法科大学院特別委員会(第38回) 議事録

1.日時

平成22年2月5日(金曜日) 14時~15時

2.場所

文部科学省東館16階特別会議室

3.議題

  1. 法科大学院教育の改善について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)田中成明 委員
(専門委員)磯村保、井上正仁、稲田仁士、小山太士、笠井治、鎌田薫、木村光江、土屋美明、椎橋隆幸、永田眞三郎、長谷部由起子、松村和徳、の各専門委員

文部科学省

小松高等教育局審議官、澤川専門教育課長、浅野専門職大学院室長

5.議事録

【田中座長】
  それでは、所定の時刻になりましたので、第38回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催したいと思います。まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】
  本日の配付資料は特にございません。机上配付資料として、8点配付させていただいております。

【田中座長】
  どうもありがとうございました。
 前回の審議におきまして、この特別委員会として、各法科大学院における組織の見直しの促進方策について検討することとなりました。本日は、関連するデータなどを参照していただきながら、引き続き審議を行いたいと思います。 まず、事務局から資料の説明をお願いします。

【浅野専門職大学院室長】
 机上配付資料の1は、前回の特別委員会におけるご意見についてまとめたものについてご説明をさせていただきます。机上配付資料の2でございますが、前回の特別委員会で第3ワーキング・グループから提出された資料でございまして、4におきまして、自主的な組織の自律的見直しを促進するために、引き続き各法科大学院に対して自主的・自律的見直しを促すことが重要である。加えて、国における法科大学院に対する支援のあり方の検討が座長談話でも求められていることなども踏まえ、平成22年の新司法試験の結果に速やかに対応できるよう、新たな促進策を講じる必要があると指摘されている資料です。それから、机上配付資料の3につきましては、これも前回の特別委員会で机上配付資料でございます。それから、机上配付資料4でございます。法科大学院にどのような公的支援が行われているかを簡単に整理した資料でございます。それから、机上配付資料の5として、新司法試験の合格率や入学者選抜の状況等を整理した資料を用意させていただいております。机上配付資料6は、新司法試験の合格状況を整理した表です。机上配付資料7では、私立大学等経常費補助金における医師・歯科医師国家試験の合格率の活用ということで、今現在、医学部、歯学部の私立大学に対する補助金の減額措置についての簡単な概要を記載してございます。机上配付資料の8は、法科大学院の所在地別にみた司法試験合格者数とそのうち同一都道府県内に弁護士登録した者の数を整理した表でございます。それから、4ページ目では、新60期、61期の合計で、先ほどの資料と逆のほうから見ております。

【田中座長】
  ありがとうございました。それでは、資料も参考にしていただいて、各法科大学院における組織見直しの促進方策についてご自由にご発言していただきたいと思います。

【浅野専門職大学院室長】
 前回及び今回いただいたご意見を取りまとめて、できれば3月12日に予定されている次回特別委員会で最終的にご意見のとりまとめをさせていただければと思います。

【田中座長】
 組織の自主的・自律的見直しについては、何を重点的に見直そうとしているのでしょうか。第3ワーキング・グループで作業を進めていただくときに、こういう視点でフォローアップをしたのでしょうか。

