大学院部会(第94回) 議事録

1.日時

令和元年7月30日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正について
  2. 「第4次大学院教育振興施策要綱」策定の方向性(案)について
  3. 閣議決定文書における大学院施策関連の記載について
  4. 「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学設置基準等の一部改正について
  5. 「博士課程教育リーディングプログラム」の実施状況調査の結果等について
  6. 大学分科会における議論について
  7. その他

4.出席者

委員

(部会長)  有信睦弘部会長
(副部会長) 村田治副部会長
(臨時委員) 加納敏行、神成文彦、小西範幸、佐久間淳一、迫田雷蔵、菅裕明、髙橋修一郎、高橋真木子、田中明彦、塚本恵、波多野睦子、濱中淳子、堀切川一男、湊長博、宮浦千里の各委員

文部科学省

(事務局)柳大臣官房長、伯井高等教育局長、玉上大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)、白間私学部長、西田大学振興課長 他

5.議事録

【有信部会長】
 おはようございます。それでは,所定の時間になりましたので,第94回の大学院部会を開催させていただきます。
 本日は,この暑い中,御多忙中にもかかわらず御出席いただきましてありがとうございます。
 池尾委員,大島委員,川端委員,小長谷委員,沼上委員,福留委員,三島委員の各委員が本日は御欠席と伺っています。よろしくお願いします。
 それでは,まず事務局から人事異動について紹介をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 失礼いたします。事務局の異動の紹介をさせていただきます。
 7月9日付けで大臣官房長に柳孝が着任しております。

【柳大臣官房長】
 柳でございます。よろしくお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 また,同日付けでございますが,大学振興課長に西田憲史が着任いたしております。

【西田大学振興課長】
 西田でございます。よろしくお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 異動の紹介は以上でございます。

【有信部会長】
 ありがとうございます。それでは,配付資料につきまして,これも事務局から。

【平野大学改革推進室長】
 配付資料は,資料1-1から資料6-3まででございます。この資料以外に,タブレット資料として,机上の資料1から机上資料6がございます。あと委員の方には一部,机上配付の資料がございます。
 以上でございます。

【有信部会長】
 ありがとうございました。本日は,議事次第のとおり,六つの議題について審議を頂くことになっています。
 それでは,その議題の1であります「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正についてということで,事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 失礼いたします。議題の1,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた省令改正でございます。

 資料1-1をごらんください。この資料の前のバージョンにつきましては,前回の大学院部会で,今後,省令改正についてパブリックコメントに掛けるということで御紹介させていただいたものを一部変更しているものでございます。資料1-1については,今日は御説明いたしませんけれども,まず資料1-3をごらんください。
 前回,大学院部会で御説明させていただいた後,大学分科会で省令改正案の概要について御説明をさせていただきました。それを踏まえて,パブリックコメントを実施させていただきました,その結果でございます。ホームページを通じて募集をいたしましたけれども,意見の総数は15件で,主な意見の内容は,改正内容そのものという部分については適切な改正であるといったようなところを頂いているわけでありますけれども,今後運用していくに当たって,しっかり考えるべきこと,また我々がどのようなことを考えていくべきかという観点から御意見頂いてございます。
 二つ目の丸,現状を改善することから始めるべきではないか,現状分析,認識が不十分ではないか。
 三つ目,プレFDという部分については,やはり人員が少ない大学には大きな負担になるので,授業をより充実させる方向で考えた方がいいのではないか。
 四つ目の丸,ファイナンシャル・プランの提示については,やはり大学の見本ページなどがあると分かりやすいと。
 最後の丸でございますけれども,こういうプレFDやファイナンシャル・プランという部分は,大学の職員がしっかり相談して業務を続けられるようにするべきではないかと,こういった御意見頂いてございます。
 このような内容については,今後我々が周知活動を行っていくに当たって,例えばどのような事例があるのか,また教職協働という観点からしっかりと,そういった必要性を強調していくなどの対応を図ってまいりたいと思っております。

 今日の資料は,資料1-2が条文でございます。内容をかいつまんで御説明させていただきます。
 2ページ目以降が新旧対照表になってございます。前のものがどう変わるのかということが,見える形になってございます。条文の内容につきましては,今後,大学院部会の後に大学分科会掛けて,そこで諮問答申という形になるわけでありますけれども,少々,私どもの法令審査の担当のところと技術的な調整を行っておりますので,若干の修正が入るということを,あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 まず1枚めくっていただいて,この2ページが,学校教育法施行規則の改正ということでございます。165条の2,下の改正内容を見ていただきますと,大学は次に掲げる方針を定めるものとするということで,卒業認定の方針,教育課程の編成,実施に関する方針,入学者の受入れに関する方針,この三つの方針を決める法的根拠はここにあるということになっているわけでありますが,実は改正前の方を見ていただきますと,次に掲げる方針の後に,大学院にあっては第3号に掲げるものに限ると書いてあります。要は,アドミッション・ポリシーだけは作ってください,残りの二つはそうではありませんということを言っていたわけでありますけれども,今回,三つのポリシーを大学においても義務化をするということでありますので,この括弧を取りまして,次に掲げる方針を定めるものとすると書くと自動的に,1のこの卒業又は修了の認定に関する方針,教育課程の編成,実施に関する方針も対象になるということになってございます。大学院になりますので,卒業の認定ではなく修了の認定ということも読めるように,卒業又は修了の認定と書いているということでございます。

 次が172条の2という部分でございます。ここも実は大学には結構影響の大きい条文でありますけれども,いわゆる情報公表の項目について掲げさせていただいている部分でございます。
 これは大学,大学院,共通して大学でございますので,この172条の2,1号から9号の,この学生の進路選択,心身の健康等に係る支援に関することまでが挙げられているわけでありますけれども,1枚めくっていただきまして,新しく,3項ということになるわけでありますけれども,大学院を置く大学は,この前の各号ですね。この前に1から9まで並んでいるものの事項のほか,大学院設置基準第14条の2第2項に規定する学位論文に係る評価に当たっての基準に関する情報を公表するものとする。長く書いてありますが,大学院設置基準で,学位論文に係る評価の基準については学生に明示をするということになっております。その内容については,前の部分に加えて,大学院はこの部分をしっかり公表してくださいということを位置付けたものが,この3という部分になります。
 179条の部分は技術的な修正でございます。高等専門学校は,ここの部分は対象にならないということを明示しているものですので,そういうものとして御理解いただければと思います。

 めくっていただきまして,続いてが大学院設置基準の一部改正ということでございます。
 また1枚めくっていただきますと,大学院設置基準の新旧対照表といいましても,今回については二つ新しく条文を加えるということになってございます。
 一つ目がプレFDに関してということでございます。知識等を教授するために必要な能力を培うための機会等と。条文,また修正入る可能性はありますけれども,現段階での条文でございます。
 第42条の2でございます。大学院は博士課程(前期及び後期の課程に区分する博士課程における前期の課程を除く)。いろいろ書いてございますけれども,平たく言うと,後期課程ということでございます。後期の博士課程の学生が修了後自らが有する知識等をほかの者に対して教授するために必要な能力を培うための機会を設けること,自ら機会を設けていくこと,又は当該機会に関する情報の提供を行うことに努めるものとするとなってございます。文末,努めるものとするとなっているということは,これは努力義務でありまして,これを必ずやらなければいけないということよりは,むしろ,まずは,これにしっかりと努めていただきたいということを法令上,位置付けるものでございます。

 42条の3が,いわゆるファイナンシャル・プランに関係する条文でございます。経済的負担の軽減のための措置等に関する情報の明示でございます。明示でございますので,分かるように,伝わるように示すということが明示でございます。大学院は授業料,入学料その他の大学が徴収する費用及び学生の経済的負担の軽減を図るための措置に関する情報を,まず整理していく。整理していただいて,これを学生及び入学を志望する者に対して明示するように努めるものとするとなってございます。このようなものを努力義務として位置付けると。実際には,また施行の際に私どもからお知らせをいたしますけれども,ホームページなどを通じて,こういうものを分かりやすく,大学なりに示していただくことを想定しているというものでございます。
 改正の内容は,この4項目ということになってございます。三つの方針の義務化,学位論文に関する評価の基準の情報公開,プレFD,ファイナンシャル・プランという点でございます。

 今後のスケジュールとしましては,先ほど申し上げましたように,今後開催される大学分科会の方に,同じ内容について説明をさせていただいて,これを諮問し答申という形で頂いた後,官報に掲載されて施行されるということになります。
 施行日については,最初の学校教育法施行規則二つ,義務化する方は令和2年の4月1日。来年の4月1日から,この義務化ということで,三つの方針と情報公表はしていただく。一方で,後半の二つ,プレFDとファイナンシャル・プランは努力義務でございますので,今からでも,できる限りやっていただきたいということで,公布の日,官報に載った日に施行ということを考えているところでございます。
 条文の内容というところ以上に,今後こういうものを我々がしっかり周知,運用していくに当たって,お気付きの点などをお知らせいただければ幸いでございます。
 以上でございます。

【有信部会長】
 ありがとうございました。前期での議論を踏まえて,具体的に改正の方向案を決定して,これを施行していくという説明でしたけれども,何か今の説明に対して御質問等ありましたら,どうぞ。
 前回までの議論を基に整理をして,具体的な施策に落とし込んでいただいたものですから,これで進めたいと思います。次回の大学分科会で,これを審議いただいて,承認を受けた後に,実際に施行されるということになっていますので,よろしくお願いします。
 それでは,次の議題に移りたいと思いますが,「第4次大学院教育振興施策要綱」策定の方向についてということで資料を準備いただいていますので,事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 引き続きまして,資料2-1をごらんいただきたいと思います。前回,前々回頂いた御意見の主な内容というのを,まず資料2-3にまとめさせていただいてございます。これは今後の審議の中で,我々が議題を設定する中で活用させていただきたいと思っておりますが,前回御説明させていただいたとおり,振興施策要綱というものがあるわけであります。

 資料2-1の上から説明をさせていただきますが,大学院教育振興施策要綱の策定についてという白抜きの部分がございます。文部科学省といたしましては,これまで大学院に係る累次の答申を,また審議まとめを策定していただいた後,各大学が,この方向に沿って大学院教育の充実・強化を図ることをしっかり後押しをするという観点から,文部科学省として,今後の大学院教育の改革の方向性や,その改革を推し進めるために,どういうことを具体的に行っていくのかという施策レベルのもの,こういうものを明示をして,体系的かつ集中的な施策展開を図るという観点から,大学院教育振興施策要綱というものが策定されているわけでございます。この施策要綱は,文科省として,これをしっかり使っていくということのみならず,政府全体としても科学技術基本計画において,国として大学院教育改革の方向性を明示した計画として位置付けられていると。科学技術基本計画においてしっかり,文科省は振興施策要綱に沿ったものを進めていくというような形で位置付けられているということでございます。

 この策定の方向性についてということでございますけれども,Society5.0など大きな社会の変化の中で,大学院が知の生産,価値創造を先導する「知のプロフェッショナル」の育成を中心的に担うことが期待される存在であるということ。これは先ほど,ちょっとお話に出てまいりました,あるべき姿,審議まとめに出ている概念でございますけれども,今後,2040年の社会の需要に応えていくという観点から,大学院教育の体質改善が必要だということを打ち出しているものでございます。今回は,その大学院教育の体質改善というような取組を後押しする観点から,しっかり第4次の振興施策要綱を作っていくということを考えているわけでございます。
 一方で振興施策要綱,これをどうやって,また現場に普及するのかというようなお話頂いたこともあったかと思います。基本は国の行う計画という趣旨でございますけれども,累次作ってまいりましたが,これを十分活用できていたのかというところについては,事務局としても考えるところがあると考えております。
 そのような観点から,このようなものをせっかく作って,また作った後,数年間置いておくということではありませんで,これを実質的に活用するということが必要になってまいります。
 その観点から,振興施策要綱においては,国が取り組む重要施策を明確に位置付けるということのみならず,今後は,その進捗をしっかり管理をするという観点から,各項目について指標をしっかりと位置付けて,振興施策要綱を通じたPDCAを実質化するということを考えていきたいと考えております。すなわち,振興施策要綱を作って,できて,これを5年間そのまま改定せずに置いておくということみならず,施策の指標というものを置いて,その指標の進捗状況が芳しくないものについては,これはまた追加の対策を考えなければいけないだろうし,また十分に進んでいるものは,それはそれなりに応じた形での施策の展開を更に考えなければいけない。こういったふうに置きっ放しではなく,しっかりと機能する形で,PDCAの起点として使うということを強調しておきたいと思います。

