大学教育部会(第7回) 議事録

1.日時

平成23年11月14日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.出席者

委員

(部会長)佐々木雄太部会長
(副部会長)谷口功副部会長,黒田壽二副部会長
(委員)浦野光人,金子元久,長尾ひろみの各委員
(臨時委員)吉田文臨時委員
(専門委員)高祖敏明,篠田道夫,鈴木典比古,田中愛治,長束倫夫,納谷廣美,濱名篤,山田礼子の各専門委員

文部科学省

(事務局)清水事務次官,金森文部科学審議官,磯田高等教育局長,小松私学部長,河村文教施設企画部長,常盤高等教育局審議官,奈良高等教育局審議官, 杉野生涯学習総括官,藤原大学振興課長,勝野私学行政課長,榎本高等教育政策室長,西川高等教育政策室室長補佐 他

4.議事録

【佐々木部会長】 本部会の審議課題は,ご承知のとおり3つあります。1つは学士力の問題,その質保証,2つ目はその質保証のための教育内容・方法等について,3つ目にこれらを実現していくための学内の,あるいは教学のマネジメントという問題です。本日も引き続きこういう課題に焦点を当てて議論をいただきます。前回は,教学面の,特に教育方法・教育内容,とりわけ学生の学習量やその密度等について非常に多角的にご議論いただきました。委員の先生方には,本日はその議論の続きを、とお考えになってご出席いただいたかもしれませんが,これはもう少し事務局で整理していただき,論点をもう少し煮詰めた上で,おそらく12月の会議で継続審議をいただくことになろうかと思います。
 今日の審議は,中心的には3つ目の課題、すなわち改革のための学内の実施体制と大学マネジメント,あるいはとりわけ教学に関するマネジメントの課題についてご議論をいただきたいと考えております。

 

(1)国際交流を促進するための検討事項について,文部科学省から資料1の説明があり,その後,意見交換が行われた。
【谷口副部会長】 今,ご説明いただいたのは形式的なものではなくて実質的なものをきちんと評価して,それを認めるということですから,基本的にはそれでいいと思います。私も昔,アフリカからの学生を受け持ったことがあって,1年間,年限が足りないという理由で待たせたりしたことがあるのです。その時の学生は今はもうある国の大学の教授をしていますが,能力は十分あるのに,修了年限が足りないというだけで入学資格要件に引っかかってしまうということがありましたから,能力さえしっかりしていることを一定の形で確認できれば,それで十分だと思います。あまり形式的なことを言うのではなくて能力で判断することができるようにしておいていただくといいと思います。

【佐々木部会長】 検討事項2の下から2つ目の丸に,「その大学の教育の質が,制度的に保証されていることが確認された場合」という条件がありますね。これは,どんなハードルあるいは判断基準を考えているのですか。

【藤原大学振興課長】 そのあたりの詳細はまだこれからなのですが,ご承知のように,今,世界的に質保証のシステムをつくっていこうという動きがそれぞれに出てきているわけでして,そういった国際的に総合的に認証できるような質保証システムが構築されているといったことなどを含め,これからさらに検討していきたいと考えております。

【長尾委員】 全般的に私は賛成ですが,ここから漏れるところが1つあると思うのです。それは,フィリピンの高校卒業資格を得ている生徒を日本の大学で受けようとしたときに,フィリピンは16歳で高校を卒業する。そうすると,日本は現在,2年間,特別なインスティチューションで勉強して稼がないと入学できないとなっている。「各大学の個別入学資格審査に合格し」というところは,合格しているが18歳に達していないという国はフィリピン以外に東南アジアにもあります。今度はそこをどうしたらいいのかを議論の中に入れないといけないと思います。

【藤原大学振興課長】 たしかフィリピンの場合は初等,中等を合わせて10年だと思います。今,ここの場でご提示しておりますのは,その上にさらに学士課程を経て学士の学位を持っている場合に大学院に入学できるかどうかが今回の議論の対象ですが,それも含めて,フィリピンの大学制度の中で学士がきちんととれている場合には,その接続を考えていくという内容です。

【長尾委員】 今のは大学院のことをおっしゃっていますが,そうではなくて,最後の外国に所在する,国際的な評価団体の認定校のカテゴリーとして,大学院ではなく大学に入ることの基準をどう扱うのかについてお尋ねしています。

【藤原大学振興課長】 そこは,いわゆる初中教育のレベルをどういう形で大学入学資格として評価していくかという話でして,確かにそういう問題は別途あろうかと思っています。学士の場合は,今まさに国際的なフレームワークの中で学位としての通用性の保証が進められつつあるという文脈の中でこのテーマをご提示しておるわけですが,高等学校以下になってきますと,それを保証するような国際的なシステムは今はないわけですので,そこは今の段階では課程年数主義といった考え方によっているのが現状だと思います。今のご提起は,それも含めて大学の学部段階への入学資格の問題もあわせて検討していくべきではないかということかと思いますので,それはその問題として別途,検討してまいりたいと思います。

【田中委員】 検討事項4のインターナショナルスクールの件は,必要なことであろうと思いますので,このご提案は検討していただきたいと思います。海外のインターナショナルスクールで国際的な評価団体から認定を受けた場合には,大検をとらなくても大学に進学できるという道が開かれてもよろしいのではないか。実際にはインターナショナルスクールを出て海外の大学に行く場合も十分あると思うのです。国内の大学も,今後は,いよいよ開かれてまいりますと,海外の大学と国内の大学の行ったり来たりするのも非常に柔軟になってくると思いますので,国内と海外をあまり区別することなく,最低の基準は質的に教育の質が制度的に保証されていることが条件と思うのですが,その辺が保証されているならば認めていくということが重要ではないかと思います。

【藤原大学振興課長】 ここはおっしゃるとおりでして,平成15年の制度改正時に,WASCなりの国際的な認定団体の認定を受けている国内における教育施設は制度が開かれたわけですが,外国に所在しているそういった施設が対象から漏れていたということがあったかと思います。このたびはそれも対象にしていきたいという内容です。

【佐々木部会長】 ご質問の趣旨は,行ったり来たりというか,国内,国外を重複して何年という場合についてですか。

【田中委員】 いいえ。そういうこともあろうと思いますが,そうではなくても構わないと思います。すなわち,私が申し上げたかったのは,例えばイギリスなりアメリカなりの国際的な評価を受けた海外の高校を出た者の日本の大学への進学が認められていて,日本国内のインターナショナルスクールを出た者の進学が認められないとなると,やはり片手落ちになるのではないか,どちらも同じような教育の質が保証されている場合においては,そこの区別といいますか差別をする必要はないのではないかということです。なぜそう申し上げたかというのは,日本のインターナショナルスクールを出た者が必ず海外の大学に行かなければならない,もしくは大検を受けて日本の大学に行くという状況が今日の状況に近いと思います。そこをもう少し柔軟に考えていただきたい。選択肢として,国内のインターナショナルスクールを出た学生が日本の大学に進むことも海外の大学に進むことも自由にできることが,質が保証されているならば望ましいのではないか。そうすれば,その後,申し上げた行ったり来たりということも起こるであろうということなのです。例えば,日本のインターナショナルスクールを出て海外の大学の入学資格を得て1年学べば,おそらく日本の大学に編入できると思うのですが,であるならば,真っすぐ入ることもできてもおかしくはないだろうと思うということです。

【鈴木委員】 私も今,田中委員がおっしゃたことと,これを認める方向では賛成ですが,国際バカロレアやアビトゥアの資格を審査する機関と,文部科学省とは言いませんが,各大学の連携といいますか,あるいは了解をとっておく必要があるのかどうか。ここではバカロレア,アビトゥアの資格で通れば自動的にということで,おそらくそれでもいいのでしょうが,やはり何かこういう資格の者がそのまま入学資格に適しているということを一つ確認する必要があるのではないかと思います。と申しますのは,私のICUでは,もう何十年も前からバカロレア,アビトゥアの資格を認めて受け入れてきたわけです。そのかわり,3年,5年ごとに大学自体がお金を使って教員あるいは職員を派遣したりデータを集めたりして,きちんと大学が,受験資格があるということを,学生自体もさることながら,資格を与える組織を確認してきたという経緯があります。形式的かもしれないが,そのくらいのことをやっておく必要があるのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。

【藤原大学振興課長】 確かにそういった面を今後どう考えていくかはあると思います。制度の立て方としては,基本的に各国において,その国のきちんとした制度的位置づけのある高等学校レベルの卒業者は基本的に国内,日本の大学の入学資格があるという立て方でできているわけですが,それと別途,ここにありますようなバカロレアやアビトゥアといったものは,各国政府から大変強いご要請があって,こういう形で制度改正してきたという経緯もあります。一方では,先生がおっしゃるように,その中身もどんどん変わっていくということは当然にあろうかと思います。フランスを例に出して申し上げれば,バカロレアが確かにありますが,その中身は,一般的なバカロレアだけではなくて,いわゆる職業的なバカロレアという種類もあります。そういったものが,例えばフランスの大学の中においてどの程度評価されて定着を見ているのかも情報収集を十分やっていくことも,これから必要となると思います。

【鈴木委員】 確かに私も,経験からしてこの資格というのは非常にレベルの高いものであって,信任するに値することは十分わかっております。
 それから,これはどういうふうに関連するかですが,4月入学,9月入学とあって,9月入学が特に議論されています。それで,バカロレアやアビトゥアの成績が出てくるのが,9月入学の場合にタイミング的に非常に問題になるはずです。ですので,この辺も,テクニカルな問題ですが,考えておく必要があるのではないかと思います。

