法科大学院特別委員会(第54回) 議事録

1.日時

平成25年5月8日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省中央合同庁舎7号館東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 政府における法曹養成制度に関する検討状況について
  3. 平成25年度入学者選抜実施状況及び平成24年度修了認定状況について
  4. 第7期法科大学院特別委員会における審議の方向性について
  5. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘、井上正仁の各委員
(専門委員)磯村保、笠井治、樫見由美子、片山直也、木村光江、椎橋隆幸、田中成明、土屋美明、長谷部由起子、日吉由美子、松下淳一、松並孝二、山本和彦、吉崎佳弥の各委員

文部科学省

板東高等教育局長、常盤高等教育局審議官、内藤専門教育課長、今井専門職大学院室長、佐藤専門教育課課長補佐

5.議事録

【今井専門職大学院室長】
 それでは、失礼いたします。おはようございます。所定の時刻になりましたので、第54回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催いたします。
 本日、今回は第7期の中央教育審議会が発足し、第6期に引き続き本特別委員会の設置が決定されたところでございます。本特別委員会につきましても、新たな会期となりますので座長及び座長代理を御選任いただく必要がございます。ただ、それまでの間、便宜的に私、専門教育課専門職大学院室長の今井が進行を務めさせていただきたいと存じます。
 議事に入らせていただく前に、配付資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元の資料の議事次第を御覧いただけたらと思います。資料1は部会等の設置についての資料でございます。資料1-2は、法科大学院特別委員会の今期の委員名簿でございます。また、資料2は、特別委員会の会議の公開に関する規則(案)、資料3-1は、法曹養成制度検討会議の概要でございます。資料3-2は、検討会議の中間的取りまとめでございます。資料4-1は、平成25年度の志願者数・入学者数等の推移、資料4-2は、各法科大学院の入学者選抜実施状況等について、資料4-3は、法科大学院修了認定状況の推移についてでございます。資料5は、平成25年度の法科大学院入学状況等を踏まえた文部科学省等の取組について、資料6は、第7期における審議の基本的な方向性について(案)の資料でございます。もしお手元の中に足らないもの等ございましたら、お示しいただけたらと思います。
 それでは、続きまして、委員及び事務局の紹介をさせていただけたらと存じます。資料は1-1、そして1-2を御覧いただけたらと存じます。本年4月4日に開催されました大学分科会におきまして、法科大学院特別委員会が中央教育審議会令等の規則に基づきまして設置をされたところでございます。資料1-1の2ページ目の上でございます。法科大学院特別委員会が設置をされ、その所掌事務は法科大学院教育の改善について専門的な調査審議を行うということでございます。なお、次のページにはその大学分科会関係の構成を参考でつけさせていただいているところでございます。
 本日は今期初めての会議となりますので、各委員の御紹介をさせていただけたらと存じます。
 それでは、まず本日御出席をいただいております臨時委員より御紹介させていただきたいと思います。有信委員でございます。

【有信委員】
 有信です。私は大学分科会とのつなぎということで、引き続き担当させていただきます。よろしくお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 井上委員でございます。

【井上委員】
 井上でございます。よろしくお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 続きまして、専門委員より、笠井委員でございます。

【笠井委員】
 笠井でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 樫見委員でございます。

【樫見委員】
 樫見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 片山委員でございます。

【片山委員】
 片山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 木村委員でございます。

【木村委員】
 木村でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 椎橋委員でございます。

【椎橋委員】
 椎橋でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 田中委員でございます。

【田中委員】
 田中でございます。臨時委員はやめさせていただいたんですけれども、専門委員として残ることになりましたので、よろしくお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 土屋委員でございます。

【土屋委員】
 土屋でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 長谷部委員でございます。

【長谷部委員】
 長谷部でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【今井専門職大学院室長】
 日吉委員でございます。

【日吉委員】
 ロースクール出身弁護士の日吉でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 松下委員でございます。

【松下委員】
 松下でございます。本日から参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 松並委員でございます。

【松並委員】
 松並でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 山本委員でございます。

【山本委員】
 山本でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 吉崎委員でございます。

【吉崎委員】
 司法研修所の吉崎でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【今井専門職大学院室長】
 ありがとうございました。
 また、本日遅れての御出席となりますが、磯村委員が就任されております。また、本日は御欠席でございますが、臨時委員として土井委員、また専門委員として鎌田委員、杉山委員がそれぞれ御就任いただいておりますので、御紹介させていただきます。
 続きまして、事務局を紹介いたします。高等教育局長、板東でございます。

【板東高等教育局長】
 板東でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 高等教育局担当審議官の常盤でございます。

【常盤高等教育局審議官】
 常盤です。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 専門教育課長の内藤でございます。

【内藤専門教育課長】
 内藤でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 専門教育課課長補佐の佐藤でございます。

【佐藤専門教育課課長補佐】
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

【今井専門職大学院室長】
 最後になりましたが、専門職大学院室長、今井でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、今期の特別委員会の座長及び座長代理の選任をしていただきたいと存じます。本特別委員会の座長につきましては、委員の互選により選任することとされているところでございます。どなたか御推薦はいただけませんでしょうか。

【椎橋委員】
 大変僣越ではございますけれども、私から推薦させていただきたいと思います。私は、今期は井上委員が座長に最もふさわしいと考えます。簡単に理由を申し上げます。今期の中教審は政府の法曹養成制度検討会議の結論を受けまして、法科大学院の抜本的な改善方策を検討しなければならない、そういう節目の時期に当たると思います。そこで、法科大学院の制度設計の当初から携わり、また、現在も政府の法曹養成制度検討会議にも委員として参画しておられる井上委員に、座長として今期の中教審の審議を取りまとめていただくのがよろしいと考えております。御検討をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 ありがとうございました。ただいま座長として井上委員の御推薦をいただきましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【今井専門職大学院室長】
 ありがとうございました。それでは、井上委員に座長をお願いすることとさせていただきたいと存じます。
 それでは、続きまして、井上座長より、座長代理の御指名をお願いしたいと存じます。

【井上座長】
 私としましては、せっかく座長を御退任になったのに大変申し訳ないのですけれども、法科大学院創設前からこの問題に携わっておられる田中委員に、座長代理をお願いしたいと思いますが、お引き受けいただけますでしょうか。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、以後の進行につきましては、井上座長にお願いしたいと存じます。

【井上座長】
 ただいま御指名がありましたので、進行役を務めさせていただきます。何分、前期の座長とは大きく異なりまして、配慮が足らず不手際も多いかもしれませんけれども、なにとぞよろしくお願いしたいと思います。
 法曹養成制度の中でも、法科大学院をめぐっては、御承知のように、これまでにも増して厳しく、険しい状況に立ち至っております。そして、御承知のように、政府の方でも法曹養成制度の全体のあり方について検討する関係閣僚会議が置かれ、そのもとに設けられている検討会議において、後で御報告がありますとおり、これまでの議論を集約した中間的取りまとめが先ごろ公表され、目下パブリックコメントに付されております。また、関係各方面でも議論がなされており、法科大学院に対して極めて厳しい御意見なども示されていると仄聞しております。
このような中で本特別委員会としては、そう遠くない時期に示されるであろう検討会議の最終的取りまとめをしっかりと受けとめつつ、本特別委員会の所掌事項について、本委員会としての見識と責任を持ってしっかりとした対応策を検討していく必要があると考えております。
 しかし、また、そういった受け身的な議論ばかりに終始するのではなく、前期からの懸案事項をはじめ、文科省当局とも相談しながら、法科大学院の教育とそれを支える環境のより一層の充実強化を目指した積極的な施策についての議論も行っていくべきだろうと考えておりますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと存じます。
 田中委員、一言お願いします。

【田中座長代理】
 私は本来、こういうことをやるべき年齢は過ぎたから免除していただけるはずだと思ったんですが、ただ、法科大学院を取り巻く状況が非常に厳しい状況で、「井上先生、はい、どうぞ、あとはよろしく」と言って辞めるのは少し後ろめたく、井上座長とはずっと法科大学院をつくる段階から一緒にやってきたので、引き継ぎの意味で一緒に責任を負わせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

【井上座長】
 次に、委員会の会議の公開に関して御了解いただく必要があることがあります。これについては、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 それでは失礼いたします。資料2を御覧いただけたらと存じます。法科大学院特別委員会の会議の公開に関する規則案でございます。本特別委員会の会議の公開に関する規則を次のように定めてはどうかということで、案の提示を事務局よりさせていただいております。
 まず、第1条に、特別委員会の会議の公開の扱いについての規定をしたものを整理しているものでございます。続きまして、第2条につきましては、会議の傍聴について、あらかじめ登録を受けていただかなければいけないということ。また、座長の許可を受けて会議を撮影し、録画し、または録音することができるといった傍聴の扱いについて規定をしているところでございます。
 続きまして、2ページ目を御覧いただけたらと存じます。第3条は会議の公開について、座長は、特別委員会の会議において配付をした資料の公開をしなければならないという、その扱いについて規定をしているところでございます。最後に第4条でございますが、議事録の公開に関して、座長は特別委員会の会議の議事録を作成、そしてそれを公開しなければいけないという扱いについて規定をしているところでございます。内容を御覧いただきました上で、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

【井上座長】
 ただいま御説明がありましたことについて、案のとおりとすることでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、ただいまから会議を公開することといたします。なお、本日、冒頭、報道機関の方で撮影したいという希望がありましたので、これを許可したいと思います。御了解ください。それでは、入室してもらってください。

(傍聴入室)

