大学院部会(第113回) 議事録

1.日時

令和5年11月30日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 人文科学・社会科学系における大学院教育の振興方策について
  2. その他

4.出席者

委員

(部会長) 湊長博部会長
(副部会長) 村田治副部会長
(臨時委員) 加納敏行、川端和重、神成文彦、小長谷有紀、小西範幸、佐久間淳一、迫田雷蔵、須賀晃一、菅裕明、高橋真木子、塚本恵、濱中 淳子、永井由佳里、堀切川一男、宮浦千里、横山広美、和田隆志の各委員

 

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長、伊藤文部科学戦略官、小幡高等教育企画課長、髙見高等教育企画課高等教育政策室長他

5.議事録

【湊部会長】 それでは、所定の時刻になりましたので、第113回の大学院部会を開催いたします。本日は御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日は濱中委員が少し遅れて御参加ということでございます。それ以外の全ての委員に御出席をいただいておりますので、早速始めたいと思います。
それでは、まず、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【金井大学院振興専門官】 高等教育政策室大学院振興専門官の金井でございます。
ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言の際は、「挙手」ボタンを押していただき、部会長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御発言の際は、通常よりも声を張っていただければと思います。また、御発言以外はマイクをミュートにしていただくようお願いします。
資料につきましては、議事次第の記載のとおりです。事務局からは以上となります。

【湊部会長】 ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。前回の大学院部会は10月26日に開催されましたが、その際、「人文科学・社会科学系における大学院教育の振興方策について(審議まとめ)素案」に対する議論をいただきました。委員の皆様から非常にたくさんの活発な御意見をいただいたところであります。本日は、その前回の議論、さらに会議後にいただいた御意見等々も参考にして、修正させていただいた案を準備いたしました。
私の方でも少し文章について分かりやすくするために手を加えた部分もございます。
本日はまず、その修正案につきまして事務局から御説明をいただいて、その後で少し議論をさせていただきたいと思っております。
それでは、事務局からお願いします。

【髙見高等教育政策室長】 それでは、早速ですけれども、お手元の資料1を御覧ください。
先ほど湊部会長からもお話しいただきましたが、前回10月の大学院部会で審議まとめ素案について御審議いただきましたが、この本審議まとめ案は、前回部会での御意見、それから、その後の委員の皆様から個別にいただいたものを反映したものとなっております。前回大学院部会からの修正箇所に下線を付しておりますので、そちらを中心に概略を説明いたします。
2ページを御覧ください。2ページですけれども、「はじめに」の冒頭に、少子化の動向ですとか社会経済活動が変化する中、人文科学・社会科学分野への期待が高まっていることを明記しております。
3ページ目を御覧ください。2ポツとしまして現状を書いておりますけれども、こちらについては、文書で書き下ろしていたデータの記載が煩雑であるというような指摘もいただいたことから大きく改変し、ポイントを絞りまして課題とデータを示すこととしております。これが3ページ目、4ページ目となります。
5ページ目を御覧ください。3ポツとしまして、今後の人文科学・社会科学系大学院の在り方としまして、ここから6ページにかけてその意義を改めて整理し直すとともに、第2章で示しました課題を踏まえた上で改善を行っていく必要性を追記しております。
続いて、7ページを御覧ください。下から2つ目の丸でございますけれども、幅広いキャリアパスとして、企業を含めた産業界での活躍、また、省庁や自治体などの公的機関、大学職員やURA、国際機関、NGO・NPOなど多様な進路について明記をしております。
8ページ目、9ページ目を御覧ください。8ページ目の下の方、具体的方策としまして、一番下の丸におきまして、大学が育成する人材像、また、9ページ目の上に飛びますけれども、社会が求める人材像の明確化ということを区分して記載しております。
10ページは飛ばしまして、11ページを御覧ください。リカレント教育、リスキリングの定義、また、その多様な学び直しの姿について記載を充実しております。
続いて、12ページを御覧ください。12ページの2ポツ以降は大学院教育の取組ということで記載しておりますけれども、この12ページから16ページにかけて、個々の論点ごとに記載の充実を行っております。
次、16ページを御覧いただきたいと思いますけれども、3ポツの情報公表についての記述を一部修正しております。
以上が前回からの主な変更点となります。
また、資料2といたしまして、この本審議まとめ案の概要を3枚で作成しておりますので、こちらも併せて御確認いただければと存じます。
また、さらに、参考資料2というのもお配りしておりますけれども、画面投映いたします。こちらは前回御説明しました人文科学・社会科学系大学院進学の意向調査に関しまして前回いただいた御議論、御指摘も踏まえまして追加分析を行っております。簡単でありますが、紹介いたします。
2ページにございますとおり、進学を希望する大学院、これは学部生に聞いたアンケートですけれども、現在在籍している大学院かという質問に対しまして、「いいえ」と答えたものが人文・社会科学系は42%となっておりまして、理・工・農系と大きな違いがあったということは示したとおりでございますが、このことにつきましてより詳細に分析を行ったのが3ページ以降でございます。
3ページ目は大学の設置者別に分類したもの、また、4ページ目は在籍する学部・学科の分野別に分類したもの、さらに、5ページ目は大学院設置の有無を調べたもの、そして、6ページ目は進学希望の分野の移動を確認したものとなっております。併せてこちらについても御参照いただければ幸いです。
事務方からの説明は以上でございます。

【湊部会長】 ありがとうございました。
前回、本当にたくさんの委員の方々に御意見をいただきまして、事務局としましても、できる限りそれらを取り入れる形で修正・加筆を行わせていただいたものでございます。
あらかじめ委員の先生方にお目通しいただいているかと思いますけれども、この修正案につきまして新たに御意見がございましたら、ぜひお伺いしたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。まず、村田委員、お願いいたします。

【村田委員】 ありがとうございました。各委員の御意見を入れていただいて、よくまとめていただいたと思います。
1点だけ。本当に細かいことで恐縮で、言葉の問題なのですが、「リスキリング」という言葉が「リ・スキリング」になっているのです。これまで、文科省あるいは経団連、いろいろな文献を見ても、英語で書いてある場合は「re・」とかになっているのですが、片仮名で「リ・スキリング」というのは初めて見て、ちょっと違和感を見た瞬間感じるものですから、今まで全部「リスキリング」となっていたと思うので、この辺りいかがなのでしょうか。
どうして変えられたのか教えていただければ。多分、どなたかの御意見なのかなと思うのですが。よろしくお願いいたします。細かくて恐縮ですが、お願いいたします。

【湊部会長】 確かに、私もここに点が入った表記は初めて拝見したように思います。
事務局では、このことについて何か根拠はありますか。

【髙見高等教育政策室長】 ありがとうございます。こちらについては、政府文書等を参考にしながらこのような記載にしておりますけれども、幾つかばらつきはあると思いますので、改めて精査した上でまとめていきたいと思っております。
また、リカレント教育の定義につきましてもここに書いておりますが、この記載につきましては、教育振興基本計画というのが今年取りまとまっておりますけれども、そこの記載を持ってきているところでございます。
以上でございます。

【湊部会長】 ありがとうございます。確かに間に点が入ると、かえって何だろう、不思議だな、と思う方も多くいらっしゃるかと思います。私もこれまであまりこのような記載を目にしておりませんので、なくす方向で検討させていただきます。ありがとうございます。
それでは、次に、川端委員からお願いできますか。

