法科大学院特別委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成19年5月10日(木曜日) 10時~13時

2.場所

如水会館 コンファレンス(1階)

3.議題

  1. 認証評価の質の向上について(認証評価団体との意見交換)
  2. その他

4.議事録

 事務局より配付資料の説明が行われた後、認証評価の状況について日弁連法務研究財団、大学評価・学位授与機構、大学基準協会の各認証評価機関より以下のとおり説明があり、引き続き質疑応答が行われた。

【ヒアリング対象者】
 当機関が評価をするに当たって最も重視したのは、法科大学院を支援するという視点である。各大学の法科大学院がどういう取り組みを行うかは、向き不向きがあり、例えば大規模大学の取り組みをそのまま小規模大学が取り組んでもうまくいかない。現在21校の取り組み事例集を作成中であり、こういった事例集の中から法科大学院が自分の大学に合うものを選択できるよう情報の提供を行うという形で、評価を通じて情報を収集し、それらを法科大学院に還元するというシステムをとりたいと考えている。
 2点目の特徴として、法曹養成ということを重視している。第三者評価ということでただ評価するだけではなく、法曹養成の中核としての法科大学院、司法試験、司法修習、司法研修まで含めて当機関の情報を提供して、充実した法科大学院教育が行われるようにしてもらいたい。
 さらに当機関の特徴として、現地調査を重視つまり対話を重視しており大学の執行部のほか、学生はもとより、卒業生とも意見交換をしている。また現地調査重視ということで、授業をできるだけ見せていただくという姿勢である。
 また評価に当たっては、個性ある、特徴ある教育を長い目で見て評価しようと考えており、大学に対し積極的に改善提案をしている。この改善提案をどうするのかは大学次第であり、大学が考えるきっかけになればよいと考えている。
 これまで評価に際しての問題点としては、まず、教員の負担の軽減を考えていかなければならないということである。法科大学院を設置して1年目は教員負担が大きく2年目、3年目になるにしたがい、若干軽減していると思うが、できるだけ早期に教員負担を軽減するべきであると考えている。さらにFDの定着という問題がある。これについても年々良くはなってきているが、やはり協力的でない教員などがいることは事実であり、これらをどうするかは執行部も苦慮している。中教審においても積極的に提言してもらいたい。また成績評価についてだが、1年前よりは法科大学院評価にいろいろ工夫をした結果なのか、以前よりは安定性が増しているが、まだ不十分なものもある。教育のことなので1、2年で結論が出るという問題ではないと思うが、後々のことを考えるとこのレベルで合格させていいのかなといった議論は真摯に行うべきである。さらに問題として、弁護士になれたので一人前だというわけにはいかず、経験がないので1、2年は事務所に勤めて仕事を覚えなければならないが、就職は厳しい状況であり、法科大学院としては送り出すだけではなく、その後のアフターケアをしていかなければいけない時代がくるのではないかと心配している。
 さらに設置基準については、個人的な意見としては教員の科目適合性が狭すぎるという印象があり、ぜひ科目適合性を緩和する方向で一度検討してもらいたいと考えている。

 当機関の認証評価基準は適格・不適格という評価のほかに多段階評価を行っている。評価基準についてそれぞれD評価、あるいは不適合という評価になると、法令に由来する基準であればそれ1つの不適格、あるいはD評価で全体として不適格となる。この評価基準について意見があったのは、例えばBが5つでCが4つ、あるいはBが4つでCが5つというような形での評価では不適格になるのではないかという意見があったが、そのようなことはなく、各基準について不適格あるいはD評価とならなければ不適格評価とはならない。A、B、Cという評価はあくまでBが通常の法科大学院の基準であって、Cが落ちこぼれというものではなく、C評価は法科大学院の基準を満たした上でさらなる充実を求めるという意味である。
 評価基準について当機関の特色としては評価報告書が公表された後に、異議審査手続をすることができ、実際に成績評価について異議申し立てをする大学もあった。異議については異議審査委員会で検討し、さらに当部会においても検討し、最終的な結論を出すことになっている。

