資料5 法律実務基礎教育及び法科大学院の継続教育機関としての役割の充実に関する論点整理案

1.法律実務基礎教育の充実について

  • 昨年6月に公表された政府の法曹養成制度検討会議取りまとめでは、「現在、各法科大学院の実務基礎教育の内容にばらつきがあることを踏まえると、各法科大学院において実務基礎教育の質を向上させることによって、その解消を図る」とされている。
  • この指摘に関し、実際はほぼ全ての法科大学院において、共通的な到達目標モデルを踏まえ、法律実務基礎科目(民事実務基礎・刑事実務基礎・法曹倫理)に関する到達目標が定められる方向にあるほか、開講形態に違いはあるものの、全ての法科大学院において体験的な法律実務基礎科目が実施されているところである。
  • しかしながら、法律実務基礎科目は、法曹養成における理論と実務の架橋を図る上で重要な科目群であり、各法科大学院において質の高い教育が展開されることが求められることから、更に、その教育内容の充実を図っていくため、各法科大学院の創意工夫を促しつつ、以下に示すような取組を推進していく必要がある。

具体的な方策例

  • 共通的な到達目標モデルに基づく教育カリキュラムの改善
  • 各法科大学院において法律実務基礎教育を担当する教員を対象としたFD活動の推進とともに、指導科目や内容に応じた法曹からの実務家教員による適切な役割分担の実施
  • 各法科大学院の実情に応じたエクスターンシップやリーガルクリニック等の積極的な実施
  • 臨床科目等の実務基礎教育の充実に向けた、実務修習との関係や連続性についての更なる配慮

2.法科大学院の継続教育機関としての役割の充実について

  • 昨年6月に公表された政府の法曹養成制度検討会議取りまとめでは、「各法科大学院の特色を生かして、法曹に対して先端的分野等を学ぶ機会を積極的に提供したり、司法修習修了直後の法曹有資格者に対する支援を行うなど、これまでの法曹有資格者の養成機関としての役割だけでなく、継続教育機関としての役割を果たしていくことが期待される」とされている。
  • この指摘に関し、継続教育に取り組んでいる大学は21大学、今後取り組む可能性がある大学も含めると51大学(平成25年4月時点)となっているところであり、知的財産や中小企業の海外進出支援等をはじめとした法曹有資格者の戦略的な活用が課題となる中、法科大学院が社会のニーズを的確に把握し、継続教育機関としての役割を果たしていくため、以下に示すような取組を推進することが必要である。

具体的な方策例

  • 企業法務に深い知見を有する法曹有資格者等を実務家教員として招聘するなど、企業等のニーズの的確な把握
  • 企業等における活動領域を視野に入れた講座等の開設・提供、特に法曹有資格者等を対象としたビジネスローや外国法などそのニーズに対応した応用的・先端的な授業科目の提供
  • 法科大学院教育の持つ教育資源などを活用した研修プログラムの展開や、企業や地方公共団体のニーズを踏まえた講座等の開設・提供により、地域社会に対する高度人材供給を通じた貢献
  • 各法科大学院が実施している継続教育に関する各種情報の積極的な発信

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係)