法科大学院等特別委員会(第109回)議事録

1.日時

令和4年12月20日(火曜日)16時00分~18時30分

2.議題

  1. 令和4年司法試験予備試験口述試験の結果等について(報告)
  2. 共通到達度確認試験の実施について
  3. 法科大学院教育と司法修習との連携について
  4. 第11期の議論のまとめ(素案)について
  5. 令和6年度以降の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」について
  6. 令和4年度先導的大学改革推進委託事業「法科大学院等の教育の充実に関する調査研究」の中間報告について
  7. その他

3.議事録

【山本座長】  それでは、これより第109回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
御多用の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
本日もウェブ会議として開催しております。本委員会は、公開が原則のため、この会議の模様はYouTubeライブ配信にて公開をいたします。
 本日もどうか活発な御審議をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 本日の配付資料は、議事次第、下の段、4の配付資料に御案内いたしておりますとおり、資料1-1から資料6まで、大分で恐縮でございますが、全163ページの資料を皆様にお送りしているところでございます。御確認いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。
 まず、議題1、令和4年司法試験予備試験口述試験の結果等についてということですが、この点について資料1関係ですが、加藤委員から御説明をお願いいたします。
【加藤委員】  法務省の加藤でございます。令和4年司法試験予備試験の結果について御説明いたします。資料1が予備試験の結果に関する資料となります。
 結果の概要ですが、資料1-1にありますとおり、最終合格者の数は472名でございました。例年とさほど大きく変化はないというところでございます。一方、受験者数は、短答式試験受験者数が1万3,004名でございますので、かなり増えてきている傾向が認められます。
 このほか、大学や法科大学院別の受験状況や職種別の合格者数の推移等についても、資料が続いておりますので、お時間がございますときに適宜御参照いただければ幸いです。
 また、法務省と文科省におきまして、令和3年度、法学部に在籍しております学生に対して実施した法曹志望に関するアンケート調査結果を、資料1-8としてお配りしております。こちらにつきましても適宜御参照いただければと思います。
 なお、令和4年度についても、文科省等の御協力を得ましてアンケート調査を実施し、現在、結果の取りまとめを行っているところでございます。調査結果がまとまりましたら公表を予定しているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの加藤委員からの御説明につきまして、御質問あるいはコメント等がございましたら、御発表いただければと思います。
 御発言がある場合は、例によって挙手機能でお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ございませんでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして議題の2番目ですね。共通到達度確認試験の実施についてに参りたいと思います。
 共通到達度確認試験については、御存じのとおり、令和元年度から本格実施が開始されたところですが、法科大学院協会が実施したアンケート調査結果及び今後の方向性につきまして、本委員会の委員でもあります法科大学院協会の片山理事長より、資料2に基づいて御説明をいただきたいと思います。
 それでは、片山理事長、よろしくお願いいたします。
【片山委員】  どうもありがとうございます。法科大学院協会で理事長を務めております片山と申します。共通到達度確認試験の実施について、簡略に報告をさせていただければと思っております。
 資料、通し番号で言いますと95ページ以下のところに資料がございますので、御覧いただければと存じます。今、山本座長から御説明がございましたとおり、平成26年度からの5回にわたる試行実施を経まして、令和元年度から未修者1年生を対象とした共通到達度確認試験を本格実施しております。既に3回試験を行っておりまして、今年度は1月8日に第4回目が予定されているということでございます。
 共通到達度確認試験の趣旨に関しましては、今さら申し上げることはございませんけれども、ここに書いております趣旨は、受験要項等に記されている内容でございます。未修者教育の質の保証という観点から、各法科大学院が客観的かつ厳格に進級判定を行う際に進級判定の資料の一つとして用いることが趣旨の第1でございます。それとともに、学生に対する学修進路指導の充実を図ること、それから、学生自身が客観的に自分のレベル、学習到達度を把握して、学修の進め方等を見直す機会にしてもらうという趣旨があって、実施しているものでございます。
 そして、この共通到達度確認試験の実施に関しましては、この後にご報告があるかと存じますが、いわゆる加算プログラムの支援を得ておりまして、この共通到達度確認試験を用いて進級判定等に活用しているということであるならば、それを支援するという形の枠組みが取られているところでございます。
 2ポツのところ、これまでの実施実績ですけれども、令和元年から3回の実施が行われておりますが、600人超の出願者数があって、実際に受験をしているのは560名程度となります。出願の受付は、11月の中旬に行われますけれども、それから1月の試験までの間で、例えば休学をしたり、退学をしたり、あるいは途中で体調不良になるということもございますので、受験者数はほぼ10%減ぐらいかと思われます。第2回は、コロナ元年ということもあったのかもしれません。受験率が80%ちょっとになっておりますけれども、1回目、3回目を見ますと、ほぼ90%の受験率となっているところでございます。
 会場は、各会員校のキャンパスをお借りして、実施も各ロースクールにお願いをしております。
 次の96ページに参りますけれども、出題の形式は、憲法、民法、刑法に関しまして、それぞれ30問、45問、30問の出題をしておりますが、司法試験の択一試験、短答試験と比べますと、例えば多肢選択の問題等は10問、15問程度に抑えておりまして、やはり基礎的な理解度を試すという意味で正誤問題が多くの部分を占めているのが特徴になっているところでございます。
 そして、問題、それから、作問委員に関しましては、試験終了後に協会のホームページで公表しております。そちらのURLも載っておりますので、また機会がございましたらご確認をしていただければと思っております。
 実施体制ですけれども、試行実施は文部科学省で行っていただきましたが、本格実施になってからは、基本的には法科大学院協会と日弁連の法務研究財団との間での共同主催という形で実施を行っているということでございます。そこで、協会と財団のほうで合意文書を交わしまして、実施・運営については応分の責任を負うことになっております。一応、その合意の有効期間でございますけれども、5年間すなわち令和6年3月末日までということで、その後の実施については改めて検討するという形になっているということです。
 実際の実施は、共通到達度確認試験管理委員会を設置いたしまして、協会と財団の2つの団体から委員を出して、まずは、作問委員とか、あるいは点検委員の委嘱、次いで、問題の作成、試験の実施、さらには、試験の結果を1月下旬に受験生あるいは各会員校にフィードバックをしているというのがその管理委員会のミッションとなります。
 そして、管理委員会は、業務の補佐を公益社団法人の商事法務研究会様に委託をしています。
 次に、出題等ですが、令和3年の実績を見ますと、作問委員、こちらは基本的には法科大学院教員が担当しているということです。主任が1名、作問委員が、憲法と刑法は各5名、民法は7名ということで、主任はどなたでも御存じの学会を代表する第一人者の人にお願いをしています。作問委員は、比較的若い世代の教員の方々にお願いをしております。いずれもお名前を見ていただくと、若手としてすでに学会でご活躍の有望な先生方が作問されているのかということでご納得いただけるのではないかと思っております。そして、点検委員が2名でございます。こちらは、主任を経験した方に点検をお願いしています。ですから、作問委員、主任、点検委員という形でお願いしております。
 それとともに重要な点は、出題自体は法科大学院で実際に教壇に立っておられる方にお願いしておりますけれども、同時にフィードバック委員というのを設けておりまして、こちらは法曹三者から御推薦をいただいて、憲法に関しては最高裁と弁護士会からの推薦、民法は弁護士会からの推薦、刑法は検察庁と弁護士会からの推薦ということで、各2名の実務家の方々に問題をご覧いただいて、実務家養成の視点からご検討いただいて、改善点はないのか等の御意見をお伺いしております。1月に試験を実施しておりますが、その後、チェックしていただいて、4月にはフィードバック委員会を開催して、主任の先生方に御意見をフィードバックし、次の年の出題に向けてご参考にしていただくという形で進めております。
 今日、お話し申し上げることは、その次の97ページ以下のところにある点でございます。
 こちらは、令和5年で最初の5年が終わるということになりますので、それから先の共通到達度確認試験の在り方はどうするのか検討しなければならない時期になります。そこで、通し番号で98ページ以下のところにありますとおり、今年の4月26日から5月23日までの間に、会員各校にアンケート調査を実施いたしました。
 そこに質問項目がありますけれども、1から4までが、現状での利用・活用の方法とそのメリット・デメリットという点をアンケートしております。それから、項目の5以下のところが、今後の実施を見据えて質問項目を立てさせていただいております。
 そのアンケート結果をまとめたものが、通しの99ページ以下のところで、まずは、第1項目としまして、進級判定の利用方法は、ほとんどのロースクールで得点率、偏差値、あるいは全国平均との比較等による進級判定を行い、またGPAとの併用で進級判定を行っているということでございます。
 それから、進級判定以外の利用方法としても、2ポツのところでございますが、学習指導、FDへの活用、教材開発、学生自身による活用といった点で広く活用されていることが見て取れます。
 また同時に、共通到達度確認試験の利点に関しまして、多くのロースクールで到達レベルの把握、得意不得意科目の把握とともに、全国レベルでの学生自身の実力の確認ということと、それからもう一つは、司法試験までの中間的な目標として位置づけられていて、学生の学修意欲を高める材料、学修の振り返りに役に立っているということが確認されているところでございます。
 通しの100ページの4ポツのところですが、運営上の難点、問題点は当初からいろいろ指摘されていたところでございます。実施時期の問題は、各ロースクールの進級判定に使うということですので、大学ごとにカリキュラムは違っておりますので、それぞれの大学の要望に必ずしも沿った形での実施ができるというわけでありません。現在、1月上旬に行っておりますけれども、多数のロースクール会員校にとっては、概ね妥当な時期ということでしょうが、一部の会員校にとっては、その時期は必ずしも適当ではないという難点がございます。それから、費用上の負担、事務作業上の負担、日曜日に実施しておりますので、その点も問題ではございます。それから、追試験までなかなか作問の手が回らないという面がございまして、もし病気等で受験できない場合は、代わりの措置を各ロースクールに委ねている等の問題点は指摘されているところではありますが、これらの問題点があることは前提としつつも、なおそれ以上に共通到達度確認試験が未修者教育にとって不可欠なものであると認識されているということでございます。
 今後の実施に関しましては、97ページに戻りますけれども、1ポツ、分析、(ア)(イ)(ウ)という形でまとめさせていただいておりますが、共通到達度確認試験の存続が望ましいと考えているロースクールが、35校中24校あるということでございます。積極的に存続すべきという意見は11校であり、費用負担を増やしてでも存続すべきというロースクールが11校の中で7校ほどございます。存続が望ましいが、万一費用負担するということであれば、代替措置も検討すべきではないかという意見も含めますと、24校で存続が望ましいと考えているということでございます。
 逆に、明確に存続に反対するという意見は4校にとどまっておりました。
 ただ、他方、会員校としては、費用負担はかなり限界に達しているという認識はおありのようで、21校の会員校から費用負担増には反対するという意見が述べられております。
 以上の分析を踏まえまして、協会執行部としましては、11月26日に協会の理事会総会がございましたが、そこで、97ページの2ポツの今後の方向性ということで御提案をし、御承認を得たところでございます。
 基本的には、共通到達度確認試験は、現状において、進級判定その他の目的で広く活用されていること、かつ、存続が望ましいという意見が多数であるということ、それから、他方は、会員校の費用負担増に反対する意見が多数であるという結果を踏まえますと、まずは、現状の実施情況を費用面から吟味して、可能な限りのコスト削減を図りつつも、共同の実施主体である日弁連の法務研究財団様とも、現行の枠組みでの維持が可能かどうかについて協議を行い、現行の枠組みが可能であるということであれば、今後も、共通到達度確認試験を存続するという方向で一応の御承認を得たということでございます。
