教学マネジメント特別委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和元年5月30日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館13階 3F1~3会議室

3.議題

  1. 教学マネジメントに係る指針及び学修成果の可視化等について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)日比谷潤子座長
(副座長)小林雅之副座長
(臨時委員)伹野茂、益戸正樹の各臨時委員
(専門委員)浅野茂、大森昭生、沖裕貴、川並弘純、小林浩、佐藤浩章、林隆之、深堀聡子、松下佳代、溝上慎一、森朋子、両角亜希子、吉見俊哉の各専門委員

文部科学省

(事務局)伯井高等教育局長、浅田文部科学戦略官、白間私学部長、瀧本総括審議官、岩本文部科学戦略官、蝦名高等教育企画課長、三浦大学振興課長、石橋高等教育政策室長、平野大学改革推進室長 他

オブザーバー

(オブザーバー)横浜国立大学高大接続・全学教育推進センター准教授 安野舞子氏

5.議事録

【日比谷座長】  皆様おはようございます。それでは,ただいまから第5回教学マネジメント特別委員会を開催いたします。御多忙の中,御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は,佐藤東洋士委員,清水委員が御欠席です。
 では,最初に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。
 本日の資料につきましては,机上の議事次第の方に掲げてあるとおりでございます。資料1から5,参考資料が1から4,机上資料が1から12でございます。机上資料はタブレットの方に入れてございます。抜けなどがある場合には,事務局の方までお声がけをお願いします。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 最初に,議題の1に関しましてお越しをいただきました方を御紹介いたします。横浜国立大学,高大接続・全学教育推進センター准教授の安野舞子様です。
【安野氏】  よろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  お忙しいところありがとうございます。
【安野氏】  ありがとうございます。
【日比谷座長】  本日の議事ですが,まず成績評価に関して大変先進的な取組をなさっている横浜国立大学より,20分程度で御発表をお願いしております。
 その後,約10分,御発表についての質疑の時間を設けたいと思います。それが終わりましてから,前回のこの委員会で十分に議論の時間を確保できなかったため,あらかじめお約束しておりましたとおり,授業科目・教育課程の編成についてしばらく御議論いただき,その後,本日のメインのテーマですけれども,成績評価についての議論の時間もとりたいと思います。
 それから,最後に,これは議題の2になりますけれども,グランドデザイン答申でも述べられていました学生調査について,文部科学省で現在検討が進められているところです。今年度は試行調査を実施するという予定になっておりまして,今後に向けて本委員会の御意見もぜひ聞きたいということでございますので,文部科学省から説明の後,意見交換の時間も設けたいと考えております。
 それでは,早速ですが,安野様,よろしくお願いいたします。
【安野氏】  本日は大変貴重な機会を頂きまして,誠にありがとうございます。横浜国立大学の安野でございます。
 本日は,本学の取組ということで,授業設計と成績評価のガイドラインについて御説明をさせていただきます。
 資料の1でございます。
 まず,本学の簡単な御案内ですけれども,本学は横浜市保土ケ谷区にございまして,一つのキャンパスに5つの学部がまとまっており,学部生が約7,500名,教員が600名ということで,中規模の総合大学でございます。
 2ページ目になりますけれども,本学は2014年度に大学教育再生加速プログラムに採択をされまして,テーマⅡでございます。2ページ目のポンチ絵の上の方に青く囲ってございますが,学生の主体的な学びのデザインということをコンセプトに事業を展開しております。
 3ページに,本学のAP事業の概要が書かれておりますが,Phase1からPhase4までで構成されている中のPhase1が授業設計方法と成績評価の改善ということで,この中で本日お話をいたしますガイドラインを運用しているということでございます。
 では,4ページですけれども,これからお話しいたしますガイドラインは何かというのをざっくり申し上げますと,まず,授業改善のPDCAサイクルの実質化と学生の主体的な学びの促進に向けるということ,それから,成績評価の基準を全学で統一して,各教員が授業ごとに授業別ルーブリックを作成すること,が主軸になっております。
 では,このガイドラインの導入の背景と経緯を簡単に御説明させていただきます。
 6ページになりますが,ガイドライン導入前の本学における成績評価の区分と基準が表になってございます。こちらにありますように,秀,優,良,可,不可という形で,それぞれに対して評価基準の文章を簡単に書いておりました。
 例えば,秀ですと,「履修目標を十分達成しており,さらに履修目標を上回る成績をおさめていること」として,括弧書きで,(成績上位10%程度が秀になるように履修目標の水準を設定することが望ましい)というふうに基準を設定しておりました。
 次に7ページですが,ガイドラインの導入の背景と経緯ということで,このガイドラインを導入しようという議論が始まったのは2012年度になります。教務厚生部会という会議体におきまして,秀率や不可率の高い科目が散見されるという問題点が指摘されまして,成績評価のガイドラインを検討するワーキングが発足いたしました。要は,成績評価の基準にばらつきが見られるということで,教員の間で成績評価の統一した認識が必要であるという認識に立ったわけでございます。
 次,8ページですが,翌年の2013年度にガイドラインのたたき台を策定いたしまして,各部局にそのたたき台を提示して意見を収集しました。その際に,わかりやすくてより具体的なガイドラインの提示の方法ということで,成績評価基準表,これは全学で統一のものを作成するということ,それから,授業別ルーブリック,これは各教員が科目ごとに作るということ,この2つが提案されました。
 それから,授業設計の重要性を示すということで,ガイドラインの名称にあえて「授業設計」という言葉を入れました。
 9ページ目ですけれども,まず,成績評価の基準表というのはこういったものでございまして,こういう基準表を作る目的というのは,秀から不可の位置づけを明示して,教員間の成績評価に対する統一した認識を得るということでございます。
 一方,10ページ目になりますが,授業別ルーブリックに関しましては,これは一般的なルーブリックのマトリックスでございますけれども,目的といたしましては,授業の評価項目とその評価基準を明示して,担当教員と学生の間で授業内容と成績評価に対する認識を共通化する,というものでございます。
 11ページですが,2014年度にはルーブリックの説明会を行い,私のようなセンターの教員が各部局を回って説明をして,理解をしてもらうという作業をしまして,2015年度に授業設計と成績評価のガイドラインの導入が決定いたしました。
 それでは,ガイドラインの具体的な内容について御説明をさせていただきます。
 13ページですが,これは冒頭に申し上げましたように,ガイドラインの要点でございますけれども,まず1つ目が,成績評価の基準を統一するということで,これは教員間の認識の統一,そして,授業別ルーブリックは,教員と学生間の認識の統一ということでございます。
 14ページからがガイドラインの具体的な内容なのですが,ガイドラインは全部で6項目から成り立っております。
 1項目めが序文になっておりまして,教育の質の保証と向上を目指してガイドラインを作りますよ,ということと,教員と学生の間で成績評価に対する認識を統一する,そうすることによって,学生の主体的な学びが促進されて,優秀な学生が成長することを期待しています,と序文で書いてございます。
 特にこの後半の「優秀な学生が成長する」ということが非常にキーポイントでして,そもそもガイドラインを入れようと思ったのが,秀率や不可率が多いということでした。つまり,本当は秀を与えるべきではない学生も秀をもらっているということが現実にありましたので,そうしますと,一生懸命頑張っている学生,秀をもらうべき学生の学習意欲を削ぐ可能性があるということで,きちんと秀をもらうべき学生は秀をもらう,高い成績をもらうべき学生はもらう,という事が大事なので,こういったガイドラインを作ることによって優秀な学生が成長することを期待する,という考え方でございます。
 では,次,15ページ目ですが,ガイドラインの2つ目の項目,これは授業改善のPDCAサイクルを謳っております。まず,授業設計のときに授業の目標等々を設定いたしまして,授業を実施する。そして,成績評価を行うと。もし成績評価を行っている段階で成績分布に偏りが出たならば,次年度の授業に向けて改善をしてくださいということで,PDCAを促すという内容の文章でございます。
 続きまして,16ページですが,ここが非常に重要な1点目になりまして,成績評価の基準の統一のことが書かれてございます。これは重要ですから読み上げます。「授業で扱う内容(授業のねらい)を示す内容を「履修目標」とし,達成していれば成績評価は「優」以上としてください。一方,授業において最低限学生が身につける内容を示す目標を「到達目標」とし,達成していれば成績評価は「可」以上として下さい」といたしました。
 その下に表がございますけれども,ですから,優の欄には「履修目標をほぼ達成している」と基準の文章が書いてございます。一方,可の欄には「到達目標を達成している」という文章があって,ですから,良に関しては「履修目標と到達目標の間にあるレベルを達成している」。したがいまして,秀に関しましては,「履修目標を超えたレベルを達成している」になりますし,不可に関しましては「到達目標は達成できていない」というような表現になるわけでございます。
 ということで,17ページ,こちらがガイドライン導入後に学内外に示している本学の成績評価の区分と基準の図表でございます。それぞれの点数の配分も書かれてございまして,秀,優,良,可,不可の基準がいろいろ書いてあるというものでございます。
 18ページに,ガイドラインにおける授業改善の考え方ということでまとめさせていただきました。これは,ガイドラインの名称にあえて授業設計という言葉を入れたということにも非常につながってまいりますけれども,まず,授業設計時,すなわち,シラバスを作成するときに,履修目標と到達目標の設定をして,それを通して授業内容のレベル,成績評価の基準を設定することが重要であるという点が一つ。
 そして,授業設計時に定めた目標や基準に従って成績評価を行った結果,成績の分布に偏りが出たならば,そのときに分布の調整をするのではなくて,次の授業で改善するということです。冒頭でガイドライン導入前の成績の区分ですとか基準の表をお示ししましたが,そこの中で,秀の基準に関して,括弧書きで,できれば10%以内に抑えましょうというふうに書いていました。しかし,それをやってしまうということは,すなわち,成績をつける段階で,いわゆる相対評価のような形にするという事になり,それは如何なものかということで,あくまでも目標は事前に定めておいて,実際,成績をつけるときに偏りが出てしまったらば次の授業で改善する,という考え方です。ですので,例として,秀が多かった場合は履修目標を上げる,すなわち,授業内容の高度化を行って次年度の授業を行う。もしくは,不可が多かった場合は,到達目標は変えないけれども,そういった学生層の理解が深まるような授業内容を次年度に検討する。このような形で,PDCAを繰り返していく中で,質の高い授業へと改善していこうという考え方でございます。
 では,ガイドラインの内容に戻りまして,19ページになります。
 ガイドラインの4項目めは授業別ルーブリックに関しての項目でございます。授業別ルーブリックというのは,どのような観点で成績評価を行うのかという評価項目と,それぞれの評価項目に対する到達度を表す評価基準を表形式で示します,ということで,以下にその表がございますけれども,縦軸には評価項目,こちらはA,B,Cとありますが,評価項目を持ってきて,横軸に評価基準を入れるということですね。
 それで,基本的にこの評価項目に書く内容は履修目標に書いている内容,それを項目立てしてくださいというふうにお願いをしています。そして,この表にございますように,「十分に満足できる」という欄が,つまり,履修目標で記述している内容に相当いたしまして,「努力を要する」という欄が到達目標に該当するところでございます。
 実際のルーブリックを見ていただいた方がより分かっていただけると思いますので,別添資料をご覧いただけますでしょうか。授業別ルーブリック実例ということで,1,2,3と,3点おつけいたしました。その中の1をご覧ください。この授業別ルーブック実例1というのは情報システム論という科目のものでございますが,履修目標,到達目標,それぞれ4つの項目で書いてございますね。情報システム概念の理解,情報システム問題定型化,意味づけ,活動の視点,と立てている。そして,その下にある授業別ルーブリックを見ていただきますと,4つの項目に分けていて,それぞれ履修目標,到達目標で掲げている項目が書かれてございますね。