【金子委員】 今日の話は基本的には大学院のほうの入学資格の話と思うのですが,今の段階でそこまで議論する必要はないと思うかもしれませんが,先ほどからの話で,大学院の入学資格については段階が3つあると思うのです。1つは学校教育法施行規則,法規上の問題,それから,基本的には,さらにもう一方では,大学が教授会で認めるか否かという段階があります。これもかなりの裁量は認められているわけですが,真ん中の中間団体みたいなものがどのような役割を果たすかという問題はあるのではないかと私は思うのです。それは質の判断をほんとうに政府ができるかどうかという問題で,アメリカの場合には,ご存じのように連邦政府は高等教育について権威を持っていませんので,大学のアドミッション・オフィサーズの団体が一定の基準をつくっていて,一種のリストを持っていて,それが大体判断の基準になっているわけです。日本の場合も,質によってと書いてありますが,これをほんとうに法規上,明記するのか,するとすれば何かのリストみたいなものを何かでつくるという考え方なのか,それとももう少し別なメカニズムを考えて,一定の中間団体みたいなところが一種のリストをつくる,しかもそれは必ずしも単数ではなくてもいいという形にするのかという問題がやはりあるのではないかと思うのです。
 もう一つは,あまり議論されていないことですが,大学院入学資格に関して大学がどのような判断をしているかについて,実は今までほとんど何も審査されていないのです。教授会の判断ですから。結果として,どこの大学とは言いませんが,私が知っている1つの例は,大学院の入学者のうち4割くらいが学部を出ていないという大学があるのです。考えていなかったと思いますが,そういったことに関しては今まで適格認定団体が全く審査をしていないのです。そういった意味で,政府が直接やれる基準を少し緩和するということは,それはそれで結構なのですが,それにかわってどういうメカニズムがあるのかを議論することが必要になってくるのではないかと思います。石橋大学振興課課長補佐は,アメリカに行ってそういうのを調べているのでしょうが。

【藤原大学振興課長】 大変的確なご指摘だと思います。質保証をこれからさらに国際的にしていくという段にあって,おっしゃるとおり政府レベルでできることは非常に限界がありますので,中間団体的な役割をこれからどこが担っていくのか,今の評価団体そのほか,どんなことがあり得るのかを含めて,幅広に検討していく必要があると思っておるところです。

【鈴木委員】 もう一つよろしいですか。今,金子委員がおっしゃったことと関連はすると思うのですが,大学の卒業,学位なしに大学院に入る,それはそれで議論というか,何か中間団体のようなもので論じる必要があると思うのですが,例えばアメリカあたりで今,問題になっているのは,奨学金と連動しているわけです。フォー・プロフィット・ユニバーシティでアクレディテッドされた大学が学生の奨学金,スチューデント・ローンを使えることになりますから,それがフォー・プロフィットあるいはオンラインの大学以外の従来のトラディッショナルな大学の奨学金を圧迫しているという議論があって,日本はまだここまでいっていないわけですが,こういうことも起こる可能性があることも承知しておかないといけない面があると思います。

【佐々木部会長】 国際交流促進のための以上の4点の措置について,特に委員の中から反対意見はございませんので,むしろこれらを推進する方向で、本日,提起されたもろもろのご意見を検討に加えていただくというまとめでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

 

(2)学士課程教育の進展に関する現状と課題(公立大学協会調査)について,文部科学省から資料2の説明があり,その後,意見交換が行われた。
【佐々木部会長】 公大協の当事者の一人として少しつけ加えさせていただきます。GPが「仕分け」でばっさり削られてしまったことは,私たちにとって大いに不本意な結果でありました。予算削減の理由は3つあったと思います。第1に,これは大学の本来業務であり、競争的資金を特別に措置する必要はない、第2は、予算のばらまきである、3つ目に,効果が上がっていない、ということであったと記憶しています。まず本来業務であったとしても,基盤的経費が必ずしも十分でないところに競争的経費としてこれが措置される意味は非常に大きいと思います。2つ目は,ばらまきにはなっていない,これだけ学士課程答申に基づいた改革が定着している事例があります、ということです。3つ目に成果について,同じことですが,200のうち約半数は何らかの形で定着して教育改革につながっています。この成果を集約したいという思いでこの調査を行いました。
 そのほか,必ずしも事業が継続されていなくても,それが大学改革等につながっている事例については,61大学の学長から詳細なご報告もいただきました。これらを参照して,今後の大学教育改革支援事業の材料に,検討の際の資料にしていただきたいという思いでこれを提示した次第です

【谷口副部会長】 折角こうやって取りまとめられたのですから,できればその内容を共有していくということは非常に大事だろうと思います。あとはこのテーマでシンポジウムを開催さるとか何かもあるのかもしれませんが,公立大学だけに限らず,この成果というか,こうだったという結果や成果をできるだけ皆さんにわかっていただく,共有できる状態にしていただくとよろしいのではないかと思います。

【濱名委員】 私も委員をやらせていただいている日本学術振興会でも,教育GPの結果が出たものについて書面調査と訪問調査の結果,大学,短大を入れて全部で17大学を選び訪問調査をやった中から8大学,特に他大学の参考取り組みの事例をまとめられたりしている報告書がだされますが,そのあたりもまた取り上げていっていただき,またそれらの大学を一堂に会して報告していただくような場がつくれればありがたいと思います。

【田中委員】 私ども,教育GPもしくは現代GPと言われたもので随分新しい試みが進んだところもあります。確かにそれが十分に外に周知されていない,発信が弱いという反省はあるのですが,公立大学協会がこれをおまとめになったのは非常にありがたいと思います。私立大学連合会のほうもそういうことが必要という気がいたしますし,私どもももう少し発信する必要があると思うのですが,確かに確実に今までアイデアだけあってなかなか踏み切れなかったことができたのは,現代GP,教育GPをきっかけにできたということがありますので,それは今後に残っていくというより,もう確実に制度化されているものも多くありますから,そういうものをなるべく数値的にも各大学が提供することが重要だろうと思います。事業仕分けにおいて,大学が本来やることと言われたのですが,大学が始めるイニシアチブには非常に促進する効果を持ったと評価していただきたいとは思っております。

【谷口副部会長】 報告書を読んでいませんので中身は少しわからないところがあるのですが,できるだけ学生,すなわち受けた側からの意見・見解,そういうものも,もし発表する機会とか皆さん集まられて議論されるというときに出していただく,あるいはこの報告書の中に入れていただくのがよろしいのではないかという思いが非常にいたします。よろしくお願いします。

【佐々木部会長】 これは,大学基準協会あたりでGP事業の総括会議とかフォーラムということは考えられませんか。

【納谷委員】 大学基準協会で実施したGPにつき総括評価したものがあります。それを冊子にして,点検したものが近いうちに出ると思いますので,ぜひ参考にしていただければと思います。全部洗いざらいやって,その後の効果もまとめておりますので,これは役に立つと思います。大学基準協会以外のところで実施したGPでも,やれるところがありましたらさせていただきます。
 ついでで申しわけありませんが,明治大学の場合,さっき田中委員が言ったように,私たちの大学にとってGPはものすごく効果があって,大学改革にも直結したことはもう間違いないと思います。明治大学もこれだけ評判が外から出てきたのもそういうことがきっかけでしたから,そういうことを私たちの大学でまとめて,外向きに出したほうがよければ,いつでも提供するつもりではおります。

 

