。多分,専門用語では自己調整学習だと思うんですが,学生が自分のデータを使ってさらに高みに向かうような手だてを教育環境で育てるといったようなこと,こういったようなものが必要だということ。
 あと3つ目なんですけれども,私は大森先生のところのショーケース,本当にすぐれた事例だと思っています。私が一番最初に見たのはソルトレイクシティーか何かの大学のものだと思いますが,これ,日本でやったらいいよなと思っていたら,さすが,大森先生のところで導入されたと。先ほど松下先生の話のところで間接評価,直接評価と評価のツールがいろいろあって,溝上先生のところでそんなにリジッドに測ったりすると,それはもうみんながしんどい思いをするよねって話もあったと思います。私も,最終的には,直接評価や間接評価も合わせて,学生がそれらのデータを使って自分の学びがどうだったかをしっかりと自分ごととして捉え,外に説明していくことが重要ではないかと考えます。ですから,直接評価も間接評価も究極的には学生がショーケースを作るためのエビデンスとして,最終的にはこういうところに総括されていく方がいいのではないかなと思っています。このショーケースって,これ,直接評価になるんですか,間接評価になるんですか。エビデンスが付いているので,直接評価としても……。
【松下委員】  はい。
【森委員】  いけるということですよね。ですから,これまであったように,学修成果は直接評価メインということにも一致しますので,こういったような見通しのことももっともっと強調していいのではないかなと思いました。
 以上でございます。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,次は,川並委員にお願いいたします。
 それで,冒頭に申し上げましたように,私はここで失礼いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【川並委員】  聖徳大学の川並でございます。
 学修成果の可視化について考えたときに,日本というか,我々は小学校の頃から先生に授業を教わり,そして,その先生が作ったテストで点数評価をされてきたという流れがあって,何かそれが当たり前のようになっているんですけど,先ほど浅野委員が国レベル,分野レベルでそれぞれの目標があるだろうという話をされていましたけれども,やっぱりある程度その分野において学ばなければならない最低のこと,網羅すべきこと,又は,大学をというか,生涯を通して人として必要なこと,そういったものをどういう形で学生たちに伝えていくのか,そしてそれを学生たちがどういう形で自己肯定感を持てるかということも必要ではないかなという感じがしています。
 本学の場合は幾つかの学科があって,その中の幾つかは国家試験がある学科,又は指定科目を単位取得すると免許・資格が取れる学科,又は全くそういうものに関連ない学科というふうにあるんですけれども,やはり国家試験に関連する学科に関しては,国家試験を通るために必要なもの,本人の分野と関係なくその分野で必要な知識等を享受している部分があるわけですが,免許・資格に関係ないところはそれぞれ先生方の興味に合わせて学びを行っているというようなこともあるので,やはり可視化といっても,大学単位でまとめていればいいかという問題もあるのではないかなということを感じて,きょうはこの席に着かせていただいております。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 今,札が立っている方があと6名いらっしゃいまして,先ほどの順番,もう一回確認しますと,清水,吉見,深堀,林,佐藤(浩),小林(浩)です。このまま行きますと1人3分以内でお願いしたいということですが,もし3分以上お話しになりたい方は,次回もありますので,そちらに遠慮していただきたいということと,それから,逆に,次回出席できない,あるいはどうしてもきょうでないとまずいという方は,そのことをおっしゃっていただければ,この順ですけれど,やりたいと思いますが,何か特にそういう御発言ありますか。よろしいでしょうか。それじゃ,その順番に行きます。
 じゃあ,まず,清水委員からお願いいたします。
【清水委員】  2つございます。1つは,もう委員の中で共通認識されつつあると思いますが,この学修成果の把握・可視化は,ディプロマ・ポリシー(DP)に基づいて我々は検討しているということを忘れてはいけないと思います。これは大学というか,高等教育のユニバーサル段階における議論なんです。ユニバーサル化の時代だからこういうことが議論されなければならないということです。思えば,46答申のときにはこんな議論はなかったわけです。むしろ46答申のときには標準年限内に単位を取ったら早く卒業させようという弾力化措置の提言も出たぐらいです。そういう背景を我々は共通認識するということが大事である。こうした認識の上で、4-1の資料について,非常に文科省はうまくまとめてあると思いますが,授業科目レベルの一番最後の二,三行,に感動しました。つまり,授業科目レベルでは,「個々の教員ではなく教育課程を担当する教員が集団でしっかりとした体制を組み」ということですが,これができていないんです。大学は、わがままな教員集団でありこういう体制ができない。だから,教学マネジメントが必要になってくるわけです。だから,これをその上の学位プログラムレベルと大学レベル,ここにも同様の教学マネジメントの文章を入れてほしいです。つまり,教学のトップ学長とか,学部長とか,そういう人のリーダーシップやマネジメント,体制づくりというのがないとこの教学マネジメントの趣旨というのは生きてこないと思います。それが1点。
