資料2-1 学位規則の改正案について

第一 改正の趣旨

 博士の学位を授与された者は、博士論文を印刷公表することとされている(学位規則(昭和28年文部省令第9号)第9条)ところ、大学院における教育研究成果の電子化及びオープンアクセスの推進の観点から、印刷公表に代えて、インターネットを利用して公表することとするための改正を行う。

 あわせて、博士論文要旨等の公表(同第8条)についても、インターネットを利用した公表とするための改正を行う。

第二 改正の概要

1 博士論文要旨等の公表について

 大学及び独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う、授与した博士の学位に係る論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表について、その方法をインターネットの利用による公表とする(第8条関係)

2 博士論文等の公表について

 博士の学位を授与された者が行う、当該博士の学位の授与に係る論文又はその内容を要約したものの公表について、その方法を、印刷により公表することに代えて、当該博士の学位を授与した大学又は独立行政法人大学評価・学位授与機構の協力を得てインターネットにより公表することとする(第9条関係)

3 施行期日

 この改正は,平成25年4月1日から施行するものとする(附則関係)

(参考1)学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)(抄)

(論文要旨等の公表)

第八条 大学及び独立行政法人大学評価・学位授与機構は、博士の学位を授与したときは、当該博士の学位を授与した日から三月以内に、当該博士の学位の授与に係る論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表するものとする。

第九条 博士の学位を授与された者は、当該学位を授与された日から一年以内に、その論文を印刷公表するものとする。ただし、当該学位を授与される前に既に印刷公表したときは、この限りでない。

2 前項の規定にかかわらず、博士の学位を授与された者は、やむを得ない事由がある場合には、当該博士の学位を授与した大学又は独立行政法人大学評価・学位授与機構の承認を受けて、当該論文の全文に代えてその内容を要約したものを印刷公表することができる。この場合、当該大学又は独立行政法人大学評価・学位授与機構は、その論文の全文を求めに応じて閲覧に供するものとする。

(参考2)学位規則の改正案に係る考え方(補足)

1 大学等の協力を得て行う博士論文等のインターネットの利用による公表について(第9条関係)

 博士の学位を授与された者が行う、当該博士の学位の授与に係る論文又はその内容を要約したもののインターネットによる公表は、当該博士の学位を授与した大学又は独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「学位授与大学等」という。)の協力を得て行うこととする。
 これは、インターネットの利用による公表は様々な形態が考えられる一方で、博士の学位を授与された者各人が各々の手法でインターネット上に公表するのではなく、長期にわたり継続してインターネットを利用した公表が維持されるためには、学位授与大学等が責任を持って一元的に管理し、発信することが望ましいと考えられるためである。
 学位授与大学等の協力を得て行うインターネットの利用による公表とは、各学位授与大学等の機関リポジトリ(国立情報学研究所が提供する共用リポジトリ(JAIRO Cloud)を含む。)やホームページの活用を想定している。

2 博士論文の全文に代えてその内容を要約したものの公表とすることができる「やむを得ない事由」について(第9条関係)

 博士論文の全文に代えてその内容を要約したものの公表とすることができるやむを得ない事由とは、インターネットによる公表により明らかな不利益が発生する場合(全文が出版刊行や学術ジャーナルへの掲載により一年の猶予期間を超えた制約がかかる場合、秘匿すべき情報を含む場合等)や、印刷公表は可能でもインターネットによる公表が不可能な内容を含む場合(当該論文紙面に立体形状による表現を含む場合等)等を想定している。

3 国立国会図書館への博士論文の送付について(その他)

 これまで昭和50年大学局長通知に基づき各大学において行われてきた国立国会図書館への博士論文の送付については、これまでの印刷物の送付に代えて、博士論文に係る電子データを国立国会図書館に送付することとする旨、各大学に通知することを予定している。
 なお、国立国会図書館は送付を受けた電子データの公表について検討しており、この場合、博士の学位を授与された者は、学位授与大学等を通じて国立国会図書館に電子データを送付することをもって、インターネットによる公表を行ったとすることも可能となる。

お問合せ先

高等局大学振興課大学改革推進室

大学院係
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-- 登録:平成25年02月 --