専門職大学院ワーキンググループ(第9回) 議事録

1.日時

平成28年7月27日(水曜日)13時~15時

2.場所

霞が関ビルディング35階 東海大学校友会館朝日・東海の間

3.議題

  1. 専門職大学院制度の現状・課題について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘(主査),川嶋太津夫(主査代理)の各臨時委員
(専門委員)青井倫一,大竹由希子,片山直也,上西研,杉本徳栄,添田久美子,松﨑佳子,宮脇淳の各専門委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,浅野専門教育課長,塩田専門職大学院室長,伊藤高等教育企画課高等教育政策室長,川﨑専門職大学院室長補佐

5.議事録

【有信主査】  第9回の中央教育審議会大学分科会大学院部会専門職大学院ワーキンググループを開催したいと思います。よろしくお願いします。
御多忙中のところ,委員の方々には御足労頂きましてありがとうございます。本日は,前回の会議で提示した骨子案を基にして,事務局に報告書の案を作成してもらっています。報告書の形になっていますので,それを基に議論を行っていきたいと思います。本日も,活発な議論をよろしくお願いします。
それでは,事務局から配付資料の確認をお願いします。
【塩田専門職大学院室長】  それでは配付資料の確認をさせていただきます。
資料1が,報告書の案でございます。
資料2が,参考資料となってございます。
資料3が,ダブルカウントについての論点ペーパー。
資料4が,各専門職大学院の主な意見ということで取りまとめたものでございます。
不足等ございましたら,事務局まで,よろしくお願いいたします。
【有信主査】  それでは,議事に移りたいと思いますが,議題1であります専門職大学院の制度の現状・課題について,事務局が報告書及び参考資料の案を作成していますので,説明をお願いしたいと思います。
【塩田専門職大学院室長】  それでは,資料1から4をまとめて説明させていただきたいと思います。
まず,資料1の報告書の案でございますが,これは,前回,骨子としてお出しし,意見を踏まえて反映したものでございます。主な修正点につきまして,赤字で記載してございます。
まず3ページでございますけれども,「はじめに」ということで,問題意識を記載してございます。平成15年の制度創設以来,普及定着も一定程度図られてまいりましたけれども,在学者数が減少するなど,必ずしも社会との連携が十分に図られていない。また,付加価値が十分に理解されていないことから,当初期待されていたような広がりには至っていないのではないかということでございます。
少子高齢化が急激に進展する我が国が持続的な成長を継続するためには,労働生産性の向上が喫緊の課題であって,高度専門職業人養成機能の一層の充実強化が求められる,こういったような問題意識を「はじめに」で記載してございます。
続きまして,変更点としましては,5ページでございます。(2)の社会との連携の部分でございますけれども,まず,専門職学位と職業資格との関係が十分に確立されていないことが専門職大学院の広がりが進まない一因と考えられると記載を追記いたしまして,※印のところで欧米の例等を示してございます。
米国においては,専門職系の大学院が社会的評価をされておりまして,キャリアアップにつながる仕組みが確立しているということが1点。
また2点目といたしまして,ドイツやフランスにおきましては,職業資格の一部としても学位が組み込まれていることが一般的であるということ。また,欧州では,「欧州高等教育圏」の構築を目指したボローニャ・プロセスが進行中で,ディプロマ・サプリメントの取組も進められているという状況でございます。
3点目でございますけれども,世界の多くの国で学位及び職業資格等の要求水準を透明化するための国レベルの資格枠組み,NQFと呼ばれておりますが,その作成の取組が進んでおります。特にEU諸国では,欧州の資格枠組みが設けられまして,それに準拠する形での各国でのNQFの策定又は見直しが進められている,こういった状況を記載してございます。
続きまして,7ページでございます。(3)の多様なニーズへ対応するための他の課程等との連携強化の部分では,元案では専門職大学院が扱う分野として,不足している分野があることを何点か書いてありましたが,御指摘を踏まえてもう少し丁寧に書いたものでございます。社会のニーズは,多様化,複雑化しているということで,学士課程等々との教員とも連携して,特色あるプログラムを提供することが必要ではないかということ。
また,(4)の分野ごとのきめ細かい対応では,この対応する観点をきちんと書くべきではないかという御指摘がありましたので,社会との連携を促進し,機能強化を図る観点から追記してございます。
続きまして,8ページでございます。具体的な改善方策で,アドバイザリーボードの設置につきまして,卒業生の扱いを追記すべきという御指摘がございましたので,この括弧書きを追記してございます。
また,アドバイザリーボードで御審議いただく点につきまして,広報等を含めた情報公開の在り方を追記してございます。
また,同じページの(2)の社会人に対する教育機会の提供でございますけれども,御指摘を踏まえまして,多様なプログラムを提供すべきだということを追記してございます。
続きまして,9ページでございます。(3)につきましては,ビジネススクールのみの話ではないとの御指摘がございましたので,修正をしてございます。
3,教員組織の(2)適切な実務家教員の確保というところで,みなし専任教員のところですけれども,みなし専任教員をいきなり書いたのでは分からないであろうということで,みなし専任教員の制度的な説明を追記してございます。
また,教授会の参画について,もう少ししっかりと書くべきだという御指摘がございましたので,責任のある参画ということを書いてございます。
また,みなし専任教員の単位数の緩和は,教育の質の低下がないように留意することが必要という旨を追記したものでございます。
続きまして,10ページの(3),これは前回も御議論いただきましたけれども,いわゆるダブルカウントのところでございます。これにつきましては,資料3を別途御用意させていただいておりますので,資料3で本日も御議論いただきまして,その内容を踏まえた形で修正することを考えてございます。資料3については,後ほど説明させていただきたいと思います。
続きまして,12ページでございます。職業資格との関係というところで,主体は文部科学省ということを追記したこと,公認心理師試験ということも書くべきだという御指摘を踏まえまして,それも追記したものでございます。
8.の分野ごとの対応というところにつきましては,先ほど御説明した内容と同じようなことですが,観点を書いたということでございます。
続きまして,14ページでございます。法科大学院の個別問題につきましては,法学部との連携が十分に図られていないことを記載すべきという御指摘がございましたので,それを追記したものでございます。
9.の新たな認定制度,これにつきましては,記述が少し不足しているということでございましたので,もう少し丁寧に書いたものでございます。グローバル人材や,地域課題解決に貢献する人材の養成,社会的ニーズの高い分野に強みを有する専門人材,こういった人材を養成するために,専門職大学院が組織的な改善をしていくことを促すために認定し,メリットを付与する制度を検討してはどうかという提案でございます。
続きまして,15ページのまとめは,もう少し趣旨を丁寧に記載し,問題点をより丁寧に書いたというものでございます。
三つ目の丸に既存の課程から専門職大学院への移行を促す方策も含めということを改めて明示しております。
続きまして,資料2でございます。これは参考資料の案でございます。2ページから具体的な記載がありますが,最初に,専門職大学院制度の前身となりました専門大学院の制度の創設の経緯を書いたものが1-1でございます。
次が専門職大学院制度の創設経緯を記載しています。
1-3,1-4で,制度の概要を説明する資料をお付けしてございます。
続きまして,2.我が国を取り巻く状況というとろでございますが,7ページ,2-1で,人口の推移と将来人口ということで,少子高齢化が急速に進んでいくことを示しています。
2-2を御覧いただければと思いますが,日本の生産年齢人口は,OECD加盟国中最下位になることが予測されているということでございます。
9ページでございますが,世界のGDPに占める日本の割合ということで,1996年は15%程度あったのが,今では5.8%に低下してきているというような現状があるということでございます。
10ページでございます。企業内における高度人材の過不足状況というところで,アンケートによって高度人材が不足しているかということでございますが,これを見ると分かるように,2,5あたりで不足しているというような認識が多いということでございます。
続きまして,資料2-5の労働生産性の国際比較,11ページでございますけれども,これはアメリカを100とすると,各国はどうなるかという比較表でございます。日本は,製造業が70ぐらいで,非製造業が54ぐらいということになってございます。その細かい内訳が2-6でございまして,分野ごとに書いてございます。一般機械,化学,金属などで比較的アメリカよりも上,又は同等でございますけれども,右の方にいきますと,卸売・小売,飲食・宿泊などは労働生産性が低くなってございます。
続きまして,2-7の貿易相手の多様化でございますが,1994年に比べて,アジアの比率が高まるなど,相手が多様化してきている状況があるということでございます。
