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教学マネジメント特別委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成30年12月18日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 教学マネジメント特別委員会の運営について
  3. 本特別委員会の審議事項について
  4. その他

4.出席者

委員

(座長)日比谷潤子座長
(副座長)小林雅之副座長
(臨時委員)浅野茂、大森昭生、沖裕貴、川並弘純、小林浩、佐藤東洋士、佐藤浩章、清水一彦、伹野茂、深堀聰子、益戸正樹、松下佳代、溝上慎一、森朋子、両角亜希子、吉見俊哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)平野大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、玉上大臣官房審議官(高等教育局担当)、岩本文部科学戦略官、蝦名高等教育企画課長、三浦大学振興課長、石橋高等教育政策室長、平野大学改革推進室長 他

5.議事録

(1)座長の選任等について
座長について、大学分科会長の指名により日比谷委員が選任された報告があった。
副座長については、日比谷座長から小林(雅)委員の指名があった。

(2)教学マネジメント特別委員会の会議の公開について
事務局から教学マネジメント特別委員会の会議の公開について、資料3の説明があり、原案の通り決定された。
また、公開に関する規則に基づき、この時点から会議が公開された。

【日比谷座長】  
 それでは,教学マネジメント特別委員会の開催に当たりまして,私から一言御挨拶させていただきます。申し訳ありませんが,座ったままで失礼いたします。
 私は,本委員会の座長を務めることになりました日比谷潤子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様御承知のとおり,先般,中央審議会で「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」が取りまとめられました。この答申は,平成29年3月に当時の松野文部科学大臣により示されました「我が国の高等教育に関する将来構想について」という諮問にお答えするものでございまして,何度も言われていることでございますが,全く予測ができない時代を生きる人を育てていくためには,学修者本位の教育への転換こそが求められていると。それが,答申が目指す2040年に向けた高等教育の在り方となっております。
 そのためには,様々な方策がございます。答申でも示されておりますけれども,そのうちこの委員会で扱いますことは,全学的な教学マネジメントの確立と,学修成果の可視化と情報公開の促進です。大学教育の質の向上につきましては,これまでも様々な答申でいろいろな方法論や考え方が示されてきたところですけれども,今回の答申では,そういう個別の方法論や考え方を生かしつつ,それぞれの大学が自律的に教学マネジメントを確立していくことこそ重要と考えております。
 そのためには,改善・改革への取組を個々の大学が行うこと,それから,そのような考え方,取組は,他律的に外から与えられたものであっては,持続ができませんので,それぞれの大学がその中でも十分な理解と合意に基づいた上で,自律的に進めていくことこそ肝要です。
 このような改善・改革への取組の一環として把握・測定することとなる学修成果や教育成果に関する情報を適切に公開していくことで,大学と社会の相互理解が進み,両者がよりよい関係を築いていくことができるものと思います。
 本委員会が今後議論していく教学マネジメントに係る指針などが,それぞれの大学において教学の改善・改革や情報の把握・公表に取り組んでいるお一人お一人,学生,教職員に対して,その取組の必要性や効果を説明し,また,協力を得ていく上で相互理解も促進されていくようなものになるのではと考えておりますので,これから委員の皆様には活発な御議論を是非お願いしたいと考えておりますけれども,ここで十分な議論を尽くすことによって,2040年に向けて的確な教学マネジメントの在り方,学修成果の可視化,情報公開の道筋を付けてまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて,文部科学省より,義本高等教育局長から御挨拶をお願いいたします。
【義本高等教育局長】  委員の先生方におかれましては,大変お忙しい中,本委員会の委員をお引き受けいただきましたこと,また,本日の会合に御出席いただきましたこと,改めて感謝申し上げたいと存じます。
 日比谷座長からお話がありましたけれども,先般取りまとめられました「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の答申におきましては,学修者本位の教育への転換ということを一つの大きなメッセージとして発出し,その方策として,教育の質の保証,それから,学修成果の可視化,情報公表と。言い換えれば,学びの質の保証の再構築の重要性について指摘されているところでございます。
 答申でも確認されておりますけれども,大学教育の質を保証していくためには,第一義的には,それぞれの大学が自らのミッションや強みを踏まえて,いわゆる3ポリシーを定めて,これに基づいて体系的で組織的な教育を展開していくとともに,教育の成果を踏まえた不断の改善に主体的に取り組んでいくということが必要になってくるところでございます。
 本委員会は,各大学がこうした教学面での改善・改革に係る取組を進めていく上でどのような点に留意し,あるいはどのような点から充実を図っていくべきかなどをまとめた教学のマネジメントに係る指針を整備するとともに,学生の学修成果に関する情報や,大学全体の教育成果に関する情報を,これらの取組の参考としてどのように把握・活用していけばよいのかについて御議論いただくために設置されたものでございます。
 もっとも,答申でも確認されていますように,指針は,特定の取組を大学に強制するといったような類いではなくて,教学マネジメントの確立はあくまでも大学が自主的に行うものであるものでございますから,指針を作成する目的としても,各大学における改善・改革の取組を支援する,これに尽きるものと考えているところでございます。
 また,各大学が地域社会や産業界等への説明責任を的確に果たしていく上では,教学の改善・改革の取組の一環として把握・測定する学修成果や,教育成果に関する情報を適切に公表していくということが重要でございますので,望ましい情報公表の在り方についても検討いただく必要があると考えているところでございます。
 委員各位におかれましても,それぞれの御専門や御知見を生かしながら,各大学がそれぞれの強みを生かして主体的に教学マネジメントを構築して,大学と社会がよりよい関係を構築していくことができるように,精力的に御議論いただきますようお願い申し上げまして,開会に当たりましての御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  義本局長,ありがとうございました。
 それでは,議事に入りたいと存じます。本日は,議題の3,本特別委員会の審議事項についてから公開としております。
 先ほど事務局から簡単に説明がございましたけれども,この委員会は,各大学が教学面での改善・改革に係る取組を促していくための教学マネジメントに係る指針の作成と,それから,教学マネジメントの確立に当たって必要となる学修成果の可視化と情報公表の促進について議論をするために,大学分科会の下に設置されたものです。会議の位置付けについて改めて申し上げます。
 きょうは最初の会でございますので,この委員会の設置に至りました経緯,それから,今後,この委員会でどのようなことを議論していくか,その対象となり得るトピックと過去の答申との関係について,やや時間を取って,事務局より詳しく御説明をお願いいたします。大体30分ぐらいでお願いします。
【平野大学改革推進室長】  大学改革推進室長でございます。資料4と5に基づきまして,本特別委員会の設置の経緯,また,今後検討する審議内容等について御説明をさせていただきます。
 先ほどの御挨拶にもありましたが,平成29年3月に「我が国の高等教育の将来構想について」の諮問がございました。これを受けて,平成29年3月でございますけれども,大学分科会の下に将来構想部会が設置されるとともに,同年5月には,教育制度の改善ということを審議するために,制度・教育改革ワーキンググループでの議論が開始されたところでございます。こうした審議の結果,本年11月26日にグランドデザインの答申が取りまとめられたところでございます。
 この中で,大学の教育の質の保証,情報の公表ということがトピックになっているわけでございます。この特別委員会につきましては,教学マネジメントの確立のための指針を作るということ,また,情報公開の在り方について議論するということで,大学分科会の下に設置されてございます。
 特別委員会につきましては,部会と異なりまして,部会は部会の議決を分科会の議決とすることができるとされてございますが,特別委員会については,審議を行っていただいて,その結果は適宜大学分科会に報告させていただいて,分科会の方で内容としては決していただくと。こういうことになっているわけでございます。
 それでは,資料4のグランドデザイン答申につきまして,関係する部分について御説明をさせていただきます。グランドデザイン答申におきましては,この委員会で議論する上に当たっての一つの前提と申しますか,いろいろな世界観というものが示されているわけでございます。
 資料の1ページでございます。「はじめに」の部分でございます。下半分ぐらいでございますが,ポツが3つ並んでございます。ここの部分は,「はじめに」で触れられている実現すべき高等教育の方向性について触れられてございます。1つ目のポツでございますが,高等教育機関が多様なミッションに基づき,学修者が「何を学び,身に付けることができるのか」を明確にし,学修の成果を学修者が実感できる教育を行っていくこと。このための多様で柔軟な教育研究体制が各高等教育機関に準備され,このような教育が行われていることを確認できる質の保証の在り方へ転換されていくこと。これが実現すべき方向性として挙げられているところでございます。
