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組織運営部会(第1回) 議事録

1.日時

平成25年6月26日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 大学のガバナンスの在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)帯野久美子,河田悌一,北城恪太郎の各委員
(臨時委員)奥野武俊,金子元久,北山禎介,清家篤の各臨時委員
(専門委員)赤松洋子,有川節夫,石原多賀子,上山隆大,黒田壽二,小林雅之,田中愛治,森脇道子の各専門委員

文部科学省

(事務局)藤木文部科学審議官,板東高等教育局長,小松私学部長,常盤高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,池田大学振興課長,芦立国立大学法人支援課長,田中高等教育政策室長,白井大学振興課課長補佐 他

5.議事録

(1)部会長の選任等について

 委員の互選により河田委員が部会長に選任された。
 副部会長については,河田部会長から北山委員が指名された。

(2)組織運営部会の会議の公開について

 事務局から,組織運営部会の会議の公開について資料3の説明があり,原案のとおり決定された。
 また,公開に関する規則に基づき,この時点から会議が公開された。

(3)組織運営部会の開催に当たり,河田部会長から以下のとおり挨拶があった。

【河田部会長】  それでは,組織運営部会の開催に当たりまして,私から御挨拶をさせていただきたいと思います。これまで,大学分科会では,昨年の8月28日に,「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」という答申をまとめるなどいたしました。その中で,大学改革の推進について精力的に審議を行ってまいったところであります。私は前期から,大学分科会の副分科会長を務めさせていただいておりますけれども,各大学が学長のリーダーシップの発揮を通じて,大学教育の質的な向上あるいは質的な転換をはじめ大学改革に取り組むためには,各大学におけるガバナンスの改善あるいは充実というものに取り組むことが不可欠だと考えられております。このような観点から,第7期の大学分科会においては,大学改革を推進するための大学のガバナンスの在り方などについて集中的に審議する。そのために,この組織運営部会が新たに設置されたと私は理解しております。
 さらに,早稲田大学の鎌田総長が座長をされております教育再生実行会議の第3次提言が5月28日に出ましたが,その中でも,グローバル化の推進,イノベーション創出などの大学改革の取組を進めるためには,大学のガバナンスの改革が必要だということが指摘されております。
 一方,社会状況の変化,大学の機能別の分化が求められる中で,きょうもそれぞれの大学に籍を置く先生方が委員として来ておられますが,国立,公立,私立という,設置形態の異なる各大学の置かれている状況・課題,各大学が重視する役割や機能というものは,それぞれに異なっていると考えます。したがって,ガバナンスといっても,学長のリーダーシップを発揮するガバナンスもあれば,逆に学長の暴走を防止するという意味でのガバナンスもやはり必要であろうし,ガバナンスと一言に言っても,非常に,大学ガバナンスの課題,在り方というものは多様である。そういう意味で,非常に難しい問題,難しい課題であると,私自身,学長をしました経験上,考えております。
特に私立大学においては,それぞれの建学の精神に基づいて,独自のガバナンスによって,強みと個性,特色のある多様な取組,さらに教育研究というものが行われている。このことに,やはり留意することも必要だと,私,現在の役職上,そういうことの必要性を強く感じております。
昨年5月29日の前期の大学分科会・大学教育部会の合同会議で,この部会に参加していただいております小林雅之教授から,アメリカの大学におけるガバナンスの問題について御報告いただきました。およそ2,900を数えるアメリカの大学は,ハーバード,イエール,プリンストンなどの私立大学,カリフォルニア大学バークレー校など,いわゆる公立の州立大学などにおいて,一概には言えないいろいろなガバナンスの形態があります。恐らく,きょう,小林委員からの御説明があると思いますし,それからさらに,フランス,ドイツ,イギリスという諸外国における大学のガバナンスの状況というものは,大学の状況や課題などによって,企業のガバナンスの在り方とはやはり異なり,多様であるということも,留意する必要があるだろうと考えます。
 そういう意味で,ガバナンスの問題は非常に困難な問題であると思いますけれども,大学改革を進めるには,ある意味でやはりガバナンス改革というのは避けて通れないものであります。各大学の意欲的な構想,取組というものを後押しするためには,一体どのようなガバナンス改革が必要なのか。こういう観点から,是非,精力的な審議を行っていきたいと考えます。是非とも先生方の率直な御意見と,いろいろな,出身母体が異なりますので,各人各様,様々な意見が出ると思いますけれども,良い成果がまとまりますように私としても努力いたしたいと存じますので,よろしくお願いいたします。以上でございます。

(4)引き続き,板東高等教育局長から以下のとおり,挨拶があった。

【板東高等教育局長】  それでは,第1回の開催に当たりまして,文部科学省を代表いたしまして御挨拶をさせていただきたいと存じます。組織運営部会の委員の先生方には,大変お忙しいところ,本部会の委員をお引き受けいただきましてありがとうございます。おかげをもちまして,本部会の審議課題を検討するにふさわしい,大変強力なメンバーにお集まりいただいたということで,感謝を申し上げたいと存じます。
 先ほどから,部会長からもお話がございましたように,このガバナンスの問題というのは,今,強く各方面から求められているというところかと思います。先ほどお話がございました教育再生実行会議の第3次提言は5月28日に出ておりますけれども,その提言の中にも,様々な教育研究機能の強化についての提言の最後に,ガバナンス改革,それから財政基盤も含めた経営基盤の確立というのが非常に重要であるということを提言されているところでございます。そして,先ほどからお話がございますように,大学改革を進めていくために,やはり学長のリーダーシップ,全学的な組織運営をどう進めていけるかということが非常に重要でございますし,そのために,学長がリーダーシップを発揮しやすいような仕組み作り,あるいは教授会の役割というものをどのように改めて再考していくかということ。あるいは役員会とか理事会といった機能の在り方の問題であったり,学長を補佐する体制をどのように充実させていくか。それから,先ほどお話がございましたように,監査機能,チェック機能などの在り方というようなことも課題になってまいります。
 そういったことは,先ほど部会長からも御指摘のように,まさにこれから大学改革というのが強力に求められる中で,それを推進するためにガバナンス改革というのは不可欠であるということであろうかと思います。しかし一方では,やはり企業,経済界とはまた違うガバナンスが求められます。大学の機能を発揮できるような形のガバナンスの在り方,あるいは多様な大学の機能に応じたガバナンスの在り方,設置形態なども踏まえたガバナンスの在り方など,いろいろなことを考えていかなくてはいけない難しいテーマであろうかと思っております。
 また,教育再生実行会議だけではなく,6月14日に決定されました第2期教育振興基本計画,あるいは成長戦略である日本再興戦略,あるいは経済財政の運営方針でございます骨太方針であったり,そういうところにもガバナンス改革というのが重要なテーマとして掲げられているところでございまして,社会全体として,今,この問題についての取組が期待されているところであるかと思っております。
 河田部会長の先ほどのお話のように,大学分科会で議論し,中教審で取りまとめていただきました,昨年8月の答申の中にも,教学ガバナンスの問題について取り上げていただきまして,前期の大学分科会では,教学という視点からのガバナンスの問題というのを取り上げていただきましたけれども,いよいよ本格的に,全体としてのガバナンスの在り方ということを検討していかなくてはいけないと思っておりまして,この組織運営部会を発足させていただいているということでございます。
 非常に幅広く難しい課題であるとともに,早急な議論・対応も求められている課題でございますので,精力的に御議論いただきまして,できる限り,年内には一応の方向性についておまとめいただければ有り難いと思っております。制度改正その他,様々なところに対応が求められる分野だと思っておりますので,大変難しいテーマではございますけれども,今申し上げましたように,精力的な御議論,御指導を頂ければ有り難いと思っております。本日はどうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

【河田部会長】  ありがとうございました。板東局長の御挨拶にもありましたように,この第7期の大学分科会で大学のガバナンスの在り方について審議するという目的で,この会議は開かれます。ただし,今お話があったように,経営基盤の改革があり,学長のリーダーシップがあり,全学的な取組をし,教授会の在り方を検討し,役員会,理事会,それから大学の機能発揮,さらに設置形態が国立,公立,私立というように異なる経営基盤の形態も3種類ある中で,かつ短期大学もあるわけです。そういう中で結論を年末までに出せということですから,これは大変な仕事だと思いますので,よろしくお願いいたします。

