法科大学院特別委員会(第49回) 議事録

1.日時

平成24年6月14日(木曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省中央合同庁舎7号館東館16階 16F特別会議室

3.議題

  1. 平成23年度修了認定状況及び平成24年度入学者選抜実施
  2. 法科大学院教育の充実について
  3. その他

4.出席者

委員

(臨時委員) 田中成明委員
(専門委員) 磯村保、井上正仁、笠井治、木村光江、椎橋隆幸、土屋美明、土井真一、永田眞三郎、長谷部由起子、日吉由美子、松並孝二の各委員

文部科学省

板東高等教育局長、常盤高等教育局審議官、内藤専門教育課長、今井専門職大学院室長、佐藤専門教育課課長補佐

5.議事録

【田中座長】
 それでは、所定の時刻となりましたので、第49回中教審大学分科会法科大学院特別委員会を開催したいと思います。
 まず初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

 

【今井専門職大学院室長】
 失礼いたします。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。資料1は前回の議事録でございます。御確認をいただきまして、また事務局まで御連絡いただけたらと思います。資料2につきましては、今月5日に発表されました大学改革実行プランの資料でございます。資料3、資料4-1、資料4-2につきましては、法科大学院修了認定状況及び入学者選抜実施状況について、最新のデータが取りまとまりましたので、御報告を申し上げます。資料5につきましては、前回より御議論いただいております、法科大学院教育の課題と見直しの方向性についての資料を添付させていただいております。資料6-1、2、3、4につきましては、その検討に参考としていただくためのデータを用意させていただいております。なお、資料7といたしまして、山本委員より提出意見をいただいておりますので、添付させていただいているところでございます。
 資料に足らないもの等ございましたら、御指摘いただきたいと思います。
 以上でございます。

 

【田中座長】
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに、今月5日に文部科学省より公表されました大学改革実行プランにつきまして、特に法科大学院関係を中心に事務局から説明をお願いいたします。
 それから、法科大学院における修了認定状況と入学者選抜の実施状況について、最新のデータがございますので、これも併せて事務局より説明をお願いいたします。

 

【今井専門職大学院室長】
 それでは、御説明申し上げます。
 まず、大学改革実行プランにつきまして、机上配付資料1というカラーのパワーポイントの絵と、それから、配付資料2、大学改革実行プラン(詳細)という資料を御覧いただけたらと存じます。
 まず、この机上配付資料1に基づいて、ペーパーの1ページ目、2ページ目を御覧いただけたらと存じます。大学改革実行プランにつきましては、今月5日、文部科学省より公表がされました。このプランにつきましては、2ページ目にございますように、いろんな直面する課題や将来想定される状況をもとに、目指すべき社会、求められる人材像、目指すべき新しい大学像を念頭に置きながら、大学改革の方向性を取りまとめるものでございます。
 特に、このプランにつきましては、二つの大きな柱の中に、八つの基本的な方向性が記されているものでございます。
 まず、一つ目の柱が、大学の機能の再構築でございます。その中に四つの基本的方向性がございまして、教育の質の転換と大学入試改革、二つ目、グローバル人材育成、三つ目、地域再生の核となる大学づくり、四つ目、研究力強化に取り組むこととしております。
 また、二つ目の柱につきましては、そのための大学のガバナンスの充実・強化でございます。五つ目の基本的な方向性として、国立大学改革、六つ目、大学改革を促すシステム・基盤整備、七つ目、財政基盤の確立とメリハリある資金配分、八つ目、大学の質保証の徹底推進に取り組むこととしております。
 この中で、今度は資料2を御覧いただけたらと思いますが、法科大学院につきましては、このプランの中でも取り上げられておりまして、先ほど申し上げました大きな柱の一つ目、大学の機能の再構築の所の丸一番、大学教育の質的転換と大学入試改革の項目の、資料2で申し上げますと、一番下の黒ポツに、「法科大学院の質保証の強化」というものを入れさせていただいているところでございます。
 具体的には、資料2の2ページ目を御覧ください。資料2の2ページ目は、まず平成24年度から直ちに実施するものといたしまして、ひし形の四角の四つ目、資料で申しますと、真ん中でございますけれども、「法科大学院の質保証の強化」、課題のある法科大学院の教育体制の抜本的見直しの加速化、未修者を中心とした法科大学院教育の質の改善ということでございまして、内容といたしましては、法曹の養成に関するフォーラムにおける法曹養成制度の在り方等に関する検討状況も踏まえ、中教審において、課題のある法科大学院の教育体制の抜本的見直しの加速化や、未修者を中心とした法科大学院教育の質の改善など、法科大学院の質保証の強化のための改善方策について検討し、結論を得られたものから直ちに実施するということでございます。
 以上、大学改革実行プランにおきまして、法科大学院の指摘箇所についての御報告、御説明でございました。
 続きまして、本年度の新しいデータの確認が取れました法科大学院修了認定状況、及び入学者選抜の実施状況について、資料3、資料4-1、4-2で御説明申し上げたいと存じます。
 まず、資料3を御覧いただけたらと思います。法科大学院修了認定状況の推移でございまして、平成23年度の数字を新たに追加させていただくことにしました。資料は1枚おめくりいただきまして2ページ目でございます。
 上の箱二つ目に、平成23年度のデータが入りました。全修了者3,937名、そのうち標準修業年限で修了された方は3,263名、68.7%という状況でございます。うち法学既修者コース、いわゆる2年コースと言われているところは1,650名、標準修業年限修了者の割合は86.6%でございます。一方、法学未修者、いわゆる3年コースにつきましては1,613名、標準修業年限修了者の割合は56.8%という状況になっているところでございます。
 続きまして、資料4-1でございます。志願者数・入学者数等の推移で、平成24年度の数字が取れましたので御報告申し上げたいと存じます。まず最初に、資料4-1を御確認いただけたらと思います。
 まず、志願者の状況でございますが、志願者数につきまして、平成24年の志願者総数は18,446名でございます。また、下の欄にございますように、志願倍率につきましては、4.1倍でございます。この志願者数に関しましては、前年度22,927名に比べまして、4,481名の減ということで、減少の傾向が続いているところでございます。また、志願倍率につきましても、前年度の5.1倍に比べまして1.0ポイント減という状況になっているところでございます。
 続きまして、資料2を御覧いただけたらと存じます。入学者数の状況についてでございます。丸一番の法学既修・未修の別の表でございますが、平成24年、一番下の欄でございますが、合計で3,150名の方が入学をされたということでございます。うち既修者につきましては1,825名、未修者につきましては1,325名ということになっております。なお、入学者数の総数は昨年度3,620名でございましたが、それに比べまして470名の減ということになっているところでございます。
 以上が総括的な御説明になりますが、続きまして、資料4-2を御覧いただけたらと存じます。
 資料4-2につきましては、個別の大学における入学者選抜の実施状況を表にさせていただいたものでございます。2枚にわたっておりますが、1枚おめくりをいただきまして、その全体の傾向で少し御報告させていただきたい点がございます。
 まず、競争倍率についてでございます。競争倍率につきましては、一番下の欄に平均がございますが、競争倍率の欄自体は右の方から数えまして、「(参考)新司法試験合格率」の横、「入学定員充足率」の横の「競争倍率」の欄を御覧いただけたらと思います。これの平成24年度のデータが平均競争倍率2.53倍となっております。この中で73の大学がございますが、競争倍率が2倍未満の法科大学院につきましては、13大学となっております。平均競争倍率につきましては、昨年度が2.88倍でございましたので、それに比べまして0.35ポイント低下をしております。また、競争倍率が2倍未満の法科大学院は前年度19大学ございましたが、それに比べて13大学というところで減少してきたという状況が判明したところでございます。
 続きまして、同じ表のところで「入学者数」、「入学定員充足率」等について御報告を申し上げます。先ほど御説明いたしましたように、入学者総数は3,150名でございますが、例えば「競争倍率」の横でございますが、「入学定員充足率」につきまして確認いたしましたところ、ここにつきましては全体の定員充足率の平均は0.7ということでございます。この0.7という数字につきましては、平成21年度から24年度にかけまして、緩やかに減少していっているという実態がございます。
 また、今度は「競争倍率」の横にございます「入学者数」でございますが、これにつきまして中のデータを確認いたしますと、入学者数が10名未満の法科大学院が20大学、平成24年度に存在しております。この大学数というのは、近年増加をしている状況にございます。また、そういったものを含めまして、競争倍率2倍以上の確保に取り組んだ結果から、入学定員充足率に低下傾向が見られております。中心といたしましては、比較的小規模な入学定員を設定している法科大学院を中心に、定員充足率が0.5未満の大学が35大学あるという状況が分かったところでございます。
 以上、駆け足になりましたが、入学者選抜の実施状況、及び修了者の認定状況についての御報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