 では,ルーブリックの一番上の行を見ていただいて,これは「情報システム概念の理解」という項目の行になりますが,例えば,「十分に満足できる(履修目標)」の欄には,まさに履修目標に書いてある情報システム概念の理解の文章が書かれてございますし,「努力を要する」という欄を見ていただきますと,到達目標の文章で書いてあることがそのまま記載されているということになりますね。ですので,あとは「やや努力を要する」とか,「期待している以上」等を埋めていく,という形になります。こういった授業別ルーブリックを作ってくださいというふうに設定をいたしました。
 では,元の資料にお戻りください。今,19ページの御説明が終わりました。
 では,続きまして,20ページですが,これはガイドラインの内容の5項目めと6項目めでございまして,5項目めにつきましては,教員間協議の励行ということで,同一科目を複数の教員で担当している場合ですとか,オムニバス形式の科目の場合は,担当教員間で協議をして,設定をしてくださいということが書かれています。また,6項目めにつきましては,除外科目ということで,能力別編成クラスですとか,少人数科目については,当ガイドラインを柔軟に適用してくださいというふうにいたしました。
 ということで,21ページにガイドラインの主軸である成績評価基準表と授業別ルーブリックのまとめを書いてございますが,特に「ねらい」をご覧ください。成績評価基準表の狙いといたしましては,まずGPAの質保証につながるということ。そして,学生が秀の水準を認識し,自発的な学修を促す効果があるということを打ち立てております。
 一方で,授業別ルーブリックというのは,学生が授業で履修する項目と水準を認識することができ,授業に適した自発的な学修を促す効果があるということでございます。
 済みません,19ページの中で大事なことを御指摘するのを忘れておりました。19ページの授業別ルーブリックの説明の文章の中で,最後の方に,「授業別ルーブリックを学期前に明示して,授業別ルーブリックに従って成績評価を行ってください」と書いておりますが,本当にこれは非常に重要でして,授業の学期前,もしくは,授業の第1回目の時,いわゆるオリエンテーションの時にルーブリックを学生に示すようにお願いをしています。やはり授業が始まる段階で,この授業ではどういう内容をカバーして,どのように成績評価をつけるのかというのを,教員,学生がお互いに分かっていることが重要であり,それに基づいて学生が自発的に学修してもらえることを期待しますので,このように,授業の始まる段階でしっかりルーブリックを見せてくださいというふうに原則お願いをしております。
 では,ガイドラインの運用状況ということで,23ページをご覧ください。
 23ページですが,まず,2015年度はガイドラインの導入を決めた年度でございますけれども,翌年度の履修案内に成績評価の基準表とその説明文を記載するという作業を行い,それから,翌年度の開講科目の授業設計,すなわち,シラバス入力のときにガイドラインに基づいてシラバスを作成してくださいというふうにいたしました。なお、授業別ルーブリックは,シラバスの入力画面の中で作成します。ただ,ルーブリックを作ってくださいとお願いすると言いましても,なかなか先生方の中でルーブリックのことを知らないという先生も多かったので,ルーブリック作成マニュアルというものを作りましたし,コモンルーブリックというものも提示をいたしました。
 コモンルーブリックは何かと言いますと,24ページに書いてございますが,科目の形態を踏まえたサンプルのルーブリックということで,①から⑥まで書きましたけれども,講義用とか,演習用とか,いろいろなバリエーションをこちらの方で作りました。これらを,シラバス入力画面上でプルダウンメニューから選んでコピー&ペーストができるという形にしていまして,教員の作成負担をできるだけ軽減するように工夫をいたしました。
 そして,25ページですけれども,2016年度がガイドラインの導入年度でございますが,まさにガイドラインに従って教員はシラバスをもとに成績評価づけを行いまして,あと,私どもセンターの教員といたしましては,教授会の前にFDセミナーを実施いたしまして,各部局の教員にガイドラインや授業別ルーブリックの説明や活用方法について説明を行いました。
 そして,2017年度以降からは,授業別ルーブリック作成状況の把握ですとか,成績分布の変化の分析を行っております。
 26ページですけれども,こちらが授業別ルーブリックの作成状況でございます。ガイドライン導入の2016年度から今年度の開講科目まで,4年度分出ておりますけれども,全体を見ていただきますと,ガイドライン導入年度は約半分,42%の開講科目で授業別ルーブリックが作成されました。そして,年度を追うごとに作成率は上がっておりまして,今年度開講科目に関しましては66%でございます。最終的には100%を目指して今,鋭意頑張っているところでございます。
 27ページに実際に作成している授業別ルーブリック例ということで書きましたけれども,先ほど例1を見ていただきましたが,2,3もございますので,後ほどお目通しいただければと思います。
 では,28ページに参りまして,ガイドライン導入後の各種検証ということで,29ページが成績評価分布の経年変化の例でございます。こちらは全学教育,本学は教養教育を全学教育と呼んでおりますが,教養もしくは全学教育科目の成績分布の変化のグラフでございます。2015年度はガイドライン導入前ですので,2015年度とガイドライン導入以降の2016年度以降から提示しておりますが,正直申し上げまして,まだほとんど変わってはございません。2015年度の春,秋を見ていただきますと,この縦の棒グラフは一番下の濃い青が秀のパーセンテージの平均ですけれども,2015年度は大体12%ですね。そして,2016年度のガイドライン導入後は,若干下がりまして11%ぐらい,ときには10%になったりもしてということで,微減状態ではございます。ただ,ガイドラインは導入したばかりですので,今後しっかり様子を見ていければと思っております。
 次に,30ページですが,こちらはタイトルに科目という言葉を入れ忘れてしまったのですが,開講学部別の科目のGPの平均値の推移でございます。これも2015年度,ガイドライン導入前から折れ線グラフで示してございますが,例えば,オレンジの色が教育学部ですけれども,5つの学部の中で最も高く,一方で,灰色が経済学部で,黄色が経営学部でございますけれども,他学部に比べますと,やや低いところが見えます。2015年度はそういう感じだったのですが,ガイドライン導入後,年度を追うごとに全体的に平均値が集約しているというのが見て取れるかなというふうに思います。
 特に理工学部,薄めの青を見ていただきますと顕著に分かりやすいのですが,理工学部の場合はガイドライン導入前の2015年度は3.2ぐらいだったのですけれども,ガイドラインを入れてからぐっと下がりまして3.0,それ以降まあまあ維持をしているという形ですね。
 ちなみにですが,教育学部に関しましては,専門性の特色から少人数クラスが多いです。その関係で恐らく秀や優が多いのではないか,というのが考えられます。
 都市科学部,緑ですけれども,こちらは2017年度から新しく開設した学部ですので,2017年度からのスタートになってございます。
 では,31ページからが本学のGPA制度についてということで,簡単に御説明をさせていただいて終わらせたいと思います。
 本学は,GPA制度は2003年度入学生から導入いたしました。GPA計算式はこの式どおりですけれども,学生が履修した授業科目の成績評価に対するGPにその科目の単位数を掛けて,その総和を履修登録科目の総単位数で除すというのが計算式でございます。そして,成績評語・評価点・GPとの関係ということで,これは今現在の関係性でございますが,秀については90点から100点でGPが4.5,優は4,良が3,可が2,不可がゼロという形になってございます。
 そして,32ページはGPAの利活用の事例でございますけれども,まず,卒業要件として全学共通で2.0以上にしていたりですとか,CAP制を本学も敷いておりますのでCAP緩和の基準に一部の学部が使っていたり,成績不振学生基準ですとか,早期卒業要件等々ということで活用をいたしております。
 そして,最後にGPAの公表状況ということでございますけれども,学生に対しては学生ポートフォリオで公開をしておりまして,その本人が所属している学部および学年のGPAの分布のグラフを表示して,自分の位置を赤色にするということで,別紙資料2でお示ししている画面例のように学生にはGPAを公表しているということでございます。
 ということで,これまで本学のガイドライン,それから,最後に少しだけGPA制度について御説明をさせていただきました。ご不明な点も多々あるかもしれませんが,ひとまずこれで終わらせていただきます。大変にありがとうございました。
【日比谷座長】  御発表ありがとうございます。
 それでは,約10分程度ですが質疑応答の時間をとりたいと思いますので,どなたからでも札をお立てください。
 それでは,沖委員,浅野委員,大森委員,森委員,松下委員,深堀委員。これでちょっと終わりかもしれませんが,どうぞ。
【沖委員】  失礼いたします。沖でございます。大変貴重な御講演ありがとうございました。非常に先進的だと思いますし,特に履修目標というのは,なるほど,こういう手があるかというように思いました。ありがとうございます。
 3点御質問ですが,2点は非常に簡単なことです。
 24ページにあるコモンルーブリックというのは,これは授業別ルーブリックのひな形と考えていいかというのが1点目。
 それから,もう一つ,ここには採点用ルーブリックが見当たらないように思うのですが,それはどのようにしていらっしゃるかというのが2点目。
 それから,3つ目が,授業別ルーブリックを作るのは非常に重要なことなのですが,本当に先生たちはこの評価項目別にきちんと成績評価をつけておられるかという質問です。つまり評価項目は立てたが、実際の成績はそれに基づいていないようなケースがないのか、その当たりの点検はどうなっているかという3点をお願いいたします。
【安野氏】  最後のご質問は大変厳しい御指摘なのですけれども,まず,1問目,2問目に関しまして,24ページのところでございましたが,①から④までがいわゆる授業別ルーブリック,これは多分,一般的にはコースルーブリックと呼ばれていると思うのですが,授業別ルーブリックになりまして,5番目のところにレポート採点用というものがありますね。あとは,6番目の大福帳用みたいなものがございます。
 ですので,シラバス入力画面で作成していただくのは,基本的にはコースルーブリック,すなわち,授業別ルーブリックで,①から④のような形のものをお願いしているのですが,実際見てみますと,⑤のようなレポート採点用のものを作っている先生もいらっしゃいます。
 最後の御質問ですけれども,教員アンケートというものを実施いたしまして,授業別ルーブリックをまず作っているのかどうかですとか,活用しているのかどうか,どういうルーブリックを作っていますかというのを聞いたことがございます。そのアンケートには全体の教員の中の3割ぐらいが回答しているのですが,その3割の中の大体6割ぐらいが授業別ルーブリックを作っていますよと。それ以外の先生は,試験とか,テスト用の採点用のルーブリックを使っていますよ,ということで,全員が授業別ルーブリックを使っているわけではないし,その授業別ルーブリックをもとに採点をしているというわけでもない。やはりその授業別ルーブリックはあくまでも目安ですし,重要なのは学生の主体的な学びを促すというところがございますので,そこでがっちり成績をつけるというものでは正直ないというのがあるかと思います。
 以上になります。
【日比谷座長】  浅野委員,お願いします。
【浅野委員】  2点質問させていただきます。
 まず,1問目は先ほどの沖委員から質問のあった24ページにも関わってくるのですが,学位授与方針と到達目標とをどう整合させているのかというのが気になりましたので,この点について,どのようにお考えなのか,また具体的な取組などについてお伺いできますでしょうか。
 2問目は,ルーブリックを導入前に実施するノーミングをどのように行われているのかお伺いできますでしょうか。ルーブリックも GPA同様,段階判定になるところがありますので,アメリカの事例とかを見ていると,必ずノーミング・セッションというのをやっています。横浜国立大学様で全学的に導入するに当たって,教員がこの段階は大体これぐらいの範囲だという合意を得ない限りは,結局,ルーブリックを作ってもGPAと同じような形で運用時に振れ幅が出てしまうということが懸念されますので,この点について,どのような取組をされているのかお伺いできればと思います。
【安野氏】  まず,ディプロマ・ポリシーとの整合性でございますけれども,一応本学では学部ごとにカリキュラム・マップとか,カリキュラムツリーをまず作ってもらって,それぞれの教務委員長ですとかが点検するようにお願いはしていますので,どこまでできているかは私自身はきちんと把握できておりませんけれども,そういった形でなるべく整合性が付くように活動しております。
