専門職大学院ワーキンググループ(平成29年1月20日~)(第3回) 議事録

1.日時

平成29年6月29日(木曜日)16時30分~18時30分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 専門職大学院制度の改善方策について
  2. その他

4.出席者

委員

(正委員)有信睦弘(主査),(臨時委員)川嶋太津夫(主査代理),前田早苗
(専門委員)淺羽茂,大竹由希子,片山直也,上西研,杉本徳栄,添田久美子,松﨑佳子の各専門委員

文部科学省

(事務局)浅田大臣官房審議官(高大接続・高等教育局担当),浅野専門教育課長,大月専門職大学院室長、川﨑専門職大学院室室長補佐

5.議事録

【有信主査】  それでは,定刻になりましたので,第3回の中央教育審議会大学分科会大学院部会の専門職大学院ワーキンググループを開催させていただきます。
 本日は前回も議論していただきましたけれども,アドバイザリーボードに関する話と教員組織,特にみなし教員に関することについて,その辺を中心に引き続き議論を進めたいと思いますので,よろしくお願いします。
 最初に,事務局から配布資料の説明をお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  事務局でございます。議事次第をごらんください。配布資料といたしまして,資料1と資料2,参考資料としては参考資料1,参考資料2-1が昨年ワーキングの概要,参考2-2が昨年ワーキンググループの報告書本体,参考資料3が公認心理師カリキュラム等検討会の報告書となっております。不足,落丁等ありましたらお気付きの際に事務局までおっしゃってください。
 以上でございます。
【有信主査】  それでは,議事に移りたいと思いますが,議題1として専門職大学院制度の改善方策についてということですが,事務局から資料の説明をお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  まず資料1について御審議いただければと思いますので,資料1をお手元に御用意願います。資料に沿って御説明申し上げます。
 資料1,「学校教育法の改正を踏まえた専門職大学院の改善方策について」ですが,前回の会議から各委員の御意見を踏まえて追記した部分については赤字にしております。資料の一番上の丸のとおりに,昨年8月に取りまとめられました本専門職大学院ワーキンググループの報告書におきまして関係業界や職能団体の関係者など各専門職大学院が掲げる養成人材等と関連が深いものや,学外の有識者等からなるアドバイザリーボードを設置することを義務付けるべき旨提案をいただきました。
 二つ目の丸でございますが,これを受けて,専門職大学の制度化を図るための学校教育法の改正案に専門職大学院につきましても第99条第3項の規定が盛り込まれまして,先の通常国会で成立しております。
 資料の一番下のとおり,第99条第3項の規定でございますが,専門職大学院は,文部科学大臣の定めるところにより,その高度の専門性が求められる職業に就いている者,当該職業に関連する事業を行う者等の協力を得て,教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質の向上を図るものとされております。
 2ページ目をごらんください。学校教育法の改正を受けまして,具体的に省令で組織体を規定することとしております。前回6月12日のワーキンググループでは学長が大学運営における最終的な権限と責任を有することを踏まえまして,協議会については教育課程の編成実施に関する基本的な事項を審議し,学長に意見を述べるという役割を担うとしておりましたけれども,赤字で追加しておりますように,学長又は研究科長に意見を述べる役割を担うものとしてはどうかとしております。これについて,専門職大学院については研究科の専攻の一つとして設置され,専門職大学院の教育課程は学長の下,研究科長がつかさどることが多いことからこのようにしているところでございます。
 その下の赤字の部分でございますが,本協議会については既に同様の趣旨の協議体を設けている専門職大学院もあることから,実質が伴っていれば,運用上,代替できるようにしてはどうかと考えているところでございます。
 当該協議体の構成でございますが,学長又は研究科長が指名する教職員のほかに当該専門職大学院の分野に関係する職業に就いている者又は当該職業の実務に関し豊富な経験を有する者,その他学長又は研究科長が必要と認める者で構成されることとしてはどうかということにしております。
 また,その下のマル2のとおり,本協議体の活動状況を積極的に公表すべきであると考えられます。
 また,マル3のとおり,本協議体の活動状況に関して認証評価で確認すべきと考えております。
 最後に資料の3ページ目でございますが,こちら協議体に係るイメージ図でございます。協議体は,産業界との連携による事業の開設に関する方針など,教育課程の編成に関する基本的な事項について審議いただきます。主として研究科長に意見を述べることを想定しておりますが,専門職大学院のみ設置している大学の場合や各大学のガバナンスの状況,在り方を踏まえまして,各大学で研究科長又は学長に意見を述べていただくことを考えております。
 また,前回御議論のありました教授会との関係でございますが,教授会は学内の者だけで教育研究に関する事項の一部として教育課程について審議されるのに対して,今回義務付けられる協議体は学外の者が中心となって産業界との連携に関する事項等に係る教育課程の基本的な事項について審議いただくということで役割分担が図られると考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
【有信主査】  前回の議論の中で,一つはもともとは学長に対して意見を述べるという形になっていたのが,わざわざ学長に意見を述べる必要があるのかという観点からの御意見と,もう一つは教授会の役割,権限との切り分けがこれでいいのかなという疑問点と,両方の点で少し議論いただきました。それに対して事務局から修正案として,学長またはとしたこと,基本的には意見を述べるということと,教育課程の編成,あるいは構成を決めるというプロセスとの間で,こういう形でいいかということですね。それと,その他,それぞれ指名に関するものとか,特に法科大学院等では既にアドバイザリーボードのようなものが設置されているということなので,そういうものとの関係をどうするかというようなことを踏まえて,事務局で文言を修正,追記していただいたということになっています。
 この点に関してどうぞ皆様方から御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。どうぞ。
【川嶋主査代理】  2点質問があります。1点は,2ページ目の協議体の役割等というところの,最初の赤字のところ,2行ほど書かれていて,ロースクール等,同様の組織が既に設置されている場合は,運用上代替できるようにしてはどうかとの提案がありますが,この場合,どういう手続で現在ある同種の協議体,アドバイザリーボードがここで規定するアドバイザリーボードというか,協議体とみなすのかという点です。それは誰が,どういう手続で認定するのかというようなことについては何か案があるんでしょうか。それが一つ目の質問です。
【有信主査】  じゃ,その点に関してどうぞ。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  具体的に更に検討する必要があると考えておりますが,この点については通知等で各専門職大学院にお伝えしようと考えております。恐らく学則等で規定されている場合があって,それに関して,今回の今後予定されて,検討しております省令改正等で具体的にどういう形で規定してもらうかということになるわけでありますけれども,その細部について通知で行うに当たって,31年4月ぐらいからの施行になるのかなと思っており,準備ができれば学則等に改めてもらうのもありますし,なかなかそういう部分が間に合わないということであれば,実態が伴っておれば,それで認められるというような形を考えておりますが,御指摘を踏まえまして,細部についてしっかり詰めて問題のないようにしてまいりたいと考えております。
【有信主査】  今,法科大学院は具体的に法科大学院の特別検討委員会の中でアドバイザリーボードのようなものが必要だという議論が多分行われたと思うんですね。ただ,その結果として正式にこういう形でアドバイザリーボードを設置するというのはどこかで規定されたんでしたっけ。記憶しています?