(5)事務局から,大学のガバナンスの在り方について,資料4~9に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【白井大学振興課課長補佐】  それでは失礼いたします。資料4から簡潔に御説明させていただきたいと存じます。初めに資料4でございますけれども,これまでに既に配付させていただいている資料の確認のために配付させていただいております。4月4日の大学分科会でも配付しておりますが,「第7期大学分科会の審議事項について」ということで,2ページ目の5番でございますが,「大学ガバナンスの在り方」という項目を挙げてございます。具体的には,大学改革を推進するための大学のガバナンスの在り方,また学位プログラムに基づく教学マネジメントの在り方といったことについて審議をお願いしたいと存じます。
 4ページをお開きいただきたいと存じます。今回,この組織運営部会につきましては,大学分科会の下に,先ほどの審議事項の5番,大学のガバナンスの在り方について専門的に御審議を頂くために新たに設置された機関でございます。
 5ページですが,6月14日の大学分科会で配付されております資料でございます。そのうちの5番で,大学のガバナンスの在り方について取り上げてございます。6ページでございます。こちらは,最近の教育再生実行会議の提言等を踏まえまして,特にガバナンスの議論をする上でのポイントについて記載しているところでございます。学長のリーダーシップの確立,学内組織の運営・連携体制の整備あるいは各大学のガバナンス改革に対する支援といった観点が求められているという現状でございます。
 続きまして,資料5にお進みいただきたいと存じます。「第6期大学分科会におけるガバナンスに関する議論について」という資料でございます。先ほど局長からもお話し申し上げましたが,第6期では,学位プログラムを実現するための教学マネジメントという観点を中心に御議論を頂いてきておりますけれども,とは申しましても,ガバナンスについていろいろな御意見が出てございます。これは,それらをフォローアップしたものでございます。「総論」の部分ですけれども,ガバナンスについては,しっかりしたシステムとして確立すべきという御意見。あるいは,システムだけではなくて,システムによるもの,そうでないもの,多様なものがあるのではないかといった御意見。あるいは,特に私学について,多様なガバナンスの在り方があるのではないかといった御意見。また,国内外の現状を調査しながら,しっかりとした実証的なエビデンスに基づいて結論を出した方が良いというような御意見が出てございます。
 その次の,「学長のリーダーシップ」でございます。学長のリーダーシップを発揮できるような仕組みが必要であるという御意見。その一方では,リーダーシップが強ければ良いというものではなくて,教員が主体的に改革に参画していくことが必要であるのだというような御意見も出てございます。また,例えばアメリカやフランスにおいても,学長と各部局の間での緊張関係が見られるのではないかというような御意見も頂戴しております。
 続いて「学長の補佐体制」でございます。アメリカにあるようなOffice of Presidentのように学長の直轄組織のようなサポート体制を,どのように充実していくか考えなければいけない。あるいは,学長の補佐機構,学部長,教授会など,それぞれの機関の権限について考えていくべきではないかといった御意見が出ております。
 続いて「学長の選考・任期」でございます。学長・学部長が選挙で選ばれていると,なかなか大きな権限が持てないのではないかという御意見,あるいは任期制というものがそもそも妥当であるのかといった御意見が出ております。
 2ページでございます。学部長に関しまして,学部長の権限が不透明ではないかという御意見。どのような役割が期待されているのかといった御意見がございました。また教授会については,本来,教学に関する重要事項について審議すべきであるのに,実態は,経営的な事項にも関与しているのではないか,その結果として組織決定の迅速性を欠いているのではないかといった御意見。あるいは,教授会が審議機関なのか議決機関なのかを明らかにすべきというような御意見が出ております。また,理事会の関係ですけれども,理事会が直接,学長を任命するようにすべきではないか。理事会が学長に人事・予算の権限をもっと付与すべきではないかといった御意見。監事につきましては,監事の機能を強化すべきといった御意見が出た一方で,監事機能などの管理監督を強化しただけでは,ガバナンスの強化につながらないのではないかといった御意見も出てございます。
 また,最後の「その他」でございますけれども,各大学がしっかりとした評価を受ける中で,おのずからガバナンスについても望ましい姿に変わっていくのではないかといった御意見が出されているところでございます。
 続きまして資料6でございます。先ほど局長からも御紹介申し上げましたが,大学のガバナンスに関連しまして,昨今の閣議決定・提言等で非常に多くのことが取り上げられてございます。1ページは教育再生実行会議の第3次提言の抜粋でございます。ガバナンスについて多岐にわたって提言が出されておりますけれども,特に二つ目の丸,アンダーラインを引いている部分ですけれども,学長・大学本部の独自の予算の確保,学長を補佐する執行部・本部の役職員の強化など,学長が全学的なリーダーシップをとれる体制の整備を進める。学長の選考方法等の在り方も検討する。教授会の役割を明確化するとともに,部局長の職務や,理事会・役員会の機能の見直し,監事の業務監査機能の強化等について抜本的なガバナンス改革を行うといった記述がなされているところでございます。
 続きまして2ページでございます。骨太方針,あるいは旧来,成長戦略と言われておりましたが,名前が変わりまして,「日本再興戦略」においても,ガバナンスに関する記述がそれぞれ設けられているところでございます。また,同日,閣議決定されております,教育振興基本計画におきましても,基本施策26,大学におけるガバナンス機能の強化というものが取り上げられているところでございます。
 資料7は,大学ガバナンスに関します主な答申・制度改正の経緯等をまとめたものでございます。平成10年に,大学審議会が,いわゆる21世紀答申というものを出しておりまして,ここでガバナンスについてかなり集中的,本格的な議論が行われたところでございます。この答申を踏まえまして,平成11年5月には国立学校設置法が改正されまして,旧来の国立大学において,大学運営上の重要事項について審議する評議会であるとか,あるいは教授会の役割について,特に教育研究上の重要事項について審議するといった役割を明確化といった法改正を行ったところでございます。その後,平成16年になりますけれども,新たに国立大学法人,公立大学法人の制度が発足いたしております。ここでは,それぞれ独立行政法人に類似したような,独立的な法人制度に基づく運営ということで,新しい制度が導入されてございます。この際,旧来,下の注書きにございますけれども,教育公務員特例法という法律がございまして,公務員法制,基本的には上司・部下の命令関係を前提にする法制度でございますけれども,特に大学自治の観点から,教授会について大きな権限が与えられていた規定でございますけれども,この教育公務員特例法につきましては,国立大学・公立大学については,現在では,法人化されたものについて適用されないという状況になってございます。また平成17年には,学校法人,私立大学のガバナンスの改正のために,理事,監事,評議員会等の機能強化が働いているという状況でございます。それぞれ参考資料を後ろに付けてございますので,またお目通しを頂ければと存じます。
 資料8でございますけれども,これまでの教育再生実行会議等の提言などを踏まえまして,本議会で御議論いただく上での,検討に際しての論点例ということでまとめさせていただいております。大きく三つの柱から成っておりますが,一つ目の柱が「学長のリーダーシップの確立」という柱でございます。リーダーシップを発揮していくためには,副学長,学長補佐,学部長あるいは専門的な学長室のスタッフなど,どのように充実していったらよいのか,またその上でどのような課題があるのかといったことが,一つ考えなければいけない点かと存じます。また予算についてですけれども,学長が学内でめりはりのある資源配分を進めていくためには,どういった課題があって,どのように対応していったら良いのかというようなことが論点としてございます。また教員人事に関してですけれども,同様に,学長が,すぐれた教員を積極的に登用するなど,めりはりある人事を行っていくためには,どういった課題・対応があるのか。特に教員の人事,大学での人事については高い専門性が求められるわけでございまして,各分野に専門的な知見を有する教員組織の意見をどのように考慮していったら良いのかといったことが論点としてあろうかと存じます。また,学長の選考方法ですけれども,学長としての適格性を十分に考慮していくためにはどういった選考方法が適当なのか。また,その際には,教員組織や評議員会などの意向をどのように捉えるべきなのかといった論点があろうかと存じます。
 二つ目の柱ですが,「学内組織の運営・連携体制の整備」の柱でございます。学部長でございますけれども,現在,学校教育法においては,校務をつかさどると職務が規定されておりますけれども,全学的な方針の下で各学部を任されている学部長に求められるのは一体どのような役割なのかといったこと。また,学部長の選考に関しましても,その適格性を考慮するためにはどのような選考方法がいいのか。また,その際には教員組織や評議員会の意向などをどのように考えていったらいいのかといったことが論点としてあろうかと存じます。それから一番下ですが,教授会の役割についてです。教授会は,当然,各分野の個々の専門家,専門知識を持った先生方から構成されるわけですが,そもそも一体どのような役割が期待されているのか。特に,学長の意向と,学部の教授会の意向が異なるような場合において,学長が適切にリーダーシップを発揮していくためには,どういったメカニズムが必要になっていくのかといったことがあろうかと存じます。
 2ページでございます。理事会や役員会の機能見直しという論点でございますけれども,学長のリーダーシップを発揮して各大学が教育研究について最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするためには,理事会・役員会の機能をどのように見直していったら良いのか。あるいは監事ですけれども,監事が会計監査だけではなくて業務監査を含めて,その役割を効果的に発揮していくためには,どのような機能見直しが必要なのかといった論点があろうかと存じます。
 次が三つ目の柱になりますが,「大学の自律的改革サイクルの確立,各大学のガバナンス改革に対する支援」という論点でございます。大学による自律的な改革の推進でございますけれども,例えば米国などでは,大学教員協会,大学理事会協会などの団体が,大学のガバナンスに関しての権限や責任についての基本的な考え方をまとめているというような状況もあるようです。我が国の大学団体,教員団体にどういった役割や機能が期待されるのかといったことがあろうかと思います。また,ガバナンス改革に対する国等による支援ということも考えられると存じます。現在でも,例えばCOC事業などでは,全学的な取組であることの明確化を求めるなど,ガバナンス改革を間接的に支援するような仕組みをビルトインしている部分がございます。どのような仕組みや支援が考えられるのかといったことが論点としてあろうかと存じます。
 2ページの一番下ですが,検討に当たって留意すべき観点としまして,先ほどのお話にもございましたが,大学の多様性・主体性の尊重といった観点があろうかと思います。国公私の設置主体,そもそも制度的に違う部分,大学によって規模や伝統が大きく違う部分,総合大学もあれば単科大学もあり,また評議員会の役割も違う部分があると思います。また理事長と学長との兼務状況など様々な多様性を十分に踏まえた検討が必要ではないかという点がございます。ガバナンスを議論するに際して,大学制度が国際的な共通理解に立脚していることに鑑みて,諸外国の大学制度と比べておかしなことにならないように,比較・均衡の視点に十分に留意すべきではないかといった観点があろうかと存じます。
 資料9は御参考でございますけれども,諸外国における大学ガバナンスの状況についてまとめたものでございます。大きく四つのパーツに分けてございますけれども,そもそも各国の大学のガバナンスの在り方については非常に多様でございまして,同じ国においても非常に多様なシステムがとられているという状況でございますので,ここに書いてございますのは,あくまで代表的なものについて記述しているということについて御理解を頂きたいと思います。管理運営組織については,アメリカやイギリスのように大学理事会などに大きな機能がある場合もあれば,あるいはフランス・ドイツなどのように,教員も加えた組織に大きな権限があるという場合もあるようでございます。また,日本の教授会に相当するような教育研究組織について,これはおおむね,諸外国を見るにつけて,特にアカデミックな事項については教員組織が一定の決定権限を持っているというのが国際的にもあるようでございます。学長の任命についてですけれども,アメリカやイギリスのように,選考委員会が設けられて,外部のリサーチ機関などを活用しながら選考するようなケースもあれば,フランスやドイツなどにおいては,学内の教員等による選挙を中心とした形での選考が行われているということもあるようでございます。また教員の任命につきましても,アメリカ・イギリスなどでは,教員組織からの割にボトムアップの推薦を踏まえて最終的に経営機構が任命するというやり方がとられているのに対しまして,フランスやドイツでは,選考委員会が選考していくというようなやり方がとられているという状況かと存じます。
 次のページでございますけれども,特にアメリカにおける大学ガバナンスの状況ということでまとめてございます。これは先ほど部会長からも御紹介いただきましたけれども,これまでの第6期の大学教育部会におきまして,本日もいらっしゃいます小林委員や上山委員から様々な情報を頂いております。そういったものをまとめたものでございますので,御参考に御覧いただければと存じます。こちらの説明は以上でございます。