【田中座長】
 ありがとうございました。
 ただ今の事務局の説明につきまして、御意見、御質問などありましたら御発言ください。
 御質問はございませんか。
 後ほど、また関連するテーマについて議論していただきますので、そのときにまた関連して御質問していただくことにしたいと思います。このデータは後で検討していただく「法科大学院の課題と見直しの方向性について」の基礎的なデータにもなると思いますので、そのときにまた参考にしていただければと思います。
 そして、事務局より報告のありました入学者選抜実施状況の結果などを踏まえまして、競争倍率が著しく低く、入学者の質の確保に対する意識が低いと思われる法科大学院につきましては、改善状況調査ワーキング・グループにおいて、実態調査もやっていただいておりますが、適切な改善を促していただくようお願いいたします。
 それと、これまでも議論になってきたところですが、もう一点、入学者選抜の実施状況等に関連して議論いただいておりました、公的支援の見直しの具体的な在り方について、こういったデータとの関連で入学定員とか入学者の数を踏まえて、これまでも改定案の指摘があったのですけれども、入学者の数が極めて少ないところとか、あるいは一桁のところは、教育効果という面から見て問題があるのではないかというふうな議論もありました。こういった点についてはいかがでしょうか。

 

【土井委員】
 最後、修正案というか、たたき台のところで少しお話しさせていただこうかと思ったんですが。
 今日お示しいただいている見直しの方向性の文章を、ダイジェスト版ですと4ページから5ページの部分ですし、それから、文章化していただいているところであれば13ページの辺りに、公的支援の更なる見直しというところで、法科大学院の入学定員の充足状況を新たな指標として追加するなどを検討することが必要である、そういう意見が出ているということなんです。
 それとの関連で、先ほどの御説明のあった資料4-2の所、入学定員の充足率の一覧がずっと数字として挙がっているわけです。平均で0.7程度ということですが、見せていただくと、各大学でかなり数値に開きがあるというふうに思えるわけです。
 それで、まずちょっとお伺いしたいのは、この定員充足率が必ずしも芳しくない大学について、ほかの指標ですね、競争倍率ですとか、実際の入学者の実数ですとか、あるいは司法試験の合格率等、そうしたほかの指標との関連で何か特徴的な点があれば、少し教えていただきたいということでございます。

 

【今井専門職大学院室長】
 今の御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。
 まず資料4-2でございますけれども、例えば個別の大学で御覧いただきますと、例えば国立大学で8番の所に書いてある大学で、入学定員充足状況が0.14ということで0.5を切っております。横の競争倍率を御覧いただきますと1.79ということでございまして、そういった意味では競争倍率も確保するのが厳しい状況になっているという状況があります。そして、実際の入学者数というのは5名ということになっております。
 なお、例えば志願者数辺りを御覧いただけたらと思いますが、やはり平成23年度から24年度にかけまして大幅な落ち込みがございますので、こういったような流れの中で入学定員充足の状況が厳しくなっているという状況が見て取れるのではないかと思います。
 また、番号で申し上げますと、例えば19番の大学がございます。この大学につきましても、例えば入学定員充足率につきましては、0.3ということで0.5を割っている状況です。ただ、競争倍率は何とか確保するということで2.0ということでございますが、一方、入学者数につきましては、最終的なところとしては6名ということで、やはり充足率、競争倍率、入学者数というところで、関係性といたしましては、大変数字を割っているところについて入学者数自体が相当小規模になっているというのはあろうかと思います。
 ただ、この中央教育審議会の場でも御議論いただいて、競争倍率、いわゆる入り口の段階でも入学者の質の保証というものについては、各大学も努力をしていただいているということが見て取れるかと思っております。
 また、2枚目で少し触れさせていただきますと、そういった傾向が見て取れますのは、例えば43番目の大学も同じように、入学定員充足状況については0.37ということで0.5を割っております。また、競争倍率の確保も苦戦をされているという実態で1.53。ただ、入学者数については一桁までには落ちていないという状況で、志願者数についても比較的、減少傾向があるという状況ではございます。
 ただ、そのすぐ下の44番の大学にいきますと0.20ということで、入学定員充足状況は相当厳しい状況がございます。ただ、競争倍率については2.19というのを保ちつつ、入学者数自体は8名ということで、その規模が小さくなっているという実態がございます。
 傾向といたしましては、入学定員の充足状況が0.5を割っている大学はかなり多くございますが、その大学の中では、競争倍率は何とか維持をしていただくような形で努力をいただいていると。ただし、その入学者数につきましては一桁になっている大学が多いというのが、個々の大学の傾向ではないかというふうに考えております。

 

【常盤高等教育局審議官】
 ちょっと補足しますと、受験者数は減る傾向にあるわけですけれども、その中で質を確保するために競争倍率を確保してくださいということは、合格者数を定員よりか、定員とある種切り離して合格者数を、しっかりとその質を確保するために、競争倍率2倍を確保するという観点で、合格者数をしっかりとコントロールしてくださいという要請をこちらもしているものですので、そういう意味から言うと、その中で全体としての志願者数の減少の中で、入学定員の充足率が下がってくるというのは、ある意味、競争倍率確保ということが優先されている結果という側面もあるのではないかというふうに思います。

 

【土井委員】
 先ほど田中座長の方からもありましたように、また、今、常盤審議官もおっしゃったように、競争倍率2倍の確保を入学者の質の確保の観点から進めてほしいということは、本委員会でも要請をしてきているところで、それを十分に御配慮いただけていない大学が依然としてあるということが一番問題で、そこはしっかりしていただかないといけないと思いますし、それから、今井室長の方からも御説明があったように、各大学いろいろと事情は違うという点はあるのだろうとは思います。
 ただ、その上で、やはり定員充足率がかなり低くて、しかも、実入学者数が例えば一桁台、あるいは10名前後というような状態が継続しているということを考えた場合に、その大学院で授業のやり方として双方向、多方向型の授業が適切に実施されるということになるのかどうか、あるいは、非常に少人数ということもあって、学生の皆さんがある種の緊張感を持ってモチベーションを維持しながら学習を継続することができるのかどうかといった点について、やはり懸念が出かねないのではないかというふうにも思うわけです。
 とりわけ、結果として司法試験合格率についても十分な成果が出ないというようなことが重なってくると、やはり法曹養成教育機関としての信頼を維持することができるのかどうかという疑問が出かねないですし、この点は最終的には法科大学院制度全体に深刻な影響を及ぼす恐れのある状態になりかねないという懸念も出てくるのだろうと思うんですね。
 そういう意味で、ここにお書きいただいている検討というのは、どういうペースでどういう形で進めていくのかということが、大きな問題になるんじゃないかというのが私の印象です。
 以上です。

 

【永田委員】
 今の点ですが、競争倍率を2倍確保するという基準をこちらが示してそれを守っていただく、その結果、入学者選抜における合格者数を減らし、そしてその最終的な定着も減っているという状況があるんですが、少しその流れで誤解があると困るのは、その2倍という基準を守らなければならないから入学者をこれだけしか採れなかった、質の良い学生を逃しているというような、そういう反論はほとんど無くなりました。調査を進める中では、どこもやはりこういう基準を守るという形でも質のよい学生が取れていないということでした。

 

【田中座長】
 一般的に、法科大学院とは関係なしに、大学院とか学部の定員充足率について何か実施しているあるいは準備している施策はあるのですか。

 

【今井専門職大学院室長】
 今、手元に資料がないので、確固たることが言えません。確かに、例えば私学助成の世界では、そういったものが確かありますので、データとしてきちっと御説明しないといけない、確かに定員充足率が悪くなっていくと、やはりそれに対しての考え方というのはあるというふうには伺っております。

 

【板東高等教育局長】
 余り詳しい資料ではございませんけど、御手元の大学改革実行プランと言われているもの、22ページにございますけれども、これは一般的な私学助成の話を書かせていただいておりますが、その中に、左の枠の所に定員充足状況に応じた定員枠というのがございまして、それを年々強化しつつあるという状況がございますので、定員割れをしているケースについても、定員超過をしているケースについても、補助金をカットしてもらうというのはそこにあるとおりで、こういう状況でございます。

 

【井上座長代理】
 田中座長がおっしゃったように、これまで入学者選抜の質を確保するため競争倍率という点を強調してまいり、その効果としてそれに応じてくださるところが随分多くなっているのですけれども、その結果として、逆に、実入学者数が減っている。そういう状況が継続する場合どうするかについて、大きな考え方としては、定員自体が適正さを欠いているということになるので、定員を見直すべきだということになるのですけれども、先ほど今井室長からお話しのあったように、実入学者が10人を割っているところというのは、もともと学生定員も小規模なところが多いので、定員を見直すと言っても、これ以上どうすれば良いのかということもあろうかと思うのですね。だから、その辺になってくると、もっと大掛かりなことを考えないと、立ち行かないのではないかなという感じがしています。
 それから、進め方についても、これから検討するというようなペースで対応できるものなのか危惧を抱いていまして、来年度の入学者選抜のための作業は既にもう始まっていますので、今から検討しても来年度にはもう間に合わないかもしれない。そうすると、再来年になってしまうわけで。どんどん先送りになってしまう恐れがありますから、我々のこの文章をまとめるという作業と並行して、文科省の方でも、どういうことが可能なのかを詰めていただきたい。そして、その両方を集約的にするという形にするのが効率的ではないかと思います。

 