【片山委員】  恐らくまだ規定されてないと思います。法科大学院の方で法曹三者がステークホルダーの中心ということになりますので,そういった方の自主的な協力をいろいろなところで得ておりまして,そういう意味で,学校教育法の改正,99条の趣旨で協力を得て向上を図るというものは既に達成されていると思いますが,ただ,アドバイザリーボードという形での組織をきちんと協議体として立ち上げて,助言を得ているという実態がどこまであるのかということについては必ずしも十分な調査をしているわけではないと思います。特別委員会の中でそれはロースクールでもうやっていますよという御発言があったという状況にすぎません。きちんとした実態調査をやった上で,新しい今回のワーキンググループから提案する協議体としてのアドバイザリーボードに相当するあるいは代替し得る組織になっているかどうかを再度チェックしてからでないと軽々には言えないところだと思っております。
【有信主査】  ありがとうございます。多分,そういうことだと思うので,そこのところは……。どうぞ。
【浅野専門教育課長】  基本的には前回御意見を頂いた趣旨は,既存のものも柔軟に運用で対応,代替できるようにということでございますので,基本的には各大学で既存のものを代替していただく,柔軟にやっていただくということだと思うんですね。余りリジットに何かこうというものをかっちりこちら側で決めるということはできるだけ避けたいなと思っておりますし,当然こういうことがあると,マル3のところの認証評価で,各大学が割と自主的に柔軟に捉えていても,認証機関の方でかなりリジットにやられてしまうということもありますので,その点にもきちっと配慮しながら大まかな考え方についてはこちらからもお示しさせていただきたいと思っております。
【有信主査】  いや,さっき気になったのはそこの部分なんですね。認証評価との関連で,逆に曖昧だと認証評価側の審査上で厳しくなるという観点と,ある程度決めてないと,認証評価側で評価の仕方がなくて,両側に振れる可能性があるわけですね。だから,その辺のところを踏まえてどういう形でやるかというのは検討していただくということで,まだ今のような段階だと思います。
【川嶋主査代理】  2点目は先ほどの1ページ目の下の学校教育法の改正の99条のマル3のところで,「その他の関係者の協力を得て,教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質の向上を図るものとする」ということが学教法には書かれているのですけれども,これまでの議論は教育課程の編成や実施についてはこういう協議体からいろいろ御意見を伺って改善に資してはどうかという議論だったのですが,教員の資質の向上というところはいわゆるFDですけれども,これはどういうふうに協議体が関わると考えたらよろしいんでしょうか。教育課程の内容等をきちんと評価してもらうということはFD活動の一環ではあると私自身は思うのですが,ここで教員の資質と書いてあるので,この辺りはどういうふうに協議体から御意見を伺うというか,どういう活動を想定されているのか,少し疑問に思ったものですから,質問しました。
【有信主査】  そこは何か御意見ありますか。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  御指摘ありがとうございます。先生がおっしゃったように,教育課程を編成,実施するに当たって,教員の資質の向上というのはセットであることから,このような形で規定されていると理解しております。具体的には教育課程等に関しての御意見をいただくことにしておりますけれども,教員の資質の向上に関しまして,どのような形で協議体が役割を果たしていくのか,また細部を詰めていきたいと考えております。
【有信主査】  ほかにこの点に関して御意見ありますでしょうか。どうぞ。
【杉本委員】  個別具体的な案件で申し訳ないのですが,御教示いただきたいことがあります。実は,本学,関西学院大学の場合はビジネススクールと会計専門職大学院の二つの専攻が一つの研究科の下に開設されています。その場合は,協議体は一つでいいのか,それとも二つなのか。実は,先ほど認証評価機関のこともありましたけれども,分野別評価に関しては,全く別個に対応していますので,その点,御教示いただければと思います。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  恐らく養成する職業の分野が厳密に言えば分かれていると思いますので,それぞれ協議体も立ち上げていただくことが適当ではないかと考えております。また,その辺りについてもどこまでリジットにするのか,しっかり通知等で周知したいと思っております。
【有信主査】  はい。
【杉本委員】  実は,提案されているアドバイザリーボードに相当するものを既に学内に作っているんですね。それをもしも代替可能というふうになった場合,もう一つ作る必要があるということになるので,その辺りも分野ごとに二つ作ることになりますので,また詰めていただければと思います。
【有信主査】  これは必ずしも専攻ごとに必要というふうに言えるのか,あるいはここの本来の目的が人材育成目的に沿った教育課程になっているかという観点で意見を言うということになっているので,ある部分はカバーできる部分はあるかもしれない。そこのところは余りリジットに決めてしまうと,一々組織を作らなきゃいけないということになりますし,そこの部分については,逆に言うと認証評価のところである程度きちんと評価ができるような仕方で,また,さっき課長が言われたように,認証評価が余りがちがちに見ることがないように,このアドバイザリーボードの役割のガイドラインみたいなことを,ある程度認証評価側に対して示さないといけないかもしれない。
 それから,さっき出た教員の資質の向上というのも単純にFDに対して様々な意見を言うような形にしてしまうと,必ずしも十分でないような気がするんですね。ですから,教育課程の編成ということの意味をどういうふうに考えるかということなんだけど,結局,外部の人たちの意見を聞くということは,ステークホルダーが期待している形の人材育成が行われるような教育課程になるような助言を行う,こういう意味なんですね。したがって,ステークホルダーが要求するような人材育成に合うような形でまず教育課程が編成されているかという大局的な観点で教育課程に対する意見を言う。それを通じて,実は人材育成目的に沿って,教員群が具体的に教育課程に合う形で編成されているか,その中で具体的に教員の資質向上が図られるような形になっているかというようなことを割と大枠で見るようにしないと,例えばFDがどれだけやられているかとか,それにどれだけ時間をかけているかというような観点が一番見やすいんだけど,そこだけに集中して認証評価をやられても困るということなので,質的な部分をどう担保するかということで,少し知恵を絞ってやっていく必要があるという気はします。
【片山委員】  済みません。関連して。
【有信主査】  どうぞ。
【片山委員】  今,杉本委員の方からMBAと会計とが同じ研究科の中で,専門職大学院としてそれぞれ独立して立ち上がっているという例をお示しくださいましたけれども,実は私どもの法科大学院の方でも,法曹の中でより特化したグローバル法曹を養成するためにということで,新しく別個な専門職大学院を立ち上げまして,それが一つの法務研究科という中に法科大学院と新しいグローバル法曹養成の専門職大学院が二つ立ち上がりました。その中で,今回のアドバイザリーボードに関しましても,新しくアドバイザリーボードを立ち上げて,両方の専門職大学院に助言できるようなアドバイザリーボードを開設したという意味では全く杉本委員が御提示してくださった例と同じということになります。そうしますと,アドバイザリーボードに関しても,あるいはMBAと会計の関係以上だと思いますが,法曹という意味では共通している部分がありまして,アドバイザリーボードも両組織に共通した助言を行うことがむしろ有益であることになろうかと思います。。それから今回の議題とはちょっとそれますけれども,認証評価という点でも,実は専門職大学院がその分野で1校だけというケースがいくつかの分野でありまして,我々が新しく作りましたグローバル法務専攻も1校だけという状況なのですが,認証評価がそれに必ず対応する形で全く別個の認証評価をやらなければいけないのかといいますと,必ずしもそれが実効的かつ効率的かと問題もございます。法曹という共通項があって,その中でグローバル法曹に特化しているということになりますと,認証評価もかなり共通の部分が出てくるという面があろうかと思いますので,認証評価の在り方自体も,法学系とか,ビジネス系というような形で,ある程度共通項を持った専門職大学院には共通の基準で共通の部会で認証評価していけるような認証評価のシステムを今後構築していくことが必要になってくるののではないかと思いましたので,付言させていただきました。
【有信主査】  結構難しいところが出てくる可能性はあるんですけどね。分野別認証評価というときに,もともと認証評価というのは教育システムがきちんと機能している。つまり,人材育成目標に従ってアドミッション,カリキュラム,デグリー,それぞれ入り口プロセス,出口で目的に従ってきちんと人材育成ができるような形になっているかというのを基本的に見て,なおかつ教育システムが不断に改善されるようになっているかというのが一番のポイントなんだけど,そのときに分野別になると,教育目標に従って,教育プロセスのところで必要な内容の教育科目が準備されていて,それがデグリーのところで達成基準がきちんとした形で評価されているかあるいはそれがその後きちんとフォローされて,今の入り口,出口の基準を含めて機能するようになっているか,こういうところになるので,多少途中のカリキュラムポリシーみたいなところが,それぞれ分野ごとのところで微妙に違ってくる可能性があるわけですね。だから,認証評価団体がそれをカバーできれば,個別個別の違う認証評価団体にお願いするという必要はないと思うんだけど,そういう仕切りでいいような気がするんですけど,どうですかね。何かそれぞれ違う専門職分野で心配なところはありますか。
【浅野専門教育課長】  恐らく認証評価の在り方については今日の議題ではないので,今,別の将来構想部会の中で,大学側にやはり今の評価の在り方について負荷が掛かっているんじゃないかということで,在り方については専門分野別,それから機関別評価,併せて見直しを,検討を始めたところですので,今の片山委員の御趣旨も踏まえて,我々の方も検討していきたいと思っております。
