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将来構想部会(第9期~)(第25回) 議事録

1.日時

平成30年9月5日(水曜日)10時~12時

2.場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A

東京都港区赤坂2丁目14-27 国際新赤坂ビル 東館 13F

3.議題

  1. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  2. 学校法人制度の改善に関する検討状況について
  3. 大学院部会の審議状況について
  4. その他

4.出席者

委員

(部会長)永田恭介部会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)有信睦弘,山田啓二の各委員
(臨時委員)安部恵美子,石田朋靖,金子元久,黒田壽二,小杉礼子,小林雅之,鈴木雅子,千葉茂,福田益和,古沢由紀子,益戸正樹,両角亜希子,吉岡知哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)義本高等教育局長,村田私学部長,藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官,瀧本大臣官房審議官(高等教育局担当),蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,淵上国立大学法人支援課長,茂里私学行政課長,石橋高等教育政策室長 他

5.議事録

(1)我が国の高等教育に関する将来構想について,資料1に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田部会長】  定刻になりました。第25回将来構想部会を始めさせていただきます。
 前回,高等教育改革を支える方策について,事務局からの資料に基づき,皆様から御意見を頂きました。また,小林委員と村田委員からは,授業料の後払い制度の導入について御発表頂きました。国公私を通じた機関や課程に着目した規模の在り方についても御意見を頂きました。本日は,前回の御意見やいろいろな資料に基づき,今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめ(以下、「中間まとめ」という。)に付け加える記述について取りまとめたものを皆様に御紹介し,御意見を頂こうと思います。中間まとめ本体とは別に追加記述のものを資料として用意しております。
 議題の2つ目は,昨年度3月の将来構想部会において,学校法人制度の改善に関する検討状況を御報告いただきましたが,その後の検討状況について御説明を頂きます。
 議題の3つ目は,大学分科会直下の中央教育審議会大学分科会大学院部会(以下、「大学院部会」という。)における審議経過について御報告を頂きます。最終まとめには,大学院部会での議論も含めて盛り込んでいきます。
 最後に,2019年度の高等教育関係概算予算における文部科学省からの要求について御説明を頂きます。
 それでは,本日の配付資料について,事務から御説明をお願いします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料は,1から5までの5点になっております。資料1が中間まとめからの追加記述(案),資料2が私立大学関係の議論のまとめ,資料3が大学院部会の審議経過報告,資料4‐1と資料4‐2が概算要求関係,資料5が今後の会議日程でございます。
 不足がありましたら,お申し付けください。
【永田部会長】  ありがとうございました。
 それでは早速,議論に入らせていただきます。冒頭に申し上げたとおり,中間まとめに付け加える記述について取りまとめました。それでは,資料1に基づき,御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。答申案をまとめていくに当たり,中間まとめに記述を追加する形で整理をしていきたいと考えております。中間まとめ以降,夏にかけて御議論いただきました観点について赤字で追記しております。
 資料1を御覧ください。中間まとめ以降,永田部会長からもお話がございましたが,2040年という時代にどのような能力を獲得すべきかという記述について,冒頭は整理をさせていただいております。中間まとめの後ろの方の記述を前に持ってくるなどの作業もしながらまとめさせていただいています。
 1ページ目,一番下の丸,予測ができない時代を見据えた思考力,判断力,俯瞰(ふかん)力,表現力の基盤の上に,幅広い教養を身に付け,高い公共性・倫理性を保持しつつと書いております。このような人材が必要なのではないかということでございます。
 2ページ目,「特に,AIなどの技術革新が進んでいく中においては」という2行目以降ですが,「AIが持ちえない人間だからこその能力として」ということで,「真に人がなすべき役割を十分に考え,実行できる人材が必要である」とまとめております。「このような人材を育成していくためには」と,大学教育の変革が求められるとしております。下の注には,国立大学協会や私立大学連盟,文部科学省でまとめておりますSociety5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会でも,どのような人材が必要かという記述を頂いておりますので,御紹介させていただいています。
 3ページ,中間まとめ冒頭の「はじめに」の部分に関しましては,新しく付け加えるということは考えておりません。文言の精査などは必要かもしれません。引き続き,御意見を頂ければと思っておいます。
 3ページの下,質保証の在り方の見直しに関しては,「保証すべき高等教育の質とは何か,ということを問い直す必要がある」ということで,学修者の視点から見た質の高い大学がどうあるべきかに関しては,どういうことが期待されるかを整理するべきではないかということで,何を学び,身に付けることができるのかが明確になっているか,学んでいる学生は成長しているのか,学修の成果が出ているのか,個性を発揮できる多様で魅力的な教員組織・教育課程があるかといったことは重要な要素となる。こういうことは質保証段階においても,確認していくべきではないかと書かせていただいております。
 同様に教育の質の保証について,今申し上げたところをもう少し深掘りして書いたところが5ページ目でございます。当然,教育の質の保証に関しては,「大学の教育の質を保証するためには,第一義的には大学自らが率先して取り組むことが重要である」と1行目に書いております。6ページ目,教育制度ワーキンググループでも質保証に関しての議論を継続しておりまして,これまでの質保証に関して,時代に即しているものかは確認をしていく必要があるということでございます。
 1つ目のマルは,質保証に関しての歴史や制度を説明している部分でございます。2つ目のマル,設置認可と認証評価は,昭和31年に制定された大学設置基準を前提としています。必要な改正は順次行われておりますが,設置基準における学問分野の種類の捉え方が現状に合っているか,高等教育のへの進学が高まる時代の状況を踏まえた外形的な基準が現状にも適応するかという観点からも考え直していく必要があるということで,今後に向けて抜本的に見直す必要があるというところでございます。
 具体的には,定員管理,教育手法,施設設備等について,大学教育の進展等も踏まえて見直す必要があるということです。ただ,見直しについては,新たに設置される大学のみならず,既存の大学も含んだ全ての大学を対象としてございますので,一定期間の専門的な審議を行うべきであるということです。あわせて,現在の設置基準の明確化,設置計画履行状況等調査結果や認証評価の結果を踏まえた厳格な対応などについて必要な見直しを行い,速やかな対応を行うことが必要ということでございます。
 7ページ目から規模について整理させていただいております。8ページ目,4年制大学の進学者がどのように変化していくかについて,2040年には12万人減少するという記述がございましたが,「高等教育機関への進学者数は2040年には約74万人となり」とし,平成29年度と比較すると約23万人減少するという全体像を追加させていただいています。
 8ページ目の下から2つ目のマル,今申し上げたような推計をしてまいりましたが,推計は1つの参考とはなり得るけれども,幾つかの条件を置いて機械的に推計した数字のみをベースに以前のような高等教育計画を策定することは手法としてとりづらいということを書いております。
 9ページ目の2行目,「18歳中心主義から脱却し,これまで以上に社会人や留学生を積極的に受け入れていくことが求められる」と整理をしたいと思っております。
 大学院に関しては,学部と比較して18歳人口の減少との関連性は低いと考えられます。諸外国と比べますと,我が国の修士・博士学位取得者の割合は2分の1から3分の1程度と低い水準にございます。今後,諸外国と比べて遜色のない水準で2040年の社会を牽引(けんいん)する高度人材が活躍していかなければいけないということは明らかでございます。直ちに大学院の規模を拡大する方向性を示すよりは,早急に社会ニーズへのより一層の対応をはじめとする体質改善をしていくことを進めつつ,質的にも量的にも応えられる好循環を生み出していくべきではないかと整理させていただいています。
 9ページ目の後半は,国公私の役割分担と地方における教育機会ということで整理させていただいています。冒頭は,歴史的なところを追っていますが,「量的拡大の主たる担い手は私立大学であった」という歴史的経緯を書いてございます。
 10ページ目,各地域において学生確保は難しくなっていますが,その際,国公私がどういう役割分担でやっていくべきかということを国公私それぞれに分けて記述しています。
 国立大学は,平成17年の「将来像答申」で述べられた役割を注に落としています。2040年に向けてどう変化していくのかということで,「例えば,世界及び我が国の「知」をリードする学術研究・教育を推進する役割,Society5.0の実現に向けた人材養成など計画的な人材養成の役割,理工系分野など教育研究の施設設備に多額の予算を要するため,又は,学問の多様性を確保するために教育を受ける学生が少ない場合でも維持しなければならない学問分野など」については,国立大学が担っていくべきではないかと整理させていただいています。
 また,地方の活性化の観点や経済的負担の観点から高等教育の機会均等は引き続き重要でございますが,高等教育の無償化の進展を前提にすれば,役割が変わっていく可能性があるのではないかと整理しています。このような役割を明確にした上で,学士課程教育や大学院教育において,公立大学,私立大学が提供できないニーズも含めて,どのような分野で,どのような規模で役割を果たしていくのかということを,国と国立大学が共に議論し,作り上げていく必要があるのではないかとまとめています。
