大学院部会(第105回) 議事録

1.日時

令和4年4月11日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 大学設置基準等の改正について
  2. 人文科学・社会科学系の大学院教育等について
  3. 「大学院における教育改革の実態把握・分析等に関する調査研究」及び「産業界における博士人材の活躍実態調査」の結果について
  4. その他

4.出席者

委員

(部会長) 湊長博部会長
(副部会長) 村田治副部会長
(臨時委員) 加納敏行、川端和重、神成文彦、小長谷有紀、小西範幸、佐久間淳一、迫田雷蔵、須賀晃一、菅裕明、高橋真木子、塚本恵、長谷川眞理子、波多野睦子、濱中淳子、堀切川一男、宮浦千里の各委員

 

文部科学省

(事務局)増子高等教育局長、森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、里見大臣官房審議官(高等教育局担当)、西大学振興課大学改革推進室長、柿澤高等教育企画課高等教育政策室長、大石技術振興・大学連携推進課大学連携推進室長(経済産業省)他

5.議事録

【湊部会長】それでは,所定の時刻になりましたので,第105回の大学院部会を開催したいと思います。御多忙の中,本日は皆様御出席いただき,誠にありがとうございます。
本日は田中委員と長谷川委員は御欠席でございます。なお,小西委員,佐久間委員,高橋委員,濱中委員につきましては,少し遅れて途中からの御出席予定と伺っております。
それでは,議事に先立ちまして,まず,このたび事務局側で人事異動があったとのことですので,簡単に御挨拶をお願いしたいと思います。文科省の高等教育局高等教育企画課,山下課長,よろしくお願いいたします。

【山下高等教育企画課長】 山下でございます。よろしくお願いします。

【湊部会長】よろしくお願いします。
また,本日は御欠席でありますけれども,同じく文科省の高等教育局大学振興課長として,古田課長が着任されております。引き続き,よろしくお願いいたします。
それでは,事務局から,会議に当たっての連絡等を少しお願いしたいと思います。

【西大学改革推進室長】 事務局でございます。
ウェブ会議を円滑に行う観点から,御発言の際は,「挙手」のボタンを押していただいて,部会長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言いただきますようにお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いします。
資料については,議事次第に記載のとおり,事前にメールでお送りしております。画面投影はいたしませんので,お手元の資料を御覧くださいますようお願いいたします。システムの状況によっては不都合もある場合もあるかもしれませんけれども,御協力のほど,どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。

【湊部会長】それでは,早速議事に入りたいと思います。
議題(1)は,「大学設置基準等の改正について」,これは大学分科会の下に設けられた質保証システム部会にて取りまとめいただいたものであります。これは主に学部における教育を念頭に置いたものですけれども,今後大学院の設置基準においても改めて所用の改正について議論,審議いただく可能性もございますので,ここで簡単に御説明いただきたいと思います。
それでは,高等教育企画課高等教育政策室の柿澤室長から説明をお願いいたします。

【柿澤高等教育政策室長】高等教育政策室長の柿澤でございます。本日説明の時間を頂戴し,ありがとうございます。
それでは,先般取りまとめが行われました質保証システム部会の審議まとめにつきまして,資料1,そして,参考資料1に基づいて簡単に概要を御説明申し上げます。
それでは,まず資料1,こちらの横の一枚物,審議まとめの概要を御覧いただければと思います。
こちらの一番上の四角囲みを御覧いただければと思います。「大学設置基準」「大学設置認可審査」「認証評価」「情報公表」という我が国の公的な質保証システムは,事前規制と事後チェック,それぞれの長所を組み合わせた形で設計されており,一定程度機能していること。しかしながら,3つのポリシーに基づく教育の実質化を進める必要があるという指摘や,グローバル化やデジタル技術の進展に対応する必要があるという指摘,新型コロナウイルス感染拡大を契機とした遠隔教育の普及・進展を踏まえた対応を行う必要がある等の指摘があること。それらも踏まえ,大学における国際通用性のある「教育研究の質」を保証するため,質保証システムについて,最低限の水準を厳格に担保しつつ,大学教育の多様性・先導性を向上させる方向で改善・充実を図っていくことが求められている。こういった共通認識の下で,部会で検討がなされてきたところでございます。
その上で,質保証システムで保証すべき「質」,こちらの資料1の真ん中の左のところになりますが,学校教育法の規定に照らすと「教育研究の質」であり,その保証のためには,「学生の学びの質と水準」とともに,教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現する観点からは,持続的に優れた研究成果が創出されるような研究環境の整備や充実等についても一定程度確認する必要があること。
また,この資料1の真ん中の右側になりますけれども,改善・充実の方向性としまして,学修者本位の大学教育の実現と,社会に開かれた質保証の実現,この2つを検討方針とするとともに,各質保証システムの改善・充実を検討していく際の視座としまして,丸1,客観性の確保,丸2,透明性の向上,丸3,先導性・先進性の確保(柔軟性の向上),丸4,厳格性の担保,この4つを設定して検討が行われてきたところでございます。
それでは,具体的な大学設置基準・設置認可審査等,各質保証システムの見直しの方向性について御紹介いたします。
その中でも,とりわけこの大学設置基準・設置認可審査の部分につきましては,参考資料1のほうに基づいて御説明ができればと思います。参考資料1,この審議まとめの14ページを御覧いただければと思います。
参考資料1,審議まとめの14ページでございますけれども,大学設置基準・設置認可審査の改善・充実の方向性といたしまして,まず学修者本位の大学教育の実現という観点からは,大学質保証の単位である学位プログラムは3つのポリシーに基づいて編成されるものであり,各大学における内部質保証は学位プログラムを基礎として行われるべきことを理念上明確にする。また,内部質保証による教育研究活動の不断の見直しが求められることを理念上明確にするといったこと。
また,客観性の確保という観点からは,現在は大学設置基準の様々な箇所に分散して規定されている教員や事務職員,各種組織に関する規定を一体的に整理する。こちら,15ページでございます。
また,15ページの2つ目の丸になりますけれども,クロスアポイントメント等多様な働き方が広がっていることも踏まえ,「一の大学に限り専任教員となる」という現行の「専任教員」の在り方についてその定義等を見直すとしております。
「専任教員」の見直しのイメージといたしましては,下の点線の枠囲いにございますけれども,「専任教員」の概念を「基幹教員」と改め,その定義を教育課程の編成等に責任を担う者であって,一定以上の授業科目を担当する教員(例として,年間8単位以上等とございますが)とし,大学設置基準上最低限必要な教員の数の算定に当たり一定以上の授業科目を担当する常勤以外の教員については一定の範囲(例えば,半数まで,4分の1程度)まで参入を認める。また,主要授業科目の担当を基幹教員とする。
こうした見直しによりまして,複数の大学や学部で基幹教員となることも可能となるとともに,民間からの教員登用が促進されることが期待されるとしております。
ただ,留意事項としまして,教育研究の質の低下を招かないよう,学内及び学外での兼務の際の取扱いやその際の条件については制度化に当たり留意する必要があるといったこと。また,脚注にもございますが,とりわけ若手教員の処遇等が不安定になることがないように制度設計の際には留意が必要と。こういったことも,部会や大学分科会での議論を踏まえて記載されているところでございます。
次に,16ページを御覧いただければと思います。その他設置基準の改正事項としましては,例えば,16ページの1つ目の丸でございますが,電子的な学術情報の重要性が増していることに鑑み,「図書」や「雑誌」等の表現については「教育研究に必要な資源」とするなど電子化やIT化を踏まえた規定に再整理する。
また,その2つ下になりますけれども,TAやSAなどの教育補助者についても,大学設置基準上,教育を補助する者として明示的に規定をするとか。
その次の項目につきましては,これは大学通信教育設置基準の関係でございますが,クラウドでの教材提供やオンデマンドでの映像教材配信など,デジタル時代に対応する観点で,一定の見直しを行うといったことも提言されているところでございます。
次に,先導性・先進性の確保という観点でございますが,16ページの一番下の丸になりますけれども,柔軟な教育課程編成を可能とするため,国際通用性の観点等を踏まえつつ,「講義・演習・実習・実験」の時間区分の大括り化や単位当たり時間は標準時間であることの明確化など単位制度の柔軟な運用を可能とするような見直しも提言されております。
また,17ページの2つ目の丸のところですが,大学の創意工夫に基づく取組を促進し,今後の大学設置基準の改善につなげるため,内部質保証等の体制が十分機能していることを前提に,教育課程等に係る特例を認める制度を新設するとしております。
こちら,対象は,認証評価を受審して「適合」を受けている大学から申請を受け付けるということで,要件はこちらに記載のとおりでございますが,こうした要件が満たされているかを,有識者会議等において確認するということになってございます。
特例事項としましては,例えばということで,遠隔授業による修得単位上限(60単位),単位互換上限,授業科目の自ら開設の原則,校地・校舎面積基準等が考えられるとしているところでございます。
また,18ページでございますけれども,ハード関係の規定でございますが,学長室,会議室,学生自習室,学生控室等の校舎等施設,こういったものにつきましては,機能に着目した一般的な規定として見直す。
運動場,体育館等のスポーツ施設やその他の厚生補導施設,こちらも各大学の実情や必要性に応じて整備を行うべき施設とするように規定を改める。
こういったことが大学設置基準の見直しの方向性でございます。
次に,先ほどの資料1,概要のペーパーのほうに戻っていただきまして,(2)認証評価制度の部分でございます。
認証評価については,学修成果の把握・評価や,研究環境整備・支援状況の大学評価基準への追加や,認証評価機関の質保証に資する取組の推進,内部質保証の体制・取組が特に優れた大学への次回評価の弾力化,不適合大学の受審期間の短縮化などが盛り込まれております。
また,(3)としまして,情報公表につきましては,「教学マネジメント指針」を踏まえ,認証評価において大学の情報公表の取組状況を確認することや,「大学入学者選抜に関すること」等を学校教育法施行規則に規定する各大学が公表すべき項目に追加することなどが盛り込まれております。
最後に,(4)その他重要な論点といたしまして,遠隔授業に関するガイドラインの策定,SD・FDの取組等の把握・周知,設置認可審査を経て認められた分野の範囲内なら大学の判断で新たな学位プログラムが実施可能であることの周知,基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理の取扱いについて,現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは,収容定員に基づく複数年度の算定へと改めることなどを盛り込んだ提言となってございます。
文部科学省といたしましては,この審議まとめを踏まえまして,必要な制度改正等に取り組んでいくというところでございます。
簡潔ですが,以上でございます。

【湊部会長】ありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明につきまして,何か委員の先生方から御質問や御意見等ございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
特に大学院部会としては,今のところ御意見等ないようでございます。いずれにしましても,今回のこの質保証の議論を踏まえて,大学院の設置基準への反映等についても,引き続きこの部会では議論を進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
それでは,議題(2)に移りたいと思います。議題(2)は,「人文科学・社会科学系の大学院教育等について」であります。それでは,まず事務局から説明をお願いいたします。

