資料5 第96回大学分科会(5月23日)における主な意見

以下は事務局で編集した暫定版です。

【学位課程(プログラム)の確立について】

  • 大学改革に関する「型」を整えることができても,それが改革を本当に進めるための”実質化”ができていない場合があるのではないか。
  • 日本の大学でもGPAが広まりつつあるが,アメリカでは,GPAが,就職・進学・卒業要件に大きな意味をもっているところが日本と異なる。
  • これまでの我が国の質保証は,設置認可と適格認定が中心であり,それで十分な成果があがっていると言えるか。今あるやり方でよくなるのか。別のやり方を,スピード感をもって構築してくことが必要である。

【大学教育におけるグローバル化について】

  • グローバル教育には産業界も関心を持っている。既成概念にとらわれず,チャレンジ精神を持ち,外国語能力,海外との文化などに興味を持つことが重要。大学と産業界が連携し,キャリア教育,理工系教育,G30の13大学との連携に取り組むこととが考えられる。さらに,海外留学のためのスカラシップを設ける検討もしている。海外の経営者と話して感じるのはリベラルアーツ教育の厚みの違い。
  • グローバル人材は,大企業だけでなく,あらゆるところで求められている。

【大学教育に関する産学の相互理解について】

  • 一般的企業と一般的大学という構図で考えたら,実質的な議論にならない。企業はトップ大学の卒業生だけが欲しいわけではないといくら言っても,大学関係者が東大の方向ばかりみている。はっきりと多様化を意識すべき。研究大学は必要だが,実際に日本社会を支える人材が研究大学だけから輩出されるわけではない。大学は18歳だけを相手にしてもらっては困る。リーディング大学院についても,企業の中から行って教育を受けたりするようになっていなければならない。

【国公私立を通じた大学改革支援のあり方について】

  • 看護学では,COEプログラムによる蓄積が被災地支援につながっており,政策的な研究資金が,教育の質の向上に貢献している。
  • 自らものを考えて解決する人材,リーダー人材の育成が必要。そうした人材は英語力,異文化理解能力,多様なコミュニケーションができる対応力が必要。大学改革支援は非常に有効であった。

【大学の活動を支援する法人について】

  • 個々の大学の努力がなかなか全体につながらない。個々の大学でもPDCA等がうまくいっているかチェックし,全体で何をやっているかというフィードバックが必要。アメリカ,イギリスでは,政府と大学の中間的な機関において,大学の取組をチェックしたり,学生の勉強量を把握したりして,既に10年近く取り組んでいる。大卒者の就職問題は日本だけでなく各国で問題となっている。大学を支援していく仕組みをつくることが必要。
  • 実質化がなぜできないかを把握するためには,評価を充実させていくことが必要。大学教育の成果は分かりにくいが,いろいろな学習成果を測定していく必要がある。

【ミッションの明確化と情報の公表について】

  • 大学の中でも学部ごとにどういった取り組みをして,どういった人材を育てているか,共通のデータベースがあるとよい。その際,インプットだけでなく,教育の成果がアウトプットとして指標化されていることによって,企業と大学のマッチングもやりやすくなる。今のように学生が手当たりしだい受けに行くような就職活動も緩和される。
  • 質の保証に関していうと,情報公開はきわめて不十分であって,3つの方針は公開されたが,それを見て学生は自分の将来へのイメージができるのだろうか。海外の事例含めフォローが必要。大学の質という意味でも重要。
  • 大学はずっと自主性・自律性を主張してきたが,それゆえに社会や学生,保護者等に対するアカウンタビリティという観点も重要。アカウンタビリティの中に情報公開,質の保証,ミッションの明確化も含まれるのではないか。
  • 質保証の基準はなにか。機能別分化と関連づけて考えなければならない。プロファイルを明らかにするというのは大事。
  • 大学の機能別分化をはっきりさせていくことは重要。情報開示や機能別の評価などと機能別分化をつなげていく議論したい。
  • 地方大学では,複数大学が連携し合うことで,機能を満たす観点も重要。

【震災後の大学の取組について】

  • 地域の大学がしっかり復興しないと過疎化につながる。各大学が復興支援をやっている。これは一時的な1,2年のものではすまない。震災復興のためのセンターをつくっていただき,そこに集中的にヒト・モノ・カネを投資するような支援策が必要。
  • 今回,医療分野を見ていると,大学病院が最後の砦として機能していた。一時は医療崩壊といわれていたが,その後の支援が効果を発揮した。今回のことからも,インフラへの手当ては重要。

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