法科大学院特別委員会(第65回) 議事録

1.日時

平成26年9月19日(金曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成26年司法試験の結果等について
  2. 法科大学院教育の改善・充実について
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘、井上正仁、土井真一の各委員
(専門委員)笠井治、樫見由美子、片山直也、木村光江、椎橋隆幸、杉山忠昭、田中成明、土屋美明、西山卓爾、長谷部由起子、日吉由美子、松下淳一、山本和彦、吉崎佳弥の各委員

文部科学省

徳久大臣官房総括審議官、義本高等教育局審議官、藤原高等教育局私学部長、牛尾専門教育課長、今井専門職大学院室長、佐藤専門教育課課長補佐、真保専門職大学院室専門官

5.議事録

【井上座長】 
 それでは所定の時刻ですので、第65回、中央教育審議会大学分科会の法科大学院特別委員会を開催させていただきます。
 まず、委員の交代がありましたので、事務局より御紹介をお願いします。

【今井専門職大学院室長】 
 それでは失礼いたします。会議の議事に先立ちまして、委員の交代についてお知らせをいたします。松本裕委員より、中央教育審議会専門委員の辞職願が提出されまして、平成26年9月11日付けで辞任されることとなりました。これを受けまして、平成26年9月12日付けでございますが、西山卓爾、法務省大臣官房司法法制部司法法制課長また内閣官房法曹養成制度改革推進室副室長に、中央教育審議会専門委員に御就任いただくこととなりましたので、御紹介をさせていただきます。

【西山委員】 
 西山と申します。よろしくお願いいたします。

【井上座長】 
 よろしくお願いします。
 事務局の方でも異動があったということですので、これも事務局から御紹介をお願いします。

【今井専門職大学院室長】 
 失礼いたします。続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。大臣官房審議官(高等教育局担当)でございます。平成26年7月25日付けで中岡前審議官の後任といたしまして、義本審議官が就任をしております。

【義本高等教育局審議官】 
 義本でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】 
 続きまして、現在、到着が遅れておりますが、私学部長につきましても、同日付けの異動によりまして、常盤前私学部長の後任として藤原私学部長が就任しておりますので、その旨も御報告をさせていただきます。
 事務局の異動については以上でございます。

【井上座長】  
 それでは、事務局から本日の配付資料について確認をしてください。

【今井専門職大学院室長】 
 失礼いたします。それでは、会議資料の議事次第を御覧いただけたらと存じます。議事次第の半ば、真ん中から下でございますが、配付資料でございます。まず資料1は前回会議の議事録の案でございます。続きまして資料2は法科大学院特別委員会の委員名簿、この9月19日現在のものを付けさせていただいております。続きまして3-1から8まで8種類の資料がございますが、これらは平成26年司法試験の結果についての資料となっているところでございます。続きまして資料4は、公的支援の見直しの更なる強化策におけます各法科大学院の平成27年度の類型について一覧の表を付けているところでございます。そして資料5-1、2でございますが、法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策について(提言案)、また参考資料を付させていただいているところでございます。
 資料、足りない等ございましたら、事務局までお申し出いただけたらと存じます。

【井上座長】 
 それでは、議事に入りたいと思います。9月9日に、平成26年の司法試験の結果が法務省より公表されました。これにつきましては西山委員から御説明をお願いしたいと思います。

【西山委員】 
 それでは、9月9日に発表されました平成26年司法試験の結果について御説明を申し上げます。資料は、3-1から3-8までございます。順次、御説明を申し上げたいと思いますが、時間の都合上、割愛させていただく部分もあることは御了解いただければと存じます。
 まず、資料3-1でございますが、これは法務省のホームページに掲載されました司法試験結果についてのものでございまして、1の(1)にございますように、合格者数1,810人ということになっております。昨年から239人の減でございます。
 続きまして、(2)の部分に記載がございますけれども、総合評価の総合点770点以上の1,810人を合格者とする、すなわち合格点が770点ということでございます。合格点を昨年と比較しますと10点下がっております。この1,810人の内訳ですが、法科大学院修了資格に基づく受験の合格者が1,647人、予備試験合格資格で受験されて合格された方が163人となっております。今年の受験者数が8,015人でしたので、全体の合格率を計算いたしますと22.58%となっております。昨年は26.77%でございましたので、4.19ポイント下がっております。
 また(5)にございますけれども、平均点は751.16点となっております。昨年の平均点が760.20点でございまして、昨年より9.04点平均点が下がっているという状況でございます。
 1枚目の資料につきましては以上でございますが、この資料3-1は、2枚目以降にも、資料を付けさせていただいています。総合点あるいは論文式試験の各科目別の得点分布の表をめくっていただきますと、次に法科大学院ごとの受験結果について、修了年度別、既修・未修別に分けられたもの等々の資料を付けさせていただいておりますけれども、中身については各委員におかれて御参照いただければと存じます。
 続きまして資料3-2の御説明を申し上げます。資料3-2は、今年の司法試験について、法科大学院別の結果を合格者数の多い順に並べてございます。ピンク色を付けたのは、合格者数が50人以上の法科大学院についてでございます。それと予備試験合格者はそれをひとまとめにしてこの表に盛り込んでおります。ピンク色を付けているものは8校ございます。そのほか予備試験合格者が入っております。ここの合格者数の合計は1,119人となっておりまして、全体の61.8%になっております。一方、緑色を付けているところは、合格者数が5人以下の法科大学院でございます。これは全部で35校あります。
 続きまして、資料3-3でございますが、これは合格率順に並べたものでございます。ここでのピンク色は、先ほど御紹介しました全体の平均である22.58%以上の合格率の法科大学院、これも予備試験合格者をひとまとめに入れておりますが、それについてピンク色を付けてございます。これが全部で15校プラス予備試験合格者となっております。ピンク色の合格者数の合計は1,293人でございまして、全体の71.4%を占めております。緑色を付けたものは、平均の2分の1である11.29%に満たない法科大学院でございまして、これも35校ございます。
 続きまして資料3-4でございまして、これは法科大学院ごとに各年度の受験者・合格者・合格率、更には全体と既修・未修別を記載したものでございます。各年度ございますので非常に大きく、細かい表になっておりますけれども、この資料3-4の2枚目の一番右側に平成26年司法試験の結果についての表が入っております。ここの全体の欄のピンク色と緑色ですが、先ほど御紹介したのと同じように、ピンク色が合格者50人以上、合格率22.58%以上のもの、緑色が合格者5人以下、合格率11.29%に満たないものに色分けしてございます。
 続きまして資料3-5でございます。今年の司法試験受験状況について、修了年度別などのデータをまとめているものでございます。1点御紹介をするとすれば、平成25年度修了者の対受験者合格率ですけれども、真ん中あたりにございますが、33.04%となっております。
 続きまして資料3-6でございますが、法科大学院ごとの合格者数・合格率を修了年度別にまとめたものでございます。まずA3判の1枚目ですけれども、グレーが付いている部分がございます。これは上位10校でございます。それから裏に行っていただいて、裏の一番右側が平成25年度修了者のところでございます。この直近修了者の合格状況を御覧いただきますと、合格率がここに記載されているとおりでございまして、ここでピンク色を付しているもの、これは対受験者合格率が50%以上の法科大学院を示しておりまして、御覧のとおり4校ございます。緑色を付けているものが、直近修了者の対受験者合格率が10%未満のものでございます。この色を付している中で1校、受験者自体が0人というものがございまして、それを除きますと緑色の10%未満の法科大学院というのは29校になっております。そのうち、更に合格者が0人であった法科大学院は20校に上っております。
 資料3-7でございますが、予備試験合格資格に基づく受験者の受験状況について、予備試験に合格した年ごとにまとめたものでございまして、数字は御覧のとおりでございます。
 最後になりますが、資料3-8、平成17年度から平成25年度までの各法科大学院の全修了者で、現行の司法試験を1回以上受験した受験者実数に対する合格者数の割合を計算し、累計合格率順にまとめたものでございます。全体としましては、一番下に小さい字でございますが、49.24%という累計合格率が出ております。この49.24%よりも、つまり全体の合格率よりも合格率が高い法科大学院につきまして、赤線で境目を付してございます。赤の横線より上にある法科大学院は、全部で15校に上っております。
 駆け足でございましたが、私からの説明は以上とさせていただきます。

【井上座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、何か御質問等があれば御発言を願います。
 どうぞ、片山委員。

【片山委員】 
 慶應義塾大学の片山でございます。詳細な御報告をありがとうございました。1点、これはもし御確認できればということでございますけれども、全体の合格者数は従前はほぼ2,000人であったところが今年は約1,800人ということになっております。この200人が減少したことによって、どのような影響が出ているのかという点が若干気になるところでございます。この200人の内訳、例えば既修出身者と未修出身者の区別といったような点が公開できるのかできないのか、その点を御確認いただければと思います。また、200人減少した点を法務省としてどのように分析されているかということもお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【井上座長】 
 確認ですけれども、御質問の最初の部分の200人減少した内訳という「200人」というのは、合格者ラインに達しなかった次順位の200人ということでしょうか。