 それから,もともとの問題でありますけれども,今,幾つか御指摘いただきましたけれども,分野の特性によって,例えば法科大学院と心理学とか,全然違うものを一つのアドバイザリーボードでやるというのは,なかなかステークホルダーが違うのかなとは思いますけれども,ファイナンスとビジネスだったり,法科大学院とLL.M.だったりする場合に,わざわざそれを分ける必要があるのかどうかということについては,できるだけ,きょういろいろ御意見を頂いている中で,運用上柔軟に代替性を持って対応したいということですので,その辺は十分こちらでも加味した形で運用を検討したいというふうに思います。
【有信主査】  ほかに何か御意見。どうぞ。
【前田委員】  認証評価のことは別の機会にということなのでそれでいいと思うんですが,恐らく認証評価機関の方も,アドバイザリーボードを置いているかではなく,機能しているかというところを見ていくというようになってきていると思うんですね。一番大事なのは,それが有効に機能しているかということなので,そこは大くくりで問題はないと思いました。
 あと1点,ちょっと別のことなんですが,イメージ図を見ていて思うんですけれども,分野によっては一つしか大学院がない分野だったりしますと,外からの意見というのが全然入ってこない可能性がありまして,図では,教授会から意見が行くというのと,協議体から意見が行くというのがあるんですが,教授会まで協議体の意見がきちんと伝わるようになってほしいと思います。何か上から,外からこう言われたからこうしなさいというのが教授会に降ってくるだけにはならないでほしい。風通しがいいような組織になってほしいと思います。外部からこういう意見あるということをじかに聞くと,教授会というのも動かなきゃいけないと思えるのではないかと思います。制度としてそれを書き込むのは難しいと思うんですが,ちゃんと外部の声として教授会に届くシステムだといいと感じました。
【有信主査】  重要なポイントだと思いますけど,何か御意見はありますか,事務局の方は。
【浅田大臣官房審議官】  それはそのとおりだと思います。一応,仕組みの上でも基本的に余りこうでなきゃいけないとがちがち縛りたくないという思いがあって,それぞれで,もちろん制度を設ける以上,制度の狙いが確実に実現されなきゃ困るわけですけれども,それを前提とすれば,できるだけそれぞれでやりやすいように,かつ過度の負担に陥ることにならないようにしたいという思いがございます。実は前回の会議でいろいろな御意見を伺いながら,私は専門職大学の方の法案も担当しているものですから,それを念頭に置きながら,実はその時点では聞いていたんですが,前回の様々な御意見を頂いて,仕組みの上でも,経緯の面でも違う面があるなということを感じ,それぞれの特性に応じてやりやすい形でやっていただく方がいいのではないかと実は前回の会議の後,議論し,今回,こういうのを出させていただいています。
 今のお話について言うと,協議体の構成の仕方も何とか長みたいな人だけじゃなくて,ほかの人も構成メンバーに入っていただくことも可能な仕組みにしておりますし,それぞれでどういうふうにしたら制度の狙いが組織の中で一番生きるんだろうということを考えて,いいように生かしていただければと思っています。
【有信主査】  一応,最終的に教職課程を編成するのは教員なんですね。ですから,その教員が教職課程を編成するときに,その意見をどういう形で取り入れていくかというところがポイントで,今の審議官の話では実際にアドバイザリーボードのメンバーの中に,今だと,指名する教員が入るということになっているので,そこの部分がある意味では共通項として有効に機能することを期待していると,こういう御意見だったと思うんですけど。
 じゃ,川嶋委員。
【川嶋主査代理】  私もそれでよろしいかと思います。そういう意味で学内と学外の方からなる協議体ということで,教授会だけではなくて,学外からの意見と教授会の意見を橋渡しするというような,そういう位置付けになるのだろうと期待します。国立大学法人の経営協議会に似た組織構成ですが,学外者,学内者のどちらが過半数かどうか,そこまでは決めなくていいと思うのですけれども,そういう形で大学の中と外の意思疎通を図る場という,そういうくらいの位置付けでよろしいんじゃないでしょうか。
【有信主査】  どうぞ。
【淺羽委員】  前回の議論から私的にはいい形に直していただいたんじゃないかなというふうに思うんですけど,今の件は多少私は逆のことを考えていて,つまり,1ページ目のやつを見ても,全てここに入ってくるのは養成人材像と関連が深いものだとか,学外の有識者とか,それから当該職業に関連する事業を行う者その他関係者というわけで,アドバイザリーボードの主体はやっぱり外部で,外部の人からアドバイスをもらうというのが一番の主目的だろうと思うんですね。当然,学外の人だけがアドバイザリーボードを作って,それで教員が入らないなんていうことはあり得ないので,教員が入るのは当たり前でございますと。したがって,僕はこのマル1の三つ目のポツですけれども,こういうふうに書かない方がいいのではないかなというふうに思っています。
【有信主査】  「必要と認める者」という。
【淺羽委員】  はい。むしろ,これだと教職員のほか外部の人となりますよね。そうじゃなくて,外部の人のほか,認めた教員とかというふうにするべきであって,例えば実際にいろいろな学校でアドバイザリーボードを作ろうというふうになったらば,私たちはこの間作ったわけですけれども,結構,外部の人,ちゃんとした人を選ぶのはすごく大変で,受けてもらうのが。そうすると,こういうふうに書いてあると,むしろ教員が5人ぐらいいて,外部から1人入っているみたいな感じになって,本末転倒ですと。そうじゃなくて,外部の人がマジョリティーを占めるような形に文章の上でもした方がいいと思います。
【有信主査】  大学を信用してないと,こういう御意見だと思いますけど。いや,今貴重な御意見だと思いますが,その辺はどうですかね,事務局の感触としては。
【浅田大臣官房審議官】  これは,確かに文章で書くとそのように読めてしまうので,そこは本来,こちらがイメージしていることと違うので,気を付けたいと思います。実際の規定の仕方は各号例規みたいになって,第1号でこういう人,第2号でこういう人というイメージから書いたんだと思います。おっしゃっていることはそのとおりだと思います。よく気を付けます。
【有信主査】  それじゃ,そこのところは勘案してということでよろしくお願いします。どうぞ。
【片山委員】  この点は,前回も申し上げた点ではありますが,今回のアドバイザリーボードというのはあくまでも執行機関である学長,あるいは専門職大学院の長,意思決定機関である教授会とは,別途独立した外部の協議体という位置付けであって,独立性が強調されているという印象を受けますが,実は私どものロースクールでは今回グローバル法務専攻を設置したときに改めて外部組織としてのアドバイザリーボードを作りましたが,それ以前のロースクールだけのときには,実は外部の有識者といいますか,ステークホルダーの方に,運営委員会という,教授会と長の間に入る最高の意思決定機関を設けて,そのメンバー,いわば外部取締役のような形で入っていただいて意思決定に参画していただくという仕組みを,大学の新しいガバナンスの流れに乗ってそれを作っておりました。そうすると,このアドバイザリーボードが想定している外部性といいますか,独立性というものとかなり違った組織の在り方になっております。そういう形での意思決定へのステークホルダーの参加というものも,今回のイメージ図には合いませんが,学校教育法の改正の趣旨に添ったアドバイザリーボードというものとして評価されるのかどうかというところが非常に気になるところではあります。
【有信主査】  それはどう判断しますか。委員の方,ほかに意見ありますか。基本的に趣旨から言えば,別に外部性,内部性というのは,多分認証評価でどう評価するかという話になる,さっき指摘があった機能という面でどう評価するかということになると思うんだけど,組織的に外部性とか,内部性というのが,それほどクリティカルなようには見えないんですけどね。つまり,強制力があるような形で設置している場合は,アドバイザリーではないというような意見で本来のアドバイザリーボードが設置しているとはみなせないというような判断をするのかどうか,こういう話ですね。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  もともと強制力を持つものではないという形では規定されておりますけれども,そのようなものについて,ものが設置されていれば協議体が設置されているとみなすかどうか。貴重な御意見ですので,その辺りをしっかり通知等でお知らせできるように検討を深めていきたいと思います。
【有信主査】  学教法の趣旨からすると,基本的にはそんなに矛盾はしないけど,それは大学の運営上の問題で,教育研究の自主性,自律性をそれが阻害しているのかどうかという話になるわけですね。そういう作り方が。だから,余りきっちり詰めると,結構深刻な問題になるので,そこの部分は慎重に書き込むようにした方がいいと思いますが。
 どうぞ。
【川嶋主査代理】  多分今の話は大学のガバナンス構造に大きく影響する論点で,制度上というか,法律上は,99条の位置付けでは意思決定に関わる組織としては読めない,解釈できないと思います。ロースクールの先生を前に,そんなことを言うのも何か申し訳ないですけれども,多分もう少し上位のところで規定しないと意思決定機関とみなすことはなかなか難しいのかなと思います。ただ,運用上,それぞれの大学がどうするかというのはまた別問題だろうと思います。
【有信主査】  各大学の運用上の問題ということで整理をするということだと思いますね。別に逆にアドバイザリーボードがそういう強制的な力を持たなければいけないという規定にはなっていないので,アドバイザリーボードとしては必要条件ではないという理解で,ただし,そういう機能を持つような運営協議会のようなものをアドバイザリーボードとして,こういう条件下であれば位置付けられるという辺の仕切りがあればそれは別に強制力を持っていたとしても,それは大学自身の運営上の問題ということで切り分けられるような気がしますので,そこはちょっと工夫してください。
 いいですかね。ほかには。ということで,この件に関しては実は来週早々にある大学分科会でこの件を報告するということになっていますので,一応ワーキンググループとしては今のようなところで基本的な共通理解が得られたという前提で報告するということになりますが,何か特に注意すべきこと,まだなおかつここの部分が問題だというところがあれば。どうぞ。