続きまして,3.が専門職大学院の現状ということでございまして,15ページ,平成28年は,専門職大学院数が117校ということでございます。
3-2が各分野の簡単な概要。
17ページの3-3でございます。平成28年度のデータを新たに追記しましたが,教職大学院が平成28年に18校新規開設されているというのが大きな変更点となってございます。
これに基づきまして,3-3のグラフですけれども,この一番上が法科大学院で,下から伸びてきているのが教職大学院。真ん中の赤い線がビジネス・MOT,このように専攻数の変化を棒グラフで表したものが18ページでございます。
19ページ以降が,日本地図を基に,どういった専門職大学院がどこに設置されているかというのを記したのが3-4,3-5,3-6ということになります。
資料3-7が,入学者数及び在学者数の推移でございます。3-7,22ページでございますけれども,平成28年に度新たに,入学者数は,今年度,6,883人から6,999人に166人増えた。その内訳ですけれども,法科大学院が344人減りまして,一方,教職大学院が343人増えた。ビジネス・MOTは123人増えた状況でございます。在学生数の経年変化は下のグラフでございます。
23ページは,日本の専門職学位における商学・経済学分野の在籍者数が5,500人で,一般の修士課程における同分野の在籍者が8,700人のような数字が見てとれるということと,3-9は,日米のビジネススクールを比較したものでございまして,我が国のビジネススクールは,1校あたりの学生数が小規模で,留学生比率も低いというデータが出てございます。
続きまして,25ページでございますが,アメリカの上場企業の管理職等の最終学歴,約4割はMBAホルダーである一方,日本の企業役員等は,大学院修了者が1割以下にとどまる,このようなデータがございます。
27ページ,3-12,留学生数の推移でございます。留学生数につきましては,ビジネス・MOTの人数が増えてきているということでございます。会計につきましても,今年度,大分増えているという状況がございます。右の方が比率でございます。比率は,ビジネス・MOTは微増で,会計が大きく増えているという状況でございます。
3-13が,国家資格との関係でございます。
3-14が,公認心理師法の概要を付けてございます。
4.が,社会人教育への対応ということで,まず4-1が,社会人比率を各分野にしてございます。これは大体平成27年,平成28年とはほぼ同じ傾向かと思います。
資料4-2が,社会人入学者数の推移ということで,専門職大学院における社会人比率は上昇しておりまして,平成27年が49.8%まで上がっている。大学全体で見ると,18.8%ぐらいということになってございます。
資料4-3は,主な制度を概括したもの。
4-4が,社会人学生への学習機会の提供のために,専門職大学院が取り組んでいる状況でございます。
資料4-4が,これは専門職大学院で科目等履修とか履修証明をどの程度活用しているかを示したものでございます。特に履修証明制度は,まだ導入が進んでいないようでございまして,導入している学校数は限定的という状況でございます。
資料4-5が,社会人入学者の割合の各国比較で,日本が少ないということが見てとれます。
続きまして,37ページで,4-6,日米の社会人・有職率の比率ということで,アメリカと比べまして,修士課程における社会人・有職率が大幅に低い状況があるということでございます。
資料5-2のところで,1点,誤植がございまして,資料5-2の年度別教員数の推移のところで,会計分野の実務家教員の比率が,今,91.1となっておりますが,これは43.2の間違いでございます。
5-3はダブルカウントについての現行制度を解説したものとなってございます。
6が認証評価の現状ということで,認証評価制度の現状や認証評価機関の一覧を載せてございます。
資料2の説明は以上でございます。続きまして,資料3でございます。ダブルカウントにつきまして,検討事項ということでございます。
ダブルカウントにつきましては,案1),案2)を御提示してございます。案1)が,時限付き措置として,専門職大学院を新設する場合に,一定割合の教員に限り認めるもの。案2)が,恒常的措置として,1,2というような要件を満たす場合に,ダブルカウントを認めるもの。ただし,1,2の該当性は,認証評価や設置審査においてしっかり確認することを検討してはどうかということでございます。
1の教育上積極的な効果が認められる場合というのは,例えば,新たなプログラムの開設ですとか,学部との一体的な教育といった場合に限定し,明確な基準を今後作成したらどうかということ。
また,教育上支障がない場合ということは,エフォート管理の手法を導入したらどうかということでございます。
ただし,エフォート管理の手法を導入する場合は,他の分野,学位課程にも影響が及ぶために,今後,適切な場で引き続き議論が必要ではないかということ。
4ページでございます。恒常的措置として,ダブルカウントを認める課程は,この制度変更を行う目的に鑑みまして,学士,修士,専門職学位が想定されますけれども,次の※印でございますが,現行制度上,横の課程間のダブルカウントは認められておりませんので,そういった横の課程を対象にすることについては,今後,引き続き,適切な場で現行制度の関係も含め議論が必要ということを書いてございます。
また,特例措置が設けられている教職大学院については対象外。また,法科大学院につきましては,集中改革期間と位置付けられていることを踏まえまして,別途設けられております特別委員会において専門的な議論が必要ではないかと書いてございます。
続きまして,法学分野の必要教員数の緩和でございますけれども,この二つ目の丸のように,修士課程におきましては,必置教員基準が,法学系は,公法,私法等に分割したときは,緩和するような措置がとられておりますので,同じような措置を専門職大学院制度にも導入したらどうかという御提案でございます。
みなし専任教員につきましては,6単位から4単位に緩和してはどうかということでございますけれども,その際に教育の質が低下しないよう留意する必要があるということでございます。
最後に,資料4でございます。これは文部科学省におきまして,毎年,専門職大学院に対していろいろな入学者数等々のデータの調査をしていますが,その調査に自由記載欄を設けまして,専門職大学ワーキングの検討状況について何かコメントがあれば記載するよう依頼して,その回答をまとめたものでございます。
総論としては,地域社会の関係者との連携が重要だと。
また,次の二つ目ですけれども,学生の視点がやや希薄ではないかということ。
また,一つ飛びまして,アメリカのように振興するためには,採算性がとれる仕組みが重要ではないかということ。
また,次ですけれども,撤退する大学が多い中で歯止めをかけるような方策が必要で,自らの特色や強みを伸ばすための取組を是非やってほしいということ。
また,専門職大学院が最もふさわしい形態と考えるけれども,なかなか専門職大学院設置基準に定められた教員に増員することは難しいということがございます。
続きまして,2.ダブルカウント関係でございますけれども,学部とのダブルカウントを認めて連携を促してほしいという御指摘。
また,現状の専任教員が学部の授業を持つことは物理的に難しいという状況を記載しつつも,ダブルカウントが認められれば,更に有効活用できる可能性があるとの御指摘。
また,担当単位数の上限を設けるなどの運用が必要ではないかというような御指摘がございます。
二つ目の丸ですけれども,ダブルカウントにつきましても,統一的に論じることはやはり難しいのではないか,分野や条件等でフレキシビリティを導入すべきというような御指摘。
また,教職大学院についても,特例措置については,ここに書いているような理由から,継続や恒常的制度を設けてほしいというような御指摘がございました。
続きまして,3.のアドバイザリーボードの設置ですけれども,設置義務付けは賛成だけれども,経費の面での措置も要望したいというコメントがございました。
4.の教育課程でございます。二つ目ですけれども,社会人にとって,より手厚い学生支援制度を用意していただきたいというような御指摘。
また,長期履修制度について理解が乏しいため,分かりやすく示す必要があるのではないかまた,次ですけれども,博士レベルの専門職学位を含めて,多様な履修証明を提供できるよう検討すべきではないか。
また,同じような指摘ですけれども,教職大学院については,特に管理職候補者については博士レベルの学位が検討されてもいいのではないか。
最後の点は,専門職大学院においては,論文は必須とされていませんけれども,論文作成作業を通じて得られる能力は重要なので,再考してはどうかというような御指摘がございました。
教員組織につきましては,実務家教員の能力開発プログラムが必要であるというようなことや,優秀な実務家は多忙であり,みなし専任教員の単位数の緩和が必要だというような御指摘がございました。
続きまして,6.でございます。認証評価関係といたしましては,機関別評価と分野別評価を一本化してほしいというような要求でございます。
7.の情報交換につきましては,社会的認知度が低いというのがやはり問題で,もっと積極的に広報していただきたいというような御指摘でございます。
8.の職業資格との関係では,専門職大学院に要求されるハードルは高いにもかかわらず,資格試験や資格と関連する研修等との関係が希薄ではないかというような御指摘でございます。
続きまして,9.の教員養成の部分でございますけれども,研究指導が可能な教員配置を行うべきであるとか,博士課程が必要ではないかというような御指摘でございます。
10.の新たな認定制度につきましては,認定制度を設けて,専門職大学院の機能強化を促進することには賛成だというような御指摘がございました。