【片山委員】 
 そうです。1,800人から2,000人のところということになるでしょうか。

【井上座長】 
 今回の司法試験の結果で、順位を付けるとすれば、1,811番から2,010番ぐらいまでの人ということですね。

【片山委員】 
 そうです、はい。

【井上座長】 
 分かりました。西山委員、お分かりでしょうか。

【西山委員】 
 今、手元にそのデータがございません。それを御紹介できるかどうかも含めて、持ち帰らせていただいて、御回答を後日申し上げたいと存じます。

【井上座長】 
 2点目、法務省としてどう考えているのかという御質問です。これも持ち帰りですか。

【西山委員】 
 司法試験の合否は、法曹となるべき学識及び能力の有無を判定するという試験の性格上、そのような観点に基づきまして司法試験委員会において適正に決定されたものと承知しておりまして、合格者数が昨年より減ったことについてのコメントとしては、それ以上のことは申し上げられないということでございます。

【井上座長】 
 よろしいですか。

【片山委員】 
 了解いたしました。

【井上座長】 
 ほかの方、何か御質問等がございましたら。
 特にございませんでしたら、客観的なデータの御報告ですので、この程度でよろしいですか。
 それでは次に、今回、ただいま御説明ありました司法試験の結果が公表されたことを受けて、昨年11月に文部科学省が公表した公的支援の見直しの更なる強化策におきます各法科大学院の平成27年度の類型が決定したということですので、これについて事務局から資料について御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】 
 それでは失礼いたします。資料4に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 まず資料4でございます。公的支援の見直しの更なる強化策における各法科大学院の平成27年度類型一覧でございます。先ほど西山委員より御紹介をいただきました司法試験の合格状況について平成26年度分が確定したということでございます。これをもちまして、昨年の11月に公表させていただきました公的支援の更なる見直しの強化策におけます類型の分類が確定をいたしました。なお、この類型につきましては、司法試験の累積合格率、法学未修者の直近の司法試験合格率、直近の入学定員の充足率、法学系以外の課程出身者の直近の入学者数とその割合、又は社会人の直近の入学者数とその割合という、今の四つの指標に基づいて、さらに、第3の類型に該当した法科大学院については、その段階でもう一度、地域性や夜間開校の取組状況を配慮するという形をとりまして、今回、資料4にございますような形の類型が確定したというところでございます。
 類型につきましては、第1類型で13校、国立大学が8校、それから私立大学が5校でございます。また第2類型につきましては、A、B、C、それぞれ7校、5校、20校となっております。Aにつきましては、国立大学4校、私立大学3校でございます。またBにつきましては、国立大学2校、私立大学3校でございます。またCにつきましては、国立大学4校、私立大学16校ということでございます。そして最後の第3類型でございますが、これは7校でございまして、私立大学が7校該当したということでございます。なお、これらの数字は全部合わせますと52校でございますが、下の米印にございますように、これまでに学生募集を既に停止した、若しくはその公表をした大学計20校及び国からの公的支援を受けていない公立大学2校については除外をさせていただいているところでございます。
 なお、資料の2ページ目以降につきましては、この類型分けに必要となります基礎データを添付させていただいております。また、3ページ、4ページ目は、昨年11月に公表させていただきました類型の指標若しくはその詳細について付記をさせていただいているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、特に御質問等がございましたら御発言ください。
 ございませんか。
 それでは資料の説明については御質問がないということで、先に進ませていただきます。
 次は、今日の中心的な議題ですけれども、法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策に向けた提言案について御審議いただきたいと思います。前回、骨子案に対しまして、委員の皆様からいただきました御意見等を踏まえまして、事務局で資料を準備していただいております。まずは、これについて事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】 
 失礼いたします。それでは資料5-1、5-2を御覧いただけたらと存じます。
 主には資料の5-1でございますが、法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策について(提言案)でございます。前回、7月16日の法科大学院特別委員会におきまして、骨子案をベースに御議論いただきました。その際、様々な御意見を頂いてございます。また、昨年の7月に法曹養成制度関係閣僚会議決定が行われて以降、様々、法科大学院特別委員会におきまして御議論いただいたものがございます。そういったものを総合的に取りまとめ、改めて、本日提言案という形で御議論のたたき台となるものを用意させていただきましたので、少しお時間をいただきまして、その全体像について御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、5-1の初めに「はじめに」と記させていただいておりますが、これは前回骨子案におきましては「経緯」とされていたところにつきまして、それを大きく「はじめに」と、それから2ページ目以降にありますローマ数字1の「これまでの改革の成果と現状」に分けて整理を直させていただきました。「はじめに」の1ページ目でございますが、一つ目、二つ目の丸につきましては、法科大学院制度が創設以降10年を経過したこと、また、その10年間におきます法科大学院教育の成果についての付言、また一方で、その課題が深刻な法科大学院が存在するという中で、当初期待されていた役割というものを法科大学院が十分に果たせているとは言い難い状況が続いているということを確認させているところでございます。
 このような状況の中で、三つ目の白丸以降でございますが、この中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会におきましては、平成21年の報告、また平成24年の提言を頂いて、その改革を進めてきたところでございます。
 また、特に四つ目の白丸でございますが、昨年7月の政府に置かれました法曹養成制度関係閣僚会議決定に基づいて、更にこの中央教育審議会においても御議論いただきまして、ここに黒ぽつ四つございますが、先ほど御報告をさせていただきました公的支援の見直しの更なる強化策は、昨年9月におまとめをいただきました「組織見直しの更なる促進方策の強化について」に基づいて政策を文部科学省として打たせていただいております。そういった流れで、ここに挙がっているような、様々な御議論を頂いてきたところでございます。
 2ページ目でございますが、そういった改革を、これまで1年近く議論してきたものを今般、取りまとめて、抜本的かつ総合的な改善・充実方策を提言することとするとさせていただいたらどうかと考えております。
 なお、2ページ目の上から一つ目の白丸でございますが、その提言をしたことによりまして、まずは文部科学省においては、その提言を踏まえた実効性のある改革の実施に早急に取り組むこと、また各法科大学院及び認証評価機関をはじめとした関係機関においては、この提言を踏まえた取組を加速させていくこと、法科大学院の改革と同時に法曹養成に関わる全ての関係者が協力してプロセスとしての法曹養成制度の改革に取り組んでいくことを期待するということで整理をさせていただいてはどうかと考えているところでございます。
 以上が初めの部分でございます。
 続きましてローマ数字1、これまでの改革の成果と現状について、簡単に御説明させていただきます。ここにつきましては、例えば本文、地の文でございますが、一つ目の白丸以降でございます。それはまずは法科大学院の教育的な仕組み、枠組みの説明をさせていただいた上で、二つ目の白丸には、その結果、法科大学院を修了した法曹で活躍する方々が増加しているということ。例えば弁護士の全登録者数のうち、現在約3分の1近くを法科大学院修了生が占めるような状況になっているということに付言させていただいております。
 また、三つ目の白丸でございますが、法科大学院の修了生で現在法曹として活躍をされている方、また、その受け手側である弁護士事務所、企業、地方公共団体等の受入れ側からも、法科大学院を経て法曹で活躍をされている方々の評価というものが上がってきているということを付言させていただいております。
 しかしながら、2ページ目の一番下の白丸以降でございますが、入口の状況、出口の状況でそれぞれ深刻な課題を抱えている法科大学院も少なからず存在している中、法科大学院離れ、法曹離れといった事態が生じているということもまた事実だということでの確認をさせていただいております。
 そういった改革の成果と現状を踏まえて、3ページ目以降でございますが、今後目指すべき法科大学院の姿ということで整理をさせていただいているところでございます。
 3ページ目の中段から以下でございますが、ここでは法科大学院の目指すべき姿を早急に実現すべく改革に取り組む観点から、その目指すべきものをどういうふうに整理をしていくのかということでございます。
 3ページ目の最後の白丸でございますが、そのときに考えるべきは、当初理想とされていたように、修了者の7、8割が司法試験に合格できるような高い教育力を持つ法科大学院が全国的に一定のバランスを持って配置されていくこと、そしてそこで多彩な教育が展開され、その結果として司法試験の合格者のみならず、将来の実務も視野に入れた特色ある教育、これを安心して受けられる環境を整えていくべきであるということで整理をさせていただいています。
 その上で4ページ目でございますが、一番上、結果といたしまして、我が国の司法を支える法曹の養成に加えまして、例えば国際条約、国内法、契約などのルールを形成し、それに基づく紛争解決や交渉調整能力が求められる民間企業、また公務部門での様々なニーズに応えていくこと、またグローバルに活躍できる法曹というものの養成を目指していくべきだろう、また、教育分野をはじめとした様々な分野、地域における司法サービス、あるいは裁判外紛争手続を行う法曹の養成といった様々な分野で活躍できる人材が輩出されることが望まれるのであろうということであります。
 そのためには、上から一つ目の白丸でございますが、その多様なバックグラウンドを持った法学未修者が法律を着実に学ぶことができる環境、取組を進めるということ、また、特に優秀な学生であれば短期間で法曹になることができるような道についても、考えていってはどうかということでございます。
 さらには、経済的な事情を有する学生若しくは地方で法科大学院がない学生に対しての配慮も考えながら、対応する改革を目指していくことが、法曹志願者を増やして、法科大学院に受け入れ、有為な人材として法曹界に送り出す唯一の途であることを確認して、そのための改革について、4ページ目の中段以下でございますが、ローマ数字3、今後取り組むべき改善・充実方策として整理をさせていただいてはどうかと考えているところでございます。
 そして、4ページ目でございますが、このローマ数字3、改善・充実方策については、大きくは二つの点で整理をさせていただいております。一つ目は組織見直しの推進について、二つ目は教育の質の向上についてでございます。
 一つ目の組織見直しの推進については5ページ目を御覧いただけたらと存じますが、特にポイントは小さな黒丸が五つ並んでいるところでございます。
 まず一つ目の黒丸でございますが、先ほど来、この法科大学院特別委員会からも御提言をいただきながら政策として進めてきた組織見直しの結果、平成27年4月、来年の4月には入学定員の総数は3,175人まで縮減する見込みとなっております。この点につきましては、本年3月にこの法科大学院特別委員会でおまとめいただきました基本的な方向性において示された当面3,000人程度を目途に見直しを促進するという目標も、ある意味ほぼ達成の見込みが立ってきたという状況でございます。
