法曹養成制度検討会議・中間的取りまとめ はじめに

 我が国の司法制度の抜本的な改革ともいうべき司法制度改革は、国民に身近で頼りがいのある司法の実現を目指した。そして、我が国において司法制度の役割の重要性が増大していることを踏まえ、司法制度の機能を充実強化することが緊要な課題であるとして、様々な施策を提言した。その中で、司法制度を支える法曹の在り方については、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要がますます多様化・高度化されることが予想され、法曹が社会の隅々に進出することが期待されることなどから、その人的基盤の整備のために法曹人口拡大の目標を掲げるとともに、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度を創設した。法科大学院は平成16年から学生の受入れを開始し、平成18年からは法科大学院修了者を対象とした新司法試験が実施され、新しい法曹養成制度を経た多くの有為な人材が法曹として活躍するに至っている。その一方で、制度発足後、法曹志願者の減少が続いているほか、閣議決定で定められた年間司法試験合格者数の目標も達成されておらず、法科大学院ごとの司法試験の合格状況にばらつきがあり、社会の隅々への進出を目指した法曹有資格者の活動領域の拡大もいまだ限定的であるなど、この制度に関する様々な問題点も指摘されるようになり、現状を放置し、十分な対応をしなければ、質・量ともに豊かな法曹を養成するという司法制度改革の理念の実現が困難になるのではないかと危惧される状態が生じている。
 このような状況の下、法務省及び文部科学省が、「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」を開催して法曹養成制度に関する問題点・論点とこれに対する改善方策の選択肢の整理を行い、平成22年7月にその検討結果を取りまとめるとともに、問題点・論点に対応するための方策について更に具体的な検討をする必要があるとされた。また、平成23年5月から、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、財務大臣、文部科学大臣及び経済産業大臣の申し合わせにより「法曹の養成に関するフォーラム」を開催し、同年8月には、それまでの検討結果を第一次取りまとめとして公表するとともに、平成24年5月には、法曹の養成に関する制度の在り方についての論点整理(取りまとめ)を公表した。
 さらに、同年7月に成立した裁判所法及び法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部を改正する法律により、政府は、法科大学院における教育、司法試験及び司法修習生の修習の実施状況等を勘案し、国民の信頼に足る法曹の養成に関する制度について、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ、法律の施行後一年以内(平成25年8月2日まで)に検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずるものとされた。また、その際、衆議院法務委員会決議において、前記合議制の組織は、閣議決定に基づくものとし、従前の検討体制をより強力にし、かつ、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見も反映されるよう整備することとされた。
 これらの改正法及び附帯決議を踏まえ、政府においては、平成24年8月、閣議決定により、内閣に法曹養成制度関係閣僚会議を設置するとともに、法曹の養成に関する制度の在り方について、学識経験を有する者等の意見を求めるため、その下に、本検討会議を置くこととした。
 本検討会議においては、前記フォーラムの論点整理(取りまとめ)の内容等を踏まえつつ、検討を行うものとされており、同論点整理記載の各項目に従い、12回にわたり会議を開催して検討を行った。本検討会議は、司法制度改革の理念を踏まえ、法曹養成制度の現在の課題を直視して、その解決に向け検討を行ってきたものであり、現時点までの議論状況を踏まえ、一定の方向性を示すものとして、下記のとおり検討結果を中間的に取りまとめたものである。
 今後、この中間的な取りまとめを、パブリック・コメント手続に付した上で、同手続で出された意見を踏まえつつ、更に検討を重ねて、本検討会議として最終的な取りまとめを行うことを予定している。
 なお、法曹養成制度関係閣僚会議においては、前記閣議決定に基づき、本検討会議の最終的な取りまとめ等を踏まえつつ、平成25年8月2日までに検討を加えて一定の結論を得ることが予定されている。

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