大学教育部会短期大学ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成26年1月30日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 短期大学教育・機能の特徴・強みについて
  2. 短期大学における教養教育と職業教育の特徴的関係
  3. 海外における短期高等教育の役割、機能について
  4. その他

4.出席者

委員

佐藤弘毅委員、安部恵美子委員、大野博之委員、小杉礼子委員、小林信委員、小林雅之委員、清水一彦委員、滝川嘉彦委員、中山欽吾委員

文部科学省

板東文部科学審議官、吉田高等教育局長、常盤私学部長、中岡高等教育局審議官、佐野高等教育局審議官、浅田高等教育企画課長、里見大学振興課長、氷見谷私学部参事官、田中高等教育政策室長、今泉大学設置室長、田頭大学振興課課長補佐

5.議事録

【佐藤座長】  皆さん,おはようございます。所定の時刻になりましたので,第2回中央教育審議会大学分科会大学教育部会短期大学ワーキンググループを開催いたしたいと存じます。委員の先生方には,大変御多忙の中を御出席いただきまして,ありがとうございます。感謝申し上げます。
 前回を振り返ってみますと,1回目ということで,各委員の先生方からそれぞれのお立場から短期大学について自由な御発言を頂戴いたしました。大変示唆に富んだ御発言が多かったというふうに思っております。
 そのような自由討議,御意見を十分参考にさせていただきまして,今日の2回目の議論の論点を組み立ててみました。今日は,まず短期大学の特徴や強みについての事例紹介を,主として短期大学関係者からまずは頂戴したいと思っております。既に大野委員,滝川委員,安部委員に御依頼申し上げております。
 続きまして,短期大学における各論になりますけれども,教養教育あるいは職業教育につきまして,事務局から資料を用意してもらっておりますので,その説明を頂くことにいたしたいと思います。
 そして最後に,清水委員から,海外における短期高等教育の役割・機能について御紹介いただきたいと思っております。
 大体そのような3部構成でございますが,それぞれの御説明の終了後に,時間の許す範囲で審議の時間を設けますので,活発な御意見を頂ければ幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,審議に入る前に,事務局に人事異動があったと伺っておりますので,事務局から紹介をお願いしたいと思います。
【田頭大学振興課長補佐】  1月17付けで事務局に異動がございましたので紹介いたします。
 吉田高等教育局長でございます。
【吉田高等教育局長】  吉田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【田頭大学振興課長補佐】  常盤私学部長でございます。
【常盤私学部長】  常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【田頭大学振興課長補佐】  佐野大臣官房審議官でございます。
【佐野高等教育局審議官】  佐野と申します。よろしくお願いいたします。
【田頭大学振興課長補佐】  以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,まず事務局から配付資料の説明をお願いしたいと思います。
【田頭大学振興課長補佐】  配付資料の御説明でございます。
 配付資料は,資料1から資料4,あと参考資料となっております。資料1でございます。「短期大学ワーキンググループ(第1回)議事録」ということで30ページのものを用意しております。
 続いて資料2でございますが,資料2は枝番で1,2,3になっておりまして,資料2-1が,「短期大学教育の振興について(議論内容の抜粋)」ということで,日本私立短期大学協会振興対策特別委員会の資料を用意しております。9ページでございます。
 資料2-2でございます。「短期大学基準協会の第三者評価における短期大学の優れた取組等について」ということでございます。39ページで構成しております。
 資料2-3でございます。「短期大学間の連携・共同による教育の展開-短期大学コンソーシアム九州の事例-」としております5ページの資料でございます。この資料2-3につきましては,それとまたほかに,委員の先生方におかれましては,机上資料ということで,「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラムの最終報告書」の方も用意させていただいております。
 資料3でございます。「短期大学士課程教育の分野横断・共通的能力について」ということで,23ページの資料を用意させていただいております。
 資料4でございます。「米国短期大学に学ぶ-教育接続から教育継続への転換-」でございます。12ページでございます。
 その後ろの方に参考資料といたしまして,前回,第1回の会議で資料いたしました「短期大学の最近の現状,大学改革を巡る動向から特に短期大学の在り方について検討が求められる視点等」,前回の資料5-1でございますが,これを用意させていただいております。
 それから,資料1の議事録につきましては,あらかじめ平仄(ひょうそく)を整えたところでございますけれども,追ってメールにて送付するところでございますので,御意見等があれば,2月13日までに事務局まで御連絡いただければと思います。
 以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。いかがでしょうか。お手元の資料に不備はないでしょうか。
 それでは,審議に入りたいと存じます。
 一つ目は,短期大学教育の機能並びにその強みについて取り上げたいと思います。
 先ほど申しましたように,1回目で大変多様で有益な御意見を頂戴いたしました。その中で,私といたしましても大変印象的でございましたのが,これは主として日常短期大学教育に直接関わっていらっしゃらない委員の方々から寄せられた率直なお話でございました。例えば短期大学の中身が余り知られていない。とりわけ短期大学が強みと思っていることが,世間一般には余り知られてないのではないかというような御指摘。あるいは,短期大学がそもそも世の中に提供している価値というのは,一体何なのかということを考え,短大の強みを分析してみることがまずは必要なのではないかというような御意見。あるいは,高校生の立場から見ると,短期大学というのは,一体どんな教育をしているところなのかということが,いま一つ見えづらいのではないかといったような御指摘がありました。どれも大変率直に受け止められるお話でございました。
 それに対しまして,逆に平素短期大学教育に直接携わっている委員の方々から,それぞれの角度を持って短期大学の特徴あるいは現在の取組,場合によりましては課題,そのようなことを前回,短時間で御説明を頂きましたけれども,この際改めて大野委員,滝川委員,安部委員の各委員の方々にお願いいたしまして,短期大学の強みとは一体何なのか,そしてまた,どのような取組が現実に行われているのか,これらについて事例を簡潔に紹介していただき,その上で意見交換をいたしたい,このように考えた次第でございます。
 まず,お手元の資料にありますように,「短期大学教育の振興について」と題しまして,短期大学全体の強みと捉えていることについて大野委員から御説明を頂き,次に,認証評価機関の角度から,短期大学の強みや優れた取組は一体どのように捉えられているのかということを滝川委員から御説明いただき,最後に安部委員から,より具体的な取組といたしまして,短期大学コンソーシアム九州の取組についてそれぞれ御説明いただき,その後にまとめて質疑応答といたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,まず大野委員から10分程度で御説明をお願いいたします。
【大野委員】  それでは,早速ですが,御指名いただきましたので,お手元の資料2-1に基づいて報告をさせていただきます。
 日本私立短期大学協会におかれます短期大学振興対策特別委員会の設置の目的がございますので,ちょっとお目通しを頂きたいと思います。
 一昨年夏に出ました中教審答申で「短期大学士課程の在り方」が挙げられておりますので,これを受ける形で日本私立短期大学協会として,短期大学の果たす役割・機能について「短期大学教育の再構築を目指して」という,お手元にもございますが,平成21年にまとめた提言内容を基本といたしまして,これからの中央教育審議会での審議動向に対応するために,この特別委員会が設置されました。
 検討事項につきましては,そこに記載されているとおりでございますので,御確認をいただければと思います。
 委員構成は,関口郡山女子大学短期大学部の理事長・学長先生を委員長として,そこに記載されている先生方の構成でございます。
 これまで委員会は7回開催しており,審議は継続中でございますけれども,本日は,その議論してきた内容の抜粋という形で簡潔に報告をさせていただきます。
 まず,3ページ以降にございます短期大学の強みの確認でございますが,4ページを御覧になっていただきたいと思います。今日は短期大学の強みの中身のほかに,少し弱みのところについても触れて,短期大学の特徴が御理解いただければというふうに構成をさせていただいております。
 まず4ページの短期大学における教育の中の教養教育のところでございます。
 (1)の1)を御覧になっていただくと分かりますとおり,短期大学の教養教育の良さというのは,旧設置基準から受け継がれている人文・社会・自然科学を基礎とした教養,それから情報科目に代表されるような新しい社会ニーズから生まれた教養,そして,これらを包括するような言語能力,論理能力の育成プログラムが高等教育としての教養として,職業教育のための基礎ということも含めてですが,整理されて存在しているというのが大きな特徴です。
 教養は,もとより教育や豊かな文化的経験を通じて育まれていくものでもありますが,実践的,実用的な観点というのを重視して,短期大学ではこういった教養の中身について,高めてきたということでございます。
 2)でございますけれども,私立短期大学はいずれも独自の建学の精神を持っておりまして,この建学の精神に基づく人間教育というのが,いずれの短期大学でも施されているところでございます。
 それから,これらの資料につきましては,この後,滝川委員から基準協会の特に優れた試みと言われる事例等の紹介の中で,どういった具体的なことがあるかということについて少し言及していただく予定になってございます。
 (2)短期大学の職業教育でございますけれども,1)にございますとおり幼児教育,保育,栄養,介護等に代表されるように,社会や地域で重要と認識されている公的資格分野,中核的専門人材というのを多くこれまでも輩出してきております。