 ただ、二つ目の黒丸にございますように、我が国の将来的な法曹需要に基づく法科大学院全体の定員規模というものについては、現在明確に示されていないところもございます。こういったものを示していく必要があるだろうということでありまして、具体的にその定員規模として考える望ましいものとしては、この二つ目の黒ぽつの下から2、3行目あたりからでございますが、法科大学院全体として、例えば累積合格率7、8割を目指すことが可能となる規模とすることが望ましいということで提言をさせていただいたらどうかと考えております。
 三つ目の黒丸に、それまでの当面の間につきましては、公的支援の更なる見直しのスキームなどを通じて、各法科大学院の自主的・自律的な組織見直しを引き続き促進し、3,000人から更に削減する方向で当面取り組むべきであろうということで提言をさせていただいております。
 このような適正な定員規模を目指すために、更に今後ともこれまでの司法試験の結果や教育成果などを通じて、課題解決に向けた連合など、抜本的な組織見直しを強力に推進していくことを求めるべきであり、また、その際には地方在住者や社会人への配慮もしっかりと検討していくべきであろうということでございます。
 また、そういった政策を進めていくために、必要に応じて公的支援の更なる見直しのスキームも更に見直していくことも検討すべきではないかということで提言をしてはどうかと考えさせていただいているところでございます。
 5ページ目でございます。続きまして2の教育の質の向上でございます。これにつきましては、5ページ目以下から始まりますが、特に6ページ目以降を御覧いただけたらと存じます。法科大学院教育におけるプロセス教育の確立、これを目指していくという観点から、大きく四つのポイントに分けて整理をさせていただいております。
 まず一つ目は、6ページ目の中段からございます。優れた資質を有する志願者の確保ということで整理をさせ直させていただいたところであります。特に、黒ぽつ二つ目からでございますが、優れた資質を有すると認められる学部学生について、学部3年修了後に法学未修者コース、いわゆる正規コースであります3年のコースだけでなく、2年の法学既修者コースに飛び入学させるなどして、法曹として必要な能力を効果的かつ効率的に身に付けさせることを通じまして、法曹になるための時間的負担の軽減に配慮した取組を促進させていくべきであろうということで整理をさせていただいております。ただその際、特に学部教育と法科大学院教育の円滑な接続にも配慮した教育課程上の連携というものにも考えていく必要があるのではないかということでございます。
 なお、三つ目の黒ぽつでございますが、その飛び入学等の活用につきましては、入学者の質の担保をしっかり図るということ、また法学既修者の認定に際して適切な方法を用いていくということ、更には認証評価を通じて、それらの飛び入学を通じた早期のコースがしっかりと運用されているのかどうか的確に判定していくことが必要だろうということで整理をさせていただいているところでございます。
 また、7ページ目以降につきましては、例えば一つ目の黒ぽつにつきましては、経済的な理由によって法科大学院への進学を諦めることのないよう、様々な形で奨学金や授業料の減免を充実させていくということ。加えて二つ目の黒ぽつ目以降、例えば地方、社会人を配慮したICTを活用した教育連携・教材開発、また三つ目の黒ぽつにありますように、法科大学院における就職支援のさらなる充実、また四つ目のぽつにありますように、そういった法科大学院教育の取組成果等の丁寧な広報活動に努めていく必要があるだろうということで、そういった様々な取組を進めることで優れた資質を有する志願者の確保に努めていくということで改善方策・充実方策を整理させていただいたところでございます。
 続きまして二つ目のポイントでございます。7ページ目の下段あたりを御覧いただけたらと存じます。法曹として不可欠な基礎・基本の修得の徹底についてでございます。この点につきましては、一つ目の黒ぽつは、法学未修者の教育充実をしっかり図っていくこと。特に現在、法学未修者に追加が認められている配当年次の拡大、単位数の更なる増加が可能となるような形で、各法科大学院にその進め方をお示ししておりますので、そういったものを活用しながら、法学未修者にとって最適と考えられる教育カリキュラムを編成するなど、法学未修者の教育の充実を図ることが必要であるということで提言案をまとめさせていただいています。
 また、法曹に必要となる法的な知識、思考力について、これらは全ての法科大学院生にその修得が求められることでありますことから、現在、更に検討が進められております共通到達度確認試験(仮称)の導入を推進していく必要があるということでございます。
 8ページ目を御覧いただけたらと存じます。そのため共通到達度確認試験(仮称)等につきましては、本年度中の試行の実施に向けて、国又は各法科大学院において積極的に協力し、その取組を進めることが必要であるということで提言をさせていただいてはどうかと考えております。
 また、上から二つ目の黒ぽつにございますように、司法試験問題の活用につきましても、この法科大学院特別委員会で御議論いただきました。基本的には、その問題を使うことに問題があるのではなく、単なる受験技術指導に陥ることがないように留意しながら、司法試験の問題等も適切に活用していくということがポイントなのだろうということでございます。またその際には、若手実務家の協力を得ることも有効であるということで整理をさせていただいています。
 続きまして3点目でございます。プロセス教育を生かした教育内容の充実でございます。一つ目、二つ目の辺りにございますように、法科大学院として特に望まれています実務と理論の架橋の観点から、エクスターンシップやリーガルクリニックの積極的実施、またFD活動などを充実させることで、法曹実務を目指す者に必要な法律実務に関する基礎教育の充実を図っていく必要があるだろうということ。また、更にその内容充実の観点からは、留学促進・受入れといった国際化への対応、また教育力の高い教員の派遣、学生の受入れなどを通じた法科大学院間の連携というのも必要ではないかということで提言案をまとめさせていただいています。
 また、今御説明したのは法科大学院生を対象とした取組でございますが、加えまして、法科大学院を修了し、法曹として活躍される方を対象とした、例えば質の高いビジネスローや外国法などの研修プログラムを含めた継続教育の充実、あるいは職域拡大への貢献を行っていく必要があるだろうということで提言案を整理させていただいております。
 そして四つ目のポイントでございますが、8ページ目の下段でございます。プロセス教育の質の確保でございます。ここにつきましては、まず一つ目の黒ぽつでは、客観的な指標を勘案した一層厳格な認証評価の実施、また、評価結果の活用方策を検討していくべきであろうということ。その必要に応じては教育環境の充実につながる設置基準等の内容についても見直しを考えていくことも必要ではないかという提言案をまとめさせていただいています。
 また、8ページ目の下段にありますように、法科大学院教育を担う教員の質・量の充実方策に取り組んでいく必要があるということで、特に9ページ目の一番上の黒ぽつでございますが、特に法科大学院設立後以降、我が国全体の法学教育・研究を担う人材の確保の在り方というものが急務になっているということでございまして、法学分野における教員のキャリアパスの在り方についても、併せて早急に検討していく必要があるのではないかということで提言案をまとめさせていただいております。
 以上が法科大学院の改革・充実方策の内容でございます。
 最後に、加えまして9ページ目以降でございますが、ローマ数字4でございます。法科大学院教育と司法試験・修習との有機的な連携の在り方についてでございます。
 ここにございますように、まず9ページ目の四角の下の白丸から御覧いただけたらと存じますが、まずは司法制度改革の理念に基づいて、法科大学院におけるプロセスとしての法曹養成の中核教育機関として機能するための改革というものを自ら進めていく必要があるということ、また、そのためには法科大学院全体でも共通到達度確認試験(仮称)等の導入に向けるなどの大胆な改革にも取り組んでいく必要があるのだろうといったことを前提として、三つ目の白丸でございますが、法科大学院教育と司法試験や司法修習との更なる連携にも同時に取り組んでいくことが不可欠であり、政府全体における検討が促進されることを強く期待するということで、その基本的な考え方を整理させていただいています。
 具体的には9ページ目の下からでございますが、(1)司法試験予備試験との関係でございます。9ページ目の下からは予備試験の在り方について制度的なもの、若しくは10ページ目を御覧いただけたらと存じますが、一番上の丸はこれまでの実施状況、更には本法科大学院特別委員会において3月にまとめられました基本的方向性の中で、予備試験について、例えば法科大学院の修了生と同等の学識・能力を有するかどうか判定するものとして適切に機能しているかどうかを注視していくなど、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会として、予備試験について見た結果、それを政府全体の検討に資するように提案をしてはどうかということでございます。
 そして、その予備試験につきましては、大きくは三つの観点で整理をさせていただいています。一つは、丸1番でございます。プロセスとしての法曹養成における予備試験の位置付けでございます。特に二つ目の黒ぽつにございますように、予備試験制度の本来の趣旨、あるいは法科大学院が大学院レベルの正規の教育課程として位置付けられたことを踏まえつつ、予備試験の受験対象者の範囲について、制度的な対応を速やかに検討していくことが望ましいのではないかということで整理をさせていただいています。また併せまして、三つ目の黒ぽつにありますように、予備試験の合格者数の増加は、これまで実績を上げている法科大学院中心に大きな影響を与えているということから、当面の試験の運用による対応についても検討していくことが望ましいのではないかということで案を整理させていただいております。
 また二つ目は丸2でございます。法科大学院教育と予備試験の内容等についてでございます。特に10ページ目から11ページ目にかけまして、法科大学院における教育では司法試験で課されている科目以外にも様々幅広い学習が求められ、また、3年間の課程の中で、例えばGPA等に基づく厳格な進級判定あるいは修了認定が行われるような形になっている中、予備試験ではある意味基本的な法律科目を中心とした試験による判定ということで、その同等性について、速やかに考えていく必要があるのではないかということで、11ページ目の上から一つ目の黒ぽつでございますが、具体的には予備試験の試験科目について、法科大学院教育と密接に関連付けていくという流れで検討していくことが望ましいのではないかということでございます。また、二つ目の黒ぽつにございますように、予備試験の出題内容を工夫する、時間をかけて試験を実施するといったような運用上の改善も検討していただくことが望ましいのではないかということでございます。
 そして丸3番でございますが、法科大学院教育に与える影響についてでございます。特に昨今の予備試験につきましては、学部在学生、法科大学院在学生がその受験者又は合格者に占める割合というものが増えていく傾向にございます。そういったことが学部教育や法科大学院教育に与える影響、また予備試験の受験資格も含めてその在り方を速やかに考えて検討していくことが望ましいのではないかということでございます。
 続きまして最後でございますが、11ページ目、(2)でございます。司法試験及び司法修習との関係でございますが、法科大学院の教育内容を踏まえて、例えば司法試験の在り方を検討していくことが望ましいということ、また修習との関係につきましては、プロセス養成の理念を踏まえ、両者の連携をより一層図っていくことが望ましいということで、その考え方を整理させていただいているところでございます。
 以上、提言案についての事務局からの御説明は以上でございます。審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】  
 それではただいまの御説明を踏まえまして、順次、審議を行っていただきたいと思います。見出しごとに御意見をいただき、最後に改めて全体について御意見、御確認をいただくということにしたいと思います。
 はじめに1のこれまでの改革の成果と現状については、事実を整理して書いているわけですので、それほど御異論はないかと思いますが、一応、はじめに、1のこれまでの改革の成果と現状、この両方について何か御注意等頂くことがありましたら御発言ください。
 どうぞ、笠井委員。