【川端委員】 ありがとうございます。人文社会系の個性であるとか、それから、彼らの活躍の場であるとか、いろいろ取り込んでいただいて本当にありがとうございます。
その上で、2点だけちょっとだけ気になっているのが、Ⅱポツの進学率、学位取得者数は他の国との比較をやっているのですけれども、これ自体はPh.D.ホルダーの話であって進学率ではなくて、その後の論理は進学率の話に行っているのですよね。というのがちょっと1点あって。
それと同じことが、これは私の感覚のずれだったら、ずれと言っていただければ良いのですけれども、人文社会系の大学院生を見ていたら、そのかなりの割合は留学生と社会人なのですよね。これ違いますかね、皆さん。
なぜ言っているかというと、資料3の15ページのキャリア形成状況という図があって、それで見ていると、学士課程から修士課程への進学者に対して、海外からどれぐらい来ているかといったら、ちょっとしかいなくて、その外側に社会人学生の入学者数は記載されていませんと書いているから、今いる人文社会系の大学院生全体はどういう状態なのかというところが、今、これストレートマスターだとかそういう話がほとんどで表されていて、そういう意味で、大学の入るところの例えば進学率が低い、それはそのとおりなのですけれども、入った中の人間の中にはかなりの割合に社会人がいて、留学生がいて、その人たちも含めて入学者の状況はというと、彼らはかなり満足しているという、そういう姿になっている。
だから、人文社会系の現状の中には社会人の人たちもかなりの割合がいて、留学生もかなりの割合がいて形成されているという状況をどこかで書いた方が良いのではないかなという気がして、そこが私のずれなのかどうなのかが分からなくて。
国立の個性なのか、地方の国立の個性なのか、人文社会系のマスター、ドクターは社会人と留学生の割合が非常に大きくて、今の話のリスキリングもそうですけれども、既にリスキリングという格好での活用というのがある程度されているというところも何か書いても良いような気がしています。この2点だけがずっと気になっていてコメントいたしました。

【湊部会長】 ありがとうございます。御指摘の点は2つで、ひとつは、この新しい修正案の3ページにある資料ですね。各学位の保有人数が、進学者、つまりおのおのの課程修了者の進学率の記載欄にデータとしてあるのは、ぴったりと来ないのではないかという御指摘ですね。
まず、事務局では、このデータ記載はこのような解釈でよろしいですか。

【髙見高等教育政策室長】 こちら上の部分は、2つは進学率ということで、下の部分はその保有者ということになっておりますので、少しこの辺りの書き方をどのように修正できるかということは考えさせていただければと思っております。

【川端委員】 今のホルダーの話で言うと、もっと言うと、定員の数が少ないという話なのですよね。進学者を反映して学生定員が決まっているのかもしれませんけれども、日本の大学院の定員自体が、他の国に比べて定員が少ないという状況、それがそのままある部分では表れているのがこのホルダー数になっているかなという気がするのですが。進学者にも関係するといえば関係するのかもしれないですけれども。

【髙見高等教育政策室長】 ここは精査が必要だと思うのですけれども、定員数ということを取り上げてしまうと、定員充足率がどうなのかというところも比較していかなければいけなくなるので、そのことが直ちにホルダーの数とつながっているというふうに結びつけるのが良いのか、実際に進学している人の数が結果として学位取得者数に結びつけた方が良いのかというと、恐らく整理をしていくと後者になるのではないかと思いますが、いずれにしても、そこは整理させていただきたいと思います。

【湊部会長】 定員の話まで持っていくとなると、これは例えば、国公立大学と私立大学ではまたコンセプトが全然違ってくるので、ちょっとそこは難しいですね。ただ、今の御指摘のことで言えば、ここで問題にしているのは、我が国における各課程修了者の進学率が低いということで、参考までに国際的観点から世界の学位取得者数については、こういう事実がある、というような趣旨であれば、何とか意味は通じる。同じ枠の中に入れて、上の文章を下表で示していると理解されるとちょっと違うというのは確かにそのとおりですね。
参考という形でこの表を表示しておくということで良いですかね。川端委員、どうでしょうか。

【川端委員】 切り離しの部分さえ何かついていれば、こうだからこうだと言うと、ちょっと違うなというところがあるので。

【湊部会長】 それは御指摘のとおりなので、対応させていただきます。

【川端委員】 あとは、現状としての社会人と、それから留学生がかなりの割合を占めている現状というのはどこかで表現……。それが本当かどうかもよく分からなくなってきたのですけれども。

【湊部会長】 そこのデータですが、今回のアンケートに限って言えば、これは学部学生について実施しているわけですけれども。

【川端委員】 そうですよね。

【湊部会長】 一般論として、人文社会系の大学院の現況というところでは、今御指摘のとおりの集団がいることは間違いないでしょう。それがどの程度の割合で、例えば、自然科学系の集団に比べて明らかに高いとか、そういう事実もどこかで触れておいた方が良いのではないかということでしょうか。

【川端委員】 はい。そのとおりです。

【湊部会長】 現況のところでしょうかね。事務局では、どこか今のような観点をそういうところに記載するようなことは可能ですか。

【髙見高等教育政策室長】 恐らく最初の方、3ページの冒頭の部分にもう一つ丸をつけてということになるかと思いますけれども。データとしましては、博士課程の入学者、先ほど川端委員がおっしゃったように、社会人は20年前と比べて、今、2割から4割になって、これは自然科学系も含めた数字になっておりますけれども、そういった変化もございます。ただ、これが個別に人文・社会科学と自然科学系でデータを分けることができるのかというのは、少し確認させていただければと思っております。

【湊部会長】 そこはぜひ確認をしてください。

【髙見高等教育政策室長】 いずれにしても、ただ、全体としてはそういった傾向があるということはどこかに記載するようにしたいと思います。

【湊部会長】 そうですね。数字があれば望ましいと思います。参考データとして、例えばここ10年、20年の経年で見てこういう状況である、ということを記載する方が分かりやすいですね。もちろん、人文社会系に限定したデータがあればなお望ましいですが、それはちょっと見てみないと分からないですね。

【髙見高等教育政策室長】 はい。

【湊部会長】 ありがとうございます。

【川端委員】 すみません。

【湊部会長】 そこは対応させていただきたいと思います。
それでは、次に、加納委員、お願いします。

【加納委員】 ありがとうございます。資料まとめ、ありがとうございました。非常に分かりやすくなったかなと思います。脚注も整備されて非常にすっきりとした表現になったということで、非常に分かりやすい文章になったかと思います。ありがとうございました。
私の方からは2点ほどコメントをさせてください。このコメントはどちらかというと、この施策に対して具体化の段階で留意すべきことなのかもしれませんけれども、あえてこの場で発言させていただければと思います。
まず、1つ目は、12ページにございます、12ページの教育課程・研究指導の質保証というところになりますけれども、黒ポツの下から3つ目、「研究科別の標準修業年限と実績の公表」という表現がございます。これはこの後でも修了生のキャリアパスを含めて公表するというような表現が幾つか出てきますけれども、この表現、公表ということについては少し熟考しなければいけないかなというふうに思っております。
まず、個人情報まで開示するのかということ、あるいはその比率、全体像だけを示すのかという公表内容についての熟考。それから、2つ目は、公表によって何を期待するのかといったところ。どちらかというと、このプログラム、大学院それぞれの改革あるいは改良のためのツールとしてこのデータを使っていくということが重要なのかなというふうに思っておりまして、1点は、この公表についてはもう少し熟考が必要だと、それは公表内容についても検討の必要があるかというふうに感じました。これが1つ目でございます。
それから、2つ目は、次のページにあります、13ページ目の一番上の部分です。「総合知の創出に向け」といったところのくだりで、データサイエンスに関する記述がございます。
人文科学・社会科学系の学生に対してもデータサイエンスは重要であるというような表記がなされていますけれども、これはやはり、一言でデータサイエンスと言うと、じゃあ、理工系と同じデータサイエンスの学び方なのか、それとも、人文科学・社会科学系として特有の、固有のデータサイエンスの学び方があるのかといったところ、ここは熟考しなければいけないかというふうに思っております。
単に使い方を学ぶとか、中のモデルですとか中身を、仕組みを学ぶということではなくて、人文科学・社会科学系の学生であればこそ、新しい学び方が生まれるというふうに思っております。この辺り、ここでというよりは、恐らく、実際に具体的な計画に落とし込む段階で留意すべきかと思いました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。
1点目は、公表についてでしたが、確かに公表というのには、どこへどう公表するのかという話と、どこまで公表するのかという議論がありますね。ここの文章では、標準修業年限というのは当然公表すべきもので、一般的にはそうされていると思いますけれども、実績というのはどこまでの内容を示すのかというようなことですね。それから、公表というのはどういう形の公表なのか。一般にはディスクロージャーですけれども、いろいろな大学で教育課程のデータをホームページ等々で公表されているとは思いますが、これをどこまで細かく指定するのかということになりますね。修了生の平均修業年数等がありますが。
私が知っている限り、アメリカでは学位を取るために要した平均の期間は数字としてかなりの大学が出していると思いますけれども、さて、我が国でスタンダードにここまでやっていただくことを推奨するということになるのかどうかですが。
いかがでしょうか。ここまで書き込むかどうか。今の件に関して御意見があればお伺いします。