(3)篠田委員及び山田委員から,それぞれ資料3-1及び資料3-2に基づいて説明があり,その後,意見交換が行われた。
【篠田委員】 今日は,机の上に私立大学協会の私学高等教育研究所の『研究叢書』を配らせていただいています。この研究所自身は濱名委員や山田委員,吉田委員,皆さん所属している研究所ですが,私が所属している私大マネジメント改革のプロジェクトチームが大体2~3年スパンでアンケートをとっていまして,最初のアンケートが,これはまた別のまとめですが,2006年,理事会の実態調査で,今日お配りしたのは2009年段階での調査になります。今,2011年段階でもう一つ中長期計画について踏み込んだ調査をやっておりまして,ややこしい調査なので回答率がどうなるかと心配しているところです。本日のテーマであります教学のガバナンスにも直接強い関連を持っているテーマなのですが,教学問題そのものに焦点を当てたものではありませんので,これ自体はご関心のあるところをまたぜひご覧いただければありがたいと思うのですが,1点だけデータを取り出しておりますので,そのさわりの部分のご紹介から入っていきたいと思います。
 資料3-1の6ページを開けていただきたいと思います。ここでデータを取り出していますのは中長期計画に基づく運営をしている法人の変化で,中長期計画を経営の中核をなすものと認識して調査しているわけです。私どもは私立大学協会の研究所なので,もちろんこれは協会加盟校に限定したデータだということはお含みいただきたいと思いますが,2006年段階の調査では,表にありますように24.8%です。大学数にしますと270大学ぐらいのうちの69大学です。ところが,2009年段階の調査では,下の円グラフになっているのは55%,大学数にすると130大学ぐらいと急増しています。これは厳しい競争環境とか,目標とその到達を評価する認証評価制度の効果もあったかと思いますし,補助金関係でも事業団の未来戦略補助金を初めとした中長期計画を促す補助金制度というのがいろいろ背景にあったのではないかと思うのですが,これだけ倍ぐらいに増えたのは,そういう支援システム全体が効果をもたらしたということだと思うのです。
 いずれにしても,改革のためにはまず方針がはっきりしないとだめだと私どもは認識してやっているわけですが,その中身は何かということで,8ページをご覧いただきますと,中長期計画に含まれている内容が棒グラフで出ています。その前の調査もデータが出ています。ここでご覧いただけますように,まずは財政計画や施設計画など旧来型の経営計画が冒頭に出てくるわけですが,その下にありますように中期計画に含まれている内容としてカリキュラムやキャリア教育,地域連携,学部の改組とか新増設という教学部分が結構増えてきているわけです。要するに,経営と教学が一体にならなければ改革が進まないし,評価向上に結びつくような,あるいは学生募集の改善に結びつくような成果にならないということの証明でないかと思いますが,そんなふうになってきています。
 では,これを実現するための望ましいマネジメントはどういうことがあるのかということで,『カレッジマネジメント』から「中長期計画の実質化」の資料を入れさせていただいております。私どもは,アンケート調査をする一方で40近い大学を回って経営の実態について調査をしてきており,この『カレッジマネジメント』はその中間的なまとめになっているわけです。中長期計画に基づいて,きちんとそれが実施されるようなマネジメントということ自体が非常に難しい課題ですが,例えば理事会の機能をきちんと強化して改善すること,それとあわせて大学の管理運営システムや意思決定システムがきちんと整備されていること,事務組織や職員の役割がきちんと明確になって強化されているか,経営と教学の協議組織や一体の組織運営システムが整っているか,政策が策定され推進するようなシステムになっているかどうなのか,リーダーシップの問題とボトムアップの活性化等,いろんな意味で総合的な取り組みが重要です。中長期計画があるだけではだめで,教職員にきちんと浸透して,それが教育や事業,事務に具体化されて実践される仕組みがなければ前進しないわけです。個別大学のマネジメントは千差万別で一律にはいかないわけですが,そこに共通する原理のようなものはあるのだろうということです。こういうマネジメントをやっているところはちゃんと財政上も効果があることは,添付した『教育学術新聞』の両角先生のまとめで,アンケートの中からクロス集計をして出た結論として出ておりまして,こういうマネジメントは一定の効果があることははっきりしているわけです。
 また資料の冒頭に戻っていただいて,教学にかかわるガバナンスですが,おそらく教育の充実にもこういった総合的な,構造的な改革が必要なのではないかと思われるわけです。大学教育部会のこの間の議論でも,質の向上,質の保証のために共通基盤の確立,大学の個性化,特色の発揮,そのためのガバナンスの強化ということが言われております。特にこの間の議論では教育の内容とか方法,学習量,学びのプロセス等,カリキュラムマネジメントが提起されました。これ自身は非常に重要な課題だと思いますし,最近ですと,濱名委員の『教育学術新聞』11月8日号の「勉強させる仕組みづくり」が非常に重要だという提起もほんとうに優先すべき当然の提起だと思います。そういう仕組みと同時に,あわせて大学全体の改革を推進する仕組みに実効性を持たせるためには,教学運営全体のガバナンスが一方で整備され,一体的になって動かないとなかなか効果が出てこないのではないかと思うわけです。
 資料の最初でこの間の金子委員や吉田委員,濱名委員のご報告の中からガバナンス部分だけ抜き出したものを入れておきましたが,強調されておりますように,教育ガバナンスが不在の状況,つまり教育プログラムの一貫したガバナンスがなかなかできない,教育目標に従って各科目の教育内容が編成される仕組みが不十分という構造的な問題があって,ここが改善しないとなかなか革新が起こりにくい状況です。吉田委員のご報告にもあるように,カリキュラムが体系的に構築されていない,そのために教員間の議論と調整が不可欠だが,それを促すガバナンスや大学を外部から動かすような支援や評価の仕組みが必要だと思います。濱名委員のご報告でも,規模やいろんな状況の違いでガバナンスのスタイルに違いがある。特に,『カレッジマネジメント』の中にありましたように,共通教育について責任体制が不明確だというご指摘があって,私も同感です。
 学士力答申は非常にすぐれた中身を持っていると思いますが,その実行システムや推進組織のあり方,マネジメントやガバナンスのあり方という点では,もう一歩踏み込んだ具体化が必要ではないかと思っていまして,その中で,答申の中に出ている「教学経営」という言葉に着目しているわけです。
 資料の2ページですが,学士力という提起自身が学部レベルで分断された取り組みでは実現できない性格のもので,そうなりますと,全学の教育改革の推進システムや,学部をまたがる権限とか実行責任を持った機関や責任体制の構築ということがどうしても問われてくるわけです。もちろん上からのトップダウンだけでは動かないことはもうはっきりしていますので,アンダーラインを引いてありますように,学長機構や全学の教学運営責任者,教育開発推進の組織あるいはそれを担う専門スタッフと,学部やその教育担当者,さらには個々の教員の教授過程や学習運営の相互関係というか,効率的な運営システムが改めて問題になりますし,そのあるべき姿をはっきりさせないといけないのではないかと思っているわけです。
 この間の議論の中でもカリキュラムの構造化やナンバリングの問題が出ていまして,先回,第6回の大学教育部会では文部科学省からアメリカの例も出されていましたが,これもカリキュラム自体を、部局任せではなくて,部局と,学長や副学長を含む教学の本部,統括する部門と,理事会の財政・人事の部門の3者が協働した体制でよりよい教育プログラムに改善していくという構造になっています。これはもちろん直輸入はできないと思いますが,こういうシステムの日本的なあり方をきちんと作っていかないといけない。ナンバリングができないのも,金子委員のご発言で,日本の場合には授業が属人的で標準化が遅れているということなのですが,それは構造的な問題といいますか,ガバナンスの問題を含んでいるのではないかと思っておるわけです。
 3つのポリシーも非常に重要なのですが,それがそれぞれ独立であるのではなくて,1人の学生を入り口から出口まで育てていく。その質を担保するためには,一貫したマネジメントサイクルを担う仕掛け,仕組みがどうしても要る。我々のチームはよく地方の厳しい大学にお邪魔をするのですが,そこだとアドミッション・ポリシーとカリキュラム・ポリシーがなかなか接続しないといいますか,入試自身の選抜機能がなかなか機能していないという状況の中でどうするかという問題があり,いきなりカリキュラム・ポリシーにつながらない,濱名委員や山田委員も重視している入学前教育やリメディアル教育,学習相談支援体制といった,要するに正課の教育に対して正課外の体制をきちんとしなければなかなかつながっていかないということで,3つのポリシーではなくてサポートポリシー,4つのポリシーだということを言っている大学が結構増えてきているのです。
 そういうことも含めて,それらが連続して機能する仕組みはエンロールメントマネジメントとも言われております。これも山田委員のご指摘にあるのですが,入試広報部門と教学部門,卒業生の支援部門とは実際にはなかなか連結が難しいこともあって,この点でも組織の設計の問題,ガバナンスの問題に連動してくるのではないかと思っているわけです。
 IRの問題は,この後,山田委員から詳しくご報告があると思いますが,その機能もデータあるいは実態に基づいて教育改善に結びつけるということですと,IR組織が教育改革の決定組織ときちんとつながって機能していないといけないわけで,やはりその意味でもガバナンスの問題は非常に重要な問題になってくるのではないかと思います。
 3ページに移って,内部質保証システムについてです。これも実効性ある自己改革のシステムがつくり上げられていかないといけない。評価と意思決定機関が分離していたのでは改善が進まないということになります。この点についてもかなり進んだ事例が多くの大学で出てきておりますが,目標を掲げて、実行して,アンケート調査なんかをするわけですから,評価はしているのですが,フィードバックされないといいますか,改善組織にそれが生かされて、改革につながっていかないのです。だから,ここをきちんとつなげていく仕掛け,仕組みがどうしても求められています。
 これは大学基準協会もそうですし,私が関与している高等教育評価機構もそうですが,第2サイクルからは自己評価や自律的改革の重視,内部質保証の確立を検証する方向に舵を切っていると思います。そういう点では自律的な改革を支援する方向になってきてはいるわけですが,この評価結果はもっともっと利用するといいますか,活用できる余地があるのではないかと思っています。例えば,評価機関ではすぐれた点を大学ごとに提示するわけです。すべての大学のすぐれた点を評価機関が一生懸命になって評価で抽出しますので,大学分科会での議論の中でも出ていましたが,そういうすぐれた点をテーマ別に整理して,自己評価報告書に書かれた具体的な中身も引用して入れ込んで,公表して共有するような仕組み,あるいはそれを生かして強みを伸ばしていく何らかの支援方策につなげていけば,個性化や機能別分化にもつながっていく有効な措置の一つではないかと思います。一方で,問題点,指摘事項はアフターケアをきちんとやっていくということで,高等教育評価機構でも第2サイクルからはすべての問題,指摘事項について改善報告をする方向で今,検討をしているところで,多分ほかの機関も充実されていく方向にあると思います。問題点を直していくことをほんとうに組織的にやることができれば改善が進むと思いますが、ただ、評価機構でやれる範囲は,機関の性格もありまして限界がありますので,以前出ていた議論では人材バンクだとか,いろんな議論がありましたので,そういうのにつなげて本格的な支援が出来れば,大学の弱みをきちんと系統的に改善していくものにつながっていくのではないかと思います。
 FDやSDの話も,FDは,いわゆるイベント型といいますか講演をやって終わりというところからかなり進んできているのではないか,授業改善に実際につながるようなシステムになってきているのではないかと思うのですが,それをさらに発展させていくという点でいうと,それをいかに組織化し,制度化し,規定化していくか、教学運営の改善につなげていかないと定着したものにならないと思います。
 SDも,職員の個々の能力を高めることの重要性はもちろんですが,それをどのように生かしていくのかとなると,当然ながら管理運営の問題になってくるわけです。つまり,職員がどこまで教学機関に参加して,権限を持って教員と一緒になって協働で仕事ができるかというマネジメントの問題,ガバナンスの問題としてさらに前進させていかないといけないのではないかと思います。SDについては,前回の議論でも資格制度というのがありまして,私も非常に良いと思いますし,桜美林大学で授業を持った体験からしても,職場に秘密で来ている人も随分多いので,国のレベルで一定の要件を備えた教育課程を持っているコースや教育機関を認定して,もちろん資金的な援助,授業料補助等も非常に有効だと思いますが,例えば認定証明を発行したり,公的な励ましを与えていただくようなことをすれば,職員のレベルの向上に役に立つ,励みになる措置ではないかと思っております。
 こうした管理運営の問題については,実は平成7年,1995年にも「大学運営の円滑化について」というのが出ておりますし,その後の「21世紀大学像」の中でも触れられております。ただ,もう15年ぐらいたっておりまして,新たな課題といいますか,この状況変化の中でさらに具体的に推進システムのあり方について見直していかないといけないのではないかと思っております。
 4ページ以降については,ではそのためにどういう支援システムがあるのか。金子委員が国と,中間機関である団体とか法人と,個別大学の3つが三位一体で取り組んで支援システムを構築しないとだめだということで,全くそのとおりだと思っております。大学の教育改革の総合的な支援のメカニズム,それぞれがいろんな取り組みをする、その相乗効果で成果を出していくということが重要だと思います。

