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大学院部会(第87回) 議事録

1.日時

平成30年8月6日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 大学院教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(部会長)有信睦弘部会長
(臨時委員)天野玲子、井上眞理、大島まり、樫見由美子、加納敏行、川嶋太津夫、川端和重、神成文彦、佐久間淳一、迫田雷蔵 、田中明彦、永里善彦、沼上幹、藤原章正、堀切川一男、湊長博、宮浦千里の各臨時委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官、山脇文部科学審議官、義本高等教育局長、藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、平野大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、滝本大臣官房審議官(高大接続・高等教育局担当)、蝦名高等教育企画課長、三浦大学振興課長、渡辺振興企画課長、平野大学改革推進室長、大月専門職大学院室長、山口学術企画室長 他

5.議事録

【有信部会長】  

 それでは,若干定刻には早いのですけれども,委員の方がおそろいですので,大学院部会第87回を開催させていただきたいと思います。本日は御多用中のところ,また酷暑の中,お集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
 なお,本日は五神委員,室伏委員,池尾委員,岡島委員,車谷委員,小西委員,高橋委員が御欠席と連絡を頂いています。
 それでは,議事に入ります前に,文部科学省から一言発言があるとのことなので,よろしくお願いします。


【小松文部科学審議官】  

 失礼いたします。大学院部会の御審議に入られる前に,失礼して一言発言をさせていただきます。
 すでに報道等で御承知のことかと存じますが,先月,科学技術学術政策局長が受託収賄容疑で逮捕・起訴され,国際統括官が収賄容疑で逮捕されました。文部科学行政を,国民の皆様の信頼を得ながら推進するという重大な責任を負っている中で,度重なる収賄によって文部科学行政に対する国民の皆様の信頼を大きく損なう事態に立ち至っていることを,大変遺憾なことと受け止めており,深くお詫び申し上げる次第でございます。
 文部科学省としては捜査に全面的に協力しつつ,事実関係の確認に基づいて適切に対処してまいります。現在は大臣の指示のもと,1つは公募型事業の支援対象者の選定過程の信頼性を確保する方策,それから,それとともに職員の服務規律の順守状況の調査について,速やかに対処すべく準備を進めているところでございます。文部科学省としてはこの事態を極めて深刻に受け止めまして,行政推進の礎でございます国民の皆様の信頼というものの回復に向けて,全力を挙げて取り組んでまいります。
 私の方から冒頭このことを申し上げまして,審議の方をよろしくお願い申し上げます。大変失礼をいたしました。


【有信部会長】  

 それでは,審議に入りたいと思います。
 最初に事務局から,配付資料等の説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。きょうの配付冊子でございます。机上の議事次第のとおり,配付資料と参考資料を用意してございます。机上資料というふうになっているものについてはタブレットに入ってございます。抜けている資料などがございましたら事務局までお申しつけください。よろしくお願いいたします。