 さらに,具体的には,2ページでございます。高等教育が目指すべき姿ということで,ローマ数字の1の1ポツの中にございます。この中にまたポツが並んでございますけれども,関係する部分といたしましては,1つ目のポツ,「何を教えたか」から,「何を学び,身に付けることができたか」への転換ということ。2つ目のポツでございますが,教育課程の編成におきましては,単に個々の教員が教えたい内容ではなく,学修者自らが学んで身に付けたことを社会に説明し納得が得られる体系的な内容になるように構成すること。4つ目のポツでございます。学修の評価についても,個々人の学修の達成状況がより可視化されることが必要となる。このようなことが高等教育の目指すべき姿ということで挙げられているところでございます。
 3ページ目でございます。3ページ目のローマ数字3の中にある,我が国の質保証の取組状況という部分でございます。先ほどお話し申し上げたような,将来的な姿というものがあるわけでございますけれども,一方で,現状,教育の質を保証するための取組は不十分な状況があるとされているわけであります。例えば,上から4行目でございますが,授業以外の学修時間が非常に短い。これについては,過去から改善がされていないということ。また,米国の大学などと比較しても,学修時間が短いといったような指摘もあるわけであります。
 また,下から2行目でございます。学生が受講する科目が多く,授業以外の学修時間の確保を難しくしているという指摘もあり,密度のある学修体制をどのように整えていくのかということがトピックとして挙げられているわけでございます。
 4ページに移っていただきまして,2つ目の段落でございます。大学教育の質の保証については,これまで多くの積極的な改善の努力というものが行われているということであります一方で,改善に真剣に取り組む大学と改善の努力が不十分な大学とに二極化しているのではないか。そのことによって,大学全体として十分な信頼が得られているとは言いがたい状況にあるのではないか。このような指摘があるわけでございます。
 4ページ目真ん中の,保証すべき教育の質という部分でございます。質の高い大学ということについて説明している部分でございます。何を学び,身に付けることができるかが明確になっているか,学んでいる学生は成長しているのか,学修の成果が出ているのか,大学の個性を発揮できる多様で魅力的な教員組織・教育課程があるかといったことが重要な要素であるということが挙げられてございます。これらについては,各高等教育機関が自らの強みとして発信・情報公表を徹底することが求められるということについても触れられているわけでございます。
 これらのことを前提にいたしました上で,4ページの下の,大学が行う「教育の質の保証」と「情報公表」という本特別委員会のトピックに関わる話題に焦点が当たっていくわけでございます。大学教育の質を保証するためには,第一義的には自らが率先して取り組むことが重要であること,各大学においては,それぞれの学位プログラムレベルのみならず,全学的な内部質保証を推進することが求められることが触れられてございます。
 一方で,国の方にはどのような役割がということで申し上げますと,教学マネジメントの確立の支援を一層進めることが必要とされているわけでありまして,その教学マネジメントの確立に当たっては,各大学が3つの方針に基づく体系的で組織的な大学教育を進めること,また,5ページにかけてでございますけれども,点検・評価を行うことで,不断の改善に取り組むことが必要であるとされております。
 また,個別の教育改革に関する手法というものについてはこれまでも議論があったわけでございますが,これらをしっかり組み合わせて,効果的に活用するということが求められるわけでございます。
 教学マネジメントの確立に当たっては,大学が,学生の学修成果に関する情報,また,大学全体の教育成果に関する情報を的確に把握・測定して,教育活動の見直し等に適切に活用する必要があるとされているところでございます。
 また,カリキュラムというところにつきましては,全学横断的にカリキュラムを検討するための体制,また,教学ガバナンスの強化ということについても触れられているわけでございます。
 一方,各大学が地域社会や産業界など,外部からの声や期待というものを意識して,積極的に説明責任を果たしていくということについても強調されているわけでありまして,しっかり情報の把握と公表をしていくことが求められているということもされてございます。
 このような教育の質の保証と情報公表ということを進めていかない大学については,社会からの厳しい評価を受けることになると。また,その結果として撤退する事態もあり得ることも覚悟しなければならないということを,分科会のメッセージとして入れていただいているわけでございます。
 そして,この特別委員会で具体的に検討するトピックということは,これらの今まで御説明した背景というものを踏まえて設定されているわけでございますが,四角の中にあるわけでございます。ここの内容につきましては,ワーキングのまとめの方に詳しく書かれてございますので,8ページの方をもって説明させていただきたいと思います。
 まずは,1つ目のトピック,全学的な教学マネジメントの確立という点についてでございます。これまでの課題といたしまして挙げられているところでございますが,先ほど申し上げた二極化という話題に加えまして,2つ目の丸,これまでの答申で示された内容や手法というものは,教学マネジメントという観点から一元的に記載されたものになっておらず,過去の答申が出された時期に応じて更に手法が開発され,進化されているものもある。ここにキャッチアップができているのかどうかという課題でございます。3つ目の丸,大学が本来持っている組織としての力を十分発揮できるように,大学の自主性の中で教育活動の不断の改善を進めるための素材を提示して,国として教学マネジメントの確立の支援を一層進めていく必要があるのではないかということが課題でございます。
 こういう課題を受けまして,制度改正の方向性というところでございます。教学マネジメントにつきまして,各大学における取組に際してどのような点に留意して,どのような点から充実を図っていくのかということを網羅的にまとめた指針というものを,大学分科会の下で作成して,各大学に一括して示す必要があるのではないかということで,されているわけでございます。
 9ページでございます。9ページにつきましては,教学マネジメント指針に盛り込むべき事項の例ということで,分科会からお示しいただいているものになるわけでございます。プログラムとしての学士課程教育と3つの方針の策定,全学的な教学マネジメントの確立についてといったような総論というものをしっかり踏まえた上で,2つ目のポツから始まりますが,カリキュラム編成の高度化,アクティブ・ラーニングやICTを活用した教育の促進,柔軟な学事暦の活用,主専攻・副専攻の活用,履修単位の上限設定の適切な運用,履修指導体制の確立,シラバスにおいて標準的に期待される記載事項の提示,成績評価基準の適切な運用,学生個人の学修成果の把握,学修時間の確保と把握,学生による授業評価,次のポツに行きまして,FDの高度化,SDの高度化,教学IR体制の確立,情報公表の項目や内容等に係る解説,このようなものを盛り込んだ指針を作るということを考えたらどうかということで,お示しいただいているわけでございます。
 このような内容につきましては,次の丸でございますが,一律に取り組むことが望ましいもの,また,一律に取り組むというのは,いろいろな分野の問題などもあって難しいもの,そのようなものもあることから,しっかり各大学の取組の実態を考慮して,提示の仕方を考える必要があるということで,示されているわけでございます。
 また,先ほど来,座長の御挨拶でも強調していただいたところでございますが,教学マネジメントに係る指針につきましては,これは一つのよりどころとして大学関係者を中心に参照・活用していただきたいというような位置付けというのは考えられるわけでありますが,教学マネジメントは,大学が自らの責任の下で各大学の事情に合致した形で構築すべきものということでございます。この指針というものは,特定の取組というものを各大学に強制するものではないということ,また,大学といたしましても,他の大学の取組を単に模倣することや,この指針でこれから定められていく内容というものを咀嚼することなくそのまま学内で実施しようとするということについては,大学としてふさわしい主体性を発揮したものとは言えないのではないか。やはり各大学が創意工夫を行って,学士課程の質的転換に向けた取組を確立することが重要であるということを併せて周知するものでございます。
 ここの部分,学士課程ということで書かれているわけでございますけれども,ここの議論といたしましては,もちろん念頭に置くのは学士課程ということが中心になるとは思うんですが,例えば,大学院,高等専門学校,短期大学,このような高等教育機関において幅広く応用可能な部分というのは使っていただけるような,こういった内容を見据えて議論をしていただくということが一つ念頭にあるわけでございます。
 続きまして,10ページの方,学修成果の可視化と情報公表の促進という,この特別委員会で審議すべき事項の2つ目についての内容でございます。こちらについての課題ということが挙げられているわけでございます。1つ目につきましては,学生の学修成果,大学全体の教育成果に関する情報というものを的確に測定・把握するということ,点検・評価に適切に活用するということ,こういったものをカリキュラムや教育手法の見直し等の不断の改善につなげていくということが必要であるということが挙げられております。
 一方で,2つ目の丸でございますが,現在公表が義務化されている事項というものでは,学生がどのような能力を身に付けたか,また,教育機関として大学がどのような成果を上げたのか,このようなことの成果の確認ができていないのではないかというような課題が挙げられてございます。
 このような課題を踏まえまして,制度改正の方向ということでございます。1点目につきましては,教学マネジメントの確立に当たって,学修成果であるとか,大学全体の教育成果に係る情報を的確に把握・測定し,教育活動の見直しに活用することができるようなもの,また,2つ目の丸でございますが,各大学の取組状況というものについて,いろいろな情報というものがあるわけでございますが,情報によっては,指針ということとは別に,学校教育法施行規則などの改正などもありますけれども,新たに義務付けを行っていくという部分があるということと,また,取組の参考になるような把握や活用の在り方というものを示すというもの,このようなものも織り交ぜて,情報公表を促進するということが触れられているわけでございます。