【佐々木部会長】 引き続き,次に山田委員から提起をいただいて,あわせて質疑応答,意見交換をいたしたいと思います。

【山田委員】 私の資料は,「大学教育の向上を支援する仕組みの構築」ということで内容をまとめさせていただいております。
 1枚目は,「これまでの議論をふまえて」ということで,金子委員,吉田委員,濱名委員が提起されてきた共通点は,いわゆる教育のガバナンスの不在です。これも後ほど関連してまいりますので,また後でご説明させていただきたいと思います。
 それでは,2枚目,「学生側から見た教育効果の検証は?」ということで,佐々木部会長が冒頭でおっしゃいました今までの教育の質も関連しまして,少しご紹介させていただきたいと思います。
 結論を先取りして言えば,この3点にまとめられることであります。継続データを参照すると,さまざまな教育方法の導入や個別の努力の効果は,ゆっくりですが,着実に進捗しています。週当たり授業コマ数は改善しておりますが,残念ながら学生の学習時間は増加していません。GPによる新たなプログラム,初年次教育の効果,アクティブ・ラーニングなど新たな教育内容や方法による効果は,少しずつではあるが,学生も実感しつつあるということです。つまり,学生側から見た教育の成果の現実というところをご紹介させていただきたいと思います。
 データでありますが,これは2004年以来ずっと続けてきております,大学生調査,新入生調査そして短期大学生調査という3つの調査があります。それらをまとめてJCIRPと呼んでおりまして,吉田委員もこのメンバーでかかわってくださっております。これは,カリフォルニア大学ロサンゼルス校の高等教育研究所が1966年からつくってまいりましたCIRPの中の大学生調査と,そして新入生調査とも互換性のあるものです。したがって,国際比較ができるということと,それを,また日本の文脈に合わせて多々変更しておりますので,日本の文脈にも合っているというような調査です。
 今回,ご紹介するのはCSS2005というのはアメリカ版です。2007年は2007年の大学生調査,2010年は昨年行いました大学生調査で8,300名,国公私立大学71校でして,内訳はご覧ください。
 4ページは何が変わってきているかということですが,成績の厳格化は進展しているのではないか。その中で,継続から見たときに一番問題だったのは,日本の学生たちが成績を把握していないということが2005年のデータではありました。それが徐々に,2007年,2010年と比べますと減少してきています。やはりそこにはGPAの効果があるのではないかということです。もう一つは,アメリカのほうは成績インフレという状態があるようにも読み取れます。
 次の5ページ目は,これは金子委員も前にご指摘されていました学生の学習時間です。学生の学習時間,授業時間以外の勉強時間は,日本の学生は非常に短い。これは継続調査で見ても増加していないわけです。ただし,授業や実験への出席時間は,かつては非常に多かったのですが,継続データでは大幅に改善されているわけです。
 次の6ページですが,これはいわゆる学習成果の自己評価になります。ここは,実はアメリカと日本を比較するのは非常に難しい点がありまして,この「大きく増えた」という比率を見ると,上のブルーがアメリカですから,日本は非常に低くなります。ただ,これは日本の学生の答え方という問題がありますので,そこで次の7枚目,「大きく増えた」と「増えた」ということを見てラーニング・アウトカムの自己評価を見た場合に何がわかるかといいますと,この黄緑の線が一番新しいデータです。そうすると,いわゆる学士力に関連した項目,例えば分析や問題解決能力,リーダーシップの能力,少し違いますが,人間関係を構築する力,異文化の人々と協力する力,地域社会の直面する課題,文章表現の能力,プレゼンテーションの能力といったところは,若干ながら徐々に効果が上がってきているように学生たちは認識しているということがわかります。
 それでは,そういうものが一体何からかということで,今度は教育の工夫ということで,授業の中で,アクティブ・ラーニングと呼ばれる学生たちを主体とした能動的な学習方法がとられているものを見てみました。そうすると,例えば学習経験の中で学生が自分の考えや研究を発表する場合が,ある場合とない場合,これは国公立と私立で分けておりますが,「増加した」と答えている学生が国公立,私立ともに,一般教養の分で70.1%,74.7%と増加していることがわかります。つまり,「減少した」という学生よりも,やはり実感としてこういう機会によって「増加した」と答えている学生が多い。それは同じように,9ページの専門分野や学科の知識の中でも,同じ機会があることによって「増加した」と答えている学生のほうが比率が多いことがわかります。
 同じように,次の10ページで,分析や問題解決といったものに関しても,これは非常に有意に出ているのですが,学生のそういうアクティブな経験というのが生きていることがわかります。
 11ページは批判的思考力で,これは若干ながら高いというところであります。
 学生同士が議論するということに関しましては12ページをごらんください。これも若干ながら「増加している」と答えている学生のほうが多いことがわかります。
 また,その次のページは13ページですが,これはコミュニケーション力が増加したというものを,授業中に学生同士が議論をする,学生自身が文献や資料を調べることでどうなっているかということを見たグラフです。国公立の場合は,文献や資料を調べるという経験が生きている。逆に私立大学のほうは議論をするという経験が生きていることがわかります。
 14ページですが,このように近年のさまざまな,今日の話題にもなりました,いろいろな教育の手法の改革,大学教育の改善の試みといったものをまとめて教育改革と言わせていただければ,今日はデータを出しておりませんが,最も進捗してきて実際に根づいてきたのは初年次教育です。ですから,初年次教育はプログラムとして機能している。アクティブ・ラーニングは取り入れられつつある。授業やプログラムを通じて,学生は徐々に成果を実感しているということです。
 一方で,解決されていない根本問題として,こうした学習成果を大学全体としてあまり把握していない。初年次教育プログラムの効果が,専門教育や共通教育へとなかなか継承されていない。こういうことは先生方といいますか,個別な努力であって,組織的なガバナンスには結びついていないというようなことにまとめられるかと思います。
 そこで,例えば教育の質の保証をするときにどうするかといった点で,これからの仕組みを考えてまいりました。それについて,ご紹介させていただきます。
 16ページをごらんください。実は,IR,これは米国で登場いたしましたインスティチューショナル・リサーチという概念でありますが,これは非常に多岐にわたっております。まとめて言えば,報告業務と政策分析,計画策定,エンロールメント・マネジメント,財務管理,質保証,学習成果のアセスメント,プログラムの検討,アクレディテーション対応という3つの領域での活動を行ってきて,これが大学の経営の意思決定に役立つというような位置づけがされております。それで,これは非常に多岐にわたっておりますので,例えば(C)であります部分を,日本で教学に関するだけのIRとして考えて,それを教育ガバナンスの支援の仕組みとして機能させることはできないのかというような考え方です。そうすると,先ほど冒頭で述べさせていただきました,金子委員,吉田委員,濱名委員の3名によります問題提起,教育のガバナンスの不在――金子委員,吉田委員は大学を動かすための外部からの仕掛け(支援や評価)の構築,濱名委員――大学によるガバナンスの多様性ということ,これをかんがみて,支援する仕組みとしてどういうことが考えられるかということを考えました。そうすると,大学の個別性を考慮しつつ,標準性を活用することで大学間連携教学IRの仕組みの構築ができないかということです。
 18ページをごらんください。ここで学習成果を把握するということで,一般的にいわれていることは,直接評価と間接評価があります。私どもの,先ほど提示させていただいたのは,あくまでも間接評価です。これを組み合わすことができないか。つまり,組み合わすことで大学の中にある直接評価,試験の結果,あるいはGPA,成績といったもの,そういうデータと学生調査の結果というものを組み合わす。それによって,標準性を検証しつつ,大学独自の個々の個別性による特色が充実できないかということで,2009年度から連携大学間におけるIRネットワークシステムを構築してまいりました。これは設計図が20ページにありますように,いわゆる大学の中にある教学に関する直接の学生たちの指標をシステムの中に取り込んで,標準的な学生たちの学生調査とあわせながら分析をしていくという概念です。システムの利用イメージは21ページをごらんください。このポイントは,直接評価と間接評価の連結による評価をするということであります。
 そこで22ページをごらんください。これをすることで何ができるかということですが,過去3年間行ってまいりまして,いわゆる4大学間で比較検討,この学生調査結果を分析して,傾向や対策を相互評価する。そして,教育の質保証の向上と指標を設定するということで行ってきております。同志社大学が代表校なのですが,連携校,北海道大学,大阪府立大学,そして甲南大学が参加してくださっています。この中で,それぞれの担当が違いますが,例えば府大は策定中のラーニング・アウトカムを参照しつつ,ベンチマークから相互評価方法を確立するということを担っていただいております。当然,これは教学IRでありますから,何らかの形で学生たちの教育への還元をしていかねばなりません。そこで,4大学の中で共通性が高いものは何かというと,グローバル化という中で英語が考えられましたので,英語の教育成果を測定して,連携大学が提供する英語科目の共通の到達目標の設定をする。当初,これはナンバリングということを考えておりましたが,4大学であっても個別性がありますので,そんなに簡単ではないということがわかってまいりました。つまり,このIRのコミュニティーを教学に特化して考えていることといたしますと,客観的なデータに基づいた現状評価文化を高等教育機関全体に普及して広げること。それが,いわゆる教学のガバナンスにつながるような支援システムを構築していきたいということです。もう一つは,こういうネットワークを通じてデータ分析を容易にできるシステムを利用,分析できる人材を育成する。つまり,1大学の中では,これを担当する部署,そしてまた人材がネックなのです。それをこういうコミュニティーの中で育成していこうということです。
 最後に,教学ガバナンスを支援する仕組みとしての教学IRの機能と課題ということで申し上げさせていただきます。効果的な機能は一体何か。これは連携によって個別大学内だけでは進められない,組織的な教育改善への客観的,標準的データを提供するということです。つまり,標準性ということを提示することによってベンチマーチができる。しかし,その標準性というものだけでなくて,個別大学の中では個別性というものをつくり上げて,充実させることができるということになります。
 しかし,直面する課題としましては,これは教学ガバナンスの根本的な問題ですが,日本では教学のデータは一体だれのものなのかというのが非常に難しい課題になっております。大学所属ではない,学部,学科,専攻に所属している。これは吉田委員の前の定義で,学科間でもなかなか話し合いが難しいということにも関係してくるようなことですが,この教学データというものは,欧米,特にアメリカでは大学全体のものであるという認識が一般的になされていますが,日本ではそうではない。また,ベンチマークをポジティブに受けとめない。外に出したがらないということで,比較が非常にネガティブにとらえられる。しかし,連携することで,むしろそれを標準的なベンチマークとしていくことによって,お互いに努力することになる可能性もあります。それが効果的な機能と私どもは考えているわけですが,こういう仕組みというものを1つ,教育ガバナンスを支援する仕組みとしてご紹介させていただきました。