【有信部会長】  

 それでは,過不足がありましたら,いつでも事務局にお願いします。
 本日は,最初に議題の1として,修士課程及び博士課程における教育の充実等について,事務局より本日の論点を説明させていただいた上で,委員の皆様方から御意見を伺いたいと思っています。
 その後,今後の大学院,修士課程・博士課程含めてですが,規模の在り方について,これも論点を説明した上で,皆様から御意見を伺いたいと思っています。
 最後に,現在,意欲的に進められています将来構想に関する答申案における大学院に係る記載のイメージについて事務局から説明した上で,これもまた御意見を伺いたいと思っています。よろしくお願いします。
 本日は議事が多岐にわたることから,議題1つずつについて審議を進めていきたいと思いますので,よろしくお願いします。
 それでは,議事に入りたいと思います。議題1の大学院教育の在り方についてということで,参考資料2,大学院部会の審議の進め方(案)は,3月にお示しした審議事項ですけれども,このうち,本日はまず前回に引き続いて,修士課程及び博士課程における教育の充実等について議論を行いたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは,まず事務局から説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。大学改革推進室長でございます。
 資料1に基づきまして,修士課程及び博士課程における教育の充実等について御説明をさせていただきます。
 一番,1ページ目の四角の部分に囲んでございます。前回,このような修士課程教育の充実からプレFDの充実というテーマについて御議論を頂いたところでございますが,本日は,この本日議論する事項の4つの点について,主に現状等この後議論を頂きたいと思ってございます。
 1.ということでございます。こちらの方が今までの審議の状況ないしデータ的なものの御紹介ということでございます。
 1ページ目の大学院生として身に付けるべき能力ということでございます。ここはまた後で論点でお示しをしたいと思いますけれども,これまでの議論というものも踏まえますと,大学院生というものにつきましては,高度な専門的な知識ということと合わせて,大学院修了者にふさわしい普遍的なスキル・リテラシー,このようなものを身に付けることが重要であるとされているところでございます。
 1ページ目の2つ目の丸以降でございます。学位プログラム等を活用した組織的な,また,横断的な教育研究体制の構築というテーマでございます。先ほど申し上げましたような高度な専門的知識と,普遍的なスキル・リテラシーというものを育成する,特にこれを規模の大きくないような単独の専攻で養成するということはなかなか難しいということが一般的には考えられるわけでございます。その観点で,平成28年度時点の数字でございますが,専攻研究科を横断して共通のコア科目を設定している専攻が約4割,主専攻分野外の授業科目の体系的な実施を行っている専攻が約3割,複数選考制を実施しているのが約7%ということでございまして,このような選考横断的な取組というものが数年前に比較しても余り取組が進んでいないという現状にございます。
 1ページ目の一番下の丸でございます。現在,中央教育審議会大学分科会将来構想部会の方において,学生本位の視点に立った学習というものを実現していくという観点から,2ページ目に入ってまいりますけれども,学内の資源を活用して横断的な教育に積極的に取組ができるような複数の学部等を設置する大学が,学部の枠を超えた学位プログラムというものを新しい類型として位置付けることができないかという検討がされているものでございます。
 参考資料6の方でございますが,先日のワーキンググループで配られた資料でございます。この内容についてごくごく簡単に言及したいと思うわけでございますけれども,参考資料6でございます。いろいろと書いてございますが,まずページといたしましては4ページをごらんください。(2)の新たな学位プログラムと内部質保証等ということでございます。この下の部分にイメージという部分が書いてございます。今までで言いますと,単純に下の部分に既存学部A,既存学部B,その他学部Cとございますけれども,このような学部というものに科目が張り付いているわけでございますが,このような学部というものが科目を持ち寄って,またそのプログラムと独自の開設科目を用意するということで,新たな学位プログラムというものを作れないのかという検討をしているわけでございます。
 具体的に申し上げますと次のページでございますが,下の部分に5ページでございます。従来ということと,新たな学位プログラムというものが載ってございますけれども,従来でございますと,学部がAがあってBがあってということで,それぞれ基準というものがあるわけでありまして,例えば校舎の面積基準,また専任教員の基準,このようなものがあるわけでございますが,またC学部というものを作るということになりますと,新たにC学部用にこのような基準を満たすということを求めるということに,現行制度はなっているわけでございます。新たな学位プログラムにつきましては,これをハードルを下げると申しますか,A学部とB学部がしっかりと必要な資源というものを持ち寄って,その2つが基準を満たしている場合には,新たな学位プログラムというものは追加的な要件を満たすように徹底できるようにしてはどうかと,このような議論がなされているわけでございます。
 具体的にもう1枚めくっていただきますと,例えば教員組織ということで言いますと,下半分でございますが,既存のA学部とB学部というものがそれぞれ資源を持ち寄って新たな学位プログラムを作ると,その際にはA学部の専任教員と新たな学位プログラム,B学部の専任教員と新たな学位プログラム,このようなものはダブルカウントを可能とする,このようなことが例えば考えられるのではないかと。新たな学位プログラムには質保証を行うという観点から,しっかりプログラムを管理する教員というものを置いていただく,このようなことはあるわけではございますけれども,こういうことも考えてはどうかということでございます。
 2枚めくっていただきまして,右下に8ページということがある資料でございます。学生の収容定員というものにつきましては,既存学部A,B,それぞれ300人というところから,例えばこの中からそれぞれ定員を持ち寄って,新たな学位プログラム200人というものを作る場合には,これは学則変更届出事項として新たに柔軟に設置ができるようにすると,このようなことでございます。
 極めて簡単に御説明をいたしましたので,資料はお手すきの際にごらんいただければと思うわけでございますが,この表紙の部分を見ますと,学部・研究科等の組織の枠を超えた学位プログラムということになってございまして,研究科についてもこのようなことを考えていってはどうかということでございます。元の資料1の方に戻っていただきまして,今,このような研究科の枠を超えた学位プログラムというものについても将来構想部会によって検討されているわけでございますけれども,2つ目の丸,現行においても博士課程教育リーディングプログラムにおいては,研究科などの選考の分野の枠を超えた取組という,5年一貫の学位プログラムを構築するという取組が実態ベースで進められているわけでございまして,この点線囲みの中で,評価される点として,組織再編,学位プログラムの横展開等の全学的な大学院改革が進んでいること,また,専門教育と社会の諸課題解決に必要とされる能力の涵養を両立する仕組みができているといったような評価というのがされているところでございます。
 また,2ページの一番下の丸でございますが,他国においても産業界と連携して理系の素養や専門的知識と,ビジネスで必要なスキル・能力というものを併せ持っている人材育成を進めるプログラムという取組というものが進められているわけでございます。脚注にあります,例えばPSMと呼ばれる取組があるわけでございますけれども,こちらにつきましては参考資料7の方で,名古屋大学総長が人生100年時代構想会議の方で発表した資料というものがありますので,参考としてごらんいただきたく思います。
 3ページ,学位授与の在り方でございます。現行の状況ということでございますが,学位につきましては,大学が教育の課程を修了し,当該課程の目的とする能力を身に付けた者に対して授与するということが国際的にも定着しているということでございまして,もちろん国際的な通用性を前提とした学位の質保証ということに努めることが重要ということでされているわけでございます。
 3ページの2つ目の丸,3つ目の丸につきましては,過去の答申において研究指導体制をどのように確立するのか,また,学位審査の透明性・公平性というものをどのように確立するのか,そのような手法について触れられていたという経緯があるわけでございます。