 もう一つは,きょう提出した資料の19ページ,20ページが本学の一つの事例ですが,その前に,18ページの小林浩さんの意見には私同感です。正にそのとおりだと思います。
 本学では,一番最後の右下が学修成果の一覧です。現在もう4回終わっているのですが,各学期ごとに大学レベルのDPを点数化したもので,4段階でしたものです。大学全体3.35、各学部・学科の数値も出ています。重要なのは,赤い字が本学の目的とか使命に関係したものです。つまり,この赤い字のDPが上に来れば来るほど,本学は自分の大学の目的を達成しているということになるわけです。幸いに少しずつ上に上がってきています。もう一つの狙いは,学生にGPAを課していて,何で先生にはGPAないのか。大学にもGPAあってもいいのではないかということで,教員のGPAや大学のGPAといったものも出てくるわけです。すべての教員が担当している科目で全部4段階で出てきます。ほかの設問項目もございますが,先生のGPAも大学のGPAも学修成果の可視化のプロセスで可能になっています。学生にやらせるのなら教員とか組織も同じことをやるべきだと考えました。言ってみれば、1つの大学の通信簿です。
 詳しい説明は省いて,以上2点,報告させていただきました。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 では,吉見委員,お願いいたします。
【吉見委員】  2点申し上げたいと思います。
 まず第1に,先ほど益戸委員が話された手段と手法を両方考える必要がある点です。たとえば,評価が問題になっておりますけれども,これが個々の教員の労度を増すという形になってしまうと決して実現しません。ですから分業化,スタッフをどうするのかという問題,リソースの配分をどうしたらいいのかという,こういう手段を同時に議論していくことが必要です。つまり、評価についてはまず、個々の教員がこれに労力を割かなくてもいいように、組織体制が整備されていなければならいと思います。これが第1点です。
 第2点ですけれども,これまでの先端的な例は,金沢工業大学であったり,新潟大学歯学部であったり,あるいは山形大学であったり,つまり中規模大学や,かなり専門化した単科大学ですね。ところが東京大学に限らず中核的な大規模総合大学は,また違う質的な難しさを持っている気がします。中規模大学で実現できていることが,旧帝大や早慶,非常に大きな総合大学では実現がずっと難しい。この難しさが何なのかということを議論する必要がある気がいたします。ここが最終的に変わらないと,本当にグランドデザインの答申を実現していく最終段階まで行かないのですね。ですから,この各学部の力が強い大規模総合大学の問題をどこかで議論の中に入れていく必要があるのではないでしょうか。
【小林(雅)副座長】  御協力ありがとうございました。
 では,次に,深堀委員,お願いいたします。
【深堀委員】  ありがとうございます。
 私は,グランドデザイン答申は,大学と社会をつなぐ大きなスキームだと理解しているのですが,そうした取組は既にヨーロッパがボローニャ・プロセスを通してやってきたことです。このボローニャ・プロセスのチューニングの取組の中でモットーととして掲げられてきたのが,「フロム・マイコース・トゥ・アワー・プログラム(From my course, to our program)」,すなわち,「教員である私自身の授業科目から我々教員団のプログラムへ」という発想転換をはかることです。さらに,大学と社会とのコンサルテーション(協議),すなわち,どういう質を大学が保証すれば社会は納得して大学を信頼してくれるのかという視点をもつことが非常に重要だと考えられてきました。さまざまな小道具,あるいは方法を精緻化していくことも大事ですが,社会の中での大学の在り方に関するより本質的な議論を進めていくことこそが,国の役割ではないかと考えます。
 資料を提出させていただきました。21ページをごらんください。まず,左上の図ですが,ここでは「授業科目の学習成果の習得度(成績評価)」と「学位プログラムの学修成果の達成度」を測定することの関係性を整理しています。両者は質的に,種類として異なる取組であることは,これまでの議論の中で基本的に合意されてきたと思います。
 ここで,松下委員の「重要科目」の位置づけとそれが有効性をもつ背景について整理させてください。一番下の行に「重要科目に埋め込まれた統合的な学習成果」をお示ししております。そうした特別な授業科目の学習成果を測定し,そこからプログラムレベルの学修成果の達成度を類推する取組であることがご理解いただけると思います。これは「授業科目レベルの評価」と「学位プログラムの評価」をつなぐ一つの有望な試みだといえます。ただし,これが説得力をもつのは,医療系の大学だからです。医療系の大学は,モデルコアカリキュラムなり,医療系大学間共用試験なり,国家試験なり,質に関する共通の枠組みを持っていることが大きな前提になっています。そうした共通の枠組みを持たない,例えば人文系の大学の中で重要科目の評価をしたところで,社会に対してどれだけの説明力を持つのかということは,やはり慎重に考えなければならないと思います。