 その上で,第4次の大学院教育振興施策要綱の構成についてでございます。大きく,まず大項目,柱をどのように考えるかということでございます。
 実は資料2-2を見ていただくと分かるわけでありますけれども,第3次の振興施策要綱は,平成27年の審議まとめを踏まえて柱立てがされていることになっているわけであります。今回,第4次のものについて考えていくに当たっては,前期の大学院部会でまとめていただいた,このあるべき姿(審議まとめ)については,近年の中では相当,包括的に議題を扱っていただいて取り入れているものであるという観点から,この平成31年のあるべき姿(審議まとめ)の柱を,基本は第4次振興施策要綱の柱として位置付けていけばいいのではないかと思っております。
 よって,この31年の審議まとめの八つの改善方策を大項目として設定したいと考えているわけでありまして,1枚めくっていただきますと,この三つの方針を出発点とした学位プログラムとしての大学院教育の確立から人文社会科学系大学院の課題とその在り方までを,まず掲げると。

 一方で,実は平成27年と,この平成31年の対応関係を見ていただきますと,二つ申し上げておくことがありまして,平成31年の方は,27年に取り上げられていない人社系大学院の課題とその在り方をしっかり柱として位置付けているということ。一方で,これは平成31年の審議まとめの最後の段階でも委員から御指摘あったわけでありますけれども,平成27年のときには,例えば,この5,世界から優秀な高度人材を引き付けるための環境整備ということ。こういったような,いわゆる大学院の国際化とか,留学生に関係する議論が位置付けられていた一方で,平成31年のまとめは,ちょっとそこまでは手が回らなかったというところがあります。
 一方で,世界から優秀な高度人材を引き付けるための環境整備という部分については,大学院の今の現状を見ますと,外国人留学生の存在は非常に大きいわけでありまして,ここについては,今後のこの大学院部会で追加的に議論をしていただきまして,しっかりと柱立てをしていくことを考えていくということでございます。
 ですので,第4次の振興施策要綱の柱としては,平成31年の柱を踏まえつつ,足りていないと思われる大学院の高度人材を引き付けるための環境整備を加える方向で考えている。とすると,恐らく9本柱に最終的にはなっていくということが考えられるわけであります。

 続きまして,中項目という部分でございます。中項目という部分については,この柱の下に具体的に施策ベースで,施策というか,まとめていくということになるわけでありますけれども,基本的には前回フォローアップしていただいたときに進捗が見られない,また改善が必要であるという項目。この点の中に参考として幾つか,体系的な教育の主な取組とか,論文の指導体制,プレFD,修了状況の可視化,また教育研究組織の見直し,このあたりはなかなか進んでいないのではないか。これに加えて,先日の議論では,専門職大学院という部分についても,まだまだ相当やるべきことがあるんじゃないかということの御議論がありました。こういうものについては,必ず漏らさずに掲げていくというようなことを考えております。このような考え方で中項目を設定するということを考えております。

 その大きな8本ないし9本の柱の下に各事項がぶら下がって,その下には,3ページでございますけれども,小項目として,文科省が取り組む個別の事業,例えばリーディング大学院。これは第4次のときには,もう期間としては終了していますが,卓越大学院プログラムに取り組むであるとか,ある制度改正に取り組むであるとか,若しくは,ほかの局,課の課題も含めまして,文部科学省の施策,ツールをしっかりと体系に位置付けていくことを考えているということでございます。
 今日,委員の先生方々には,お手元のところに机上資料として方向性案ということで,この資料だけですと中項目の案とかが,なかなかイメージしづらいと思いますので,あくまで御参考までで作らせていただいております。今であれば,例えばこんなような形で,中項目とか,指標になり得るようなデータがある得るのではないかということでございます。これはあくまで御参考でございますので,これをこのまま作るというものではございません。

 資料2-1の最後でございます。今後のスケジュールということでございます。本日,第4次大学院教育振興施策要綱を作っていこうということと,作るとすると大きくこういう方向だということについて,御了承といいますか,御議論いただいた上で,文部科学省でしっかりと時間を掛けて,振興施策要綱の内容を検討させていただきます。来年の年央,これは夏の前というぐらいのイメージでありますけれども,科学技術基本計画がしっかり議論が深まっていくという過程に合わせて,振興施策要綱の議論も同時並行で進めていくという観点から,来年の夏には,おおむね完成形に近い形の中間まとめというものを提出させていただきたいと思っております。
 今日から,この来年2年の年央までの間に,先ほど申し上げたような国際的な環境の問題,こういったところも含めて議論をしていただくということを想定しております。
 令和3年の2月でございますが,第10期,この大学院部会の任期が終了するというところまでに議論をまとめていただきますと,ちょうど年度末,第4次振興施策要綱と,恐らく第6期の科学技術基本計画の閣議決定が,この時期に行われるという想定でございます。
 ですので,今回こういう大きな方向性について御議論いただいて,それを踏まえて文科省として作業するというのが,当面のこの振興施策要綱のフェーズになります。
 説明は以上でございます。

【有信部会長】
 ありがとうございました。それでは,ただいまの説明に関して,質問あるいは御意見等ありましたら,どうぞ,どなたからでも結構です。こう,ざっと説明されると,なかなか意見,言いにくいかもしれませんが。個々具体的な項目については,これからまた,それぞれ審議をしていただくということになるんですけれども,前回の方向性について,例えば抜けているものがあるかとか,こういうことについては,もう少し突っ込んだ方がいいかとか。高橋委員,どうぞ。

【高橋(真)委員】
 御説明ありがとうございます。資料2-1の最初の御説明で,今の段階での内容の位置付けを伺いたいんですけれども,2段落目の第4次大学院教育振興施策要綱の策定の方向性についてというところの2個目の丸です。評価疲れだとか,いろいろ言われている中で,実際には何をやる計画か。このこと自体を単体で切り出すと,確かにPDCAの重要性は論を待ちませんが,いろいろなレイヤー,単位,切り口で,すでに評価がなされているという現場感覚からすると施策要綱において,進捗を管理するための指標を設定し,施策要綱としてPDCAの実質化を図るということは,現存の評価,現場が受けているいろいろな調査を,どう活用するかという観点が,すごく重要で,そこを抜きにしては,議論できないかと。現段階のお考えを,もう少し具体的にイメージがあれば,伺いたいです。

【平野大学改革推進室長】
 少し説明が不足していたかもしれませんけれども,振興施策要綱をもってPDCAを行う主体は,これ国ということでございます。大学に新たな負担を求めるということは基本的には想定しておりませんで,指標というのは,後ろの方にいろいろ,ほかの資料にありますけれども,通常,今の形でとらせていただくもの,これも精査,また追加,加除修正ということが将来的にあるかもしれませんけれども,基本的には施策要綱を通じてPDCAをするのは行政である我々という理解であります。ですので,施策要綱というもの,今までも都度都度,文部科学省として今うまくいっているのか,いっていないのかということは,アドホックには当然行っているわけでありますけれども,それはまさにアドホックに,必要に迫られて行っているというものでありまして,必ずしも我々の行政のやり方自体が,何かを中軸に置いて,それをしっかり,ある期間で回していくことになっていなかったというところが,正直言って,ございます。
 ですので,振興施策要綱をしっかり作ってやることによって,文部科学省の仕事として,そこは国の施策としてうまくいっているかどうかということをしっかり検証して,それを次の予算要求とか制度改正に生かしていくというサイクルを確立したいと,こういう意図でございます。
 
【有信部会長】
 これから議論する話は,要するに,国が具体的に今後進めていく施策がどうあるべきか,どういう具体的な内容の施策を進めていったら良いかということを審議をしていただくわけです。ただ,この実行責任は国にあって。だから,国の施策がどの程度徹底してできたかということのチェックは,また国がやる。国という表現,なかなか難しいんですけれども,国がやらなきゃいけないということになっていて,そういう観点で今後審議をしていただきたいということです。大学側に負担が全くないかというと,具体的にこういう施策が出されたときに,例えば具体的なことを考えると,ついつい大学の年度計画だとか,中期計画は既に設定されていますけれども,そういうものを設定するときに具体的に大学サイドとしては織り込むんだけど,これの指標をどう設定するかということについては多分,大学側が独自にやっていく。その大学側の対応が,どの程度きちんとなされたかというのは,実はこれは国の責任だという,なかなか難しい話になるんだと思いますけれども。実際に実行していく内容は,大学側で実行していく内容が結構多いので,そういう形になると思いますけれども。
 ほかに御質問。はい,どうぞ。

【田中委員】
 平野さんがおっしゃったのは,そのとおりだと思うので,国がこういう施策要綱を作る以上は,国として,ちゃんとモニターする基準があって,それをちゃんとしようとするのは当然だと思います。ただ,多分,国がこれを実現しようと思うと,進んでいない大学に何とか実現させたいと思うのも当然です。ただし,国がさせたいとなったときに,どういう手段をとるかというところが多分,大学の側の心配しているところになる。余り進んでいないなといったときに,していないところはパニッシュするか,進んでいるところにリウォードを与えるか,あるいは口だけで説得するか。この幾つかの手段が出てきて,多分,こういうところと運営費交付金の上がったり下がったりとか,何とかが連動するんじゃないかと,疑心暗鬼が生まれる可能性が出てくる。
 ただ,いずれにしても,文科省が何かを実施したいと思ったら,何かしなきゃいけないのは間違いないので,それは,よくよく大学と相談しながらやっていただかなきゃいけないということかなと思います。

【有信部会長】
 意見,何かありますか。

【平野大学改革推進室長】
 こういう施策をやって,望ましい方向性を実現できるように大学をどのように支えていくのか,後押ししていくのかということは,文科省としても大事な,おっしゃったとおり,テーマであるわけでありますが,その手法とか,やり方について,大学院の部分について,また非常に大きな影響があるような,新しいものでやるというときには,この部会でも,しっかり御相談しながらやっていくということが基本なんだろうと思っております。
 また,この大学院特有のということを超えた部分についても,私が申し上げるのも何ですが,現場としっかりコミュニケーションをやっていくというのは基本的な留意事項だと思っております。

【有信部会長】
 じゃあ,どうぞ,菅委員。

【菅委員】
 とてもしようもないことなんですけれども,先ほどの第2の方向性についてのところで,やっぱり進捗を管理するための指標と言われるのが,とても何かすごく。せっかく大学,独立法人になっているのに,まだ,ずっと管理され続けるのかという印象を,どうしても持たざるを得ないので,ちょっと言葉を変えていただいた方がいいかなと思うんですよね。進捗を図り,よりよい方向に促すためとか,何かそういうことを言ってくださると,何となく大学もやろうかなと思いますが,また管理かよという感じになるので,ちょっと言葉を選んでいただけると。

【平野大学改革推進室長】
 分かりました。これは先ほど申し上げたように,国が国自らとして行うという意図で作っているものでございますけれども,そういうことがしっかり,誤解のないように表現は考えてまいりたいと思います。