【永田委員】
 ワーキング・グループそのものは、公的支援について検討するということの認識、あるいはそれを前提にしたヒアリングや実地調査を行ったということはございません。座長談話にもありますので、そういう方向もあり得るということは念頭にはございますけれども、ワーキング・グループの作業そのものはそういう性質のものではありませんし、そういう方向で調査したわけではありません。
  新司法試験の合格率を第一と考えるわけではないですけれども、結果的にこの合格率が著しく低いところについては、競争倍率や教育内容、修了認定についてやはり問題があるということがまとめられておりますが、これはあくまで、最終的に比較的細かく調査した26校の実地調査の対象校での私どもの考え方であります。それ以外の大学について、その講義の内容等が連動しているかどうかということは、必ずしも我々は個別に認識しているわけではないのです。ですから、この26校に関しては一般的に言えるということです。
 公的支援について議論する場合も、法科大学院が立ち上がってまだ数年でございますので、著しく問題のあるところ以外についても一定の評価をするということであると、かえって法科大学院全体の成長のマイナスになることもあると思います。そういう意味で、明らかに問題があろう、そして内容的にも問題があろうというところ以外の法科大学院に関しまして、このような傾向が一般的にあるということではありません。そのあたりを考えると、公的支援をどうするかというものを否定的に考えるという時期ではないと考えます。医学部のように長い伝統を持って、それぞれが蓄積を重ねているという中での評価とは違うと思います。第3ワーキング・グループといたしましては、26校に関する共通の認識ということでまとめておりますので、特別委員会で公的支援について議論する場合も、それを十分認識していただきたいと思います。

【笠井(治)委員】
 1月22日に公表された各法科大学院の改善状況まとめについて、各法科大学院がどういう受けとめ方をして、どういう改善努力をしようとしているのか、お調べになったのであれば報告していただきたいと思います。それから、私が目についたもので、特に重点的にフォローアップをするとされていた法科大学院について、研究科長のコメントが一部の新聞に掲載されていましたけれども、引き続き新司法試験の合格率の向上を目指し、そのための努力をしていくというふうなコメントでした。これは、前回まで我々が議論してきた中身と全く違うわけで、新司法試験の合格率という結果のみが問題になっているわけでは決してないのです。新司法試験の合格率、教員の努力、教員配置の問題、教育内容の問題、それから入学定員の問題などが全般的に関連しているという指摘をしたのですが、どうも若干誤解をされているところがあるのではないかと思います。ですから、各ロースクールの受けとめ方についてわかっていることがあれば、教えていただきたいと思います。全くの勘違いでそういうことが起きているということであるならば、それは正さなければいけないし、指摘したことはどういうことであるのかも明らかにしなければいけない。それでもわからないというところは、これは何とかしなければいけないのではないかと思っています。

【浅野専門職大学院室長】
 各法科大学院において改善状況調査の結果をどう受けとめているかという調査を網羅的に行っているわけでございませんが、例えば重点的にフォローアップが必要だとされた法科大学院や、それから、今回実地調査の対象とならなかった法科大学院においても、真摯にこの結果を受けとめて、改善に取り組んでいきたいというような内容を、それぞれの法科大学院のホームページ上に掲載しているところが多くあるということでございます。ただ、ご指摘いただいたように、今回の結果については不満である、合格者を増やす取り組みを今後も続けていきたいと新聞紙上においてコメントされるなど、趣旨について十分理解していただいていないと思われる法科大学院が見受けられるのは事実です。

【永田委員】
 その法科大学院は、ヒアリングから実地調査での意見交換におきましても同様な発言を繰り返しておられました。最終的に、多くの法科大学院は私どもの指摘に関して、疑念があれば質されますし、一応の理解をされてきたという状況でこの調査は終わりましたけれども、この法科大学院に関しましては結局理解に至らないままで、繰り返し申しましたけれども、大学が予備校の授業料を負担するという形そのものが問題であるとの認識も持たれませんでした。これにつきましては、文科省とも相談しまして、どういうふうにしていくか考えてまいりたいと思います。

【笠井(治)委員】
 個別のロースクールについて論じることは必ずしもこの委員会の本旨ではないと思いますが、設置認可の段階で問題にされれば、認可されないほどの問題ではないかと思います。教育の趣旨ということを取り違えているのではないか、また、改善する可能性も余りないようなロースクールは、決して全体として質を高めるものではなくて、むしろ低くする可能性がある。今後問題が起こる可能性があるという意味で、何らかの対応策を考えなければならない。これは前回提出された促進策の中に入っていると思うのですが、フォローアップだけで足りるのかという点も考える必要があるのではないかと思うので、その点のご意見などお聞かせいただきたいと思います。

