大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第4回) 議事録

1.日時

平成25年11月14日(木曜日)9時30分~11時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学のグローバル化の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)勝悦子委員
(専門委員)市村泰男,井上洋,内田勝一,大野高裕,二宮皓(主査),堀井秀之,吉川裕美子の各委員

文部科学省

文部科学省)布村高等教育局長,小松私学部長,大槻統括審議官,
常磐高等教育局審議官,中岡高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,里見大学振興課長,渡辺学生・留学生課長,
田中高等教育政策室長,有賀国際企画室長,白井大学振興課課長補佐,大川学生・留学生課課長補佐,佐藤国際企画室専門官,
安藤国際企画室専門官 他

5.議事録

(1)大学分科会大学のグローバル化に関するワーキング・グループの議事進行について,二宮主査から以下のとおり説明があった。

 【二宮主査】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第4回大学のグローバル化に関するワーキング・グループを開催いたしたいと思います。委員の皆様におかれましては,御多忙の中,御出席いただき,ありがとうございます。
 まず,本日の議事進行について説明させていただきたいと思います。本日は,前半に今後のワーキング・グループにおける海外におけるサテライトキャンパスの制度的な在り方を審議する,その参考のために,海外における拠点を活用した教育展開の実際取組事例を御紹介いただくということで,これまで現地提携校との連携を通じて,海外留学に関する費用や言語の壁をなくしてグローバル人材の裾野を拡大するという観点から,工学院大学から水野明哲学長先生にお越しいただいております。それから,海外拠点の設置による多様な教育展開の拡大という観点から,九州工業大学から松永守夫学長先生にお越しいただいております。お忙しいところ,お越しいただき,誠にありがとうございました。お2人の先生より続けて御発表いただいた後,その説明に対して質疑応答や意見交換を行っていただきたいと考えております。
 その後,前回のワーキング・グループでも御議論いただきました,我が国における外国の大学とのJD,ジョイント・ディグリーについての我が国にどう導入していけばいいかという,導入案が少しずつまとまりつつありますので,かなりまとまってきたと言った方がいいかも分かりませんが,その案について,前回の議論を踏まえて,事務局から論点などを整理した配付資料を準備していただいていますので,それも続いて説明を聞き,議論をしていただきたいと思っております。
 以上が本日の進行の概要でございます。
 それでは,まず,配付資料の確認を事務局の方からお願いしたいと思います。

(2)事務局より,資料の説明があった。 

【有賀国際企画室長】  お手元の資料の一番上に,本日のワーキング・グループの第4回議事次第がございます。この4番に書いてありますとおり,配付資料を配付してございます。その後ろについていると思いますが,資料1が,工学院大学様からの発表資料でございます。資料2が九州工業大学様からの発表資料でございます。資料3が,ジョイント・ディグリーの我が国への導入(案)でございます。資料4が,OECD「高等教育における学習成果の評価」(AHELO)でございます。資料5が留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の開始についてでございます。参考資料1が第1回Go Global Japan Expo開催案内,参考資料の2が大学のグローバル化に関する諸制度となってございます。不足等ございましたら,事務局の方にお申し付けください。以上でございます。
【二宮主査】  資料の方はよろしゅうございますか。はい。ありがとうございました。
 それでは,早速でございますが,先ほど申し上げましたように,海外と提携校と連携して,現地拠点での教育プログラムをどう提供するかと,そういう新たな海外展開の取組をお進めになっております工学院大学,九州工業大学における,一つは,大学のグローバル人材育成,海外展開の戦略,二つ目は,制度面での課題,要望,そして,今後の方向性についてお話を伺うことになっております。
 最初は,これからの議論にも早速に関係いたします工学院大学の方から御発表いただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。それでは,水野先生,よろしくお願いします。

 (3)日本人学生の海外留学の促進について,工学院大学の水野学長及び九州工業大学の松永学長から以下のとおり説明があり,意見交換が行われた。

 【水野工学院大学学長】(以降,「水野学長」)  おはようございます。御紹介いただきまして,ありがとうございます。工学院大学の学長の水野でございます。このたびは大学のグローバル化ワーキング・グループで私どものプログラムの紹介の機会を頂きまして,大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 限られた時間でございますので,できるだけ手短に要点を話させていただきます。
 ハイブリッド留学プログラムというふうに我々,呼んでおりますけれども,学生にまず海を渡らせると,そこから全てが始まるのだというようなことで考えてプログラムを編成いたしました。今日のお話は,ハイブリッド留学プログラムの開発の背景,そして,プログラムのコンセプトについてお話をして,それから,プログラムを実際にどういうふうに行っているかという概要(学習プログラム)に関すること,それから,留学中の生活などをお話しして,そして,法令上の課題,今回初めてこういうことをやるということで,どういうふうに今後展開するかということで,お願い事も含めてお話をさせていただき,本学でこれから考えている展開を最後にお話させていただく。こんな順序でお話をさせていただきたいと思います。
 開発の背景ですけれども,これまでなぜ日本からの留学生が増えないかということに関しては,様々な御議論があるかと思いますけれども,私ども,大きく二つのことがあると思います。言葉の壁があると,英語で授業を受けようと思うと,TOEFLのレベルがなかなか厳しいというようなことがあり,そして,留学先で授業料が掛かるというような経済的な負担がある。この二つの問題が学生の内向き志向を誘導しているんじゃなかろうかということで,これをどうやって私どもが,これは統計からもそんなことが分かっておりますけれども,解決するかという立場で考えたものがこのハイブリッド留学のことでございます。
 言葉の壁に関しましては,専門科目は本学,工学院大学の教員が現地に渡航して,現地で日本語で授業をして単位修得というようなことを考えます。それから,費用に関しましては,授業料は特に要しない。提携校と工学院大学の間で協定を結んで英語の授業していただきますけれども,あるいは教室を借りるなどということに関して費用は発生しないというようなことで考えております。本人の負担というのは,ホームスティのリビングコストと渡航費というようなことに限定されるということでございます。
 ハイブリッド留学プログラムの特徴は,今回,今年度から始めたんですけれども,イギリスのカンタベリー市を対象に行っておりまして,建築学部の3年生の後期4か月を丸ごとイギリスのカンタベリー市で実施するというようなものでございます。留学中の本学の授業科目については,イギリスで日本語で開講する。そして,英国滞在中は英国人の家庭にホームスティする,あるいは街を歩くというようなことで,英語の環境に浸ることができるという,そういうことで,ハイブリッドという言葉を使っております。グローバルな感性,感覚を養成するということを最優先,そして,語学が後からついてくると,モチベーションも得られるということで,そんなことを考えます。
 留学中のプログラムですけれども,現地で行う科目については,建築学部の3年生ですけれども,ここにございますような8科目を今回セットにして一つの科目という扱いをして,これは現在の法解釈というんでしょうか,運用上はそういうことにした方がいいかなということで,文科省の御担当とも御相談しながらそういうことにしておりますが,17単位を取得するというようなことで考えました。
 カンタベリー市は,御承知のとおり,大変古い街で,大聖堂が大変有名でございますけれども,それ以外に有名な建物もあり,建築の学生にとっては街中が教材であると。しかも,小さな城壁に囲まれたエリアにそれが集中しているということでございますので,教材の宝庫で学べるというようなことで,教室の中だけではなく,街全体を学ぼうということでございます。
 履修のスケジュールですけれども,これは一応第1週から第16週まで書いてあります。全体で4か月余りの期間なんですけれども,本学の教員が行って授業を行うということと,それから,例えば第3週,第4週あたりは,提携校の先生による英語の授業をやっていただくというような,こういう大きく2パターンを交互に入れ子にしているというようなことでございます。第8週にはブレイク・ウイークというのを作っておりまして,学生が自由に好きなところに行っていいよということで,多分パリまでドーバー海峡を鉄道で渡れば3時間とか,それぐらいで行けるんじゃないかと思いますけれども,ヨーロッパの各都市にアクセスが非常にいいということで,自由に回ってもらおうというようなことを考えております。
 1週間のスケジュールというのが,DAY1からDAY5というのが月曜から金曜ということに相当しますけれども,本学の授業科目を実施するという場合には,午前2コマ,午後1コマ,その後,予習・復習するという時間を取っておりまして,飛び飛びに行いますから,それ以外の復習の時間をとると,あるいはフィールドワークをするというようなことで,授業全体をコンプリートなものにしようということでございます。それから,下半分は現地の先生に英語を教えていただくということで,午前2コマを基準にしているということでございます。
 英語力の強化は必須であるというに認識をしておりまして,これは本学の提携校が本学と相談の上,英語のカリキュラムを実施していただくということで,内容的には一般的なコミュニケーションということに加えて,プレゼンテーション,あるいはスピーチを行うと,できることならディベートもできるようにということになればいいんですけれども,ちょっと限られた時間でございますので,その範囲内でできるだけレベルアップを図ってもらいたいと考えております。
 現地に行った学生,非常に伸び伸びと楽しそうに街を歩いたり,教室で勉強したりというようなことをしております。
 生活ということでは,先ほど申し上げましたように,全員ホームスティをしております。ホームスティをすることで,英国の家庭の中の風習やマナーを吸収する,カルチャーを吸収するというようなことで,学生の声を聞きますと,テレビを見られないというようなことがあって,日本ではテレビ漬けになっているのが,向こうではテレビを見ないものだなとか,お父さんが早く帰ってくるんだなとか,そんなことを感じて日本との違いを感じているようでございますけれども,ホストファミリーの選定に関しましては,非常に慎重に基準を設けてやっております。一つの家庭に日本人が2人にならないようにとか,様々な条件を満たす家庭を受け入れファミリーとしてお願いしているというようなことでございます。きっちりとした寝室,勉強スペース,インターネット環境等が整っているというような中で勉強できるようになっております。
 本人が負担する費用ということで言うと,ホームスティ費用,16週分で2,300ポンドぐらいかなと。それから,現地での交通費だとか,昼食代が1,000ポンド程度掛かるかなというようなことでございます。あとは,日本からの往復の航空運賃と旅行保険を御本人が負担していただくというようなことで進めております。
 現地の受入れ体制,特に何かあったときにサポートできるかどうかということが大きなファクターで,本学の職員も4名ぐらいが2週間ずつ滞在して,要所要所でサポートを行っておりますし,それに加えて現地在住の日本人コーディネーターもお願いをしておりまして,24時間体制でけがだとか,病気だとか,トラブルに対して連絡できるという体制をとっております。それから,万が一大きな緊急事態が発生したという場合には,本学の担当者が現地に向かうというようなことも用意しておりまして,不測の事態には全力を尽くして対応するという体制を考えております。
 今,学生たちは,向こうに滞在中なんですけれども,向こうにいる学生の声を聞いたら,いろんなことを言ってくれております。全部読むと大変なんですけれども,例えば上から二つ目の女子学生の声ですけれども,「1日1日がすごく濃くなっています。人任せでなく,自分から動かないと,という気持ちになります。」何というか,生活に対する姿勢が変わってきているなというようなことを感じております。そうして,向こうのファミリーと一緒に過ごす時間,それから,日本から行った仲間と一緒に過ごす時間等いろいろあって,様々な場所で勉強しているというところでございます。
 それから,法令上の課題ということで少し申し上げますけれども,大きく二つぐらいございまして,授業時間,先ほど申し上げましたように,日本から行った先生が集中講義の形式で行うということですけれども,これについては,今年度の設置基準の一部改正によって割合柔軟なものにしていただいておりまして,創意工夫により,より多様な授業時間の設定を可能にするというようなことが出てきておりますので,大変有り難いことで,これを使わせていただいているという認識でございます。