【上西委員】  先ほどこれがどういう機能を果たすかというのを認証評価で確認するということでしたけれども,そもそも機能といったときに,教育課程の編成とか云々(うんぬん)というのもあると思いますが,もともとこのワーキングで議論して8月10日の報告書で書かれているのは社会(「出口」)との連携を強化するためアドバイザリーボードを作るということであり,一番の目的は出口との連携強化ということだったと思います。だから,それが本当に機能しているかというのは,出口との強化が図られているかというところが一番大事になると考えて良いのですね。
【有信主査】  そうです。それは問題ないですよね。そういう共通理解は,多分。基本的に何で外部の人間を入れて教育課程までというのは,要はステークホルダーの観点から期待される人材育成に沿って,こういう教職課程で過不足があるかというようなことを中心に議論してもらうということだろうと思いますので。
 特にほかに心配な点がありますでしょうか。ということであれば,一応今の共通の部分を事務局側でもう少し整理していただいて,来週月曜日でしたか,中央教育審議会の大学分科会が開催されますので,そこでアドバイザリーボードの設置についてはワーキンググループでの議論を踏まえて報告して,ここで決定したから決定というわけではなくて,一応大学分科会で議論していただいて最終的に決めるということになると思いますので,よろしくお願いします。
 それでは引き続き資料2ということで,事務局から資料の説明をお願いします。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  お手元の資料2を御用意願います。教員組織の在り方について,論点と改善の方向性,前回の会議における各委員会の御意見等踏まえて修正した部分について赤字で記載しているところでございます。現状と課題のところでございます。ダブルカウントに関する議論につきまして,専門職大学院制度はその教育の質を保証するという観点から一定の独立性の確保と教員組織の充実が求められているということから,慎重に行うべきであるとの指摘もある一方で,本ワーキンググループ,昨年8月,まとめられましたけれども,参考資料2-2の9ページ目の下から六つ目と五つ目の丸の辺りでございますが,そこに専門職大学院における教育に専念する教員の確保が図られる一方で,学部との連携や学際連携が図りづらくなっている。社会や地域のニーズに対応するための新たな取組や自らの強みや特長を伸ばすための取組を促進し,高度専門職業人養成機能の強化を図るため,教育の質保証を前提として,専門職大学院の必置教員が,他の課程の専任教員を兼務することを一定程度認めることを検討すべきとされているところでございます。
 恐縮ですが,資料2に戻っていただきまして,アの部分でございます。前回,6月12日のワーキンググループでも説明いたしましたけれども,当初,本年2月から3月にかけまして地方の国立大学の経営系大学院修士課程を対象に行ったヒアリングでは,地域貢献に資する人材の養成を掲げておって,専門職大学院への移行を考えている大学院からは現在のダブルカウントに関する専門職大学院の規定では,移行するに当たり,教員組織が分断されるということから,その点が移行の妨げになっているとの声が上がっているところでございます。
 二つ目の丸でございますが,地方の非製造業は我が国のGDPの約4割を占めるほど大きな産業でありますけれども,都市部と比べて労働生産性が低く,我が国全体の生産性を下げる大きな要因となっており,国の重要施策となっております地方創生の関連文書においても専門的な知見,経験を持って事業を経営・実行する人材が必要であると指摘されているところでございます。
 三つ目の丸の部分でございますが,そのため専門職大学院の必置教員が学部と他の課程の専任教員を兼務することを認め,有機的な連携を図ることにより学際的な教育研究の取組を推進することが重要ではないかという形で規定しております。
 資料1の下,赤字の部分でございますが,前回委員から御指摘があった分野ごとの現状・課題について記載させていただいております。2ページ目でございます。経営系分野でございます。先ほど申し上げたような移行に当たってダブルカウントできないことがネックになっていると。また,学士課程との兼務ができないことにより地域のニーズに合わせた教育プログラムを作ろうと思ったときに地方において大きな障害になっているということから,学部及び修士課程とのダブルカウントを認めるべきとの御意見がありました。
 また,法科大学院におきましては,別途法科大学院と法学部との連携による教育の充実,期間の短縮を進める方策が議論されておりまして,学部とのダブルカウントが不可欠であると。また,法科大学院制度が創設される際には法科大学院を経由して実定法の研究者になる者も出るというふうに想定しておりましたけれども,既存の法学系の修士課程に進学する者もいることから,専門職大学院と既存の修士課程との間の恒常的なダブルカウントを認めるべきとの御意見も頂きました。
 また,教職員大学院の部分でございますが,この教職大学院については原則国立の教員養成系の課程は教職員大学院に段階的に移行することとされていることもあり,教員養成系の学部教育の質の改善のためには教職大学院の教員のサポートが必要であり,学部とのダブルカウントを認めるべきとの御意見を頂きました。
 また,臨床心理の分野でございますが,これまで一番大きな民間資格である臨床心理士の分野においては大学院だけが受験資格の要件となっておりましたが,国家資格として成立しました公認心理師については受験資格を得るには学部と大学院で定められた科目を修めることが必要となったため,学部とのダブルカウントを認めるべきではないかと御意見を頂いたところでございます。
 会計分野,公共政策分野につきましては,昨年8月の報告書におきまして機能強化を図る上で,学士課程と修士課程との連携の強化も含めた対応が必要であるとされているところでございます。
 3ページ目でございます。このようなことを踏まえまして,一つ目の論点としては兼務を可能とする課程の範囲でございます。その下の丸でございますが,専門職大学院制度が創設後,10年間は専門職学位課程と学士課程,修士課程,博士課程前期は必置教員数の3分の1まで,後期の博士課程については全てダブルカウントを認めており,平成 22年以降のダブルカウントの状況のデータを記載しているところでございます。平成22年度のデータをごらんいただきますと,ダブルカウントをしていた割合は22%ということで,また,それぞれ各専門職大学院の事情に応じて兼務していたことが見受けられます。
 続きまして,4ページ目をごらんください。一番上にありますように,過去の特例期間におけるダブルカウントに関して専任教員の教育の質の低下を指摘された事例はございませんので,そういうことを踏まえて,ダブルカウントをどの課程まで認めることとするかということを第一の論点としております。
 続きまして,論点2,兼務できる教員の割合でございます。今申し上げましたように,過去の特例では学士課程等については必置教員数の3分の1まで認めていたが,兼務できる教員の割合はどのように考えるかとしております。赤字で,前回の会議では先ほど申し上げたように,学部とのダブルカウントは非常に意味があるので認めるべきではないかという意見が多数でございましたが,兼務できる教員の割合はどのように考えるかと記載しているところでございます。
 兼務できる期間でございます。繰り返しになりますが,過去10年間,特例措置として認めておりましたけれども,時限的措置として認める場合は恒常的措置と認める場合との関係で,それぞれどのように考えるかということを記載しております。赤字の部分でございますが,これも繰り返しになりますが,修士課程とのダブルカウントは修士課程から専門職大学院へ移行を検討する場合には一時的に両課程の専任教員を兼務する必要性が高いということを記載しております。
 4の教員の質保証の部分でございます。専門職大学院は,教育の質を保証する観点から教員組織の一定程度の独立性を確保し,教育に専念する教員組織を充実することを制度創設の趣旨としており,当然ダブルカウントを認めるに当たってはこの点を踏まえて教育の質の保証がしっかり図られるようにするということを論点として挙げております。
 具体的にはその下の丸にありますように,昨年8月にまとめました報告書では,エフォート管理の手法を導入することも一案とされましたけれども,その場合には具体的にどのような基準を設け,運用する必要があると考えられるかと記載しております。
 続きまして5ページ目でございますが,エフォート管理以外でも質保証できる仕組みとしてはどのようなものが考えられるかということを記載しております。
 前回会議ではダブルカウントを認めるべきとの意見が多かった一方で,教員の負担が増えて,教育の質の低下を招かないような配慮が必要であるという御意見も頂きました。このようなことを踏まえて,具体的にどのような基準を設け,運用する必要があると考えるか。また,エフォート管理という場合には担当科目以外の業務を含めた形でどのようにできるのかということを記載しております。
 その他の留意事項でございますけれども,ダブルカウントについては教育研究上有益な場合であり,かつ教育上支障がない場合に限定して認めるべきではないかと記載しております。
 続きまして,6ページ目,これは前回も御説明いたしました,ダブルカウントについての別の話でございます。現状と課題でございますが,現在,法学分野の専門職大学院については法科大学院だけではなくて,海外で活躍できる弁護士等のリカレント教育を行うような専門職大学院が開設される状況にあるということでございます。
 二つ目の丸でございます。法学分野における修士課程の教員の基準は研究指導教員数を5以上置くものとされておりますけれども,下の参考の例にありますように,公法,私法等に分割したときには専攻ごとに研究指導教員数は3以上置くという形にされております。そのため,専門職学位課程におきましても,1研究科に法科大学院と法学分野の専門職大学院を設置する場合には修士課程と同様の仕組みを設けてはどうかということを記載させていただいております。
 論点といたしましては法科大学院と同一の研究科に法学部系の専門職学位課程の専攻を設置する場合には下の参考にありますように,現在だと法科大学院が必要となる必置教員数は12名で,別に設置される専門職大学院も12名の教員数が必要でございますが,修士課程のように研究指導教員数が5ではなくて3でよいという形にすれば,法学系の専門職大学院,別途設置する専門職大学院については7名でということになるということでございます。
 その他留意事項ですが,この件につきまして,法学分野のみに適用する改正内容でありますことから,中教審の法科大学院等特別委員会においても別途検討していただくこととしております。