 2)と3)の関連でございますけれども,短期大学は企業との連携,インターンシップとの関連もありますけれども,各種実習先の懇談会等を通じて,現在の学生の学びがどのように企業の方に受け入れられているか,また見られているかということの聞き取りをして,教育方法の見直しを機敏にして,学生のキャリアアップにつなげているというような職業教育の特徴も有してございます。
 4)でございますけれども,教員の審査につきまして,それぞれ学内において教員資格審査が厳格に行われ,またFDを実施することによって,実務家教員を分野によっては登用することがありますが,その教育技法の改善や専門性の向上を図るということで,不断の改善向上のための仕組みがそこに出来上がっているということでございます。
 5ページの教育プログラムのところを御覧になっていただきたいと思いますが,1),2)も共通しているのですけれども,教育課程全体として育成する能力や知識,技術・技能と,個々の授業科目の関連性を考慮した教育課程の体系化に努めているということ。それから,実際生活に必要な能力を身に付ける教育の場として,様々な配慮がなされているということで,これは先ほどのインターンシップや職業分野の時代のニーズの関連のように,企業からの要望を聞きながら,育成すべき人材像を明確にして,その都度修正を加えながら教育プログラムの体系化を図り,整備しているということでございます。
 4)を御覧になっていただきたいと思いますが,教職員全体の参画とその連携・協力によって,入学から卒業まで組織的な教育がなされている。具体には,正課以外の学園祭や学外研修,校外実習その他,ずっと続いておりますけれども,そういったことでございます。これは正課以外の「隠されたカリキュラム」とも呼ばれるような各種の教育プログラムを用意して,2年という大変限られた期間でございますので,ありとあらゆるそういった機会を通して学生は学び,成長し,教職員は使命感を持って一人一人の学生に寄り添いながら,その学生の成長に大きく関わっているというのが短期大学の特徴だというふうに思います。
 5)のPDCAサイクルでございますけれども,これにつきましては,短期大学基準協会の認証評価を通じて,内部質保証制度の仕組みが構築されていたり,評価基準そのものがそういった内部質保証の仕組みについてチェックをするというような仕掛けになってございますので,教育プログラムが絶えず点検・評価されて,より良いものになっているというのが短期大学の特徴の一つでございます。
 10)でございますが,校外実習の指導のような実践型教育プログラムは,非正規授業との併用によって教育の質を向上させております。先ほど「隠されたプログラム」というふうに申し上げましたが,いずれの短期大学においても,こういった実習で企業に送り出す際には,大変丁寧な事前事後の指導が施されて,学生も自己学習をしながらしっかり社会に出ていく備えをしているというふうに御理解をいただければと思います。
 続いて,6ページのところでございますけれども,短期大学における研究のところでございます。学生志向を運営の基盤としており,教育のための研究が実践されているというところでございますけれども,学生中心志向というのは,これは短期大学の特徴の一つでもございまして,これまで画一的な教育で見過ごされてきた学生の潜在能力を引き出す,多様な学生に対して寄り添いながら,その学生の持ち味というものを引き出して,社会で活躍できる人材に育成していくことが短期大学における特徴で,そういったことに対する研究がなされているということでございます。
 それから,3)の教育に関する研究が地域の役に立っているというのは,様々な地域ごとにある課題について,その解決のためのお役に立っている例が幾つかございまして,例えば子育て支援や食育推進等,今いろいろと話題になっているところで,短期大学の持ち味も生かされているというふうに理解をしてございます。
 5)の短大教員の研究の役割ですけれども,短期大学は4年制の大学の教員に比べて大変忙しくて,十分な時間や環境が整っているとは言い難い面がありますが,先ほど来申し上げているように学生中心志向で,より良い教育をするためにということで,授業内容,教育内容の高度化や実質化を図る,そういった研究がいろんなところでなされているということでございます。
 地域貢献のところ,7ページを御覧になっていただきたいと思いますが,短期大学の大きな特徴でございます地域貢献,地域が求める専門人材の輩出に始まりまして,2)では,公開講座,免許更新講習,科目等履修,出前講座,これは主に高等学校でございますけれども,こういったこと等を実施して,短期大学が持つ様々な知の拠点としての役割を果たしているということでございます。
 少し飛びますが,7)を御覧いただきたいと思います。地域イベントへの参加・協力でございますが,その二つ上にも,地域活動やボランティア活動というふうにございます。学生は,正課のカリキュラムのほか,隠されたカリキュラム,それから,こういった社会的な活動を通じて大変大きく成長する機会を頂いておりまして,これは短期大学にとっても大変有り難いことですし,地域の方々からもその学生の参画について高い評価を頂いているところが大変多いということでございます。
 これらの資料につきましては,先ほど申し上げたとおり,この後の発表される滝川委員の方で具体的な活動ということで御報告いただけると思います。
 少し時間がなくなってきましたが,7ページの質保証でございますが,もとより教育情報の公表のほか,財務情報の公表,更にこの後進められます大学ポートレート等,ステークホルダーに広く情報を提供する仕組みが構築されて,実際にそのようになっているということでございます。
 最後の5)ですが,認証評価機関による第三者評価のところでございますけれども,この認証評価の評価活動を通じて,短期大学がお互いに学び合っているという大変いい点がございます。それぞれピアレビューを基本としておりますので,学長や理事長をリーダーに,いろんな階層から成るチームが編成されて,それぞれの短期大学に行って評価活動を通じて学び合っているということが大変すばらしいところだと思います。
 最後の短期大学の弱みの確認でございますけれども,前回もちょっと申し上げさせていただきました4年制大学と専門学校との差別化というのがうまく図れていないということを,委員の皆さんが口にされております。特に(2)の「きめ細かな教育」の具体的な説明の決め手が不足していた。これは高校生,社会に対して短期大学の良さをしっかりと伝えていくことができてなかったということで,大変PRが下手だというふうに自戒をしているところでございます。
 3)高校生は4年制大学志向が強いというところでございますが,高等学校の進路指導そのものも,高等学校の威信を高めるためなのかもしれませんが,4年制大学への進学率向上に力を注ぐことが中心で,高等学校卒業後は,4年制大学か,職業教育というと,専門学校かの選択肢になって,そのはざまで短期大学はちょっと取り残されてきたきらいがあるのではないかという分析をしてございます。
 最後,5)でございますけれども,学生の個別ニーズには柔軟に対応してきたということで自負しているところでございますが,それを短期大学全体の問題として共有して,例えば経済界の代表者等の意見を聴くなどという機会が少し少なかったのではないかと思っています。
 ただ他方,今日においては,地域によって,本日も安部委員から御報告がありますが,短期大学は自主的に合同で研修会を開いたりと,短期大学間の連携やネットワークも強まりつつあるということを申し添えさせていただいて,報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 続きまして,滝川委員から短期大学基準協会との関わりの中から,「短期大学基準協会の第三者評価における短期大学の優れた取組等について」ということでお話を頂きます。これも同じく10分程度でお願いいたします。
【滝川委員】  私の方は資料2-2の「短期大学基準協会の第三者評価における短期大学の優れた取組等について」という資料を御覧いただきたいと思います。全部で39ページございますので,これを10分ではなかなか説明できませんので,前回お話ししました四つの論点から横に切りながら話をさせていただきたいと思います。
 その四つの論点というのは,一つ目は,質を高める仕組みが短大の中に内在されているということ。二つ目は,短大は非常に短い期間の間に凝縮された教育システムを持っているということ。そして三つ目は,地域と非常に密接な関係があるということから,短大が高等教育のファーストステージであるという点,それから生涯学習の拠点になっているという点,それから地域でのボランティア,それから地域の中小企業などを支えているという点などを三つ目としたいと思います。四つ目としましては,国際共通性,国際通用性を持った短期大学を今後模索していく必要があるのだという,この四つの論点から話をさせていただきたいと思います。
 まず,短大基準協会が行います第三者評価というのは,ほぼ1年かけまして100ページに及ぶ自己点検評価報告書というのを書くのですけれども,過去3年にわたるデータから100ページにわたる自己点検評価報告書を作り,それを6月までに提出します。その後短期大学基準協会が定めました評価委員が,7月,8月の2か月ほどを使ってその内容を読み込んで,9月過ぎからは実際に短大を訪れて,2泊3日ぐらいで現地調査をして短大をしっかりと調べた上で,それを短大基準協会に報告し,そして最終的に短大基準協会の方から合否の判定とともに報告を出すというような仕組みになっております。当初,第1周期の頃には,やはりなかなか厳しく判断をするということが難しいこともあったわけでございますけれども,現在,第2周期に入りましたので,かなりシビアな判断になってきております。
 その結果の一部がこの資料2-2の報告書ということになっておるわけでございますけれども,最初に申し上げました第1の質を高める仕組みが内在されているということは,まずこの報告書がそれを示しているというふうに思われます。
 具体的なことを申し上げますと,2ページ,3ページを御覧いただきたいと思いますが,ここに二つの表がございますけれども,例えば左の表を見ていただきますと,「学生支援」,「教育の内容」,それから「社会的活動」というのが右にずっと上がっております。これは学校数を表していますが,各短大は毎年自己点検評価しておりまして,それをPDCAの形で回した結果,少しずつ学校の中が改善されていることを示しているのではないかと考えています。
 また,右側の表を見ていただきますと,今度は逆に「教育の実施体制」について,「学生支援」について,それから「教育の目標達成」についての向上充実,もう少し頑張りなさいという指摘でございますけれども,この内容につきましては減少しておりまして,徐々にこういった内容に対する改善が表れているのではないかと考えております。
 