 後半の部分ですが,正直申しまして,まずどんとこのガイドラインを入れて,GPAも2003年度からは入れて,ルーブリックも作るように2016年度からしてはおりますけれども,そこまでの厳格な調整はまだできていないのが正直なところでございます。今,そのようなお話をお伺いしまして,頑張って取り組みたいなというふうには思っております。
【日比谷座長】  じゃあ,大森委員,お願いします。
【大森委員】  ありがとうございます。大森です。今日ちょっと途中で中座しなければいけません。私事で済みません。
 御発表ありがとうございました。私から2点,運用のところが2点と,あと,安野先生にお聞きしていいのかどうかわからないんですけれども,理念的なことを1点お伺いします。
 まず,先ほどの御質問とも関連するんですが,この授業別ルーブリックの表と,それから,点数が書かれておりました。一般的な大学は90点以上であれば秀というようなことだと思うんですけれども,そのルーブリックで評価して何点という素点を出すという理解でよろしいのか,ルーブリックだけで点数をつけないで秀とかとやっている先生もいらっしゃるのかという,その点数とルーブリックの関係について教えていただきたいのが1点。
 それから,運用の部分で,教授会での御説明とかお話は,非常勤の先生方にはどう協議をしているかということが1点です。
 それから,もう一つ,最後の理念的というか,あれは,絶対評価か相対評価かというところが,私はそういうのは素人なので分からなくて,学内でも議論していて,本学でももう秀は10%以内とかと決めているんですけれども,本来私も授業をやっていて,全員が秀になるように頑張って授業をやって,やらなきゃいけないと思って,全員が100点じゃなきゃ意味ないんじゃないかと思って授業をやっているんだけれども,そういう話をすると,いやいや,分布ができていない授業はだめだというようなことも言われたりして,そこが,ちょっといまだに腑に落ちていなくて,その辺の,全員100点じゃ何でだめなのかと,それを目指して授業をやっているのにというところのこと,何かアイデアがおありでしたら教えてください。
 以上です。
【安野氏】  1問目に関しましては,基本的には,まず点数を出します。テストですとか,レポートですとかで,教員は複数の採点の手法を用いて成績評価をつけますけれども,まず点数を100点満点で出して,そこでレンジに則って秀とか,優とか,可,不可という形で当てはめていくというのが基本になります。
 2点目ですけれども,非常勤の先生は部局ごとに所属されていますので,各部局に対してセンターの方でいろいろな説明文ですとか,文書を作成して,配付していただくようにお願いをするということで,必ず徹底して,常勤も,非常勤も理解していただくようにはしてきております。
 最後のご質問については,これはガイドラインとか,ルーブリックを導入するときに必ず教員の先生方からも上がってきたお話で,おっしゃる通り,全員が秀とか,全員が優を目指して授業をやるべきだろうということで,なぜ不可とか良とかまで考慮しなくちゃいけないんだという意見はありました。ただ、本学の場合は,ガイドラインを導入した大きな狙いは,本当に優秀な学生を伸ばしたい,そのために,秀は履修目標を超えて主体的に学んでいる学生にあげよう,そういう学生の育成を目指して授業をやっていこう,という考え方でやっております。申し訳ございません、絶対評価・相対評価に関することは,私個人的にははっきりと御回答することはできません。
【日比谷座長】  じゃあ,森委員,お願いします。
【森委員】  森でございます。まずは,先進的な事例ありがとうございました。
 大森先生に続いて,私も絶対評価と相対評価のことを聞きたく思います。今のお話ですと,私も,教員間の成績評価のばらつきは修正していかなくてはならないと思いますが,学生の成績のばらつきは問題ないだろうと思っています。基準をしっかり決めた上で,成績が,例えば,偏りがあるということは,これは当然のことだと思っていますので,かえって操作をするほうが,これは学生の学びにとって有益ではないというふうに思っています。
 もう1点,今回の御発表に関してですが,その効果をではどうやって測るのかといったときに,本システムの導入の目的が学生の主体性を促進することが目的であれば,結果,学生が主体的であったのかどうか,そっちのデータがあったらよかったかなというふうに思っているところなので,GPAが下がってきたからオーケーということではないだろうと思うのです。ですので,安野先生のお取組が,学生の学びによって正しく評価されているかなということに関しましては,ちょっと議論が必要かなというふうには思いました。
【安野氏】  今,森先生が御指摘くださった主体的な学びが本当にできているのかという確認作業は非常に大事で,じゃあ,それをどうやって確認すればいいんでしょうというところがあるので,私自身も研鑽をしながら,先生方にも教えていただきながら,今後やってまいりたいと思います。ありがとうございました。
【森委員】  済みません,ちょっとだけ,多分授業評価アンケート等で学生からの評価が得られているはずです。そっちの方が私は多分気になるというか,興味があるということです。
【日比谷座長】  では,松下委員,お願いします。
【松下委員】  御報告ありがとうございました。
 私は3点お尋ねしたいんですが,1点目は非常に単純な質問です。スライド29で成績評価分布の経年変化について,あまり変化がないということをおっしゃったんですが,これ平均で出しておられるんですけれども,各科目間のばらつきというのも変化がないのかというのが1点目です。
 それから,2点目は,今日ルーブリックの話をしてくださったんですけれども,評価ではルーブリックとあわせてアサインメント,評価課題としてどういうものを使うかということがとても重要なんですが,その評価課題についてはどうなっていますでしょうか。その評価課題との関係でしかルーブリックの妥当性というのは語れないんですが,今日のご報告ではそれについては全く言及がなかったので,そのあたりどうされているのかということです。
 それから,3点目も同じくルーブリックに関してなんですが,今日はレベルをそろえるというお話が主だったんですけれども,今日の例で言うと,縦軸ですね,評価観点,項目をどう設定するかというのが,実はルーブリックではより重要だと思うんですが,そこのところを全学的に,あるいは,部局の教員で議論したりするといったことはないのかという,そこを伺いたいと思います。
【安野氏】  先生,ありがとうございました。
 まず,1つ目の科目間のばらつきの件ですけれども,当然見てございます。先生がその科目間のばらつきとおっしゃったときに,例えば,これは開講部局別に出しておりますので,開講部局の中での科目間でどうばらつきがあるのかという御質問の理解でよろしいですか。
【松下委員】  以前は,秀がすごく多かったり不可が多かったりで,ばらつきが大きかったということだったんですが,それは平均してしまうと相殺される可能性があるので,そのばらつきがどうなのかということです。
【安野氏】  そうですね。本学では科目ごとに成績分布が見られるシステムを導入しておりまして,これは常勤教員しか今は見られないようになっておりますが,そういったシステムを見ますと,やはりきちんとガイドライン導入後に意識をして,分布をきれいにしている先生もいらっしゃれば,なかなか改善していないという科目もありまして,とにかく科目間の差というか,ばらつきはあります。それが一つですね。
 ちなみに,クラス規模別でも実は見ていまして,やはり少人数,1名から20名ぐらいですと,やはりまだ成績のつけ方が甘いかなというのは見られます。逆に20名以上になりますと,どのように区分をしてもあまり変化がない。少人数クラスほどには極端な分布の偏りはないなというのは見えてきているところでございます。
  2つ目の評価課題につきましては,先生の御質問にきちんと答えられるかわかりませんが,御用意した実際のルーブリックの実例の中の2つ目ですけれども,資料1の最後の方の授業別ルーブリック実例をご覧ください。科目名,数学・力学演習とありまして,一番下にオレンジ色で担当教員のルーブリック活用法と書いているのですが,この先生はどうしているかというと,まず,(1)ということで,授業時間内演習とレポートと小テストと期末テストの3種類の授業方法と評価方法で行っているけれども,それはそれぞれ到達目標の,他人のアドバイスがあれば課題を解くことができるとか,(2)というのは小テストですけれども,これは参考書などを参考にすれば独自で課題を解くことができるような形で対応させていますというふうに,非常に意識をして評価課題とルーブリックを紐付けて作っているという先生はいるということになります。
 お答えになっていましたでしょうか。
 最後,この評価項目はどう設定するかというのは,実は発表の中で言及させてはいただいたのですけれども,基本的には履修目標に書いている文章,これを項目立てをして評価項目に書いてくださいというふうにお願いをしています。ただ,実際は,先ほど沖先生からの御質問があってお答えしましたように,そもそも授業別ルーブリックになっていなくて,レポートとかテストの採点用のルーブリックを作ってしまう先生もいらっしゃいますし,いろいろなのですが,基本的に,繰り返しますが,履修目標に書いてある文章,これを項目立てをして評価項目にしてくださいというふうに統一しているつもりではございます。
【松下委員】  ですので,その履修目標をどう立てるかということですね。履修目標とルーブリックの評価項目が対応しているのはわかったんですけれども,今日の例を見ましても,かなり科目によって違っているように思います。そこの履修目標を立てられるときにどういうふうに項目を立てるかというところでは特に議論がありませんでしたか。普通ルーブリックの研究だとここが一番議論になるところなのですが。
【安野氏】  正直本学では,その科目特性に応じて先生の方で優のレベルになるように作ってくださいと,とお願いしているだけで,あとは、履修目標の語尾は「何々できる」という表現で文章を作ってください,とお願いしている程度でございます。
【松下委員】  分かりました。ありがとうございます。
【日比谷座長】  じゃあ,深堀委員で最後にします。
【深堀委員】  ありがとうございます。もう既にたくさんの先生方から御質問ございましたので,安野先生の御提案を受けて,国のレベルでどのような議論ができるのか,考えを整理してみたいと思います。
 一つ目ですが,既に浅野先生から御指摘がありましたように,ノーミング・セッションがなければ何をもって成績評価の「優」に相当する「履修目標を達成している」と見なすのか,あるいは,「可」に相当する「到達目標を達成している」と見なすのかについて,共通理解をもつことができません。大学の中では,授業科目を超えて,先生方が具体的な課題と採点基準を持ち寄って共同で検討し見てみなければ,客観性を確保することは,結局は不可能であるということだと思います。
 2点目ですが,このことをGPAの分布と照らしてどういうふうに考えるかという点につきまして,大学を超えてノーミング・セッションをやっていかなければ,結局何をもって大学卒業水準と見なすのかという議論にはつながりません。それぞれの大学で,すべての学生が「優」や「秀」を達成できるように目指すことは,教育の当然の目標ですけれども,質保証の観点からは,個別の大学のレベルを超えて国のレベルで各学位段階の水準をどう考えていくのか,考えていく必要があります。その議論を抜きにして,各大学が成績評価をどうするべきだというような議論を行うことは,差し控えるべきではないかと考えます。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,安野先生の御発表と質疑応答をここで終わります。どうもありがとうございます。
【安野氏】  ありがとうございました。
【日比谷座長】  では,この後は本日の議論に移りますけれども,まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。先ほど座長の方からお話がございました,前回の授業科目・教育課程の編成について,この後お時間をとっていただくことにしてございます。
 今回の参考資料の1というものが,前回お配りした資料をそのまま修正なしで配っているものでございます。こちらの方が①番,②番とありますが,そのうち②番が授業科目・教育課程の編成でございます。前回はこの資料の中の,おおむね,例えば,5ページとか,6ページとか見ていただきますと,白丸がついていて,前回はこの履修指導体制,シラバス,キャップ制,このあたりについて御議論いただくということでセッションが組まれていたところでございます。
 この参考資料1が前回のそのままの資料でございまして,参考資料2が前回各先生にお出しをいただいた資料ということでございます。こちらの方につきましては,前回と同じでございますので,内容については説明を省略させていただきます。
 資料の2に戻っていただきます。資料の2は前回における主な御意見でございます。指針全体に関する御意見,また,授業科目・教育課程の編成に関する御意見等について,いただいたものをまとめてございます。御参照いただければと思います。