【笠井委員】 
 2ページのこれまでの改革の成果と現状の四角の下の白丸二つ目ですが、ここでは法科大学院を修了して法曹になったものをはじめとして、いろいろな分野で活躍しているというのがあり、その後に、「例えば、弁護士の全登録者数のうち約3分の1近くを法科大学院修了生が占めるまでになってきたところである」という記述があります。これは活躍の中身そのものというよりも数字が増えたということを指摘しているのにすぎないようにも見えますので、そこを一歩踏み込んで、私の実感としては、例えば増えたことによって、少額事件を取り扱う弁護士が増えているとか、それとの関連で言うと、各種のADRに関わる弁護士も増えている。私の知らない分野でもいろいろあり、他の記述と重なる部分もあるかとは思いますが、単に増えたことを成果として平板に記述するよりも、もう少し実質を書いてほしいという感じがしました。

【井上座長】 
 今の点でも結構ですが、ほかの方、いかがでしょうか。
 なかなかADRが増えているなど、それに携わる方が増えているというのは、直結するのかどうかというところの検証が非常に難しいですね。だから、そうではないかというふうには言えますが、そこまで分析して書けるかどうかということですね。あるいはそういうことが適切かどうかという、その辺の問題はあろうかとは思います。

【笠井委員】 
 私が今言いたかったことは、人数が増えたことによってそういう分野に関わる弁護士、法曹が増えているということです。

【井上座長】 
 それはよく分かりますが、法科大学院を出た人が増えたので、そこに直結したとまで断定できるかどうか。恐らくそうであろうということだろうと思いますね。

【片山委員】 
 よろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【片山委員】 
 今の部分の補足になりますけれども、例えば企業法務、インハウスローヤーとして活躍する弁護士が増えたということはよく指摘される点で、既に1,000人を超えたという報道が新聞等でなされておりますし、その中における法科大学院修了者の比率というのは恐らく簡単にデータがとれるでしょうから、そのような客観的なデータもある程度収集は可能だとは思います。
 要するに次の3ページ目のところの四角囲みの丸2の、今後とも多様な分野で法曹が活躍するようにすることが望まれるというところですが、それが既にある程度は達成されていて、更にそれを推進していくということが必要であるという趣旨になればいいのではないかと思います。

【井上座長】 
 私が発言した趣旨は、否定してのではなくて、直接的な結び付き以外に間接的な結び付きもある。弁護士の数が全体として増え、いい意味での競争が活発化すると、これまで余り注力されていなかったところにも、新人のみならず、既存の弁護士の方々もそういうところに進出していくことになるといった間接的なプラスの影響もあるのではないかということです。その辺、工夫して、膨らみのある表現にできればなと思います。
 ほかの方、別の観点でも結構です。
 1までのところは、このくらいでよろしいでしょうか。
 今日は主に2以下のところについて集中して御議論いただきたいと思います。まず2の今後目指すべき法科大学院の姿について、御意見あるいは御質問でも結構ですけれども、どなたからでも御発言いただければと思います。

【樫見委員】 
 かなりしっかりと書かれていると感じているのですが、今後少し気になるところは、優秀な資質を有する志願者の確保というところで、ページで言いますと、特に経済的な支援のところです。現在、法科大学院の方は、授業料も、いわゆる通常の教育課程、国立大学で言えば高額でありますし、それから司法修習も、これは給付制にはならなくなったということを考えますと、いわゆる無利子奨学金の充実ですとか、飽くまで返すことを前提とした奨学金の在り方しか書いていないのですが、やはり司法修習のこと、それから未修者の場合には3年間の教育期間の生活費、授業料等含めて、給付型のものも少し検討していかなければ、経済的に困難な理由で予備試験へ行ってしまって本来のプロセスの教育を受けられないのではないかという危惧もありますので、この点もう少し、給付型の奨学金といいますか、そういった方向も少し考えていただければありがたいなと思いますが。

【井上座長】 
 今の点でも結構ですし、ほかの点でも結構ですが。

【杉山委員】 
 よろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ、杉山委員。

【杉山委員】 
 言葉遣いの問題ですけれども、4ページ、上から二つ目の白丸、「以上のような姿を」という段落で、言葉遣いで「唯一の途」というのがございます。これが、法科大学院が唯一の途というふうに読むのか、それともこういうことをやっていくのが唯一の途と読むのかよく分からないのですが、この提言で、最後のところで予備試験について触れていますが、予備試験についてはいまだ否定、不存続とか存続とかという判断をせず、速やかな早急な検討が必要であるという提言の段階になっておりますので、この段階でもしかするとこの法科大学院というのが唯一というのに係っているとすると、少し踏み込み過ぎかなと。例えば「最良の」とかそうすべきなのかなという感じで読んでおりました。

【井上座長】 
 文章としては最初の「ことこそが」が主語で、「唯一の途」というようになっているのではないでしょうか。つまり法科大学院に受け入れて有為な人材として法曹に送り出していくことを、実現していくためには、以上のような姿を実現することが唯一の途という流れなのではないかと思うのですけれども。

【杉山委員】 
 今の座長の御説明ですと、若い方が法曹を目指すには、法科大学院で受け入れて、そこで様々な改善した施策の教育を受けていくことこそ法曹を輩出することの唯一の途だというふうに……。

【井上座長】 
 法曹を輩出する唯一の途ということよりは、法科大学院制度が目指していたことを有効に実現する唯一の途は以上のような姿を早期に実現することなのだという趣旨なのかなと読みましたが、文章的にはどうですか。今井室長。

【今井専門職大学院室長】 
 失礼いたします。今、座長に御指導いただいたように、主語はそこに置いていたつもりでございましたので、大きな司法制度改革、プロセスとして法科大学院を中核とする、そういったものを達成する、実現するためには、ここで「唯一の」というのは少し筆が滑り過ぎている可能性があるかもしれないのですが、上に書かせていただいたようなことが、一番大きな途なのであろうということで書かせていただいたところではございます。

【井上座長】 
 誤解を生むとすると、「唯一」という用語について、別の表現にすることですかね。

【杉山委員】 
 座長と今井室長のお話はよく分かりましたので、その上で、その用語を御検討いただければと思います。

【井上座長】 
 ありがとうございます。
 ほかの方、いかがでしょうか。2について。どうぞ、土屋委員。

【土屋委員】 
 字句の問題ですが、3ページの四角で囲ってある升の中の白丸の二つ目です。文章がワンセンテンスになっていて、非常に分かりにくい気が私はするのです。文章を二つに分けて、例えば3ページの一番下には、下の行ですけれども、そこには「環境を整備する必要がある。」となっておりまして、ページをめくると、「その結果」と受けているわけですね。これをそのままここに持ってきて、丸のところの上から2行目のところの「環境の整備を通じて」とくくってありますが、ここをやはり今の表現を取り入れて、「環境を整備する必要がある。」とし、「その結果」とつなげると、この文章の構造がよく分かるだろうという気がします。修文をお願いできれば分かりやすいだろうと思います。

【井上座長】 
 恐らく要約なので、一文にしようとぎゅうぎゅう詰めにしたのだと思いますね。

【土屋委員】 
 だと思います。
 それからもう一つは、4ページ目の上から3行目のところですが、字句です。「裁判外紛争手続」と書いてありますが、これは通常、「裁判外紛争解決手続」と使っているのではないかと思われますが。