【田中座長】
 今御指摘いただいた点は、これまでの議論でも、公的支援の見直しをもう少し実効的なものにするために、変更してはどうかという意見もあったところです。文科省の方で、これまでの議論をベースにして、ほかの公的支援の仕組みとか、法科大学院特有の状況などを踏まえて、検討材料を整理していただけますか。次回にこのことを御検討いただくときに、井上委員が指摘されている定員見直しの議論についても、どういうふうにするかということの検討をしていただけたらと思います。
 ほかにございますか。いずれも、次の議論にも関係するので、また、そのときに関連することがありましたら振り返りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、法科大学院教育の課題と見直しの方向性についての議論をお願いいたします。この件につきましては、前回の会議で議論いただいた内容を踏まえて、事務局でたたき台の修正案と、その議論を文章化した資料をまとめていただきましたので、今日はそれらの資料を使いまして、さらに議論を深めていきたいと思います。
 まず、事務局の方から資料について説明をお願いします。

 

【今井専門職大学院室長】
 それでは、資料に基づいて御説明を申し上げたいと思います。資料5を御覧いただけたらと存じます。
 まず、一番上に載せさせていただいています「たたき台/修正案」につきましては、前回の第48回の会議で提出させていただいた資料に先生方から御議論いただいた意見、また、その後、メール等で私ども事務方にいただいた意見などを集約させていただいて、追記をさせていただいております。その主な追記をさせていただいたものについて、アンダーラインをしておりますので、前回の資料との比較でこの辺りが充実をしたということで御理解いただけたらと存じます。
 また、その後ろに、今、田中座長より御指摘をいただきましたように、このたたき台を文章化していくとどうなるかということで、案として、たたき台として文章化したものを付けさせていただいております。本日は、この二つの資料を御覧いただきながら、全体の構成とともに、また内容面について、この文章化したものを是非御覧いただいて話し合っていただきながら、御議論いただけたらと存じております。
 それでは、資料に基づいて御説明いたします。まず、たたき台の修正案でございますが、前回の御指摘で、そこに「はじめに」というものを設けさせていただいています。ここの観点は、前回御説明申し上げましたときには、法科大学院の課題、そういったものをしっかり受けとめた形で書かせていただいておりましたが、やはり法科大学院についてもいろいろと今までやってきた中での実績、やはり評価されるべき点があるのではないかという御指摘もございましたので、追記をさせていただいております。
 黒い丸で四つ書かせていただいておりますが、まず、一つ目、二つ目が、正に法科大学院の今までの成果として考えられるものではないかと思っております。少人数を基本とした双方向的・多方向的に密度の濃い授業が実施されているということ。また、そういったものを通じて、学生に物事をじっくり考えさせる能力を養うことができている優れた教育という方法ではないのかということです。
 また、二つ目の黒ポツにございますように、関係者からの御意見といたしましても、自発的・積極的な学習意欲が高いということ、また、いわゆる判例や文献等の法情報調査能力が高い、また、コミュニケ-ション能力に優れているといった点が修了者に見られるという意味で、評価があるのではないかということです。
 ただ一方、法科大学院全体の中では、その未修者教育の課題、そういったものが共通のものとして顕在化しておりますし、法科大学院の間での差が見えてきているという中で、この辺りの課題を解決することで制度の円滑な安定化、それを目指していくべきではないかということで三つ目の丸を書かせていただいております。
 そして、四つ目は、その優れた点を伸ばし課題を解決していく、そういったために、法科大学院教育の更なる見直し、それを検討していくということで、メッセージを出させていただいているところでございます。
 続きまして、たたき台の件について申し上げますと、4ページ目を御覧いただけたらと存じます。4ページ目でございますが、こちらにつきましては、やはり法科大学院の現状認識、また、現状をどう見るのかというところでの御指摘があったかと思っております。その点につきまして、その考え方を示させていただきました。
 やはり、現在の法科大学院の状況につきましては、この特別委員会のもとに設けていただいておりますワーキング・グループの調査結果が正に示すように、多くの法科大学院では課題の改善に向けた取組が、短い期間ではございますが、かなり進められていて、効果を上げていると。ただ一方で、一部の法科大学院の中では、その教育の質の改善に関する取組が十分でないといったところを、ワーキング・グループの調査結果等から明らかになっているということを追記させていただいております。
 そういった中で、正にこの法科大学院特別委員会といたしましては、法曹の養成に関するフォーラムにおける検討を待たずして実施できるものについては、速やかに実施をしていくという必要があるのではないかということにつなげさせていただいております。
 また、その際、個々の法科大学院について、一体何が課題なのかということの線引きの難しさについて御指摘をいただいておりました。そういったことを踏まえまして、三つ目の丸を起こさせていただいておりまして、その際には、法科大学院ごとの状況の違い、未修者教育の充実に関する課題、そして、今まで講じてきた施策の進捗状況・効果、そういったものをよくよく見極めながら、きめ細やかな改善方策を検討、それを実施していくべきだということを追記させていただいたところでございます。
 続きまして、大きな修正点は5ページ目を御覧いただけたらと存じます。真ん中辺りに「3.未修者教育の充実など法科大学院教育の質の改善等の促進」がございます。この(1)の二つ目の丸の所で、前回の案文に対して若干追記をさせていただくような形をしております。
 一つは、法科大学院は標準3年ということを前提としておりますが、その3年を超えて教育をするということも視野に入れた検討がないのかという御指摘もございました。そういったことを含めて、現行の制度でも長期履修制度を活用することによって、その3年を超える期間の教育課程を設定できることもございますので、その明記をさせていただいたのとともに、やはり「純粋未修者」と、ここでは書かせていただいておりますが、その教育期間の在り方について検討していくということが必要じゃないかということで、追記をさせていただいたものでございます。
 また、(2)入学者選抜の改善の所でございます。この辺りにつきましても、やはり法学部出身者と非法学部出身者の関係については、分けてしっかりと丁寧に検討すべきではないかという御指摘、また、多様な受入れということでは、どういうふうにしていけば優秀な学生を多様な形で受入れられるかということの御指摘がございましたので、その辺りについて入り口の入学者選抜でもその辺りをどういうふうにすれば可能なのか、社会人又は非法学部出身者の受入れの割合の検討なり、また、優秀な学生を積極的に受け入れていく方策といったものを検討していくべ

きではないかということの追記をさせていただいているところでございます。
 続きまして、5ページ目の(3)でございますが、「質の高い教育環境の確保」の所で二つ目の丸でございます。前回お示ししたときには、いわゆる仕組みというところが多かったのですが、やはり教員間での資質能力の向上を図っていただく必要があるのではないかという御指摘を、ほかにいただいておりますので、その点、例えばきちっとした形で研究者教員と実務家教員が共同してFDをしっかり行うといった、教員の資質能力向上の取組というものを明記させていただいたところでございます。
 続きまして、6ページ目を御覧いただけたらと存じます。(4)を新設させていただきました。「認証評価結果の主体的な活用を通じた改善」という項目でございます。この点につきまして、前回、その認証評価についての御質問をいただいた際、第1順目が終わり、それを踏まえた文部科学省での省令等の改正等の手続をして、今2順目に入っているということの御報告をさせていただいたところ、やはり主体的に認証評価が機能するように考えていく必要があるのではないかというような御指摘がございましたので、ここにございますように、今回の評価基準なり方法の改善を踏まえて、法科大学院教育の改善がより主体的に行われるような促進、そういったことをここで追記をさせていただいたところでございます。
 そして、(6)も新設でございます。「法科大学院による継続教育への積極的な参画」ということでございまして、いわゆる法科大学院を修了した後、現場の法曹に携われる関係者の方々が法科大学院において、また更にその先端的・現代的な分野、若しくは国際関係、学際的な分野を学び直す機会、そういったものの創出に向けた取組が必要ではないかということの御指摘がございましたので、追記をさせていただいたところでございます。
 最後に、6ページ目の4番の所で若干追記をさせていただきましたが、例えば丸一番目の所でございますけれども、上2行を少し追加させていただいております。その観点といたしまして、グローバル化が進展していくという中、また、地域の法曹ニーズ、また、少子化が進むという社会システムの複雑化について、もう少し明記してはどうかということの御指摘をいただきましたので、追加をさせていただいたところでございます。
 また、二つ目の丸にございますように、司法試験につきましてアンダーラインの所に、合格基準の透明性の確保等をはじめとした司法試験の在り方についても、やはりどう改善していくかということについては、制度全体の検討の中では期待申し上げたいということで指摘をしていただいたことを踏まえて、追記をさせていただいたところでございます。
 以上、主な御意見を、こういった形でたたき台の方に反映させていただきました。それをベースにして、次のページにありますような形でこういう文章化させていただいております。ただ、この文章化につきましては、まだまだ「案」ということでございますので、是非その内容等、今回のたたき台の修正案、それからこの案を比較していただきながら、御審議、御議論を深めていただけたらと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いします。

 

【田中座長】
 どうもありがとうございました。
 たたき台の方でも、文章化された方でもどちらでも結構ですけれども、御自由に御発言をお願いします。

 