【井上座長】
 それでは、第7期としては最初の会議となりますので、まず文部科学省を代表して板東高等教育局長より、一言御挨拶をお願いします。

【板東高等教育局長】
 今期の最初に当たりまして一言御挨拶をさせていただきたいと思います。本日は、委員の先生方にはお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、今期もお引き受けいただき、あるいは新任の先生もいらっしゃいますけれども、委員をお引き受けいただきまして、本当に心から感謝申し上げたいと存じます。
 この法科大学院制度も平成16年にスタートいたしましてから10年目を迎えているということでございますけれども、プロセス養成ということで、新しい法曹養成制度がスタートいたしましてから、その中核としての法科大学院制度ということで、教育の中身、培われる能力、あるいは多様な法曹を輩出しているということについては一定の評価がある一方、いろいろ厳しい状況、大きな課題も抱えているということは御承知のとおりでございます。
 政府としても法曹養成制度検討会議におきまして精力的に御議論が進められておりますけれども、その中でも法科大学院の問題というのが一つ、大きな柱となる課題になっております。後でその内容については御説明を申し上げますけれども、4月には法曹養成制度検討会議の方から中間的取りまとめが出されております。その中にも、全体としての法科大学院入学を志す人たちの数が減少しているということ、あるいは法科大学院の中にも非常に大きな差が生じているという状況。あるいは、全体としての司法試験の合格率の低迷といったようなこと、あるいは、特に多様な法曹をということで、多様な分野から、あるいは社会人からということで考えられておりました法科大学院でございますけれども、未修者の志願が非常に減ってきていると。あるいは、既修者と未修者との、例えば司法試験の合格率、あるいは法科大学院の修了率などにつきましても大きく差があるといったような、今申し上げましたようにたくさんの課題が明らかになっていると、指摘をされているという状況でございます。
 その中で、今までこの法科大学院の特別委員会を中心として、どういうふうに法科大学院教育の質の向上をしていくか、あるいは課題をどういうふうに解決をしていくかということについて大変精力的に御議論いただき、あるいは個々の大学院の実態の調査もいただくという形で、この特別委員会を中心として法科大学院教育の改善ということがなされてきたかと思っております。今御紹介いたしましたような状況の中で、一層思い切った、そしてスピード感を持った改革というのが求められている非常に重要な時期であると考えております。
 そういった時期におきまして、法科大学院特別委員会の委員をお引き受けいただき、これから精力的な御議論をいただけるということで、本当に心から感謝を申し上げます。また、そういった中で積極的にこれから具体的にどう改善していくのがよいのかということにつきまして、積極的な御議論をいただき、御提案をいただければありがたいと思っているところでございます。
 特に法曹養成制度検討会議でも焦点になっております、課題を抱える大学院に対する対応、未修者教育の改善のために思い切ったシステム改革も含めて考えていく必要性、あるいは認証評価のあり方といったところについても、大きな見直しが必要になってきているのではないかといったような点点を含めまして、今までの御議論を更に発展させた御議論をいただければと思っております。
 いずれにいたしましても大変重要な時期でございますので、法科大学院、法曹養成制度に好循環を早期に作り出していく必要があるということで、我々も努力していきたいと思っております。委員の先生方の御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

【井上座長】
 それでは、議事に入りたいと思います。第6期の法科大学院特別委員会においても、政府における法曹養成制度全体のあり方に関する検討がなされているということについて報告を受けていたところでありますけれども、その検討会議における政府の検討状況について事務局から御報告をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、失礼いたします。資料3-1、3-2を御覧いただけたらと存じます。資料3-1は、法曹養成制度検討会議等の構成等について示した資料でございます。1ページ目、現在政府に置かれている法曹養成制度を議論する会議体といたしましては、関係閣僚会議が設置をされた上で法曹養成制度検討会議において、関係政務、有識者の参加を得て議論が進められている状況でございます。構成メンバーは次のページをおめくりいただいたところにございます。
 3ページ目でございますが、法曹養成制度検討会議の検討の状況でございます。第1回から第12回、4月9日までの会議が行われたところでございます。12回の会議を経て、資料3-2でございますが、法曹養成制度検討会議・中間的取りまとめがまとめられた段階にあるのが現在の状況でございます。なお、この中間的取りまとめにつきましては、現在パブリックコメントにかけられている最中のものということでございます。
 続きまして、この資料3-2を御覧いただけたらと存じます。この中間的取りまとめの内容について、概要をそれぞれ御報告させていただきたいと存じます。1ページ目の目次にございますように、構造といたしましては、第1、法曹有資格者の活動領域のあり方、第2、今後の法曹人口のあり方、そして、第3、法曹養成制度のあり方、三つのパートに分かれております。なお、この三つ目のパートでございます法曹養成制度のあり方につきましては、ここにございますように、特に二つ目に法科大学院がございます。また、司法試験、司法修習、そして継続教育についても提言をいただいているところでございます。
 それでは、それぞれの中身について概要を御説明したいと存じます。3ページ目を御覧いただけたらと存じます。第1、法曹有資格者の活動領域のあり方についてでございます。この四角の中の一つ目の丸を、御覧いただけたらと思いますが、検討会議におきましては、法曹有資格者の活動領域は広がりつつあるものの、その広がりはいまだ限定的と言わざるを得ない状況にあることを踏まえ、更なる拡大を図るため、関係機関・団体が連携して人数を多角的に分析、課題や解決策をきめ細かく検討し、拡大に向けた取組を積極的に行う必要があるということを提言されているところでございます。
 その上で、二つ目の丸以降に、企業内の法曹有資格者の重要性、また三つ目には国家公務員における法曹有資格者の重要性、また、四つ目の丸は地方自治体、そして五つ目以降の丸には法テラスなどの法サービスにおける有資格者の重要性、そして、下から二つ目の丸でございますが、海外展開の促進、また海外展開業務の充実といったことの重要性について提言をされた上で、最後の丸でございますが、法務省はじめ関係機関・団体が連携して、法曹有資格者の活動領域の拡大を図るための体制整備について検討する必要があるということで提言がなされているところでございます。
 続きまして、第2の今後の法曹人口のあり方について御紹介したいと存じます。6ページ目の一番上の四角の中にあるところでございますが、一つ目の丸にございますように、社会がより多様化、複雑化する中、法曹に対する需要は今後も増加していくことが予想され、このような社会の要請に応えるべく、質・量ともに豊かな法曹を養成するとの理念のもと、全体として法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはないと提言されております。
 その上で、二つ目の丸にございますように、現状に鑑みれば、現時点において司法試験の年間合格者数を3,000人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは現実性を欠き、現状においては、司法試験の年間合格者数の数値目標は設けないものとすることが相当であると提言されております。
 さらに、三つ目の丸にございますように、今後の法曹人口のあり方については、法曹有資格者の活動領域の拡大状況などを勘案しながら、その都度検討を行う必要があると提言をされているところでございます。
 続きまして、第3、法曹養成制度のあり方についての提言の内容を御報告させていただきたいと存じます。まず一つ目でございますが、8ページ目を御覧いただけたらと存じます。法曹養成制度の理念と現状でございます。まずは(1)プロセスとしての法曹養成についてでございます。これは二つ目の丸にございますように、プロセスとしての法曹養成の理念を堅持した上で、制度をより実効的に機能させるため、教育体制が十分でない法科大学院の定員削減や統廃合などの組織見直しの促進とともに、法学未修者教育の充実など、法科大学院教育の質の向上について必要な方策をとる必要があると提言をされているところでございます。
 また、続きまして9ページでございますが、(2)法曹志願者の減少、法曹の多様性の確保についてでございます。法曹志願者の減少は、司法試験の合格状況における法科大学院間のばらつきが大きく、全体としての司法試験合格率は高くなっておらず、司法修習修了後の就職状況が厳しい一方で、法科大学院において一定の時間的・経済的負担を要することから、法曹を志願して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えていることが原因であると提言されているところでございます。
 また、二つ目の丸にございますように、上記の要因を可能な限り解消して、法曹志願者の増加や多様性の確保を図るため、個々の論点における具体的な方策を講ずる必要があると提言をされているところでございます。
 続きまして、10ページ目を御覧いただけたらと存じます。(3)法曹養成課程における経済的支援でございます。まず一つ目の丸にございますように、法科大学院生に対する経済的支援については、今後とも意欲と能力のある学生に対する支援の取組を継続していく必要があると提言されているところでございます。
 また、二つ目の丸にございますように、司法修習生に対する経済的支援のあり方については、貸与制を前提とした上で、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないよう、司法修習生の修習専念義務のあり方なども含め、必要となる措置を更に検討する必要があると提言をされているところでございます。
 続きまして、12ページでございますが、2番、法科大学院についてでございます。ここは、法科大学院については二つのパートに分かれて提言をいただいております。(1)教育の質の向上、定員・設置数、認証評価でございます。まず一つ目の丸にございますように、検討会議におきましては、法科大学院は法曹養成のための専門職大学院であり、その修了生に司法試験受験資格を与えている制度であることを鑑み、修了者のうち相当程度(例えば約七、八割)が司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うことが求められると提言されております。
 その上で三つ目の丸にございますように、現状、個々の法科大学院については、法科大学院間のばらつきが大きく、充実した教育を行っている法科大学院がある一方で、教育状況に課題がある法科大学院もある。その上で教育の質の向上をさせる必要があることから、定員削減及び統廃合などの組織見直しを進める必要があると提言をされているところであります。
 その際、四つ目の丸でございますが、法科大学院が全体としてこれまでの司法試験合格者を相当数輩出してきたという事実を踏まえて検討すべきであろうと提言をいただいた上で、五つ目の丸にございますように、現在の教育力に比して定員が過大な法科大学院が相当数あり、また、全体としても定員が過大になっていることから、入学定員については、現在の入学定員と実入学者数との差を縮小していくようにするなどの削減方策を検討実施し、法科大学院として行う教育上適正な規模となるようにすべきであると提言を受けているところでございます。
 また、下から二つ目の丸でございますが、法科大学院が法曹養成の中核としての使命を果たし、それにふさわしい教育の質を確保する観点から、課題を抱える法科大学院の自主的な組織見直しを促進するためにも、公的支援の見直しの方策を更に強化すべき。また、その際、人的支援の見直しについても実施すべきであると提言をされているところでございます。
 そして、最後の丸でございますが、このような自主的な組織見直しを促進するための方策を強化しても、一定期間に組織見直しが進まない場合、課題が深刻で改善の見込みがない法科大学院について新たに法的措置を設けることについても、更に検討する必要があると提言をされているところでございます。
 続きまして、二つ目のパートでございますが、資料は14ページを御覧いただけたらと存じます。法学未修者の教育についてでございます。下段の四角の箱にありますように、一つ目の丸でございますが、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組みとして、1年次から2年次に進級する際の共通到達度確認試験(仮称)の導入の早期実現を目指すとともに、2年次から3年次への進級においても、客観的で厳格な到達度判定の仕組みの導入を検討するべきであるという提言をいただいています。
 また、2つ目の丸にございますように、法学未修者が基本的な法律科目をより重点的に学ぶことを可能とするための仕組みの導入を検討するべきであるとの提言を受けているところでございます。
 続きまして、16ページ目を御覧いただけたらと存じます。3番目として司法試験についてでございます。(1)受験回数制限でございますが、四角の中を御覧いただけたらと存じます。受験回数制限制度は維持した上で、制度の趣旨も踏まえつつ、その制限を一定程度緩和することが適当かどうか、更に検討するとの提言がなされているところでございます。
 続きまして17ページの中段を御覧いただけたらと存じます。(2)方式・内容、合格基準・合格者決定でございます。法科大学院教育との連携や司法試験受験者の負担軽減を考慮し、試験科目の削減を行うことなどを更に検討するとの提言をいただいているところでございます。
 続きまして、同じページの下段でございますが、(3)予備試験制度についてでございます。一つ目の丸にございますように、予備試験制度については、現時点では制度の実施後間もないことから、必要なデータの収集を継続して行った上で、法科大学院教育の改善状況を見ながら予備試験制度を見直す必要があるかどうかを検討すべきであるとの提言がなされているところでございます。
 続きまして、19ページ目を御覧いただけたらと存じます。4番目の司法修習についてでございます。(1)法科大学院教育との連携でございます。司法修習については、法科大学院教育との役割分担を踏まえ、法科大学院教育との連携が図られているが、今後ともその連携状況を把握しつつ、その連携のさらなる充実に向けた検討を行うべきであるとの提言をいただいているところでございます。
 また、19ページの下段の方を御覧いただけたらと存じます。(2)司法修習の内容でございます。司法修習の実情を踏まえつつ、選択型実務修習も含めて、今後とも司法修習のさらなる充実に向けた検討を行うべきであるとの提言をいただいているところでございます。
 最後でございますが、21ページ目を御覧いただけたらと存じます。5番目、継続教育についてでございます。法曹となった者に対する継続教育のあり方について、法曹三者による取組を更に進めるとともに、法科大学院においても法曹資格取得後の継続教育について必要な協力を行うことを検討すべきである。また、法科大学院には、法曹が先端的分野等を学ぶ機会を積極的に提供することも期待されるとの提言をいただいているところでございます。
 以上、法曹養成制度検討会議・中間的取りまとめの概要を御説明させていただいたところでございます。