【有信部会長】
 ほかに御意見ありましたら,どうぞ。じゃあ順番に,佐久間委員から。

【佐久間委員】
 机上資料に進捗データの例というのが出ているわけですけれども,何か取り組めば,すぐ数字が上がりそうなものもあるし,構造的な問題で,なかなかそう簡単にはいかないものも入っています。実際,数年前と比べても逆に数字が落ちてしまっているものも入っているわけなので,そこら辺は余り数字が独り歩きしないようにはしていただきたいと思っております。

【有信部会長】
 この進捗管理の数字の結果については,この前の部会でも多少議論がありましたけれども,大学の方々は,要するに達成していないと言われると,みんな自分たちが悪いと言われていると思ってしまうので,これは実は国が自ら,自分たちの施策がなお至らざるということを言っているということでもあるということなので,この辺,何かやっぱり,もうちょっと分かりやすくした方がいいかもしれないですね。
 じゃあ,加納委員,どうぞ。

【加納委員】
 有信委員がおっしゃったことと全く同じことなんですけれども,例えば2ページ目のところに,いわゆる達成度が低い項目が幾つか中項目として挙げられています。これ,数字だけで管理するというのは,やはり大学にとってみれば相当の負担になりますし,逆に,これができなかった,背景に何か理由がある。こういうところに,例えば先ほどのPDCAのチェックの部分が働くように,単なる数字だけで評価をして,大学の点数を決めるのではなくて,そういう形で運用。これ,施策要綱でもありますので,かなり具体的なアクションが,この中で見出されてくると思います。そのときに,やはり,できない理由というか,どうしても実行につながらないところがあるのであれば,それは仕組みとして,あるいは,ここに要綱として反映させていくべきかなと思いました。

【有信部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。じゃあ,どうぞ。

【神成委員】
 慶應の神成です。前回,この件についてだったと思うんですが,なかなか大学の裾まで文科省の意図が浸透していないという意見を述べました。その件と関連しているのではないかと思うんですが,その後,つらつら考えるに,ほかの大学のことはよく分からないのですが,こういうことが浸透してくるときのアクションは,各大学がやっている外部評価というのが何年かに1回あるんですけれども,そのときに外部評価の組織の方が持ってくるチェック項目の中に自然に入っているわけなんですね。
 ですから,ディプロマ・ポリシーとかを公表しろというところも,教授会でその公表が必要だと自主的に決めたつもりはないんだけれども,外部評価のチェックリストに,この三つのポリシーが外部に公開されていますかという項目があって,それを実施していないと,次の外部評価までの努力項目にしてくださいという指摘になる。その結果,そうなんだ,やらないとまずいんだという形でもって浸透していくというのが,うちの大学だと,そういう形で回っています。ということは,外部評価機関が評価するときのチェック評価に,この国の施策がきちんと盛り込まれていれば,自然と外部評価を何年かに1回やっている大学は,その項目を満たさなくてはいけないということで,物差しをそろえることができると思うんですが,文科省と外部評価機関との関係において,外部評価機関のチェック項目をきちんと文科省,国の施策にのっとるかどうかというところの,この調整というのは,どういうふうにしてやっていらっしゃるものなんでしょうか。

【有信部会長】
 何かやっていますか。

【平野大学改革推進室長】
 認証評価の担当課が今日いないものですから,詳細にお答えすることはできませんけれども,私の理解する限りにおいては,いわゆる認証評価機関が大学評価基準というものを作られて,評価に実際当たられると。だから,その評価基準の大本には大綱的な,こういう事項については評価してくださいということが,いわゆる細目省令で事項が幾つか決まっている。かなり大枠だけ決まっていると。むしろ,それを踏まえて認証評価機関が大学評価基準を自主的に決定していただくというのが,認証評価制度の大きな枠組みでございます。
 もちろん認証評価機関が,そういうものを設定する過程で,国の施策についてどのように考えているのか,どういうところをやるのかといったようなコミュニケーション,取材は当然行われているということにはなると思いますけれども,認証評価機関の大学評価基準は,認証評価機関自ら自主的に決めるというところが肝でございます。

【有信部会長】
 原理的に言うと,国が認証評価機関を指導することはできないので,これは教育の中立性,独立性という観点からです。ただし具体的な国の施策は,要するに大学に教育のあるべき姿を目指して,その施策を作っているので,認証評価機関が独自にそれを踏まえて認証評価をする,あるいは外部評価をすると,こういう構造に,建前上はなっています。具体的に,あれこれ指導は,基本的にはできない。
 ほかに御意見ありますでしょうか。はい,どうぞ。

【田中委員】
 八つの項目でやるという御方針で,それが平成31年審議まとめの項目をそのまま踏襲するというのは,私は結構だと思うんですが。さっきおっしゃられた,平成27年のところにあった,世界から優秀な高度人材を引き付けるための環境整備というところがなくて,これが9番目になるかもしれないとおっしゃっていて,そういうやり方もあるかとは思うし,確かに平成31年審議のときには,余りこの外国人の話を一生懸命やった記憶もないので,そうなるかと思うんですけれども。ただ,概念的に,この八つを並べてみると,5番目の優秀な人材の進学の促進というのの中に外国からの優秀な人材を入れると考えれば,ここの詰めとして。31年審議まとめの中の,この5番目のところには,そういう話は余り出ていないんだけれども,項目立てからすると,この優秀な人材の進学の促進で内外ともにとやれば,その中にも入るかなという感じが思っているので,若干コメントだけで検討していただけると。

【有信部会長】
 ありがとうございました。この点については,もう少し詰めた議論を後でやることになると思いますけれども,思いとしては,もうちょっと積極的にやりたいという思いも実は,前回の議論だと,多分あるんだろうと思うんですね。そういうことで進めていきたいと思います。
 ほかに。どうぞ,堀切川委員。

【堀切川委員】
 済みません,今の話題ですが,資料2-1の1ページ目の真ん中のPDCAのところなんですけれども。これ,あくまで国が自らPDCAやる前提かなと思うんですけれども,都道府県庁サイズの自治体で,こういう評価する場合,Cにちょっと関わっているんですが,チェックのところは役所として事項チェック,もちろんするんですけれども,それに対して外部の評価委員会を作って,そのチェックでいいのかというのと,その置かれている状況によって,アクションする前に,こういうふうになったのは,こういうこともあるんじゃないですかと外部の意見を入れて取り組んでいる自治体があります。私は,その自治体のCの係をしているんですが,結構そういう役所のPDCのCのところを見ていると,意外と冷静に地味に過小評価して,いっぱい課題がありますというようなことをいっぱい書かれて,外部の評価委員会みたいなところから,もうちょっと自信持って,これは達成しているぞと言っていいんじゃないかとかという意見も出たりします。
 そういうことがあるので,私でしたら,PDCAのCのところに,文科省さんがチェックした上に,外部に有識者の会議のようなものを作っていただいて,そのチェックした結果で,いろいろな意見を外部から求めるというものが入ってアクションにつながった方が,よりいいのではないかなと思ったりしております。
 ちなみに,その県庁さんで外部の評価委員会を作りますと,県庁の職員の人が皆さんビビっているということをお伝えしておきたいと思います。チェックの書類の作り方が,すごい気が入って,いいのができまして。ちなみに,これは自治体ではホームページで公表しています。ですから,是非,文科省さんもホームページで公表していただければいいのではないかなと。大学院にだけ公表しろという義務化の流れが,文科省自らもやっていただけると,何か仲間意識も増えて,いいかなと思っているところです。
 以上です。

【有信部会長】
 要は,政策評価に外部評価を入れろという話。はい,どうぞ。

【平野大学改革推進室長】
 私の説明が悪かったのかもしれませんけれども,そのCの部分の御意見頂く部分は,この大学院部会に担っていただきたいなと思っておりますので,私どもとして,しっかり,できた暁には整理をして,大学院部会で外部の目も含めて,また進め方であるとか,大学との関係の取り持ち方であるとか,こういうところについて御指導,御助言を頂いて,また必要があれば施策要綱を改定して施策に反映させていくと,こういうサイクルを考えているところでございます。
 まだ,できてからということでありますし,今の施策要綱は,そういう形になっておりませんので,また次期からということになってまいりますけれども。

【堀切川委員】
 Cの部分をこの部会が担うとお聞きして,やる気満々になりました。ありがとうございます。

【有信部会長】
 国の政策に関しては,全体として評価のサイクルが一応決まっていて,文科省を超えて国全体,それぞれ各省庁の政策評価も現実に行われていますので,そういう流れの中で今回,PDCAというのは大きいサイクル,小さいサイクル,それぞれ具体的に回すということなので,その一環が多分この委員会だという理解でいいのではないかと思いますが。
 どうぞ,小西委員。

【小西委員】
 PDCAのところの指標に関してなんですが,企業経営に関しましても,その進捗度を開示しようということで指標,メトリックが世界的にも注目を集めているのですが,そこにおいては,例えば業種ごとにメトリックを決めましょうというように,細分化してメトリックを決めている現状がございます。
 その意味では,例えば国立と私立によっても環境は違いますし,文系,理系によっても違うだろうと考えます。また,専門職かどうかによっても違うだろうし,学部か大学院かによっても違うだろうということで,きめ細かくメトリックを作っていただいて,作ったメトリックの弾力的な適用をお願いできればと思っております。

【有信部会長】
 それは確かにそのとおりなんですけれども,その指標を作るに当たっての視点を議論するのは,この部会だと思うんですね。つまり,文科省が事細かに,それぞれの区分けを決めて,それぞれの指標を決めるということではない。特に大学院教育という切り口と,それの具体的な進め方としての専門職大学院と,いわゆるグラデュエート・スクールというところの区分けも,どういうふうに指標を見ていくか。そのベースの議論は,多分ここでやる話だと思うんです。
 ほかに。塚本委員,どうぞ。

【塚本委員】
 ありがとうございます。素朴な疑問ですが,この要綱は,どうして科学技術基本計画に位置付けられるのでしょうか。と申しますのは,大学院を出る優秀な人材は日本の成長を担う人だとすると,成長戦略だったりとか,経済財政諮問会議などでの議論に出てきてもいいような気もしますし,人文社会科学系大学院等も入ってくるのであれば,科学技術基本計画ではやや狭く,もう少し広めの国の方針に入ったほうがなじむような気がしますが,そのあたりはどのような整理になっているのでしょうか。

【平野大学改革推進室長】
 私の理解でありますけれども,実は次の議題が,政府の決定関係にどういうふうに盛り込まれているかというお話でございます。ただ,科学技術基本計画が非常に大きいのは,5年間という期間を見据えた基本的な計画というところでございます。
 先ほど先生おっしゃっていただいたように,科学技術のそういう発展を担う人材としての大学院生と,その大学院生修了者という観点から非常に重要な位置付けがありまして,今までの基本計画の中では,その5年間やっていく中で,大学院の部分は,この振興施策要綱に書かれていることをしっかりとやっていけ,こういう位置付け方になっています。ですので,5年間というところで歩調を合わせて入れている。入れていただいているというのが正解になりますけれども,という関係性になってございます。

【有信部会長】
 ほかに御意見ありますでしょうか。
 それでは,今言った科学技術基本計画の話も出たことでもありますし,議題3に進めさせていただければと思いますが,議題3の閣議決定文書における大学院施策関連の記載についてということで,これも事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 資料3-1,3-2を使わせていただきます。
 政府におきましては,大体毎年6月頃に当該年度の政策の計画文書というのをまとめているわけであります。大体こういうものが春先,6月ぐらいにまとまりまして,各省庁としては,それを基に,また予算要求につなげていく,こういったことになっていくわけでございます。

 3-1の1ページ目ごらんいただきますと,経済財政運営と改革の基本方針2019,いわゆる骨太の方針ということになるわけでございます。この分量としては骨太の方針,限られている中で大学改革,また大学院改革に言及されているところについて,まず御報告をさせていただきます。
 第2章のSociety5.0時代にふさわしい仕組みを作るということの中に大学改革というものが位置付けられてございます。申し上げ損ないましたけれども,この述べているものは閣議決定ということになってございますので,位置付けとしては,文科省単独で進めるということではなくて,政府全体として,各省庁協力して進めていくという位置付けが与えられているものということで御理解いただきたいと思います。