 それから,授業を行う場所,いわゆるサテライトキャンパス等ということについては,現状では社会人学生が国内で履修をするというようなことを想定されているのかなというふうな文言でございまして,このあたりについては,かなり私どものこういうプログラムを実施する上では難しさがあって,今後,教育効果を上げるための工夫を前提に,国外であることなどを条件に一定の単位数,例えば半年分であれば20単位程度がきっちり履修ができるというようなことを柔軟に運用できるということを制度化していただけると,飛躍的に日本からの留学生を増やすことが可能になるのではないかと思っております。
 次のシートのこの今回のプログラムでの対応については,マル1,マル2と2枚ありますが,細かいことなんですが,一応現行の法規でやるとすればということで,やや窮屈な対応をしながら,何とか今回はしのいでいるというような状況を記述しておりますので,後ほど御覧いただければと思います。
 今後の展開として,今回は建築学部の3年生がイギリスのカンタベリー市で4か月勉強するというプログラムでしたけれども,今後,もう少し広げていこうということで,イギリス以外にもアメリカにも広げたいと。そして,分野も工学系,情報系,化学系等を対象に広げることを考えておりまして,シアトル近辺,これは学生にとってもより興味があるだろうと。マイクロソフト,ボーイングのメッカでございまして,技術の中心の街であるということでございます。
 今,そういうハイブリッド留学ということをしておりますけれども,そういうことでモチベーションを上げて英語力を上げた学生にとっては,最終的には,もう少し長期に現地できっちり単位互換の制度を確立して,単位を取ってくるというようなことをさせようということで,サーティフィケートだとか,アソシエイト・バチェラーだとかを考え,最終的にはダブル・ディグリー,ダブル・バチェラーのようなものが取れることを目指したいなということで考えております。
 この会議が始まる直前にバッジを頂きまして,私の胸に早速付けさせていただきましたけれども,文科省では「トビタテ!留学JAPAN」というのを先月末に発表されまして,留学生12万人達成へというような目標をお出しになっております。我々,まず語学の修得からという,これまでの考え方を一旦脱却して,まず海を渡らせるというようなことで,グローバル化に向けて展開しようというような考え方をしているところでございます。そのことが留学そのものを,その裾野を広げて促進させるということにつながってくるものですし,語学は必ず後からついてくるというようなことで,我々大学としての語学教育のフォローも必要かと思いますけれども,こんな視点での展開を考えております。
 実際のところ,今回実施しました初年度ですけれども,21名の学生が参加いたしました。建築学部の3年生が280名おりますから,そのうちの21名というのは,参加率にすると7.5%ということになります。これからもう少しいろんな学科で広げていくということで,広がっていくことと思いますけれども,今後もこういう新しい試みをチャレンジし続けていきたいと思いますので,どうぞ,御支援,御理解をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【二宮主査】  どうも水野学長,ありがとうございました。
 では,続きまして,九州工業大学の松永先生から御発表をお願いしたいと思います。
【松永九州工業大学学長】(以降,「松永学長」)九州工業大学の松永でございます。グローバル化に関するワーキング・グループでこういう発表の機会を頂きまして,ありがとうございます。本日,我々が今,マレーシアに今年作りました,我々,MSSCと呼んでいますけれども,そこでの活動状況と,これから何をしようとしているのかということで,御紹介させていただきたいと思います。
 詳しいことはちょっと読んでいただかないといけないですが,実は,設置した場所は,マレーシアにございますユニバーシティ・プトラ・マレーシアという大学でして,ちょうどクアラルンプールと国際空港の中間地点に所在している大学でございます。この大学との間で,我々,実は20年ぐらいのこれまでの実績がございまして,特に10年ぐらい前からサテライトオフィスを作って,共同研究場所を作ってきたという経緯があります。一方で,先ほどの水野学長先生の話と同じなんですけれども,いかに学生をグローバル対応させていくかということは,この10年ぐらい悩んでいた問題で,実績としては,短期の部分が大部分ですけれども,現在,一昨年の実績で400名ぐらい学生を海外に出しております。大体これが全学生の6,7%で,大部分が実は大学院生を出しているという状況です。
 この率をどんどん増やしていきたいということで,もう一方では,海外にある程度集団で出せる場所を作りたいという希望がありました。それで,いろいろ検討しながら,一方で,文部科学省さんとも相談しながら,最終的にはマレーシアを選定したわけです。それで,今,どんな施設になっているかというのは,ここにありますけど,常駐している教員が教授1名と助教1名,それから,日本人の職員が1名が常駐しております。それから,現地で4名雇っております。それで,基本的な考え方としては,きちっと日本の法制度上合わなきゃいけないということで,後で申し上げますけれども,なかなか法人格の問題があって,プトラ大学も,我々,UPMといいますけど,UPMとの間でトラストアカウントというのを作って財政上問題ない形にするとか,それから,それを運営するためのリエゾンコミッティーというのを設けていまして,これは双方の大学で常時チェックをするという体制をとる。施設としては,当初200平米ぐらいを想定していたんですけれども,ちょっといろいろございまして,160平米ぐらいのスペースを確保して,これは全部UPM側が提供するという形でやっております。それから,本学の方は,このスペースの中の設備関係は全て本学が準備をして管理するというシステムにしております。
 それで,これは当初どんな効果を狙っていたかということなんですけれども,幾つかここに書いてありますけれども,本学の希望というのは当然あるわけでして,これは基本的には学生をいかにグローバル化していくかというのと,それから,研究面でも,若手教員のグローバル化というのを推進したいというのがあります。一方では,我々,非常に慎重に考えたのは,相手校のメリットは何かという。相手校のメリットがないと,いい関係の下でこういう拠点を運営できないということがありますので,特にマレーシアの状況でいいますと,もう既にヨーロッパとか,オーストラリアの大学が進出しております。ただし,この大学はあくまでマレーシアの大学にとって見ればコンペティターであって,我々,そういう立場のものは作りたくないという気持ちが当初からありました。そういう意味では,お互いに成長しながら,教育と研究を進めていきたいというところが観点であると思っています。その上で,基本的には,そういうグローバル化のための拠点をどうするかということで考えていくということがこれからの大きな課題だと思っています。
 ここにマレーシアを選んだ理由がありますけれども,これは省略させていただきます。
 経緯ですが,1年3か月ぐらいの間に相手国とまとめたんですが,そのベースにありますのは,実はジョイント・ディグリーですとか,ダブル・ディグリーの議論をもう数年来やってきていまして,その過程がありましたので,割合短期間で実は設置ができたという経緯があります。もちろん一番大きな問題は,当然日本の大学として機能しますので,日本の法制度上問題ない形にするということと,それから,マレーシアには設置という形で今,行っていますけれども,事実上の形,マレーシア側からいうと,UPMの組織の一部分の中に入れていった。日本側からいいますと,我々がやっています大学院教育の一つの研究科のドクターコースのプログラムの中できちっとした形でダブル・ディグリーを結ぶという形でこの機能を使うということに現在はなっています。もちろん将来的にはこれをマスターコースですとか,学部まで広げていくということのために今,いろいろ実験をしているということでございます。
 それで,観点が変わりますけれども,我々,大学として学生のグローバル化をどんなふうに考えているかということなんですけれども,三つのステップで考えています。とりあえず,まず,学生が異文化を体験する。本当実感するような経験をできるだけ持たせたい。これは,今までも地理的要因でいいますと,韓国とか,中国が近いですから,そういうところに学部の学生を送って,日本とは違うという体験をさせてみたんですけれども,もう少し違う文化というのを考えたいということで,今,これを広げようとしていますけれども,MSSCはその中の一つの大きな拠点になるだろうと思っています。
 2点目は,先ほどの水野先生と同じことなんですけれども,単位をどう取らせていくか。この問題については,我々,UPMと協定を持っていますけれども,実はこれに参加できる条件というのは非常に厳しくって,TOEFLのiBTが81点以上の条件が求められます。実は,そのレベル学生が学部にいるかというと,ほとんどいませんので,現実にはもう大学院を対象にせざるを得なかったということです。これはほかの大学,ヨーロッパの大学もそうですし,送っている学生についてもそういう要件を求められていますので,そういう意味では,このような学生を作るために,まず,ここで刺激を与えるというのが第1ステップ,それから,第2ステップにいく。第3ステップは,大学院生が海外の共同研究,我々は今,共同ラボを作ろうとしていますけれども,そういう共同研究の中で海外で実際に研究をしていくことで,研究面,教育面,両方兼ねてできれば一番いいと。これも一部では実施していますけれども,こういうのを増やしたいという気持ちがあります。MSSCの立場としては,今,我々としては,STEP-1とSTEP-3が主に対象になるだろうと思っています。
 それで,今年4月に設置しまして,どんなことをやったか,主な事業は,実は大部分は9月の終わりから12月にかけてやっております。夏休みを利用するということもありますので,ここに実際にやりました事業五つ書いてあります。人数は,ここに書いてありますけれども,延べ人数ですので,トータル78名の学生,学部の生徒,大学院生合わせてですけれども,送りまして,五つのプログラムを並行して走らせたということです。
 それで,成果なんですけれども,今のところ,我々がまとめていますけれども,幾つかのプログラムに参加した学生がどんな気持ちになっているかということです。それから,教員側からも声がありますので,その両面から見ると,学生が一番大きく変わったなというのは,現地で教員もついていっていますので,教員が一番感じたと思っています。私も実は一緒についていったんですけれども,学生は確かに日本にいるときと,最後の段階での学生の目の輝きで随分違っているので,これは効果があったと思っています。それから,ここに一つありますけれども,やっぱり学生の感覚として,実際に現地に行かないとよく分からなかったというのが一番大きいと思います。これが第1ステップの意見です。現実に今,第3ステップの学生も,もう半年ぐらい居る学生もいるんですけれども,その学生の意見はこの中に入っていません。
 教員側からも,実は,当然今までほとんど欧米中心にやっていましたので,はっきり言って,マレーシアに送ってどうなるんだという批判的な教員もたくさんいたんですけれども,そういう教員の研究室の学生を連れていっていますと,そういう人たちは,実は逆に驚いたという意見が結構あります。そういう意味では,やっぱり経験をさせるということがまず第1段階としては非常に重要な成果だったなと思っています。
 これからどんなことをやっていこうかということですが,ここに七つ書いてございますけれども,それぞれ説明するのは難しいんですが,基本的には,一つは,学生の,最初のSTEP-1の話はこれからも継続していきたい。それから,研究交流も,現在,UPMと本学の間で今,2グループが既に動き出していまして,それ以外にも既に私の方に入っている情報だけでも3人の研究者が交流を始めようという形で動き出しております。それから,もう一つは,マレーシアはそれほど多くないんですけれども,日本の企業が大体400社から800社ぐらいは進出していまして,現実にそこの企業で働いている社会人が1人本学に入学しまして,日本とMSSC両方使いながらドクターコースで学び始めている状況にあります。もう1点は,こういう拠点を作りますと,当然ASEAN諸国というのは,今から拡大の一方と考えていますので,そのハブになるだろうと考えております。最終的にはジョイント・ディグリーまでいきたいという。
 問題点がまだたくさんございまして,一番大きな問題点は,やはり教育の質の保証をどれだけ担保するか。今回,我々,UPMを選びましたのは,マレーシアの研究拠点校五つありますけれども,その一つであって,この3年ぐらいの間に急激に研究レベルがアップしているということが一つあります。そういう教育と研究の質を問題をきちっとやらなきゃいけないということで,その保証をどうするかということが,日本の大学が学位を与えるという意味では,相手校のレベルとか,教育というのはきちっと把握しなければいけない。これは,今回の場合はダブル・ディグリーでも随分議論しましたので,その部分はクリアしているだろうと思っています。
 それから,e-ラーニングとか,テレビ講義でやれるシステムを今,準備しておりまして,実質的に日本からの講義もできる体制に今,作っておりますので,これもどういう形で制度上認めていただけるのかということもやらなきゃいけないと思っています。それから,やはり日本の学生を向こうへ送るというのは,アジアですからコスト面では比較的助かるんですが,逆に,東南アジアの学生を日本に呼んでくるときの経済的負担をどうしていくのかという問題が依然として残っています。本学は,今年78名送りましたと言いましたけれども,向こうから来たのは,今のところ2名です。実は,昨日また3名来ましたけれども,そういう形で少し人数のばらつきがどうしても,経済的な問題で差が出てくるのは仕方がないかなと。
