認証評価機関の認証に関する審査委員会(第26回)議事録・議事要旨

1.日時

令和3年12月21日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 「認証評価機関の認証に関する審査委員会の会議の公開及び運営について」
  3. 令和3年度認証評価機関が行う自己点検・評価に係るヒアリングについて
  4. 認証評価機関の認証について
  5. その他

4.出席者

委員

(座長)川嶋太津夫座長
(座長代理)佐野慶子座長代理
(臨時委員)小林雅之,前田早苗の各臨時委員
(専門委員)市川太一,大河原遼平の各専門委員 

文部科学省

西田高等教育企画課長,柿澤高等教育政策室長,堀家高等教育政策室長補佐 他 

5.議事要旨

(1)座長の選任について審議が行われ,座長に川嶋太津夫委員(大阪大学高等教育・入試研究開発センター特任教授・センター長)が選任され,座長代理に佐野慶子委員(佐野公認会計士事務所)が指名された。
(2)事務局から,資料2に基づき,認証評価機関の認証に関する審査委員会の会議の公開及び運営についての規定制定について説明があり,案のとおり決定された。
(3)資料3及び資料4に基づき,一般財団法人大学教育質保証・評価センターより,自己点検・評価に係るヒアリングを実施した(詳細は6.議事録を参照)。
(4)事務局から資料5,資料6-1,資料6-2-1,資料6-2-2,資料6-3-1,資料6-3-2に基づき,審議の進め方,一般社団法人日本大学基準協会からの申請概要,申請内容と認証基準の関係について説明があった。
(5)一般社団法人日本大学基準協会より申請内容について説明があり,質疑応答を行った。
(6)質疑応答後,法人の管理運営体制,収支計画及び評価体制等について委員から指摘があったことから,申請者に対して,文書による回答を求めることとした。
 

6.議事録

資料に基づき,令和3年度認証評価機関が行う自己点検・評価に関するヒアリングが行われた。
【川嶋座長】 ただいま会議を公開いたしました。また,YouTubeライブ配信を御覧の皆様におかれましては,本議題に係る資料を文部科学省のウェブサイトに掲載しておりますので,適宜御参照いただければと思います。
 それでは,3つ目の議題,令和3年度認証評価機関が行う自己点検・評価に係るヒアリングに入りたいと思います。
 まず,ヒアリングの進め方について事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【堀家高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。事務局でございます。本日は,大学教育質保証・評価センターに対するヒアリングを,所要時間30分以内で予定しております。審査委員会において各認証評価機関における自己点検に対するヒアリングを踏まえたコメントを付すことは,法令上の行為ではございませんが,自己点検の過程で自らとは異なる視点を取り込むことは重要であるという観点から,認証評価に知見のある委員の御意見を各評価機関の今後の改善に活用していただきたいという趣旨で行って,実施しているものでございます。そのため,各委員におかれましては,各認証評価機関と関係性を有している場合もございますが,コメントを付すということ自体は利害関係に影響を及ぼすものではないと考えておりますが,一方で,評議員や理事といった,組織としての意思決定を担い,その執行責任を負う立場にいらっしゃる場合は,意見を受けて改善を推進するという立場でもいらっしゃいますので,御発言を控えていただくということは考えられると思います。この点について,各委員の御判断にお任せいたします。
 認証評価機関に対しては,ヒアリングの内容等を踏まえたコメントを通知し,また,そのコメントにつきましては文部科学省のウェブサイトに掲載する予定です。
 事務局からは以上でございます。
【川嶋座長】  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関して,何か御質問ございますか。特にございませんか。  あらかじめ委員の先生方には質問を作成していただいて,それを評価センターのほうに渡して,それについては本日回答を得られるということですが,あらかじめ送られた質問以外でも,本日のヒアリングの中でさらに御質問なさりたいことがあれば,それは結構ですので,どうぞ積極的に質疑をしていただければと思います。
 それでは,ヒアリングを始めたいと思いますが,準備をいたしますので,少々お待ちください。

(大学教育質保証・評価センター入室)