【谷口副部会長】 少し山田委員の資料で教えてほしいのですが,最初のところで,例えば5ページからいろいろなグラフ等々ありますが,これは極端なことを言うと,文系とか理系とかそういう区別をしたようなデータでしょうか,学生のデータについて,どういう分野の人というのはわかるのですか。

【山田委員】 ここは総合の答えしか出しておりませんが,3ページには専攻分野の内訳があります。3ページ,データについてというところであります。

【谷口副部会長】 これはいろいろな分野の学生が混ざっているということでしょうか。

【山田委員】 はい。

【谷口副部会長】 8,000人なら8,000人の人たちはこういう構成ですということで,それを例えば,文系,理系の分け方がいいのかどうかわかりませんが,ある専攻の方の傾向と,違う専攻の人の傾向というのは,そんなに違いがないと見たほうがいいのですか。それとも違うのでしょうか。分野によって違うのではないかという印象で勝手に思っているだけですが。

【山田委員】 ここでは出しておりませんが,分析は分野別に分けておりますので違いはあります。

【谷口副部会長】 その辺の違いとかいうのがわかると,それぞれの対応の仕方があるかなという思いが,少しあるものですから。もう少し詳しいデータ等で何かがわかるといいと思ったものですから。

【山田委員】 ありますので,またお送りさせていただきます。

【谷口副部会長】 ありがとうございます。それからもう一つ,14ページで,「進捗してきたこと」は何となくわかるのですが,「解決されていない根本問題」ということで,これは例えば,このデータはどこからこの結論が導かれるのですか。

【山田委員】 ここの,時間の関係から学習成果は把握されていないということに関しては提示させておりませんが,基本的にJCIRPは全大学の全学部に申し込みの募集をしております。各学部でご参加いただくのですが,実はそれがなかなか,とまっていたり,あるいは大学全体として把握できていないということが申し込み段階でありますが,別のデータとしてあります。

【谷口副部会長】 ここに示された図表等の中で,どこかを読みとればそれがわかりますか。

【山田委員】 いいえ。

【谷口副部会長】 どう読むのかなと思って,それがわからなかったのです。そういうことではなくて,別のデータがあって,こういうことが言えるというふうに理解したら良いですか。

【山田委員】 はい、そうです。

【谷口副部会長】 わかりました。

【長尾委員】 質問させていただきたいのですが,先ほど,このIRシステムについて,評価基準として共通できるということで,英語のことを言ってくださいました。そしてまた,データベースを分析できる人材を共有できるということもおっしゃいました。そうすると,質の保証のための基準を4大学で、ある程度持とうということが意図なのでしょうか。そして,その評価をするだけではなく,共通教材であるなり教育方法などのシェアリング等まで発展していくのでしょうか。

【山田委員】 当初はそこまで考えておりました。それで質の保証のところまでは,実は英語に関してのベンチマークをつくり上げるということと,英語は標準的だと思っておりましたので,カリキュラムを4大学でもナンバリングするなり,ある程度標準化できないかということを想定しておりました。ただし,先ほど標準性と個別性と申し上げましたが,そのあたりは英語でさえ,ナンバリングというのは各個別の大学の中ではできたとしても,共通では,かなり難しいというのが今の感触です。ですから,逆に言いますと,個別の段階でそれができた上で,もう少し全体的な,標準的なナンバリングへといかなければいけないのではないかということであります。
 質の保証に関しては,これはあくまでも支援ですので,そこまで質の保証をすることはできませんし,もう一つは,やはり大学全体の教学ガバナンスにも関連していきますので,こういう仕組みとして提示して,それを大学の中で,例えば教学の1つのものとして使う,内部質保証システムとして使っていただければというのは思っております。

【濱名委員】 私どもも,実は別にIRシステムを開発しておりまして,広島の比治山大学や神戸親和女子大学など,大手総合大学グループとは違う,中小規模の大学でやろうということです。山田委員がおやりになっていることは,この18ページでいうと間接評価の部分についての仕組みを幅広くベンチマークをつくって,全体の中での自学の位置づけを知ることなどに重点を当てておられるのに対して,我々は直接評価で個別大学の中での改善をつくる,その分析方法に力点を置いてやっているのです。我々は日本語とかのテストを開発し,ライティング等々については共通のルーブリックを使ってレポートの評価をしたりするなど,どのようにライティングを評価していくのかという尺度づくり,直接評価に活用できる尺度をつくるなどに共同で取り組んでいます。山田委員のお誘いで,来年度から私どもの大学にもコンソーシアムに入れと強くお勧めがありまして,それで入るのですが,多分部分的な参加にとどまり,全学生のデータをJCIRPの中にコミットするつもりはないのです。というのは,金沢工業大学などもよくやられますが,全体や,他大学との比較をするのだったら、部分的参加のサンプリングデータでも構わないのです。ただ,先ほどの山田委員の分析だと,例えばアクティブ・ラーニングの効果ではないかという形での分析,要するにデータが学生個人を特定していないので,全体のグロスで見ていくという集計しかできない。我々の場合は,そういう力が伸びた学生はどのような授業をとっていたのか,あるいはドロップアウトしている学生はどうなのかという,具体的な自分たちの集団の中で直接的な評価をやっていくことが,我々,中小私学にとってみれば,より重要だというので,そういう分析をしています。
 例えば日本語能力の1例を挙げると,入り口の段階で,最初に日本語能力のテストをして,その結果をフォローしていくのです。テスト結果でみてどういう学生が一番ドロップアウトしているかというと,テストを受けにこない学生です。そういう学生をモニタリングしていけば何とかなっていくといったように,初年次教育の効果も山田委員が言われるとおりで,データでもそのとおりの裏づけが行えるのですね。初年次セミナーの成績が70点未満の学生はドロップアウト傾向が高いといった結果が出せます。それをほかのプログラムで何か補完できるのかというと,「学習技術」という科目で80点以上とっていると,中退率が抑えられています。つまり,一番は適応なのだが,スキルがある程度身につけば中退しにくいとか,そういう分析が可能なのです。
 ですから,山田委員が言われるように,間接評価による他大学との比較も必要なのです。つまり,自分の大学の立ち位置がどのあたりなのかということと,自分たちの大学の教育の改善をどうするのかということを学内に見せていかなければいけないのです。私どもと山田委員のところとはアプローチが違うのですが,大学のガバナンスが,全学でそういうことをやろうというときにやれる大学と,おそらく同志社大学のような大規模大学とは違いがある。大規模大学では学生の個別データをIRのプロジェクトのために自由に使うことは簡単には許されないのだろうと思うのです。
 そういう,我々中小規模校でできることと大規模校でできることの,きちんと仕分けと,どういう促進をすれば,そういう分析ができるのか。私どもも,戦略的大学連携支援をいただいたおかげで,こういう取り組みができたのです。私どもは地味に水面下でやってきたものですから,こういうところでほとんど話題が出てこなかったのですが,やはり3年ぐらいかける。そういう仕組みができ上がるようになってきています。そういうデータが使えれば,今までのアウトカムというのは,申しわけないのですが学生の自己評価です。学生の自己評価というのは,いざ社会に対して発信していくときには説得力が弱い。我々としては,何とか標準化できるような仕組みを少しずつでもつくり上げていって,それで産業界であるとか政治の世界も含めて,社会に対して,そういう分析を見せていかなければいけないと思っています。それは,ある程度可能なのではないかと思います。
 ただ,いいところまで,ルーブリックでいいますと,アメリカへ今,石橋大学振興課課長補佐が渡米中ですが,私が行ってみて思ったことは,自分たちがやろうとしていることはそんなにおくれていないということです。なぜならば,アメリカの大学は規模が大きいので,うちのような中小大学はほとんどないので,うちのように共通ルーブリックを使ってライティングの評価をしようなんていうと相手が驚くわけです。よくそんなことをやろうと思ったねと。だから,日本の大学の教育の規模が小さいからできるようなことも,やはり中小は中小なりのやり方があるのではないかと最近思っておりまして,山田委員のところとはライバル関係ではあるのですが,次年度からは多少相互乗り入れをしてやっていければと思っております。