【河田部会長】  資料5に前期で出た意見が書かれており,資料6はこれまでの制度改革についてです。国立大学でも教授会というものは,参考2にあるごとく,平成11年に改正された旧国立大学設置法の「第7条の4」では,教授会の役割を教育と研究という教学に関する事項だけに限定されておりました。だが,平成16年に国立大学が法人化されてから,残念ながらこの国立大学設置法は廃止されてしまいました。それから資料8に,幾つかの論点が挙げられております。特に2ページ目に,検討に当たって留意すべき観点ということで,国公私それぞれの設置形態が違う,歴史・伝統も違うということで,その辺のことを考えながらやっていきたいと思っております。
 きょう御出席の15人の委員の方々から,それぞれ,国立あるいは私立,公立,それぞれの現職の学長先生,理事長先生あるいは塾長先生等がおられますし,御自分の体験も交えながら率直な御意見を,かつ経済界の方も,教育学者もおられますし,様々な視点から,お一人ずつ率直な御意見を言っていただいて,次回の討論につなげていきたいと思います。

【北山副部会長】  大学関係者ではない私から先に申し上げます。先ほど事務局から資料の説明がございましたとおり,早稲田大学の鎌田先生が座長をされている教育再生実行会議から5月28日に提言が出ておりますが,それに先立って,そこにいらっしゃる上山委員と私が,東京工業大学で,教育再生実行会議の委員の方々と主としてガバナンスについて意見を交換いたしました。そのときに,本日の机上資料にあります,経済同友会の提言をベースに御説明し,その後,意見交換になりました。一昨年のガバナンスに関する提言に加えて,もう一つ昨年度の認証評価と情報公開に関する提言を出しており,経済界としては割とマニアックな部分にスポットライトを当てた提言を2年続けたわけです。私どもは経済界ですから,教育の中身そのものというよりは,むしろ企画された方針がうまく進むような枠組み・仕組みは一体どういうものなのかということに着目し,ガバナンスについて提言を取りまとめた次第です。
 お時間があるときに,配付された提言を御覧いただけたらと思いますが,10項目の提言を出しており,法改正にも踏み込んで提言させていただいております。たまたま,この提言は私立大学にスポットライトを当てていますが,決して国立大学の方はガバナンスがきちんと確立されているということではありませんと教育再生実行会議の委員の方々にもはっきり申し上げました。この提言17ページの「おわりに」の一番上のパラグラフに,本提言で法改正にも言及したが,法改正は必ずしも必要条件とはしていないと書いております。法律の本来の趣旨は本提言の内容に近く,法改正に言及したのは,法律の主旨をより明確にするためにすぎないということを述べています。第1パラグラフの最後の方で,要は組織として教職員の意識改革こそが最も重要な鍵となると言っています。いずれにせよ,組織全体として同じベクトルに向かうために,学長・理事長のリーダーシップの下でそれぞれの組織が動いていくような仕組み作りが必要であり,それが機能するためには,やはり意識改革が必要になってくるので,それをいろいろな仕掛けでやっていくことが必要ということから法改正にも言及したということでございます。
 もう一点,資料8に「検討に際しての論点」ということで,これからこの部会で議論される論点について記載があります。先ほどの提言でも少し触れているのですが,7年に一度の認証評価のときに,ガバナンスがうまく働き,仏作って魂入れずになっていないかどうか,実態的に機能しているかどうかを,踏み込んで評価することによって,PDCAサイクルを回していくような仕掛け作りも必要ではないかと思います。

【田中委員】  早稲田大学の田中でございます。今の北山副部会長のお話,それから先ほど河田部会長のお話にもございましたけれども,大学にも様々な形があり,ガバナンスでも,河田部会長がおっしゃったように,学長のリーダーシップが必要とされるというガバナンスもありますが,同時に学長の暴走を止めるというガバナンスもあるという話。それから今の北山副部会長のお話で,教員の意識改革が最も重要だということで,実は私ども早稲田でも,今,Vision150といって,150周年を2030年に迎えますので,あと19年後でございますが,そこに向かって大学をどう改革するかという議論を進めております。その中で今,議論しておりますのは,学長の役割,教授会の役割以外に,教員の役割の明確化ということを言っております。それから,職員の役割の明確化も言っておりますので,教員の役割の明確化ということがかなり重要ではないかと考えておりまして,教員の本来の役割というのは,教育と研究,また大学の運営に携わるということでございますけれども,では研究するということはどういうことを意味しているのかということです。また,教育をするということは何をするということ,何をしないということも,明確に定義されていない。そして,一人一人の教員が違ったイメージを持っていることがあるという。この中でも,先ほどからのお話,報告,様々な大学分科会や経済同友会のお話を伺っておりますと,かなりそこは核心をついていらっしゃるように思いました。教員は,御自分の所属している部局,学科とか研究科,若しくは専攻などに,比較的その中で最適を考えていらっしゃるわけですけれども,学長が目指している,また社会との位置づけの中で自分の大学が果たすべき役割を考えていることは,見えない場合が多いように思います。そこの価値観の共有が必要であろうと思っておりまして,一方的に何か仕組みを作って,学部長が教員にむちを入れるような仕組みを作ることが,必ずしも効率の良い,非常に効果的に教育を生むとは限らないと考えておりまして,そこに何か非常にスムーズに,意思というか価値観の共有ができるような仕組みが必要なのだろうと思っております。
 私は実は,早稲田大学に勤める前に三つの大学で,1,000名に満たない小さな規模の私立大学に二つと,中堅といいますか,かなり名前も知られた大学に勤めた後に,出身校である早稲田大学に戻ってまいりました。四つの私立大学で勤めた経験から,やはり相当異なります。ある場合には非常に学長の暴走を止めなければならないような大学もありますし,また逆に学長のリーダーシップが発揮しにくいような雰囲気になっている大学もあるかと思いますけれども,重要なことは,教職員一人一人が,役割というものを再定義して認識し,社会全体の中でその大学が果たすべき役割を見て,学長が持っているビジョンというものと御自分たちの意識を一致させることが,まず第一であろうという気はしております。北山副部会長のお話を聞いていても,非常に的確にそこのところをお捉えになっているような気がいたしました。