 大学改革の中でございます。下線が引かれている部分ではないんですが,1段落目,大学教育において産学連携を推進しつつ課題発見・解決力,未来社会への構想・設計力,論理的思考力と規範的判断力などSociety5.0時代に求められる能力の育成に向けた取組を強化するという,これが総論的に掲げられているわけでございます。その後,AI戦略の話などが書いている後,下線の引いている部分でございますけれども,大学・大学院において文理を横断したリベラルアーツ教育や社会のニーズに応える博士などの高度人材の育成を推進するということが位置付けられているわけであります。また,その後でございますが,学部・研究科などの組織の枠を超えた学位プログラムの制度化により,広さと深さを両立した新たな教育プログラムを推進する。大学や高等専門学校等の国際化を進める。こういったことが位置付けられてございます。
 この組織の枠を超えた学位プログラムについては,後ほどの議題で,内容について大学院部会としての場で説明をさせていただきたいと思います。
 骨太の方針の,まず大学改革のところには,このようなことが書かれているということでございます。

 次がリカレント教育という部分が,また別の項目として立っているということでございます。大学改革を超えた部分ということで,リカレントで1個になっていると。
 この中で,下線部分でございますが,大学・大学院等において,産業界との連携・接続を強化し,ここは特徴的な部分になりますが,人文社会科学系も含めた幅広い分野の教育プログラムを構築し,社会人が学び直す機会を拡充するということが方針として掲げられているものでございます。人文社会科学系も含めたということで,特出しされていることについては御注目を頂きたいと思うわけであります。

 1枚めくっていただきまして2ページでございます。後ほど詳細に御説明をさせていただきたいと思うんですが,今回のこの骨太の方針の中で新たに対応を求められているという部分についてでございます。社会人学生等が柔軟に履修期間・内容を選択できるよう,早期卒業・長期履修制度や単位累積加算制度の活用を促進する。全ての大学院が入学前や他大学院での学修を活用して単位累積加算的に学位授与を行うための方策を検討し,大学・大学院での学位取得の弾力化を進めるという内容が含まれてございます。
 この部分は,また別の資料を用意しておりますので,後で説明させていただきます。とりあえず3ページの方,進ませていただきます。
 今説明したのが骨太の方針ということでございますが,同時期に成長戦略実行計画,また次のページ,成長戦略フォローアップということで,いわゆる経済成長という観点から必要な施策についての位置付けというものがまとめられてございます。

 3ページという部分については,これは人の変革,付加価値の高い雇用の創出という部分が成長には,これは必要だろうという観点から位置付けられているものと思慮いたしますけれども,この中で,第4次産業革命の結果,大学院卒の賃金にプレミアムが発生するようになっているということで,図10と掲げられておりますが,これは米国の事例ということでございます。米国なんかですと,このような形で,学部を0%とすると,プレミアムというのが出てきていると。我が国においても,大学院卒を含めて,文理を問わず,大学院教育を含めリベラルアーツ教育の強化を進める必要があるということでございます。
 リベラルアーツ教育というのは,先ほども出てまいりましたけれども,私ども,これまで使ってきた中でいいますと,いわゆる分野横断的な俯瞰力,こういったものも一つの要素になってくるかと思いますけれども,幅の広い教育ということで捉えているものと考えております。
 また,企業による大学院卒業生の活用を促進する必要があるということを,政府の全体のレベルでも位置付けているということでございます。

 次のページを見ていただきまして,成長戦略のフォローアップという部分でございます。研究力の話が出ているわけでありますけれども,下線の部分,産学連携での大学院教育の好事例の周知や国際的に卓越した博士人材育成教育を推進するということになってございます。好事例の周知という意味では,この後,議題になっていますけれども,リーディング大学院の成果ということを念頭に置いた記述と承知をしております。このようなものをどのように広げていくのか。また,現行の大学院についても卓越した博士を育成していく,このようなことが位置付けられているわけでございます。

 5ページが統合イノベーション戦略2019。統合イノベーション戦略というのは,先ほどは経済成長という観点からまとめられたもの,今回の統合イノベーションというのは,幅広くイノベーションを起こすという観点から必要な施策を整理したというものでございます。
 実は,ここは今後の話という部分がありまして,1番目の下線と2番目の下線,同じこと書いてありますけれども。博士進学者の増加のための目標設定,これも国の側でということでありますけれども,その方策,博士の意義,多様な財源による博士・若手研究者の経済的支援を含むという部分については,これは文部科学省ということを超えて,総合科学技術・イノベーション会議,また他省庁というところも巻き込んで,しっかり考えていって,その上で2019年内を目途に「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」をまとめていくということが,今のところ,方針として出てまいりますので,年末まで,こういったことが政府の中で行われていくということになるわけであります。文部科学省としても,このあるべき姿の審議まとめなどを踏まえまして,適切に対応していきたいと考えております。

 一番下の部分,二つ丸がございますけれども,これは施策レベルでございます。やはりこちらの方でも,「博士課程教育リーディングプログラム」による先端的な産学連携教育等における好事例を収集・周知して共有するということについては打ち出されている。また,「卓越大学院プログラム」も進めていくということが同時に打ち出されております。
 リーディングプログラムについては,やはり文科省を超えて政府全体としても非常に意義が高い施策であったというような評価を踏まえまして,それをどのようにこれから進めて広げていくのかということが位置付けられたものでございます。

 さて,資料3-2が,先ほどちょっと説明を保留させていただいた,骨太の方針の中のリカレント部分についての現状の整理でございます。今後,また次回以降,リカレント教育についても議論するまとまった時間を確保していく必要があるわけでございますけれども,その骨太の方針の記載を読み解きますと,社会人学生は,審議まとめでも作っていただきましたように,非常に時間的に,また空間的にバリアというものがあると。一方で内容という部分についても,社会人が求めるような実践的なものになっているのか課題がある。こういったところにしっかり手を入れていこうというのが,あるべき姿の審議まとめで触れていただいているところでございますけれども,この骨太の方針というのも,やはり社会人は履修期間・内容を相当柔軟に選択できるようにならないと,リカレント教育は進んでいかないだろうと,こういったような現状認識をお持ちなものと考えております。

 その観点から,履修期間を柔軟にするような早期卒業・長期履修の仕組みとか,また,これ実は学部も含んでいますので,単位累積加算制度の活用も促進すると。学部でありますと,大学改革支援・学位授与機構というところが短期大学,高等専門学校等を卒業した基礎資格を有する方が単位を大学学部レベルで集めてきたものを集めて,審査をして,学位を授与するということを行っているわけでありますけれども,大学院レベルについては,いわゆる大学校でありますとか,こういったところに限られているということになっております。
 なかなか大学院レベルで,これを学位授与機構の方で授与するということは現実的には難しい部分あるわけでありますけれども,そうはいってもということで2文目。全ての大学院が入学前とか他大学の学修を活用していく,少しずつこつこつ集めていって学位を授与できるようにするというところをしっかり考えていくべきではないかと,こういうメッセージとして受け止めているわけでございます。
 そこで,現状の制度を以下のとおり整理したものをまとめさせていただいてございます。こういった現状を踏まえて,じゃあ我々,これから何ができるのかを考えていかなきゃいけないという出発点ということでございます。

 まず1個目の黒四角でございます。入学前の修得単位の認定ということでございます。入学前に他大学,自分の大学ではなくて他の大学で修得した単位を自分の大学の卒業修了要件の単位として認定が可能という仕組みはあるわけでございます。また,ですので,科目等履修生とかで,あるA大学でこつこつためたものをB大学に入ったときに,B大学院に入ったときに活用するということができる。
 一方で,認定可能な単位数の上限は,学部が今124単位,卒業には必要ですが,60単位,おおむね半分。大学院の修士・博士という部分は,30単位以上必要な中で10単位,3分の1。専門職大学院(法科大学院以外)は修了要件の2分の1。専門職大学(法科大学院)は30単位ということになっているわけでございます。このような制度を出発点に,どのように考えるのか。

 二つ目,早期卒業・修了でございます。これについては,専門職大学院に規定はないわけでありますけれども,学部については,3年以上在学して優秀な成績を修得した学生は3年で早期卒業ができると。法科大学院の関係で最近少し話題になりましたけれども。修士については,1年以上在学して優れた業績を上げた学生は早期修了が可能である。博士については,修士課程含めて3年以上在学して優れた研究業績を上げた学生は早期修了ができるということでございます。ここは,優れた業績とありますが,基本的には,最初入るときには,大学院,修士であれば2年,博士であれば5年を在学していただくということを前提に入っていただいて,その過程で優秀だった場合には早く出られると,こういう仕組みでございます。

 一方で三つ目の黒四角でございますけれども,修了年限の短縮という仕組みでございます。1個目のポツでございますけれども,学部,専門職大学院においては,これ,難しく書いてありますが,当該大学の教育課程の一部を履修したと認められるときには,入学前に修得した単位を勘案して,修業年限に通算することができると。もうちょっと簡単に,かみ砕いて申し上げますと,あるA大学に入る前にA大学の科目等履修生などでA大学の単位をこつこつ集めていらっしゃった方がいると。そういう方がA大学に入ったときに,この学生さんは,自分の大学の単位というのを結構集めてきてくださっているから,それに応じて,本来だったら,学部の方でいいますと,4年在学しなければいけないんですけれども,修業年限の2分の1を超えない範囲で短くしていい。要は,4年,本来在学しなければいけないわけでありますけれども,こつこつと集めてきた方については,集めてきた量とか内容に応じて,場合によっては2年間まで短縮することができる。専門職大学院,法科大学院以外についても,修業年限2年といったようなケースなんかがあるわけでありますけれども,標準修業年限の2分の1を超えない範囲ということで短縮することができると。要は,科目等履修生でこつこつ集めてきた方は,入ってから短い期間で卒業できる。
 これは,実は上の早期卒業・修了と違うのは,特段の優秀な成績という要件が求められているわけではありませんので,普通の成績を修めている方であっても短くすることができるという制度でございます。
 一方で,大学院の修士・博士は同種の規定がないという状況になっておりますので,これはどういうことを意味するかといいますと,A大学院で科目等履修生,科目を集めてきた。それは相当な量,集めているんだけれども,学位を取ろうと思うと,2年の課程に一から入って,2年間在学しなければいけない,こういったような仕組みになっているわけであります。

 一方で,一番下の部分なんですが,標準修業年限の特例というものがございます。大学院(修士・博士),専門職大学院,法科大学院以外でございますけれども,主にリカレントの対象になるような実務経験を有する学生を対象に,教育研究上の必要があり,かつ適切な方法で教育上支障が生じないときは,最初から標準修業年限を1年以上2年未満に設定可能ということになってございます。
 ただ,これは,夏休みとか冬休みを活用して,いわゆる授業を行うとか,夜間も活用するとか,そういうような形で,かなり1年間で済ませるだけの,詰め込みとは申し上げませんけれども,縮約した形での教育課程というものを準備する,こういったことが前提でございます。
 ですので,早期卒業・修了,長期履修,様々な制度,その他参考にも掲げさせてございますけれども,いろいろな制度がある中で,大学院の学修が入学前,他大学での学修を活用して,単位累積加算的にこつこつ集めたものをしっかり学位授与につなげていくという観点から何ができるかということを今後,考えていかなければいけないと。
 長々と制度の説明いたしましたけれども,今の現状というところを,とりあえず説明をさせていただきました。以上でございます。

