(資料1)ワーキング・グループにおけるこれまでの主な意見

1.大学のグローバル化の推進
(1)大学の積極的な国際展開の促進
(外国大学とのジョイント・ディグリーの導入)
   1)制度導入の意義
○ジョイント・ディグリーの意義は、一つの大学では提供できない高度なプログラムを外国大学の教育資源を活用・補完することにより提供可能とする点にある。
○国際的な最高水準の教育を実現のための有力手段の一つが、外国の大学との共同教育プログラムの構築。その場合、単に外国大学のシステムの輸入ではなく、日本の大学の持つ優れた教育資源と外国の大学の最先端の教育資源をいかに組み合わせて新しいもの作れるかが重要。
○外国大学との連携促進にあたっては、これまでの協力関係のベースに加えて、連携の深化が互いの教育研究の向上につながるようなメリットを相互に見いだすことができるかが鍵。
   2)制度の在り方
○日本でのジョイント・ディグリー制度は、個別の大学ごとに制度設計が必要なものではなく、世界的にも通用するようなモデルを目指すべき。
○海外も手探りの対応という状況の中、制度の導入にあたっては、例外的なものではなく汎用的な制度として、日本の法体系上にきちんと位置付けることが望ましい。
○制度の検討にあたっては、一定の柔軟性を認めつつ、大学にとって自由度の高いものが望ましい。
○学位の国際通用性の観点から、相手国においても学位授与要件を満たしていることは必要。
   3)制度導入にあたって
○制度導入に際して、大学にとってよりどころとなる新たなガイドラインの作成、あるいは過去のガイドラインの見直しが必要。
○ジョイント・ディグリー・プログラムの形成にあたっては、参画する大学が高い共同性を保つことの重要性を強調するべき。
○ジョイント・ディグリーを早く進めるためには,アジアでの枠組みなど地域的な取組から成功例を拡大していくというようなアプローチも必要。

(海外拠点を活用した積極的な国際展開)
○日本の大学が海外における教育活動を、質の保証を担保しつつ、より簡便な方法で行える仕組みを整備することが必要。海外キャンパス等を活用した教育プログラムの実施により、日本の大学の学位を授与し、ASEAN諸国をはじめ各国の中枢を担う優秀な人材を育成していくことも日本のプレゼンス向上の観点から必要。
○外国の教育研究拠点における日本人学生への教育の提供について、例えば一定の単位数の取得などの条件とするなどにより柔軟な運用を可能とすべき。その際、質保証の在り方や、現地における法人格の取得など組織の位置づけの明確化などが課題。
○日本の大学の国際展開の在り方として、大規模公開オンライン講座(MOOCs)の制度上の位置付け、質保証の在り方等を議論することも必要。

(大学の教育環境の国際化の推進)
○800以上ある日本の大学の全てをグローバル化対応させる必要があるのではなく、大学の機能分化、役割分担を行った上でそれぞれの機能、役割に沿ったグローバル化を推進し、熱心な大学に重点投資していくことが必要。また、学問分野によってもグローバル化対応の在り方が異なることを認識するべき。
○特定のトップレベル・大規模大学のみでなく、自助努力している大学に対する支援の在り方も検討すべき。
○産学官連携による大学の国際化、グローバル人材育成を進める方策の議論が必要。
○今求められているのはプロジェクトや拠点作りのような個別の施策ではなく、インフラごと変えるような取組。
○世界のトップレベルの大学と競っていくためには、ジョイント・ディグリー制度の導入、ナンバリングの普及による単位互換の促進、学事暦のさらなる柔軟化などの国際標準化の推進が重要。
○事務組織及び職員の国際化も課題であり、各々の部署が国籍に関係なく留学生に対応できるような環境を創出する必要がある。

(大学の教育内容の国際化の在り方)
○学生が自分で考え自分で決定する力を身につけさせるためには、学士課程での主体的な学びが不可欠。
○グローバル人材の育成には、異分野の人が集まって一緒に問題を解決するような、分野横断的な教育が必要。
○国際的な問題を解決したいという志を持たせるためには、サマープログラム等を通じて同じ志を有する海外の学生と一緒に活動することが重要。