 4つ目の丸,博士の学位につきましては,基本的には専攻分野について研究者として自立的に研究活動を行うのに必要な高度な研究能力が身に付いている者に対して授与するということでありまして,これが国際的なスタンダートなわけでありますけれども,我が国においてはいわゆる碩学泰斗の証として博士の学位を認識している教員がまだいるのではないかといった指摘もあるわけでございます。このような考え方を改めた上で,研究指導体制の強化,学位審査の公平性・透明性の確保をさらに図るということが重要ではないかということでございます。
 もう1つ下の丸という部分については現状でございますが,複数の指導教員による論文指導体制というものを構築している専攻,博士後期において7割でございますが,異なる専攻を加えた指導体制というのは今3割という現状でございます。また,同じ調査でございますけれども,論文発表会というものを公開で実施しているところは9割,学位審査の委員名の公表が8割,学位審査において学外の審査委員を活用しているというのは7割ということになってございます。盗用検索ソフトについては今4割という現状でございます。
 3ページから4ページ目にかけましてが,学位授与のその他のテーマということでございますが,3ページ目から4ページ目にかけて一番上は学位取消というものについてでございます。学位を授与したときにはいろいろ手続が学位規則上あるわけでございますけれども,学位を取り消した際につきましては,今,実態としては国に対して各大学から取消の報告を求めているという現状にはございますが,その取扱,その後どうするかといったところについては大学の判断に委ねられているという現状がございます。
 次,論文博士という部分でございますが,論文博士の授与数については平成3年の56%から現在13%へ平成27年には減少しているという現状にございます。
 4ページから下の部分でございます。人社系大学院のテーマでございます。現状といたしまして4つぐらい,ニーズという部分を記述をさせていただいてございます。Society5.0というのを牽引するという観点からは,飛躍知というものをいかに発見・創造していくのか,これを社会課題と結び付けてどのようにビジネスに創造していくのかということが鍵になるわけでありますが,この際には,いわゆるエンジニアリング的な発想,デザイン的な発想ということだけではなく,真理・美の追求を指向するようなサイエンス,アート的な発想というものも必要となるわけでありまして,理工系の人材だけがこれを牽引するということではございません。人社系の人材の重要性も増しているわけでございます。
 2つ目の丸でございますが,Society5.0の時代については,理工系のポテンシャルを引き出すという観点でもありますし,また,歴史的な地理的な観点も含めた幅広い視野によるような高度な編集力,エディティング力といったもの,情報の目利き力,このようなものも必要になってくる。
 また,3つ目の丸でございますけれども,歴史学・考古学から幾つか書いてございますけれども,かなり抽象的な概念を整理・創出するための職業とか,そういったものについて,また,他者理解やネゴシエーション,サービス志向性,このようなものについては,人工知能等との代替が難しいとされているわけでありまして,人社系の学問を修めて培われる能力を有した人材の重要性というものは今後ますます高まってくるだろうと。
 4つ目の丸については,理工系のものも含めまして,企業経営者等のリーダー的な立場にある者という者については,専門分野の知識だけではなく,人社系の知識も含めた高い水準の教養というものが,グローバルスタンダードに照らしても必要となってきているという現状があるわけでございます。
 その上で,人社系大学院の現状という部分を4ページから5ページにかけて記述してございますが,一口で人社系と申し上げても,当然個別には分野・地域に応じて多様な状況があるということについては踏まえなければいけないわけでございますけれども,5ページ,人社系という形で一応便宜的にまとめさせていただいたございます。
 一番上の5ページの丸でございますが,人社系の修士課程の進学率というものは全分野に比べて低いということ,修士号取得者に占める人社系の割合というものは,英国・米国の5割に対して約2割と極めて低いということ。
 また,2つ目の丸につきましても,博士課程へ修士課程から進学する者については,全分野平均よりも高いわけでありますけれども,社会科学についてはほぼ全分野並みということでございます。また,博士号取得者に占める人社系の割合も極めて低いという状況にございます。
 また,人社系の真ん中のあたり,人社系大学院の課題ということで,累次の答申では4つ課題が指摘されてございます。体系的・組織的な教育の取組の割合が低いということ,博士号取得までの期間がほかの分野より長いということ,教員・学生の関係が限定的・固定的であり,教育内容がニーズと乖離していること,4つ目,修了者のキャリアパスが見えにくいことということでございます。
 5ページの下から3つ目の丸でございます。これら全ての問題,つながっている部分はあるわけでございますけれども,大学院修了者にふさわしい普遍的スキル・リテラシーというものは人社系大学院にも必要なわけでありますが,人社系については複数の専攻を横断したようなコア科目を設定している割合が低い。また,主専攻以外の分野の体系的な履修を行っている割合も低い,このような現状にございます。
 下から2つ目の丸でございますが,大学教員になる割合というものが極めて,減少しているとは言えほかの分野よりも高いという現状がございます。その背景の1つとしては,以前の審議会の議論でも御指摘を頂いているところでございますが,人社系の1つの特徴として,個人研究が中心である,産学共同研究が進みづらい,このような課題も指摘をされているところでございます。
 6ページでございます。6ページにつきましては,博士号取得までの期間について説明でございます。一番下の部分でございますが,下から3行目,平成17年につきましては,人社系は2割,理工系は5割というような状況,2割未満でございますけれども,修業年限内に博士後期の修了する割合が,博士号を取得する割合,こういうことでございますが,平成28年度は人社系は3,4割,理工系は7割ということになってございますが,まだ人社系は低いという現状にございます。
 ここまで現状の説明でございましたが,論点の説明でございます。7ページでございます。
 大学院生として身に付けるべき能力につきましては,これまで何度か部会の方でも御議論いただいたところでございます。その上で,今,1個目の丸でございますが,将来構想部会の方では,学士課程において求められる能力ということで幾つか触れられているところがございまして,これを整理をいたしますと,例えば1個目の点線囲いにあるところの論理的・批判的思考力からデータ処理能力,このようなものが共通して必要とされる普遍的スキル・リテラシーとして挙げられてございます。
 2つ目の丸でございますが,これまでの大学院部会の議論,また累次の答申というものも踏まえますと,大学院の学生というものは上記の学士課程に求められる能力というものは当然,さらに伸ばしたものというものを身に付けなければいけないわけでありますけれども,これに加えて,大学院修了者にふさわしい普遍的なスキル・リテラシー,大学院生特有のものとして身に付ける必要があるのではないかという議論が行われてまいりました。
 その観点で,2つの点線囲いのところ,最先端の知にアクセスする能力から,自らの課題を発見し設定する力,そこから6つ挙げてありまして,研究に関する倫理観,こういったところまで挙げているわけでございますが,これが大学院における特に研究活動というものを通じて培われる能力ということで,位置付けがあるわけでございます。
 このような学部生が求められる能力というものを大学院レベルに引き上げたもの,また,大学院生特有の普遍的なスキル・リテラシー,このようなものに加えて,3つ目であるわけでございますけれども,高度な専門的知識というものを身に付けていく必要があるということで考えられるのではないかという論点でございます。その際には,高度な専門的知識という部分には,STEAM分野の基礎的な知識や,人社系の知識も含めた幅広い教養,このような専攻分野に関わらない知識というものも一体のものとして身に付けていく必要があるのではないかということを論点として挙げさせていただいてございます。
 7ページの一番下の部分でございますが,このようなことを意識して,各大学院は人材養成目的を明らかにした上で3つのポリシーを明確に設定していくこと,そのようなことが必要ではないか。
 特に8ページでございますが,学位授与の方針というものを確実に実現するという観点からは,その学位プログラムとして身に付けさせる能力ということを明確にした上で,それを具体的に実現する観点から必修科目,コア科目,このようなものを設定するということも必要ではないかということでございます。