 資料3でございます。資料3が成績評価に関するいわゆる議論の一つのたたき台としてお示ししているものでございます。過去の答申というものの内容を再整理するという観点から基本的に作らせていただいているものでございますが,一番最初の回の方に一応最初全部お配りしたものとの変更点で申し上げますと,レベル別という概念が前回配ったときにありませんでしたので,その観点から少々修正を加えているところでございます。
 1ポツ,大学全体レベルということでございます。大学全体で厳格な成績評価を行うとともに,大学全体でどのような考え方に基づき成績評価を行っているか示すためにも,成績評価に関する全学的な統一基準を策定・公表するとともに,当該基準に基づく評語と授業科目ごとに定められている到達目標の達成水準との関係を公表したり,成績表に記載するといった取組が必要ではないかということ。
 GPAについては,2つ目でございますが,その算定方法に各大学の自由度が認められる一方で,今日の資料の中でも上限が4.5点なのか,4点なのか,何点なのかというところ,かなり差があるわけでありますが,進学や就職に当たって学外に活用されるということも想定されるものでありますので,その信頼性を確保するためには,算定方法や分布というものを開示することが必要なのではないかということ。
 3つ目,学士課程答申において,GPAを導入する場合の留意点として,例えば,不可になった科目も平均点に算入することなど,こういったことが挙げられているところには留意をした上で運用の改善を進めていくことが必要ではないかということでございます。
 2ポツは,学位プログラムレベルでございます。本日の発表にも関わってくる部分かと思いますが,各授業科目の達成水準について,ルーブリック等を用いて事前に明らかにしていくことは,厳格な成績評価や学生の学習意欲を高める観点から有効と考えられること。特に同一名称の科目を複数開講している場合には平準化を図る観点から重要ではないかということでございます。
 2つ目でございます。各授業科目においてあらかじめ定められた成績評価基準を踏まえて,意図されたとおりの成績評価が行われているかどうかを検証する仕組みが必要ではないかということ。
 3つ目,学士課程答申を踏まえまして,GPAを留年,退学の勧告の基準とすることや,それに伴うアドバイザー制度を導入することなど,きめ細やかな履修指導,学習指導を行うことで,教員間で分布に関する情報を共有して,FDを実施することに留意する必要があるのではないかということでございます。
 3つ目が個々の授業科目レベルということでございます。成績評価を適正に行う上では,教員間の共通理解を醸成した上で,各授業科目における「何ができるようになるのか」といった具体的な到達目標に照らして,「どこまでできるようになった」のかと。これは先ほどの御発表にも関わる部分かもしれませんが,最低限できるようになったのか,到達目標を大きく超えてできるようになったのか等といった観点で,できるだけ客観的に達成水準を明らかにして,厳格に反映していくことが必要ではないかということ。
 公正で透明な成績評価という観点から,達成水準を測定する手法やそのウエートがあらかじめ明確になっていることが必要ということでございます。
 次の丸は,この分布というもの,成績評価の結果というものを踏まえたFDなどを通じまして,個々の授業の改善というものを行っていくことが必要ではないかということ,このあたりを,過去の答申というものを土台にして書かせていただいているものでございます。
 3ページの方は,最新の私どもの持っている数字ということでございますが,GPAの導入状況及びその明示方法,活用の具体的な運用方法の割合というところに書かせていただいているところでございますので,御参考にしていただければと思います。
 その上で,次は資料4でございます。資料4は今回の成績評価に関しまして,各大学の先生からいただいた資料というものをまとめさせていただいたものでございます。また,ご発言の際に参照いただければということでございます。
 続きまして,参考資料の3でございます。参考資料の3につきましては,このグランドデザイン答申をまとめる際の制度・教育改革ワーキングで配られた資料ということでございます。この際の事務局の配付した資料でございますけれども,GPAにつきましては,(2)の2つ目のポツあたりでございますけれども,かなり多様な運用がされているというような話,4ポツも算出方法というのが相当様々であるという話,その後は,今申し上げたような活用状況の話が書かれているものでございます。
 最後でございます。平成29年度文部科学省の委託事業ということで,『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』の報告書を配らせていただいてございます。こちらの方ごらんいただきますと,GPA制度の導入状況でありますとか,GPA制度に伴ういわゆる算定方法について,また,いわゆるどんな科目を除外しているか,履修中止の制度というものをどう運用しているか,このようなことについて全国的なアンケートというものを行っているとともに,個々の大学につきまして幾つかヒアリング調査というものを行っている結果というものが入っているところでございます。御参照していただければ幸いでございます。
 私からの説明は以上です。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,最初に20分程度ということにしますけれども,前回取り上げました授業科目・教育課程の編成について,引き続きしばらく議論をしたいと思います。
 資料は,本日の付け方で言いますと,参考資料の1,これは前回の資料の8,それから,本日の参考資料の2,前回資料12に基づいてご発言いただければと思います。どなたからでも結構です。
 では,松下委員は前のですか,上がっているのは。
【松下委員】  済みません。
【日比谷座長】  では,吉見委員,お願いします。
【吉見委員】  ありがとうございます。前回はシラバスとCAP制について特に触れてくださいということでしたが,シラバスにしても,CAP制にしても,この授業科目・教育課程編成という全体の部分です。ですので,やはりこれ全体を議論しないと,部分だけ議論をしていては解決策が見つからない。やはり、部分から全体へ広げた議論が必要です。
 たとえばCAP制について,前回いろいろ議論がでましたが,これ総論賛成各論反対に必ずなるので,中規模の単科大学ならば比較的うまくいくでしょうけれども,大規模の総合大学の場合はまとまらず、あまり実効性のない結果になる。こういう個々の部分の改善というのは,やはり限界があって,授業科目・教育課程編成の中で根本的の問題は何なのかということを考えておくことがとても重要になります。
 よく皆様も御承知のように,日本の大学生は世界一勉強していない,あるいは,勉強しているけれども,自分で考える力が伸びていない,実質的な学習時間も増えていない,ここの問題が一体何なのかということですよね。そしてまさにこの,一番大きな問題は,深く学ぶという形の仕組みができていないということです。広く浅く,つまり,たくさんの課目をとって,いろいろな知識を詰め込むけれども,しかし,深く学べていない。
 深く学べていないのは,1学期に履修する授業科目数が多過ぎるからです。スーパーマーケット的に科目を一杯とっていて,多くの場合,1セメスターで言えば12科目ぐらいとっているわけですね,学生は。多い子は14科目ぐらいとっている。少ない子でも10科目ぐらいとっている。1週間にこんなに科目があったら,深い学びなんかできるはずがないですね。その体制を変えていくということが,絶対に教育改革の一丁目一番地です。
 4年間合計すれば70科目ぐらいを学生たちはとっていますから,卒業時には1年,2年のころに何の科目をとったか忘れちゃう。1科目で先生が,例えば毎週1課題を出したら,その学生は1週間に12課題をやらなくちゃいけない。しかも,前の週と次の週で週1回しかありませんから,週1回,1週間たつうちにいろいろなことがありますから,前の週の授業内容を忘れちゃう。週2回,3回,授業の中で先生と学生がコミュニケーションするようなことが当たり前になる授業科目構造にどう転換していくことができるのかということが,やはりこの授業科目・教育課程の編成の根本問題で,一丁目一番地だと思います。
 これを変えない限り,結局は何も変わりません。たしかにシラバスも大切ですし,CAP制も大切ですし,成績評価もそれぞれ全部大切ですけれども,しかしもっと大切なことの根本ができなくて,個別課題が課されるから、皆さん忙しくて疲弊していく。学生も疲弊するし,教員も疲弊するということが,この20年ぐらい繰り返されてきたわけです。やはりせっかくこの部会で授業科目・教育課程編成の問題を扱うのですから,その根本、つまり学生の平均履修科目数の問題から考えることを避けて通れないはずなのです。
 そのためには,やはりスーパーマーケット型の日本の大学教育を,コーチング型,少ない科目数を深く学んでいく教育に変えていく,それこそがやはり高校の学びと大学の学びの違いというか,大学における学びが何なのかということの根本に迫る話だと思いますので,ぜひこの学生の平均履修科目数についての議論をしていただきたいと思います。
【日比谷座長】  深堀委員,お願いします。
【深堀委員】  ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
 1点目は,今の吉見先生の御議論と関連しますが,今世界的に見ても,インテグレティブ・ラーニングという,卒業論文に相当する授業科目の重要性が非常に重視されてきています。日本は卒業論文を多くの大学で実施しており,そこで深い学びを保証してまいりました。しかしながら,卒業論文に配当される単位数が実質的ではないという課題があります。卒業論文にかける授業外学習時間も含めて,学修時間の実質化の議論を深めながら、授業科目数について検討していく必要があると思います。
 もう1点目は,参考資料の2ページ目のアンダーラインの箇所で,分野別参照基準について指摘されている点についてです。先ほどの私の発言とも関連していますが,各学問分野において学生が何を学び身につけるべきかということについての全国的な議論がなされた非常に重要な成果だと思います。
 しかしながら,私も今,松下委員長のもとで教育学分野の参照基準の作成に関わっていますけれども,やはり教育学の輪郭は何なのかという議論から始めなければなりませんので,その内容は非常に幅広で高邁なものにならざるを得ません。それを各大学の教育課程編成に活用していくためには,具体的にどのような授業科目の中でどのような知識・能力を身に付けさせるのかというレベルの議論に,次のステップとして持っていく必要がありますが,そうした議論は残念ながらどの学問分野でも未だ行われていないのが現状です。分野別参照基準を参照して教育課程を編成し、学修成果の達成に向けた授業科目を展開していくことにはかなりの距離があります。その議論を今後詰めていく必要があります。さらに,日本学術会議の中でも,現行の参照基準で示している水準が学士課程に適した水準といえるのか,修士,博士の水準と照らして議論を深めていく必要があると思います。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 ほかに前回のテーマについての御意見は。
 浅野委員,お願いします。
【浅野委員】  先ほど吉見先生,それから,深堀先生のご発言された点は,実際,大学にいる者としては非常に重要かつ困難な問題だと考えています。
 特に,カリキュラムをどのように組んでいくのかという議論を学内で展開するときに,現状,なかなか参考(たたき台)になるものがなく,前例踏襲といいますか,これまでできていたものをベースに組んできているという現状があるかと思います。
 ご参考にまで,山形大学で取り組んでいるのが,本日の参考資料2の4ページでしょうか,スライドのページ番号でいうと8ページ目になります。前回の会議でもご紹介いたしましたが,カリキュラム・マッピングの話です。なぜ,こういった取組が必要かと言いますと,アメリカの動向なども見ていますと,そもそも質保証といいますか,適格認定(日本で言う認証評価)を受けるには,カリキュラム・マッピングの提出を必須とされる動きがあります。その背後には,学内の教員が,御自身の担当授業と大学全体の目標であったり,水準であったりと,どう関係しているのかを説明することが求められ,そのためのツールだというふうに捉えられています。
 本委員会直前に学内の先生方とワークショップを開催しましたが,導入から3年を経ていることもあり,ある程度,導入の意義が認められるようになってきました。最も意義が大きいと思われるのは,カリキュラムの順次性を確認できるようになるというところです。この点が非常に重要でありまして,これまで前例踏襲でやってきたことの問題点を見える化することで,「なるほど。このカリキュラムを編成していく中で,ここの継続性に問題があるんだね」という意識を持ってもらえるようになります。そうすると,今度は全体の科目数の話とか,接続の問題というところに少しずつ話が進んでいきます。
 作成そのものは大変ですし,なかなかすぐにできるものではありませんが,やはりこういうツールを導入して,日本の大学で議論されているカリキュラムの問題について,少し展望が開けると感じております。
