法科大学院特別委員会(第43回) 議事録

1.日時

平成23年1月26日(水曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 法科大学院の改善状況調査について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘、田中成明の各臨時委員
(専門委員)磯村保、井上正仁、笠井治、笠井之彦、鎌田薫、木村光江、椎橋隆幸、杉山忠昭、関一穂、土屋美明、永田眞三郎、長谷部由起子、松村和德、山本和彦の各専門委員

文部科学省

小松高等教育局審議官、澤川専門教育課長、中野専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

5.議事録

【田中座長】
 所定の時刻になりましたので、第43回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を始めたいと思います。まず委員の異動があったということでございますので、事務局から御紹介いたします。

【中野専門職大学院室長】
 委員の交代についてお知らせをいたします。小山太士委員より辞職願が提出されまして、平成23年1月25日付けで辞任されることとなりました。それを受けまして、1月26日付けで法務省大臣官房司法法制部司法法制課長の関一穂委員に、新たに専門委員として御就任いただくことになりましたのでお知らせいたします。

【関委員】
 関と申します。よろしくお願いいたします。

【田中座長】
 それでは、事務局から配布資料の確認をお願いします。

【中野専門職大学院室長】
 本日の資料といたしましては、資料1と資料2のみでございます。資料1でございますが、9月16日の第42回の本特別委員会の議事録の案でございます。恐れ入りますが、御確認いただきまして、修正等ございましたら事務局まで御連絡をいただければと思います。資料2でございますが、各法科大学院の改善状況に係る調査結果、本日の日付の特別委員会第3ワーキング・グループのものでございます。それから先生方の机上に、参考資料を1点配布させていただいております。資料については以上でございます。

【田中座長】
 それでは議事に入らせていただきます。第3ワーキング・グループにおかれましては、平成22年の新司法試験の結果を踏まえた各法科大学院の教育の改善状況について調査を実施していただいていたところです。一定の結論が得られたということでございますので、今日は第3ワーキング・グループの主査である永田委員から、各法科大学院における教育の改善状況に係る調査結果について御報告をお願いします。

【永田委員】
 第3ワーキング・グループの主査を務めております永田でございます。本ワーキング・グループは平成21年4月17日の特別委員会の報告を踏まえまして、各法科大学院の協力を得ながら、各法科大学院の教育の改善状況について調査を実施しております。本日は平成22年新司法試験の結果をも踏まえました、本ワーキング・グループが実施いたしました改善状況調査の結果について資料1に基づいて御報告いたします。
 今回の調査では、昨年1月に本ワーキング・グループが報告した第1回の改善状況調査で指摘した課題等を中心に、各法科大学院での改善の進捗状況について確認を実施いたしました。調査方法でございますが、具体的な調査方法としましては、第1回の改善状況調査の時と同様でございます。まず、すべての法科大学院に対して書面での調査を実施し、教育の改善の進捗状況について全体的な把握を行いました。次に、8校に対しましてヒアリング調査を行い、そのうち3校を含む合計28校に対しまして実地調査を実施いたしました。28校の内訳でございますが、第1回の改善状況調査で「重点的にフォローアップが必要」または「継続的にフォローアップが必要」と指摘いたしました法科大学院25校は、この指摘を踏まえた改善の進捗状況につきまして、直接現地で確認をとるために調査を実施いたしました。さらに書面調査および平成22年新司法試験の結果を踏まえまして、修了者の質の確保に早急に取り組む必要があると考えられる法科大学院8校に対してはヒアリング調査を実施し、その結果、より詳細に確認することが必要と判断された法科大学院3校について実地調査をいたしました。以上、調査28校の内訳でございます。
 次に調査結果について御報告いたします。各法科大学院は第1回の改善状況調査で、本ワーキング・グループが指摘した事項を踏まえて試行錯誤を重ねながら、改善の取組を強化していると言えます。今回の改善状況調査において確認された改善の取組と今後の課題について御報告いたします。まず入試の問題ですが、入学者選抜での入学者の質の確保の重要性につきましては、これまでも本ワーキング・グループとして幾度も指摘してきたところでございます。今回のヒアリング調査や実地調査を実施した法科大学院の多くでは、途中経過ではございますが、平成23年度入学者選抜で競争倍率2倍以上の確保に努めるなど、改善の取組を実施していました。途中経過と言いますのは、まだ試験が終了していない法科大学院があるためです。その次に、すでに御案内のとおり、平成23年度の総入学定員が最大時5,825名と比べまして約2割減の4,571名まで定員が削減されるという見通しとなったということも考えますと、各法科大学院の入学者の質の確保に関する意識は着実に改善されていると申せると思います。もっとも数は限られていますけれども、競争倍率は依然として2倍を下回るなど入学者選抜に課題を抱えている法科大学院も見られました。これらの法科大学院では入学者の質の確保の必要性について今一度認識を新たにして、競争性の確保や入学定員の見直しなどの取組を徹底する必要があると思います。出口の方でございますが、一部の法科大学院では修了者の多くが修了直後の新司法試験を受験しない、いわゆる受け控えをしている、あるいは受験しても合格率が著しく低いといった状況がなお見られます。このような状況を改善するためには、法科大学院が学生に対して学修の到達目標を明示するとともに、ファカルティ・ディベロップメント等を通じた教育内容・方法の改善や、成績評価・修了認定の一層の厳格化に組織的に取り組むことなどによって、十分な学力を身につけた者のみを修了させ、学生自身も当該到達目標を明確に意識して学修し、十分な学力を身につけたという自信を持って修了できるようにする必要があると思います。成績評価、修了認定の厳格化につきましては、今回ヒアリング調査や実地調査を実施した法科大学院では、GPA制度の導入、成績評価基準の見直しなど、様々な改善の取組がなされていることが確認されました。もっとも報告書に説明しておりますとおり、成績評価や修了認定の在り方についてはなお課題を抱える法科大学院もございます。これらの法科大学院は改善の取組の実効性を早急に検証し、改善を果たせるように組織的な対応を図る必要があると思います。
 なお、個別の法科大学院の改善状況に関する委員の所見につきましては、別紙にまとめております。第1回の改善状況調査で、昨年1月になりますが、重点的または継続的にフォローアップが必要と指摘した法科大学院25校につきましては、昨年にその指摘をしてから1年程度しか経過していないということもございまして、取組の実効性を含めて慎重に見極める必要があることから、第1回の改善状況調査で重点的または継続的にフォローアップが必要とした法科大学院については、現段階では特に変更を行わないで、今回の改善取組の進捗状況という観点から所見としてまとめました。また、新たに調査を実施した3校につきましては、継続的にフォローアップが必要と判断いたしました。詳細につきましては別紙を御確認いただきたいと思います。
 最後に、先ほども御説明しましたとおり、各法科大学院においては第1回改善状況調査における本ワーキング・グループの指摘事項などを真摯に受け止めて改善の取組を強化しています。ただし、改善の取組の進捗状況につきましては別紙で示したとおり、各法科大学院で差があることもまた事実であります。各法科大学院は、引き続き、組織の在り方の検討や教育内容・方法の改善等に早急に取り組むとともに、改善の取組及びその効果について不断に検証を重ね、実効的に改善を果たせるよう組織全体で引き続き取り組む必要があります。私ども本ワーキング・グループとしては、各法科大学院のこれらの改善が一層加速され、実効を挙げるよう、平成23年度入学者選抜の結果、平成23年の新司法試験の結果を踏まえまして、引き続き改善状況調査を実施する必要があると考えております。
 私からの報告は以上でございます。