説明は以上でございます。
【有信主査】  ありがとうございました。
本日もまた全体的に,特に報告書(案)を中心に議論をするということと,説明がありましたダブルカウントの話については,これは具体的な話になります。先ほど説明があったように,労働生産性が製造業においてすらアメリカに比べて低くなっているのはかなり衝撃的な現状だと思います。かつて戦後の高度成長をなし遂げた日本の経営者等は,この現状を信じていないのではないかと思いますけれども,現状はこういうことになっています。
結局,それぞれの専門性,あるいは高度な知識や技量,技能に対して,それぞれ必要な対価が支払われるという構造になっていないことが,それぞれの高度な知見,知識,技量に対する取組の遅れにもつながっていて,結局,皆が平等であれば満足していて,格差のある社会に対しては常に批判がある。しかし,格差のないところでは,向上しようとするドライビング・フォースも働かないということも頭に入れながら議論する必要がある気もします。
今度,経団連と専門職大学院の件について意見交換をすることになっていますが,経済界サイドの認識もここできちんと聞いた上で最終的なまとめに入ろうと思っていますので,今日は是非活発な議論をよろしくお願いします。どなたからでもどうぞ。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  少しだけ文章についてコメントしたいんですが,まず,「はじめに」のところですが,赤で加筆していただいた4行目の最後の方の「一方で」以下の文章ですけれども,「一方で,平成21年度をピークに在学者数が減少するなど,必ずしも専門職大学院と社会との連携が十分に図られておらず,また」と続くんですけれども,どうも「減少するなど」ということと,二つの出口うんぬんの話がうまくつながっていない文章になっているのではないかということで,こういうふうに変えたらいかがというコメントです。
「一定程度図られてきた。一方で,必ずしも専門職大学院と社会との連携が十分に図られていなかったり,専門職大学院の付加価値が社会に十分理解されていないために,平成21年度をピークに在学者数が減少するなど,専門職大学院全体としては,当初期待されたような広がりには至っていない」という文章構成にした方が意図が伝わりやすいのかなというふうに思います。
【有信主査】  今の話はそのとおりだと思いますが,ただ,専門職大学院の在学者数が減少しているということも,先ほどの資料から……。
【川嶋主査代理】  少し伸びてきたんですね。
【有信主査】  伸びているところもあり,減少しているところもありという状況です。もう少し分かりやすく書いた方がよい。一般的に,全部がシュリンクしているということではなく,現実に社会で働いている人たちから見ると,その必要性を感じている分野も幾つかあるわけです。したがって,付加価値が理解されていないような,そういう分野では,在学生が減少をしていて,それが全体としての在学生の減少になっているところで,全部が全部理解されていないわけではない。ただし,理解されていることも正しく理解されているかどうかというのは難しい。在学生は理解しているから入学しており,出口との連携が図られていないというのは,ある意味,正しいのですが,社会の認識が進んでいないということと,一部で増え,一部で減っているのは,データからすると認識が進んでいないところでは減っており,認識が進んでいるところでは増えているということになっている。だから,正確に書くのであれば,進んでいないところでは減少しているというような書き方にした方がいいかもしれない。
ほかにどなたか。
【川嶋主査代理】  済みません,あと2点だけ。
【有信主査】  はい。
【川嶋主査代理】  少し飛び飛びになるんですけれども,4ページ目の最初の白丸の公衆衛生のところの最後のところの「更に,公衆衛生分野のように,米国が要求する」の「米国が要求する」というのは,少し奇異な感じなので,「米国の専門職団体」か「米国の基準」くらいがよいのではないでしょうか。
【有信主査】  米国の標準カリキュラム。
【川嶋主査代理】  それをしないと,「米国が要求する」というのは,何かちょっと奇異な感じがしました。
それからもう1点は,11ページの認証評価のところなんですけれども,4.の認証評価の(2)の国際的な同等性・通用性の確保というところで,「認証評価において,国際的な同等性・通用性の確保が必要であり,認証評価機関における取組が期待される」と書いてあるんですけれども,認証評価の仕組み,取組に対して,国際的な同等性・通用性の確保が必要という意味なのか,認証評価において,専門職大学院の内容が国際的同等性・通用性の確保を確認するということなのか,「認証評価機関における取組が期待される」というのは,どういう取組なのか,この辺が非常によく分からない文章になっているというのが私のコメントです。
【有信主査】  正確に書くとすると,「認証評価において,教育の質の国際的な同等性・通用性の確保が必要であり」ということと,認証評価機関における国際的な,簡単に言うと,国際的な取組だけれども,それではまだ十分正確でないとするならば,「国際的な枠組みに対する取組」ぐらいまで書くかどうか。
【川嶋主査代理】  国際的な視点から。
【有信主査】  「国際的な視点からの取組」ぐらいの方がまだいいかもしれない。余り強制的に,具体的な,主にドライビング・フォースをかけるのは厳しいかもしれません。「国際的な視点からに」ぐらいの方がいいでしょうか。
片山委員から手が挙がっていました。
【片山委員】  前提論という話になるのかもしれませんが,まず,「はじめに」の赤のところで,先ほども御指摘がありました在籍数が減少しているけれども,最近はちょっと微増だという話とも関連しますが,平成22年に,この色刷りの資料で22ページが入学者数ということになりますけれども,8,200が,今,6,900だということで,1,000減っていますということが,1,000減ったことが問題ということなのか,それとも,もう少し大きな規模の話をしなければいけないのかという点です。その後のアメリカのMBAの数であるとか,あるいは,エグゼクティブの管理職のパーセンテージというような資料がその後に出てくるわけですけれども,そういった資料がここに並んでいると,1,000減ったからどうこうという話ではなくて,もう1桁増やすべきだという議論をする必要があるのではないかと思いました。資料でいうと24ページ,25ページあたりの日米比較というところですけれども,微減しているということで,社会のニーズが十分につかめていない,出口との間のマッチングがうまくいっていないというレベルの問題と,もう一つ,根本的に専門職大学院の数を増やすとか,あるいは,専門職大学院の修了生の数を増やしていく必要があるというような提言が必要なのではないかという印象を持ったというのが第1点です。
それと,若干関連しますが,まとめの15ページの一番最後の,最後の丸の既存の課程から専門職学位課程への移行を促す方策という話であります。これは,この会議の中でもいろいろなところで様々な御発言がありましたけれども,一つの考え方としては,既存の修士課程の多くを専門職大学院に組み替えていくという大きな視点が必要だということなのかもしれないと思っております。にもかかわらず,この点がまとめの最後にやや控えめに出てくるに過ぎません。もちろん専門職大学院のこのワーキンググループだけで軽々に論じられることではないかとは思いますが,このワーキンググループとしては,専門職大学院への移行をもっと重視して考えていますよということであるならば,最初の「はじめに」のところにもその点が表れてもいいのかなという印象を持ちました。
2点,指摘させていただきました。
【有信主査】  最初の点に関して言うと,連携が十分に図られておらず,付加価値が社会に十分に理解されておらずというところを,「いない」のところで一旦切り,例えば,欧米ないしは,もっと正確に個別に米国との比較において,日本の現状は米国に比べて一桁少ない。これは比率の方がいいのかもしれない。比率的にも大幅に少ない数の学生しか専門職課程に進学していないが,例えば米国との比較だと,それをそのまま労働生産性の低いグラフがあるので,そこに結び付けても,そのまま話の流れとしては成り立つのだろうと。
それから,2番目の修士課程の問題に関しては,いわば大学院部会レベルでの議論ではなくて,専門職大学院の中での議論のレベルとしては,修士課程と専門職課程との役割の分担を明確にすべきだと審議まとめの中でも言われていて,明確にしろと示すのは簡単ですが,これをどういう方向で明確にするかという観点は,少なくとも専門職大学院ワーキンググループからは,本来,修士課程のみの大学院に関しては,前提として進学者数が極めて少ない,しかも労働生産性が低いということを踏まえて,修士課程に関しては順次目的に応じた専門職課程への転換を図る。前文ですから,転換を検討する必要があるぐらいの書き方でしょうか。前文としてふさわしい書き方にして方向性を出し,最後のまとめでそれを繰り返すとしたらどうですか。
ほかに御意見があれば。
【川嶋主査代理】  よろしいですか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  まとめのところに関連するのかもしれませんが,資料集を見てみると,スライドの19あたりから,地域配置というか,地域分布の資料があるんですけれども,全体の前提として,少子高齢化で人口が減っていくので,持続的な活力を維持あるいは向上させるためにも,一人一人の生産性を上げることが重要で,そのためには高度専門職業教育を一層充実させていくという,そういう全体の基調だと思うんですが,一方で,今,問題になっているのは,地方創生といいますか,地域振興という問題があって,この地域ごとの配置を見ると,やはり大都市に,特にMBAとかビジネス関係の専門職大学院が集中しているというのが如実に現れていまして,どこかで地域振興のためにも高度専門職業人を地域で育成できるように,例えば地方にある既存の修士課程からの専門職への転換を促すとか,そんなようなところを入れてはいかがかなというふうには思いました。