【加納委員】 私としては、留意すべきであろうということだけ、どこかに公表の方法ですとか公表内容については検討が必要というようなことで記載しておけば良いかなというふうに思ったのですけれども。恐らく、それぞれ具体的に大学院ごとに目的ですとか狙いですとか、あるいは、アピールというのもあると思います。こういった目的に応じて具体的にどういうものを公表していくのかといったところについては、いろいろな意見があると思いますし、産学界からのニーズということも踏まえますと、もう少し具体的な段階で検討していただく必要があるかなというふうに思いましたので、その旨だけ記載いただければ良いかなと思いました。

【湊部会長】 ありがとうございます。おそらく、これらに関心を持つのはこれから大学院へ進学しようとする方々で、例えば、この数字をいろいろな評価等々に使うというようなことは、今のところ、そこまで踏み込んだものではないということは理解しております。公表の方法等については各大学で適切に対応いただくというような書き方でよろしいでしょうかね。

【加納委員】 良いと思います。

【湊部会長】 ありがとうございます。それから、御指摘のあった13ページのデータサイエンスという言葉ですが、データサイエンスというのはどういうコンテクストでも語り得るといえば語り得るので、ここの論点はどうでしょうかね。あえてここまで書き込む必要があるのかということだろうと思いますけれども。

【加納委員】 この文章の流れで見ると、人文科学・社会科学系の役割というのが社会から求められるものというのは、科学技術における社会での在り方というようなところがポイントになってくるので、データサイエンスに絞り込む必要はないかなというふうに思いました。特に、文理融合と言われていますけれども、理工系の分野にもシェアを広げるということで、このデータサイエンスまで絞り込む必要はないかなと思いました。

【湊部会長】 ここの段落に関して言えば、先行するパラグラフで、STEAM分野の基礎的な……

【加納委員】 そうですね。

【湊部会長】 ……知識を身に付ける機会を提供するなど、学内資源を活用して分野横断的に取り組むことも有効である、と記載しておりまして、ここでさらにデータサイエンスを繰り返す必要もないのではないかというのは私も同感ですが。大体今の議論でよろしいでしょうかね。特に異論ないようです。ちょっとここは書き過ぎかもしれませんので、対応させていただきたいと思います。

【加納委員】 ありがとうございます。

【湊部会長】 それでは、次は、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 ありがとうございます。まずは、事務局に、大変美しい構造に書き直していただき、また、適切なデータを全体的に配分、ありがとうございました。2つほど私は気になるところがあって、申し上げます。
1つ目は、現状のところです。キャリアパスの実態というところ。4ページ目です。3つほどキャリアパスの実態ということが書いてあるのですが、これは恐らく、このⅡ章の構造で見ると、大学院修了者のキャリアパスの実態というふうに書いた方が、全体ではなくてということで良いかと思います。
その上で、先ほど委員どなたか御指摘のストレート学部学生の意識調査に基づくデータなのか、それとも、そうではなく、ほかの議論も踏まえての留学生や社会人を含む現大学院生全体のことを言っているのかの書き分けが、ここの若干のゆがみに出てきているような気がいたします。
そこはもう少し、例えば、キャリアパスの実態の2つ目の丸、博士の学生の多くは大学教員を志望するがというのが、ストレート学生の意識調査等の生データと若干合ってないというところが、ここは次の章につながる非常に重要なところだと思いますので、そこは若干書き分けていただければ。書き分けの方向性については、先ほど既に御議論があったところなので、細かくは申し上げません。
もう一つ、ここの4ポツ、5ページに入りますが、3個目の丸。一方、賃金プレミアムの話です。ここはかなりシリアスな話であるというのがまず一つと、ここはキャリアパスの実態のところに書くべきことなのかというのが、若干の違和感がございました。これはもしかしたら上のデータの説明のところに入れた方がいわゆる判断の1次情報としてまとまりが良いのかなと思いました。これが1点目の現状に関する記載ぶりです。
2点目ですが、それに関連して、Ⅲ章、6ページ以降から始まります、特に重要なのは、6ページ目の下半分、「このような中」という部分の現状の課題認識の3点です。ここが先ほどのストレートドクターだけの話なのかと現大学院全体の像なのかが、若干混じっていまして、それにより改革の方向性の具体の話の書きぶりとその順序が、ストレート学生のデータに基づく方向性なのか、現大学院生という少なくとも3つのカテゴリー、ストレート学生、留学生、社会人というのは、全体を踏まえた話なのかというところで、ちょっと本当に現状がこうかというような違和感がございました。
特に、大学院を終わった人たちの多くがアカデミックキャリアを目指すだけであるというようなネガティブな指摘が幾つか具体の方策のところに書いてありまして、それは必ずしもそうではないのが現状ではないかと思いますので、いずれも、もともとのデータに基づくどういう認識なのかという整理で済むところだと思いますが、少し御対応いただければと思います。
いずれにしても、大変構造化されてよくなったと思います。ありがとうございました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。幾つか大事な点を御指摘いただきました。
先ほどのことにも関わりますが、実態であるとか、キャリアパスのところで、通常のストレートで来る学生たちと、留学生も比較的それに近いかもしれませんが、社会人で来る人とはモチベーションが異なることもありますので、そこをきちんと書き分ける必要がある。つまり、今言われている内容がどちらを対象にしたものかということは分かるようにしないといけないでしょうね。特にリカレントとかリスキリングの話が出てきますので、それらを一緒にした書きぶりにしてしまうと、少し論点がぼやけてしまう可能性は確かにあると思います。
キャリアパスの実態のところも、大学院修了者に関する記述について、これはどうでしょうか。アンケート結果も、全てストレートでくる学生、留学生を含めて国内外のストレートの学生を対象にしているということで、そこに絞った書きぶりが良いのではないかと私も思います。
賃金プレミアムについても、確かにここに書くのはピンと来ないですね。これはむしろ、事実として今こういうことがある、背景としてこういうことがある、ということで頭の方へ持ってきた方が良いのではないかということでしたが、私もその方が良いと思います。これは大学院の実態とは少し違うことなので、そのように対応させていただきたいと思います。

【高橋委員】 湊部会長、一言申し上げれば、確か、事務局の方がこの調査は初めての人文科学・社会科学系の学生に対する調査で、そういう意味では大変まず貴重であり重要なことであるということがあったと思うので、そこも付言していただいても良いかもしれません。

【湊部会長】 そうですね。きちんと分類して調べたデータとしては、しかもこれだけの規模のものとしては初めてなので、このデータの持つ意義は記載させていただきたいと思います。