【磯村委員】
 資料5の最初のページの「はじめに」の所の2行目と3行目なのですけれども、「大講義型を中心とした法学教育や」に続く部分、「司法試験の合格に向けた学習」という箇所は、法科大学院の教育内容が司法試験に合格することにも向けられているのは重要ですので、この部分で言いたいのは、恐らく、司法試験の合格に傾斜し過ぎたというニュアンスだと思いますので、表現として「合格に向けた」というのはやや一般的に過ぎるかなと思います。
 それから、3行目の「学生に物事をじっくりと考える能力」という箇所は、「学生が」なのか、「学生に」そういう能力を身に付けさせるとするか、表現を調整していただくと良いかと思います。
 また、「物事」がこちらの方では漢字になっていて、文案の方の1ページの方では平仮名になっているので、そういう不統一も調整していただければ良いかと思います。

 

【井上座長代理】
 言葉遣いの問題だけなのですけれど、5ページの考え方の3の中の丸の所に、「純粋未修者」という言葉が出てくるのですが、公の文章で「純粋」という表現を用いるのは恐らく初めてかもしれません。これでは、それ以外の人は不純ということになり、必ずしも適切ではありませんので、何か別の表現がないものかと思います。せめて、「いわゆる」くらいにしておくべきではないでしょうか。
 もう一つ、6ページの上から三つ目の(6)の「法科大学院による継続教育への積極的な参画」というのは、文章として何か変な感じがするので、「法科大学院における継続教育への積極的な取組」くらいにした方が良いのかなと思います。

【永田委員】
 表記の問題ですが、共通的な到達目標の話ですから、「な」を入れる必要がある。共通ではなく、共通的だということにかなり気を使って強調しましたので。共通的な到達目標というのがあろうということですね。

 

【笠井(治)委員】
 数字のことだけよろしいですか。たたき台の1ページ、「これまでの改善状況」の一つ目の丸、入学定員について、「平成24年度4,484人」とありますが、本文の方では3ページ、囲みでない本文では、「平成24年度4,571人」となっていますので、数字に違いがあります。

 

【今井専門職大学院室長】
 訂正させていただきます。

 

【笠井(治)委員】
 それから、本文は案として、これから文章を練るというお話でしたが、文章的におかしい所があるのかなという気が少々しています。
 それで、本文の11ページですが、真ん中以降の下の4段落目。前の文章を受けているので、仕方がないのは分かるのですけれども、「特に、教育の質の向上、入学定員の適正化を図り、法科大学院が法曹養成制度の中核機関としての責務を果たし」云々とあるのが、ちょっと分かりにくい。
 これと一番最後の18ページ以下の提言ないしは期待することとのかかわりで、司法試験改革に期待するものがあるという部分と、11ページの後段「司法試験の合格状況についても一つの重要な指標として考慮していく必要がある」というくだりを関連させるとより明確な文意になると思いますが、勝手な理解かもしれません。
 というのは、法科大学院としては、司法改革の理念に沿って、質の良い多様なバックグラウンドを持った入学者を確保し、そこできっちりとした教育を施し、立派な法曹を送り出していくことが期待され、現に、十分にこれをやっている大学がある。他方で、大学間格差があり、努力の跡を認めることができない課題を抱えた多くの大学院もある中で、これについては真摯な改善を求めるということをしています。ところが、よくやっているという大学院、すなわち昨年度の司法試験の合格率で言えば、トップ3でさえも司法試験合格率は50%前後、あるいはようやく50%を超えるという程度に過ぎません。これは、本当によくやっていると言えるのかという問題もありますが、頑張っているというのが正しい認識であるならば、司法試験の在り方の方がおかしいのかもしれない。理念に沿った質の高い法科大学院教育と司法試験との間にギャップがあるということになるのではないか。
 その意味で、私の感じで言えば、11ページの一番最後の「入学者や修了者の質の確保とともに、司法試験の合格状況についても一つの重要な指標として考慮していく必要がある」というのは当然なのですが、あるべき法科大学院教育と司法試験の合格状況のギャップというのも、指摘しておけないかと思われます。この委員会の役割の外になるかもしれませんが、よくやっている大学と深刻な課題を抱える大学間の格差を考慮するについても、あるべき法科大学院教育と司法試験の在り方とのギャップという点も考慮していかなければならないのではないかと思います。文章化をどうするかという問題もありますので、検討いただけたらと思います。

 

【永田委員】
 関連ですが、6ページの「多様な人材の確保に向けての検討」という所に下線を引いて、司法試験の在り方というのが載っているんですが、これは本文の方はどこかで生かされているんですか。

 

【常盤高等教育局審議官】
 本文の19ページです。

 

【永田委員】
 19ページ、分かりました。この文章を読む限りでは、11ページですが、「なお、法科大学院教育の質の向上を進めるに当たっては」というふうに始まりますから、司法試験の合格状況についても一つの重要な、法科という課題についての今の状況についての指標として、司法試験そのものの在り方というのはやはり問題があるということで、それを落とすときは大変、もう一回丁寧な議論が要ると思うんですけれども、笠井委員が言われたように、司法試験そのものの問題というのをこちらから提起すべきかどうかという辺りが、あるかどうかになると思います。以上です。

 

【松並委員】
 今、司法試験の話も出ましたので、若干まとめていただいているものと対比するということで申し上げますと、最初の方の6ページの今御指摘のありました「多様な人材の確保に向けての検討」の所ですが、前回の会議で示されたときには、ここの部分の「合格基準の透明性の確保等をはじめとした」という部分は書かれていなかったところでございますが、私が今、事務局で担当しております法曹の養成に関するフォーラムでも議論されている問題として、その議論の状況を若干説明しておきたいと思います。
 フォーラムの論点整理におきまして、司法試験の合格基準、合格者決定というのを設けておりまして、その意見交換をした際には一つの意見として、司法試験の合格者判定において従前と同じような程度、質についての考え方で合格者を判定することが新しい制度に向いているのかどうかに疑問があるため、新しい法曹養成制度における合格者判定の在り方の大きな方向性について議論する必要があると、そういう意見がございました。
 他方では、別の委員からは、司法試験の実施に当たっては中立性、公正性を確保する観点から、司法試験委員会のもとで必要な学識経験を有する司法試験考査委員が、専門的知見に基づいて出題内容を決定し合格者判定も行っていると。そのような仕組みのもとで、そもそも本フォーラムで出題内容の難易度や合格者判定それ自体の当否を議論することは難しいのではないかというような意見とかですね、司法試験の合格基準、合格者決定については、その性質上、外部の一般的な意見にさらすのにはなじまないのではないかといったところで、これらの意見を踏まえて、今、論点整理という形でやって、後ほどその結論を出していくところです。
 このように司法試験の合格者判定については、法曹養成制度全体を検討するフォーラムの場においてすら、こういう場で議論するのはどうなのかという意見があるところでございまして、この法科大学院教育について検討を行う当委員会で取りまとめる文章において、この「合格基準の透明性の確保等をはじめとした」というこの文章まで入れるのかどうか、いささか書き過ぎじゃないかなというのが私の個人的な意見でございます。
 もちろん、これは大事な観点、論点ですので、フォーラムでのこの議論に委ねていただければ、当然のことながら議論していきたいと思っておりますので、むしろ、この法科大学院をどうしていくかという取りまとめの中に書き加えるのは、いささかどうかというのが私の意見です。
 蛇足ですが、法科大学院の制度それ自体に強い異論を持った議論の中で、むしろ、この予備試験をもっと拡大していくべきではないかという意見もいただいているところですが、予備試験を簡単に合格者をどんどん増やすと言ったって、そこはやっぱり予備試験の試験委員の中で議論されていくべき問題であるものと御説明をしているところでもあり、そのような現状の中で、ここで取り上げるのは若干ちょっとどうかなというのがございますので、御検討いただけると良いと思います。
 以上です。

 

【井上座長代理】
 御発言の趣旨、もともとこの文章は、司法試験の在り方をどう改善していくかなど、早期の検討が必要だというのは、政府の方で検討してほしいという趣旨だと思います。今の御発言も、そのこと自体を削れという御趣旨ではないですよね。

 

【松並委員】
 ええ、違います。

 

【井上座長代理】
 透明性云々というのは書き過ぎじゃないかということでしょうか。

 

【松並委員】
 ここまで書き込んでしまいますと、あらぬ誤解を招いてしまわないかなという危惧がございますので。もちろん、元の案では議論が違います。

 

【永田委員】
 今、松並委員の言われているのは、透明性というかそれが問題じゃないかということで記載がありますので、新制度にふさわしい試験になるような検討をいただきたいという表現の仕方は、そうやっているよと言われたらそうなんですけど、やはりそこは我々、皆問題に、未修者の問題、あるいはいわゆる純粋未修者をどうやって補佐していくかということを考える場合に、従来型の法廷に立つ法曹を前提としたものではない、そういう新制度が求める法曹をどうやってこの試験で育てていくか、あるいは受け入れていくかということに触れるということは、ここは必要ないように思います。各法科大学院も、それをやはり疑問に思っていると思うんですね。以上です。

 