【西大学改革推進室長】事務局,大学振興課,西でございます。お手元,資料2,人文科学・社会科学系における大学院教育等についてという資料を御用意お願いいたします。
おめくりいただきまして,1ページ目でございますけれども,前回いろいろと人文科学系の特色についてデータを御紹介しながら御議論いただいたところでありますけれども,そこでいただいた御感想と御意見の概要でございます。
まず,キャリアパスについての御意見ということで,一番上のポツの後段,修了直後だけでなく,数年後の変遷まで追えるとより分かるのではないかということ。
2番目のポツ,人文科学系のキャリアパスが,結構アカデミア志向が強いというか,大学と密着している原因がどういったところにあるのかといった御意見がございました。
学生側の視点に立ってみたときに,人文科学・社会科学系の大学院に進んだ学生はどれぐらいアカデミア志向が強いのかといったこと。
2番目,人文科学系では本人の関心に合った業務や職種が,いわゆる民間企業のほうですけれども,なかなか少なく,民間等に就職してもワーク・ライフ・バランスが満たされなければ戻ってくる傾向があるのではないか。
また,今のこの議論というのは,十数年前にやっていた素粒子・物理等の分野と似ているというような御意見をいただいておりました。
次に教員側・大学側の論点ということですけれども,一番上のポツが,アカデミアにおける雇用の実態を踏まえて,人文科学・社会科学系の方々が何を考え,どのように変わってほしいということがいまいち見えてこない。大学院の教育課程がどのような現代的な在り方を提示できるかを考える必要がある。
いたずらに時間をかけても,学生本人のキャリアパスにとって必ずしもプラスになっていない。標準修業年限を逸脱しない範囲で人材を輩出する責任があるのではないか。
1つ飛ばしまして,教員の研究と教育が補完的である自然科学系と比べて,人文科学・社会科学系では,教員の研究と教育が代替的であるのではないかといった特徴についての御指摘。
また,次のポツですが,学生の定員充足を優先することは不幸を生むことにつながりかねないのではないかといった御意見がございました。
次に,社会側の論点として,一番上のポツ,多くの経営者や機構関係者が人文科学・社会科学の考え方や人材の必要性を説くものの,具体的に期待する役割までを示すことができていない。一方で,大学からも,そういった形での具体的な提示がされていないといった御意見。
産業イノベーションから社会イノベーションに転換する中で,必要となる・出てくる人材像や実際のニーズはどうなっているのか(特にパブリックセクター)といった御意見がございました。
続きまして,教育研究環境についてでございます。
2番目のポツ,研究時間のデータについては,社会人学生の割合が影響しているのではないかといった御意見がございました。
1つ飛ばしていただいて,スローサイエンスといったところですけれども,重要な研究成果は人文科学・社会科学系ではいつまでも引用されていくという意味もあるのではないか。
最後のポツですが,人文科学・社会科学における時間軸は,最新・最先端の部分を追いかけている自然科学とは違う形になる部分もあるよねといったことでございました。
今回の院部会におきましては,前回いただいたこれらのコメントについて,さらに補足するようなデータをお示ししつつ,今回は人文科学・社会科学系の大学院教育の実態やその在り方について御議論いただきたいと考えてございます。
次回以降の事務局のイメージでございますけれども,議論の内容を整理した上で,あるべき人文科学・社会科学系の大学院教育について,大学院部会としての中間取りまとめを策定することとしてはどうかと考えてございます。
1か月単位でございますけれども,本日御議論いただいて,5月11日を想定しておりますけれども,人文科学・社会科学系の大学院教育の在り方及び中間取りまとめの素案みたいなものを事務局としてはお示しできればなと思っておりまして,そこについてはまた御議論いただいて,6月に中間取りまとめの策定に向けていってはどうかと思っております。
では,本日の中身でございますけれども,3ページ目以降にキャリアパスについてといった資料を御用意してございます。
4ページ目を御覧いただきますと,博士後期課程修了後の進路についてのデータです。一番左側のバーが全体でございますけれども,人文科学・社会科学が左側に来ております。とりわけ人文科学においては,グレーの「その他」というところが36.6%を占めているというのが結構特徴的な数字になっております。大学教員の正規・非正規で見ると,正規・非正規を合わせて大学教員で約20%という形になっています。これは人文科学系。社会科学系は,大学教員は正規・非正規合わせて約25%という形になっておりますので,結構の数が「その他」というところに吸収されているようなデータになってございます。
次の5ページ目を見ていただくと,卒業して直後からそのさらに後ということのデータを探したところ,博士後期課程修了後のセクター間移動というデータをお示ししております。卒業後半年から,その後3.5年後に取ったデータです。2015年のコホートということでございます。左側にありますのが人文科学で,真ん中にあるのが社会科学,一番右が全分野の雇用先の割合ということで,参考として記載してございます。
先に,この参考の全分野の雇用先を御覧いただきますと,一番下の黄色いところ,48.2%が51.9%になっているというのが大学等全体でございます。ここの大学等というところが,教員だけではなくて,教員以外で大学に雇用されている者も含んでおります。
といった前提で,左側の人文科学を見ていただきますと,卒業後,これは実数値であります。一番多い割合は,94名の方が67%を占めておりますけれども,半年後には大学に雇用されていると。次いで割合として多いのは,無職・通学・家事21という数字が多くございます。この人文科学の半年後の67%は,3.5年後の右にスライドした場合に,やや構成は変わっておりますけれども,無職・通学・家事といったところから入ってくる層とか,その他から入ってくる層も含めると,大学等で引き続き67%のシェアを持っているというところになっています。
社会科学につきましては,やはり大学等のウエートは大きいのですけれども,3.5年たつと,卒業直後よりも大学等に雇用されている割合が多いということになっております。
ここで人文科学についてですけれども,無職・通学・家事の0.5年後の割合が21あるのですけれども,これが右側の3.5年後といったときに,引き続き全体の10%程度がこの無職・通学・家事といったところにいると。大学を辞めて無職になっているという人も結構いるなということが,データ上明らかになりました。
6ページ目以降,大学院進学者の意識,アカデミア志向はどのくらい強いかといったところでございます。
7ページ目を見ていただきますと,修士に進むときの進学理由を聞いているものです。データから御説明申し上げますけれども,この棒グラフになっている左側の赤から人文,社会,理学,工学,農学,一番右は保健なので,ちょっと特性がありますけれども。左の丸1ということが2つ振ってありますけれども,研究したい課題や問題意識があったというのが人文系は結構突出しているなということが分かります。その隣にあります,研究することに興味・関心があったということもかなり高い。もう2つ右へ行きますと,大学教員や研究者になるために必須だったという割合も結構高くなっています。真ん中のちょっと右あたりに丸3とありますが,修士号を取れば,良い仕事や良い収入が期待できるからという割合は逆に非常に低いということになっています。何となく自分が純粋にやりたいこととか知りたいことを見つけて,修士に行きたいと。行って,別にこれがビジネスにつながるということはあまり考えていないような様子がうかがえます。
次のページが,博士課程への進学理由になります。一番左,研究したい課題や問題意識があったということは,人文科学系では引き続き修士と同様に高く,今度は社会科学系でも高いということになっています。左から3つ目,丸2の数字が振ってありますけれども,自分自身の能力や技能を高めることに関心があったというのは他の分野と比較して低位かと。その右,大学教員や研究者になるために必須だったという割合は高くなっています。2つ飛ばしましてまた右に行きますと,博士号を取れば,良い仕事や良い収入が期待できるからというのも比較的低いということになってございます。修士と同様,人文科学・社会科学系ともに,良い仕事とか収入に対するインセンティブというのは高くないんですけれども,人文科学系では特にあまり重要視されていないというような傾向があるようです。
9ページ目,博士ではなく就職を選択した理由,修士を出た後,就職しますといったことについて,理由について問うております。左から見ますと,社会に出て仕事がしたいという割合は比較的低い。経済的に自立したいというのは,人文科学系は結構高いと言っても,パーセンテージはほぼ同じというふうに言えると思います。真ん中あたりにある,赤い丸1を振っていますけれども,大学教員などの仕事に魅力を感じないといった割合が非常に低くて,人文科学・社会科学系の学生さんは,大学教員の仕事を魅力的だと思っているというような数字になっています。同じく丸1で振っていますけれども,右から3番目,博士課程の進学のコストに対して生涯賃金などのパフォーマンスが悪いということに対しては,これの回答率も低くなっておりまして,あまり生涯賃金,リターンに対するインセンティブはそんなに高くないと。
他方,丸の2で括っておりますけれども,一番右,博士課程進学すると修了後の就職が心配であるというのは,ほぼ一番高い数字になっていて,右から4番目もそうですが,博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たないといった割合も高くなっています。
なお,データ上も完全に蛇足ですが,真ん中あたりの大学教員の仕事に魅力を感じないとか,その右にあります,研究室環境が好ましくないというのは,人文科学系が低いというふうにも見えるのですが,理工系が逆に高いというふうにも見えるような気もしていて,この辺は,大学の教員とか研究室環境の改善というのも,また理工系にとっては課題なのかなという気もいたします。
10ページ目,こちらも参考でございますが,就職予定者に対して博士課程へ進学検討しましたかというふうに,修士を出て就職した人に聞いた場合に,博士へ行こうと思ったという割合は人文系が突出して高く,社会科学系も高いということでございます。これらを見るに,アカデミア志向はやはり人文科学・社会科学系のほうが高いのかなという気はいたします。
その次,就職先を選択する際に重視した事項は何ですかというふうに聞きました。一番左,自分の専門知識や技能を仕事に活かせるという数字は,一番右は保健系で,他の分野は大体同程度かなと思われるのですが,左から2番目,研究職として働くことができることには,別に魅力は感じていませんと。ただ,左から3番目,自分の適性に合う仕事ができるかということは非常に重視していると言えると思います。右から4番目,丸の2番を振っていますけれども,福利厚生が整備されているとか,その隣の給与が高いといったところに対しては,人文科学・社会科学系のほうが低くなっています。従って,仕事のリターンというよりも,やはり自分の適性に合ったとか,自分に合った仕事ができるということを重視している傾向があると言えると思います。
12ページ目,こちらも参考でございますけれども,就職先をどうやって見つけましたかというお尋ねです。一番左を見ていただきますと,大学や大学院,指導教員からの紹介で今の仕事を見つけましたといった割合が,人文科学系と社会科学系は,自然科学に比べて非常に低く,10%程度。工学に至っては30%ぐらいありますので,結局,自力で見つけてきましたという割合が高くなっています。一方,真ん中にありますような就職情報サイト・求人情報誌・新聞・チラシといった割合で,一般の学部学生と同じように,就職先を自分たちで見つけてくるといった割合が人文科学・社会科学系は多いのかなというようなデータになってございます。
13ページ目,修士課程進学を決めた時期というところでございますけれども,これも人文科学・社会科学系ではオレンジと黄色が強いのですけれども,上のオレンジが,4年生のときに修士に行こうと思いました,黄色のところは,学部3年生のときに修士に行こうと思いましたということで,自然科学系に比べると割合が非常に高いということになっています。他の分野と比べて,修士課程への進学を決める時期が結構遅い傾向にあるようです。
14ページ目を見ていただきますと,修士課程の満足度といったデータがあります。このデータは,左上に修了者全体,右上にストレートというのを置いていますけれども,真ん中に比較的小さめのグレーの五角形になっていますのが,全分野平均です。これに比べますと,人文科学・社会科学,いずれも修士課程の満足度は高いという数字になっています。強いて言えば,ストレートの部分で,左下にありますキャリア開発支援や進路指導などに関しては,全分野に比べると人文科学系はちょっと低いですねというのはありますけれども,全体的には,人文科学・社会科学系の学生さんは修士課程の中身には満足していらっしゃると。