【青井委員】  いいでしょうか。
【有信主査】  はい,どうぞ。
【青井委員】  川嶋さんに反論するわけではないですけれども,ビジネススクールで人数の少ないところで実施してと言われても,これは非常に大変。ビジネススクールが本来あってもいいのにないのが名古屋です。南山が駄目だというわけではないですけれども,御存じのように,名古屋大学が昔やって失敗していますけれども,ある意味では,海外から見ると,物作りの名古屋という割には,そこにビジネススクールがないのは変だよねという議論が出ています。
川嶋さんが言うように,ハーバードだってボストンという田舎町ですし,ある意味では,海外ではビジネススクールもそれぞれ田舎町にありますから,唯一,東京で成立するとしたら,今やっているパートタイムMBA,働きながら行くというのが出てきて,地方で行くとしたら,多分,働きながらではなしに,ボーディングスクールなどでやりながらがっちりやるという方がいいんですけれども,どこの地方も乗らないでしょう。
私は,本当,地方で行けば,ボーディングスクールを作ってしっかりしたビジネススクールを作るのがいいとは思いますが,皆さん,地方もパートタイムMBAをやるというので……。
【有信主査】  全員同じことをやりますから。
【青井委員】  そう,それは少しきついかなという気がしています。
【有信主査】  今の話は,この中にも書き込んであると思いますが,要するに,グローバルな視点を目指すようなMBAと,それから,いわば地域の産業振興というか,地域振興において特色を生かすようなビジネススクールと,それぞれの特徴を生かした方向で明確に目的化してくださいと。該当箇所に今の話を盛り込めば,前の話ともつながる。
地方,都会のというよりは,グローバルを目指すというのと,地域の産業振興あるいは地域の特色あるビジネスを目指した,地域のビジネス振興に貢献する。
例えば,九州大学のQBSは,博多駅に教室を移していますけれども,どちらかというと,地域の産業人を育成することにかなり重点がおかれている。世界を見ていないわけではないけれども,かなり地域の産業振興に役に立つような人材を育成しているようですから,そういうことをきちんと書いて,そういうところもむしろエンカレッジしていくようにした方がいいのではないかと思います。

【塩田専門職大学院室長】  14ページの9.の新たな認定制度のところで,今御説明があったようなことは書いています。
【有信主査】  14ページ。
【塩田専門職大学院室長】  9の新たな認定制度というところで。
【有信主査】  これは,全部について書いてしまったから分からなくなった。もともとビジネススクールについてこういう書き方をしていた。
【塩田専門職大学院室長】  それは,ビジネススクールの個別課題のところで,13ページの最後の丸です。
【有信主査】  これはもう少し踏み込んで詳しく書いたらどうですか。
【塩田専門職大学院室長】  はい。
【有信主査】  川嶋先生が言われたように,都会であるから全てそうなっているわけでもなく,こういう書き方で全体が見えるのではないかと思います。
ほかに。まだ違う視点からの御意見があると思います。
【青井委員】  ちょっと一つ。
【有信主査】  どうぞ。
【青井委員】  少しずれますけれども,ビジネススクールに関しては,アメリカのビジネススクールは非常にすばらしいという書き方をしています。御存じのように,60年代はフォード財団から指摘を受けて,努力して一生懸命学問的にシフトしていった。ある意味では,大学,art and scienceからも,研究指向でずっと生きてきた。その研究指向が80年代の終わりあたりから,論文は出ますがビジネスに役立っているのかという議論が出てきて,今,少し変わってきている。その意味では,日本のビジネススクールも,努力が足りないかもしれない。本来なら,もっと競争して,ビジネススクールとしてのレベルを上げていくのが,私は筋なんだろうと思います。そのためにどういう制度ができるのかと,後で出てくるダブルカウントも,いろいろな形の実験が出てきて,殊に,私個人が間違っているかもしれません。やっぱりこれからのこのようなビジネススクールは,学ぶ環境をどう作っていくかというところが勝負になってきて,今までは,うちはマーケティングが優れている,うちはファイナンスが優れているという議論でしたが,そうではなく,本人がキャリアを磨いていくために学ぶ能力をどう築いていくか。そういうところが勝負になってくるので,いろいろな形でビジネススクールに関してみれば,実験をしてみて,駄目だったら全部ばさばさと切ってみるというのもいい。自分で言ってみて,2年で切るとなると大変だろうと思いますけれども,最初に,世の中は変わりつつあるので,実験的な試みが必要だという前書きをしてやっていくのが,一つのやり方かなと思っています。
以上です。
【有信主査】  具体的には,実験的にトライしてというのもなかなか書きにくいですが,何か具体的にいい書き方はありますか。
【青井委員】  例えば,昔やろうとしたのは,早稲田のマーケティングの教師と,慶應のファイナンスの教師がジョイントで授業をする。日本は一人でやりますけれども,ジョイントで違う視点で授業をしていくというのも一つありますし,先ほど川嶋さんが言われたような地方のいい小さなビジネススクールを作るとしたら,それを支援するためには,東京都などの大学の教師が入っていくとか……。
【有信主査】  そういうことがあればいいんですね。
【青井委員】  そういう形の……。
【有信主査】  具体的にビジネススクールに関して言うと,グローバル,地域の事業振興ということに加えてというか,実行するに当たってでもいいですが,ビジネススクール間の連携を図って新しい人材育成の試みを促進する,そういうことを少し書き込めばちょうどいいかもしれないですね。
【青井委員】  そうですね。あと,言い過ぎなのかもしれませんけれども,学部との連携も,ある意味では,各ビジネススクールはドクターを作りたいという要望が出ていますけれども,これはリソースから見ると,余りいい使い方ではないと思っています。それに対して次の教員となると,既にもう教員になっている人たちの中でビジネススクールに向いている人を,どう探してくるかという形で,場合によっては学部の中で,ビジネススクールに興味を持っている人がリスクをある程度感じずにビジネススクールに移るためには,学部とビジネススクールと両方という,そういう形がいいのかなと。
【有信主査】  少なくともビジネススクールの教員が全てビジネススクールにドクターコースを作って養成できるわけではなくて……。
【青井委員】  しかし,そういう動きがあります。
【有信主査】  はい。しかし,ビジネススクールでも,様々な高度な専門性を持った教育が必要なので,本来はアカデミックサイドとビジネススクールという区別はよくないのかもしれませんが,本来のアカデミックサイドで養成された人たちがビジネススクールで教える。それからもう一つは,ビジネススクール特有の様々な方法論があるので,それに向いた人たちが自分の技量を基にそこでの教べんをとる方向で養成をするということで,博士課程を作るという点に関しては,それほど積極的に書き込まなくても,ビジネススクールに関してはいいと思います。
【青井委員】  ビジネススクールにというか,やめた方と書いた方がいいような気が個人的にはしますが……。
【有信主査】  そこのところは……。
【青井委員】  座長が言われるように,教員は別にビジネススクールから出る必要は全くないです。
【有信主査】  しかし,そこのところは駄目という書き方も難しいので,それほど積極的に書かないということでいいかと思います。
ほかに。
はい,どうぞ。
【川嶋主査代理】  今の博士の話に関連して,9ページの一番上の白丸に,それに関した言及があるんですね。「将来的課題として,社会のニーズが存在することを前提として,国際的な通用性に留意しつつ,博士レベルの専門職」,これは「博士レベルの専門職学位」であって,専門職大学院の教員を養成するための博士課程ではないということでしょうか。
先ほどの最後の資料で,例えば教職大学院ですと,管理職になるためには,これからドクターを持つようにしてはどうかというコメントもあったんですが,ここの書き方はそういう意味でしょうか。
【有信主査】  これは,もう少し分かりやすく書いた方がいいかもしれない。
【川嶋主査代理】  「博士レベルの専門職学位の検討を行うことが」と書いてあるので,かなり明確に表現しているかなと思いました。
【有信主査】  専門職課程の博士課程は,いわば専門職の一層の高度化なんですね。したがって,より高度な専門職位として専門職課程の博士課程を修了したと人があるというのが,それが第一義で,二義的にそこで学位を取った人が専門職課程の教員になる道もあるくらいのイメージです。先ほどの教職大学院に関してもそういうイメージだと思います。
