平成20年度法科大学院認証評価結果概要

1.評価受審大学数<37大学>

1 財団法人日弁連法務研究財団 <7大学(国立4、私立3)>
2  独立行政法人大学評価・学位授与機構 <16大学(国立9、公立2、私立5)>
3  財団法人大学基準協会 <14大学(私立14)>

2.評価結果 「適格」23大学、「不適格」14大学

1 財団法人日弁連法務研究財団(下期)

<適格>4大学(国立3、私立1)  (1岡山大学、2島根大学、3琉球大学、4青山学院大学)
<不適格>3大学(国立1、私立2)  (1鹿児島大学、2成蹊大学、3姫路獨協大学

○不適格の理由

<鹿児島大学>
・法律基本科目の一分野において必要な専任教員数の基準を満たしていない。
<成蹊大学>
・授業科目の履修が偏らないような配慮がなされているとは言い難い。
・展開・先端科目として配置されている演習等の一部の内容が法律基本科目の実質を有しており不適切である。
<姫路獨協大学>
・自己評価委員会が組織されているものの自己改革の仕組みが機能していない。
・受験者数の定員割れが継続している中で、適性のある学生を選抜できる適切な入学者選抜基準が設定されておらず、選抜の実施も不適切である。

(参考)「平成20年度上期」の評価結果
 <適格>4大学(私立4)
 <不適格>3大学(私立3) (1東海大学、2山梨学院大学、3京都産業大学)

2 独立行政法人大学評価・学位授与機構

<適格>14大学(国立9、公立2、私立3)
(1東北大学、2名古屋大学、3神戸大学、4東京大学、5京都大学、6広島大学、7横浜国立大学、8大阪大学、9九州大学、10首都大学東京、11大阪市立大学、12学習院大学、13明治大学、14近畿大学)
<不適格>2大学(私立2) (1同志社大学、2神戸学院大学)

○不適格の理由

<同志社大学>
・不合格の成績評価が相当と判断した学生に対して、科目担当者が当該学生の成績評価を最終決定する前に、もう一度、学力の評価を受ける機会を与えるという本法科大学院の「再評価」制度は、同一授業科目の同一試験において異なる成績評価の基準と方法を用いるものであり、また、再評価を実施するかどうかの判断が科目担当者に委ねられ、その実施の有無が学生に周知されるのは学期末試験の約2週間前となっており、成績評価の実施において、公平性及び透明性の確保が十分ではないことから、学生の能力及び資質を正確に反映する客観的かつ厳正な成績評価制度ではない。
<神戸学院大学>
・低い出席率で定期試験を受験できることが法科大学院として容認されていることは、厳格な成績評価及び適切な単位認定の在り方について問題がある。
・入学者選抜において、法学未修者に対しても、司法試験の論文式及び短答式の合格実績、法学検定2級、ビジネス実務法務検定1級、ビジネス実務法務検定2級の合格実績を「特別評価項目」の加点要素としており、法学の知識が考慮されていることから、法科大学院において教育を受けるために必要な入学者の適性及び能力等が適確に評価されているとはいえない。

<追評価>3大学(国立3) (1北海道大学、2一橋大学、3千葉大学)
   平成19年度の認証評価において不適格とされた3大学について、不適格とされた基準について平成20年度に追評価を受け、平成19年度の評価と併せて適格と認定された。

3 財団法人大学基準協会

<適格>5大学(私立5)
(1駿河台大学、2桐蔭横浜大学、3中京大学、4南山大学、5広島修道大学)
<不適格>9大学(私立9)
(1大阪学院大学、2神奈川大学、3関西大学、4関東学院大学、5甲南大学、6東北学院大学、7日本大学、8白鴎大学、9名城大学