【田中座長】
 この大学については、今年認証評価を受けておられる段階なので、その認証評価の結果が確定し次第、文科省に報告されるので、その中で、設置基準そのものに抵触するような疑いのある事例があれば、文科省で状況を確認した上でしかるべき対応をされると思います。

【井上座長代理】
 ワーキング・グループのフォローアップは、4月の特別委員会の提言を踏まえてどのような改善をしているかという観点から行いましたが、そのような観点から見ても、やはり極めて問題は大きかった。ロースクールの趣旨を取り違えているというだけではなく、そもそも教育機関として、自分の機関で教育する責任を放棄しているわけですので、「特に重点的に」というかなり厳しい指摘をしたわけです。これについては、実地調査の意見交換でも指摘をしてが、ご理解いただけなかった。実際の状況はよくわからないのですけれども、新聞記事を見る限り、合格率を上げて何が悪いのかというような姿勢ではないかというふうに想像しています。もしそうだとすると、やはり極めて迷惑がかかるということだと思います。ですから、認証評価の結果とは別に、今回の結果を踏まえても、法科大学院全体の信頼性や社会から与えられ負託されている責務を損ないかねない問題ですので、かなり強いご意見を申し上げたのですけれども、それは認めていただけないとすれば、もう少し強い措置のようなものをお考えいただかないといけないのではないかと思います。

【永田委員】
 認証評価の結果を受けて、文科省が法令に従って対応するというプロセスは当然あると思いますけれども、フォローアップの結果が公表され、全体として改善が進んでいる中で、その法科大学院がどのようにお考えなのか、ワーキング・グループが再度このフォローアップ作業の一環として状況を聞くということはあり得ると思うのですが。具体的に申しますと、法科大学院として改善の方向性を見出しているのかどうかとヒアリングすることが考えられます。それは、認証評価のプロセスを妨げないようにしないとなりませんし、認証評価結果を受けた対応が動き出しますと、あえて行う必要はないのかもしれないと思いますけれども、ワーキング・グループとしてはそういう形の対応というのはあり得ると思います。これは、控えたほうがいいのか、あるいは、時間の問題と、問題の深刻さという点を鑑みて、ある程度状況を確認して、場合によっては当法科大学院が全体として変わってきているのかもしれませんので、そのあたりを把握するということが考えられます。

【磯村委員】
 認証評価との関係は確かに非常に微妙なところはあると思いますが、認証評価は認証評価基準に従って各法科大学院が自己評価書を作成し、それについてのチェックということになります。例えば授業内容などについては、認証評価基準の中で問題点が出てきやすいところがあるのですけれども、学外の支援など問題になると、少なくとも従来の評価基準で十分にチェックできる体制にあるというかというと、認証評価機関にもよるとは思うのですが、恐らくなかなか難しいので、今回のような問題が、認証評価結果を待てば自然と出てくるかというと、少しルートが違うという問題もあるのではないかと思います。したがって、かなり具体的な形で問題点を指摘されているので、その問題点の改善状況がどうかをフォローしていくことは、どうしても必要になってくるのではないかと感じております。

【小松審議官】
 今幾つかご意見をいただいた中では、その後の状況や、あるいはその手続的な制約等は確かめながらも、必要に応じてさらに絞り込み、設置基準に合っているかどうかではなくて、法科大学院なり司法制度改革の一環としての法科大学院あり方から具体的に議論しなければいけないかもしれない。その場合には、必要な措置をとるような方針をまとめてはどうかというご意見が多く出ているというふうに理解いたしましたので、そのように受けとめさせていただいて、後ほど精査するということでよろしいでしょうか。