15ページ目,今度は博士課程の満足度について聞きました。こちらについては,真ん中の左上のほうにありますのは,各学問分野で取っておりますけれども,そんなに他と違いはない。大体8割弱ぐらいの学生さんが,まあまあ満足しています。左下にありますのは,課程学生,社会人学生,外国人学生ということで分類しておりますけれども,課程学生よりも社会人学生,社会人学生よりも外国人学生のほうが満足度は高いということになっております。
16ページ目,参考でございます。大学院で履修した授業のうち履修して良かったと思う授業の割合です。授業と聞いていますので,主に修士のほうが多いのかとは思います。上から水色の部分が9割以上満足しました,紫が6割以上9割未満満足しました,緑が3割以上6割未満ですという満足度になっておりまして,人文科学や社会科学の部分を見ていただくと,8割以上の学生さんが,大体3割以上6割未満とか,あるいは,6割以上9割未満満足しましたという,このゾーンがかなり高いということがお分かりになるかと思います。逆に,理学,工学,農学で言いますと,満足度が6割未満ですといった割合のほうが圧倒的に高く,これはこれでどうなんだというようなデータとなっております。
17ページ目,研究教育時間,論文指導についてです。
18ページ目は前回と同じ資料でございます。人文科学・社会科学系のほうが平均して研究時間は短いというデータでございましたけれども,19ページ目にありますのは,前回資料から,社会人学生と留学生を除いたらどうなるかということで,社会人が多いから,社会人の学生さんはなかなか忙しいから,その分左に振れているのではないかというご意見をいただいたところでしたけれども,社会人学生と留学生を除いて比較した結果でも,人文科学系と社会科学系は,自然科学系に比べると,1日当たりの平均研究時間はやや短く出ているという結果でございました。
20ページ目,こちらは参考でございます。これは教員の先生方に聞いております。総職務時間をそれぞれの活動にどのくらい割り振っていますかというデータです。文学,法学,経済学,その他人社,理学,工学,農学とありますけれども,全体的に人文科学・社会科学系の先生のほうが,あくまで相対的なものですけれども,研究時間よりも教育時間のほうに長く時間を費やしていらっしゃる傾向があるかなと。自然科学系の先生は,研究時間は1,000時間を超えてきますけれども,それに比して教育時間というのはやや短めではありますが,全体のボリュームが,自然科学系のほうがトータルの時間数が長いのですね。2,500時間を軽く超えてくる状態。人文科学・社会科学系は2,300時間ぐらいといったところかと思いますけれども。これを下の参考,民間企業の年間労働時間平均の2,049時間とか2,040時間と比較すると,大学の先生方は本当に働いていらっしゃるんだなということがよく分かる中で,とりわけ自然科学系の先生のほうが時間が長い,そして,研究時間も長く費やしていらっしゃると。人文科学・社会科学系の先生におかれては,研究時間よりも教育時間のほうが比較的に長い傾向があるということが分かります。
21ページ目にありますのが,博士課程の標準修業年限の超過率ということで,前回お示ししましたものと全く同じ傾向なのですが,アップデートしています。これがデータとしては最新になりますが,人文科学系だと10%,社会科学でも20%ぐらいしか標準修業年限では卒業できないということになっています。
その原因がどこにあるのかということの示唆するようなデータになるかと思いますけれども,22ページ目を御覧いただきますと,博士論文のテーマについて指導教員と合意した時期はいつ頃ですかというのを問うております。全分野平均が一番左にありますけれども,博士課程へ入学する前から決まっていましたよという人が47.4%,逆に,1年たってもまだ決まっていませんでしたという人が25%ぐらいというのが全分野平均になっています。逆に,工学分野ですと,博士に来る前に6割以上の方が決まっていて,1年たってもまだなかなか決め切れないというのが15%という数字なのですけれども,これを人文科学とか社会科学で見てみますと,1年たってもまだ博論のテーマは決まりませんというのが38.3%人文科学系にいて,社会科学系でも30.7%の方がまだ決まっていないというようなデータになっています。
23ページ目でございます。研究テーマの設定と自主性についてというデータです。人文・社会科学系が明らかに緑や紫の割合が大きいのがぱっと見でお分かりかと思いますけれども,この紫のところが,特に指導教員から助言やアドバイスを受けることはなく,自分自身で決めましたという人,緑色が,自分自身が着想や興味・関心を持ったテーマを基に,指導教員の助言・アドバイスやヒントを受けて決定しましたということで,人文系に至っては,自主的にいろいろ考えて決めましたというのは95%ぐらいの学生が,社会科学系でも88%ぐらいということになっています。転じて,工学系を見ていただきますと,先生からテーマをもらいましたというのが9.2%,先生からもらったテーマをメインに,自分で視点を追加しましたというのが36%ぐらいということで,基本的に全部自分で決めましたという割合が非常に高い人文・社会科学系と比べると,自然科学系が特異なのか,人文・社会科学系が特異なのか分かりませんけれども,明らかにそういった傾向の違いがあるということになってございます。
24ページ目,参考でございます。博論のテーマ決定と自分自身の研究能力の相関について見ております。例えば,上から2番目,丸1のところですけれども,指導教員が提示したテーマをそのまま自分の論文のテーマとしましたという人に聞いたアンケートですけれども,研究能力が十分身についたという人が11%,ある程度身についたという人が60%で,全体として7割ぐらいです。これと比較して,丸3番,自分自身が着想や興味・関心を持ったテーマを基に,指導教官の助言・アドバイスやヒントを受けて決定したという人が,十分身についた,あるいは,ある程度まで身についたという人の合計で90%まで来ます。従って,ここで,やはり研究テーマを自分で選んだとか,自分を中心的に考えたという人との,研究力が身についたという実感に20%ぐらい差が出るというようなデータになっております。
25ページ目,博論のプロセス管理への指導教官の関わり方というところです。大きく違いが出るのは,この赤いゾーンだと思いますけれども,赤いゾーンのところ,自分自身で計画を作成し,自分自身でのみプロセスを管理しましたという割合です。全分野平均で一番多いのは,一番下の水色のところ,自分自身で計画を作成して,指導教官と自分で一緒にプロセス管理しましたようというのが半分以上なわけですけれども,自然科学系だと,この緑色,指導教官が計画を作成して,指導教官と自分がプロセス管理しましたという割合もそこそこ多いのですが,人文・社会科学系だと,自分でのみプロセス管理しましたといった割合が多くなってございます。
26ページ目,博論の指導形式といったところです。人文系で突出しているのは,この紫の部分,個別に指導を受けますというのは他分野よりも多いという傾向があります。社会科学系では,青色の部分,複数研究室などによって複数の教員や学生が集まってミーティングとかゼミとか報告会をやりますといったところですとか,あるいは,赤い部分の,研究科等の組織として発表の場が用意されていますといったデータが多くなっています。
27ページ目でございます。課程博士の授与に当たっての条件ということで,大きく差がついているのは,一番左,査読付き論文の本数が条件として課しているという点,自然科学系,特に農学だと8割を超え,工学でも8割程度となるのですけれども,人文科学・社会科学系だと60%とか40%程度になっています。また,国際学会での発表回数や筆記試験では,結構違いが出ているかなと思います。
続きまして,28ページ目,組織的な大学院教育の改革状況について,29ページ目がデータになってございます。大学院教育の改革状況についてというお尋ねを文部科学省から幾つか大学にしているのですけれども,大学・大学院改革への取組について,いろんな項目を立てて質問しております。これはいずれも過去の大学院部会ですとか中教審,あるいは文科省の施策として,こんなことをやったらいいのではないかといったことを項目として並べているのですけれども,人文科学とか社会科学系では,全般的にこの取組の度合いが低いという感じになっています。データ的に赤の星がついているのが,人文・社会科学系が他の分野よりも取組の割合が低いものです。左から2番目,主専攻分野以外の分野の授業科目の体系的な履修を行っているか,専攻又は研究科を横断して共通のコア科目を設置しているか,教養科目を設置しているか,もう1個飛ばしまして,研究プロジェクトの企画・マネジメント能力を養う科目を設置しているか,幾つか飛ばしまして,真ん中あたり,学外との連携により教育カリキュラムの構築を行っているか,メンターによる授業外のサポートを提供しているか,1つ飛ばして,寄付等,企業等から大学院教育に使用可能な外部資金があるか,右から3番目,社会で広く活用できる汎用的なスキルの教育について,身につけさせるスキルと対応するプログラムが整理された上で実施しているか,いずれも非常に差が出ている数字になってございます。
30ページ目,大学院教育改革状況の引き続きです。今度は教員の業績評価について問うております。左から,研究実績の観点,2番目が,授業での観点,3つ目が,研究指導での観点,教員の業績評価をしていますかというお尋ねをしております。いずれも自然科学系のほうが高くなっておりまして,一番右のいずれも実施していないという割合が,人文科学系・社会科学系がダブルスコアぐらいの数字になっているということでございます。
31ページ目,大学院教育改革状況の引き続きです。有意な差が出たのは,一番左ですけれども,大学院生を対象としたプレFDを実施しているという割合が,人文科学・社会科学系が低いというふうに,全体的に低いのですけれども,とりわけ低調であるということになっています。アカデミア志向が強いというのを先ほど見てきた割には,プレFDみたいな取組はやっていないんだなということです。
次の32ページ目,キャリアパスの確保と可視化といったところでございますけれども,例えば,左から2番目,修了生の就職状況の詳細をインターネット等で公表しているとか,修了生の就職状況や活躍状況を踏まえ,組織再編やカリキュラムの改善に取り組んでいるとか,博士人材データベース(JGRAD),先ほどいろんなデータをお示ししたものもここから引っ張ってきているのですけれども,JGRADの学生の登録を推進していると,いずれも低調です。いずれも実施していないという割合が人文科学・社会科学系では非常に多くなっています。
33ページ目,大学院教育改革状況(組織的な就職支援)という項目です。これにつきましても,設問自体がどちらかというと自然科学寄りなのかもしれませんが,例えば,左から2番目,民間企業など,教育研究機関以外へのキャリアパス具体化のために企業人を招いた講義やマッチングの場の提供を行っている。真ん中,インターンシップの取組。その右,大学院修了者のキャリアパスに関する認識を高めるため,大学と産業界との間での対話の機会を設けている。さらに右,若手研究者を対象にポストの拡充等を行い,安定かつ自立して研究を推進できる環境を整備している。いずれも低調ということで,一番右,いずれの取組も実施していないというのが人文科学・社会科学系では非常に高いというデータになってございます。
すみません。大変早口でございますが,現状について,こんな感じかなということで,便宜的にまとめさせていただいていますけれども,大学院進学者の意識について,学生さんについて見た場合に,人文科学・社会科学系における博士進学者はアカデミア志向が強いんだなということがデータ上も裏打ちをされております。
2番目のポツの後段ですけれども,自分の適性に合った仕事ができることを重視する傾向にあるということ。
3番目,修士課程修了者の満足度は,キャリア開発の点を除いて,他の分野に比して高い傾向にあって,博士課程プログラムについての満足度は,分野によって明確な差は見られなかった。
次に,研究教育時間,論文指導についてというところですが,一番上のポツ,標準修業年限の超過割合は高く,それに見合った安定したアカデミックポストやキャリアパスが必ずしも準備されている状況にはないなというのが,前回でも御議論いただいたところです。
3つ目のポツですけれども,博論に係るテーマ設定は学生が主体的に関わっているということが,身につけた能力の満足度を高めているといったことが分かる一方で,テーマ決定までに1年以上を要していることや,標準修業年限の過度な超過につながっている可能性があるのではないかと考えられます。
大学院の改革状況についてでございます。政府から示されてきた大学院教育改革の方向性について,人文科学・社会科学系については特に,体系的な教育や教員評価,キャリアパスの開拓につながる組織的な取組が低調である。
これについては,人文科学・社会科学系の現場や教員の意識の問題なのか,国としてもいろいろな補助金等の施策を打っておりますけれども,それの影響力が発揮できていないといった問題なのか,これまでの答申とそもそも人文科学・社会科学系の分野特性がかみ合っていないのか,あるいは他の原因があるのかということについてさらなる分析,御議論をいただきたいと思っております。
という整理をした上で,この四角の一番下に書いてございますが,人文科学・社会科学系の大学院教育の現状やその改革に必要な観点,方向性等について御議論いただければと思います。
駆け足で大変失礼しました。よろしくお願いいたします。

