資料2-4 前回の大学分科会以降の作業チームにおける今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する主なご意見


平成28年12月14日
第132回大学分科会 配布資料


前回の大学分科会以降の作業チームにおける
今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する
主な御意見

【分野別の学生数等の動向】

○ 専門・技術職の労働者が不足しているというデータがある一方で、工学部の在学者数が減少しているというデータもある。また、生産拠点の海外移転が進む中で、人材をどこで育てていくべきかを考える必要がある。

○ 工学部生の2~3割はサービス業についており、必ずしも工学部の学生が足りないとも言えない。

○ 産業別に考えた場合、成長分野がIT、サービス産業といっても様々な分野の産業が多々ある。何か一つの大きな成長産業があって、大きな学部を一つ置けばよいという時代ではない中、どのように教育体制をとるか考える必要がある。

○ 情報分野については、情報専門の会社もあるが、すべての産業に情報サービスが必要となっている。

○ 大学学部において、看護が約3倍、薬学が約1.7倍に学生数が増加しているが、看護などは短大、専門学校に任せていただいた方がよいのではないか。

○ MBAについては、世界の人々とのネットワークをつくることをMBAに期待しているため日本のMBAの卒業生はいらないと言われる。どういう政策をとるべきか検討が必要。

【職業教育における各高等教育機関の役割、機能の強化】

≪職業教育における各高等教育機関の役割のイメージ≫ ※事務局整理案

・医師、教員、保育士、看護士の養成など、資格取得のための教育が学問分野として確立しているものは、各高等教育機関(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)で行われており、今後とも変わらず重要。
・特定の職業への就職を前提としない幅広い教養教育・専門教育は、大学、短期大学において行われており、今後とも変わらず重要。
・このように、様々な分野の人材育成は、引き続き各高等教育機関で行われるが、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」は、ある分野の人材育成のため、産業界と密接に連携して高度で実践的な教育を行おうとする場合に最も適した教育機関として創設が検討されているもの。

○ 職業教育を考える際には、大学側の視点だけでなく、経済のグローバル化という視点からの検討が必要。海外に事業展開する際に、その国の宗教や歴史などが大きく影響する。こういうことを学ぶためには人文科学、社会科学が重要になってくるが、これまでは貢献できていない。そういう観点から、人文科学、社会科学を位置付けることが必要。

○ 職業教育については、分野で役割を考えるだけでなく、短大、大学、大学院などレベルの問題も考える必要がある。イギリスの全国資格・単位制度も参考になる。

○ 人文社会系が重要で、全ての職業分野でマーケティングが必要になっていく。今まで日本ではマーケティングが少なかった。しかも、これからは経営企画としてどう役割を担っていくのかということで、このグローバルの中で非常に重要になっていく。人文社会系が産業界に対するアピールする必要がある。

○ 現在短大で行っている、教員養成、保育、看護、介護、栄養といった分野の教育は短大の強みとなっており、人文、社会はどんどん減っている。短大の役割として、学士の前段階の短期大学士の学位を出すファーストステージ機能の強化、職場復帰を目指す女性やブラッシュアップを求める地域人材など社会人への再教育機能・生涯学習機能の強化は重要。これに加えて、深い教養教育に基づいた職業教育ということを強調すべき。

○ 短大の専攻科で教育をして学位授与機構で学士が取れるが、短大と大学との連携により学位が取れるような仕組みが必要ではないか。アメリカではコミュニティカレッジと州立大学との連携により学士が取れる。

○ 介護人材を目指して東南アジアからの留学生も来ているなどの状況を踏まえれば、短大においてもグローバル化の視点が必要。

○ 高等専門学校の人材育成については、「実践的」だけではなく「創造的」技術者の育成と言っている。ベースとスキルの教育があり、ベースは変わらないが、スキルは時代に応じて変わる。情報という分野については、工学の範疇にも入るが、数理的なものも入ってくるなど、位置付けが難しい。

○ 実践的な職業教育機関については、例えば分野によって認めるとすると、かつての「抑制の例外」のように、そこに集中して申請が来てしまうのではないか。認可した後で、将来消えるといわれる仕事もあるので、その辺は注意が必要。

○ 「実践的」ということが軽く使われると学んだことが廃れてしまう。20、30年後に古くならない素養を育てるのは研究であり、新しい知を創造する、わくわくするような体験をさせることが重要。

○ 大学はレギュレーションにとらわれ過ぎていると感じる。専門学校は60万人の学生がいるが嫌々きている学生はほとんどいない。大学よりも短大よりも高専よりも専門学校を選んで来ており、学位はないが、企業からも高い評価を得ている。レギュレーションではなく、学ぶ者の視点で考えることが必要である。

【教育研究の展開】

○ 大学のデータで、「その他」と分類されている分野があるが、学位の種類があまりに多様になっており、整理が必要である。

○ 学位には、学術分野から付けられている学部・学科の名称もあれば、学生のキャリアを想定して付けられている名称もあるため、名称だけから○○学と分類することが難しくなっていることから、学位プログラム単位で捉えることも考えるべき。

○ アメリカでは、学科名は昔とほとんど変わっていないが、学位プログラムは様々に準備されている。

○ アメリカでは学部に入学するが、日本では、学科単位で定員をつけて入学者も学科に入る。最初に狭く囲ってしまい、隣の学部の授業を受けようとすると他学部の履修となってしまい、フレキシビリティに欠けるなどの課題がある。

○ 例えば、AIについては、幅広い分野に関わっており、一つのAI学科をつくればよいというものでもない。やはり学位プログラムをどうつくっていくかの検討が必要。また、履修証明制度は、学位と結びついていないため、中途半端となっており、改善が必要。

○ 医学系では、日本で国家資格を取っても、アメリカの国家資格には足りないということがあり、工学では世界共通の資格とされているなど、分野ごとに体系を整理することも必要である。

○ 認証評価では、外形的なことはやっているが、プログラムの内容まで評価できていない。平成17年の将来像答申について、実行できているのかどうか精査するべきではないか。

【高等教育機関の規模】

○ これまでの将来構想は、人口増加、経済発展の右肩上がりの中でつくられた規制ばかりであり、人口減少時代の将来像を考える必要がある。国公私の役割分担、地域配置、新たに生まれる分野といった観点から検討が必要。「縮小の時代」の大学政策を考えるべき。


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