資料3-2 「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会(平成21年4月17日)(抜粋)

第3 教育体制の充実

1.質の高い専任教員の確保

○ 各法科大学院においては、法律基本科目をはじめとする法科大学院の教育上主要な科目について、年齢構成にも配慮しながら、適切に専任教員を配置し、十分な教育体制を確保すべきである。
○ 平成25年度まで認められている学部等との専任教員数のダブルカウントの暫定措置については、延長しないこととする。各法科大学院においては、可能な限り早いうちに自主的にこれを解消することが望まれる。
○ 認証評価機関による評価においては、当該分野の状況などを踏まえながら、教員の資質・能力・実績について、適切に評価が行われることが期待される。

 多くの法科大学院において、法律基本科目(特に民事訴訟法、刑事訴訟法、民法、行政法など)や展開・先端科目(特に司法試験の選択科目である知的財産法、環境法、経済法など)の専任教員の確保が困難となりつつある。すでに、認証評価機関による評価では、複数の法科大学院において、法律基本科目の専任教員の一部が適切に配置されていないことや、教員の年齢構成の偏りについて指摘されている。各法科大学院においては、法律基本科目をはじめとする法科大学院の教育上主要な科目について、年齢構成にも配慮しながら、適切に専任教員を配置し、十分な教育体制を確保すべきである。
 また、現状では、多くの法科大学院において学部等との専任教員数のダブルカウントが行われているが、そのほとんどが、教育体制の充実を図る観点から、将来的な解消のために計画的に教員の配置を行ってきている。このため、平成25年度まで認められている学部等との専任教員数のダブルカウントの暫定措置については、延長しないこととするとともに、各法科大学院においては、可能な限り早いうちに自主的にこれを解消することが望まれる。
 なお、これらの教員の組織体制や個別の教員の資質・能力・実績については、認証評価機関による評価において適切に評価が行われることが期待される。

2.入学定員の見直しと法科大学院の教育課程の共同実施・統合等の促進

(略)

3.教員養成体制の構築

○ 学部等との専任教員数のダブルカウントの暫定措置終了後も、法科大学院の教員が博士後期課程における研究指導に携わることにより、優れた研究・教育能力を備えた教員を育成していくことができるような制度的な配慮が必要である
○ 法科大学院のカリキュラムにおいても、法科大学院の教員を志す学生のために、外国法や研究論文の作成などの選択的な学修ができるような科目配置を行うことが望まれる。
○ 法科大学院修了者が博士後期課程に進学することは、大きな経済的負担を伴うため、授業料免除や奨学金の充実、TA制度の活用など経済的支援の充実も図るべきである。

 法科大学院修了者のほとんどは法曹の道に進むことを希望するため、特に博士後期課程への進学を希望する者が減少してきており、将来的な法科大学院教員の養成に懸念が生じている。今後、平成25年度まで認められている学部等との専任教員数のダブルカウントの暫定措置終了後、法科大学院の教員が博士後期課程における研究指導に携わることが難しくなれば、教員養成体制の確保に支障が生じることになる。このため、平成25年度以降も、法科大学院の教員が博士後期課程において、優れた研究・教育能力を備えた教員を育成していくことができるような制度的な配慮が必要である。あわせて、一つの法科大学院で教員養成体制が構築できない場合は、他の研究科(博士課程・修士課程)との連携を図りながら、複数の法科大学院が、その一つを基幹校とした連携型の教員養成システムを構築することも考えられる。
 一方、法科大学院のカリキュラムにおいては、研究論文の作成や外国法といった研究者養成に必要な基礎的な教育が十分なされる体制になっていないとの指摘がある。法科大学院のカリキュラムにおいても、法科大学院の教員を志す学生のために、外国法や研究論文の作成などの選択的な学修ができるような科目配置を行うよう配慮することも考えられ、その際、他の研究科・他専攻の履修単位数の法科大学院修了要件単位数への算入の仕方についても整理が必要である。
 また、博士課程に進学するなどして教員を目指そうとする法科大学院修了者等については、経済的な負担が大きいのに、奨学金など経済的な支援が十分でないとの指摘があり、法科大学院修了者が博士後期課程に進学することに伴う経済的負担を軽減するため、授業料免除や奨学金の充実、TA制度の活用など経済的支援の充実も図られる必要がある。

 

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