【田中座長】
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御意見・御質問などございましたら、御発言をお願いいたします。
 実際にヒアリングとか、各法科大学院の実地調査をされた御感想ですけれども、各法科大学院は、こういう調査に対しては余計なおせっかいだという反応なのでしょうか、それとも、自分たちに問題があるという認識なのか、そのあたりの反応はいかがでしょうか。

【永田委員】
 おせっかいであるとか、調査そのものについて協力する必要はないんじゃないかというような反応は、私の確認しております範囲にはほとんどないですけれども、やはり調査の基本的な視点である競争倍率の問題だとか、その他の視点につきましては若干の議論がある。しかし、概ね共通の認識になって、入口の問題も、競争倍率2倍を確保して質を上げなきゃならんということで認識がなされてきているし、それから成績の厳格化、あるいは教員の取組全体を組織的にやるべきだというあたりは、ほぼ一致している。若干、議論が見られるところもございましたけれども、基本的には最初のこの委員会でまとめてくださった報告書の方針については、共通の認識になっていると感じました。

【井上座長代理】
 私も第3ワーキング・グループのメンバーとしてヒアリングを行い、あるいは現地に行って各校の先生方とお話をしたのですけれども、一般的に言って、去年に比べれば、危機意識というか、深刻な状況にあるという認識はかなり強まっているように感じました。ただ、大学によってやっぱり温度差があり、積極的に組織的な取組をなさっているところもある一方で、議論はしておられるようなのですけれども、組織として具体的な取組がなされていず、教員個々に任されていて、その教員個々の対応にばらつきがあり、全体として状況が改善されているというようには見えないところもありました。そういう問題を抱えているところについては、我々も実地調査の最後に、所見として先生方にお伝えしており、こちらの考え方とは違う考え方を持たれている方々も当然おられるのですけれども、概ねこちらが申し上げたことを正面から受け取ってくださり、改善したいというふうには言っていただいてます。ただ実際問題として、非常に深刻な状況になってしまっているところでは、その状況を大きく変え得るような具体策というものがあるのか、模索してもなかなか見つからない、というのが実情であるのではないかとも感じられました。学生さんともいろいろお話したのですけれども、これも大学によってかなり温度差があり、深刻な状況にあるところでも、あまり危機意識を持っていないというか、のんびりしていて、ロースクール生活を楽しんでいるように見える。楽しむのは良いのかもしれませんが、危機的な状況にあるのにそれで大丈夫ですかと言いたいような感じを持つことが少なくありませんでした。

【椎橋委員】
 姿勢としては真摯に取り組んでおられる法科大学院が多いと言える一方で、ただそれが実際に効果に結びつくと判断できるような組織的な取組となっているかどうかについては、なお分かり難いところが依然としてあるという御説明と認識しました。それから、前に言われていた悪質なというか、改善を求める見解を出した事項に対してあからさまに反対するとか、一部の授業を予備校に丸投げする件とか、そういうような問題のある事例についてはもうなくなっているという認識でよろしいでしょうか。

【井上座長代理】
 前者について、法科大学院として組織的な取組をされている、取組としてはかなりいろいろなことをやっておられるけれども、その効果は1年ぐらいでは当然現れないので、その効果がどう現れるのかを見守りたいというところと、議論はしておられるようだが、組織的な対応、例えば厳格な成績評価を図っていると言われるのだけれども、よく聞いてみると、それをシステム化し組織として管理するというような具体的な措置が取られていず、基本的に各教員に任されていて、各教員の対応がばらばらであるというところがまだあるということです。そういったことはやはり問題ですので、改めていただく必要があるというのが我々の意見なのです。

【永田委員】
 最後に御指摘があった具体的な話ですけれども、それについては具体的には改善されているということで、基本的にそういう提携ということがよくないということが改められたかどうかは確認できませんでしたけれども、実際にはもう大きく変わっておりますし、大学全体的に見ましても、基本的にもう少し出直そうというような雰囲気も出てきておりますので、前回のように正面からこうして何が悪いんだというような姿勢はもう無くなっていたという状況です。実際にはすでにそういう問題のある制度であるとか、取扱については廃止している、そういうことでかなり浸透している、あるいは理解されつつある、というふうに私のほうは認識しています。

【椎橋委員】
 もう一ついいですか。昨年の9月に文科省が出した深刻な問題を抱える法科大学院に対する財政支援の見直し方針ですけれども、あの指標をクリアするためには、新司法試験の合格率を高めることに比べれば定員削減がより効果的な方法だと思うのですけれども、いまはまだ年度の途中なので、そういうことがあったかどうかということなんですけど、法科大学院によっては、さらに今年の入学試験を実施する前に、さらに定員削減というようなことを考えて、検討しているというようなことがございましたでしょうか。

【永田委員】
 今の段階でそういう法科大学院は見られないというふうに思います。ただ、非常にシビアな競争倍率の問題もそうですし、もう一つシビアなのは定着の問題もあります。そういう意味で、教学側というんですか、ファカルティの側も、あるいは法人側も、これはやはり検討しなきゃならない検討課題であるということをはっきり言う法科大学院も少しはある。しかし今回下げたばかり、定員減らしたばかりですから、ただちにこうするという具体策を提示された例はないですね。

【井上座長代理】
 昨年の調査の段階で17~18校は見直しをし、23年の入学者について定員を削減したのですが、まだ下げたばかりなのでその様子を見たいということと、昨年9月に文科省が示した促進方策の効果というか、それへの反応として、競争倍率2倍を守ろうとしているところが多いように見えるのですが、これも入学者選抜の途中でしたので、正確な数字はまだ把握できていない。しかし、ごく一部ですけれども、なお競争倍率がかなり低いままのところもありますので、そういうところについては、こちらからかなり強い意見を申し上げて、意見交換をさせていただきました。

【椎橋委員】
 ありがとうございます。

【田中座長】
 いろんな改善策をやっても、すぐ効果ははっきりわからない。どういう改善策がいいか自体よくわからない。なんとかしなきゃならないというのはわかっているのだけれど、どうすればどういう効果が出るかについて、内部でいろいろ議論されていても、議論がうまく進まず意見が集約できないというところで、困っておられるようです。そのあたりは我々にもよくわからないところがあるんですね。こうしたらこうなるというようなことが、あまりはっきり見えないのですね。

【椎橋委員】
 やはり成績の評価基準を厳格にするとか、FD委員会さらには、教授会が積極的に取り組んでいるとか、そういったことが中心となって調査をされているのでしょうか。 