【山田委員】 私どものこの設計のシステムの中でも個別の学生に対する効果を丁寧に見ていくことは大規模大学ではなかなか難しいところというのは,おっしゃるとおりなのです。そこで直接評価と間接評価を組み合わせるということは,既にあるものです。だから,単位の累積,あるいは状況,GPA,それから成績等と組み合わせる,あるいは就職の状況とかと組み合わせるということも,この中でするように3年間してきて,先ほど言い忘れましたが,これは戦略連携でいただいたお金でつくってきたものです。

【谷口副部会長】 教育の改善のために現状の理解を幾つかさせていただいて大変ありがたいと思っていますが,もう一つ,山田委員の資料の中の学生側から見た教育効果の検証というところで,週当たりの授業コマ数は改善しているとあります。これは学生から見ると,授業が今までたくさんあったものが少しは少なくなったというような意味ですか。

【山田委員】 はい。これはなぜかというところまで聞いておりませんが,当然キャップ制とか,大学によって単位,1セメスターでとる上限を決めて機能させている大学が増加しているかと思います。それがこういう授業時間,コマ数に反映されているのではないかという想定です。だから,それをもっと組み合わせて,それこそ学生のデータも,このシステムの中で見れますので,単位をどれぐらい1学期でとっているのかということと見ていけばわかると思います。

【谷口副部会長】 ところが,それがまあまあ改善されているが,今度は学生が勉強しないとなっている。すなわち,学習時間が増えていないということになっているのは,ここは何が問題なのか,要するに根本的に何を解決していかないと改善されていかないのか。やはりそういうところがわからないと教育改善の方向は出せないかと思います。

【山田委員】 このデータとは別ですが,自分の大学で,私が教育開発センター長をしていたときの経験に基づくことになりますが,1つはやはり学習させるような仕組みというものが,シラバスの中で,予習,復習の項目をしっかり立てて,その中で,この時間にはこれだけを予習してきて何時間というようなシラバスを多くはつくっていません。だから,その15週だったら15週の1週当たりでこういう文献を読んできて,ここに係る学習というのはこれぐらいの時間であるとか,そういうところを対応させていくという,やはりシラバスの設計というのは非常に大きいかと思いますし,当然,その中間的なところで,あの話題にもなるんでしょうが,中間評価みたいな形で,学生の形成的評価をしていくというのも大事ではないかと考えています。

【谷口副部会長】 シラバスの中身についてまで,ガバナンスをきかせて,ある種の指導してというか,きちんとこういう形にしなさいと指示するということがかなり効果があり得るということですか。

【山田委員】 あると思います。

【谷口副部会長】 私どもはシラバスの充実について,ある程度は指導を進めています。シラバスについてきちんと書く人と書かない人がいるので,シラバスの記載法を標準化して,あるレベルまでできていないとだめだということを明確にさせていただいていますが,そういうものはある種の効果がある,つまり,学生に勉強させるというか,勉強時間を確保するためには,ある種の効果はあると思ってよろしいということでしょうか。

【山田委員】 北海道大学がそれをしていらっしゃって,実質的な学習時間を増加させてきております。その仕組みは今おっしゃったようなことで,しっかりと実質化してこられておりますので,言えるのではないかと思います。

【金子委員】 今の議論に,別に反対するわけではないのですが,あまり誤解があってはいけないと思いますので,一応これは私が前にお話をしたときに言いましたが,学生の自分の学習時間を増加させるのに何が一番大きな要因かという問題ですが,今,行われている授業の改善は基本的には3つのタイプがあると思うのです。1つは「統制型」というか,出席をきちんとチェックする。それから小テストを何回もやる。基本的に何をやるのかプリスクライブといいますか,注文をつけると,それが一応統制型の授業改善。2番目が,私は「誘導型」と呼んでいるのですが,比較的わかりやすく授業をする。それから,なぜこういうことが重要かを学生にわからせるように授業をする、これが誘導型です。3番目が「参加型」といいますか,学生にいろいろと発言をさせるとか,グループワークをさせるとか,レポートにコメントを出すなどです。
 我々のデータで効果からいうと,統制型は実は効果がほとんどない。これは少しいろいろとデータ上の問題もあるかもしれないのですが,実は少しマイナスになって出てきたりするのです。それはなぜかというと,多分それは勉強をしない。大学はやはり強制しないといけないからということで,そういうことになっているのかもしれないのですが。比較的効果があるのは2番目の誘導型でして,これはある程度効果があります。ただ,一番効果があるのはやはり参加型で,レポートへのコメントは学習時間にすごい効果があるのです。それと我々が発見したのは,参加型の授業と誘導型の授業をやっていると,授業に関係なく自分でする勉強も少し増える。ですから,統制型といいますか,何をやれというのは非常に必要に見えるのですが,私は少しリザベーションがあるといいますか,やはり参加型のほうがきくのではないかと思います。
 ただ,これは山田委員のデータでこういうことが増えているということですが,非常にそれは少ないのです。そういうものをよく受けたという学生は1割ぐらいで,しかも選抜性の高い大学ほど少ないわけです。要するに,いわゆる難しい,高偏差値大学のほうが少ないです。それはなぜかというと,多分学生があまりなれていない。先生もやはり難しいことをしゃべって,学生も難しいことを聞いていたほうが,何かどうも勉強しているような気になるらしいのですが,そのためにどうも普及が遅いのではないかと思います。
 それともう一つは,これは非常に重要だと思うのですが,日本の先生は授業に時間をかけていないのです。授業はたくさんやっているのですが,個々の授業に時間をかけていない。すごい時間がかかるのです。レポートにコメントを書いたり,授業の準備などをしますと。そこが私は非常に大きなネックになっていると思うので,これは前も言いましたが,日本の先生は非常に授業を多く持っていて,少人数の授業をしないといけないという固定観念があるもので,だけど,個々の授業自体はあまり密度が濃くないという構造になっているというのは私は問題だと思います。
 申し上げたかったのは,コミットメントを誘導するというのが非常に重要で,必ずしも強制的にというか,統制するだけでうまくいくものではないと私は思います。

【浦野委員】 少し企業の視点から3つほど感想めいたことになりますが,お話をさせていただきます。
 まず最初に,先ほどの山田委員の一番最後で,ベンチマークをポジティブに受けとめないという部分です。これがまず一番大きな要因としてあると思います。大学はたった800しかないのですが,企業はけた数が3つも4つも違う。そんな中で,企業の場合には財務という数字を通じて企業の経営指標というのは公にされていまして,これはもう大企業も中小企業もきちんとベンチマークできるわけです。業種別にも,いろいろな意味でです。例えばそういう経営指標の中に,メーカーであれば不良品の率とか,さまざまな形でベンチマークができるようになっています。これは私はそういう意味でいうと,ある意味,高々800なのですから,きちんと皆さんが知恵を出して共通性のある指標ということでやればできてくると思うのです。
 一方で,そういう数字だけに縛られない定性的な要因も企業はもちろんあるわけでして,もしここで言っている間接評価ということであれば,まさに企業がどういった製品で世の中の暮らしを変えてきたとか,そういった定性的な評価ももちろん個別の大学ではあっていいと思いました。いずれにしても,ベンチマークという考え方をIRの中,どうも企業,IRというと,インベスター・リレーションズと思ってしまうのですが,このIRを通じてぜひそういったことをやっていただければと思います。
 それから,2つ目,初年次教育がプログラムとして機能しているのだが,相変わらず学習時間が少ないということで,今,金子委員からもコメントがあったのですが,私はもう少し基本的なところまでさかのぼった部分があると思うのです。それは,やはり大学に入学することが目的になってしまっていて,それで,初年次のときに目的を失ってしまうのです。そうではなくて,大学に入ることは単なる手段であって,大学を出て自分が達成したいこと,それは世の中のためだったり,自分自身のことであったりするかもしれませんが,要は大学はそのための手段だということを初年次教育の段階でもう一度やっていただければと思うのです。
 本来,この部分というのは,私は正直公教育の分野ではなくて,私教育の分野だと思うのです。もちろん,ここで言っている公教育というのは私立大学も含めて公教育ですが,家庭,あるいは地域といいますか,そういう中での私教育の役割が今,衰えていて,これがしっかりしていれば大学に行くのは手段だと親がはっきり言えるわけで,あるいは地域でもそういうことをはっきり言えるわけです。逆にいうと,大学に行くほどのエリートの皆さん方は,将来こんなことがあるんだから大学でしっかり勉強してというメッセージが私教育の中で足りないと私は思います。
 それから,3つ目ですが,解決されていない根本問題ということで,山田委員が挙げられた,これを見て,非常に私が不思議に思ったことは,大学全体としてというミッションがそれぞれあります。例えば,同志社大学なら同志社大学という大きな大学の中でミッションがあって,そのミッションにすべてが連鎖しているはずだと私は思うのです。企業の場合には,企業のミッションというものは,新入社員の活動に至るまで全部連鎖されて,それが個別の年間の個人目標になってくるわけです。新入社員,課長,部長,取締役,社長,すべての目標が連鎖している。
 その観点からいくと,大学というのは全く連鎖されていない。そうすると,大学全体のミッションというのは一体何だろうかと非常に不思議に思いまして,そういう意味で私は学部の自治はあると思いますが,学部の自治に任せておけない部分というものを,学長なり理事長さんがきちんと抽出して,ここは学部で検討してもらってもいいが,最終判断は理事会とか,あるいは学長ということを勇気を持って言っていかないと,いつまでたってもこの枠組みが解決されない根本問題として残されるように思いました。ぜひ組織的にガバナンスというものを考えていただければ,あくまで組織自体が目的ではないですから,組織というのはすべての組織が私は手段だと思いますので,そこだけをぜひ考えていただければと思います。