 さらには,将来的な問題は,実はこの法人格の問題がありまして,我々は,今,マレーシアで教育機関としての法人格は持っていません。持とうとしても,現地では私立大学扱いになる。国立大学としての扱いはまずあり得ないということですので,現在UPMとの共同事業という形を採らざるを得なかった。ただし,懸念はありまして,今のところ,相手校から見て本学が価値があるから一生懸命やってくれていますが,その価値をどう維持していくかということが将来的には不安があるわけです。そういうリスクをとるためにはどんな形で設置形態をやらなきゃいけないのかというのはこれからの問題だと考えています。
 これは,後で御覧いただきたいんですけれども,実際やった写真例を載せておりますけれども,これは一つのプログラムだけで,日本人が三十数名ですが半分が日本人,半分がマレー人です。彼らは全員寮に泊めて,マレーシアの学生と日本人の学生が1対1で常に動くという形をとっております。
 あとは,我々としては,教育方法としてどんなものを持ち込んでいるかということなんですが,実は,本学ではPBLを幾つか進めていますけれども,その中でチーム学習がきちっとできる部屋を,小さな教室ですけれども,作って,そこで日本人の学生とマレーシアの学生がチームを組んでディスカッションをしながら教育するというのを,今回のシンポジウムとか,派遣事業の中でも行っております。その効果は結構高く,大きな成果が上がっているんじゃないかなと思っています。
 大体以上でございます。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。それでは,お2人の学長先生からの御発表について,質問,あるいは御意見等ありましたら,お願いしたいと思います。どうぞ。
【大野委員】  ありがとうございました。大変興味深くて,非常に面白い工夫をされているということで感銘を受けました。ありがとうございます。
 工学院大学の水野学長先生にちょっと伺いたいんですが,二つございまして,一つは,学生の選考方法,どんなふうに考えておられるのかということと。
 それから,3年の後期でやっておられるんですが,その時期,どういうふうに考えられているのか。というのは,これはある意味では,まずは行かせましょうというようなことだと思うんですが,それを考えると,もう少し早い学年の時期に設定するということがあろうかと思うんですが,この3年の後期というふうな設定のお考えはどのようなことかなということをお教え願いますか,以上でございます。
【水野学長】  御質問ありがとうございました。
 今の御質問で,一つは,選考方法ということでございますけれども,今回,今年初めて実施するということで,4月にそういうことを発表して説明会を行いました。その時点では1年生も想定した形でやりましたけれども,結果的に,建築が一番人数がまとまって実施しやすかったということで,後期に実施したということでございます。で,3年生の後期というのは,1,2年生で基礎部分を勉強しておりまして,3年生,割合選択科目も増えてきて,やや余裕があるというようなことで,前期中に少し単位を取っておくと,後期少し楽になるという面がありまして,建築にとっては,後期に専門科目を勉強しながら,しかも,教材の豊富なところで,海外で勉強できるというのは割合ぴったりと入ったというようなことでございます。
 それから,そうですね。1年生からやらせようというふうなことは,我々の意図としては割合あって,もう1年生の前期のうちに2か月とか,3か月海外に出すというようなことで,モチベーションを上げてから,戻って日本で教育すれば,それだけ教育効果も上がるだろうというようなことを考えておりまして,先ほどお話をちょっとしました,アメリカへ来年度以降展開という中では,1年生,あるいは2年生の前期あたりを想定したプログラムを考えたいというふうに考えております。それから,場合によっては,1年生で1回行って,また,3年生,ないし4年生でもう一回行けるようなことにできると,1回行って,これは英語の必要性を強く感じて大変だということで帰ってきて,また行くんだという意識があると,非常に教育効果が上がるだろうと考えておりますが,どこまでできるか,順次進めていくということになるかと思います。
 選考方法というお話がございましたが,今回はたまたま21名が手を挙げてくれたというようなことで,実施可能な人数であったので,選考して落とすというようなことはしておりません。ただ,行くためにはそれまでにきっちりと単位を修得しているかどうかという,そういうところでは少しハードルを設けておりまして,余り修得状況がない学生が行くと,具合が悪かろうというようなことはございます。
 今後,今年そういうふうに学生が非常に喜んで行っておりますので,来年度も建築については3年生後期を想定しておりますけれども,来年度になると,もっとたくさん手を挙げてくるというようなことが考えられますけれども,我々,ちょっと実施規模としては,この倍ぐらいの40人ぐらいがリミットかなという感じを持っておりまして,それを大幅に上回るような学生が出てきた場合は,何らかの選考をしなきゃいけないかなと。せっかく行きたいと言っている学生を落とすのは大変忍びないんですけれども,やむを得ないかなというふうなことで,これ,今後の検討になるかと思っております。
 お答えになっていたでしょうか。
【大野委員】  ありがとうございました。
【二宮主査】  ありがとうございました。ほかにございませんか。どうぞ,勝先生。
【勝委員】  両者の御報告,大変ありがとうございました。それぞれ非常に興味深く聞かせていただきました。資料2の方にある九州工業大学様のこのMSSCというものでございますが,両者とも理系の大学ということで,特に理系の学生が特に研究面,それから,教育面で海外の体験を持つというのは,研究者になる場合はもちろんのこと,日本の企業にとってもそういう人材のニーズは非常に高くなっているかということかと思うので非常に重要かと思います。特にマレーシアに海外教育研究拠点を置いているということでございまして,いろいろな課題が書かれているかと思いますが,このスライドの10のところに制度の課題というのがございまして,実は,我々もタイに教育センター,教育拠点を作っているわけですけれども,特に日本側の制度面の課題というもののみならず,やはり現地での課題というのも非常に多くて,法人格を取るというだけではなくて,教育を行う面でのタイの教育省の例えば認可とか,様々な問題,課題があると思うんですが,このスライド10のところの2番目の四角のところに,現地外国人大学院生については,駐在する教員を指導教員とした場合に,日本に行くことなく学位を取得となっているんですが,これは日本側の制度的な面のみならず,恐らく,相手国の制度もかなり大きく関わってくるのではないかと考えられるのですが,ここの面につきまして,少し具体的にどういった課題が特に現地の面であるかを教えていただきたいのが1点と。
 それから,もう1点は,スライドの7に海外インターンシップと,取組実績が1か月ほどあると思うんですけれども,この場合のインターンシップについて,どういった企業で,もし差し支えなければ,どういった形のプログラムになっているのか,あるいは単位の在り方であるとか,その辺についても少し教えていただければと思います。
 以上2点でございます。
【松永学長】  ありがとうございます。まず,1点目の海外の大学院生が学位を取れるかと。実は,これは国によって制度が,随分違いますので,マレーシアだけ申し上げます。相手国はそれで問題ないんですが,日本の方で学位を出そうすると,日本に来てもらう必要があるという問題があります。将来的には日本に行くことなく学位が取れるという制度ができると,相手国にとっては非常にメリットありますし,本学についても外国人の学生を育てられるというメリットがあるんですが,現状ではこれはできないということになっております。ただ,ドクターコースの場合ですと,ダブル・ディグリーで本学が学生に学位を与えるとしますと,少なくとも1年ぐらいは日本に来ていただかなきゃいけない。その面での負担というのがあって,今のところ5名の学生を想定していますけれども,実際どれだけの学生が来てくれるかということについては,今後の大きな課題になります。
 それから,2点目のインターンシップにつきましては,これは工学系の大学は海外でのインターンシップを進めておられる大学が幾つかあります。一番たくさん学生を出されているのは,長岡技術科学大学が30名か,40名ぐらいの学生を海外企業でインターンシップさせておられます。我々も,長岡の情報をとりながら,せっかくマレーシアに拠点ができましたので,今,マレーシアですとか,タイですとか,シンガポールですとか,そういうところでのインターンシップの企業の相手先を探しております。それで,ここに書きましたのは今年の例ですが,昨年度は中国とか,シンガポールでインターンシップをやったんですが,今年度もマレーシアでは2名ですけれども,これは現地に駐在している教員がインターンシップを受け入れる企業と交渉して,今年度は2名だけ辛うじて間に合ったと。これは日系の自動車メーカーです。
 それ以外にも,実は全く別のプログラムで,タイで4名か,5名の学生が,これも日系の企業でインターンシップをしています。ただ,日系企業といえども,現地ですから,当然英語で働くということになりますので,我々としては比較的安心して送れる企業ということで,最初はそういう企業を中心にして海外企業でのインターンシップを行いたいと考えております。
【二宮主査】  ありがとうございました。それでは,ちょっと私の方から質問させていただきたいんですけど,松永先生の方なんですが,九工大ですが,スライドの9枚目にジョイント・ディグリープログラムについては,これから御一緒に御議論に参加していただきますけれども,近隣諸国のハブ化を目指すという,少し野心的な構想のようですけれども,このイメージをもう少し制度論的にもちょっと御紹介いただけたらと思うんですが。
【松永学長】  我々,マレーシアを選んだ理由の大きな一つは,イスラム圏の国家の留学生を増やしたいというのがあります。それは,現在もそうなんですけど,今から日本の企業が進出される相手先がどんどん西に進んでいきますので,その大部分が実はイスラム圏になってくる。マレーシアはイスラム圏の中の大学の中核の位置にあります。そういう意味で,ここに置いておくと,まず,イスラム圏の留学生を確保しやすいというのもありますし,大学として,他の国との中で今回と同じような拠点を作っていけるチャンスが増えるだろうということで,我々,ハブ化というふうに呼んでいます。もちろんこれはASEANの中でいいますと,タイのような国もありますし,ベトナムもありますので,そういう国に対しても,距離感からいくと,クアラルンプールからすぐどの国にも行けます。現在も我々のASEANの提携校との間では,どういう形で,今,進めている協定を更に拡大しようかと。教員が常駐していますので,ハブになるだろうということを考えているということです。
【二宮主査】  すいません。重ねて申し訳ないんですが,その場合に,マレーシアに来る学生,あるいはマレーシアの国内の学生の所属先というのはどこの大学の所属になるんでしょうか,提携校と九工大という場合。
【松永学長】  その場合は,ASEANのほかの国の場合は,その元の国の学生ということになります。ただ,我々提携しているUPMにも実は留学生の数が非常に多くて,その学生は当然UPMの学生だと,どの国であろうが,UPMの学生だということになります。
【二宮主査】  学位を授与するわけではないけれども,教育プログラムは提供できるという。
【松永学長】  提供できます。
【二宮主査】  そういう理解でよろしいですか。
【松永学長】  特に理系の場合は,育てる中核が大学院生になりますので,学部は,例えば東南アジアの大学を卒業した学生であったとしても,大学院生として本学が受け入れるということは可能ですし,逆に本学の学生をダブル・ディグリーのプログラムができれば,そこに本学の学生を派遣することは可能だということです。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 すいません。私が時間取って申し訳ありません。もう少し時間を持てますので,御質問。どうぞ,井上さん。
【井上委員】  経団連の井上でございます。
 工学院大学の水野学長にお伺いしたいのですが,ホームスティをして現地で英語の授業なり,工学院大学の授業をしていくということで,それなりに充実したプログラムですし,それなりにコストも掛かると思いますが,これは完全に自己負担でやられているのか,奨学金的なものを一部は用意されているのかということをお聞きしたいです。
 それから,もう一つは,確かにきっかけにするということはとても重要だと思うのですが,その後のプログラムとして,この現地で提携校があるということで,そこと本格的な交換留学のプログラムをお持ちなのかお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
【水野学長】  水野でございます。
 まず,費用負担のことですけれども,個人の費用負担については,先ほど申しました滞在費と渡航費を持つということですけれども,今のところ,特に大学として,あるいは外からのサポートというのは得られておりません。自費負担でございます。それから,大学がやっぱり相手方の大学に教室を借りるなど,いろんなことで費用負担しておりますけれども,これも大学の費用で外からの補助というのは残念ながら現時点では得られておりません。何らかの形でやられる方向になればいいかなと思っております。