 今後は、実施主体の一方である協会だけが進めるということを決めても、それまでの枠組みが動くというわけではございませんので、共同実施主体である日弁連法務研究財団様とも協議を行いつつ、かつ可能な限りの費用削減等も検討しながら、令和6年以降の存続を目指すことを協会としては決めさせていただいたということで、本日、中教審のこの場で報告をさせていただいた次第でございます。ぜひ御意見等を賜れば幸いかと存じます。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。大変詳細な御説明をいただきましたが、ただいまの片山理事長からの御説明につきまして、御質問、あるいは御意見がありましたら、御自由に御発言をいただければと思います。
 大貫委員、お願いします。
【大貫委員】  大貫です。
 片山先生、詳細な御報告をありがとうございました。
 アンケート結果を見ても、私も法科大学院教員としてこの試験の意義というのは大いにあると思っておりまして、予想されたアンケート結果だと思っております。
 他方で、問題も指摘されていて、通しページの97ページの今後の方向性を拝見しますと、今、御説明ありましたけれども、可能な限りコスト削減を追求しつつ、そう書いてはありませんが、補助をしてくださっている日弁連法務研究財団と協議を行って、できる限り会員校の負担を増やすことなく当該試験を存続する方向を目指すべきだとまとめてあります。
 第1点で申し上げたいのは、まさに日弁連法務研究財団の補助というのは、財政的に非常に重要な位置を占めておりまして、これは決して軽いものではないので、むしろ率直に言ってこれがなければとても実施できない状況ですので、この点は法科大学院関係者としてはきちっと自覚すべきなんだろうと思っております。
 まずこれが第1点で、今の今後の方向性は、専ら費用負担の件に着目されて、それは誠に正当なことだと思います。しかし、私は、片山先生の前に共通到達度確認試験管理委員会の委員をちょっとやっていました。そこで、作題の模様とかを見ていますと、非常に大変なわけですね。作題委員の方は、まさにお名前を拝見すると全国でも有数のその分野の第一人者であることは疑いがありません。他方で、そのような方に非常に多大な負担を負っていただいているということは否定できないだろうと思います。それはそれで仕方がないんだということであればそうなんですけれども、毎年、特定の研究者にこれだけの負担を負っていただいているのはいかがなものかという気がないわけではありません。
 そのことと関係しているのかちょっと分からないんですけれども、先ほどの問題の構成を見ますと、半分以上が正誤問題になっているということも負担の大きさと無関係ではないのかなという気がしています。基礎を確認するという意味ではいいということであれば、それはそれでよろしいのかもしれませんけれども、少し危惧するところであります。
 そこで、申し上げたいことは、もちろん財政面のことは不可欠に考えなければいけないんですけれども、持続的で適切な作題体制構築のためにいろんなことを考えなければいけないのではないかと思っております。
 アンケートにも出ていましたけれども、例えば外部試験の利用ということも。全面的な利用は難しいような気がしますので、一部利用を考えるかとか、あるいは、一部アンケートにもちょっとそれらしきことが出ていたのですが、101ページのところですね。これはアンケートというか、オプションを示したところだと思うんですけれども、会員校または複数の会員校で独自に問題セットを作成し云々というところですが、必ずしもこれではないんですが、例えば各校で作題を分担して、それをプールして、問題を回していくような体制ですね。これは思いつきではなくて、この分担方式は、医学部の共通到達度確認試験を導入したときに導入された方式だと聞いておりますので、各校に何題か担当試験の問題を出してくださいと。そこから、出しますという体制など、持続的な作題体制、これは財政の問題とも関わるんですけれども、検討していただきたいと思っております。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。ほかに。清原委員、お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。清原です。
 まず、ただいま御報告をいただきました片山理事長をはじめ、法科大学院協会及び日弁連法務研究財団の皆様のこれまでの御努力に敬意を表し、感謝いたします。
 実は、私は、平成24年、2012年8月の第1回会議から翌年の6月まで16回の会議を重ねました法務省の「法曹養成制度検討会議」の委員を務めました。この会議では、平成25年4月の中間取りまとめを経て、6月に最終的な取りまとめを公表した中に、この「共通到達度確認試験(仮称)の導入の早期実現」ということを提案しました。先ほど御紹介ありました医学部の到達度を確認する試験のことを委員である医学部の先生が御紹介されて、ぜひ法科大学院でも、とりわけ未修者についてはこうした到達度を確認する試験が必要ではないかという意見交換があったことを記憶しております。
 さらに、そのときに紹介されていましたのが、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組みを、平成24年の11月に中央教育審議会大学分科会「法科大学院特別委員会」、すなわち今のこの委員会の前身でございますけれども、その「法学未修者教育充実のためのワーキンググループ」報告でも提言されていると。したがって、それをぜひ具体的に進めるべきではないかという取りまとめになったわけです。
 そうしましたら、翌年から、今日の御報告資料2の1ページ、通し番号95ページにありますように、既に26年度から30年度まで試行していただいた上で、本格実施をされてこられて、検証をしてこられたわけです。
 そのプロセスを踏んで、今日御報告いただきましたように、アンケートでも大方の法科大学院の皆様は存続を希望していらっしゃるというか、存続が望ましいのではないかと言っていらっしゃるということは、大変重みがあるということだと思います。
 特に、前期から今期、未修者教育について私たちは多角的に検討を重ねてきました。司法制度改革の重要な理念の一つは、「ぜひ幅広い層から法曹、あるいは司法を目指す人を集めて、とりわけ既修者だけではなくて、未修者あるいは他の分野に精通している人にも、法科大学院で学び、そして、その世界で活躍してほしい」という方向で来たわけでございますので、未修者に対しての「共通到達度確認試験」、ロースクールで学ぶ人にとって、何よりも自己の取組を客観的に評価する仕組みとして、この「共通到達度確認試験」が効果を上げているということは重要だと思います。例えば一つのロースクールで一定の優れた成績を上げていたとしても、全てのロースクールの中で自分はどのぐらいの位置づけであるのかということを客観的に把握することで、自らの学習成果を振り返り、今後の学習計画に向けての意欲と、また、具体的な取組を整えることができるきっかけにもなっているのではないかなと思います。このように今までの取組を踏まえて考えているところです。これはあくまでも「学修者本位」の視点から、その意義が認められるということで申し上げました。
 けれども、今、大貫先生からお話がありましたように、作問であるとか、あるいは同じ問題を毎年するわけにはいかないので、やはりバランスの取れた適切な試験として継続していくためには、創意工夫が求められているということも、ただいま、共有させていただきました。
 また、費用負担だけではなくて、追試験のことなど、課題も残されているということでございますが、理事会では、今後の方向性としていろいろな課題解決を図りながら存続をという総意になられたということでございますので、私としてもぜひ応援させていただきたいと心から思います。
 繰り返しますが、「学修者本位」で効果のあることでございますので、ぜひその環境整備に御苦労いただいているロースクールの教員の皆様、また日弁連の皆様には引き続き御苦労をおかけいたしますが、ぜひただいまの御提案のように作問のプールであるとか、いずれにしても負担軽減とコスト低減も踏まえつつも、できる限りの存続を「学修者本位」で進めていただきますよう、心からお願いします。
 以上でございます。ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、笠井委員、お願いいたします。
【笠井委員】  ありがとうございます。今、お二人の委員の方がおっしゃったことと同じような話になってしまいますので簡潔に申し上げます。
 まず、片山委員には詳細な御説明をどうもありがとうございました。
 私は法科大学院協会の常務理事でありますし、本務の大学がありますけれども、それとは離れて個人的な一委員としての意見として申し上げます。結論として共通到達度確認試験について存続させる方向で検討すべきであるということについて、異存はないところです。理由についても、大貫委員、清原委員がおっしゃったことに同感です。
 まず、資料の99ページの下のほうにありますように、未修者1年次の到達レベルの把握などが可能である、それから、全国レベルとの比較ができるといった利点というのは、私も前から思っているところでございまして、協会のアンケートでも同じ御意見が多かったというのは、そのとおりだろうなと思っております。また、大貫委員もおっしゃいましたように、作題の先生方というのは本当に立派な方がそろっておられて非常に信頼がおけると思いますので、こういった方が作っておられる問題について、先ほど御説明のあったような丁寧な手続を取った上で試験が行われているということで、大変信頼度が高いと思っておりますので、この試験の存続ということについて賛成でございます。
 問題は、やはり負担のほうでありまして、法科大学院協会のアンケートを見ますと、負担増に対して反対する御意見も多いわけですけれども、この辺りは法科大学院のほうとしても、完全に個人的な意見になってしまいますが、一定の責任は果たしていくべきなのだろうなとは思っております。
 それは、お金をだすかどうかという話もありますけれども、先ほど大貫委員もおっしゃったように、マンパワー的な貢献ということもあるかと思いますし、それから、できるだけ問題の使い回しとか、今後、回を重ねていきますとできることもあろうかと思いますので、そういった費用の節減も踏まえて、今後、持続的にやっていくということを、知恵を絞って、私も何か意見があれば言う機会はあろうかと思いますので、存続をしていくべきだろうと思っております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。北川委員は挙手されていますか。
【北川委員】  はい。北川でございます。
 片山先生から御説明いただき、また、委員の方々からも共通到達度確認試験について存続を支持する御意見が強いところではあれ、費用負担の面と作題の問題という非常に大きな問題を抱えているというご指摘がある中で、先ほど大貫委員が御提案された、作問の負担を各校にして、プールしていくということを考えてもいいのではないかという点について、そういう方向性も考慮しながら併せてお願いしたい点がございます。これは、実際の現場の担当教員からの意見を踏まえてということでもありまして、アンケートの中にも出ておりましたように、追試験が各法科大学院に委ねられているということの問題性です。つまり、本来であるならば、たとえ追試験であっても、共通到達度確認試験である以上、全国レベルの試験ということで、問題の質が一定のレベルが保証され、かつ内容も同一でないといけないはずです。それが、本試験を受けられなかった場合の追試験については、各大学院の教員が個別に作問して対応することになっており、特にコロナ禍ではこの問題が顕在化して、制度の趣旨にもとるような追試験をせざるを得ず、個別対応を迫られる現場の教員として非常に悩ましい問題です。ですので、作問についてどうするか、プールをしながら追試験にも対応することなどについても今後検討していただければという点を意見として申し添えさせていただきたいと思います。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。大変熱心な御議論をいただけたかと思います。
 私自身の個人の意見を申し上げさせていただくと、先ほど清原委員から言及があった10年前のこの議論の出発点となった未修者ワーキンググループの主査を務めさせていただいて以来、この共通到達度確認試験の実際の仕組みづくりのワーキンググループを、ずっと主査として努めてまいりました。その意味で、この試験については個人的な思い入れも非常に強いものがあります。
 今回のアンケート、あるいは今の皆様の御意見の中で、何よりも学修者の視点からという清原委員の御指摘があり、そういう観点から我々もこの制度を提案し、運用してきたものと理解しており、それが一定の成果を上げているということがこのアンケート結果等からも現れているということを、私自身は大変よかったと思っているところです。
 ただ、他方では、やはり作問負担の問題、これもつくるときからそういう議論があって、CDPとか医学部の仕組みを踏まえたものも考えていたんですが、結局それはなかなかこの法科大学院との関係では難しいだろうということで、現行のやり方、ある意味では古典的なやり方に落ち着いていったというところがありましたし、また、費用負担の問題も当初から意識されていたところなんですけれども、そこはある意味では必ずしも完全な解決策は得られずに、実際に試験を始めていったというところがございました。そういう意味では、やはり制度を当初つくったときの積み残しだった課題が、今、顕在化してきているという状況を見て、当時責任を負った人間としては忸怩たる思いもあるところではあります。
 ただ、できるだけ様々な工夫をしながら、制度を存続する意義はあるのではないかというのが、皆様の御意見だったように承りましたし、このアンケートの結果でもあると承りましたので、これは、片山理事長をはじめ、関係の皆様方には引き続き御苦労をおかけすることになろうかと思いますけれども、ぜひこの線で、まさに学修者の利点というものが貫けるように、この制度をよりよいものに発展させていっていただければなというのが、私の個人的な思いでもありますし、また、当委員会としてもそのような御意見ではなかったかと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、かなり熱心に御議論をいただきましたが、引き続きまして、議事の3のほうに移りたいと思います。