それから,ここで言っているパブリックヘルスに関しても,MPHに対してDPHを作るというのは,これもより高度な位置付けでDPHを作る。例えば,WHO等々でより高位の職位に就くためには,MPHでは駄目で,DPHを持っていないといけないこともあるようなので,そこは必要なところは検討すべきだという話で,これはグローバル化と結び付いて,MPHはアメリカの標準プログラムと整合させながらカリキュラムを組んだりもしているので,そういうことが可能になるということです。それでより高度の職位で,もっと国際的に活躍できる人を育成するという流れ。教職に関して言えば,そういう含みで,教職課程の中でより高位の職位の条件として博士が出てくる。出てくることで,専門職大学院で教えるに当たって,学理という意味で,より高度な知識,知見を持った人たちが教える必要もあるし,専門職として教育訓練をする技量,技能を持った人たちが教える必要もあるので,専門職課程の教員は,その両方のミックスで構成されなければいけない構造だと思います。
ほかに。
はい,どうぞ。
【片山委員】  今の議論と別な切り口となりますが,ペーパーですと10ページの教員組織の(3)の他の課程との連携の促進というところです。従前,この十数年間,専門職大学院制度が立ち上がってから,一定の独立性の確保と教員組織の充実が念頭に置かれてきたということで,この独立性の確保の要請を厳格に考えてきました。その点を厳しくやってきたからこそ,一定の専門職大学院制度のスタートが切れたということがあるのかもしれませんが,他方,例えばロースクールなどを見ておりますと,やはり独立性の確保ということの強調のし過ぎとが,かえってマイナス面というか,デメリットも生じさせているのではないかという気はしております。例えば,学部,それからドクターコースとの連携ということもそうですし,それから,学際的な面での連携ということもそうですけれども,独立することによって,高度な教育機関としての発展性が封じ込められてきたという側面があるように思います。パラダイムといいますか,パラダイムシフトの転換という言い方をすると,ちょっと大仰かもしれませんけれども,やはり独立性の確保という視点が一定の役割を終えて,今後,その重要性は当然前提としつつも,やはり専門職大学院を大学院全体の高度な専門教育の中の中心的な位置付けにしていこうというような視点の転換が必要であると思います。ロースクールでいいますと,税法だけが独立しているというところはないわけでして,当然,Ph.Dとも密接な関連を持っているということになるわけですので,当然,学部・アカデミック大学院との連携ということが,今,特別部会でも議論がされてきておりますし,それから,教員養成という意味では,ドクターコースとの,専門職大学院としてのドクターコースを設けるということの議論ではなくして,既存のアカデミックの方のドクターコースの連携を更に強めていくという必要性もあるということでしょうから,そういう意味で,専門職大学院をむしろ積極的に既存の他の大学院の中に位置付けていくというような視点が今後は必要になってくるのではないかと思っております。
それを反映した形で,その後,教員組織の再編について,様々な御提言をここでしていただいていますので,総論的な部分でそういう視点を強調してはどうかと思った次第でございます。
【有信主査】  今の話は,最初に独立性を前提として書いているものだから,専門職大学院が初めから大学と独立してという,イメージ的にはそう思いたい意識もなくはなかったと思いますけれども,いわゆる専門職大学院とアカデミックな大学院とは違うので,専門職大学院で高度な専門的知識を享受するために,ほかよりもより多くの教員数を確保したり,様々な条件で教育の質の確保をより充実させるために独立性を持たせたというのが本来の趣旨だったと思います。今,片山委員が言われたように,時代の変化の中で,ある程度の,これまでの反省を踏まえて,ほかの研究科や学部との連携も必要となってきているので,そこの部分での架橋というか,連携をより強化をしていくという流れになるような書き方の方がいいんじゃないか,そういうことですよね。

【常盤高等教育局長】  私,これからほかの会議に行かなければいけないので失礼しますけれども,結局,法科大学院の場合には,やっぱり法学部はどうあるべきなのかというところが依然として見えないという最大の問題が前提としてあるのではないかというのが一つある。ただ,考えなければいけないのは,先ほど来,御議論があるように,今までのアカデミックな修士課程を専門職大学院に転換するということを考えるのであれば,それと学部との関係というのは,どの分野においても考えなければいけない問題だと思うので,そこは,問題提起をしていただいて整理をしていくということが非常に重要だと思います。
地方の話は,先ほど非常にいい御提案を頂いたので,結局,もともとは国立大学の基になった母体も高等商業等,地域における実業の中心,人材養成機関であったはずですけれども,地域からだんだん都市にそういうものが移っていくプロセスと,もう一方,大学がアカデミズムに移行するプロセスの中で,何となくそういう母体がなくなってしまい,アカデミックな修士課程になってしまったということだと思うので,地方でそれを転換して成功させるための条件が何なのかということをもう少し詰めていく必要がある。非常にいい御提案を頂きましたので,いろいろな手立てを講じることが書かれていますけれども,それによって弾力化や,自由化して質が落ちるのではなくて,むしろ質が高まるというストーリーをしっかりと前提に置いておくことが重要だと思いました。
【有信主査】  ありがとうございます。そのとおりだと思っています。
ほかに御意見。
会計のところは,特に公認会計士試験との関係をどうするかとか,本当はもう少し踏み込んで書きたいところはあります。その点も含めて,どうぞ御意見を頂ければ。
【杉本委員】  まず,7ページの(3)の多様なニーズへ対応するための学士課程・修士課程等との連携強化,ここのところで,特に専門職大学院と社会(「出口」)との連携,それと専門職大学院と,もう一方で学内,とりわけ学士課程と修士課程等との連携,このあたりが非常に重要になると思うんですけれども,ここの書きぶりについては,非常に有り難いなと思っております。ただ,専門職大学院がこれを主体的に,もちろんこのワーキンググループは専門職大学院のワーキンググループですので,こういう書き方になると思うのですが,とりわけ社会(「出口」)のニーズに関しては,これは専門職大学院だけの問題ではなくて,学士課程も,さらには既存の修士課程の教員の皆様も十分に理解していただいた上で,また認識していただいた上で,この連携が非常にやりやすくなると思います。できれば,そのあたりの文言を記していただければ有り難いなと思います。
それと,12ページの6.の職業資格試験等との関係,ここの2行目のところで,「文部科学省が」という文言を入れていただいたことも大変有り難いと思っております。我々はそれぞれの専門職大学院で,さらには,会計大学院協会でいろいろと取組等を行っているわけですが,やはり省庁間での問題はきちんと対応していただかないと,我々には全くできないというところも多分にありますので,この文言を入れていただいたことに関しては,非常に有り難いと思っております。
それと,資料2ですが,先ほどの御説明の中で,スライド27のところですが,3-12の留学生数及び留学生比率,ここでとりわけ留学生比率が,会計のところで平成27年が9.8%から,今年度は27.9%ということで大幅に増えています。会計専門職大学院の志願者が一昨年までかなり減少していたんですけれども,今年からまた少し上向いております。ただ,この留学生に関しては,これだけ増えた理由は,各校に留学生が入学しているという事実もあるのですけれども,とりわけこのように大きな伸びになっているのは,昨年から新たな取組として,東北大学の会計専門職大学院が会計専門職大学院の新たなコースとして,国際会計政策大学院を設置したことによるものだと思われます。基本的に国際会計政策大学院の学生はほとんど留学生ですので,これがこの伸びに大きく貢献しているのではないかなと思っています。補足ですけれども。
【有信主査】  そういう意味では, 13ページの会計分野に,「公認会計士試験の受験者減少の影響により志願者が著しく減少するとともに,学生の「会計離れ」が生じており,対応が必要である」だけでは足りないのではないか。もう少し踏み込んで詳しく書かないと。
【杉本委員】  今御指摘いただきました13ページの(2)会計分野のところの一つ目の丸のところですが,公認会計士試験の受験者の減少についてです。公認会計士試験には,今日の資料2のところでも御紹介いただいておりますけれども,短答式試験と,論文式試験がございます。会計専門職大学院からも年々合格者を多く輩出したものの,待機合格者,すなわち公認会計士試験に合格しても監査法人への就業者数がやはり増えなかったという,こうした待機合格者の問題が起こりました。それを受けて,公認会計士試験の受験者数,さらには会計専門職大学院の入学者が大幅に減ったというところがあります。ただ,近年,公認会計士の試験の合格者は横ばいでずっと推移しているのですが,一昨年あたりから,出口,正に社会の出口のところで,監査法人で必要とされる人材が非常に少なくなっております。数日前,ある新聞でも報道されておりますけれども,ある監査法人では,合格者を採用するだけではなくて,自前で期限,例えば3年という期限を設けた上で徹底的に指導し,更に専門学校等へ通わせた上で合格させるという,そういった取組も今出始めております。それはそれで公認会計士資格と会計専門職大学院の在り方,さらには学部教育の在り方はどうなのかという問題にも結び付くかもしれません。ただ,公認会計士試験の短答式試験の志願者が増え始めております。監査法人への就職が就職も難しかったのが,逆に今は非常に人材難,必要とする数よりも合格者や就職希望者が少なくなっています。
【有信主査】  該当箇所の書き方は大幅に変えないとまずい。
