資料2-2 パブリックコメントの結果について

1.意見募集の概要

(1)募集期間 平成24年11月30日(金曜日)~平成25年1月4日(金曜日)
(2)告知方法 ホームページ
(3)受付方法 電子メール、郵便、ファックス

2.意見総数

  86通 (個人:48名、団体:3団体、不明:11通)
<内訳>
   (個人)教育関係者:33名、会社員:15名
   (団体)高等教育関係団体:3団体

3.意見の概要及びその考え方

高等教育関係団体の他個人48名から意見が寄せられたところ、その概要は以下のとおり。

教育研究成果の公表について

  • 博士論文は教育成果の最たるものであり、公共的価値の高い学位につながるもの。改正により、教育の説明責任が果たされ、研究が進展するものと期待。
  • ジャーナル掲載や出版刊行に係る分量や体裁等の制約を受けない博士論文がインターネットにより公表されることは、学問・技術の発展に大きく寄与するものと期待。

オープンアクセス化の推進について

  • 閲覧希望者にとってアクセスが容易となり、利便性の向上が見込まれる。
  • 大学や公的研究機関における機関リポジトリの構築の推進や、教育研究成果の電子化による体系的収集、保存やオープンアクセスの促進につながるものと期待。
  • インターネットの利用による公表により、剽窃が容易になることが懸念される。
  • インターネットの利用による公表は、国際的なオープンアクセスを可能とするため、要旨等について日本語・英語による併記を必須とすべき。また、多言語への対応も検討されるべき。
  • 学位論文の国際的な発信を考慮し、大学図書館が中心となって、今般の改正に合わせて学位論文のメタデータをNDLTDに提供することを考えるべき。

公表の方法等について

  • インターネットによる公表を原則とするのではなく、当分の間、印刷公表を希望する者は従来通りの印刷公表で足る仕組みとすべき。
  • 博士論文の公表に当たっては、著者の同意が必須であることを規定すべき。
  • 各学位授与機関の協力を得て行われる公表については、国立国会図書館における保存・公表とは別に、その機関リポジトリ(共用リポジトリを含む)による公表を基本とする旨周知を図るべき。
  • インターネットの利用による公表では、博士論文の長期的な保存が難しいのではないか。
  • 公表論文の円滑な利用に向け、大学図書館関係者や機関リポジトリ運営者と情報基盤整備関係者が協力して電子データに係る安定的識別子などを整備するよう、文部科学省は協力を要請すべき。
  • 国立国会図書館が一元的に収集・公開することを制度化すべき。
  • 公表に際して、広く閲覧に供するという目的の実現のためには、登載論文のファイル形式や文字フォント、ホームページ環境などに十分な配慮が必要。
  • 機関リポジトリによる公表により、論文作成者に加え、各学位授与機関が著作権処理等に一定の責任を負うことになり、両者の負担が懸念される。
  • 公表論文の利用許諾条項を明確に設定するなど著作権への配慮を行うべき。

公表に伴う不利益等について

  • 博士論文の出版刊行を予定している場合、当該論文の全文をインターネットの利用により公表することは論文作成者にとって不利益となることがある(人文・社会科学系においては著書が主たる業績として捉えられる傾向)。
  • 二重発表を禁止しているジャーナルへの博士論文の掲載等を予定している場合、当該論文の全文をインターネットの利用により公表することは論文作成者にとって不利益となることがある。
  • 博士論文が秘匿すべき情報、広く公にすることが適切でない内容等を含む場合、当該論文の全文をインターネットの利用により公表することは不適切である。
  • 博士論文が著作権の関係によりインターネットの利用による公表ができない内容を含む場合、当該論文の全文をインターネットの利用により公表することは不適切である。
  • 博士論文に記載された内容に基づく特許申請等を考えている場合、当該論文の全文をインターネットの利用により公表することは論文作成者等にとっての不利益となることがある。
  • 「やむを得ない事由」のより具体的な例示やリポジトリ構築に際しての注意点等周知を図るべき。
  • 公表の抑制につながるため、「やむを得ない事由」を従来の解釈範囲より広く捉えるべきではない。可能な限り包括的な公表とすべき。
  • 「やむを得ない事由」が解消した際には、インターネットの利用を通じた全文の公表が必要である旨周知すべき。
  • 博士論文の公表は、学位授与後1年以内ではなく、より長い期間の猶予が必要である。

その他

  • 博士号取得者にとって出版経費は大きな負担であり、インターネットによる公表は時代を反映した的確な改正。
  • 学位取得者が行う著作権処理に関し、大学や大学機関リポジトリ運営織関係者の協力を得て文部科学省は努力すべき。
  • 今後各学位授与機関が適切に公表を行っているか調査し、公表すべき。
  • デジタル化は避けられない時流だが、並行して、出版・活字文化を通じて日本語・日本文化を守ることについて、丁寧な議論を多くの国民が参加できる形で進めるべき。
  • 学位授与大学に統廃合があった際の取扱いについて検討するべき。

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成25年02月 --