【井上座長代理】
 私もフォーラムにおいて、司法試験の在り方についても議論すべきだという意見を申し上げているのですが、そこで、現行の司法試験委員会の管理下で司法試験を運営している制度の下では難しいところがあるという意見が出たということはそのとおりです。ただ、そういった意見も、議論自体をすべきではないという趣旨ではなくて、司法試験委員会の独立性や保秘との関係で、得られる情報や立ち入って良い範囲に限界があるということです。しかし、大きな考え方とか、あるいは方向について議論をするということは、やる必要があるし、やることができるだろうと思っています。
 もう一つ、予備試験との絡みなのですけれども、数をとにかく増やせ、増やすためにどうすべきかという方向での議論ではなく、今の在り方が果たして新しい法曹養成制度全体の中でマッチしたものとなっているのかどうかという角度での検討ではないかと思うのですね。
 その意味で、司法試験自体について合格率や合格人数の議論とは筋の違うものなので、そこは気を付けなければばらないと思います。

 

【田中座長】
 これは、多様な人材の確保に向けて検討していくためには、法科大学院教育の在り方だけで全て対応できるわけはないので、司法試験の在り方も併せていろいろ検討しながら、総合的に対応する必要があるということを指摘することが重要で、基準のどうのこうのという問題はちょっと余計なことだという感じがします。司法試験の在り方そのものを改善という表現が適切かどうか問題もありますけれども、司法試験の在り方そのものと連動するところはあるので、そういう問題点があるということは、きちんと指摘しておいた方が良いと思います。

 

【笠井(治)委員】
 別のことでよろしいですか。
 本文の方ですが、10ページ、囲みの中の一番下の丸ですが、事務方も非常に苦労されたのだろうというふうに思うのですけれども、この一番下に、「その際、法科大学院ごとの状況の違い」の次に、「都市部と地方部における法曹養成に関する状況の違い」という言葉が入っているわけですね。これは議論し出したら非常に大変な話で、なかなか触り難い部分がすらっと入っているのかなという気もしたのですけれども、これに対応する説明が10ページから11ページにかけて本文中にはないのではないかと。
 それから、たたき台の方で言えば、3ページから4ページにかけて、4ページのギリシャ数字2の一番下の丸。そこには、「法科大学院ごとの状況の違い」とだけあって、都市部と地方部における法曹養成に関する状況の違いという問題の指摘がありません。これは、本当は議論しなくてはいけない問題であろうというふうに思っているのですが、どうでしょうか。

 

【常盤高等教育局審議官】
 正に、前回の議論でも少しそういうポイントを指摘される御意見があったので、我々自身も入れようかどうしようか少し躊躇したのが、結果としてここは、ちょっと丸付きになってしまった部分があるので、むしろ追記したいと思います。

 

【井上座長代理】
 確かにそういう議論はあったので、どこかに置いておいた方が良いと私も思うのですけれど、法曹養成に関する状況の違いまで言ってしまうと書き過ぎかもしれません。都市部と地方部における実情の違いといった表現にして、それを本文の所にも入れれば良いのではないでしょうか。11ページの下から三つ目のパラグラフですが。

 

【笠井(治)委員】
 今、井上委員がおっしゃった実情というのは、例えば地方部におけるロースクールの場合は、定員充足率の問題を抱えるロースクールもある、それから、実入学者数が少ないとか、そうした問題も含めての意味ということになりましょうかね。

 

【日吉委員】
 この本文の方を拝見しますと、最後のまとめの所で、最後に、「法曹養成制度が好循環に転換することを目指した」というふうにまとめておられて、正にこの文章そのものが前回の議論でも出ましたけど、言い方は悪いのですが誤解を恐れずに言えば、負のスパイラルに陥りつつある、どれぐらい陥っているのかという議論がございました。そのところをどのぐらい位置付けるかというような議論もあったと思います。
 実際、今書かれている「はじめに」の所を見ますと、具体的には第4項になるんですね。こういう「課題が生じていることから」と、ある程度さらっと平坦に書いてあるんですけれども、恐らく今までいろいろな意見が出て悩みが一番大きいのは、そのいろいろな現象が複合的な要因で起きてくることが、また次の悪い方への現象を生んで、それがまたせっかくやった施策を無駄にしていくというような、原因と結果が連鎖をしてどんどん悪くなっていくような危険が生じつつあるというようなところ。
 具体的に言うと、例えばこの4でいう「志願者数の減少」というのはむしろ原因ではなくて、結果の部分もあって、その前に合格率の低迷もあって、その付随する要因としては、例えば経済的な要因、高リスクに思われているというような側面だとか、あるいはせっかく資格を取った後も就職に非常に困難な状況を抱えているという、直接的には中教審で議論することとは関係ないような、そういう要因なんかが複合的に重なり合って、しかし、それは無視できないものであって、その結果、志願者数が減ると、今度はせっかくいろんな策を打ったつもりが、ちっともそれが効果を奏していないというような悩みが、今一番大きくなっていると。そこら辺をうまく書き込んで文章化していくと、我々が抱えている直面している問題の非常に悩ましい部分というのが「はじめに」で出るのではないかなというふうに、読んでいてちょっと思いました。

 

【田中座長】
 それはちょっと、はじめの優れた点というのをどういう側面に焦点を合わせて書くかというのは難しい。

 

【日吉委員】
 難しいですね。

 

【田中座長】
 これは何か一般論だけでなく、制度の問題として述べておく必要があるということでしょうね。本文の方には、もう少し詳しく書き込んであるので、そうしたものが制度としてどのように動いているか、システムとしての良さを説明する必要があるのではないかという感じがします。

 

【今井専門職大学院室長】
 事務方で補足をさせていただきます。正に日吉先生の御指摘にきれいには答えられていないのですが、循環に関して少し触れた所が11ページにございまして、「今後の見直しに関する基本的な考え方」の1段落目、2段落目で、やはりその全体に対してどういう問題があるのかというところを少し書いてあるところはございます。ただ、今御指摘いただいた経済的な状況も含めてもっと大局的な感については、この前の「はじめに」の所にも含めるような形で考えさせていただけたらと思いますが、議論といたしましては、一つはこっちにもございますので、もしよろしければ御議論ください。

 

【田中座長】
 前回、長谷部委員と木村委員が、もっと成果をきちんと強調するようにおっしゃったのですけれども、具体的にどういうものをイメージしていらっしゃったのでしょうか。こういう文章で、御趣旨が生かされたと考えて良いですか。何かもっと別の点、どういう点をどう書いたら良いと考えていらっしゃるのか、もし具体的なイメージがあれば文章化するときの参考にさせていただきたいのですけれども。

 

【木村委員】
 私は、正にここに書いていただいたようなことで、教育として非常に成果が上がっているという点を強調していただきたいと思いました。

 

【田中座長】
 長谷部委員もこれで良かったですかね。

 

【長谷部委員】
 具体的な表現をどうするかということはお任せいたしますけれども、「はじめに」の3.の所ですが、「法情報調査能力が高いこと」なども優れた点だと思いますけれども、法律家らしい文書を作成する能力を養う教育が行われている、というようなことも入れていただければと思います。

 

【永田委員】
 このまとめの方で言うと、14ページの「組織改革の加速に向けた取組」というのがあるんですが、半年間第3ワーキング・グループでやってきたことでもありますので、気になるところではあります。今一番、やはりここで問題になるのは、この十分に成果を上げていない法科大学院をどうするかというのが一番大きいと思うんです。
 ここに書かれているこの文章は、ここまでしか書けないと思うんですけれども、先ほど井上委員がおっしゃったように、この点をもっと具体的に文部科学省も腹を決めて、国立はこうするんだと、私学はどういう指導をしていくのかと、そして、そういう場合は例えば、書けませんけれども、ほかの学部をつくる、そこに移すというようなモデルをちゃんと持って指導していかないと、今、この20校は非常に悩んでいると思うんですね。どういうふうに動くかというのは、各組織も悩んでいますし、先生方のインセンティブもあるんですね。
 ですから、その辺も、ある一つのモデルを示せば大きく動くと思うし、これを動かすと各法科大学院のその全体の質も上がるし、それから、制度そのものに対する疑念も減ってくると思うんですね。だから、この報告書にはこれしか書けないと言うけれども、これ以上に早急にこれに対する対応というのを、この委員会でも検討する必要ありますけれども、文科省としても腹をくくって国立あるいは私学にどういうふうに働きかけるかというのはとても重要だと思います。これをうまく早く処置しないと、ずっとこの問題を引きずると思うので。
 ということで、14ページのこの「加速」というのは非常に重要で、その背景をちゃんと、ここには書き込まないにしても、ちゃんと我々も考えなければならないし、文科省も考えなければならないと思います。以上です。

 

【田中座長】
 さっきの対応というのは、これとは別に文科省の方で整理して行動されるということだろうと思います。

 

【板東高等教育局長】
 ほかの問題もそうでございますけど、やはり大学改革に対しても非常に全体的にスピード感を持ってやるということで、今、非常に求められていると思いますし、永田委員から御指摘のように、この法科大学院の問題は対応を急がないと制度全体の問題に、もう先ほどの、最近、非常に負のスパイラルというのがある種、定着しつつあるような状況かなという御指摘ですが、これはかなりスピード感を持ってやっていかなければいけないということだと思いますが、この委員会の方向性について御議論いただくのと、我々として具体的な、あるいは、個々の大学に関してどうアプローチをしていくのかという、先ほど御指摘のモデルを形成しながらやっていくのかということは、文科省の責任として非常に重要な部分だと思っておりますので、これについては報告書の文面とはまた別に時間をもらいまして、積極的にその辺は検討を、相当の覚悟の上でやっていくようにしたいと思います。