 8ページの真ん中,学位プログラム等を活用した教育体制の構築ということでございます。先ほど御説明しましたような能力というものを身に付けさせるためには,単独の研究科であっても複数の専攻を横断した連携した取組が重要ではないか。また,自ら継続的に教育組織や教育体系というものを改善していくということが必要ではないかということが考えられるのではないかということでございます。
 また,このような観点からジョイントディグリー,ダブルディグリーといった取組も積極的に実施をする必要があるわけでありますし,さらに,先ほど簡単に触れました研究科の枠を超えた学位プログラム等の活用を通じまして,既存の研究科の資源を結集したような研究科横断的な教育課程の実施,教学マネジメントの改善やカリキュラム改革の促進というものを図っていくことによって,大学院教育改革を進める必要があるのではないかということでございます。
 2つ目の丸,その際にはリーディングプログラムで取り組まれたような先進的な取組,この中で特に評価される点,課題とされる点というものをそれぞれ認識いたしまして,留意して進めていくということが1つ考えられるのではないかということでございます。
 また,国といたしましても,先ほどPSMという一例を挙げさせていただいたわけでございますけれども,このような研究科を超えた学位プログラムというものをどのように実現していくのかという観点から,適切な調査,また情報提供というものを行っていくべきではないかという論点でございます。
 8ページから9ページにかけましてが,学位授与の在り方についての,論点でございます。学位の質保証という観点から申し上げますと,8ページの一番下でございますが,大学院においては現在,学習の成果,学位論文に係る評価,修了の認定に当たっては,学生にその基準を明示するということになってございます。一方で,現行においては法令上はこのようなことを社会に対して公表するということが位置付けられているわけではございません。今後,大学院の取組について,社会・企業に対して発信していくという観点から,各大学院においてこのタイミングで改めてこの基準というものの適切性というものを検討していただきながら,その公表というやり方についても考えていくと,法令上義務付けるということが考えられるのではないかという論点でございます。
 9ページの方につきましては,既存の答申で送られてきたことでございますけれども,学位審査については,研究指導,学位審査において責任体制を組織として明確にしておくこと,また,しっかりとした国際的に通用性のある学位の質保証に取り組む研究指導体制を構築することが必要ではないか。また,盗用検索ソフトなどの活用など,客観性・公平性の確保ということに引き続き留意することが必要ではないかという論点でございます。
 9ページでございます。その他の論点でございます。まず1個目につきましては,学位の取消というものについて,今,各大学の内規,各大学における学位の規定に委ねられているわけでございますが,今現在,この学位取消があったときの公表というものについて,位置付けている大学がどのぐらいあるのか,このような点につきましても実態の把握をして,それを踏まえた上で在り方というのを検討していく必要があるのではないか。現行で言いますと,必ずしも公表ということが位置付けられていない大学があるのではないかということでございます。
 その他の2つ目,3つ目につきましては,いわゆる論博ということでございます。その他の3つ目の丸に書いてございますけれども,現在,課程博士,いわゆる課程博士においても普遍的なスキル・リテラシーというものを身に付ける重要性が高まっていること,また,研究指導の在り方というものもインターネット等の多様なコミュニケーションツールというものがかなり進んできているという変化があるわけでございます。このようなことを踏まえまして,論文博士の授与の以前に,どのように実際に単位を取得しているのか,研究指導をどのように行われているのか,学位授与までどのような期間がたっているのか,論文博士において学力諮問がどのような内容で行われているのか,このような実態というものをしっかり我々と,国としても把握をして調査をして,その上で今後の在り方というものを考えるべきではないかという論点でございます。
 9ページから10ページ,11ページにかけてが,人社系における大学院の教育の充実でございます。9ページの下から2つ目の丸,人社系については極めてニーズが高まってきているということが予想されるにも関わらず,我が国については人社系の割合というものが非常に低いと,このような状況というものについては,やはり真剣に検討した上で,外国に遜色のない水準で人材育成の需要に応えていくということが喫緊の課題ではないかということでございますが,その上で,一番下,9ページにありますように,3つのポリシーというものを位置付けてしっかり行っていくということは,また確認的に論点として記載をさせていただいてございます。
 10ページの方が具体的に中身ということでございますが,修士課程という部分に焦点を当てて書かせていただいてございます。非常に今後,高いニーズが予想されている観点で,このようなまとめ方をさせていただいてございますが,修士というものにつきましては1個目の丸,高度専門職業人や高度で知的な素養のある人材の養成という目的を十分意識しつつ,改革・展開に抜本的に取り組む必要があると。その上では,実務家教員による指導,長期的なインターンシップなどを活用しながら,学問分野の体系に即したコースワークというものがやはりしっかり充実が必要であることを論点として挙げさせていただいてございます。
 10ページ目の2つ目の丸でございますが,そのような際,人社系というものについても,当然高度な専門的知識,大学院修了者にふさわしい普遍的なスキル・リテラシーというものが必要になってくるということになると思われるわけでございますけれども,一方で,現行の人社系については,これまでの部会でも御指摘いただいたような個人研究が中心になるような傾向,また,分野にまたがったような汎用的な能力を身に付けるようなことに役に立つ機会としての体系的な教育プログラムが確立されていないのではないかという指摘もございます。そのような観点から,先ほど来,申し上げているところでございますけれども,複数専攻にまたがる取組,文理融合・学際的な取組,このようなものをコースワークとしてしっかり確立するということが必要ではないか。また,チームによる共同研究や理工系における研究手法や研究体制の利点というものもしっかりと取り入れていくということ,産業界との連携というものによる接点というものも増やしていくこと,このようなことが必要ではないかというのが1つの論点でございます。また,このようなことというものが,海外から優秀な人材というものを引き付ける拠点として機能する上では必要ではないかということでございます。
 3つ目の丸でございます。その際には,人社系につきましては,特に研究科の枠を超えた学位プログラムでありますとか,また,博士課程教育リーディングプログラムにおけるこういったものを参考にしていくということが必要ではないかということでございますし,10ページ目の下から2つ目につきましては,そういうことを意識した人社系の能力を備えた人材がどのようにSociety5.0で活躍できるのかというものを意識した発信を行っていく必要があるだろうと。
 また,10ページ目から11ページ目につきましては,いわゆるリカレント教育の文脈でございますけれども,人社系の専門性を軸とした普遍的なスキル・リテラシー,このようなものについては,社会人等からもニーズがあるということを踏まえまして,社会人が受講しやすい,ここに列記してあるような環境構築というものを進めていくということ,そのような観点から,11ページでございますけれども,各大学院は積極的に教育課程や組織の見直しを行うべきではないかということでございます。
 11ページ,最後でございます。長々と説明して申し訳ないのですが,人社系の博士課程の取組でございます。博士課程につきましては,もちろん修士課程の延長線上の取組というものをしっかりと行っていくということが必要なわけでございますけれども,2つ目の丸につきましては,円滑な学位授与という観点から,しっかり課程修了に必要な要件を満たせるような環境を構築すべきであると,そのような観点から,論文の執筆,論文審査の複数回実施,段階的な審査といったような計画的な作成,また,しっかりキャリアパスまで含めた計画を立て,指導教員との認識を一致させるような情報提供の支援,このようなことが必要ではないかという論点でありまして,最後は11ページの丸でございますけれども,従来の部会でもお示しをしている論点でございますが,従来の大学院,大学教員の養成を目的とする人社課程というもの,人社の博士課程というものにつきましては,大学院の教員の需要というものを踏まえた適正な規模というものを検討し,また,社会のニーズに応えていくような見直しをいうものが必要ではないかということを論点として挙げさせていただいてございます。
 以上でございます。ありがとうございました。