 それから,その後の部分については,最後の方で少しだけ申し上げましたけれども,これから展開するアメリカのシアトル近辺の大学を想定していますけれども,将来は1年生でまず行って,それから,英語力を獲得して,3年次以降で単位互換のようなことで向こうで単位を取ってくるというようなことを想定したいと考えておりますが,これはこれからの話ですので,現時点できっちりと決まっているという段階ではございません。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。
【内田委員】  九州工大の6ページのところに,マレーシアの教育研究拠点をどう使うかというときの展開というところで,その三つの段階で動機づけ,単位取得,研究派遣というふうにありまして,その次の7ページが今年やられている具体的な取り組みということなんですが,この具体的な取り組みは,その前のページの6ページのそれぞれがどういうふうに関連をしているか,ちょっと教えていただきたいと思うんですが。
【松永学長】  今年やっている事業で,7ページに既に終わった事業が五つ書いてございますけれども,現在進行中のも一つあります。書いておりますけれども,上の四つにつきましては,これはあくまでもSTEP-1という位置づけで考えています。それから,一番下の国際先端情報科学者養成プログラム,我々,IIFプログラムと言っていますけれども,この長期の学生については,実はSTEP-2を今やっています。ここには記載しておりませんけれども,これとは別に,ダブル・ディグリーの提携を今やっていますのはSTEP-3に相当しますので,これについては,9月から始めようとしている準備段階で現実にはまだ始まってない。だから,そういう意味では,7ページにはそのプログラムについてはまだ記載していません。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。
 時間が予定しているよりも少し過ぎましたので,次の議題に入っていきたいと思うんですが,委員,よろしゅうございますか。
 どうもお2人の学長先生,御発表,御意見,ありがとうございました。大変参考になったかと思います。引き続き,また,ジョイント・ディグリーの議題に入りますので,その場において御参加いただければと思っております。
 では,ジョイント・ディグリーにつきまして,事務局の方から資料に基づいて説明を頂きたいと思いますが,白井さん,よろしくお願いします。
【白井大学振興課課長補佐】  それでは,資料3に基づきまして,ジョイント・ディグリーについて御審議をお願いしたいと存じます。
 前回,前々回とこのジョイント・ディグリーについて,御議論を頂いてまいりました。ジョイント・ディグリーの意義でございますけれども,本来,大学は自ら教育課程全体を準備するという必要がございます。このジョイント・ディグリープログラムを外国の大学と共同で開設することによりまして,日本の大学が自分のところだけではないリソース,外国大学のリソースを活用しながら,授業を展開できるというメリットがございます。また,外国大学との連携ということでございますので,例えばナンバリングでありますとか,GPAでありますとか,あるいは学位の審査の在り方ですとか,そういったものを外国大学と共同して実施することによって,日本の大学の教育内容自体が大きく改善するということも期待されるという大きなメリットもございます。
 また,若干ネガティブな理由もございますけれども,現在行われているダブル・ディグリーの中には,非常にワークロードが少ないにもかかわらず,二つのディグリーが出ているというようなものもございます。前回の説明では,ジョイント・ディグリー型のダブル・ディグリーというふうに呼ばせていただいておりますけれども,そういったものについて,本来ジョイント・ディグリーという形で評価するべきものであると考えてございまして,ジョイント・ディグリーの道を開くことによって,本来一本の学位であるべきダブル・ディグリーについてもジョイント・ディグリーに移行していただくということにしていきたいと考えてございます。
 それでは,資料に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 最初の1ページでございますけれども,こちら,前回からの資料と同じでございますけれども,基本的な考え方としましては,現在,ジョイント・ディグリーについては,国際的に確立したと言えるまでの制度はなく,各国・各大学が手探りで進めているという状況かと思います。その中で,我が国が取り残されないで,積極的に国際的なルール・メーキングの世界に乗り出していってはどうかというのが基本的な考え方でございます。
 その際に,外国大学の学位をどのように各国の質保証の仕組みの中に取り入れていくのかというのが,ジョイント・ディグリーに関して一番大きな課題でございます。大きく二つの考え方があるかと思いますけれども,(ア)の考え方というのが,外国にあって,外国の法制度に基づいて認可を受けた外国大学についても,我が国の制度において取り込んでいくというような考え方,しかしながら,この考え方につきましては,現実に条約等が整備される等の状況の変化があればともかくとして,なかなか現在では,外国大学に対して直接的な質保証を求めていくということは難しいのが現実的ではないかと考えてございます。そうしますと,早期にある程度フィージビリティのある制度設計をしていくということになりますと,この(イ)の考え方,外国大学による学位授与については,国内の学位授与から切り離して,あくまでも我が国の大学,日本の制度に基づいて授与する学位としていってはどうかということをスタート時点として考えていってはどうかということでございます。
 続きまして,資料の2ページにお進みいただきたいと存じます。
 前回の資料では,このジョイント・ディグリー制度のイメージということで,学部段階のイメージをお出ししておりますけれども,最もニーズが高いと思われます大学院の修士レベルの例を基にイメージ図を設計してございます。こちら,日本のA大学大学院の工学研究科,入学定員200名としております。そこに四つの専攻があって,建築,土木,電子工学,機械工学ととりあえず置いてございます。この中で,現在この2本のプログラムを走らせているようなイメージでございますけれども,例えば機械工学専攻を定員50名としております。その中から一部の5名,先ほどの九州工業大学さんの御説明でも5名程度ジョイント・ディグリー予定されているということがございましたけれども,その中で5名程度,この別の国際連携機械工学専攻という別のプログラムに置くこととしております。こちらの国際連携機械工学専攻が,例えばアメリカのB大学と連携していただいて大学間協定を結び,一緒にプログラムも提供することによって連名での学位につなげるというようなことが一般的なイメージかと存じます。また,専攻を超えて行う場合,例えばここでは建築と土木の専攻を超えて国際連携建築・土木専攻というようなものを作ることも想定してございます。この国際連携建築・土木専攻が,ここではフランスのC大学と連携して連名学位を出すというようなことも想定しています。
 以上がイメージでございますけれども,次の3ページでございますが,ジョイント・ディグリー,これから詳細な制度設計に入っていきたいところでございますけれども,その前に,もう一度基本的な考え方というものを整理して,その上で具体的な制度の方を考えてまいりたいと存じます。
 ここでは四つの基本理念を出しておりますけれども,最初の基本理念の1番でございますが,ジョイント・ディグリー,そもそも趣旨,目的はどういったものにあるのかという点でございます。ジョイント・ディグリーとは,外国大学との協議・連携を通じて設計された体系的な教育プログラムを履修して,所定の学位授与要件を満たしたことで得られる学位であるというふうに位置づけたいと思っております。外国大学との連携と言いましても,例えば単位互換でありますとか,短期の留学のように,少し外国の大学で単位を取ったとか,そういったものについてまでディグリーという形で評価すべきものではないのではないかということでございます。
 それから,大学が学位授与に加わるためには,やはり共同でプログラムを設計するとともに,一定の単位修得であるとか,研究指導とか,実際に学生の卒業判定,学位審査において責任持って判断できるということがやはり前提になってくるのではないかということでございます。これは,外国大学から見た授与でございますけれども,少し来てもらったぐらいで学位の審査がどこまでできるのかということでございます。
 先般コンソーシアム型ジョイント・ディグリーということについて少し御議論を頂きました。このコンソーシアム型,様々な形態があるようでございますけれども,本当に名前だけが入っている。例えば10大学とか,20大学が連名で学位記を授与するというようなケースというのも,確かに実際あるようでございますけれども,そういったものについては,ここでは対象にするのは適切ではないのではないかということになってくるかと思います。ただ,1点,コンソーシアム型といいましても,様々な形態があるようでございまして,今,国際的にも評価の高い大学が,大学間で国際的なコンソーシアムというものを作っている状況があるようでございます。そういったものに日本国が,日本の大学が参加できなくなるというものでは全くございませんので,そこにはどんどん参加していただきたいと考えております。
 ただ,そのコンソーシアムの中で,学位授与に加わるかどうかということはまた別の問題でございます。これは国際的にも一定のコンソーシアムは,例えば10大学で組んでいるのですけれども,実際に学位の授与に加わるのは,その中で学生を指導した3大学であるとか,そういったやり方が一般的なようでございますので,ここではその国際的なスタンダードと合わせていきたいと考えてございますし,また,それが学位の考え方からしても一番合理的なのではないかと考えてございます。
 続きまして,基本理念の2番でございますが,ジョイント・ディグリーの国際的な通用性というところでございます。授与される共同学位は,国際的に通用性があるということは当然の前提になってこようかと思いますが,そのためには,外国大学がその国において適切に学位授与権を有しているということが前提になるかと思います。それから,ここは特に前回吉川委員からも御指摘を頂きましたけれども,日本国内の学位授与要件を満たしているということだけでなくて,相手国においても,その学生が母国に持ち帰ったときにも学位授与要件を満たしているということが必要になってくるのではないかということでございます。
 基本理念の3番でございますが,ジョイント・ディグリーを実施する組織の体制でございます。外国大学との共同プログラムでございますので,後ほど述べますけれども,非常に多くのことを外国大学と一緒に決めて,また,日々,様々な運用上の問題も出てこようかと思います。そういった教育プログラムの運営であるとか,あるいは学生の研究指導,学位審査,さらには在籍管理でありますとか,様々なことについて,責任を持って管理,対応できる組織体制,しっかりした責任者を置くことが必要ではないかという考え方でございます。
 それから,基本理念の4番でございます。適切な質保証と活用できる制度設計の両立と書いてございますけれども,学位の国際的な通用性の担保であるとか,学生の教育環境の確保ということから,適切な学位授与が行われるようにチェックをしていく設置認可,認証評価の整備が必要ではないかと考えてございます。ただし,このジョイント・ディグリーというのは,基本的に既存のプログラム,既に大学がお持ちのプログラムをベースとしながら,また,外国大学のリソースも活用して展開する事業でございます。そしてまた,今回,比較的少数の学生を対象として実施するようなプログラムということで設計しておりますので,この設置認可の要件については,そういった事情を踏まえながら,最小限で大学にとって大きな負担にならないような形の認可の仕組みにしていきたいと考えてございます。
 また,こちら大学設置・学校法人審議会の方にも御協力を仰がなければいけないことではございますけれども,ジョイント・ディグリーに関する専門の審査組織を置いていただく,あるいは年間を通した随時の申請ということをお認めいただくということなので,スピーディーな設置認可の手続というものを作っていきたいと思っております。そういう意味では,通常の新しい組織,例えば専攻でありますとか,学科の新設といったものとは全く異なってくるような形の認可のプロセスになってこようかと存じます。
 次に,4ページでございますが,4ページからの資料が,先ほどの基本理念をそれぞれ少し詳細に書き下したものでございます。最初の資料はプログラムの共同性について書いたものでございます。教育プログラム全体が,構成大学において十分な協議を踏まえて作られているものであるということは必要かと思います。単位の修得に関する要件でございますけれども,学位を授与するためには,これまでの考え方に基づきまして,日本の学位ということですので,日本の大学で一定以上の単位,例えば学部62単位以上,あるいは大学院10単位以上というものを修得することが必要としてはどうかと。また,外国大学もこの学位の授与に加わるためには,少し単位を出したということではなくて,やはり一定数以上の単位,例えば学部だったら31単位,大学院だったら10単位ということにしてはどうかということでございます。
 ただし,また,次の資料で御説明いたしますけれども,このジョイント・ディグリーという共同性の高い教育課程の設計でございますので,例えば共同実施科目というような,授業科目自体が両大学が融合して行うような授業,そういったものについてはもう少しフレキシブルな扱いをしていってはどうかということでございます。