【谷口副部会長】 浦野委員が言われたことが,現在,全くできていないわけではなくて,結構できているということもあわせて理解しておいてもらえるでしょうか。今の話ですと,大学は全くやっていないということになってしまうといけません。例えば,私は今年1年生全員に授業をしました。1,800人の新入生を。50~80人ぐらいのクラスに分けて,24回に分けて。今おっしゃったようなことを直接言った方が早いと思ったので,全ての新入生に勉強とは何か,あなたたちが学ぶ目的をどのように考えるのかという話をさせてもらいました。学生さんの意識もそういうことを話しますと全く違ってまいります。今年の学生は大震災からの復興に対して,何かしないといけないと非常に思っていますからレスポンスもよくて,私が意図したことがかなり機能したと思っています。そういうことも一方であるということをあわせて,ご理解いただければと思います。

【浦野委員】 それはもう,重々理解しております。

【濱名委員】 私も谷口委員同様,全部学生には話をしているのですが,ただ,制度的には今の設置基準の中で定められた3つのポリシーの中の,ディプロマ・ポリシーは,学部学科については定めることを義務づけているのですが,大学としてのものを定めることは義務づけていないのです。それは,大きくバランスを失しているところだと思うのです。
 ガバナンス改革をやろうと思うと,今まさに浦野委員がおっしゃったように,全学の組織目標に対して,学部がそれとのバランスを考えないといけないのに,全学のものはないのです。分野差とか,ディシプリンの違い等々を勘案して,現行の設置基準の既定にはなったのではないと思うのですが,学部の動きをとめようとすると全学のものしかありえないですが,学部より高次の組織目標を定めることが義務づけられていないということは,やはりバランスを失していると思うのです。
 全学共通教育などの目標については,立教大学などはそういう話が出始めたときに定められたと思うのですが,実際には全学共通教育の目的はあるのだが,大学全体が学士号に対してどういうものを必要要件として,到達目標としているのかという一貫した目標が設定されていないし,義務づけされておらず、書かれていなくてもいいということになっています。これは、専門教育と共通教育のかみ合わせが非常に悪い,責任体制がないというのに近い。全学としての共通目標,到達目標,学習目標ということが,学則上に明記しなくても構わない、その部分は従来の抽象的な形での規定でも構わないということです。ガバナンス改革の第一歩は全学としての組織目標の明記を,すべての大学に求めるところから始めないといけないのではないか。そうでなければ、今おっしゃったように,組織は手段であるはずなのに,組織が目的化しているという問題は解決できないのではないかと思います。

【金子委員】 篠田委員のご発表について伺いたいのですが,今の話にも関係があると思いますが,ご発表の中で,中期計画の中で今までは財務などが中心だったのが,カリキュラムとかいったことも結構計画の中に入れられるようになってきているというお話だったのですが,具体的にそれはどういう視点から計画の中に入れられているのでしょうか。というのは,私も教育とガバナンスの結びつき方は,具体的にそろそろ議論しなければいけなくなってきていると思うのですが,確かに今ベンチマーキングとかをして,こういう教育方法がいいと,一般的にいいというのをどこかから見つけてきて,それをやるときに全学で見つけて各学部に言うとか,そういったことも必要なんだろうと思いますが,もう一つ重要なのは,本来経営というのは資源の動員です。
 考えてみると,日本の大学は教育について資源をほんとに有効に動員しているのかどうか,それをどのレベルで考えると一番有効なのかということがあると思うのです。浦野委員がおっしゃったように,目的の達成ということであれば,トップから下まで全部一貫しないといけないと見えるかもしれませんが,ただ,今までは多分末端の中で最適化しているのが一番全体としても最適化できるというのが,日本でも,大体世界中でも大学の考え方だったと思うのですが,どのレベルで最適化する判断をしたほうがいいのかというのは,非常に大きな問題だと思うのです。私は,今は学部よりもさらに狭いところでやっていて,必ずしも最適な配分になっていないところがある。やはりさっき申し上げたように,非常に日本の先生というのは授業をいっぱいやり過ぎていて,個々の密度が低い。それが,全体として非効率になっている,私は1つの原因ではないかと思うのですが,そういうことを考えたらもう少し上のレベルで,大学全体とか学部とかの上で判断したほうが効率的なのかもしれない。そういったことを具体的に,私立大学は考えられて,そういうところまで議論されているのでしょうか。

【篠田委員】 実は,中長期計画のアンケートはとっているのですが,実物の中長期計画をご提供いただいているところはかなり少ないわけです。それは,数年先の自分の大学の目指しているもの、新規事業などを全部明らかにしてしまうことになるものですから,なかなか先生のご質問の、どういうふうに具体的にやっているのか、計画の中味を申し上げることは難しいのですが,ただ,基本は浦野委員もおっしゃったように,やはり大学の掲げるミッションがあって,それを実現するために,今の直面する難しい環境,学生が集まらない状況の中で,経営、財務計画とか,施設計画だけをやっていてはだめなので,それをどのような学部や学科をつくったら学生が集まるのか,あるいはどういうところに教育改革のポイントを置き、また授業を改善していくのか,そこに人とか金を投下をすることで変えていくという大きな流れはつくられていると思います。
 中長期計画をつくっているところは,当然ながら教学改革も含めてやろうとすると,理事会だけではできませんので,教学機関と一緒になって,あるいは,それを両方で話し合えるような実効ある組織をつくってやっている形になっています。だから,進んだところはかなり教育改革,あるいはカリキュラム改革の中身まで踏み込んで計画化をして,具体的なアクションに結びつけるようなところまでやっていて,その議論も理事会,あるいは全学教授会だけではなくて学部、学科レベルまできちんと議論をして,一致ができているところもあります。強いトップダウンでやっているところは、教育現場の実態が反映されない分、勢い,計画自身は抽象的になりがちだということはあります。したがって,中長期計画の策定の仕方や中身のレベルはまだいろいろで、調査でも、就職支援とか学生支援とか教育本体でないところの計画が多いということはあります。具体的なところまで教育改革の設計ができて,その進展を中期計画でチェックできている大学は、まだ私学でもほんとに数えるぐらいなのではないかと思っています。

【長束委員】 浦野委員のご感想の中で,大学に入学することが目的となっているというお話がありました。ある意味では,高校現場の立場からすれば,入学が目的としないような指導をするのが高校現場の立場になると思いますし,今後のキャリア教育,職業教育のあり方ということで,高校現場,大学でもキャリア教育が重視され,高校でもキャリア教育が実施されているわけですが,キャリア教育,生き方あり方を学ぶのは高校でも随分やっております。
 ただし,一方でどこの大学に入るのかと,数というか数字を追うような世界も高校現場ではあるのが現状というか,特に進学校ではそういうことがすごく重視されています。保護者等の立場からすると,どこの大学に入るのかすごく重視される。それは社会全体の問題という面もあるとすごく感じました。
 一方で,中堅以下という,ある意味では大学に今,入学することはそれほど難しいことではなくなってきているところでいくと,それほど入学することが目的となっていないような,逆に大学の中でいろいろ努力をされることで,いろいろな生徒のニーズに沿って教育活動ができると思います。トップ校はある意味では目的となって,入るのに疲れてしまってというところで,逆に矛盾しているような部分も正直言うとあるというのは高校現場から見ると感じています。
 どうしたらいいのかという面でいうと,非常に大きくなってしまいますし,ここでお話ししても難しいのでしょうが,社会としての取り組みというか,そういうところも考える必要性があると感じました。