 一方,先ほどの安野先生のルーブリックの話とも関わってきますけれども,非常に難しいのは,深堀先生もおっしゃったように,国としての水準がないということがあります。拠り所となる水準がないため,大学の目標,これを踏まえたカリキュラムの編成という一連の流れに落とし込めないという問題があります。質保証の根幹に関わるため,拠り所となる国としての水準がないという現状については,今後の検討課題かなというふうに捉えています。
 以上でございます。
【日比谷座長】  上げっ放しじゃなくて,2回目ですね。吉見委員,お願いします。
【吉見委員】  ありがとうございます。今浅野先生がおっしゃったように,あるいは,ほかの先生方の議論にも出たように,コーチング型の、学生が深く学ぶ科目構造を実現する回路,手段はいろいろな形が考えられると思うんですね。1科目の単位数をもっと大きくすることが基本になりましょうが、卒論の再評価もあるし、カリキュラムの構造化もある。ただ,目標地点を明確にしておくということがとても大切だと思います。
 私が申し上げているのは極めて単純なことでして,例えば,私が知る限りでは,日比谷座長がいらっしゃるICUでは3学期制を導入されていて,それで,基本は1科目3単位ではないかと思います。3単位というのはセメスターで1科目4単位と同じ話で,つまり,必ず1週間に2回か3回授業があります。これが当たり前だという構造をすでに作られていると思います。しかも、この科目構造がかなりいい成果を上げている。これが一つのモデルになると思います。もしもこれがセメスター制という形になれば,1科目は4単位以上だと思います。4単位以上ということは,1週間に2回か3回必ず先生と学生が会うということです。当然ながら,その分,学生がとる科目の数は今の半分くらいに減らさなくちゃなりません。現状のたくさん浅くという構造を,たくさん深くにするのは不可能ですね。学生の学習能力の面積を考えれば明白に不可能です。ですから,そのたくさん浅くという構造を少なく深くという構造に変えていくことが絶対に必要。
 つまり,今何が問題かというと,いろいろな改革,努力をこれだけしていて,深い学びを何とか実現しようとしているんだけれども,学生側の実質的な学修時間というところで実現していない。これは,たくさん深くを狙うからですね。だから絞り込んで,絞り込んだ科目についてきちんと,先ほどのルーブリックにしても,それから学習時間にしても,リーディングアサイメントにしても,こういったいろいろな要素,可能な形を作っていくということが,実効性のある教育改革であるために根本的に重要で,それは科目の数を激減させること,履修科目の数を変えることです。その結果,1週間の開講回数を増やす。そうして個々の学生の一つ一つの授業に対するコミットメントを決定的に大きくする。科目を深くするし,同時に,数としては少なくするという,この構造転換が,授業科目の履修科目構造の改革にとっては根本中の根本だと思います。
【日比谷座長】  ちょっと私どものシステムに言及していただきましたので,分かりやすく同時並行でどのくらい学生が科目を履修しているかということを申し上げますが,個別の学期ごとに一応標準の履修単位はここまでよというのがございますから,それでとると,3単位科目,2単位科目ありますが,組み合わせて,1人の学生が同一学期に並行履修するのは5科目が標準で,よく12科目というのが全国平均値と各種の調査で出ますが,その半分以下ということを補足させていただきます。
 じゃあ,森委員,お願いします。
【森委員】  私も吉見委員に全面的に賛成で,カリキュラム・マップやツリー,または,ルーブリックというのものはやはり手段だからこそ,現状をチェックするといったようなロジックからどうしても脱却できないというふうに思っています。チェックはもちろん必要なんですけれども,その前に,やはり基本的に何を目指していくのかという,教育目標のところ,もっと言えば,大学全体の目標のところを見直していくと,どうしてもやはり主体性ですとか,あとは資質・能力といったようなところが出されているにもかかわらず,カリキュラムはそのような形になっていない。ここの齟齬をやはりどうにかして直していくということの努力が,私は先に立つのではないかなというふうに思います。
【日比谷座長】  松下委員,どうぞ。
【松下委員】  今吉見委員がおっしゃった深く学ぶということ,私も非常に重要だと思ってずっと言ってきているんですけれども,ただ一方で,私はやはり深さと広さをどう両立させるかということも考えていくべきだと思っています。深い学びといったときに,どうしてもある専門分野だけを突き詰めてというふうになると,いわゆるタコツボ化という心配もあるわけですね。その深く学ぶことが,同時に広く学ぶことにつながっていくような仕組みというのをやはり考えないといけないと思うんですね。例えば,副専攻制だとか,あるいは,ちょうど深く井戸を掘っていったら地下水脈に当たって,それが今度は別のところにもつながっていくというような,そういう回路を作れるようなカリキュラムというのが,今いろいろ国際的には議論されていると思います。というわけで,私は,深さは重要だけれども,一方で,深さと広さをどう両立するかということも,理念としては追求したいなというふうに思っています。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,ここで前回の続きの議論は打ち切りまして,これから,そうですね,40分弱になりますか,本日のテーマである成績評価につきまして,今日の資料番号でいきますと,資料の3と資料の4に基づいて議論をしていきたいと思います。
 どうぞ,札をお立てください。
 溝上委員,お願いします。
【溝上委員】  溝上です。今議論されていました吉見先生の週複数回なり,松下先生の深くも広くも,大体私も同じことは思っていますので,そういうのは大事だなと思うことはちょっと前提としまして,横にどけます。済みません。
 この会議,高等教育のこういう教学マネジメントにまつわる様々なこれまで改革課題というもので中心的役割を果たしてきた先生方がたくさんいますので,こういうふうに大きな総論といいますか,総論の中でも非常に大事な焦点化ということがなされるのは当然と言えば当然で,こういった議論も含めながら教学マネジメントということを考えていかないとというふうに,これは自分にまとめをしているところなんですけれども。
 他方で,今私は桐蔭学園というところにいまして,桐蔭横浜大学教授でもあるんですけれども,この教学マネジメントを進めているんですね。非常に,何というんでしょう,この議論からすると遠いところにいまして,私の中ではあるんですけれども,先生方の現実から見ると遠過ぎて,今教学マネジメントのこの委員会で,こういった大学が全国少なからずあるということを多少前提にして,指針ということをちょっとお話ししたんですね。それも指針も一杯挙げられても,もう1回言いますけれども,私はわかるんですけれども,現場で伝えていくのは本当に難しくて,非常に多くの時間を費やして過ごしています。
 先ほどの安野先生の取組の中で,これも一杯参考になったことあるんですけれども,ちょっと時間の関係で問題のところだけ,済みません,指摘させていただいて,GPAの質保証という言葉があって,GPAで質保証というのは,私は不可能とは言いませんけれども,実際なかなか難しくて,GPAというのは非常にこう,非常にというか,授業科目の総体として出てくる評価点数ですから,そこに,御承知のように,学習目標は様々な次元に分かれて設定されるのが一般的なので,そういうものを授業に落として成績がつけられて,それを平均化して総体としてGPAが出てくる,そのGPAの一つの得点に何かしら意義をつけていくというのは,これ大体不可能というか,大体出てきません。私も片っ端から分析していますけれども,GPAに何かの意味をつけていくというのは,ないわけじゃないんですけれども,なかなか難しいです。
 そういうことを考えていくと,結局教学マネジメントとか,質保証の根本は,非常に端的にまとめると,やはりDPに基づく各授業の成績評価ということに,やはり話は落ちていくんだというふうに思います。DPがしっかり立てられているかということがありますけれども,それはちょっと今日の議論を外れますから,立てられているというふうにして,それを,先ほどからの議論に出ているのをちょっと私なりにも整理していたんですけれども,まず一つは,やはりシラバス等々で,これ安野先生の議論の中でもありましたけれども,しっかり各授業科目に落とされているということですね。これが一つあるんだと思います。それから,評価規準ですね。各授業に紐付けられたDPに基づく評価というものが複数次元あって,それが規準がちゃんと設定されて付けられているか。その最後に,これも先ほど議論ありましたけれども,結局コース評価ではなくて,課題とか,あるいは,出席とか,そういった複数の次元における評価の総体としてコース評価がありますので,コース評価だけを見ていてもだめで,各課題とか,出席とか,そういったものについてどういう点数をつけて最後コース評価がこうなされたかという,この3つぐらいがしっかりなされているということだと思うんですね。
 先ほどの安野先生の御発表を聞いていると,この3つ目の,各,何でしょうね,成績評価のクレームなんか来ても,結局ここを見せないと,何で80点とか,何で65点とか,説明ができないので,先生たちはこれやっているはずなんですよね。ですから,先ほどの議論を伺っていて,ちょっと考えていたのは,これを学部とか大学でどういうふうに組織的にいわゆる提出させていくというか,可視化させていくか。
 私なりに思っているのは,授業評価のアンケートを受けて,コメントを返すというのは,大体どこの大学もやっていますよね。あそこに何かこう,1ページ,一つの代表的な授業を取り上げて,自分はこういう感じで成績評価をつけていると,それぞれの課題に対する点数の付け方とか,これは規準ですけれども,2番目の,こういうことを何かしらこう,取り扱っていくだけでもいいんじゃないかなと。
【日比谷座長】  沖委員,お願いします。
【沖委員】  失礼いたします。今溝上先生がおっしゃったことにかなりかぶっているんですが,資料3の2ページ目の個々の授業科目レベルに関して,毎回言わせていただいていることですが,個別の授業の成績評価というのはあくまでも到達目標の達成度を測ることだということをやはり明示する必要があると思います。それで,溝上先生がおっしゃったように,評価項目が複数ありますよね。先ほどの安野先生も授業別に評価項目が3つとか,4つとか,書いてありましたよね,その評価項目をきちんと測るということをしなければ,やはり全然意味がなくなってくる。そこの点検が必要だということで,例えば,シラバスの中に,この評価項目は何をもって評価して、全体の何%になるのか,場合によっては,評価課題はどのようなものかということを明示しなければならないと思います。その合計はもちろん、100点満点になるわけですからね。そういう書き方をしなければ,多くの場合,到達目標は非常に立派なものを書いておられるけれども,実際は一部の知識再現型の試験しかやっていないということが本当にたくさんあるんですよ。そのような成績評価の積み重ねで担保されたDPなんて何の意味もありませんから,そこはやはり徹底してやるべきかなというのが1点目です。
 それと,その上の少し大きな話で,ちょっと先ほど言いそびれたというか,話に入れなかったんですが,これも溝上先生がちょっとおっしゃっていましたが,やはり研究大学といいますか,そういう大学で通用するお話と,そうでないところの話もありまして,例えば,分野別の参照基準,一番重要だと思います。それはまさに参照すべきことなんですが,やはり個々の大学においてはDP,それは参照基準を踏まえた上でのDPかもしれませんけれども,そこでの達成度というのができうる上限である大学もあり得るんだろうと思います。そういう意味では,我が国では基本的にツートラックでいっているかなと思うんですが,あまりにも参照基準で統一すべきだというと,かなりしんどいというのがちょっと正直なところです。
 以上です。
【日比谷座長】  佐藤(浩)委員,お願いします。
【佐藤(浩)委員】  授業レベルの成績の話もそうですし,カリキュラムや全学でもそうなんですけれども,教育の質に関する議論がずっと続いているかと思うんですけれども,現場の職員の方や先生方と話していると,政策上の議論からは矛盾する2つのメッセージが届いていると言うんですね。一つは,教育の質と言いながら量的な保証をせよというメッセージかと思います。もう一つは,その名のとおり質的な保証をせよというメッセージだと思います。前者は質が大事だと言いながらも,単位数の問題であったり,授業時間外学習であったりと数量的な指標が重視される。これは「履修主義」と「修得主義」の関係で言うと「履修主義」の方かと思います。企業で言うと何時間働いたかということかと思います。後者では,何を学んだのかという質的な指標が重視される。「修得主義」の考え方ですね。ルーブリックを使って学習成果を評価するという話がこれにあたるかと思います。パフォーマンスの評価ですね。企業で言えば,何時間働いたかよりもどれだけの成果を出したかということかと思います。この2つがときに矛盾するような場合もあって,どちらも達成条件として挙げられているという矛盾をどう考えるのか。