 最後ですが,特に大学レベルでは,研究指導や学位審査における共同性ということも必要になってこようかと思います。例えば研究指導については,各構成大学に指導教員をきっちり設定するとか,もちろん主担当,副担当ということはあるにしても,各大学に設定をする。あるいは学位審査についても,主査,副主査ということはあろうと思いますが,各構成大学が審査に加わるということを求めていってはどうかという考え方でございます。
 次の5ページにお進みを頂きたいと存じます。
 4ページの資料を主に図示したようなものでございますけれども,基本的には共同のプログラムを組む際に,それぞれの大学,ここでは日本のA大学,外国のB大学と挙げておりますけれども,日本のA大学の授業,あるいはB大学の授業というもの,それぞれが持ち寄って,それらを一定の体系性に基づいたプログラム,共同のプログラムとして組み上げていくというのがこのジョイント・ディグリーの基本的な考え方であると考えてございます。
 その際に,このA大学,日本の大学については62単位以上を取っていただくという要件が掛かってきますけれども,ただ,場合によっては,例えば日本の大学で50単位しか取れない,あるいは40単位しか取れないといったようなことも生じ得るかと思います。そういった場合にフレキシビリティを持たせるために,特に融合性が高いような科目,例えば共同で授業を実施したり,成績評価を行ったりするような科目については共同実施科目ということで,例えば日本の大学の授業科目としても,あるいは外国の大学の授業科目としても,カウントできるような柔軟性を持たせていってはどうかということでございます。
 なお,この共同実施科目については,任意設定ということでございますが,もしこの融合的な科目を作るということがあれば,この共同プログラムの性格,性質も,共同性も更に上がっていって,よりプログラム全体が融合的なものになってくるということは期待されると思います。ただ,諸外国のジョイント・ディグリーが,全体を見ましても,基本的には各大学が既存の授業を持ち寄る,あるいはそれをマイナーチェンジ的に改編して合わせていくというようなやり方をしているようでございますので,ここはあくまで任意設定という形にしてまいりたいと存じます。
 この全体について,大学間で大学間協定を結んでいただいて,また,後ほど述べますけれども,詳細について規定していただきたいと存じます。また,協議の場を設定していただいて,そこで恒常的な議論を行っていただきたいという考え方でございます。
 次の6ページにお進みを頂きたいと存じます。
 6ページの学位の国際的通用性に確保に関する論点でございます。初めに,下の方ですが,外国大学に関する要件としまして,外国大学については,当該国において適切な設置認可,認証評価を受けているということ,また,このジョイント・ディグリーと同レベルの学位について有効な学位授与権を有しているということ,さらに学位授与の実績があるということを求めていきたいと思っております。この同レベルとなりますと,例えば相手国は学士のレベルまでしか授与できないのに修士レベルをやるということになると,やはり問題があるかと思いますので,同レベルということについては要件として求めていきたいと考えております。また,必要に応じて,外国大学ですので,大使館においてこういった事実についても確認できる体制を作っていきたいと思っております。
 それから,相手国における学位授与の要件ということでございますけれども,先ほど申し上げましたように,そのジョイント・ディグリーの課程を終えた外国人の学生が母国に帰ったときに,その学位はこの国では通用しないというようなことになりますと,国際的な信頼性にも関わってくるところでございますので,当該国においても,学位授与要件を満たしているということについては,要件として求めていきたいと思っております。例えば学士課程の場合,我が国は124単位が卒業要件になっておりますけれども,国によってはもっと多い要件,例えば140単位とか,150単位といったようなケースもあるようでございますけれども,そういった場合には,プログラム全体をそこまで引き上げていただくということは必要になってこようかと思います。
 7ページにお進みを頂きたいと思います。
 基本理念の3番と4番に関する部分でございます。設置認可,認証評価に関するところでございますけれども,上の方の理念は省略させていただきまして,下の方でございますけれども,設置認可については,責任を持ってこの共同の教育プログラムを管理する組織について,しっかりした体制があるのかどうかということについて,最小限の要件を確認するとともに,特に大学間協定を中心に必要な事項がきちんと手続的に担保されているのかというところを中心に確認をしていきたいと思っています。
 このJDプログラムは,既存のプログラムをベースとしまして,あくまでその収容定員の一部と,例えば2割以内とか,そういったものを対象にして外国大学のリソースも活用しながら,要は日本の大学のリソースだけでなくて,外国大学のリソースも活用しながら行うということでございますので,教育研究上支障がない限りにおいては,独立した組織として別途収容定員に基づいた専任教員であるとか,校地校舎を整備するというようなことについては求める必要ないのではないかと考えてございます。ただ,新しいプログラムを作るということには変わりませんので,プログラム管理の責任体制の確保でありますとか,また,外国大学のあるその現地に行ったり,また,協議を恒常的に行ったりとか,様々な負担が生じてくることがございますので,一定数の専任教員というものを追加的に配置を求めてはどうかということでございます。例えば収容定員40名に対して1名というぐらいのものではどうかということでございます。
 先ほどの事例などを見ましても,2ページの工学系研究科の事例を見ましても,かなり実際に近い数値ではございますけれども,多くの大学ではこの専任教員よりもかなり上回った教員数を配置しているというような実態もございますので,過度な負担にはならないのではないかと考えてございますし,また,逆にそこで設置基準を上回れないというような大学については,そこまでの国際的なプログラムに乗り出すだけの体力はないのかなという面もあろうかと存じます。
 それから,大学設置・学校法人審議会の方でございますけれども,例えば「国際化特別審査会」のようなジョイント・ディグリーの専門組織,審査の専門組織を作っていただくということを考えたいと存じます。
 認証評価については,基本的に国内の教育課程と同様に認証評価を実施していく必要があるかと思いますが,ただ,若干特殊な部分でもございますので,具体的な運用方法については,今後,御専門の知見のある先生方と御一緒に検討してまいりたいと考えております。
 8ページにお進みいただきたいと思います。
 大学間協定についてでございます。この大学間協定において,今回は告示におきまして,具体的にこういったことを大学間協定において決めてくださいといったことを法令上明示しまして,設置認可においては,これが適切に締結されているのかどうかということを中心に審査を行っていただきたいと考えてございます。具体的に規定する事項としましては,例えばここに書いてございます教育課程の編成,研究指導体制,安定的・継続的な修学体制,例えば途中でプログラムを終える場合に,学生がどういう扱いになるのかとかいうこともございます。あるいはその学位審査の体制を共同でどのように置くのか。あるいは入学者の選抜の方法,どの国でどれだけの人数を募集するのかとか,学生の在籍管理,どちらの大学に在籍するのかとか,また,これはビザにも関わってくる部分もあろうかと思います。それから,学生の納付金についても,どちらの大学に幾らを払うのかといったようなことも出てくると思います。教職員もどちらの大学に所属しているのかとか,責任者は誰なのか,教育研究活動をどのように評価していくのか,また,事務の体制をどうするのかといったようなことが,様々なことを,ある意味,これは当然決めておかなければいけないことを,この告示において規定していくということになろうかと思いますけれども,この当然のことについてしっかりとチェックをしていきたいという考え方でございます。こういったことについては,文部科学省の方に協定書を御提出いただくとともに,しっかりと公表ということについても,学生に対しても明らかになるようにお願いをしたいと考えてございます。
 こちらからの説明は以上でございます。御審議をよろしくお願いいたします。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 それでは,資料3の説明を頂きましたので,できればスライドの一枚一枚について問題点とか,課題とか,更なる検討をしていただきたいと思いますが,まず,スライドの1枚目で,基本的な考え方,それから,学位の扱い方で,特に外国の学位の扱い方はということで,(イ)の考えに基づいた制度設計が適当であるという基本的な扱い方ですけれども,学長がサインをするという問題でなくて,学位の扱い方でございますので,まず,その点,1ページ目について何か御意見があれば伺いますが。
 海外の大学も学位を本国か我が国が認可するということはなかなか難しいと思いますので,やはり(イ)という条件の中で責任をどう持っていくかということだろうと思いますが,スタートラインはこれでよろしいでしょうか。じゃあ,とりあえずここはいい感じで。
 スライドの2枚目はイメージといいますか,先般,大学院のことも,あるいは専攻が連携してといった御意見もありましたので,学士課程に代わって修士課程を一つのモデルとしてこういうことでございます。アスタリスクに入学定員の2割と,例としてはおよそ2割とかいう形でイメージが作られておりますが,ある一定の中で研究科の中に特別な専攻を設置するという考え方でモデルが作られております。これはあくまでもモデルですので,特に意見交換は必要ないかと思いますが,まずここはこれで生かしていただく。
 ということで,理念が,基本的な考え方が四つ示されておりまして,それを具体化したものがスライドの4ページからございますので,ちょっと4ページに飛んでいただいて,まず,共同性の理念といいますか,それぞれの大学がどれだけ,ジョイントでございますので,どれだけ連携しながら共同性を発揮して作っていくかということについての要件,あるいは観点というものがそこに示されておりますが,これについて意見交換をしていきたいと思いますので,委員,御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。
【内田委員】  この4ページでお聞きした方がいいのか,5ページでお聞きした方がいいのか,ちょっと分からないところがあるんですが,一つは,この共同実施科目というものを具体的にどういうふうにイメージするかということだと思うんですね。つまり,これは任意設定ですから,なくてもいいということだと思いますけど,その議論がもう一つあるんですが,共同実施科目,例えばA大学,B大学というこの5ページの図を使うと,日本と外国ですよね。そうすると,まず,この科目が一体どこで提供されるのかね。それから,共同というふうに言うと,一つの科目を,例えばチームティーチングでやらなきゃいけないのかとか,それから,それを違う国に学生が行ったりきたりというのは大変だとすると,ビデオコンファレンスというか,インターネットを使って授業をするとか,いろいろなことがあると思うんですけれども,どの程度の具体的な事柄を今のところイメージされているかって,これをまずお聞きしたいのが一つ。
 それから,これが任意設定であるということは,これがなくてもいいということです。そうすると,現在の,例えばダブル・ディグリー的なものと同じように,共同実施科目がなくて,A大学とB大学で,議論を単純にするために二つの大学でやるとすると,それぞれ62単位以上,31単位以上取っていくと。そうしたときに,ダブル・ディグリーの場合は年数の問題が出てきますよね。相手方の国においても,その国が授与する単位を満たさなきゃいけないから,そういう意味で少し違ってくるんだろうと思うんですけれども,ただ,そうであったとしても,その違いというのは,ここでは教育プログラムの共同性ということに関わると思うんですけれども,体系的な教育プログラムができているということが主要な要件になって,それ以外のことは,もちろんここに単位取得要件はあるわけですけれども,要するに,共同性というものが,協定とか,具体的なカリキュラムの中で担保されるということになると,ダブル・ディグリーというような形で年数を延ばさなくても,ジョイント・ディグリーというものを出せると,そういう趣旨だと理解してよろしいでしょうか。
【二宮主査】  よろしいですか。
【白井大学振興課課長補佐】  初めに,共同実施科目のイメージでございますけれども,例えば集中講義,サマースクールなどの期間でパートナー大学の外国の大学の先生がこちらに,例えば東京に来られた際に,その際にオムニバスといいますか,正にチームティーチングのような形でやっていただくというようなことが一番現実的な形かと思っています。あるいは先生もおっしゃいましたように,オンラインを活用した形でビデオで参加するとか,そういったようなこともあるかと思いますけれども,基本的に全体が共同プログラムでございますので,授業科目の設計自体は,ある意味そこにも既に共同性はございます。それよりも更に共同性の形が進んだような,より融合したような形で,例えば成績の評価なんかについても,各大学に任せ切りということではなくて,例えばこの成績,この学生のこのぐらいのレポートであれば,例えばAというのは甘いのではなかろうかなど,そういった議論もお互いにできるような形が,この共同実施科目のイメージなのかなと思っておりますけれども,ただ,詳細については,また,今後,先生方の御意見も頂きながら検討してまいりたいと考えております。