 法科大学院教育と司法修習との連携についてであります。
 この点につきましては、法科大学院協会におきまして、司法研修所と意見交換会、あるいは司法修習の傍聴といった活動を進めておられると伺っております。
 本日は、その活動状況につきまして、法科大学院協会の司法修習連携等検討委員会の和田俊憲主任から御発表をいただけるということですので、その御発表に基づいて議論をしたいと考えております。
 それでは、和田主任、よろしくお願いいたします。
【和田主任(法科大学院協会)】  ありがとうございます。法科大学院協会の司法修習連携等検討委員会で主任を務めております和田俊憲です。本業は、法科大学院教員でありまして、刑法を担当しておりますが、今回は、今、述べました委員会の主任の立場から、法科大学院協会において行っております司法研修所との連携活動について報告いたしたいと思います。
 資料3に従って説明申し上げます。
 まず、1.司法修習連携等検討委員会の活動内容の概要についてということで、この委員会がつくられるまでの前提状況と、その後、連携体制が構築されるに至る経緯について簡単に振り返っておきたいと思います。
 法曹養成における法科大学院と司法研修所との交流の必要性につきましては、これまでも認識されてきたところであります。現に、法科大学院と司法研修所との間では一定の交流がなされてきました。
 代表的なものは二つありますが、一つは、法科大学院協会の教員研修等検討委員会が、毎年、司法修習の傍聴と意見交換の企画を実施してきました。それから、もう一つ、法科大学院協会の執行部と司法研修所の間での授業見学や意見交換会といったものも、毎年二、三回実施されてきたと聞いております。
 そのような状況にありまして、近年では、法曹志望者の減少などから、プロセスとしての法曹養成の在り方について改めて見直したいという要請が、法科大学院及び司法研修所の双方において高まってきたところであり、さらに、今般の司法試験の在学中受験に係る制度改正によって、司法試験受験後の法科大学院3年後期における実務基礎科目と、それから、合格者について法科大学院の修了に引き続いて実施される司法研修所での導入修習、この二つの連続性が強く意識されるようになったところです。
 そのような流れを発展的に継承するものといたしまして、2020年の法科大学院協会の理事長メモにおきまして、司法修習との連携を強化し、法律実務基礎科目の在り方を見直すことがうたわれますとともに、それを担う委員会として教員研修等検討委員会を司法修習連携等検討委員会と改め、教員研修のほか、今後の司法研修所との連携の在り方について検討するものとされたところです。
 それに基づきまして、昨年の4月に司法修習連携等検討委員会が設置されまして、私を含めて、法科大学院の研究者教員2名、それから、実務家教員4名が委員に就任しております。
 昨年のうちは、連携体制の構築準備に当てられましたが、本年1月から連携の活動を本格化しております。
 (2)に進みます。本委員会の活動の柱は現在のところ二つあり、一つは意見交換、もう一つは修習の傍聴になりますが、これまでのところ、すなわち今年1年間は、3回の意見交換会と、1回の修習の傍聴会を開催しております。それぞれのデータについては、資料に載せたとおりになりますが、意見交換会につきましては、毎回、法科大学院協会側と司法研修所側と合わせて40名以上の参加がございました。さらに、来年7月には次の第4回も予定されているところでございます。
 ここからは、意見交換会と傍聴会のそれぞれの詳細について若干、説明申し上げたいと思います。
 資料の2.司法研修所との意見交換会についてです。これまでの3回の意見交換会において、法科大学院側と司法研修所側、それぞれが行った報告の具体的なテーマは、資料に載せたとおりですので、それについてさらに具体的に触れることはいたしませんが、ここでは意見交換会について、3点、指摘しておきたいと思います。
 一つは、当初、意見交換の一番の目的としていたところは、すり合わせの本丸という形で資料に載せている(2)の部分であります。法科大学院における教育と司法修習の接合点の付近、すなわち法科大学院の3年後期と導入修習の関係をどうするかというところが一番の本丸なわけですが、それのみではなくて、その外堀ともいうべきところ、すなわち、法曹養成プロセス全体を視野に入れたときに、その前半部分に当たる法科大学院の2年生までの教育や、あるいは司法修習の終わりに位置づけられている集合修習も検討の対象にしているということ。それがポイントの第1です。
 第2に、意見交換会におきましては、民事・刑事、両方を常に視野に入れながら意見交換を行っております。
 それから、第3に、毎回、法科大学院側と司法研修所側、双方から報告者が出まして、それぞれの実情等について情報共有し、それを基に意見交換、議論を行うという形式を取っております。
 これまで3回行っていますけれども、毎回2時間にわたってかなり熱い報告と議論が行われまして、毎回時間不足を強く認識するところですので、次回以降は時間を2時間半に拡張して実施することになっております。以上が意見交換会についてです。
 それから、もう一つの活動の柱であります司法修習の傍聴ですけれども、これは本年の2月と3月に集合修習の民事科目、刑事科目、それぞれ一つにつきまして、いずれも数時間にわたって実施することができました。これは、オンラインでリアルタイムで傍聴したものですが、修習自体がオンライン化したことによって、傍聴もオンラインで容易にできたということになります。
 このオンライン化によって得られたメリットの一つが、傍聴者が多数でも受入れ可能になったということです。かつては現地に行って傍聴していたわけですけれども、そこでは同時に傍聴できる人数というのがやはり限られるということがあったわけですが、オンライン化によってその人数の制限というのがかなり広がったということが一つ。
 それから、もう一つは、長時間の傍聴が可能になったということがあります。朝から夕方までずっと傍聴することができることになりましたので、この修習の傍聴については、相当充実した実施が可能になったということになります。
 それから、もう1点は、正面から傍聴の修習という形で実施したのとは別に、先ほどお話しした意見交換会の中で、修習の記録の動画を拝見するという機会がかなり多く得られまして、これは意見交換会の時間内のものだけでなく、意見交換会に先立って長時間の記録動画を提供いただいて、それを視聴して予習した上で意見交換会に臨むという形式も取ることになり、トータルで見たときの司法修習の傍聴というものが量的に相当多くなったという点でも、連携の充実が図られております。
 以上が、司法修習連携等検討委員会で行っている連携活動の具体的な内容ということになります。まだ1年行っただけですけれども、これまでに得られた成果について簡単にお知らせしておきたいと思います。
 成果と言いましても、これから述べますことは、委員会や法科大学院協会の公式見解ではありませんで、多分に私の個人的な気づきを含んだ主観的なものだということを前提にお聞きいただければと思います。
 まず、第1に、教育内容のつながり具合につきまして、大きな成果が得られたと考えております。具体的には、司法修習との関係で、法科大学院においては、具体的な手続のイメージ形成まで指導する必要があることが明確になったということであります。これは、意見交換会で直接やり取りをする中で分かったことでありますが、法科大学院教育と司法修習というものは、一般論として、その内容が大きく断絶してもいけないし、重なり過ぎても適切でないと考えられるわけで、そういう認識が当然前提にあったがゆえに、両者のほどよいつながり具合をすり合わせていこうということで活動しているわけでありますが、そのほどよいつながり具合の一つとして、法科大学院では手続のイメージ形成まで指導すべしということが分かったということになります。
 それを超えて、手続の理解を、法科大学院教育のどのタイミングで行うべきかについては、いろいろな考え方があると思います。3年の後期に行うというのが一つでしょうけれども、それに先立って行う理論学習と並行して手続の理解を深めるということも、手続の理解だけでなく、理論の理解を深めることにも資するでしょうから、それぞれの在り方については、各法科大学院の内部で追究すべきことになるでしょうが、その共通のラインといたしまして、先ほど述べたような必要性が確認できたことが、大きな成果の一つになります。
 二つ目は、正解が複数ある問題の重要性が改めて認識されたということです。司法研修所側の報告におきましては、民事・刑事の違いを超えて、実務法曹に要請される基本的な能力として事実認定能力があるとされ、それが重要なものであると定めた上で、その統一テーマに基づいた報告がかなり広く行われてきたのですが、その中で、事実認定を行う際に、その説明として、何か唯一の正解があるわけではなくて、説得的な事実認定の説明というのは多種多様であり得るということがかなり強調されておりました。それは、事実認定の局面における話ということになりますが、法科大学院における理論教育に引き直して考えてみますと、法科大学院において正解がある問題にだけ慣れていって、司法研修所に入って初めて複数のやり方があるということに強く触れると、その間の断絶というのが問題になり得ますので、法科大学院においても、今でももちろんあるとは思いますけれども、今まで以上に複数の説明があり得る中での説得力の強弱を意識するという問題にもっと重点を意識的に置くということが重要なのではないかと。そういう気づきを得たということです。
 第3に、法科大学院における法律基本科目の教育内容と方法についても、一定の気づきが得られました。一つは、先ほども出てきましたように、法科大学院生側が手続の具体的なイメージを持つことが重要なのであれば、教員も当然同じだということでして、私は、専門が刑事法だから特にそう思うのかもしれませんが、例えば刑法科目を教育するときに、どうしても実体法としての刑法にだけ目が行ってしまいがちですが、もう少し手続のことについても正しく深い理解をした上で、それを意識して教育することが必要なのではないかということで、これは、個人的には若干反省を迫られたということになります。
 それから、もう一つは、基礎理論の重要性が改めて確認されたということです。実務教育において、最先端の実務的な問題になればなるほど、新しい問題であればあるほど、これまでに正解が用意されていない問題だということになりますと、基礎に立ち返って考えることが強く要請されるということになりますので、やはり先に行けば行くほどかえって基礎理論の重要性が立ち現れるということがありそうです。現に、司法修習において具体的に行われている教育の内容の説明を受けたわけですけれども、その中では、基礎理論に立ち返った説明、教育というのがかなり強調されていたことに加えて、修習生の感想においても、そのような話を聞いて事柄の本質が理解でき始めた気がするなどといった感想が得られているということであります。それを法科大学院のほうで考えてみますと、法律基本科目において基礎理論というものが、やや弱いのではないか、もう少し重視して扱ってもよいのではないかということで、これも反省を迫られた点となります。具体的には、何かカリキュラムを変えるとかいう話ではないと思いますけれども、私が個人的に感じましたのは、3年次後期に演習を置くことができるのですが、そこで演習を開講した上で、あえて3年次の後期において刑法の基礎理論を扱う演習を実施するということを行いますと、その先につながる一定の効果があるのではないかということです。
 それから、第4、第5は、周辺的な話になります。第4の法科大学院間の協働の必要性についてということで、この間、法科大学院側と司法研修所との間の連携・協働に意識が置かれていたわけですが、その中で、具体的には、法科大学院で行う模擬裁判で使う教材を司法研修所から提供していただけると、非常に有用であろうという話が何度か出てまいりました。それ自体は、司法研修所との関係では、適切なものが用意できるかどうかという点でかなり難しいようなのですが、司法研修所から提供を受けることをまず第一に追求するのではなくて、法科大学院の間で協働して教材を作成するということをもっと追求していけばいいのではないかと思った次第です。すなわち司法研修所との連携が強まるにつれて、法科大学院間の連携・協働が不足しているという認識が得られたということになります。
 最後に人的交流の重要性ということで、この間、司法研修所の教官の皆様とかなり長時間にわたって交流をしてきました。全てオンラインではあるわけですけれども、交流を重ねることで顔が見える関係になりますと、法科大学院の教員側として修習をかなり身近に感じることになります。そのことを通じた意識改革というのがかなり重要な意味を持ってくるのではないかと感じております。連携の活動によって、修習に関して、確かに情報は得られて、どういうことをどのように教えているかは分かるわけですが、それ以上に、どういう方々がどれくらいの熱意を持ってどういうふうに教えているのかということを感じることが、法科大学院の教員にとっても重要だろうと感じている次第です。
 最後に、5.評価と今後の課題ですが、これまでの司法研修所との連携は、端的に言って非常に順調であると認識しております。それは、ここまで司法研修所側に非常にオープンな情報の提供と議論をいただいていることによります。中山所長、笠井前所長、一場事務局長のほか、関係の皆様に改めてここで御礼申し上げたいと思いますけれども、非常にオープンなやり取りをさせていただいていることが順調さの一番の基礎であると考えているところです。
 ただ、課題もないわけではございません。資料には5点の課題を載せております。
一つは、意見交換会の出席者は限られておりますので、そこで得られたことを法科大学院側でどのようにしたら広く共有できるか、そこを意識すべきだということです。根本的には、意見交換会への参加者を増やすことが重要だと思いますけれども、補充的には事後的な情報共有というものも考えていかないといけないと思います。
 第2に、これまでのところは大規模校からの参加がメインになってしまっておりまして、小規模校からの参加というのが不足ぎみなのですが、法科大学院教育の全体を検討対象にするということであれば、なるべく多様な法科大学院からの出席と参加を求めるべきであろうと考えておりまして、次回以降は小規模校からの報告も依頼することを予定しております。