 最後でございますが,7ページ目のみなし専任教員でございます。現状と課題ですが,専門職大学院においては必置教員数のうち3割以上,法科大学院は2割,教職大学院は4割でございますが,実務家教員の配置が必要とされております。その中において,実務の動向を熟知している方の参画を促す観点から,必置実務家教員数の3分の2までは年6単位以上の授業科目を担当し,かつ教育課程の編成等を担うものであれば,専任教員に算入できる措置,みなし専任教員と呼んでおりますが,こういう規定が設けられております。
 下の二つ目の丸でございますが,各分野において,みなし専任教員の制度を導入しているものの,企業等で働きながら年間6単位の授業を受け持つのはハードルが高いと指摘されております。例えば現在の6単位の場合は,前期2単位,後期2単位のほか,夏季集中講義や前後期のいずれかに更に2単位を担当する必要がありまして,よい実務家を専任教員として教育課程の編成等にも参画いただくに当たっての弊害になっているのではないかということでございます。
 8ページ目でございます。ただ,前回の会議におきまして,最新の実務教育を担ってもらうのはみなし教員ということではなくて,非常勤教員を積極的に活用していくのが現状であり,そのようにあるべきではないかとの御意見も頂きましたので,追記しております。
 論点といたしましては,専門職大学院教育によりよい実務家教員が参画して教育組織,教育課程の編成等にも参画いただけるように,みなし専任教員の要件の担当単位数の下限を現行の6単位から4単位へ見直すことについてどう考えるかと記載しているところでございます。
 その他の留意事項でございますが,組織の運営に責任を担う者であることを引き続き要件として教育の質が低下しないように留意して,この点についても認証評価において確認していただくことが適当ではないかと考えております。
 以上でございます。
【有信主査】  ということで,この件に関してはまだまだ議論を整理する必要があると思いますので,御意見あればどうぞよろしくお願いします。
 多少議論が錯綜してしまうのは,みなし専任教員という考え方とダブルカウントの教員との考え方が混乱しちゃうんですね。その問題が一つと,それから,もう一つ,私のような民間出身の人間にはなかなか理解しにくいことなんだけど,専任教員ということと常勤教員ということとが必ずしもイコールになっていない。つまり,非常勤の専任教員という考え方が実際は通用してしまうという部分があって,ですから,通常ここで言われているダブルカウントの中で,多くのここの委員の方々は国立大学とか大規模な大学の先生たちが多いので,恐らくダブルカウントに関して事実上ほとんど問題ないという印象だろうと思うんです。というのは,ダブルカウントするにしても学部とのダブルカウントにせよ,大学の中でのダブルカウントにしても,常勤の自分のところの大学の教員がダブルカウントするのであれば,それほど大きな問題は感じないのではないかと思っているので,その辺を踏まえて,少し議論してもらえばいいと思うんですけど。
 それから,結局,もう一つはみなし専任教員の問題は,常に最新の知識を持った実務家教員を確保しなきゃいけないというときに,これも専任教員数が何人以上という規定がかなり厳しくやられているので,そこの部分については一応みなし専任という形で専任教員数に加えていいということになっている。だから,実質的には非常勤で専任教員という形で働いてもらうということで,ここの部分は,じゃ,非常勤講師と一体何が違うということで,飽くまで専門職大学院に対する厳しい要求をクリアするために,多少ここのところを緩和しているということですね。非常勤教員という位置付けでは専任教員の数を満足しないかもしれないという,そういう心配があったので,そういう規定になっているということがあるので,多少ここの部分を実感的に見ると,それぞれの大学の事情とは合わない部分もあるかもしれないので,それを一応踏まえて議論していただければというふうに思います。
 何が問題かというのが余り明確ではないのかもしれないんですけど,この議論の中では。学部とのダブルカウントという言い方をしても,結局,専門職大学院に対しては専任教員数をこれだけ確保しなきゃいけないというときにダブルカウントを認めると,これは一種のみなし専任教員的なカウント数になるので,実質的に十分な教育努力が図れないかもしれないということで,ダブルカウントに対しては移行措置としてだけ認めて,それ以降は確実にほかとの兼任がないような形で専任教員数を確保してくださいということになっているんだけど,ただ,実際的に教育をやってみると,学部の基本的な知識が必要な部分もあるし,学部との連携が必要な部分もあるので,学部と専門職大学院を完全に切り離してしまうのはいろいろ問題が発生する,こういう意見がかなりあって,現実に兼任している率も,現状では調べると心配するほどのことにはなっていない。認めてもいいのではないかというのが大勢の意見だったような気がするんですけれども。
【川嶋主査代理】  少し確認したいと思います。先ほどの室長からの説明の中や,きょうの資料2の中でも文字に書かれている部分と,文字に書かれていなくて口頭で説明された部分がありまして,それは専任教員という概念と必置教員という概念です。必置は,必置専任教員と両方付くんですけど,一つお聞きしたいのは必置専任教員の担当単位数って,設置基準で上限下限は定められているのでしょうか。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  設置基準等では定められておりません。
【川嶋主査代理】  全く定めがないのも,それでいいのかなという気もするんですけれども。前々からお話ししているように,兼務といったときに,今でも必置教員ではない専任教員は兼務は可能です。また,ほかの課程の専任教員となることは可能ということです。その上で,ダブルカウントは,必置専任教員を他の課程でも必置専任教員としてカウントするということです。それはどのくらいの割合ですか,どの課程とですかとか,それが今の議論のポイントだと思います。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  そのとおりでございます。必置専任教員の超える部分については兼務というのは自由に認められておりまして,必置教員専任数の中での兼務というのをどの程度認めるべきか。認めるならどの範囲でよいかということを御議論いただきたいと思っております。
【有信主査】  じゃ,取りあえず淺羽委員からどうぞ。
【淺羽委員】  ちょっと問題が余りよく分からないというのはそのとおりなので。最初に,ここに地方国立大学の経営系大学院とかという例が載っているので,こういうのを見て,私が考える,イメージする典型的な例は,例えば今まで経営学部を持っていました。あるいは経営系の修士課程を持っていました。ところが,学生が集まりません。困ったな。専門職大学院というのを作ればいいじゃないか。そうすると違うマーケットになるので。ところが,専門職大学院には必置教員とかいろいろな縛りがあるので,大変だと。だから,今うちの大学にいる教員をダブルカウントとしてやると,比較的容易に作れるじゃないかというようなことが起こり得るんだろうなというふうに想像しますと。結構だと思いますけど,多分そういうところは,今持っている修士課程を潰すのは惜しみないので,潰せない。だからダブルカウントにするということだと思うんですけど。
 唯一懸念されるのは,少なくとも我々はビジネススクールとしては学部の教育をやっている人が簡単にビジネススクールは教えられないというふうに思っているので,そういうことができたときにそれがバッドレピュテーションになって,マーケットに対して悪影響を及ぼすというのが一番懸念されますと。だから,逆に言うと,最初に,専門職大学院を作ったときに,実務家教員はこれだけにしなくちゃいけないとか,ダブルカウントは認めないとかというふうにやられていたのが物すごく高い識見だというふうに僕は思っていて,だからダブルカウントを認めてもいいですけど,そのときに教育の質をちゃんとチェックするのかとか,どれぐらい担保できるのかというのを同時にやっていっていただければいいんじゃないかなというふうに思ったんです。
【有信主査】  まさしくそのとおりだと思いますけど。だから,ダブルカウントというのは,現実的に見て,いかにも必要だという部分と,さっきのように明確に従来の大学教育とは違うという視点で,特にMBAなんかはそういうところが強いと思いますけど,そういう形で設計された専門職大学院ということであるかもしれない。また,経営系については個別にまた調査もしてくれてはいますけど,そこの部分は少し議論してもらえればいいと思います。
 片山委員,どうぞ。
【片山委員】  先ほどの川嶋委員の御発言とも関連しますが,必置教員と専任教員の関係につきましては,恐らく私もこのワーキンググループに入るまでは誤って理解していた部分が確かにございまして,ロースクールに関しましては,10年間でダブルカウントを解消しなければいけないという趣旨は,ロースクールの教員は必置教員と関係なく,兼務は全て解消しなければいけないと,恐らく多くのロースクールでは考えて,10年間で,一生懸命解消に向かって努力してきたという経緯がございます。そういう意味では,今後,法科大学院では,2ページのところに書いておりますように学部との連携を進めていかなければならないという点から,ロースクールの教員が学部でも教え,学部の教員がロースクールでも指導していくということの必要性が今後高くなるでしょうし,さらに両方の会議体に所属して,カリキュラムの策定等について,しっかりと意思決定に参画できるような状況を作出していく必要があろうかと思いますが,それが必置教員数を超える部分で十分対応ができる話なのか,それとも必置教員の中でもある程度ダブルカウントを認めていただいて対応するようにしなければいけないのか,その辺りの実態が実はよく分からないところがございます。その意味で,たとえばダブルカウントを認めていくということになると,今後,3分の1までは認めるとするのがどうかというような具体的な数字を挙げての議論をするということになると,その部分についても実態把握がもう少し慎重にやった上で判断していく必要があると思います。