【杉本委員】  そうですね,少し工夫が必要です。それと,後半の部分の学生の「会計離れ」が生じているという文言がありますが,これは全く解消しておりません。日本国内だけの問題ではなくて,「会計離れ」は,これは世界的な傾向になっているところがあるということで,会計専門職大学院だけではなくて,学部,さらには一般の大学院,全て含んだ上で,連携した上で取り組まないと,この問題は解消できないと思います。
ですから,今回の報告書の中で学部との連携,さらには修士課程との連携など,数多く盛り込んでいただいております。この点については,とりわけ社会のニーズも併せて認識していただいた上で連携させていただければと思っております。
【有信主査】  会計とMBAに関しては,特に審議まとめの中でも指摘があったと思いますが,もう少し詳しく,正確に書く必要があり,また,学生の会計離れについても,永遠に減り続けているということではないと思います。それと,近年,特に会計上の不祥事もありますし,いわゆる日本版のSOX法,内部統制等々を含めて,会計の適正性,財務諸表の適正性をどのように担保するかは,かなり重要な問題になってきていますよ。
【杉本委員】  はい。
【有信主査】  実際には処分を受けた会計監査法人が幾つか出てきたりしているということと,逆に言うと,そこはもっと人材を充実しなければいけないということで,例えば大手の監査法人がここ何年かでもかなり厳重な処分を受けたりというわけですね。だから,ここの部分は相当重要になってきているはずだと思います。
ここは杉本委員は割と謙虚に言っているものがそのまま反映されていますが,もう少し積極的に書いてもいいのではないかということで,「公認会計士試験の受験者減少の影響により志願者が著しく減少するとともに,学生の「会計離れ」が生じており」というのを,もう少し,「生じていたが,近年,受験者数がまた上向きになりつつあるということを踏まえて,より積極的な対応が必要である」というふうに書くのと,それから2番目の「国際教育基準の改定に準拠した教育プログラムが必要である」というのは,留学生が増加というのが,さっきの東北大学の国際……。
【杉本委員】  国際会計政策大学院です。
【有信主査】  「国際会計政策大学院というようなことを踏まえて,より国際的な観点での会計専門職大学院への取組を促進すべきである」ぐらいの記載でもいいのではないかと思います。
実際には,国際会計基準がどんどん日本の中にも取り入れられてきていて,現実にそれに対応しなければいけない。企業会計基準も基本的には国際会計基準にどんどん準拠するような形になってきていますし,いわゆる国立大学の会計基準や,独立行政法人の会計基準も,今度は企業会計に準拠するような形になってきているということで,順繰りに国際会計基準が,全て日本の会計基準の中に浸透してくるという状況になってきていて,会計検査院もどちらかというと,国際会計基準の導入に比較的前向きでいるように見えますので,もう少し積極的に書いておいた方がいいと思います。
ほかに。
はい,どうぞ。
【宮脇委員】  先ほどは済みません,遅刻しまして申し訳ありません。
公共政策,報告書の13ページなんですけれども,報告書を考えている中で,2点,付け加えていただければなという点があります。
1点は,13ページの先ほどの二つ目の白丸です。一番上から,これはビジネススクールのところなんですけれども,グローバル化対応とか地域課題の解決という問題なんですが,これについては公共政策も全く同じだと思っております。当初は,正直,国家公務員を養成するとか,そういったイメージが総体的に強かったわけですけれども,必ずしもそういう間口だけではないということは明確だと思いますから,この文言を,同じ文言が並ぶというのが余り形がよくないということであれば,若干修正したような形で,同じ趣旨のものを入れていただくということがいいのかなというふうに思いました。
それからもう1点なんですけれども,これは前回のこの場で主査が最後におまとめになられた点に関係するんですが,公共政策の場合には特に実務家教員と研究教員との間の連携での教育展開というのが,正直,多くのところを見ても,ほとんど行われていないという状況がありまして,他の専門職大学院も同じところはあると思うんですが,例えば,現実問題としては非常に簡単でもないんですけれども,一つの授業を実務家と研究教員が一緒に担当するとか,そういったことの工夫は当然これ,必要なんですが,十分行われていないという状況で,全体に通じるんですが,特に公共政策については,その点についての文言が必要なのかなというのが,ちょっと感じた点ではあります。
それと,最後は,本当に「てにをは」的なことで大変恐縮なんですが,3ページ目のところで,先ほども御議論になられました上から6行目の「また,専門職学位の付加価値が社会に十分に理解されておらず」という文言なんですが,ちょっと私的に引っ掛かっているのは,「十分に理解されていない」というのは,供給する方の付加価値は適切に行っているんだけれども,社会側がそれを理解していないというような文言に見えるので,これは出だしでもあるので,「社会と十分に共有されていない」とか……。
【有信主査】  その方がいい。
【宮脇委員】  ええ,その方がおあいこになるのでいいと思います。そんなふうには思いました。済みません。
【有信主査】  最後の点は,その方がいいような気がしますので,よろしくお願いします。
それから,公共政策大学院と学部教員との連携については,先ほど局長が触れましたけれども,いわゆる法学部の問題というのは,伝統的な法学部と一番新しい公共政策に関する大学院とということで,何となく大学院の方が阻害されてしまうのではないかということもあるので,ここは是非書き込んで,公共政策のところでは,特にここでは法科大学院との連携と書いてありますけれども,及び学部を,法学部にでいいでしょうか。
【宮脇委員】  そうですね。あと,いわゆる研究教員と実務家教員を一緒にやるということです。
【有信主査】  ということですよね。
【宮脇委員】  ええ。ということが実はコアなんです。
【有信主査】  そうすると,ここの法科大学院との連携とは別にもう一つ立てて,学内の他研究科との連携をより強化する必要があると。研究科・学部としておいた方がいいでしょうか。
それから,先ほどのグローバル関係では,国際的に活躍する人材の育成,それから国内の行政で活躍する人材,あるいは地方の行政で活躍する人材,そういう書き方でいいでしょうか。
【宮脇委員】  はい。
【有信主査】  それぞれの目的を明確にしながら,より一層の,明確にして取り組むことを促進すべきだぐらいの感じでしょうか。宮脇委員,何かいい言い方があったら。
【宮脇委員】  はい。御連絡差し上げたいと思います。
【有信主査】  そういう感じですよね。
【宮脇委員】  はい。
【有信主査】  宮脇委員からの文案が来るということで。
【川嶋主査代理】  済みません。
【有信主査】  どうぞ。
【川嶋主査代理】  今の御発言に関連して,専門職大学院で研究者教員と実務家教員の連携の話で,今御指摘あったように,例えば,チームティーチング,一つの授業を研究者教員と実務家教員が一緒に教えるということはほとんどないというお話です。ほかの専門職大学院もそういう状況なのかどうかということであれば,同じような状況だと,例えば11ページのFDのところなどに,多少そういう,「両者による共同授業の展開なども含め,双方の教育力の向上を促すための取組が必要である」とか,そんなような文言にしてはどうでしょうか。ほかの,例えば青井先生のところではそういうことをやっていらっしゃるというのだったら,別に書き込む必要はないと思います。
【青井委員】  知っている限り,ビジネススクールはほとんどやっていません。問題は実務と理論の架橋というところを,実務家教員30%という,これも一つのソリューションだろうと思いますけれども,もう少し議論してみる価値は十分あると思います。ある意味では,学校は雇うまではやりますけれども,雇った後は押しつけのようにというのもある。そこは多分,座長も御存じのようにまずいところだろうと思います。
【有信主査】  それでは,FDの箇所に,今の川嶋委員からの御指摘で,チームティーチングの部分を入れると。どういう文言を入れたらいいか,をもう1回御発言いただけますか。
【川嶋主査代理】  この11ページのところで,「研究者教員と実務家教員の連携により,「理論と実務の架橋」を図るために,例えば,研究者教員と実務家教員がチームティーチングで同じ授業を担当するなど,双方の教育力の向上を促すための取組が必要である」ではいかがでしょうか。
【有信主査】  いいですね。
【添田委員】  よろしいですか。
【有信主査】  どうぞ。
【添田委員】  教職大学院の方は,かなりTTという形でやられておりまして,ただ,川嶋先生の御指摘の,じゃあ,実質的に共同できているのかと。研究者と実務家が二人がTTで参加はしているけれども,教育内容に関して,研究者と実務家が本当にきっちり詰めてお話ししているかどうかというのが,実質的なところは問題があると思うので,書いていただくのは結構なんですが,もう少し,もう一歩踏み込んで,質ですね,単に二人が,違う人が一緒にいるというだけではなくて,内容的にも両方から吟味したものを提供しているのかというあたりの文言を付け加えていただきますと助かります。
【有信主査】  「実質的に有効な」などを書いて,余り教職大学院という名前を出すと問題があるかもしれません。
ほかに。
はい,どうぞ。
【松﨑委員】  臨床心理分野ですけれども,6番の職業資格試験のところとの関係で文言を入れていただいたのは有り難いことだなと思っております。
それと,13ページの(5)のところでございますが,この(6)番と関連しているということで,2番目の丸の方ですが,いわゆる専門職大学院が適切な形で制度的に位置付けられるということが,この適切な形というところが,具体的にはどこらをということが書けるかどうか,これは分からないんですが……。