 そう考えたとき,やはり個々の大学だけでできる質保証の取組は限られていて,大学と社会をつなぐ枠組みについて考えること、すなわち,大学の中での教員間の連携だけでなく,大学を超えた教員間の連携の仕組み,学問分野と社会との対話の仕組みをどのように構築していくのかについて考えることが,非常に重要になってきます。
 そこで,右の図2をごらんください。今,求められているのは,学位プログラムの学修成果の達成度をどの時点でどのような方法で把握し,プログラムの改善に活かしていくのか,その仕組みを構築することです。このカリキュラムマップは,九州大学工学部機械航空工学科機械工学コースをモデルに作成したものですが,いくつかの評価のポイントが設けられています。例えば,知識・理解の習得に主眼をおく「基礎・導入期」のアセスメント・ツールとして,工学系連合会として合意しているターミノロジーについて学生がどれほど理解しているかを問う「達成度調査(専門力)」が用いられていたり,工学的なものの考え方を積極的に身に付けさせようとする「発展期」のアセスメント・ツールとして,国立教育政策研究所「テスト問題バンク」の活用が計画されていたりします。九州大学の教員が,学内の閉ざされた環境で汗水流してアセスメント・ツールを独自に開発するのではなく,学外の学協会の活動に参画して開発したアセスメント・ツールを活用することが構想されている点に,大きな特徴があります。大学教育の質を保証するということは,まさにそういう教員間の連携,大学と社会とをつなぐ取組が重要な意味をもちます。大学教員による授業科目レベルの工夫,あるいは個別大学による学位プログラムレベルの工夫だけでは対応できないことですので,そういう連携の仕組みをどう構築していくのかという組織的な議論を深めていくことが,非常に重要ではないかと思います。
 以上です。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 では,林委員,お願いいたします。
【林委員】  例えば資料4-2とか,DPが作られていることが前提と書いているんですけれども,そもそもこの議論が,先ほどから教学マネジメントができていない大学を対象にといったときに,DPが完璧にできているという前提がもうおかしくて,DPをしっかりと見直すために学修成果を把握するという視点をきっと入れておいた方がいいと思っています。
 DPがもし完璧にできるのであれば,DPに基づいてカリキュラムマップができて,そして各授業科目の成績が出て,それを重み付け合計して,それでもういいと。それで,せいぜい卒業研究で総合的な能力を見ればいいって,そういう話になるんですけれども,そうではない。DPがもし適切にできていなければ,もう駄目な構造のままで学修が進んで,それで終わってしまうという,そういう形になってしまうので,そうであったら,DPがちゃんとうまくできているかという視点が見れるような学修成果の把握のアプローチが必要であって,それが例えば先ほど浅野先生とかほかの先生も言われたようにアセスメントで実際に,汎用的能力がほかの大学等とも比べてどのくらい身に付いているのかを見るであるとか,あるいは社会に出た後に実際に社会で必要となっている能力に対して大学で学んだことがどうであったのかということについてもアンケート調査であったり,あるいは事例であったりとか,そういうものを踏まえてDPを見直すと。
 学生の話も,きょうは学生の学び,学ぶ主体者としての学生ということの方が主体でしたけれども,また別の視点としては,大学とある種契約を結んで,大学が示している教育目標に対してそれを享受する,カスタマーとしての学生という視点があるわけですので,そうすると,学生がそのサービスを享受してちゃんと成長実感が得られているかって,そういう視点もまた必要となってきますので,質保証の議論を見ていると,やはり質というのはステークホルダーによってほとんど考えることが違うのであって,様々なステークホルダーの質という概念を踏まえてプログラムというのをちゃんと見直すべきであって,ともすると,きょう内部の話をして,今度,外に向けての発信の話をするという形で切り分けられて,学内以外のステークホルダーが何か情報発信を受ける相手みたいな話にちょっと切り分けられる危険性があって,そうじゃなくて,外のステークホルダーからの意見を踏まえて学内の改善をしていくという,そういう視点をちょっと入れておいた方がいいのではないかなと思っております。
 以上です。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 では,佐藤(浩)委員,お願いいたします。
【佐藤(浩)委員】  私も資料4-2についてコメントさせていただきたいんですけれども,大きく2点なんですが,まず1点目です。先ほど平野さんのほうから説明がありましたが,ここで扱う「把握・可視化の義務付け」と「指針の提示」と「公表」というものを切り分けるというのがちょっと私はおかしいんじゃないかなと思っています。,今回は可視化を義務づけるもの,指針付けの情報の例を提示して,そのうちの幾つかは公表するという関係になるんじゃないかと思うので,公表すべき項目だけに出てくるものもここに入れておいた方がいいのではないかと考えています。