【高橋委員】 ありがとうございます。

【湊部会長】 事務局、今の議論で対応できますでしょうか。

【髙見高等教育政策室長】 はい。その方向で検討いたします。

【湊部会長】 よろしいですね。よろしくお願いします。
それでは、次に、小西委員、お願いいたします。

【小西委員】 よろしくお願いいたします。社会科学系の中でもそれぞれ研究のアプローチが違いますので、それを研究教育指導の強化とまとめて書くのが大変だなと思っていたのですが、それに加えて、人文科学が加わっていますので、大変な御苦労があったと思います。どうもありがとうございます。
それで、2つ確認をしたいということです。私は13ページの(3)の指導教員の意識改革というところを非常に注目しています。その中で2つ確認なのですが、14ページの最後のポツのところですが、指導教員の意識や能力の問題は責任問題であることと書いています。確認なのですが、これができてないとその大学の責任問題ですよと突き放す意味で書いているのか、それか、これは大学院組織として取り組む必要があるのですよというふうに書いてあるのかが、ちょっとニュアンスが分からなかったので、1つ御質問させていただきます。
もう1つは、その上のポツなのですが、学生に対してあらかじめ研究計画等を明示する必要があると。これはシラバスを意味しているのでしょうかということです。
私の経験で言うと、講義科目と研究指導科目があって、講義科目は普通のシラバスを書けるわけなのですが、研究指導項目、今現在もシラバスを書けと言うわけですが、私は最大3名同時に取ったことがあるのですが、当然、研究テーマによって研究の計画も変わってきますから、それをあらかじめシラバスに書けというのは非常に無理があると私は思っています。
それで、普通は、学生が研究計画を最初に出して、それを指導教員と話しながら修正していくということも指導だと思っていますので、それを教員側からあらかじめシラバスで提示するということを示しているのかどうなのかというのが分からなかったので、質問、確認させていただきました。

【湊部会長】 ありがとうございます。
最初の点、14ページのこの文章、確かにここまでチェックできていなかったかもしれませんが、指導教員の意識や能力の問題は大学院組織としての責任問題であるという書きぶりは威圧的といいますか、少し抵抗感がありますね。
言いたいことは分かるような気もするのですけれども、日本語としてもなかなか難しい文章ですね。この部分は、どうしても必要かどうかも含めて、ちょっと考えさせてください。
これはある意味当たり前のことを言っているわけですね。指導教員が適切な意識をもって大学院教育に当たるのは大学の使命であるというようなことでしょうが、この書きぶりもあまり自然ではないので、この記載は必要か、必要だとすればもう少し妥当な書き方があるような気もします。文章そのものを少し検討させてください。
それから、シラバスの件はおっしゃるとおりで、一般的にシラバスというと、主に学部でこういう内容を教えます、ということを学生に伝えるために使うことが多いと思います。大学院の場合、どうしても個人指導になりますので、どこまでシラバスというもののコンセプトが成り立つのか。もちろん、一般的な大学院としての指導要件はあるのでしょうけれども、個別のシラバスのようなところまで及び得るのか。シラバスという概念が成り立つのかどうか。
ここはどうでしょうか。一般的に大学院で、個人指導の面でシラバスというような言葉遣いをするものでしょうか。もし委員の先生方でお考えがあればお願いします。

【村田委員】 よろしいですか。

【湊部会長】 どうぞ。

【村田委員】 コア科目なんかではシラバスはありますね。社会科学系は。個人の場合とコア科目、講義科目みたいなものとは違うと思いますから、シラバスがないわけではないと思います。

【湊部会長】 そうですか。要するに、内容の問題になりますよね。どういうものを開示するのか。指導の内容についてということですね。

【村田委員】 そうですね。

【湊部会長】 ここもその趣旨が分かれば良いということですから、シラバスという言葉がもし誤解を招くようであれば、少し吟味した上で、それに代わるような表現をさせていただきたいと思います。

【髙見高等教育政策室長】 湊部会長、よろしいでしょうか。

【湊部会長】 どうぞ。

【髙見高等教育政策室長】 事務局ですけれども。まず、1点目の責任問題のところ、確かにおっしゃるように、非常にきつい表現であって、実はこれ、昨年の中間まとめの段階でこういった表現になっていたものが残っている状態になっているのですが、ただ、御指摘ごもっともな面もあろうと思いますので、書き方を工夫したいと思います。
それから、2点目のところについては、これはもしかしたら、また委員の先生方に御意見いただければと思うのですけれども、シラバスで明示するということももちろんですし、それから、別途、指導教員とかが教えている学生に対して個別に私の指導というのはこういう方法でやっていくとかという形で示していくという、もう少し柔軟なやり方とか様々なやり方があると思いますので、そういったことをトータルで含んでという書き方にはなっているのかと思っておりますが、ただ、本日の御指摘踏まえまして、また、どういった書き方が良いのか改めて検討させていただければと思っております。

【湊部会長】 よろしくお願いします。委員の皆様、そういうことでよろしいでしょうか。主にこれは書きぶりの問題になると思います。それでは、そのように対応させていただきます。
では、次に佐久間委員、よろしくお願いします。

【佐久間委員】 よろしくお願いします。佐久間です。
2点あるのですが、1点目は、先ほど川端委員から御指摘のあった大学院生の実態がどうなっているかということなのですけれども、それは大学によって違うので、一概には言えないかと存じます。ただ、名古屋大学の例で言うと、社会人はそれほど多くはないのですが、留学生は実際非常にたくさんおりまして、特に人文、法学、経済学については、留学生がいないと全然充足できない状況です。ただ、留学生が多くても後期の方はそれでも充足できていないという状況があります。もちろんこれは大学院によって違うと思いますが。
実際、留学生に関しては、留学生特有の問題もあるし、先ほど来指摘されていることもあるので、そこは本来もうちょっと精査が必要なのかもしれませんけれども、それを今からやっていると非常に大変な部分もあります。
ただ、いずれにしても、留学生も今は結構来てくれているわけですけれども、大学院の改革をしないと、留学生だってそっぽを向いてしまうかもしれませんので、そういう意味では、ちょっと書きぶりには気をつける必要があるかもしれませんが、留学生は基本的にはストレート院生と同じような位置付けになるという考え方で行くしかないように思います。
また、留学生が来てくれるから何とか充足できている状況ですけれども、学力を含めて一番よく分かっているのは、結局、自分のところの学部の学生なので、そういう点からも、学部からの進学率を上げないと、なかなかここに書いてあるような改革をやってもうまく循環はしていかないと思います。そういう意味では、進学率を上げるということは非常に重要な観点ではないかなと思っているところでございます。
もう1点は、ここに書くような話ではないですけれども、もちろん人社系の教員の意識改革は必要なのですが、前回のこの委員会でもそういう御意見があったように人社系の先生方もある意味非常に忙しいところがあります。それはなぜかというと、理系と違って、例えば、秘書さんがいるわけでもなく、助手や助教がいるわけでもなく、だからこそ研究とかはネットワークでやりましょうみたいに書いてあるわけですけれども、いわゆる事務的な仕事が確かに多く回ってきていて、特に規模の小さい部局の場合、規模が小さくても事務量は大して変わらないので、そうすると非常に負担が大きいという面がないわけではありません。だからといって指導をちゃんとやらなくて良い言い訳にはならないわけですが。
ただ、今後この改革を進めていく中で、大学もそうですし、国としても、そこら辺の環境整備というのはぜひよろしくお願いしたいと思います。そうじゃないと結局、ここに書いてあっても、忙し過ぎてできませんみたいなことになってしまうかもしれないので、そこはお願いしたいと思います。


【湊部会長】 ありがとうございます。そういう点もできればどこかに書き込んで、特に人文社会系の大学院組織の運営上、どこに問題があるのかということも、ぜひ触れたいと思います。
それから、先ほど1点言いそびれましたが、高橋委員でしたかね、大学院の問題のところで、いまだに人文社会系の大学院は大学教員志望者のための進路と考えられている傾向がある、といった内容の文章が何度か出てくるのですけれども、ちょっとここは強過ぎるのかもしれません。こういう傾向があるのも事実なのでしょうが、ただこれは大半がこうであるかというと、必ずしもそうでもない。自然科学系に比べてこの傾向が強いということがあって、アカデミックキャリアの一つであるというようなイメージがまだ残っているというのは確かにデータとしてはあります。ただ、全てそうなっているというわけでもないので、ここは実態をより正確に反映したような書きぶりに変えさせていただきたいと思います。