次に二つ目の短期大学が持つ特徴的な教育システムについての説明をさせていただきたいと思います。これは4ページ,5ページあたりを御覧いただきたいと思いますが,これは具体的には7ページ以降にその基になります資料がございますので,その中から特徴的であったものをダイジェストで抜き出したものだというふうに御認識いただきたいと思います。
 4ページの冒頭から御覧いただきますと,例えばレベルに応じた選択授業や再試験のための補習授業を行うなど,個々の学生に対応した学習支援が積極的に実施されている。三つほど下にいきますと,全学生のキャンパスライフ・カルテを作成して,入学から卒業までの情報をそこに記録しているというようなことでありますとか,その下も同じように,入学までの期間を怠りなく過ごせるような工夫が見られる,こういったことは全て良いことだというふうな指摘で挙げられておる内容でございます。
 その二つ下を見ていただきますと,ここではアドバイザーが指導する体制になっており,更に保健室や学生心理相談室などがあって学生たちを支えているというようなことも優れた点として取り上げられております。
 また,その下には,例えば担任を中心にして,副担任,学科長,専攻主任,教務,学生相談センターと連携して学生のことに対応しているというようなこともございます。
 また,右のページの方にも細かいことがたくさんございますけれども,学生30人に対して一,二名の専任教員アドバイザーが配置されているというようなこと。それからその下には,初年次教育,リメディアル教育,キャリア教育と手厚い教育を行っていたり,基礎教育センターを設けて,基礎学力の不足を補っているというようなことも書いてございます。
 このようなことが基準協会の最初の7年間の評価の中から出てきた優れた取組の一部でございます。
 続きまして,三つ目の地域との連携に関することにつきましては,大もとのデータを23ページ以降に記させていただきました。
 23ページから「特に優れた試みと評価できる事項」,領域7の社会的活動というふうに書いてあるページでございます。この中には非常に多岐にわたったことが書いてございますけれども,特に,地域と短期大学とが密接な連携をとっているというような実態や,生涯学習の拠点となって様々な活動をしているというような事例,また学生が地元の中小企業や自治体などに就職をしている割合の多さなどを見ることができます。
 さらに,学生が授業外におきましても,地域のボランティア活動をしているというようなことも,挙げられておるわけでございまして,こうした事例を見ましても,短期大学が地域と連携をとりながら教育の目的を達成しようとしていることが分かるわけでございます。
 そして,最後は,四つ目の国際通用性のことについてでございますけれども,本日は米国との連携のお話のみをさせていただきます。現在,短期大学基準協会は,アメリカにありますACCJC,Accrediting Commission for community and Junior Colleges,これはアメリカにあります短期大学基準協会でございますけれども,こことの間に連携協定を結んでおりまして,ACCJCにおいて,日本の短期大学基準協会で評価を受けた短期大学の学生たちの単位は,そのまま包括認定をしようというような話になっておりまして,こうしたことも次のステップとして短期大学が国際通用性を高めるための大きな一歩になっているだろうと考えております。
 以上でございます。
【佐藤座長】  どうもありがとうございました。
 続いて,安部委員から短期大学コンソーシアム九州の取組に関しまして,「短期大学間の連携・共同による教育の展開」ということで御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【安部委員】  長崎短期大学の安部でございます。私は短期大学コンソーシアム九州の事例について発表したいと思います。私は,コンソーシアムの運営委員並びにGP事業推進委員会の部会長も務めております。
 私たち地方の短期大学は,この資料にも書いておりますが,先ほどのお二人の委員の御説明にもありましたように,地域に密着した人材養成をやっている日本の短期高等教育機関であるという自負がございますけれども,地方の小規模短大は,特に学生数の減少が激しく,このことは,短期大学から,地域の教育の機会均等を保障する短期高等教育機関という役割をそぐものではないかという危機感を持っております。
 しかしながら,地方中心で,小規模で,私立が主であるという短期大学に関しましては,一つの短期大学でいろいろな改革等をやることの負担はかなり大きいので,地域の魅力ある短期高等教育機関として短期大学が再生するには,各の短大の努力に加えて,地域短大の連合体で改革に取り組む必要があると考え,2009年に九州の九つの短期大学で短期大学コンソーシアム九州を組織いたしました。その前身は,2002年に発足した「短期大学の将来構想に関する研究会」という研究会で,略称CC研究会と私どもは申しておりますが,短期大学の発展・存続のための改革論議を地方から行おうという志の下にそういう会を結成いたしました。
 その研究会では,短大教育に関する調査研究あるいは事例報告等の研究会を重ね,調査結果というエビデンスから短期大学教育の特色や可能性や限界を考察するということを積み重ねていったのでございます。
 そして,それを教育活動に生かそうと思いまして,大学連携の補助金事業がありましたので,コンソーシアムを組織して,教育連携のための事業に取り組むことにいたしました。
 現在二つの連携事業に取り組んでおりますけれども,最初に3-1のものに関しては,資料としてピンクの冊子を添えさせていただきました。この事業は23年度で一応補助金期間が終わり,その内容については,この最終報告書で示させていただいております。その中身については,ここでは詳しい御説明を省きますが,地域の人材育成に貢献する短期大学の役割・機能を地域との関係性で考えていこう,そして課題を抽出しようという試みで行ったものでございます。
 事業としては様々なことを行いました。在学生調査,高大連携の実態調査と母校訪問キャラバン隊の発足,初年次教育や教養教育の在り方の検討,また,実践的教育活動として,九つの短期大学の学生合同での研修会やセッションの実施,卒業生と学生をつなぐ卒業生の職場訪問,それから加盟校教員対象の宿泊型の研修会等々,多くの事業を展開したわけでございます。
 そして,この3年間の事業について,外部委員から,評価をしていただきました。良い評価としては,私学でライバル関係にあるのに,短大同士で共同取組をしているというのは驚きだというような御意見,あるいは実際にやっていることは評価できるが具体的な教育の改善までに結びついた取組がまだ少ないという指摘を頂き,さらには,短大全体のミッションの明確化と個性化が不十分であること,短大は宣伝が下手ですねという,外部委員の評価を頂きました。
 そして,推進事業担当者による内部評価として,私立の短期大学の共同が,本当にどこまでできるのかというような疑問等をずっと持ちながらやってきて,その疑問に対して,短大間で戦略的にパートナーシップを結ぶこと,すなわちそれぞれの短大は募集等では競争関係にありますが,それを超えて戦略的なパートナーシップを結ぶこと,そして,建学の精神等それぞれの短期大学が持っておりますけれども,そのベースにあるスタンダードは何かということを創出していくことが,このコンソーシアム活動の課題であることが明確になったと考えました。
 そういう事業をやりながら,24年度からは,特に短期大学士課程の質の保証について共同で考えていこうということを企図して,共同教育推進事業に申請しました。その内容につきましては,最終ページにポンチ絵がございますので,そちらを御覧になっていただきたいと思います。
 具体的には教育の質の保証システムを構築するために共同のIRネットワークシステムを立ち上げます。今年度は,在学生調査を短大間で共有したものを作り,全ての短期大学がその在学生調査を実施し,結果の集計・分析を実施しております。
 それから,短期大学には短大独自のアクティブ・ラーニングとなる,職業教育の検討の必要性から,職業教育につながる多彩なアクティブ・ラーニングの場を学生に提供するという取組等も行っております。
 こうした取組を行っております短期大学コンソーシアム九州は,連携校の短期大学の学長を委員とする運営協議会,現在は佐賀女子短期大学の学長に委員長を務めていただいております。そして,実際の事業をやるセクションとして推進委員会を設け,月に一,二回の会議を開いております。
 また,特筆すべきは,研究センターを附置していることです。研究会の発足当初から改革をするためには広範囲の学術的視点からの論議は欠かせないという認識の下で研究会活動を重ねて,2月9日の開催予定分も含みまして現在までに36回の研究会,さらに,26年3月に紀要第4巻を発行する段取りにしております。
 そういう活動を行っておりますが,短期大学コンソーシアムの活動のこれからの課題といたしまして,5番でございますけれども,先ほどから御説明がありました,日本私立短期大学協会で提示されました,21年発行の「短期大学の再構築を目指して」の報告書並びに短期大学振興対策特別委員会報告など,そういう数々の報告の中で新しい短大の在り方について積極的な論議が協会で行われております。私たち短期大学コンソーシアム九州加盟校もそのメンバーでございますので,短期大学教育の新たな地平を目指すランナーとして走り続けたいと考えております。
 地方の短大は,地域と対話し,地域のステークホルダーからの支持を得ることが短期大学の生き残りと考えて,対話をするということに注力しておりますけれども,特に学生を表に出す活動として,例えば,母校の高校を訪問するキャラバン隊,あるいは学生と卒業生の交流・訪問活動,短大フェアという学修成果を地域に発表する場を設ける等,地域との対話を図っておりますが,その成果の検証と事業の拡大は,大きな課題でございます。
 また,このコンソーシアムは,福岡,佐賀,長崎という行政管轄の異なる地域にありますので,なかなか地方自治体との対話の一元化が図りにくいのですが,地方自治体の短大に対する認知度を高める活動,そして,それを通じて短期大学に対する地域の応援団を増やしていくことも課題としております。
 また,調査研究会が母体であった私どものコンソーシアムが実施した,複数回の在学生と卒業生を対象とする調査の結果から,全体として,近年の短大教育は,学生のニーズや満足度を高めるための教育活動を行っておりますけれども,まだまだ短大ならではの教育の開発とその可視化というのには至ってないといえると思います。それについては今後,共同教学IRシステムの運用と,学生の学びを促すアクティブ・ラーニングの開発を通して,短期大学教育のスタンダードの構築を目指してしていきたいと思います。
 そういう活動をしておりますが,我々は地域の短期高等教育を求める人に応える機関となりたい。その役割を果たすために,今の短期大学がどう変化をすればよいかについて,教育の実践現場からエビデンスに基づく教育改革の方途を示す活動を今後も実施していきたいと考えております。