 11ページの下の方が,参考1,参考2ということでございます。こちらの方につきましては,把握・公表の義務付けが考えられる情報の例,また,義務付けはしないけれども,一定の指針を示すことが考えられる情報の例というものが示されているということでございます。義務付けが考えられる情報の例というものとして,分野とか規模というものを問わず,ほぼ全ての大学で当然教育活動を行う上で把握されるべき情報であろうというものが参考1の方に,参考2という部分は,分野とか,いわゆる課程の性格というものに応じて,把握できたりできなかったりすることがあり得るのではないかということで分けられているというふうに承知してございます。
 参考1につきましては,可視化に関する把握・公表ということでいいますと,まず,把握という意味では,単位の取得状況,学位の取得状況,卒業後の進路,進学率や就職率の状況,学修時間,学生の成長実感・満足度,学生の学修に対する意欲ということについては,各大学において義務的に把握していただく。また,これの全体的な状況というものを公表していただくということが必要ではないかということでございます。
 2つ目の括弧,大学教育の質に関する情報ということで,入学者選抜の状況,修業年限内に卒業する学生の割合,留年率,中途退学率,教員の1人当たりの学生数,学事歴の柔軟化の内容,履修単位の登録上限設定の状況,授業の方法や内容・授業計画――シラバスの内容でございます。早期卒業や大学院への飛び入学の状況,FD・SDの実施状況,このようなことも,これは義務付けということで公表を考えてはどうかということでございます。
 参考2の方は,一定の指針ということでございます。学修成果の可視化,教育成果の可視化というところにつきましては,アセスメントテストの結果,TOEICやTOEFL等の学外試験のスコア,資格取得や受賞,表彰歴の状況,卒業論文や卒業研究の水準,留学率,卒業生に対する評価,このようなものについては,一定の指針をマネジメント指針の中で示していくということが考えられるのではないかということ。
 また,大学教育の質に関する情報ということで,ナンバリングの実施状況,履修系統図の活用状況,GPAの活用状況,IRの整備状況,教員の業績評価の状況,このようなことも考えられるのではないかということで,挙げられているわけでございます。
 このようなワーキングの内容というものを踏まえまして,先ほど申し上げました,この資料で申し上げますと,5ページ,6ページ,7ページという内容が組み立てられているということで,御理解いただきたいと思います。
 資料4の説明は以上でございます。グランドデザイン答申及びワーキングの審議まとめから,この特別委員会で今後どのような考え方で審議をすればいいか,また,どのようなトピックについてということをまとめて申し上げさせていただきました。
 資料5でございます。資料5につきましては,今,資料4の方で説明をいたしましたけれども,改めてこの特別委員会における検討の目的というものの一つの視座というものをここで提示させていただいているものでございます。
 検討の目的。先ほど申し上げたことと重複いたしますけれども,現在の教育の質を保証するための取組は不十分な状況であるのではないか,また,教育課程内の位置付けや水準などを含めて体系的なカリキュラムが意識されていないのではないかという課題が指摘されていること。
 また,こうした課題を背景として,2つ目の丸でございますが,保証すべき高等教育の質については,先ほど申し上げた,何を学び,身に付けることができるのか明確になっていること,学んでいる学生は成長しているのか,学修の成果が出ているのか,大学の個性を発揮できる多様で魅力的な教員組織・教育課程があるのか,こういった要素というものが重要であるという指摘でございます。
 このような学修者本位の教育への転換を図るという観点からは,アクティブ・ラーニングの活用,また,授業科目の精選,こういったことなども含めまして,どのように密度のある主体的な学修を提供できる環境というものを作っていくのか,また,学生自身も学修の成果を実感できるような仕組みというものを提供していくのか,こういったところが一つの目標になっていくのではないかと思います。
 このような転換というものを図りつつ,しっかり専門性のみならず,汎用的な技能等を有する人材を育成するということは,先ほど座長からも御挨拶いただきましたけれども,予測不可能な時代における社会からの要望という観点からも重要ではないかということでございます。
 以上を踏まえまして,この委員会においては,教学マネジメント指針の策定や,学修成果の可視化,情報公開の在り方の審議を通じて,社会への説明責任を果たしながら,学修者本位の教育への転換を目指す教学マネジメントの確立を図るということが一つの目的になるのではないかということでございます。
 2ページ目,裏でございます。検討の視点でございます。こちらにつきましても,先ほど御説明した内容と重複いたしますので,簡単に御説明いたします。1つ目の丸でございます。教学マネジメントに関する指針の策定というものについては,各大学が教学マネジメントに自ら取り組むべきであるもの,各大学の事情に合致した形で構築すべきであるということ,この指針が特定の取組を大学に強制するという法的な性格を有するものではないことということには留意しながら,以下の点々で囲んであるような,先ほど御説明したような個々の取組,方法論というものについて,どのような形で学修者本位の教育の質の向上の観点から効果を有するのか,その導入・実施に当たってどういうところに留意すべきなのか,このようなことを整理することによって,各大学における自主的な教学マネジメントの確立というものに資する指針というものの位置付けというものを意識する必要があるのではないかということで,書かせていただいているものでございます。
 また,2ページの後半でございます。学修成果の可視化と情報公表の促進の検討という部分については,そのような点々の情報のようなものについて把握・測定することが教学マネジメントの確立にどのように資するのかということ,また,各大学の外部に対する説明責任の観点からはどのような公表の在り方が望ましいのか,このようなところを基本に置いて議論をしていっていただいてはいかがというようなことを書かせていただいているものでございます。
 資料5の説明は以上でございます。
 その上で,参考資料7というものを用意させていただいてございます。これはタブレットの方に入ってございます。参考資料7につきましては,情報が非常に多い資料になってございますが,これは過去の中教審の答申の抜粋表を,先ほど申し上げた個々のトピックに応じて,過去の中教審においてどのように整理をしてきたのかというものを抜粋しているものでございます。これそのものはもちろん過去の議論の結果でございますけれども,こういった過去どのような議論がその都度その都度されているのかということについて,横に置いて議論していただけるように作ったものということでございます。平成10年のいわゆる21世紀答申から,17年の前の将来像答申,平成20年の学士課程の答申,平成24年の質的転換答申について,それぞれのトピックにおいて触れられているというところがございますので,これについてはお手元に置いて,こういったものも御参照いただきながら御議論をしていただければということでございます。
 以上,私の方から,20分頂きましたけれども,御説明をさせていただきました。ありがとうございます。
【日比谷座長】  包括的な御説明,大変ありがとうございました。
 今の御説明につきまして,新たに委員に加わった皆様もいらっしゃいます。何か御質問ですとか,ここはもう少し説明してほしいというところがありましたら,どうぞ御自由にお願いいたします。
 どうぞ,清水委員。
【清水委員】  ありがとうございました。趣旨と目的がよく分かりました。この委員会の開催と内容についてのロードマップといいますか,いつ頃をめどにまとめて,各大学にはいつ頃示して,各大学にそれを求めるのかという,そのあたりの工程表が分かれば教えていただけますか。
【平野大学改革推進室長】  御質問ありがとうございます。本日第1回目ということで,各委員の皆様の御意見を踏まえながら審議事項を決定していくということで,ロードマップ,直接お配りしていないわけでございますけれども,最終的なゴールのラインとしましては,来年の年末というものを一つの念頭に置いているわけでありまして,1年間にわたって御議論いただくと。来年の年末までに指針の案でありますとか,また,制度改正の事項をまとめていただきまして,実際の省令改正等必要なものにつきましては,来年度の末,1月から3月の間で処理をして,それを施行していくということを考えているものでございます。
【清水委員】  ありがとうございました。
【日比谷座長】  ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは,今,事務局より大変詳しく本委員会の様々な検討の目的,それから,視点について御説明いただいたところでございます。
 きょうは初回でございますので,具体的な議論は次の回,2回目以降に行うことにしたいと思いますが,それぞれお集まりの委員には事前にお願いをしておりますけれども,今後,重点的にこういう点を議論すべきではないかという事柄,また,これから議論を深めていく上で,このような視点が重要でないかといったことについて,お一人3分で御意見を頂くというふうにお願いしております。
 なかなか時間管理が難しいところがございますが,今回からベルを,学会発表をなさっている方じゃない方はちょっと慣れないかもしれませんが,導入を文部科学省にお願いをいたしました。3分でお願いしておりますので,2分半で1回,3分で2度ベルを鳴らすということにしたいと思いますので,どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 どっちから行くかなという感じなんですが,こちらからどうでしょうか。
【大森委員】  私は小さな大学の学長をしておりますけれども,そういった現場の立場からというところであります。
 先ほど来御説明いただいている中で共感できたのが,やっぱり学生自身が学修成果を自ら可視化していくという視点が非常に重要であるという点であります。現場にいますと,ともすると,まず社会に対してとか,あるいはすみません,例えば,補助金があってとか,そういうところで,大学として大人がうちの大学ちゃんとやっていますよというところを見せるための可視化になりがちなところがあると思うんです。それはそれとしてもちろん重要だという認識は重々持っているんですけれども,質保証を一番誰に保証すべきかという観点を考えると,それは当然,そこで学んでいる学生に質を保証していくということであって,その次に社会に対して,本学はちゃんとやっていますということをお見せするということなんだろうと思います。