 公立大学は,公立大学協会の議論も踏まえまして,「設置者である地方公共団体の人材養成等各種の政策をより直接的に体現するという役割」を持っております。一方で,各地方公共団体の高等教育政策の中心的役割があるわけですから,教育機会の均等の実現や地域活性化の推進,行政課題の解決にどのような役割を果たしていくのかということをその地域における高等教育機関全体の状況を踏まえ,地方公共団体との密接な連携の中で考えていく必要があるのではないかというところでございます。
 私立大学は,学部学生の約8割の教育を担うなど,様々な学生に対し門戸を開いてきたというところでございます。私立大学連盟でも私立大学の役割を整理していただいておりますので,引用させていただきながら書いています。「私立大学の多様性の保持を明確にした上で,それぞれのミッションと建学の精神に基づき,教育研究の更なる充実を図りつつ,その経営基盤の強化を図り,我が国の高等教育の中核基盤を支える方向で改革を進める必要がある」としております。
 国公私それぞれの役割は書いているとおりでございますが,歴史的経緯と再整理された役割を踏まえて,強みと特色を最大限に生かして,地域における高等教育の在り方を再構築していき,国公私全体で取り組んでいく必要があると整理をさせていただいております。
 11ページの後段は,「地域で描く将来像」に関する記述でございます。地域連携プラットフォームの在り方において,どういう単位で考えるべきかについてまだ結論が出ていない状況でございました。事務局でも,いろいろな地域の方々と意見交換をさせていただいておりますと,県やブロックという外形的なものよりは,歴史や文化に裏打ちされた経済圏や生活圏といった関わりで,必要なステークホルダーと議論していく方がやりやすいという御意見も頂いております。そのため,単純に「地方公共団体の圏域を主軸に考える必要は必ずしもなく」と整理させていただいます。
 11ページから12ページにかけて,「「地域連携プラットフォーム(仮称)」においては,18歳の伝統的な人材育成ニーズのみならず,リカレント教育,共同研究の在り方,まちづくりのシンクタンクとしての機能など幅広い観点を議論する場とする必要がある」と整理しています。
 最後でございますが,「高等教育を支える投資」でございます。12ページの後半ですが,「高等教育は国力の源である」というところで,「公的な支援,民間からの投資と社会からの寄附等の支援,個人負担等の高等教育への投資活動を全体的に強化していくことが求められる」という方向性を書いております。一方で,我が国の財政構造の厳しさにも触れておりまして,将来の世代に大きな負担を残すことになるという危機的な状況は共有した上で,2040年を見据えた高等教育への投資をどうしていくかということを,社会全体で懸念等する必要があるという投げ掛けにしています。
 公的な支援に関しては,高等教育機関がきちんと真摯に受け止めながら対応していってほしいということを書いております。加えて,13ページ2つ目のマルでは,財源の多様化と,得た資産をどうマネジメントしていくかということが必要であるとしています。
 13ページ3つ目のマル,前回の御議論でも,どれぐらいの教育研究コストが掛かっているのかということを各機関が明らかにしていく活動は,今後必要なのではないかということでございます。どのように公表していくかという議論は必要でございますが,特に学生に対してどれだけ教育コストを掛けているのかという関係については学生と社会に対して情報公表していく必要があるのではないかとしています。
 加えて,本答申では様々な改革を促すとなっておりますが,新たな追加的なコストも含めて,それぞれの機関が整理していただいた後に,誰が負担するのか,社会にどう負担を求めていくのかについて整理し,発信していくことが必要ではないかと整理させていただいています。
 13ページの最後のマルは,無償化についての今の方針を決定したということを事実として書かせていただいた上で,限られた財源の中で,どのように高等教育に投資をしていただけるかということを,国のあるべき姿の一環の議論として引き続き検討していく必要があるのではないかと整理させていただいています。
 冒頭申し上げましたように,中間まとめ以降に将来構想部会で御議論いただいた観点を,このように入れてはどうかという案でお示ししているものでございます。今日,御議論いただき,多くの修正を頂いた上で,9月26日の将来構想部会においては答申案全体としてお示しさせていただければと思っています。
 説明は以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。どうぞ御意見を頂ければと思います。
 では,小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  ありがとうございます。3点あります。
 1つ目は,2ページの2行目,「AIが持ちえない人間だからこその能力」として,読解力や数学的思考力等と言われて,とても違和感を抱きました。AIのある社会やAIを使う側として必要な基礎的能力という意味で書かれるべきものであり,位置付けが違うのではないかということです。
 2つ目は,日本のリカレント教育の弱みについてです。先頃,OECDの日本の教育政策のレビューが出たところですが,日本のリカレント教育の弱みは,学修者視点に立っていないということです。お金がない,時間がない社会人学修者に合うプログラムが提供できていない,特に職業的な関連性が全くなく,関連性が分かる形で提供されてないと,課題として指摘されています。レビューに対しての提言として,インターネットを使う,マイクロ・クレデンシャル(Micro-credentials)というものが出ていますが,1つの大事なポイントとして,学修者である労働者や事業主と教育訓練を提供する側のプロバイダーである教育機関の対話をきちんと促進し,効果的なプログラムであることを証明していかなければ,作っていかなければいけないという提言があります。私はその役割は地域連携プラットフォームが担うことができるのではないかと思っています。地域連携プラットフォームにおいて,リカレント教育に対してかなり影響力のあるものが作っていけると思いますので,是非,厚く書いていただきたいと思いました。
 3つ目は,前回コメントし損なってしまったことですが,教育費負担は親から本人負担にする,当然の流れだと思います。本人負担の議論の中で,改めて働くことと学ぶことを同時並行に行う教育体制も必要ではないかと思っています。20代の状況を国際比較しますと,多くの先進諸国と大きく違うところは,日本の場合,20代で働くことと学習することを同時並行に行っている人の割合が非常に少ないということです。リカレント教育ということもありますが,最初の第3段階教育において日本ではこの方向性が弱過ぎるのではないかということです。就学しながらの訓練生雇用という仕組みが確立されていないということもありますが,専門教育を基礎とした有給のインターンシップというようなものを組み合わせていくことも考えるべきではないかと思います。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 益戸委員,お願いします。
【益戸委員】  ありがとうございます。12ページ,13ページの高等教育を支える投資についての意見です。
 1つ目ですが,教育は,「国力の源」ですから,社会全体で十分な議論を尽くしていくことが非常に大切です。私たちが将来構想部会で重ねてきた議論の結果である答申が、その後の議論のベースになるでしょう。その時、文部科学省は、どこまで議論をリードするおつもりですか。私は責任を持って議論に入って行って頂く事を期待します。そして、委員の方々は,この部会の経験に基づき、今後も積極的にご発言をお願いしたいと思います。
 2つ目は,コストの話です。13ページ,コストを明らかにする事が出てきますが,基本の基本でとても重要だと思います。先日,金沢大学が1年間で学生1人に掛かるコストが大体150万円だと公表しました。国立大学ですから本人負担は約50万円だとすると,4年間でおよそ400万円の国費がひとりの学生に投入されていることになります。学校の経営においても,御本人にとっても,これだけの援助がある事を認識した上で,大学生活を送る事は重要です。コストを理解する事は、今後学費の負担の議論に繋がります。親負担か,学生本人負担か,又は国や社会がどう負担していくかの検討につながるでしょう。従って、ここはもう少しトーンを強めた書きぶりにしても良いと思います。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。学生自身がコストを認識するという,今まで1度も出なかった観点でございました。ありがとうございました。
 有信委員,どうぞ。
【有信委員】  益戸委員の意見に関連しますが,一般的に教育が持っている意味として,第1に「国力の源」であるということは一般的な認識です。その上で,個別に教育のコストの議論をしていますが,これだけコストが掛かるのでコストの負担をどうしましょうかという論調ですと,今までと変わらず,予算要求のような話にしかつながりません。本来は,コストは価値と結び付いているものです。教育が生み出している価値が不十分であれば,それだけコストを掛ける必要がないという話になるわけです。
 価値をどう評価するかということを,技術的に行うと細かな話になってしまいがちですが,大学人が英知を結集してある程度のことを言わないといけないと思います。例えば,評価の話をするのであれば,大学で4年間学んだ結果,高卒の方と比較してどれだけ生涯年収が増えたかということも付加価値になるわけです。単純に計算すれば,増えた年収分の付加価値を個人に与えているということです。例えば,年間150万円,4年間で600万円の経費が掛かったとしても,結果的に個人に身に付いた付加価値はそれよりはるかに大きくなっているわけです。
 あるいは,研究の価値をどう評価するのかということですが,研究の成果をどう測るのかは極めて難しい話ですが,例えば,過去に『ネイチャー』(イギリス英語: Nature,総合学術雑誌)において,様々な特許に引用されている基礎研究の論文数が実際の社会的なインパクトと結び付いているということです。
 手法の議論をするつもりはありませんが,概算的に教育効果,研究効果の例示とすれば,これだけのコストがこれだけの付加価値を生んでいるという意味の計算においては,明らかに教育は極めて効果的な投資です。その上で,教育の恩恵を被っている人たちがどういう形でコストを負担するかという議論に結び付けるという筋道ができると思います。