【佐久間委員】 すみません。一言よろしいですか。
留学生に関しては、前期の学生と後期の学生で結構違います。後期だと結構アカデミア志望の人が多いのですけれども、前期の方は、とにかく日本の大学院に行って、要は就職に有利なステータスを得たいというのが非常に強いのは事実ですよね。ありがとうございます。


【湊部会長】 そうですね。それは私もそのとおりだと思います。そういう意味を含めた形で、ここの記載はもう少し正確に、定量的にも正確にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、塚本委員、お願いいたします。

【塚本委員】 ありがとうございます。今回のバージョンで非常にストーリーが流れるようにしていただき、上から下まですっと読めるようになりました。取りまとめにご尽力をいただきました事務局の皆様に感謝申し上げます。
本当に瑣末なところですが、1点だけ、4ページ目のキャリアパスの実態の最後のところについてコメントです。「また、企業等において」というふうに書き加えられたところですけれども、「ロールモデルが定着していない」とすると、産業界においては、「ロールモデルが辞めてしまう」と理解されます。「定着していていない」=「辞めてしまう」といふうに捉えられるので、この11の注釈を入れたいのであれば、そのままの文章を生かして、「キャリアパスモデルが十分に開発されているとは言えない」等にした方が、すっと読む人の理解に入るのではないかと思いました。
以上です。

【湊部会長】 なるほど。よく分かりました。対応させていただきます。ありがとうございます。
それでは、和田委員、お願いします。

【和田委員】 よろしくお願いいたします。まずは、こういった取りまとめ、大変うまくまとめていただきましたこと御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
その上で、6ページ目から7ページ目にかけての改革の方向性について、一言だけ申し上げたいと思います。この中でも「総合知」という言葉が使われていたと思います。つまり、理工系の学生が人文科学・社会科学系の大学院に進学することや、現在増えている文理融合で学んでいる学生たちが人文科学・社会科学の大学院に進学するなど、恐らく多様な選択肢が今後もさらに増えてくるのではないかと思われます。
そうしますと、この7ページ目の上から3行目、「今後は優秀な学生が大学に進学し」というところに、優秀かつ多様な学生が進学して好循環をつくり出すという文脈であると、もう少し幅が広くなるのではないかというふうに感じました。
以上です。ありがとうございます。

【湊部会長】 非常に大事なポイントであると思います。ぜひ、今御指摘の論点はここへ書き込ませていただきたいと思います。ありがとうございます。事務局、よろしいですね。

【髙見高等教育政策室長】 はい。そのようにいたします。

【湊部会長】 それでは、菅委員、お願いいたします。

【菅委員】 ありがとうございます。前回の資料に比べますと、今回は見違えるようにまとまっていると思いました。文章が特にクリアになっているのはよかったと思います。
私が1つだけコメントするとしますと、6ページの上段、「さらに、グローバルな市場で戦っている」というところがずっと書いてあって、恐らく、人材獲得に関する考え方とか、この場合は理系の人材獲得に関する考え方ということを述べていると思うので、そこは理系と書いて結構だと思います。
その後なのですが、読んでいただくと分かるのですけれども、行ったり来たりというか、何が言いたいのかよく分からないという感じがするので、上とつながる感じで、例えば、「この流れが人文科学・社会科学系人材の採用に反映されるには時間はかかるとは考えられるが、グローバル市場を重視する企業においては、大学院を修了した人文科学・社会科学系人材、特に博士人材の重要性は増してくると予測できる」とかその程度で良いのではないかと思います。それで、次の文書でリーダーシップということにつながっていくというような感じの文章にしていただく方がスムーズにつながるかなと思った次第です。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。全く御指摘のとおりで、文章が全体にうろうろしている傾向が強いですね。今の御指摘の点も、理系ではこういう状況が今ドミナントになっており、いずれその影響は人文社会系の学生にもやがて波及してくるであろうと、そしてそれに対応していくことが必要である、というような流れにできればと思います。

【菅委員】 それで結構だと思います。ありがとうございます。よろしくお願いします。

【湊部会長】 ありがとうございます。なかなか文章は大変ですね。
それでは、宮浦委員、お願いします。

【宮浦委員】 ありがとうございます。私の意見も、今話題になった6ページの上のところで同様の意見でございます。
一括採用の日本型の問題を指摘された文章なのですけれども、それが文系なのか理系なのか、文系はこれに乗れないじゃないかということを言いたいのか、あるいは、理系でも学部はまだ一括採用だと思いますし、修士の一部は一括採用だと思うので、ドクターのことを言っているのか、その辺り、この流れに乗れない、理系は全部学部から乗っているのだけれども、ジョブ型、文系は乗れませんと言いたいのか、ちょっとその辺りが、出口の問題は非常に重要ですので、整理した方が良いと思いました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。そうですね。今の御指摘もほぼ同様の御意見ですね。「改めて問い直す必要がある」という表現も少し突き放したような言い方ですね。ありがとうございます。御趣旨はよく理解いたしましたので、文章をもう少し推敲させていただきたいと思います。
では、迫田委員、お願いします。

【迫田委員】 今のところに関しては、必ずしも理系だけじゃなくて、全体がジョブ型になってきていると思うので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。大企業においても経験者採用が非常に広がっておりますが、この場合には、具体的なジョブを明示した形での採用になっているので、感覚的には5割、6割はジョブ型に移ってきていると思います。そこは崩さないようにしていただきたいなというふうに思いました。
それから、これは文章についてではないのですけれども、開示のところが義務的に取られないようにぜひお願いできたらと思います。もちろん、第1ステップとしては情報公開するというのが大事なのですけれども、それは改革のために使われなければなりません。それを見て皆さんが判断する、社会も学生の方々も判断するということになるので、ぜひ、大学改革の役に立つようにしていただききたい。ここの文章の中に入れる必要ないのですけれども、ぜひお願いしたいと思います。開示すれば良いのだろうとか、最小の開示でごまかすとか、そんなふうにならないようにしていただきたいなと思いました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。さらに、今の点での御指摘も含めまして、もう少しきちんと現状を反映した文章にしたいと思います。開示の点も御指摘のとおりで、これは別に評価とか形式ではなく、改革のために必要なのだという観点が分かるような書きぶりにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、横山委員、お願いいたします。

【横山委員】 事務局の皆様、本当に文章がよくなって、すばらしいと思います。ありがとうございます。
皆様の議論と部分的に重なるのですが、4ページの3の一番下の丸のところですが、標準修業年限内での学位取得に対する意識が低い教員についてのケースですが、意識が低いと書くのはどうかと思います。この文章を見た文系教員がこれに非常に強い反発を示して反旗を翻すようでしたら、この文章の意味がなくなってしまうと思うのです。文系教員にエンカレッジしているよという、そういう意図が伝わるような言葉になるとよろしいかと思います。ちょっと御検討いただきたいです。
併せて言いますと、学生の教育に対しては、東大の各部局は大変丁寧です。一人一人全部別のテーマを扱うので、1つの研究室の中で、私のところも、サイバーセキュリティーのガバナンスをやる学生もいれば、日本食の文化について研究する学生もいるわけです。全く違うテーマを一人一人すごく丁寧に見ているのです。そうした理系とは違う事情があるというのを念頭にした文章になるように、ぜひ反感を買わないような文章にしていただきたいなと思います。
あと、最初の方で先生方がお話ししていた、川端委員などがおっしゃっていた留学生率です。例えば、東大の情報学環も、入試を受ける半数が、今、中国の方になっています。また、社会人学生が大学院に非常に多く来ています。
中国の学生については、皆様よく御存じかと思いますけれども、彼らが自分の国で大学院に行こうとすると、物すごい倍率です。なぜかと言えは官僚になる際に大学院卒は非常に得になるからです。
そういう大きいメリットがある中国と日本の現状、入ってもどういうメリットがあるのか分からない、むしろ採用してもらえないかもしれないというのは、あまりにも大きいギャップがあります。