 

【永田委員】
 調査をされていて、踏切になろうというところと、何とかこう、きっかけがあれば撤退をしたいという、共通する何かの後者が。

 

【井上座長代理】
 何年かやってきまして、年を経るにつれ、永田委員がおっしゃったように、後者の趣旨でいろんなことを漏らされるところも増えてきております。最初はそういうことはおよそ言われなかったのですけれども、教学サイドだけでなく、理事者サイドともお話をしたりしたものですから、それが一つのきっかけになったのかもしれません。

 

【土屋委員】
 私は前回、正にその負のスパイラルの懸念があるということで意見を述べていますけれども、この修正案を最初に見たときは、私が心配しているよりはもっと楽観的な表現になっているかなという感じを持ったのです。本文の19ページに書かれている一番最後の所ですね、「法曹養成制度が好循環に転換することを目指した」というところなのですが、「継続的・総合的な検討を行う」ということを結論として言い切るのに、それに見合う「好循環に転じるんだ」という認識の前提には、現状が悪循環に陥りつつあるという認識がなければ変なのではないかという疑問を持ったのです。
 ただ、ここの「はじめに」の所に書かれた表現というのは、ある意味でぎりぎりのところかなという感じもしたのです。好循環に対応する言葉としては理解できないと、前回にはそういう趣旨だと言いましたけれども、そこまで求める必要はないかもしれないとは思うのです。それに、文部科学省自身がそういうことを書いてしまうと、これは自殺行為みたいなことですから、できはしないだろうと思いながら、言っておりました。
 ただ、今、お話の中に出たような、そういう懸念が現実化しつつあるという認識は書いても良いのではないかと思うのですね。放っておくと大変だと。その書き方はいろいろあろうかと思いますけれども、もうちょっと踏み込んで書いていただくと良いかなと。制度の円滑な安定化を妨げているということは否定し難いという辺り、ちょっと何かこのまま放っておくと大変だよという趣旨のことを言っていただいた方が、これから行う措置のスピードアップだとかそういうところにつながると思うので、何かそういう認識をもうちょっと一味付けていただいた方が良いかなというのが、私の認識なのです。
 ただ、それ以上どう書くかということは、文部科学省の立場もあるでしょうし、この委員会の性格としてそこまで踏み込んで何か出せるのかという部分もありましょうから、その辺り勘案して書く必要があるかなということを一言述べたいと思います。
 それからもう一つ、全然違う話なのですけれど、たたき台で言うと5ページの下の方なのですが、「入学者選抜の改善」という所なのです。「優秀な学生を積極的に受入れる方策の検討」と書いてあるのですが、具体的なイメージとしてどういうことをやったら優秀な学生を積極的に受入れることになるのだろうかということですね。それが何か伝わるような書き方をしていただくと、優秀な学生と評価される人たちが集まりやすい。
 例えば、入学試験ですけれど、全く法律の知識がない人が法曹になろうかと思ったときに、法科大学院を受験するのに自分は何か法律の勉強をしなきゃいけないのではないかと考えてしまったり、実はすると思うのです。法的な知識の不足を理由に法科大学院に入れない、そういうことがあるとやはり二の足を踏んでしまうと思うので、例えばこういうところに、「法的な知識の有無だけに傾き過ぎるようなことはなく」とか、法的知識のレベルで入学の大きな判定を決定的に決めてしまうというのとは違って、もうちょっと多様な学生を取りたいのだと、そういう意味での優秀な学生が来てくれたら良いよということが伝わるような、何か書き方ができないかと思ったりもするのです。

 

【今井専門職大学院室長】
 すみません。その問題は大変深い問題になってきたと思いますが、事務方からどういうふうな構造になっているか、本体の方でちょっと御説明をさせていただきますと、まず、16ページを御覧いただけたらと思います。
 16ページの「入学者選抜の改善」で、ここはあえて私ども補足しているのですけれども、一番下の「また」の所に、優秀な学生を積極的に受入れていくために、一つのアイデアとして「学部教育との連携を深めるとともに、飛び入学や早期卒業などの活用を検討」してはどうかというのを、一応今の段階では入れております。
 ですから、この辺りが実際、施策としてどうなのか、ほかに取り組んでいくことがあるのかというところを御議論いただけたらと思っております。
 また、なお、もう一つの今の入学前の法的知識のところについては、またこれ悩ましい問題といたしまして、上の「未修者教育の充実方策の実施」の所で、これは深く御議論いただかなければいけないと思っておりますが、例えば2段落目の所の真ん中から下段の方に、いわゆる夜間開講や長期履修制度の活用促進の後でございますが、「法科大学院入学前に法的知識・考え方など学べる仕組みを構築するなどの取組」ということを書いております。
 ただ、未修者教育は正にこの委員会でも御議論いただいたように大変深い問題を秘めておりますので、それらも含めて場合によっては特別委員会のもとにワーキング・グループを置いていただいて、専門的な検討をしていただいたらどうかというのが現段階での状況でございますので、是非御議論のほどよろしくお願い申し上げます。

 

【井上座長代理】
 土屋委員のおっしゃったことの中で、入学者選抜については、そういう法知識を問うような選抜をしてはいけないということは徹底されていますので、その恐れは全くないと言って良いと思います。法学部出身の人も法学部の知識で未修者に入るということはできません。
 これに対し今、今井室長が言われた「入学前」にというのは、入学が決定してから入学するまでの期間を有効に活用しようというアイデアで、全く別の話です。
 ついでに付言しますと、5ページのまとめの所の「社会人または非法学部出身者の受入割合の検討、優秀な学生を積極的に受入れる方策」という所なのですけれども、この受入れ割合云々は、本文の方を読むと、現在3割が努力目標になっているけれども、実態に合わなくなってきているので、それを検討するという趣旨なので、受け入れる人数を増やしていく方策の検討とは方向が異なるため、このようにまとめて書くとやや違和感があります。また、この「優秀な学生を積極的に受入れる」という点ですが、今までも積極的に受入れようとしてきたこの文章の趣旨は、そういうことではなく、有り体に言えば、より積極的に取り込むということだと思うのです。
 受け入れる用意はもともとあるのだけれども、来てくれなくなってきているので、いかに引き付けようかという、そういった趣旨なので、表現はちょっと変えるべきではないかと思います。

 

【内藤専門教育課長】
 少し議論の流れと若干違うんですけれども、今、先生方からかなりいろいろ全般にわたって御指摘を受けている中で、どうも私どもの出した、私どもは十分重大な問題意識でもって、ここまであと進めなければいけないというようなことで、このたたき台と案文を書かせていただいているところなのですけれども、先ほどの公的支援の見直しのところから含めて、やや、やはりスピード感、早急に進めなければならないという部分が伝わらないのではないかというような御指摘が、全般的な御指摘ではないかと思っております。
 先ほどの公的支援の見直しにつきましても、確かに井上先生おっしゃいますように、それでは、いつからやるんだというような話。例えば、これまでの状況を言いますと、現在の公的支援の見直しというのは平成24年度から、本年度から実施しているわけですが、このアナウンスは平成22年9月にさせていただいたところで、逆にこれは別に見直しをするために見直しをするのではなくて、そういうようなことを設けて実際に改革の努力をしていただくためにやるものですので、そういう意味では、やる以上は早目にやるべきではないかというような御指摘。
 それから、実はその公的支援の見直しは、入学者の質の確保の部分と、それから教育体制の抜本的な見直しの加速の両方に記述を書かせていただいているところでございまして、先ほどから永田先生の御指摘がありましたように、教育体制の見直しをやはり早急に文部科学省としても、この記述の枠にとどまらずに、やはり進めていくべきではないかという部分からも、この公的支援の見直しの部分というのがきっかけになり得るわけでございますので、その点からも非常に私どもとして悠長なことはできないというふうに思っております。
 十分に、そういったタイムスケジュールは念頭に置きながら、早急に進めなければとは思っているところでございますけれども、やや、やはり時間が足りないのではないかというお話もございます。
 一方で、この話は、今、党の方でもいろいろ法曹養成について議論がある中で、若干その内容について、一部まとまったのですけれども、今の議論として、やはり同じように十分な学生の確保ができていないという部分は一つ、チームとしては、考えるべきではないかというような御議論も出ているところでございます。
 それも含めまして、私ども非常に早急に進めたいと思っております。ある意味、ここの検討と並行して着々と準備をしなければならないという部分がございますので、次回のこの会議の際に、いろいろより具体的な議論ができればと思っておりますが、もし、そういうようなタイムスケジュールを前提とした上で、例えば入学者選抜の競争倍率と司法試験の合格状況に加えて、先ほど御説明させていただきましたような今回の入学試験の状況等も踏まえた定員充足状況等も含める、あるいは、そのほかの公的支援の見直しについて御指摘がございましたら、是非賜りたいというふうに思ってございます。

 