 今後に向けて,そのような視点が入っているとよいのではないかと思いました。
【永田部会長】  ありがとうございます。英国では,教育に関わっている事務の方々が徹底的にデータを作っています。その詳細なデータを見れば,教育はこんなに価値があると感動します。有信委員の御意見に納得します。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷副部会長】  教育の質保証に関して追加記述をしていただきまして,設置認可,設置基準,それから,認証評価について申し上げた意見を取り入れていただいたことに,まずはお礼を申し上げます。
 6ページの真ん中,設置基準,設置認可,認証評価の在り方等について「抜本的に見直す必要がある」という言葉が入ったことは大変に歓迎したいと思いますが,その上で,次の段落で,見直しについては一定期間の専門的な審議を経た上で行うべきであると記載があります。十分な審議が必要であることはそうだと思いますが,まだ悠長な印象があります。定員管理,教育手法,施設設備等は,待ったなしの状況です。「さあ,やるぞ」という気持ちが伝わる書きぶりがいいと思います。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】  今までの議論をいろいろな形で書き入れていただき,非常に有り難いのですが,全体としては少し分かりにくいというところが気になります。最初のところがSociety5.0から始まって,それに対応して高等教育がどうするかという部分が後ろの方に出てきます。定員管理も質の保証の話の中で出てきますが,質の保証だけの話ではなく,定員管理は,大学のガバナンスや全体に関わる問題です。制度・教育改革ワーキングではもう少し詳細な議論をしていますが,例えば学部を超えた学位プログラムを作るということで,単に質保証の問題だけではありません。そういったところをもっと前の方に記載していただきたい。簡潔に,全体が分かるようにしていただきたいと思います。それから,連携・統合の話についても地域との関係の話の中だけで出てきます。しかしながら,高等教育全体の変革を迫る非常に大きな話ですから,こういうメニューがあるということをもう少し出していただきたいということです。
 前から申し上げていますけれども,これまでの中央教育審議会における議論の経緯で,前回の「将来像答申」からどうなったのかを書いていただきたいということです。全体として高等教育政策がどう動いているかということが分かるように書いていただきたいです。
 私の考えでは,学生が変化に対応して変わっていかなければいけない。そのために大学教育はどうあるべきかという書き方になっていますが,高等教育全体として変化に対応するような柔軟性と多様性を必要としているということが書かれていないので,少し分かりにくいことになっているのではないかと思います。
 それから,財政と財務の問題について,コストの話はまだ本格的に議論していないので,どうするかというのはまだまだ難しいかと思いますが,かなり重要な問題ですから,どういう問題や検討課題があるかだけでも出していただければと思います。
 以上です。
【永田部会長】  大変ありがとうございます。
 山田委員,どうぞ。
【山田委員】  具体的な問題について触れたいと思っています。
 10ページ,国立大学について,「全国的な高等教育の機会均等の確保は地方の活性化の観点や学生の経済的負担の観点から引き続き重要である」というところですが,我が国全体の教育をきちんと守っていく観点からも必要であると思っておりまして,活性化や経済的な問題では,随分矮小(わいしょう)化されていると感じました。地方国立大学という存在は,我が国全体の発展にとって非常に大きな役割を果たしてきたと思っております。それから,「重要であるが,高等教育の無償化の進展を前提とすれば,その役割がどのように担われるかについては変化が生じる可能性がある」という部分ですが,変化が生じる可能性があるのは,全部だと思います。この分野だけ変化が生じる可能性があるという書き方は,おかしいと思います。
 それから,公立大学について,「地方公共団体との密接な連携の中で考えていく必要がある」と書いてありますが,地方公共団体が設立しているので,密接な連携ではなくて,設置者である地方公共団体とともに考えていく必要があるということではないでしょうか。
 11ページ,「地域で高等教育の将来像を描く場合には,その地域の単位に着目するかという観点については,地方公共団体の圏域を主軸に考える必要は必ずしもなく」という形になっていますが,基本的に地方公共団体の圏域は非常に重要な意味を持つと思います。協議会も含めると,地方公共団体というのは重層的に地域の中で歴史的にも重要な存在を築き上げているのは間違いありません。ですので,わざわざ「考える必要は必ずしもなく」と書く必要は全くありません。この1行はなくても意味はおかしくないと思います。高等教育の中で,地方公共団体は初等教育,中等教育,高校も担っているわけですから,そうした点も含めてきちんと高等教育との連携を考える上では,この文章は余計だと思います。
 リカレント教育については,まさに人づくり革命を政府が標榜(ひょうぼう)しておりますが,リカレント教育をはじめとする,18歳に限らない教育は,日本全体の問題であると思います。もっと強めに書いていただいてもいいと思います。
 高等教育を支える投資については,財政制度等審議会の答申のようになってしまいました。例えば,私どもの国の財政は非常に悪くなっていて,その中で「将来世代に大きな負担を残すことになるという危機的な状況であるということを共有した上で」という話は,中央教育審議会で議論していないのではないかと思います。財政制度等審議会の指摘はあるということなら分かりますが,中央教育審議会で財政論の話は記憶にありません。負担が大きくなるからこそ将来の世代に投資をすべきなので,我が国の高等教育に掛ける費用がほかに比べて少なく,投資が必要だということをしっかりと記述すべきだと思います。
 13ページも,財政制度等審議会のようなコスト・ベネフィットの話ばかりが出てきます。もちろん経済的な便益で,専門職大学をはじめとして我々と考えていかなければならない面はあると思いますが,それだけではなくて,基礎研究をはじめとして,必ずしもすぐに便益や経済効果に結び付かなくても非常に大きな分野があるということを記述した上で書いていかないと,一方的な話になると感じました。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  1つ目は,中間まとめの書きぶりもそうですが,2040年の社会はこういう社会に恐らくなるだろう,そのためにはこういう人が必要だという書きぶりになっています。やむを得ないと思いますが,一方で,個々の学生の視点から考えていこうということがかなり強調されていると思います。したがって,例えば,キャリア形成という言葉で言われてきたものを,もう少し強く出してもいいと思います。
 2つ目は,日比谷委員が指摘された部分と重なりますが,組織を中心とした質保証の在り方を見直すというところです。「具体的には,定員管理,教育手法,施設設備等については」というところは,組織を中心とした事柄ではないかと思います。つまり,組織を中心とした質保証の在り方ということで言っているものが必ずしも明確ではない。逆に言うと,組織を中心としないというか,そうではないところに中心を置いていくような質保証というものが何であるのかということを少し明確に出るようにした方がいいと思いました。
 全体の流れとして,スタート時に設置審議会で審議をして,その後,経過を見ていくという経過に重点を置いていきたいという議論の方向はよく分かりますが,具体的に何を考えているのかということを明確にした方がいいと思いました。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 鈴木(雅)委員,どうぞ。
【鈴木(雅)委員】  ありがとうございます。組織を考えたときに,最終的に学生はこうあるべき,こういう勉強すべきというところは分かりますが,実際に教える教職員の意識や組織の考え方はどのように変化していくのかというところが見えない感じがします。言わば,外側の箱はきちんとできて,物が集まってきても,その中で実際に動かすトップリーダーの顔が変化を起こしていなければ,大学の中の変化は起こらないという気がしています。そういう意味では,先生の質の保証,先生がどういった意識をもって学生に学ばせるべきかという点も変化があるということを前提として,2040年には大分変わっていると考えますので,その辺りが抜けていると感じました。
【永田部会長】  古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。理念として賛同するところは多々あるのですが,もう少し方向性や具体性を打ち出していただいた方が,読んだ人には分かりやすいと思いました。
 先ほどから御指摘があるように,コストを公表することは,学生に対しても非常に有益だと思います。一方で,設置認可や定員管理を見直すのであれば,方向性は具体的には難しいのかもしれませんが,視点を入れないと,読んだ人はよく分からないと感じると思います。
 同様に規模についても,大学の外の人から見ると,18歳中心主義から脱却しなければいけないのであればどうすればいいのかという危機感が余り伝わってこないと思いました。
 細かい部分ですが,国公私立大学の役割分担で,私立大学,公立大学が転換するという動きがこれだけあるので,何らかの形で触れることができないかと思いました。
 以上です。
【永田部会長】  多々意見を頂きまして,どうもありがとうございます。
 一言だけ申し上げますと,鈴木(雅)委員の教員の質保証についての御意見は,大変重要です。アフターケアが一番重要ですが,どこの大学も相当努力して教員を採用していて,1人雇うのに1年ぐらい掛かっていると思います。1つのポストの50倍,60倍の競争率の中から1人選ぶというプロセスの後,大学教育を始めてからはファカルティ・ディベロプメント (Faculty Development、FD)で学んでいくとしても個性が出てしまいます。それぞれの先生方が共有できる大学教育の質の保証というのは必要だと思います。
 そのほか御意見はありますでしょうか。かなり根源的な御意見もあり,配置を変えなければならないという部分もあります。読む側が分かりやすい記載にしないと価値がないので,そこは重々承知の上,少し改編させていただきます。また,極めて有効な単語や考え方を御披露いただきましたので,できる限りこの中に含めて書き直していきたいと思います。どうもありがとうございました。