 第3に、差し当たり連携の主眼としては、3年後期と導入修習のすり合わせに一番の焦点を当てているわけですけれども、より意識的に、法律基本科目も含めたプロセスとしての法曹養成の全体を検討対象に入れて見ていくことが必要であろうと考えられます。これは、司法研修所側からも、やはり実務家教員だけでなくて、研究者教員の出席がもっと欲しい、研究者教員から見た司法修習の在り方というものについても意見をもらいたいという反応を得ているところでして、双方にとって、研究者教員が出席することに意味があるだろうと考えられます。ですので、その出席が増やせるような具体的な方法を考えていきたいと思っているところであります。
 第4に、司法研修所に対するフィードバックが十分用意できないといけない、それが必要だということ、これが課題として認識されています。プロセスとしての法曹養成を法科大学院と司法研修所が担っているということで、両者の対等性を保った形で連携していくことが重要でありますので、現状、先ほどお話ししましたように、かなりオープンに司法研修所側から情報の提供を受けておりますために、どちらかというと法科大学院側が輸入超過になっているという印象がありますけれども、司法研修所からせっかく御提供いただいたものに対して、もっと積極的にそれに対するアンケートの結果を充実させて戻すということなど、フィードバックを増やしていきたいと考えております。
 最後に、第5点目も周辺的な話ですが、これまでのところ法科大学院と司法研修所の連携ということで、その主体同士のやり取りだけを行っていますが、その両者の教育を両方受けてきた修習の経験者からの情報も、もっと積極的に収集して、広報に役立てていく必要があるという課題を認識しております。もっとも、これは当委員会の役割を超えるかもしれませんので、法科大学院協会におけるほかの委員会とも連携しながら、今後、活動をさらに進めていきたいと考えているところであります。
 私からは以上です。
【山本座長】  詳細な御説明、ありがとうございました。それでは、今の和田主任の御説明に基づき議論をしたいと思いますが、最初に、パートナーといいますか、司法研修所事務局長のお立場として、委員会と連携して活動されておられた一場委員から御発言をいただければと思います。一場委員、お願いいたします。
【一場委員】  司法研修所事務局長をしております一場と申します。
 和田先生、この間の連携について適切にまとめていただきましてどうもありがとうございました。
 司法研修所としましても、法科大学院教育と修習との連携がとても重要であることは、よく認識しております。その連携の中身についてなんですけれども、抽象的、総論的な議論はもはや不要の段階でして、実際に個別具体的な教育の内容について議論していくべき段階かなと思っています。だから、こちらの修習の内容をオープンに提供して御議論いただいているということになります。
 この間、修習、特に司法研修所の導入・集合修習で教えている内容は、日々変化してきております。法曹の活動が多様化している中で、将来どの職業に就くかにかかわらず、法曹として共通して実務で必要とされる能力はどのようなものか、他方で、弁護士、検察官、裁判官ごとに実務で必要とされる能力はどのようなものなのかといったものを司研の中で議論し、日々、指導内容を改善してきております。
 集合修習、導入修習をオンラインで実施した効果の一つとして、講義を配信できるようになりましたので、それを活かして、最近の修習の講義の内容を法科大学院教員の皆様に広く御覧いただいて、その内容を理解して法科大学院での教育に生かしていただきたいと思っていますし、他方、修習の内容に問題があるのであれば、ぜひ御批判もしていただいて、フィードバックをしていただいて、相互に教育内容をよりよいものにしていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、この司法修習との連携の問題につきまして、どなたからでも結構ですので、また、御質問でも御意見でもコメントでも何でも結構ですので、御自由に御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
 加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】  和田先生、どうもありがとうございました。大変情報共有と議論が充実したものになっているという話を聞いて、すばらしいなと思った次第でございます。
 最後のところに、小規模校からの意見交換会への参加を増やすべきであることというお話もありましたし、記載されておりますけれども、小規模校の代表としてぜひ今後そういう方向を取っていただければと念願をいたします。
 一つ、この検討委員会の活動の方向性をちょっとお教えいただければ幸いかと思っています。いつまでの期間に、どこまでに、何かの法科大学院協会として答申を出すとか、何かそういう御予定がおありなのかどうかということを少しお聞かせいただければ助かります。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、和田主任から御説明があるかと思いますが。
【和田主任(法科大学院協会)】  ありがとうございます。現時点において、具体的な期限を決めて、具体的な成果物を見える形でつくり上げて世に出すということを計画しているわけではありません。
 ただ、一つは、タイミングとしては、在学中受験が行われて、その合格者が修習を経てというところまで、まだ制度の改変期ということになりますので、その間は現状を見ながら、変わり得るものを観察しながら、引き続き、同じように意見交換を進めていくという見通しです。
 もう一つ、何かつくると考えたときに、言語化が可能な事柄でないとなかなか成果物をつくることはできないことになるわけですけれども、この間の連携において、やはりその場に参加している者同士が、なかなか言語にするのは難しいけれども、お互いについてよく分かったという感想を持つというレベルでの交流がかなり続いているということもありまして、それは先ほど報告の中でも述べました、そこに参加していない方々とどう共有していくかという課題ともつながってくる問題ではありますが、今後、先ほど述べたその意識すべきタイミングとの関係で、その先に何かもう少し具体的にまとめられるものがありそうであれば、そういう計画をしていくことになろうかと思います。
 それは、委員会自体としてというより、法科大学院協会としてどうという話がもしかしてあるかもしれませんので、理事長のお考えも併せて伺えればと思います。
【山本座長】  ありがとうございました。片山理事長、補足いただけることはありますか。
【片山委員】  どうもありがとうございます。
 今、和田主任から御説明いただいた内容に尽きていると思います。法科大学院協会としましては、3プラス2と在学中受験の法曹養成制度改革の中で、これまで以上に、司法研修所の連携が重要であるとの認識の下、和田先生を主任とした司法修習連携等検討委員会の枠組みで、意見交換等を進めておりますが、直ちにその内容を何かの形で公表するということよりも、意見交換等への参加者の裾野を広げて、問題意識を共有することがむしろ重要だと考えております。ただ、おそらく、今、和田主任からもご指摘ありましたとおり、実際に在学中受験が始まりましたら、どこかの段階で、新しい法曹養成制度の3プラス2と在学中受験の総括みたいなものは、必ずしなければいけないかと思っております。
 そして、その中の最も大きな課題の一つが、司法研修所との連携になろうかと思いますので、シンポジウム等においてその成果を公表できるようになれば、大変ありがたいと思っております。それはちょっと先のことになりますので、私がどこまでそれに関われるかという点は別としまして、ぜひ協会全体としてそういう方向を検討していただければと思っている次第でございます。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。加賀委員、よろしいでしょうか。
【加賀委員】  承知しました。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】  時間のないところ恐縮です。和田先生、詳細な報告をありがとうございました。
 司法修習所と、長年、連携のための協議を続けておりまして、当初は法科大学院協会執行部と研修所の教官の方の意見交換会から始まって、近時は、本格的な、具体的な連携のために、司法修習の傍聴とか意見交換会という形で、先ほど和田先生からお話がありましたように、司法研修所は極めてオープンなお立場で、非常に広がりを持った連携になってきていると思います。私も御礼を申し上げたいと思います。
 課題としては、105ページの評価及び今後の課題のところで触れられていることかと思いますが、2020年から始まった司法修習の傍聴、非常に長い時間の導入修習とか集合修習の傍聴ができるというのは、非常に画期的で、私も傍聴しました。その経験も踏まえて申し上げますと、第1点は、この授業参観等への参加者を法科大学院協会としては着実に増やしていくことが求められるんだろうなという気はしております。これが第1点です。
 それから、105ページのところに、先ほど和田先生が適切に御説明され、卓抜な言葉でもおっしゃったんですけれども、こんなふうに書いてあるわけですね。法律基本科目を含めたプロセスとしての法曹養成制度全体を視野に入れた検討が必要だということと、司法研修所に十分なフィードバックが必要であるということをおっしゃっていて、法科大学院側がやや輸入超過であるというお話があって、私もそうではないかなと思っております。やはり法科大学院の側も授業をできる限りオープンにしていって、授業参観をしてもらうとか、その上で意見交換をするなどという輸出を増やすような努力も必要ではないかと、私は思います。
 実は、協会の執行部の意見交換会では、かなりの回、法科大学院の講義を授業参観していただいて意見交換をしておりました。それは非常に有意義であると。法律基本科目の教育の仕方がよく分かったという御感想をいただいていますし、法科大学院の試験問題を素材にして意見をしたことがございます。これも非常に盛り上がりました。
 ですから、輸入超過にならぬように、適切に輸出もしていくように、法科大学院側の講義も、どのような形からできるか難しいんですけども、オンラインでの授業をやっている場合もありますから、オープンにしていくという形で、より一層、プロセスとしての法曹養成に向けた連携の在り方を模索していただけないかと思っております。
 ないものねだりとは存じますが、意見を申し上げました。
【山本座長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 大変有意義な、また、実質的な形で司法研修所と法科大学院協会との連携が図られて、情報共有が図られているということを伺いました。
 この点は、まさに理論と実務のかけ橋である法科大学院と、まさに実務側の養成の中核機関である司法研修所というものが密接に連携していかなければならないというのは、司法制度改革のまさに趣旨にかなったものと思われますので、ぜひ引き続きこのような活動がより実質的な、今、大貫委員からも御指摘がありましたけれども、法科大学院側からも多くの教員が参加し、また、輸入超過ということではなくして、実質的な連携が図られていくことを期待したいと思います。
 それでは、よろしければ、引き続きまして、議事の4、第11期の議論のまとめ(素案)についてに入りたいと思います。
 本日は、事務局において、これまでの議論を踏まえて当期の議論のまとめの素案を作成していただいておりますので、事務局から資料を説明していただいた後、審議をしていただきたいと考えております。
 ただ、最初に申し上げますと、この後、さらに議事の5及び6というのがありまして、これは一定の時間を必ず取りたいと思っております。
 他方で、この議題については、次回が当期の最終回と想定されているわけですが、次回、この点を中心的なテーマとして議論をしていただくわけですし、また、御意見等がある場合には、次回との間にも、事務局のほうに御意見等をお知らせいただくということもお願いしたいと思っておりますので、恐縮ですが、本日につきましては、おおむね18時ぐらいをめどとして、その範囲で議論をしていただきたいと考えております。これは、もちろん御発言を制限する趣旨ではありませんので、ぜひ御発言すべきことは御発言いただきたいということは一方であるわけですが、そのような時間的な制約もあるということを最初に申し上げさせていただければと思います。
 それでは、まず、事務局のほうから、資料4-1、議論のまとめ(素案)につきまして、説明をお願いしたいと思います。
【森下専門職大学院室長】  ありがとうございます。事務局でございます。
 通し番号107ページ、資料の4-1を御覧ください。
 第11期の議論のまとめ~法科大学院教育のさらなる充実と特色・魅力の積極的な発信について~ということで、素案をまとめさせていただきましたので、私のほうからかいつまんで御説明をさせていただきます。
 まず、御覧の1ページ目は、本期の経緯を記したものでございまして、中央の四つの丸は今期の冒頭で御確認をいただいた審議の基本認識の概要をまとめたものとなってございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目からが本題でございます。
 まず、1ポツの新たな一貫教育制度、いわゆる「3プラス2」について述べてございます。
 まず冒頭で、新たな制度でございますので、今後の創意工夫を含めた取組状況の把握、共有に努めまして、着実に実施していくよう求めております。
 その上で(1)の多様な意義・可能性についてということで、「3プラス2」の制度のメリットといたしまして、時間的、経済的負担の軽減があるわけですけれども、一つは、そのことによって法科大学院の趣旨、特色が失われることのないように留意するよう御指摘をいただいていたかと思いますので、それを述べてございます。