 以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 3人の委員の先生方,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明,御発表に関しまして,何か御質問,御意見がございましたら,どなたからでも結構でございますので,御発言いただければと思います。多少時間を取りたいと思います。
【小杉委員】  具体的な話なので安部委員に一番お聞きするのがいいかと思うのですが,まず,生涯学習ということへの対応について,18歳を対象にした教育と30代を対象にした教育では大分違うと思うのですが,シニアとしては生涯学習の話がぽろぽろ出てくるのですが,現実は生涯学習対応というのはどのように考えられているのかというのが一つお聞きしたいことです。
 もう一つ,短大教員というのは非常に教育志向で,それが4大と大きく違うところで,そういう意味では教育改革が4大に比べてずっとスピーディにできる分野だというふうに思っているところなのですが,それでちょっとお聞きしたいのは,教育志向の教員と,労働の問題を考えていると,多分賃金体系とかが4大と短大でかなり違いがあるのではないかと思います。要するに,教育にお金を付けるのか,研究にお金を付けるのかというところでかなり違うと思うので,そのあたり,4大との比較において,教員の処遇の考え方というのは違いがかなり大きいのでしょうか。そこの二つを教えていただきたいと思います。
【佐藤座長】  これはまず大野委員からお願いします。
【大野委員】  生涯学習の観点でということですが,私見も含めて,短期大学はやはり伝統的に18歳の人たちに対してということをずっと一生懸命やってきて,近年,社会人の学び直しということが特に言われていますので,それに対する対応をしているところも幾つかあると思います。実際に短期大学の教育現場で18歳の人だけのクラス編成,学びの集団よりも,社会人が入ることによって非常にダイナミズムといいますか,社会経験を学生が実際の学園生活の中で学び取ったりすることができますので,いずれの短期大学も積極的に社会人を受け入れていきたいという気持ちのところが多いというふうに思っていますが,実際社会人が,幾ら短期とはいえ,2年間正規の課程に通うというのは,これは結構負担でありまして,一部では,今,非学位課程を活用して,何とか社会人の方の学び直しの役に立てないかということを研究している向きもございます。
 学生支援の部分では,18歳の学生に対する対応の仕方と社会人に対する対応の仕方はおのずと違いますので,そういったところについてはいずれのところも対応できるように進化といいますか,改善を図ってきているというふうに思います。
【小杉委員】  ちょっとそれに関していいですか。教育内容の話になってきますが,18歳,いわゆるコンピテンシーレベルの能力というのは,かなり注目して育成されていると思うのですが,18歳にはこれが必要ですが,30歳だと違うのではないか。そのあたりの教育の評価の在り方というのも考えられているのでしょうか。
【大野委員】  本学の例で申し上げますと,実際に教員をリタイアしてから専門職業資格を取りたいという人や,県庁で現役だったキャリアを捨ててこの分野に行きたいだとか,そういった方がいらっしゃるのも事実です。今御指摘のとおり,望むコンピテンシーは,当然そういった社会経験のある方と18歳の方とではおのずと違うわけですが,当該職業分野で必要とされる像や必要な知識,技術・技能ということに関して言うと,そこは年齢を超えて初学者ですので,同じ様に学んでいただくというスタンスは,逆に言うと崩せないところだと思います。繰り返しになりますが,既に持っているキャリアなど,なかなか可視化できるものではありませんが,人間性も含めた社会人の方々が持つ包容力も含めた力というのは非常に学生に対していい影響を与えているのは事実でございます。
【小杉委員】  ありがとうございました。
【佐藤座長】  それでは,小杉委員の質問の中にありました生涯学習対応についてですが,安部委員,いかがでしょうか。特に短期大学が得意とした幼児教育や保育などにおける現職者に対するいわゆるリカレント教育についてはいかがでしょうか。
【安部委員】  例えば今の幼児教育や保育のお話ですが,地域の保育所や幼稚園の経営者とそこで保育をやっている保育者がどのようなリカレント教育を望んでいるかに関する地域職業人育成フォーラム等を開催してニーズを明らかにしたことがございます。また,短大では現職の教員の研修メニュー等の提供といったようなこともやっております。あと,専攻科等を活用して,例えば幼稚園教諭として二種免で現場に出て,2年,3年,又は,それ以上幼稚園教諭を勤めた人がもう少し勉強したい,そして,一種免を取得したいと考えたときに,社会人として専攻科に入ってくる。そして専攻科修了後には,更に高度な知識技術や資格を身に付け現場に復職し,地域の幼児教育や保育のリーダーとなる,そういうふうな事例もあります。
【佐藤座長】  ありがとうございます。滝川先生,三つ目の研究面はどうですか。
【滝川委員】  前段のことに対する発言をさせていただきます。全体的に見ますと,短期大学の場合には,保育と栄養と介護が圧倒的に多いものですから,先ほど大野先生から非正規の課程を使って学生たちを教える,という話がございましたけれども,そういうふうに切り売りをしていくというのが,ここの中にもございます。ところが,今挙げた三つの分野というのは,文部科学省での指定だけではなく,厚生労働省の指定などもあり,2年間でなければならないとなっており,例えば長期履修で受けたりすることはできません。そうすると,2年間のパッケージで実施しなければいけないというのは,企業サイドとしても,サバティカルの制度などがなければそういうものは実現できないという事情があって,現状として,短大の中にこういう専門性や教養のポテンシャルがあっても,それを積極的には展開できていないというような状況でございます。
【佐藤座長】  一方において,先ほど専攻科の活用というお話がありましたけれども,本科からの継続学習者ばかりではなくて,一旦職に就いた人たちが,更に別な資格を積み重ねるための専攻科の設置なども,実は全国的に見られるところでございます。
【大野委員】  本学は短期大学だけの学校法人ですので,今の御質問に的確に答えられるかどうかわかりませんが,私学事業団から出ている補助金が長らく短期大学教員と大学教員の単価が違ったのが,何年か前にそれが同じになりまして,短期大学関係者としては大変心強く思っているところですが,恐らくそれぞれ管理運営の私学の考え方によりますので,なかなか一概には言いにくいかなと思います。
 ただ,やはり4年制大学の教員は研究がどうしても必要ですので,その研究費を環境として整備するということを考えると,個人の,可処分所得とか,そういうことではなくて,大学が用意すべき経済的なものは短期大学に比べると4年制大学は多いということは見えてくるような気がします。
 ちなみにアメリカのコミュニティ・カレッジでは,御存じのとおり教育中心ですので,研究費はかかりません。その分,コストが安く済むということが特色の一つというふうに挙げられていますので,日本はそうはいかなくて研究は必要ですけれども,4年制大学に比べると,そこは規模的には少し限られているというような気がいたします。
【佐藤座長】  座長が付け加えるのも何かと思いますけれども,今の小杉委員が関心を持たれました大学教員の処遇ですけれども,これは確たるデータが今手元にあるわけではありませんが,感覚的に捉えておりますのは,私立短期大学の約3分の2は,実は4年制大学を併設している学校法人が設置しております。そうすると,同一学校法人の中で,大学の教員の給与体系と短期大学の教員の給与体系に差異を設けることは非常に現実的ではないということで,これは確たる数字ではないですけれども,大多数のところは同様の基本給等々の体制をとっているはずでございます。
 もし御関心がございましたら,また私学事業団等にお願いしまして,比較データを取り寄せることも可能でございます。
【小杉委員】  ありがとうございます。
【佐藤座長】  小林雅之委員,どうぞ。
【小林(雅)委員】  発表どうもありがとうございました。おかげさまで,前回お話ししたエビデンスに基づき明らかにする必要がある,短期大学の現実が少しずつ見えてきたというか,特に強みの方がかなり分かってきたということがありますけれども,少し私が疑問に思いますのは,特に大野先生の最初の発表のところで,かなり強みを挙げておられるのですが,安部先生の,今度は逆に課題が特に九州では多いという話との落差が余りに大き過ぎて,これは教育の議論ではよくあることなのですけれども,べき論というか理想論と現実が混在して出てきているような気がします。エビデンス重視というのは,まさしくそういうことをはっきりさせることなので,そのあたりのことはもう少しエビデンスが必要だろうというように思っています。
 例えば,大野先生の資料の4ページ目のところで,短大における教育について,(1)の3)の括弧の中に専門学校や大学と比較して,短大の教員は長時間学生と接しているというようなことがあります。これは確かに大学に比べたら短大の教員は長時間学生と接しているだろうということはある程度想像はできます。ただ,本当に専門学校と比べてどうなのかというのはよく分からないのではないか。もし証拠があれば出していただきたいというような意味です。これは本当に例えばの話です。
 もう一つの疑問は,理想と現実という問題で言いますと,2年で十分かどうかということがよく分からないのです。これだけの内容のことを2年で凝縮してやるからいいのだとおっしゃるのだけれども,逆に言うと,よくこれだけのことが2年でできるなというようなことがありまして,こちらの「短期大学の現状」という資料で見ますと,3年制は16,2年及び3年制は37しかないのですね。2年という枠で果たして十分なのかどうなのかということについて,特に何か教えていただければと思います。
 それから,社会人との関係で言いますと,やはりパートタイム学生や長期履修制度というのがどの程度普及しているかということが非常に大きな問題で,この場合,特に授業料をどういう形で徴収しているかということが問題ですので,そのあたりの資料があれば教えていただければと思います。
【大野委員】  教員と学生の接する時間の話ですが,設置基準上,短期大学が置くべき教員の数と専門学校が置くべき教員の数はおのずと違っておりまして,経営的には専任者を増やすよりは,なるべく限定してというふうに考えるのが一般的ということを前提にすると,短期大学の方が専門学校に比較して専任の先生が多くて,学生と長時間接し得るというのが一つの根拠でございます。