【井上座長】
 ただいまの御説明につきまして、御質問、あるいは御意見等がございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思います。

【笠井委員】
 口火を切る意味で質問をさせていただきたいと思います。この中間的取りまとめにつきましては、私なりに意見や疑問等もあるわけですけれども、そのうち一番最初に、冒頭の法曹有資格者の活動領域のあり方であります。これは、冒頭に取り上げられているように法科大学院、及び法曹養成、法曹人口問題をめぐる基本中の基というか、前提である問題を含む非常に大きい問題です。中間的取りまとめによりますと、二つ目の丸以降、企業内の法曹有資格者、それから国家公務員、地方分権、地方公務員、法テラス、刑務所出所者、日本の弁護士の個別のビジネスサポートや国際的な云々とありまして、それぞれの分野を限定して当該分野における法曹有資格者の活動を保障し、あるいはその領域を広げるためにはどうしたらいいのかという視点で記述がされています。
 しかし、各分野における法曹資格者の活動の前提となる、いわゆる司法基盤、人的な問題だけではなく、組織的な問題をも支える予算的なものについての記述は、十分でない気がするわけですね。そうした問題について、検討会議でどのような議論がされてきたのか。
 また、今の視点からいうと、これも前提となる潜在的な法曹に対するニーズをいかに顕在化させるのかという点の検討はどのようにされてきたのかという点が2点目です。
 それから、ここで言う法曹有資格者とは、司法試験には合格したがまだ司法修習をしていない方、しない方、企業等の社員あるいは公務員となって法律職として働いている方々を念頭に置いておられると思いますが、その法曹有資格者が一定の法律職についてからも、更に弁護士等の法曹となるという道もあるかと思うんです。それも、全体としての法律家の活躍の場を広げることになるし、全体としての力を強めることにもなると思うわけですけれども、その点についての検討というのはどのようにされてきたのか。
 4点目ですけれども、法曹有資格者ではない法科大学院修了者について―法科大学院は、これまでずっと指摘されてきたとおり確かにばらつきがあり、教育の質について課題を抱える法科大学院がある。しかし質の向上をこれから念頭に置いた場合に、法曹有資格者ではないが修了者についても法律に携わる者としての職域を保障していく、活躍の場を与えていくことが法科大学院制度の基本的な維持、発展のために有益であろうと思います。法科大学院修了者に対するこの点の視点がどのように議論されてきたのかという点などについて、質問でございますけれども、伺いたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 事務局から、まずは中間的取りまとめでどう扱われているかという点を中心に、まず御説明をさせていただけたらと存じます。恐らく最初の財政面でございますとか、そういうことを浸透させていく点、また、どういった形で社会に浸透させていくかというのは、大体この計画上、中間的取りまとめ上、記載されている箇所を少し御紹介させていただきたいと存じます。例えば4ページ目を御覧いただけたらと存じますが、中段から検討結果というものが記されているところでございます。重要性についての認識は先ほど御説明したとおりでございますが、ただ、それぞれでは分野ごとにどういった取組をしていこうということが、例えば記載されているのかについて御紹介をさせていただきたいと存じます。
 上から数えて、例えば小さな黒ぽつ、二つ目のところに企業の分野での御指摘が中間的取りまとめで整理をされております。ただ、ここにつきまして、どういったことが最終的な重要性を認識した上で取り組むべきかというのが記されているかというと、この二つ目の黒ぽつの下から数えて4行目から「今後」というフレーズが始まります。今後、企業における法曹有資格者の活動領域のさらなる拡大に向けて、関係機関・団体が連携しながら、企業における法曹有資格者の役割・有用性の周知や法曹有資格者等の意識改革などに向けた取組を積極的に行うことが重要だろうということで、こういった周知なり、意識改革を図っていったらどうかというところが指摘を受けております。
 また、三つ目の丸には国家公務員についての指摘がございます。ここにつきましては、国家公務員としては、上から数えて4行目に、新たに総合職試験といった院卒者の試験(法務区分)なども新設したということを踏まえて、今後とも、こういった仕組みを使って、有為な人材について行政への関心を高めて公務に取り込んでいく、そういった取組をしていくことが重要であろうという提言をいただいております。例えばこういった取組をそれぞれの分野ごとにおいて積極的に広めていこうということを最終的な議論をした上で、この中間的取りまとめに整理をされているということでございます。
 また、最後の法科大学院生のところの話でございますが、これは法曹養成制度検討会議という立場上、法曹有資格者を念頭に置いた議論がなされているところでございますので、この中間的取りまとめの中で法科大学院修了生を念頭に置いた記述というのは出ていないところではございますが、私どもも法科大学院を修了した方々の職域を広げていくことは極めて重要な議論だと思っておりますので、ここは検討会議の議論も踏まえながらも、昨年の7月にこの法科大学院特別委員会でも御提言をいただいた提言の中に、まさに取り組むべき一番最初には法科大学院の成果を広めていくこと。その際に、修了生の活躍状況をしっかりと把握して、それを広めることで、この制度のよさをしっかりとアピールしていきながら、更に修了生の活躍状況を広げていくという提言をいただいておりますので、そういったこととあわせてここは対応していくことになるのではないかなと考えているところでございます。

【井上座長】
 松並委員、何か補足していただくことがおありですか。

【松並委員】
 検討会議の方でも、活動領域については各分野に関してこれだけの分量しか出ていませんが、例えば片山委員にも参加していただいて企業の分野、それから地方自治体の分野、それから国際分野と、分科会に分けまして、それこそ多方面の方、企業の法務部門の方、あるいは企業、地方自治体で働いている弁護士の方々に、それぞれ双方から来ていただいて、やはり法曹が企業、あるいは自治体で働く必要性、有用性という観点からいろいろ議論していただきました。まさに潜在的にどういうものがあるかという議論を随分していただき、その結果、まだまだ活動の幅は広がっていくでしょうねという希望的な議論もあり、他方、いやいや、そうは言ってもなかなか受け入れられませんよという意見もあり、議論は随分させていただいたつもりです。
 結論的には、ここにも出ていますとおり、引き続きお互い情報提供、あるいは情報発信をしていきながら、どういうものがあるのかということを考えていかなければならないので、まだ途上的なところにしか至っていないものですから、これで活動領域が広がりますよという方針めいたものがなかなか書けていないのは御指摘のとおりだと思います。
 司法基盤の充実という観点も、例えばもっと裁判所の支部を強化すべきとか、いろいろな司法基盤の話も、あるいは検察官、裁判官等の人員増員も必要ではないかという、いろいろな議論は、訴訟の数のデータを提供したり、いろいろなデータをもとにしたりして随分していただきました。ただ、なかなか具体的にその基盤を広げていくというところにまでは、議論は至っていないのが確かに御指摘のとおりだと思います。以上でございます。