【金子委員】  ガバナンスは大変重要だと思うのですけれども,やはり,そもそも論から言えば,かなり,基礎的な概念はまだ整理すべきところがあるのではないかなと思います。一般的にガバナンスが重要だと言われますけれども,ガバナンスを構成するものは何かということについては必ずしも同意があるわけではありません。基本的には,監督権を持っている理事会といいますか,法人全体の存続に責任を持つ理事会,それからその機能を発揮することに責任を持つ学長及びその学長の指揮下にある組織,及び教員団,三つの組織があるわけであります。ただ,この間の関係は実はかなり曖昧なところもあるわけでありまして,ガバナンスの強化というのは,私は,強化するかどうかというのは問題だと思うのですけれども,もともとガバナンスというのは一種のルールのことでありますから,問題は,三つの主体がそれぞれどのような役割を持って,互いにどのような影響を与えると言うことができるのかということだと思います。
 これについて,しかし日本のガバナンスについては,実はかなり曖昧な面もあるわけでありまして,例えば,理事会がむしろ執行の中心となるという形態をとっている大学が実はかなり多いわけです。常務理事も入っていますし,あるいは教授会の代表,特に管理職が入っていることが普通である。あるいは理事長と学長が兼任しているという形態をとるといったことは非常に多いわけで,同友会の報告を見ましても,理事会は執行機関の機能を持つ,評議会が監督機能を持つと書いてありまして,これはいろいろ見解としては少し分かれるところではないかと思います。アメリカの場合はむしろ理事会が監督機関という意味で非常にはっきりしているわけですが,これが,一つは先ほどの大規模大学と,小規模大学の場合には,むしろガバナンスというかマネジメントが強過ぎて独走する可能性があるというのは,やはりこういうところに起因しているのかもしれません。
 いずれにしても,ガバナンスについては基本的な概念自体について整理すべき必要があるということだろうと思います。ただ,こういうことを申し上げると,この議論はかなり抽象的・観念的になる可能性があるわけでありまして,どの程度までやっていくのかということは,非常に大きな問題ではないかと思います。またもう一つ,議論したところで,固有の理想像のようなモデルが出来上がるのか,あるいは基本的に留意すべき観点というのを考えるところにとどまるのか,あるいは学校教育法等の改正に進むべきなのかといったところについても,少し議論があるところではないかと思います。私はむしろ問題を整理して,先ほどお話にありましたように,特に教員団,あるいは大学教育の関係者に示すというところが,非常に重要な役割を持つのではないかと思います。
 ただ,これまでの中教審での議論の進め方からすれば,現在の社会で,大学が社会のニーズに必ずしも対応していない。そのためにガバナンスを強化すべきであるという議論は理解できるのでありますけれども,具体的に,大学がやることでガバナンスがどうして障害になっているかということは,必ずしも例示されてきていないわけです。一般的に,どの大学が動きが遅い,ですからガバナンスがしっかりしていないのではないかという議論になっているわけでありますけれども,具体的にどこが障害になっているのかということは,やはり議論としては私は重要だと思います。これまでの中教審の大学分科会の議論で問題になってまいりましたのは,学士課程教育が学部に分かれてしまって,その中で,非常に固い殻の中で管理運営されていることによって,十分な革新ができないし,社会的なニーズにも対応できないというところは,具体的な問題として出てきていると捉えられてきたところであります。そういう意味で,私は,学士課程教育の核心について,現在の学部のガバナンスの在り方,特に学部教育,教授会に権限が非常に一元的に集中していることが,革新を妨げている側面がある。だとすれば,それをどのように改善していくべきかというところが,議論の出発点としては非常に重要なのではないかと思います。

【有川委員】  九州大学の有川でございます。国立大学で大規模大学だと理解しておりますけれども,16年の法人化の後,運営費交付金が厳しくなる中で,実に様々なことをやってきているのではないかと思います。これは,社会から一般的に見られると,遅々として進まない,まどろっこしいと映っていることがあるのではないかと思いますが,例えば私のところで2年ほど前にちょうど100周年記念を迎えました。それで,これから100年のために,この100年に居合わせた者の責任として,難しいことをやりましょうと提言しました。正月にメッセージを全構成員に出して,難しい順に二つ出したのですが,5月,それからもう一つの方は10月には,全学の理解を得ることができました。これは相当,ハードルの高いことです。
 最初の方は,部局に消費税を導入するようなことを毎年やるというものです。そういうことで,永続性のある改革のスキームという言い方をしておりますけれども,毎年1%取られるということになりますから,そうしますと,ぼうっとしていると,100年ぐらいたちますと3分の1ぐらいになってしまうわけです。ですから,本当に自分たちのことを考えないといけないし,そしてそれはみんながいるところで審査しますので,説得力がなければいけないわけです。非常に大変な改革だったわけですけれども,1月に提案したのが,5月には実施できる状況になったので,スピード感はかなりあると考えなければいけないと思います。
 それからもう一つは,大綱化に従って,ほとんど全ての大学が教養部を廃止しましたが,これからますます教養教育が大事であるということで,これまでになかったような新たな視点からの教養教育,私どもはそれを基幹教育と言っているわけですけれども,それをやろうということであります。これも,それぞれに大きな痛みを伴ったりするわけですけれども,これも10月にはできました。こちらの方が長くかかるというのは当然のことでして,これは教育ですので,すぐにできる話ではありませんし,いろいろなことを詰めてこなければいけません。そして,周到な準備をして,来年の4月からそれをやれるという体制ができました。このように,現行の中でも,リーダーシップ,あるいはある意味でのガバナンスということからしますと,大変効果のあるものだと思います。
 一方では,最近特にいろいろな方面で言われておりますことですが,これは先ほども金子委員からもございましたとおり,社会の要請に迅速に応えられているかということに関しまして,いろいろ問題があるのではないかと思います。それは,学部の自治的な部分が大変多うございますので,その中で様々なことを考えていく。そうすると,それまでのやり方を踏襲せざるを得ないことになってしまうだろうということです。この辺に関しましては何か考えていく必要があるのではないかということを強く思っております。
 そういったことなど,様々あるのですが,先ほど来,田中委員からもあったかと思いますけれども,ここでは一度,大きな改革,制度を変えるというような際に絶対やるべきことだと思うのですけれども,悪い点は確かに見えているわけですけれども,それを直していくということをやるわけですので,それによって,例えばある種の学問を展開する上で大事な多様性あるいはオートノミーなども含め,非常に,本来うまく機能していたものが駄目になってしまう可能性もあるわけでありまして,そこのところ,言うなら角を矯めて牛を殺すようなことにならないようにということは,こういう大きな議論をやるときに注意しておかなければいけないのではないかということを強く思っております。

【小林委員】  東京大学の小林です。私の方も,田中委員と同じように,幾つかの大学を経験しておりまして,最初に私立大学,それから特殊法人立大学,これは日本に一つしかなかったわけですけれども,それから国立大学ということで,幾つかのガバナンスは見てきたと思っております。それから,研究者として国内外の大学の調査をいろいろやりましたし,特にアンケートとか統計の分析というような形で様々な大学のガバナンスということを見てきました。前期の中央教育審議会では,先ほど御紹介いただきましたように,特にアメリカの大学のガバナンスについて調査した点について御報告させていただきましたけれども,そのような前期の経験も踏まえまして3点述べたいと思います。
 第1点は,法律の改正というのは確かに必要なことではありますけれども,この問題は法律の改正だけでは終わらないということです。例えば2005年に私立学校法が改正されまして,監事の機能が強化されました。ところが,文部科学省の別の会議で,監事である委員の方から,「教学面についての業務監査をするということですが,一体何をしたらいいのでしょうか」というような質問が出ました。まだそれぐらい分かっていないということであります。こういう点について,法律だけの問題ではなくて,それを実際に動かすような仕組みを考えていかないといけないということで,それがここで大きな議論になるのではないかと思っております。きょう頂いた資料8でも,学長のリーダーシップの確立あたりのことは,国公私共通で議論できると思いますけれども,そこから先の問題というのはほとんど,国立,私立あるいは公立で,違っているので,分けて議論をせざるを得ないので,その辺をこれからどういう順番で議論していくかということは,十分に詰めていかないといけないのではないかということです。それが第1点です。
 それから第2点目といたしましては,今のことに関連するのですが,やはり現状の解明というのが十分になされていないのではないかということです。これは,金子委員も先ほど申されていましたけれども,私も,アメリカの大学のガバナンスというのは,十分に見たわけではありませんけれども,やはりサポート体制が非常にしっかりしているということです。それから,一つ御紹介したいのは,学長のレビューということを行っているわけですが,これは理事会が行うわけです。理事会が学長を選ぶのですけれども,いつも理事会と学長はうまくいっているわけではなくて,時には緊張関係も生じるわけです。そういう中で学長のレビュー,評価を行うわけです。ただ,そのときにアメリカの方が強調しておられたのは,そういったレビューというのは,学長をサポートするために,足りない部分がどこかを指摘するために行うのであって,自分たちが選んだ学長ですから,それに頑張ってもらうという趣旨だということを非常に強調されておりました。ですから,そのような点を見ていく必要がありますし,例えば日本では,学長をサポートする人がどれくらいいるのか,レビューが行われているのか,そのようなことは全く分かっていないわけです。このような点についての実態を,文部科学省にも幾つかの調査がありますし,それ以外にも研究者が行った調査もあると思いますので,是非次回以降の審議会に出していただければと思います。それが第2点目です。
 それから第3点目ですが,前期の中教審の議論でも,最後に積み残し課題として,財務基盤の強化ということを挙げていたかと思います。これは,ガバナンスの問題と財務基盤の強化というのは実は裏表の関係でありまして,先ほども少しお話がありましたように,国立大学は運営費交付金が減少していて非常に弱っているし,私立大学も私学助成というものがなかなか伸びていないという状況の中で,ガバナンスの大きな改革を行うのは,非常にエネルギーもお金も要る問題ですので,やはり財務基盤の強化ということと裏表で考えていかなければいけないのではないかということです。私の論点は以上です。