【ヒアリング対象者】
 平成17年度から予備評価を開始し、法科大学院からの求めに応じて実施している。これは法科大学院関係者の理解と習熟を高めるとともに、本評価に先立って教育活動の改善に質すること目的としている。また、平成19年度より本評価を開始しており、19年度は予備評価を3大学、本評価を11大学が受審の予定となっている。
 評価は、評価結果を各法科大学院にフィードバックして法科大学院に役立ててもらうことや、各法科大学院の個性の伸張に努めるため各法科大学院の特色を踏まえて評価を実施するなどを目的としている。
 また評価基準については、10章54の基準があり適格認定を受けるには54基準のすべて満たす必要がある。基準の10章については目的、内容、方法、成績評価及び修了認定、教育内容の改善手続き、入学者選抜、支援体制、教員組織、管理問題、施設設備という項目があり、評価の方法としては各法科大学院が作成・提出する自己評価書及び当機構が独自に収集する資料あるいはデータに基づいて書面調査を行い、その後評価担当者による訪問調査を実施する。この書面調査と訪問調査の結果を踏まえ調査結果(案)を作成し、この結果について法科大学院からの意見を受け、協議し、評価の確定・公表を行っている。評価の結果についてはそれぞれの法科大学院に通知するほか、当機関のホームページなどにより広く社会に公表する。

 当機関の予備評価は先程のとおり10章54の基準があり、細かすぎるのではないかという声もあるが基準として書けることは極力明確にし、安全性を高めるということを重視している。
 これまでに17大学について予備評価を行ったが、この際改善を要する点についてのみ指摘をするのではなく、優れている点は優れている点として指摘している。望ましいことをしているところにはプラス評価とすることが大事だという考えである。
 これまでに優れている点として指摘したものは、例えば、教育内容の面では各科目において複数の授業科目が配置されていることや、教員組織に関して、研究専念期間が確保されていることがある。この研究専念期間の確保するということは、中長期的に見て非常に重要であろうと思う。また学生の支援体制においては身体障害のある学生に対してバリアフリーの設備等が設けられていることに加えて、専門スタッフ、必要な配慮、実施内容等を本人と相談しながら決定していくという質の高い支援が行われている例もある。
 改善を要する点として指摘したものは、例えば、教育内容の面で新司法試験を意識した答案練習を授業内容全般で行われているようなところがあった。また学生数の問題では標準は50人であるが、大規模ロースクールにおいては、標準をはるかに上回るような数の学生が同時に受講している。多ければよくない、少なければよいと単純に言えるものではないが、当機構としては改善を要する点として指摘をするというスタンスである。そのほか成績評価や修了認定において科目間・教員間における評価尺度の共有化についての議論が不十分などといった場合は好ましくないという考えである。
 今はまだ予備評価の段階であるので、気づいたところをいろいろと指摘し、改善を申し入れる。あるいは優れた点はぜひさらに充実してもらうよう報告をする。いよいよ今年度から本評価が始り、基本的には予備評価と変わらないが特に3点について述たい。
 まず第一に、教員の授業科目適合性の調査については、大学や法科大学院の設置許可のときの教員の資格審査を認証評価として同じことをするという趣旨ではなく、あくまで教員組織の評価の一環としてそれぞれの科目担当者がその科目を担当する適合性を有しているかという点について確認する必要があるということである。法律基本科目や必修科目担当の先生についてはとくに科目適合性を見る必要があり、対象となるのは専任の先生だけでなく、学内の法学部の先生の兼任や非常勤先生の兼任の先生も対象となる。専任なら一定の資格がいるが、非常勤は一切不要だということではないと考えている。なお当面は設置審の教員審査を受けた教員については「適格」として取扱う。
 次に法科大学院からの年次報告書の提出である。当機関から適格認定を受けた法科大学院は次の評価を受けるまでの間、毎年定期的に一定の重要事項に関する報告を提出してもらう。このことにより大きな変更がない場合は同様の内容、水準が保たれているということが推測される。また大きな変更があった場合には次の評価を待たずに、その時点で適格な評価を実施するということが適当である。
 それから追評価という仕組みがある。これは本評価の場合に1つ2つの項目に関して適格認定を得られなかったような場合にその満たしていない基準に限定して再審査を受けることを可能とするものである。再度審査の結果、基準を満たした項目に関しては、既に基準を満たしていたものと合わせて適格認定を行う。