【井上座長】 
 山本委員、そうですよね。

【山本委員】 
 法律もそうなっていると。

【井上座長】 
 これは単純なミスだと思います。ありがとうございます。

【土屋委員】 
 それからついでに、樫見先生が先ほどおっしゃった部分の、給付型という部分ですね。私、以前ここでも発言していますけれども、授業料の減免制度とか、そういうものにもっと力を入れてくださいということを言っておりまして、先ほど今井室長の口頭の説明では減免制度とありましたが、文章として、そこの部分がやはり薄いような感じがしますので、私も樫見先生と同じような意味で、学生たちが法科大学院に行きやすい状況を作る、魅力あるものにするというその一つの方策として、給付型あるいは減免型の制度を、国の負担は大きいと思いますが、その辺りを考えていただけることが望ましいと思っております。以前発言したことの繰り返しなので、復活折衝です。よろしくお願いいたします。

【井上座長】 
 これは法科大学院特別委員会名の文書ですので、そういう検討をすることが望ましいと書いてもよいのかもしれませんが、財政的な裏付け等もないと文部科学省としてはなかなか踏み込みにくいところなのかと思います。ただ、御意見としてはごもっともだと思いますので、この辺も少し表現ぶりを含めて工夫させていただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 2についてはこのくらいでよろしいでしょうか。
 それでは先に進みまして、3の今後取り組むべき改善・充実方策について、御意見あるいは御注意等を賜れればと思います。
 日吉委員。

【日吉委員】 
 一つの問題提起になろうかと思いますが、今後取り組むべき改善・充実政策の見出しは、先ほどの御説明では1.組織見直しの推進、それから2.教育の質の向上という大きなまとまりを作った上で、これを拝見しますと、その教育の質の向上の中に、今度括弧で1、2、3、4とあって、1が優れた資質を有する志願者の確保、2が法曹として不可欠な基礎・基本の修得の徹底、3がプロセス教育を生かした教育内容の充実、4がプロセス教育の質の確保となっています。問題意識がそれぞれの考え方によって違うかもしれませんが、私はこれを読んだときに、2以下、法曹として不可欠な基礎・基本の修得の徹底、プロセス教育を生かした教育内容の充実、それからプロセス教育の質の確保、これらはいずれも本当にプロパーな意味での法科大学院教育の内容又は質の向上についての詳述した部分と受け取りましたが、この1の優れた資質を有する志願者の確保というところには、実にいろいろな要素が盛り込まれています。ここには就職支援も入っているし、経済的支援の充実方策、先ほどから出ているものですね、それから飛び入学の活用。時間的なショートカットの方法など、プロパーな意味での法科大学院教育の質あるいは内容以外のところがたくさんマルチな感じで列記してあると。
 これを見て思ったことは、少し先食いになりますが、その後に予備試験の項目が、今度は大きなローマ数字の4の法科大学院教育と司法試験・司法修習との有機的な連携の在り方の中に、ほとんど80%の面積を占めて入っているわけですが、私の懸念は、法科大学院制度が教育の質をこれからも更に良くしていく、これは絶対必要なことだし、そういう意味での改革は続けていかなければいけない。しかし問題は、今の与えられている状況の中で、一生懸命法科大学院が教育の質・内容を充実させたときにでも、果たしてお客さんに選んでもらえるのだろうかという懸念があるからこそ、そのいわゆる外側の部分ですね、飛び入学で何とかショートカットできないかとか、経済的支援はどうなのかとか、就職支援をもっと充実させようとか、やはりそういう施策が出てこざるを得ないという状況にある。その中の一番大きな要素が予備試験の存在なのだろうと思います。つまりこの1番を読んでいると、これは、ここには一言も言葉は出てこないのですけれども、ここの影の主役は予備試験なのだろうなと読めるわけです。
 そうしますと、果たして2の法科大学院の教育の質の向上についてという項目の中に、この1番を入れて、そしてほかのプロパーな教育の内容の充実策と一緒にしてしまって、それで今度別の、ローマ数字の4のところに、今度は予備試験を、またそれとは少し異なったものの司法試験や司法修習との有機的な連携の在り方というタイトルの下に書くということは、かえって物事の実態というか関係を見にくくさせているのではないかと。ひょっとすると、できるだけ潜らせることが本来の目的だったのかもしれないのですけれども、それはやっぱり正面からある程度、どうしたらすぐれた資質を要する志願者を法科大学院が確保していけるのかと。その一つの要素は質を上げて、みんなに信頼していただくことかもしれないですけれども、今の状況では、これまでも中央教育審議会で散々議論してきたように、予備試験という存在が無視できないぐらい大きくなっているという意味で、何とかそれを結び付けて問題提起ができないかと思います。

【井上座長】 
 大胆な、切り込んだ御意見をありがとうございます。
  若干感想を申しますと、確かにおっしゃるように、予備試験の存在を意識したところが大きいとは思いますが、それだけではなく、全体としてやはり合格率が低いために、そのことを一つの原因として法科大学院の志願者がずっと減っている。予備試験のせいだけではないと思うのですね。ですから、どういうくくり方をすればよいのかは結構難しいところだと思います。予備試験のことも視野にもちろん入りますけれども、それはそれとして、法科大学院の志願者がじり貧というかどんどん減っている。それを盛り返すためにはどうしていけばよいのかということだろうと思うのですね。確かに質の向上というところでくくると違和感があることは、そのとおりだと思います。

【日吉委員】 
 それで、それは、むしろそこの問題と、それからもう一つ先食いで申し訳ないのですが、ローマ数字4のタイトルの下で予備試験をほとんど論じているというところへの違和感と両方でございます。それを何とかうまく整理できないかなというのが、むしろ私からの皆さんへの問題の提起でございます。

【井上座長】 
 分かりました。4のところでもまた論じていただきたいと思いますが、今の3のところ、確かにここの部分、少し性質の違う問題であることは事実だと思います。
 その辺も含めまして、ほかの方からも御意見あるいはお知恵を頂ければと思いますが。
 どうぞ。

【有信委員】 
 この文章、非常によく考えられていると思いますけれども、何となく、前からも申し上げていますが、法科大学院の個別の問題にフォーカシングし過ぎていて、グローバルな視点でどうなのか。例えば6ページの優れた質を有する志願者の確保についてということに関して言うと、そこに三つぽつがありますけれども、この内容は、これはそういう方策をとっていかざるを得ないということだと思いますが、こういう方策をとることが将来的に国際的に通用するような形に持っていけるということに対する配慮が必要だと思います。先ほどの予備試験の問題も、基本的には国際的には通用しないような仕組みを取り入れてしまっているわけですから、そういうことも含めて考える必要があると思っています。
 特に、今、大学院部会でK16をどうするかという問題を議論し始めています。K16というのは大学院の入学資格として16年間、つまり初等、中等、12年、その後、大学教育4年ということを修了し、大学を卒業しているというのがその資格要件になっていますが、諸外国を見ると、例えば欧州ではもう学部3年になっていますから、K15になっていますし、各国それぞれ見ていると、必ずしもK16になっていない。この辺の折り合いをどうつけるかという議論を始めています。この辺のところはそこも見ているという形で、少し何か一言加えていただくといいかなという気がします。

【井上座長】 
 そうですね。今、非常に危機的な状況なので、短期的な視野にとらわれているということは事実だと思いますので、その辺も工夫をさせていただければと思います。
 どうぞ、樫見委員。

【樫見委員】 
 この優れた資質を有する志願者の確保ということは、学生の立場から見ますと、やはり法科大学院に対する志願者数が減っているというのは、学生さんの方がお金もかかるし、仮に司法試験に通ったとしても職が不安であるというようなことがありますので、書き方としましては、先ほど日吉委員が言われたこともそうですが、学生さんが法科大学院なり、予備試験でもよろしいのですが、優れた法曹になる、あるいはそうならなかったとしても、自分たちが社会にとって有為な人材であるということが自信を持って、そして教育を受け、かつ社会に出ていくことができるようなことをアピールするとか、あるいはそういうことについて、この中央教育審議会もそうですが、国全体としてあなた方を支援するというような積極的な言い方をしないと、仕組みだけではなくて、やはり大丈夫ですよというような言い方をしないと、現在入ってきている学部の1年生、2年生相手に、いろいろ法科大学院について夢を持たせるようなことを言って、優れた法曹になってください、あなた方の能力が将来的に社会に役に立ちますということを言っても、単純に安く仕上がりますよとか、時間が短いですよというだけでは不十分であると。その点をもう少し、一言で言えば夢ある職業であると、あるいはそういう教育課程であなた方は学べるのだということをもう少し積極的に押し出していただきたいなというところでございます。

【井上座長】 
 分かりました。
 ほかの方、いかがでしょう。
 どうぞ、土井委員。

【土井委員】 
 先ほど日吉委員がおっしゃられた予備試験に関する部分は、基本的に同感でございます。ただ、志願者の確保をどうしていくかという問題については、法科大学院側で努力しないといけないことと、予備試験の側(がわ)で御検討いただかないといけないことと二つの問題があります。今回のこの提言案の構造は、ローマ数字の3の「今後取り組むべき改善・充実方策」は、法科大学院側が取り組まないといけない事柄になっているのに対して、4の方は、法科大学院側でできる話では必ずしもない部分があり、予備試験などについては政府あるいは法務省の方でお考えいただくことなので、どちらかというとこちらは要望というか意見という形に整理がされています。なので、どうしても分断されているということなのかなと思います。文章的にもう少し連携を持たせてはどうか、それは表現の問題としては工夫の余地があるとは思いますけれども、中央教育審議会の提言として出すということになると、この仕切りをやはりせざるを得ないのかなという印象でございます。以上です。