【奥野委員】  大阪府立大学の奥野でございます。公立大学のことを少しお話しするのがいいかと思います。現在,83の公立大学がございますが,そのうち65の大学が法人化されております。全部,法人化されているわけではなくて,規模も大変バラエティーに富んでいますので,簡単にはひとくくりにできないというのが,公立大学の一つの特徴になっています。国立大学が法人化されたときに,すぐに公立大学も,法人化しましょうということで,手を挙げて法人化したところが数大学あって,それから,今では65校に増えています。
 そのときは,国立大学を見てやりましたので,理事長,学長というのが一人だったのです。私のところも,現在も一人で両方を兼ねていますが,地方独立行政法人法に,公立大学の場合は分離してもいい,別でも良いと,一言書いてあるのです。数年たちますと,どっと,分離している大学が増えてきました。これが現実です。なぜかというと,設立団体である自治体は,こういう社会の流れの中にあって,首長は,理事長と学長を分離して,理事長は私が任命するという方がうまくいく,あるいは設立団体の意思が伝わると思ったのだと思います。それが我々の,公立大学協会で集まったときの認識です。設立団体の意向が非常に強いですから,あっという間にどっと増えていったのです。
 さて,そこで,学長が集まっていろいろと議論したときに,ではどこの大学がうまくいっているかというと,半数以上は分離しているのですが,なかなか難しいところでして,分離したからうまくいっているというのは,そんなに多くはないのです。非常に苦しんでいるのです。分離したからうまくいっているとは限っていないのです。どちらかというと,一人の方がうまくいっているかもしれないけれど,それも簡単にはいきません。
 そこで,今,ここでいろいろ議論されているところの,先ほど金子委員がおっしゃった,ガバナンスという言葉がやはり何を指しているのかということが議論になります。今,公立大学のこの流れから見ると,私たちの場合は設立団体の意向,首長の意向というのがうまくいっているのかというのが一つと,それが大学の中で,うまくいっていると何となく受け止めますけれど,本当にいいのですかということです。大学のガバナンスというのはそういうことですか。そうすると,何か言葉が違って,大学のマネジメントをどういう体制でどうやってやるのかということが,すごく問題になるのではないかと思うのです。ですから,金子委員がおっしゃった,もう少し整理しないと,どこで議論するのか分からないという御発言にはすごく賛成です。私も,そこがこの部会の一つの目的ではないかと思います。
 実は,公立大学はそういう過程の中で,学長の権限というかリーダーシップが,かなり発揮されている大学がほとんどではないでしょうか。法人化されている大学で,困っているのは余りないかもしれません。法人化したのはなぜかというと,学長だけではないからです。学長を支える理事会,あるいはそれの選挙というか,部局長の選び方とかいうのは,例えば具体的な例だと,私の大学で言いますと,部局長はやはり部局で選挙をして選ぶのですが,規程に基づいて,学長である私が最後に決めます。ですから現実に,これは困りますと言って,私が変えた場合もあるのです。そういうことが実際に行われると,みんな緊張感が出ます。
 でも,私の大学が法人化されて,いろいろな会社経験の方などを数名,理事として入れていますが,部局長とは支店長ではないのですかと言われました。つまり,私と理事会で何か言ってこうしましょうと言うと,部局まで全然伝わらないのです。伝わるけれども,そこで終わりです。それを見て,部局長は支店長ではないということを思われたわけです。そういう体制があるので,やはりうまくいかないです。これを,何年かかけて支店長にしなければいけないのです。選挙のやり方,あるいは任命の仕方とか,教授会の運営の仕方とかを変えながらです。公立大学協会で集まるときに一番話が出るのが,教授会ですが,私は教授会は大切だと思っていますし,ボトムアップを全部潰したら大学は潰れます。絶対にボトムアップの底から提案してくる声は大切にしなければいけない。だけど,一番大切なのは人事権です。人事権だけは教授会に委ねない仕組みに,大体どこの大学もそうなっていますので,なっているのに起動しないので,それをいかに起動するかではないでしょうか。
 国立大学の場合はほとんどの場合,意向投票しますが,決めるのは違うことになっている。でも,大学のパワーというのはそれほど強いのです。私どもはそういうところを規定どおりやるように,何年かかけてやってきて,公立大学は割とそのようにみんな動いている。だから,理事会と理事の働きとか学長というのが一体になっているところは,うまくいっているし,自治体の場合は,その中へ理事長としてこられる方はかつて副知事だった人とか,そういう人が多いです。ですから,公立大学の例ですけれども,学長のリーダーシップだけをとっても,先ほどの資料8を見ても分かるとおり,すごくいろいろなことを議論しないといけないわけです。ですが,やはり私の一番の気持ちは,学長を支える理事会とか執行部とか,それを支える部局長の選び方なり何なり,意識改革をしていかないといけないのだろうなと私は受け止めています。
 いろいろな大学がありまして,部局長は選挙で選んでいるのですが,大学の執行部ときっちり合宿をやって,こんなことをやりたいという,大学の執行部の意思を伝えている国立大学もあります。私は今,国立大学の評価委員をやっているのですけれども,そういう例があります。ですから,国立・私立とか余り関係ないのではないかとも思います。そういう仕組みがやはり一番問題かと思いました。
 最後に,この委員会で何を議論するのかというのは,先ほど金子委員がおっしゃっていましたとおり,整理が一つなのだろうと思いますけれど,こういうモデルでやりなさいというのは難しいと思うし,私の個人的な意見を言えば,法律を変えただけでは絶対変わらない。でも,何かシステムを変えない限り,気合だけ入れていても変わらない。この二つ,両方ではないかと思います。

【清家委員】  有川委員,奥野委員と,国立,公立の大学の学長が発言されましたので,私立大学の学長として一言考えを述べておきます。私立大学の団体の責任者も兼ねておりますので,その視点で少しお話をしたいと思います。
 一つは,ガバナンスについては,河田部会長が冒頭に言われたことが私は一番大切だと思います。つまり,大学のガバナンスについては,二面性があるということです。一つは,今,主に議論されているのは,学長などのリーダーシップを発揮するためのガバナンスということで,これはもちろん非常に大切です。もう一つ大切なのは,学長などの行動を監視・規制する,あるいは抑制するガバナンスの機能ということだと思います。私はもともとは経済学者ですから,常に全ての事柄はトレードオフの関係にあると考えていますので,そのトレードオフのどこに均衡点を見いだすかというバランスの問題ではないかと思っています。
 特に大学の場合には,学生の人生全体に責任を持っていますから,学生が勉強している4年間だけに責任を負っているわけではありません。その後の人生全般に責任を持っているわけですから,やはりその間におかしなことがあっては困るので,例えば学長に何かやらせてみて,駄目だったら変えれば良いというようなガバナンスでは困ると思っています。私は,学生という視点が,大学のガバナンスを考える際に余り注目されないのは,非常に遺憾だと思っています。大学のガバナンスを考える際にいろいろなステークホルダーの話は出てきますし,それぞれのステークホルダーはどれも重要ですけれども,私どもは何といっても一番大事なステークホルダーは学生だと思っています。先ほどから,社会や産業界の声にも耳を傾けて変革が必要だというお話は全くそのとおりだと思いますが,それは,何も産業界に奉仕するために大切なのではなくて,多くの学生が産業界に出て行って働くことになるのだから,その学生の職業人生のために産業界のニーズ等にも応えることが大切だという意味で応えているわけで,何といっても一番大切なのは学生だと思っています。
 私どもにとって,学生というのは決して,顧客,カスタマーではありません。しばらく前に,大学改革などを語るときに,学生の顧客満足,カスタマーズサティスファクションというような言い方をされたことがありますけれども,私は,比喩としてその趣旨は分かりましたけれども,その言葉遣いには非常に強い違和感を覚えました。それは,大学にとって,学生は決して顧客ではない。4年間,何かいい教育をして,どこか良いところに就職させればそれで良いということではなくて,最終的には,その学生が自分の人生を終えるときに,あの学校で学んでよかったと思って人生を終えるかどうかです。そこのところに,私は大学教育の価値あるいは評価がかかっていると思いますので,そういう面で,学生は決して顧客ではありませんし,まして株主や選挙民ではないので,例えば大学のガバナンスが一時的に駄目であれば,また変えれば良いというようなことでは困るのです。そういうことが起きないように,しっかりと監視し,あるいは暴走しそうな場合は,内部の抑制力をしっかりと働かせるということが大切だと思っております。
 もう一つは,今申しましたのは大学のガバナンス一般についてのことでございますけれども,私立大学の立場で,私立大学のガバナンス,あるいは国と私立大学のガバナンスの関係について申し上げたいと思います。まず,これは決して自慢をしたりするつもりではありませんけれども,今,盛んに,国立大学の法人化のお話,あるいは奥野委員のところからも公立大学の経営の変革のお話がございましたけれども,言うまでもなく,私立大学は,国立大学などが法人化されるずっと前から,当たり前のこととして独自に経営を行っていたわけでございます。創立者の寄附行為によって学校法人が作られて,その中で様々なガバナンスが実行されていたということでございます。そして,そのガバナンスの在り方も,最初に河田部会長がお話しくださいましたように,様々な形のガバナンスがございます。今までもお話がございましたように,理事長や学長の権限がものすごく強いところもありますし,一方では教授会の影響力が強いところもあります。様々な形がありますが,それらは基本的には,それぞれの学校で建学の理念に沿って,独自の個性のある教育や研究が行われる中で,伝統的に培われてきたものでありまして,そういったガバナンスの特徴も含めた教育や研究の在り方の多様性というのは,私たちの知的社会の成長,特に健全な成長のために不可欠なものだと思っております。仮に国立大学,あるいは公立大学もそうであるかどうかは分かりませんけれども,ガバナンスの在り方等が国の指令などに従って画一的なものになったときに,その形だけしか日本の社会の中にないというのは非常に不健全あるいは危険なことでもあるわけで,ガバナンスの在り方も含めて,私立大学が日本の知的社会に多様性をもたらしているということが極めて大事であり,それが実は私立大学の存在意義でもあると思っています。
 もちろん,私立の学校といえども公的な助成を受けているわけですし,それから教育については,教育を受ける側(がわ)と教育を授ける側(がわ)の間に情報の非対称性がありますから,やはり,一定の教育の水準等についての規制あるいは認証といったものは不可欠だと思っております。それから同時に,多様なことをやっているといっても,ではどのように多様であるのかということについての情報の公開は徹底的に行う必要があると思っております。これについては,これも河田部会長の私学事業団などに御指導・御支援も頂きながら,私立大学の情報の公開というのを,今,各校で積極的に進めているところでございます。
 しかし,何度も申し上げますが,やはりその上で,ガバナンスも含めて大学の在り様が多様であるということが私学の存在意義でございまして,私は,そういう面では,国と私学との関係というのは,現在の私立学校法に定めてあるような規制の在り様というのが最も適切なものであって,それ以上踏み込んで国が一律に,例えばこのようなガバナンスをとるようにと私立大学に対して規制を行ったり,あるいはそれを何らかの方法で誘導したりするということは正しくないと考えます。むしろ,先ほど北山副部会長がおっしゃいましたとおり,本来の在るべき,あるいはそれぞれ多様であったとしても,きちんとしたルールの中でガバナンスが行われるように,それぞれの各大学が自律的にそうした行動をとれるような環境を整えることが大切だと思っております。以上2点,少しばかり,私立大学の視点から意見を述べさせていただきました。