 それに加えまして、3ページ目にかけてですけれども、「3プラス2」のメリットとして、時間的負担、経済的負担の軽減以外にも多様な意義、例えば教育課程の一貫性ですとか、実務家の教員、法科大学院の先生が学部生を教えることによるメリット、あるいは、未修者コースの学習との連携を図ることで相互の質の向上につながるのではないかということ、さらには、法科大学院のない学部に法曹コースができることで、全国的な法曹養成に資する、こうした多様な意義や可能性も強調されるべきであるとまとめているところでございます。
 また、(2)は、その質の確保・向上と広報の必要性について述べております。法曹コースの質の確保につきましては、法科大学院、法学部の双方において、不断の改善・充実に努めることが必要であるということを、109ページから110ページにかけて述べているところでございます。その上で、私ども文科省においてもその状況を継続的に把握していくことが必要だということを御指摘いただいています。
 また、そのすぐ下、4行目でございますけれども、その政策的な評価につきましては、法曹コースを経て早期卒業した学生の入学者数や司法試験合格率などの短期的な数字だけで安易に判断するのではなくて、中長期的に把握していくべきだという御指摘をいただいたかと思いますので、その旨を添えているところでございます。
 1行開けまして、広報の必要性でございます。始まったばかりの制度でございますので、高校生や法学部生に対して積極的な広報が必要である旨と、併せて高等教育の無償化制度をはじめとする就学支援制度の対象にもなる旨、併せて広報することが必要であることについて言及しています。
 以上が「3プラス2」、新たな一貫教育制度についての議論のまとめでございます。
 続きまして、5ページ目、通し111ページ目を御覧ください。
 法科大学院等の教育の充実ということで、今期は、ここまでにICTの活用状況と在学中受験に向けた教育課程の検討状況につきまして、各調査をして御報告をいたしまして、御議論いただいたところでございます。
 (1)ICTのところでございますけれども、コロナが収まりつつある中でも、引き続きICTの技術の活用が続いておりまして、オンライン授業の工夫をファカルティ・ディベロップメントの中で共有したり、予復習の教材を事前に共有する、あるいは授業以外の場面でも活用しているという状況が報告をされたところでございます。議論の中では、ICTを活用することで海外・遠方の弁護士さんなどの話を聞く機会を得ることができたり、あるいは遠方の修了生の方に補助教員をお願いしたりということで、そういう協力を得ることができるなどの御意見をいただきましたので、それも追記をしつつ、今後もICTの活用の推進を進めていくよう、6ページ目で求めているところでございます。
 また、(2)でございます。在学中受験に向けた教育課程の工夫といたしまして、その下に、各学校の取組の検討状況の報告を受けたところでございまして、法律基本科目を前倒したり、試験のある6・7月の授業負担を軽くするなどの各校の状況が報告をされたところでございまして、6ページ目から7ページ目にかけて列挙しているところでございます。
 これに対しまして、当委員会では、法律実務基礎科目や展開・先端科目といった法科大学院ならではの授業がおろそかにならないようにとの指摘であるとか、クオーター制を引いている学校がございましたので、その効果については引き続き注視すべきであるとか、あと、試験の合否に応じた配慮についても引き続き検討していくべきという御指摘をいただいたところでございます。
 本件につきましては、まだ今回が初めての取組と検討状況でございますので、今後も各校の創意工夫を文科省や法科大学院協会など関係者で共有していくよう求める記載としているところでございます。
 一番下の(3)のところに、ただいまヒアリングをしていただきました司法修習との連携について、次回までに追記をしたいと思っております。
 続きまして、8ページ目でございます。
 未修者教育の更なる充実についてというところでございます。
 今期は、法曹養成ネットワークさんのほうに受託研究を進めていただきましたので、その研究の報告を中心に8ページ以降にまとめているところでございます。詳細は割愛いたしますけれども、8ページ目の丸1 で、まず、一つ、法律基本科目に係る授業の在り方といたしまして、アクティブ・ラーニングやスモール・ステップといった授業の工夫を御報告いただきました。
 また、9ページ目の丸2 入学前の導入的教育手法というところでは、動画教材の活用の可能性について御報告があったと思います。
 また、次の10ページ目の丸3 のところ、補助教員の組織的・機能的な活用についても御報告をいただいたところでして、その当時、5月だったと思いますけれども、その報告の概要をまとめているところでございます。
 その上で、10ページ目の27行目、一番下のところからが当委員会での議論のまとめでございまして、まずはこの有意義な成果を各法科大学院に共有すべきことを述べた上で、次の11ページ目、「このように」の節でございますが、今回のこの三つの研究成果は、相互に相まって特に効果を発揮すると考えられるということで、この全体を見渡した議論が引き続き進められるべきであるという御指摘をいただきました。
 また、今回の研究は、法科大学院協会さんの御協力の下でたくさんの法科大学院の先生方が参加して進められたというわけでございますけれども、今後も法科大学院や科目の枠を越えて議論がなされることが期待されると添えているところでございます。
 また1枚おめくりいただきまして、12ページ目は、社会人学生に対する支援について述べているチャプターでございます。今期は、日本大学、筑波大学、両法科大学院のヒアリングを行いまして御議論いただいたところでございまして、12ページ目から13ページ目にかけまして両大学院の取組を御紹介しております。
 13ページの下から14ページにかけてでございますが、「例えば」のところ、オンデマンド方式の遠隔授業であるとか、長期履修制度の柔軟な運用、履修プログラムや科目等履修による入学前の単位取得の推進といった取組につきましては、夜間に限らず、社会人学生の支援として有効であるのではないかということを指摘した上で、こうした取組については、引き続き、加算プログラムの中で積極的に評価していくべきということを指摘しているところでございます。
 最後、(3)の共通到達度確認試験の在り方につきましては、先ほどの御報告を踏まえて追記をしたいと思っているのと、15ページ目、(4)のところでは、未修者についても合格率が非常に上がってきているということについてもここで言及をいたしておりまして、それに加えて、未修者については、特に学習意欲の維持向上が重要であるという旨、御指摘をいただいておりましたので、この未修者教育に係る議論の過程でいただいた御指摘を最後にまとめまして、章を締めているところでございます。
 駆け足で恐縮でございますが、続けます。
 4ポツのところでございますが、複数の法科大学院の連携についてということで、金沢大学、岡山大学の取組について御報告をいただいたところでございます。
 16ページに、両大学の取組を御紹介した上で、16ページの下から2行が当委員会の議論のまとめということで、例えば共同開講科目であるとか、単位互換の制度を活用することであるとか、これによって学生の履修の幅が広がるということ、あとは複数の異なる環境の法科大学院の教員で合同FDを行って質の向上にも資すること、さらには、学生の交流によって互いに刺激を与えて学習意欲の維持向上にも資するということ、これらについて列挙しておりまして、他の法科大学院においてもこうした連携を一層推進していくことを期待したいとまとめているところでございます。
 13行目、5ポツでございますけれども、地域の自治体や法曹界、産業界との連携についてということで、これにつきましては、法科大学院に附属組織を設けまして地域貢献をしているという岡山大学の取組を御報告いただきまして、皆様に御議論いただいたところでございます。自治体や法曹界と連携して、勉強会、講演会を開催したり、地元の経済界と協力して法曹のニーズをつかんで、ふさわしい修了生を送り出すということが報告されましたので、17ページから18ページにかけてそういった取組についてまとめているところでございます。
 この議論のまとめといたしましては、18ページ目の17行目になりますけれども、法科大学院の法曹養成機関という役割にとどまらず、法的な知識や技能を有する人材を地域社会、経済社会とつなぐ結節点としての法科大学院の役割を強調した上で、ほかの法科大学院においてもこうした取組を参考にして、魅力ある法科大学院として存在意義を高めていくことが必要ではないかと締めているところでございます。
 最後に18ページ目、6ポツは、法科大学院の魅力、特色の積極的な発信についてというところでございます。
 法科大学院の入学者数につきましては、昨今、横ばいから微増傾向になりつつあるところでございますが、法科大学院の志願者、法曹志望者を増加させていくことが非常に肝要でございまして、既に関係者で連携して情報発信に努めているところですが、今後も推進していくべきという指摘を記載してございます。
 その際には、7行目以降でございますが、司法試験の合格率について、前回御報告したとおり年々向上していること、特に修了後1年目で、1度で合格をする方が5割を超えて、3年目には7割を超えるに至っているという事実につきましては、広く社会に丁寧に説明していくべきであろうということ。
 一方で、「他方において」という12行目ですが、委員の皆様から御指摘いただいたとおり、合格だけを目指すのが法科大学院ではございませんで、法律実務基礎科目や展開・先端科目といった様々な取組が行われていますし、授業以外の面においても、大学によっては留学や海外派遣に力を入れていたり、ここまでに御紹介したような未修者支援であるとか、地域との連携であるとか、様々な創意工夫が行われていることについて言及をしてございます。こうした創意工夫につきまして、文部科学省において継続的に情報収集をし、他の法科大学院と共有したり、あるいは加算プログラムの中において積極的に評価、支援をしていくということを通じて、促進、発信していくことが必要であろうということを指摘いただいたと思ってございます。
 また、最後の20ページでございますけれども、1行開けて11行目のところでございますが、議論の中で法科大学院修了生の進路につきましても御指摘をいただいていたかと思います。いわゆる法曹三者が進路の中心でございますけれども、いわゆる訴訟に関わるだけでなく組織内弁護士であるとか、学校や福祉施設といった非営利組織に所属する法曹の方々も増えているわけでございます。また、企業の中では、多様な法的なニーズに対応するために、ここでは国際、デジタル、環境、知的財産と挙げてございますけれども、多様な分野で、訴訟以外の場面でも対応できるように、法曹資格の有無にかかわらず、法律学を専門的に学んだ人材が求められていると指摘をいただいておりました。コーポレート・ガバナンスという観点からも、経営者や法務などにリーガルマインドが求められるとの指摘もあるところでございます。
 このように、法科大学院を修了した後のキャリアパスは、法曹三者のみならず、非常に多様であるということにつきまして、ページをまたいだところでございますが、21ページ目、これを学生に対してしっかり明示していくことが必要である旨を指摘するとともに、これらの進路につきましては、法学部生だけでなくて他の学部生、あるいは高校生にも発信をしていくことが重要であるということ、また、その際には、修了生や現役生の協力を得るといった工夫も効果的ではないかという御指摘をいただきましたので、添えているところでございます。
 最後に後書きですが、次期に向けた引継ぎという形になります。次期が3プラス2をはじめとする法曹養成改革の真価が見え始める重要な時期であるということ、これらの状況を把握して必要な改善を進めることが必要であるということを指摘いただいた上で、繰り返しになりますが、短期な結果だけではなくて中長期的に評価すべきであることを述べています。
 また、今後は、課題や問題点だけではなくて創意工夫、長所、こういったものを積極的に取り上げていくべきことを指摘した上で、最後に、私どもを含めた関係者の連携の下、法科大学院教育のさらなる充実を期待して末尾としているところでございます。
 駆け足で大変恐縮でございました。以上でございます。御審議のほどお願いをいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、審議に入りたいと思いますが、まず最初に、社会人学生に対する教育に関する知見について、酒井委員のほうから資料4-2を御提供いただいておりますので、酒井委員からこの点について御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【酒井委員】  ありがとうございます。酒井です。
 今期取りまとめの議論に当たっての情報提供といたしまして、この間、日弁連法科大学院センターにて実施をいたしました社会人経験者の法科大学院修了生の実情等についてのアンケート調査、及びこれに附帯して行われました社会人経験のある法科大学院修了者に対するヒアリングの整理について御報告をさせていただきます。
 資料4-2からを御参照ください。
 今期中教審では、筑波大学及び日本大学の御協力をいただきまして、夜間コースを設置する法科大学院からのヒアリングが実施されましたが、御紹介するアンケート等によってユーザーである学生側の生の声を補うことで、より有効な改正案等の提言につなげることができればと考えるところです。
 本アンケートは、日弁連法科大学院センターにおいてかねてから実施が検討されていたものですが、今期中教審の議論に有益な情報を提供可能とする観点から、本委員会への提供も視野に入れて、短期間のハードなスケジュールの中、全国の多数のセンター員に御協力をいただいて実施をいたしました。所属センターに対してではございますが、御協力をいただいた皆様にまずこの場で御礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 アンケート結果の集計については、131ページからを御覧ください。
