資料5 大学のグローバル化に関する閣議決定・提言等

【教育再生実行会議 これからの大学教育等の在り方について(第三次提言)】(平成25年5月28日)

1.グローバル化に対応した教育環境づくりを進める。

 社会の多様な場面でグローバル化が進む中、大学は、教育内容と教育環境の国際化を徹底的に進め世界で活躍できるグローバル・リーダーを育成すること、グローバルな視点をもって地域社会の活性化を担う人材を育成することなど、大学の特色・方針や教育研究分野、学生等の多様性を踏まえた効果的な取組を進めることが必要です。また、優れた外国人留学生を積極的に受け入れることによって、大学の国際化を促し、教育・研究力を向上させ、日本の学術・文化を世界に広めることなども求められています。そのため、国は、交流の対象となる地域・分野を重点化したり、日本の文化を世界に発信する取組を併せて強化したりするなど、戦略性をもって支援していくことが重要です。 

〇1 徹底した国際化を断行し、世界に伍(ご)して競う大学の教育環境をつくる。

○ 日本国内において世界水準の教育を享受したり、日本人研究者が海外の優秀な研究者との国際共同研究を質・量ともに充実したりできるよう、国は、海外のトップクラスの大学の教育ユニット(教育プログラム、教員等)の丸ごと誘致による日本の大学との学科・学部・大学院の共同設置や、ジョイント・ディグリー (*1)の提供など現行制度を超えた取組が可能となるような制度面・財政面の環境整備を行う。

*1 複数の大学の共同による学修プログラム修了者に対して授与される共同で単一の学位。

○ 大学は、優秀な外国人教員の増員や教員の流動性の向上のため、年俸制を始め、教員の能力等に応じた新しい給与システムの導入を図る。また、日本人教員の語学力、特に英語による教育力を向上させ、英語による授業比率を上げる。外国人教員の生活環境の整備・支援(英語による医療、子どもの教育、配偶者の就労支援等)、大学事務局の国際化などトータル・サポートのための体制を整備する。

○ 大学等は、外国の大学や現地企業等との連携により海外キャンパスの設置を進め、海外における魅力ある日本の教育プログラムの実施を図る。国は、日本の大学等の積極的な海外展開による国際連携を拡大するため、制度面・財政面の環境整備を行う。また、競争的資金 (*2) について、その特性に応じ、日本人の海外における研究活動の支援を促進できるよう努める。

*2 資源配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金。

○ 国は、大学のグローバル化を大きく進展させてきた現行の「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業(グローバル30事業)」等の経験と知見を踏まえ、外国人教員の積極採用や、海外大学との連携、英語による授業のみで卒業可能な学位課程の拡充など、国際化を断行する大学(「スーパーグローバル大学」(仮称))を重点的に支援する。国際共同研究等の充実を図り、今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせるなど国際的存在感を高める。

○ 国は、各大学がグローバル化に対応した教育方針を策定・公表し、グローバルな視点から地域社会の発展を支える知的推進拠点としての役割を果たしていくための積極的な取組を支援する。 

〇2 意欲と能力のある全ての学生の留学実現に向け、日本人留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やす。

○ 大学は、大学入試や卒業認定におけるTOEFL等の外部検定試験の活用、英語による教育プログラム実施等の取組を進め、学生に実践的英語力を習得させ、海外留学に結び付ける。外部検定試験については、大学や学生の多様性を踏まえて活用するものとする。また、英語力の優秀な学生には更なる語学の習得も重要であり、例えば、東アジアにおけるグローバル化への対応として、実践的中国語等の習得を目指すことなども有用である。

○ 大学は、海外の大学との交換留学や単位互換を進めるとともに、秋入学やクォーター制など国際化に対応した学事暦の柔軟化を図る。国は、大学における海外でのインターンシップの実施促進や単位認定の促進など、学生が海外で活躍するための取組を支援する。

○ 国は、企業や個人等との協力による給付型奨学金等を含めた留学費用の支援のための新たな仕組みを、寄附促進の仕組みも含め創設し、秋入学など学事暦の柔軟化に伴うギャップターム等を活用した留学や海外での体験活動を含め、日本人学生・生徒の短期、長期の海外留学に対する支援を抜本的に強化する。また、地方公共団体においても、留学費用の支援に関し企業や個人からの多様な支援が得られるよう体制を整備する。