【井上座長】
 私は立場上コメントしにくいのですけれども、今松並委員、あるいは今井室長がおっしゃったとおりで、意見としては司法基盤の問題もニーズを顕在化させる必要があるということについても、今おっしゃったのとほぼ同趣旨の意見が出まして議論もしました。
 このニーズの顕在化の問題などは、これまでも指摘されてきたことなのですけれども、それを実現していくための具体的な仕組みとか施策というものに結びついてこなかったので、そういう方向でもっと具体化して、実現させるような処置を講じていくべきだという意見が有力に示されました。ただ中間まとめですので、そこまでは明記されていませんけれども。
 もう一つ、対象を法曹有資格者に限定しているように見える点についても、議論が出ました。ただ、最初から全修了生を対象にして議論していくと散漫になり得ますので、とにかくまずは、有資格者の活動領域を拡大していくというところに焦点を絞って議論し、それを起点に、おっしゃったような、合格したけれども修習には行かないで企業等に行くというような人たち、さらには修了者全体に広げていく。そういう展望のもとに、まず有識者に焦点を当てて議論したというのが私の理解です。

【有信委員】
 今の活動領域の拡大の検討、非常に重要だと思うんですが、前期でも申し上げましたけれども、企業サイドで起きていることを見ていると、現実にはアメリカでクラスアクションを起こされたり、あるいは、ある日突然何人かの日本人が逮捕されるということが現実に起きているわけですね。こういうことに対して、今まで日本の企業は実力主義という名前のもとに、基本的には素人がいろいろなことに当たってきたという経緯があります。
 その中で現実にさまざまな問題が起きていて、EUでは独占禁止法違反で罰金を科せられ、本来は日本の中に還流すべき企業の利益というものが、みんなそれぞれのところに吸い取られている。特にアメリカの弁護士に膨大な費用を持っていかれているという現状があるわけです。これは、ある意味で企業の危機感が十分足りないとか、ニーズの掘り起こしが足りないとか、そういう議論は当然あるべきであり、当然のことだと思います。
 現実に、なぜそういうことが起きているか。たまたま私が会社にいるときも、随分以前ですが、法務技術者を養成するということで、技術者を法務部門に何年間か駐在させて勉強させるということをやりましたけれども、これも十分な効果が出ない。こういうときに一つの問題としてあるのは、いわば法科大学院における教育内容と、実際に企業サイドで要求されているスキルとが本当にマッチングしているのかどうかということだと思うんですね。
 現実にそれぞれニーズを掘り起こしましょうということで、この検討会議でもかなり深くは議論されているようでありますが、大学での教育内容と、現在要求されている必要性というのが本当にマッチングしているかという観点で、これは多分司法試験にもかかわる話なので、そう簡単な話ではないと思いますが、どの程度議論が進められていたのかということを少し教えていただければと思います。

【松並委員】
 先ほど申し上げました企業部門の分科会で結構そういう話題が出ました。日弁連も参加しておられましたので、やはり日弁連、弁護士側の発想からすると、法科大学院でせっかく先端科目多々あるわけなので、そのまま企業で有用な教育というのをもっとやっていってほしいと。
 企業側は、じゃ、何を求められますかというような議論もありました。企業側は、確かに法科大学院で先端科目もいろいろなものがあるので、それは教育してもらえば十分それは結構ですけれども、他方、いやいや、わざわざ法科大学院なんかで教育してもらっても、あまり役には立たないと、期待なんかしていないというような意見も他方ではありました。

【有信委員】
 それが問題。

【松並委員】
 結局そこで、こういったことを法科大学院で教育し、学んでくれば、企業での積極的な採用につながりますねというような具体策は、なかなか案は出なかったというのが実情です。

【井上座長】
 検討会議の中でも今後どういうふうにまとめていくことになるのか、まだ予測がつかないのですけれども、そこだけでは解決がつかなくて、これまでも非公式あるいは半公式的な協議会のようなものがあったわけですけれども、そういったところでの議論をもっと煮詰めて意味のあるものにしていく必要があると思います。法科大学院の方でも、単にもっとたくさん修了生を採ってくださいという姿勢でいるだけではだめで、企業等のニーズを伺って、法科大学院で教育を受けたことがそのニーズに応えるうえで有用だと思っていただけるような取組をしていかなければならないだろうと思うのです。
 そういう意味での積極的な取組を双方の関係者が集まって、常態的にやっていく必要があると思います。

【片山委員】
 私、企業に関する意見交換会の方に参加させていただきまして、それに参加した印象も踏まえてコメントさせていただきます。やはり今回の法曹養成制度検討会議では、どうしても議論が法曹有資格者を対象としたものとなることは当然だと思いますが、他方、今回の中教審の法科大学院の部会に関しましては、基本的に法科大学院全体を対象として議論すべきだと考えます。
すなわち、法科大学院が理想的な形態に進んでいったとしても、7割から8割が合格するということですから、残りの4人の1人の方は司法試験を受けないか、合格しない。
 現状では約半数の方が受験しないか、合格しないということですので、その方たちについても法科大学院教育の中で、積極的な位置づけを行うことが必要なのではないかなと思います。今回は、ぜひその点も議論の対象にしていただきたいと思っております。
 企業のニーズということも、意見交換会に伺った印象では二極化しているようです。一方では、即戦力として法律事務所で働いている中堅の方々を中途採用するというニーズがあるとともに、他方では、新卒の方は、法科大学院修了であれば、必ずしも資格がなくてもいいのではないかという御発言が企業の方からは多く聞かれました。そうだとするならば、ぜひそういうニーズに合わせた形での教育を法科大学院の中において教育をきちんと行い、それを積極的に位置づけているという方向での議論をすることができればと思った次第です。

【井上座長】
 職域の問題にみなさんの話が集中しているようですけれども、ほかの部分も重要な提言ないしまとめになっていますので、御意見があれば出していただければと思います。

【山本委員】
 私も職域の問題は、やっぱり法科大学院にとって非常に重要な問題だと思っています。それとの関係で、法曹人口の問題で、合格者の目標のところが気になるところです。3,000人という目標が現段階では現実性を欠くという御指摘は、現状ではそのとおりかなと思うのですけれども、その旗を完全におろしてしまうということが今後の法科大学院の教育にとって果たしてどうかという懸念は否めないところがございます。
 活動領域の点からしても、本当に私は現在のところでニーズが尽きているのかということは、紛争解決の分野においても疑問を持っております。現在私、福島の原子力事故の損害賠償についてのADRの仕事を手伝っておりますけれども、そこでは申立人のうち弁護士の代理がついている人というのは3割しかいないです。7割の人は本人で申し立てている状況にあります。これは創設以来1年半ぐらいたちますけれども、ほとんど率は変わっていないんです。
 私は、原子力損害賠償の被害者というのは、今日本で一番法的な援助を必要としておられるグループの方々なんだろうと思うんですけれども、いろいろな事情はあると思いますけれども、そういう状況であると。これが果たして十分なニーズを満たしているという状況にあるんだろうかということは疑問に思っています。
 法曹人口との関係では、この3,000人という目標の1つのモデルとされたフランスなどを見ても、10年ぐらい前に私が聞いたところでは、弁護士が飽和的な状態にあるということを伺っていたんです。ただ、その後も、毎年大体1,500人から2,000人の間だと思いますけれども、弁護士を増やし続けています。この10年間で4割近く弁護士は増えています。ですから、例えばフランスで果たして弁護士がどういうようなところで仕事をして、どういうところで吸収さているのかということは、私は日本に参考になるのではないかと思うんです。そういったような外国の状況みたいなことが議論されているのかどうかということ、もしあればお伺いしたいというのが1点です。
 それから、もう一点は司法試験の問題です。やはり我々にとって非常に重要な問題だと思われるのは予備試験の問題で、この提言では、現時点では制度の実施後間もないので、引き続きいろいろなデータを継続して収集して、今後の状況を考えるというまとめになっているかと思います。ただ、導入後間もないのは確かですけれども、恐らくここにおられる法科大学院の関係者の方々はほぼ一致して、既に法科大学院の教育にかなりの影響を与えているという認識をお持ちなのではないかと思います。私の所属する法科大学院でも在学生が予備試験に合格して休学の申請をするとか、そういうようなことの問題というのはいろいろ起こっているところです。
 ですから、この取りまとめについては、もう少し強いものがあってもいいのではないかと思っております。私はこの予備試験というのが法科大学院の修了者と同等の能力を確保するためのものであるという制度の趣旨になっているわけでありますけれども、現状、果たしてそうなっているんだろうかという疑問はかなり強く持っています。法科大学院では、御承知のように先端科目とか、実務科目とか、隣接科目とか、さまざまな科目の履修が求められていて、かなりの割合に上っているわけですけれども、この予備試験ではどうしても法律基本科目が中心になっていて、教養試験とか、実務試験とか、若干の科目はありますけれども、基本的には法律基本科目についての能力を問うようなものになっているように思います。
 そのようなことを前提にして、この予備試験が今後とも今のような状態で進められていくということはかなりの懸念があるところではないかと思います。ですので、この点については、我々法科大学院の立場としても、ぜひ早い段階で何らかの見直しというか、考え方を示していただければと思っております。以上です。