【有信主査】  そこは確かに議論の重要なポイントになっているわけですね。どの程度まで認めますかというときに。そのときに,確かに川嶋委員が最初に指摘したように,必置教員数と専任教員数というのが,何となく混同して理解されてきたというところがあってということだと思うんですね。新たに専門職大学院に移行する話の部分までここに一応入っちゃっているので,話がおかしくなっているんだけど,新たに専門職大学院を作る場合は,従来どおり移行措置というのがあって,それはそれでこちら側の議論が終わった上で移行措置の中にそれがどういうふうに影響するかということを考えればいいわけですね。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  おっしゃるとおりで,昔あった移行措置は終わっていますが,今回の議論を踏まえて,移行するときには時限付きで特例措置を認めていただければ,認めた特例期間だけは兼務できるということになりますので,運営上のメリットが一定程度認められるとは思います。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。先ほど主査の方からもお話があったように,かなり大きな研究科や学部,大学ですと,博士,修士,学士,専門職でそれぞれ必置教員数が確保されていて,なおかつ必置ではない専任教員として課程間で相互に入れ子になっている場合もあるし,必置教員数についても多分教員同士のローテーションで一般修士の専任教員になっていた先生が何年か後に専門職の方の必置教員としてカウントされるとか,そういうやりくりが多分なされていて,結果として学士と修士,専門職,博士後期との教育上の連続性というのは,教員にかなり余裕があるところは既に担保されたというか,確保されているんだろうなと思います。
 それで,ここに幾つか分野ごとに分けていただいているのですが,必置教員数の何%,何割かの議論は別にしても,例えば専門職課程と学士とのダブルカウントを認める,あるいは一般修士とのダブルカウントを認めるというときのメリットの有無が重要かと思います。教育上のメリットは大きな組織であれば,かなり確保されていると思うんですけれども,それぞれの分野や教育課程で,どういうメリットがあるのかというようなところをもう少し議論する必要があると思います。例えば既に教職大学院の場合,特に国立大学の教員養成系ですと,教育学研究科の一般修士から教職大学院に移行するということになっているので,多分そういう場合は例えば前からもお話があったと思いますが,一般修士と教職大学院のダブルカウントとかは多分必要かもしれませんし,それから,経営経済系の一般修士課程から専門職の経営系に移行するというところも,ひょっとしたら必置教員のダブルカウントを認めた方が移行がスムーズにいくという場合もあるんだろうなと推測します。ただ,学士と専門職のダブルカウントといったときに,先ほどの話で,是非関係の先生方にお聞きしたいんですけれども,実際のところ必置教員と教職大学専任教員の先生,特に必置以外のところの専任教員の先生が学士課程を担当されているということは現実にはあるんでしょうか。
【有信主査】  いや,多分これはそれぞれ特殊だと思うんですね。少なくとも背番号が付いているわけではないので,あなたは必置教員で,あなたは必置でない専任教員ですと,こういうふうに背番号を付けられているわけではないので,恐らく片山委員が言われたように,必置教員というのと専任教員というのを同等と思っているので,基本的には兼任は認められないというふうに考えて,運用しているところが多いのではないかという気はするんだけど,教職課程の場合は,またもうちょっと複雑ですよね。どうですか。
【添田委員】  教職大学院の場合は,必置と専任の話は大分前に混乱しているのが分かったので,大分理解が進んでおります。問題は,先ほど川嶋委員からもお話がありましたように,大きな私学の大学などは先生方が多いので問題ないんですね。単科大学とかは。それよりも地方大学の教育学部ですと,教員の数が限られておりますので,今移行期ですが,教職大学院と既存の修士課程と学部で回らないというような状況が出てきております。これは和歌山大学の例ですが,教員が14名おります。2名をダブルカウント。必置が11名ですので,11名は必置教員という形でやっております。ですので,私は必置教員ですので,学部の授業の提供は4単位までは認められていますので,教職の科目等は提供いたしますが,基本的に卒論であるとか,そういったものには関わりませんので,学部生の進学において教職大学院に行きたいけれども,教職大学院の先生を知らないというような状況があり,現実には進学のときになかなか教職大学院にという学生たちに周知徹底することがなかなか難しいというのが一番の悩みではあると思います。
 次の悩みは,これはダブルカウントしていただきたいことと相反することだと思うんですが,確か平成28年度以降は一部を除いて可能となりましたが,以前は教職大学院の場合,必置教員になると,学部の方の免許とかの張り付けに使わない。使えない。専任教員じゃないので,免許に必要なところの課程に何人いるというところにカウントしないということですので,例えば教科教育法の先生が教職大学院の専任になってしまっていれば,学部の方で免許の方の必置の方のカウントに入らないということになってしまうので,両方に置かないといけないような形になります。大学側にも両方,もう一人新しい方を雇ってくださいという要求ができるんですが,ダブルカウントになれば,両方持てるので,今度は特定の教員が非常に忙しいことになってしまうということは見られるということになります。
【有信主査】  前の方の話は恐らく教職大学院だけではなくて,専門職大学院に対してそれなりの意識付けを学部のときにする機会がほとんどないという状況につながっている。これは多分共通の問題だと思うんですね。
 それから,後ろの方の問題は,ですから,必置専任教員のダブルカウントをどこまで,何割まで認めるかというところに関わる話でそこのところの議論として少し検討する必要があると思います。
 ほかに御意見ありますでしょうか。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  恐縮ですが,資料2-2の昨年8月に取りまとめられた報告書の47ページに兼務に関する現行制度のイメージ図を載せておりますので,こちらをごらんいただきたいと思っています。修士課程,専門職学位課程,これはある意味同じレベルにあると考えられておりまして,これについて兼務を認められておりませんが,これの恒常的な兼務を認めるかどうかについては,今後大学分科会,大学院部会で御議論いただくこととしております。ただ,移行措置の関係,教職大学院とか,経営系修士課程の専門職大学院の移行に関して,時限的に認めることは必要ではないかということで,その点については御議論いただきたいと思っております。
 本ワーキンググループでは,主として既存の修士課程,下に丸と書いておりますが,学士課程との兼務については,博士課程と同様にフルで認められております。専門職学位課程については,教育の質を確保するという観点から学士課程との兼務は一切認められていないということではございますけれども,既存の修士課程についてはフルに認めていて,既存の修士課程においては学士課程とか,博士課程,兼務する方もいるのに全く認めなくていいのかというようなことであります。
 以上でございます。
【有信主査】  ちょっと確認したいんだけど,今言ったように,これは必置教員は認めていないという意味で,必置でない専任教員は認めていると理解していいわけですか。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  そのとおりでございます。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【川嶋主査代理】  添田先生のお話でわかったのですが,教員養成系,特に国立大学の教員養成学部ですと,教科教育の分野では物すごく細分化されています。ですから,先ほどお話にあったように,非常に窮屈な教員組織になっているんだろうと思います。そういう点で,ここで言う話かどうか分かりませんが,運営費交付金の削減もあって,どんどん教員が減っていく中で,学士と修士と専門職できちんと必置教員も含めて専任教員の組織を確保していくというのは,今の状態だとかなり厳しいのかなというふうには理解しております。
 それから,もう一方で,専門職大学院が主な審議の場なのですけれども,ただ,ほかの課程で,例えば同じ修士の研究科と別の修士の研究科の必置教員のダブルカウントの問題とか,学士と修士は既にいいんですけれども,こういう問題は専門職大学院だけに限定される話ではなくて,先ほどの教員養成系の大学も含めて,今後,教教分離というか,教員組織と教育課程である学位プログラムを分離して,教育の充実となおかつ教員の効果的な活用を図るという改革案の議論が各大学で始まっていくという中で,そういう今後の改革の方向性を見据えながら,必置教員のダブルカウントの是非を考えていかないと,専門職大学院とほかの課程をどうするのかという話だけでは多分結論が出ないのかなというふうに私自身は理解しております。
 ですから,このワーキングに限っても,多分それぞれの専門職大学院で御事情が全く違うというのがよく分かりましたので,どういうふうにしてここでの議論をまとめていったらいいのかについて,今のところ着地点が個人的には見えていないというのが,正直な感想です。
【有信主査】  どうぞ。
【浅野専門教育課長】  川嶋委員の御指摘ですが,正に今,将来構想部会の中で学位プログラムに導入するに当たって設置基準や設置審査の在り方についてどう見直していくかという議論が始まったところでございまして,これは多分,そんなに短い期間で検討するのは相当難しいのではないかなと思っております。そういう意味でも,専門職大学院の現状を踏まえて,専門職大学院のダブルカウントの仕組みについては,できるだけ早く措置をしていきたいと思っておりますので,今ワーキンググループでおまとめいただければ,まず専門職大学院のダブルカウントの問題については早急に改善していきたいというふうに思っております。
【有信主査】  最大公約数的な共通の方針をどういうふうに出すかということと,それから,今幾つかの大学で既に実施されていますけど,川嶋委員が言ったように,教員組織と教育組織を分離して運営するというやり方がやられているところがあって,専門職大学院は教員組織と教育課程は今不可分な格好で定義されているので,必置教員がどうかというような議論になっているんだと思うんですね。それと併せて例えばアメリカのように学位プログラムがメーンで走っているところで現実に,いわゆるプロフェッショナルスクールと研究系の大学院とが並行して走っているようなところは,これはまた一体どういうふうに運営しているのか。多分,専門職大学院というか,プロフェッショナルスクールのところは相当厳しく,それで独自に教員数を確保したり,教育内容をきちんと見たりということをやっているような気もするんですけど,この辺も多少踏まえながら検討した方がいいかなという気もしますけど。
 ほかに御意見があればどうぞ。
【浅野専門教育課長】  恐らく今の教教分離の仕組みは,結局,設置基準上は学科・専攻に教員の定数や学生の定員が置かれるようになっていますから,教教分離をやっても,実質上は組織に置かれたプログラムになっているのが日本の制度の現状だと思います。