【井上座長】 
 あるいは、これは少し検討させていただきますが、優秀な有為の人材を法科大学院に迎え入れると、そこの強化というところ、あるいは少しもう一つの項目として立てるというのも一つのやり方かなと。そうするとそこがより強調されて、少し後ろとの関係とか、さっきの樫見委員が言われたようなプロフェッショナルとしての法曹の魅力というか、あるいは優位性というか、そういうことについての記述もあるいは加えられるのかなと思います。実際にそういうことを法曹界の方でも強調されるようになってきていますので、少しその辺は工夫をさせていただきたいと思います。
 ほかに、いかがでしょうか。
 どうぞ、松下委員。

【松下委員】 
 今の日吉委員の御指摘にもあるいは関係するのかもしれませんが、7ページの上から三つ目のぽつで、就職支援という言葉が出てきて、多分これが少し、もしかしたら文脈を分かりにくくしている原因なのかもしれないと思います。ここで書かれている趣旨は、法科大学院修了後に、法曹のみならず民間企業とか公務部門にも行けるということを通じて、法科大学院をより魅力的にするという文脈ですよね。それでいろいろな志願者を確保したいという文脈だと思いますが、就職支援の充実だけ書くと、そこが少し見えにくいのかなと思いますので、就職支援を通じていろいろな分野へ行けるということが法科大学院の魅力にもなるのだということがもう少し分かるような書き方がいいのかなと思います。
 それからもう一つ、この就職支援という言葉が分かりにくいのは、この中身ですけれども、少なくとも私、今二つ思いついたのですが、例えば法曹以外に進んだ先輩を呼んできてセミナーをやるというような情報提供も考えられますし、それからカリキュラムとして例えば企業法務とか地方自治体法務という授業を設けるということも、恐らくこういう幅広い法的素養を身に付けるという点で中身が考えられるのですが、そこがどっちなのか、あるいは両方含むのか、あるいは何かそれ以外にも三つ、第3、第4の内容があるのか、そこを少しはっきりさせた方が、ここに位置付けがはっきりするような気がしました。
 以上が第1点です。
 それから第2点ですが、これは少し細かいのですけれども、次の8ページの一番上の黒ぽつですが、ここは前のページから始まる法曹として不可欠な基礎・基本の修得の徹底についてということで、一つ目、二つ目、三つ目の黒ぽつはしかるべき内容だと思うのですが、四つ目だけ妙に細かい。司法試験の問題を使って勉強していいとか、若手実務家をこのとき活用しようというのは、何か大分問題のサイズが違うような印象を受けるのですが、だから削除しろということでもないのですけれども、何かもう少しウエート付けをはっきりするような書き方でもいいのかなという気がしました。
 以上です。

【井上座長】 
 最後の点はいろいろな御懸念とか御質問があった点なので、確認的に書いているということだと思います。確かに、ここだけいきなり細かいというか現実的な話になっていますね。分かりました。

【笠井委員】 
 よろしいでしょうか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【笠井委員】 
 先ほどの日吉委員の御指摘あるいは提起には、私も同感です。それについて先ほどの議論を踏まえ、適切に提言案を策定できればと思っています。
 このほか、遠く関連する、やや違った観点からお願いしたい点があります。4ページの今後取り組むべき改善・充実方策のうちの組織見直しの推進についてです。予備試験問題と遠い関連性をもつと思いますが、そこで提起されていることは、これまでの組織見直し、ようやく緒についた公的支援の更なる見直し等により、入学定員の削減が進み、既に20校が募集停止をしている。一定程度、改善改革が進んでいると言える。その実績を踏まえた上で、しかし、ここでの記述はどうなのかです。例えば5ページの白丸のうちの上から3番目、3,000人から更に削減する方向で当面取り組むべきであるとありますが、スピード感がない。もっと積極的に、速やかに取り組むべきであるというような記述があってほしいと思っています。それはなぜかといいますと、大きく法科大学院制度の改革という点でくくれるわけですが、例えば3ページの四角の括弧の白丸1、ここでは法科大学院の目指す姿を早急に実現すべく改革に取り組むべきであるというふうに、そのほかにも早期にとかいろいろな表現がある中で、ここの組織見直しに関する記述は、既になされた取組について、これを順調に順次進めていけばいいというような、何となく間伸びた感じがしないでもないかなと。このことは、他面で予備試験制度に対して、我々が要求したいいろいろな改革をより早期にしてもらうという意味でも必要なのではないかと思いますので、そこら辺の表現の工夫をしていただけたらと思っています。

【井上座長】 
 恐らくこれまで早急にかなり思い切った手をどんどん打ってきているという前提があるので、こういう表現になったのだろうと思いますけれども。

【土井委員】 
 よろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【土井委員】 
 今の笠井委員の御指摘の点ですけれども、多分この「当面」は悠長にするという意味ではなくて、まず政府の方で法曹人口調査の結果を踏まえて、今後どういう法曹人口の規模感を持っていくのかということを示されるまでの間という意味なのだと思うのですね。それが示されない限りは、ただただ目標もなく削減していくということになると、それはとんでもない事態になりますが、ではその結果を待つまで何もしないかというと、そうではない。それが、「それまでの間」という意味なので、決して別に悠長にというか、時間をとってという意味ではないと私は読みました。

【井上座長】 
 この「当面」の位置を少し工夫した方がいいかもしれません。そういう意味では。
 ほかにこの3について。どうぞ。

【木村委員】 
 先ほど松下委員がおっしゃったことと関連するのかもしれませんけれども、7ページの就職支援の点です。これ、全体が誰に向けて書いているかということとも関係しますけれども、「各法科大学院は就職支援を更に充実させていく必要がある」と書いてありますが、これは相手があることなので、やはり公的機関であるとか民間企業であるとかの協力も必要だと思いますので、全体の趣旨がぼけてしまうということであれば結構ですけれども、もし可能であれば、一言何らか触れられればと思います。既に国家公務員では特別な試験とか作っていると思いますので。そういうことももし触れられればと思います。

【井上座長】 
 そうですね。それは法務省の方でも民間の団体と話をして、そういう環境を醸成してきたと思います。何かそういうこととも連携しながら各法科大学院においてというような表現にできればと思いますが。
 西山委員、何かございますか。

【西山委員】 
 こちらは、御承知かと思いますけれども、法曹有資格者の活動領域拡大という検討を今進めておる中で、国、自治体、福祉等のジャンルと、企業のジャンルと、それから海外展開のジャンルと三つの分科会を立ち上げて、鋭意検討を進めているところでございますので、その検討結果も踏まえつつ、法科大学院とも連携していけるのではないかと考えております。

【井上座長】 
 そういうことを踏まえつつ、あるいはそれとも連携しつつというような表現にできれば、今の御提言の趣旨を生かせると思いますね。
 どうぞ、田中委員。

【田中座長代理】 
 はい。先ほど有信委員がおっしゃったことに関連しますけれども、この組織の見直しとか教育の質の向上についての検討の方向が、何か非常にドメスティックな議論なのが気になります。もともと旧来の司法試験制度による法曹養成は、もうプロフェッショナルの養成システムとしては国際的に通用するものじゃないので、誰でも何回でも受けられる制度だからいいのだというようなことを言う人がいますけれども、プロフェッショナルの養成システムとしては全然なっていなかったのですね。だから、やはりプロフェッショナルスクールとしての法科大学院をベースとする法曹養成制度については、法曹の組織と活動がいびつな日本の状態と、非常に画一主義的な試験文化に余り引きずられて組織の見直しをやるのはもう程々にして、法科大学院の中身をグローバルスタンダードから見てもきちんとしたものにするという視点を一つ付け加えた方がよいのではないかという感じです。特に予備試験の運用は、旧司法試験について問題だと言われたことをそのまま温存しようとする運用の仕方をしているわけで、それに合わせて法科大学院の在り方をいろいろ考え直すという姿勢は程々にした方がいいと思います。
 例えば韓国の法科大学院制度などを見ましても、日本の失敗というのか、日本の変なところをきちんと矯正した上で制度設計をやっているわけですね。国際的な視野で検討していかないと、日本の今の法曹養成制度というのは、いずれ法曹資格のグローバル化とか相互承認というような話になってくると、破綻してしまうのは間違いないので、議論が非常にドメスティックな方向に、予備試験問題に引きずられて歪(ゆが)んでしまっているのではないかという気がしています。
 少しスタンスの違う議論かもしれないのですけれども、プロフェッショナルスクールというか大学院レベルの法科大学院制度の在り方を考える場合に、あの予備試験の変な運用とか、それを支持する人々の発想に合わせて対抗するという視点は、いろいろやむを得ず対応せざるを得ないわけですけれども、あくまでもワン・オブ・ゼムだということにして、先ほど来、有信委員がおっしゃっている他のプロフェッショナルスクールとか、外国の専門職大学院の在り方との対比という視点を、少なくとも中央教育審議会の議論としてはもう少しきちんとやった方がいいのではないかと思います。

【井上座長】 
 私も全く異論はないのですけれども、この文章をどういう性質のものとして出していくのかにも関わると思いますね。

【田中座長代理】 
 1つの項目としてこの視点を書き入れた方がいいような感じがします。

【井上座長】 
 恐らく今のような状況から回復基調になって安定していけば、そういう方向を更に強調しないといけないと思いますが、この文章を現状に対しての緊急の、あるいは早急な対策というふうに読むと、そこにどういうように入れればいいのか難しいように思いますね。そういう長期的な視野は、失っていないというような形でどこかに入れられればと思いますが。