【永田委員】
 そこなんですけれども、やはり法科大学院の教育として問題がある、あるいは最終的なパフォーマンスというか、成果に結びつかないのは、やはり修了時点の学生の力量と、新司法試験の距離にギャップがある、そういうことが問題で、それはやはり中の問題で、到達目標と言ってもいろんな意味がありますけれども、ここまでという到達目標をはっきりと教員も認識し、それを受けて、法科大学院生もきちっと認識して勉強をする、そういう風に改善していこうとしている大学は一定の成果があるし学生にも活気もあるんですが、そこがやはりはっきり見えてない。教員にも見えていないし学生にもしっかり見せていないというところが一番問題で、そういう法科大学院はやはり試験問題を見ましても、いい問題でも、同じ系統の科目であっても条文整理ばかりを重視したり、旧司法試験型の問題で処理したり。それぞれは完結しているんでしょうが、先ほど申し上げましたように組織的に話がされていないので、教育ですからそんなに何もかも統一する必要はないんですが、同じ方向を見ていないというようなところがある。そういうことで、先ほどおっしゃった成績の厳格化、ごく一部サンプルでしか試験問題や答案を見ませんけれども、かなり如実にわかる。

【井上座長代理】
 成績評価の厳格化については、GPAを取り入れて、それが進級率だとか修了率に表れてきており、学生と話しても、学生の間に良い意味での緊張感が生まれてくるという、そういう効果はみられるのですけれども、制度は作ったものの、個別の成績評価は完全に個々の教員に任されていて、そこのところがまだ相当甘い。学生の方にも、甘くしてもらっているという認識があり、それでは自分たちとしても本当の実力がわからなくて困るという意見の人もいました。全国の法科大学院全体がそうだと受け取られると困るのですけれども、特に深刻な状況にある法科大学院の中には、教員も学生もそれなりにやっておられるのですけれども、外の世界の厳しさとの間で落差があり、修了した段階では学力がその外のレベルには達していないか、あるいは達しているという自信を持ち得ないため、修了直後の司法試験を受ける率が目立って低いし、低くなる一方というところがあるのです。

【田中座長】
 今、井上座長代理がおっしゃった、いわゆる受け控えという実態がかなり複雑化してきた感じでして、修了生自身が自主的にやっている場合と、大学として修了認定はするけれども、その年の司法試験は受けないようにアドバイスする場合とか、あるいはそもそも司法試験は受けないということで、いつまでも法科大学院にいても仕方ないから修了させる場合など、いろんな対応をしてるようなんですね。

【井上座長代理】
 我々が今回調査した限りでは、大学側が積極的に受けさせないというところはなかったと考えています。ただ、修了前後の時期に修了生のモチベーションをあげるような取組をほとんどしていず、あとは本人の責任だとして放置している。もちろん、施設を使わせたり、相談に乗ったりするという形で一定の努力をしておられるところはあるのですけれど、学力に自信を持って修了するという状態にはなかなかできていない。そういうところが、受け控えが目立って多くなっているという印象です。

【永田委員】
 修了時の力量と新司法試験のレベルの距離ですが、本来あってはならないことで、法科大学院を修了したら、新司法試験の受験資格が他の者と違って与えられるんですから、相当の力量を持つ者を修了させなければならない。こういうことが第1回の調査の時と比べまして今回はかなり認識されるようになった。そういう意味で成績評価をかなり厳しく、たとえば進級を半分位はさせないように、そしたら入口でもっとがんばれよってことがあるんですけれども、入口で入れてるからそうなっちゃうんだと、そういう意味で、修了した時の力量というものが程度を成してないというのは、制度的に問題なんだという認識はずいぶんはっきりしてきて、それは変わってきている。これも含めまして、前回も調査をして、今回も調査をして、そして、意見交換したときに、やはり相当程度改善される、それから一定程度改善されるという法科大学院が相当数ありますので、そういうところから見ますと、やはりかなり私どもの、先ほど田中座長がおっしゃった方向を理解して、そして相当数の法科大学院が悩ましい問題を抱えながらも進めようとしているということは言えるかと感じます。

【土屋委員】
 ちょっと質問なんですけどね、報告書を読んでて、どうしてこういうことが起きるのかちょっとわからないところがあるんです。たとえば4ページ上の方なんですけど、明らかに基礎的な理解を欠いていると思われる答案に合格点ないしそれ以上の評価を与えていると書いてあります。なぜこういうことが起きるのかというのが、その理由については法科大学院側から何か説明があったんでしょうかというのが一つ目です。それから、もう一つ伺いたいと思ったのは、文部科学省が、ここでも議論したお話ですけれども、いろいろな支援措置の見直しについては何か意見が出たこととかございますか。

【永田委員】
 後者は、特にそのこと自体をテーマにしておりませんので、またそれに関連して、向こうから法科大学院から何かアクションがある、あるいはそういう反応があるといったことは無かったです。

【井上座長代理】
 財政支援の見直しは、文科省との関係での話であり、ワーキング・グループないしこの特別委員会としてその措置を取るというものではありませんので、直接こちらに何か言ってこられる筋合いの話ではないのだと思います。前者の点については、教員が大甘だと言うほかなくて、学生がたとえば1年生であるとか、あるいは人数も限られているという場合に、いきなり不可を与えてもう進級させないというのは過酷だと思うのでしょうか、大学の学部の段階では、そういう教員が少なからずいるように思いますがそれと同じような気分でつけておられるのかもしれません。我々としては、ごく一部の試験問題と答案しか見ていないので、一般化するのは危険ですけれども、見させていただいた限りで所見はお伝えしていまして、当の担当の先生がその場におられることもありますが、別に遠慮しないで、個々の学生との関係では、温情的な扱いをしてあげるのは教育者としてあるべき態度のように見え、不快な思いをせずにもすむのかもしれないけれども、結局は、その学生にとても不親切になるということを申し上げています。つまり、学生が客観的に自分の学力がどの程度かということを常に認識しながら学修していかないと向上しませんし、修了して外に出たら厳しい、全国レベルでの評価にさらされるわけですので、その場だけの温情的扱いはかえって不親切になる。そのことはかなり厳しく申し上げています。それに対して、あなたの考えの方がおかしいといった反応は、少なくともその場では返って来ていません。

【永田委員】
 今、井上座長代理がおっしゃったとおり、ここに書くのもはばかられるような事態だと思いますけれども、現実にはそういうことがあります。これはやはり組織全体として、そういう基準をはっきり持っているかどうかということと、厳格化された姿勢を組織自身が意識的にやっているかどうか、ということがあります。今おっしゃったように、これは私どももすべて見てるわけではないし、そんなに時間をかけて見ているわけではありませんので、ある意味でよほどひどいものが目立つことがあれば、我々最後に所見を述べるんですけれども、そのあとに、本来の所見の主文といいますか、それと違って、これこれの試験はこうでしたよと、こういう形で指摘いたします。そうしますと、ほぼ組織としてはやはりそれは揺さぶられないという認識は持っておりますし、それから個別にこれは問題として必要はないかというような指摘をしますと、井上座長代理がおっしゃったように、まったくそれは反論はなくて、きちっとしますというようなことで、私の行った大学ではお話した。そういう意味では、その指摘についてはかなり研究科長自身が驚いたり、あるいはそういうものを把握することについてはかなり厳しく受け止めているということで、私どもはかなりそれは丁寧にやりました。というところで、こんなことあってはならないんですけれども、改善されて行くと期待しております。