 それから,2年の枠に関しては,最近やはり学生が多様化しておりますので,今までのプログラムをそのまま最近の多様化している学生に当てはめることがどうなのかということは,それぞれ短期大学の悩み,課題でございます。先ほどもアクティブ・ラーニングの話が出ましたが,学校にいるときだけのことを考えると,おのずとやはり難しいのですけれども,学生の自己学習を盛んに促すことによって,今までどうしても足りていない部分については補うことで今日までやってきているということでございます。
 パートタイム関係ですけれども,そこらあたりのところが未整備ということもありますけれども,よく理解していただいていない。ただ,一般的に科目等履修生の,単位当たり幾らという,これは大学によって違うと思いますけれども,そういう決めがございますので,分割して学ぶことも制度としては可能になっているということです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。小林委員,どうぞ。
【小林(信)委員】  2点ほど伺いたいのですが,一つは,社会人教育という部分で,先ほど生涯学習の件がありましたけれども,主に短期大学の場合,18歳,高校卒業の生徒を学生として受け入れるのが中心になっていますが,短期大学自体,全国各地域に存在しています。その地域でそれぞれ一旦社会に出られた方々の学び直しの場として,選択の一つとして短期大学を選ぶ可能性があるわけです。今,雇用保険の財政を使って2年間の学び直しを支援することを予定しています。例えば,保育並びに幼稚園の先生の資格を取る学び直し支援も検討しています。卒業された社会人の第2の学び直しの場として,そういう資格取得のため支援をしていこうとしています。
 短期大学が,先ほど保育とか栄養とか,いろんな分野の資格を取る部分で,18歳の若い子供たちを受け入れてはいるのですが,一旦社会に出た方々がまた新たに学び直すというのに,短期大学は有効に機能するのかどうなのか,受け入れる体制ができているのかどうなのかお伺いしたいと思います。
 もう一つは,実践的な教育ということを言われているわけですけれども,短期大学と大学の教授陣を比較して,短期大学の教授陣はどういう形の教育をされているのか。大学の場合,研究の府になっているわけです。短期大学の場合は実践的な教育を行うという位置付けがなされていると思うのですけれども,そのあたりの教育陣の評価の在り方がどうなっているのかというのも伺いたいと思います。
【滝川委員】  では私の方から少しお話しします。一点目の実際に社会人教育が機能するかという問題につきましては,先ほど申し上げましたように,パッケージでは難しいので個別に切り分けてやっています。例えば,私のところは栄養系の学校なのですけれども,カリキュラムの中に有る「栄養指導」を社会人に提供し病院で更に活躍することができる,そういう専門性の高い公開講座などがございます。また保育,栄養,介護,この三つの分野の中で,非常に社会ニーズが高いのは,現在は介護の分野が非常に社会から求められておりまして,ここでは過年度卒業生や社会人が,一旦社会に出てから戻ってきて学び直しをして,それで介護の免許を取って,もう一回介護福祉士として現場に復帰するというような,そういう前例がたくさんございます。
 また,短大の教員はどんな授業をやっているのかということなのですけれども,雑な話になりますが,短期大学の先生たちも,恐らくほとんどの方が学会に属しておりますので,その中で御自身が最先端の研究をすることは少ないながらも,そういったアップ・トゥ・デートな研究状況を社会のニーズに照らし合わせながら学生たちに教えているという,そういう事例は多々あるだろうというふうに思います。
 それから,現在,短期大学の多くが,学生による学生授業評価ということで,学生から成績をつけられるような仕組みを内在しておりますので,例えば教えている内容に効果があるのかないのかということを検証したり,それを授業にもフィードバックしなければいけない仕組みになっておりますので,現場に即した内容が教授されていると考えて良いだろうと思います。
【大野委員】  今,滝川委員のおっしゃるとおりだと思いますが,社会人の受入れというのは,いずれもしたいと思いながら,なかなかできていないというのが現実だと思います。ただ,文科省の方でも学び直しで社会人の奨学金についての予算を付けていただいたりといったように,少しずつ環境整備ができつつありますので,やはり広くそういった制度について世の中の理解を進めていくことが必要だと思います。
 それから,実践的な教育に対する教育の評価というのは非常に難しゅうございまして,研究はいろんな,レフリー付きのペーパーが何点あるとか,そういうふうにありますけれども,点数でないぶん,非常に難しいところだと思います。これはやはり開発をしてやっていかなければいけない課題であると認識しております。
【佐藤座長】  先ほど来,介護の分野が非常に頑張っているというお話がありましたけれども,一つの具体例として,実は国の支援の下で各都道府県が介護福祉士の養成に力を入れております。これにつきまして,雇用保険制度を活用したものと伺っておりますけれども,かなりの年齢層の方が仕事のリセットのために介護福祉士を目指しています。実はかく言う私どもの短期大学がそれを東京都から受託しておりまして,毎年20名を超える介護福祉士志望者が短期大学の介護福祉士養成課程に正規学生として入学してくる,こういうものも全国的にいろいろとあります。
 さて,せっかく議論が深まってきつつあるのですが,時間が経過しておりますので,次の話題に移らせていただきたいと存じます。
 次は,ただいまの議論も踏まえまして,短期大学が重視する能力の育成,あるいは教育の特色について御議論いただきたいと思います。
 まずは,事務局から文部科学省の委託調査研究の成果の一部を中心に資料の説明をお願いします。
【田頭大学振興課長補佐】  では,資料の説明をさせていただきます。
 資料3をお開きいただきたいと思います。まず,この資料につきましては,文部科学省の先導的大学改革推進委託事業「短期大学における今後の役割・機能に関する調査研究」うち,短期大学士課程教育の分野横断・共通的能力についてといった調査結果について,これを抜粋したものでございます。
 表題にもございますように,この場合の分野横断・共通的能力の定義についてでございますけれども,これにつきましては,実際社会において分野,学科にとらわれずに共通して求められる能力,つまり,ジェネリック・スキルについてのものでございまして,本調査はこのジェネリック・スキルにつきまして,就職先が短期大学を卒業した学生に対して,職員に対して,その能力をどの点で重視しているかという点と,それから短期大学側が教育の中で重視している点の比較を試みたものでございます。また,短期大学はそれをどのような授業科目の中に取り入れているかということを調査したものでございます。
 では,まず就職先についての調査でございます。1ページの1)でございます。
 まず,短期大学卒業生を採用した就職先2,039社に調査をした結果でございます。この中身につきましては,例えば幼稚園ですとか,保育園,施設,企業等から得たものでございます。
 それから,これはポイント制にしておりまして,各ポイントは「非常に重視している」を5ポイント,「全く重視していない」を1ポイント,「標準的である」ものを3ポイントということで,5ポイントにスケールを設定しておりまして,その平均値を示したものでございます。
 では,(1)全体傾向でございますけれども,アンダーラインのところを中心に説明させていただきたいと思います。
 まず,表0-1を御覧いただきたいと思いますが,この表0-1は13の項目に分けておりますけれども,卒業直後の職員に対するものということで,1番目の項目としております。赤い数字は,これは5位までの順番を示しております。卒業3~4年というのは,短大を卒業して3年から4年たった職員に対しての重要とする,期待とするものでございまして,青い数字の1から5というのは,その上からの順位でございます。それから3~4年の伸びというのは,卒業直後に期待したもの,それから卒業3~4年の職員に期待するものの,その差の伸びのことでございます。
 これを確認していただきますと,就職直後に最も重要だとする能力としては,「倫理観」が3.7と最も高く,次に「自己管理能力」,「その他の汎用能力」が3.6,「チームワーク力」が3.5,「コミュニケーション力」がそれに続くという形でございます。就職して3~4年後になりますと,特に「チームワーク力」と「その他の汎用能力」というのが最も高いというところがございます。また,卒業直後の職員の能力と3~4年後の職員の能力の重要度について大きな差があるかというところでございますけれども,これにつきましては,問題解決能力,「問題解決力」に対する重要度というのが3~4年で0.9ポイント伸びている状況でございます。
 説明先が遅れましたけれども,就職先の調査についてが1ページから10ページにございます。短期大学への調査についてが11ページから19ページになっております。
 2ページをお開きいただきたいと思います。短期大学卒業生を採用した就職先では,入職直後は組織の中で行動がとれることを入職者に求めているという結果でございます。就職して3~4年には,組織人としての行動が重視されるが,加えて「問題解決力」や「リーダーシップ」が重要になるという形でございます。
 グラフ0-2でございますけれども,これは前ページの表0-1を更に調査内容を展開したグラフでございます。つまり,1ページをお開きいただきたいと思いますけれども,10番,「コミュニケーション能力」というのがございますけれども,これを更に展開したものとして,11から15の形でございまして,これらの項目を細かく質問したわけでございますけれども,例えば同じコミュニケーション能力の中でも,「相手の意見を丁寧に聞き,理解する」というふうなところが高いというふうな結果がございます。
 3ページでございますが,就職先のそれぞれの種別ではどうかというところでございますけれども,表0-2を御覧いただきたいと思います。赤い数字が1位を示しております。青い数字は5位までのものを示しておりますけれども,卒業直後に着眼しますと,「倫理性」が全て高いという形になっております。その中でも,幼稚園では更に「その他の汎用能力」あるいは「自己管理力」が高いところも特徴でございます。これが卒業3~4年になりますと,全体としましては「倫理観」から「チームワーク力」へとそれぞれが移行している形でございます。
 この資料の6ページから10ページにつきましては,それぞれの就職先ごとの分類を示しております。表0-2のそれぞれの分類でございますけれども,これについては説明を割愛させていただきたいと思います。
 では,短期大学の方の調査でございますけれども,11ページをお開きいただきたいと思います。2)短期大学調査というふうになっております。
 就職先に対して重要度を調査した能力について,短期大学ではどの程度の重要度を置いているかということの質問でございますけれども,短期大学は「コミュニケーション力」,「チームワーク力」,「情報リテラシー」,「その他の汎用能力」,「倫理観」などを重視しております。