○不適格の理由

<大阪学院大学>
・教育的効果の検証なしに1年次に法律実務基礎科目を配置してその履修を必修化するなどしており、「理論と実務の架橋」に関する理解が不十分である。
・訴訟実務に関する科目が所期の目的を達成しうるものではなく、法令上要求される科目が実質的に開設されていないに等しい。
・既修者認定試験を実施しない科目まで修得済みとして単位認定の対象としており、法学既修者認定基準・方法に重大な問題がある。
<神奈川大学>
・半期の授業回数が、大学設置基準の単位算出の趣旨から、15回の授業で構成される必要があるところ、13回で構成されているため、1単位で必要とされる学修時間が不足している。
・刑事訴訟法担当の専任教員1名が1年以上欠員状態である。
・社会人志願者の成績証明書や個人調書などの配点比率が、社会人以外の志願者と異なっており、その旨を入学試験要項などで公表していない。
<関西大学>
・「自由科目」は修了要件に算入しないとしておきながら、事実上の必修科目となっており、法律基本科目に傾斜している。
 ・「自由科目」の内容は本来修得すべき内容でありながら、修了要件に算入されない扱いになっており、系統的・段階的な学修に配慮したカリキュラム構成になっていない。
 ・「自由科目」が事実上の必修科目となっていることから、修了要件単位数が見かけ上のそれより多くなり、適切な修了要件単位数の範囲を超えている。
・1クラス50人を大幅に上回る科目が複数ある状況が例年続いている。
・成績評価の各評価要素のウェイト付け等について、シラバス等を通じた学生への明示が不十分である。
<関東学院大学>
・1年次に開講され、事実上の必修科目となっている基礎演習8科目が半期15週による授業であるのもかかわらず、各1単位しか学生に付与しておらず、これを仮に2単位に換算すると、法律基本科目に傾斜したカリキュラムとなる。
・明示された成績評価分布の割合と異なる科目が多い、また、複数の教員で担当する科目で成績評価基準が統一されていないなど、成績評価が客観的かつ厳格に実施されていない。
・教員資格審査を経ていない実務講師が複数科目で単独に授業を行っている。
<甲南大学>
・出席点が平常点の採点要素となっており、明示された成績評価分布の割合と異なる科目が多い、「可」「不可」の基準が曖昧で教員の裁量によるところが大きいなど成績評価が客観的かつ厳格に実施されていない。
・試験結果と出願書類の配分、適性試験の配点割合など、配点基準を入学試験要項などで公表していない。
・法学未修者の選抜に際して、旧司法試験の短答式や論文式の合格などを採点要素としている。
・教授会規程において、みなし教員がカリキュラム以外の審議について、教授会の構成員とならない規定になっている。
<東北学院大学>
・法律基本科目の一部について教育歴及び研究業績が不足している専任教員がおり、必要な専任教員数が事実上充足されていない。
<日本大学>
・修了要件最低単位数に占める基本科目単位数の割合が高く、法律基本科目に傾斜したカリキュラムとなっている。
・法学既修者のカリキュラムにおいて、法学既修者であれば当然有する知識である、民法や刑法の基本的な科目を必修科目として履修させている。
・一部の科目について、授業概要・方法、各回の授業内容などがシラバスに掲載されていない。
・定期試験およびレポートの評価と、平常点の評価との割合が明確でなく、クラス分けをしている科目においても教員間で統一がなされておらず、成績評価基準が事前に学生に明示されていない場合がある。
<白鴎大学>
 ・修了要件最低単位数に占める基本科目単位数の割合が高く、法律基本科目に傾斜したカリキュラムとなっている。
 ・法学既修者の既修得単位の認定について30単位までとされているにも関わらず、34単位を認定している。<名城大学>
・簡易なレポートのような試験の存在、合格率100%の科目の存在、授業の出席のみで平常点を加算、一部の科目で定期試験と追試験が同一問題など、成績評価が客観的かつ厳格に実施されていない。
・入学者選抜の際に任意提出資料とされている推薦書について、パンフレットで推薦書を提出しなくとも不利益になることはないと明記しながら採点要素になっている。また、書類の採点の際に匿名性を確保していない。さらに、法学未修者の入学者選抜の際に、任意提出である推薦書や旧司法試験の短答式や論文式の合格などを採点要素としている。

3.不適格とされた法科大学院に対する今後の対応

不適格認定がなされた法科大学院に対しては、文部科学省より、「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律」第5条第5項の規定を受けて報告または資料の提出を求め、設置基準等の法令違反がないかどうか厳格に調査を行う。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室

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