【田中座長代理】
 今最後におっしゃった予備試験の問題ですけれども、少し様子を見るということになっております。例えば法科大学院修了者と同じレベルにあるかどうかの判断基準などは、確かに法科大学院の修了認定の状況と比較しながらレベルを決めていく必要があるので、もうしばらく様子を見るということは分かります。ただ、例えば相当数の現役の大学生とか法科大学院の学生が受験し合格しているという現状は、これは制度設計の検討段階でも、こうなると非常に具合が悪いということがかなり議論になったのですが、法科大学院がきちんとしていれば、法曹志望者はやはり法科大学院を修了しようということになり、そういうことをやらないだろうということで、わざわざ規制までする必要はないだろうということになったのです。
 しかし、相当数の現役の大学生、法科大学院に在学中の者が受験し合格しているという現状は、これはプロセスとしての法曹養成制度に転換したということと根本的に矛盾することなので、様子を見なければ分からないというのではなくて、明かに制度趣旨に反する実態になっているので、これも対応を先送りするというのはどうも解せないところです。
 法科大学院修了者と同じレベルがどこかを見定めるというところについては、法科大学院の統廃合の状態などを見なければならないというふうにおっしゃるのは一理あると思うのですけれども、そのあたりの区別をぜひお願いしたいと思います。

【井上座長】
 その点については、中間的取りまとめの18ページの検討結果というところの最初の段落で、今おっしゃったような意見が述べられたことが言及されており、制限論というものも強く述べられたところですけれども、それに対して、今すぐ見直しをするということについて慎重論もかなり表明されたため、中間的取りまとめの段階ではこういう整理にしたということです。おっしゃっていることは、私なども痛感しており、この文章では切迫感がないのではないかという意見も申し上げましたけれども。
 人口のところについて、諸外国の状況を検討したのかということなのですけれども、外国のそれぞれの国の実情について踏み込んで議論をしたわけではありません。ただ、御紹介すると、アメリカの状況についてウォールストリートジャーナルが去年報じたのですけれども、アメリカは御承知のように100万人ぐらい法曹人口があって、毎年4万人を超える弁護士試験の合格者を出しているわけですが、新しい合格者のうち合格してから9カ月後に就職がどれだけ決まっているかというと、半分ぐらいだということなのです。
 これは初めて調査をしたようで、アメリカでもセンセーショナルに報道されました。それでも、別に合格者を抑えるという議論にはなっていないのですね。

【松並委員】
 はい。外国の法曹の活動領域の観点で、主立った国について隣接職種、士業の範囲というのが非常に違っていて、弁護士が担当する範囲が違いますので、それは一応整理したものを紹介し、日本の法曹と諸外国の法曹の所管、活動領域の分野の違いは一応説明しております。

【井上座長】
 ほかに御意見はございませんか。どうぞ。

【日吉委員】
 質問と、それから感想と、一つずつ言わせていただきます。まず質問なんですけれども、この中間的取りまとめで質・量ともに豊かな法曹というのが、今後の日本の社会の中でどういうふうな法曹を増やしていくべきなのか。その素養的な観点から、どのような能力を持ったということが必ずしも明確には述べられていませんけれども、その第1のところで活動領域のあり方に、企業、国家公務員、地方、法テラス、国際関連などなどに言及されているところを見ると、そういうふうな各分野で活躍できるような能力、素養、思考を持った法曹を育てていくべきだという前提なんだろうと思います。
 質問は、それと、例えば司法修習のあり方、あるいは司法試験の内容のあり方というのがどのようにリンクして議論されたのか、されなかったのか。されたとすれば、その議論状況です。私の感想では、今の司法試験、あるいは司法修習というのは、あくまでも伝統的な実務法曹、法廷弁護士のようなもの、あるいは裁判官、検察官というものを念頭に置いた専らカリキュラムであり、試験であると思っていますので、それでは、将来そういうふうな分野に入っていける弁護士を育てるためには、じゃ、翻って――法科大学院の教育ももちろんですけれども、司法試験での問い方、あるいは司法修習でのカリキュラムの組み方というものについてどのように改善していくべきかという議論がなされたかどうかというところをお聞きしたいと思います。
 それから、コメントとしては、先ほどの活動領域のミスマッチの話が出ました。私も企業におりますのでいろいろ感じるところはございますが、法科大学院側のもくろみと、例えば企業の側でのミスマッチがあるというのは、もちろん今まで発言があったとおりなんですけれども、もう一つ、そこで学んでいる学生さんと社会のニーズのある場所、先ほど福島の損害賠償の現場では人がもっとたくさんいてもいいのにというような発言もありましたけれども、そういうニーズのある場所と、そのニーズのある場所に入っていこうとしている学生との間の意識のミスマッチというのも非常に大きいと日々感じております。
 極端な例を申しますと、企業でそれなりの野心と向上心を持った有資格者を採りたいと思って採用の募集をかけてみても、集まってくるのは、例えばですが、極端な例を申しますと実務法曹で非常に疲れたと。ちょっとゆっくりとした9時から5時までの勤務ができるようなところに移りたいとか、そういった希望をあからさまにするような実務法曹のみが手を挙げてくるような、そういう傾向が見られると、がっかりした企業があるとかですね。
 極端な例ですけれども、そういうふうなことを聞かないわけではございません。やっぱり春秋に富み、そして能力、これからの伸び代も大きい、法科大学院を出たばかりの有資格者にいろいろな場所で活躍する可能性があるんだということを知らしめていくと。先ほどから社会にもう出ている人間ではなくて、学生さんと等しいような方が今非常に多くなっているというのがロースクールの現状だとすれば、やはりそういった目配り、気配りというのも、今後のロースクールでのカリキュラム、あるいは教育のあり方というのを考えていく上でも必要ではないかと思いました。以上です。

【井上座長】
 2番目は、御意見ということですね。

【日吉委員】
 はい。

【井上座長】
 では、松並委員。

【松並委員】
 司法修習、あるいは司法試験できちっと法曹の素養を具体的にどう育てていくかというところまでは踏み込んでいませんが、一般的に弁護士の活動領域の話の中で、例えば消費者問題、あるいは福祉の世界、あるいは学校教育の世界で、まだまだ弁護士が実際にそこに入っていって問題解決をすべき事柄、やってほしい事柄が山ほどあるのに、なかなか、例えば消費者センターでお願いしている弁護士さんのところへ話を持っていっても、とんちんかんな回答しかできないような人がいるとか。
 実際の社会が求めているニーズを本当になかなかつかみ切れていない、それを解決するだけの能力を十分身につけていないような人も中にはいると。これが法曹養成にとって非常に問題ではないですかというような、それが結局活動領域の拡大をもっと促進することの足かせになってはいないかというような御意見が出ておりました。
 では、それを司法試験、司法修習をどうしていったらいいかというところまでは議論は行っていません。ただ、司法修習の方は今選択科目という分野を設けて、いろいろな分野で勉強できるような機会を設けております。それは最高裁の方から具体的に御説明があり、内容としてはその程度のものでとどまっております。以上です。

【井上座長】
 司法試験との関係では、司法試験が重くなり過ぎていないかということが中心的な関心事で、それをいかに負担軽減するかということで選択科目をやめてしまったらどうかという案もあるぐらいなのです。そもそも、試験でどこまで能力を測れるかといいますと、限られているわけで、従来のような試験万能的な考え方とは違った発想をしなければ、新しい法曹養成制度の下ではうまくいかないのではないかと思いますね。
 では、あとお二人ということでよろしいですか。後の議事もありますので。

【椎橋委員】
 法曹人口の問題なのですけれども、6ページのところです。確かに適切な法曹人口はどのくらいかというのは非常に難しいと思います。これは、職域の拡大とか、あるいは経済状況によっても影響されるということがありますので、それらを考慮した上で考えていくということは、当然のことだと思います。
 しかし、社会において果たすべき法曹有資格者の役割とか、あるいはその数はどのくらいかということについて、その考え方というか、理念というか、それを頭に描きながら、その数字が3,000人かどうかは別として、理念としての数値目標を掲げながら、そのときどきの社会情勢によって法曹有資格者の質の確保をするには、ここまでで切らなければいけないとか、あるいは経済状況がこのくらいだからこの程度まで社会は吸収できるとか、そういうようなファクターによってその数を調整していくということとは矛盾することではないと思います。
 また、他方で、この報告書は法科大学院について、12ページのところで、法科大学院のあり方について適正な規模にして、そこでの教育は司法試験に合格できるような質の高い充実した教育を行うべきだということが書いてあります。これは私どもも真剣に考えて検討しているところではありますけれども、この観点からも、適正な法科大学院の規模というのはどのくらいなのかということを考えた場合にも、数値目標というのがそれを考える上でも重要な参考となるものではないかと思います。
 ところが、司法試験の合格者を年間3,000人を目標とするとの閣議決定を撤回するだけではなくて、そのかわりに、現実の司法試験の年間合格者数の数値目標も設けないということになると、法曹志望者や教員は何を目標とか基準にして学修や指導をしていったらいいのかということが見失われてしまいかねない、そのような心配があります。
 それから、職域の拡大のことに関連して申しますと、先程山本委員から福島の例が報告されました。刑事法の分野でも、例えば被疑者国選の問題については、これはもし法曹人口が拡大されていなかったら、果たしてあれがうまくいったであろうか。関係者の方々は、非常に直前まで対象を拡大した国選弁護が狙い通りにうまくいくかどうかということを心配されていたようですけれども、実施できた背景には法曹人口の増大、若い弁護士が増えたということがあって、うまく実現できたという面が相当にあると思いますので、そういうようなところも考える必要があるのではないかと思います。
 さらに、これはもう皆さんから出ていることですけれども、予備試験については、法科大学院から見ると、結論だけ申し上げますと、どうしてもやはりプロセスとしての教育というのが阻害されている。法学部や法科大学院生が多数受験し、合格しているという現状を見ても、経済的理由によって法曹への道を閉ざしてはならないという本来の予備試験をつくった制度趣旨から離れているので、その制度趣旨に従った形で運用すべきであると思います。したがって、一定の合理的な範囲での受験資格制限を設けるということはするべきで、それはかなり喫緊の問題ではないかと考えております。以上でございます。