【有信部会長】
 かなりややこしい仕組みだと思いますけれども,御理解いただけましたでしょうか。何かこの点に関して御質問等ありましたら,どうぞ。はい,どうぞ。

【濱中委員】
 ありがとうございます。この点と先の点と両方に絡む質問として申し上げたいと思います。リカレント教育だったり,八つの要綱の案だったり,優秀な人材の進学促進だったり,これからの大学院について考えていくという作業の中で,いま高等教育の世界でもっとも大きな動きだといえる2020年からの無償化との関連性についても議論しておく必要があるように思います。つい先日も,大学院に高等教育無償化政策は適用されないというニュースが,インターネットなどで駆け巡っていました。大学院教育が大事だと取り上げられているのに,無償化の対象にはなっていない,と話題になっていたわけです。これはもっともな話で,制度に関する議論も大事ですが,やはりお金の部分をどうするのかというのは外せないところだと考えます。現時点では,この無償化が難しいと仮にしても,今後の見通しがどういうものなのか。
 財源の使い方というのは,その国が一体どこを重視しているのかということを見る,いい指標だと理解しています。そのあたりについて,共有をさせていただければと思います。

【有信部会長】
 何ていうか,前回のというか,第3次の大学院教育振興施策要綱の中に,大学院生に対する経済的な援助というのがあって,それに対して,どれぐらいの指標,実行指標があるかという評価もされています。今の話の一つの方向性は,次の振興施策要綱の中でどういうふうにやるかというような話と,それとは別に,全般的な考え方として何か考え方がありますかという話と,両方だと思いますけれども。

【平野大学改革推進室長】
 まず,いわゆる高等教育の無償化と称されているものについては,大学については学部段階を対象にしているということでスタートすると。もちろんそれは,先生おっしゃったように,どこにどういうふうに重視するのがメッセージなのかといったようなところというのは,おっしゃることも御理解するんですけれども,済みません,私,直接の担当ではないので,お答えできる範囲が限られますけれども。あれについては学部段階ということでしっかりやっていくけれども,大学院についても,その制度とは別の枠組みで,今,部会長からお話のあったように,考えていかなければいけないことがたくさんございます。
 特に,審議まとめの中の柱の中で,こ経済的支援についても,内容について触れられているわけでございます。ページで申し上げますと37ページに経済的支援ということについて触れられておりまして,第5期科学技術基本計画において,これも,まさに先ほど申し上げた閣議決定でございますが,後期の学生の2割程度が生活費相当額を受給できることを目指すという計画があるわけでありますけれども,今現状は1割程度しか達成できていないという状況でございます。これをどのようにして今,向上させていくのかということについては,まさに先ほど申し上げた科学技術基本計画を今後考えていく中で,ここはずっと達成できていない項目になっておりますので,どのようなことを考えていくのかということについて,実は,こことはまた別に科学技術・学術審議会というところがあって,総合政策特別委員会というところでございますけれども,たしか表現としては,トップレベルの研究大学を中心に,これを抜本的に拡充する方策をしっかり考えなければいけないのではないか,このようなことで今,議論がちょうど進んでいるところでございます。
 その中には,今の事項として,共同研究とか,RAとか,そういったものをしっかり活用する中で,どのように単科を引き上げていくのか,また学振さんのDCというものをどのように充実していくのか,このような項目が事項としては挙がっておりますけれども,これはまた第6期の科学技術基本計画作るまでに具体的に,どのように進めていくのかということはしっかり議論いたしますし,またその内容も,この部会にも提供させていただきたいと思います。

【濱中委員】
 ありがとうございます。

【有信部会長】
 無償化そのものの議論の中には含まれていないけれども,大学院に関してはずっと経済的支援の問題が議論されてきていて,次の科学技術基本計画に向けても,また新しいアイデアを含めて,議論が進んでいるので,我々の方でも,具体的にどういう形で,それを進めていくかというのは,また相手方の議論の進行状況も,こちらに情報として入ってくると思いますので,それで進めていければと思います。
 ほかに。小西委員,どうぞ。

【小西委員】
 小さいところの御質問なのですが,資料3-2の下の参考のところですが,右側の真ん中の履修証明制度への単位授与の学部に関して令和元年に予定しているとあります。ここでは,大学院を外しているのですが,何か意図がございますでしょうか。

【中村法規係専門官】
 法令を担当しております中村と申します。大学院につきましては,おっしゃるとおり授与の対象から外してございます。例えば大学の学部であれば,大学以外の教育施設での学修,例えば,TOEIC,TOEFL等の資格試験等の成果に係る学修であるとか,大学の正規の授業科目以外の学修を単位認定する仕組みが,かなり広く認められているところでございます。ただ,一方で大学院につきましては,そうしたものへの単位認定が認められていないこと,また,いわゆるコースワークと研究指導が一体となって行われている大学院教育の特質も踏まえて検討する必要があります。したがって,今回は,まず学部について先行的に単位授与を認めることとしまして,大学院につきましては,今後のニーズであるとか,あるいは政策的検討の結果,もし必要があれば,更に検討を深めていくことになると考えてございます。まずは学部から門扉を開くということでございます。

【有信部会長】
 重要なポイントだと思いますけれども,これは少しきちんと議論をした方がいいのではないかという気がします。はい。

【小西委員】
 専門職の場合,この履修証明制度を積極的に活用していいますので,できれば入れてもらいたいなと,そういう希望の下にお話ししました。

【有信部会長】
 だから結局,大学院における教育研究の問題の話につながっていくので,それと専門職大学院の在り方の問題で,法科大学院関係では,その辺の議論も,連携するという形で進んできてはいるので,その辺も参考にしつつ,ここで議論を進めていければと思っています。
 はい,どうぞ。

【宮浦委員】
 リカレント教育の資料3-1の下の方,3分の1ぐらいのところの記載で若干気になっているところなんですけれども。リカレント教育,学部,大学・大学院になっているんですけれども,リカレント教育を大学・学部でやるという部分と大学院でやるという部分は,かなり性質が違っていて,日本全体で,どれぐらいのリカレント教育を,ウエートをもって大学院あるいは学部でやるのかという基本的な方針などを一度考える必要があるのではないかと考えているところです。
 ここは大学・大学院において,人文社会学系も含めて幅広い教育を構築していくという部分,かなり学部をにらんだ言い方だと思うんですけれども,後半の記載になると,もう一変して,産学連携による出口を見据えた一体型リカレント教育ですとか,データサイエンスの大学院教育ですとか,これ,かなり目的が明確化した大学院教育の部分で,一口でリカレント教育と言っても,大学・学部の幅広い人文社会学系をにらんだリカレントと,出口一体型の大学院リカレント教育は相当,質的に違うと思いますので,同時,同じ場所に書くのであれば,学部はこういう感じに,大学院の出口一体化はこういう感じということを少し丁寧に書いた方がいいのではないかと思った次第です。
 ここは大学院部会ですので,大学院のことを考えればいいとは思うんですけれども,大学院だけのことを考えれば,やはり出口一体化ですとか,出口一体化の中での幅広い人文社会学系と理系の融合とか,そういう方向を考えればいいと思うんですが,学部はそうでもないかなと思いますので,そのあたりを,大学院として記載するのであれば,大学ポチの部分があるために,少し分かりにくくなっているような気がします。

【有信部会長】
 ここは結構難しい問題を含んでいて,一つは見方によるんだと思うんですね。つまり大学院に焦点を当てるという見方で議論が全てできるかという問題もあるんですけれども,基本的に大学が,要するに18歳の人たちのためだけにあるのかという問題設定がもう一方であって,この極めて日本的な状況の中で,リカレント教育という形で再教育を定義しようとしている。この考え方そのものも本当はきちんと考える必要があって,大学というのは,もっと社会に開かれていなければいけないという考え方がある。今までの日本の大学の学部教育も,ある意味では18歳人口を対象に,18歳で入ってくる子供たちを対象にした構造になっているという問題意識も,この中には実はあるんですね。
 だから,この辺の議論を,大学院の立場と学部の立場と両方を見据えながら少し詰めていくという必要があると思います。ありがとうございました。
 ほかに。はい,どうぞ。

【波多野委員】  ここでの議論の対象ではございませんが,閣議決定した3ページ目の図10の所得格差のデータは,特にこの中で唯一のデータであることもあり,インパクトがございます。文理を問わず大学院教育の文理融合やリベラルアーツが必要であるということか,人文社会系の大学院教育をもっと充実しようと示唆しているのか,よく理解できておりませんが。いずれにせよ,このようなデータをベースにしますと,先ほどの2-2の資料に基づく議題の議論に戻りますが,大項目の1つとなっている「人文社会科学系の大学院の課題とその在り方」に加え,文理横断やリベラルアーツ教育の重要性を入れる必要があると思います。また大学院一括りではなく,文理横断・融合的な教育は,修士と博士では教育内容が異なると思います。
 所得格差のデータですが,私は工学部ですので,リーディング博士プログラムで調査し,海外の状況も存じ上げていますが,博士取得者はこんなにプレミアムは少なくないです。企業がきちんとしたデータを出していないのでしょうか。 閣議決定の根拠となる重要なデータですので,慎重な扱いが必要と思います。誤解をかなり与えると。これに対して日本は,博士取得者のプレミアムは大変少ないと認識していますが。

【村田副部会長】
 違いますね。

【波多野委員】
 違いますか。それはとても重要です。お教えいただけますと嬉しいです。

【有信部会長】
 多少,最近は変わってきている。

【波多野委員】
 変わってきているんですか。そういうデータも比較として。済みません,言ってもしようがないかもしれませんが,リベラルアーツ教育というのも,誤解なきように入れていかないといけないと思いました。

【平野大学改革推進室長】
 閣議決定の方は,起草者が我々ではありませんので,文部科学省とまた違った用語を使っている部分がございますけれども。リベラルアーツという言葉,大学分科会の親会の方では話題になるんでございますけれども,実は定義が相当難しい。単なる教養教育を意味するということではなくて,複数のディシプリンだといったような云々という話も含めてある言葉でありますので,我々は相当慎重に使っているというところがございます。
 大学院部会の審議まとめの方では,15,16,17というあたりで,いわゆる特定の分野のことを特定のものだけやるのではなくて,しっかりと応用的な,学際的な対応能力も含めたコースワークを充実していくであるとか,また,この説明がありますけれども,組織の枠を超えた学位プログラムなどを活用した複数分野の知識を身に付けられるような取組とか,そのような観点で,リベラルアーツという言葉は使っておりませんけれども,俗に言う,ここで言われているような,いわゆる横断的な幅の広い教育という趣旨のことは言及していると。これをしっかり,また振興施策要綱に位置付けていくということかと思っております。

【有信部会長】
 文理融合とか,リベラルアーツとか,横断的とかいう言葉が,かなり自由に使われているので,私たちとしては注意深く,この辺を見ていく必要があると思いますし,アメリカのデータではありますけれども,学歴による所得格差はどんどん拡大する方向になっています。ほかに,そういう種類の資料も提出されていたようでもあります。ただ日本でも,全体として見ると,学歴に応じて所得格差は徐々に広がっているように見えています。まだ明確なデータがきちんと出ているわけではありませんけれども,それを類推させるようなデータは出ています。
 はい,どうぞ。

【村田副部会長】
 私から3点,意見があります。リカレント教育に関してですが,まず1点目は,これもグランドデザインの中でよく言われたことだと思いますけれども,いわゆるマッチングをどうしていくかということが極めて重要で,まさにリカレント教育については,この大学院部会でも少し,そういったことが考えられればと思います。
 そのときは,今まで議論ございましたように,理系と文系。理系は修士に行くのがほぼ当たり前ですから,むしろリカレントといった場合,大学院の修士課程は文系中心,あるいは専門職大学院が中心。理系の場合は博士課程になってくる。その辺,切り分けて考えていく必要があると。
 その際に当然,この資料3-2にありますように,入学前の修得単位の認定であるとか,特に早期卒業に関しては,今は,優秀な学生しか1年でとなっていますが,リカレントを考えた場合に,1年の制度を当然作っていかないといけないんだろう。今後,こういうことをちゃんと議論をしていただければと思います。それが1点目でございます。