 13ページをお開きいただきたいと思います。ちなみに卒業生を輩出している職種ごとに短期大学の分類横断・共通的能力の重要度の違いを示すグラフとして表0-5を示しておりますけれども,短大ごとにほとんど違いは認められないわけでございますけれども,その違いの中でも,わずかではございますが,販売職へ卒業生を輩出している短期大学は「数量的スキル」を重視している。幼稚園教諭は「チームワーク力」をほかより重視している。また,介護福祉士では「倫理観」を重視,栄養士では「市民性」や「総合的学習力」を重視しているという形でございます。
 では,この就職先と短期大学のそれぞれの調査でございますけれども,これを二つ並べて見た場合でございますけれども,これにつきましては4ページ,5ページをお開きいただきたいと思います。
 まず4ページにつきましては,それぞれの項目を大きな項目にしております。5ページにつきましては,それを更に展開した形でそれぞれの設問をそれぞれ全部出している形でございますけれども,特徴といたしましては,例えば「情報リテラシー」といったところにつきましては,就職先の方ではそれほど重視はしていないところの中で,短期大学教育の中でこれを非常に重視しているというところが特徴になっているわけでございますけれども,左側が卒業直後の企業の就職先が求める能力,右側が卒業3~4年後という形になっておりますけれども,真ん中に短大の教育がございます。全体の形で眺めてみますと,3~4年の形に非常に類似しているということがお分かりいただけるのではないかと思います。
 それでは,こういった教育についてどういう形で教育の中に組み込まれているかについて少し御説明させていただきたいと思います。資料につきましては14ページをお開きいただきたいと思います。下の方の(2)分野横断・共通的能力の育成体制というところでございます。
 これにつきましては,分野横断・共通的教育課程を有する大学につきましては170校ございまして,260校の調査のうち78.7%から回答を得ているわけでございますけれども,1校当たり平均11.5%この分野横断・共通的教育科目に使っております。これを2単位科目の換算でいきますと23単位,卒業必要単位科目は62単位でございますので,37.1%に相当するわけでございます。
 では,この31.7%についてでございますけれども,11.5科目中,必修科目についてが全体としては4.8科目,選択科目についてが6.7科目ということでございますので,選択科目は必修科目を上回る形になっております。それから,その11.5科目のうち,教養科目と区別しているものの中に4.5科目,専門科目の中に6.6科目という形でございます。
 分野横断・共通的科目につきましては,教養科目よりも専門科目のウエートが高いということ。専門科目の教育にジェネリック・スキルを育成する内容が含まれ,専門教育と教養教育が連動してジェネリック・スキルの育成が行われているところが御理解いただけるのではないかと思います。
 更に17ページをお開きいただきたいと思いますが,それぞれの授業科目の中で,では,どこに置かれているかというところでございますけれども,例えば体験型・演習型科目でございますけれども,これは少し滝川委員からもございましたように「プロジェクト型学習」というところの中で特に入っているというようなこと。基本的スキルにつきましては,先ほど少し問題点というところでも説明いたしましたけれども,「情報リテラシー」のところで採用している。キャリア科目については「キャリアデザイン」,それから教養科目につきましては,これは短期大学の特徴でもございますけれども,「宗教科目」あるいは「芸術・表現科目」といったところで多く分野横断・共通的な授業が行われているところでございます。
 では,18ページでございますけれども,こういった授業科目,教育プログラムの教材の開発についてはどのように行われているかということでございますけれども,グラフ0-19でございます。77.2%の短期大学が,「各担当教員が独自の教育プログラムや教材を開発している」と回答している。あるいは「チームで共通教育プログラムや教材を開発している」というのが112校で47.3%ということでございます。そういたしますと,「市販のテキスト等を使っている」というところでございますけれども,これが5.9%,あるいはeのところでございますが,36.3%ということでございますけれども,これらについての各大学からの意見を少しまとめておりますので御紹介させていただきます。
 グラフ0-19の下にございますけれども,ポチで何点か示させていただいております。分野横断・共通的教育の授業科目は多岐にわたる内容が取り上げられているということで,市販の標準的なテキストやお仕着せの教育プログラムでは対応ができない。個々の短期大学の教育ニーズに対応する分野横断・共通的教育の専門家は簡単に見つかるものではなく,そのような専門家も存在しないのではないかなどの御意見がございます。あとの御意見については省略させていただきたいと思います。
 先ほども問題になりましたけれども,4番につきましては,また資料を更に詳しく作りまして,次回以降で担当教員の内容については説明させていただきたいと思います。
 (5)専任教員の教育・研究でございます。19ページでございますけれども,業績発表というのは,そもそもどういうふうな形でやっているかということでございますけれども,全体といたしましては,紀要によるものが174件,学会誌が108件ということでございますので,87%が紀要によって教育・研究の成果を発表しているような状況がございます。
 3)でございますけれども,これは全体として説明する形になるわけでございますけれども,「就職先が求める能力と短期大学の教育」のアンダーラインのところでございますが,「短期大学の教育の重要度と就職先の卒業3~4年後の卒業生に対する重要度が一致している」というところでございまして,これは20ページをお開きいただきたいと思いますけれども,例えば「コミュニケーション能力」というところを御覧いただきたいと思います。
 赤字で記しておりますけれども,短期大学の教育で重視しているのが,4ポイントを上回る形ではございますけれども,就職先の重要度につきましては,卒業直後,これは余り高くない。しかしながら,就職先の重要度につきましては,同じく4ポイントを少し上回る形で,これが短期大学の教育で重視しているところと一致しているというような内容でございます。
 それから,参考といたしまして21ページでございますが,これは「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」ということで,平成20年8月に行われました中央教育審議会の答申でございますけれども,その中でも問題にされたところでございまして,「人材育成面での企業の期待と大学・大学院の取組について」というところでございまして,上が文系,下が理系という形でございますけれども,それぞれの期待について,あるいは大学が重視しているところでの差が大きいと言われているところが,文系,理系共通でございますけれども,「理論に加えて,実社会とのつながりを意識した教育を行う」という点が相違が大きいという問題点の指摘がございました。
 22,23ページにつきましては,この調査結果の中で出てきております「人間力」「社会人基礎力」「就職基礎能力」といったものにつきまして,その根拠となるものにつきまして,それぞれの審議会等で定義された内容についてお示しさせていただいております。
 説明は以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。膨大な調査研究成果の中核をなす分野横断・共通的な研究成果につきまして,非常にコンパクトにまとめていただきましてありがとうございました。
 これに関しまして,何か御質問や御意見はございますか。
【小杉委員】  ジェネリック・スキルについて大学より短期大学の方が市場の需要をうまく反映した教育を行っているというのは,ここから読み取れたのですが,それはなぜかというところは,何か分析されていますか。
【田頭大学振興課長補佐】  お手元に「短期大学の現状」という資料がございますけれども,基本的なところで大変恐縮ではございますが,短期大学の沿革・関連規定というのがございます。その中で,短期大学の定義というところ,短期大学に関する規定が6ページにございます。学校教育法の第108条でございますけれども,その中に「職業又は実際生活に必要な能力を育成する」と定義しているところからも,やはりこういったところが重視されるところだと思います。
【小杉委員】  そもそもの役割が違うのだというお話ですが,でも,実際にもこれを反映させるためには,何かPDCAが回っていて,市場の需要を短期大学がうまく取り組む仕組みがあるのではないかというふうなことを期待して御質問させていただいたということなのですが。
【佐藤座長】  ほかにいかがでしょうか。
【小杉委員】  では,そう期待しているというだけでいいです。
【佐藤座長】  私もこの調査研究に直接携わりまして,今,最後に田頭補佐の方からまとめていただきましたように,要するに受入れ側が求めている資質・能力,態度,信条と,短期大学が力を入れているものとの間に,今回の調査を通しては,幸いなことに余り大きな乖離(かいり)が見られなかった。これは正直言って救いに感じました。
 反面,短期大学の方が少し頑張り過ぎてしまって,そこまで期待されていないのに,短期大学士課程の中で頑張って,頑張ってやっているなという,いい意味での乖離(かいり)も見られたりしております。引き続きこの種のことは,単なる数量調査だけではなくて,実際に受け入れてくださっている事業所と個々の短期大学あるいは協会との対話を続けながら,求められているものと育成できる能力の整合性ということに努めること,これが非常に大きな課題だというふうに思っています。4大との比較というのは,ちょっとできかねるところがあります。
【滝川委員】  例えば,専門学校と短期大学の二つ比較してみますと,専門学校の方は非常勤の先生で大丈夫だが,短期大学の方は短期大学設置基準があって専任の教員を置かなければいけないために,学生と教員が非常に長い時間接することができます。したがってこうした時間的な余裕を生かして学生たちのジェネリック・スキルの教育をしているという実態がございます。
 また,私の方から専門の課程の話を随分しているわけなのですけれども,介護にしても栄養にしても,それから保育にしても,全てが実習絡みになっておりまして,その実習先というのはニア・イコール就職先という実態でございます。例えば,学校と実習先との懇談会は恐らくどこの学校も毎年必ずやっているだろうと思いますが,その懇談会の席上,もちろんまず学生たちの就職をお願いし,次に実習のときにはお世話になりますというような話をするわけでございますけれども,実はそこが教育のニーズを聞き取る一番の場所になっております。「調理の技術がもっと欲しいのだよ」とか「コミュニケーション力を上げてほしい」とか,そういったものを学内のカリキュラムに反映するというようなことが現実として行われているのが実態でございます。