【井上座長代理】
 幾つかの指標をとってヒアリングや実地調査を行うと、その指標がかなり意味を持っていることがわかったのですが、特に競争倍率がかなり意味のある指標で、他の問題と連動して質の問題に関わっているように思われます。そういう目で見ていかないと不公平だという感じがしまして、各校で来年度あるいは再来年度の入学定員を見直していますが、去年の司法試験の結果等の影響でかなり大きく変動しているようなことを聞いています。4月で入学者選抜の結果が判明すると思いますので、それを手がかりにして、やはり余りに低い競争倍率のところについては注意して見ていく必要があると思います。新司法試験の合格率が著しく低い状態が続いているところだけが問題なのかどうか心配な現象が出ているようにも思われます。

【永田委員】
 関連して、競争倍率が低いが一定の成果を上げている法科大学院は、院生の学力の二層化ないし二極化に対応して、それぞれに相応した教育をするという傾向もみられます。これについては、法科大学院として有効に機能しているかという点に問題があると考えています。ですから、調査対象になっていない法科大学院にも同様の問題が少しあるのではないかと思います。

【笠井(治)委員】
 認証評価という法令に基づく枠組みがあるわけですけれども、他方で第3ワーキング・グループがあるので、認証評価の制度そのものとの関係をよく見ながら、第3ワーキング・グループとして効率的に何が見えるのかということで取り組んでいくことが考えられると思います。

【井上座長代理】
 認証評価の基準は機関が設立された時に決められ、それに照らして認証評価が実施されてきたのですけれども、その後の状況を踏まえ、基準を少し見たほうがいいのではないかということが4月の特別委員会の報告で提言されています。そのうちの重要な部分については、今度の認証評価基準の改定の中で、各認証評価機関が取り入れていく方向で今検討がなされていると理解していますので、それが取り入れられれば多くのところは移行していくのではないかと思います。今のところは、非常に今事態が緊迫した事態であるという認識で提言を出し、それに基づいてどういう改善の努力が各法科大学院でなされているのかということを第3ワーキング・グループで、協力を求めて調査させていただく。それで、こちらが気がついたところはご意見も申し上げていくという位置づけだと思います。そのうちで定常的に見たほうがよいようなものは、認証評価基準に恐らく取り入れていかれるのではないかと思います。

【田中座長】
 この第3ワーキング・グループの活動は継続的に行っていただくという前提で、認証評価のとの整合性などは確認しながら進めていくということに関連した問題が多かったように思いますけれども、その点は意見を整理したいと思います。
  別のテーマに移りますが、改善状況調査のまとめでは、入学定員の見直しや修了認定の厳格化など、改善は着実に進んでいるというふうになっているのですけれども、ほとんどの大学で入学定員の見直しは行いましたが、私の考えている基準などから見れば、大学の教育能力や学生のレベルを踏まえて、それに適正な入学定員になっているとはとても思えないところが依然として多いように思われるのです。こういう取りまとめをすると、もう入学定員の見直しは十分に行われたととられる可能性もあることが気になります。

【稲田委員】
 各法科大学院としては、自主的・自律的に見直すインセンティブはあるのでしょうか。つまり、企業であれば、収益が上がらなければ、一生懸命頑張ったかどうかということは関係なく、おのずと何らかの抜本的な対策をとることを強いられることになると思います。今、法科大学院制度にとっての問題は、個々の大学の問題もあるのですけれども、法曹養成のプロセスの一番大きな部分を占める法科大学院を出た人の新司法試験合格率が非常に低いということだと思います。そのためにこのプロセスに対する信頼性が損なわれ、それで受験者が減るというようなことになっているのが問題という、制度全体の問題であって、個々の法科大学院の競争倍率が高くなくてもそれなりの入学者があって、この間のお話にもあったように、合格率が非常に低くても、学生は大学のせいにはしないで自分で頑張ればいいと思っているような仕組みです。個々の法科大学院としては、それなりに維持できてしまうということであると、法科大学院が自分で自分のことを改善しなければいけないというふうに思う基本的な仕組みがもうないのではないかと思います。そうすると、このように、若干の定員を削減するというようなことしか起きないと思います。自主的・自律的というのは大事だとは思いますが、個々の法科大学院が自分で改善するインセンティブは必ずしもないのではないかと思います。そうすると、やはりこの促進策をかなり強力にやらないと、個々の法科大学院レベルでの対策というのはとられなくて、結果として全体としての法曹プロセスの信頼性というものが改善されることが期待できないのではないかと思います。若干言い過ぎかもしれませんけれども、公的支援というようなことも含めて、かなり強いメッセージを出さないと、時間ばかりかかって、結果としてこの法曹養成プロセス、法科大学院制度に対しての信頼性をますます損なうことにならないか危惧します。