【湊部会長】ありがとうございました。
前回の資料に,さらに補足的に新たな資料も追加した上で御説明いただきましたけれども,何分にも膨大な資料で,まとめて説明されるとなかなか全体像をつかみにくいこともあったかもしれませんが,取りあえずは,ただいまのデータの御説明について,何か委員の先生方から御質問,御意見等がございましたらお聞きしたいと思います。感想でも結構ですけれども,いかがでしょうか。
それでは,何名か手が挙がっておりますので,順番にお願いしたいと思います。最初は,迫田委員からお願いできますか。

【迫田委員】ありがとうございます。
膨大な資料,調査ありがとうございました。前から比べると解像度が随分上がったなと感じております。
人文・社会科学系は,比較的ゆとりがあり,なおかつ,満足度が高いという姿を考えると,何となくモラトリアム的な印象を受けました。社会に出るよりは進学という,そういう選択があるのではないかなと。これは直感的な印象ですが,そういう姿が浮かんでくるような気がします。
それと併せて,気になるのが,先生方は教育のほうに力を入れておられると言っているんですけれども,修業年限との関係とかを考えると,果たして一般的な意味において教育に力を入れていると言えるのか大変疑問に感じます。標準修業年限で終わらないような教育など,例えば私どものような民間研修機関ではもうあり得ないと思うんです。研究はしっかりやっているけれども,本当に教育機関としての責任を果たすという方に動いているのかというと,決してそうではないようにしか見えないんですよね。
これまでにもお話ししましたが,リーディング大学院では,全ての卒業生が取り合いになっています。やはり社会に出ることを意識して育てれば,学生は社会との接点を持ち,社会に出る準備ができるのだと思います。そうではない人たちを大量生産しちゃっているのではないかなという気がします。そういうまた教員に対する評価も行っていない,これも民間から言うとちょっと信じられない状態です。それぞれの研究はしっかりされているんでしょうが,教育機関としてどう評価するかというところに手が着いていないのではないかと思います。大変失礼な言い方ですけど,そんなふうに思います。
ぜひ,先生方の御意見も伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【湊部会長】どうもありがとうございます。
それでは,次に,小長谷委員からお願いできますか。

【小長谷委員】ありがとうございます。
今日は,いつもながらですけど,さらに充実した資料,ありがとうございました。
流れで3点,1つのことを3つに分解して意見を述べたいと思います。
まず1つが,1ページ目にありましたところに,やっぱり相変わらず人文・社会系の先生方に対するいわれなき侮蔑というか,蔑視,アンコンシャスバイアスがあるなと思います。自分の弟子しか育てないなんて,そんな偏狭な精神ではなくて,教育職に従事しているわけですから,自分の弟子とかに限定されません。これに対してしっかりと回答してくれているのは,むしろ大学院生そのものです。院生が自分の興味でやっているけれども,だからこそ,教員の授業が非常に役立ったと。つまり,キュリオシティ・ドリブンなんだけれども,その普遍性,その持っている意味だとか,そういうところへ広げてくれるというところに教育の効果があったということを,本人自身が自覚しているわけですね。だから,教師は自分の興味とずれている興味の人だけれども,それも包み込んで教育しているということが分かると思います。
それで,今日これからは,それをさらにもう一歩広げる必要があると思います。学術だけではなくて,社会に対してどういう意味を持っているかというところも示す必要があるわけです。キュリオシティ・ドリブンでいいので,その特徴は捨てては駄目で,それを捨てると学問ではないから,人文・社会はそれを中心にやったらいいんだけど,その本人の好きだけというのが,決してオタクではなくて社会性をどれだけ持たせるかという,そこの博士学位を取るときのその価値というのを今まで以上に教育で支えなくてはいけないと思います。そのためには,先生だけではなくて,やっぱり社会人の方とか,ビジネスパーソンとか,そういう方が入って指導するというほうがいいのかもしれないなって,そういうふうに思いました。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,村田委員,お願いできますか。

【村田副部会長】ありがとうございます。
詳細なデータ,しかも,膨大なデータ,分析ありがとうございます。
私からは感想といいましょうか,こういうことなのかなと思ったこと,気がついたところを言わせていただきます。
まず,修士課程への進学理由のところ,7ページなんですが,修士号を取れば,良い仕事や良い収入が期待できるからというところが極端に低い。恐らく人文・社会科学系は企業とのマッチングが全くできていない,あるいは,アカデミア中心になっているというところがあるのかなと思うんですね。
一方で,そのことも若干反映しているのかもしれませんが,先ほど小長谷委員からありましたように,いわゆる自分の関心・興味でテーマをやっていると。ですから,そのテーマだったら就職どういうところって一切関係ないんですよね。自分の関心でやっている。そのことが,先ほどもありましたように,教育に対する,あるいは,授業環境に対する評価はすごく高いんですが,逆に,マッチングを含めた人文・社会科学系の大学院での教育改革が非常に少ないという事実,これは確かにそうなんだろうなと思います。
それは恐らく理科系・自然科学系の場合は,研究に人文・社会科学系とは二桁ぐらい額が違うようなものが入って,それに関して文部科学省のほうから補助金が出ています。特に国立を中心に。その補助金のコントロールが効いて,非常に改革が行われている。その点,人文・社会科学系は補助金がほとんどないものですから,なかなかそのインセンティブがなっていない。そこへ持ってきて,マッチング等々についての言わば仕組みがなかなかできてこなかったということがあるのかなと思って,これまで何となく実感として感じていたことが,データによって裏づけていただいたなというふうに感想を持っています。
私からは以上です。

【湊部会長】どうもありがとうございました。
それでは,佐久間委員からお願いします。

【佐久間委員】よろしくお願いします。いろいろ詳しいデータをありがとうございました。
それで,最後のほうで人社系は体系的な教育とか,そういった取組がなかなかできていないという御指摘がありました。確かにそうなのかもしれないですが,ただ,今まで御指摘もありましたように,学生の満足度は高いですよね。だから,仮に体系的な教育を導入したらどうなるかというと,小長谷先生の御指摘のような傾向もあるわけですから,むしろ満足度は下がってしまうかもしれません。体系的な教育が必要なことは,そのとおりだとは思うんですけど,体系的な教育をやりさえすれば本当に早く博士論文が出てくるのかどうか,そこから検討しなくてはいけないのではないかという気がします。
一方,博士論文のテーマをどうやって決めるかというデータがありましたけれども,それを見ると,ほとんど自分で考えましたという人が多いわけです。こういう博士論文指導のあり方は,後期課程の学生が少ない頃は,総じて優秀な学生が入ってきていたので,それなりに成り立っていました。もちろん,学生の中でテーマが固まるのを待つわけですから,それなりに時間がかかってしまう面はあります。ところが,これがだんだん人数が増えてきて,その上,今以上に学生定員を充足させなければいけないということになってくると,それほど優秀ではない学生も増えてくるので,さすがに学生が自らテーマを見つけるのを待っていたら,いつまでたっても博士論文が仕上がらないということになってきてしまいます。だから,そこら辺をどうするのか。社会科学系は取りあえず置いておくにしても,人文系の後期課程の指導の在り方というのをどういうふうに考えるべきなのか,それは非常に難しいことだと思います。
それから,研究指導の方法についてもデータがありましたけれど,そこには方法しか書いていなくて,むしろ重要なのは研究指導の頻度だと思います。理系の場合,毎週ミーティングをやるとか,そういうところも珍しくないと思いますけど,人文系の場合は,なかなか週単位ということにはなりません。大体月単位。久しぶりに会ったら二,三か月ぶりということだってあります。そういうことを言うと,学内でも,研究担当の理系の副総長から,それで研究指導していると言えるんですかみたいに言われちゃうんですが,でも,研究スタイルが違うということは確かなので,そこを無視して一律にやろうとしても,結局,あまりいい結果は出ないのではないか。だから,何か変えていかなければいけないというのは確かだと思うんですけど,そこら辺に難しさがあるのではないかなと思いました。
ありがとうございます。

【湊部会長】ありがとうございました。
それでは,次は,須賀晃一先生,お願いできますか。

【須賀委員】ありがとうございます。よろしくお願いします。
この資料の中で,一番どこに問題があるのかというと,人文科学・社会科学系の場合,体系的な大学院教育がおろそかになっているという意味合いが一つあるんだろうと思うんです。そのとき体系的教育の中にどういったものが含まれているのかが問題で,どちらかというと,人文科学・社会科学系でもそれぞれの狭いところにおいては,コースワークというのはある程度やられているんだろうと思うんですね。そういったコースワークをやりながら,同時に資料・文献の勉強をして,あるいは研究をして,その中から絞り込んで研究テーマを決定して,そして研究を開始するという流れだと,どうしてもテーマ決定から論文作成まで時間がかかるというのは確かだろうと思います。そうすると,コースワークはどういう位置づけにして,どこまでのことをやらせなければいけないのか,こういったことはどこかで考えなければいけない。
学部,修士,博士と割と教育が一貫されている理工系の場合と,人文科学・社会科学系の場合とでは,かなり状況が異なる。人文科学・社会科学系の場合,大学院から新しく入ってくる人が結構いると思います。そして,各自の自由意思が尊重されてしまうために,多くの人の場合にテーマ決定まで時間がかかり,博士論文もかけなくて最終的にどの職業に就いたのかもわからないというようなことも起こってくる。
もちろん,先ほどのお話にありましたように,テーマそのものが時間をかけないと進められないような内容を持っている分野もある。そうすると,研究指導も月一とかといった形のほうが研究が深まりやすいところがある。このような研究のペースの問題も関連してくると思います。その辺りは分けないといけないかなと感じていました。資料の後半で明らかになっていると思いますが,要するにキャリアパスが明確にできていないのがあくまでも中心的課題であって,大学院教育は研究者養成だけではないと考えております。
その一方で,今回お示しいただいた中にもありましたけれども,体系的な大学院教育の中では,結構いろんな内容の教育が含まれていますが,就職のために求められる教育とはかなりずれているという感じがしております。したがいまして,それぞれ体系的な大学院教育とは何なんだろうかとか,どういう人間を育てたいのかというところから考え直してみるべきだという話になるのだろうと思います。人文科学・社会科学系の教員はまだ相変わらず研究者を養成するというところに重きがあって,学生が希望する教育との齟齬が解消できないままになっているのではないかという印象です。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございました。
それでは,川端委員,お願いできますか。

【川端委員】ありがとうございます。
詳細な資料,本当にありがとうございます。ただ,幾つかの点で気になるところがあって,やっぱりこれって,NISTEPだとかが中心にいろいろ分析したりしているので,どうしても理系での今までの経験等を中心の考え方で整理がされています。この流れで議論するとさっき少し言われたように,理系での取り組みが正しくて人文・社会科学院の今やっているのはおかしいとなってしまいます。でもそうわけではないという気がしています。
1点言うのは,やっぱり私が理系だからこそ言うんですけど,理系では修業年限で博士を取らせるために,いろいろなレベルで学生の研究進捗の管理を行っていて,このため学位が取れるし,企業への就職もできますが,逆に言うと,管理されすぎていると感じています。今どきのドクターと話すと,みんな忙しい忙しいと言います。これもおかしい話で,大学院生は学生であって企業等に就職していないのだから,いろいろな議論や見識を広げるためのもっと自由な時間があっていいと思っています。でも彼らが日々に追われている感が,ごめんなさい,僕の周りだけかもしれませんけど,そういう感じがしています。これは理系の一部宿命的なものかもしれません。だから,これがいいわけではなくて,これと比較する必要はないと思います。
もう1点考えなければならない点,人文・社会科学系に対して今何でこんな話がわあわあ出始めているかというと,やっぱり今の自然科学だけではもう社会のイノベーションというのは無理なんだという,どこかに行き詰まりがあって,だからこそ,総合知でしたっけ,そんなような新しい考え方とかが出始めていて,それを考えたときに,人文社会科学系の人材育成がそういうような人材育成になっているかどうかというところが,やっぱりみんなで考えなければならないと思います。この観点でのゴールをもとに人文社会科学系での大学院教育の在り方についての議論を引っ張っていったほうが未来志向かと。今のままの延長線のキャリアパスがどうのこうので,うまくいっているかいっていないかは,この分野の若い人々にとってこの分野の人材が魅力的かどうかの大きな要因なので考える必要はありますが,だから,こんなような話でやると,いつまでたっても自然科学の考え方をそのまま押しつけるような感じになってきて,本来の人文社会系の良さが出てこなくなるというような気がするので,そこの点はやっぱり考えながら,最後のまとめのところでは議論をさせていただければと思います。
以上です。