【椎橋委員】
 公的な支援の見直しの対象になるかならないかという指標が2つありますが、先ほど最初の入試の競争倍率という関係の議論がございましたけれども、もう一つの新司法試験の合格率の問題について、これを上げるために、法科大学院での授業、自学自修、これらの勉強によって力をつけて受験に向かって行く、これが一番理想的な形なんですけれども、試験の合格率を上げるために予備校に通う、あるいは予備校的な勉強をするというようなことに走る恐れがないかという不安があったんですけども、そういうような調査を委員の先生方がされるかどうかわかりませんけれども、そういうような事態があるのか、あるいは、答案をご覧になっててそういうようなところがあるのかもしれないなというようなことをお感じになったこととかありませんでしょうか。

【永田委員】
 それはまさにわからないところで行われている可能性もあるわけですから、しっかりとは抑えられないんですけども、それと、この委員会の報告書の前に、過度に司法試験対策にならないよう、本来の法科大学院のプロセス教育であろうということを、その基準があるんですが、様々な、非常に幅がありますので、やはり何をしてはいけないのかというような問題もあるので、そのあたりは直接はどうこうというのは我々は探りませんし、そういうことやってるなというのはなかなか感知するのは難しい。認証評価機関はかなりデータを、課外で何をやっているとか、そういうデータを集めたりしてチェックしている認証評価機関もあります。私どもはそれは資料にもない。そういう形の教育は普通だと思っていたけれど、結局過去の合格者を調べると、ほとんど大学で勉強している学生が合格しやすいということがわかったと、自分たちもそういう方向でやりますということをおっしゃる法科大学院もいくつかございましたので。

【井上座長代理】
 前回やや問題があると思われるところもあったのですけれども、組織として予備校に通わせているとか、予備校に行くことを推奨しているといったことはうかがえませんでした。我々は学生とも面談をし、予備校にどのくらい行っているのかとか、そういうことを聞きますけれども、個々的にはいるかもしれない。そういう人は元々そういう勉強の仕方をしていて、ロースクールに行くのは受験資格を取るためだけというふうに割り切っており、授業が終わるとすぐいなくなる。そういう人は一定数いるかもしれないのですが、他の学生にも実態はよくわからないみたいです。そもそも我々の面談に応じてくれる学生は、大学に熱心に来て勉強している人たちですので、そうでない人のことはよくわからないようなのです。ただ、模試だとか答練といったものを受けている人は少なからずいる。また大学として、たとえば、若手の弁護士に話をしてもらう、司法試験はこういうものだとか、自分は勉強はこうしたのだとかそういう話をしてもらうといった対応をしているところはいくつかあるようです。しかし、それで目立って効果があるというふうにも思えませんし、学生もそれをどれだけ評価しているのかは分からないというのが正直なところです。

【田中座長】
 他に御意見などありますでしょうか。ございませんようでしたら、この位にさせていただきたいと思いますけれども。
 報告書にも書いてありますように、法曹養成制度、法科大学院をめぐる状況は、非常に厳しくなっていて、その状況がすぐに良くなる見通しはなくて、ますます悪くなる見通しのほうが強いというのが現状だと思います。各法科大学院はこういう状況を非常に深刻に受け止めていらっしゃるとは思うんですけれども、そういう状況を踏まえて、この委員会がとりまとめた改善方策に基づいて、引き続き一層の努力を行っていただきたいということを述べると同時に、期待したいと思います。
 本日、予定している案件は以上でございますけれども、第5期中教審の任期がこの1月31日をもって満了します。この委員会におきましては平成21年の4月17日に法科大学院教育の質の向上のための改善方策の報告書をとりまとめるなど、委員の先生方には非常に精力的に御審議いただき、ワーキング・グループを設けてこの教育の改善状況の調査と、コア・カリキュラムにつきましては御尽力いただいたところです。本日はこの第5期における最後の会議でございますので、法科大学院の教育の質の向上について、是非意見交換をしていただきたいと思います。今の報告書だけでなくて、もう少し全般的に、こういう問題があるとか御意見などございましたら、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。

【有信委員】
 私は門外漢なんですけども、中教審の大学院部会で、部会の答申案が、この前大学分科会で承認されて、まとめられることになりました。その中でいろいろ議論をしてきた中でもやはり共通の問題というのがあります。法科大学院ができたというのも、あるいはその中で法曹の数を従来に対して増やすということも、大きく見るとやはりグローバル化の流れの中で、世界の標準的な形に日本の状況もそれぞれすり合わせていかなきゃいけない、こういう状況の中でやっていて、日本の大学・大学院についても現実には今後大きくグローバル化という観点で世の中が変わって行きそうな気配が見えています。たとえば昨年の文藝春秋でパナソニックの大坪社長が学生の就職について答えていました。パナソニックでは、大ざっぱな数字を言いますと、約1,000人の採用のうちの700人が外国人。今年の採用は1,300人のうちの1,000人が外国人。こういう方向になっている。そういう中で、おそらく日本の学生たちも大企業においてはどんどん外国人が増えてきて、その中で外国人であるかあるいは日本人であるかということの区別なしに、具体的な競争をしていかざるを得ない、こういう状況になってきている。そうすると、やはりその中で重要になってくるのは基本的に個々の人たちが受けた教育の質、あるいは、より具体的に言うとその学位であり、あるいはその資格であるということになってくるわけですね。学位とか資格というのが、具体的にその人が受けてきた教育の質の証であるということになるということが、これからますます日本人にとって切迫した状況、受け入れていかなければいけない状況になっていくと思うんです。
 一方で、日本の企業を中心に、終戦直後の復興期に採用された、年功序列あるいは終身雇用、そういう中でのその人材育成の仕組み、あるいは労務管理の仕組み、それらの中で学歴が不要であるとか実力主義だということが一方では言われてきていて、教育、訓練の質が学位とか、資格で表されているということと無関係な方向の労務管理を続けてきています。これが、これから実際には大きな矛盾というか、新しい状況の中での混乱になっていく。そういう中で、法科大学院も同じような状況に、お話をうかがっていて、あるなという感じでありまして、教育をする人たちも、自分たちが出す学位が教育の質の証であるということを、それぞれが自覚をしていかなければいけない。これは特に法科大学院に限ることではなくて、すべての大学・大学院についても同じことでありまして、おそらく大学教育の質の保証という次期の大学分科会の議論で進められていくと思います。そういう流れの中で、やっぱり過去の成功体験にいつまでも頼っていてはいけない。労務管理にしても、学位が必要だと言っても、企業のトップの人たちはまだ理解力があるわけですけれども、そうでない言わば上級管理職の人たちは、俺たちは学位なしでやってこれた、こういう話をするわけであります。今までやってこれたことがこれからはやっていけなくなるということについての想像力が欠けている。あるいは教育についてもそうでありまして、今までこれでやってきてて、うまくいってて何が悪いと、こういう議論は常にあるわけでありますが、やはりこれは将来を見ながら変えていかなきゃいけないことだろうというふうに自覚をしながら、大学院部会もとりまとめてきたわけであります。そういうことをこれからも考えていかなければいけないということだろうというふうに思っておりますので、是非今後とも検討をよろしくお願いいたします。

【井上座長代理】
 法科大学院としては、御承知のように一般の学位以上に、ほぼ排他的な新司法試験受験資格の取得に結びつくわけですから、それだけの重い責任を各法科大学院は負っているはずなのです。ただ、誤解していただきたくないのは、我々が今回調査の対象にしたのは一部の法科大学院であり、いくつかの数字とかデータから深刻な状況にあると思われるところを対象にしたわけで、それらの対象校に見る限りはこういう状況だということを御報告したのであり、それ以外のところがどういう状況であるということは‥