【田中座長代理】 
 一言、丸ぽつ一つ入れてもらった方が。

【井上座長】 
 あるいは、今後は、そういう方向の議論こそ本委員会でやっていくべきだと考えているけれども、当面早急にはこれこれの対策をとるべきだと書くなど、御注意を踏まえて、更に工夫をしていただきたいと思います。

【土屋委員】 
 少しよろしいですか。

【井上座長】 
 はい、どうぞ。

【土屋委員】 
 ここの部分、司法試験について取り上げているのですけれども、書かれている中身は予備試験だけですよね。こんなことを言うと少しまずいのかもしれないのですけれども、司法試験に対する注文みたいなものも、法科大学院側から見て出していただいてもいいのかなと思うのですね。いきなり予備試験でなくて、司法試験の在り方は法科大学院教育を踏まえるとこういうふうにあるべきだという姿を出して、その中で今の部分なんかも書き込んでいくというようなことができないかなと考えました。その後に予備試験が来るならば、そんなに違和感もないのだろうと思いますが、そうでなくて読むと、たしかここの部分というのは、これもまた前に申し上げたことの繰り返しになってしまうのですが、予備試験だけ正面から危機感を持って捉えているのだなと受け取られてしまう気が私はするのですね。中央教育審議会としては、予備試験の話は突き放して、切り離して言及しないという、私はそういうふうな形であっていいと思うのですけれども、言及するならば、そういうメッセージを与えないような言及の仕方がもう少しあっていいかなと思います。そのためには司法試験の本試験というものをここに少し書き込んで、位置付けをして、その中で何のための試験であるかという目的、そういったものを一つ書いてみたらどうでしょうかと思いました。

【井上座長】 
 御趣旨はそのとおりだと思うのですが、今回幾つかの行き立てがあってこうなっているということなのです。司法試験の問題については、これまでも一般的には度々幾つかの節目で議論してきたところですが、今回、この提言をまとめるに当たって集約した形で本試験全体について突っ込んだ議論を必ずしもしていないので、今の段階でここに入れられるかどうかというのが一つの懸念です。
 もう一つは、特に予備試験について正面から取り上げているのは、現在、最も危機的な状況を引き起こしているというふうに、法科大学院の方からは見えるのが予備試験であることは間違いない。それについて何か言わなくていいのか。本委員会の直接の所掌とは言えませんので、望ましいといった形で書かれているのもそのような限界があるためなのですが、他方、政府の顧問会議の方からは、法科大学院関係者が、あるいは文部科学省として、その問題についてどう思っているのか聞きたいという御要望がこちらに寄せられたので、それに対してお答えするという意味もこめているわけです。確かに、そういう経緯から切り離してこの文章だけを見ると、土屋委員がおっしゃるとおり。そこの部分が非常にいびつな形で誇張されているという印象を抱かれるかもしれませんが、そういう背景がある文章で、この時期に出すというものですので、そこのところはやむを得ないものとして受け取っていただくしかないと思うのですね。
 どうぞ。椎橋委員。

【椎橋委員】 
 8ページの(3)のプロセス教育を生かした教育内容の充実についてという項目があって、その三つ目のぽつのところに、法科大学院の教育資源を活用して、先端的な科目についてそれを提供して、継続教育を充実したり拡大したりという必要があって、この取組をする法科大学院には支援をする必要があるということで、私はこれを是非こういう形で入れていただきたいと思います。今までの話の中では、法科大学院に多くの志願者に来てもらって、その中から優秀な学生を選抜して、適正な規模の法科大学院の中でより質の高い教育をして、立派な法曹を輩出するということにして法科大学院を魅力ある機関にしようということだと思うのですけれども。
 そうするとその過程ではどうしても適正な規模にするということで、具体的に入学定員の削減という問題が出てきております。これはこれで必要だと思っておりますけれども、定員削減というのは実際の効果としては教員の削減ということにもつながるわけで、しかし教員の削減を余り多く実行していくということになると、基本科目については司法試験との関係があり、どうしても必要数は残さざるを得ない。そうすると削れるところは基礎科目や先端・展開科目ということになる可能性がある。しかしそうすると、何というか国際的に考えても、これから海外に出ていっても活躍できるような法曹を養成する、あるいは日本の法律文化を高めるという観点からいっても、いろいろな展開・先端科目の充実というのも大事なので、そういう意味でこれもセットにして、是非この部分は残していただきたいということで、できればこの最後のぽつの「支援する必要がある」というのも、国としてもはっきりと公的支援をするのですよというようなことを強調して書いてくれるともっといいのですけれども、そこまでではなくても趣旨はそういうことだと思いますので、この部分を私は大事だなと思っております。感想でございます。

【井上座長】 
 後の4にも既に言及がなされておりますので、4に移っていきたいと思うのですけれども、特に3について、これだけは言っておきたいということがございましたらどうぞ。

【片山委員】 
 1点だけ。中長期的にグローバル化の課題であるとか、職域拡大であるとか、あるいは地方の問題であるとかということは、よく取り込んでくださっていると思うのですけれども、少し1点だけ地方の問題で気に掛かった点がございます。3ページの今後の目指すべき法科大学院の姿の部分では、最後の丸のところで、全国のロースクールの適正な配置の問題が、全国的に一定のバランスを持って配置されるということがうたわれているのですけれども、具体的にどう進めていくかというところの組織見直しの推進というところになりますと、4ページから5ページ、5ページの、例えば一つ目の丸の四つ目のぽつのところですが、地方への配慮というのは「地方在住者や社会人の法科大学院へのアクセスに支障を来すことのないよう、経済的支援の充実やICTの活用」ということに限定されていて、その部分でロースクールの全国的な一定のバランスにも考慮しつつという点が付加されるべきではないかとの印象を持ちました。細かい点でありますけれども指摘させていただきました。

【井上座長】 
 この点も従来からずっと懸案とされきて、一般論としては皆さんそう言われるのですけれども、具体策ということになると非常に難しい問題ですよね。なかなかまだ明かりが見えない、ところだと思います。
 それでは時間の関係もありますので、4の法科大学院教育と司法試験・司法修習との有機的な連携の在り方について、御意見をいただきたいと思います。既に日吉委員からも、このタイトルと少しそぐわない部分があるのではないかという御意見が出たところですが、ほかの方、その点に別に限らなくて結構ですけれども、御意見を頂ければと思います。

【西山委員】 
 司法試験法を所管しております関係で、少し御指摘といいますか問題提起をさせていただきたいと存じます。10ページから11ページにかけてございます予備試験の問題意識について、丸1から丸3まで、「検討していくことが望ましいと考えられる。」という語尾でございますけれども、御提言案ということで頂いていますが、丸1と丸3の問題意識は我々としても十分承知しているところなのですが、丸2について若干違和感がございまして、少しその点について御指摘をさせていただきたいと思っています。
 この丸2の部分を読みますと、現行の予備試験制度というのが、ここで言う能力の同等性を確保し得ていないというような認識が前提であるように読めるのですけれども、私どもとしてはそのような実証があるのかという点について非常に疑問に思っておりまして、そもそも御承知のとおり、予備試験を合格した資格を持って司法試験に合格したというのが出だしてまだ3年でございます。その予備試験を合格して司法試験に合格した方が、その後、ロースクールの修了生に比べて能力が劣っているとか、そういったような現象が起きているのかという点については、私どもでも把握しておりませんし、年数を考えてもそのような状況を検証するようなまだ期間ではないのではないかと思っておりまして、そのような点を踏まえますと、ここの同等性について疑問を呈するということを前提としたような提言について、そこの点を少し表現ぶりも含めて再検討いただければと思っている次第でございます。

【井上座長】 
 お立場からはそのような懸念をお持ちになるのはよく分かるところなのですけれども、この文章は、予備試験から本試験に合格した個々の人の能力がどうこうという話ではなく、現行の予備試験の中身自体が果たして同等性を確保できるような試験になっているのかどうかということであり、本意委員会でそういう御意見が多かったので、この文章を置いたということだと思います。制度として、仕組みとして、果たして同等性を確保できるような試験になっているのか、そこのところを見直す余地があるのではないかという趣旨だと思うのですね。御懸念はよく分かりますので、あらぬ誤解を生まないように表現振りなどを工夫できればと思います。その点でも結構ですし、ほかの点でも結構ですが。

【田中座長代理】 
 少しいいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【田中座長代理】 
 西山委員のただ今の御説明自体がやっぱり根本的におかしいという気がしますので、一言。「同等」というのは、予備試験が、法科大学院が専門職大学院として大学院レベルに位置づけられた教育課程を編成しているので、その課程を修了した者と同等かどうかを判定するものとなっているかということが問題になっているわけです。教育の充実策についていろいろ挙げていますけれども、これらは要するに法科大学校レベルの話でして、このレベルの話ばかりをしているので、なぜわざわざ学部と違って大学院を上に設けて、プロフェッショナルスクールを作って、それと司法試験を連携させようとしたかという視点が、今の予備試験の運用に全くみられないということが見落とされてしまっている観があります。予備試験が、法科大学院が専門職大学院レベルの教育課程を組んで教育しているということを判定しているかどうかということが問題なので、予備試験経由の合格者が将来どうなるかというような問題は、もう昔から司法試験の合格者の年齢層が広がっていることとの関連で問題になっていたことと基本的に変わらないので、それを検証したって意味はないわけです。
 基本的には、法曹養成検討会で予備試験の内容・運用をもう少しきちんと詰めずに、司法試験委員会に全部任せてしまったのが制度設計としてはミスだったと、反省しております。要するに、予備試験は法科大学院の修了と同程度であるかどうかということはもっときちんと判定する内容であるべきであって、司法試験委員会が従来型の司法試験の延長線上に予備試験を位置付けて運用しているということに根本的な誤りがあるので、その点はやはりはっきりさせておく必要があるのではないかということです。私は基本的には現在の予備試験の運用自体が制度趣旨に全く反していると理解していますので、「同等」ということやその検証を、今おっしゃったような趣旨で理解されていらっしゃるのだったら、それはもう根本的に制度設計の趣旨から見て困るのだということを強調したいということです。