【樫見委員】
 2点だけ意見を言わせていただきたいと思います。1点は、先ほどの職域拡大の問題でございます。ざっと拝見いたしますと、本当に法曹有資格者の活動領域ということを念頭に置いているのですが、先ほど片山先生の方からもお話がありましたように、やはり現状ではかなりの学生が、せっかく法科大学院という高度な、法的な専門知識を学んだ学生であるにもかかわらず、ここでは自分の能力を生かせないということであります。
 ですから、この委員会ではより広く、つまり一般の学生にとって就職進路の一つとして、リスクを考えても、やはり法科大学院で学べば何らかの職があるということを、ここに限らず、具体的にかなり書いてあるのであれば、もう少し仮に合格しなくても、十分に大企業だけではなくて、中小企業にとっても、やはりさまざまな法が細かくなっていきまして、なかなか中小企業に人材が採れないというようなところで考えれば、もっと生かす道があるだろうと。
 私は大学関係者ですから、当然のことながら、法科大学院の発足に伴いまして研究者を目指す学生が非常に少なくなっておりまして、今後恐らく優秀な研究者、あるいは大学教員となる者が少なくなっていくという現状を踏まえれば、ここに掲げてある具体的なものの中に一つ、やはりいわば実務的な知識を持った専門的な法曹、彼らが研究者になる道、これは十分に職域の中に入れていただいてもいいのではないかという点が1点でございます。
 もう1点は、法学未修者の教育のところでございます。例えば15ページのところで、法学の基礎知識がないので、彼らについて1年から2年、あるいは2年から3年というところで、「共通到達度確認試験」を導入すると。その趣旨は私も十分理解はしているところでありますけれども、全く法学の素養のない学生が入って1年間で、2年生の既修者レベルに本当に達することができるのかと。この既修者試験を課することによって、逆にマイナスといいますか、君たちは到達度に達しないんだから、早く進路を諦めてほかへ行きなさいというふうなマイナス的効果がないのかと。
 本来プロセスで、未修者は3年間をかけて、最後の段階で一応法曹、司法試験を受けるレベルに達するという形で、今は分からなくても3年間やっていけばと。差し当たり1年から2年というので試験で選抜はしてきているわけですけれども、やはりプロセスとして、3年間のプロセスで学ぶということとやや矛盾する側面があるのではないかと。なにも各専門科目の試験で彼らを楽に上げているわけではなくて、各専門科目自身でかなり厳しく淘汰はさせているわけですから、更にこの確認試験を導入するということが未修者にとってはハードルが高く、現在でも少なくなっている未修者の希望といいますか、法科大学院へ入って勉強しようという意欲をそぐことにならないのかという点、ちょっと私自身危惧を感じます。以上でございます。

【井上座長】
 2番目の点は、今後共通到達度確認試験の中身について検討していく際に注意しなければならないことだと思いますが、趣旨としては、むしろ逆で、個々の未修者が全国レベルでどのぐらいの学力をつけているのかを自己確認する。そうして自信を持って2年、3年に進むことを可能にしようという趣旨のものだと思います。今の点は、確認試験の中身についての議論の中で、また御検討いただければと思います。
 ほかにも御意見があるとは思いますけれども、先にまだ二つ重要な案件がありますので、このぐらいにさせていただきたいと思います。今後は、検討会議において最終取りまとめに向けた議論が行われ、恐らく7月をめどに取りまとめが行われていくだろうと思いますけれども、本委員会としてもその状況を注視してまいりたいと思います。
 次に、平成25年度の入学者選抜実施状況、及び平成24年度の修了認定状況について、調査結果が取りまとまったということですので、事務局の方から説明をしていただきます。

【今井専門職大学院室長】
 失礼いたします。それでは、資料は4-1、4-2、4-3を御覧いただけたらと存じます。
 まず資料4-1でございます。志願者数・入学者数等の推移につきまして、平成25年度までの調査結果がまとまりましたので、御報告をさせていただきたいと存じます。まず1ページ目でございますが、志願者数及び志願倍率でございます。この区分、志願者数の欄、平成16年度から下の平成25年度の一番右横を御覧いただけたらと思いますが、平成25年度の志願者数につきましては、総数で1万3,924名。前年度比で4,500名の減ということが、今回の結果として出てまいりました。また、志願倍率につきましては、下段の方、一番右下でございますが、志願倍率は3.3倍というのが本年度の入学状況での志願者の倍率の結果でございます。
 続きまして、1枚ページをおめくりいただけたらと存じます。入学者数についてでございます。この入学者数についての丸1の上の表の一番下の欄、平成25年度を御覧いただけたらと存じますが、その合計値、一番右端の欄でございますが、合計で2,698名の入学者数ということになりました。これは前年度の3,150名に対して452名の減ということでございます。また、丸2の社会人の入学状況でございます。一番下の一番右端でございますが、521名ということで、昨年度から168名の減ということでございます。
 また、最後に3ページ目でございますが、学部系統別の入学状況でございます。こちらにつきましては、一番下の合計の平成25年度の欄を御覧いただければと思います。その比率につきまして、それぞれ法学、文学、理系、その他と統計をとっておりますが、その数字の割合については大きな変動はございません。ただ、減をしている中の数がそれぞれ減っているという状況でございました。
 その上で、続きまして資料4-2を御覧いただけたらと存じます。こちらは各法科大学院の入学者選抜の実施状況について取りまとめた資料でございます。個々の大学の状況はそれぞれの資料を御覧いただけたらと存じますが、御紹介をさせていただきたい点といたしましては、裏のページを御覧いただけたらと存じます。一番下の欄に先ほどのデータにはないデータも幾つかございますので、御報告をさせていただけたらと存じます。
 一番左端の欄の一番下の欄、合計(平均)と書いてあるところでございますが、入学定員につきましては、平成25年度4月からは4,261名の入学定員となっております。これは平成24年度の4,484名から223名の減ということで、23年度から24年度の減が少なかった分、今年に入りましてこのところが加速をしているという状況でございます。
 また、受験者数についてでございますが、これは1万2,389名ということでございまして、受験者数は4,100名近くの減ということでございました。また、合格者数につきましては5,624名、前年度比898名の減ということでございます。
 また、競争倍率、入学定員充足率の状況でございますが、全体的な平均を見ますと、まず競争倍率につきましては2.20ということでございます。昨年度から0.33ポイント減をしている状況でございます。ただ、2倍を切ってしまっているところというのが、昨年度から比較してその数が相当数減ってきているという状況は見て取れるかと思っております。
 一方で、入学定員の充足状況につきましては、昨年度の0.70から比較して、今年は0.63と0.07ポイントの減であり、入学定員の充足率の状況については若干数字が悪くなってしまったという状況でございます。
 なお、この表の一番下、左端にございます米印三つ目でございますが、この表から、実はこれまで姫路獨協大学が学生募集停止ということで載っておりましたが、平成25年3月31日付をもちまして学生が全て修了されたということでございまして廃止の届け出が出ておりますので、この法科大学院の欄からも落とさせていただくということで注記をさせていただいている状況でございます。
 最後に、資料4-3について御説明させていただけたらと存じます。法科大学院修了認定状況の推移で、平成17年度から本年3月の平成24年度末の状況で、平成24年度の状況が判明した状況でございます。
 2ページ目を御覧いただけたらと存じます。平成24年度の欄がございますが、ここの合計のところを御覧いただけたらと思います。まず標準修業年限の修了者、今年の3月末で卒業された方は68.2%ということでございます。これは、昨年度の68.7%から見ますと0.5ポイントの減ということで、修了者については厳しく取り扱いをしていただいている方向があろうかと思います。
 なお、法学未修者、いわゆる正規の3年コースは、昨年から比較いたしまして3.8ポイント減の53%、更に法学既修者の2年コースで申し上げますと、0.8ポイント減の85.8%ということで、その状況が把握できたところでございます。資料についての御説明は以上でございます。

【井上座長】
 ただいまの御説明について御質問等がございましたら、御発言願います。

【長谷部委員】
 大変詳細な資料について御説明いただきましてありがとうございました。1点、確認でございますけれども、資料4-1および資料4-2の、平成25年度の志願者数については、複数受験などをしているということで、延べ人数という理解でよろしいでしょうか。

【今井専門職大学院室長】
 御指摘のとおりでございます。

【長谷部委員】
 そうだとしますと、近年、複数回入試をする、あるいは未修と既修の併願を認めるというような入試の形態をとるところも大分増えておりますので、実際の競争倍率はもっともっと厳しい状況なのではないかと思います。実際に受ける可能性がある人の実数ということでいえば、適性試験の受験者数の中の、大学の卒業予定者の人数が本来は正確な人数だと思いますので、そちらもこの資料として出していただけるとありがたいかなと思います。以上です。