【帯野委員】  まず,これだけの答申や提言が出されて,今,大学改革に取り組んでいない大学というのはほとんどないのではないかと思います。ただ,欠けているのは,スピード感と緊張感。少なくとも社会から見てそれが欠けているように見えるというところが問題で,そこでガバナンスということが取り沙汰されているのではないかと思います。しかし,先ほどから各委員のお話を聞いていても,国立・私立・単科・総合大学,それぞれ状況は異なりますし,そしてまずガバナンスというものがリーダーシップなのかマネジメントなのかという定義づけも非常に難しいわけで,つまりガバナンスというのは多様なわけです。そうすると,この多様なガバナンスをどう評価するかということなのですが,それはとても難しいとは言いつつ,やはり何らかのチェック機能が必要で,そこで経済同友会が出されたような評価システムを制度化するのは必須であると思います。ただ,この評価のシステムを作っても,大学と文部科学省,大学と国との一方向だけの取組になってしまいますので,ここに社会という,もう一本のベクトルを入れるべきではないかと思います。
 そこで,大学がどれだけ社会に情報を出しているかということなのですが,これはガバナンスには関係しないのですが,関西経済同友会で,2011年に,社会が求める大学の人材輩出戦略,副題は,まず学部・教授会の改革からという提言を出しました。このときに,どれぐらい情報が出ているのか,ホームページを独自調査しました。まず大学のポリシーが示されているか。そして学部のポリシーが示されているか。教育の成果,就職先であるとか就職指導カリキュラム,外部認証評価結果が示されているか。そして四つ目に,社会・企業との連携,産学連携プログラムであるとか,全学的なインターンシップ,ボランティア活動の取組。そして最後,六つ目に,入学ポリシー。学生数,入学者数,それから実在学者数,それから定員充足数,これがきちんと示せるか。6項目を医科・歯科を除く関西80大学を対象に調査したわけです。すると何と,6点満点は2校しかなかったのです。かわりに0点が4校,1点というのが27校,2点というのが13校。つまり,2点以下が44%,約半数近くというところでありました。これは,大学においては,情報公開をしていないという意識はないと思うのですが,公開されている情報が,企業や社会から見て,求めている情報ではなかったり,あるいは分かりやすい情報ではないということであると思います。
 そこでガバナンスの問題なのですが,評価システムを作るのも一つですが,ガバナンスが理事会にあるのか経営協議会にあるかというお話もありましたけれども,経営協議会,それから評議会の議事録は,少なくとも分かりやすく社会に公開するということが必要ではないかと思います。私は,個々の大学の状況は分かりませんが,最高の意思決定機関で何が審議されているのか,内向きな議論になっていないか,また本当に議論がなされているのかというところは,是非社会として知りたいところでありますので,この評価システムの中に,情報公開の徹底あるいはその指導・監視というのも入れていただけたらと思います。そのことによって,社会の大学に対する理解も深まるかもしれないし,何よりも大学にある種の緊張感を持たせるという意味で,このガバナンスの問題も整理できるのかなと思いますので,御検討いただきたいと思います。

【黒田委員】  金沢工業大学の黒田でございます。現在,私は三つの顔を持っているわけです。金沢工業大学の経営をやり出してもう四十数年たち,今は国立大学の非常勤理事もやって,学長選考委員会の委員とか,経営協議会の委員もやっているわけですが,それと併せて認証評価機関である日本高等教育評価機関の理事長もしております。そういう意味で,先ほど北山副部会長が言われた,ガバナンスの在り方についての認証評価における検証という話がありましたが,ちょうど今,評価機関が第2サイクルに入って,そのことに着手したところです。各大学がどのようなガバナンス,マネジメントをやって,それがどのように機能しているか,きちんと検証したのがどう生かされているかというところまで,深く評価していこうということになっているわけです。これが第2のサイクルに入って,今年からそれが始まったところですけれども,そういう制度が一つある。ですから,後々これは,認証評価として評価されたものが公表されていくということになると思います。
 私立大学を経営していて一番感じますのは,教員の意識改革なのです。何を言っても,教員の意識が変わらなかったら何も動かない。それは痛感しています。教授会が強いとか何とか言うよりも,一人一人の教員が意識を改革していただく。このことを端的に表しているのが学士課程の答申です。あの中で,組織的な教育をやってくださいということを言っています。学位プログラムに基づくきちんとしたカリキュラムを構成して,これが一人一人の教員の持ち物ではなく,学士課程,学位課程のプログラムとしての,組織の中で教育してくださいということなのです。ですから,そのことと,先生方一人一人の研究とはまた別なのです。一人一人の研究を潰すようなマネジメントをやったのでは何の意味もないわけです。ところが,教育については組織的にきちんとやっていかないと,日本の教育が国際的に通用性を失ってしまう。日本で出した学位というのが世界に通用しなくなってくるということが起こり得るわけですから,そういうプログラムをしっかり組み上げるために,どういうマネジメントを学長がすべきかということです。
 学長のリーダーシップのことを言われていますけれども,多くの私立大学でも,教授会の選挙によって選ばれる学長が非常に多いわけですし,また学長が理事長を兼ねているところもよくあります。これは,先ほど清家委員が言われたように,私学はそれぞれの生まれる母体というのがあるわけです。篤志家によって作られた大学もあれば,一定の組織を持って作られたところがある。それから,最近では,官で作って民に経営を委託するという組織もあると思います。それから,宗教団体が作った大学というのがたくさんあります。ですから,もともとの建学の精神に基づく組織というのがそれぞれみんな違います。その違う中で,統一したガバナンスを作り上げるのは不可能に近い。また,それをやっては日本の私学というのは死んでしまうと思います。ですから,多様な組織の中で何を目指すかといったら,先ほど言われたように,学生が中心で,どういう人材を世に送る大学にするかということです。それによって,どういうマネジメントを学長がとるべきかです。
 私は,理事会とか理事長というのは,私学の場合は常に黒子であれということを,外に対して言っています。これはなぜかというと,表に出るのは学長です。理事長というのが,それをサポートする組織,理事会がサポートする。アメリカでもそうですけれども,学長を選ぶのは理事会ですけれども,この学長にはこの大学の任期期間中どういうことをやっていただくかということを全部提言して,その中で学長を選んで,理事会が委嘱するということになるわけですけれども,そういう中での学長の立場というのは,理事会,理事長がサポートしなければ何もできないわけです。だから,しっかりしたサポート体制を作る。サポートするということが,一歩下がって黒子になるということなのです。学長に対するいろいろな改革の方針が出てきたら,それを資金的にも理事会が支援していくという制度が作れれば,一番私は私学にとってはいいのだろうと思います。そういう,平成16年,17年から施行されている私立学校法の改正においても,そのことが念頭にあって,理事会の機能の強化,理事長の機能の強化,それと併せて管理機能の強化をやっているわけです。で,評議員会が完全に理事会の諮問機関という格好をとらせていただいたということになるわけですけれども,理事長の暴走を止める。それをしっかり見ていくのが監事です。今度の改正では,監事が常に理事会にも参加して,また教学面の重要な事項については監事が出席して意見を述べることができることになっているわけですが,先ほど小林委員から話があったように,そのことを監事が余り御存じないということですけれども,これはある程度徹底させていく必要があるのではないかと思います。
 今,一番問題になっていますのは,学校教育法に書かれている,教授会の重要事項の権限です。これが拡大解釈されたままになっている。恐らく,文部科学省の見解では,教学に関する重要事項ということで,そこに人事権は含まれていないということをよく私は聞かされているのです。ですが,教授会が人事権を持ったような運営をされているということが問題です。教員の審査は当然教授会でやるのですが,ただ審査をするだけであって,それを決定する,採用するかしないか,昇進させるかしないかは学長の権限であるというところまできちんと切り分けができれば,これは法律改正しなくてもいける話だと思っているわけで,とにかく私学の場合は多様な運営形態があるので,一律のガバナンスではなくして,マネジメントをどう機能させるかという方に,私は重点を置いていただきたいなと思っています。以上です。