 そう考えると,先ほど来指摘されている重要な情報として,まずは,やはり卒業率なりリテンション率,中退率ですね,こういったものを情報としては入れるべきではないか。それから,最も重要なのは恐らくDPの達成状況なんですが,これについては,単位の取得状況の中の細かなところにちょっと表現が出てくるんですね。ですので,全面にDPの達成状況という情報を入れた方がいいのではないか。それから,例えば成績の分布状況なんかも,GPAも含めてですけれども,学内で把握すべき情報ではないか。
 一方で,義務付けとしてこれはどうかなと思うのが,例えば成長実感・満足度とか意欲に関するものがありますが,百歩譲って成長実感・満足度はいいにしても,この意欲というのは天気が悪いから意欲が下がるとか,何か嫌なことがあって下がるということもあるので,これを義務付けするのは疑問です。
 以上でございます。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 では,最後に,小林浩委員,お願いいたします。
【小林(浩)委員】  きょう,学修成果の把握・可視化に関してこれまでの議論を通じて何かコメントがないかということがありました。私は大学の中の人間ではないので,外から見てということでコメントを書かせていただきました。かなりこの場では専門的な議論が進められているので,外から見たらこんな感じかなという形で18ページのところにまとめております。
 学修成果可視化について,今まで教授中心の教育がというところから,学修者主体の教育に変えていくという大きなパラダイム転換だと考えています。そのためには,何を教えたかだけではなくて,何が身に付いたかというのが重要になってきますと。高校までは学習指導要領があって,海外ではNQFみたいな資格枠組みがありますが,日本の大学・高等教育にはありませんので,各大学が自ら定めたディプロマ・ポリシーが重要になってくると思います。その各大学が自ら定めたディプロマ・ポリシーに対して,学生がどの程度到達したのかを可視化するというのが必要になってくるということです。その上で,学生の成長支援,教育改善に資するものとするというのが私のこの認識でございます。
 その前提に立ったときに幾つか質問がありまして,1つ目はいいとして,2つ目が,資料4-1の2ページ目の学位プログラムレベルの5行目からも書いてあるんですが,個々の授業科目の成果や大学内外における様々な学生としての活動の成果が能力を身に付けることにどう寄与しているのかということです。これについて,正課だけじゃなくて正課外についてはどう見ていくのかというのが一つの疑問点です。
 それから,先ほど大森先生から共愛学園の御紹介がありましたけれども,文科省もAPの事業でテーマ5で「卒業時における質保証の取組の強化」で,ディプロマ・サプリメントというのを作っていらっしゃるんですけど,これが可視化のところとどう位置付けられているのかというのは、後で見ていく必要があるのではないかと思っています。
 それから,可視化をすることが目的ではなくて,多分,きょう出ていた学生の成長,評価を通じて学生を成長させていくというところがポイントだと思います。この点について,振り返りとかフィードバックとかというところが余りここの可視化の中に入っていないのは問題だと思います。企業でもやはり評価したら,その後,フィードバックをして,その後,一人ひとりが納得して成長実感を得るということでいかないと人が成長していかないというところがありますので,そういった評価をした後のフィードバック,活用、そして教育改善にどう資するのかというところの,その活用方法についてもガイドラインの中に入れていった方がいいんじゃないかと感じております。
 以上でございます。
【小林(雅)副座長】  ありがとうございました。
 事務局からの説明とか,あるいはほかにも意見あると思いますけれど,次回も引き続き行うということでありますので,きょうはここまでにしたいと思います。
 本日の議論を踏まえて御意見などございましたら,事務局まで文書で送っていただければと思います。
 きょうの資料については次回も引き続き審議いたしますので,よろしくお願いいたします。
 それからさらに,いろんな事例が出てきておりますけれど,それ以外にも委員御所属の大学とか,あるいはほかの事例でも結構ですけれど,グッドプラクティスに当たるようなものがありましたら是非資料の御提供をお願いしたいと思います。
 それでは,事務局より今後の予定等についてお願いします。
【平野大学改革推進室長】  本日はありがとうございました。
 次回の日程は,また調整の上で追って御連絡をさせていただきます。
 いつものお願いでございますが,資料の郵送を御希望される先生は,附箋に郵送希望と書いていただきまして置いていただければ,職場の方に郵送させていただきます。
 ありがとうございました。
【小林(雅)副座長】  それでは,本日の議事はこれで終了いたします。ぴったり時間どおりに終わることができまして,どうも御協力ありがとうございました。



―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

学務係
電話番号:03-5253-4111(3334)

-- 登録:令和元年08月 --