【川嶋座長】  それでは,大学教育質保証・評価センターからのヒアリングを行いたいと思います。本日は,お忙しい中,御参加いただきましてありがとうございます。
 あらかじめ委員の皆様には自己点検・評価報告書を御確認いただいていますので,その内容について御質問があれば,御発言いただければと思います。
【前田委員】  あらかじめの質問になかったことで,気になったことがございまして,質問させていただきます。
 何かと申しますと,私は全ての機関別認証評価機関の評価活動を存じているわけではないですけれども,少なくとも大学基準協会や大学改革支援・学位授与機構と比較すると,評価結果がかなり簡素であるという気がしております。大学が作成する点検・評価ポートフォリオを公開しているということですが,ポートフォリオを見ても分からなかったことがございます。
 例えば,大学院に関しては,大学院設置基準第14条の2において,年間指導計画をあらかじめ学生に提示しなければいけないということになっております。ポートフォリオの中に大学院設置基準のこの規定に該当するであろうものは,大学院学則となっています。しかし,大学院学則を見ても掲載されておりません。大学院については,計画をあらかじめ示した指導ということについて厳しくなっておりまして,その辺りを評価されているのでしょうか。
 評価されているとすれば,その資料は掲載されるほうが望ましいのではないかと存じますが,その辺りをどのようにお考えなのかお聞かせください。
【大学教育質保証・評価センター】  結論から申し上げますと,基準1に関する評価の指針、点検評価ポートフォリオの様式等でご確認いただけるとおり,大学院の指導計画について,全てチェックしています。説明や根拠が不足している場合は、追加で確認を行います。そのプロセスをどこまで公開するということは今の段階では決めておりませんが,多くの評価委員が他機関での評価の経験者であり,これまでの経験を踏まえつつ,今,先生がお話しになったことは全部チェックしています。
 また,評価委員への説明会の際に,ポートフォリオは自己点検の概要のようなものですので,それだけで必ずしもすべての事項が確認できるわけではないことを伝えております。それ以外にチェックすべき事項のリストを事務局が作っておりまして,それに従って,ポートフォリオに書いていないところも適宜確認しており,場合によっては資料を出していただくようにしております。
【前田委員】  設置基準の要件を満たしているかどうかの資料として,ポートフォリオの中に書かれているところに出てこないものがあるということでしょうか。
【大学教育質保証・評価センター】  はい,ポートフォリオに,全て出てくるわけはございません。
【前田委員】  全体的な評価の厳格性ということに関して,信頼を得るには少し難しさを感じております。また、前にもお話しましたように,評価結果について,事務組織は適切であるとしか書かれていない等,簡素な表現になっております。外に向けての説明ということにおいて十分なのかということが少し気になった次第です。
【大学教育質保証・評価センター】  以前いただいた御指摘を踏まえて,ポートフォリオと評価結果の両方を見てくださいという形で今のところ行っております。ただ,それで十分かどうかというのは,いろいろ考えながら行って参りたいと思います。
【佐野座長代理】  私から,3点ほどお伺いしたいと思います。1つは,評価委員について56名の推薦をいただいているということですが,実際には受審大学が固まってから選定作業を行うという御回答をいただいております。この五十数名の方について,内諾をいただいて,方向性が決まっているのでしょうか。
 それから2点目,当初申請時に頂いた収支計画におきましては,当初45大学が会員になるということで,会費収入も平均20万円という計算をして収支見込みを立てていらっしゃいました。今般9月現在で53校と,当初の予定よりたくさんの会員が入っていることは結構なことだと思いますが,これにつきまして,今年の3月末決算時の加盟数は何校でしたでしょうか。また,それに従いまして,この53校ということは,当初の設置時の予算よりかなり大きい収入が見込めたと思われますが,その割に決算額が少ないようにお見受けします。当初の会費収入見込みの900万円から比べて決算時の実数が少ないようです。この辺りについてどのように分析なさったのかお聞かせください。
 それから3点目,2021年度の事業計画書をホームページから拝見させていただきました。実態としてこうしていますということは書かれておりますが,その一方で将来的なことがお書きになられていないようにお見受けします。どのようにこの事業計画お考えなのか,教えていただきたいと思います。
【大学教育質保証・評価センター】  まず1つ目につきまして,評価委員は,3年目に向けて, 56名推薦していただいていますが,ここに入っていない先生にもお願いするというスタンスです。来年の委員については,ちょうど今その作業にかかったところというところです。委員の候補者の多くは,大学改革支援・学位授与機構や大学基準協会で評価者を務めてこられた方になります。
【佐野座長代理】  それは,もう内諾をいただいているということでしょうか。
【大学教育質保証・評価センター】  会員大学から,評価委員候補者の御推薦をいただいておりますので,その段階で言わば内諾を得ていることになります。それらの先生方に,実際の受審校が固まりましたので,どういう形の役割をお願いするかを,これから検討するという意味合いでございます。
 2つ目の御質問につきまして,会員校数53大学という数字は現時点ですので,確かに1年目に会員大学45というような計算には至りませんでした。受審時期が近づいてから,十分検討の上,入会をしていこうというような大学の行動選択があったように思います。
 3点目の事業計画につきましては,新規参入した評価機関としてまずは安定的にこの認証評価事業を行い,足固めをしていくというところでございますので,そういった将来的な見通し,あるいは積極的な展開については,この1年目,2年目というような結果が出た時点で新たに考えていけるものと考えております。
【大学教育質保証・評価センター】  初年度末の会員数が35ということですので,その時点については当初の予定より下回っているということになります。それが御指摘のあった決算にも影響しているという結果となっております。
【佐野座長代理】  ありがとうございます。会員校数45の見込みで,会費収入を1校平均20万円ということで見込んだ数字に比べて,今お話がありましたとおり,2020年度は35校で,この決算時の会費収入850万円となっております。そうしますと,見込みよりも単価が上がっていると見受けられますが,一方で2021年度予算額を拝見しますと,38大学加入に対して,会費収入880万円となっており,当初の収入見込みを下回っているということになりますが,これについての原因については分析をされて,それを将来的な収入確保に結びつけていらっしゃるかということを含めてお伺いしたいという趣旨で申し上げました。