【磯村委員】
 今の入学者選抜の問題とも関係するんですけれども、どういう項目をどこに配置するかを考えると、本文の15ページから16ページにかけての大きな柱は、未修者教育の充実など法科大学院教育の質の改善ということですが、最初に未修者教育の充実方策が来て、これに続いて入学者選抜の問題が述べられ、その後に、質の高い教育環境の確保というのは、少し項目の並び方が違うのではないかと思いますし、入学者選抜の改善の問題は、あるいは法科大学院の入り口の問題なので、その項目の並べ方を改める方がバランスが良いのではないかと感じました。
 それと、少し細かいところですけれども、同じ16ページの最後の5行ぐらいですけれども、「文部科学省においては」の所で、「専任教員配置の明示」とか、あるいは「実務家教員の割合を明確化」というのは、従来ですと認証評価に委ねられている問題ですけれども、ここではかなり具体的に書き込まれていて、ここまで書いて大丈夫なのかなという気がしました。
 もう1点ですが、17ページの所の「法科大学院における教育の状況やその成果の積極的な公表等」の所の1行目なのですが、「エクスターンシップ」というのがシンポジウムと並んでいるというのは、ちょっと位置付けが違うかなというように思いますけれども。

 

【今井専門職大学院室長】
 今、磯村委員より御指摘いただきました後段の方は、少しまた配置等は書き方を工夫させていただきたいと思います。カリキュラムとそれ以外の「また」という意味だと思いますので。
 それと、今御指摘をいただきました質の高い教育環境の確保のところにつきましては、正直、私どもも今どういう検討ができるかというのを正にいろいろと考えつつも、是非先生方の御意見を賜ればと思っているところでございますので、御審議のほどお願いしたいと思っております。

 

【永田委員】 
 組織改革の話ですが、今、課長がおっしゃったところがいつ実施するかということも重要ですが、メッセージ性の問題で、こういう方針であるということで、22年度につくって24年度にしている。当時のメッセージ性よりも今はもっと高いと思うんですね。従来は、一つは、いろいろな指標について問題があるとか、そういうこともこれからあるし、それから、フォローアップに指摘されるとか、そういうことがあっても、法科大学院の教員側と法人側が、私学で言いますと、一体となって何とかやろうということなんですが、そこに大きく10名に満たない入学者が続くという状況になりますと、法人はそちらの一方の方のマイナスの指標というのを真面目に見始めるんですね。ですから、その意味でそうなると、支援も受けられなくなる、それから、フォローアップがなかなか外れないというようなところで、この評価はこれまで来ているんですね。今、そういう時期にあります。
 ある程度有力な大学が撤退するということを表明しましたので、大きな影響があると思います。その時期もそうですが、メッセージ性という点で、フォローアップもそのメッセージ性というのがあるということですね。それを今、効果がある時期ですので、うまいその辺の転換の方策をお考えいただくということが重要かと思います。以上です。

 

【田中座長】
 別の話ですが、複数の委員の御指摘でそうなったのですけれども、本文の16ページの設置基準について、こういう視点について何かこれまで議論ありましたかね。

 

【磯村委員】
 ちょっと唐突過ぎると言うか。

 

【田中座長】
 この設置基準については、認証評価でもかなり議論しましたが、これ自体に何か問題があるという認識は、特に今まで議論になったような記憶はないのですけどね。
 実務家教員の割合について、実務家教員が単に多ければ良いというものではないという話が、設置基準の関係で話題になったことがあり、それは認証評価でもチェックしましたね。研究者教員としての教育能力という項目を加えたりして。

 

【永田委員】 
 基準協会では、変更があった場合に、必ず変更の届けを事務局から出して、もう一回チェックをして、足りないということがあればそれを指摘するという形になっています。
 それから、一番ここで悩ましいのは、当初の資格と言いますか能力の評価と、新しく変わられた人の能力の評価が本当にきちっとできているかということは非常に悩ましい問題です。特に一番しっかりしていると思うんですが、質の悪いことが一つ。それが原点であれば、そういうふうにして臨時の職種をつくるという形の評価をしてもらいましたが、数に関しましては、そのときのチェックは設置基準などに従っています。

 

【磯村委員】
 恐らくこの部分のイメージは、法律基本科目群とか実務基礎科目群について、どの分野に何人教員が配置されているかというよりも、もうちょっと具体的に細かい対応関係ということをお考えのように思います。例えば大学評価・学位授与機構の認証評価基準ですと、授業科目ごとに科目適合性の判断をしますので、単に人数がいるだけではなくて、この専任教員がこの科目を担当するに適切かという判断をしますし、法律基本科目については必ずしも専任教員に限らずその適合性が判断され、あるいは、全体として主要科目についてはどれぐらいの割合が専任教員でなければならないかというような判断がなされます。ほかの認証評価期間において、どうなっているかについては十分に承知しておりませんけれども、この部分について設置基準で取り上げるべき問題なのかというと、そこまでちょっと書き込むのは難しいのかなという感覚です。

 

【田中座長】
 認証評価の基準については、この辺りについての更なる検討を実情を踏まえてするとか、何かそういうもうちょっと基本的な書き方でお願いします。

 

【今井専門職大学院室長】
 ありがとうございます。正にここも例えばからスタートしておりまして、どういうアイデアなのか、確かにまだ詰めなければいけない点があります。そのときには、いただいた御指摘も踏まえて、内容の方は精査をまた、させていただけたらと存じます。

 

【田中座長】
 設置基準だけではなく、認証評価基準も入れておいた方が良いと思いますね。

 

【井上座長代理】
 ここまで提示してしまうと、あらぬ誤解を招きかねないので、言われたように設置基準などについて、見直す方向での検討をすることが必要である、くらいにとどめておいた方が良いかなと思われます。
 実務家教員の割合云々というところの明確化というのも、両様に取れますので、現段階では、もうちょっと包括的な書き方をした方が良いのではないでしょうか。

 

【田中座長】
 実際、問題になっているのは、基準を一応満たした専任教員の能力とか資質なので、基準をどうするかということではなく、基準を満たした教員について更なる追加的な基準が必要か否かということなので、難しいところがあります。

 

【永田委員】
 我々にとってもそうでして、中でも共通に思っていますのは、3年間の授業が終わって3月に修了認定試験がある。そして、その試験と自分との距離がものすごくあると、我々はそういう表現をするんですが、その距離があるというのは、当該学生あるいは院生の問題でもありますし、同時に、問題のある法科大学院というのは先生自身がその距離を認識していない、あるいは、どこまでいけば次の司法試験に対応できるかという、そういう意識を持って教育していないというところが問題だと思います。そういうことも指摘しておきました。
 それから、もう1点は、少し改善されていたのは、余り評判が当初良くなかった、共通的な到達目標ですね、やはりそれは効果がありました。学生の方もそれを認識し、それから、教員もやはりそれを基本にして、それをシラバスに取り込みながらやろうというふうな動きも出てきました。このFDがそれに沿って当初はいろいろ議論がありましたけれども、多くの法科大学院はそれをベースにしながら進んで、独自だというものを出しておられますけど、基本的にはそれをベースにしている。
 やはり、ここはこの数の問題とか審査の問題じゃなくて、実際の教育、これは、千数百名ですか、どうしても法科大学院の教員をそこに集めたということの、やはり問題があるかなと。それは全体の規模の問題。今、少しは僕は改善されてきていると思いますし、その距離があっちゃいけないんだよということを何回も私どもは話してきているということですので、学生もそうですし、先生方もその意識は、良い法科大学院だったら少人数でよく教育してもらえるが、しかしというのがかなり多いんですね。どうしても、今考えると、一番大事なのは教育環境の確保なのですが、書きようがなかなか難しい。だから、今、FDにつなげておられるから良いんじゃないでしょうか。以上です。 

 

【井上座長代理】
 我々ワーキング・グループ関係者の間では、「温室状態」と言っているのですけれども、その中にいる限りは非常に心地良いのですね。先生たちも熱心だし、学生も大教室で勉強してきたのに比べると密に勉強ができますので、ハッピーな気持ちで過ごしているわけですけれども、一端温室から外に出ると、そこは冷たい風がびゅーびゅー吹いており、いきなりそのような厳しい現実にさらされてたじろいでしまう、という実情にあるということです。
 ですから、大学や先生方の方も、外は厳しい風が吹いているということを強く意識しながら教育する必要があるし、学生も、そういう外の状況を適格に認識しつつ勉強するということでなければならないと思います。実地に行ってお話などすると、今申したような状態であることを知り、愕然とすることが本当に多く、何度もそういうことを申し上げております。

 

【椎橋委員】
 たたき台で言うと6ページの継続教育の問題ですけれども、法科大学院学生の定員の削減があって、しかし、教育の質を落とさないために、教員はなるべく減らすべきではない。ただ、私学は特に財政上の問題があるものですから、学生定員を減らした分だけ教員も減らしてほしいという考え方も大学によって出てくるところであります。
 そういう中で、法科大学院の教員については正に第一線で活躍している優秀な先生がたくさんおられますので、それをいかにうまく活用するかは法科大学院の社会的意識を高めるためにも重要だと思います。そういう意味で、この継続教育への積極的な参画というのは、必要で有益だと思いますので賛成ですけれども、ここで書いてあるのは、科目履修生制度をどう活用するかということで、出だしはその辺りが投機的なのかなと思うのですけれども、将来的にはもっと広げて、法科大学院の独自性というようなことも考えていく、ある意味ではより積極的にロースクールを打って出すという面も必要じゃないかなと、そういう感想を持っております。