 第1に回答者の特定、また、134ページからの第2に、法科大学院進学の経過について、また、140ページからの第3では、入学前の社会人に対する支援として何が有益かという観点から調査をしております。
 御覧いただけるとおり、様々な指摘がありましたが、社会人の法科大学院進学者増の対策としては、いわゆるお試し受講に関連をして、単に受講できるだけという制度よりも、これに単位を附帯させる制度のほうが有効であるという調査結果となりました。また、通信制法学部への法曹コース設置についても有効との回答が多くございました。
 145ページからの第4では、入学後の社会人に対する支援について回答を求めております。
 経済的支援はもちろん、オンライン授業の開講についても、これを有益とする回答が複数ございました。さらに、オンライン授業の有効性については、在職社会人の方のほうがより有効と回答している経過があったことを指摘させていただきます。
 アンケート調査内容の御紹介は以上となります。
 次に、149ページからの当アンケートに附帯して実施されましたヒアリングの整理について、簡単に御紹介をさせていただきます。
 ヒアリングの趣旨説明については、冒頭部分を御参照ください。
 ヒアリングした意見は多岐にわたりますけれども、今期の審議を踏まえまして、ICTの活用と補助教員の活用について、テーマを絞って提供させていただくことといたしました。
 まず、ICTの活用については、オンラインでの単位取得を可能とし、長期履修を許容することの有用性ですとか、オンライン授業を中心としつつ、レポートなどで補充する仕組みの有用性、また、予備試験合格はハードルが高いため、オンライン授業を中心とした法科大学院には需要があるのではないかといった意見などの肯定的な意見がございました。
 オンデマンド授業についても、繰り返し授業を視聴できることの有効性ですとか、オンデマンドを中心として、双方向性が必要な範囲でリアルタイム資料を併用することによって、夜間土日開講の実現が可能なのではないかという点などがメリットとして指摘をされました。
 ICT活用の課題としては、座学的な要素の強い授業のみをオンラインにするなど、使い分けをするべきであるとか、エクスターンや模擬裁判、クリニックなどの臨床実務科目は、有益である一方で、オンライン授業にはなじまない。そのため、使い分けが必要なのではないかなど、対面授業の有効性も踏まえて、ICTと座学の使い分けが必要だろうとの指摘がありました。
 補助教員の活用については、社会人は、学部から進学した法科大学院生とは年齢や考え方、環境のそごによって孤立しがちであること、これを補うために補助教員の活用が有用という意見ですとか、社会人経験者は年齢、家庭環境、経済面などの問題を抱える傾向があるため、社会人特有の補助教員のサポートが必要であるといった、サポートを求める意見が多くございました。
 以上、駆け足になりましたが、アンケート調査内容とヒアリング整理の御報告となります。
 以上の報告を踏まえまして、主に社会人学生に対する教育に関連する部分について、3点ほど併せて意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、社会人経験者の声を踏まえますと、やはりICT活用について積極的な意見が多くございました。
 さらに、夜間ロースクールが限られる状況の中での進学の困難さを指摘する声ですとか、このような状況を打開する観点から、ICTを活用して社会人が受講可能な体制をつくれるのではないかという踏み込んだ指摘もございました。
 これを踏まえ、夜間ロースクールだけではなく、昼間ロースクールに少しでも社会人学生の受皿を増やしていく。これを可能とするために、ICTの活用を推し進めていくということが非常に重要と感じるところです。
 今後もこのような横展開を意識し、改革を進めるべきであろうと考えます。これに当たっては、ウェブ授業の精度を高めていく。そのために、ロースクール間での情報共有を進めていくということが非常に重要かと思いますが、既に本年8月、日弁連主催のウェブ授業シンポジウムが開催されておりまして、有効な知見の共有が始まっているところであろうかと思います。このような取組については、今後もぜひ継続をしていただきたいと思います。
 さらに、臨床教育について、座学実地での学習が必須という声もございました。この点は非常に共感するところで、ICTを活用すべき科目と、従来型の講義を行うべき科目など、より精緻な検討が必要と考えるところです。
 また、補助教員の活用については、社会人学生特有の悩みをフォローするために、やはり社会人経験者の合格者からのサポートを可能とする体制の構築を求める声がございました。通常、昼間の学生のニーズと比較して、よりメンター的な要素が強かろうと思われるため、そのケアが可能な人材が求められており、やはり社会人経験者でなければ難しいという実態があろうかと思います。
 一方、リソースに限界があることが課題かと思いますので、法科大学院を超えて人材を共有する体制の構築が真摯に検討されるべき段階が来ていると感じております。
 最後に1点ですけれども、アンケート、ヒアリングにも表れている特徴の意見としまして、法曹界の就職事情として社会人がどのように求められているのかという情報発信が欲しいという意見が複数ございました。これは、主に法曹界側の問題でもありますけれども、社会人経験者のまさに経験を評価するという価値観の拡充ですとか、さらに、社会人経験者に対する社会のニーズの発信及びその採用への反映など、法曹界サイドとしてよりポジティブに社会人を入れ、その情報を発信していく取組が必要と考えるところです。こちらについては、情報発信に関するテーマの一環として指摘させていただきたいと思います。
 駆け足になりましたが、私からは以上になります。お時間ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、この資料4-1、まとめ(素案)についての御議論をいただきたいと思います。どの点についても結構ですので、また、御質問、御意見、何でも結構ですので、御自由に御発言いただければと思います。
 笠井委員、お願いします。
【笠井委員】  すみません、どの点でもということなので、ちょっと後ろのほうの話で申し訳ないんですけれども、社会人のお話でもありませんが、126ページの法科大学院修了後の進路の話の中で、一番下から4行目ぐらいからの法科大学院修了後に博士課程を経て研究者になるというお話が出てきます。ここに書いてあることは、中川委員が前におっしゃったことで、そのとおりだと思うのです。それで、そこには教育の話が書いてあり、教壇に立ち後進の育成に努めると書いてあるのですが、大学の教員で研究者になっているわけですから、研究の話もちょっと書いていただけたらなと思っております。具体的な修文案はお任せしますが、例えば「努めるとともに、法律学や法制度の発展に資する研究を行うという選択肢もある」とか、そんなふうに書いていただければありがたいなと思っております。
 と言いますのは、今日の研修所との連携の話とも少し関係するのですけれども、法科大学院という大学が実務家養成の中に入るという、そこにおいて、法律学という面でも、例えば実体法と手続法の両方をきちんと学ばなければいけないとか、あるいは公法と私法の両方をきちんと勉強するという過程を経ることになります。その上で、何らかの専門性のある法律学の研究者になるという方が実際、かなりの方が出てこられていて、既に中堅の域に達している方もいらっしゃるわけです。そういう方には、広い法の分野にまたがった研究もされている方が結構いらっしゃって、法律学の発展などに非常に貢献しておられると思うんですよね。
 それから、未修者の出身で、法科大学院を経て研究者になっているという方もいらっしゃって、そういう方というのは、未修者として学部時代に勉強したことの知識も生かして、法律学の研究をされているというところもありますので、そういったことも含めた意味で、少し研究的なことも入れていただければなと思ったところです。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございます。重要な点の御指摘で、私も法科大学院出身の研究者の論文、著書等を時に読んで、同様の感想を持っておりますので、ぜひそういう点も発信していただければと思います。
 それでは、富所委員、お願いいたします。
【富所委員】  ありがとうございます。私からも書きぶりで1点だけ申し上げたいと思います。
 まず、適切な案をまとめていただきまして、どうもありがとうございました。
 私からは、125ページの10行目、それから、126ページの4行目ですかね。いずれも書かれていることはそのとおりでありまして、全く異論はないのですけれども、「司法試験合格のみを目指しているわけではなく」というところと、「司法試験の合格だけではなく、法科大学院で学ぶ意義」というところは、やはり学生さんたちの立場に立つと、受かるか受からないかが切実な問題でありますし、「合格だけを目指しているわけではない」というニュアンスが出てしまうと、やや誤解を招くかなという気もしました。文案はお任せいたしますが、例えば「司法試験の合格はもちろん、それにとどまらない意義」とか、何かプラスアルファの付加的な意味で書いていただいたほうがいいのではないかなと思いましたので、1点申し上げました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。これも大変重要な御指摘だと思いますので、事務局において検討していただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。最初に、私が発言を制約するようなことを申し上げてしまったので発言がしにくくなっているかもしれませんが、まだ時間はありますので。
 北川委員、お願いいたします。
【北川委員】  ありがとうございます。109ページの(2)の法曹コースの質の確保という項目について、法曹コースを持っている大学は、その教育の質の向上を、質を保証すべきだという言及がございますが、併せて、各大学に対しては、法曹コースの教育の質とともに、その成績評価についても客観性を持った厳格なものを保証してほしい旨も書き添えていただければ大変ありがたいと思った次第です。
 以前にも委員の中から同様の趣旨の御指摘があったかと思いますけれども、法曹コースの特別選抜枠の入試のうち開放型選抜では、一応論文試験を課すんだけれども、学部成績を重視する形で選抜が実施されますので、その前提として、ぜひとも法曹コースを持っている法学部の成績評価の信頼性を担保していただきたい。その必要性を適正な入試の審査が行われることとの関連性でも御指摘をいただけると、大変ありがたいと思った次第です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、松下委員、お願いいたします。
【松下委員】  松下です。先ほどの富所委員の御指摘があったところですけれども、125ページの12行目、「司法試験のみを目指しているわけではない」という部分は、14行目の「法曹を養成する」というところにつながり、司法試験の勉強だけではなく、いろんな勉強をして法曹を養成するということなので、司法試験の合格プラスアルファのことを勉強すべきだという文脈で、先ほどの富所委員の御指摘は、ここはそのとおりだと思います。他方で、126ページの4行目以下というのは、法科大学院の勉強は司法試験の合格だけじゃなくて、そうは書いてありませんが、仮に合格しなくても法務博士の学位を得ることで世の中で活躍できるということを広く言っていかなければいけないということなので、ここはプラスアルファにすると意味が変わってしまうように思います。したがって、そこを少し意識して書き分けていただけたらいいかなと思いました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。適切な御指摘かと思います。
 それでは、髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋委員】  ありがとうございます。一橋大学の髙橋でございます。
 一貫教育について一言申し上げさせていただければと思います。
 法曹コースの把握、評価につきまして、中長期的な動向を見ていただくということの明示は大変ありがたいところだと存じております。
 また、110ページに、文部科学省のほうでも法曹コース修了者の進学等の状況など、新たな一貫教育の実施状況を継続して把握することが必要とございまして、これはぜひ定期的に進めていただきたいと存じております。
 これと併せて、法曹コースの周辺にある制度であるとか、そのコースを取り巻く状況等についての調査把握の試みをお願いできればと存じます。例えば質的保証のお話が先ほどありましたけれども、質的保証の要請に応えようと法曹コースのカリキュラムを厳格化すればするほど、法科大学院生と異なり法曹のキャリアがまだ多数ある選択肢の一つにすぎない段階の学部生にとっては、かなり負担感が重くなっておりまして、期間短縮という点では予備試験という別のルートもございますので、そもそも法曹コースを選択しないという現象が出てきているのではないかと推測いたします。法曹コース所属の学生の調査では、それらの学生は調査の対象にならないということになってしまいます。バランスの取れた制度設計をするためには、こうした周辺の状況の調査というのも無関係ではないと存じますので、情報把握の仕方には工夫が必要とは思うのですけれども、ぜひ追加的に御検討いただければと存じております。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。これも重要な御指摘であったかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。まだ時間はあります。御遠慮なさる必要はないのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 今日の段階では、もしよろしければ、先ほども少し申し上げましたけれども、この資料について、今日、御説明いただいたわけですので、また、もう一度お読みいただいて、お気づきの点、どんな点でも結構です、中身にわたる点でももちろんですし、言い回し、書きぶりの点でも結構ですので、次回の会合までの間に事務局にお寄せいただければ、事務局のほうでそれを反映する形で最終案を作成してもらいたいと思いますので、どうか引き続きこの点について御意見等、お寄せいただければと思います。