【有信部会長】  

 ありがとうございました。
 大学院教育の充実についてということで,学位授与の在り方から学位プログラム,特に人社系の大学院教育の充実について一応説明をしていただきましたが,皆様方から御意見・御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。


【永里委員】  

 非常に単純な質問です。人社系の人たちが博士号取得までの期間が他の分野よりなぜ長いのかについて,大学の先生,どなたか説明してくださいますか。


【佐久間委員】  

 これでも昔よりは大分短くなったのですけれども,これは結局,かなり長い歴史があることなのです。昔は課程博士というのはいなかったわけで,論文博士,それも50歳とかそれぐらいになってから博士号を取るというのが常識だったわけですけれども,それじゃいかんということでだんだん下がってきたのですが,ただ,やはり教育する側がまだそれになれていないというところもあって,もうちょっと低いレベルでも課程博士ならいいだろうというところがあると思うのですけれども,どうしてもそのちょっと上のレベルを求めてしまって,そうするとその分,少し時間が掛かってしまうということも1つの原因ではあると思います。そこはですから意識改革が徐々に進んできて現状があるということではあると思います。


【永里委員】  

 分かりました。


【川嶋委員】  

 よろしいですか。


【有信部会長】  

 はい,どうぞ。


【川嶋委員】  

 今のことに関連してお答えすると,研究のアプローチ,方法論が理工系とは違うというところもあると思います。つまり,人社系でも社会科学だと最近は計量的なアプローチが多いので,割と理工系と同じようなアプローチで,3年で博士を取れるということなのですけれども,特に人文系,特に文学系ですと文献研究,あるいは社会学とか教育学だとフィールド調査をベースにして論文を書くということがあるので,どうしても,論文を書く前の仕込みのところにかなり時間が掛かるということがあるのではないかというのが私の感想です。
 永里さんの御質問に対してはそういう答えなのですが,今日の全体と言うか,資料1についてのことですが,まずどういう能力を身に付けさせるかということで,共通した普遍的なスキル・リテラシーというのは重要だというお話でした。それで,阪大の取組を少しだけ御紹介しますと,これは多くの研究大学で既に同じようなことを行われているかもしれませんが,教養教育というのを初年次,2年次だけではなくて,学部の3年次,4年次,そして大学院修士,博士の段階でも,高度教養教育というのも必要だということで,一定の単位数をドクターの学生までに,いわゆる他分野の科目を履修させるというようなことを,阪大でも既にいろいろな形で展開しております。さらにそれを推し進める形で,まだ構想段階で実施にまでは至っておりませんけれども,修士課程においては,メジャー,マイナーという形で今後幅広い俯瞰力を身に付けさせようということを考えております。修士ですと30単位スクーリングが必要なのですが,これを20と10,あるいは20と20に分けて,20は従来どおりの専攻の科目を履修して,残りの10のところを,3通りありまして,従来どおり自専攻のところをさらに10単位学んでいくというコースもあれば,他専攻を10単位取る,これは学問的な他専攻ですけれども,3つ目は,社会との関係が深いような科目を10単位取るというような形で,できるだけ修士に入っても自分の専門に閉じこもるのではなくて,他分野の内容もきちんと身に付けさせようというようなことを今,構想して,カリキュラム改革を行っております。
 ただ,これは私,常日頃思うのですが,やはり大学院課程の前の学士課程が,余りにも日本の場合は専門に特化し過ぎているので,繰り返しお話ししたように,大学院に行っても教養教育が必要だねという話が出てくるのですね。これはずっと前からお話ししているのですけれども,やはり学士と修士と博士の,きちんと機能を明確化,目的を明確化する必要があるだろうと思います。学士課程答申が出たときに,学士力というもので,共通に学士課程4年間で身に付けさせる能力というので,参考指針として示したことは御記憶にあると思いますが,その後一時,修士力とか博士力とかという言葉が少し出てきたことがあります。ですから,将来構想部会での学士課程での能力の整理の御紹介がありましたけれども,強制力はないにしても,やはりこの部会としては修士として身に付ける共通の能力は何かとか,博士で身に付けるべき,望ましい共通の能力は何かということをきちんと示していくという,そういう努力も必要かなというふうに思います。
 これは言うまでもありませんけれども,海外へ行きますと,資格枠組みとか,アメリカでもDQPという,マスターまでですけれども,共通のアウトカムを示すような取組もありますので,日本は是非そういうことをやっていただきたいということです。
 それに関連して言うと,学士と修士といわゆる博士の3つの段階を考えたときに,一方に教育という極があり,他方に研究という極があり,その両者が大学や大学教員の営みであるとしたら,やはり学士課程は教育の極に近く,博士課程は研究の極に近く,教員の研究活動と一体的に学生をトレーニングする。真ん中のところが修士課程であり,教育と研究の組み合わせで修士学生のトレーニングをするということかと思うのですが,今は,特に先ほどの永里委員のお話に関連すれば,どうしても人文社会系のところは,教育と研究というバランスでいけば,修士では、教育よりは、研究のところに比重が置かれているという,それで修士論文がかなり重たくなっているというようなこともあるので,やはり,繰り返しますけれども,学士と修士と博士という,この3つの教育課程の役割をきちんと明確にしていくということが,随分前から言われていますけれども,是非そういうことが必要ではないかというふうに思います。
 以上です。


【有信部会長】  

 確かに,ヨーロッパでももともと学位というのは様々な形式があって,Ph.D.だけではなくていろいろな国でいろいろな学位制度があったのが,ボローニャ・プロセスの中で,欧州のEU圏内で学位の共通化を図るということで,今説明があったように,それぞれの学士,修士,博士というリファレンス学位が作られて,標準的なそこで修めるべき内容もお互いに共通に理解をし合って,少なくともEUの中でボローニャ学位という形での標準化をやられています。まだ,ただ,それぞれの国でまたそれぞれの学位をいまだに保有しているということもあるようですけれども。だから,日本の場合はまだそこまで,ボローニャ学位と標準化をするというところまで行っていませんし,戦後アメリカの学位制度をそのまま採り入れていますし,戦前はドイツから採り入れたのとフランスから採り入れたのとということで,人文社会系はむしろフランス系の学位制度に近かったというふうに聞いていますけれども,そういう名残を延々と引きずりながらだんだん,だんだんと整備をされてきているというのが今の状況です。
 だから,今川嶋委員が言われたように,もう一度定義をしっかりし直して,標準的なものを作るというのが本当に可能であればそれをやるかということと,それに合わせつつ,より一歩進んで,今説明があったような大学院教育の一層の充実を図るという形で進められればいいかと思うのですけれども。
 どうぞ。