【ヒアリング対象者】
 当機関は、これまでの大学教育の認証評価の経験を活用した評価を行う。法科大学院の認証評価については当然各法科大学院による自己評価の点検、その報告書の分析と実地視察をすべて行い、それに加えて当機関が独自に設定した基準に基づいて行う。
 当機関が独自に設定した評価基準は、まずそれぞれの法科大学院が掲げる教育理念・教育目標を尊重し、その理念・目標の達成のために当該法科大学院がどのような努力を行い、その成果を上げているのかという観点を重視して評価を行う。その内容は大きく10の項目で構成されている。評価項目についてはレベル1及びレベル2と設定しており、レベル1とは法令等の遵守に関する事項と当機関が独自に設定した基本的な事項に関することであり、レベル2とは各法科大学院独自の特色ある取組みについての事項に関することである。
 レベル1の法令の遵守事項の評価については適格認定の可否に繋がる。当機関が独自に設定した基準の評価については基準が満たされていない、あるいは大きな問題があるという場合には勧告、あるいは問題点の指摘となるが、当機関が設定する全ての項目で重大な問題があるような場合は認定の可否に及ぶような場合もある。レベル2の各法科大学院独自の特色ある取組の評価については問題点の指摘や長所の評価となる。
 評価基準について、その内容は大きく分けると10の項目であるが、小さく分けるとレベル1の法令等の基準に関する事項については39項目、当機関が独自に設定している事項については42項目あるので認証の可否に及ぶ項目は合わせて81項目となる。またレベル2の評価項目としては31項目あり、全体で112項目について評価を行う。
 認証のプロセスは、申請書類の提出から最終的に審議した委員会での評価の掲示及び意見の申し立て、理事会の最終決定、公開というような手順になっている。この手順の中には実地視察も含まれており、事前に書類を確認し評価を行い、実際に現地に行って確かめたい部分などについてそれぞれ委員の中で確認し、それを評価を受ける大学に指摘や点検を行う。

【委員】
 認証評価に対して異議の申し立てがあった場合どのような手順で審議をするのか、また新司法試験の結果、合格率が低かったまたは合格率が高かったなどの場合、評価に関して何か影響を与えることはあるのか。

【ヒアリング対象者】
 報告書に対する異議申立てについては異議審査委員会が対応する。ここで評価対象法科大学院からの異議申立てを審査し、審査した結果を認証評価審議会が更にチェックする。そして対象大学及び評価報告書を作成した評価委員会の双方の意見を聞いた上で、評価機関としての結論を出すことになっている。
 新司法試験の結果については、当機関としては評価結果と関係はないと考えている。第三者機関としてプロセスを判断するとしている以上は理論的には関係がない。

【ヒアリング対象者】
 異議申立てがあった場合は、当機関では当該対象法科大学院の審査を担当した者は入れずに、別の先生方で構成する本部会を設けて公正な手続きを経て判断するという仕組みになっている。ただそれ以前に、コミュニケーションの行き違い等でよく話し合えば分かり合える問題がかなりあり、これまでの予備評価でも食い違いに関してよく話を伺うとただの勘違いだったということで評価を改めることもあった。
 また新司法試験との関連については、全く関係ないとは言い切れないが、試験の結果により評価が全て決定するということはない。

【ヒアリング対象者】
 評価のプロセスとして、分科会の評価結果が各大学に周知された後、当該法科大学院の意見を聞く。ここで大きな意見の食い違いがある場合には、必要な措置を実施する。これを踏まえ当機関の理事会で最終的な議論をし、各大学からの異議の申立てがあった部分についてどのように評価するのか検討する。このように最終的な報告をする前に各大学と充分に話し合っているので、最終的な報告の後に異議申し立てが行われるというケースは余りないだろうと考えている。
 それから評価と新司法試験の結果との関連については、直接の評価対象、評価項目には記載していない。成績評価の厳格性や各法科大学院の教育の努力というようなところで間接的に影響があるかもしれないが、新司法試験の合格率との関係で評価は行わない。

【委員】
 教員の審査の関係では、研究実績よりも教育能力のほうが実際には重要なのではないかと思うことがある。いろいろな方の授業を聞いてみて、これでは学生がまじめに話を聞かないだろうなと思う方も現実にいる。このようなことに見るためには実地調査で実際に行くしかないと思うが、全ての教員の授業を確認することはできず一部の人の授業しか聞けない。このような点をどのように審査に取り入れるべきか。
 それから評価の際には、それぞれチームで分担して評価することになるが、その際主観的な要素等による評価のばらつきを避けるためにどのような工夫をしているのかというところを伺いたい。