○ 産業界及び国は、企業や国家公務員の採用において留学経験を有する学生を積極的に採用するとともに、秋入学等に伴う採用試験、資格試験の実施時期等の見直しを行う。また、採用後も意欲のある者が進んで留学できるよう、留学経験の積極的な評価を行うなど促進に努める。

○ 優秀な外国人留学生の戦略的な受入れ拡大のため、国、大学等は、ワンストップで留学を可能とする海外拠点を整備し、入学手続の共通化・簡略化を含め、渡日せずに入学許可や奨学金の支給決定をする仕組みを構築する。また、英語による授業、日本語教育、宿舎整備等の生活支援や優秀な外国人留学生の日本企業への就職支援を充実・強化する。国は、重点地域・分野の設定など国費留学生制度等を抜本的に見直し支援を強化する。企業は、優秀な外国人留学生の採用を積極的に行う。

(中略)

〇4 日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信する。

○ 日本人としてのアイデンティティを高め、日本文化を世界に発信するという意識をもってグローバル化に対応するため、初等中等教育及び高等教育を通じて、国語教育や我が国の伝統・文化についての理解を深める取組を充実する。国は、海外の大学に戦略的に働きかけるなどして、海外における日本語学習や日本文化理解の積極的な促進を図る。また、日本文化について指導・紹介できる人材の育成や指導プログラムの開発等の取組を推進する。 

〇5 特区制度の活用などによりグローバル化に的確に対応する。

○ 大学等の教育機関、地方公共団体が本提言に示すようなグローバル化に対応した教育環境を整備する上で効果が期待される場合には、国は、必要な規制改革や支援措置を講じる。その際、産業競争力会議において議論されている「国家戦略特区」(仮称)等を活用した取組を国が支援することも考慮する。


【骨太方針】(平成25年6月14日閣議決定)

第2章 強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活の実現

3.教育等を通じた能力・個性を発揮するための基盤強化
(1)教育再生の推進と文化・スポーツの振興
 意欲と能力に富む若者の留学環境の整備や大学の国際化によるグローバル化等に対応する人材力の強化や高度外国人材の活用、ガバナンスの強化による大学改革とその教育研究基盤の確立を通じた教育研究の活性化など、未来への飛躍を実現する人材の養成を行う。

【日本再興戦略-Japan is BACK-】(平成25年6月14日閣議決定)

〇6 大学改革

 大学改革全般に関する「教育再生実行会議」の提言を踏まえつつ、国立大学について、産業競争力強化の観点から、グローバル化による世界トップレベルの教育の実現、産学連携、イノベーション人材育成、若手・外国人研究者の活用拡大等を目指す。このため、大学評価システムの構築、大学や学部の枠を越えた教員ポスト・予算等の資源再配分及び組織再編、大学内の資源配分の可視化、外国人研究者の大量採用、年俸制の本格導入、企業等の外部からの資金を活用した混合給与などの人事給与システムの改革、運営費交付金の戦略的・重点的配分の拡充に直ちに着手する。今後3年間で大胆で先駆的な改革を後押しして改革を加速し、第3期中期目標期間(2016 年度から)開始までに改革を完成させる具体的・包括的な改革プランを早急に取りまとめる。
 また、必要な制度の見直しを行い、世界と競う「スーパーグローバル大学(仮称)」を創設する。今後10 年間で世界大学ランキングトップ100 に我が国の大学が10 校以上入ることを目指す。

○人材・教育システムのグローバル化による世界トップレベル大学群の形成
・人材・教育システムのグローバル化、英語による授業拡大など、積極的に改革を進める大学への支援の重点化に直ちに着手する。

〇7 グローバル化等に対応する人材力の強化

 世界に勝てる真のグローバル人材を育てるため、「教育再生実行会議」の提言を踏まえつつ、国際的な英語試験の活用、意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与、及びグローバル化に対応した教育を牽引する学校群の形成を図ることにより、2020 年までに日本人留学生を6万人(2010 年)から12 万人へ倍増させる。優秀な外国人留学生についても、2012 年の14 万人から2020 年までに30 万人に倍増させること(「留学生30 万人計画」の実現)を目指す。
 また、産業構造の変化に対応した学び直し等の機会を拡大する。

○国家公務員試験や大学入試等へのTOEFL 等の活用
・2015 年度の国家公務員総合職試験から、外部英語試験を導入するとともに、大学入試や卒業認定へのTOEFL 等の活用を促進する。