 それから,2点目の年数等についてでございますけれども,正に一定の年数の中で学位を出していくというのがこのジョイント・ディグリーのポイントでもございますので,そこについてのダブル・ディグリーのように,年限を延ばすということは必要なく,基本的にその学士であればその4年間の中でやっていただくということになると思います。
【二宮主査】  ほかにいかがですか。お願いします。
【市村委員】  5ページの大学間協定の件なんですが,タイムスケジュール,ちょっと思い浮かべていたんですけれども,この2国,いわゆる日本と外国の大学が1対1で協議して,そして,大学間協定を結ぶわけですよね。例えば外国の1大学,シンガポール大学でも何でもいいんですが,そこと大学間協定を結ぼうと考える大学が,日本に50大学あったとすれば,これはシンガポール大学が50の大学と一個一個協議するというイメージなんですか。もしそうだとするならば,これ,優先順位とか,いろいろあるかもしれませんが,ものすごく時間が掛かると思うんですね。そうすると,日本の大学がアジア,アメリカ,欧米,いろんな大学と結ぼうとすると,その数たるや大変な数になると思うんですね,掛け算ですから。これをタイムスケジュールに落とし込んだときに,どういうイメージで考えたらいいのかということがちょっと分からないので,その辺をちょっと教えていただきたいんですけどね。何か私のイメージではものすごく待たされる大学があるんじゃないかなという心配がちょっとあるものですから,この辺をどういうふうにお考えになっているのか。
 むしろ1大学,シンガポール大学ならシンガポール大学と日本のある機関が窓口になって,そこが日本の大学と調整して結ぶというようなやり方をした方が時間的には節約できるような気がするんですが,そのときは質の保証の問題とか,オーソリテーションの問題とか,あると思うんで,簡単ではないと思いますが,あんまり日本の,恐らく50なんていう数字じゃなくて,100の大学なんていうレベルになったら,シンガポール大学が嫌気を起こすんじゃないかなと,そういう心配があるものですから,聞くのですけれども,ちょっと教えてください。
【白井大学振興課課長補佐】  恐らくジョイント・ディグリーを現実的に行っていくためには,かなりの準備期間のみたいものが必要になってくるかと思います。先ほどの九州工業大学さんの御説明でも,1990年代から非常に長い時間を掛けて関係を築いてきて,それで,更にこれからそのジョイント・ディグリーを検討されていくということですので,本当に足掛け10年,20年という信頼関係が基本的に前提になってくるのかなと思っています。
 ただ,その手続に関してですが,この2ページの図でも少しお示ししておりますけれども,かなりこの大学間協定に関しましては,プログラムごとに結んでいくような,かなりローカルなイメージを持ってございますので,実際このプログラムごとに一つ出てくるということになります。当然プログラムごとに学生の指導の方法でありますとか,教育課程の内容とか,全て非常に多様になってきますので,その数が多ければその分の大学間協定というのは,それは学生のこととか,いろいろ考えても必須なのかなと考えてございます。そういう意味では,数について,もしたくさんの大学とシンガポール大学がやるということであれば,そこはきちんと大学間協定を結んでおくのはむしろ当然かなという感じもしますし,あとは,その長年の関係の中でどこまでのタイムスケジュールでやっていけるのかは,各大学間の状況によるのかなというふうに存じます。
【二宮主査】  市村委員の日本の大学がばらばらにシンガポール大学に提案というか,話に行くといったときに,向こうも迷惑だろうから,日本は少しは窓口をいろいろ絞ってね,もうちょっと整然としていったらどうかということについて,例えば文科省がどうこうするとか,国大協さんがどうかされるとか,そういうことは今のところは考えてないんじゃないかと思うんですけど,私,誘導しているわけじゃないんですけれども。
【市村委員】  いずれにしても,グローバル化を急がなきゃいかんというときに,その姿勢を貫くという気持ちは,若干変えた方がいいんじゃないかなという気はしますけれどもね。それはもう何年掛かってもゆっくりゆっくりやっていくんだというのが本当に正しいやり方なのかどうかね。やはり時間的なものというのはありますのですね。本当に100校が来たときに,1校当たりどれだけ時間が掛かるかというのは,相手次第,交渉事ですからあれですけれども,まあ,1年に2,3校ぐらいしかできませんなんて言ったら,30年待たなきゃいかんとか,そういう話になりかねないんで,もう少し工夫したらよろしいんじゃないかというのが私の率直な意見ですけれどもね。
【白井大学振興課課長補佐】  この制度は,別に何かゆっくりやれということでは全くございません。むしろ早くやっていただきたいということでございますし,また,政府としても,今,概算要求中でございますけれども,スーパーグローバル大学事業というのを予算要求しておりまして,その中でこのジョイント・ディグリーを実施される大学についても,積極的に支援していきたいと考えております。スーパーグローバル大学事業は来年度からの事業でございまして,来年度からいろんな大学間でジョイントできるよう,スタートしていくようにしていきたいということでございます。ただ,その際にこの大学間協定自体は,学生保護のこともありますので,やっぱりしっかりしたところは当然決めておかなければいけない部分というのはありますので,そこはもう各大学が正に交渉事ですので,できるだけ早くやっていただきたいと思います。そこに文科省が早くしなさいとか,あるいはゆっくりやれとか,そういう指示を出すような話ではないのではないかと思っております。
【市村委員】  いや,もちろん私の申し上げているのは,文科省,急げということを言っているんじゃなくて,シンガポール大学という例を挙げれば,そこのアドミニストレーションの能力とかいろいろ考えて,日本から殺到したときに,それが対応し切れるかというと,一個一個やっていくとしたら順番ができますよね,おのずと。これがもう何十年もかかるという話になりかねないし,そんなに一度に持ってこられたら迷惑だというふうになりませんかということを申し上げているわけですから,その辺を考えてやっぱり政策というのは作らないと,今のお話では回答になってないと思いますよ。
【二宮主査】  それはちょっと宿題というか,預からせていただいて,時間もありますので,次の話に移らせていただきたいと思いますが,市村委員,よろしいですかね。今,すぐ回答がちょっと用意できるような,提案に対するものじゃないと思いますので,じゃあ,次に,長尾委員。
【長尾委員】  私も同じように,時期の話で,逆に最短時間,これが可能になる最短時間はいつなんだろうというふうな質問させていただきたいと思います。例えば共同実施科目を大学間が提携する。これはもう今もいろいろやっている大学はあると思うので,そんなに難しい話ではなく,すぐできると思うんですね。ただし,国際化特別審査会を作るなど,いろいろ制度的に変えていかなきゃいけない手続が要るというのと,それから,最後の8ページ,スライド8のところの学生募集・入学者の選択とか,公表が公平性でなければいけないと書いてあります。そのようなことを考えると,最短でも2年後からスタートというふうに考えられていますが,2年後は可能になることでしょうか。今,スーパーグローバルカレッジのことをおっしゃいましたけども,それを準備するものが来年に資金的補助が出たとして,これ,15年ですよね。そうすると,16年から可能な制度を並行して文科省の方が動こうとなさっているのか,その最短時間というのを教えていただけたらと思います。
【白井大学振興課課長補佐】  そもそもこの制度を作らないことには始まりませんけれども,グローバルワーキング及び大学分科会で御了解が得られれば,この制度は,大学設置基準の改正が必要になってまいりますけれども,大学設置基準の改正については,できましたらこの年度内に施行,公布いたしまして,来年度からスタートできるような形にしていきたいと思います。
【長尾委員】  来年度というのは,2014年の募集,15年の募集?
【白井大学振興課課長補佐】  2014年度から制度的に可能になるようにしていきたいと考えております。ただ,現実には入学者の募集でありますとか,そういったことがあるかと思います。
【長尾委員】  でも,もう今,募集要項が出ているから公平性ないですね。
【白井大学振興課課長補佐】  はい。
【長尾委員】  そこら辺はどのように考えておられるんですか。
【白井大学振興課課長補佐】  そこも各大学の方の御判断になってくると思うんですけれども,その制度ができないことには募集もできないかと思いますので,その中で最短の期間でやっていただくのかなと思います。
【長尾委員】  ありがとうございます。
【二宮主査】  どうぞ。
【大野委員】  今のお2人の御質問に関連して,私が答えるべきかどうか分かりませんが,例えばシンガポール大学に50なら50,ばーっと来るという話なんですが,これは全体で見ると,そういうふうに見えますけれども,これはあくまでも一つ一つプログラムを作るわけですね。そこにカリキュラムを一個一個作っていかなきゃいけない。そうすると,それぞれの学部なり,大学院の学科専攻はそれぞれの担当者が担当のカウンターパートと一緒になって作っていくわけですね。ですから,そういう意味では,50校をもしも作るとするならば,シンガポール大学の中で50校が同時並行的に作られていくわけですよね。それが設置認可の方にいって,それが余りにもたまり過ぎちゃって,それがスピーディーじゃないと,実際動かないということになると思うんですが,ただ,大学側からすると,同時並行的に作っていきますので,ある窓口を作らないとたまってしまって時間がかかるということでは全くない構造だと思います。
 それから,最短でというふうなお話がありましたけれども,恐らく,これ,何にもない状態から作ろうとすると非常に時間がかかると思います。ただ,例えば今,既にダブル・ディグリーをやっているというところがあったときに,それをもうちょっと質を高めたいということで,例えば共同の実施授業をこんなふうにこれまでにやろうじゃないかということを話し合って,で,やっていけば,僕は,かなり早い時期に申請をぽんと出すことができて,文科省の方の対応さえやっていただければ,実施は十分可能なんじゃないかなというふうに,そういうイメージを持っております。
【二宮主査】  そろそろこのワーキングで少しスピード感を持ってこの問題を検討しようというのは,大学の要望といいますか,大学がジョイント・ディグリーの形で制度が設計できるように少しという,その強い要望があったということを受けてのこの議論の開始ですので,全くどの大学も準備ができてないということではなくて,ですから,そういうところからどんどん,早ければ来年度から学生が募集できるといったような形になってくるんじゃないかと思っております。
 すいません。ざっとやっぱり見ていただきたいと思っておりますので,次にいかせていただいて,スライドの6ページですか,理念2についてちょっと御議論をしていただきたいと思いますが,吉川委員,いかがでしょうか。外国が140単位であれば140単位というあの下りですけれども。
【吉川委員】  今回この基本理念の2として,学位の国際的通用性を確保するために,ジョイント・ディグリー,すなわち国を越えて複数の大学が単一の学位を連名で授与するに当たっては,外国大学が当該国において適切な学位授与権を有していること,また,日本国においてのみならず,相手国においても学位授与要件を満たしていることが必要であるということを盛り込んでいただいて,これは国際的な観点から非常に重要なことだと思っております。
 外国大学の学位授与要件が例えば140単位という事例に関しては,先ほど既に白井さんの方からお話がありましたように,この共同プログラムを開設する時点で双方の国の大学が協議して決めるべきことであって,ただ,日本においては学士課程であれば124単位の卒業要件は満たさなければいけないということであろうと考えております。
 ジョイント・ディグリーの制度に関連して,今の時点で申し上げることが適切かどうかということもあるのですが,平成22年にガイドライン,「我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等,組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン」が作られております。このたびジョイント・ディグリーが新たにこのような形で設計されることによって,そちらのガイドラインも恐らく見直しといいますか,新しい形でのガイドラインをまとめられることになるかと思います。そのときにジョイント・ディグリーと,ダブル・ディグリー,並びにデュアル・ディグリーを明確に定義していただきたいと考えております。
 先ほど九州工業大学の御発表の中で,スライド5枚目のデュアルディグリープログラムに関する覚書について,「デュアル・ディグリー(日本国内で一般的に言う「ダブル・ディグリー」と同義)プログラムの実施に関する協定」という説明が添えられていました。諸外国においては,2つの大学が独自に教育課程を編成し,その中で他大学で行われた学修の一部を各大学がそれぞれ認定して別個に学位を授与する場合に,デュアル・ディグリーと称し,2つの大学が共同でジョイント・プログラムを編成し,しかしその修了に際して,各国の法令等により単一の学位を授与することができない場合に,双方の大学によって授与される学位をダブル・ディグリーと称する,という方向に整理が進んでいるように思われます。