 恐らく,結論から言うと,相反するものと考えるよりは,使い分けをしながら,各大学で,これに関しては量的な評価をする,これに関しては質的な評価をするという議論をしなければいけないんだろうと思うんですけれども,非常に今この辺りが混乱している状況かなというふうに思いますので、整理が必要かと思います。
 量的な保証に関しては,シラバス上で,例えば,授業時間外学習を明示しましょうという,これ自体は悪くはないと思うんですけれども,それはあくまで標準時間であって,決してそれだけの時間をかけたからよいというものではない。例えば,反転授業の例がわかりやすいんですけれども,オンライン教材を長時間かけて見れば優秀な学生かというと,そうではないわけです。むしろその逆の可能性があるわけです。優秀な学生は2倍速,3倍速で見て,あるいは見ないでもその課題を達成することもできるかもしれない。今経産省中心に未来の教室事業が展開していますけれども,初等中等教育でも,AIを使った数学教材を使えば学習時間が非常に短縮できるという事例もあります。
 ですので,量的な保証というものが限界を迎えているということは言われているんですけれども,やはり根強く先生方の中に量的な指標を重視する傾向があります。例えば,出席をちゃんとカウントしなければいけないだとか,研究室に朝から晩までちゃんといなければいけないだとかにこだわっている。これは先ほど深堀委員が,卒業論文の単位数が不適切であると言われていたこととも関わります。量的な指標を徹底するのであれば本当はもっと単位を出すべきだと思うんです。
そういう点からも考えて,各大学で改めてその単位数,単位の問題を考える必要があると思います。本家のアメリカの中でも,ここにはお詳しい方が多分いると思うんですけれども,脱カーネギーユニットという動きがある。つまり,本当にカーネギー単位制度を前提にして学習を考えていいのだろうかとという問い直しがある。カナダも含めて州によってはそこから外れる取組をしているということもあるかと思うんですね。一概にカーネギーユニットが悪いというわけじゃないんですけれども,根本のところの見直しも含めて議論する必要があるかなと思っています。
 関連する大学設置基準で言うと,第21条に単位数は各大学において定めるものとするというふうにありますが,長らく講義演習は15時間から30時間,実験実習は30時間から45時間という,こういう規定があったかと思います。このあたりももういろいろな教育方法がミックスされて授業が展開されているという時代にあって,例えば,実習でもAI教材を抱き合わせで使うというようなことがあった場合に,あまりこの差に意味がなくなってきているんじゃないかという気もするんですね。「前項規定にかかわらず」という柔軟性があるという条件は付いているんですけれども,よりわかりやすくするために,この辺の項目に関しても検討する必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 以上でございます。
【日比谷座長】  深堀委員,お願いします。
【深堀委員】  ありがとうございます。先ほど沖委員から参照基準について言及していただきましたので,少し情報として補足させていただきます。日本の参照基準は,イギリスのサブジェクト・ベンチマーク・ステートメントを参照しながら構築されてきたわけですけれども,イギリスで学問分野別質保証が目指されるようになった背景には,ポリテクニックが大学に昇格した高等教育改革があります。その意味で,サブジェクト・ベンチマーク・ステートメントは,全ての大学にとって活用可能なものとして作成されています。先ほど,参照基準の水準を検討する必要があると申し上げましたが,研究大学にも実践的な職業教育を目指してきた大学にも適用される大学の水準に関する緩やかな合意が,イギリスやヨーロッパの大学では共有されているのです。サブジェクト・ベンチマーク・ステートメントについて,研究大学は研究の箇所をより分厚く書き,旧ポリテクニックは,例えば,リテラシーの観点から書き直す等,様々な使い方の工夫をしながら,学問分野としての水準を満たしながら,それぞれの大学の目指す人材像を表現しているわけなのです。参照基準の使い方についての知識を,日本の高等教育コミュニティは持ち合わせているかというと,やはり不勉強な部分があるのではないかと思います。何をもって高等教育として国が保証していくのか,そのために参照基準をどのように活用しうるのかという議論を重ねていくことによって,「ツートラック」というような議論ではなく,共通の参照基準の下で,それぞれの大学の固有性,多様性,自律性を表現できるのではないかと思います。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。本日御発言がまだない益戸委員はいかがですか。
【益戸委員】  
 本日議論を企業側の立場としてお聞きしておりました。企業側においては当然人事評価というものがありますし、評価のために、あなたは何をしなければなりません、という基準があります。同様に、大学においても、同じような評価基準が整っていることは重要です。横浜国立大学の例でいうと、A~Eまでありますが、企業ではDまでです。標準がC,Dは戦力外、という基準です。
 人事評価においては、社内的にも評価される個人にとっても、しっかりした評価基準を定め、それをすべての関係者が共有していることが重要です。特に大切なことは、評価基準を公表するということ。それによって、公平性が保たれることになります。それからもう一つ、最近の企業経営において重要なことは、深い学びとそれを横に繋げていくということです。深い学びの専門性は、異なる各分野からそれぞれ専門性の高い人を採用していけば良い訳ですが、その専門性を横に繋げられるキャラクターと経験があることが非常に重要なことです。残念ながら、日本の大学の学部生からは、専門分野に強い方を採用することが難しいのが現状です。大学院生になると、勉強マニアでなければ企業にフィットする人はいます。アカデミアの皆さんには、そのへんのバランスをよく考えていただきたいというふうに思いました。
【日比谷座長】  それでは,川並委員,お願いします。
【川並委員】  成績評価,今まで非常に高尚な話が出ているんですけれども,実際に現場の意見として,免許資格,私はいつも免許資格の話ばかりですけれども,免許資格を与える場合には,それぞれの省庁のレギュレーションによって,40人1クラスでやりなさいというようなレギュレーションもあるわけで,そうすると,学生数を多く抱えていると,同じ授業を何回も行うことになるという場合に,その成績評価をどうそろえていくのかということが,先ほど深い学び,また,それぞれ専門のという話がありましたけれども,先生ごとに同じ科目を違う形で教えてしまうと,またそこは卒業の中での学位授与の方針に合わない部分が出てきたりするということで,そういうこともやはり考える必要があるんではないかなというふうに思っています。
 私どもの大学,短大では,音楽,ピアノの授業を,幼稚園教員,小学校教員,保育士にピアノが必須になっておりまして,専任の教員が8名,兼任が48名という形で一斉授業を行っていますが,これの水準をそろえるのに大変な苦労をして,今形としてそろうようにできるようになりましたが,ぜひその教える内容も含めて,成績について,もうその先生が好きなことを教えればいいというのではなくて,やはり卒業の目標に向けて何を教えるのかということを含めたことを検討して,そういうこともちょっと視野に入れてお話しいただけたらありがたいなと思います。よろしくお願いします。
【日比谷座長】  それでは,伹野委員,佐藤(浩)委員の順でお願いします。
【伹野委員】  現在高専では,成績評価についてどのような検討状況にあるかを紹介させてもらいます。資料4の20ページからです。教育の質保証に対してどのように学生の成績評価を反映させるかですが,全国51の高専それぞれが全国統一であるモデルコアカリキュラムに基づいたシラバスを作成しています。モデルコアカリキュラムとはそれぞれの教科の達成目標を一覧表にしたものです。20ページの左上の表は,技術者が分野共通で備えるべき基礎的能力,技術者が備えるべき分野別専門的能力,そして,技術者が備えるべき分野横断的能力の3つのカテゴリーにそれぞれの科目を分類し,到達目標がどのレベルするかを整理しています。高専の本科は5年間で大学2年生のレベルです。その後専攻科がありまして,専攻科を修了すると学士の学位を授与されます。
 現在40%程の本科卒業生が大学に編入するか専攻科に進学しています。大学との関連を含めて,高専本科および専攻科、それ以降の大学院等の到達レベルをKとAとSと示しています。高専本科卒業の到達レベルKをどのように評価するかですが,去年からCBTを導入しています。CBTとはComputer Based Testingです。学生が授業から学んだことを自らコンピュータ上で試験をし,学習の到達度を確認することになります。CBTについては,担当の先生のもとで実施しますが,教師による成績評価とは基本的には別になります。学生は同じ分野の問題を何回も繰り返し解答し確認することができます。
 次のページがCBTと定期試験の関係です。ここはまだ全体のシステムとして構築しているところです。今後整理する必要があります。CBTの正答率から難易度の妥当性を判断し,設定レベルと問題の関係の妥当性が確認されるようなアンカー問題をCBTの中から選ぶことを考えています。定期試験については各先生方がこれに基づいて別途行うシステムを作っているところです。
 次の22ページは実験実習能力のルーブリック評価水準の考え方を示しています。座学以外に実験等の科目が多くありますので,それについても同様な評価システムに組み込むことを試行しているところです。
 学生によるレベルの自己評価と教員との相互評価については、今試行の段階では,学生の評価と教員の評価の一致率は全分野で平均90%となっています。まだ試行の段階ですが,高専で進めている成績評価システムの状況です。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,佐藤(浩)委員,お願いします。
【佐藤(浩)委員】  今の高専の事例もそうなんですけれども,長らくシラバス、成績評価,授業全般というものは,個々の教員の聖域だったと思うんです。そういうものを少なくとも同僚のレベルで、シラバスの内容を一緒に設定するとか,成績評価を同僚の人と一緒に行うとか,そういうような,発想の転換が必要かと思います。シラバスというものを、個々の教員レベルで書くものだという発想から,少なくとも学問分野とか学部学科というレベルで責任持って書くべきだという発想への転換にまで踏み込んで書いてもいいのかなと思っております。
 それとも関連するんですけれども,審議ロードマップというのが今回配布されておりまして,これは前に書かれている内容と項目は大きく違っていないかと思うんですが,シラバスにかかわっては,参考資料の4に「シラバスにおいて標準的に期待される記載事項の提示」というタイトルがついております。ということは,今回の指針の中でこれがいわば全国標準ですというようなものを出すという方針でここに書かれているということで解釈してよろしいんですか。だとすると,今回の参考資料の1の5ページ27行目から「シラバスについては云々」と書かれていますが,これが標準項目として提示されたと,そういう理解でよろしいでしょうか,委員長。
【日比谷座長】  ごめんなさい,今最後におっしゃったのは,資料。
【佐藤(浩)委員】  参考資料の1の5ページになりますけれども。
【日比谷座長】  の白丸。
【佐藤(浩)委員】  はい,白丸です。27行目に,シラバスについてはということで,ちょっと分かりにくい文章になっているのですけれども,ここに幾つか記載事項が書かれていますね。これを指針の中で,いわば全国標準として提示をするということですか。
【日比谷座長】  基本的にはそうですね。今後詰めていく項目ではありますけれども,もちろん,例えば,DPとの授業科目との関連であるとか,それから,到達目標を動詞を使って書くとか,そういったことは想定しています。
【佐藤(浩)委員】  もしそれであれば,もうちょっと議論した方がいいかなとも思ったんですけれども。
【日比谷座長】  分かりました。
【佐藤(浩)委員】  ちょっとさらっと流れちゃった感じがあったので,これかなり各大学に影響を与えると思うんですね,全部フォーマットを作り替えなきゃいけないという大学もあるかと思いますので。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ,お願いします。
【浅野委員】  少し視点を変えまして,本日の資料3の中にある,1ページ目,22行目,23行目あたりでしょうか,同一名称の科目を複数開講している場合ということで,話題提供も含めて御紹介させていただきます。本日の資料4の6ページを御確認いただけましたら,概要を示させていただいています。山形大学において,平成28年度から全学必修の科目として導入している「スタートアップセミナー」という,1年生(約1,800人)が1年次に必ず受講するという授業のご紹介です。
 主な目的は,図の中に書いていますけれども,基本的には文献・資料を検索するということ,それから,課題発見・探求していく,そして,下にあります,論述できるようになる,プレゼンテーションできるという,この4つの技術をつけるためにこの授業を組んでいます。ポイントは,1,800人を25人編成の64から70クラスに,6学部の男女をバランス良く振り分け,早い段階から他学部の学生さんとのグループワーク等に取組んでもらうことを狙っています。