(2)学校法人制度の改善に関する検討状況について,資料2に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田部会長】  それでは,次の議題に移らせていただきます。学校法人制度の改善に関する検討状況です。3月27日の将来構想部会において検討の方向性について御説明を頂きました。その後の状況について,事務局から御説明を頂き,御質問等をお願いしたいと思います。
【茂里私学行政課長】  私学行政課の茂里でございます。資料2を御用意ください。資料2の3ページにまとめてございますので,御説明を申し上げたいと思います。私立大学の振興に関する検討会議の「議論のまとめ」を平成29年5月に有識者会議でまとめていただきました。それを踏まえて,私立大学,学校法人おけるガバナンス強化について,大学設置・学校法人審議会の分科会の下に小委員会を設置いたしまして御議論を頂いています。大きな方向性としては,全体の8割を占める私立大学の役割を見据えながら,信頼と支援をどういうふうに行っていくか,そのためにはガバナンスの改革が必要であろうと,そのための改善方策について御審議いただいてございます。昨年11月に議論を開始いたしまして,今までに11回開催いたしました。今後は,秋に最終的な報告をまとめていただこうと思ってございます。
 改善方策でございますが,1つ目,平成16年に大きな私立学校法の改正がありました。そこで理事会や監事,評議会の役割を決めたわけですが,その責任と権限を更に明確化するという方向で整理いただいております。法律で権限と役割を明確化するわけですが,それ以外に私立の独自性がございますので,自主的な行動規範であります私立大学版のガバナンス・コードを作ったらどうかという御議論を頂いています。2つ目,法人の経営強化について,連携・統合を促進するということでございます。そのために,新たな財務指標を設定し,実際の経営改善に指導を強化する。3つ目,情報の公開を徹底する。4つ目,やむなく撤退する場合には,学生ファースト,学生のセーフティネットの充実を図るために破綻処理の円滑化を図るための工夫を講じる。以上4点について御議論を頂いてございます。
 細かな方策については,下の囲みの4つございます。1つ目は,ガバナンスの改善・強化ということです。先ほど申し上げましたガバナンス・コードの策定を推進する,役員の責任の明確化を図る,監事機能の充実を図る,評議員会の機能の充実を図るなど,様々な方策について御検討いただいています。同じように社会福祉法人などほかにも公益性の高い法人がございますので,そういった法人の現在の状況などを参考にしながら御検討いただいております。2つ目は,情報公開の促進ということで,財産目録,その他寄附行為,役員名簿の公表等を進めてみてはどうかという御意見を頂いております。3つ目は,経営の強化ということです。実際に連携・統合を促進するためには,私学事業団に情報が集まって,うまく各大学に提供してみてはどうかという話や新たな財務指標を設定して実際の経営改善の努力を促すということを御議論いただいています。最後でございますが,実際に破綻処理を行う場合,改善命令時の所轄庁による適切な清算人の選任というふうに改めてはどうかという御議論を頂いています。
 こういった観点から御議論を頂きまして,この後,パブリックコメントを経て,とりまとめ,来年の通常国会に必要な関係法律の法案を提出したいと考えてございます。
 以上でございます。
【井上私学部参事官】  続きまして,4ページ目,説明があった部分のうち,経営指導の充実について先んじて整理を行い,去る7月末に高等教育局長名で各学校法人にお知らせをさせていただきました。その内容を簡単に紹介させていただきます。
 学校法人に対する経営指導については,文科省の学校法人運営調査という仕組みにおいて,年間50法人程度を訪問させていただいています。管理運営・財務等の状況について把握させていただき,必要な指導・助言を行っております。
 学校法人運営調査委員には,資料左,吹き出しにございますけれども,私学の経営経験のある方,学長,有識者,公認会計士や弁護士,またメディア関係の方等,様々な観点から学校法人の運営についてアドバイスを頂ける方に御協力いただいています。法人の調査を経まして,残念ながら,一部の学校法人に経営状況が特に厳しいと認められる法人がございます。そういった法人につきましては,継続的に文部科学省,また私学事業団が連携をしながら,そして学校法人運営調査委員の委員の方々にも御協力を頂いて,経営改善計画を各法人で作っていただいたものをフォローさせていただくという仕組みを持ってございます。
 今般の経営指導の充実は,学校法人運営調査の仕組みを充実させるというものでございます。具体的には,5ページ目,A3横に広げていただいた資料を御覧いただければと思います。オレンジの部分が新しく充実をさせる内容となってございます。マル1ですが,経営指導強化指標の設定で,18歳人口の減少という私学にとっての経営の大きな環境変化を踏まえて,全ての法人に危機感を共有していただきたいと考えています。いま一度しっかり財務状況を見ていただくということで,運用資産から外部負債がマイナスであるということと,かつ経常収支差額が3年連続マイナスということ,両方に当てはまっているところについては,きめ細やかに経営指導を行うということを基本的な考え方としてございます。
 マル4ですが,経営指導の過程で改善が図られるといった場合には卒業いただくということでございます。残念ながら,それでも難しい状況にある場合は,オレンジの箱が2つ並んでおりますが,左側,経営改善の実績が上がらなかった,また,資金ショートや債務超過のリスクがある,仮に組織を廃止する場合にもある程度の体力がないとできませんので,その組織の廃止に必要な額を試算させていただいて,資産が下回ってしまうリスクがある場合には,文部科学省から法人に対する学校法人運営調査を踏まえた結果の通知に盛り込むということを示しています。
 1つ目は,その学校法人の財務状況について具体的にお示しをすること,そして,必要と考えられる見直し内容を示して,経営上の判断してくださいと申し上げることを予定しております。そういった状況を踏まえて学校法人で対応方策の方向性を財務諸表,事業報告書等に書いていただくことをお願いする予定ございます。また,学校法人が公表した財務諸表や事業報告書等の内容につきまして,文科省も取りまとめて公表する予定があるといったことをお知らせさせていただくことにしてございます。
 学校法人に対する経営指導の充実は,来年度から実施させていただくこととしております。これまでは経営状況がよくない個別の法人に対してのみ個々の関係で指導申し上げていたわけですが,今回はこういった状況も踏まえ,全ての法人にこういった仕組みでやりますということをあらかじめお知らせした上で,今のうちによく見直して,自主的に私学の各建学の精神も踏まえながら,経営を見直していただくということでお願いをしているところでございます。
 以上です。 
【永田部会長】  ありがとうございました。御質問あるいは御意見ございましたら,お願いいたします。
 山田委員,どうぞ。
【山田委員】  これからの状況を考えたら,こうした施策が必要なのは分かりますが,2点ほど申し上げたいと思います。
1点目,連携・統合の推進と経営改善に向けた質の強化ですが,私立大学の役割や大切さ,学生のことを考えたときに,連携・統合は非常に重要な役割を果たすと思います。ただ,連携・統合の中身を見ますと,情報提供と指導の実施となっていてソフトだけの話になっています。重要性からすれば,既存の施設や既存の状況で受け入れられるのかということを考えた場合に,何らかのバックアップが必要ではないかと思います。そうしなければ,連携・統合も進まないし,受入れ側も躊躇(ちゅうちょ)してしまうのではないかと思います。インセンティブや公的バックアップについてもどこか考えていくべきと思います。
 2点目,破綻処理手続の明確化についてですが,一番大切なのは学生の保護だと思います。学生の保護は,単に授業料の返還債権の考え方ではなくて,まさに学び続けることをどうやって守るかということではないかと思います。譲渡や統合と同じ地平になると思いますが,学生が放り出されてしまうのではなくて,勉学を続けていくことができるということに言及していないと学生が不安になってしまうと感じます。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。  
 村田私学部長,どうぞ。
【村田私学部長】  山田委員から2点ございました。