【有信委員】
 もちろんそうです。

【井上座長代理】
 申し上げていません。今日御報告したところだけ聞くと、全体に相当ひどいんじゃないかというふうに受け取られがちですけれども、決して全体としてそうだということではありませんので。

【有信委員】
 ええ、私は決してそういうふうに思ったわけではありません。

【井上座長代理】
 ただ、非常に深刻な状態のところはやはり責任の意識を強く持っていただきたい。今おっしゃったように、新司法試験に直接に結びつくということだけではなく、より広く、法曹としての専門的な素養を身につけた人たちを育て、社会のいろんなところに送り出していくというのが司法制度改革審議会が提案した新たな法曹養成制度の趣旨ですので、それに応える責任を果たさなければならないという自覚を持っていなければならない。そういう緊張感を常に持って臨んでいないと、この制度はうまく定着していかないのではないか、という思いを持っております。

【田中座長】
 今、お二人の委員がおっしゃったように、専門職大学院の場合、修了者の質の保証が深刻な問題なのですけれども、専門職大学院の中では、法科大学院は、質としては他の専門職大学院に比べれば数段ましな状態にあるのではないでしょうか。専門職大学院の一つとして見た時に、法科大学院の質の維持の面でプラスもあればマイナスもあるのは、やっぱり日本の試験文化の影響が一番強い司法試験による規制が強すぎることです。司法試験に合格するとことと、ロースクールが学位を出すことの関係がうまく連動してないという問題があり、修了者を受け入れる側の法曹三者というギルド集団が、なかなか体質を変えないというところも大きな問題があります。そのあたり、大学の教育の質そのものを変えることと、司法試験の制度と、法曹全体の活動領域とか活動スタイルの転換ということを結びつけて、かなり構造的な変革をしないと、新しい法曹養成制度は定着しないところがあると思われ、安定するまではかなり時間がかかり、移行期はあれこれ難しいところがあります。今、井上座長代理もおっしゃったように、マイナスの面ばかりに目が向きがちなのですが、全体として従来の法曹養成の仕組みからみると、やはりきちんとした法科大学院制度が相当数できて、そこで法曹養成教育をするという仕組みができただけでもかなり大きな進展だと思います。

【有信委員】
 それはそのとおりだと思います。別に法科大学院制度を批判的に言ったつもりはなくて、法科大学院の制度そのものは、グローバルに見ても、明らかに日本の制度として相当大きく踏み出した制度だというふうに思っています。その制度が、実際にはグローバル化の流れの中で、未来を見ながら、そちらにいい方向に持っていこうというよりは、どちらかというと、逆に今の欠点を挙げつらって、制度が悪いというような方向の議論がなされてはいけないということです。ちょっとわかりにくい言い方をしちゃったかもしれませんが、過去の成功体験に捕らわれて、今の欠点を挙げつらっても仕方がなくて、今一歩前進したものをさらに先へ前進させるために、今、田中座長が言われたように、受け手の側の問題もありますし、試験制度の問題もあると思いますが、こういうことをどうやって変えていくかということを本当に急いでやらないといけない。一方で企業の側はどんどんグローバル化が進んでいるし、日本人の学生への対応についてももう劇的に状況が変わってきてるわけですね。こういう全体の社会が大きく揺れ動いている中では、やはりいい方向に持って行くという方向での議論が是非必要だろうという視点です。

【永田委員】
 特別委員会の役割は何かということなんですが、やはり制度が立ち上がって質の確保の問題がすごく大きな問題になって、私もそこに精力を集中させた感じでした。もう実地調査に行くたびにストレスがたまって、そんな明るい雰囲気じゃないですね。やはりなんとかして、と悩んでいる。そういう意味で質の確保のためにこの委員会があると思いますし、これからも果たさなくちゃならんと思うんですが、同時に今ある意味である程度うまくいってる法科大学院をさらにうまく進めて、良き、それこそトップクラスの法曹をどんどん出していけるような、そういうような組織にしていくためにどうするかという議論をしていく必要があると思うんです。そういう意味で、やはり少しここに力を注がざるを得ない事態があったと思うんですけれども、次の段階では、そういう方法も一つのテーマにしていただけたらなと、今日はフリートーキングですから、そういうことを申し上げてお願いしたいと思います。以上です。

【田中座長】
 教育の質の問題に限らず、全般的な問題について、御自由に御指摘いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【磯村委員】
 この委員会のマターかどうかということは別として、法科大学院の修了者の質が云々というときに、常に今まで引き合いにされていたのがペーパーテストの成績とか、そういうものが多かったと思うんですけれども、2004年度からスタートして、新司法試験を経て実務で活躍しておられる若い方々がずいぶん増えてきていると思いますので、そういう方々がどういう場面でどういう活躍をしておられるかというようなものが、ある程度データとして集積してくると、その全体としての法科大学院が成し遂げてきたこと、これから改善していくべきことというのが、そちらのほうからもまた見えてくる面あるのではないかと思いますので、ここの委員会だけではなくて、法曹三者の方々を含めて、そういうある種のデータ蓄積というようなものができるといいのではないかというように感じているところです。

【田中座長】
 机上参考資料とされている、裁判所法の改正に関する件に関して事務局から説明はありますか。

【中野専門職大学院室長】
 こちらは最近の動きとしての資料ではございますが、御案内のように、昨年の11月に裁判所法の改正で、司法修習生の修習費を従来給費制ということだったものを貸与制に変えていくということが、今の修習生から改正になるということが以前なされていたのですけれども、それを1年延期して給費制を維持するという改正がなされた際の衆議院法務委員会の決議でございまして、政府および最高裁判所が法律を施行するにあたって、1と2について取組むということです。1のほうは、ちょっと技術的でわかりにくいんですけども、要するに1年後までに個々の司法修習者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え必要な処置を講じること。それから2のほうは、特に法曹養成全体ということで、法科大学院特別委員会にも大きく関わってくると思いますけれども、法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講じるという、国会からの法曹養成に対する要請ということがございます。新しい法曹養成制度につきましては、いわゆる連携法でも10年後に見直しをしてということもございますけれども、それよりも先にこういった在り方全体について検討を加えるということがございまして、実は同じように法曹養成の在り方ということにつきましては、昨年法務省と文部科学省の両副大臣主宰で、井上座長代理にも御参加いただいているんですけれども、法曹養成制度に関する検討ワーキングチームというものがございました。ここの委員会でもアウトプットを御紹介させていただいたのですけれども、そこの場ではいろいろな問題点ですとか、その問題点を改善するための選択肢が整理され、そこまでやっていただいて、その後より具体的な改善策を議論するために新しい検討体制が必要ということも一方で言われておりますので、こういった動きの中で、法科大学院という、こちらで議論をしているのですけれども、法曹養成制度全体についても議論が進んで行くということが、決議の要求にあるということでございます。これについて御議論いただくということではございません。