【ヒアリング対象者】
 確かに学生がまじめに話を聞かない授業を行う先生もいると思うが、そうした場合、学生のアンケート結果や共通の科目担当者会議等で問題をどのように把握し、それを改善しているのか、あるいはそのような教員をどのように教育していくのか、それが具体的にどのような成果を上げているのかを当機関としては評価をするものであり、現地調査に行って、学生からの話により、この先生はおかしいとされても、その先生に直接話をするということは考えていない。
 それから評価のばらつきの件は、複数の分科会で評価結果を作成した後、このばらつきについて、親委員会の方の例えば委員長、副委員長、監事等が集まりばらつきについて精査をする。そこに1つの一定の原則というものができればそれを公表して次のときに使ってもらう。このような一定の原則の積み上げという作業は外せないと思う。

【ヒアリング対象者】
 教育能力の審査は、同じ先生が学生によって評価が異なるということもあり、なかなか難しい。しかし当機関では訪問調査、授業の見学に1回は入り、さらに学生ヒアリングをかなりの時間をかけて行っており、相当のことが把握できる。
 学生ヒアリングにおいては実務家教員について本当に役に立つことを教えてくれるということで、評判が良い先生が多いが、研究者教員の方が良いという評価もあり、一律には言えない。このような学生の意見についてそのまま採用するのではなく、FDなどを通じて学生の意見について前向きに検討してもらうことに繋げたいと考えている。
 評価のばらつきに関しては、他の評価機関とほぼ同じであり、複数の部会でそれぞれ該当がありそうな、特に難しい問題は部会長会議等で調整する。これについては重要なプロセスと認識しており、それぞれの親委員会で判断する。このような評価の蓄積は評価側の非常に大事な財産になっているという実感がある。

【ヒアリング対象者】
 まず一点目として、アンケートや学生との対話、あるいは卒業生との対話を通じて、いろいろな情報を仕入れ、情報の多角化を図る。ただ必ずしも学生の意見が正しいと言えない場合があり、アンケートの結果を重視し過ぎないように注意している。実際、良い授業を行っているにも関わらず学生の評判が悪い教員もおり、これは学生と教員の間の意思疎通がうまくいっていないためであると考えられる。このような情報は大学側に提供するが、必ずしもそれに拘泥せず、純粋に見てほしいと評価委員にはお願いしている。
 このような中で、やはり教育能力というのは重要な要素である。研究業績と教育実績が直ちに連結しないことも、事実だがやはり研究実績を持っている先生が教育についても良い教育をしている例が多いように感じる。
 それから評価のばらつきについては、大学との対話を重視することにより評価のばらつきをなくすようにしている。そのほか、評価委員会の中で小委員会を設けて、ばらつきを訂正し、その上で当該評価をもう一度評価委員会にかけて他大学との比較を行っている。

【委員】
 実際に評価を受けるのは、非常に大変だったが、しかし我々自身が自分の大学を見直すという意味で、非常に有益であったし、改善の方向に向かっている。それと同時に評価を通じて大学の各教員だけではなく、大学全体としても認識を共有することができ、非常に有益だったと考えている。本大学では今回財団法人日弁連法務研究財団の評価を受けたが、4年ごとに他の団体の評価をもらい、その他に大学全体として年に一回、大学基準協会の評価を受ける。3つの評価機関全てから評価を受けるようにして、それぞれの視点から評価してもらおうと考えている。報告を毎年出す等負担は軽くはなかったが、有益だったと考えている。
 評価については、最終的な評価結果までの間に十分に意見交換をしているが、最終的に見解が大分違ったということで認定に関して異議を申し立てている。例えば卒業認定について異議申し立て制度がないのはどうか、と言われているが卒業認定については単位制をとっているので、卒業に必要な年数と単位があれば卒業し、それ以上に卒業認定試験はしない。つまり異議申し立てがあるのは計算間違い以外になく、計算間違いについてはその場で直せるので異議申し立て制度を設ける必要はないと考えているということで、異議申し立てをしてこちらの考え方を示している。
 また評価報告書についてだが、本大学では兼任教員も含めて150名の教員がいるため、短い期間内に外部に公表しない形で評価報告書を全員に確認してもらうのは現実的には不可能である。すると、個別の科目についてこの科目にはこのような問題があると書かれているが、これは事実と異なるということを、最終的な評価表になって初めて当該教員が知るということになる。しかし最終評価の訂正にはつながらず、教員等にかなり不満があり、それぞれの事情に応じて、柔軟に対応しなければならないと思う。
 その他に若手教員の育成の問題があり、法科大学院制度は若手、後継者を育てるのにうまくなじんでいないところがあるように思う。法科大学院の中には教員養成機能はないので、教育経験を受けさせてまた戻ってくるといったプロセスをどう確保するかは深刻な問題である。この問題について考えなければ早晩、教員不足ということになりかねない。