 ですから,例えば,成果の可視化をしていますといって,何かのグラフをホームページへ載せて,「ああ,学生,伸びていますね」,でも,その学生たち自身が,自分が伸びているということを知らないみたいな成果の可視化の在り方というのは,やはり本来的には違うんだろうということを常々思って,今,学内でも,学生自身が自らの学びを,様々な取組をエビデンスとしながら,自己評価と自己言語化をしながら,自分の学びをきちんと自分で言語化し,可視化をしていくという取組を進めているところです。
 それによって学生は,この4年間で私はこういうことをしたので,その結果こんな力が付きましたと。これは具体的には,例えば,就職活動の場面も当然ありますけれども,今後予測困難な時代の中で常に学び続けなきゃいけないといったときに,卒業後の学びを自らがきちんと今度は可視化していってもらわなきゃいけないと。そういう力を可視化をするプロセスの中で付けていける,そういった可視化の仕組みというものを各大学さんと一緒に考えていけるといいなと思っていて,そこを間違えないようにしましょうよねという呼び掛けになるような指針というんでしょうか,そういったものが作れたらうれしいなと。そんなふうに考えています。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 では,川並委員,お願いします。
【川並委員】  聖徳大学・聖徳大学短期大学部の川並でございます。よろしくお願いいたします。
 私もこういう形で学生主体の改革というのを行っていくことは大切だと思っておりますし,実際に本学でも学生が自分で自己の成長を確信できる姿をどのような形で提供するかということについて,過去何年か腐心をしてきた経験がありますので,このような流れで進むことについてはやぶさかではないと思っておりますが,あえて言わせていただきますと,過去の高等教育の改革について,いささか定義が曖昧なままいろいろと進んできている部分があったり,それぞれの学校,大学,教育機関にその言葉の定義や成果についてを任せ切りにしている部分があるので,それぞれの可視化といっても,足並みがそろわない部分があるように感じています。
 そういったことについて,どのように具現化というか,具体的な案を示したりすることができるかということがやはり大切になってくる部分ではないかなと思いながらも,余り明確に示し過ぎると,今度はそれぞれの私学,教育機関の特徴を損なう可能性もあるわけで,いわゆる高等教育機関が持っているそれぞれの柔軟性を損なうような形にせずに,どのようなことができるのかということについて,個人的にはこの特別委員会に期待をしているところであります。
 まとまらない話でございますが,以上でございます。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 それでは,佐藤浩章委員,お願いします。
【佐藤(浩)委員】  ありがとうございます。まず,このような仕事に関わることができて,大変光栄に思っております。担当の職員の方からは,若手に今回はたくさんお声を掛けているということだったんですけど,来てみたら,結構ベテランの先生がたくさんおられて,大変恐縮でございますけれども,頑張りたいと思います。全力で頑張りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 私自身は,16年間にわたりまして,FDの専任の担当教員ということで,一貫してこの仕事に携わっております。ファカルティ・ディベロッパーというような言い方もしますけれども,一般の先生たちのFD研修の講師ですとか,個別のコンサルティング,あるいはカリキュラムの開発の支援といったことをさせていただいております。
 また,今,FDの専門家集団で日本高等教育開発協会という団体の会長も拝命しておりまして,国内外の事例等についてもよく知っているところもございますので,そのあたりで貢献できればと思っております。
 その点で申しますと,私としては,やはりFD・SD,義務化されて10年ということですけれども,なかなか浸透しないと。形式的なFDでとどまっているという状態がございますので,ここを最終的には教学マネジメント,評価もありますけれども,FD・SDで,今ある人的資源をもっと最大限に活用して,この問題を解決していくという方向に持っていければなと思っております。
 今,しっかりとした研修を行うという話でございますが,まずはFDに関して申しますと,新任教員の研修ですね。日々の授業を担っている大学の教員の資質に関しての保証が,まずしっかりできていないという現状があると認識しております。諸外国では250時間程度の研修を必須化する国も出ておりますし,国内でも,100時間,あるいは私の今の勤務校でも30時間の研修の必須化を昨年の10月から始めましたけれども,このあたりにつながるようにしていきたいなと思っております。
 また,先ほども出てまいりましたけれども,現状としては,こういった教学マネジメント関係が,何か点取り合戦というか,ポイントを取ることに皆さん必死になっているという現状もございまして,教学マネジメントに取り組むこと自体がFDやSDにつながるというようなシステム構築,そういう仕組みづくりにつながるような指針づくりに貢献できればと思っております。
 以上でございます。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 伹野委員,お願いします。
【伹野委員】  高専機構の伹野でございます。高専の方に所属していますので,現在の高専の状況を,教育の質保証という点から説明させてもらいたいと思います。
 高専も高専教育機関ということで,大学との差別化等を考えつつ,教育の質保証ということを重要な課題ととらえ、教育体制の整備をしているところでございます。
 現在,高専は全国に国公私立を含めて57校ありますけど,国立高専における毎年の入学者数が約1万人で,卒業後そのうち約3,000人が大学に編入する状況にあります。高専も工学系の専門教育機関ですので,大学における工学教育の質保証との連携が今後ますます重要になってくるものと思われます。高専の方もしっかりやりますので,大学の方ももう少し,教育の質保証を整備していただければと思うところであります。
 今回の教育の質保証の議論の中で,大学自身がそれぞれ考えて対応することだと思いますが、特に工学系専門教育には、いろいろな分野があります。例えば,工学系の機械工学や土木工学などです。それらの専門教育としての質保証をどう捉えるかということも重要に思います。専門教育の質保証とは,社会や産業界が期待されていることに応える教育ということになります。各大学よりも,大学間をまたぐ専門教育の質保証が必要となります。
 もう一点ですが、高専では,現在PDCAサイクルを各校の教育システムに導入しています。各高専では,全国共通のモデルコアカリキュラムに準拠した教育を実践しています。ウエブ上でシラバスを全部公開しそれに準じた授業を実施することで,各高専が一定レベルの教育を保証することとなります。このモデルコアカリキュラムは各校の60〜70%のカリキュラムとし,残りの30〜40%は,各高専の特色を生かしたカリキュラムを設定することとしています。モデルコアカリキュラムによる学習者の学習目標(到達目標)を明確に設定し、それを確認するためコンピュータによる到達度試験CBT(Computer Based Testing)を準備しています。その結果を教員のFDに反映させ,さらにモデルコアカリキュラムの改良にフィードバックするというPDCAサイクル化を図っているところです。何か参考になればということで,紹介させていただきました。
 どうもありがとうございました。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 益戸委員,お願いします。
【益戸委員】  益戸です。よろしくお願いします。名簿を見ますと,唯一アカデミアではない民間の委員ですので,自己紹介を致します。
 大学卒業後、メガバンクに10年,人事で昭和55年から60年入行者の採用担当を致しました。この年次は今ちょうど企業や官庁で役員になっている皆さんです。当時の判断を検証する時期に入ってきました。
 その後,フランスの銀行,イギリスの銀行に通算31年おりました。金利のトレーディング、資本調達、M&Aなどの投資銀行業務を担当していました。中教審将来構想部会でグランドデザインの答申の議論に参加致しました。所属はバークレイズ証券でしたが、年末でバークレイズ顧問を退任して、現在は、NY本社のRPAソフトウェア会社 UiPath特別顧問です。IT系に転身です。
 今後もそんな経験に基づいて議論に参加させて頂きたいと思います。将来構想部会では、アカデミアの皆さまのお考え、各種団体の御意見、パブリックコメントもよく勉強させて頂きました。又、まだまだ深堀する議論もあったと思います。まず第一に申し上げたいのは,大学が、学修者や社会の期待に応えて,社会に支えられながら、目的である教育,研究,社会貢献の機能を最大化できるよう、その在り方を転換していくことは喫緊の課題だと言う事です。
 もちろん大学などは、民間企業と違う点も沢山あります。しかし,どんな組織であっても,組織である以上は,必ず一定の目標を掲げて活動をします。そのためには,マネジメントの高度化なくして,組織の発展はありません。
 具体的には,教員の方個人ではなくて,組織としての教育成果に対する明確な目標を設定する。そして、個々の情報を把握して、想定通りの教育成果が上がっているか、そうでなければ原因やどう解決するかなどの分析が大事です。この委員会ではマネジメントサイクルについても議論したいと思います。
 それから,財政的な面ですね。国の税金を使うという意味は、社会に支えられる大学を実現しないといけません。ステークホルダーに対しては積極的に情報開示を進めていく必要があります。決して大企業だけではありません。中堅・中小企業であっても,きちっと自分たちがやっていることを説明をしないとなかなか社会から認められる企業にはなりません。
有価証券報告書や決算公告などで、情報公開が義務付けられています。
言い換えれば,そうしないと市場から退出をさせられてしまう時代になりました。
大学は、成果が短期的には完全に現れません。だからこそ、プロセス情報も含め整理した形での公表していく事は、国民全体に丁寧な説明責任を果たす上で重要です。今や業態に限らず当たり前の事だと思います。
この点について、特に強調させていただきたいと思います。
 それから,もう一つ,利益を出す方法は,収益を上げる。収益が上がらなくても,コストを下げることによって利益は出ます。いろいろな角度からの分析は必要です。教育の世界で言えば,退学率とか留年率が出ると心配な学校もあるかもしれません。私はそんなことはないと思います。授業について行くのが厳しいところと易しいところ,大学卒業という資格を取りたい方と,将来を考えて厳しいところで勉強したい,いろいろな目的があると思いますので,そのためにもいろいろな数字を発表していかないと、ステークホルダーの為になりません。