 1つ目,連携・統合についてのインセンティブということですが,御指摘のとおり,連携・統合は,単にAとBがくっつくということではなくて,統合した大学がいかにいい教育研究を展開できるかというところがポイントだと思ってございます。より強い基盤の下で教育研究が展開されるのは,非常に望ましいことだと思っています。その上で,連携・統合を考えるに当たっては,地域の枠組み,あるいはプラットフォームの枠組み等で推進していく中で,どういう形での支援があり得るのかということは私どもとしてもしっかり考えていかなければいけないと思ってございます。
 2つ目,破綻処理の問題ですが,何よりも学生が大切ではないかということは御指摘のとおりでございます。資料では見えてなくて恐縮ですが,例えばコンソーシアムの活用は,破綻した学校に在籍した学生が引き続き学べるように,コンソーシアム等の枠組みで学生を受け入れるという学修を支援することが必要であろうということです。今までの例の中でも,近隣の学校等で受け入れていただいた例がございます。学生のセーフティネットという観点は,経済的なものもございますが,何よりも学生の学びが継続できるという観点からどういう視点があり得るのかを少し具体的に進めてまいりたいと考えてございます。
【山田委員】  公的な企業については,今まで政府も公的資金を入れてきた経緯があります。大学ほど公的な存在はないと思いますので,学びを守っていくという観点からしっかりとした記述を入れていただきたいと思います。ただ,コンソーシアムは,今までの例から見ましても,一定の仲介はできるとは思いますが,主役にはなれないのではないでしょうか。
【村田私学部長】  報告書の文書の形で考え方をお示しさせていただきます。
【永田部会長】  ありがとうございました。
(3)学校法人制度の改善に関する検討状況について,資料3に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田部会長】  次の議題に移らせていただきます。大学院部会の審議経過報告です。中間まとめが最終まとめになる段階で,大学院部会で出てきた御意見等も入れ込んでいくという方針を以前申し上げており,そうした意味合いもありまして,有信委員から御説明をお願いしたいと思います。
【有信委員】  大学に関しては,これまでも議論されてきたとおり,今後の第4次産業革命,グローバル化,あるいはSociety5.0等,将来の観点から見て,2040年の社会を支える人材に必要な論理性,批判的思考力あるいは文理の枠を超えた幅広い視野,コミュニケーション能力,創造力,変化への適応力等が不可欠であるという共通認識があると思います。
 それから,将来の持続可能なSDGsやCSVと言われているCreating Social Valueという形で,新しい価値の創造の在り方等についても大きく変化してきています。2040年から見て,我が国の人材育成に対して大学院の規模等含めて,必ずしも十分でないという認識で議論を進めています。
 詳細については事務局から説明をお願いします。
【三浦大学振興課長】  失礼いたします。大学振興課でございます。資料3に沿って説明させていただきます。「高等教育の将来像に関する大学院部会の審議経過報告」という資料でございます。
 1ページ目,有信大学院部会長からもお話ございましたとおり,社会の変化等に対応して求められる能力等を整理しています。その中で,様々な分野,企業等のリーダー,あるいは起業家,国際機関で働くような人,それから,研究者等についても,グローバルに活躍する知のプロフェッショナルであることが求められるということ,そのうちのプロフェッショナルには,1ページ目の3つ目のマルで示しているような能力を備えていることが求められると整理をさせていただいております。
 2ページ,1つ目のマルでございますが,「18歳人口が減少する中においても」ということで,大学院段階における人材養成は極めて重要でございまして,我が国の国際競争力の観点からも極めて重要であるという整理をしてございます。2つ目のマルでございますが,大学院につきましては,4つの人材養成機能ということで整理をさせていただいております。平成17年の大学院教育の答申において整理をされた4つの機能でございますが,人材養成機能を整理した上で,3つ目のマル,教育研究が実際に行われる場としての重要性,大学院が果たす役割は極めて重要であるということを整理した上で,4つ目のマル,諸外国との比較で,特に人文・社会科学分野の修士・博士の取得者の割合が極端に低い,また,分野全体で見ても,諸外国の3分の1あるいは2分の1程度の水準にとどまっているという状況の御紹介でございます。
 3ページ,1つ目のマル,我が国の大学院の現状がどうなっているかということでございます。定員が長年にわたって充足していないという例が常態化しており,諸外国に比して大学院修了者の割合が極めて低いという状況にもかかわらず,なぜそういった状況になっているのかということについて真剣に検討し,早急に改善を図る必要があるとしております。
 2つ目のマル,これまで大学院教育振興に関する施策,21世紀COEプログラムから現在の博士課程教育リーディングプログラムに至るまで様々展開してきたわけでございます。それぞれにおいては実績が評価されるところでございますが,大学院全体として見たときに,養成すべき人材像に向けて焦点を当てた教育がきちんと展開されているのかどうか,あるいは大学院のカリキュラムと企業等の社会におけるニーズとの間にギャップが生じているのではないかというような御指摘もあるところでございます。
 3ページから4ページにかけて,2040年の社会需要に応えていくために,社会のニーズへのより一層の対応をはじめとした大学院教育の体質の改善を力強く進めていき,それが好循環を生み出していくという形にすべきではないかということでございます。
 4ページ目,1つ目のマル,3つの方針を掲げてございます。学位授与,教育課程編成,入学者受入れという3つの方針でございますが,大学院段階においては義務化をされておりませんので,それぞれの教育課程を位置付ける意味でも,法令上義務付けるべきではないかという点でございます。
 それを受けて,2つ目のマル,3つの方針に位置付けられた専攻の性格等に応じて,適切な定員設定はどれぐらいなのか,あるいは教育組織,教育研究体制,入学試験,学位授与の在り方等を再点検する必要があるのではないか。その上で,修士課程,博士課程,博士課程でも5年一貫と前期・後期の区分制がございます。それから,専門職大学院という課程もございますが,人材養成目的とそれぞれの課程をどのように結び付けて最適なカリキュラムを作っていくことを改めて各大学で点検をしていただきたいということでございます。
 4ページから5ページにかけてですが,制度・教育改革ワーキングでも御議論を頂いております。組織の枠を超えた学位プログラムの重要性は,大学院段階においても極めて有効であるということでございます。
 5ページ,1つ目のマル,国際化の観点から世界の大学から日本の大学院が選ばれる,留学生から選択されるためにはどうしたらいいのか。また,日本の大学院と海外の大学とのジョイントディグリー,ダブルディグリーといった取組も非常に重要であるという観点について整理してございます。
 2つ目のマルでは,博士課程リーディング教育プログラムが個別の成果を上げているわけでございまして,それらを横展開していくとともに,諸外国の先進的な取組も国として調査,情報提供を進めていくことが必要ということでございます。注意書き7でございますが,例えば,PSMの例も例示しているところでございます。
 加えて,大学院段階におけるリカレント教育の在り方についての記述でございますが,正課,大学院の課程を活用したリカレント教育の在り方とともに,学位を授与する課程ではない,ノンディグリーのプログラムとしてリカレント教育を進めていく大きな社会の期待があるということにも各大学院は留意すべきであるということでございます。
 5ページから6ページにかけてですが,産業界等のニーズを踏まえて,検証・改善する実践的なプログラムを展開していくこと,学修者が通いやすい夜間・土日あるいはメディア等を積極的に活用していく取組が重要ではないか。また,履修証明制度の見直しも制度・教育改革ワーキングでも御議論いただいておりますが,そういった取組も後押しするべきではないかということでございます。
 6ページ目の1つ目のマル,特に博士後期課程に日本人学生が進学しないという点についての記述でございます。将来において国際競争力の地盤沈下をもたらしかねない状況が生じているとした上で,大学がやること,国がやることを整理してございます。
 各大学においては,多様かつ具体的なロールモデルを提供するなど組織的・戦略的に学生に対する情報発信や優秀な学生の獲得を目指す。それから,長期的なインターンシップなどを通じて,博士の学位を取った者と企業とのミスマッチを解消するような取組,あるいは就職の支援についての取組を進める必要があるということでございます。