 今回,ジョイント・ディグリー制度は1枚の学位記を出すという一定の要件を設けておりますけれども,ジョイント・プログラムを共同で設計し開設するということを, 1枚の学位記ということで排除するべきではないというふうには考えております。つまり,1枚の学位記(ジョイント・ディグリー)を授与することが制度上認められていない国の大学とであっても,我が国の大学が共同でジョイント・プログラムを設計し提供することに対しては,何らかの支援の対象に含めることも検討してはいかがかということでございます。
【二宮主査】  最後の問題ですが,ガイドラインを見直すというか,ガイドラインをもう少し再定義しなくてはいけないということは御指摘のとおりだと思っていますし,ジョイント・ディグリーでは,制度設計ができますと,その観点からダブル・ディグリーとか,デュアル・ディグリーというのは,余り我が国は検討していませんけども,ダブル・ディグリーの方がより一般的なんですが,それを見直すということはあり得るかと思っております。
 それから,最後の観点ですけれども,ジョイントスタディープログラムそのものが否定されるということは全くなくて,要は,履修したことをどう証明するかという資格証明のやり方が,これはジョイント・ディグリーとして出していきましょうという制度設計になっていまして,あとは,サーティフィケートとか,ディプロマ・サプリメントとか,いろんな形でまたそのまま自由に残り得ると思っておりますので,ちょっとそこはもう少しまた別の議論として進めてさせていただきたいと思います。
【内田委員】  この6ページの相手国における学位授与要件の充足のところで,赤字で「相手国においても,学位授与要件を満たしていることが必要」ということなんですが,二つ質問がありまして,例えば相手国も,日本と同じように124単位以上が大学を卒業するときの単位の最低であって,そして,62単位以上取らなければいけないという規定があったとしますね。そうしたときに,それを満たさなきゃいけないわけですよね。その場合に,例えば140単位まで取れるという,その上限をそのプログラムに付けたとすると,2年間で62を超えるものをそれぞれのところで取れるわけですよね。それでもいいということになるわけですね。これが一つね。
 それから,もう少し言い方を変えると,この「相手国においても,学位授与要件を満たしている」という,これは確かにこの質保証という観点ではそうだと思うんだけれども,相手国から見たときに,こういうふうに言った方がいいかな。相手国においても,これと同じようなジョイント・ディグリーの制度を持っている国というものを想定されてこれを作っておられるかどうか。というのは,先ほどコンソーシアム型を除くということで議論されていますので,それは全くそれでいいと思うんですけれども,これと同じようなものがほかの国にあるということをイメージして作っておられるかどうか,そこをちょっとお伺いしたいんですが。
【二宮主査】  よろしいですか,はい。
【白井大学振興課課長補佐】  すいません。1点目の御質問の趣旨が正確に捉えているかわからないですけれども,相手国においても同様に124単位という要件がある場合には,当然それを充足することが必要になってまいりますので,もしその相手国で更に半分以上その国で取るというような厳しい要件が課せられている場合には,全体としての要件も厳しくなってくるということは当然考えられるかと思います。そういうことでよろしゅうございますか。
【内田委員】  いや,それを前提とした上で,その124単位が最低履修だけれども,学生は,上限はもう少し上まで,例えば140まで取れるというふうになっていると,例えば64ずつお互い2年間で取って,二つのものがジョイント・ディグリーという形で出ると,こういうことになるわけですよね。今までのダブル・ディグリーだと,それはならなかったですよね。
【白井大学振興課課長補佐】  それはそういうことでございます。
 それから,相手国の制度でございますけれども,これも非常に多様でして,例えば一部の国では一部の分野しかジョイント・ディグリーを認めていないとか,そういった国もあるようでございます。そういった場合には,当然今回は相手国に持ち帰った場合にその国に通用しないと,通用できないものについては対象としないということになりますので,対象から外れてくるということになりまして,そのあたりはかなり各国の制度設計について細かく見ていかないと,通用性がないジョイント・ディグリーを生んでしまう可能性がございます。そのあたりで正にこの設置認可プロセスの中で大学の方から,各国におけるその法制度等の説明についてはきちんとお伺いをして確認をしていきたいと思っております。
【二宮主査】  140単位というのは,どこの国の140単位かによって,学習の総量とか,いろんなことが,ここには単位互換という,例えばECTS,UCTSとか,何か幾つかの国際的な単位互換のスキームをここの中にはめ込んで,学習量というか,そういうものを計算しながら,双方の大学が議論していかないと,ただ,1単位1単位でやっていきますと,という問題は残っているかと思います。
 それから,専攻によっては,学科によっては,124単位でなくて130単位というのを卒業要件にするのも国内にたくさんありますので,ただ,それぞれの学科,あるいは専攻が卒業要件をどのように協議していくかということで,少しは乗り越えられるかなと思っていますが,やはり相手国の学位授与要件を満たすというのはとても重要な要件じゃないかと思います。
 それから,相手国が共同学位制度をちゃんと認めているかどうかというのは非常に難しいところで,制度を認めて制度設計ができている国があれば大変有り難いんですけれども,何も規定がないという,禁止はしてないと。では,できるんじゃないかといった日本の大学と直面されるその課題は,相手がどうもはっきりしてないと,やろうと思えばできる。そういう国の大学と議論するときは,我が国は,じゃあ,どうするのかというのは,今後,まだまだもうちょっと詰めていかないといけないと思いますけれども,そこは向こうが制度設計をするものを待つわけにいきませんので,質の保証がきちんと伴って,我が国の大学が責任を持って出せるということが担保できればといったことを議論していただくことになるんじゃないかと思っております。
 それでは,私の権限で勝手に進めますけれども,その次の基本理念3と4について御意見を賜りたいんですが,いかがでございましょうか。はい,井上さん。
【井上委員】  私は,やはり早期にジョイント・ディグリーの制度を運用して,多くの大学,大学院でプログラムを作っていただき実現するというのは大変重要だと思いますが,あくまでも行政の立場の設置認可手続の中で対応していくということが基本になると思います。それはもう重々承知しているのですが,このような大学のグローバル化を非常に前に進める制度を作る場合に,ある程度サポートするという姿勢を行政の方でも持っていただきたいと思います。もう既にこのワーキング・グループで大学の様々な取組を伺っているわけです。その中で幾つか問題点もあるし,工夫の余地もあるとは思うのですが,こういう点がクリアできれば十分ジョイント・ディグリーとして設置認可ができるといったチェックリスクのようなものを作っていただき,それで大学を指導していくという方法が絶対に必要だと思います。
 それから,大使館に文科省から行かれている方々がいらっしゃって,現地の大学,あるいは大学制度というものについていろいろ調べられていると思うのですが,そういう観点から,そういう大使館ベースでのサポートというのでしょうか,やはり大学関係者だけでは十分把握できない部分というのもあるかと思いますので,是非,来年度幾つかの大学,大学院が実際にこの新しい制度の下で設置認可を受けて,正に学生を募集できるというような形にするために,大使館等でのサポートも含めてその体制を是非工夫して作っていただければと思います。
【二宮主査】  どうも貴重な意見,ありがとうございました。
【二宮主査】  チェックリストもガイドラインとともに,またという感じでございますので,ある程度準備できればと思います。じゃあ,大野委員。
【大野委員】  前回もお話しさせていただいたと思いますが,もちろんこういう制度を作るに当たっては,教育の質の保証をどうするかって,非常に重要なところなので,ここに書いてあるように,設置認可という方法があるだろうとは思います。ただ,設置認可となると,恐らく組織が対象だというふうなことになるので,今回は学部の学科ですとか,あるいは大学院の研究の専攻であるとか,そういうふうなことを新しく作りなさいと,こういうことになるわけですね。それはそれで分かるんですが,そうすると,組織を作るのに非常に固いというか,重たいというか,あくまでもこれは教育プログラムであって,既に設置認可された組織,これが新たに他の大学と組んで別のプログラム,カリキュラムを作ろうとしているわけですよね。それを新たにまた組織を作らなきゃいけないというのは,非常に私にとっては違和感がある。ただ,もちろん今回のケースの場合には,そういうふうな目をつぶってでもやらないと前へ進まないということであれば,理解はできるんですが,ただ,将来的には少しこういう,新しい組織を作らなきゃいけないということについては,将来的には検討の余地は残していただきたいなと思います。
 というのも,別の見方をすれば,既に設置認可を受けた学部なり,大学院,これはまた審査を受けるわけですね。つまり,新しく作るとはいいながらも,中身的には全く同じものであるというふうなところの状況があるわけですから,そういう意味では,何か審査の二重性なところも感じないこともないというところもありまして,それとやっぱりスピーディーにということを考えたときに,大学の中の事情でもありますけれども,さあ,新しく専攻を作りましょうとか,そういう話になると,非常に足取りが重くなって,相当の反対とか,慎重論って出てくる危険性もある。もちろんそれは大学の方がきちんと対応すべきことだと思いますが,そういう雰囲気もないわけではありませんし,そういう意味で,将来的に少しプログラムに対しての認可といいますか,審査といいますか,そういうふうなものへの方向性もお願いできればと思っています。
 以上でございます。
【里見大学振興課長】  ありがとうございます。今回の御議論,何度もさせていただいていると思いますけれども,全くおっしゃるとおりで,正にプログラムのようなものを何とか認められる制度が作れないかということで始めたものと思っております。ですので,問題意識は共有しているのですが,ただ,私どもの制度の関係で,入り口でまずチェックするしか,現時点では,方法がないということは御理解いただきたいと思っております。
 この制度ですが,実は大変関心が高くて,私どもにも既にかなりお問合せを頂いているという状況があります。そのような中で,この形をとるのが今,ベストであろうということを考えて,このようにさせていただいたということでございます。 
それから少し前に戻ってしまい恐縮ですが,共同の科目を作るときにいろいろな大学にお申込みが集中するのではないかというお話なのですが,例えば国などが関与してやりますと,どこの大学がどこの大学に申し込んでいるのかという,ある意味戦略的なところが公になってしまうという危険性がございまして,お断りになった場合のリスクですとか,いろいろなことがあるのではないかと思います。ですので,先ほど大野先生から御説明いただいたとおり,全くさらで申し込むというところというよりは,今までにもう先生同士のつながりがあって,ある程度ノウハウが蓄積されていて,お互いに信頼関係ができているところが実施されるということを想定したプログラムから始めさせていただくのが順当かと思っております。
【小松私学部長】  今,いろいろと御議論になっていることでございますが,私,私学部を担当しておりますけれども,ちょっと国公私またがる話でございますので,少しはみ出て補足をさせていただきたいと思うんですけれども,まず,ここの会議でスピード感を持ってということでしていただいております。これは基本的に非常に重要なことで,特に今の日本の中の状況,国際性が大事だということもありますし,高等教育体制をどう充実するかと,18歳人口の減少とか,そういった様々なことを考えますと,是非とも,まずこれは基本に置いてやっていただきたいと思うんですけど,その場合,この今日の大学振興課の説明にございます,この資料3の冒頭に書いてございますけれども,先ほど来,スムーズに進めるにはどうしたらいいか。それから,逆に集中し過ぎてしまった場合の処理をどうするかというような問題が議論されておりますが,実は,基本的考え方のひし形の二つ目にございますように,この学位というのは,大学と大学以外の全てのものを分ける根本的な違いでございますので,学位を一緒に出すということは,その部分に限って言えば,極端なことを言えば,大学を部分的に合併するのと同じ非常に本質的厳しいものでございます。そういうこともありまして,各国においても,なかなかこの制度がもう国際的にこれでやればできるというほど,普及して一つの制度ができていないということで,その中で国際化を日本として大いに打ち出していこうとすると,ここに書いてありますように,ある意味,高等教育の世界では,日本がこれでもってルール・メーキングをしていくというトップに躍り出ることになりますので,片方できちっと詰めなきゃいけないんですけど,片方で実情を見ながら進めていかなきゃいけないことがありますので,ある程度もう絞って,これでできるということになれば,むしろ早く各大学が手を付けられるようにおまとめを頂くと,私ども,非常にやりやすいなと。