【有信主査】  では,もう少し具体的に書きましょう。
【松﨑委員】  希望としましては,やはり高度職業専門人の養成ということで考えて,専門職大学院の修了ということで,この資格試験への優位性みたいなものが出てくるものであると,もう少し専門職大学院の修士課程の移行であるとか,そういうことなども推進されてくるのではないかなというふうには考えておりますが,まだ制度そのものが固まっていない中で,どういうふうに書けるかどうかがちょっと分からないところではありますが……。
【有信主査】  こうなった方がいいということは書いておいた方がいいと思います。
【松﨑委員】  そうですね。
【有信主査】  どう書きますか。
【松﨑委員】  そうですね,例えば,公認会計士の試験では,試験に関しての若干の免除があるとか,そういうことなども伺っております。それと,今までの臨床心理士の試験の場合には,専門職は事例検討論文を書くということで論文試験の免除があったわけですけれども,何らかの形でそれに近い形の専門職の優位性みたいなものは出てくると有り難いなというふうには思っております。
【有信主査】  それでは,「公認心理師試験においても,臨床心理士試験におけるような」,あるいは,「一部の試験科目免除のような形での制度的位置付けを検討する必要がある」と。「位置付けられる」とまで書いてしまうというよりは,「ような位置付けを検討する必要がある」。
【松﨑委員】  例のところでは,臨床心理士の試験は財団のことでございましたので,むしろ国家資格である公認会計士などの,いわゆる他の国家資格のようなというか,そういう形の方が有り難いと思います。
【有信主査】  そうですね。それでは,「他の国家資格と同等の制度的な位置付けを検討する必要がある」と書いておけば大丈夫ですか。
【松﨑委員】  はい。
【有信主査】  法科大学院も卒業資格が受験資格になっていますから,同様ですね。
ほかには。
MOTはいいでしょうか。
【上西委員】  MOTのところの問題点は,13ページの一番上の記載が学際領域での体系化が進んでいないというところでとまっていることです。どうする必要があるのかというところまで踏み込んで書いてもらった方がいいかなと思います。「体系化が進んでいない」ことは課題ですけれども,だから,他課程との連携を促進するということによって解決すべきということまで書いた方が良いように思います。文理融合の分野なのに,体系化が進んでいないでとまるとちょっと問題があると思います。
【有信主査】  どう記載しますか。
【上西委員】  どうしましょうか。
【有信主査】  「必要である」など,そうのように書いてあるから……。
【上西委員】  そうですね。10ページのところあたりのダブルカウントの話とかなりかぶるところはあるかとは思いますが,他課程との連携ですね。
【有信主査】  学際領域での体系化をやるべきだと,こういうふうに書くべき……。
【上西委員】  推進するとか。
【有信主査】  推進すべきだと。学際領域での体系化が……。
【上西委員】  体系化が,必要であるとかですかね。
【有信主査】  必要であると。「分離しているケースが多く,学際領域での体系化が必要である」。そういうふうに書いておけばいいでしょうか。
【上西委員】  あともう1点,10ページのダブルカウントのところですけれども,先ほどから地域創生の話もあって,MOTというよりも地方にある大学としてちょっと言わせていただくと,地方の大学は教員数も少なくて,新たな何かをやろうとしたときに,ものすごく制限がありますね。リソースが少ない分。ここでは地域のニーズに対応するためというのが赤字のところの一番上に書いてありますけれども,ちょっとそこだけでは弱いように思います。地方大学はかなりリソースがないところを補ってやらないといけないところに,ダブルカウントというところの制限があると,その知恵も出しようもないようなところも出てくると思うので,何かもう少し書きようがあるといいかなと思います。
【有信主査】  例えば。
【上西委員】  例えばというと,なかなかダイレクトには書きにくいですけれども,教員のリソースを有効に活用するためのうんぬんとか。
少し具体的に言うと,その下に記載している専門職大学院を新設する場合の①のところです。時限付きで認めたらどうかというのは,それは一つの考えで理解できるのですけれども,地方大学の経営のことを考えると, 5年ぐらいで解消しないとならないとなると,そこまでなかなか踏み込めないところもあるのではないかなと思います。地域創生とか,地域で専門職大学院を増やしていこうとするのであれば,この辺,もう少し書きようを工夫してもらった方がいいのかなと思います。
【青井委員】  今の関連でよろしいでしょうか。
【有信主査】  はい。
【青井委員】  多分,地方でいろいろな特徴を付けることに,MOT等の学校があるのだと思いますけれども,リソースが少ないので,そういうところに例えば軽々の認証となってくると,ではマーケティングはどうなっている,ファイナンスはどうなっているという議論が出てくるので,場合によっては,そういうアカウンティングとか,そういうところはダブルカウントでよその学校からもらい,そこの地域で一番ユニークなところを強化していき,そこに人を拠出するのが多分筋だろうと思います。ある意味では自前でいろいろな教員を雇えるかもしれません。もう10年たちますから,スタートといえるかどうかは別ですけれども,そういうところが地方のMOTを実施しているところとか,ビジネススクールで弱いところがあるんだろうと。
【有信主査】
「他の課程の専任教員を兼務することを一定程度認めることを検討すべきである。特に,地方における大学でのリソースの有効活用への配慮が必要」のような文章をどこか付け加えましょう。「地方の大学におけるリソースの有効活用を図ることも検討すべきである」でしょうか。積極的にそれを実施しなさいとはなかなか言えないけれども,それを入れるかどうか。
ほかに。
【青井委員】  あと一つ,今回の報告書とは直に関係ないと思いますが,例えば,職業訓練給付制度がありまして,我々は非常に助かっていますけれども,一つ疑問なのが,留学生を採ったときです。我々,中国の留学生が20名ぐらい来ますけれども,ほとんど親の仕事を継ぐために中国に戻ってしまう。そうなってくると,今のルールだと,多分,出た80%が日本の企業に勤めなければ駄目だということになっているので,留学生を採れば採るほど,今度は日本人の学生には不利になってくる。その意味では,優秀な留学生も余り採れないというジレンマといいますか,極端に言うと,母数から外してもらえれば簡単なんですけれども,そのルールがどうなっているか。どうなっていましたか。
【川嶋主査代理】  国費と特定の留学生の枠組みでないと,外数にならなくて,これは別に専門職大学院だけではなくて,全ての学位課程に言えることです。
【青井委員】  駄目でしょう。
【川嶋主査代理】  駄目なんです。留学生を増やせと言いながら……。
【青井委員】  増やすと,今度は日本人の学生にとっては不利益になる。
【川嶋主査代理】  そうなんです。定員管理が非常に厳しくなる中で,一方でグローバル化で留学生をもっと増やせと言いつつ,定員管理をきちんとしなければならないと,私費留学生は基本的に内数なので,その分を増やすと,日本人の学生が追い出されてしまうという,そういう制度的な矛盾が今起きているんです。
【青井委員】  そうですね。だから,内数になっているので,結局,彼らは全部親の仕事をするために帰ってしまうんです。すると,80%を切ってしまう。
だから,一方でグローバル化を進めろ,留学生を採れと言って,一方で,採れば専門職としてはなかなか日本人の学生にとってはいいサービスが提供できないということになります。
だから,留学生ニアリイコール国費の時代はもう終わった……。
【有信主査】  終わっていますよね。
【青井委員】  終わっているんだと思います。
【有信主査】  今はもう留学生だとか,社会人だとか,そういう意味の区別は変えないといけない時代ですが,いまだにそういうものが残っている。税金が投入されているので,結果が国民に還元されなければいけないという大前提はありますが,それは今,様々な形で還元されるわけです。外国人の留学生と切磋琢磨(せっさたくま)することによって,日本人がより鍛えられるというところもあるし,様々な形でいい効果があるから留学生を増やしましょうと言っているので,一方で,そういう制限があるのはやっぱり問題だろうと思いますが,これは何か書けるようなところはありますか。
【青井委員】  多分,中にはないと思いますけれども。
【川嶋主査代理】  これは全体の問題。
【青井委員】  ただ,一方でグローバル化と言いながら。
【川嶋主査代理】  それは変ですね。
【青井委員】  変だと思います。
【塩田専門職大学院室長】  記載するのであれば,社会人への配慮というところで,「社会人の柔軟な履修形態」と書いています。
【有信主査】  それに加えて留学生も入れるかどうか。
大学院部会の審議まとめの中では,社会人に対して多様な教育の機会を与えるべきだと書かれている。補足的な書き方として,明言する部分ではなくて,補足的に,「についても,検討する必要がある」のような追記で記載しますか。