 国としては,様々な大学院生に対する経済的な支援がございます。授業料減免や奨学金等でございますが,そういった支援が学生の進学意思決定におけるタイミングを踏まえたものになっているのかどうかを改めて見直す。あるいは,ファイナンシャルプランと言っていますが,学生納付金や就学上の支援に対する見通しの提示に努めることを法令上位置付けるというようなことが検討できないかということでございます。
 企業サイドの取組でございますが,優れた取組を行っている企業の発掘や検証等も含めた発信をしていくべきではないかと整理してございます。
 6ページの下,学部と比較して大学院段階では修了者の進路状況の把握が遅れているということが言われておりますので,積極的に進めていくべきではないかということでございます。
 7ページにおいては,今年度から卓越大学院プログラムという新しいプログラムをスタートさせているところでございますが,このプログラムについても,個別の取組を支援するということにとどまるのではなく,我が国全体の大学院改革あるいはシステム改革,教育改革の加速化に全体としてつなげていくという取組が重要ではないかと記載しております。
 最後に,博士課程レベルの高度専門職業人養成にふさわしい新たな課程等については,次期,今後に向けて引き続き検討を続けていく必要があるということで記載しております。
 資料3については,大学院部会の審議の中で,この高等教育の将来像に関する中に盛り込むという観点で整理したものでございます。大学院部会と致しましては,今期末までに向けて大学院部会としての審議のまとめをまた別途作成することを予定しておるところでございます。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございました。
  石田委員,どうぞ。
【石田委員】  ありがとうございます。6ページ,特に博士後期課程への進学者の激減は,非常に大きな問題だと思っています。その一因は,キャリアパスが非常に不透明であるということだと思っています。企業等のニーズに合うような教育等もありますが,博士後期の学生は大学の研究者と考えている方が非常に多いのが現実です。
 そうした中で,大学としても大学の活力になるように多様性に対応した教員,女性や若手を非常に積極的に採用していき,KPIも上げていきたいと思っているところです。ただ,その中で問題になってくるのは,公募の観点です。公募をしているわけですが,女性教員に関しては,アファーマティブアクションやポジティブアクションという意味では限定公募が可能です。しかしながら,雇用対策法等があって年齢についての限定公募はできません。その中で唯一可能であったのは,文科省から御支援いただいた若手人材補助金でございました。我々としても非常に積極的に活用させていただいたところですが,残念ながら財政の問題で消えてしまった。そうしたときに,若手人材補助金の復活を望むのは当然ですが,それ以外に,例えば科学技術基本計画では,若手研究者の半永久的な雇用を積極的に国の施策として謳(うた)っているはずです。例えば雇用対策法との調整等で若手研究者を限定公募することができないかどうかということです。つまり,雇用対策法との調整と若手人材補助金の復活が大学院生のキャリアパスを明確にしていく上で大きな役に立つのではないかと思っています。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 両角委員,どうぞ。
【両角委員】  ありがとうございます。優秀な日本人学生が博士後期課程に進学しないという問題について,キャリアパスの多様化や経済的支援は重要です。ですが,大学教員になりたい方が来ないのはもっと上の人たちの状況が厳しくなっていてるためで,大学教員という職に魅力を感じなくなっているような大学という環境自体を変えていかないといけないと思っています。若手のところで何かしたところで,博士の学生はもっと長く見て判断していると感じました。
 リーディング大学院プログラムで幾つかの優れた取組がなされてきていて,研究者や大学教員になる以外で,企業で働く方の活躍がもっと広がればいいと思います。しかしながら,そのための対策が弱いという印象があります。諸外国の情報の収集や優れた取組をしている企業の発掘等,もう一歩踏み込んで何らかできないものだろうか,これだけだとなかなか進まないのではないかという印象を抱きました。
 以上です。
【永田部会長】  千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  ありがとうございます。高等教育のグランドデザインにも同様のことが言えますが,1つ気になるのが分野の問題です。Industrie4.0,Society5.0と言われているような時代に合わせた大学の学部学科が用意されているのか,大学院のコースが用意されているのかという問題を感じています。一昔前の産業構造に合わせたような品ぞろえになっている可能性があるのではないかと思います。
 高専は新しい時代に向けて違う分野の教育に取り組んでいくことが示唆されていますが,私立大学は独自性がありますから,特に国立大学は率先して,新しい時代に向けた学部学科の構成,大学院の専攻を設けることを進めていくべきと思います。
 それから,高等教育機関の卒業生が必ず就職という時代ではないと思います。その考え方も改める必要があり,起業を支援するような教授,あるいは企業を支援するための事業の創出や創業を支援するインキュベーション機能を持つことで若い人たちがチャレンジをする大きなモチベーションになっていくと思います。分野の問題と卒業後の進路という問題について,時代に合わせて検討をする必要があると思います。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷副部会長】  大事なことが注の中に書かれていると思っています。3ページの注3に,「大学院学生が個々の研究室の研究の実質的な担い手となっていた」ということですが,日本の大学院の伝統的な在り方そのものだったわけです。4ページでコースワークの一層の充実ということが書かれていますが,「道半ばの状況にある。」というのが,これも注に入っています。体系的な大学院教育の改善をしようと思えば,3ページ注3の真ん中に書いてありますが,研究支援体制の確立は非常に重要な問題です。大学院生は,以前はコースワークもなかったので,研究室の運営に携わっていたわけです。しかし,コースワークに行きましょう,しっかりこのプログラムを取りましょう,複数の分野を勉強してということはすばらしいと思いますが,全部しようと思ったら時間が足りなくなります。これまで研究の支援体制に大学院生が使っていた時間はなくなるわけですから,そこをどう補完するかということは書き込んでいただきたいと思います。
【永田部会長】  吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  最初のところで,今後の社会構造の変化が予想され,大学院が必要となって,「企業経営者等のリーダー的に就く者」と2040年を先導する人材について例示されていますが,こういう書き方をすると,政治家と公務員は含まれません。社会的リーダー,政治的リーダーというふうに書きぶりを考えた方がいいかと思います。
【永田部会長】  黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  大学院を考える場合に,日本の場合,アカデミック大学院と職業的な大学院が既に法的に制度化され区分されていますが,この二つの機能を区別なく書かれて,非常に分かりにくい。現状では,既存の大学院で学術研究を中心に研究者養成と職業人養成の両方を行っていますが,専門職大学院では高度な専門職業人を養成することになっています。したがって,この実情を踏まえて,研究者を養成する大学院と職業人を養成する大学院を少しきめ細かく分けた方が分かりやすいと思います。
 特にアカデミック大学院の研究者養成では,分野によってですが,研究機関そのもの,大学院の現状が非常に荒(すさ)んでいます。人も足らず,教授が全てのことをやる。助手の仕事もやらなければならないような実態になっているわけです。そういうことがないシステムづくりをやっていかないと,改革・改善が進まないと思います。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 金子委員,どうぞ。
【金子委員】  黒田委員のお話にも関連しますが,大学院部会の立て付けに無理があるところがあると思っています。1つは,博士課程,先端的な学術研究者,大学教員を目的とする大学院教育と,職業人教育を両方やることになっていますが,制度的に分ける必要は必ずしもないと思いますが,検討するときに分ける必要があると思います。