 2点目は,いわゆる骨太の方針のところの,今日,御説明を簡単にされましたけれども,大学改革等の第2パラグラフ,AI戦略2019。まさにこのAI戦略2019では,これからAIの知識が文系,理系横断的に問われていくし,あるいは,そういう教育がなされていなければならない。これ,戦略目標が幾つか,この戦略2019に出されておりますが,当然それは大学あるいは学部,あるいは大学院においても,そういうことがされていかなければならない。リカレント教育,マル6のところでは,これは恐らく,あえて書き分けてあるんだろうとは思いますけれども,下の方にICT人材など云々のところにe-ラーニング等を活用したリカレント教育を進めると。民間企業等々の教育も使うんだけど,同時に大学院でのリカレントにも当然,やはりe-ラーニングを入れていく。特にAIに関しては,お教えできる人がほとんどいないわけで,そこはe-ラーニングを入れていかなければならない。そんなふうに考えますが,その辺の検討もお願いをしたい。

 それから3番目,三つ目ですが,先ほどから話題になっております成長戦略実行計画2019の,この賃金プレミアムについては,ちょうどこの分野を研究もしております。これ,アメリカの例なんですが,日本も,実は2006,7年ぐらいから大学院のプレミアムの研究がRIETI中心に行われておりまして,大体10~20%ぐらいと言われております。場合によっては,専門職大学院,MBAにおきましては50~60%ある。アメリカのMBAに至っては,700%というようなデータもございます。
 実は,つい最近,ある研究者と一緒に書いた論文が学会誌にアクセプトされたんですが,最近のデータでこれを調べましても,業態ごとに,業種ごとに,かなり大きなプレミアムが大学院の場合,日本の場合も賃金プレミアムがございます。ただ,企業が,それを余り評価できていないというところがあって,それをどうしていくかということが一つ大きな課題であると思います。
 ただ,残念ながら,是非,文科省の方でお願いしていっていただければと思いますが,そういうものが出てきたのはなぜかといいますと,これまで大学院と大学卒以上のデータが一緒くたなんですね。賃金構造基本調査,就業構造基本調査なんかのデータもまだ今は大学院しか分かれていません。修士と博士,分かれていないんです。その辺のデータ整理をちゃんとやっておかないと,本当に大学院教育がいいのか悪いのかとか,議論さえできない。その辺のことは,ちゃんと文部科学省から総務省の方に言っていただきたいと思います。そうでないと大学院教育,政府が骨太の方針で大学院,大学院言っているくせに,そのデータすらないというのは話にならないわけで,是非そこはお願いをしたいなと思いますので,この3点でございます。
 以上です。

【有信部会長】
 ありがとうございました。リカレント教育に関しては次回,またまとめて,改めて議論をすることになっていますので,そこでもう少し議論を深めたいと思います。
 それでは,まだある? どうぞ。

【菅委員】
 一つだけいいですか。済みません。その閣議決定の文章で書かれている大学・大学院においての文理横断リベラルアーツ教育,先ほど話が出ましたけれども,何かベールに包まれたような言い方じゃなくて,この大学院部会で,もう少しクリアにした方がいいんじゃないかなと感じます。大学は,僕もリベラルアーツで良くて,そこに「や」が付いて,社会のニーズに応える博士と書いてあって,それが多分,大学院の方を言っているんだと思うんですけれども,その辺が何かちょっとベールに包まれたような感じになっていて。恐らく,この後者は,もっとビジネススクール的なことを意図していて,理系の人が,もっとビジネスに関与できるような人材を作ってくれと。
 例えば今,AIという言葉がボンボン飛んでいて,ITがどこか行っちゃったんですけれども,本当はAIはITの中に入っているもので,本当はITの人材がもっと活用できたらということですね。だから,文系の人がもっとITに近寄っていくことが重要であるというようなことも考えると,要は,文系はもっとITに近寄る,理系はもう少しビジネスに近寄るという教育を大学院でしてほしいと。何かもう少しクリアなものを大学院部会ではちゃんと議論した方が,ベールに包まれた,この閣議決定みたいなよりもいいかなと思います。

【有信部会長】
 それはそのつもりでいますので安心してくださいというか。逆に言うと,文系はITが分からないというのも多分これも,もう少しきちんと議論しないと。今,パソコン使っていない人たちはいない。そうすると様々なソフトウエアも使っていますから,もう少しきめ細かな議論も必要というのは全く御意見のとおりだと思いますので,今後そういう方向で議論していきたいと思います。
 済みません,また時間がだんだん押し迫ってきましたので,次の議題に移りたいと思います。報告ということで,「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を踏まえた学校教育法施行規則及び大学設置基準等の一部改正についてということで,事務局から説明をお願いします。

【中村法規係専門官】
 大学振興課で法規を担当しております中村でございます。資料4を用いて御説明をさせていただきます。
 今般の改正につきましては,昨年11月の中教審答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を踏まえまして,学校教育法施行規則及び大学設置基準等の関係省令,並びに関係告示について所要の改正を図るものでございます。当然,大学設置基準等の等には大学院設置基準も入っているという形でございます。
 改正の概要につきまして御説明をいたします。まず大きな四角囲みの1ポツでございますけれども,こちらの改正につきましては,先ほど申し上げた答申において,「改正の趣旨」の下線部分でございますけれども,「大学が自らの判断で機動性を発揮し,学内の資源を活用して学部横断的な教育に積極的に取り組むことができるよう『学部,研究科等の組織の枠を越えた学位プログラム』を新たな類型として設置可能とする」という御提言を頂いたことを踏まえまして,大学,大学院,そして短期大学,それぞれの設置基準の一部を改正するものでございます。

 こちらの制度のイメージを,下の方に図として記載してございます。学位プログラムと申しますのは,皆様御承知のとおり,学位が授与される教育課程を指しますけれども,従来の大学制度におきましては,学部等の組織と学位プログラムは密接不可分な関係にございました。したがって,学内の既存のリソースを活用して学部横断的な学位プログラムを編成することができるように,大学における教育研究上の基本組織,学部であるとか,学部以外の基本組織であるとかに相当する基本組織として,学部等連係課程実施基本組織,少し長いんですけれども,こうした組織を制度上位置付けるものでございます。
 こちらの組織につきましては4年制の大学,そして大学院,短期大学において設置可能とするものでございます。それぞれ学部相当,研究科相当,学科相当の組織として法令上,規定をするものです。
 具体的な改正の内容につきましては,1ページ目の中段の「主な改正の内容」,こちらに記載しておりますけれども,何点か主立ったところを取り上げさせていただきます。まず1ポツ,当該組織の専任教員は,教育研究に支障が生じない,あくまでも支障が生じないと認められる場合に限り,既存の学部等の専任教員がこれを兼ねることができる,ということになっております。

 また,2ポツでございますけれども,当該組織の校舎面積,附属施設の基準等は,既存の学部等の全てが,それぞれの基準を満たすことをもって足りるということにしてございます。
 そして,4ポツでございます。当該組織につきましては,学部と同様に,学位の分野等の変更を伴えば認可が必要になりますけれども,伴わない場合には届出で良しということになってございますが,特に届出の場合には,こちらの組織が既存のリソースを活用して設置されるということに鑑みまして,審査プロセスの簡略化,具体的には提出書類の軽減,また届出期間の短縮を図るものでございます。
 こちらの制度によりまして,各大学が学生や社会のニーズに応じて機動的,かつ柔軟に分野横断的な学位プログラムを構築することができるよう,文科省としても促してまいりたいと考えてございます。

 裏面をごらんください。2ポツでございますけれども,実務家教員の活用促進,履修証明プログラムの単位付与等という項目でございます。こちらにつきましては,改正の趣旨にございますとおり,答申においてリカレント教育の推進,教員の多様化に向けた実務家の登用の促進等が提言されたことを踏まえて,所要の規定を改正するものでございます。

 主な改正の内容のところで御説明をさせていただきます。
 まず実務家教員の参画促進というところでございますけれども,「専攻分野における概ね5年以上の実務経験を有し,かつ,高度の実務能力を有する教員」とございます。こちらは,いわゆる専門職大学等の実務家教員の定義でございますけれども,こうした実務家教員を大学に置く場合であって,その教員が1年6単位以上,多くは3コマだと思いますけれども,1年6単位以上の授業科目を担当する場合には,当該教員が,その大学の教育課程の編成,カリキュラムの編成に携われるよう,大学が努めるべきことを規定するものでございます。
 また,その下の段に履修証明プログラムの単位付与ということがございます。こちらは,先ほど御議論ありましたけれども,今回は,4年制大学の学部と短大の学科について認めるものでございます。

 履修証明プログラムにつきましては,学校教育法第105条におきまして,履修証明制度が設けられてございます。これは大学等が正規の授業科目や公開講座等を組み合わせまして,学生以外の者,これを対象に学修プログラムを編成して,その修了者に対して,学校教育法に基づく履修証明書,いわゆるサーティフィケート,これを交付することができるという制度でございます。
 従来,履修証明プログラムの一部を構成するような正規の授業科目,要するに履修証明プログラムのパーツになっている正規の授業科目につきましては,大学が単位を授与することが可能になってございました。一方で,公開講座などの部分も含めた履修証明全体一まとまりとしての単位で,単位を授与するということは,これまでできておりませんでした。このため,今般,リカレント教育推進の観点から,履修証明プログラム全体に対する単位授与を可能とするとともに,学生として大学に入学した場合に,入学前に修得した履修証明プログラムに関する単位を入学後に単位認定できるように,規定の整備を図るものでございます。
 また,大学の学生が,他の大学等で履修した履修証明プログラムの学修について,その大学の判断で単位を授与することを可能とするものでございます。
 また,履修証明制度に対する社会的な認知・評価を向上させるためにも,履修証明プログラムについて大学等が公表しなければいけないとされている事項について二つ追加をしまして,単位の授与の有無,そして実施体制について,公表を義務付けることとしております。

 最後に学修証明書の交付という項目でございますけれども,こちらは大学院も対象になってまいりまして,これまで御説明した履修証明制度につきましては,主に学生以外の方が対象になるものですけれども,この学修証明というのは,学生,あるいは科目等履修生を対象とするものです。この改正は,大学の正規の授業科目のうち,一定のまとまりのある一部を修得した学生,あるいは科目等履修生に対して,その事実を証明するような学修証明書を交付することができるという旨を規定するものでございます。
 こうした取組の例としては,例えば今も副専攻の修了証であるとか,あるいは,諸々の証明書が発行されておりますけれども,こちらに法令上の位置付けを与えることによって,こういった,いわばユニット的・モジュール的な学修に対する認知,評価を高めてまいりたいと考えてございます。
 長くなりましたけれども,以上が改正事項の概要となります。
 こちらの改正の施行日は交付の日としておりまして,具体的には8月中旬目途を予定してございます。
 具体的な条文案につきましては,次のページ以降に添付してございますので,必要に応じて御参照いただければと思います。
 説明は以上です。ありがとうございます。

【有信部会長】
 ありがとうございました。ただいまの説明に関して御質問等ありましたら。
 なければ,私から一つ質問したいんですが。基本的に設置認可制度の中の学位分野を超えない限り届出制で済むという説明なんだけど,例えば大学院でやろうとすると,いわゆる文理融合なんていう話になると必ず設置認可制度の学位分野を超えますよね。学位分野を超えるとすると,これは新たに届出ではなくて設置認可を受けなきゃいけないと。設置認可を受けるということになると,これはまた新しい研究科・専攻を作るのと同じ手続になるわけですか。