大学においても、ある数字についてその原因と的確な対策を示す事が出来る限り、数字のみで判断する事はない。と考えられます。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  ありがとうございます。十分3分以内に収めていただきまして,ありがとうございます。
 溝上委員,お願いします。
【溝上委員】  溝上です。9月から桐蔭学園に異動していまして,幼稚園から大学まで見る立場になっておりますので,特に高校から見ると,大学ってこういう感じなのかなというのを改めて感じておりますけれども,教学マネジメントの確立というのは,私も前のワーキンググループで何度も何度も発言していまして,私は,マネジメントの確立が大事だというのは,皆さんの共通の関心事だと思うんですけれども,大学の自発的取組に基づいて,大学の発展を温かく見守る,多分,こういうのが基本であり,大前提だというのはよくよく承知しているんですけれども,学士課程答申から見て10年,将来像から見て15年,こういう中で随分整備されてきたと思いますし,グランドデザインの答申の中でも,教学マネジメントに関わるいろいろな改善点が書かれていますけれども,先ほど平野さんからお話しされたとおりですけれども,新しいことが特にそんなにあるわけではない。そういう中で,学生が変わるレベルで育てられてきた,そういう大学に変わってきているという感じがしないわけですね。データでもそういうものが表れていて,私なんかは非常に大きな危機感,危惧をしているわけです。
 もう一つ,グランドデザインの答申なんかもそうですけど,2040年に向けて大学がどんどん縮小していくときに,現在の体制で,この感じで行ってしまうんじゃないかという危機感も強く持っています。だから,大学が自主的に発展していくべきであると,行く行く承知の上で,多分,教育の学修成果の可視化ということを,個別の大学が自己点検評価で出してくるのがもちろん大前提ですけれども,国としてあるいは全国的に共通の指標で,大学の学生の状況が見えるということを――この共通の指標というのは,考え方,進め方によってはとても乱暴なものになりますけれども,ただ,ここに近いところに進まないといけないんじゃないかということは申し上げたいと思います。
 特に高校から見たときに,やっぱりまだまだ偏差値に対しての一般的な理解が根深くあって,本当に学生を育てるいい大学って,私たちは個別に結構知っているわけですけれども,見えないんですよね。そういうものがもっともっと一般的に見えるような国の取組につながっていけばいいなと思います。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 じゃ,両角委員,お願いします。
【両角委員】  東京大学の両角です。よろしくお願いします。
 私も,今ちょうど溝上先生がおっしゃったことと共通のことを実は感じていまして,2008年の学士力答申以降,それまでそんなに教育が大事だって当たり前なのに,皆がそちらに向かってこなかったのが,大学の意識や教職員の意識はかなり変わってきたんじゃないかという実感がある一方で,学生の学修行動自体はほとんど変わっていない,調査をしても。また,私たち見ていますと,例えば,同じ偏差値ランクのところであっても,かなりそこで学べる内容って違うなと。見れば私たちは分かるんですけれど,そういうことでなく,国公立だから,偏差値が高いから,立地がいいからって,そういうことで学生が大学の進学先を選ぶという行動も全く変わっていないなというところを,すごく危機感を感じています。
 今回のこの委員会で目指していくべき,学生自身が何を学んだかということを可視化して,よりよいものを作っていこうという方向性にはとても大賛成なんですが,やはり気を付けて進めていく必要があるなということも同時に感じています。というのは,いろいろな補助金などで,こういう教学マネジメントのいろいろなパーツのようなものを,やれば補助金の金額が増えるようなやり方で今まで進んできたところがありまして,結局,そちらの方に大学の目と努力が向かっている印象があります。補助金は大事で欲しいですけれど,国の方を向くのではなく,大学の努力を学生自身の成長とか社会の方に向けていくというところの仕組みをどう作っていくかというところが大事だと思っていまして,そのためには,私は情報公開をどう進めていくかというところが,やはりかなり重要になるんではないかなと感じています。
 今挙げられている,例えば,義務付けが考えられる情報の例とかも,それぞれの大学さん,かなり出していると思うんですが,分かりにくかったり,あるいは大学を選ぶ学生さんにとっては,比較して見やすくなっていなければ,その情報があっても活用されないので,そういう形でちゃんと必要な情報が活用される,それを,かなりいろいろなレベルのものがあると思うんですが,やはり学生がちゃんと成長を実感できているとか,そういったところに大学の努力が向かうような指針であるとかシステムづくりをするという方に,そのためにはどうしたらよいのかということをこの場で議論していけたらなと思います。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 それでは,こう行きまして,吉見委員,お願いします。
【吉見委員】  東京大学の吉見でございます。時間が3分ということですので,単刀直入にお話をさせていただきたいと思います。
 この委員会の目的というのは,先ほど委員長からもお話があったように,予測不可能な時代における学修者主体の学びを可能にする,その条件と道筋は何かということだと思います。そして,現状は何かということを言いますと,先ほどの御説明の3ページにちょうど出ていたところですけれども,授業以外の学修時間が日本は非常に短い。しかも全然改善されていないというのが現状でございますね。
 そうすると,これを改善していく道筋で最も重要なポイントは何かということです。私は,自分の考えを申しますと,1人の学生が1学期間に取る科目の数の問題だと思います。これが大変大きな問題。先ほど受講する科目数が多過ぎるというお話がございまして,私もそう思います。日本の大学の大学生は,1学期に大体普通10から12の科目を取ります。アメリカの大学ですと,4から5です。つまり,日本の学生たちは倍以上の科目数を取っているということです。
 そうすると,一つ一つの科目で,リーディングアサインメントとか,いろいろな予習復習を課すと,学生はパンクしちゃいますから,授業に出るのが精一杯ということになります。それだけではなくて,したがって,4年間で日本の学生は60から70の科目を取っていることになる。アメリカあるいは欧米は,30程度だと思います。そうすると,カリキュラムの組み立ての考え方が全く違いますし,それから,更に言いますと,60も70もあって,それは1つの科目が平均2単位ぐらいだからですけれども,2単位程度の科目ならば簡単に,学生たちは楽単科目と言いますけれども,楽単科目を取って,先生が厳しいことを言う科目は捨てるということが簡単に,そういう履修行動が取れるわけです。
 こういうふうな構造が残る限り,なかなか例えば,シラバスをちゃんとしよう,それから,予習復習をちゃんとしようとか,アクティブ・ラーニングをやろう,いろいろなことはそれぞれ正しいんですけれども,根本ができていないから,だから,結局,学修時間が増えないという結果が生まれるんだと思います。
 私は昨年,ハーバードに1年教えに行っていまして,大学院を秋学期教えて,この春学期,学部を教えたんですけれども,東大とハーバードを比較して恐縮なんですけれども,学生たちを比べれば,学生のクオリティーは同じだと思いました。実感として変わらないと思いましたけれども,教育の仕組みがまるで違う。まるで違う違いが,やっぱり根本は今の履修科目数にあります。科目の数の多さ,少なさにあると思います。それに加えてシステム,TAの問題とか,それから,教育のもろもろの仕組み上の問題がございますけれども,ここから入るといいますか,この根本を変えることができるかどうかということが,日本の大学における学修者主体の教育に転換できるかどうかの非常に大きな試金石だと考えています。
 以上でございます。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 森委員,お願いします。
【森委員】  関西大学の森でございます。初めてこんな場にいるので,多少緊張しておりますが,学習研究者としてここに呼ばれたならうれしいなと思っております。私は学習者の学びのプロセスや構造を研究しております。その解明は大変難しいものではあるのですが,それをいかにして質的,量的なデータで明らかにしていくかといったような研究に関わっているということでございます。
 このときにやはり一番思うのは,人が学ぶ理論に,教育がついていっていないということですね。今,吉見先生もおっしゃいましたが,こんな多い単位数をどうやって学んでいくのかというと,どうしてもみんな浅い学びになってしまいますし,東京大学では楽単っていうんですかね。
【吉見委員】  いや,私立大学でもそう言っているみたいです。
【森委員】  関西大学ではカモ単って呼ばれていますね。そういう意味では,学生の履修行動を分析しますと,必修授業を中心に,時間割的に上下にある科目しか履修しないカリキュラムが出来上がっています。それを嘆くのではなく,それらを前提にした教育的なデザインがそろそろ必要なのではないか,ということです。
 実務的には,これまで地方国立大学と大手私立大学と2つの教育改革に関わっておりました。やはり大学教職員が近視状態で,こういう施策が下りてきたから,それをしなくてはならないという,どうしても後追い後追いの改革になり,疲弊する傾向にあることです。。その意味では,今回,グランドデザインといった大きなものを見せていただいて,2040年,そこから逆算をする,まさに逆向き設計で現場が改革を考えていくということに関しては,非常に大きなデザインを示していただいたなと思っております。
 学生自身も非常に近視状態で,「今,ここ」しか分からない状態において,やはり学生たちの学びをどうデザインしていくかといったようなことは非常に大きな私どもの仕事であろうと思っています。その中で私個人は学生の個別性に非常に興味があります。一斉授業,一斉カリキュラムというのは,限界ではないかと思ったりします。やはり「学生」という名前の学生はいませんので,個人個人のニーズや現状にマッチした教育において,その学生たちをどれだけ伸ばしていくかといったような観点で,カリキュラムの多様性や学生の多様性といったようなものを議論していく必要があるのではないかなと思っております。関西大学で教学IRも担当しておりますが,やはり教育の証拠づくりではなく,学生の学びの質を向上させるためのデータ収集,改革に向けたデータ分析の在り方についても,是非ここでは議論してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  ありがとうございます。