【小杉委員】  ありがとうございます。
【中山委員】  公立短大から私一人委員にさせていただいているのですが,公立短大は,年々歳々どんどん4大に移行するというのが続いておりまして,主として看護,それから医療関係,そういったものが4年制になっていって,残っている大学もだんだん少なくなってきているのですが,それなりに大学の中身がかなり個性的な大学が多くて,その共通的な現象として,日本各地から学生が集まってきている。ただ,リージョナルな学生だけということではない。
 例えば私のところは大分にありますが,北は北海道から南は沖縄まで,年によって違いますが,37,8から40ほどの都道府県から学生が集まってきている。それが特に多い理由は,我々の大学が音楽と美術・デザインの芸術系を持つ唯一の公立短大になっているということもあるわけですが,それを証拠に人文系の二つの学科は県外からの学生が1割程度となっています。芸術系は半分弱が県外から来ているというような非常に特殊な立地条件ですが,非常に面白いことに,県外から来た学生の半分ぐらいが大分で就職しているということでありまして,ある意味リージョナルな教育というのが,その県内でいろいろ人脈を学生なりに築いてきたことが,その後の卒業後の生活にも結びついているというはっきりしたエビデンスが一つあります。
 ただ,それは我々の特殊な事情でございまして,今,公立短大協会では,かなり大規模な就職先のアンケート,学生,先生,設置者,そういったところからの詳細なデータを集めるアンケートを今採っておりまして,来月の下旬ぐらいにそのまとめをするという段取りになっております。これに間に合うかどうかは別にして,それによってかなり公立の短大の位置付けというのが再確認できるのではなかろうかと考えております。
 前回も申し上げましたように,私どもの大学は,小さいとはいえ,非常にユニークでありまして,学生もモチベーションが非常に高いということもあり,かつては4大化を考えたこともあるのですが,いろんな事情でそれが流れてしまって,もう今は4大にするつもりは私にはありません。私にはありませんが,短大という業態でどこまでいい学生を採ることができるかというのは,卒業後のフォローをいかにするかということによって明らかになるだろうと思います。何をやったかというよりは,先ほど御説明がありましたように,その就職先の方々が卒業生をどう思ってくれているのかということが非常に重要だと思いますので,我々も今,200社に及ぶ地場企業を中心とする就職先にアンケートを出して,実際に聞き取り調査にもお伺いするということをやっております。願わくば,この会の最後ぐらいには,それがお出しできればと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございました。清水委員。
【清水委員】  この調査は大変示唆的なのですが,ジェネリック・スキルの育成が教養科目より専門科目のウエートが高いとか,あるいは専門教育と教養教育が連動して育成が行われているというのは,もう一つ別の視点が必要だと思います。というのは,各種高等教育の研究調査で,大野先生も最初に言われましたが,課外活動とか,学校外の活動というのがかなりこうした能力育成には影響を与えていると思います。むしろ教養教育と課外活動とが結びついてという側面もあると思いますので,こういう結論を言い切るのではなくて,これは一つの分析として位置付けた方がよいと思います。課外活動という授業以外の能力育成という問題は今後課題になってくるのではないかと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございました。重要な御指摘だったと思います。
 それでは,この話題は以上にいたしまして,重ねて事務局に感謝いたします。実はこの調査研究は,2か年の委託を受けてやった膨大なものでございまして,四つ柱がございまして,そのうちの第1の分野横断・共通的事項に絞って今日は話題にしていただきました。追って第2の柱である専門職業教育についても取り上げる機会があればいいなと思っております。
 では,次の話題に移りますが,実は今の調査研究の第3の視点が海外に学ぶということでございました。それと関係して,次は清水委員から海外における短期高等教育の位置付けについて御説明を頂きます。特に清水委員がフィールドとされておりますアメリカにおける短期高等教育がどのような位置付けにあり,何が期待されているか,これを清水委員の説明の後,議論をしたいと思っております。
 それでは,清水委員,どうぞよろしくお願いします。
【清水委員】  それでは,お手元の資料に沿って説明させていただきます。
 私自身,アメリカと日本では改革に20年の差があると考えております。それは大衆化への突入が20年の違いがあるという,そこから来ているのではないかと私は思っています。それゆえ,日本の高等教育を見るときには,20年前のアメリカを見れば,同じような足跡が見られると思います。今日の大野委員や滝川委員,安部委員の説明を聞いて,かなり共通している部分があります。それは1980年代のアメリカの動きでございます。つまり,質保証というのがまさに問われた時代で,その意味では,30年ぐらい質保証の議論は遅れているのかなとも思っております。既に高等教育のシステムはほとんど日本に導入されておりますが,そのシステムがうまく日本に定着するためには,やはり欧米での課題や問題点をしっかり押さえておかないといけないという問題意識で資料を作ってきました。
 既に100年以上アメリカの短期大学は歴史を持っているわけですが,なぜ今日のようなコミュニティ・カレッジがアメリカでは発展したか,その解答の一つの答えは,やはり格差社会,教育格差が大きいというバックグラウンドがあると思います。そのあたりは,日本とは少し違うと思いますので,そのあたりは押さえておく必要があると思います。
 100年の歴史の中で,ジュニア・カレッジとしてのトランスファー機能から始まって,1930年代に職業教育機能が付加され,また,戦後コミュニティ・サービス,生涯学習機能が付加されて,1970年代から80年代にかけて非常に多目的機能という特徴を持っていたわけです。
 御存じのように1980年代には「危機に立つ国家」が発表されましたけれども,アメリカの教育改革のスローガンは「質向上」でございました。そのときにコミュニティ・カレッジも多目的機能からトランスファー機能への移行を目指したわけでございます。この移行というのは少なくとも三つの意味がありまして,一つ目は,コミュニティからカレッジへ。つまり,それまでの生涯学習センターとしての文化的,レクリエーション的なサービス機能を軽減ないしは廃止して,伝統的な高等教育機関としての位置付けを重視するという意味でのカレッジです。
 二つ目は,入り口から出口へということです。それまでは,インプットよりアウトプットの教育効果を高めるということに重きが置かれました。
 三つ目は,平等主義から能力主義ということで,教育の機会均等を旗印に徹底的に平等主義がしかれていて,基礎学力の向上を目指していたのですが,それが思うようにいかないということで,単位の取得よりも学生の能力に定義されるべきだという考え方がこの時期に打ち出されました。
 次の3ページに行きますが,結果的にはこの80年代の質向上策というのは,それほど効果が生まれなかったということで,90年代に入りますと,また違った力学が登場してきます。これまでのトランスファー機能に加えて,専門準備教育機能ということでかなり連邦がてこ入れをするようになりました。
 90年には,カール・パーキンス法と呼ばれるテック・プレップ法,下にその概要が書いてありますが,これが成立したり,あるいは94年にはスクール・トゥ・ワーク法という全教育段階に関わる学習と職業との結合を目指した法律もできました。これは後のノー・チャイルド・レフト・ビハインドに引き継がれております。1998年にはテック・プレップ法の改正で,従来はハイスクールとコミュニティ・カレッジを対象にしていたものが4年制大学まで拡大された,そういう経緯がございます。
 大ざっぱに言いますと,80年代と90年代にこういう大きな変化が見られたわけですが,それを簡単にまとめると4ページになるわけです。そこに,対象の学生,機能,カリキュラム,接続関係,特色,このように類型化されましたけれども,その特徴は,言ってみれば教育接続から教育継続だということです。アメリカは御存じのように生涯学習という言葉は余り使いません。継続教育という言葉を使います。その教育継続化というのが90年代から見られました。
 なぜ接続がうまくいかなかったかというのは,その次の5ページですが,アメリカの場合には,コミュニティ・カレッジと大学というのは文化が違うということがあります。そこに文化の属性とか機関の違い,このような特徴で大学との差別化があるわけですが,そうした文化の相違というものがなかなか接続というものに結びついていかない面があったわけです。
 しかし,80年代に試みた接続運動というのは,具体的には6ページにまとめてございます。従来の入試という点での接続ではなくて線への接続だということで,以下のように四つほど挙げてございます。
 一つは入学準備教育の強化。これは出前授業とか,あるいは入学要件を厳しくしたり,大学レベルの授業を開放したりすることが含まれております。
 二つ目の教育プログラムの一貫性というのは,ハイスクールとカレッジの「2+2」プランとか,あるいは,5年制のミドル・カレッジといった構想も生まれました。
 三つ目のテスティングの重視というのは,プレイスメントテストを実施したりして,能力を測ることを重視したということです。
 四つ目のトランスファー機能の強化については,大学,短大間の協約や協定を結んだり,コース・ナンバリングシステムといったものが強化されました。
 以上が教育接続の面でのとられた施策をまとめたものですが,7ページでは,教育継続という90年代の保証システムで,トランスファー機能は更に拡大し,もう一つの専門準備教育機能というものも強化されていきます。
 そこに挙げてございますが,コミュニティ・カレッジの中に4年制課程を設置したり,あるいは大学院のジョイントプログラムを設けたり,また継続教育単位,Continuing Education Unit,これは言ってみれば生涯学習単位みたいなもので,各種免許とか資格の更新のための使われる単位であります。多くのコミュニティ・カレッジでは,CEUというのは,大体8時間の講習で1単位として作られており,これは社会的にも認知された単位でございます。これが言ってみれば,継続教育とか,あるいは職業教育の機能の拡充に貢献をしているわけです。
 右の方に,我が国のシステムと比較した場合が記載されています。我が国でも編入学とか,いろんな形でほぼ似たようなシステムはもう既に導入されていますが,唯一,CEU(継続教育単位)という単位はまだ日本では導入されておりません。