【有信主査】  だよね。だから,一応運営上,多少見掛けが動いているように見えているけども,もともと設置基準上は学生定員を決めていますから,それに必要な教員の数が自動的に決まると。それに合わせて運営費交付金が配分されると。国立大学であれば学生の定員に応じて運営費交付金が配分されるようになっているので,そこの部分は根本的に学位プログラムということで,考えを改めて制度設計をやり直さないと,全部は解決しないということですね。ただ,そうは言っても,その中でプロフェッショナルスクールの在り方というのを踏まえながら,今言ったような,ここで必要な教員数の確保をどういうふうにやるか,教育の質をどうやって保つかという観点で,ある程度の大枠の基本方針をここで決めるということになると思うんですけどね。それは結構大変だね。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【川嶋主査代理】  大規模な国立大学ですと,必置教員プラスアルファ専任教員のところは結構余裕があるので,そこの教員を集めて,新しいプログラムをそこから必置教員として出して作るということは今でも可能な仕方なんですが,学生数と教員数が組織に張り付いている限り,その方法にも限度はあると思います。
 1点,法科大学院について,もし片山先生,御意見があればお聞きしたいのは,最初の下線部の学部とのダブルカウントが不可欠であるというふうに書いてあって,法科大学院と法学部との連携教育の充実,在学期間の短縮を進める方策が議論されておりという指摘があります。この文章を読むと,学部とのダブルカウントは不可欠であるということですが,法科大学院の当初の理念というのはどんどん崩壊していると私は思います。その理念の一つとして,当初は,司法試験だけを目指して,ずっと試験勉強してきたという方たちが法曹職に就いた場合,俯瞰的な価値判断ができないのではないかということで,法科大学院を作るときは,とりわけ未修者を,つまり,いろいろなバックグラウンド,学部教育を受けてきた人を3年間のロースクールのスクーリングでしっかりと法曹で活躍できる人材に育成するというところがあったと思うんですが,ここの下線部,法科大学院等特別専門委員会で議論されている流れで行きますと,むしろ既修者を重視するというようにも読めて,この辺りは法科大学院関係者の間では,もしこういうことが起きたとき,どういう反応というか,印象をお持ちなのか,ちょっとお聞きしたいんですけど。
【片山委員】  もちろん法科大学院制度が発足した時点での多様なバックグラウンドを持った人材をロースクールに招き入れて,多様な法曹を育成していこうという理念自体が放棄されたとか,ロースクールを未修コースを原則とする制度設計から既修コースを原則とする制度設計に切り換えて行くということを目指しているわけではないということは確認しておきたいと思います。しかしながら,他方では,現状では,純粋未修といいまして,社会人とか,他学部,他研究科出身の方々の割合が非常に少なくなってきておりまして,法学部出身者が多数を占めるという現状がありますが,もっとも問題になっておりますのは,今,法学部においても法曹志願者が激減しているということでありまして,法曹界としては,やはりそもそも学部から法曹をめざす法曹志願者の数をまずは増やしていくということが喫緊の課題だということです。
 法高校生が学部を選択する段階で,法曹の魅力をきちんと伝えて,優秀な人材を法学部にきちんと吸収し,そのことを通じて志願者の数を増やしていくかという点から,法学部とロースクールを一体化したような連携を強化して,より魅力的な教育プログラムを提示することによって,学部に入学する段階での優秀な人材をいかに確保するかという点を,法科大学院等特別委員会で議論していることでございます。ですから,そのことが直ちに未修者コースをなくせとか,あるいはそれ自体を理念として諦めてしまおうということを言っていることではないと思います。有信主査もメンバーのお一人ですので,補足していただければと思います。よろしくお願いいたします。

【有信主査】  確かに法学部に入る学生の半分ぐらいは法曹志望でしたよね,全体で見て。ですから,その人たちの期待に応えるというのは一方で必要ですし,一方で今片山委員がおっしゃったように,司法試験というか,ロースクールに入る人たち自身で既に法学部出身者以外の純粋未修者という数はかなり減ってきている。これはもともとの趣旨である多様なバックグラウンドを持った法曹の養成ということからずれてきているんだけど,ただ,それはまだ目指していかないといけないという認識はみんな持っていると思いますけどね。
  ほかに御意見があれば。まだ御意見を頂いてない,松﨑委員は何か御意見ありますか。
【松﨑委員】  ダブルカウントの問題は相反するところがございまして,特に臨床のように小さい単位のところでいきますと,必置教員数と専任教員数の差が少なく余分がないと。しかも,年々教員数の問題というのは厳しくなっておりまして,更に余裕がなくなってきている中でどう考えていくかです。そうしますと,例えば修士課程から専門職大学院に移ろうと考える大学院がもしあったとすると,ハードルが高いので,ダブルカウントがあった方がいい。今度は反対に専門職大学院の教員数を守る,質を守るという考え方でいったときには,この設置基準があることでかなり守られているという,ちょっと相反する状況が起こっておりますので,簡単にこちらだけがオーケーと言えず非常に頭を悩ませているところです。特に今臨床分野は,国家資格の問題との絡みで,かなり分岐点といいますか,いろいろなものが起こってきている中で,例えば専門職大学院が魅力的なものに,受験生たち,将来心の専門家になりたい人たちにとって,専門職大学院がより魅力的になるには,どうやっていったらいいのか思っているところでございます。
【有信主査】  確かにそうで,それを一つは解決するために出口側との関連を強くしましょうということで,一番重要な問題は,国家資格と専門職大学院の卒業資格がどれぐらい密接に関連しているかということで,そこの部分でこれからはそれぞれの専門家がきちんと活躍しなきゃいけないというときに専門家の証しとして専門職大学院の修了ということがきちんと位置付けられるようにする。それがうまく機能するように,さっき言ったアドバイザリーボードのようなものもちゃんと位置付けられなきゃいけない。教員数の問題については,そこで本来は学生が増えれば,ある意味で志望者が増えれば,また考え方もあるかもしれないんだけど,現状のところではまだ全体がうまく回り切ってないので,どこかで好循環に回すようにしなきゃいけない,こういう問題だと思うんですね。そういう観点で今の必置専任教員のダブルカウントをどの程度認めるかということを議論する。だから,具体的に何割程度はどうこうというよりも,もうちょっと基本的な考え方を少し整理した方がいいと思うんですけどね。
 ほかに御意見何か。どうぞ。
【杉本委員】  資料2の2ページのところの会計分野のところでおまとめいただいたのですが,昨年8月の報告書の文言に基づいてということなのですけれども,この3行,どちらかというと非常にマイナスイメージでしたためられているのですが。報告書の12ページのところをごらんいただくと,実は公認会計士試験の受験者は確かに減少していたのですけれども,ここのところ増加傾向にあります。先だって5月に行われた短答式試験も三百数十名増加しております。確かに受験者数が減少したこと,それと監査法人への就職,これが大きな問題を抱えていたということで会計専門職大学院の方への入学希望者が激減したという,そういった社会的背景があるのですが,監査法人への就職も数年前から改善しております。ということで,効果はこれから出てくると思うのですが,各校によって違うのですけれども,公認会計士試験の受験者も,会計専門職大学院への受験者も増える傾向にあるというのが昨年8月にしたためた内容です。ですので,その点を踏まえると,きょうの資料2のところですね。ちょっと文言の印象が違うかなというところがあります。
 それで,これからいろいろと問題点を解消していただくという意味ではこの3行は非常に有り難いんですけれども,こういったマイナスのイメージが先行してしまうと,実は会計専門職大学院への教員希望者が後々非常に深刻になってくるのですね。資格試験の対応の問題もありますので,若手教員は採用できません。特に研究者教員を前提とした場合ですね。ですから,今後,研究者教員に関しては一定の能力を持った者を補充していかなければならなくなるのですが,どうしてもマイナスイメージが根付いてしまうと,教員の就職も一般の大学院の方の希望はあっても,専門職大学院の方は希望しないという,こういった影響が出てきます。また,我々が博士課程で後継者を指導しなければいけない,育成しなければいけないという問題も抱えて,どうしてもノルマも多くなってしまうというところが現状です。ですから,ノルマが多くなると,また教員希望が減ってしまうという,そういう悪循環がありますので,できれば一時的な活用でも結構ですので,万一そういった大学院が出てくる場合の対応として,是非ともダブルカウント,一定の期限を設けるのではなくて活用できるという,そういった制度設計をしていただけると有り難いなと思います。