【大学教育質保証・評価センター】  それにつきましては,当初,一定の見込みを立てて会員校数を45として,1年目から7年目まで45というふうに列挙させていただきました。当然見込みを作成する時点でも漸進的に増えていくことも考えられたかもしれませんが,大学側の意思決定の事情等もあって細かい根拠をつけることがなかなか難しく,このような単純な形にしたという経緯がございます。ご指摘いただいたご意見を踏まえて,今後の収支計画等に反映させていきたいと考えております。
【佐野座長代理】  会員校が35校から既に20校増えているわけですから,2021年度予算にはそれを盛り込んだ形にして事業計画を立てていくべきではないかと思いますので,ぜひその辺のところは御検討いただきたいと思います。ありがとうございました。
【大河原委員】  1点だけ,確認をさせていただければと存じます。
 事前質問でも書かせていただきましたが,自己点検評価報告書内の「大学からの要請がある場合には,評価結果の内容に基づき,大学を設置する法人の評価に提供できる資料を作成することとしている。」という記載について,どういった対応を想定しているのかお尋ねしたところ,大学が質保証を進めるために,設置自治体に対しどのような点を強調して伝えたいかなど,大学の要請の趣旨に即して対応することを想定している旨の御回答をいただいております。
 これにつきまして,どこが評価するときの資料なのかというのがよく分からないところがございまして,また,どういった意味でこういう資料を作成しているのかということ,ともすると認証評価機関が受審大学に対して,認証評価だけではなくてコンサルティングをしているようなふうにも読み取れましたので,趣旨をいま一度確認させていただければと存じます。
【大学教育質保証・評価センター】  公立大学は法人化しているところがほとんどですが,していないところもございます。法人化している場合は,毎年,設置自治体による法人評価が行われますが,その評価は設置自治体によって全く異なるということが言えます。つまり,大学によって法人評価への対応がまちまちであるということです。例えば,とある大学の例では,法人評価委員の中に高等教育機関の先生がいたりすると,法人評価なので法人経営だけということではなく,教育も認証評価と同じように見られるわけです。そうすると,毎年のことでもありますし,どうしても法人評価にウエートがかかるようです。
 また,我々もすごく注意してやっていますけれども,法人評価は,簡単に言うと達成度評価ですが,認証評価は達成度評価ではなく,基準評価です。その仕組みが大学によっては十分でなかったりするという背景がございます。
 法人評価がかなり厳しく行われている公立大学は多く,その場合に,例えば法人評価と認証評価とで,異なるところがありながら,オーバーラップするところもあるわけです。そういうものが相互に生かされやすくなるようにしたいという趣旨で書いております。法人評価をうまく認証評価の自己点検に使ってくださることは構いませんし,逆に,我々がやっているこの認証評価が法人評価に生かされてほしいという願いもあります。
【大学教育質保証・評価センター】  若干補足させていただきますと,(事前質問に対する回答欄の)1つ目の段落に書きましたように,地方独立行政法人法によって,設置自治体は,期間終了時評価等において,認証評価機関による教育・研究の状況についての評価を踏まえることが規定されておりますが,この制度の趣旨というのが必ずしも明確でないという印象です。すなわち,法人評価のほうで専門的に教育・研究について評価することが困難であるというような含意もあるのか,あるいは国立大学法人評価で,大学改革支援・学位授与機構の評価を基にして評価をされているようなことを前提として設計されたのか,その辺りはなかなか難しいところでございます。
 現状として,法人評価委員会でこの認証評価結果の非常に多様な情報をどのように酌み取っているのかというのが,我々としてはなかなか分かりにくいところでございます。
 そういった中で,教育・研究の質を担保するには,例えば設備面でも,こうありたいというものが大学にあっても,やはり認証評価を受ける際には,そういった環境もしっかり整備して,大学基準に適合しているということを主張していかなければいけないと推察されます。そういった中で,さはさりながら,あの設備はもう少し何とかならないものかという思いが大学側にあるとなりますと,評価結果を書く際に,適合はしているものの,やはりそこは設置団体と連携して改善を図っていかないと,やがては質保証し切れなくなる可能性が懸念されることについては言及することも必要ではないか,ということを想定しておりました。
 ただ,現にまだそういう事例が出ておらず,突き詰めて議論されていない部分もありますので,今いただいたような御質問の趣旨も踏まえて,もう少し我々の中でもイメージを明らかにしていきたいと,そういう段階にいるところでございます。
【大河原委員】  コンサルティングをしているわけではなくて,大学側で必要な情報があるときに,それに応えて,そのニーズに応えて資料を提供する場合があるという程度のお話だと理解しました。
 そういたしますと,あとは自己点検・評価報告書の書き方の問題ですが,設置自治体が評価するということなのであれば,設置自治体による法人の評価の際に提供できる資料を作成しているといった趣旨のことを今後記載してもいいのではないかというふうに思いました。
【大学教育質保証・評価センター】  法人とは当然違うわけで,そこをきちんと切り分けておかないといけないということですね。法人のためのコンサルをしているつもりは全くありませんので,それは考えながらやって参ります。ありがとうございました。
【川嶋座長】  今の点に関連しまして,その設置法人と大学と認証評価,第三者評価機関の関係というのは,大学の要請に応えて評価機関がそれに応えるような書類を整備して法人に出すというのは,第三者評価機関としては,少し大学に寄り過ぎているといいますか,コンサルティングというような取られ方をすることもあり得ますので,法人が何か第三者評価機関に求めるのは正当な要請だと思われますが,大学の要請に応えて,第三者評価機関が法人に評価結果とは別のものを出すというのは,少し行き過ぎているのではないかというように私は受け取りました。
【大学教育質保証・評価センター】  御指摘のとおりで,そういった懸念は我々も共有しております。学校教育法の下での第三者評価機関としての認証評価機関として,その役割を法令に基づいてしっかり果たさなければいけない,これは自覚するところであります。一方で,地方独立行政法人法という全く別の法体系下で行われる評価に当たって,認証評価の結果を踏まえるとなっている。これは制度上,それらの接続がやはり現実の運用面においてはなかなか難しいと感じております。
 こういう問題については,やはり設置形態別の大学,それに対する評価,質保証全体の在り方の中で,まさに文部科学省も含めて,この制度設計のところにおいて,いろいろなサジェスチョン,あるいは評価の運用に対する現実的な在り方等について,様々な示唆,御指導いただけることも我々は期待しておりますので,ぜひ共に考えていただければというふうに考えるところでございます。
【川嶋座長】  それでは,これでヒアリングを終了したいと思います。本日は,お忙しい中,出席いただきましてありがとうございました。