【湊部会長】 ありがとうございます。
最初の点、意識が低いなどという非常に失礼な表現になっていますが、ここは御指摘のとおりです。こういった点を十分に意識した上で、等々の形で注意を喚起するということで、丁寧な書きぶりにさせていただきたいと思います。確かにこれでは反感を買ってしまいかねませんね。
それから、留学生のところも、これも実際どうなのでしょうかね。領域によって随分違うこともありますし、留学生が持つ大学院に対する志向性とかモチベーションや意識については、日本国内と随分差があるというのは、私もよく感じております。そこは少し誰を対象にして書いたものであるかということを意識した書きぶりにして、主としては、少なくとも当面は国内の大学院生、しかも、多くは直接学部から行くような大学院生をエンカレッジするということが一番大きな要素になると思いますので、そこを中心に据えて、それ以外の方たちのことを交ぜ込まない形で記載をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、永井委員、お願いします。ありがとうございます。

【永井委員】 ありがとうございます。私は後から入ったメンバーですので、割とフラット、ニュートラルな感じで読ませていただいて、非常に多くの議論を積み重ねた上で作り上げられたものだということは実感としてございます。
これを例えば公開された後に、今おっしゃったような学生、これから大学院に入ろうという気持ちを持っている方が読んだときに、少し私も共感できるかなと思えるところが、最初のこの審議のまとめが国や大学や産業界等の関係者が人文科学・社会科学系大学院が抱える課題に向き合いと書いてある。ちょっとそこで、自分たちのためなのか、大学院を焦点とした議論が書いてあるのかと、少し混乱するのかなと思ったのですが、その理由は、社会のニーズに応えるため、これは非常に重要なメッセージになるのですが、一体何年のどういう状況を想定しての論旨にまとまっているのかが、私から見ると行ったり来たりしている。
今のことを言いたいのか、例えばSociety5.0などということとか、理系の方では2050年までのカーボンニュートラルとか、非常に何年規模で何をしようとしているのかということが明確な気がするのですが、少しここが分かりにくい感じがしまして、今の社会のニーズなのか、これから先、日本が価値創造などで、総合知を生かした強い社会となっていこうとしている、例えばウェルビーイング社会にしていこうとしているところに向けての高度人材が必要なのですよというメッセージなのかが、若干分かりにくかったので教えていただけると良いかと思います。
具体的にはもう最初のそもそもの2ページ目ぐらいからで、2022年のこの数から始まって、一番下が社会のニーズに応えるためにとなっているところの時間軸の規模がもう少し明快だと、学生さんから見ると分かりやすいのかなと思った次第です。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。御指摘の点は私も理解をいたしました。少しそこは分かりやすくしたいと思います。これまでの議論の中でも不自然に思われる委員もおられると思いますが、私も実はそうだったのですけれども、こういう文章でいつも感じるのは、大体主語がないのです。何となく、誰かがしないといけないような、そういう書き方が多いのですね。こういうものなのかなと私も思いましたけれども、普通あまり使わない文章が結構出てきていますよね。私も随分そのつもりで手を入れたつもりだったのですが。
ありがとうございます。御指摘の点については、もう少し丁寧に見直しをさせていただきたいと思います。誰に向けたものなのか、向ける対象はその都度、文章ごとによって違うわけですけれども、誰に向けた内容なのかがもう少し分かるような形で表現させていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、小長谷委員、お願いします。

【小長谷委員】 ありがとうございます。私からは2つあります。
1つは横山委員の御指摘の第1点目と同じで、スタッフは取り替えることができないわけですから、今いる人たちをエンカレッジする方向で書かなくちゃいけないということです。これはすでに指摘したつもりなのだけど、修正されていないから、くれぐれもこの1箇所だけじゃなくて、通底して、人を入れ替えることはできないことを前提に考えておいてほしいと思います。
もう1点は、すごく分かりやすくなったのですけれども、色々と盛り込まれているために、具体的な処方箋というレベルとメッセージが混在していることです。具体的な処方箋、それはそれでとても大事なことなのですけど、メッセージとしてはやはり一番みんなで言いたいことは、人文系の大学院での学びは、社会や企業に対して高度人材を送り出すことになると、そこですよね。
役に立つと言ってしまうと、またそのような即時的な話はけしからんみたいな議論になるので、役に立つとは言わずとも高度人材を送り出す、その学びができるのだという点を強調し、何かスローガンのように仕立ててメッセージとして分かりやすくしておいていただきたいです。今、主語不在とおっしゃっていましたけど、むしろ誰もがするということですよね。
大学だけじゃないし、企業にもそういうことを理解してもらいたいし、先生ももちろんそうだし、学生にも理解してもらいたいし、主語がないというのは、ある意味、全ての関係者が主語ですという意味なのでそのことも伝えていただければありがたいなと思います。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。メインメッセージがどこにあるのかということですね。なぜ我々はこういうことをやっているのかということを、やはり冒頭のところも含めて、もう少し明確にしてはどうかというのは、おっしゃるとおりです。メッセージ的な内容と具体的な内容が、しょっちゅう入れ替わり立ち替わり出てくると分からなくなるので、そこは階層性を持って書けるように、何とか頑張りたいと思います。ありがとうございます。
【小長谷委員】 すみません。あまりいじるともうデザインがめちゃくちゃになるから、いじらなくても良いから、抜き出したら良いのではないかと思ったのです。どうもありがとうございます。
【湊部会長】 あまりいじり過ぎない程度にやらせていただきたいと思います。
それでは、須賀委員、お願いします。
【須賀委員】 おまとめどうもありがとうございました。非常に読みやすくなったというふうに理解をしております。
私からは特に申し上げるところはないのですが、今までの議論の中で出てきた2つの点、1つは13ページの第1パラグラフでしたっけ、特にデータサイエンスについてというところで、これは余分じゃないかというお話があったのですけれども、話の流れとしては、文理が何かエビデンスに基づいてきちんと議論をしようとしたときに、何らかの方法が必要で、その有効な方法としてデータサイエンスがあるのではないでしょうかという、そんな議論だったと思うのです。
何もないところだと、やはり方法論が全く違うところが共通の議論を組み立てていくということは、非常に困難である。そのために道具をそろえていきましょうというお話で、今のデータサイエンスは、ひと頃は数理分析というのがその中に入った。そういう認識でこれを読ませていただいたので、何らかの形で共通の方法論が必要ですねというところは残していただきたいなという印象を持っております。これが1点。
それからもう1点は、先ほどの14ページの責任問題なのですが、責任問題と書くと強過ぎるかもしれませんけれども、我々は3ポリシーを学生に掲示し、こういう条件を満たせば学位授与するのだということを申し上げ、ある意味、学生に約束しているわけですよね。そうすると、当然それだけのものをマスターすることができるような教員やそのほかの様々な組織を、研究科、あるいは大学院が提供する義務があるということだと思うのです。
そうすると、それを書き込んでおかないと、学生さんだけ頑張ってねという話で終わってしまうのではないかということで、明確に何らかの形で、これは大学院としての責任問題です。個人という話をしているのではないのだと思うのです。そうすると、これを何らかの形で書いておかないと、次の(4)にはうまくつながらないような気がしております。書き方が良いかどうかということは別ですが、少なくとも削ってしまえば終わりというふうには、この2か所はしてほしくないなという印象を持ちましたので、あえてコメントさせていただきました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。後者の件については御指摘のとおりで、責任問題というよりも、大学組織として責務がある、責務を果たす必要がある、という書きぶりで対応させていただきたいと思います。
それから、前者のデータサイエンスのところも、データサイエンスという言葉が、ある種リダンダントな言葉に捉えられる可能性もありますので、エビデンスに基づいた議論を行うための共通の方法論を導入すべきであるというようなことを書かせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、神成委員、お願いします。