【井上座長】
 複数受験の場合は、母数としては全部合算しているわけですね。

【今井専門職大学院室長】
 こちらの志願者のとり方について各大学に確認をしておりますので、複数受験がある意味重なって出てくるという状況でございます。

【井上座長】
 併願の場合はどうなのですか。母数に加えるところとそうでないところとあるように思うのですが。

【今井専門職大学院室長】
 一応延べで数えさせていただいているという状況でございます。

【井上座長】
 分かりました。

【今井専門職大学院室長】
 恐縮ですが、失念をしておりました。実はこのデータにまつわる流れとして、資料5についての御説明が漏れておりましたので、引き続き簡単に御説明させていただいて、御審議いただけたらと思います。大変失礼いたしました。
 資料5を御覧いただけたらと存じます。ただいま御説明をさせていただきました平成25年度の入学状況等も鑑みまして、実はこのデータ自体は大変に厳しいデータではないかということもございます。そういった中で、こういった状況に対して、今までどういう取組をしているのか。また、実は少し新しい取組も始めさせていただいたという御報告もさせていただけたらと存じます。
 平成25年度の法科大学院入学状況等を踏まえた文部科学省等における取組についてでございますが、こういった今の入学状況に対しては、これまでの取組といたしまして、一つ目のポイントにございますように公的支援のさらなる見直し、昨年9月に発表させていただいた上で、現在平成26年度入学定員の見直しを実施していただいているところでございます。なお、公的支援のさらなる見直しにつきましては、昨年この特別委員会でも御議論いただいて、現在示しております新しい指標の一つに入学定員の充足率の指標を追加しておりますので、各法科大学院におかれまして、特に課題を抱えておられるところを中心に、本年度の入学状況、この25年度の状況なども踏まえながら、来年度、平成26年度入学定員の見直しが現在行われている状況ということでございます。
 この結果につきましては、昨年9月に公表した中にも明記をしておりますが、本年6月までに文部科学省にその平成26年度の見直し状況を報告いただけるような仕組み、仕掛けをしておりますので、平成26年度の入学定員の削減に向けて更に各大学が現在取り組んでいるという状況であるということを、一つ御報告させていただきたいと思います。
 また、二つ目でございますが、この特別委員会におきましても改善状況ワーキンググループにおきまして、教育状況改善などの取組促進を実施してきております。これにつきましては、この1月に報告をさせていただいた報告で実は7回の調査を実施しております。全てのロースクールに対しての書面調査から始まりまして、ヒアリング、それから実地調査ということを進めております。
 こういった中で課題を抱えている法科大学院に対しましては、教育改善を含めて、その場合、場合によっては組織の見直しも視野に入れたような助言等もさせていただいているような状況でございまして、こういったものを踏まえながら各大学でも議論していただいているというのがこれまでの状況でございます。
 あわせて、新たな取組として、始めさせていただいたものがございます。現在、全ての法科大学院に対しての情報提供、検討依頼というものを実施しております。これは文部科学省から全ての法科大学院に対しまして、まず一つは、法曹養成制度検討会議中間的取りまとめに関する情報提供をさせていただくとともに、丸2でございます、平成25年度の入学状況等も踏まえて、入学定員の適正化や組織の見直しなどについて、ぜひそれぞれの各大学の置かれた状況を踏まえてしっかりと検討していただきたいというお願いをさせていただいている状況でございます。
 以上、報告でございました。

【井上座長】
 ありがとうございます。ただいまの追加の御説明も含めまして、何か御発言がありましたら。特にないようでしたら、次に進めさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。今期の特別委員会における審議事項につきましては、本年1月に開催された第53回の法科大学院特別委員会においても資料が示されていたところでありますが、先ほど話題になりました法曹養成制度検討会議の審議状況や、今御報告がありました法科大学院への入学者選抜等の状況も踏まえつつ、改めて今期における特別委員会の進め方、方向性について議論していただきたいと思います。
 まずは事務局の方から、事務局案について御説明をしていただきます。

【今井専門職大学院室長】
 資料6を御覧いただけたらと存じます。第7期における審議の基本的な方向性について(案)でございます。第7期中央教育審議会法科大学院特別委員会におきまして審議していただく必要があると考えられる議題といたしまして、例えば以下に掲げるような検討事項が考えられるのではないかということでございます。
 まず一つ目は、検討事項の丸1にございますように、まさに今後行われる予定の法曹養成制度検討会議の最終的な取りまとめなどを踏まえ、法曹養成の中核的機関としての法科大学院の教育が適正なものとなるよう抜本的な改善方策に関する検討を行うこと、これが今期の当特別委員会における検討事項になるのではないかと考えております。
 なお、先ほど御説明したところでございますので説明は割愛させていただきますが、参考に載せさせていただいておりますように、検討会議で示される主な改善方策をこの中央教育審議会の特別委員会において御議論いただくことになるのではないかと考えているところでございます。
 ポイントとしては、教育の質の向上、定員・設置数、認証評価、それから法学未修者の教育の充実といった観点ではないかと考えているところでございます。これが一つの大きな観点でございます。もう一つは、検討事項2に整理をさせていただいておりますが、昨年7月に法科大学院特別委員会でも御提言をいただきました、法科大学院教育のさらなる充実に向けた改善方策についてある検討事項、残っているものや、第6期の最後に開催させていただいた第53回の会議で指摘された事項について、あわせて審議していく必要があるのではないかと考えております。
 2ページ目を御覧いただけたらと思います。参考の2に書いておりますように、昨年7月の提言、また、最後の会議での指摘事項について、例えば適性試験の内容等の検証など、入学者選抜の改善、また教員の資質能力向上の取組や、実務家教員の配置割合、適正なクラス規模の検討といった、質の高い教育環境の確保。また、法科大学院による継続教育への積極的な取組の促進、また、修了生のグローバルな活躍に資するための教育のあり方、また、法科大学院入学前の教育と法科大学院における教育との接続のあり方などが、御指摘として挙がっていたかと思います。
 こういった二つのことが大きな検討事項になるのではないかということで整理をさせていただいております。なお、これまで本特別委員会で取り組んでいただきました課題を抱える法科大学院に関する改善状況調査の実施、また法学未修者教育の充実の検討とともに、今御説明したような、上記に掲げるような新たな検討課題に関してより専門的に調査審議をしていくに当たって、今後必要に応じてワーキンググループを設置していくことが予定されるのではないかと考えているところでございます。
 説明としては以上でございます。

【井上座長】
 ただいまの御説明につきまして御質問、あるいは御意見がございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思います。

【有信委員】
 先ほどの法曹養成制度検討会議の中でも指摘はあったんだけれども、書き込みがあまりなされていなかった認証評価制度について、やはりもう少し踏み込んだ検討が必要ではないかと思っていますので、意見を述べさせていただきたいと思います。
 以前のワーキンググループの結果でも、本来認証評価制度が機能していれば、指摘できた、あるいはその中で解決すべきような問題が多々取り上げられていて、それがなぜ解決しなかったかという点についていうと、これは認証評価が5年に1度というふうに決められているので、1度そこで指摘しても、次は5年後だということで、結局その間が浮いてしまって、実はその部分をワーキンググループが埋めたという構造になっています。
 認証評価というのは、基本的には教育システムが本来の目的に沿ってきちんと機能しているか。つまり、必要なアドミッションポリシーがあり、カリキュラムポリシーがあり、ディプロマポリシーがありという中で、基本的に教育システムがPDCAが回る形で継続的に改善されるようになっているかというシステム評価が基本なんですね。システム評価が基本だから、評価をする評価者は、そのシステムがきちんとできているかどうかという観点で評価をしているんですが、PDCAという観点からすると、それは継続的に改善していなければいけないということなので、そういう意味では、改善しているかいないかという部分についての評価が十分行われていないというのが問題です。
 これは、一つは年限の問題と、それから認証評価の評価基準をもう少し踏み込んで、これは法科大学院だけで決められるかどうか分かりませんが、もう少し議論をすべきかなと思います。

【今井専門職大学院室長】
 ただいまの御指摘につきましては、一応その検討会議の中間的取りまとめでも、認証評価による適格認定の厳格化といったことについても触れられている箇所がございます。また、認証評価自体に対して検討会議の議論の中でも、これがしっかり機能していることは重要ではないかという御指摘もございました。ですので、まさにこの特別委員会におきましても、今先生の言われたように認証評価についての議論を深めていただくということは重要ではないかと考えているところでございます。

【有信委員】
 それを、ただ厳格化というふうに言ってしまうと、要するに合格しているか、していないかという議論になってしまうので。もちろん、そういうふうに思って書いてはいないと思いますが、厳格化の意味もやはり突っ込んでよく議論をしていただけたらと思います。

【板東高等教育局長】
 今の御指摘は認証評価制度全般にもかかわる課題だと思っております。認証評価制度全般についても、これから中教審の大学分科会などで質の保証、全体のあり方という中で議論をさせていただきたいと思いますので。そういうこともあわせまして、もうちょっと認証評価制度が実質的に機能するようなやり方というのを考えていきたいと思っております。

【田中座長代理】
 今有信先生がおっしゃったことに関連することですが、認証評価制度だけではなく、法科大学院を専門職大学院の一つとして位置づけていることも、専門職大学院制度の弾力的な運用だけでは、ちょっと法科大学院が抱えているいろいろな問題に適切に対応しかねるところがあるので、前期のこの委員会の最後の会議で少しフライング気味の発言をしましたけれども、できれば法科大学院を専門職大学院のカテゴリーから外すことも含めて検討していただきたいと思います。
 例えば、認証評価を5年に1回というのも、専門職大学院の一般的枠組みからの特例を認めてもらっているのですけれども、それでもうまくいかないということを考えると、専門職大学院というカテゴリーに組み入れていること自体も見直すことが、認証評価制度との関係でも必要ではないのかという感じがします。この問題は、この委員会でやるのか、あるいは大学院部会でやることなのか、所管の問題はありますけれども、御検討いただけたらと思います。