【中村法規係専門官】
 認可を要する場合につきましては,法令上の手続としては通常の研究科や専攻の場合と同様の手続きになりますけれども,実務上,この労力を軽減できないかということについては,現在,事務的に検討させていただいているところでございます。
 ただ,これ認可を要するか届出で足りるかの判断はあくまで大学として授与する学位の分野を新たに作るかどうかというところによりますので,学部等連係課程を作る場合に,完全に新しい分野の学位を授与しようとする場合に限っては認可が必要になるということでございます。かつ,この学位の分野につきましても,現在,工学関係,理学関係といったレベルで大くくり化されてございます。

【有信部会長】
 もうちょっと正確に言うと,例えば大学の中に文系の学部で,文系分野で学位を出す専攻なり研究科がある。あるいは理系でも,それがある。新しい文理融合分野が,その大学で既に設置をされている研究科等が連携する場合であれば,これは問題がないということになる。それは,そういうわけではないよね。ここでは,設置認可制度の中で書かれている学位分野なんだから,これは明確に規定がされていますよね。

【中村法規係専門官】
 おっしゃるとおりで,学位の分野の変更については,それを定めている告示がございまして,そちらの中で,かなり大くくりで,例えば工学関係,理学関係,文学関係とその分野が規定されてございます。

【有信部会長】
 文理融合になったらどうするんでしょうか。

【中村法規係専門官】
 文理融合といったときに,例えば既に学術の学位をその大学として授与していて,新たに設置する研究科等連係課程実施基本組織において,分野融合の学位を学術の学位として授与するということであれば,それは分野の変更を伴わないという扱いになってまいります。
 「修士(○○)」「(○○)」の部分が変わるから認可が必要になるということではなくて,大くくり化されている,工学関係であるとか,理学関係とか,その分野自体が変更になる場合には,いわゆる認可が必要になる,そうでない場合は届出で足りるということでございます。

【有信部会長】
 今の質問は,両方にまたがる場合はどうですかと。認可が必要ですか。

【村田副部会長】
 理学と工学にまたがる……。

【有信部会長】
 うん。理学と,例えば文学にまたがるとか,理学と法学部またがるとか。そういう場合に,(○○)というところで,また新しい名称が作り出されてというと,ますます混乱するような気がするんだけど。

【中村法規係専門官】
 例えば,理学関係と工学関係によって理学関係を作る,というように,既存の研究科等が授与している学位と同じ分野に当たる場合には,変更は当然伴わないわけですけれども,そうでなくて,例えば既存の研究科等が授与している学位の分野の複合分野ということであれば,それは現在,研究科の場合でも,届出で足りるということになっていますので,研究科等連係課程実施基本組織の場合にあっても,場合であれば,認可は要さない,届出で足りるということになっています。

【有信部会長】
 分かりました。従来に比べて手続は多少,簡略化はされるという期待が持てるということの説明だと思います。
 はい,どうぞ。

【村田副部会長】
 お願いなんですが,これ,恐らく中教審のときには柔軟な学位プログラムという形で,この議論があって,これを具体化された形だと思うんですね。そのときの議論は,柔軟な学位プログラムというのは,学部の新設等々であれば,計画だけで3~4年すぐたっちゃって,学部が完成したら,もう7~8年たっていて,その新しい学問分野,融合分野というのは,もはや要らないかもしれない。これが必要だというときに,それが完成年次まで10年たつなんてあり得ないわけでね。だから学部の設置ではなくて,柔軟な学位プログラムであると。であれば,むしろここは,設置認可なんてあり得なくて,全て届出でいく形でないと,今回のこの答申の趣旨と反すると思うんですね。そこは是非お願いしたいと思います。
 今の場合も含めて,今,部会長の話も含めて,まさにそこは一番大事なところなので,それは是非お守りいただければと,お願いしたいと思います。

【有信部会長】
 大学分科会の方でも,設置認可制度の抜本的な見直しの議論を進めることになっていますので,その流れの中で,今言ったような意見も含めて検討していただけると。要するに,学問分野,学位分野の規定というのは,もともと学部教育をベースにして作られたものが,そのまま大学院に適用されていると,そういう現状もありますので,そういうことも含めて議論していただけると,もう少し,今言った,村田委員の言われたことの趣旨に生きると思いますので。ありがとうございました。
 じゃあ,まだ大丈夫かな。ほかに御意見。どうぞ,小西委員。

【小西委員】
 中村さん,繰り返しなのですが,今のお話を聞いていて急に思い付いたものですから。会計大学院協会は,今,公認会計士協会と連携を始めまして,その中で公認会計士試験に合格して3年間,実務補習所に行かなければならないというものと,世界的にも同様ですが,会計士の資格を維持するための継続的専門研修という二つのリカレントがあるのですが,これらのリカレントと会計大学院教育を連携さそうという協議を始めました。
 もしそこで履修証明プログラムの会計大学院での単位付与を認めてもらえれば,すごく連携がうまくいくんじゃないかなと今思いつきました。令和元年では学部だけで結構ですので,令和2年あたりに,専門職大学院の単位付与を是非認めていただければ,公認会計士協会と協議していることがスムーズにいくのではないかなと思いましたので,お願い申し上げます。

【有信部会長】
 それでは,よろしくお願いします。
 だんだん,また時間が押してきてしまいましたので,次の議題5で,「博士課程教育リーディングプログラム」の実施状況調査の結果等についてということで議論を進めたいと思います。じゃあ,事務局から説明をお願いします。

【中田大学院振興専門官】
 大学院振興専門官の中田と申します。よろしくお願いします。
 それでは,私の方から資料5-1を使いまして,博士課程教育リーディングプログラムの実施状況等について御説明させていただければと思います。
 リーディングプログラムは,御案内のとおり,平成23年度から始まりまして,23,24,25年と3年間で新規採択をして,支援期間が7年間でございます。一昨年の平成29年度に初年度採択分が終了した事業の事後評価結果等に関しましては,参考資料の8としまして,昨年度の本部会,大学院部会で配らせていただいた資料を参考として御用意しております。
 今回は平成24年の2年目に採択された分の事業が終了したということで,事後評価の結果等について,簡単ではございますけれども,御紹介させていただければと思います。

 それでは,ページめくっていただきまして,1ページ目でございます。資料5-1です。1ページ目が博士課程教育リーディングプログラム。これは概要でございます。
 2ページ目が選定数ということで,平成23年度,初年度分が20件,24年度,は24件と。平成25年度は18件ということで,合計62事業がリーディングプログラムとして進められたということでございます。
 3ページ目以降です。3ページ,4ページにつきましては,博士課程リーディングプログラムのプログラム一覧ということで御用意させていただいているものでございます。
 5ページ目に行きますと,今回の平成24年度採択分の事後評価等についてということでございます。
 6ページへ行きますと,事後評価のスケジュールということでございますけれども,リーディング大学院の場合は,中間評価を採択後4年目に実施して,事後評価が採択後7年目,事業最終年度に行うということで,今回は赤枠のところでございます。平成24年度の採択事業で,昨年度に事後評価をやったというところでございます。
 7ページに行きますと,事後評価結果ということでございます。左側の方に事後評価結果,S,A,B,Cということで,Sが本事業の目的を十分に達成できたと評価できる。Aが本事業の目的を達成できたと評価できる。Bが本事業の目的をある程度は達成できたと評価できる。C評価が本事業の目的を達成できなかったと評価するということでございます。結果,24年度の採択事業は24プログラムとなりましたけれども,Sが7プログラム,Aが10プログラム,Bが7プログラムという結果であったということでございます。
 8ページ行きますと,類型(テーマ)別の評価一覧として,区分ごとにどういう形だったのかということを示しているものでございます。

 9ページ以降は各事業の中での優れた取組や成果,課題等について御紹介させていただければと思います。
 まず9ページですけれども,「リーダーを養成するための学位プログラム,体制等の構築」というところでいいますと,まず優れた取組や成果というところで,一つ目,【自主・自立性に富みグローバルに活躍する人材を養成するプログラムの確立】というところで,異分野科目や俯瞰講義等のコースワーク,学生の自主性・自発性を尊重した融合研究,長期海外派遣,企業等のインターンシップ,コロキウム等により俯瞰力と高度の専門性を備えたリーダー養成プログラムを構築できているというところでございます。
 次に行きまして,【国内外機関との充実した連携による学位審査・実践教育】というところで,科目が英語で提供され,海外大学・企業への長期派遣が課されており,国内外のコンサルティング企業,外国人教員の副指導教員・企業出身メンターによる実践的かつ直接の指導等,確固たる連携体制学位審査・実践教育を実施したというところでございます。
 それから【文理融合教育によるリーダー養成の実現】ということで,学生1名に対し最大5名の教員・海外メンターによる指導体制の下,文理融合を目指したラボローテーションなどを実現,広範な知識と俯瞰力,国際性等を有するグローバルリーダーを育成したということが挙げられています。一方で,課題もあり【大学全体の取組としての位置付け】というところで,全学的な管理運営機構の関与が積極的ではなく,取組が学長等のリーダーシップに基づく大学院教育改革として十分に機能したか不明瞭であり,大学全体の教育改革の取組とどのような関係にあるかも判然としない,でございましたり,あと【研究指導体制の不備】というところも,カリキュラムにおいて対象とする領域の一部において専門家である教員が経常的に配置されていないなど,広範かつ体系的な教育研究指導体制の構築が不十分という指摘。それから【従来の研究領域を超える研究指導】というところで,新たに文理融合型の学術分野を設定するも,個々の研究関連領域の境界を越えた博士学位論文が作成されたとは必ずしも言えず,従来の研究科の枠を超えた研究指導体制が不十分であるといったような取組もあったというところでございます。
 10ページが「修了者の成長とキャリアパスの構築」というところで,優れた取組や成果に,【異分野・産学交流による専門分野の枠を超えた人材育成】ということで,異なる専門領域や産業界との交流により視野の広がりと視点の高まりが見られ,活動の場が国内外のアカデミア・産業界等にまで広がり,「専門分野の枠を超えて全体を俯瞰し社会的課題の解決に導く高度な人材の育成」に成功など,【学生のキャリアパスの多様化】,それから【異分野融合研究による成果】,【優れた自主性の涵養】等々,それぞれ優れた点というところが取り上げられている事業もあるということでございます。一方で課題の方も同じく,【キャリアパスの多様性】のところでありましたり,【学生確保の取組】,それから【養成する人材の意識付け】という観点でも,指摘されているような課題があるとして認識されている事業もあるということでございます。
 11ページは事業の定着・発展というところでございます。同じく優れた取組や成果,それから課題ということで,ここに掲げられているようなのが特質として指摘されているということで列挙させていただいている状況でございます。

 それから12ページがフォローアップについてということで,ここはこういった形でフォローアップしているというところでございます。
 13ページに行きます。今までのものがプログラム委員会での事後評価結果で,13ページ以降がプログラムの実施状況ということです。これは,先ほど申しました24年度採択の事業だけではなく,3年間の事業全ての状況ということでございます。
 14ページをごらんください。プログラム参加学生の応募・選抜状況ということで,資料としては応募・選抜,それから応募学生数と内訳,右側の下が選抜された学生数と内訳という形でデータを入れております。
 まず応募・選抜関係ですけれども,平成30年度応募者総数は1,189人ということで,選抜された学生数は657人。学生選抜に係る競争率は,おおむね1.6倍から1.8倍程度の水準で推移している。ただ,応募者数・選抜数ともに平成26年度がピークで,その後は減少傾向であるというところでございます。
 また,マル2の右下の図ですけれども,選抜された学生の内訳としましては,自大学出身者と他大学出身者それぞれ同数程度で選抜されているというところでございます。緑と紫の線というところでございます。

 それから15ページをごらんください。教育活動と企業との連携状況というところでございまして,データとしては,インターンシップ派遣学生数,海外大学等への派遣学生数,プログラム参画企業数,それからプログラムにおける企業との共同研究実施数というところで経年の状況を示しております。
 平成29年度までの間は企業等との連携による取組の規模は年々増加しているというところですけれども,平成30年度以降は全体の件数,プログラム当たり件数ともに減少している。23年度採択事業の支援期間が29年度末で終了したこと等による影響が,こういったところで出るのではないかと考えているところでございます。