 

【田中座長】
 科目履修生制度を活用するというのは余り良い表現ではなくて、要は、法科大学院が、アメリカのロースクールのサマースクールとかサマーコースなどのように、何か独自の制度をつくって、弁護士会とも協力して積極的に現役弁護士の能力向上のための研修を引き受けるような仕組みを考案することぐらいまで考えるべきではないかということで、無理してそういう従来の制度にのせない方が良いと思います。

 

【井上座長代理】
 「単に法曹を輩出するだけでなく」という部分ですが、「輩出する」というのはプラスの評価を込めた表現なので、適切でないような感じがします。むしろ、そうすることで人材の育成の支援に取り組んでいく。要は人材の育成、あるいは実務家の能力向上、発展に寄与していく、参画していくということなので、そういう書き方を検討してみてください。

 

【田中座長】
 今でも法科大学院の先生方が、弁護士会の研修の講師などとして参加していらっしゃるのですけれども、これを法科大学院で独自のプログラムをつくって、現役弁護士の能力向上教育に関与していくという方向に展開していく可能性は十分考えられます。いろいろ問題はありますけど、法科大学院で養成した弁護士について、もう少し弁護士になった後も自分たちで教育するということを、各法科大学院が引き受けることも、もう少し積極的に考えるべきで、十分やれる法科大学院は少なくないと思います。

 

【磯村委員】
 今の部分の、制度の活用の仕方の一つのアイデアとして、法学研究科の中にある種の法曹養成コースのようなものを設けて論文を作成しつつ、一定の法科大学院科目の履修を認めて、これを修了要件単位に参入することができるという例もあります。知的財産法に関する幾つかの法科大学院授業を集中的に履修して、それに関する専門的な論文を書くといった広げ方をすることが可能ではないかと思います。科目履修生に限ってしまうと、いろんな制度の活用の仕方がある中で、イメージがやや固定化し過ぎるかなという気はしました。

 

【永田委員】
 科目履修生ということですが、法学研究科の3年生の中で科目を取って、それを積み上げていったらどこに持っていけるんですか。ここで単位を取りましたって。この受入れ側が法科大学院で取ったものも単位として認めるという制度がないといけないのか、文科省が言うときにそれも可能としている枠としてあるのか。ちょっと細かな話に入って、これは継続となっているから良いですけれども、その辺りどうなのかという。

 

【今井専門職大学院室長】
 すみません。すぐには分からないので、また調べて御報告できるようにさせていただきます。

 

【永田委員】
 それから、先ほど井上先生が言われたんですが、17ページの最後の所の趣旨は、「単に法曹を輩出するだけでなく」というのは、これは継続ですから、その法科大学院を出て司法試験に通った、そういうプランをもう一回ちゃんと協力して広くということなのか、ここに法務研究科を出た人間を広くいろんなところに使ってもらうようにするということも含んでいるのか。単に法曹三者を輩出するだけじゃなくて、いろんなところで法務研究科を出て司法試験を通った人たちが人材活用されるような教育をしましょうということなのか、あるいは継続をしましょうということなのか。それもありますが。ですから、そうなりますと、広く人材の育成ということだと良いのではないかと思います。

 

【板東高等教育局長】
 科目履修生制度を使って何か単位をほかで見てもらうということではないと思います。これは、オープンにするということの一つの現れとして、科目等履修生制度ということだと思いますけれども、ただ、今いろいろな大学でほかの分野なんかでも、いわゆるサーティフィケートを出すような少しまとまったコースを作ったりというのがありますので、例えば知的財産なら知的財産とか、国際交流なら国際交流とかそういうふうなことで、少しこの辺のところ、コース設計をしてくるみたいなことは、ある意味でありますけれど、ほかのところで何か認めていくような制度が特にあるわけではないということでございます。

 

【永田委員】
 磯村委員の所はそうなのですか。

 

【磯村委員】
 前任校では、法学研究科の方のコースに入るという形でした。

 

【永田委員】
 法務博士の所で。

 

【磯村委員】
 いいえ。法学研究科の博士課程で修士論文や博士論文を作成するというものです。

 

【井上座長代理】
 東大でも、もう随分前からなのですけれども、博士コースに積極的に実務家の方を受入れ、学位を取っていただくということを始めています。まだそんなに数は多くないのですけれども、ぼつぼつと出てきています。
 もう一つ、法科大学院制度を設計するときに、LL.M.みたいなものを設けてはどうかというアイデアもあったのですけれども、制度の立ち上げ時ですので、本来の法曹養成教育で先生たちもアップアップであろうから、そこにもう一つコースを設けるのは難しいのではないかということと、制度の在り方として法曹養成とLL.M.とをどう整合させていくのか、そう簡単なことではない、ということから、見送ったという異常があります。
 ただ、この辺も、試行的にいろんなところで、既存の制度をいろいろ活用して取り組んでいって、それだけの余裕を持てるようになったら、制度化を考える、そのような進め方が良いのかなと思います。明るい話題ではあるのですけれども、かなり先になるのかなという気がします。

 

【椎橋委員】
 制度の仕組みは、まだ先の話かもしれませんが、私はできれば将来は、2年制とか1年制の後期課程を設けて、そこで学位を取ることを可能にできないか。その後期課程には日本の実務家だけでなく外国の法律家も来て、学位を取ったり、高度の専門科目の履修と同時に法律家同志の知己ができる、そのような過程をつくったらおもしろいのではないかなと思っています。

 

【土井委員】
 当面、積極的に取り組まなければいけない改善点ということですので、こういうことが主眼になるのかなとは思います。ただ、前回は私自身、やはり法曹の養成に特化した教育課程なので、司法試験の合格率等の資料についても十分考慮していく必要があるんじゃないかというような発言をさせていただきました。ただ、少し違う点から申し上げると、司法試験は、大事なのは大事だと思いますし、法曹養成をするためには当然、司法試験に合格してもらうことに向けての教育を行うという、この前提は前回申し上げたとおりなんです。ただ、要は司法試験が全てなのかということになると、逆に、では、なぜ法科大学院に通わないといけないのだという議論になり、いろんな経路をたどったって、要は司法試験に合格すれば良いんだろうという議論が出てきます。そうなると、なぜ法科大学院にのみ基本的に受験資格を認めるのかという議論に、やはりなっていかざるを得なくなってくると思うんですね。それは法科大学院教育というか、正規の教育課程というのがなぜ重要かという議論を、私は忘却してしまっているのでおかしな議論だと思うんです。
 そうすると、試験では見られない部分というのをやはり教育課程は持っていて、そこのところのこれまでの成果、あるいは今後の充実ということを取り上げない限り、なかなか法科大学院制度がしっかりしたものになっていく過程は進まないんじゃないかなという気がします。それは、法曹人口を増やしていく上において、例えば法曹の職域を拡大するということを考える上でも、現在の司法試験科目がそれに向けて何か一定の効果を上げているのかというと、それは法曹として基本的に取得すべき知識を確認するということが前提でしょうから、そこから何か法曹の職域を拡大するというような話は出てこない。
 それじゃ、これはどこでするのかというと、やはり法科大学院の必ずしも試験科目ではない科目をどう充実させていくかといったような問題なので、今は緊急でいろいろやらないといかんという話なのでこういうことになっていると思いますけれど、もう少し広い意味で教育課程の重要性というか、そこで果たすべき法科大学院の役割というのが出てこないと、先ほどほかの委員から出ましたように、予備試験の関係をどうするのかといったような議論もあるところですので、やはり試験だけではない教育課程の充実というのも打ち出すべきじゃないかなと思います。

 

【田中座長】
 いろいろ貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。本日も活発な審議をいただいたことにより、法科大学院教育の課題の分析、その改善の方向性や具体的な方向性などについて議論が深まってきており、感謝しております。
 先ほど、土屋委員の指摘された、早く手を打たないと大変な事態になっており、何よりもスピード感が大切だという趣旨を、「はじめに」の所には是非出るような工夫をしたいと思います。個別的な件については、いろいろ御指摘いただいた点も踏まえて、かなり議論を重ねてきているので、事務局の御協力も得て、再度整理させていただきたいと考えております。
 次回の特別委員会までに資料を準備するため、今日までの議論を整理した文章を、なるべく早く皆さんに送って御意見を伺い、次回の特別委員会のときにはあらかじめ整理した原案をお示しして議論をしていただき、特別委員会としての提言をまとめることができるようにしたいと考えております。引き続き御協力をよろしくお願いします。
 本日の議事は以上でございます。事務局で、今後の日程などございましたらお願いします。

 

【今井専門職大学院室長】
 次回の法科大学院特別委員会につきましては、現在、7月の中旬で開催を考えさせていただいておりまして、現在、調整をさせていただいております。日程が固まり次第、また改めて事務局より御案内を申し上げたいと思います。

 

【田中座長】
 それでは、本日の議事はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)