 じゃ,松下委員,お願いします。
【松下委員】  もう今既に何人もの先生がおっしゃったことでもあるんですけれども,まず1番目に考えるのが,学修時間というのが本当にこの20年間変わっていないということです。これについてはさまざまな政策が行われきたと思うんですね。例えば,キャップ制とか,ナンバリングとか,本当にいろいろなことが行われてきたけれども,変わらない。先日,京大のある学部で調べたんですが,かつてのような,授業には出ないけれども外で学ぶという学生は少なくて,授業にたくさん出て,かつ授業外学修も結構やっている学生は結構いるんですけれども,自分で授業外で学ぶ学生というのは本当に少なかったです。
 ですので,これまでやってきたことをそのまま繰り返すだけでは,そこは打開できないんではないかと思います。先ほど吉見先生がハーバードの話をされましたけれども,大体1つの科目について,週複数回授業があって,しかもそれが講義とかレシテーションとかラボとか,複数のいろいろな学修形態によって学ばれている。それによって,単に知識を習得するだけじゃなくて,それが使いこなせるようになるまで持っていくというところが,アメリカの教育のやり方ではないかと思います。そういった複数回授業とか多様な学修形態ということも考えながら,カリキュラムを組んでいく必要があるんじゃないかなというのが1つです。
 2番目に,学修成果の捉え方なんですが,私は医療系の先生と一緒に仕事をすることが多いんですけれども,医療系の場合,全くの素人から,卒業するまでに一応の仕事はできるようになるわけですね。もちろんその後もずっと研修が続くわけですけれども。それと比べたときに,人文社会科学系の学生の成長というのが,やっぱりすごく見えにくいなと思っています。今,学術会議の方で人文社会科学の役割が検討されているんですけれども,人文社会科学系の学修成果の捉え方というのを改めてちゃんと考えなきゃいけないんじゃないかと思います。
 それから,3つ目は学修成果の評価についてです。先ほど学生の自己評価の重要性ということをおっしゃったわけですけれど,私はそれはすごく重要だと思うんですが,一方で,教員の評価と学生の自己評価って結構相関が低いんですね。必ずしもちゃんと学生が自分の学びを評価できるわけではない。ですので,そこの自己評価の力というのも併せて付けていかないと,学生の自己評価だけに頼っているのでは,学びをきちんと捉えられないのではないか。ひいては,それを基に教育の質を変えていくということも難しいのではないかと考えています。
 そういうことからすると,様々な評価方法を組み合わせて使う必要があるんですけれども,そうすると,教員の負担がまた増えるということもあるので,第3の職種と言われるような専門家,スペシャリストをどう使うかとか,それから,先ほどおっしゃったTAの活用だとか,そういったことも併せて考えていかないと,教員の負担が大きくなるばかりではないかと思っています。
 以上です。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 深堀委員,お願いします。
【深堀委員】  九州大学の深堀でございます。私は10年間,国立教育政策研究所でOECD-AHELOをはじめとする事業に関わりながら,大学教育の国際的な通用性を中心テーマとして研究してまいりました。その後,大学に職場を移して10か月が経ちましたが,霞が関から見える景色との違いに驚いている毎日でございます。
 そうした経験を踏まえて3点,お話しさせていただきたいと思います。まず,1点目ですけれども,先生方から大変悲観的なお話をたくさん伺いましたが,日本の高等教育の質がそれほど低いのかといいますと,海外の方々からは,必ずしもそうは見られていません。そもそも,これは世界共通の課題ですが,高等教育の質を客観的に捉える指標を我々は持ち合わせていないのです。その中で,アメリカやヨーロッパ,特にイギリスでは,大学生の卒業後の所得で大学教育の効果を見ようとしています。非常に限界のある指標に基づいて,我々は高等教育の質を語ろうとしているのです。
 一方,我々が持ち合わせている指標に注目すると,日本は15歳のPISA調査を見ましても,15歳から64歳の国際成人力調査PIAACを見ましても,世界トップレベルです。Times Higher Educationの大学ランキングは研究を重視したものですけれども,ランクインしている大学全体の約10%が日本の大学です。日本の大学の8つに1つがランクインしていることになります。その意味で,日本の大学は決して悲観する状況にはないということを踏まえながら議論を進めていく必要があるのではないかなと思います。
 大学全体としての社会に対する説明責任を語るのであれば,そうした側面も踏まえながら,客観的に話を進めていく必要があります。おしなべて大学教育の質が低いという語り方をするのではなく,どういう大学にどういう課題があり,それをどのように乗り越えていけばよいのかといった、より丁寧な議論を進めていく必要があるのではないかと思います。
 次に,2点目ですけれども,これまでの大学教育の成果をどう評価するのか。やはり,平成10年以降の教育教育には目覚ましい進展があったと言えます。2006年に日本を訪問してOECDカントリー・レポートを執筆された担当者に先日おめにかかる機会があったのですが,日本ではこの12年間にこれだけ様々な取組が進められてきたということをお伝えしましたところ,大変な驚きを持って受け止められました。その一方で,KPIなど,非常に限られた指標で大学の成果を捉えようとしている今日の日本の状況についてもお話ししましたところ,世界も同じ問題を抱えているとのことでした。大学の法人としての自律性を育てていく上で,こうした管理運営の在り方でいいのか,世界的に再検討の時期に来ているといえます。
 最後に,私は,学修成果アセスメントの研究を中心に取り組んでおりますが,それは非常に高度なエキスパートジャッジメントが求められる取組です。個々の大学教員や,個々の大学で進められるものではなく,大学共同体としての取組が必要です。それゆえ,アメリカの大学カレッジ協会やルミナ財団,ヨーロッパのチューニング・アカデミー等の取組に,日本を含む各国の大学が注目しているのです。日本の研究機関も学修成果アセスメントの研究に率先して取り組むことで,大学による教育改善の取組を支援していくことが重要ではないかと思います。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 清水委員,お願いします。
【清水委員】  山梨県立大学の清水です。教育制度を専門にしている者からお話しさせていただきます。今回のグランドデザインにつきましては,私は一定の評価をしております。というのは,これまで70年間の我が国の高等教育の改革というのは,どちらかというと,量的平等性に重きを置いた改革が続けられてきました。しかし,今回のグランドデザインは,質と多様性という言葉がふんだんに使われているように,質的多様性の方にかじを切ってきたからです。もっと二,三十年前にこういうデザインを出してほしかったとさえ思っております。別の言い方をしますと,我が国の組織中心の改革からプログラム中心の改革へという移行が今回のグランドデザインで示され,この点を高く評価したいと思っております。
 この70年間,アメリカ型のシステムで出発して,限りなく欧米の狩猟民族のシステムが入ってきましたが,やはり我が国の農耕民族には合わない部分が多々あったと言えます。その意味で,アメリカ型のシステムを参考にしながら我が国独自のシステムをこれから考えていくという方向性をしっかりと示したのが今回のグランドデザインであったと思います。
 学士力とか短期大学士力の答申が出されてもう10年以上経っていますが,その具体的なものはなかなか見えてこない。いわゆる学修成果とか教育成果とかです。とくに学修成果というのは,我が国においてはまだよく理解されていない。というのは,1単位の定義は,アメリカでは各学期週1回の授業プラス学修成果という,学修成果という文言が入っています。これがGPAの開発・実践につながっています。単位制度はFDの開発も伴っていましたから,単位制度導入イコールFDイコールGPAとなります。我が国では,1単位の定義には,45時間の学修という数量的な基準しかなく,学修成果というのは入っていない。だから学修成果はなくて当たり前だという解釈も成り立ちます。といってGPAを義務付けるべきであるとは言いません。むしろそれは各大学の自由度に任せた方がいいと思っています。その意味で,この教学マネジメントの委員会での議論は意味があります。先ほど深堀先生もおっしゃったように,教育成果については一定のKPIというか評価指標があるわけではない。これが教育成果であるとは誰も言えないと思っています。それは各大学の自由に任せた方がよく、しかしそのための指針は必要であるということで,この委員会の意味があると思っています。以上です。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 佐藤東洋士先生,お願いします。
【佐藤(東)委員】  桜美林大学の佐藤と申します。先ほどちょっとお話があったように,この教学マネジメントの議論,多少若手の方でというお話で始まっていたと思うので,私はふさわしくないのではないかと言ったんですが,ノーと言うのがなかなか下手な人間なものですから,また引き受けてしまったなという。
 教学マネジメントということについて,省からこういうメモが来ていて,話せということでしたが,ちょっと難しいなとは思ったんですね。1つ大切なことは,私は,それぞれの立場からそれぞれいろいろ発言があるでしょうが,共通のボキャブラリーというか,同じことについて話していくということが大切なのではないかなと思っています。
 実は教学マネジメントというのは,英語で言ったら何であろうかということを考えたりして,そうすると,大学改革支援・学位授与機構は,Management of Teaching and Learningと書いてあります。それで,その中で,結局,教育を組織的かつ体系的に提供するためには,役割と責任が明確化されたガバナンス体制の下で,教育・学習の状況を管理することが必要だと。それが教学マネジメントといっていますが,英語だと,Education and learning must be managed under a governance structure with clearly defined roles and responsibilitiesというような言い方をしている。