【笠井(治)委員】
 やや細かい部分で恐縮なんですけども、いわゆる新司法試験受験のスリーストライクアウトになった者が、改めてまた別の法科大学院に入学すると、入学試験をするというような現象があるかと思うんですね。そのこと自体の是非とか、権利があるかないかというのは縛っていいのかという議論はあるかと思うんですけど、そうではなくて、改めてまたそういうアプライをして、あるいは、そうでない者については予備試験という逃げ道などを探すことになるのかもしれませんが、法科大学院との関係でいうと、当該法科大学院がそうした者の志願を受け入れて入学を認めるというような現象があるのかないのか、そこらへんをちょっと知りたいなというふうに思っています。実際入学の志願倍率にそれほど大きい影響を与えないだろうなというふうにも思うんですけれども、どんな感じかなというふうにちらっと今思ったものですから、もしおわかりであれば教えていただければと思います。

【中野専門職大学院室長】
 そういった調査というのはございませんが、たとえばその第3ワーキングの調査などで御一緒した時に聞く話として、入学者選抜、志願者の対象として、他の法科大学院を修了した方、いわゆる三振とかそういうことはないのですけれど、そういった方は受け入れないというところと、そこにも門戸を開いて、別の法科大学院では合わなかったけれども、この法科大学院でもう一度きちんと学修したいという人を受け入れるという方針にしているようなところと、網羅的な調査はないんですけれど、事例としては両方は入ってきていると確認しています。

【田中座長】
 従来からいわゆる三振者について、以前から前の法科大学院を修了して、今試験を受けてる途中だけれども、別の法科大学院でもういっぺんきちんと勉強し直したいといって受けてる事例はあって、それはほとんどの大学が受け入れてる感じなのではないでしょうか。そういう人は今の権利を使い切ったあと、この新しいロースクールの権利は使えるというのは、難しいですけど、両方資格を足された場合にはどうするか。3回目は使い切ってしまえばいいですが、使い切っていない場合はどうするかというようなことは、それは制度的に作られているんでしょうか。

【井上座長代理】
 現実にそういう人が受けてきているところもあるというふうに聞いていますけれども、中野室長が言われたように、ロースクールの方針として、そういう人を受け入れないというか、よその法科大学院を無事修了している人については遠慮願うという方針をとっているところもある一方で、そのような人も特別視せず、一定以上の学力があれば受け入れるという方針のところもあると聞いています。

【田中座長】
 その辺、これからちょっとなんか問題になってくるかもしれないですね。

【笠井(治)委員】
 どういう問題になるのかがよくわからないですね。

【田中座長】
 もう一度ロースクールを受け直すのか、予備試験に流れるのか、わからないですね。しかし、ロースクールを修了した者が予備試験に受からないというのは、ロースクールの修了認定のレベルが問題になると思われ、ロースクールとしては非常に厳しい状態になります。そのあたり、もともと制度設計の頃から懸念された問題が出てくると思いますので、ちょっと来年以降新しい局面になるかもわからないですね。

【井上座長代理】
 従来のように、ずっと司法試験を受け続けて、歳を重ねていくといった人がどの程度いるのか、正確には把握できませんが、一定数はいるかもしれないという感じは持っています。今回の改善状況調査においても、司法試験の成績など非常に厳しい状況にあるところでも学生の方は余り気にしないで受験し、入学するという人が少なからずいて、話を聞きますと、合格までに時間がかかるのは当然で、それでも自分が努力していけばなんとなかるのではないかといった気持でいる人が結構多い。それは我々から見るとちょっと驚くべき危機感のなさ、切迫感のなさなのですけれども、そういった人がかなりいることは間違いない。従来も、なぜそういう生活が維持できるのか、恵まれているのか、あるいは誰かに依存しているのかもしれないですけれど、ずっとそういう生活を続けていた人がかなりいた。そういった人達が法科大学院に入ってきているというようなところもある。法科大学院生の多数を占めるほどとは思いませんけれども、そういう人が結構いるところでは、全体的に温いと言いますか、温室のような心地良さが漂っているようなところがあり、一生懸命やっているトップクラスの人から見ると、そういった状態はモチベーションを落とすので困るということも聞きました。

【笠井(治)委員】
 耳に挟んだだけですからあれなのですが、他の法科大学院を出ていて、その意味での教育の成果がある程度あがっていると。しかし、新司法試験に受けるだけの知識も能力も力量もまだないと。という場合に、改めて新しい法科大学院に入学して、入学した時の成績なり初年度の前期の成績などはいいということは、大いにあるわけですよね。そうすると特待生で奨学金を得られる、こういうことになる可能性もそれなりにはあるようなんですよね。そういうことをしている学生もいるのかなという感じがしましたけど。

【井上座長代理】
 教育現場での経験を基に言いますと、数回授業をして見れば、そういうのはわかると思います。まともな先生ならですね。要するに学力がそれほどない人なのに、一定の知識はあって、知ったかぶりはできる。そういうのは数回授業をやれば、化けの皮はすぐはがれると思います。それを教員が見抜けずに優待生なんかにしているとすれば、そっちのほうがよほど問題だと思いますね。

【永田委員】
 よろしいですか。今の点で。上位校にあって成績がありながら、何回も失敗してしまった、5年で3回失敗している状況があって、その学生が再チャレンジする可能性がないわけではない。しかし、私どもが調査した法科大学院はおよそそういう傾向ではなくて、5年かかってなんとかという、さらに苦節10年型の旧司法試験、そういう形の意欲と資質というのは、自分自身に自信を持っていないからだと思うんです。ですからある大学院の例ですが、30数名3年生がいるはずなのに20名しかいない。どうしてドロップアウトしたんですかと聞いたら、そこの研究科長の見解じゃ、ドロップアウトじゃない、これは企業に行く見込みだとか、あるいは司法書士の勉強をしているという答えでした。もう苦節10年型、新司法試験にしがみつくという層は、この我々が調査した法科大学院にはないと考えてもよいかもしれない、もしくは再チャレンジも。全然ないという訳ではないが。上位校ではひょっとしたら起こるかもかもしれない問題ですが。下位校ではどんどん3年で、もういなくなってくるんですね。これは一例で、問題があったからお尋ねして、反応があったんで、そういう法科大学院もいくつかあると思うんです。そういう意味で、今、笠井委員がおっしゃったような苦節10年型がいて、もう一回再チャレンジするというのは、私どもが調査した限りではあまり現実性はない。残念なことですよね、むしろ。しがみつかないんですから。そういうモチベーションを持てない層がある。我々が調査した限りでは、そういうシステムの問題はあまり感じられませんでした。

【田中座長】
 従来の旧司法試験の受験層を、そのまますべて新しいロースクールが受け入れてやっていくという形をそのまま引き継いでいくと、ロースクールの質はなかなかあがらないと思われます。新しいロースクールに入学させる段階で受験者の層をきちんと選択して、一定のレベルを持った者に対して教育していくという形でやっていかないと、従来の司法試験の合格率が、2%、3%だった頃の母集団に、全部ロースクールで学ぶチャンスを与えるという構造をやっている限り、法曹養成制度は全然よくならないんじゃないですかね。そのあたりは法科大学院の側で、法科大学院の教育の質とか、受け入れる学生のレベルそのものの質は相当厳しくきちんと確保しないと、制度改革の効果はでないのではないかと思います。このようにしてロースクール全体の教育の質を向上させ、一定レベルを確保した上で、司法試験ではなく、法務博士の学位そのもので修了者の質を保証していくというシステムに変えていかないと、展望が開けないという感じがします。なかなかそのあたりは、教育する側でも受験する側でも急に意識が変わるわけはないので、難しいところがあると思いますけれども。
 何か、特にこういうことを次期は集中的に審議すべきだというようなことがございましたらお願いします。