 それでは、本日はこの程度にさせていただいて、事務局におかれては、次回に向けて、本日の意見、あるいは今後お寄せいただく意見を踏まえて、最終的な案を作成いただき、次回の当委員会に御提出をいただきたいと思います。それを踏まえて次回の議論をしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議事の5、令和6年度以降の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」についてに移りたいと思います。
 資料5は、令和5年度をもちまして加算プログラムの取組期間が終わるということですので、令和6年度以降、本プログラムをどのように進めるか、事務局のほうで作成した案になりますので、これにつきまして事務局から説明をいただいた後、御議論をいただきたいと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  ありがとうございます。事務局でございます。
 通し番号の153ページが資料の5でございますが、先にプログラムの仕組みについておさらいをさせていただけたらと思いますので、少しだけ繰っていただいて、157ページのポンチ絵を御覧いただけますでしょうか。配分率の算出イメージというペーパーでございます。
 めり張りある予算配分を行うことで各法科大学院の創意工夫を促し教育力の向上を図るというものでございまして、昔は、毎年、取組実績を評価していた時期もあったんですけれども、現在のプログラムは5か年の中期計画を各法科大学院に策定いただきまして、その進捗を評価する仕組みになっています。
 予算の配分につきましては、下の図のようになっていまして、大きく基礎額算定率と加算率とに分かれております。下の青い部分、基礎額となっている部分ですが、基礎額算定率は、左下にありますような司法試験合格率とか入学者数といった客観的な指標に基づきまして分類を行いまして、90%からゼロ%までの率が与えられるということです。また、加算率、ピンク色の上の段ですけれども、こちらのほうは、各法科大学院に、先ほど申し上げた機能強化に向けた5か年の中期計画を数値の目標KPIとセットで提案をいただくということで、その達成状況に応じて毎年50%からゼロ%の率が与えられるところでございます。
 この基礎額算定率と加算率の合計で最大140%まで予算が増えることもありますけれども、合格率などが低かったり、5か年計画に掲げた取組の進捗状況が悪かったりすると、本来もらえるはずの予算を下回ることがあるという仕組みでございます。
 現在の中期計画は、令和元年度からの5年間ということになっていまして、今年が4年目です。来年度が最終年度を迎えますので、その次の令和6年度からの次期プログラムにつきまして、早めに各法科大学院に方針を示しまして、令和5年度中に計画を立てていただく必要があるということで、本日、方向性をお諮りするものです。
 1ページお戻りいただきまして、156ページ目を御覧ください。
 検討に当たりまして、この間、複数の法科大学院にヒアリングを行いまして、率直にこのプログラムについてどう考えるか、課題はないか、そういった意見を賜ったところでございまして、その概要でございます。
 そこにお示ししているように、頑張れば補助金を増額してもらえることがありがたいという御意見であるとか、あと、各法科大学の5か年の取組を全てオープンにしていますので、他大学の取組事例を参考にして取り入れているという御意見もありました。また、加算プログラムの評価を学内でのアピールに用いているという御意見も賜ったところでございまして、今回意見をいただいた法科大学院では、効果的に活用しているという声をいただいたところでございます。
 他方、評価方法につきましては、現状の司法試験合格率の重要性は理解をいただいておりますけれども、法科大学院制度ならではの取組についても評価してほしいという声、あとは、KPIだけでなく、定量的な評価になじまない取組も評価してもらえないかという声があった一方で、最後のポツですが、評価方法をあまり大幅に変えないでほしいという負担への配慮を求める声もあったところです。
 以上を踏まえまして、令和6年度以降の方針についてお諮りをしたいんですけれども、資料5の153ページ目にお戻りいただきつつ、冒頭の経緯は今御説明したようなこれまでの経緯ですので、2ポツからが方向性の案でございます。
 この加算プログラム、実際に合格率が向上いたしまして、各法科大学院も有効に活用している様子も分かりましたので、このまま継続をしていきたいと思っているところでございます。
 また、一方で、合格率以外の法科大学院ならではの取組の部分を積極的に評価することが必要であると考えていまして、また、次のページですが、定量的に評価できるものだけでなく、定量的に評価しにくい取組を後押しする仕組みも考えたいと思っているところでございます。
 具体的には、3ポツの配分率等の算定のところを御覧ください。
 冒頭にございますとおり、配分率の算定につきましては、現行の算定方法を基本的に維持しまして、基礎額算定率と加算率を合算したものという形は変えない。変更点といたしまして、新たにこの最後の(2)のその他の評価という部分を設けたいと考えてございます。この後、御説明します。
 まず、配分率のところですが、基本的に維持するわけですけれども、客観的な指標、下の四角が現行の加算プログラムの指標で、これに基づいて90%からゼロ%を判断しているんですが、一部、司法試験合格率などはこの政府目標の進捗に合わせて、今70%であるのを75%に変えるとか、こういった必要な調整などを行いたいと思っているところでございます。
 次のページの155ページ目、今度は加算率のほうでございます。これにつきましても、同じような形で中期的な5か年を今想定していますけれども、中期的な取組とKPIをパッケージとして提出いただくということ、その進捗状況を評価していくことについては変更せず、ただ、その際には、ちょうど議論のまとめで各法科大学院の取組を今回まとめますので、こうした特色ある取組について中期計画と目標の設定を促していきたいと考えているところでございます。
 最後、この今回の変更点は(2)のところでして、今度のプログラムからは、定量的な指標では評価しにくい取組につきまして、5か年計画の中にこれについてもKPIなしで記載いただきまして、配分率の算定のための評価とは別に、予算とは切り離して、加算プログラムの審査委員から、講評、コメントなどをいただいて、定性的な評価をいただくことでその取組を後押ししてはどうかと考えているところでございます。あえて予算配分と切り離すことで、数値目標の立てにくい取組であるとか、成否の分からない挑戦的な取組であっても積極的に計画に記載してもらって、審査員の評価を得ることで、例えば学内でのPRであるとか、対外的な広報とか、そういったことにも活用していただくことができるのではないかということで、後押しを試みたいという趣旨でございます。
 最後に、1点補足でございます。先週、加算プログラムの今年度の審査の会がございまして、加算の審査の審査委員の皆様にも、この案は示さずにフリーに御意見をいただいたところでございます。2年間審査を賜っておりましたので。審査員の皆様からも、プログラム自体については、実際に成果が上がったり、特色のある取組が進むことや対外的な発信にもなるということで非常に優れた仕組みであると、お褒めの言葉をいただいていたところですが、改善点として、今後に向けて、例えば法曹コースの成果をどのように今後評価していくべきなのかも引き続き検討してはどうかということ、あるいは、加算率のほうのKPIは自分で立てますので、簡単な目標を立てたほうが有利になることのないように、この計画を立てる際に工夫をしていくことが引き続き必要なのではないかという御指摘。あと、なかなか数値が上がらない法科大学院に対してフォローする方法はないだろうかという御指摘をいただいたところでした。指標の立て方とかフォローアップに係るものでして、本日お示ししている内容とちょっと観点は違いますけれども、御参考までに御紹介をいたしたところでございます。
 本日、皆様にも御意見、御議論賜りましたら、細かい基準につきましては、御意見を踏まえて加算プログラムの審査会のほうでも議論いたしまして、各法科大学院に展開をしたいと考えているところでございます。何とぞ御審議のほど、お願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、今、事務局から御説明をいただきましたこの資料5の案につきまして、これも御自由に御質問でも御意見でも結構ですので、お出しをいただければと思います。
 清原委員、お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。清原です。
 私は、既に退任しておりますし、在任中には、選考結果の後で氏名が公表されておりますので、この「法科大学院の公的支援見直し強化・加算プログラム」の選考委員経験者として発言をさせていただきます。
 このたび、ただいまの資料5に基づく御発表では、この制度についての存続をという前提でお話しいただいたこと、私はとても望ましいことだと思っています。と申しますのも、やはり法科大学院におかれましては、厳しい環境の中でそれぞれの大学院の事情や地域の実情、あるいは学生さんの実態などに即して改革を常にしていかなければならない、そのような環境の中で取り組んでいらっしゃいます。したがって、未修者教育についても、社会人に対する対応についても、さらには、地域の自治体や産業界等との対応についても、この加算プログラムを活用して取り組んでこられた経緯があります。
 また、コロナ禍でなかなか難しくなっていますけれども、国際的な視点、グローバルな視点から、外国の大学と交流したり、学生の皆様に少しでもグローバルな視点をということで御努力をされている大学の事例とも出会ってまいりました。
 また、年度によってはですけれども、かなり多くの法科大学院の先生方に御負担をいただいて、面接ということでさらに詳しい事情なども伺ってまいりました。そこで、やはり新たなことを始める、あるいは今やっていることを補完する、拡充していくというときには、インセンティブになる財源というのは極めて重要だと思っております。
 したがいまして、まずは、存続の方向性を支持したいと思います。
 その上で、今回、KPIに象徴されますけれども、数値評価といいますか、どうしても定量的な評価を重視してきた経過の中で、法科大学院の機能強化を正しく評価していく場合には、必ずしも定量的評価だけではなくて、定性的な評価も加えながら、できる限り法科大学院の取組を後押ししたいという御提案でございました。
 私は、選考委員でありましたときに、数値的には大きな進捗はないけれども、ぜひ次年度もこれは継続していただきたいという趣旨を選考委員の意見として加えさせていただいた経験などもございまして、そうであるならば、今回、御提案の中で、例えば155ページに、「定量的な指標では評価しにくいものがあるが、こうした取組についても充実等を促すことは重要と考えられることから、中期計画に記載することとし、配分率の算定のための評価とは別に審査委員の講評、コメント等を添えるなどして、その取組を積極的に後押しできるようにする」とあります。
 この定性的な評価ということや、あるいは小規模のロースクールからの声だと推測いたしますけれども、1年で成果が上がらなくても、2年、3年で、少し期間を取って成果が上がっているものについて評価してほしいという率直なお声もアンケートには書かれていたりします。
 したがいまして、ここでお願いがございますが、ぜひ制度の存続と、それから、評価の工夫について検討していただくときには、定量的評価であるから中立公平なのではなくて、定性的な評価においても中立公平性を担保できるような客観的な定性的指標を検討し、提示していただくことが必要ではないかなと思います。少なくとも選考委員の皆様は、これまでも公平に選考してこられたわけですから、それが誤解されてはいけないんですよね。審査委員の講評がこうだったからということだけでなく、あくまでも公平中立に的確に判断をしていただくことが、定量的な指標だけではなくて、いわゆる「アウトプット」だけではなくて、定性的な「アウトカム」としてこの取組を後押ししたいというところが伝わるような評価の在り方について御検討いただければと思います。
 いずれにしましても、この加算プログラムについて今後の存続に向けて検討が開始されることを大いに期待し、応援させていただきたいと思い、発言をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。審査委員の御経験から大変重要なサジェスチョンをいただいたと思います。
 それでは、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。
 先ほど御紹介いただいたとおり、私、加算プログラムの審査も、今年、去年と対応させていただきまして、非常に勉強になりました。点数のよい大学さんは、非常によいプログラムをつくられていて、きめ細かい学生さんの指導により合格率アップという成果につなげていらっしゃるなという印象を持っております。
 さて、今回素案として、法科大学院のあるべき姿について我々の意見をまとめており、後半に、法科大学院の魅力や特色の積極的な発信、あるいは自治体や産業界との連携についても強化すべきという意見があります。しかしこの点が、現在の加算プログラムにおける定量的評価の指標には入っていないんですね。これから法科大学院は、もちろん司法試験の合格率をアップさせることも大切ですけれども、世の中に広く、力のある法務専門家というか、そういう素養のある人材を輩出して役立ってもらうということであれば、そういった法科大学院の魅力の情報発信量、あるいは特色のアピールの上手さというところも一つ評価に値するのではないかなと感じております。回数だけでは評価できないのかもしれませんけれども、そういう合格率だけではない試みを何か具体的に今年三つやりましたとか、具体的に過去やっていないことをやりましたということで、奨励賞みたいなお金も出るのであれば、より励みになりましょうし、お金が出せないとしても何かコメントを添えることで、評価しているよということをメッセージングすることによって、大学側がそういった情報発信に配慮していくことが実現できるのではないかと感じまして、一言申し上げます。