 先端的な研究者という観点からすれば,必ずしも今の日本全体にとって大学院の量的規模が足りないとは思いません。むしろ一部の大学はやめてしまった方がいいと思うぐらいです。しかし一方で,職業人の教育に関しては,非常に足りないのは事実だと思います。固有の問題があって,必ずしも博士課程への進学を前提とする必要もないわけです。しかも,社会的なニーズは明確ではなくて,社会的なニーズを掘り起こしつつ大学院教育を作っていかなければいけないという固有の問題があり,そういったことを検討する体制を作るべきだと思います。
 リーディング大学院が試行されているわけです。その運営委員会に入っていますけれども,ワンクール終わり,卒業生が出ていますが,はっきり言って,人文・社会系は相当よろしくない,余り成果を上げているとは言えません。しかも,1人当たり年間約1,000万掛かっているところが多くある。大学も補助金がなければ維持できない。リーディング大学院についてはかなり深刻に反省する必要があって,試行の分析を通じて社会的なニーズをどうやって掘り起こしていくのか,これからどう大学院が対応するのかということを真剣に検討する必要があると思います。いずれにせよ大学院部会は,両方のことをやるには無理があるのではないかと感じています。
 以上です。
【有信委員】  御指摘ありがとうございました。全くおっしゃるとおりですが,今までも具体的な議論の中で申し上げてきていますが,日本の人材育成の全体のグランドデザインという観点から考えて,大学院の在り方を考える。その中で,研究大学というか,いわゆるグラデュエート・スクールとプロフェッショナル・スクールのようなアメリカ的な考え方の人材育成のグランドデザインを作るか,あるいはヨーロッパ流に学位と職位が密接に関連した形で人材育成をするかと,ここのところは日本としては明確に方針が決まっていませんが,グラデュエート・スクールとプロフェッショナル・スクールという形に整理をしつつあります。
 その流れの中で,いわゆるドクターコースの修了者が研究者を目的としているかという定義が問題であるところがあって,本来のドクターコース,博士課程等の修了者の人材育成目的を新たに考え直そうということでリーディングプログラムのようなものが走っているわけです。
 それから,実際に大学院における人材育成をどうやっていくかという流れの中で,千葉委員からも指摘がありましたが,大学院は基本的に学位プログラムという形で整理し直し,従来の学部の上にあるような規制は外すという方向の議論は,グランドデザイン的な意味でやっています。
 金子委員から指摘があった,いわゆるプロフェッショナル・スクールとグラデュエート・スクールの議論を同じ場で議論するというときには,大学院の人材の在り方としてどう設計するかという意味では,全体を押さえるものは必要だと思っています。実際的に職業大学や専門職大学院については,個別の議論が必要なときに,ワーキンググループを設けて議論を進めているので,それぞれまとめているような形にしていますが,中身がかなり膨らんでしまっているので,単純に整理すると抜け落ちている部分があったと思います。今までの議論を取り込みながら,もう少し分かりやすく整理をしようと思っています。
 グランドデザインを頭に描きつつ,個別個別に必要なアイテムの議論をしているものですから,錯綜(さくそう)している表現になってしまっているところがあったかもしれません。今日の御意見を踏まえて,整理したいと思いますので,よろしくお願いします。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 最後に,有信委員が言われたように,両角委員,千葉委員,黒田委員と皆さん同じことを実はおっしゃっていて,栄枯盛衰は,プログラムの内容によるわけです。プログラムの3ポリシーがちゃんと書けているプログラムになっていれば,学生はそこに入ります。ですから,まだできていないということが問題であって,組織に縛られた教育プログラムの作り方しかできないからそういう状態だと有信委員がおっしゃったと思います。
 ここまでの御質問で,文部科学省への質問もありましたので,義本局長御説明をお願いいたします。
【義本高等教育局長】  資料1に戻る前に,大学院の環境を少しお話しさせていただきます。大学院部会で議論いただきまして,全部は反映できていないところがありますが,ポイントとしては,日本の博士は,後継者あるいは研究者を養成することをベースにして作られている,しかも大学院生自身がそのサポートをするという構造自体を変えていかないといけないという御議論を中心にやっていただきました。
 そういう観点から,学位プログラム等を中心に,プログラムを時代の変化に合わせる形にして,研究科の壁を超えて進めていこうじゃないかという話です。さらに,企業側からも強調されましたが,1つの分野を突き詰めていくというだけではなく,ダブルメジャーというような形で,複数専攻して,俯瞰(ふかん)的な能力を付けていくことが,例えば起業やあるいは企業において使える人材とできるのではないかということです。リーディングプログラムあるいはグローバルな展開でいえば,ダブルディグリーについて評価が高いのは複数専攻して,俯瞰的な能力を身につけられるという点があります。少し表現的には強調すべきではないかということを御議論いただいています。
 それから,構造的な問題として,大学院を支える仕組みとして,院生自身を支援者として使うのではなくて,コースワークとする以上は,構造的な問題としてしっかりした体制を作らなければいけないということは,大学院部会の中でもかなり議論いただきましたので,もう少し書き込んでいかないといけないと思います。その際,財政を投入することもそうですが,学部と大学院の関係や大学全体の中での在り方をどう見直していくかということも含めて突っ込んでいかないと記述はなかなかできないということがあります。永田部会長とも御相談させていただいて,今後更に大学院部会で議論を続ける必要があるのではないかと思います。いずれにせよ,そういう体質転換を図らないことには多分この問題はなかなか解決しないという点は認識としてございます。
 もう一つ,記述としては6ページの下に書いていますが,学部段階の卒業生はその後の進路を追求することにしていますが,しっかりした追跡をしていただき,責任を持っていくということです。後継者養成であれば,進路追跡をしなくてもいい部分があったかもしれませんが,大学の教育プログラムが責任を持ってやるだということをしっかり書き込んでいくということもこの中に入れていただき,もう少し分かりやすく整理する必要があると思っています。
 資料1に戻ります。先ほど様々な有益な御意見いただきましたので,しっかり盛り込んでいきたいと思っています。また,言葉足らずの点あるいは誤解を招く表現については,しっかり直していくことをしないといけないと思っています。
 特に投資の観点からは,益戸委員から文科省としてはどういうふうに覚悟を持ってやっていくのかということがありましたので,しっかり受け止めてやらないといけないと思っています。その際,投資の必要性の強調だけではなくて,コストの問題と,それから昨年来いろいろな形で教育振興計画をする議論の中で,投資としての便益の議論をしていただきました。その成果も盛り込みながら,書き込む必要があると思っています。
 さらには,山田委員から,便益で還元できない価値があるので,その辺りの表現もしっかり整理できればと思っているところです。そういうことをしっかりやることによって世の中に発信し,行政だけではなく,政治も含めて国民的な関心を持っていただきながら進めていかなければ,なかなか進んでいかないと思っているところでございます。
 それから,小林委員からも,投資についての方向性,課題について明確にする必要があると頂きました。それらについても参考にさせていただきながら,どのような表現ができるかという点についてしっかり考えたいと思ってございます。
 もう一つは,構成を分かりやすくという問題とともに,組織に依拠した形での設置基準の在り方を変えていくべきじゃないかということでございます。はっきり申し上げますと,学部を中心にして今の設置基準を構成しています。学部という箱の中においての教員をどれだけそろえるか,あるいは定員の充足を考えるか,あるいはプログラムをどうするかということがありますが,学位プログラムの議論をしていただいていますので,質保証の在り方を全体としてどう考えていくかということでございます。例えば,諮問に出していただきましたように,学部の定員管理だけではなく,ST比,あるいは全体として時代の変化も加味したような形で変えていく必要があるんじゃないかという御議論も頂いています。恐らくこの設置基準ができましたのは,新幹線が通る前の時代であり,地理的・空間的な問題も違っている,技術的な変化もあります。もう少し分かりやすく整理して構成していくことができればと思っているところでございます。
 以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございました。