【田中委員】  

 人社系だけではなくて,日本の大学院修了者が研究以外の分野で活用されるということが一般的に少ないわけですよね。とりわけ人社系はそうだということで,ただ,それでも今,修士,さっきおっしゃったのだと研究者が4割ぐらいですよね。だから今でも6割ぐらいは研究者じゃないところに行っているわけですね。
 諸外国と比べる,とりわけ欧米と比べて言ったら,比率から言ったら,修士卒で研究に行くのというのは1割か2割ぐらいで,残りは社会の様々なところで活躍していただくというのが普通になってもおかしくないわけですけれども,そういうふうな傾向が余り見えないというのは,一方では日本の修士課程の教育が社会の実状に合っていないからだという面もあるけれども,他方で社会の側も,別に日本の大学の修士課程の人なんか要らないよと言っている面もあって,この両者がある種の悪循環を起こしているような感じがするわけですね。
 ただ,根本的に言うと,ここの報告にもあるように,Society5.0というような社会,今後2040年とか2050年を考えたときに,日本の社会としてどういう人材が必要かというところからやはり考えていく必要があると思うのですね。ですから,今の日本の会社,あるいはそれ以外の様々な団体は,今のような,基本的に学士を出た人を新規一括採用でやっていくというので,Society5.0を作れるのかと,あるいは企業が国際的な競争力を持ってやっていけるのかと言うと,どうもそういう,今までのやり方だけだと,恐らくだめなのではないかという意識は強くなっているように思うのですね。
 それで,とりわけ昔,修士卒の人なんか要らないよと言っている前提は,学卒で素直な子を採って,会社の中で十分トレーニングして,オン・ザ・ジョブ・トレーニングをやっていけばそっちの方がずっといいんですというような,ある種の発想があったと思うのですけれども,今の日本企業やその他の組織が本当にそんな立派なオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやれるのか。今の現代のかなり速い速度で進んでいく社会に追い付いていくのに,そういう形がやれるのかと言うと,どうもそうじゃないのではないかという意識は,少なくとも少しずつは出てきていると思うのですね。
 そうすると,新規で採るにしろ,中途で採るにしても,修士号に代表されるような知識・技能を持った人材が必要だというふうになって行かざるを得ない。ただ,そのようなどんな知識・技能を修士課程で持っていれば,企業内のオン・ザ・ジョブ・トレーニングでは済まない,あるいは中途でぱっと採った時に即戦力になるというような人材を作れるのかというところを,少し真剣に検討しておく必要があるのではないかと思うのですね。
 抽象的に言えば,そういうものをコア科目としてやりなさいと言うのだけれども,なかなか難しいのは,では具体的に何なのですかと。今の修士課程で欠けていて,それで学士課程ではなかなか得られなくて,Society5.0で必要とされる能力というのは何なのだというところがもう少しはっきりしないと,具体的には各大学院で考えてねと言うのはそうなのでしょうけれども,やはりちょっと,その辺の指針を示せたらいいなと思うのですね。
 私があえて,御批判されることを覚悟で言えば,人社系の修士課程で,やはりほとんど全ての人が勉強しなければいけない,あるいは能力的に相当高いレベルに行かなければいけないのは,今風に言えばデータサイエンス,それから英語であります。コミュニケーション能力。もちろん,この2つとも学士課程でできると言えばできるのですけれども,とりわけ学士と違って修士だと言うからには,歴史をやり,文学をやる人でも,データサイエンス,統計学の基礎ぐらいは全部分かると。それから,日本文学をやるにしても,それを全部英語で解説できると,そのぐらいのところがやはり修士課程は必要なのではないかなというふうに思っておる次第です。
 最後の方の具体論は愚論かもしれませんが,たたき台として。


【有信部会長】  

 ありがとうございました。非常に重要なポイントを指摘していただいたと思っていますけれども,1つは,会社の中で今までやってきたことは,基本的に専門性が要求されないような仕事で,一定程度の学力・知識があればこなせるような範囲で大体が進んできた。つまり,採用も事務系,技術系という程度のざっくりした採用で,全く専門性を要求せずに,それをオン・ザ・ジョブ・トレーニングと称していたのですけれども,実質的に実務というのはたたき上げのプロがいつもやって,管理職はほとんどそういうことに関わらないで済んでいた。だけれども,今のこれだけ急速に様々な諸制度が変わっている中でそれでは済まなくなっているというのが1つと,それからもう1つは,田中委員が大学で考えろと言われるのかもしれませんがとおっしゃった,人社系では前回,将来構想部会で指摘されていた人社系では教育プログラムができていないということ。はっきり言って,具体的に何を教えなければいけないか,何を教えるべきかという教育プログラムがきちんとできていないので,個別に皆勝手なことを教えて,勝手な知識を身に付けているのではないかと,こういう批判が出ていて,これはこれで多分,大学サイドでももう少し検討する必要があるような気がしていますけれども,そういう重要なポイントについて今,問題提起がされたと思っています。
 では,沼上委員。


【沼上委員】  

 すみません。本日頂いた論点の整理,大変興味深くお話を伺わせていただきました。特に9ページ目の下の方に出てくる,人社系の大学院における教育の充実というのは,まさにSociety5.0の時代には,この種の人社系の知識が重要になってくるだろうというようなことについてはそのとおりだろうというふうに思っています。
 例えば,近年のグーグルとか,GAFAと呼ばれているような企業の基本的な考え方というのは,プラットフォーマーという戦略を採っているというふうに言いますけれども,これは基本的に,社会システムをどう設計するかというところと,コンピューター・サイエンスの考え方やプログラミングが極めてうまく融合している,そういうところにあるのだろうと思っています。ある意味では,極めてソーシャル・サイエンティフィックなコンピューター・サイエンスなのだというふうに考えていますので,そういう意味では,人文社会科学系と理科系の間の中間的な,そういうような知識というのは極めて重要になってくる,そういう時代だというふうに認識をしていますので,まさにそのとおりだというふうに思っています。
 ただ,2つほど申し上げたいことがあって,1つは,非常に注意深く人社系という言葉をお使いになっていると,しかもその中に多様性があることを十分に認識されているというふうにもお話はありましたけれども,やはり人社というくくり方自体が,政策の作り方のディメンションとしていい次元の作り方なのかどうかと言うのは,ナチュラルカインドではないので,人社というのが,ここで切って本当にいいかと。例えば,Behavioral Scienceかそうじゃないかとか,Empirical Scienceとそうじゃないかとか,あるいはプロフェッショナル・スクールを持っているところと持っていないところという分け方をするのかとか,何種類かまだ分け方があって,とにかく多様性を考えろということではなくて,少数の概念でもう1回切り分け方を変えるという考え方は,僕はあり得るのではないかというふうに思っています。
 特に,自分の大学のことを考えていると,受験倍率からその後の就職の問題も,共同研究の問題も,あるいはPh.D.も,社会科学系は3年か4年で出しています。10年も掛かっていたら通常は出ない人という意味なので。プログラムが体系化されていないかと言うと,もう完全なコースマークになっているという状況になっていると思うのですね。経済とか商学,ビジネス系とかですね。もちろん,ロースクールはものすごく標準的な勉強の仕方になっていると思いますし,その意味では,学校と言うか,領域によって明らかにここで書かれている人社系の問題点というのは当てはまらないところもあると。もちろん,Society5.0には人社の人の方もすごく大事だというのはそのとおりなので,その政策のときには一緒に語らなければいけないという部分があるのですけれども,問題点のところを議論していると,何かどうもちょっと違う印象をすごく持つというのが1つ。
 もう1つは,企業の中でマスター要らないという話が今いろいろ出てきていますけれども,やはりこれは会社の,インタビューする会社によっても全然違うことを言う会社がいっぱいあるのですね。私が知っている幾つかの会社の先端的なところ,変化の先端的なところで言うと,海外の大きな会社を買収してしまって,思わず国際企業になってしまったと,しかしグローバル人事をやれる人が1人もいないと,あるいは,向こうの会社に行ってマネージできるマネージャーが誰も内部にはいなかったとか,CFOが実はCFOではなくてスーパー経理部長だったとか,いろいろ問題があって,かなりプロフェッショナルな社会科学系の知識を持った人が修士レベルでいないと,もう今の日本企業は経営できないと思っている会社はかなりの数,実はもう出てきて,幾つか出てきているというのが,私の認識なので,申し上げたいのは,人社1つにしないということと,平均的な会社と,やはり一番変化し続けている最先端の部分の会社,少し分けて考えた方がいいのではないかと。大学の全体の制度を作るときには,平均を考えなければいけないような気もするのですけれども,やはり変化の最先端の部分をどう捉えるかというところが,もう1つすごく重要な切り口のように思いました。以上です。