【神成委員】 神成です。皆さんおっしゃっているように、今回の改訂されたまとめの文章は、私も非常によく改訂されたと思っておりまして、特に企業の求める人材を明確化して、教員はそれに対して資する高度人材を育てるという意識をちゃんと持たなくちゃいけないというところが明記されているのは、非常に良い形になっていると思います。一方、違う見方からしますと、文科省のこういった審議まとめというのは、なかなか現場の教員のところまで流れてこないのも事実です。ネットのサイトに行けば載っているのですが、それを探しにいかない限り、一般の教員の目にはなかなか目につかないというところがあります。この審議のまとめを何とかもう少し別の形で広く提示していかないと、結局は今までどおりの人文系の教員の意識で行ってしまうのではないかなと思っております。例えば、今JSTが博士課程の学生に経済的サポートをする、SPRINGというプログラムが、この12月にもまた継続版が募集されていますけれども、前回のプログラムにおいても、大学院教育プログラムの改革という提案は、人文系の大学院からのものは、実際にほとんどないのですよね。
こういう実態を見ると、そういう意識で何か改革しようということを、根本的にやれるような組織じゃないのかなという懸念がありまして、やっぱりこの審議まとめをそういう形でもって大学院変革の方向に、みんなで議論してこういう形になるように何か積極的なアプローチを我々として行わないと、この委員会で作られたものは非常に良いのだけれども、結局変わらないのではないかなという懸念が残ります。最後にこんなことを申し上げて申し訳ないのですけれども、何かアクションを起こす必要があるのではないかなと思って、意見させていただきました。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。今の御意見には、ファンダメンタルな部分がありまして、この議論が例えばそれなりにまとまって、中教審から正式に公表されたとしても、そういったものが少なくとも現場の方々にきちんと届くかというと、心もとない要素は確かにあるのだろうと思うのです。そうすると、もうやるべきことはやりました、ということだけで終わってしまいかねない懸念があるので、これは、できれば文科省の方にもお願いしないといけないでしょうが、やるべきことをやりましたということで済まさない方法を何とか考える必要があります。
とりわけ今回は、かなり力を入れて、人文社会系が今問題を抱えており、改善すべき点があるということを提起するものなので、何とか現場の方々に届くような手立てを、ぜひ文科省には考えていただきたい。それこそ各大学院組織に直接送付するなど、手法はいろいろあるのでしょうけれども、ぜひ検討いただきたいと思います。事務局でよろしくお願いします。ありがとうございます。

【小幡高等教育企画課長】 確かにおっしゃるとおりで、なかなか一大学教員の先生方にどのようにこれを届けて読んでいただくかというのは、非常に難しいところはございますが、今日この後に、文科省の今後の取組の中で、今、大臣が博士を持っている大臣ということもあって、文科省としても博士人材について、これは人社だけに限らずというところでございますが、しっかり来年に向けて取り組んでいこうというところがございます。その中でも、とりわけこの人社について何らかもう少し、一大学の先生方にも届くような取組を考えていきたいと思っておりますので、また皆様の御意見もいただきながらと思っていますが、よろしくお願いいたします。

【湊部会長】 よろしく対応いただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、堀切川委員、お願いできますか。

【堀切川委員】 堀切川です。今回の内容は非常に分かりやすくてよかったと思います。極めてどうでも良い、修正も要らないかもしれない小さな点ですが、14ページ目の(4)の黒ポツの上から2つ目のところで、年限内で学位取得を想定とした研究指導計画となっているかというところの「想定として」の「と」は要らないかなと。
あとは、この括弧の手前の責任問題の方ですけれど、私はやっぱり、これは分かりやすく書き直した方が良いと思いますが、基本的には指導教員の意識や能力がなっていないという問題は、指導教員の責任にだけしてしまうのではなくて、それを是正できない組織としても責任を取らなきゃいけないよという趣旨のことはやっぱり書かれた方が良いと思うので、分かりやすく書き込んだ方が良いかなという気がいたしました。
もう一つ意見があるのですけれど、これが非常に上手くまとまって出来上がった以降の話ですが、この内容を非常に分かりやすくした部分を、人文社会系の学部の学生に何か情報を広めて、分かりやすく伝えられるような工夫があると良いなという気がいたしました。各大学を通じてでも良いのですけれど、人文社会系の学生に対して、大学院に行くことを応援して今考えていますよという国の方向性が、これから大学に入る人も含めて、学生たちに伝わると非常に良いかなという気がしましたので、何かそういう工夫がありましたら、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。最初の点はまさにそのとおりで、「と」は要らないと思います。
それから責任問題云々のところは、何人かの委員の先生方にも御意見もいただきましたが、要は人文社会系の指導教員の意識や能力に問題があるような捉え方をされてしまうのは本意ではないので、少なくとも大学院組織として、教員が指導教員としての役割を果たせるような体制をつくる責務、責任があるのだ、というような書きぶりで、つまりこれは大学院という教育組織の問題である、ということが分かるような書きぶりに、ぜひさせていただきたいと思います。
それから最後の御指摘については、今も議論がありましたとおり、何らかの形で、今の堀切川委員の御指摘のとおり、学生たちがこれを見て多少なりともエンカレッジされるような形で、教員や学生たちの目に触れるようなアドバタイズを、文科省の方でもお考えいただければありがたいと思います。ありがとうございます。
それでは、宮浦委員、お願いします。

【宮浦委員】 ありがとうございます。今の点なのですけれども、学生さんに見てほしいというのはもちろんあるのですが、まず当該専攻の教員の皆様、あるいは大学の執行部の皆様が読んで、それをどう考えたかというところまでを収集できたら、まとめた方としては意義があったかなと。
様々な取りまとめの文章が公表されて、配信されて、取りに行かなくても、物によっては送られてきたり、送信されてきたりして、見る機会はあっても、それを斜めに読むか、ちらっと見るか、しっかり読むかという差がまずあるのと、読んだと仮定しても、それについて反論するとか、どう考えるかというところまでアクションしていただかないと、作った方としては、これはけしからんということなのか、同意するのか、部分的には同意できないというところまでやはり踏み込んで情報を取っておかないと、次よく分からない状態で、また同じような文章を数年後につくるということになりかねないので、例えばなんですけれども、文科省の方から大学に何らかの形で送付されるのはもちろん必要だと思うのです。
取りに行って読めというのはちょっと難しいと思うので、その上で期限を区切って、意欲のある大学は意見を言うというところの要求をしていただければ、やる気のある大学は意見を言ってくると思いますし、何も言ってこない大学さんは、読んでいない、あるいはそんなに改革する気はないという判断をされてもしようがないという認識の下に、フィードバックをかけていただけるとありがたいですし、どういうフィードバックがかかったかを、委員全体で拝聴するというか、読む機会があるとありがたいと思います。
以上です。

【湊部会長】 ありがとうございます。私もその御意見には同意いたします。ぜひ文科の方にはこれから、具体的な対応をお願いしたいと思います。
大体委員の皆様からの御意見は一通り出尽くしたようでございます。ほかに特に追加はございませんか。
それでは今後のことですが、今日もかなり多くの御意見をいただきました。抜本的な修正点は特にないように思いましたが、幾つかの点で、少し文章の書き換え、あるいは順番の入れ替えが必要かなと感じた次第です。今日の議論で皆様の合意内容は大体私も理解いたしましたので、事務方と、少し今日議論になった点について、文章の修正等させていただきたいと思います。
その上で、どうでしょうか、もう一度、院部会を開催しないといけないか、あるいは、およそ今のような路線で一任いただけるなら、変更点を明示した上でメールで皆様に送らせていただいて、さらに細部の修正が必要ならば応じさせていただくという形でよろしいでしょうか。今大半の委員にうなずいていただいておりますので、ではそのように進めさせていただいて、もう一度修正したものを送らせていただきます。
その上で、最終的な微修正は御一任いただけるかと思いますが、そこはもう一度やり取りをさせていただいた上で、できればこの部会としての最終案のまとめにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。何とかここまで辿り着きましたけれども、それではそのような方針で、またすぐに事務局からご連絡させていただきます。
その後になりますが、まとめの案ができたといたしますと、今のところ、12月後半に中教審の大学分科会が予定されております。まだ1か月弱ありますので、恐らく今申し上げた修正のプロセスは間に合うと思いますが、それまでに最終案をこの院部会に付議させていただいて、御審議の上で、最終的にまとめとして大学分科会の中で決定させていただき、公表に至るという段取りになると思います。もう一息でございますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
それで決定に至れば、今、最後の方で議論させていただいたように、どのようにすればこういった内容を現場の教員や学生たちに、うまくアクセスしてもらえるかという方法を、改めて事務方の方で御対応いただきたい、その内容については十分考えていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。ではそのように対応させていただきます。
それでは、議題の2ですけれども、今日はその他の議題はありませんが、報告事項が幾つか事務局からございますので、事務局からご説明をお願いできますか。