(4)2019年度 高等教育関係概算要求について,資料4-1,4-2に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田部会長】  4番目の議題は概算要求についてです。資料4-1に基づき,説明を頂きたいと思います。
【蝦名高等教育企画課長】  資料4-1,横長A3の資料を御覧いただければと思います。来年度2019年度に向けまして8月末に概算要求を行ったところでございます。そのうち,高等教育関係の主な項目について御説明をさせていただければと思います。
 最初の枠囲みにございますように,第4次産業革命,Society5.0などの大きな産業構造・社会構造の変化が進むということ,それから,18歳人口の大幅な減少が予想される中で,今後の成長・発展を牽引(けんいん)しイノベーションを創出する人材の育成が極めて重要ということで,高等教育全体の構造の転換といったようなこと,将来像についてはこの部会でも御議論いただいているところでございますけれども,そうしたことも踏まえながら,来年度3本柱で整理してございます。
1つ目には第4次産業革命技術がもたらす変化に対応した人材育成,生産性革命ということを柱に据えるということ,2つ目には全ての人が元気に活躍し続けられる社会を作るための人材への投資と人づくり革命,その上で,3つ目には大学改革の推進と教育研究力の強化を柱として,これらを一体として進めたいという内容となってございます。
 1つ目の柱としては,第4次産業革命技術がもたらす変化を見据えた人材育成につきましては,特にSociety5.0に向けた人材育成を念頭に,文理分断からの脱却と整理をさせていただいておりますが,新たな社会に対応するための高度技術人材の育成,また,大学における,学部の如何(いかん)を問わず,数理・データサイエンス教育をできるだけ多くの大学で展開をしていただけるようにということで20億円を計上しているところでございます。内容としては,産学連携によるサイバーセキュリティ人材やデータサイエンティストなど,現在人材不足が深刻化していると言われているトップ層の人材の育成を図るとともに,大学における,数理・データサイエンス教育を展開していきたいということです。これまで全国6か所の拠点大学において数理・データサイエンス教育のカリキュラムの開発を進めていただいているところでございますが,来年度に向けて協力校を設置し,更に横展開をして進めてまいりたいということでございます。
 2つ目の柱としては,全ての人が元気に活躍し続けられる社会を作るための人材への投資ということです。1つには,学びのセーフティネットの構築を更に進めてまいりたいということで,柱としては大学等の奨学金事業の充実でございます。給付型奨学金は今年度2018年度から本格スタートしましたが,2年目に向けて着実な実施を図ってまいりたいということでございます。また,無利子の奨学金は,貸与水準を満たす希望者全員への貸与を着実に実施できるように,所要の規模の拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。また,2020年度から給付型奨学金の拡充を含む新たな高等教育費の負担軽減方策が実施される予定となってございます。実施に向けた準備,具体的には実施体制の整備でございますが,システムの整備や周知・広報などをしっかりと行っていくことが1つの柱でございます。
 もう一つは,リカレント教育の推進ということです。特に,産学連携による人材育成を一層進めていけるように,産学コラボレーション人材育成システム構築事業という新規事業を立ち上げたいと考えてございます。産学が共に主体的に参画をし,企業や業界を超えてオープンイノベーションを促進するため,大学における実務家教員の育成に関するプログラムの開発を行うといったようなこと,あるいは企業と大学をつなぐ,大学側が必要とする人材を産業界の方から適切にマッチングの仕組みを作った上で提供できるような仕組みづくりを行うことなどを主な内容とした事業を新しく立ち上げたいと考えているところでございます。
 右側に移りまして,極めて重要なところですけれども,大学改革の推進と教育研究力の強化というところでございます。国立大学改革の推進ということで,国立大学法人運営費交付金等で1兆1,286億円を計上しているところでございます。
これらにより,3つの重点支援の枠組みに基づきます,めり張りのある重点支援の推進を引き続き行っていきたいと考えてございます。それから,経営改革に資する共通指標の導入を設定するなどして,各大学における改革のインセンティブ向上を図っていくというようなことを考えているところでございます。また,国立大学向けの事業として国立大学経営改革促進事業,これを63億円計上いたしているところでございます。大学間の連携あるいは産学連携の推進などによります地域イノベーションの創出,あるいは世界最高水準の教育研究の展開を,学長の経営改革構想の実現を加速化する形で支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 右側に,私立大学等の改革の推進等いうことで,私立大学等経常費補助で3,189億円を計上しているところでございます。また,高等教育ではございませんけれども,私立高等学校経常費等助成費補助で1,052億円。また,高校以下も大学も通じて,施設設備の整備の推進ということで533億円を計上しているところでございます。特に私立大学等経常費補助におきましては,教育の質保証や経営力の強化に向けた各大学の取組をめりはりある形で支援ができるようにしたいと考えております。
 将来構想部会でも御議論いただきました3つの人材育成の観点を踏まえて,各大学でそれぞれ取り組まれえいる事柄について,その特色を生かした取組を重点的に支援してまいりたいと考えているところでございます。私学助成には一般補助と特別補助とございますが,重点的な支援として特別補助を中心に実施してまいりたいと考えているところでございます。
 また,高等専門学校につきましては,高度化・国際化ということを引き続き支援をしていきたいと考えてございます。基本的にはサイバーセキュリティ,IoT,ロボット等の分野における実践的・創造的な技術者育成を高専がしっかりと担っていただいているわけでございますが,取組を支える基盤的な経費の充実を図るとともに,日本型高専教育制度の海外展開や海外で活躍できる技術者の育成あるいは高専教育の高度化を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に,世界に誇れるトップレベルの教育研究活動の実践ということです。イノベーション推進等を担う高度な博士人材の育成ということで,卓越大学院プログラムに131億円を計上してございます。今年度2018年からスタートした事業でございますが,2年目を迎える来年度に向けまして,本格的に取り組んでいけるように,大幅な増額の要求をしているところでございます。
 また,グローバル人材の育成については,大学教育のグローバル展開力の強化で62億円,大学等の留学生交流の充実で368億円を計上してございます。グローバル展開力の強化については,来年度が6年目を迎えることになりますスーパーグローバル大学創成支援事業を引き続き計上するとともに,各大学がそれぞれ様々な地域との関係を作っていただくときに大学の世界展開力強化事業という形で後押しをさせていただいてございます。来年度に向けては日EUの関係に着目をした新規の取組の支援を行ってまいりたいと考えてございます。また,留学生交流の充実につきましては,先ほど申しましたように368億円を計上し,必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。
 最後に,高大接続改革の推進につきましては,大学入学共通テストの記述式問題の採点等に対応したシステム構築,教科「情報」の導入検討,あるいは個別選抜で主体性等を評価するための電子調査書の環境整備,調査書評価の在り方の調査・研究,思考力等を評価するためのCBTの構築等を内容と致しまして,御覧のようにそれぞれ計上いたしているところでございます。
 現段階では,8月末に財務省に要求を提出したという段階でございます。折衝はまさにこれからでございますが,将来構想部会での御議論も踏まえながらしっかりと獲得できるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。山田委員,どうぞ。
【山田委員】  どちらかというと,エールを送るだけなので頑張っていただきたいと思います。生産性革命と人づくり革命というところが政府の大きな方針になっているわけですが,実際問題として,東京圏よりも既にこの10年ほどで地方圏の人手不足が顕著になってきているということ。そして,人手不足が顕著なのは,実はデータサイエンティスト等の人材育成とまさに結び付いておりますので,リカレントとうまく結び付けてやっていただけたらと思います。
 特に,地方創生交付金も後期に入ってきますが,予算が取りやすいと思います。内枠でもいいから,別枠になればもっといいから,予算を取りに行っていただきたいと思っております。財政的に苦しいから次の世代に負担が多いならば,次の世代のためにも頑張って要求を貫徹してください。お願いします。
【永田部会長】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  質問ですが,学生の学修状況の把握や情報公開は非常に大きなポイントとして挙げられています。社会人に関しても,例えば,履修証明制度をもっと組織化ということになりますと,一種のデータベースが必要になってくる。そういう意味で,情報基盤のようなものが高等教育にとても非常に重要になってくると思います。そういった項目はどこの予算要求にどう入っているのでしょうか。
【義本高等教育局長】  学生の調査の問題は,実は高等教育局の予算ではなく,いわゆる,エビデンスベースドポリシーメーキングということで生涯学習政策局の予算の中に入っています。委員の方々がおっしゃったように,最終的にはデータをどうするか,体制や基盤づくりが非常に大事になってきます。そのための仕組みづくりや既存のポートレート等がありますが,どういうふうに構成していくのかも含めて,議論をさせていただきたいと思ってございます。
 それから,山田委員からお話しいただきましたリカレントの問題,実は骨太方針の中においても今回の目玉でございました。文科省の予算だけではなくて,経産省あるいは厚労省とも連携することが必要です。特にプログラム開発をして,いわゆるニーズが高い良質なプログラムをどう作っていくかという問題と,教える人材をどういうふうに確保していくのか。アカデミアの大学の中だけでは足りませんので,実務家の教員の中でも質の高い人材を計画的に養成していく必要があるという2点を問題意識として持っています。
 それから,プログラム開発部分について,20分野,その中にはAIやIoTあるいは農業経営等,今後のニーズが高い分野をいろいろと指定しまして,厚生労働省の雇用保険のお金を使って開発していくことが1つ方向でございます。並行して,さきほど申しましたような良質な実務家の教員を養成し,各大学にも紹介していくことは,蝦名課長から御紹介いただきましたような育成のプログラムと,それをつなぐマッチングの仕組みを予算の中に盛り込み,中身の面とよく連動させていただきながら進めていこうと知恵を練っているところでございます。しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 それから,交付金の話を頂きました。今年度の分はこれから採択審査をしていただくということがありますので,しっかり踏まえながら次のステップを考えていきたいと思います。私立大学もそうですが,地方の国立大学はかなり意欲的なこともやっていただいていますので,文科省としてもしっかり応援をしていきたいと思っているところです。
【永田部会長】  以上です。
 次回は,本日頂いた意見も含めて最終的な答申の案をお示ししないといけません。
 それでは,事務局より日程について御説明をお願いします。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。資料5を御覧ください。次回は9月26日の10時から12時で,大学分科会との合同開催で,答申案についての議論を予定しております。
 日程については,第27回から第30回までを記載しています。大学分科会と合同開催が増える可能性がございますが,その際はまた御案内させていただきます。
 以上でございます。
【永田部会長】  これでお開きとさせていただきます。どうもありがとうございました。

                                                                  ―― 了 ――

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-- 登録:平成30年12月 --