【有信主査】  そういう意味ではその時々に左右されない格好で共通にそういう視点でダブルカウントをどうするかということを考える。学部で教えているような教育内容が具体的に専門職大学院でも必要になる。つまり,専門職大学院に入る人たちは,例えばその専門職に関わる基盤学部というのは幾つかあると思うんですね。基盤学部の卒業生に限らないというのが専門職大学院の基本的な考え方でやっているので,そうだとすると,専門職大学院で教えるときに,そこに関わるような基盤的な学問分野の基礎知識を研究系に行くのとは違う視点である程度教える必要も出てくるということと,それから,比較的基盤となっている学部と専門職課程の内容がワンスルーでつながっているようなところに関して言うと,学部と専門職大学院の連携も必要だという意味で,ある程度ダブルカウントが必要だという考え方もあるということで,それをどの程度の規模にするかということですね。そもそも必置教員は,基本的に言うと,通常の専門課程の必置教員数よりはより多くの数を要求するようにしたわけですね。だから,より多くの数を要求することにした部分について基本的にどう考えるかということが多分どれぐらいの割合で必置教員のダブルカウントを認めるかということとも関わるというふうにすれば,ある程度の仕切りはできるかもしれない。これは便宜的な話ですけど。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【川嶋主査代理】  専門職大学院を立ち上げた当初は,一般大学院からの移行期ということで,10年間ダブルカウントを認めたということですが,それは今もお話がありましたけど,専門職大学院は1.5倍の専任教員を必要とするということが背景にありました。そのため,直ちに必置教員の専任教員を確保できないということで,徐々に10年かけて,専任の教育組織を確立していこうということで,必置教員のダブルカウントを,3分の1までを認めてきたという経緯があります。今回,必置教員数の比率はともかく,修士なり,学士課程とダブルカウントを認めるということのメリット,必置教員をダブルカウントで他の課程で認めるということのメリットは,立ち上げるときと違って必ずしも根拠が納得できない。つまり,学士課程との教育上の連携を図るといっても,必置教員じゃなくても専任教員が学士課程の授業を担当していることは現実にあるわけですから,なぜ必置教員が他の課程とダブルカウントで担当しなければいけないかというところがクリアにならないと,どの分野においてもなかなか納得を得られないのかなというふうに思います。もちろん教職大学院,地方の教員養成系学部や大学で,きつきつだというお話は十分分かるんですけれども,それでもなぜ必置教員が他の課程との兼務可能としなきゃいけないのか,そこの絶対的な理由というのが何かいま一つこれまでの議論では見えてこなかったというのが私の印象です。いろいろ理由が挙がっているんですけれども,じゃ,なぜ必置教員が学部,修士と兼務しなきゃいけないのかというところがちょっと明確じゃないかなというふうに私は思いました。
【有信主査】  ということですが。どうぞ。
【片山委員】  大規模な大学の中で必置教員を超えて専任教員を擁しているところを前提として考えているからそのような議論になるのかもしれませんが,必置教員数ぎりぎりで運営しているところを前提として考えますと,学士課程との連携が必要であるということならばダブルカウントを認めるべきだということになると思います。むしろ,設置基準としては,必置教員での設定を認めているわけですから,原則として,必置教員ギリギリでの運営を前提として,学部・学士課程との連携が必要であるとということであれば,どこまでダブルカウントを認めるべきかという議論をすべきではないかと思いますけれども,いかがでしょうか。
【川嶋主査代理】  これは以前,専門職大学院で,必置教員プラスアルファ専任教員って,調べませんでしたか。どれくらいのりしろがあるのかということを以前,調べませんでしたか。
【有信主査】  たしか前に調べたよね。どこかで見たような気がする。
【川嶋主査代理】  前期のワーキングで調べたような気もするのですが。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  また次回までに整理させていただきたいと思いますけれども,6月5日の会議資料の参考資料の方にありますけれども,教員組織の推移数ということで載せている資料がございます。
【川嶋主査代理】  40ページですかね。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  40ページですね。こちらに専任教員数とうち実務家教員数,あと実務家教員の比率ということで,整理した資料は一つございます。
 あとは過去に各専門職大学院で配置している教員数を実態調査しておりましたので,それぞれの専門職大学院の必置教員数というのは分かりますので,どれだけ必置教員を超えて配置しているかというのは確認できるかと思います。
【川嶋主査代理】  是非お願いしたい。片山委員の御指摘のように,どの専門職大学院もぎりぎりでやっているというような状況ならば,全体的に必置教員の兼務を前向きに検討する必要があると思いますけれども,その辺り,認めたときにきちんと納得のいくような説明ができないと,皆様,関係者の理解を得られないと思いますので,その辺次回までに調べていただければと思います。
【有信主査】  そのときに一応必置教員数で,さっきのみなし専任教員の話に関わるんだけど,必置教員数のうちの3割以上,法科大学院は2割,教職大学院は4割というふうに決まっていて,これは実務家教員を充てるということになっていますね。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  そのとおりです。
【有信主査】  ですから,ここでも実務家教員の数は相当多いんだけど,実務家教員が学部を兼ねるというか,学部とダブルカウントということは極めてまれだと思うので,そうすると,ダブルカウントを認めるとすると,残りの3割だとすると,7割の教員の中でどの程度認めるかという話になってきて,今,川嶋委員が言われたように,必置教員で,多分余裕があると言っても実務家教員を加えた上での数で余裕があるということになっているので,実質的に大学のフルプロパーの教員で余裕があるかどうかというのは分からないんだよね,今のところだと。だから,そこを含めて議論しないと,どの程度の割合でダブルカウントを認めるべきかという議論になっていかないと思うんですけど。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  今,有信主査の方からお話があった点ですが,多くは研究者教員が兼ねることが想定されます。ただ事務的に改組の相談を受けた際に,学部においてもかなり実務の経験のある教員を配置しているビジネス系の地方の国立大学の学部がありまして,まだできて2年ぐらいの学部なんですけれども,完成年度を迎えた後に大学院の修士課程設置を検討されています。この学部は実践的なビジネス系の教育を展開しているんですけれども,大学院を設置した場合に学部の教員を兼ねられないとなると,修士課程で大学院を作らざるを得ないということで,かなりこのワーキングの議論を注目しているという例がございました。分野によっては学部の実務家教員が兼ねるというような例もあるのかなという印象がございます。
【有信主査】  それは全くそのとおりだと思うんだけど,それを言うと,6単位を4単位に減らすかという議論がまた矛盾しない? つまり,優秀な実務家教員を確保しようとすると,今の要求事項がきつ過ぎるので,それを緩めようという議論がもう一方ここでやられているわけですね。その人が,例えば学部とダブルカウントにするという話になると,オブリゲーションが増えるわけですね,実際には。そうすると,片方で6単位を4単位に減らしても,実務家教員のダブルカウントを認めるということになると,思想的に何か一貫性がなくなってしまう。
【川﨑専門教育課専門職大学院室室長補佐】  実務家教員でみなし専任じゃない実務家教員を置くことになっておりますので,現在みなし専任教員というのは置くこととされている実務家教員のうちの3分の2まではみなしでいいよということになっていますので,いわゆる専任,常勤の実務家教員というものは今でも専門職大学院には置くこととされておりますので,そういった方が兼務するということは分野によってもしかしたらあるかもしれないということは申し上げたつもりです。
【有信主査】  だから,3分の2以外のところね。残り3分の1の部分はその可能性があったと。何だか余りすっきりしないな。
【浅野専門教育課長】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【浅野専門教育課長】  この問題は恐らく二つの側面があって,一つは純粋にそういう小さな大学,規模の小さな大学で専門職大学院を作ろうとするとか,若しくは片山先生のところの研究科のように,大きな大学の中でも,研究科の中で,更に幾つか専門職大学院を作ろうとすると,結局,母体は大きくても,組織をいっぱい作ろうとすると,そこで数が足りなくなるという問題が出てくる。それが一つの数の問題なんですね。
 それともう一つは,学部とダブルカウントを必置教員数であるんですけど,大学の多くは,先ほど出ていましたけれども,専任教員と必置教員数というのを同じに考えているところもありますので,そうすると,学部の先生と専門職大学院の先生が区分けされて,そういう帳簿を作っている大学もあるんですね。そうすると,専門職大学院でやっている実践的な取組なんかが,本来だったら学部にも反映されて,学部教育の改革が進んでいくようなことが望まれるわけですけれども,残念ながらそういう流れには今なっていないという状況がありますし。
 あともう一つは,専門職大学院の先生が修士課程を,教員をダブルカウントとして必置専任教員として兼務できないために,結局,修士課程の方の自分の同じ領域の専門分野をこれも帳簿を作って修士課程と専門職に分けているために主たる指導教員にはなれないという形で,副指導教員みたいな形で順繰り順繰り回しているというような実態があるということもありまして,そういう意味では数の問題と,実体的にダブルカウントができないことによって生じている学部と専門職や専門職と修士との分断というか,そういったことの二つの問題をダブルカウントの問題ははらんでいて,その二つの問題をどの程度,どういう方向で解決していくのかということを正に御検討いただくのかなと思っております。
【有信主査】  随分難しい宿題のような気もしますけど。いずれにしても,そういうところをベースにして,どこかに解を求めていかないといけないと思うんですね。しかも,なおかつ将来構想部会で検討されるはずの先もある程度見ながら決めていかないといけないということだと思うので,きょうだけでこの議論は多分終わらない。引き続き議論させていただきたいと思いますけど,大竹さん,大学の話ばかりで,ちょっと発言の機会がなかったんだけと,何か御意見ありますか。
【大竹委員】  今回のテーマに関しては申し訳ないですが。
【有信主査】  ほかに何か御意見あれば。
 ということで結局6時半までかかってしまいましたけど。
 今言ったように,今度は産業サイドから見てもどういうふうにこういうことが見えるか。あるいはダブルカウント等々をやるとしたときにどんな心配があるのかというようなことを現場サイドから少し考えておいていただければと思います。
 それでは,きょうの議論は一応ここまでとさせていただきたいと思いますが,じゃ,事務局から連絡事項をよろしく。
【大月専門教育課専門職大学院室長】  次回,第4回の日程につきましてはまだ決まっておりません。決まり次第追って連絡させていただきます。
 以上でございます。
【有信主査】  それでは,6時半までかかってしまいましたけれども,どうも活発な議論ありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。

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