 そうすると,どのように考えたら良いでしょうか。先ほど来,教学マネジメントに関していろいろ,最初,事務局からも御説明ありましたが,自主的に取り組むように促す仕組みを作るということですね。そうすると,私たち,昭和60年の審査要覧に従っていろいろ作業をしてきた立場から言うと,やっぱり今の審査要覧,大分厚くなっていますし,これからこの問題については,できるだけ大学の認証評価という制度をきちんと生きるような形にするということを踏まえての,いわゆる教学マネジメントということを考えるのがいいのではないかと思っています。
 また細かいことは後ほど。長くなりすみません。ありがとうございました。
【日比谷座長】  小林浩委員,お願いします。
【小林(浩)委員】  もう一人の方の民間の委員でございます,小林でございます。リクルートの小林でございます。
 私は社会から見た大学の位置付けというか,そこについてちょっとお話をしたいんですが,1990年の大学に行っていた世代は,今,人事部長とか,その世代になっておりまして,また高校生や大学生の保護者の世代でもあります。その時代と比較すると,1990年の大学の数が約500ですね。今,800近くになっています。大学進学率も25%から53%ということで,倍以上になっていて,非常に多様な学生を輩出する機関になっているということで、大学の役割が大きく変わってきたんじゃないかと思います。
 一方,学部の名称ですけれども,1991年の大綱化前は29しかなかったんですけれども,今,700以上あるということで,たまに面接で学生が自分の学科名を間違えるなんていうことも言われてきたりしています。そうすると,社会から見たときに,どの学部で何を学んでいるかというのが分かりづらい。それから,学修成果が見えづらい。昔は,大手の銀行とか商社なんかは,優が10個以上ないと受けられないとかというふうに言われていましたが,今,成績を全く見ません。なぜかというと,さっき他の委員から楽単とかカモという発言がありましたが,成績の信頼性がまだ企業側にないということがあると思います。
 そして,入り口のところでは偏差値が信頼できないと。これ,高校生が言います。今,入試が多様化しているので,偏差値って操作できるんですよねというふうに高校生が見ているということです。
 もう一方で,情報公開が進まない。してはいるものの,比較できない。あるいはダウンロードできない。そうなってくるとなかなか一個一個見て比較するなんていう時間はないので,でなかなか外から見て見えづらくなっているのかなと。そうするとどうなるかというと,卒業時ではなくて,入学時のスクリーニングでいまだに見てしまうというような状況になっていると思います。
 既にさっきからお話があるとおり,変化の激しい時代の中で,18歳の入学時がゴールではなくて,卒業時に何ができるようになったのかというのをちゃんと社会に見せていく必要があるんではないかなと思っております。
 そうして見ると,大学の成績をきちんと厳格に見ていくとか,そういったところと含めて3つのポリシーを定めていますので,ディプロマポリシーと併せて,正課だけじゃなくて,正課外も含めて,どんな人材を育成していくのかということを、大学がきちんと社会に発信していく必要があるのではないかと思います。
 それから,高大接続改革で,新しい学習指導要領で育った子たちが2025年には大学に入ってきます。その子たちを受け入れる側としての大学についてどのような人を育てていくかというのも,一つの観点だと思います。
 それから,もう一つは,佐藤先生もおっしゃっていましたけど,認証評価,私も委員をやっているんですが,非常に大学は一生懸命やっています。それに対して社会からの認知がまだ,一生懸命やった分だけの成果が得られていないんじゃないかと。ここら辺のところをうまく連動してやっていくのがいいんではないかなと考えております。
 ありがとうございます。
【日比谷座長】  沖委員,お願いします。
【沖委員】  立命館大学の沖でございます。このような席にお招きいただきまして,本当に光栄に思います。
 最後の方になりましたので,ほとんど言うことがなくなってきたんですけれど,今,小林委員もおっしゃいましたように,ちょっと大きなグランドデザインから考えると,高大接続もやっぱり重要視する必要があろうかと思います。というのは,我々は大学の成績を企業側にちゃんと認めてほしいと。これだけやったということを認めてほしいと言っておきながら,実は高等学校の調査書をほとんど尊重していないんですね。全く同じ構図が見られますので,高等学校の調査書,ポートフォリオになるのかどうかはまだ分かりませんけれど,それと連携しながら、大学の人材養成像,学修成果というものを企業に示していくというのが,重要になってくるだろうと思います。それはグランドデザインにも書いてあるんですが,その視点が大事だろうと思います。
 それと,あと,ちょっともう枝葉末節といいますか,技術的なことを申し上げますが,松下委員も深堀委員もおっしゃいましたけれど,この改革をしていくにはどうしても専門職が必要だと思うんですね。IR,それから,カリキュラムのコーディネーターも含めて,あるいはもちろんファカルティ・ディベロッパーもそうですけれど,こういったものをどう各大学として整備していくのかということはどうしても盛り込まないと,絵に描いた餅になるだろうと思います。
 それから,もう一つは,大学教員のアカデミックプラクティスといいますか,4つありますよね。教育,研究,社会貢献,学内業務。実はこれ,物すごくいい加減に運用されていると思います。教育は大事だと言われながら,採用の際には模擬授業も全くなかったとかいうのが今でも多数ありますし,採用と昇進の際もそうですね。例えば,40%は教育というならば,40%分,きちんと評価をしなきゃいけないんですよ。ましてや,例えば,うちの大学は9割分のエフォートを教育の貢献で求めているという大学も現実あります。その大学においては,90%の教育をきちんとやっていただくような支援と評価が必要です。しかし,90%の教育と言っておきながら,実は昇進人事では研究論文を何本書いたかということが求められるという,極めて今,矛盾した状況にあろうかと思いますので,そのあたりの整理も必要かなと思います。
 枝葉末節のお話でした。よろしくお願いいたします。
【日比谷座長】  浅野委員,お願いします。
【浅野委員】  山形大学の浅野でございます。委員名簿に記載いただきましたが,名古屋大学でもクロスアポイントという制度でIR本部の特任教授を拝命しておりまして,現在,2大学のIRについていろいろと関わらせていただいている状況でございます。そのような観点からいたしますと,グランドデザインに出ておりますように,やはりやり方というのは,大学によって随分変わってくるんだろうというふうには思います。
 一方で,先ほどもございましたけれども,私は個人的には大学がやっていないのではなくて,やろうとしているんだけれども,どうしていいかが分からないという側面も結構あると考えております。これまで、大学評価であったり,IRに長年、関わらせていただいておりますが,現状,日本の大学では多くの場合,担当される理事の先生方も,基本的には学部でそれまで一般教員としてやってこられていて,御専門には長けていらっしゃいますが,いざ教学マネジメントという全学をハンドリングする立場に立たれたときに何をしていいのかが分からないという状況が多分にあるように思えます。同じように、IRの業務の担当となる教員,あるいは職員の方々も,どうすれば良いのか、どのような業務を展開すれば良いのかが分からないという状況だと思います。そういったこともありまして,なかなか求められていることに対して大学が応え切れていないのではないかということもあろうかと思います。
 一方、IR先進国と言われるアメリカに目を向けますと,基本的にはプロボストという役職者が教学マネジメントの主たる責任者を担っておられます。通常、教員から昇格される場合が多いようですが,企業になぞらえて言いますと,チーフアカデミックオフィサー(CAO)という用語で語られる役職です。基本的には教学全体の責任者であり,なおかつ人事権,それから,教学に関する予算の権限も持っている場合がほとんです。そうなりますと,吉見先生がおっしゃっていましたように,カリキュラムを体系化する,あるいは教員を配置するといったときに,いろいろな意味で日本の大学とは違った運用が可能になります。こうしたことを前提に,日本の大学に教学マネジメントの強化を求めるとするならば,この構造的な問題を背後に置きながら議論する必要があるように思えます。
 他方,学修成果の可視化に関しましては,本学独自でやっているところもございますが,委員の皆様からご指摘がありましたように,大学単体の取組だけではなかなか社会からの理解が得られないというところがあります。例えば,個別の大学で学生の能力がこれだけ伸びたといっても,ほかの大学に比べてどれぐらい伸びたのかが分からないため、社会からすると,この数字が何を現しているのか、信用できる情報なのかというところの疑念にもつながっていきます。
 こうした状況下において,情報公開ということを考えますと,大学ポートレートをどう活用するのかということも考える必要があるように思えます。本日の資料にあります答申のこれまでの審議の経緯を見ていきますと,情報公表に関しましては,大学ポートレートに言及されることが多かったのに対して,今回のグランドデザイン答申では,1か所のみと理解しています。各大学はホームページを通じて,教育情報の公表というセクションを設けて,結構な情報を公表しています。公表していないのではなくて,公表しているものの,社会が必ずしもそれを理解できない,あるいは社会が求めているものになっていないということが懸念されます。
 本日の資料の中にも,いろいろな数値がございますが,恐らく社会が納得するということを考えていきますと,例えば,米国の事例などを見ていきますと,国としての基準(ベースライン)があって,例えば,中退率とか,そういったものが日本の大学の平均ではどれぐらいで,個別大学はどれぐらいなのかということが見えるようにならない限り,その数値の意味するところが読み取れないことになります。そうしますと,個別の大学でもなかなか改善に活かしていくこともできませんので,これらのことを念頭に置いて議論する必要があるんだろうなというのを感じているところでございます。
 以上になります。
【日比谷座長】  では,小林先生,お願いします。