【鈴木委員】 山田委員の資料は非常に示唆的で,しかも21ページのIRシステムの利用イメージという,ここまで踏み込んでいらっしゃるわけで,これを何とか利用しなければいけないと思います。同志社大学,北海道大学,甲南大学,それから大阪府立大学,この4つの大学は奇しくも国公私を含んでいるわけですが,ここだけでとどめておいてはもったいないというのがあります。それで,濱名委員のところもこういうのをおやりだということで,そこを入れても10大学にも満たない非常に少ないところで,でもここまでおやりになったのは,私は非常に感銘を受けました。
 ただ,例えば24ページのところで「効果的な機能とは?」とあって,やはり連携によって個別大学内だけでは進められない組織的な教育改善へのデータを提供するとか,それから,その方法として類似大学機関,分野別のベンチマークを実施する等々あるのですが,いわば4つの大学,あるいは10大学ぐらいからもう少し拡大する必要があるのではないでしょうか。類似大学機関ぐらいでよろしいのかどうかもあって,やはり大学団体,認証機関,それから国公私立大学協会があるわけですから,それらに対して21ページ,こういうものがもうできていますということを投げかける必要があるだろうと思います。
 それで,認証機関も認証化されて7年目,セカンドクールに入るということで,やはり評価項目をいろいろ考えて,評価を受けやすいように,あるいは自己点検をしやすいようになっているわけですが,IRシステムをどういうふうに利用するかということなどは,評価の項目の中で十分に取り入れられていないというのがあります。それで,IRシステムは当然今後こういう方向に,先生がここでおっしゃっている16ページ目のA,B,Cがあって,Cのところだけをおっしゃっていましたが,AもBもこれからIRはやっていかないといけないということになれば,もっともっと取り上げられる必要があります。ですから大学基準協会などの認証評価機関に対して,何らかの形でアプローチをして,これを考えてくれということをおっしゃっていただく必要があるのではないかと思いました。
 それから,篠田委員の資料に関しましては,例えば3ページ目のところでアンダーラインが引いてありまして,大学自身が評価を改善につなげる,あるいは評価機関の改善支援システム等々が求められているということですが,認証評価機関は大きく分けると4つ現在あります。この4つが認証評価機関の協議会をつくって議論をしておりますが,そういうところに投げかけて,先ほど来出ています長所を全体的に公表したらどうだというのも,1つ1つの認証評価機関だけに任せておくのではなくて,とにかく全体で公表したらどうかと思います。これは,先ほど申し上げた協議会の中でも議論になっていますが,そういう働きかけをおやりいただくことが必要ではないかと思います。

【吉田委員】 山田委員に教えていただきたいのですが,こういう学生に対する調査は,山田委員たちがやられている以外にも,従来,各大学が学生調査をやってきている側面があります。ただ,それは往々にして調査をやりっ放しということで,それを何らかの次のステップの教育に結びつけていくことは,これまであまり考えられてこなかったと思います。そういう意味では,このシステムは非常に画期的だと私自身は思うのですが,具体的に4大学でやられてみて,お聞きしたい点としましては,それぞれの大学が解決すべき問題が先に認識されていて,それをデータによって具体的に明らかにしていき,次の方策を考える形で使われているのか,あるいは逆に,データを見ることによってこれまで気づかなかったような問題が明らかになったという側面が多いのか,そのあたりのデータを研究のデータとしてやりっ放しというか,研究論文を書くだけに使うわけではなく,具体的に教育に結びつけていくことを考えたときに,どのような形で使われているのかを具体的に教えていただきたいというのが第1点です。
 それと関連しまして,山田委員の話では,こうしたコミュニティーを形成することを通じて,IRを担う人材を養成していくこともお考えだということなのですが,ではIRを専門的に担う人材に求められる役割は一体どこまでなのかということです。もちろん調査データが分析できるというスキルが必要なのはもちろんですが,その人たちがさらに教育改革の側面にまでかかわるような,あるいはそこへの意思決定にまで関与する力を持った人であるべきなのか,あるいはそこら辺は分離して,あくまでもデータをきちんと出す役割ができればいいのか,これはIR人材だけでなくて,今後日本の大学の中にIRの部署をつくっていくことが求められるときに,一体どのあたりをモデルにしていけばいいのかということにもつながると思うのですが,以上の2点について教えていただけませんでしょうか。

【山田委員】 第1点目なのですが,1つはコア4大学が共通して行っている学生調査というのは,先生も参加してくださっているJCIRPの知見をもとにつくり上げてきたもので,若干異なっています。ただ,研究からつくり上げてきたものをベースにして,より英語とか問題を意識したところに焦点化したものでつくり上げているのです。
 最初に問題があってなのか,それかあるいは,ここからかという点です。それは非常に大事なところなのですが,なぜ英語にしたかというのは英語教育の日本における,いろんな課題がまずありましたので,そこから見えてくる問題点というのは最初に4大学で共通していたところです。
 ただし,実際に3年間行ってきているところで,わかってきたことは,データから見えてくる問題のほうが実はたくさんあります。ですから,初年次教育がプログラムとして機能しているが,2年生,3年生に継承されていないということもこれで初めてわかったとか,そういうことがあります。ですから,使い方としては,大学の温度差にもよると思うのですが,最初から問題を設定してシステムに乗ってこられる場合と,あるいはそこから見えてくるものを生かしていこうというような2つの使い方ができるかと思います。
 ただ,それだけでは難しいので,今の段階ではまだ4大学プラス1大学パイロットで参加してくださっておりますが,そういうところの分析データをアナリストが分析して,丁寧にお返ししている段階ですが,数が増えると当然なかなか難しいということで,第2点ですが,基本的に今までワークショップなどを2回ぐらい開いてまいりまして,人材養成ということを考えてまいりました。どういう方が参加しているかというと,1つは大学の中の職員の方で,若手かというと若手でもない,ある程度の中堅で,学内のいろんな部署の調整がある程度わかっている方でなければ,つまり直接データを使っていかなければいけませんので,そういうことができる中堅クラスが一番多い人材であります。もちろん教員なども参加されていますが,一番ニーズとしてあるのは職員の方が参加されてきました。
 ただし,エントリーレベルの若い職員というよりは,ある程度学内のガバナンスの構造がわかっている方々にこれは効果的かなと感じます。ただ,そういっても分析だけではございませんので,そこから見えてくるものを読み取ってということになってくると,分析技術だけではない,むしろそちらではないです。だから,中のことがわかっていて,だけど分析技術が少し足りないという方々向けにワークショップがあればいいというところであります。先ほどの鈴木委員のご指摘なのですけど,今年度でこれは終わりまして,実は平成25年からコンソーシアム化しようと思っております。ですから,いろんなところで募集をかけておりますので,またよろしくお願いします。

【高祖委員】 少し角度の違ったところから発言させていただきたいと思います。文部科学省へのお願いという面があるかと思います。今日,篠田委員と山田委員からとてもいい資料が提示されて,私も非常に勉強になりました。その中で,先ほどもご指摘のあった,山田委員の資料の14ページの解決されていない根本問題を見たりしていますと,せっかくこういう問題が指摘されているのに,それを組織的なガバナンスにどう展開していくかというあたりが課題として残っている,ということだと思います。そこで,それを展開させるためには,1つは篠田委員が先ほどおっしゃったように教学改革と経営改善が結びついていかなければ難しいと,これはそのとおりだと思うし,実際にそういう方向に歩み出さなければ動かない。そうだとすると,具体的な,人,物,金をどう絡み合わせてこのガバナンスを組織的につくっていくかが大事だと思います。
 それに関連して,基本的に個々の大学が自主的な努力をするのがベースだと思うのですが,例えば,文部科学省の中に学校法人運営調査委員制度があります。ここが,私学の調査をやりますが,運営調査というのはこれまで理事会の運営とか管理とか,そういうことを主に見ていて,教学関係についてはほとんど見ないという方針でできていたのを,この4月からようやく教学問題についても少し調べる方向になりました。今日の篠田委員の中長期計画の内容を見ますと,教学関係のものと経営のものがどう絡み合うかという点を押さえて進めていかないと,大学の改革は進まない。そういうことがこれからのデータではっきりしています。そうしますと,運営調査等で始められたような教学の部分と経営の部分の相互乗り入れみたいなものを,もっと強くしていく必要があるのではないかと思うのです。
 大学の設置と学校法人の運営とが1つの審議会になっていますが,一応担当は分かれています。それぞれの守備範囲があるにしても,もう少し相互乗り入れのようなことを同時に考えていかないと,文部科学省の姿勢そのものが何かかたいというか,教学と経営を離す姿勢が強過ぎるのではないかという印象を持っています。今日の各委員のご発表を聞いていますと,その辺の相互乗り入れがもう少し柔軟にできる仕組みを考えていく必要があるのではなかろうかと思います。それがあれば,各大学の自主的な努力がもっと進むだろうと思います。認証評価機関も実際にもう,経営と教学を一緒に捉えて評価しています。そういう方向に国のほうの仕組みとしても持っていく必要があるのではないかと思っているのですが,いかがでしょうか。

【谷口副部会長】 今ご指摘のことですが,先ほどのご報告の中に,教学改革をきちんとうまくやったら,経営もうまくいくというデータがあってとのお話がありましたので,僕はこれは放っておいてもこれでうまく回るなという印象を受けました。だから,しっかりと教学改革をやった方が経営もうまくいきますということを表に出しておかれれば教学改革が進んでいくのではないかと思います。だから,教学改革と経営改善を一体にしてやっていくのは,これから当たり前のことになっていくと思います。それが現実にはうまくいっているというデータがありましたので,あまり心配はしなくて良いと思いました。

【高祖委員】 学校法人の運営と,教学関係を全く一体にするのがいいとは私は思わないのです。一体化し過ぎると,またいろいろと弊害が出ると思います。ただ,今の現状があまりにも2つに分離し過ぎていると考えるものですので,協力できる分野を少し広げていくという方針を,国の姿勢としても出していただきたいというお願いです。

 

(4)今後の日程について,文部科学省から資料5の説明があった。

 

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