【髙見高等教育政策室長】 それでは事務局から参考資料3に基づきまして、まず中央教育審議会の諮問について御説明いたします。
去る9月25日ですけれども、盛山文部科学大臣から中央教育審議会に対しまして、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方についてという諮問がなされております。
1ポツにございますように、高等教育の在り方を検討する背景・必要性といたしまして、左にありますように、急速な少子化、18歳人口が大幅に減少していること、一方で大学進学者数は増加しておりまして、今64万人ということで過去最高の数にはなっているのですが、大学分科会では7月に示した推計の中で、2040年の大学入学者数は約51万人で、10万人ぐらいギャップが出てくるということで、今後少子化の影響は非常に大きな問題になってくるといった背景がございます。
また一方、右の方を御覧いただきますと、グランドデザイン答申と書いております。これは2018年、今から5年前にまとめた高等教育全体の在り方を示した答申でございますけれども、それ以降の変化ということで、この5年間で、コロナで遠隔教育が普及したり、またロシア、ウクライナの国際情勢の不安定化、世界経済の停滞、さらには研究力の低下、こういった課題等も叫ばれております。
その中で、スペースが少し空いた下の部分でございますけれども、グランドデザイン答申の中では、学修者本位の教育への転換という観点で、高等教育の質を高める取組を進めてきたり、研究力の強化という観点で、いわゆる10兆円ファンドに代表されるような取組、地域中核というのもございますけれども、そういった取組、さらに初等中等教育段階の学びの変化ということで、小中高校で1人1台端末ということで、そういった端末を持った子供たち、また探究的な学習を経験した子供たちが高等教育を経験するようになってくるということで、そういった変化、さらに2020年には修学支援新制度というのが導入されまして、低所得世帯の高等教育進学率の上昇等、今変化が起こっているところでございます。
こういった変化を踏まえまして、2ポツの主な検討事項ということで、(1)から(4)まで4本柱で審議が今始まったところでございますけれども、1つ目としまして、2040年以降の社会を見据えた高等教育が目指すべき姿は今後どうあるべきか、さらに(2)番としまして、今後の高等教育全体の適正な規模、これを視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方はどうあるべきか、さらには(3)としまして、国公私立の設置者別、また大学以外にも短大、高専、専門学校等がございますけれども、そういった機関別の役割分担、こういったものがどうあるべきか、さらには(4)番としまして、高等教育の改革を支える支援方策の在り方ということで、財政的な支援もしくは制度的な支援、こういったものについて、(1)から(3)を踏まえてどうあるべきか審議が始まっているところでございます。
ちょうど昨日、中央教育審議会の大学分科会の下に、特別部会というのが設けられて、第1回が行われたところでございます。今後また、令和7年の3月ぐらいまでに一定の結論を得るということで議論を進めていきますけれども、大学院部会にも関係する事項ということで、本日報告させていただいた次第でございます。
それから2点目でございます。参考資料4でございますけれども、こちらは先ほど課長の小幡の方からも少し説明いたしましたが、実は本日のこの会議が終わった後、5時からなのですけれども、博士人材の活躍促進に向けたタスクフォースというのを、これは文部科学省の省内の検討チームということでございますけれども、立ち上げて、議論を始めていく予定になっております。
ポイントとしては、この2ポツの主な検討事項にございますが、社会において博士人材が活躍するための方策ということで、出口の問題、それから(2)番にあります、そもそもの問題ということで、大学院教育の充実、または学生への支援方策についてということで、今後検討を進めていくといった予定にしております。
次のページをめくっていただきますと、構成員ということで書いておりますが、先ほど申し上げたとおり、文部科学省の省内の検討チームということで、文部科学大臣以下、文部科学副大臣、これは教育担当、科学技術担当またがりますし、また関係局長も参画する中で、本日御議論いただいたような審議まとめ等も踏まえて、今後、来年度の予算ですとか骨太方針、そういった政府のいろんな動きも見据えながら、文部科学省としてもしっかり議論を進めていきたいと考えているところでございます。
以上2点、御報告でございます。
また続いて、先ほど少し御議論の中でも出ましたが、令和5年度の補正予算についても少し進展がありますので、そちらについては、科学技術・学術政策局の對崎補佐の方から説明いたします。

【對崎人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。お世話になっております。科学技術・学術政策局の人材政策課の對崎と申します。ふだんは科学技術・学術審議会の人材委員会というところを運営しておりまして、本日御参画の先生方にも、今現在、あるいはかつて御参画いただいた先生方がたくさんいらっしゃるかと思いますが、今日いろいろお話がありましたように、高等教育政策のみならず、科学技術政策としての観点も極めて重要な分野だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
私から御報告は、こちらにもお示ししている、先ほど神成委員からもお話がございました、JSTの方で基金事業として、博士後期課程学生への支援ということを行っております。こちらは博士課程学生に進学をしていただくための経済的支援と、その後のキャリアパスの整備ということをセットで行う事業として、令和3年度から事業を実施しているところでございまして、こちらは令和5年度の補正予算では、この先3年分の予算の確保をすることができまして、また人数も、現在、令和5年度は9,000人規模の支援をしているところでございますが、そこからさらに拡充して1万800人規模ということで、さらに拡充した上で支援の充実を図っていきたいというところでございます。
また、3年間というふうに申し上げましたけれども、これから博士課程に進学する学生も含めて、安定的に博士課程を取るまでの間に支援が続けられるというところで、再度、大学の方を今公募させていただいておりまして、まさにこの裏側で公募説明会を、昨日と本日行っているところでございますけれども、ホームページ等にも公募要領や当日の動画等も掲載しておりますし、また委員の先生方のお近くの大学等も含めて、再度多くの大学に、ぜひこのような事業に手を挙げていただきたいと思っておりますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
またこの事業に限りましては、特にこうした分野の博士というところに限定されず、大学の方できちんと博士課程の学生への支援の体制を組んでいただくというところを審査のポイントにしておりますので、自然科学のみならず人文社会も含めて、多くの大学にぜひこのプロジェクト、支援を受けていただきたいと思っております。
以上でございます。

【湊部会長】 ありがとうございます。文科省のタスクフォースの話と、それから補正予算でも大学院生、とりわけ博士後期課程学生に対して、3年間の基金を確保いただいたという話でした。今の御説明にもし御質問等ございましたら、せっかくですのでお伺いしますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
ここへ来て大学院生への経済的支援というのが、随分と充実しつつあります。一方でやはり、中身の問題が大事なので、今回議論いただいたことについては、近々にまとめた形でまたうまく現場へお届けできればと思っています。
今日私どもが用意した内容は以上でございます。何か追加的にございますか。よろしいでしょうか。それでは、時間的には少し早いようですけれども、今日の議論はここで終了させていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたように、審議まとめについては、一応セミファイナルの形のものを、後日委員の先生方に送らせていただきます。今日特に御指摘をいただいた先生方には、そのポイントについて確認いただいて、もちろん文章等についてさらに修正が必要なら、そこへ修正をしていただければと思います。その上で最終的な微修正は、私の方にもし御一任いただければ、最終案に近いものをまとめて合意を得たいと思っております。
それでは、ちょっと時間が余りましたけれども、今日はこれで終了とさせていただきます。どうも御議論いただきありがとうございました。

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