【石原委員】  金沢大学で監事を務めております石原でございます。私は20代後半から,当時の国立大学,私立大学,そして地方自治体の教育行政を務めさせていただきまして,現在,国立大学の監事ということでございますが,実は先週,大学のガバナンスをめぐって,東海・北陸の監事協議会の支部会でこの議論がございました。そこでは,監事は主に,民間の会社役員の方あるいは金融機関の役員の方が多くなっておられます。大学に初めて来られて,大学の組織の在り方や,いろいろな質問とか課題もございましたが,その中で,国立大学法人が大学を設置しているということが,なかなか組織運営上,難しいというような御意見もございました。そして,特に今のガバナンスに関しては,企業でしたら社長がいわゆる課題責任者,きちんとした指揮をとるということで,社長の意向がきちんと伝わる組織を作るのですが,大学の場合は,やはり多様な,それぞれの専門職の方あるいは教員がいて,またそれに事務局がいる。学長自身が財務と人事の権限を持っていないのではないかというような御指摘もございました。しかしまた大学が,それぞれ規模の違いや,国立大学でも地域との関わりの多様性の中で,その地域にとって非常に信頼感,存在感のある大学を目指していくという,特に今,東海・北陸の場合,地方都市という中での大事な議論ということもございました。
 私は,国の高等教育政策を具現化していく,あるいは実践していく機関として,一つはやはり,国立大学法人による国立大学は大変大事な役割を担っているのではないかと思います。これは設置形態にかかわらず重要でございますが,特に国立大学の場合には,国の高等教育政策と,それを実践していく中でのガバナンスやリーダーシップというものも,きちんと,うまくいくように考えていくことも大切ではないかと思っております。これは監事の方たちの御指摘ですが,特に教育・研究を目的とする高等教育機関のガバナンスは,民間の会社や銀行,とは違ったやり方を考えていかないと,なかなかうまくいかないのではないかということです。この点において,特に教育は今,国立大学でも統一的な視点から大学全体として,研究はやはり個々の研究者の創造力とか個性とか資質に非常に負うことも多く,自由闊達(かったつ)な環境の中で,その研究を,大学としての強みをどう生かして社会にアピールしているかということに,非常に今,意をそそいでいます。そういう意味では,国の高等教育政策を具現化していく立場や,教育・研究を目的とする大学にふさわしいガバナンス。これは,民間のよさも取り入れながら,新たに構築していく必要があるのではないかと思っております。
 また,国立大学の学長の任命権者は文部科学大臣でございます。監事も同様でございますが,いずれも任命権者というのが文部科学大臣であるということで,大学の学長は,そういう意味では高等教育政策との非常に強い責任を担っているという中で,財務・人事に関するいろいろな制約が強いということもあります。国立大学,私学もそうですが,あらゆる会議で,いつもお金の話ばかり出ます。大学がこのようになっているのかと思いましたが,やはりこういう高等教育機関にふさわしい財政基盤を今後どうしていくのか。これは,お金をもうけるためのガバナンスや仕組みというのとは全く違う仕組みの中で,財政的な担保をどうしていくかということは,やはり今後の日本の高等教育を考えるときにとても大事ではないかなと思っております。以上でございます。

【赤松委員】  私は弁護士をしておりまして,皆さんのように大学とは余り縁がなくて,大学運営調査委員をしている程度なので,体験に基づいて具体的な論点を挙げるということはできないのですが,仕事柄,法律の改正だけでは物事は終わらないということはすごくよく分かるのですけれども,先ほど来お話に出ていますように,監事が教学面について監査を行うということについて,いろいろ質問が出るということは,やはり改正があったおかげという気もいたしますので,国公立,いろいろ違いがあるとは思いますが,大きな枠組みとして,何か改正をできたらという期待があります。
 先ほどおっしゃっていたように,システムを変えなくては,やはり指し示すものがなくては,ただ変えるということはできないと思いますので,その点,いろいろな難しいことはあると思うのですけれども,システムを変えるということについて,もう少し私も勉強していけたらと思っています。以上です。

【北城委員】  私は企業経営者に加え,私学の理事長や幾つかの私学の理事・評議員を務めてきました。また国立大学の経営協議会にも参加してきましたので,大学運営についても責任の一端を感じております。教育再生会議で出されている指摘は,日本の大学教育が社会の要請に十分応えていないということです。特に,社会がグローバル化するとか,イノベーションを求められているということに対して,十分な機能を発揮していないという社会の要請があるのだと思います。個々の大学をとれば,すぐれた大学はあると思いますが,全体としては,日本の大学は改革しなければいけないということが求められていると思いますし,なおかつそれを迅速にやる必要があると思います。
 大学を改革する上で,どういうリーダーが改革を実行するかというのは非常に重要で,私はガバナンスを考えるときには,すぐれたリーダーを選ぶ仕組みをまず考えなければいけないと思います。リーダーというのは学長ですけれども,どのようにして学長を選ぶかということを考えるべきで,多様な学長がいて良いと思います。一律ではないし,私学だけではなくて国立大学も,それぞれの考えの学長が存在して良いわけです。当然,学長は学生の教育も考えますし,トップダウンだけではなくボトムアップの意見も大切にしますし,いろいろな研究分野の多様性も認められる方だと思います。
 ガバナンスで重要な点としては,どうやってすぐれたリーダーを選ぶかということに加えて,2番目は,そのすぐれたリーダーが大学を運営する際に,効果的に大学を運営していくための権限をどのように与えるかということです。権限に関して言うと,もちろん大きな方針をまず作るということも重要ですけれども,それを実現するための人事権と予算の権限も学長に与えるべきだということです。人事権の中には,学部長をどう選ぶかということも入りますし,教員の任命も入ると思います。もちろん学長は,大きな大学の場合には,全ての学部の中身を詳しく知っているわけではありませんから,学部の教授の意向というのをいろいろ聞く手段はそれぞれの学長が作って良いと思うのですが,最終的に任命するのは学長である,選ぶのは学長であるということです。単に,学部の教授会が選挙で選んだ人をただ任命するだけ,ということではないということです。大阪府立大学の奥野委員が,時にはその結果を否認するということも言われましたが,基本的には学長が学部長を選ぶことで,組織運営を効果的に実行できると思います。それから,予算の権限も基本的には学長が持っていて,それをどう学部に配付するかということも学長が決めるということです。もちろん学生がいますし教員もいますから,大幅な変更は難しいにしても,決めるのは学長だということが大事だと思います。教授会は,学長あるいは学部長からのいろいろな諮問に対して意見を言う会議として存在は重要だと思うのですが,決めるのは学長であり学部長であるということが大事だと思います。そういう意味で,すぐれたリーダー,いわゆる学長にどういう権限を与えるかというのが,ガバナンスの論点の2点目だと思います。
 3点目は,その学長が本当にすぐれた活動をしているかどうかを評価し,監督し,時には軌道修正を求めるということです。支援は当然のこととして,問題がある時には,その人を交代させるような権限を持つべきだということです。幾らすぐれたリーダーを選んでも,必ずしもそのリーダーの活動が適切ではない可能性もあるので,それを止める,場合によっては軌道修正する,あるいは支援するということを行うべきで,これがガバナンスの3点目だと思います。
 私は今,私学の理事長を務めていますが,その経験で言いますと,黒田委員がおっしゃったように,理事長が大学の教育を全てやっているわけではありません。私学では理事長が最終的に総理をする責任者となっていますが,基本的にはすぐれた学長を選ぶのが理事会の仕事であって,選んだからにはその学長を支援するのが理事会の役割であり,なおかつその学長が適切に運営しているかどうかを評価しながら,問題があれば軌道修正を求めるということだと思います。もちろん財政的な面のことも理事会で取り上げますが,基本的には財政面の運営も,できるだけ学長に任せることとして,理事会がお金を全て握っているというよりも,学長が予算と人事権を発揮できるような格好で運営するように,努めるべきだということです。
 そういう意味で,ガバナンスを考える際には3点が重要です。どうやってすぐれたリーダーを選ぶか,いわゆる学長の選任方法です。2番目は,学長にどういう権限を与えるのかということ。その中には教授会との関係も入ると思います,3番目は,その学長が健全に運営しているかどうかを監督し,時によってはその交代を求めるような,河田委員がおっしゃったような,暴走を止めるという役割も理事会にあるということで,この3点を議論すべきではないかと思います。以上です。