 この授業の基本思想としては,まず授業を前期と後期に分け,前半のワンサイクルを終えた後,2サイクル目で同じことを焼き直しするということがあります。もう一つは,授業で使うスライド,教材に加え,評価基準も全て平準化しているといいますか,統一のものを作っています。今年,3年目の運用に入っていますが,担当する先生方の御理解の下,ある程度軌道に乗り始めたという状況です。その理由として,GPAを見ていただきますと,この授業は基本的なことができていたら80点はとれるという設計にしていますので,概ね4に近いというのが前提になりますが,表の数値を見ていただきますと,ここ数年かけて3.6から3.7あたりに収まるようになってきましたので,ある程度,成績の評価基準が統一化されてきたということがあります。
 以上のことを踏まえ,本日の成績評価基準については,先ほどのご報告にもありましたルーブリックの議論にも関わりますが,厳格化しようとすると授業の内容のみならず、課題,使用する教材なども統一していかないと,なかなか評価をしたときに基準がそろわないというところがありますので,そこも含めて考えておく必要があるというふうに考えております。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,一通り御意見も出たと思いますので,本日の議論はひとまずここで打ち切りといたしまして,次に,冒頭申し上げましたけれども,学生調査について,特に今年度実施する試行調査に向けて,この委員会からの意見を聴取したいということで,それでは,石橋さんから説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料の5が右肩にありますポンチ絵になっている資料をごらんいただければと思います。
 学生調査については,グランドデザイン答申の中で,このような形のものを進めていくようにということで文部科学省に宿題ということで降りているものでございますけれども,今回検討するに当たっては,本特別委員会に御参画いただいております小林委員,深堀委員,両角委員,沖委員,森委員にも御参画いただきながら,また,学生調査に詳しい先生方に御意見を伺いながら進めてきたところでございます。
 学生調査,まずこの資料の最初のところを見ていただければと思いますけれども,教学マネジメント委員会でも学習成果の可視化という議論がされているところでございますが,この学生調査においては,学生が,どういうことを経験してきているのかということを中心に,そのプロセスを確認していくような調査にしてはどうかということで設計をさせていただいております。
 書いてありますように,学生目線で大学教育や学びに関する調査を実施したいということ。試行において,また,本調査でも,まずは学部生ということを対象にしてはどうかということでございますけれども,在学中の学びの実態,学習経験などの状況を把握したいということでございます。これを社会が理解しやすいような形で公表するということを考えております。
 御案内のとおりの背景でございますが,今日の議論でもございましたけれども,日本の学生は勉強していないのではないかとか,大学は学生を育てていないのではないかという社会の声は実際ございますが,本当のところはどうなんだろうと。それぞれの社会のおっしゃっている方々も,御自分の経験に基づいてのみおっしゃっている場合もありますので,やはりこういうことをきちんと説明していくということは必要なのではないかというふうに思っております。
 右側,目的でございますけれども,学生の目線から大学の教育力の発揮の実態を把握していく。調査結果は,原則大学・学部ごとに公表する。この調査結果を踏まえて,各大学自らが教育改善を行っていただくとともに,当然国においてもこのようなエビデンスを政策立案には活用したいということでございます。
 下のオレンジのところに学生調査の実施イメージを書かせていただいておりますけれども,学部3年生,6年課程は4年生という,大学においての学習についても馴れ,ある程度の経験値がたまってきた段階というものを想定して,この年次ではどうかというところでございます。
 調査方法はスマホ等による,Webによるアンケート調査ということで,大学への御負担はできるだけ減らせないかということで考えております。
 調査項目につきましては,これは学生さんの負担をできるだけ軽くしたいということで,10分程度で回答できるような,大きな問いでいけば5問程度ということで,後でを中身についてご説明させていただきます。
 調査結果については,大学・学部ごとの集計結果を公表いたしますけれども,学生さんには大学を通じて調査結果をフィードバックしていただく,また,どう教育改善につながったかということをきちんとフィードバックしていただくということで,学生さんにも参画する意味を示していければと思っております。
 少し細かい資料の説明を,その後めくっていただきまして,右肩,大きく3ページと書いてあるところは,今申し上げましたような趣旨,目的でございますので,飛ばさせていただきまして,4ページ目以降,少し細かい点御説明させていただきたいというふうに思っております。
 調査結果の取扱いで,原則大学・学部ごとの集計結果の公表をさせていただきたいということと,将来的には大学ポートレートの中での活用も当然検討する,また,エビデンスデータとして認証評価において活用を検討するということを今後考えていきたいと思っておりますが,一方で,やはりどれぐらいの回答数があれば実態を反映しているのかということも大きなポイントになってくると思っておりまして,このようなことを含めて検討課題のところに少し整理をさせていただいております。
 まず一つは,今実際大学では学生調査というのはいろいろな形で行われておりまして,ただ,このようなシンプルなものというよりは,もっと教育改善につながるような,非常にきめ細かいものが多いと我々としては認識をしております。
 今から申し上げる項目について,例えば,今学生調査の中で実際もうやっていますという大学がおありでしたら,そのデータを御提供いただくようなやり方もあると思いますし,シンプルなものですので,併用してやっていただくということも考えられるのではないかと思っておりますが,やはりこれが全国的に同じ項目でとるという意味が大きいと思っておりますので,そのような大学とは調整をさせていただきたいと思っております。
 また,調査結果を公表する場合の基準でございますが,回答数の必要最低規模ということは整理をしていく必要があると思っておりまして,その下の青いところで試行調査での取扱いを書かせていただいておりますけれども,回答数が30以上かつ回答率が10%以上というような形で整理をしてはどうかということで現在提案をさせていただいております。
 めくっていただいて,5ページ目でございますけれども,先ほど申し上げましたように,3年生を対象にしたいということで今回は整理をしておりますが,当然通信教育や夜間部,また,短期大学をどうするかということは議論を今後していく必要があると思っておりまして,今回は予算の範囲内という限定もありまして,このような形で考えております。
 調査方法は先ほど申し上げたとおりで,調査時期でございますが,実際今いろいろな学生調査が秋ごろに行われているということは我々としても把握をしております。今回は単純に予算との制約の関係でこれぐらいの時期に行う必要が出てまいりますけれども,本調査においてはいつやるかということは整理が必要かと思っております。
 また,調査実施サイクルについても,試行,それから,本格実施の間は少しどれぐらいの頻度でやるかということは考えなければいけませんが,ある一定程度落ち着いてまいりましたら,3年に1回というようなペースでもいいのではないかと考えております。
 めくっていただきまして,6ページ目でございますけれども,最後に,期待される成果等ということで,四角で整理をさせていただいておりますが,やはり高校生や保護者にとってみると,学生目線の情報を踏まえて,ああ,この大学,この学部はこういうことが丁寧にされているんだなということを確認していただける。また,社会においても,やはり誤解のないように学生の状況を把握していただける。それから,学生さんにとっては,大学教育改善への参画ということにつながっていく。また,国においても一つのエビデンスとしてこれを活用させていただく。大学においては,そのエビデンス,また,その結果を活用してさらに教育改善に使っていただくということができるのではないかと思っております。
 7ページ目が具体的な項目でございます。やり方としては,各大学にQRコードを付与する形にしたいと思っておりますので,学生さんはまず大学名というものはもうそこにあるということで,その下に学部名をプルダウンで選んでいただく。そこから下は基本的に経験を問うていくわけですけれども,授業ではどういう経験があったかというようなことで,今項目を8項目準備しておりますが,これについて,この順番はちょっとまた整理をしなければいけないのですが,ほとんどなかった,あまりなかった,ある程度あった,よくあったというようなところで回答していただくというようなイメージです。
 4つ目が経験についてで,また同様に,勉強の方法の学ぶ科目があったかとか,少人数教育の経験があったかというようなことを聞かせていただいております。
 めくっていただきまして,8ページ目の5項目でございますが,今日も学修時間について,御議論いただきましたので,これをどう活用するのかということや,どういうふうに考えていくのかという議論は必要かと思いますけれども,1週間の生活時間ということを確認させていただくというのが次の質問でございます。
 また,6のところでは,少人数,それから,どういう形の講義の形式がより学生さんにとっては役に立っていると考えられるのかというところのクロスもできるということも検討したいと思っておりまして,授業の形態を確認させていただいております。
 それから,7個目でございますけれども,能力を身につけるため,また,これは伸長するためと言ってもいいのかもしれませんが,大学教育は役に立っていますかということで,一般的に大学教育でこういうことが身につけられていれば望ましいというような項目を,まだいろいろあるかもしれませんけれども,まずは主要なところを11項目ということで整理をさせていただいたのが7つ目の問いでございます。
 8個目,9個目は試行調査時のみを想定しておりまして,学生さんの負担を把握するために,どれぐらい時間がかかりましたかということと,ここでは大学の学びについて御意見などがあればということでございますが,加えて,この調査についての御意見も賜るようなイメージで,自由記述,100字以内ということで聞かせていただければと思っております。
 めくっていただきまして,11ページ目が公表イメージでございますけれども,これはシステム上いろいろな工夫ができるかと思っておりますが,参加大学をクリックするとそれぞれの大学の学部ごとに回答数,回答率,それぞれの項目についての回答が得られるということを考えております。この段階においては,一つ一つの大学を見るというようなイメージでまずは作っていくのかなと思っております。
 最後でございますが,13ページのところにチラシということで,これはイメージでございますけれども,試行調査においては,まず学生さんに呼びかけるというようなものが最初の表面でございまして,こういう形で学生さんの声を把握していきたいということ,そして,下に書いてあるように,調査方法,QRコードを読み込んでいただくことで回答しやすいということにしたいと思っております。
 めくっていただきますと,項目,先ほど申し上げたのが,実はこれぐらいの分量,1枚に収まるような分量になっておりまして,これを見ながらスマホでぱぱっと答えていただくと,大体回答は10分以内ぐらいで,もしかしたら,速い方は5分ぐらいでできるかもしれませんけれども,そのようなものにしたいと考えております。
 簡単ですが,説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  御説明ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明につきまして,御意見,御質問等ありましたら。
 益戸委員,次,林委員でお願いします。