 16ページ以降が修了者の就職状況というところでございます。
 17ページをごらんいただければと思いますが,まず上のグラフがプログラム修了者数というところでございます。そして下の方が,博士課程全体の修了者全体の状況ということでございます。
 平成30年度末までに,リーディングプログラムにおいて,1,846名が修了して,うち,全体の96.5%に当たる1,782名が就職しているというところでございます。
 下の博士課程全体となれば,就職している者が72%ということで,全体と比べて高い割合を示しているというところでございます。
 それから18ページに行きますと,就職者の就職状況というところでございます。これも同じく上がリーディングプログラムの修了者,下が博士課程全体でございますけれども,特にリーディングプログラムに関しましては,民間企業・官公庁に就職した割合が42.6%ということで,全体が25.1%というのに比べて,多様なセクションで活躍されているということが言えるというところでございます。
 19ページがプログラム修了者の主たる勤務地というところでございます。25年度から修了者は出ておりまして,25から30年度の修了者の中では日本人学生に関しましては約10%が国外で就職,勤務されているというところでございます。また留学生に関しましては,逆にというわけじゃないですが,44%が日本国内で就職しているというような状況でございます。
 30年度に限って言えば,下にあるとおりであるというところでございます。

 データに関しては以上でございまして,次に資料5-2をごらんいただければと思います。
 資料5-2でございますけれども,「博士課程教育リーディングプログラム」事業の定着・発展プロセスに関する調査研究(第1回)についてということでございます。
 2ページ目に参考で示しておりますけれども,博士課程リーディングプログラムに関してのフォローアップというものは,今,先ほど御説明させていただきましたプログラム委員会における事後評価と,あと,先ほどデータの方をお示しさせていただきましたが,文科省による実施状況調査という二つでやっているんですけれども,新たに調査をしたいと考えているところでございます。そこが資料5-2の1ページ目にある定着・発展プロセスに関する調査研究というところでございまして,調査の概要としまして,今後,我が国全体の大学院教育改革に向け,まずは同事業の優れた取組の普及を図る観点から,各プログラムにおいてこれらの成果を生んだプロセス(課題の克服方法など)を明らかにし,体系化・一般化するための調査研究を行うというところでございます。

 調査研究の内容としましては,先ほどのプログラム委員会による事後評価等における事実認識を基盤としながら,各取組を実施する上で認識された課題とその解決方策の把握を中心として,次の調査をするということで,まず一つ目としては調査の内容ですけれども,採択プログラムの事業実施プロセスに関する調査というところで,特色ある成果を生んだ取組の実態でございましたり,認識された課題とその解決,事業定着の見通しと懸念・課題認識,それから学生に対する大学及び企業の評価というものを調査していきたいと考えているところでございます。(2)ですけれども,その調査結果に基づいて,事業プロセス・課題の類型化,共通的手法・課題解決方策の分析と体系化・一般化というものを進めていきたいと考えているところでございます。
 調査対象及び方法については,プログラム関係者に対し書面調査及びヒアリングを行うということで,スケジュールとしては9月以降,書面調査等をして,来年1月に中間報告,それから2月以降に最終報告書の作成で,大学院部会にも御報告させていただければと思います。
 こういった形で,プロセスについての調査を行う予定としておりますので,お気付きの点等ございましたら,御指摘頂ければありがたいと思います。
 以上でございます。

【有信部会長】
 リーディングプログラムに関して現状の実施状況の説明と,新たに調査をやりたいという御提案がありましたけれども,この点に関して何か御意見,御質問等ありましたら。はい,どうぞ。

【髙橋(修)委員】
 ありがとうございます。特に18ページ目にあった民間企業への就職が非常に多くなったというのは強調されていたと思うので,そこも一つ成果になるかなと思うんですけれども。それは,やはり産業界側の世の中のニーズにマッチしたような人材の育成ができたというのが成果だと思うんです。
 是非1個加えていただきたいなと思っている点が,世の中のニーズというか,というものをプログラムにどう反映させたか。要は企画段階ですね。やっていく中で,もちろんプログラム,インターンの受入れ先とかで,産業界側の理解を得ながら進めて,その先,就職先としても産業界があったという成果だと思うんですが。それこそ,先ほどリカレントの話もそうですし,あと学部連携何とかって,その次の話もそうだと思うんですが,大学側が多様な世の中のニーズをいかに把握をして,企画をして,要はマーケティングをして,求められたものを出すかという機能が,今すごく大事になっていると感じたんですね。そこの部分て,それこそ文科省が支援をもっとできたらいいかなというのも思っていますけれども,このうまくいったリーディングにおいて,各取組,うまくいっていた取組が,こういう人材を育成しようという着想に至った出発地点というか,あるいは予備的な調査やデータみたいな何かがあってニーズに打ち込んだのか,あるいは,全くそうではないけれども結果として,プロセスが良くてこうなったのかとか,その辺について非常に興味があるので,是非一歩踏み込んだ調査ができたらいいと思います。
 以上です。

【有信部会長】
 今の話は,もともとリーディングプログラムでは出口側の人たちを含めた協議体を作ることになっていたので,基本的には外部の意見も聞いているという形式にはなっているんだけど,今の話は,大学が独自に,いわゆるマーケティングというか,その外部のニーズを捉えているかという観点で,この調査の質問事項に加えてほしいと,そういうことですよね。

【髙橋(修)委員】
 そうですね。やっぱり大学ごとの特徴をいかに出すかというのが,このプログラムごとではあると思うので。思うのが,どういう動きをしたのかという,全体像だけではなくて,個別でうまくいっている事例というのもあれば,事後の参考になるかなという考えです。

【有信部会長】
 それは是非,取り込めれば取り込んでいただければと思います。
 ほかに。はい,どうぞ。

【迫田委員】
 リーディング大学院については非常に産業界では評価高くて,我々の方でも,例えば何人採れたというのを,リーディング大学院から何人採れたと。単なるドクターじゃなくて,リーディング大学院から何人採れたというのをKPIに置いているぐらいなんです。相当そこはみんな,ここ何とか採りたいという思いでおるんですが。それが評価としてS,A,Bというふうに分かれていると思うんですけれども,その中で,その優れた成果を残せたところとそうじゃないところの違いが。先ほどの御質問ともかぶるんですけれども,そこが多分,どういうところで差ができてきたのかというあたりがはっきりしてくると,今後の大学運営についての参考になるんじゃないかなと思うので,是非そういう分析もお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【有信部会長】
 これは多分,S,A,B,Cだっけ,これを付けた評価委員会のそれぞれの基準がありますよね。そこの調査を多分やるという話か,あるいは業界にもインタビューをやるかみたいな話だろうと思いますけれども。
 ほかに。はい,どうぞ。

【塚本委員】
 ありがとうございました。このプログラムにおいて,留学生が4分の1ぐらいを占め,その留学生のうち44%が日本国内,41%が海外に就職したということなので,どうして日本に就職したのか,何で日本以外にしたのかというところなどを分析すると,日本の企業にとってどうしたら優秀な留学生を採用しやすくなるのかわかりやすく理解できるようになると思います。せっかくのプログラムですので,是非いろいろヒアリングしていただければと思います。

【有信部会長】
 それは大学ではなくて修了生への調査ということになる。予算の規模からして,どこまでできるか分かりませんけれども,今の話も一応は考慮しておいていただければと思いますが。

【田中委員】
 ちょっと一つ。

【有信部会長】
 はい,どうぞ。

【田中委員】
 これ,この調査報告書作っていただくの,大変結構な話だと思うので,是非,詳細なものを作っていただければと思うんですけれども。報告でいうと,最終報告書が2月で,大学院部会において報告と書いてあって,ここで丸なんですけれども。大学院部会だけが聞くだけじゃなくて,もうちょっと,この調査報告書が日本の大学院の全て,あるいは,この日本の博士課程に興味持っている企業その他にとって有用になるようなディセミネーションの仕方を少し御検討いただきたいと思います。

【有信部会長】
 ありがとうございます。それは是非,検討させていただければ。
 じゃあ,濱中委員。

【濱中委員】
 ありがとうございます。資料5-1の17ページと18ページのところで,プログラム修了者の進路状況がグラフとして提示されています。こちらについてですが,おそらく比較対象として出されている博士課程修了者の方は,医学部が入っていますよね。医学部が入ると,博士課程の状況は,そこに大きくひっぱられてしまいますので,医学部を除いたグラフをもう一つ載せてくださると,リーディングプログラムというのが,一体どれぐらい企業に受け入れられていて,意義があるものと認められているのかということが強調できるような気がします。

【有信部会長】
 それも参考にしたいと思います。
 ほかに。はい。

【堀切川委員】
 ただいまの流れですが,医学部除いた数字をこっそり計算してみたところでございます。ちなみに,従来の一般的な博士課程の医学部除いてやると,これ結構おもしろくて,まず官公庁に入っている人の割合は全然変わらないということで,あと大学に残った比率は,従来の博士課程の方が45%ぐらいなので,多いと。それでも民間企業は従来ざっくり3割だったのが4割超えですので,民間企業への活躍がたくさん出ていったというのは事実なんですけれども,その分,大学に残ってくれなかったという見方が比較的正しい感じで,もう一個のグラフがあると非常におもしろいなと思った次第です。
 以上です。

【有信部会長】
 今のは大学の先生の感想ということで。
 済みません,時間がどうも押してきてしまって,もう少々御辛抱いただいて,最後に大学分科会における議論についてということで,事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 失礼します。非常に時間限られておりますので,ごく簡単に御説明申し上げます。
 資料6-1,6-2,6-3と用意してございます。大学分科会親会の動きということでございます。
 大学分科会においては,「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方」について検討を深めていくということをされております。
 6-2については,第6期科学技術基本計画に大学分科会としてもしっかりと盛り込んでいただきたい事項については盛り込んでいこうということで議論が進んでいるところでございます。中身については,2ポツのあたりでございますが,博士人材の活躍する社会の実現という項目立てて,科学技術基本計画にも盛り込まれるよう大学分科会としても働き掛けを行っていくということでございます。
 資料6-3。これは大学分科会において今後どういう議論をしていくのかということでございます。三つ目は,あるべき姿(審議まとめ)を踏まえて,どういうふうに大学院改革を進めていくのかということ。ここは大学院部会でやりますということになっておりますが,残り二つ。一つ目でございますけれども,大学が学術の中心であるということに鑑みて,大学教員の在り方をどう考えていくのか,このようなことを議論していく。二つ目でございますけれども,2040年に向けて,文理が分断されているという状況の中で,初等中等教育段階からも含めて文理の在り方に議論していく,こういうことを分科会としてはやっていく。大学院部会の議論とも,また合流させながら,教育と研究を両輪とする高等教育の検討を進めていく。こういうことになっているという御報告でございます。

【有信部会長】
 ありがとうございました。何か御質問等ありましたら。特にこういう方向で分科会で議論が進んでいくということを御承知いただければと思いますので,我々のところ,大学院部会での議論が,今後,分科会での議論にも大きく影響するということになってくると思います。今後また,よろしくお願いをします。
 それでは,本日の議論については,それぞれ参考にすべきところという,それを踏まえて準備すべきところは事務局が,またよろしくお願いします。
 それでは,今後の日程等について事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】
 本日は活発な御議論いただきましてありがとうございました。
 次回の開催については,9月19日木曜日午前10時でございます。場所等について,詳細は追って御連絡をさせていただきます。
 資料の郵送を希望される先生は,机の上の附箋に郵送希望と書いて置いておいていただければ,特に記載がない場合には勤務先の方に送らせていただきます。
 ありがとうございました。

【有信部会長】
 それでは,本日の会議はこれで閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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