【小林(雅)副座長】  東京大学の小林です。前回のワーキンググループに引き続きまして,主査代理,座長代理ということになりまして,今,その特権を使いまして,この議論はどれぐらいやるかといいましたら,50分までということなので,まだ時間がありますので,少し長めにしゃべらせていただきます。私は,まとめる立場でいつも,余り自分の意見を言う機会が,将来構想部会はともかく,ワーキンググループではなかったので,まとめて少しお話ししたいと思います。
 この教学マネジメントについての委員会で重要な点は,今まで出てきたとおりですけど,やはり大きな高等教育の改革の流れということをしっかり押さえていくということが重要だろうと思います。それにつきましては,きょうの資料ですと,参考資料7というのがそれに当たるわけですけれど,それ以外に補論というのが答申に実は付いていまして,これはこれまでの高等教育政策を振り返って,どういうことが問題になってきたかということをまとめたものですので,それは是非出していただきたいと思います。
 それは一言で言ってしまえば,高等教育政策は、計画と市場を繰り返してきたということで,政策として計画的にやっていくということと,市場に任せるということの交代でやってきたわけですけれど,2005年以降は誘導政策という形で,高等教育を改革していくという形に変わってきたわけです。答申ではそれを続けるということが明示されているわけでありまして,基本的には誘導政策によって,大学を改革していこうということで,ただ,これに対しては,両角委員の方から,先ほど私学助成のような形というのは問題もあるということがあったかと思います。
 基本的には,高等教育の質保証を、入り口のコントロール,つまり,大学設置基準によるコントロールから認証評価による質の保証という形に転換しようということでありますけれど,これがなかなか過渡期といいますか,うまくいっていないという面もあります。特に設置基準に関しては,大幅に見直すということも答申には書かれております。そういうことで,両方やらなくてはいけないということになるわけです。
 それはどうしてかというと,予測困難な将来ということがありまして,そのために大学を含めて高等教育が多様性と柔軟性を持っていかなくてはいけないわけですけれど,今までの在り方というのは,どちらかというと,それを阻害してきたということであります。
 自主性ということを大学人は必ず言うわけでありますけど,今回の教学マネジメントの事務局の提案でもそれは強調されているわけですけれど,ただ,同時に大学外では,非常に厳しい大学に対する批判もあることも事実でありまして,大学に対する社会の信頼は低下しているということも認めなければいけないわけです。そういう今,厳しいところに入ってきているわけでありまして,そのために何ができるかということになると,やはり教学マネジメント,あるいは大学情報の公表というようなことが求められているというのが,今の状況だろうと思います。
 1つだけ具体的な例を申し上げますと,何人かの委員の方がおっしゃいましたけれど,中途退学率は実は大学ポートレートのときにも非常に激しい長い議論がありまして,最終的には中途退学率をポートレートに採用することは盛り込まれませんでした。それは数字が独り歩きするというようなことが一番大きい理由ですけれど,中途退学率といっても,ネガティブなものだけではなくて,ポジティブなものもあるわけで,例えば,就職したとか,あるいは転学したとか,いろいろなケースがあるわけでありますから,そういうものをどういうふうに取り扱うかということについて,委員の間でそうとう議論をしましたけれど,まとまらなかったというようなことがあるわけです。
 ですから,こういった1つのことだけとっても非常に難しいわけでありまして,どうしても外形的,KPIのようなものというのは分かりやすいのですけれど,実際は、それが非常に難しい。しかし,それを作らなければいけない状況になっているということで,この委員会は非常に難しいタスクを背負っているというふうに認識しています。ですから,そこをどういうふうにしてやっていくか。しかも何人かの委員の方がおっしゃっていましたように,それはあくまで大学がやることであって,それをこの委員会,文部科学省としては外から支えていく,あるいはガイドラインを作って,それを分かりやすい形で支援していくということが求められているわけですから,非常に難しい課題だと思っております。
 とりあえずは以上にしておきます。
【日比谷座長】  ありがとうございました。皆様,大変に御協力いただきまして,コンパクトにそれぞれ御意見をまとめていただいたことに感謝申し上げます。
 非常に重要な論点が幾つも示されております。ワーキンググループからの流れがずっとあるわけですけれども,今,小林委員がまとめてくださいましたように,ある種矛盾することを両方両立させようとしている特別委員会であると。それは大変に難しいタスクを課せられてはいるんですけれども,同時に,もう随分長い間,大学の改革改革と言ってきて,改革疲れというような言葉もよく聞かれるわけですが,本来改革は疲れるためにあるわけではなくて,やっぱり明るい未来を描くための改革ですので,きょうは大変にいろいろな見地からの御意見がありまして,恐らく皆様の御協力により,1年間,これからきちんと議論を詰めていけば,それなりの方向性が見いだせるのではないかなという希望も持ちましたので,是非よろしくお願いしたいと思います。
 本日,非常にたくさんの論点を出していただきましたので,先ほど申しましたように,次回以降は具体的な議論をするんですけれども,次回には,ロードマップという言葉もありましたが,これからの1年間で何をどのような順番で議論していくかということをお示しいたします。
 あとは,ちょっと笑っちゃうんですけど,事前に打合せをしまして,それは授業で言うと,シラバスなようなものであると。シラバスとは何ぞやという話も当然この委員会の議論のトピックの一つになると思いますが,シラバスは,こういう言い方は余り日本の大学では好まれないかもしれませんけれども,学生と担当教員との間の契約書であると。ですから,シラバスに教員が示したことは,これは必ずやりますよと言っているので,それがちゃんと行われなければ,契約違反であるといって,学生から文句が来ると。そういう性格のものであると。
 それから,もう一つは,シラバスは予習ができなくてはいけない。この回に何をやりますよという,ただトピックが書いてあるだけではなくて,事前の,これだけ課題の文献を読んできてくださいよというのがあり,特にこの回についてはこれとこれとこれは必ず全部を読んできて,あるいはビデオも見てきて,授業では議論をしますよというふうにして進むのがよいシラバスと私は思っておりますので,もちろん読んでくださいとか言うわけではないんですけれども,きちんとしたロードマップを示すということと,もう一つは,それぞれの回ごとにできるだけ早く資料等をアップして,十分な御準備をいただき,ちょっと脅しをかけているんですが,余り事務局からの説明は,御専門の方も多いので,それほど時間を掛けず,積極的な意見交換のために委員会の席を使いたいと思っておりますので,その点は是非よろしくお願いいたします。
 それでは,以上で本日の議題は全て終了いたしましたので,事務局よりお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】  ただいま座長より,私どもとしても大変重い宿題を頂いたわけでございます。次回,今後どのようなことを議論するのか,また,きょうの御議論も踏まえまして,もう一回全体像というものがどういう形でそれぞれつながってくるのかという見取り図的な議論をさせていただければと思います。
 その上でちょっと恐縮でございますが,各委員の今の御発言を聞いておりまして,1点だけ補足で申し上げたいことがございます。実はグランドデザイン答申の中で,参考資料4でございますけれども,51ページの説明を私,飛ばしておりましたので,その点だけ御説明をさせていただきたいと思います。
 グランドデザイン答申の51ページでございます。グランドデザイン答申の51ページにおいて,今後の検討課題ということで,ローマ数字の7ということで挙げられているわけでございます。この答申を踏まえ,中央教育審議会においては,引き続き以下の検討を行うこととするとなっておりまして,2つポツが挙げられてございます。1点目が,「3.教育の質保証と情報公表」で述べた設置基準等の質保証システムについて見直しを行うこと,2つ目のポツが,教学マネジメントに係る指針の策定,学修成果の可視化と情報公表の在り方に関する検討を行うことということで,グランドデザイン答申を踏まえて,2つ,中央教育審議会として行うべきことがあるということになっておりまして,2つ目のポツが,この特別委員会で担うものでございます。1個目のポツの設置基準の見直し,認証評価の在り方,こういったところについては,また中央教育審議会でしっかり検討を行うこととされているわけでおりますけれども,とりあえず当面としては2ポツの部分というのが,この特別委員会のミッションとして位置付けられているということでございます。その点につきましては,あらかじめ説明しておくべきでございましたけれども,改めて説明をさせていただきたいと思います。
 その上で,今,事務局から,きょう,資料の方に入ってございませんでしたけれども,中央教育審議会の補論の部分,先ほど副座長から御説明いただきましたけれども,これまでの高等教育政策の沿革というものについて触れられた部分でございます。大変申し訳ございませんでした。今,お手元にお配りさせていただいてございますので,この点についても御参照いただければ幸いでございます。
 その上で,本日の議論はここまでということでございますけれども,次回の日程が1月16日を予定してございます。また,資料につきましては,できるだけ早くということで送付させていただきたいと思ってございますけれども,是非ごらんいただきたいと思います。
 また,本日の資料につきまして,郵送を希望される委員の方におかれましては,机上に置いております附箋などに郵送希望ということを書いていただきまして,机に残していただければ,特に記載がない場合は,先生の御勤務先に数日の間に送らせていただくということにさせていただいておりますので,よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【日比谷座長】  ありがとうございました。
 それでは,本日の委員会を終わります。ちょっと早いですが,この顔ぶれでお目にかかるのは最後と思います。どうぞ皆様,よいお年をお迎えください。

―― 了 ――

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-- 登録:平成31年01月 --