【湊部会長】御指摘ありがとうございます。
それでは,菅裕明先生,お願いできますか。

【菅委員】ありがとうございます。
先ほど川端先生がおっしゃったこと,まさしくそのとおりだと思います。まずそれが第一で。
少しデータのことですけれども,例えば,23ページ,自主性について,研究テーマの設定,これ,少しひずみがあると思うんですけれども,理学・工学のいわゆる理系のところは,どうしてもある程度チームでやっている部分もあって,世界的な立ち位置というのを非常に重要視している部分があって,どうしても指導教員の影響力はかなり出てくるということになると思うんです。それにつけても,人文・社会科学を見ても,やはり自身の着想や関心を持ったテーマを基に指導教員の助言・アドバイスを受けていたということは,それなりにきちっと指導をされてきていると,私はこのデータから見るわけですね。
そうしますと,修了年が,21ページなんかを見ると,ほかの分野と比べると,極めて長い超過の状態になっているというふうになる。その辺の理由を文系の先生にぜひとも教えていただきたいのと,それから,そういった中でも,社会科学なんて,2.6%の人が早く終わっているんですかね。これはまた数字的にはそんなに低い値でもなくて,理学や工学と比べても,そんなに遜色ないですけれども,この辺はどういうふうに先生方はデータを見ていらっしゃるのか,ちょっと教えていただけると私はとてもうれしいなと思います。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございます。
そうですね。いろいろ御質問もあるかと思います。取りあえず一通り御意見を伺いたいと思います。
それでは,堀切川委員からお願いできますか。

【堀切川委員】人文科学と社会科学の大学院の現状について御説明いただいて,ありがとうございました。理系の人間からすると,理解できていなかったことが多くて,お聞きして良かったなと思います。
人文科学・社会科学では,大学院の場合,研究テーマは学生が主体的に決めて,指導教員の先生の研究指導は,理工系に比べれば圧倒的に少なく,自主性に任せているという状況がよく理解できました。
多分,理工系の先生方とそうでない先生方で,この部分を議論していくと,大学院教育の仕方の文化が違うので意見がかみ合わないままいくのではないかとちょっと心配です。
ただ,全く個人的な意見ですけれど,この人文科学・社会科学の大学院教育のやり方は,本来の大学院教育のあるべき姿なのだという気がします。理工系のほうが,どうも学生を誘導しがちで,教員側の都合のいいように研究テーマを決めているところもあって,それが就職ともリンクしているので,それで行われてきている側面もあると思うので,私は人文・社会の大学院教育のいいところを捨てる必要はないような気がします。
ただ,大学院修了後のキャリアパスを考えると,どうしても明るい未来が描きにくい。より就職の門戸が開かれるような工夫を,大学院部会で知恵を絞ってアイデアを出したらいいかなと思います。
1つ考えられるのは,経済界とか産業界というのだけが社会ではないので,それ以外に,人文・社会の大学院を出られた人たちが活躍できる社会って何なんだというのを,もう一度少し洗い出して,そういうところにより行きやすくなるシステムを,人文・社会の大学院教育に導入してはいかがでしょう。例えば,地方自治体,あるいは,公共性の強い多くの団体,そういうところのレベルアップを図るのに人文・社会の大学院修了生が加わることが私は非常に効果的な気がします。現状の人文・社会の教育のありようを踏まえながら,いいところを削る必要はないなと個人的には思いました。ある意味大学院教育の良さが残っていて羨ましいなと思いました。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございました。
おっしゃるように,社会イコール全て産業界というわけではないので,このあたりもまた議論になってくるかと思います。
それでは,加納敏行委員からお願いできますか。

【加納委員】ありがとうございます。加納でございます。
大量のデータと御意見をまとめていただき,御発表いただきまして,どうもありがとうございます。
私が非常に着目したのは,23ページでございます。研究テーマの設定と自主性についてというところで,大きく理工系と文系の特性が分かれているといったところに着目させていただきました。
これ見ると,今,堀切川先生からもありましたように,恐らく人文・社会科学系の研究のテーマのダイバーシティというのは理工系よりもはるかに広い領域をカバーしているような,そういう印象を受けました。
その中で,一人一人の研究テーマは非常に狭い範囲,狭いというか,ある限られた範囲で,当然一人で研究を進めていくわけですから,時間もかかる。こういったところが,自らの研究期間が大学への在留期間を長くしてしまっている可能性があるかなと思いました。
一方で,理工系は,どちらかというと,世の中のトレンドだとか産業のニーズに合わせて,研究室単位で大きな軸を持っています。大きなテーマを持っています。先ほど菅先生からもお話ありましたように,大体チームで研究をしているので,大学の先生そのものは,恐らく,新しい学生が入ってきたときには,大体テーマが決まっていて,この領域でこういうことをやってもらいたいというようなトップダウン的な思考で研究テーマが決まっていくというケースがあるのではないかなと思いました。
一方,そういう意味では,先ほどありましたように,一律に理工系パターンに持っていくのではなくて,こういう大学の研究・教育においては2つのパターンが存在するということをきちっと前提にした上で,では,人文・社会科学系をどのようにすれば,例えば,滞留時間を短くするということよりは,むしろ大学の中の人文・社会科学のダイバーシティをどういうふうに世の中,社会に対して分かりやすく紹介していくか,説明していくかといったところ。特に産業にこだわらないという話がありましたけれども,例えば,産業界ですと,やっぱり人文・社会系,ダイバーシティが多すぎて,なかなかこの学生はどういうことをやってきたかという,太い軸が見えないといったところがあるかと思います。こういったところをどのように社会なり産業界に見せていくかといったところが,今後の課題になってくるのかなという印象を受けました。
以上でございます。

【湊部会長】ありがとうございました。
それでは,進みましょう。宮浦委員からお願いします。

【宮浦委員】ありがとうございます。
膨大な資料を拝見いたしまして,ありがとうございました。
先ほど来の議論は,文系,理系がもう分断されていて,文理融合ではなく,文理分断になっていて,それぞれの良さを認め合いながら別々にやりましょうみたいな雰囲気を感じるんですけれども。先ほど総合知の話題もございましたけれども,いわゆる理工系とか,今までの理系では解が出ないことがあまりにも多いので,こういう総合知の議論になってきたんだと理解しております。
であれば,今話題になっている文系,理系というこの線引きそのものが問題であって,例えば,学生からすると,データサイエンスは,文系であろうが理系であろうが全ての分野で必要ですので,今,スマホだとかコンピュータ,全ての分野の学生が,あるいは小学生から使っているのと同じこともリテラシーとして求められている部分ではあるので,それが博士後期課程になると専門家を育てるので,文系と理系の融合ってあり得ないんだと。それが大学で生きてきた人間,あるいは,産業界の方も含めて,根本的に持ってしまっている部分があるというのがやはり感じたところです。
そこで,ちょっと話がずれてしまうんですが,1つの方策としては,理工系の修士課程を修了した学生,大学院生が,例えば,そのまま工学研究科の中で博士後期に移行するのではなく,そこで立ち止まって考えてみようというチャンスを与えることによって,様々な分野,文系に,修士が工学であったら,次,博士後期は心理学に行くとか,文学に行くとか,そういう形のシャッフルのチャンスというのをつくっておけば,修士は出ているわけですから,それで食べていく人もいるだろうし,5年,8年かかっても,例えば,文学博士を目指す工学部出身の学生が出るかもしれないし,途中で社会人になって食い扶持を確保してもいいし,そういう一途に同じ分野で育てたいという育てる側の意識を一回やめて,一番やりやすいのは,学部でもいいんですけど,修士を終わった後,博士後期はぜひほかの分野,文系だったら理系,理系だったら文系のシャッフルをして進学をし,それを出た学生が,例えば,工学修士が文学博士みたいなタイプの学生を地方自治体なり,中央省庁なり,あるいは,アカデミア,産業界も,喜んで採りたい人材であるという,そういう何かシャッフル制度みたいなものがあればいいかなと思いました。
恐らく我々,ある程度工学とか理学とかの社会で生きている人間は,今さらシャッフルしてというと,できないというマインドになるので,22歳あるいは24歳ぐらいだったら,非常にまだ柔軟なのでいいのかなと。ただ,そういうチャンスがないと,彼らは何も考えずにと言うと良くないんですけれども,同じ分野で進学しようとしてしまうので,一度立ち止まって考えてもらうチャンスがあるといいなと思います。
以上です。

【湊部会長】新しい提案もございました。ありがとうございます。
それでは,続きまして,塚本委員からお願いできますか。

【塚本委員】どうもありがとうございます。塚本でございます。
詳細な説明いただきまして,誠にありがとうございました。
3点,お話させていただきます。
皆様からすでにご意見がありますように,ビー・ユアセルフ(Be yourself)など,自分自身が一番納得のいく生き方をしていくためにどうするのかについて,企業の研修等においても問われるようになっています。文科系の皆様がご自身のやりたいことが明確で,その目的に対して取り組んでいるように見え,精神的にすごく満足度が高いのではないか,be yourselfが,実現できているのではないかというのがご説明を伺って感じたところです。
本当は,やっぱり研究がお好きなのであれば,大学ですとか研究所,もしくはシンクタンク,もしくは御意見があったように,パブリックセクターとか,そういったところで活躍の場を見つけられるのが一番いいのではないかという印象を受けます。
また,産業界の話もありましたが,たとえば,現在ウクライナ情勢等を見ながら,対応を考えるにあたり,歴史がどうなっているのかとか,バルト三国等周りの国々はどうなっているのかですとか,そういったところはアカデミア専門の先生からレクチャーしていただきたいと考えている企業も多いのではないかと思います。また,最近話題になっている人権デュー・デリジェンスの話でも,欧米等の国はどうやっているのかなとか,いろいろとグローバルのビジネス環境下で取り組む必要があると思うので,チャンスは幾つもあると思います。
29ページに幾つかございましたが,例えば,プロジェクトマネジメントや,外国との比較は重要なので,外国の大学での教育の機会ですとか,ほかの国の先生からのメンタリングの機会をセットするとか,企業からの研究依頼の外部資金を得て研究してみるなど,学生の方たちがどう思うかに加えて,よりほかのところに目を向け視野を広げる方向に改革をしていくと,より良くなるのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございます。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,濱中委員からお願いできますか。