【松村委員】
 強いメッセージを出すという点では賛成ですけれども、組織の自主的・自律的見直しの促進をする対象というものをどういうふうにお考えになっているのでしょうか。競争倍率であるとか新司法試験合格率の低さが教育内容や授業内容に全部連動しているという話になってきますと、ワーキング・グループで実地調査をした範囲でしかわからない部分になります。全大学の状況を把握している状態ではないということになってくると、対象をどこまで絞るのかとかいう点もきちんと明確にして、その辺の基準をはっきりさせていないと、いろいろな不平不満が出てくるのではないかと思います。また、資料には新司法試験の合格率も書かれていますが、未修者と既修者でこれだけ合格率が違いますと、平均合格率はそれをトータルしていますので、未修者をベースに制度設計した大学はかなり低くなるし、既修者をベースにした大学は平均より上になります。そういったかなり細かいところも注意して見た上で、ある程度規模を絞った形にしないと難しいのではないかと思うのですけれども、そのあたりはどうお考えになっているのでしょうか。

【浅野専門職大学院室長】
 今までの委員のご意見を伺いますと、やはり合格率を競争させるわけではないけれども、非常に低迷しているところに対して、何らかの促進策をとるべきではないかということであります。合格状況で言うと、平均合格率というのはそういう意味では未修者、既修者の割合によって多少変わりますし、例えば昨年であれば平均合格率は27.6%だったわけですけれども、それを区切りとすると、相当多くの法科大学院が対象になってきますし、第3ワーキングで実地調査に行っていない法科大学院もかなり対象となるというご意見があったと思います。そういう意味では、各委員のお考えからすると、多くの法科大学院にそういう策をとるということではなくて、対象はかなり限定的にするという理解でよろしいでしょうか。

【井上座長代理】
  第3ワーキング・グループとしては、調査の対象は全校としました。その際に、幾つかの指標を手がかりに、必要なところについてヒアリングをし、さらにヒアリングの結果を踏まえ、必要なところに実地調査をさせていただいたということです。その結果、前回ご報告したように、抜本的に改善していただく必要があるものとか、改善の努力をさらに検討して見させていただく必要があるという指摘をしたのです。ですから、一定の切り口で、少し心配があるというところを絞り込んでいったということです。ここで、促進というのは、改善の努力は自らやっていただくのが基本だが、ただ委せているだけでは改善が進まないかもしれない、その場合により強力に促すような方策も必要になってくるであろうということなので、この対象はかなり絞られているのです。我々が指摘させていただいた対象でもまだ広過ぎるということもあるかと思ういます。それは、特に問題があるところはもう少し強い促進策が必要であるという考え方だというふうに思います。そういうことで見て来たのですけれども、今、法学未修者は不利ではないかと言われたのは、まさにそういう問題があるので、さらに最新のデータをもとにして、他のところも見直さないといけないかもしれないということですね。

【松村委員】
 わかりました。ですから、対象は限定し、その後の状況を踏まえた上でまた考えればどうかという意見です。

【井上座長代理】
  非常に難しい問題ですけれども、法科大学院が社会から負託された責務から見ると、法学未修者は苦戦しているからといって、法学未修者中心であることをエクスキューズとすることを認めるということはできないと思います。もし効率的に、あるいは効果的になっていないとすると、システム自体を見直したり、法学未修者に対する教育のあり方を工夫するなどしていかないと、アウトプット自体は非常に厳しい状況がずっと続いてしまう。これは制度全体の問題でもあるのすけれども、各校の教育の問題でもあるので、エクスキューズを認めるというふうな状況ではもはやなくなっていると思います。