【有信部会長】  

 さっき申し上げた話と通ずるところはありますけれども,人社一括という言い方だとか,文理だとかいう言い方だとか,これはもう明らかに改めなければいけないという話でしょうが,これをどういう形で改めていくかということですね。
 それから,具体的に教育プログラムがきちんとできて運用されているところも,具体的には,これは一律にというわけではないと。だけれども,実際には教育プログラムがきちんとできていないところが多過ぎるという実状もあるというようなこともあって,この辺を具体的にどう整理していくかということ,それと合わせて充実を図っていると。
 川端委員,すみません。お待たせいたしました。


【川端委員】  

 短く。1点は学位プログラムです。学位プログラムが今議論されているという話をしていただいていた。並行してリーディングにしても卓越にしても,各大学はもう既に走っています。それは試行錯誤の上で走っているという状態。という意味で言えば,この学位プログラムの議論というのは,ある程度エンドを決めて,一体いつ頃までにはどうなるのかという,その辺までを明確にしてもらった方が,いろいろな大学の動きがもっとよくなるかと思います。それが1点です。
 それからもう1点は,先ほどの人社,人文社会の沼上先生が言われたのと同じで,実験心理から始まって,経営から始まってと,こちらの方はある程度もう動いている部分があって,それ以外の,また怒られるけれども,ヒューマニティーの部分になるといろいろなものがある。だから,動けるものから動けばいいじゃないかと,そういうような気がします。余りひとくくりにしないでやった方が。ただ,そのときにキャリアパスの話が,先ほど出たのですけれども,間違いなく理系だってキャリアパスが一番最初からうまく行ったわけではなくて,そこにはカリキュラムだけではなくて,民間の方々であったり,教員であったりの考え方が何か動かない限り何も動かない,カリキュラムを作っても,というところから始めて,まずそういうような動きがあっていいだろうというような気がします。
 最後はSociety5.0が出るのですけれども,私も間違いなく理系だけでこれは動かないとは思いますけれども,民間だってSociety5.0,何のことかよく分からない,どこに向かうのだか,一体どこにすればいいのだかもよく分からない。そういう中で人材がどうのこうのと言ったって分からない。だから,単語としていろいろな概念は動いているけれども,それは走りながら見えてくるようなものなのかなというような気がしています。
 以上です。


【有信部会長】  

 いやいや,大学の先生に分からないと言われると困ってしまうのですけれども。せめて大学の先生は分かっていてほしいか,別にいろいろなフレームを出してもらえればいい。多分,企業の人間の方が分からない。


【川端委員】  

 そうです。


【有信部会長】  

 というのが正しい話だと思う。そこの部分は正しいと思いますけれどもね。
 はい,どうぞ。


【佐久間委員】  

 先ほども博士論文について御質問がありましたけれども,結局,欧米の大学などでは,何年で論文を出さなければいけないから,逆算してこれで書きなさいみたいな,そういう指導をしているところもあるわけですよね。ですから,決して不可能な話ではないわけですけれども,結局その辺がやはりできていないところがあって,やはりこのカリキュラムというのは非常に大きな問題だと思います。
 今,人社系を一緒にするなという話がありましたので,ここからは人文系の話なのですが,人文系も学部から大学院への進学率が非常に低いということがあって,これでは到底定員を充足できないだろうという話なのですけれども,ただ,大学によってはきちんと充足しているところもあるのです。名古屋大学も進学率は低いですけれども充足はしています。では,どうやって埋めているのかというと,ほかの大学からも来るのですけれども,やはり多いのは留学生です。だから,名古屋大学なども留学生の割合が非常に高いわけで,それはある意味、国際化ということには貢献していることになっているのかもしれませんけれども,ただそれも,もう日本人は来ないから留学生でやっていくのだと決めてやっているわけではありません。あくまで対症療法で,日本人が来ない,これは困ったということで,それなら中国の学生がたくさん来たがっているから入れましょうと,それをやっているにすぎないわけですので,やはりこれからどうしていくかを考えるときには,日本人の学生を学部からどう大学院に上げるかというのを考えないといけなくて,そういう意味では,修士課程の問題を考えるときに,やはり学士課程と一緒に考えないといけないと思っております。
 これは川嶋委員の方からもありましたけれども,やはり学士の方も人文系は非常に早い段階から専門化されてしまっていて,ですから今話している汎用的な能力とは別の方向に行っているわけですよね。また,実態として学部の後半と博士の前期課程の授業が事実上同じだったりするわけですよ。現状では。そうすると,学部生の立場からすると,修士に行っても大して変わらないじゃないかという,そういうことも多分あるのではないか。結局、学士の段階からカリキュラムという考え方が基本余りないわけなので,そこから変えないと,もう根本的に難しいと思います。ただ,人社系とまとめられている中の一部の領域では,もうそうしたことがきちんとできているところもあるわけですので,その辺は参考にしながら,急にはできないと思いますけれども,やはりカリキュラム改革に向けた取組を進めていかなければいけないと考えております。


【有信部会長】  

 非常に本質的で重要な問題が出てきたような気がするのですけれども,いろいろ伺っていると,要するに教員が教えられることを教えていて,教えるべきことが何だかよく分からないと,こういう状況のような気がしますよね。つまり,もちろん伝統的に維持しなければいけない学問の分野とか知識の分野はあるのは当然で,それはそれぞれその先生方が身に付けてはいるのだけれども,それを教えたいから教えて,自分の後継者を作るということに対しては,かなり批判的な意見がずっと出てきているわけですね。
 それに対して,Society5.0とかいう話が出ているのに対して,では学生たちに何を身に付けさせなければいけないのか,人文系の立場で見たときに,どういう形のものを身に付けさせるべきなのか,あるいはそれを自分のバックグラウンドである学問的な素養からどういう形で身に付けさせられるかと,こういうのを多分やらないといけないのではないかという気がしますけれどもね。
 ほかにどうでしょうか。
 では,神成委員,それから堀切川委員。