【上山委員】  上山でございます。まず1回目の会議ですので,全般的なお話を少しさせていただきたいと思います。この間,ここにあります中教審のことも含めて,先ほど北山副部会長から御紹介がありましたように,ヒアリング等でいろいろな発言をしてきました。例えば学長のリーダーシップが必要であるとか,あるいはOffice of Presidentの重要性,日本の大学にはプロボストのような存在が欠けていること,大学の学長が10年以上の任期を持ってやらなければいけない等々のことをずっと申し上げてきたのですけれども,それは大学のガバナンスには一体どういう意味があるかということをずっと考えていたからです。特に高等教育政策のスキームにおける大学のガバナンスの改革が,非常に重要な役割を今後果たしていくだろうと考えてきたからです。それは何かというと,日本の大学のシステムの中に決定的に欠けている,ダイナミズムと競争主義です。それを持ち込むための一つのスキームとして,ガバナンスというのは大きな役割を果たしていくだろうと考えたからです。
 恐らくは,今,ほとんどの多くのエリート大学,世界をリードする大学のかなりの部分がアメリカになっていますけれども,それはあの国の中に,大学のシステムに非常に強固なダイナミズムが存在して,いつまで自分の大学がトップの大学にいることができるか分からないという状況が常に迫られているところで大学経営を行っています。つまり,企業などと同様に,社会の中の一つのアクターとして大学は活動しているということがあって,それを支えているのが個々の大学のガバナンスであるという視点が非常に重要だと思うのです。したがって,大学は常にガバナンスを更に強化させていかなければならない。けれども一方で,画一的な,こういうガバナンスであれば正しいというような解答は全然存在しないわけです。大学同士が,大学のマーケットの中で勝ち抜いていくための競争の中で,ガバナンスという個々の大学がそれぞれのガバナンスの概念が作られていくものであろうと思います。日本においては,恐らくはそういう視点が欠けているのではないかとずっと思っているわけです。
 私は基本的に研究大学に強い関心を持っています。日本の中における研究大学が10校か15校か,一体何校あるか分かりませんが,その研究大学の中でそれぞれが,いつ自分の立場が脅かされるか分からないようなダイナミズムを作り出していくときには,このガバナンスというものは非常に大きな視点になってくるだろうというのが私の考え方であり,かつ,それが故にガバナンスの重要性をいろいろな形で申し上げてきたわけです。以降の会議でも,個別のいろいろな出来事,スキームに関しては,また発言させていただくことになると思いますけれども,一体何のためにガバナンスというものが重要かという視点がまず重要だということを,お話させていただきたいと思います。
 例えば1990年代に,アメリカのデューク大学に非常に面白いケースがありました。John Madeyというフリーエレクトンの教授が,大学との間で裁判沙汰になったことがございました。その研究者が持っていたラボとか特許を自分のものだと主張し,最高裁まで争ったケースがあるのですが,そのときに最高裁は非常に面白い表現をして,大学というのはもはや大学全体のマーケットの中におけるレピュテーション,名声を競争するという「ビジネス」をやっている存在だろうという表現をしたことがあるのです。大学というのは,様々な外部資金を手に入れ,多くの優秀な教員を引き付け,優秀な学生を奨学金で獲得し,それによっていかに自分の大学の名声を高めていくかという競争をしている存在だろうということです。その意味では,まさにビジネスという言葉を使ってもかまわないのだというのが,その判決の中で表されていた精神でした。すなわち,そういうある種の擬似ビジネス的な活動をしていく大学という存在の中では,大学の資産である教員の資質,それから外部資金の獲得能力,優秀な学生を持っていることといったことを競争のエレメントとして,互いの大学が互いに競争していく。その中で,個別のガバナンスという概念が出てくるでしょう。私立大学には私立大学のガバナンスの在り方があるでしょうし,公立大学には公立大学があるでしょうし,国立大学には国立大学でそれぞれがある。したがって,画一的にこれこれのガバナンスの在り方が正しいということを決めて,それをどこかで評価にかけるというやり方は余りそぐわないのではないかと考えております。そういう意味では,ガバナンスとは一体何のためにやっていくのかということをもう一度考え直した上で,この議論をした方がいいのではないかということを発言させていただきたいと思います。以上です。

【森脇委員】  私の方は短期大学ですので,規模が小さいため,大学も多様であるというところをお話ししようと思っておりましたら,御発言の中に,すでに述べていただいておりました。この議論ではやはり最後まで,大学は多様で,そしてまた国立あり,公立あり,私立ありというところを,常に前提に置いて議論を進めていく必要があるのではないかというのが私の最も申し上げたいところです。今回初めでもございますので,組織運営に関する実態といいますか,これまで私が感じておりましたことをお話しさせていただきたいと思います。
 まず,この問題をどこから議論して,どこへ向かうかということにつきましては,今のところ明確な考えを持っておりませんが,このガバナンスという問題は30年代から取り上げられておりますし,この資料を拝見すると,答申や様々なところで,これが実現していれば,それほど問題が起きるとも思えないぐらいに,相当具体的に提言がされているように思いました。しかし,なぜこれが実現しないのかというところは,非常に大事な,現実的なポイントがあると思います。
 その背景について少し述べさせていただきますと,今,各大学が改革を戦略的に実現していかなければならない状況下にあって,どこの大学でも取組の成果を上げたいと切実に思っているのですが,それが遅々として進まないのです。その理由に,これまで大学の場合には,マネジメントが要求されなくてもやってこられたということから,マネジメントが非常に弱く,未分化であることが挙げられます。そして,未分化なのですが,それを余り自覚していないし認めたくないという大学人の特徴があったようにも思われます。
 どういうことかといいますと,大学の全体運営のガバナンスというのは,人事や財務などは相当に専門性が高くないとできないことなのです。一般の教員等ではとても無理なのです。ところが何かできそうな錯覚を持って,教授会などでそれを議論してしまう。また,反対もあるかもしれません。教育研究を担うのはやはりプロフェッショナルな教員なのですが,それを理事会などで,それぞれが自分の経験を基に,何かできそうな錯覚を持って,議論してしまう。いずれも,各々が専門性に対して敬意を払わないで議論するので,対立が増えるばかりで前進しないということが往々にしておきがちなのです。そして大学にはせっかくいい人材がいるにもかかわらず,それが生かせないという現実があるような気がしてなりません。
 こうした背景があるので,一つは,一言で言えば意識改革のことを,この部会で検討して提言できるのであれば,明確にしてもいいのではないかと思います。もう一つは法社会になっておりますので,大学においても意思決定の規定を明確にする必要があると思います。しかし,これまた日本の大学の場合,今まで曖昧でもやってこられました。ですから,人事にしろ財務にしろ,教学事項にしろ,一体誰がそれを意思決定して,誰が責任を持って,誰が実行するのかというのが,曖昧になっていたりしますので,見直して効果的なものに改めていく必要があると思います。
 それを学内だけで変えようとしたときに,すごくエネルギーを要してしまって,せっかくきちんと整えたら学校が怪しくなってくるということもありえますので,この問題を,法改正で支援又はサポートできるようなことがあれば,私はとても良いのではないかと思います。以上でございます。

【河田部会長】  それぞれのお立場から,国立大学あるいは公立,私学,私学も様々なパターンの私学,それから企業の立場,あるいは企業のトップであられ現在は私学の理事長をしておられる北城委員の意見もありました。もう時間がございませんけれども,北山委員の方からガバナンスは何のためにあるのか,なぜ必要かという御意見もありました。それから,国公私の問題点,ガバナンスの問題点も順番に明らかにする必要があろう。現状を理解し,実態を解明することも必要であろう。さらに,ガバナンスの基本的な概念,問題点は何なのかとか,具体的にどういう障害があるのかとか,そういう枠組みの問題が指摘にされましたし,あるいは国公私,私学はもちろん,様々な形での建学の理念の下で様々な教育があるけれど,それでもやはり国公私関係なく,仕組みの変革は必要であるという御意見もございました。北城委員からは三つの点,すぐれたリーダーをどう選ぶ,それにどう権限を与え,どうリーダーを監視するのかという具体的な指摘もございました。これから以降,北山副部会長とも御相談しながら,事務局とも打ち合わせながら,期限が限られておりますので,できるだけ問題点をクリアな形にして,どこまでできるか分かりませんけれども,是非実りのある結果,成果が出るように努力していきたいと思いますので,今後とも建設的な御意見を頂ければと思います。

── 了 ──

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-- 登録:平成25年07月 --