 その次に,1980年代,90年代の改革の中で,大きな州ではニューヨーク州が最初に60年代から始めて,その後,カリフォルニア州,そしてミネソタ州が1990年代に大実験をいたしました。「新しい高等教育システム」というのは,州内にある七つの州立大学と27の短大,短大はコミュニティ・カレッジとテクニカル・カレッジが入っているのですが,その36校を一つの法人にしました。これがMnSCUと呼ばれる14万人ぐらいの学生を擁するもので,理事会は15名で構成されていて,そのうち3名は学生の代表,つまり州立大学の代表,コミュニティ・カレッジの代表,テクニカル・カレッジの代表,そういう特色を持った大学群が誕生しました。さらに,ミネソタ大学も含めて,全ての州立大学がセメスター制に州内は統一されました。
 注目されるのは,そこにありますミネソタ・トランスファー・プログラムで,これは州の策定したプログラムでございます。これはトランスファーのための準学士課程の目標を定めて,その目標を達成するための能力というものを10ぐらい抽出してあります。コミュニケーション能力とか,批判的思考能力とか,先ほどの調査報告が田頭さんからございましたけれども,そこに掲げてあるようなジェネリック・スキルのような能力が10州で定められました。各コミュニティ・カレッジはそこから独自の能力というものをカリキュラムとともに設定して,およそ60単位ぐらいのうちの6割,40単位ぐらいがトランスファープログラムとして,各コミュニティ・カレッジが設定するといった構造になっております。
 学生は各コミュニティ・カレッジで州の規定した目標とか能力を基にして作られた個々のカレッジのトランスファープログラムを6割程度履修して,残りは各学生が職業的な科目を選択履修するというシステムを作ったわけです。
 その結果,7割の学生がトランスファーとしてカレッジの方に進学しています。アメリカではやや特異なケースかもしれませんが,平均20%ぐらいがアメリカではトランスファーしていますが,ミネソタ州は,マイノリティーの人口も少ないということも背景にはあり,生徒・学生の進学行動というのは,ハイスクールを出た後,安くて質の高いトランスファー教育をするコミュニティ・カレッジに入って,その後,4年制のシニア・カレッジの方に編入する,そうした進学構造がミネソタでは出来上がりました。これが90年代です。
 それとともに,9ページにありますように,トランスファー学位教育のほかに,プロフェッショナル資格教育とか,各種職業準備のためのプログラムが整備されました。
 時間の関係で急ぎますと,10ページは,ミネソタ州のMnSCUという36の大学群が掲げた六つの教育戦略というものを掲げてあります。
 特に6番目の学校教育とのパートナーシップ,これはもちろんハイスクールとコミュニティ・カレッジの連携を図るということと同時に,コミュニティ・カレッジと4年制大学とのジョイントプログラムです。例えば,教員免許状をコミュニティ・カレッジと4年制大学の3年,4年,シニア・カレッジと連携して取得させるプログラムをこのMnSCUでは開発して実践しております。
 以上,アメリカの80年代,90年代の特徴を簡潔にまとめましたが,学ぶとして,我が国の未来戦略について最後に付け加えさせていただきます。
 歴史的には,4大とは違って若さを持っている。この若さを生かした一条校及び短期大学士学位課程としての独占的・自立的地位を確保するということが最も大事なことだと思います。
 そのためには,生涯にわたる高等教育のファーストステージであるということをもっと強調すべきではないか。短期大学を出ると,就職して働く,あるいは地域で生活する,あるいは進学する,さらには学び直しで再び学ぶ,こういう機能を短期大学は持っているわけで,この間の各種政策によって短期大学はファーストステージとしての地位を獲得したわけですから,ここをもっと強調すべきであるというのが1点。
 先ほどのミネソタのトランスファープログラムを考えれば,我が国の場合ももちろん編入機能はあるのですが,これは個々の努力ではなかなか発展しません。ですから,日本私立短期大学協会などの団体が音頭を取って,ミネソタ州が実践したように州主導型で目標とか能力というものを策定して,各短大がそれをもとに編入のプログラムを作っていくというようなことも検討されていいのではないかと考えています。
 最後に,短期大学は,大野先生以下,御発表のあったように4大以上に頑張っているわけです。もう一つ短大が独自にやっているのが,相互評価です。お互いに短大同士で評価する,これが余り社会には知られていません。認証評価はかなり広まってきましたけれども,このお互いに評価して,そこで質を高めていく,これは短大ならではのシステムであるし,ここがきちんと充実,向上していけば,短大の質というのは保証されるし,関心ももっと高まっていくのではないかと思います。そこを強調しておきます。
 御静聴ありがとうございました。
【佐藤座長】  ありがとうございました。大変示唆に富んだ御報告であったと思います。
 残り時間はわずかですけれども,ただいまの清水委員の御説明に対しまして質問や御意見はいかがでしょうか。
 一つだけ私から恐縮ですけれども,今のミネソタの例でトランスファー学位,つまり,通常の準学位の課程のほかに,プロフェッショナル資格教育を非常に重視していると。もう少しこの関係性であるとか,大学への接続での差異だとかいうようなこともちょっとお話しいただければ有り難いと思います。
【清水委員】  このトランスファーの学位というのはA.A.学位で,そのほかにコミュニティ・カレッジではA.S.とかA.A.S.という学位を授与しているのですが,A.S.とかA.A.S.,サイエンスのSですが,こちらの方にはキャリア教育のプログラムとして歯科衛生士とか栄養士とか法務監察官とか看護婦,機械技術士,こういう養成プログラムを提供しております。
 そのほか,コミュニティ・カレッジでは,特別なビジネスネットワークを展開しておりまして,インターンシップとか職業紹介とか協働教育プログラムとかサービス学習,そのほか接客管理とか販売・マーケティング,製造,ヘルスケア,こういう多様なプログラムも用意しています。専門プログラムとしては,これはあるカレッジですが,健康科学とか,製造業者の指導の下で真空テクノロジーという各種の専門プログラムを設けたり,健康サービス,教育サービスのプログラムなどがトランスファー学位とは別にまたあるわけです。一つのコミュニティ・カレッジの中に多種多様なプログラムが用意されているのです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。北米といっても,アメリカのほかにカナダも含めて,今幾つかサンプルを挙げられましたけれども,本当に地域の産業であるとか地域の人材ニーズに応じたプロフェッショナル資格教育が非常にユニークに行われているということだったと思います。
 もう一つお伺いしたいのですが,アメリカにそもそも標準修業年限というのはないというわけですが,雑駁(ざっぱく)に言えば,通常はコミュニティ・カレッジ,特に学位課程は2か年を標準としていると。
【清水委員】  学位課程は2か年ですね。
【佐藤座長】  プロフェッショナルの方については,いわゆるディプロマとかサーティフィケートに結び付くのが半年だったり,1年だったり,多様ということですか。
【清水委員】  それは様々ですね。短期もあるし,長期もあります。
【佐藤座長】  これを認定する機関というのはあるのですか。
【清水委員】  サーティフィケートは短大が出します。
【佐藤座長】  そのビハインド・スクリーンということでは,職能団体であるとか企業団体との連携によってこの程度の密度のものがふさわしいとかいうような協議が行われたりするわけですか。
【清水委員】  その通りです。
【佐藤座長】  私ばかり質問しまして済みません。ほかにいかがでしょうか。
【清水委員】  もう一つ付け加えますと,日本の短期大学の教育現場に結びついた研究というのが,今日お話がありました。あるコミュニティ・カレッジでは,年齢にも業績にも関係なく全員ティーチング・プロフェッサーというところもありました。出された名刺は,若い人でもみんな「教育教授」という身分でした。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 本当に残り時間はあとわずかでございますけれども,今日,いろいろな意見発表を頂戴いたしまして,その後の質疑もございました。
 最後に,全体を通して,あるいは次回の会議に向けて議論すべき点など,もし御意見がありましたら,お出しいただければ幸いだと思いますが,いかがでしょうか。
【小杉委員】  議論というよりは,資料をできれば用意していただきたいと思ったのが,地域との関係についてですけれども,公立短大ではかなり多様な地域から学生が来ているという説明されましたが,それがもう少し全体的な説明でできるかどうか。国公私立の別とか,都道府県の別とか,あるいは教育分野の別とかで,学生の流れ,地元から来て地元に定着するような流れがどのくらいあるか,そのあたりがもしデータで分かるようでしたら,是非頂きたいと思うのですが,お願いします。
【田頭大学振興課長補佐】  承知しました。「短期大学の現状」の資料の中にも少し入れさせていただきましたけれども,更に小杉先生の御質問にもかなうような形で厚みを加えまして,次回御説明させていただければと思います。
【佐藤座長】  事務方としては,学校基本調査をベースにしながらも,日本私立短期大学協会の独自調査も毎年ありますので,それも取り入れていただくと,なお子細が分かってくると思います。
【田頭大学振興課長補佐】  承知いたしました。
【佐藤座長】  ほかにはいかがでしょうか。
 それでは,今日の議題は以上でございます。最後に今後の日程につきまして,事務局からお話しいただければと思います。
【田頭大学振興課長補佐】  次回の第3回の短期大学ワーキンググループでございますけれども,あらかじめ先生方の御都合等も確認させていただいたところでございますけれども,2月25日火曜日17時からということで開催させていただきたいと思います。
 場所の詳細につきましては,追って御連絡させていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
【佐藤座長】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,そういう事情ですので,更にその先の方の日程も早めに作れるように,ひとつ事務局に動いていただければ有り難いと思います。
【田頭大学振興課長補佐】  承知いたしました。
【佐藤座長】  それでは,今日の審議は以上で終了いたします。
 ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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