資料4 これまでの主な意見

○総論

(ガバナンスの多様性)

・競争原理が働けば、おのずから大学のガバナンスは改善される。
・特定のガバナンスモデルを示すべきではない。
・多様なガバナンスを前提にして、画一的に規律することになる法的措置については慎重に考えるべき。
・多様性こそが私学の存在価値であり、現行以上の規定を私学に課すことは望ましくない。

(本部会の審議のスコープ)

・国公私別に分けて議論すべきではないか。
・まずは国立大学を中心に議論してはどうか。
・限られた日程の中で、国立大学について十分に議論できるのか。

○学長のリーダーシップの確立

(リーダーシップを発揮できる体制の整備)

・学長に権限を認めている法律の規定が、なぜ実際にはワークしないのか。
・現行制度でも学長のリーダーシップの発揮は十分に可能。
・学長を抑制するガバナンスも必要。
・専門的なスタッフの育成や外部人材のスタッフへの登用が必要ではないか。
・大学の場合、専門性が高いため、学長といえども細かく指示をすることができないという特質がある。
・学長主導のプロジェクト型予算などでは、特任教授などの形で学長主導の人事が行われている。
・学長の任期について、大学によっては現状より長くし、リーダーシップを発揮しやすくすべきではないか。

(予算に関する学長の権限)

・間接経費の制度趣旨が十分理解されていない。
・社会との関係を深めて大学に資金を呼び込む欧米型のファンドレイジングの仕組みを充実すれば、学長の権限もおのずから強まるのではないか。

(教員人事に関する学長の権限)

・学長は個別の教員人事ではなく、組織やポストの重要性を判断すべき。
・米国の大学では、執行部が人事の手続などについては介入しているが、基本的には各学部学科の判断に委ねられている。
・教員審査は教授会で行うとしても、採用や昇進などは学長の権限であることをしっかり切り分けることが必要。
・情実人事、恣意的人事を防ぐための透明性やチェック体制が必要。
・教育、研究、社会貢献など各分野を通じた教員評価が重要。

(学長の選考方法・評価)

・選挙の場合には、どうしても学内からの登用が中心となり、流動性が失われる。
・学長選挙の仕組みでは、頑張って改革を進めるほど、次の選挙で反動が生じる。
・ファンドレイジングが重要になってくると、社会との関係を深めて大学に資金を呼び込めるような学長が必要になる。学外の意見も取り入れてプロの学長を選んでいくことが必要。
・国立大学の場合、経営協議会が学長選考を行うべきではないか。その際、経営協議会の過半数は外部委員にすれば、学内の抗争なども避けることができる。
・選挙以外の方法といっても、現実的にフィージビリティがある選考方法はあるのか。
・学長の選考方法がどうであろうと、アウトプットが出ているのならばそれでよい。
・理事会等が学長を指名する場合も、教員組織が選挙で学長を選考する場合も、それぞれ問題はある。演えき的に、一つの理想モデルを描くことができるわけではないのではないか。

(学内規程の総点検)

・内部規則で教授会で何でも決めることにしている大学が多い。内部規則を変えないと何も進まない。
・国立大学法人化が急激だったため、何千もの内部規則を十分に見直すことができなかった。

○学内組織の運営・連携体制の整備

(学部長の役割・選考方法)

・学部長には、教員の業績を評価して給与に反映させる権限があるし、人事委員会も学部長の下に作られることが多いため、割合大きな権限がある。
・アメリカのディーンには、自らの学問分野や学科等を超えて、学問分野全体を把握する力が求められる。予算や人事に関する権限も大きい。
・学部長が学部教授会の選挙で選ばれる利益代表のような形では、緊張関係が働かない。学長に学部長の指名権を与えるべき。
・大学のマネジメントの価値が低く見られすぎているのは問題。学部長や学長に就くということは、教育研究から一歩退いて、アカデミア全体の中でのマネジメントを考えていくということ。
・学部長に就いても、何年か後にはまた教授に戻るということでは、強力な改革を進められるはずがない。

(教授会の役割)

・教授会からのボトムアップは重要で、これをなくしたら大学はつぶれる。
・日本の大学の学部は諸外国と比べても非常に規模が大きいため、どうしても学部単位での意思決定になりがちである。
・教授会の許可を得ないと、学長や理事も動けないような「運用」が行われていることが問題。法令改正が必要なわけではない。
・国際的に大学運営への教員参加は当然のことであり、オックスフォードやケンブリッジではいまだに教授会が最終的な意思決定機関になっている。教員参加の原則を否定するのではなく、有効な参加の方策を考えて行くべき。
・法令改正は必要条件ではない。教職員の意識改革こそが鍵である。

(理事会や役員会の機能見直し)

・経営協議会は学長や役員会の執行状況の監督機関として位置付けられるべき。経営協議会が学長選考も行ってはどうか。

(監事による監査機能の見直し)

・監事は会計だけでなく教学面にも精通していることが必要。
・非常勤監事だけでは十分な監査は困難。せめて一人は常勤にすべき。
・監事は大学内での資源配分の効率性をチェックすべき。例えば、教員が教育や研究にどれくらいの時間を使っているか等。
・監事は教育、研究、財務だけでなく、大学の社会的責任を含めた高次のガバナンスについてアドバイスすべき。
・評議員会の同意という要件があるとしても、私学の場合には、任命される側にある監事が理事会を厳しくチェックすることができるのか疑問がある。
・必要な内部規則の見直しの不備などについて、監事は積極的に意見すべき。

○大学の自律的改革サイクルの確立、各大学のガバナンス改革に対する支援

(情報公開の推進)

・大学の意思決定機関でどのような審議が行われているか、公開していくべき。
・大学のホームページでは重要な情報になかなかたどりつけず、現在検討中の大学ポートレートも大学の情報公開として不十分ではないか。
・私学団体では、団体加盟校において、最低限の情報公開に向けて取り組んでいる。
・私学の情報公開は、大学間の比較検討も含めて、高校生にわかりやすいように検討を進めている。

 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室