【益戸委員】  この学生調査は、ぜひやっていただきたいと思います。もちろん、この調査の結果が独り歩きをしてはいけませんが、この学生調査も今後私たちが議論をしていく大学側からの公表データの一つであるという理解をしています。私たちは、学習者目線で改革をしていくということをスタートしています。したがってこの学生調査は非常に有効なデータとなるのではないでしょうか。もちろん、この調査に否定的な高等教育機関もあると思いますが、今や企業では人事評価の際に360度評価というものはかなり一般的になってきました。導入当時は、抵抗もありましたが、今や当たり前です。また、多くの従業員はそれぞれの立場で自分はよくやっている、という自己評価をします。経営側の評価と違うこともあります。360度評価を導入した結果として、自分のパフォーマンスが上からだけでなく、下からや横から見るとどうだ、ということがよく分かるようになりました。また、360度評価で全ての項目に最下点のEをつけられる人もいます。明らかに、意図的だということもわかりますが、それも現実です。最下点を全ての項目でつけられている、という現実もお互いに理解しなければなりません。自分たちの学校では、学生に対して相当な努力をしているんだ、と全ての教育関係者の方はお考えになっていると思いますが、その熱意やその方法がちゃんと学生に伝わっているか、という検証のためにも、この学生調査はとても重要だと考えます。今や、高等教育機関に進む進学率がここまで高くなると、どこの学校を選び、どのように学ぶか、ということは場合によってはその方の人生を左右することになります。ですから、自分の学校の良い点ばかりを言って学生を呼び込む経営ではなくて、学生一人一人がどのような目標を持てるか、という観点はとても大切です。それを、改めて振り返る良いチャンスではないでしょうか。そして結果をきっちり公表することは、大学選びにおける、偏差値が独り歩きしている状況に歯止めをかける意味でも非常に大切なものだと思います。
【日比谷座長】  林委員,お願いします。
【林委員】  今益戸委員言われたように,まさにこういう共通的な調査というのは本当に今までなくて,例えば,認証評価とかで出てくる自己評価書を見ても,それぞれの大学がそれぞれに違う項目でそれぞれに違う段階設定でアンケートをとっていて,とても解釈できなかったので,こういうものはぜひ進めていっていただきたいと思うんです。
 ただ一方で,質問なんですけれども,恐らく調査の目的及び情報の受け手というか,誰に対してということと絡むんだと思うんですが,具体的にはなぜ3年生なのかというところなんですね。例えば,学生自身が自分の学びを振り返ってほかの学生と比べて自分はどうかと考えるのであれば,4年間の途中のところでやるというのもわかるんですけれども,ただ,質問項目を見ると,学生自身がどういうふうに学んだかという質問ではなくて,大学からどういうものを受けたかという,そういう質問項目になっていると。
 一方で,入学希望者への情報提供かということで考えると,多くの大学は卒業時点で調査をやっているので,そうしたら,この大学に入って期待されたものが学べたかとか,進路に対してどういうふうな学びができたかとか,そういう項目を聞いて4年生にやるのかなと思ったりもするんですけれども,なぜこの3年生という段階でやるのか。そして,その目的,対象者というのは,もう1回ちょっと御説明いただければと思います。
【日比谷座長】  お願いします。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。どのタイミングでとるかというのは我々も非常に悩みまして,いろいろな先生方とも御相談をさせていただいた部分ではあるんですけれども,一つは,やはり大学の今の就活の関係もあると思うんですけれども,大学における自分の学びを自分事にしてきちんと答えられる時というのがいつなのかなと思っておりまして,その経験がフレッシュというか,現在進行形の間の3年生というのはどうかというのが今回の御提案でございます。
 ただ,これから試行していく中,また,本格実施に向けては,本当にいつのタイミングが一番いいのかというのは,これで決めるということよりも,まずはやってみて,そのあたりも検証しながら進めてはどうかと思っておりますし,本来,例えば,伸びを見るのであれば1年生と4年生をとるとかいう形もあり得ると思っておりまして,これは学生さんや大学側の御協力の在り様も含めて,引き続き検討課題にはしていきたいと思っているんですが,まずは3年生でとってはどうかということで今回御提案させていただいているものでございます。
【日比谷座長】  ちょっとあと10分となりましたので,順番を決めますね。松下委員,浅野委員,溝上委員,小林(浩)委員,最後に益戸委員,もし時間があれば2回目ということで。
 では,松下委員,お願いします。
【松下委員】  私はいろいろな問題について,もう少し議論していただきたいなと思うところがあります。
 まず,背景のところで,「学生がどのような能力を身に付けているかについて,社会に対する説明や情報公表が不十分」ということで,これを目的としてこの学生調査が作られたと書かれていますが,実際にここで行われているのは間接評価であって,そこから,能力がどんなふうに身に付いているかを知ることは,私は困難だと思いますし,実際にそれに関する研究もたくさんあります。多分そういうことを踏まえて,7番目の質問項目は,「次の知識や能力を身に付けるために大学教育は役に立っていると思いますか」と,大学のお役立ち度を尋ねる,そういう言い回しになっているんですが,これが公表されたときに,こういうふうな細かい質問の文言は全部抜け落ちてしまって,こうした知識や能力がどの程度その大学で身についているかというふうに解釈されるおそれが非常に高いというふうに思います。
 文科省は今まで,全国の学校を対象にした学力調査や,あるいは,PISA調査のような国際調査を実施されてきていますが,そうした調査では必ず,学力を問う問題と質問紙調査がセットになって,学習状況とか学力を見てきています。今回はその一方の学生調査だけ,質問紙調査だけということなので,相当慎重にやらなければいけないと思います。しかも,NSSEの例が挙がっていましたけれども,アメリカのNSSEは,一律に全国の大学の調査結果を公表するということはやっていないはずです。大学の種別などでグルーピングして,その中で比較やベンチマーキングができるようにはなっていますけれども。一律公表ということについては,全国学テなどでは非常に大きな議論があったんですが,今回さらっと出ていますので,そのあたりもう少し慎重に議論する必要があるというふうに思います。
【日比谷座長】  浅野委員。
【浅野委員】  私の方から2点ございます。1点目は,先ほどの林委員の質問に関わりますが,実施するタイミングというのを考えたときに,資料5の6ページの期待される成果の中に,高校生・保護者というふうにあり,高校生・保護者にとって一番身近なのは1年生,その大学に入ったときにどうなんだということを考えると,やはり1年生のデータがないと,情報としては弱いように思えます。原案のように3年生だけの情報では,少し遠い目標になるのが一つと,もう一つは,大学側から見たときに,3年生だけを聞かれても,結局1年と3年の変化が見えないため,改善の成果を検証することができませんので,常に3年生だけに聞くだけでは有益な情報にならないように思えます。
 2点目は,実施方法に関わるところです。基本的にはWebアンケートで、QRコードを配布するということを想定されているかと思いますが,この場合,回答の媒体としてはスマートフォンが中心になると思います。そうなりますと,本日,お示しいただいている設問は長過ぎるという印象を受けます。といいますのは,スマートフォンの画面のサイズから考えたときに,恐らく設問だけで全部の画面が埋まってしまいます。ご参考までに,山形大学で実施しております基盤力テストでは,事前のプレテストなどを通じて検証したところ,1行に収まる5つぐらいの選択肢にしないと,回答する学生はスクロールする手間から,上の方の選択肢を選ぶ傾向が見られますので,実施時には考慮すべき点の一つと考えられます。
 そのうえで,全数調査というのをここに書かれていますが,今後,本格調査を実施される際,同時アクセスにどのように対応するのかを考えておく必要もあります。先ほどご紹介しました山形大学の基盤力テストの実施においても難関の一つですが,これが全国規模となりますと,規模もけた違いとなってきますので,看過できません。個人的には,同時アクセスへの対応よりは,実施時期を大学の設置形態ごとに分ける,所在エリアごとに分ける,といった対応が現実的だと考えます。そうでなければ,インフラ(運用サーバー等のハード)として,膨大なものを準備することになりますので,この点を念頭にご検討いただく必要があるように思えました。
【日比谷座長】  小林(浩)委員,お願いします。
【小林(浩)委員】  これについては,今いろいろ民間でも調査があって,発表されているのですけれども,ほぼいわゆる大学ベースの満足度とか,あるいは,入口の偏差値による序列化,あるいは,グルーピングというのがメインになっていて,学部別に見られるとか,学問分野別に見られるというのはほとんどないような状況です。
 今いわゆる予備校とかメディアは,私立大学600以上あるので,それをどうにかグルーピングしようと思って,それで序列化していくということがありますので,こういった学生の実態をきちんと把握して,同じ基準で公表していく,あるいは,学部別に見えていくというのは,例えば,同じ大学でも資格系の学部と,いわゆる人文社会系では大分傾向が違うと思いますので,そこら辺が見えるようになるというのは非常に重要なポイントだというふうに思っております。
 そのときにやはり重要なのは,学生主体となってくると,やはり今まで入口で序列化が進んでいる,評価が進んでいるので,やはり入ってからの,先ほどもちょっとありましたが,成長度とか,主体的な学びがどれだけできているかというところになってきます。そのときにやはり成長実感等が見えるようなものにしたいというのが,多分今回試行で問題数も限られているので,なかなか難しいと思いますが,そういった成長実感が問えるような質問が入ってくるといいかなと思います。
 特に高大接続の方で,高校ではもうeポートフォリオが始まっていて,自分で振り返りをしながら成長実感を確認していくというのがツールとして入ってきます。大学でもeポートフォリオを入れているんですが,ほとんど活用されていないという実態があると思います。ですので,そういった振り返りの機会があって,ちゃんとフィードバックがされているかどうかというような,成長実感があるような機会があるかどうかというのは,可能性があれば入れていただきたい。
 あとは,やはり今までは入口しか見ていなかったのを,やはり出口のところから見て,三ポリを通した教育がちゃんとできているかどうかというようなところが,多分この委員会も含めてこれから大きくパラダイムを変えていかなきゃいけないといったときに,今日もいろいろ出た,到達目標みたいなのがちゃんと明示されているかどうかとかが重要になってくると思います。それに対して自分が成長実感があるかどうかとか,主体的な学びができているかどうかというふうに変わると,入り口だけじゃなくて,進路を選択するときも,私立大学は非常に多様なので,別に入口の偏差値が違っても,入ってからこのように成長できるんだというふうに,それぞれの自分の学びたいこととか,中身で選べるようになるとすごくいいんではないかなというふうに思います。
 あと一つは,私たちも調査をやるのですが,ネットは非常に離脱率が高いものですから,そこをどうやって担保していくかというのは、これからの大きな課題かなと思います。
 以上でございます。
【日比谷座長】  溝上委員,お願いします。
【溝上委員】  これまでこういう学生調査を政府で進めることを私も提案してきましたので,本当に期待しています。項目とか,いろいろ思うところありますけれども,ちょっと時間がありませんから,2点。
 一つは,学生にフィードバックと書かれてあるんですけれども,大学・学部に個票としてフィードバックいただけるのかということですね。個票でいただければいいだけなんですけれども。
 もう一つは,大学・学部ごとに集計結果が公表されるということですね。実名が出ていくということなんでしょうね。大学によってはこれは死活問題になりますし,学生の不正な回答というのも出てきますよね。いいようにつけとけよとかね,そこを御検討いただきたいなと思います。
【日比谷座長】  じゃあ,最後一言だけお願いします。
【益戸委員】  済みません,先ほど言い忘れました。これは試行的な調査ですから、大学だけに限定されたと思いますが、私は高等教育という観点からすると、高専や短大、専門学校の存在意義はとても重要だと思います。従って、改めて学習者側が高専、短大、専門学校での教育意義を再評価することにも繋がると思いますので、先行きはぜひご検討いただきたいと思います。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,本日の議事は全て終わりましたので,事務局から次回の案内等お願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  本日は本当に活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。貴重かつ多様,多岐にわたる御意見を頂いたところでございます。本特別委員会のミッションにも照らして,しっかり内容を整理して,内容に応じて必要な点は関係の各所にも共有をしっかり図ってまいりたいと思います。
 次回の日程は,7月5日金曜日の午前10時ということを予定してございます。詳細はまた,場所等については御連絡をさせていただきます。
 いつものお願いでございますが,郵送を希望される委員の先生は付箋に郵送希望と書いて残しておいていただければ,特段記載がない場合には御勤務先の方にお送りをさせていただきます。
 本当に今日はお忙しい中ありがとうございました。
【日比谷座長】  それでは,閉会といたします。ありがとうございました。


―― 了 ――

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