【濱中委員】濱中でございます。よろしくお願いします。
膨大なデータをありがとうございました。先生方がおっしゃるように,領域による違いがクリアにあらわれた結果だと思いながら伺っておりました。
今後あるべき人文・社会科学系の大学院教育についてまとめる,という目標を置くのであれば,「規模」について触れる必要もあるのでは,ということを申し上げたくて,手を挙げました。
あるべき教育の姿を考えるとき,教育の方法や内容を議論することはとても大事です。この点を強調した上であえて申し上げたいのですが,人文・社会科学系の大学院の大きなネックは,規模だといえるようにも思います。
日本の人文・社会科学系大学院の進学率は,僅かに数%で,キャズム理論で言えば,イノベーターに関心が持たれているに過ぎない程度です。それほどまで小規模な段階である限り,何をするにしても,また変わった集団がまた何かやっているぐらいのインパクトしか残せないか,もしくは注目すらされないという残念な結果に終わってしまう,というのは,十分にあり得るように思います。
こうしたことを考えたときに,日本の工学系修士が,なぜ,日本社会に受け入れられるようになったのかという歴史に学ぶべき点があるように思います。工学系修士が評価されるようになったのは,1960年代に急速に拡大し,旧帝大をはじめとする大学の工学系学生がみな修士に行ってしまう。そのような大学の工学系出身者が欲しい企業は修士を雇わざるを得なくなる。それで修士を雇う経験を企業が重ねていくうちに,修士の意義が認識されたということがあったからです。つまり,ある程度の規模があり,社会に浸透するまでにならないと,価値があるとしても気づいてもらえないというところは多分にあるような気がします。
もちろん,現状のまま人文・社会科学系の大学院の規模を拡大させると,高学歴ワーキングプアが増えるなどの問題が生じ,あるいは問題が拡大することは容易に推測されますので,注意が求められるところではありますが,いずれにしても,人文・社会科学系大学院が担う,あるいは担える役割は,その規模とも絡んできますので,そのあたりの議論が必要かと思います。
よろしくお願いいたします。

【湊部会長】ありがとうございます。新しい観点も御指摘いただきました。
それでは,次は,神成委員からお願いできますか。

【神成委員】神成です。私は,これまで10年間,文系と理系の博士学生をまとめたリーディング大学院をやってきておりますので,今回の資料は,まさに私が見てきた文系と理系の学生さんの状況および私の理解とほぼマッチする内容でありました。
確かに,博士に進んでいる文系の学生のほうが,研究テーマの深掘り性とか,自主性とか,社会問題に対する認識とか,私は,人間的に魅力があって,正直言って優秀な人材が多いと思っています。
ただ,やっぱり標準年限というのがあると,JSTのサポートにしても,学振のサポートにしても,標準年限にのっとった経済サポートになるわけですね。リーディング大学院にしても,卓越大学院にしても,そうなっているということを考えると,文系と理系の学生さんが同じような教育プログラムの中にいるとき,理系の学生さんは2年,3年で博士を取得して出ていく。一方で,人間的な魅力にも富んでいて,大学で一所懸命やっている文系の学生さんは,明らかに学位取得のために標準年限から延長して在籍し経済的な負担を強いられているという状況においては,それでも当事者の文系博士課程の学生の満足度が高いというのだからいいんじゃないのという議論で済ませてしまうのはまずいと思います。優秀な学生さんの20代,および30代入口の人生設計,経済的設計をどうお考えになっているのかということであり,それで済ませてしまっては,大学人および本委員会として甚だ無責任なことではないかなと思います。経済的なサポートということを考えると,その支援システムに合った教育システムというのを考えてあげるということは,やっぱり大学人としてやらなくてはいけない仕事だと私には見えます。
したがいまして,社会実装に近いところで研究科の壁を外して,文系と理系の複数教員がテーマに応じて共同で指導する。そして進捗状況をモニターするという,根本的な仕組みの変更をして可能な限り標準年限内に学位をとれるようにするということは,やはり必要なのではないかと私は思います。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,発言がまだの先生をちょっと優先させていただいて,高橋真木子委員からお願いできますか。

【高橋委員】ありがとうございます。
今日の議題,人文科学・社会科学系の大学院教育等についてというタイトルだったのですけれども,当然の前提として,このままでは良くない,どう改良していくべきかという観点の議論だと理解しています。
私,1つだけ,ページ5のデータを可能であれば先生方に見ていただきながら,コメントさせていただきたいと思います。
5ページのデータは何かというと,博士の後期課程修了後に何になれるかという,とても重要なキャリアパスの俯瞰できるデータだと思います。とてもシャープだなと思いましたのは,これの下から積み上げていくと,恐らく一番下の縦軸,任期なしのアカデミックキャリアに行かれるのか,任期があるけれどもそれに入るのか,その上に行くと,ポスドクかというようなところで区分がされております。
自分のキャリアを考えるときに,研究活動への魅力とともに,ドクターを出ると何になれるのかというのは,やっぱりとても重要なポイントだと思うんですが,このときに人社系と,その右側,理工・医薬等との違いは,棒グラフで見ると,緑のパーツがどこまで割合として占めているかというふうに私は見ました。
恐らく現在,理工系でも,Dを取った後にポスドクを何年かやるというのは普通のキャリアだと思うので,ストレートに任期制なしのアカデミックキャリアはなかなか難しいということを考えると,例えば,理学部のところですと,下から積み上げて,緑の29.2%が全体の中で80%ぐらいまでは行っていますよね。農学部に関しても,工学部に関しても,大体8割ぐらいが何らかのポジションを,Dを取った後に得ているというふうに見える。一方,人社系は,その部分が5割を切っているというのは,Dを取った後どうなっちゃうんだろうという不安感につながるのかなと思いました。ここはやはり議論をスタートする際の重要なデータの一つかなと思った次第です。
今までの先生方のコメントの中に,例えば,宮浦先生から専門領域のシャッフルなどのご指摘がありましたが,関連してもう一つこのデータから見えるのは,昨今多くなっている社会人入学者だと思います。社会人入学者の存在は,企業や会社ってこういうものだよということを自然な日常の大学院生活の中で感じさせてくれるものだと思います。そういうことも踏まえると,やはり理工系の大学院におけるいわゆるデイリーライフというのが人文系と社会系とはかなり違っているわけで,学問の本質,研究の方向ややり方とは異なる視点で,大学院生活という観点で何か参考になるものが理工系にあるのかなと思った次第です。
以上です。

【湊部会長】ありがとうございました。
大体ご発言いただきましたかね。小長谷委員,何かありますか。

【小長谷委員】ありがとうございます。
今までの御意見を伺っていて,ちょっと私なりにまとめてみたいと思うんですが,よろしいでしょうか。
人社系を分断するのではなくて,融合していくんだという戦略として我々は考えていると。その戦術として,シャッフルというのも確かにあり得るんだけれども,やっぱりそれをすると,今の学生さんにとってリスクがまだまだ高いと思います。いきなりシャッフルのところをつくっていくのは。だから,もう一つの戦術として,チームワークということを私はぜひお願いしたいと思います。
それは,人文系で長い時間がかかってしまうのは,いわゆるワンオペだからですね。一人であらゆることをしなくちゃいけないという。ワンオペ関係を少しでも減らすためには,いろんなチームワーク,理系の人とのチームワークでもいいし,データサイエンスの方でもいいし,それから,文系といっても,人文と社会はかなり手法も違うので,そういうチームワークを学びながら学位を取っていく,あるいは,ポスドク段階でのチームワークでもいいです。それぞれのドクターを取るときは,なるべく圧縮して,ワンオペが短くできるようなチームワークのつくり方というのをしながら,ポスドクのときに本格的に学際的なチームワークを学ぶというような。世の中がこれだけ複雑になっていて,どの学問も自分の学問単独では解けないような状態になっているわけですから,学術の流れを考えた教育システムの工夫をお願いしたいです。チームワークのシステムは,その後,例えば,アントレプレナーシップを発揮してNPOを立ち上げるとか,別の選択肢で生きていくときにも一番役に立つのではないかと思います。そういう流れをつくる教育システムというのができればいいなと思いました。
ありがとうございました。

【湊部会長】どうもありがとうございました。
大体一通り御意見を伺いました。ちょっと時間も超えていますが,随分たくさんの意見をいただきました。これまでいろんな領域で長い間,いわゆる文理融合であるとか,最近であれば先ほども出ましたが,総合知というような話も出てきていますが,はっきり言って,なかなか目に見える形で具体的に進んできていないように感じます。
1つは,今回我々が議論していますように,人文系というものと理系全般というものについて,きちんと各々の特性を見ながら議論するという丁寧な作業が,とりわけ人文・社会系についてはあまりなされてこなかったのではないかということがあります。
今回のデータを見ると,やっぱり幾つかのところでこの2つの領域で非常に大きな違いが出ているんですね。これは先ほどから議論があったとおり,どちらが良いとか悪いとかいうことではなくて,それを言い出すと,かなりこれはミスリーディングになる可能性もありますので,問題は,これらのデータの中には,本来的な人文科学あるいは社会科学としての特性を反映するものもかなりあるだろうし,現状の意識の上での,あるいは制度的な問題を反映する要素もあるかもしれない。あまりそこの議論を性急にやると,これもミスリーディングになり得る。ただ,今回少なくとも多くの委員に共通している意見としては,人社系学生の規模感については少し置くにしても,この領域に非常に自主性の高い,あるいは自意識のはっきりした学生の集団がいるというのは多分事実で,こういった意識性の高い学生の層に対し,今本当に最もいい形で社会に参画できる道が開けているかどうかというようなことが多分問題になってきているんだろうと思うんです。
我々が議論しているのは,文系・理系一般ということよりも,ここは大学院部会ですから,大学院レベルの課題に,やはりそこに集約させないといけない。大学院とは,御案内のとおり,定義から言えば,学位を出すための教育課程なわけですね。ですから,そこが大学院問題の基本的な我々のスタンスであり,そこにひずみがあれば,それはやっぱり何らかの形で対応が要るんだろうというのが,部会の在り方だろうと思います。
今日いろんな観点が,あるいは論点が提出されましたので,これを,事務方でまた少し整理をさせていただいて,人社系の大学院の現状と,それからあるとすればそこでの問題点,たとえば制度的なあるいはシステム上の問題点を明らかにしながら,どういう形で大学院部会として改善のための提言ができるかということを,少し次回以降に議論できればと思っております。
何人かの委員からも出ましたけれど,今までは主に理工系の大学院を念頭に置いたような形で,いろんな大学改革や補助金事業等々が行われてきたようなところがありますが,それは,今議論している人社系の新しい若い人たちに対するシステムに必ずしもフィットするものではなかったということもあったのかもしれないと思いますね。だから,そういうことも踏まえて,人社系の大学院について,今,我々が抱えている課題と方向性について何とかまとめられればいいと思います。
多分,こういう議論はあまり今までされてこなかったんではないかと思うんですけれども,我々は今非常に重要な議論をしていて,これはかなりおおきな議論になるでしょうし,いろんな立場もあるんだろうと思いますが,大学院部会としてどう考えるかということについて,ある程度まとまった中間まとめができればありがたいと思いますので,また皆さんからいろいろ御意見をいただきたいと思います。これは随分大変な仕事だなと思っています。
本日は,本当にこの議題につきましては,たくさんの論点をいただきありがとうございます。また,まとめて皆さんにフィードバックさせていただきたいと思っております。
それでは,結構時間的にビハインドでございますので,3つ目の議題に移りたいと思います。3つ目は,「大学院における教育改革の実態把握・分析等に関する調査研究」及び「産業界における博士人材の活躍実態調査」の結果についてということで,これまで文科省と経産省が連携して調査を実施しておられるようです。それの概要を今日は御説明いただきたいと思っておりますが,西さん,説明していただけますか。