(外国大学との質の保証を伴った国際的な教育連携の促進)
○大学の国際化を進めるにあたり、国の大きな役割の一つは質保証。
○外国大学との教育連携にあたっては、双方の大学が教育カリキュラムを責任を持って構築し、それがそれぞれの国の認証機関でしっかり認証してもらえる水準のものを目指すべき。


2.留学生の双方向交流の促進
(1)日本人の海外留学促進のための具体的方策
(カリキュラム上実習や実験が多く留学機会の確保に工夫を要する分野の留学促進)
○研究や実験で多忙な理工系学生を海外に送り出せるシステムを大学の中に作ることが必要。そのため、学生のみならず教職員の意識改革も重要。
○工学分野において世界に貢献できる技術者育成するには、専門分野に加え、グローバルな人間力、コミュニティ力、問題解解決能力、異文化理解力が重要であり、具体的には、Project Based Learning、科学工学英語の強化、海外インターンシップや海外留学等を組み込んだグローバル人材育成のための体系的なカリキュラムモデルの構築が重要。
○工学分野では、専門教育や研究を中心とした海外留学により、授業の一環として休学を要せず実施する等、講義・実験・演習と連動したプログラム設定が適当。
○医療・医学分野についても、グローバル化への対応が課題となっており、世界で活躍する医療人育成のため、専門領域の英語力向上は不可欠。長期的なキャリア構築ができるような支援、そして豊富な海外留学機会を提供することが重要。
○医学分野においては、留学先の確保が課題となっており、医学分野での国際的な大学ネットワークの活用が鍵。
○医学部では、ほとんどの科目が必修となっており、講義期間中に留学することはほとんど不可能であるため、研究留学や実習期間を活用し、大学のカリキュラムの中で、留学を可能とする自由度の高い実習期間の設定が重要。
○外国の教育研究拠点における日本人学生への教育の提供について、例えば一定の単位数の取得などの条件とするなどにより柔軟な運用を可能とすべき。その際、質保証の在り方や、現地における法人格の取得など組織の位置づけの明確化などが課題。【再掲】
○現地の海外拠点等を活用した準備教育や生活支援など、現地における留学生支援が重要。

(2)優秀な外国人留学生の受入れ促進のための具体的方策

(現地選抜や渡日前入学許可の促進など外国人留学生獲得のための仕組みづくり)
○留学生の受入れ促進を検討する視点として、留学生への日本での就職支援や現地での組織的な日本語能力強化の取組があってもよい。
○受入れ促進にあたっては、国のブランディング戦略との連携により、大学の活動との相乗効果が期待できる。
○現地事務所での入試の実施やTOEFL等の外部試験の活用、テレビ会議システム等を用いた面接の実施などの入試制度改革により積極的な留学生の受入れを推進することが必要。
○中国の孔子学院のように、海外における日本語教育をより組織的に展開することにより、日本への留学や就職の促進に繋がる。
○事務組織及び職員の国際化も課題であり、各々の部署が国籍に関係なく留学生に対応できるような環境を創出する必要がある。【再掲】

(日本への留学にメリットを見いだせるようにするための環境整備)
○オールジャパンによる外国人留学生獲得の取組の重要性と、外国人留学生のリクルートにかかる経費の捻出やどの程度積極的な広報活動を展開するかが課題。
○留学生が日本企業や海外の日系企業での就職がしやすくなるよう、キャリア・コーディネーターの雇用などの留学生へのキャリア・サポートの充実が重要。
○生活支援アドバイザーや英語によるカウンセリング体制、学習・研修支援チューターを置き、外国人留学生の生活、メンタル、学習支援を行うことが重要。
○留学生と日本人学生の交流の活発化のため、英語による科目の充実による留学生と日本人学生との共修環境の整備や留学生寮の充実による共住環境の整備が重要。

(その他)
○豪州政府による「新コロンボ計画」など外国政府の留学生派遣プログラムとの連携・強化が重要。

 

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