【樫見委員】 
 この第4の表題からしますと、先ほどからの御意見もありますけれども、司法試験予備試験との関係が最初にバーンと出てくるというのは、やはり違和感がありまして、この表題に即して言えば、まずもって、例えばページで言いますと10ページの最後から11ページで、法科大学院における教育とは何ぞやという部分が10ページから11ページの最初のところに書いてありまして、「一方」の手前までですよね。ここのところでは、先ほど御意見にもありました法科大学院教育というのが、これから日本が目指すべき法曹養成において、多様な人材を法科大学院教育で育てて、そして将来のグローバル化にも対応する人材を作りますと。更には旧司法試験時代のいわゆる司法研修所における前期の修習ですか、少し私の理解が間違っていたら申し訳ないのですが、それを法科大学院が、模擬裁判やリーガルクリニックとか、こういったものでやっていて、そして有機的な連携をやり、成果が出ているということが最初に一つの項目として書かれてあって、それとの対比でもう一つの試験制度、経済的な困窮によって、あるいは実務経験でプロセスを通じない司法試験予備試験があるのだけれども、それは上記の点においてどうなのかという文脈で出てくると思うので、先ほど日吉委員も言われたように、最初にボーンと予備試験との関係が出てくるというのはやはり違和感があって、まずもって連携が今どうなっているのか、それからこれからどうあるべきかということが最初のところで出てくるべきではないかなと思います。

【井上座長】 
 さっきからの繰り返しですが、これはパーフェクトな教科書としての文章じゃない。そういう意味で、これまでも今おっしゃったようなことが共通認識としてあったので、それを当然のこととして踏まえて具体的な話をしているということだと思うのですね。この文章だけ独り歩きすると、そういうふうに受け取られるかもしれませんので、その辺はまた組み替えたりして考えないといけないかなとは思います。
 若干、お話の中で、細かな点ですが、前期修習を全て法科大学院の方で受け止めてやるという理解ではなく、その内のできる部分をやるということであったはずです。そして、それはそれなりに実績を上げつつあるとも言えるという位置付けなのかなと思います。 ほかの方、いかがでしょうか。この部分。

【土井委員】 
 よろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ、土井委員。

【土井委員】 
 先ほども予備試験の話をさせていただきましたけれども、あるべき法科大学院教育あるいは法科大学院制度を考える際に、何人かの委員がおっしゃったように、予備試験に振り回されている感があるのは面白くないと言われると、それはそのとおりなのだろうと思います。しかし振り回されている現実があり、それをどうするのかということからはやはり目を背けるわけにはいかないというのが現状だろうと思います。提言の前の部分で、法科大学院側が取り組まないといけない事柄について提言がなされています。私自身、これは必須のことでやらないといけないと思いますが、しかし本日配付のあった資料4などに示されているように、公的支援の見直しの更なる強化策等をやるというのはこれ、非常に厳しいことをやらざるを得ない事態になっているわけです。ある意味で言えば、まさに法科大学院制度について大手術をする話になっているのだと思います。私も大手術をしないといけないという事態であるという認識を持っていますけれども、しかしここで指摘されているような予備試験に関する対応をしていただかないと、これだけの大手術をしているのに、止血も輸血もしないという事態が続くことになります。こうなると、もう制度そのものが非常に危機的な状況に陥る、しかもそれは決して遠い将来の話ではないと思います。ですからこの予備試験の部分が分量的にも非常に大きなウエートを持っていますけれども、まさにここに書かれてあるのは法科大学院側としてできる限りの改善努力はするけれども、しかしそれが実際に効果を持ってプロセスとしての法曹養成制度が維持、安定的に発展するためには、これをしていただくことは不可欠の前提であるという強いメッセージだと思います。それと有機的な連携という表題との言葉のつながりというのは、それはいろいろあるかとは思いますけれども、多分意図としてはいま申し上げたような内容になっていて、私自身は、やはりこの厳しい認識は示さないといけないと思います。今後法科大学院側に対して、この中央教育審議会としても非常に大きな改善あるいは厳しいお願いをせざるを得ない状況ですから、これぐらいの認識、あるいはもっと厳しい認識でもいいと思いますけれども、私自身は示しておく必要があるのだろうと思います。以上です。

【井上座長】 
 ほかに、今日の段階で、更に何か付け加えて御発言があれば。
 どうぞ、椎橋委員。

【椎橋委員】 
 私も土井委員と同じように、プロセスとしての教育の一番の阻害要因は予備試験だという認識を持っておりますので、そのような認識に立つと、井上座長が言われたように司法試験の在り方は所掌の問題もあり、他方、一番大きな問題になっているものを正面に出してくるというのはおかしくないと思っております。
 先ほど話が出ましたけれども、予備試験合格者と法科大学院修了者で司法試験合格した者と、どちらが優秀でどちらが劣るか、これを実証するということは恐らくできないことではないかと思います。問題はそこではなくて、田中座長代理が言われたように、制度としての問題だと思われますので、予備試験が残された制度趣旨というものに立ち返って、これはやはり本当に真剣に考える必要があると思うのですけれども、経済的な理由によって法科大学院に行けないとか、社会人の経験のある人々について法曹への道を閉ざしてはいけないということで残されたと認識しておりますが、これは大事なことだと思います。ところが現実は、予備試験を経由して司法試験に合格した人の7割が法科大学院の在学生と法学部の在学生と卒業生ということでありますから、むしろ法科大学院に行けない人とか、社会人経験者が予備試験を経由して司法試験に受かるというのは極めて難しくなっている。現実は制度趣旨とは全く違って、そういう人が法曹になる道は阻まれているというような事態になっていると。これははっきりと認識しなくてはいけないと思います。
 そういうようなことから考えると制度趣旨に立ち返って、その本来の趣旨が生かされるためには、やはり予備試験の見直しというものが必要だろうと思います。予備試験の見直しと、それから先ほど出てきました飛び入学の実施ということによって、私はかなり事態が改善されていくのではないかと考えます。その予備試験の見直しの具体的方策についてはいろいろな御意見が出されておりますけれども、私は、少し先に行き過ぎるかもしれませんけれども、法科大学院の在学生については受験資格を認めないとか、法科大学院在学生はまさに制度趣旨から経済的な理由から行けないというわけではなくてもう法科大学院に行っているわけですから予備試験で救済する根拠はないと思います。それから予備試験の科目数を増やすこと。これは実際、法科大学院では予備試験から来る人に比べて相当多くの科目を勉強しているということがありますので、そういう意味で科目数を増やす。それと飛び入学を併せてやるというようなことをすれば、ほかの御意見もそれぞれまた理由があると思うのですけれども、現実的な策としては、私はこのような具体策が当面は良いのではないかと思っております。

【井上座長】 
 最後に全体について御意見を伺おうと思っていたのですが、今の御意見もかなり全体に及んでいますので、部分を限らず、特に何か、今日の段階で付け加えて御発言があれば伺いたいと思います。特になければ、今日頂いた御意見を踏まえて、全体の構成の組替えも含めてもう一度案を作っていただいて、それを基に次回以降さらに議論するということにさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

【笠井委員】 
 少しよろしいですか。

【井上座長】 
 どうぞ。

【笠井委員】 
 最後のところで司法試験にも、本試験にも当然触れるべきであるという御指摘がありましたけれども、そこはおいておきまして、今年度の試験科目の中で公法系分野と、選択の論文式の倒産法科目で、科目別のいわゆる足切りの人数が極めて多いという現象が発生しているわけですね。これについて西山委員に次回、その分析等について教えていただけないかと。これは試験制度の、それこそ精度に関わることでもありますし、重要な問題をはらんでいる可能性もあるとも思えますので、是非お願いしたいと思います。

【井上座長】 
 これは西山委員の方で、可能かどうかも含めて御検討いただくということにさせていただきたいと思います。本委員会は、司法試験の運用自体を審議する場ではないのですけれども、外から見るとそういう懸念があるということなので、少なくともそういう懸念が持たれているということはしかるべきところにお伝えいただいて、本委員会でも御説明がもし可能ならばしていただくと、いうことでよろしいですか。

【西山委員】 
 ええ、それで結構です。御回答できるかも含めて、御回答は必ず申し上げることにいたします。

【井上座長】 
 それでは、本日の議事はこれぐらいにさせていただきたいと思います。次回以降については先ほど申した点を含めて議事を整理させていただいて、しかるべき形でお伝えしたいと思います。
 次回以降の日程等について御説明お願いします。

【今井専門職大学院室長】 
 失礼いたします。次回の法科大学院特別委員会の日程につきましては、10月上旬めどで調整をさせていただいておりまして、事務局より改めて御案内させていただきたいと存じます。

【井上座長】 
 それでは本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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