【西大学改革推進室長】お手元に資料3-1,「大学院における教育改革の実態把握・分析等に関する調査研究調査報告書(概要)」を御用意くださいませ。
1枚おめくりいただきますと,本大学院部会とかで審議まとめいただきました「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿」等を踏まえて,いろいろ大学院教育の改革を提言しております。その実態がどのように動いているかという調査でございます。調査対象は,大学院を置く全ての大学に対してメールで調査をしております。
2ページから中身でございます。体系的な大学院教育の取組について,どんなことをやっていますかということを聞いております。
一貫して上がり続けているものだけ一つ御説明申し上げますと,一番上,水色の丸のところでプロットしております「研究者として必要とされる実験・論文作成等の研究手法を身につける科目を設置している」という項目があります。頭が人文・社会系と自然科学系で議論していたので,どちらのことを言っているのだろうと思われるかもしれませんけれど,これは全体的に,大学全体について問うております。
真ん中あたり,紫色の四角のところ,「主専攻分野外の分野の授業科目の体系的な履修を行っている」というのが31.0%で,基本的には上がってきております。
あと,その4つほど下,「教養科目を設置している」というのが少しずつ上がってきて,26.1%になっています。
他方で,ダウンしているものが,上から6つ目,オレンジ色のところですけれども,「専攻又は研究科を横断して共通のコア科目を設置している」というのがずっと下がってきておりまして,現在39.2%。
「外国の大学等での教育研究の機会を提供している」というのも下がってきておりますが,特にR2年度でがくっと下がっているところ,29.3%ですが,これはコロナの関係もあって,強く下がっていると推測されます。
3ページ目,教員の業績評価についてどういうことをやっていますかというのは,先ほどの人社の議論でも御紹介をいたしたところであります。全体的にはこのぐらいの割合ですと。研究実績で見ていますとか,教育実績で見ていますとか,研究指導の実績で見ていますとかいうようなことで回答をいただいております。
4ページ目にあるのが,教員の業績評価(過程別)になっております。左側が,修士,博士前期とか,5年一貫とか,博士後期とかで分けているもの,右側にあるのが,学問分野で分けたものになっています。
5年一貫のn数が42となっておりまして,少しパーセンテージの割合で言うと大きく振れる部分があるので,その点だけ御覧いただくときに注意いただければと思います。
5ページ目,研究倫理教育,指導体制に係る取組について,どういうことをやっていますかと聞いております。
ぐっと上がってきておりますのが,「研究室以外の場で研究倫理教育を受ける機会を提供している」というのが一番多くなっていまして,80.6%まで上がってきている。
他方,下がっておりますのが,一番下にあります「粗悪学術誌の対策を行っている」というのが,30年度からやって,2回目の質問なのですけれども,この数字が28.5%ということで,やや低調になっております。
6ページ目,博士論文の審査体制に係る取組のところです。
一番多いのが,「審査委員が学位審査に当たって博士論文を精査する時間を十分に設けている」というのがずっと上がってきておりまして,93.9%。
他方,少しずつ下がってきておりますのは,真ん中にありますオレンジ色,75.7%のところ,「学位申請を年間に複数回申請できる仕組みを整備している」というのがずっと下がってきております。
また,その下,62.7%,「学位審査において,学外の審査委員を登用している」という数字も,がくっと下がってきておるという状況でございます。
次のページを御覧いただきますと,キャリアパスの可視化のところです。
これは我々も分析できていないのですが,平成28年のところで,「修了生の就職状況を,修了後以降継続して把握している」というのが,すごくぽこっと飛び出て,また下がっているのですけれども,これはデータの原因がよく分かってございません。ただ,全体としては,半分程度はインターネットで公開しているとか,その他については,あまり取組は進んでいないというのが,キャリアパス,実際卒業した子はどうなっているかということをあまり捕捉はできていないのだなというデータになってございます。
次の8ページ目,大学院としての組織的な学生に対する就職支援に係る取組ということです。
先ほどの議題でも少し御紹介いたしましたけれども,一番多いのは,「インターンシップの実施」というのが5割程度になっています。「コーディネータの配置をしています」というのが41%,「企業人を招いた講義やマッチングの場を提供しています」というのが32.8%。
あと,先ほど少し御議論の中でワードは出ましたけれども,「アントレプレナーシップ教育の充実を図っている」というのが,右から4番目,アントレプレナーシップは12.1%ということになっています。
9ページ目にかかりまして,社会人学生の受け入れに関するどういう取組をしていますかということです。
上から順にですが,30年度からやっておる調査ではありますけれども,そんなに数字としては動いていませんということです。「社会人入試をやっています」,「長期履修制度を設けています」,「土日夜間授業を実施しています」というようなことで,そんなに劇的な変化はないという状況です。
10ページ目,学位の取消規定に係る取組についてということです。これにつきましては,いずれも右肩が上がっておりますけれども,学位の取消規定の整備が進んできてはいるというデータになっております。
11ページ目,学部から大学院への飛び入学についてということです。
「導入しています」といった回答数が20.8%でございまして,このうち,「他大学からも飛び入学を受け入れますよ」と言っているのが82.2%。
また,導入していますと言った20.8%のうち,「直近5年間で実際に飛び入学を受け入れましたよ」というのが15.7%の実績を持っているということになっています。
12ページ目,研究指導委託の実施状況でございます。研究指導委託に関しましては,全ての分野において経年で下がってきておりますということが分かります。
13ページ目,博士後期課程修了者の修了に要する年数ということで,これは課程別に取っております。真ん中で見ますと,博士後期の平均で言うと,40%程度が標準修業年限以内に出ていますということでございます。
14ページ目,これは学問分野別です。先ほど御紹介したものです。人文科学系が10%ということになっています。
15ページ目,こちらも先ほど御紹介いたしました博士後期課程修了後の進路でございます。
16ページ目でございます。専攻別大学院入学者の分布,これが修士でございまして,左側の一番上が全体,その下が人文科学,その下が社会科学ということで,左側の人社科学系は,小規模な専攻が多いということが分かります。比して,右側の理学・工学・農学につきましては,右肩上がりという形になっていて,大規模な専攻が多いのかなということになってございます。
その次が最後のページでございますけれども,同様にこの博士後期でございます。博士後期に関しましては,人文科学系も自然科学系も左肩がゼロ人というような入学者数が一番多くて,それから増えるに従って減ってきているという現状でございます。
すみません。大変駆け足でございました。私からは以上でございます。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,続けて,今日は経産省からもおいでいただいております。経産省の産業技術環境局技術振興・大学連携推進課の大学連携推進室,大石室長から御説明いただけると伺っております。大石さん,よろしくお願いします。

【大石大学連携推進室長】ありがとうございます。経済産業省の大学連携推進室の大石でございます。本日,こういった場でのプレゼンの機会を頂戴しまして,ありがとうございます。
資料の右下のページでやらせていただければと思います。まず,右下ページ,2ページから御覧いただければと思いますけれども。私ども,経済産業省として,産業界で必要な人材というのをいかにアカデミアで育成をしていただくかということがメインな関心でございます。それは本日議論にもあったキュリオシティ・ドリブンとかダイバーシティを否定するものではないと思っているんですけれども,やっぱり経済産業省のスタンスからすると,産業界でどのように活躍していただくかということだと思っています。
ただ,この議論をするときに,ずっと前からだと思うんですけれども,産業界は必要な人材の姿を示せているのかですとか,あるいは,産業界は必要な人材と言って,それをきちんと処遇しているのかというのがずっと言われている論点であったろうというふうに理解をしてございます。
その中でも,少し語弊を恐れず申し上げれば,博士人材の活躍という点は,そういうのが結構凝縮した課題の一つなのかなというふうにも思ってございまして,本来イノベーションをけん引してもらうべき貴重な人材である,そういう博士人材だと思っているわけでございますけれども,博士に進学すると就職で不利であるというのが,事実はともかくとして,イメージとして定着してしまっていると思いますし,したがって,本当は博士に進学してほしい人が修士で出ていってしまうみたいなことも起こっていて,さらに,それが博士は就職しにくいというイメージにより強化されるという悪循環が起きているんだというふうに思ってございます。
今2ページを御覧いただいている左側でございますけれども,ちょうど1年ほど前ですけれども,そういう産学の人材育成がどうあるべきかという議論をさせていただきまして,本日委員として御参加いただいている先生もいらっしゃいますけれども,その節は本当にありがとうございました。
そして,その議論の過程で,やっぱり博士のさらなる活躍というものは促進する必要があるということを確認いたしまして,さらに詳しく情報を掘り下げていく必要があるだろうということで調査を行っているというのが右側でございます。
本日,公表前でございますけれども,その調査の結果を少し御紹介させていただければと思っています。時間もありませんので,3ページと4ページは,今回の調査というわけではなくて,既存のデータなので,本当に簡単にですけれども,人口100万人当たりの修士号,博士号というのを各国で比較して,極めて日本は少ないという,博士人材の供給サイドから見てもそうでございますし,需要サイドというか,産業界でどういう活躍をしているかという1つの事例でございますけれども,4ページを御覧いただきますと,企業経営者の最終学歴というものを,個別の上場企業とか,S&P500の企業の時価総額トップ100というのを調べに行ってみると,米国は3分の2ぐらいは院卒なんだけれども,日本においては基本的に学士卒,恐らく法学部とか商学部とか,そういうところになっているという状況でございます。
こういうようなこともございますので,こういう問題意識を基に調査をさせていただいたということを御紹介させていただければと思います。
右下ページ,7ページからでございます。まず今回,産業界で活躍している博士人材と,それを雇用している企業及びそれを輩出している大学にアンケートを取っています。
まず,博士人材御本人に,「あなた,今満足していますか」という満足度を確認してみたところ,基本的には7割ぐらいが満足していると。思っていたより高いなという気が正直しましたけれども,満足はしていると。ただ,「今の処遇,給与みたいなところで満足していますか」と聞くと,その70%の数字が50%まで落ちるという状況でございます。
1枚おめくりいただいて,8ページを御覧いただきますと,これは既にCSTI,内閣府のほうで,エビデンスシステムで取っているダッシュボードからデータを持ってきたものでございます。これ,右も左でも同じものを載せてございますけれども,青い丸が学士卒,黄色が修士で,赤が博士卒,横軸に平均満足度,今の仕事に満足しているか,縦軸に,平均年収のレベルを取っているものでございます。
これ,あまり満足度と年収が相関していないというようなのは御覧いただけるかと思います。特に右下のところとか,やりがい搾取と言われるような,介護とか,そういうようなものの方々というのがこの辺にプロットされているわけでございます。
右も左も同じなんですが,学部の青い丸があると,修士・博士の比較がすごく見にくいので,学部を除いたものが右側の図でございます。御覧いただきますと,青丸の一段の上に修士の黄色がある。年収レベルが一段高いというのがお分かりいただけるのではないかと思うんですけれども。赤と黄色で比較すると,あまり差がない。これは赤が絶対数が少ないので,下のほうにぽろぽろあるプロットがあまり赤に見えにくいというのはあるんですが,結構下のほうにも赤の博士は分布してございまして,博士になったということが年収にあまり影響を与えていないという状況でございます。上のほうにある,1つ飛び抜けている赤い丸,これは医者でございますので,これはちょっと除外して考えると,そういう状況かなと思ってございます。
1枚おめくりいただいて,9ページでございますけれども,これは給与の水準では50%まで満足度が下がりましたが,満足度が高いと答えた方は,どういうものにそんな満足度を感じていますかというのを,これまた博士人材に聞いたものでございます。広い意味での処遇だと思いますけれども,1つは,当たり前ですけれども,「自身の専攻分野と関連性の高い業務に就いている」という方は満足度が高い傾向がありましたし,もう一つ相関があったのは,「マネジメントに関する業務」,裁量がある程度あって,自分できちんと任せられているというようなものに対しての満足度が高まる傾向があったというふうに思ってございます。
次,10ページを御覧いただきますと,今度は,企業側に博士の処遇についてお話を伺いました。今回アンケートを返してくれたところで,博士人材を採用しているという企業は約5割程度だったんですけれども,採用している企業では,8割以上の方が,「自社内に博士人材があることが好影響を与えている」ということを回答しておられます。
個別のヒアリング事例なんかを下のほうにたくさん書いてございますけれども,総じて,分野固有の専門性はもちろんなんだけれども,事業の構想からプロセス管理も含めて,自分で一人でいろんなことを企画して実現できるという点が評価が高いということでございました。
11ページを御覧いただきますと,そういう評価が高い博士人材にどういう処遇をしていますかということでございますが,これは残念ながらというか,ある程度予想どおりではございますけれども,初任給については,基本的に修士から3年分たっているので,その3年間の定期昇給分だけ差をつけていると回答するのが一番多かったです。それ以上のプレミアムみたいなものをつけているのは,円グラフの濃い緑ですが,12%にとどまるという状況。そもそも修士と差を設けていないというところも,実は29%,それなりにありました。
初任給はそうですし,昇級についてのスピードの差というところで言うと,そこは全く差がない。これは人によるんです,その人がどういう成果を上げたかによるんですということではあるんでしょうけれども,では,実際どうだったのかというのは,さっきの内閣府のデータのバルーン図を御覧いただきますと,恐らく昇級のスピードも実際としてあまり変わっていないんだろうと思ってございます。
12ページ,どんどん行って恐縮ですけれど,今度は大学側に,博士人材について,どういうふうに育てていますかという趣旨のアンケートをしています。
まず,博士課程の人がどういうふうに産業界に就職していって活躍しているか把握していますかと聞くと,55%,半分以上は「把握していません」という回答をしております。当たり前ですが,博士人材がどこにどう就職しているかと把握しているところとしていないところでは,博士の就職率というのは結構如実な差があるのではないかというのが,右側の円グラフ2つでございます。当然,博士人材のことをちゃんと考えて把握しているほうが就職率が高いというデータになってございますし,右下ページ,13ページを御覧いただきますと,把握していないところに,何で把握していないんですかと聞くと,これはパーセントではなくて実数なので,63分の52なので,ほとんどは「うちの博士は産業界に就職したいと思っていないから」と言っているんですが,それは鶏が先か卵が先かちょっと分からないなと思っていまして,ちゃんと情報を伝える必要はあるのではないかと思っています。大学が博士の進学を把握していて,その情報をどういうところ,何に使っていますかというと,当然,今在籍している博士の人材に情報提供していますというのもそうですし,カリキュラムにも反映していますという方もいらっしゃって,そういうものがやっぱり就職率に好影響を与えているのではないかなと思ってございます。
もう一つデータのセットで言うと,14ページと15ページを併せて御覧いただくと,企業の人事部と研究開発部門,博士が主に働いているところの上司と,企業で働いている博士人材本人と大学それぞれに,「博士人材の強みって何だと思いますか」というのを聞いたものでございます。
これは結構回答がそろっているというものでございますが,もう1枚おめくりいただいて,15ページのほうを御覧いただきますと,「じゃ,博士人材の弱みって何だと思いますか」というのを聞いてみると,企業と博士人材は,比較的こういうところが弱いというのがそろっているんですけど,大学は,あまり博士人材は弱いと思っていない,懸念はないという回答が一番支配的になってございます。
博士人材本人は,比較的どちらかと言えば心配側に傾いているような,あれが足りない,これが足りない,いろんなピークが立っているんですけれども,企業側が求めている,ここをちょっと頑張ってほしいというのは,比較的人事部も現場の研究開発部門もそろっていて,コミュニケーション能力であったり,マネジメント能力であったり,ビジネスに関する知識であったり,これは言われているものではあると思うんですけれども,それをしても,大学はもう少し認識を持ったほうがいいのではないかという気が,このデータから少し感じてございます。
最後に,16ページでございますけれども,これは博士人材に聞いているわけでございますけれども,「あなたが在学中に,今社会で働いているわけですけれども,どういうプログラムを受けて,どういうプログラムが役立ちましたか」と聞いております。
棒グラフの高さというのは,その取組の数でございまして,こういうものを受けたと,棒グラフが高いものが,それを履修した人材が多かったということでございますけれども,そのうちの緑の部分というのが,これが役に立ったと思っているという回答でございまして,どれも緑で恐縮ですけれども,左側の緑色のマーカーをしたような項目,例えば,2つ目の「企業人を招いた講義やマッチングの場の提供」とか,この緑のマーカーしたものというのは,いわゆる産業界が少しお邪魔して教育に携わらせていただいているという項目でございますけれども,こういうプログラムというのは有意に役に立ったという回答が多いというふうに理解をしてございます。
ですので,18ページ,お時間を取ってしまって恐縮ですけれども,こういうことが分かりましたと。繰り返しなので,もうあまり申し上げませんけれども,基本的に博士人材は本来もっと活躍していただかないといけないということだと思っていますので,まずは企業側としては,それをしっかりと処遇するべきだし,それを処遇しているということが学生から見たときにも分かるような見える化,可視化のための取組も経産省としては何かしていく必要があるのではないかと,私どもとしては思ってございます。
あとは,大学側に期待することということで申し上げると,やっぱり弱みのところの認識が少しずれているのではないかという気はちょっとしましたので,そこに産業界の方々を少し受け入れていただいて,先ほどの共同の人材育成のプログラム,共同講座,寄附講座みたいなものを推進していく取組というのも,これもまた経産省としても,企業側の支援で進めていければと思ってございます。
本当に駆け足でございますけれども,そんなようなことを今回の調査で御報告させていただいて,もしよろしければコメントいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【湊部会長】ありがとうございました。
残り時間もあまりありませんが,もしスペシフィックにただいまの御説明に対して御質問,御意見等ございましたら伺いますが,いかがでしょうか。
では,小西委員からお願いします。