【土屋委員】
 先ほど学位の話が出てたんですけど、私が思うにですね。これは今、社会的な評価がそれほど高くない。そこを高める努力をもっといろいろ考えて、対策を講じる必要があるんじゃないかと思います。たとえば、新しい公務員採用試験が平成24年に始まると思うんですけれど、経験者採用ですね。これが始まって、数年前からテスト的な形みたいなように思えるんですけど、経験者採用試験を人事院は始めてますけど、この経験者採用という試験の受験資格が、新司法試験の合格者という枠があってですね、今年度発表された人事院の資料を見ていましたら、法科大学院を修了して、新司法試験に合格した人が4名、採用が内定した。金融庁とかですね。受験者は、確か79人いたっていうんですけどね、そのうちたった4名が採用されたという話があった。たとえばこの類の次回国家公務員採用試験のメニューの中に、そういう法曹資格とか、そういうところとつながってくるような採用試験が導入されてくるのは私は非常にいいと思うんです。残念なのはそれが新司法試験合格者っていうところなんですね。法科大学院の修了生じゃないんです。だから法科大学院の修了生とか、法務博士の学位を持っている人などを対象とした、たとえばそういう試験採用のシステムだとか、いろんなことを検討していく必要があるんじゃないかと思うんです。これからおそらく法科大学院を修了しても、みなさん法曹になるわけじゃなくて、一部の人は企業に行くとかですね、そういうことはあり得ると思うんですね。そういう人たちをどう使っていくか。そういう人たちもおそらくこれから先増えていくだろうと思います。累積的にも含めて増えて。そういう人材活用の道というのはやっぱり議論の余地があると思います。ですからたとえば公務員制度の採用試験の中で、そういう改革が国家公務員レベルでは行われていますけど、地方公務員レベルでは余っているんじゃないか、いろいろあろうかと思うので、そのあたりの検討は、ここで議論する話じゃないかもしれないんですけれども、どっかでちゃんとやっていかなくちゃいけないというふうに思っています。

【田中座長】
 法務博士の学位の問題ですね。

【土屋委員】
 それから法務博士という学位が信用ありませんよね。この間、国立大学協会のアンケートで、パブリックオピニオンで出てきた人たちの意見をパラパラめくって読んでいましたら、法務博士の学位はいらないなんていう、まさに法科大学院を修了した方自身がそういうことを言っているというのがあって、あれっと思ったんです。これも対外的には非常に重要な学位だと思うんですね、私は。それが一定の質が保証されるという証明書でもあるわけなので、そこのところがもうちょっと評価されるにはどうしてやったらいいのかというのを考えていたんです。

【田中座長】
 法科大学院だけではなくて、専門職大学院全体について、学位をどうするかということが問題になっています。現在の日本では、本来、法科大学院の教育の質の問題に関係するのですけれども、各法科大学院の修了認定に対する信用がないから、法務博士というだけでは信用がないのですね。幾つかの特定の法科大学院の法務博士ならばそれなりの信用はあるかもわからないですけれども。土屋委員がおっしゃったような趣旨を実現しようとすれば、現状では、たとえばロースクールの修了資格を与えるための統一試験をして、それで品質を保証しろとか、日本はどうしてもそういう議論になってくるのですね。新司法試験に合格している者については一定の品質が保証されているけれども、なかなか法科大学院の修了ということだけでは質を保証しているという信用までされていないのが、残念ながら現状ですね。そこをなんとかしないとうまくいかないと思われます。

【土屋委員】
 それは私も非常に残念なんですよね。せっかく何年もかけて勉強してくるわけですから、それに対して一定の社会的な評価が与えられるという土壌を作らないと、やっぱり法科大学院に人が来ないということになろうかと思うんですね。そこは法科大学院入学者の質と関連する部分なんだろうと思います。

【田中座長】
 コア・カリキュラムを対外的に発表したりして、これだけのことを法科大学院はやってるんだということを対外的に示して、それを本当に各法科大学院が実証できるようになっていけば、法務博士そのものも一定の資格として信用を得ることができるようになると思います。残念ながら今のところでは、特定の法科大学院の法務博士であればそれはそれで通用するという状況にはあるのですけれども、法務博士一般にはなかなか信用が得られているとは言えない段階ですね。

【杉山委員】
 ちょっとよろしいでしょうか。今のお話で、私は企業の法務なんでその採用の実態というものを御紹介したいんですけれども。我々企業法務の間で話しているのは、けっこう法科大学院卒業された方、司法修習を終わられた方で、そのまま企業の採用に応募してきてくれる方が結構いらっしゃいます。みなさん非常に優秀です。最近あの、こう言うと語弊があるんですけれど、4年制の大学を出た方が、法科大学院生との比較じゃなくて、昔10年前ぐらいに出てきた方と比べてちょっと質が落ちて、なかなか企業として4年制の法学部を出てきた方を取りにくくて、もうやめちゃおうかと、極端な言い方をすると。そんなような雑談をしている状況です。私どもの会社はだいたい平均的だと思うんですけれども、法科大学院を卒業してきて応募された方は、だいたい昔でいう大学院で博士号を取った方と同じようなところで処遇をして、採っているケースが多いです。司法修習を終わられてそのままストレートで来た方、この方々は、司法修習の今のカリキュラムが実務に即応しているということで、その年齢とかというのと同じようなキャリアを積んできたということで。いわゆる、僕らはキャリア採用という言い方をしてますけれども、これぐらいの、学位とか資格っていうんじゃなくて、やってきたお勉強に対してそれくらいの価値はあるだろうということで最初の処遇を決めています。それは私どもの会社だけじゃなくて、聞いてみるとだいたい平均的にそうかなというような感じを持っております。先ほどちょっと思っていたのは、どうしても私は企業からの意見というかお願いになってしまうんですけれど、椎橋委員が先ほど懸念を御指摘されたと思うんですけれども、出口論で合格率というひとつの指標を持ちますと、どうしてもやはり各大学において、それを達成するためには受験テクニック、そういう試験体系にはなっていないというものの、やっぱりテクニックを覚えれば何ポイントかは絶対に上がるだろうと思うんですけれども、そういうふうにならないかな。我々企業は司法制度改革をやったときに、応用力のある実務に来ていただける方が法曹三者にも行くし、それ以外のところにも行く。そういうのが続いてることによって、一つの出口の畑として我々も加えていただけるし、我々もハッピーだし、このワーキング・グループでやっていたモニターリングで教育の内容・質でそういうことになってないかで見た場合にはご意見を言っていただけるという活動が、なんらかの形で今後とも継続して、その懸念というものはないようにしていただきたいなというのが、企業側採用の実情と、そういうなんらかのものは持ってるということと、そういう懸念に対して今後とも是非いい方向にやっていただきたいなという、ちょっと感想めいたことなんですけれども。 