【川嶋主査代理】  今の定員管理の話は,規則上,課程ごとに管理しているので,例えば大学院でも,修士とか,特に後期のドクターは,定員割れしているところが結構分野によっては多いのですが,博士後期課程を大学全体で見ると,定員超過の専攻と定員割れの専攻がうまく相殺されて,オーバーするということはないんですけれども,専門職課程は,専門職課程だけで定員管理されてしまうので,そうすると,オーバーして入学させたり,留学生をたくさん採ったりすると,かなり定員管理の点から厳しい状況が生まれるかなというふうに思います。でも,この定員管理とグローバル化というのは,専門職課程だけではなくて,全て学士も修士も博士についても,一方で,文部科学省や国全体を挙げてグローバル化で留学生を増やせ,日本人の送り出しを増やせと言いながら,地方創生の観点から,今度は特に大都市大規模大学の定員を厳しく管理するという話になっていて,同じ文部科学省の中でもベクトルが全く違う政策が今,大学に来ているというのが現状で,この点はやっぱり,ここだけの話ではなくて,もっと上の方できちんと整理していただきたいというのが,大学にいる人間としては切実な話です。
【青井委員】  だから,文章に入れるかどうかではなく,制度を変えてほしいのが要望です。
【塩田専門職大学院室長】  厚生労働省の制度ですが,状況は聞いてみます。
【有信主査】  少なくともここで決められる話ではない。
それから,留学生が増加している話は,ある意味で高度な専門職の職業資格のかなりの部分は国家資格になっていて,その国家資格につながるような形できちんと教育課程を整備してくださいというのが,ここの中の一つの大きなトーンになっています。その中で留学生が増えてくるということは,結果的に言うと,日本の国家資格が,海外でもある意味では通用するということにつながっていくので,これは別途,国が決めている様々な職業資格が国際的に通用するという形につながっていく前触れ。
ですから,今,留学生は多分,日本でMBAを取っても,中国なら中国に戻る,あるいは東南アジアに戻れば,日本で取ったMBAだというので,一応通用すると思いますけれども,国家資格になればどこに行っても通用する。例えば,臨床心理士がどこへ行っても同じような仕事ができる,世界中で同じような仕事かできるというようなことにつながっていく。
今,獣医の課程は,確実にそれでプログラムを全部組み直して制度設計をやってきていますね。獣医に関しては喫緊の課題があって,これだけ国を越えて動物が媒介する伝染病,感染症が動き出すと,一国だけの資格でうんぬんはできなくなる。みんな共通化しなければいけないという話になってきますし,これは別に今,獣医がそういう問題に直面しているからということなんだけれども,ほかの分野でも,そのうちそういうことになってきますので,準備をしておかないといけない。
例えば,大竹さんのいる日立製作所では,恐らく今はもう従業員の半分以上外国人ですよね。
【大竹委員】  そうですね。
【有信主査】  そうすると,日本人,外国人双方が持っている資格が同等でないと,結果的に同じように処遇できないわけです。そういう時代がもう来ているということをどれだけ自覚をするかということ。
そういう意味では,留学生の問題は,いろいろな波及効果がある。
ほかに御意見ありますか。
はい,どうぞ。
【片山委員】  法科大学院のところですけれども,法科大学院のところはしっかりと書いていただいておりますし,また,別個の特別委員会がありますので,あえて付け加える必要はないのかとは思いますが,改めて考えてみますと,今回の報告書の論調の一つが,出口とのすり合わせということで,それに関しましては,法科大学院の方では,例の法曹養成制度改革推進会議でも,法曹有資格者の活動領域の拡大ということで積極的に,特に3分野,企業でのインハウス,それからパブリックセクターでのインハウス,それからグローバルな領域での活躍といったものに重点を置いて取り組んできておりますので,ここでもその点に言及していただいて,今後とも試みの推進が必要であるというような書きぶりにしていただければ,法科大学院サイドとしては非常に有り難いかというふうに思います。
【有信主査】  全部聞き取れなかったのですが,どこをどういうふうに直すのでしょうか。
【片山委員】  直すといいますか,13ページから14ページにかけての丸の,恐らく1としましては,一番下と,その一つ上との間あたりで,いわゆる法曹有資格者の活動領域の拡大という趣旨から,企業,官庁,それからグローバルな領域での法曹有資格者の活躍の促進を今まで進めてきている。ロースクールの中でもそのための様々なカリキュラムを用意してきたわけですが,そういった試みが今後も必要であるので,推進していくようにというふうに書いていただけると有り難いということになります。
【有信主査】  「法曹有資格者の社会における様々な場面での活躍を,より一層促進する施策を進める必要がある」という,それは今までもやっているので,「より一層」という文言を入れるかどうか。それは多分,特別検討委員会とはぶつからないと思います。
【塩田専門職大学院室長】  そうですね。政府ではこれは法務省が主担当ではあるんですけれども,ただ,文科省でもできることはあると思いますので,そういう意味でもまたと思いますので。
【有信主査】  法科大学院がもっと努力してほしいということ。つまり,法曹有資格者が単純に法曹三者だけではなくて,社会における法務部門や具体的な契約業務,そういうところで,法律の知識を持った有資格者が活躍しなければいけないが,まだ十分に活躍できていない。それに対して,大学サイドでも,より幅広い法曹有資格者の活躍領域を開拓すべきであると。そのための努力を今も法科大学院でやっているわけですね。それをより一層進めるべきであると書かないといけない。
今のは法科大学院の話ですよね。
【片山委員】  はい。
【有信主査】  ほかに。
【川嶋主査代理】  済みません。
【有信主査】  はい。
【川嶋主査代理】  もう回数もほぼなくなってきたので,この報告書の取りまとめの方向性を一度確認したいんですが,このワーキングとして,例えばこういうことが必要であるというふうに非常に明確に提言している箇所と,今後検討が必要であるという箇所が何か所かあって,一つは,既存の修士課程との関係を整理するということと,やはり一番大きなものはダブルカウントをどうするかということについては,これは特にダブルカウントについては,今回の報告書では,課題や,その課題の解法の幾つかを示すにとどめるのか,ワーキングとしてはこういうふうにすべきだという提言にするのかというところは,どういう御判断なんでしょうか。
【有信主査】  今のところは,部会で本当は議論しなければいけない話なので,ここで全てこうすべきだというふうには決めきれない。ある程度決めるべき方向性を示す。その範囲でいいんですよね。
【塩田専門職大学院室長】  はい。専門職大学院ワーキングチームは,専門職大学院制度に閉じている部分については,このワーキングで十分かと思うんですけれども,他の修士課程等と現行制度との影響が及ぶ範囲につきましては,しかるべき場でのさらなる検討が必要と考えています。
【有信主査】  例えば,クロスアポイント,エフォート管理を含めて様々なことをやろうとすると,ここだけでは閉じない話になってしまうので,広い範囲での議論が必要。ただ,こちらとしてはそういうことを踏まえて推進すべきであると。専門職大学院ワーキングチームとしては提言をするんだけれども,それを決められるのはここではない。
それから,ほかに。
はい,どうぞ。
【大竹委員】  報告書の修正・追記という意見ではないんですけれども,あさって,経団連での懇談会というところに際して,私の上長も一企業として出るということもあって……。
【有信主査】  来てください。
【大竹委員】  はい。先日,この件に関してディスカッションをしています。やはり上長を含め,企業としてはグローバルに対応できる人材を育成できているかという観点での,MOTとMBAですけれども,評価がその軸になるし,改善の軸にもなるということでは申しておりました。
あさって参加する企業,約半数近くがグローバル展開している製造業が多いので,同様の意見が出てくるかなというふうには想像しています。
あとは,この報告書にも書いてありますけれども,要は,教科とか処遇,企業の処遇などがどうなっているかという観点で言うと,逆に特別扱いは全然できていないというところがありますので,逆にそこは文部科学省の方々から企業に問題提起していただくというような形で,あさっては是非進めていただければなというふうに思っております。
以上です。
【有信主査】  貴重なサジェスチョンをありがとうございました。これは文科省サイドからもきちんと主張してもらうということですね。
ほかに御意見ありますでしょうか。
今日は以上でいいんでしたか。
【塩田専門職大学院室長】  はい。
【有信主査】  報告書については,今日はかなり進んだ形で様々御指摘を頂いて,相当最終形に近くなってきたという印象を持っています。今日の議論,御指摘を基に,更にこの報告書を修正加筆し,その上でもう一度,明後日の経団連との話合いのときには,間に合えばそれを修正したものを出す。
【塩田専門職大学院室長】  では,間に合うように準備いたします。
【有信主査】  よろしくお願いします。
それでは,事務局から何か報告事項があれば。
【塩田専門職大学院室長】  次回,第10回は,8月10日水曜日,14時から,文部科学省の3F1会議室になります。
その前に,あさって7月29日金曜日,10時45分から,経団連との意見交換会がございますので,御参加いただける委員に置かれましては,御出席をよろしくお願いいたします。
その意見交換会を踏まえ,第10回,8月10日が一応スケジュール的には最後という形になります。予備日もありますが, 8月10日が最終回ということでございます。
【有信主査】  分かりました。
ということで,金曜日はまたよろしくお願いします。
それでは,本日も活発な議論をどうもありがとうございました。これで閉会としたいと思います。ありがとうございます。

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