○意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与
・高校・大学等における留学機会を、将来グローバルに活躍する意欲と能力のある若者全員に与えるため、留学生の経済的負担を軽減するための寄附促進、給付を含む官民が協力した新たな仕組みを創設する。また、支援策と併せて、姉妹校締結や海外の大学と単位互換の取組等、大学の教育環境整備を進めるなど、必要な措置をパッケージとして講ずるための具体策を本年8月末までに検討を進め結論を得た上で、概算要求等に反映させる。
・就職・採用活動開始時期変更【再掲】を行うほか、多様な体験活動の促進に資する秋季入学に向けた環境整備を行う。
・留学機会の確保と併せ、優秀な外国人留学生獲得のための海外の重点地域を選定し、大学等の海外拠点の強化や支援の充実による戦略的な外国人留学生の確保を推進するとともに、留学経験者の把握等ネットワークを強化するなど、優秀な外国人留学生の受入れを促進する。

【教育振興基本計画】(平成25年6月14日閣議決定)

基本施策16 外国語教育,双方向の留学生交流・国際交流,大学等の国際化など,グローバル人材育成に向けた取組の強化

【基本的考え方】
○ グローバル化が加速する中で,日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として,豊かな語学力・コミュニケーション能力,主体性・積極性,異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できるグローバル人材の育成が重要である。
○ このため,「社会を生き抜く力」の確実な養成を前提とし,英語をはじめとする外国語教育の強化,高校生・大学生等の留学生交流・国際交流の推進,大学等の国際化のための取組(秋季入学に向けた環境整備,海外大学との国際的な教育連携等)への支援,国際的な高等教育の質保証(単位の相互認定,適切な成績評価等)の体制や基盤の強化等を実施するとともに,意欲と能力ある全ての日本の若者に,留学機会を実現させる。

【主な取組】
16-2 高校生・大学生等の留学生交流・国際交流の推進
・ 日本人の海外留学者数の大幅な増加(2020年を目途に日本の海外留学生数を倍増(大学等:6万人から12万人,高校:3万人から6万人))を目指し,高校,大学等における留学機会を,将来グローバルに活躍する意欲と能力ある若者全員に与えるため,留学生の経済的負担を軽減するための寄附促進,給付を含む官民が協力した新たな仕組みを創設する。また,地域や高校,大学等における留学情報の収集・提供等の強化を実施するとともに,関係府省と連携し,就職・採用活動開始時期を変更し,留学しやすい環境を整備する。
 さらに,様々な交流機会の提供(外国人留学生と日本人学生・若手社会人との知的交流の促進等)や,子どもたちに国際的な視野を持たせ,留学への機運を醸成する取組の充実等を図る。
・ 「留学生30万人計画」の実現を目指し,大学等の国際化に向けた体制整備,奨学金等の経済的支援,海外拠点を活用した留学フェア等の実施,外国人留学生に対する生活・就職支援等の充実による戦略的な外国人留学生の確保を推進するとともに,留学経験者の把握等ネットワークを強化するなど,優秀な外国人留学生の受入れを促進する。

16-3 高校・大学等の国際化のための取組への支援
・ グローバル社会に対応するため,我が国の大学等の徹底した国際化を広く促進し,国際通用性の向上を図る。特に,国際通用性の高い教育組織・環境を備え,国際競争力を有する拠点大学を形成するため,英語での授業の実施,外国人や海外で学位を取得した若手の積極的採用などに取り組む大学への重点的な支援を行う。また,国際化や多様な体験活動の促進に資する秋季入学について,各大学における検討状況を踏まえた環境整備に係る支援を行う。さらに,海外大学との共同プログラムの構築等の多様な連携を促進する。
・ 大学・短期大学,高等専門学校,専門学校等における職業教育の質を保証し,国際的な通用性を確保するため,学修成果を海外で証明できる仕組みの構築や,海外の学校との共同プログラムの実施等を行う。

16-4 国際的な高等教育の質保証の体制や基盤の強化
・ 日中韓における質の高い大学間交流を拡大させる「キャンパス・アジア」の取組を推進する。また,高等教育の質保証に関する国際機関の取組や国際的な共通枠組み形成に貢献するため,我が国及び諸外国の高等教育制度に関する情報の収集・発信機能,国境を越えた教育連携・学修の評価等を担う体制を整備する。

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