【委員】
 法科大学院の後継者養成というのは確かに大問題である。これは深刻な問題であり、設置基準そのものの早急な見直しが必要ではないか。

【委員】
 教育経験のない人を雇っているのはどうか、というような評価をされるなら、もっと若手を採用して育てていくことに協力的にならざるを得ないと考える。

【ヒアリング対象者】
 教育能力のない人がいけないということではなく、最後は大学がその人の教育能力、あるいは研究能力を判断して、法科大学院にふさわしいと認定すればよいと考える。早晩、70代の教員ばかりになる、という事態だけは避けてもらいたい。

【ヒアリング対象者】
 評価する側とされる側では認識が異なる部分がある。評価する場合は基準や評価の視点を定めていく場合に、根拠を作っているか、それに基づいて実践しているかという問いかけをしていくが、従来、大学では不文律のような形で、こういう場合はこのように対処するというようにすることが多い。こうした部分を評価をする際の視点等にうまく繋ぐことができていない部分があるのかもしれない。このような点は、評価基準などを作るときにも感じており、今後、実際に評価をしていく際に、このような問題にどのように対処すればいいのかについて考えなければならない。実際、教授会等にいろいろな委員会を設けているが、その委員会のための規定が全てあるわけではないということも多い。
 学生アンケートの件では、当機関の考え方としては、例えばアンケートにかなり問題のある記述が出ていたときに、大学に対し、このことをどのように把握しているのかを確認し、大学としてどのように対処するのかを確認する。大学の取組が不十分であると判断した場合、問題点であるとして記載する。

【委員】
 評価機関が複数できた場合に、大学が基準の甘いところを選択することはないかと心配している。また、これだけ労力をかけるのであるからただ基準に適合していて、存在が違法ではないかということを判断するだけではもったいないと考える。基準に適合しているかだけではなく、何らかの評価を世間に発信するということは非常に意味があると思う。
 それからもう一つ、修了答案について、この答案で修了しているのはおかしいのではないのかというような答案が発見された場合、さらにその人の他の答案について確認する等の対応をするのか。

【ヒアリング対象者】
 トライアル段階では大学に改善を求めており、担当教員とも話し合い、改善をしていただいた。また、明確にこの答案で合格させるのはおかしいというのが、例えば二、三あったときには、本評価をした場合は、厳格な成績評価という点で不適とする、ということになるかと思う。

【ヒアリング対象者】
 答案の評価に関しては、個別の科目に関しておかしいと判断した答案については、担当教員と議論することを通じて確認する。

【ヒアリング対象者】
 答案チェックをしてみて、問題点が見つかった場合には、この先生の他の答案についても実地調査に合わせてチェックすることになると思う。

【委員】
 法科大学院認証評価が、専門職大学院としての位置づけも含めて、大学としての組織評価の中でどのように位置づけられるのかを少し整理する議論が必要である。5年に1度の認証評価と大学としての組織評価では評価基準が異なるものである。

【委員】
 いろいろな意見が出てきているが、このことが今後の具体的な活動の中で定着していけば良い方向にいくのではないかという印象を持っている。認証評価については相当の負担があるが、その負担にふさわしいだけの成果を上げ、法科大学院がよくなることが重要だと思う。
 特に初めのうちはかなり負担がある。これが少しづつ改善していくに従って、簡略にしてもいいものについては負担が軽減されていくことが、健全な大局的なプロセスではないかと思う。異議というものは、評価の最大のイベントであり、異議を申し立てそれを通じて理解が深まっていかなければ評価制度の意義の大半を失うことになる。異議にこそ法科大学院の将来がかかっている。

5.次回の日程

 次回の日程は改めて調整することになった。

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高等教育局専門職大学院室