【井上座長代理】
 今のお話の最後の点ですけれども、教育の中身については、全般的には認証評価の枠組みの中で評価機関がかなり綿密な調査をし、意見を出しているのですが、その中で、たとえば極端に司法試験対策にシフトしているというところがあったとすれば、かなり厳しい指摘をしています。そもそも、設置基準でも認証評価基準でも、司法試験科目だけに傾いた教育ができないような仕組みにしており、その意味で装置は整っているのです。これに対して、第3ワーキング・グループがやっているのは、司法試験の成績が著しく悪い状況が続いているところは、教育に何か問題があるかもしれない、そういう角度から調査をさせていただいて所見をのべるというものでして、たとえば合格率がある大学は50%で、他のある大学は60%であるという場合に、60%のところの方が優れているので、50%のところは60%のところを追い越すようにしてくださいといったことを申し上げているのではないのです。また、司法試験の方も見直してほしいところがあり、今のような数字ですと、おっしゃったようなおそれが、良い教育をしている法科大学院についても出てくるかもしれない。そこで、先ほどの両省のワーキング・チームにおいても、司法試験の方にも問題はないか検討すべきであるということを言っておりますが、司法試験の比重がもうちょっと軽くなってくると、法科大学院でももっと良い教育ができるように思います。現に多様な教育をやっているところがいくつかあって、実際に修了生で、司法試験を通ったのに研修所に行かないで企業に就職し、あるいは受けるのをやめて企業に就職して、精力的に仕事をし、法科大学院で受けた教育が非常に役立っているという人もいますし、採用した側からも評価していただいている例もありますので、そういうところを伸ばしていきたいという気持を関係者は持っているのですが、今は司法試験が御承知のような状況で、どうしてもそれに振り回されてしまっているというのが現状なのだと思います。

【杉山委員】
 もう一つだけいいですか、すみません。それに関して、先ほどこのレポートに戻っちゃうんですけれども、教員の試験の評価の在り方、点数の付け方、甘い方がいらっしゃる。その時に、それが全部じゃないのは承知してますけど、我々のような企業実務のところから教員の末席に加えていただいた方にもそういうところが見られるっていうのがあって、私の立場から言うと、やはりこういう法科大学院の教育の中で、我々企業法務のニーズであるとか、どういうことをやっているというのを是非御紹介したいので、今後とも教員の末席に加えていただきたい。ただ、プロフェッショナルな教員じゃないんで、素人なんで、やはり大学の組織として、試験の在り方とか評価の仕方とかっていうところに、アマチュアの畑から来た教員の方に教えていただけるようなところを各大学で、入口できっちりオリエンテーションをして、ルールを作ってというのは継続してやっていただいて、でないと、いつの間にか企業法務出身の教員はダメだなというふうになっちゃうと、我々も大変あれですし、なんとか努力をしたいなと。

【井上座長代理】
 さっき実務家出身と申し上げたのは、法曹のOBがちょっと危険なところという意味です。

【田中座長】
 まだいろいろ御意見もあるかもしれませんが、これぐらいにさせていただきたいと思います。いろいろ御意見いただきまして、どうもありがとうございました。委員の先生方におかれましては、委員会での審議に関しまして御協力を賜りましてありがとうございました。ただいまの意見交換で出ました御意見、また、これまでの審議結果等を踏まえまして、文科省におかれましては、法科大学院の教育の質の向上について引き続き御検討をお願いしたいと思います。
 本日の議事は以上でございまして、最後に事務局から御挨拶があるとのことですのでお願いします。

【小松高等教育局審議官】
 本日は遅れてまいりまして申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。ちょうど第5期の中教審の法科大学院特別委員会というのが、本日で終わりになります。大変御尽力いただきまして本当にありがとうございました。ちょうど2年間ございましたので、その間非常に御活発に御活動いただきまして、心身ともにものすごい労力を提供していただきました。数字を見させていただきますと、本委員会だけで17回やらせていただきまして、ワーキング・グループまで入れますと40回以上、その他に現地にもたくさん行っていただきましたり、会議以外で、メールなども含めましていろいろと打ち合わせをしていただきながら進めていただいたということで、2年間非常に中身濃くいろいろな御指摘をいただいてまいったわけでございます。その結果として、2年前の春でございますけれども、「法科大学院教育の質の向上のための改善方策」ということで一つの報告書を出していただき、これが軸になったわけでございます。さらに認証評価そのものの在り方とか、あるいは組織見直しの関係でございますが、そういったところにつきましてもいろいろと御提言をいただきました。それから、ワーキング・グループでは、本日御報告いただきました第3ワーキング・グループでは永田先生にも取りまとめを含めまして大変御尽力いただきましたけれども、また共通的な到達目標というのは、いろいろと考えていこうという動きが法科大学院関係者にあるわけでございまして、これは先ほどのお話の中での、まさに質の保証とか学位そのものの考え方の上で必要だろうという動きだと思います。これらにつきましてもいろいろ御検討をいただきまして、磯村先生にも報告をとりまとめていただき、本当に御苦労いただいて御礼を申し上げる次第です。今日は第3ワーキング・グループから報告がございましたが、差はありますけれども、各法科大学院で努力を行っていることも、問題があることも事実でございます。今日ちょっとお話がございましたけれども、新司法試験との関係で申しますと、合格率がよく話題になりますように、問題が厳しい状況だということも事実でございますし、法曹のその数字だけではなくて、様々な法曹養成が現に行われて、新しい法科大学院教育の関係者がどんどん法曹界に入って活躍を始められているということも事実でございます。数字にしようと思えば、数字にすることもできます。あるいは、未修者の関係などで非常に合格率が厳しいとか、そういった御批判もありますけれども、現実問題としては、例えば今年で言いますと、数が多い少ないという評価は別として250人位の方々が未修者から新しく法曹界へ入っていくわけですが、昔で言えば500人の合格者の半分の数に当たる人たちが、既修者と一緒に新しい法曹の世界へ入っておられるということで、それは様々な効果があることも事実だと思います。ただ法科大学院制度につきましては、大学そのものの成長というのはある時間を要するということもございます。そういう意味で長期的なトレンドというものを見ながらやっていかなきゃいけないと部分と、そうは言いながらこの時代でございますので敏速に、問題があればどんどん解決に取り組んでいかなきゃいけないということもありますので、このあたりの行政的あるいは政治的な部分というのは、私どもに大いに責任がかかってくることだと思っております。その意味で、難しい面がいろいろございますけれども、よろしく御指導を引き続き賜りたいと思っております。文部科学省としましては、そういう意味で様々な目から、あるいは御見識から御提言をいただきました、これまでのあるいは本日の改善方策といったものを十分反映させるような形で、現に直面しておりますいろんな問題への取組、あるいは各法科大学院で取り組まれている改善の後押し、あるいはいいところを伸ばすというようなことにつきまして、引き続き取組を進めまして、司法制度改革の本来の主旨に沿った法科大学院制度の発展ということに、一所懸命努力をしてまいりたいと思います。改めまして、田中座長、井上座長代理をはじめ、お一人ずつ名前を挙げられないんですけれども、本当に御尽力いただきました先生方に御礼を申し上げまして、今期はこれで終わりますけれども、また様々な形で御指導、御支援を賜りますようにお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

【田中座長】
 それでは本日の議事はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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