【松村委員】
 司法試験制度自体についてここでも議論になったことがありましたが、そういったものも含めた形で全体的に見直していかないと、若干いびつな感じになるイメージがしますので、そのようにぜひお願いしたいというふうに思います。

【田中座長】
 この文章自体は、ワーキング・グループのまとめという形でまとめるのでしょうか。

【浅野専門職大学院室長】
  促進策については、前回もご意見をいただきましたので、本日のご意見も踏まえて、最終的には委員会としてのまとめとしていただければと思います。

【永田委員】
 この委員会の次回での取りまとめなんですが、公的支援について、どういう方策でというところまで踏み込むのかという議論になりました。相当難しくなると思うのですが、いくつかある公的支援に踏み込んだ対応が必要だということをここで取りまとめるということなのでしょうか。

【浅野専門職大学院室長】
  この委員会でご意見いただいた内容を中心に取りまとめるということで、具体的な仕組みの詳細までご検討いただくということではございません。

【田中座長】 
  具体的にこういう方策をとるべきということではなくて、こういうことを検討する必要があるということです。先ほどもご意見があったように、自主的・自律的改革を進めるには、それだけではうまくいかないところがあるから、一定の促進方策を考える必要があるというとりまとめであって、具体的な仕組みまでは検討するのではないということですね。
  設置のときにも、どういう形で法科大学院を支援するかということは、最終的には我々も全く関知しないところで決まったわけでして、どの程度発言ができるのかというのはよくわからないところがあるのです。学生定員ベースで私学助成をしているからなかなか学生定員が減らないのかもしれないとも思いますが、学生定員を減らしても教員を減らすべきではないという議論がされてきております。ただ、こういうのは全体の助成の仕組みとの整合性の問題があるので、法科大学院だけ特別にというのは難しいようで、よくわからないのです。

【小松審議官】 
  法科大学院制度が始まったときに、検察官や裁判官の方に教員として来ていただくとことも含めて、公的支援についてはいろいろな検討が行われました。基本的には、個人の学生さんの就学のための支援、それから各校が教育研究条件を整えるための運営費の補助、それから立ち上がり期ということだけで申し上げますと、スタートアップのためのいわゆるGPと言われる公募型の支援という3つの形で始まったわけでございます。今現在で言えば、スタートアップの支援はもう終わっているわけですけれども、基本枠組みはそういうことで皆様のご了解をいただいてやってきたということでございます。テクニカルな部分は、さまざまな要素が絡んでまいりますので、政策的にも財政的にも、いろいろ議論はあると思います。ただ、よりよい法曹養成のためには、改善の取り組みや努力の状況、アウトプット、アウトカムといったものについて、どういう支援の仕方をするかもきめ細かく考えて、国民的な目から見たときに説明をしていかなければいけないことも事実です。その基本方針について、認証評価との関係もありますけれども、それは大学制度一般に近いところでございますのので、まさに法科大学院としての法曹教育の観点から、中教審の立場から方向性をとりまとめていただければと思います。

【田中座長】
  予定の時間を過ぎましたので、これで終わらせていただきたいと思いますけれども、本日いただきましたご意見や議論を踏まえて、各法科大学院における組織の見直しの促進方策について、この特別委員会としてある程度の結論を次回まとめることにさせていただきたいと思います。
  では、事務局から今後の日程について説明をお願いいたします。

【浅野専門職大学院室長】
  次回は3月12日金曜日10時半から12時の開催を予定しております。詳細につきましては、改めてご案内をさせていただきます。

【田中座長】
  それでは、本日はこれで終了します。

 

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