【井上座長】
 認証評価一般の問題とは別の面がありまして、中間的取りまとめの中では、自主的に見直しをしてもらうということを基本にしながらも、それでもどうしようもないというときに備え、あるいはそのように認められるときには、法的措置を執ることも検討するということになっているわけですけれども、その際には教育の問題にも踏み込まざるを得ないとすると、認証評価との結びつきということが非常に大きな問題になるだろうと思われるのです。
 その場合に、司法試験の受験資格が法科大学院修了者に原則として限定されている、そのことの持つ重みというものがそこに効いてきて、認証評価一般と同じでよいのかという議論になる可能性があるわけです。このように、認証評価一般の問題につながると同時に、他方で特別の要請があるものですから、法科大学院についての認証評価のあり方をどうすべきかは、なるべく早く詰めて議論をしないといけないのではないかと私自身は思っております。

【田中座長代理】
 もう1点よろしいでしょうか。これは、むしろ先ほどのテーマについて質問というか、関連して指摘するべきことだったかも分からないのですけれども、資料を見てみますと、入学定員の充足率は全般的に非常に悪いのですが、競争倍率も2倍ぎりぎりのところでとにかく何とかクリアしているところが多く、これはいろいろ実情を聞いてみると、かなり無理をしてこういう結果にしているということのようです。
 今までワーキンググループで検討していただいてきた指標の設定の仕方を少し実状に合わせて見直す必要があると思うので、ワーキンググループはぜひ続けていただいて、指標の見直しも含めて検討していただきたいと思います。むしろ重要な問題は入学定員の適正化ということで、これは実入学者数の問題と同時に、入学定員と司法試験合格者のバランスの問題もありますし、要するに教育能力に応じた入学定員の適正化ということにもう少し焦点を合わせて検討を進めていただきたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 失礼いたします。ただいまの御指摘でまいりますと、恐らく今後、御指摘のとおり検討していかなければいけないと、私どもも考えておりますし、恐らくこの検討会議の中でも公的支援のさらなる見直しの強化を考えるべきであるという御提言がありました。最終取りまとめがまとまれば、恐らくそういったところをまたこの特別委員会の場でも御議論いただくことになろうかと思います。
 そのときに例えば競争倍率の考え方でございますとか、入学定員のところをどういうふうに進めていくのか。先ほども御説明したように、昨年示した公的支援のさらなる見直しがこの6月末に出てまいりますので、そういった政策の効果がどういうふうに出ているかも含めて、この中教審の場でもぜひ御議論いただければということになるのではないかと考えているところでございます。

【井上座長】
 改善状況調査については、継続していく必要があるというのが前期のまとめだったと思いますので、そういうことを検討させていただきたいと思います。

【松下委員】
 資料6の検討事項丸1の参考1と書いてある、この一つ目の丸に関係することなんですけれども、中間的取りまとめの12ページにも、現在の教育力に比して定員が過大な法科大学院が相当数あるというような御指摘があり、これは教育の質の向上の文脈で語られているわけですけれども、この分科会でも、特別委員会でも、検討事項にするということ自体は結構だと思うんです。
 しかし、本当のポイントは教育の質の問題であって、定員見直しというのは質の確保の手段の一つにすぎないわけで、人数問題だけに終始して議論するというのは適切ではないのではないかと。質の確保はそれ自体として議論をすべきであると思いますので、そのような御配慮を事務局にしていただければと思います。以上です。

【井上座長】
 ありがとうございます。
 ほかに御意見等ございますでしょうか。

【笠井委員】
 先ほども有信委員からも出ましたし、田中座長代理からも関連した御意見がありましたが、私は中教審の本委員会が今後の検討課題としているものについて、これまで議論されてきたものでもあるので、当然これからも課題として、しかも速度を早めて検討する必要があると思います。
 全体としての法曹養成について、これは当委員会の所掌事務をはみ出るかもしれませんが、法曹養成制度全体という大きい制度設計について、今一度当委員会においてフリーな討論ができないのかなと思うわけです。法曹養成制度がどのようにあるべきかという制度設計の基本について、当委員会の委員がほぼ共通する認識を持つことができてくれば、法科大学院を中核とする法曹養成機関としての教育内容の適正化もより強く図れることになるであろうし、大きいパワーを持って事に当たれるのではないかと思います。
 ここに掲げられていることは、生じてきている課題に対する制度的ではありますが、臨床的・対症療法的な改革にすぎないのかなと。もう一歩引いて制度全体の理解を深め、認識を共通にしながら考えてみることが必要かと思います。
 それと、一挙に離れまして、先ほどの定員削減と法科大学院の統廃合の問題ですが、中間的取りまとめの中で法科大学院の地域的配置に関するくだりが実は2行しか書かれていません。一方で、入学志願者が極めて少ない地方の法科大学院が実際に生き残れるのかというと、実態としても考えにくいことは事実です。やはりその辺にもう一度、言及し検討すべきではないかと思っています。

【井上座長】
 御意見として承っておくということにしたいと思います。
 ほかによろしいでしょうか。

【板東高等教育局長】
 一つ、よろしいでしょうか。事務局の方から問題提起をさせていただくのはちょっと筋違いかと思うんですけれども、先ほども法曹養成制度検討会議の中間的取りまとめについてのいろいろ御質問、御意見の中に、やはりキャリア拡大、法曹人口の問題というのが非常に出てきたわけです。先ほど教育内容の問題、企業などで求める教育内容といったようなところとのマッチングの問題もございましたけれども、一つは、やはり学生などから話を聞きましても、実務法曹の従来的な領域の姿は見えるんだけれども、それ以外の例えば官庁であったり、企業であったりというところについて、大学によっては積極的にエクスターンシップで出しているところもあるんですけれども、そうでないところもあったり。
 あるいは、そういう実務家の方と触れ合うようなものがカリキュラムの中に入っていないというケースもあるので、そういった拡大された領域の姿が見えないという御意見も結構あります。法科大学院教育の中でもう少しエクスターンシップなどの領域の拡大であったり、もう少し積極的にいろいろなキャリアの方との接触、交流であったり、そういうことをもう少し教育の中、あるいは課外も含めてだとは思いますけれども、考えていただくというのも、キャリア拡大のために一つ重要な要素かなということも考えております。
 法科大学院も10年たって、ある意味では次のステップに向けていくときに、そういった視点の部分もこれからキャリア拡大に向けて必要になってくるのかなとちょっと感じるところもございますので、そういった点も含めましていろいろ教育の中身のことを御議論いただければありがたいなと思っています。

【井上座長】
 今の点は、これまでは個別的に対応をしてきたのだと思いますが、法科大学院によってできるところと、地域性の問題があったり、いろいろな事情から、うまくできないところもあった。やりたいと思ってもできないというところも少なくなかったと思われますので、今局長がおっしゃったように、全体的な視点でそういうことがコーディネートできるような、仕組みだとか体制だとかを整備するということを考えないと、うまくいかないんだろうと思いますね。そういうことも含めて、また検討するということにさせていただければと思います。
 ほかによろしいですか。どうぞ。

【日吉委員】
 先ほど笠井委員もおっしゃったんですけれども、やはり今法科大学院制度がこんなに大きな逆風にさらされている理由の一つというのは、外から見たときにロースクールでの教育というのがなぜ法曹養成の中核であるべきなのかと、あるいは中核にいるのかということが見えていないんだと思うんです。
 それは、私のように実際に教育を受けて、その恩恵をこうむって日々仕事で感じている人間には説明は必要ないのかもしれませんけれども、やはり今後ロースクールを目指そうと考える若者、あるいはほかの業界からチャレンジしようかと思っている人間に、ロースクールでの教育の優れたところというのがどの辺りにあるのかというのがもうちょっと分かりやすく見える形で、これからロースクールが最終的に幾つになっていくのかは置いておいて、そのロースクールが基本的にはどこに行っても、その良さみたいなものが見えるというふうにしていく、それを目指す必要があるのではないかと。
 抽象的で大変恐縮ですし、具体的な提言が今ここでできないのが忸怩たるものはありますけれども、やっぱりそういう部分の目線をしっかり捉えた検討と施策を打ち出していく必要があるのではないかなと思っています。

【井上座長】
 ありがとうございます。従来からも発信ということは強調されてきたのですが、具体的な形にはなかなかならなかった。法科大学院協会などでも力を入れていろいろな催しをしてきたのですけれども、パブリシティーは限られている。そういった積極的な面よりは、どうしても、問題があるというところに外部の関心が集まりがちで、知ってほしいところになかなか注目していただけないという問題があるものですから、そういう視点も入れてまたここで検討していきたいと思います。
 どうぞ、磯村委員。

【磯村委員】
 検討事項1に関連するところで、とりわけ検討会議の中間的取りまとめでの問題認識の中心部分が法学未修者の教育にあったという印象を受けているんですけれども、法学既修者についても、どういう要件でどういう教育をするかというのはこれから非常に重要な課題だと思いますので、最終的な取りまとめなどを踏まえてと書いてあるときに、仮に検討会議の方ではそちらにシフトした提言になったとしても、こちらではもう少し幅広く、法学既修者及び未修者の教育をどう考えているかということを課題とする必要があるかなと思います。

【井上座長】
 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。

【片山委員】
 1点だけ付加させていただきます。今いろいろ御議論がありましたけれども、ロースクールとしての良さとか、ロースクールとしての魅力という点からしますと、法令との関係はあるのでしょうが、現在の法曹養成というときの「法曹」概念、これが一応狭義の「法曹三者」を念頭に置いた概念とされていますが企業の方々は「第4の法曹」という言い方もされていますけれども、社会のニーズに合った形で、再度「法曹」という概念自体をより広義のものとして再定義していくような形での議論も検討していただければありがたいと考えております。

【井上座長】
 そろそろよろしいでしょうか。予定された時刻になりましたので、先ほど案として示された事項を中心として、まず進めていき、必要に応じて拡大させ、あるいは整理していく。そのような了解で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から今後の日程等について御説明を願います。

【今井専門職大学院室長】
 次回の法科大学院特別委員会につきましては、日程調整の上改めて御連絡をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】
 それでは、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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