(大学教育質保証・評価センター退室)


 大学教育質保証・評価センターとの質疑応答を踏まえて,委員間で意見交換を行った。述べられた意見は以下のとおり。
<組織運営について>
● 収支状況について実績が見込みと乖離している場合,その実績を踏まえて事業計画なり予算を策定し直すことが望ましいのではないか。
● 事業計画について,実績(こういうことをしているという事実)を記載しているのみで,それを踏まえた計画が見当たらない。
<評価方法について>
● 評価審査会では,大学の教職員や学生のほか,高等学校,地方公共団体,民間企業関係者などに参加を依頼し,幅広く意見聴取を行うなど,参加型評価を実施している点は優れている。
<評価の厳格性について>
● 大河原委員からの質問に関連して,認証評価機関が評価結果以外のことを受審校に対してコメントとして出すことは適切であるか。評価機関としての独立性の観点から,独立した第三者的な視点からの評価を行うよう十分留意する必要がある。
● 上記に関連して,一般的に,認証評価において,法人の形態によって評価の仕方が異なるというのは問題がある。設置形態にかかわらず統一的な扱いがされることが望ましく,評価機関の運用が受審校に対して(認証評価制度の枠組みを超えて)コンサルティングをしているように見られることがないようにすることが望ましい。
● 評価報告書の書き方について,「適切であった」という結果だけで事実の記載が少なく,評価に至った対外的な説明が不足しているという印象。評価書自体はシンプルな作りであってもそこからそういう評価を行ったというエビデンスが分かるようになっていればよいが,評価報告書とポートフォリオと併せて見せるという形はあまりユーザーフレンドリーではないかもしれない。

―― 了 ―― 

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