 そういう意味では,先ほどの集中し過ぎたとき,どうかというのも,誠にごもっともな御心配だと思うんですけど,各国がまだなかなか制度もできてないし,部分合併みたいな厳しいところがあるということを考えますと,むしろそれで悲鳴が上がるぐらいたくさん出るように努力をしないといけないというのが実情じゃないかなという感じがしますので,ちょっとその実情も見ながら,しかし,そういうことが起これば,早急にそれを対応していくと。そこはまたスピーディーにやるというようなことで,まず,とにかく穴を開けると。もちろんそういうスピーディーにという意味でおっしゃっておられると思いますけれども,ということにしていただくと非常に動かしやすいなと。
 それで,先ほどスケジュールのことがございましたけど,これも,ですから,一つずつ詰めていかないと,最終的に学生さんやそれを受け取る就職先に責任を持った制度にできないということを考えますと,実際現場でおやりになるときに,かなり時間とか,労力が掛かると思いますので,その意味でも,制度はとにかく早く作っていただければ,それに沿ってガイドラインとかも早く整備できれば,しかし,そこから少し時間とか,労力が掛かって各大学が動き出されるのかなという感じがいたします。
 それから,もう一つだけ補足させていただきますと,今の組織を認可するか,学位プログラムを認可するかというお話でございますが,これはプログラムということでよろしいかと思うんです。この資料で見ますと,2ページ目のところにございますように,私の若干推測も交じりますけれども,この資料で表そうとされていることは,多分,例えば建築学専攻と土木専攻というのは,はっきり実線で囲んでございますね。これが,いわゆる大学の大本の学科だとしますと,その後に出てくる国際連携というのは,仕組みとしてはその責任が持てる体制という意味で組織性をしっかり説明できるけれども,ある意味バーチャル的なところもあって,斜線,点線で表現されているのかなと思います。そういう意味では,社会的に説明ができて,学生や送り出し先に責任が持てる体制,将来も学位の証明とかがきちっとできる体制という意味での責任体制が重要だという,そこを審査するなど,国として保証するという部分と,それから,大本の大学の中で大騒ぎになる組織そのものを全面改編しなきゃいけないかみたいなお話については,そこはプログラムとして機動的に考えるということの組合せの運用を,この制度化の中で,これまた,何というか,知恵をいろいろおかしいただいて,うまく組み合わせることができるのであれば,非常に有り難いなと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども,そういうことでできるだけ前向きにお進みいただければと有り難いというふうに考えます。
【二宮主査】  ありがとうございました。大野委員の質問に対しても少し答えはもう用意できたかと思いますが,それでは,最後に,大学間協定,私の都合もありまして急いでおりますが,大学間協定についての,8ページでございますが,これは詳細,子細にという,それから,明確に,それから,前もってということでございますが,いかがでございましょうか。これについての御意見をお願いします。
【長尾委員】  一つだけ提案を逆にしたいんですけれども,卒業年数に関して,先ほど原則として4年という言葉がでましたが,もちろん日本の制度で適用すれば4年ですが,大学,国によっては,入学式,入学,卒業の時期が変わってくる。それが単位を中心にして, 4年というのではなく,そこのところにフレキシビリティを持たせていただいて,きちっと卒業要件として124単位取るということに重点を置くことの制度化を提案したいと思います。
【二宮主査】  いかがですか。4年の課程ということなんですが,日本の学位ですので,白井さん。
【白井大学振興課課長補佐】  現在の学校教育法の規定によりますと,修業年限が4年間,六・三・三・四制の中で割合かっちり決まっているところがございますので,直ちにということはなかなか難しいかと思いますけれども,欧州では3年の学士課程がありますし,そういった国際的な動向もあるかと思いますので,その点については今後の検討課題として,これから学制改革についてもいろいろ検討が行われるようでございますので,考えてまいりたいと存じます。
【二宮主査】  それでは,8ページについては,また事務局の方に,こういう項目をどうかという御意見を頂くということで,次回に議論を重ねさせていただきたいと思います。
 今日の御意見を基に論点を更に明確にしていただいて,次回,集中的に審議をしていただきたいと思っているところでございますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりますけど,配付されている資料が幾つかございますので,その資料について説明をお聞きして,今日の会議を終えたいと思いますので,よろしくお願いします。それじゃあ,有賀さん。
【有賀国際企画室長】  それでは,資料4を御覧ください。こちら,OECDの高等教育における学習成果の評価(AHELO)と呼ばれておりますが,こちらの最新の状況についての御説明でございます。1ポツの経緯にございますように,近年の高等教育の国際化が進んでいる中で,高等教育の多様な質を評価するか,どういうふうにするかというところが要請として出てきているところでございます。こういった状況を踏まえまして,2008年のOECDの非公式教育大臣会合におきまして,ここで言っているAHELO,高等教育における学習成果の評価というもののフィージビリティ・スタディをしようということが決まりまして,我が国もその参加を表明してきたという経緯がございます。
 それで,これまでAHELOのフィージビリティ・スタディというものを実証してまいりました。2ポツのところでございますけれども,大きく一般的技能と分野別技能,分野別には,工学,経済というところが挙げられておりますが,そういった分野につきまして,各国の多様性と特殊性を踏まえた学習成果の測定のためのテストの開発の可能性,それから,言語,文化を超えた場合に,そういったものを実際比較できるのかといったところを検証してまいりました。その過程の中で調査枠組みの開発であるとか,テスト問題と採点基準の作成,それから,その妥当性の検証といったものが行われてきてございます。我が国におきましても,中教審の大学分科会に,これは平成20年になりますが,OECD高等教育における学習成果の評価に関するワーキング・グループ,こちらを設置いたしまして,工学分野への参加というものを決定し,実際に工学分野に参画をしてきたところでございます。これまで参加国数は17か国,それから,248の高等教育機関,それから,2万人以上の学生が参加をしてきているところでございます。
 2ページ目に移りますけれども,そういったフィージビリティ・スタディがおおむね昨年度終了いたしまして,これまで3巻の報告書がまとまってきております。第3巻が最近10月に発行されましたので,その結果をここに御報告いたします。その報告書によりますれば,大まかにいって,フィージビリティ・スタディの結果としては,こういった高等教育の学習成果の国際的な比較というものは,科学的に可能であるという結論を頂きました。他方,これまでの議論の中におきまして,参加国の中でAHELOの活用目的に意見の隔たりがある。例えば国によっては,各大学の教育の中身の改善に使うという本来の目的以外に,例えばランキングづけに使えるんじゃないかとか,そういった大学ごとの評価の結果を使ってファンディングの重みづけに使うといったような,多様な意見が国によってはあったということもございまして,こういった目的の共有といったところが今後の発展に向けての検討すべき課題ということが明らかとなってきております。
 こういったフィージビリティの結果を踏まえまして,4ポツにございますように,今後の方向性ですけれども,本年,ここは訂正いたしますが,11月開催予定となっておりますが,これは来年の4月の開催予定でございます。それから,11月にはプレの検討の場があるわけでございますけれども,OECDの教育政策委員会におきまして,これから2015年,16年の予算の順位づけが行われます。その中で,これはAHELOのフィージビリティ・スタディを今度は本格調査に向けてどういうふうにするのかという方向性について議論をしているところでございます。我が国といたしましても,そのEDPCでの議論というものをきちっとフォローして,OECDの計画とか,提案というものをよく精査をした上で,本格的な調査に向けた対応の方針というものを検討していきたいと考えているところでございます。
 それから,参考でございますが,国立教育政策研究所,それから,国内の専門家がこのAHELOのフィージビリティ・スタディに参加をしてきてございますが,この調査データの分析というものを継続して実施しておりまして,本年12月にはその分析結果を基にしたシンポジウムの開催ということが予定されているところでございます。
 以上です。
【二宮主査】  ありがとうございました。続きまして,資料5について御説明をお願いします。
【井上文部科学広報官】  文部科学広報官の井上でございます。
 本日,貴重な時間を頂きまして,資料5にございます留学促進キャンペーン「トビダテ!留学JAPAN」の御報告と御協力のお願いをさせていただければと思います。
 趣旨については,このワーキング・グループの先生方に改めて申し上げるまでもないことですが,グローバル人材の育成施策の一環として,2020年日本人の海外留学生を倍増させるという大きな目標の下に,このキャンペーンをやっていこうということでございます。実際、留学経費の負担軽減や大学,高校の体制整備,外国語教育の強化など,このワーキング・グループでも御議論いただいている制度的,あるいは財政的な取組をこれからやっていくわけでございます。今申し上げた仕組み的なものと,そして,メンタルと申しましょうか,学生自身,若者自身の海外へ打って出ようという,そういう機運を醸成していこうということで,下村大臣,山中次官,陣頭指揮の下,キャンペーンを進めているところでございます。また、学生のほか,保護者の方々を対象に,そして,社会全体で留学というのは必要で,重要だという機運を全体で盛り上げていければと考えているところです。
 実際には幾つかのイベントと,そして,特設ウェブサイトを設けてキャンペーンを進めていこうとしているところです。実施済みになりますけれども,先月の末,29日にロゴ・スローガンの記者発表会を行いました。留学経験のあるシンガーの倉木麻衣さん,あるいはミスユニバース2007の森理世さん,あるいは、ジャルカタで活躍されているJKTの仲川遥香さん,上海で活躍されているSNHの宮澤佐江さんを招きまして,ロゴ・キャッチフレーズの発表いたしました。そのロゴ・スローガンが別紙1です。鳥と赤い丸が描かれていますが,赤い丸は,日の丸をイメージしております。そこから飛び立つ鳥は、日本から世界へ飛び立っていく学生を象徴しているものになっています。また、キャンペーン名である「トビダテ!留学JAPAN」についてですが,このトビダテというのは,海外へ飛び立つという意味,そして,今までの自分から殻を破って飛び立つということ,そして,その全体が盛り上がって,日本自身が世界に向かって飛び立っていくという意味を込めてこのロゴマークにさせていただいているところです。このロゴ・スローガンをあしらったピンバッジも作成をしておりますので,是非、先生方にもお付けいただいて,キャンペーンの周知に御協力をお願いできればと考えているところです。
 また,11月4日には,TAKE OFFイベントといたしまして,羽田空港でイベントを行いました。経済界から代表として,日本貿易会の槍田会長様に御出席いただくとともに,ブエノスアイレスですばらしい堂々としたプレゼンテーションを行って五輪招致という成果をおさめたIOC最終プレゼンメンバーの方々から,2020年に活躍が期待される学生にバトンタッチしていただこうということで,太田さん,佐藤さん,そして,滝川クリステルさんにも御参加いただくとともに,海外を飛び越えて宇宙まで行ってしまった野口聡一さんにも参加を頂いて海外留学体験談、メッセージ、エールをいただいたところでございます。
 今後,イベントとしましては,参考資料1にもございます12月15日に予定されておりますGo Global Japan Expoでも,大隈講堂で舞台,あるいは文科省ブースでこの運動を広めていければと考えているところでございます。
 最後に,当キャンペーンのウェブサイトを開設しておりますけれども,今後,充実をさせていきたいと思います。そして,フェイスブックも公開しておりますので,よろしくお願い申し上げます。
【二宮主査】  それでは,最後に,有賀さん,日程の方も含めてお願いします。
【有賀国際企画室長】  わかりました。最後に,イベントの案内でございます。参考1でございますけれども,Go Global Japan Expo という題名で,12月15日に私どもの実施しておりますグローバル人材育成推進事業の採択大学42大学,それから,グローバル30,あと,展開力強化事業,こういった大学が協力いたしまして,早稲田大学,これは幹事校でございますけれども,におきまして,大学の進学・留学相談会というものを開催いたします。こちらに御関心のある方は,大臣の冒頭御挨拶もありますし,あと,各界の関係者もいらっしゃいますので,是非御参加いただければと思います。
 それから,続きまして,次回と今後の日程でございます。次回の日程につきましては,年内の最後となりますけれども,12月17日火曜日の午前中に,会場は文科省内の会議室を予定しております。詳細は追ってお知らせいたしますけれども,また,年明けの日程につきましては,追って事務局から,また日程調整のための御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【二宮主査】  これで本日の議事は終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課