【山本座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、大変貴重な御意見をいただきましたので、本日いただいた御意見を踏まえまして、先ほど事務局からも御説明ありましたけれども、来期の加算プログラムの審査会のほうでも、引き続き検討するということのようですので、当委員会で出た御意見も踏まえて、事務局においては適切に対応していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きまして、本日予定されている議事の最後になりますけれども、議事の6、「法科大学院等の教育の充実に関する調査研究」の中間報告についてです。
 本日は、本調査を委託している株式会社ブレインアカデミーより、金子裕一データサイエンスセンター長に御出席をいただいております。
 そこで、この委託事業につきまして、中間的な段階ではあると思いますが、御報告をいただきたいと思います。
 それでは、金子センター長より御説明をお願いいたします。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  よろしくお願いいたします。株式会社ブレインアカデミー、データサイエンスセンターの金子と申します。
 本日は、文部科学省令和4年度先導的大学改革推進委託事業「法科大学院等の教育の充実に関する調査研究」につきまして、途中報告ということで概要を御報告させていただきたいと思います。
 資料6、通し番号で申しまして159ページの資料に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 また、お時間もございますので、簡潔に御説明させていただければと思います。
 本事業の目的としては、法科大学院の学習する意義や、法科大学院の魅力、特徴について広く社会に発信をするということを目的に実施をしております。
 法科大学院、それから、学部の法曹コースの学生、そして、法科大学院の修了生を対象に実施してございます。法科大学院、法曹コースにつきましては、2022年度現在で募集停止を表明していない法科大学院等に絞って実施させていただいております。
 本アンケート調査につきましては、2022年の10月14日から回答をいただきまして、11月25日に一応締めという形でデータを回収してございます。ただいま、集計作業に入っている段階でございます。
 本アンケート調査につきましては、アンケートの質問内容の項目を資料に簡単に記入をさせていただいております。
 教育内容、学習サポート、入学前の取組等、幾つかの項目に分けまして、それぞれアンケート方式でお伺いをさせていただいている形になります。
 また、本アンケート調査の特徴といたしましては、自由記述を非常に多めに取り入れたアンケート様式となってございます。同類のアンケート調査につきまして、これまでも幾つか実施をされているかと存じますが、本アンケート調査につきましては、それぞれの大学の魅力、それから、全体としての法科大学院の魅力、そういったものでまだまだ我々のほうで把握していないものも抽出できるように、非常に自由記述を多くしたアンケート調査という形で実施をさせていただいてございます。その中から魅力を抽出してまとめるというのが本アンケート調査の趣旨という理解をして、実施をしているところでございます。
 今後の取りまとめの方針といたしましては、2点ございます。
 一つは、調査報告書につきまして、今回のアンケート調査の結果を取りまとめた報告書を作成いたします。本アンケート調査につきましては、魅力の抽出が主目的にはなっていますが、課題点等がございましたら、そちらのほうも併せて網羅的に集計、分析を行いたいと考えております。
 2点目につきましては、広報用の資料ということで、法科大学院、それから、法曹コースの魅力や特徴をまとめました広報物の作成を予定しております。本アンケート調査に基づきまして、各個別の魅力、それから、法科大学院、法曹コース全体の魅力をまとめた広報資料を作成いたしまして各所に配布をするというものに役立てる資料をつくるということで実施をさせていただいております。
 広報用資料のイメージ等につきましては、お手元の資料の通し番号160ページ、それから、161、162、163と、4ページにわたりましてそれぞれのイメージを記載させていただいているところでございます。現在、集計結果に基づきまして、どのようなところをピックアップし、どのようなところを抽出してアピールするかというところの分析、集計を行っているという段階でございます。
 私のほうからは以上、簡単ですけれども、御報告とさせていただきたいと思います。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの金子センター長からの御説明につきまして、御質問、御意見、あるいはコメント、何でも結構ですので、お気づきの点があれば、御指摘をいただければと思います。いかがでしょうか。
 今期御議論をいただいた法科大学院全体の魅力、さらに、各法科大学院のそれぞれの魅力、特徴といったものについて、広く社会に向けて発信をしていくということで、一つの実験的な試みとしてこのことを考えていただいているということで、それぞれの法科大学院や法曹コースのキャッチコピーとか、どういうものがつくられるかというのは私も楽しみですけれども、そういうことも考えていただきながらということですが、いかがでしょうか。
 加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】  質問させてください。
 これは、まず前提として、全法科大学院のことを社会に発信していただくことになるのでしょうか。一部取り出しではなく、全法科大学院ですか。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  はい、全法科大学院が対象になってございます。
 アンケートのほうも、学生募集している法科大学院全てから回収をさせていただいております。
【加賀委員】  分かりました。
 あと、もう一つ、こういう趣旨で捉えればよろしいんでしょうか。各大学は、自分の法科大学院についてこういう角度で宣伝する。先ほど加算プログラムのところでもありましたけれども、独自のこういう教育をやっていますよ、こういう法科大学院ですよということをアピールしている。で、今度は、ブレインアカデミーさんのほうで、また、その自校の目とは違うところでその魅力を探っていただいて、考えていただいて、それを発信していただくことになると。こういう理解でよろしいんでしょうか。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  さようでございます。全体の共通点といいますか、全部に共通するものを必ずしも拾えるというわけではありませんが、おおむね全体に共通するような取組というのを私どもで抽出させていただいて、全体の取組としてピックアップすると。
【加賀委員】  全体の魅力ということを統合すると言いますか、そういうことで発信するということになりますね。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  はい。
【加賀委員】  分かりました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
【森下専門職大学院室長】  1点、事務局から補足させてください。念のためです。
 先ほどのパンフレットのイメージの全体部分についてブレインアカデミーさんに記載をいただきますけれども、後半の部分につきましては、全てブレインアカデミーさんで書くのはなかなか難しゅうございますので、各法科大学院に原稿の御協力などをいただきながら練り上げていきたいと考えているところでございます。すみません、蛇足だったかもしれませんが補足です。
【加賀委員】  ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、富所委員、お願いいたします。
【富所委員】  どうもありがとうございました。
 私からも1点だけ質問させてください。
 先ほどの「広報用資料」なんですが、「各所に配布」というお話がありましたけれども、これはどのような配布先を想定なさっていて、何部ぐらいお配りになるのかを教えてください。
【山本座長】  では事務局からお願いします。
【森下専門職大学院室長】  ブレインアカデミーさんには原本をつくっていただくところまでがオーダーでございまして、私どものほうでそれを刷り増すなりして配布をしていくことを想定していまして、今、いろいろとどういったところが効果的なのかというのも併せて議論をしているんですけれども、今、考えているのは、法学部などももちろんですし、ただ、これは後半にありますとおり法曹コースの部分もございますので、イメージとしては高校に対しても何らかの形で展開できないかと考えてございます。もちろんインターネットに上がりますので、誰でも見られるようにはするんですけれども、その効果的な配布の仕方というのを、高校の関係者の方々にもちょっと御相談に乗ってもらいながら検討していきたいと考えているところでございます。
【山本座長】  富所委員。
【富所委員】  どうもありがとうございます。私も、「高校に配っていただけたらいいな」と思いながら質問していました。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございます。重要な点だと思います。
 それでは、松下委員、お願いします。
【松下委員】  松下です。
 今の点に関係しますけれども、高校生に届けるときに印刷したフルバージョンを届けるということもお考えかと思いますが、例えばQRコードを読んでもらって、ここから先はインターネット上を見てくださいとなると、もっと手軽に作れるんじゃないかと思うので、そういうものを組み合わせてリソースを上手に使っていただければなと思います。デジタルデバイドのできない側に落ちている私が言うのも何ですけれども、そういうこともお考えいただければと思います。よろしくお願いします。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  ありがとうございます。
【山本座長】  ぜひ高校生、それからその保護者にアピールできるものに。あるいはそのアクセス方法もそういうことを工夫していただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。北居委員、お願いいたします。
【北居委員】  すみません、ちょっとよく分からないので。この見本の中で大学名が出て、キャッチコピーとかが出ているんですけれども、これは各大学がキャッチコピーを考えて出すということなんでしょうか。
 もしそうだとした場合、キャッチコピーはどんなものをイメージされているのか、ちょっと気になっていまして、御教示いただければと思います。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  こちらのほうは、各大学にそれぞれの担当部署の方に記載いただく予定になっております。
 まだ上がってきていませんので、どういうものかというのはあれなんですけれども、網羅的ではないんですが、一部の法科大学院をまとめたような、既存の民間の会社がつくっている媒体がいくつかあるのですが、そちらを参照いたしますと、大学様によっては、伝統・実績がある大学がつくった法科大学院というところをアピールしているところもあれば、教育の中で、親切丁寧に指導いたしますということをキャッチフレーズにする大学様もあり、各大学ごとにそれぞれの視点で記載いただくというキャッチフレーズになるかと思います。
【北居委員】  分かりましたが、高校生も相手にするということですから、もうちょっとキャッチーなものを考えたほうがいいのかなと、ちょっと不安になっております。以上です。すみません。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  キャッチフレーズをつけまして、あと、文章自体についても、今回、若年層、高校生に見ていただいて分かるような単語、それから、言葉遣いをしていただきたいというのはオーダーして対応させていただくという形でございます。
【山本座長】  ということで、なかなか我々の日頃のあれからすると難しい作業ということになるのかもしれませんが、ぜひ、それは必要なことです。それぞれ工夫をしていただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、委託先でありますブレインアカデミー様におかれましては、どうか引き続きよろしくお願いしたいと思います。
【金子センター長(株式会社ブレインアカデミー)】  承知しました。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日予定されていた議事は以上となりますので、本日の法科大学院等特別委員会はこれで終了したいと思います。
 次回会議日程については、事務局より御連絡を差し上げたいと思いますが、次回は、先ほども申し上げましたように、今期の取りまとめですね。報告書というのが中心的な議題となろうかと思います。
 繰り返しになりますが、それまでの間に委員の皆様でお気づきの点があれば、ぜひ事務局のほうにお寄せいただければということを改めてお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、本日は以上で終了したいと思います。大変長時間にわたりまして熱心な御議論を賜り、ありがとうございました。お疲れさまでした。
 


―― 了 ――

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