【小西委員】小西でございます。御説明ありがとうございました。
先ほどの資料3-1のスライド16,専攻別大学院入学者数の分布,非常に興味深く拝見しました。
右の列が理系で,左の下2つが人文・社会系なのですが,右側の理系は,要するに,30名以上の規模で授業を行っていることがわかります。我々,左側の社会科学・人文は,特に人文のほうは数が少なくて,社会科学はある程度は多くなってますが,理系に比べると少ない。つまり,こういう分布の差で授業をやっているわけで,この分布の差が,学問的な特性によって生じるのか,進学希望者が少ないから生じるのかということは分かりませんが,こういう違いの中で文系と理系の議論を一緒にする場の限界を考慮に入れなければならないのではないかと思っています。
もう1点なのですが,私も20年ぐらい前,国立大学に在籍していまして,経済と法と文が一緒になった大学院を立ち上げました。学際的な大学院をつくろうということだったのですが。今は変わっているかも分かりませんが,私が在籍した期間では,教育カリキュラムでもコラボができなかったし,研究でもコラボができなかったというのが感想です。
設置審について,今日最初のほうで議論されましたが,そこでも学際的な学部,大学院の設置を積極的に認めていっているのではないかと推測しますが,実際には機能しているのか疑問に思います。
特に人文科学・社会科学系と言うと語弊があるかも分かりませんが,社会のニーズに合わせるための研究の学際化がまだ十分ではないと思っています。迫田委員から最初に叱咤激励を受けましたが,文系の研究科の社会ニーズにあった学際化が必要だいうのが私の感想です。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,少し簡潔にお願いしたいんですが,村田委員,お願いします。

【村田副部会長】ありがとうございます。私からは,経産省の大石様に御質問です。
14ページ,15ページの博士人材の強みと弱みのところなんですが,これ,恐らく理系の方がほとんどなのかな。文系はほとんどいらっしゃらないような気がするんですね。そうすると,理系のところでマネジメントとかいうのが出てくるのは当然だと思うんですが,この辺り,いかがなんでしょう。お教えいただければと思います。

【大石大学連携推進室長】ありがとうございます。
そういうので言うと,理系が多くなっているだろうというのは,おっしゃるとおりだと思います。今回,博士人材一般に投げかけたわけではなくて,企業で,特に研究開発部門なんかで活躍されている博士の方にアンケートを渡してくださいと,企業経由で投げてございますので,そういう意味で言うと,あまり人文・社会系の方,もちろん除外はしていませんけれども,入っていない可能性は高いと思います。
そういうことでございますので,ごめんなさい。後段をもう一回おっしゃっていただいてもよろしいですか。

【村田副部会長】理系の方が多いんだと思うんですね。ですから,その辺り,ちょっとバイアスではないんだけれども,文系と理系,人文・社会系と理系を分けて議論するときに,このデータがもう少し精緻なものということが分かればいいかなと思って,御質問させていただきました。

【大石大学連携推進室長】ありがとうございます。
基本的にはおっしゃるとおり,今見ると,85%ぐらいが理系の方のようでございます。

【村田副部会長】もし文理,2つ分けてデータができればありがたいと思います。またよろしくお願いいたします。

【大石大学連携推進室長】ありがとうございます。

【湊部会長】ありがとうございます。
では,堀切川委員,お願いします。

【堀切川委員】堀切川です。簡単にコメントだけ言わせてください。
2つの調査報告書,どちらも非常に興味深くお聞きいたしました。特に経済産業省,大石様の御紹介されたデータは非常に面白くて,興味深かったです。
コメントは非常に単純ですけれど,産業界から見たときに,大学院のほうで産業界の希望する人材育成になっていないというのは,ある程度その通りだと思います。そういう意味では,実は,大学院の学生教育に産業界の人に加わっていただくのは,前から私も主張しているので,非常に有効だと思っておりますが,さらに,大学,特に理工系の大学の先生に対しても,産業界の人たちがFDかなんかで教育するというか,情報を伝えるようなことを各大学院が積極的にやらないといけないと思います。先生方が産業界の要求している人材像を理解できていないところが非常に多いので,大学院の先生方に対する産業界の教育という視点の事業が必要だと思います。
一方で,大学側から言わせてもらえば,産業界側も博士人材が活躍できる部署を持っている企業数がそんなにまだまだ多くはないのが現状で,やはり産業界がもう少し博士人材の活用の間口を広くしていただかないといけないという部分があるだろうと思います。
さらに付け加えますと,産業界側では,実は経営陣,人材採用側の人たちが希望する博士人材と,開発など現場の部署の人たちが希望している博士人材の間には,私の経験ではかなりミスマッチが多くて,経営側と開発現場側の意思の疎通をもう少しとっていただいて,特に理工系の場合に,本当に必要な博士人材はこういう人材だというのが統一して明確に示せるようにもう少し収斂されたほうがいいかなと思いました。
以上,コメントです。

【湊部会長】ありがとうございます。
少し時間も超過いたしました。今日は盛りだくさんで,大変だったと思いますけれども,またこういった報告書も御参考にさせていただきたいと思っております。
社会のセクターというときに,産業界がどうしても前面に出てきますけれど,先ほど堀切川委員からも説明がありましたように,やはりもう少し他にも,変な言い方ですけれども,働きかけをしやすいフィールドもあるはずだと思います。私,以前に中教審に意見聴取をされた時に,中央官庁には大学院生がほとんどいないようだが,どういうことでしょうか,とかみついた覚えがあるんです。社会のセクターにも政治の世界,地方自治体,マスコミ,いろんなシンクタンクなどの民間団体など色々あり,今NPO・NGOなども非常に増えております。そういったところで,文系といいますか,人社系の人たちが活躍しうる領域というのはもっとあるんだろうと思うんです。そういうところで非常にうまくいっているケースがあれば,そういったロールモデルもあり得るかもしれない。ですから,もう少し人社系の大学院生の出口に関しては,広い社会の出口といいますか,窓口を想定するのも必要だろうと思われるので,できれば,さらにデータがあれば集めたいとは思っております。
少し時間を超過して申し訳ございませんでしたが,最後に,事務局から連絡をお願いできますか。

【西大学改革推進室長】ありがとうございました。
本日も活発な御議論いただきまして,ありがとうございました。本日の議事内容を含めて,何かお気づきの点がなおありましたら,事務局まで御連絡いただければと思います。
次回につきましては,来月5月11日の開催を予定しております。詳細は追って御連絡いたします。
以上でございます。

【湊部会長】ありがとうございます。
それでは,今日は長時間にわたって委員の先生方,御議論誠にありがとうございました。
それでは,次回またよろしくお願いします。今日はこれで失礼いたします。

―― 了 ――

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