【神成委員】  

 制度上に1つお願いがあります。この論旨のところで研究科・学部を超えた学位プログラムとか,海外とのジョイント,ダブルディグリーという,要するに枠を超えた教育制度というのを推奨しています。実は私がコーディネートしてきた慶應大学のリーディングプログラムが3月に終わりましたけれども,3年間で文系と理系の修士を2つ取るというものをやっておりまして,4期生までほぼ40名ぐらいが文系と理系の修士を3年間で取るということをこなしております。理系から文系もさることながら,文系から理系というのもありまして,非常にこれは学生にとって大変という一方で,学生にとっては非常にインセンティブになっております。文系の博士を取った後に社会・産業界に出るときに,理系の修士を取っているということで企業の扱いが全然違って,急に就職の枠が広がるというような産業界の見方が現実にありまして,2つ目の副専攻を理系で取るということを,非常に学生はインセンティブとして感じて取り組んでおります。
 ですが日本の制度としまして,研究科2つに同時に学籍を置くということはできないので,我々がやっていることはデュアルディグリーということで,カスケードに2つの研究科で修士を取るということしかできません。そこでは、単位上のダブルカウントは,文科省のルールの制約の中で行うわけでありますが,これがもし研究科に複数学籍を置くことが許されるのであれば,片方で博士課程を進めておきながら,もう1つで修士課程を進めていくというようなこともできるわけです。どういうふうにデザインするかは各大学で考えればいいのですが,現状においては学籍は1つしかあり得ないということです。海外とはジョイントディグリーとかダブルディグリーとかを進めて,あたかも学籍を,日本と海外の両大学にあるかのようなことを認め、かつ推奨している一方で,国内では同じ大学の中においてさえも研究科をまたぐことは学籍は1つしか持てない制約にひっかかる。そのため,入学試験を受けて副専攻に移籍し,副専攻学位を取って,また自分の主専攻に戻ってこなければいけないというようなことを,非常にやりにくい形でやっています。研究科,学部を超えたプログラムを作りなさいとか,ジョイントディグリー,ダブルディグリーを進めなさいということであるなら,本質的なそこの枠は撤廃してもらえれば,そこから各大学においてプログラムのデザインは工夫することができるので,是非ともこのルール改定は進めていただきたいと私は思います。


【有信部会長】  

 すごく重要な点ですけれども,多分,リーディングプログラム提案のときにむしろそれを提案してほしかったですね。そうしたらそこの段階でそれが検討対象になったのだけれども。そういう問題がリーディングプログラムを進める中で幾つか出てきているのです。だから,それも是非今後の検討対象ということで。
 では,堀切川委員。


【堀切川委員】  

 8ページですか。学部・研究科の枠を超えた学位プログラムというのが何回か出てきて,かなり強調されているのですけれども,これは理工系側からすると非常に分かりやすくて,理工系の学生にとって大学院でも人文社会系的な素養を幾つか身に付けさせるというのは非常にメリットが大きいと思うので,理工系側は非常に受け入れやすい考え方かなという気がするのですが,一方で人文社会系の方の学生教育から見たときに,こういう理工系と組んだ横断的な学部とか大学院を作ってメリットがあるかどうかというところを少し整理されて,メリットを書き込まないと,少し理解が進んでもらえないかなという気がいたしました。例えば,4ページの人社系の大学における教育の充実というところの丸印,上の2つはどちらかと言うと理工系の学生にとって人社系の学問をこれから吸収することが必要だという書き込みになっているので,そこが大事かなという気がいたしました。
 もう1つは,この学部研究科の枠を超えた学位プログラムをもし本気で検討して実施しようとした場合,多分,最大の課題は,学部認定に対する考え方が文化的にも違うかなと。バックグラウンドも全然違うので,この辺で相当もめそうな気がいたします。深読みすると,文系と理系を一緒にさせて,そこをぶつけさせてけんかして,両方にメリットがあるようにしてくれという趣旨があるのかなという感じもしないではないのですけれども,ここは結構ハードルが高いかなという気がしました。
 あと,1つ質問なのですけれども,こういう学部・研究科の枠を超えたという大学院のプログラム,学位プログラムをくぐった学生は,今までで言うと人社系としてカウントされるのか,理工系としてカウントされるのか,あるいは全く別な学際的,学際系とかと言う分け方にしていくのかというあたりが皆目分からないと。結局,本籍に戻って,そこでくぐっていくと大して改革にならないのではないかという気もした次第であります。
 そういうことで,何系に分かれるかというのは,出た学生に対してはっきりさせてもらって回答を言ってもらった方がいいかなと思うところでございます。これ以上言うとあれなので,簡単に言うと人社系の進学率が上がらないので理系と一緒にして上げちゃおうぜというふうに捉えられなくもないというところが,ちょっと心配でございます。


【有信部会長】  

 学位プログラムに関して言うと,人社系と理工系とをまたいでということをメインというよりは,むしろいわゆる従来の研究科・専攻科を意識しないで,新しい新分野,新領域だの学際領域だの,そういうところで学位プログラムが作れるということと,学位を与えるということをベースにそのプログラムを作る。それだけでも実は大変で,そもそも教授会という組織がどうなるのかという話で,今の大学の中で言うと,教授会がいわば研究・教育に関する様々な基準なり評価をやるということになっていますので,教授会が学位を出す,学位授与の許可を出すなりという,そういう形になっているわけですよね。ですから,逆に言うと,学位プログラムにみなし教授会のような形のものができれば,これは人社系であろうが,人社系と理工系をまたごうが,あるいは理工系の中だけでやろうが,それはそれで構わないはずで,ただそこは多分,大学の中で相当議論をしないと進まない話だろうというふうには思いますけれども。
 はい,どうぞ。


【宮浦委員】  

 全般的に拝見しまして,人社系と理工系の二者択一的な雰囲気がやはりにじみ出ていて,人社ですか,理工ですかというような,どちらかを明確化した上で,理工系の学生が人社系に寄ると言うか,一部大学院で教育の幅を広げる。それに比べて,人社系の学生が理工系によって幅を広げる難しさというのも現実問題あると思うのですけれども,学生にとっては意外とその領域が混じった部分もあって,例えばアートとか教育学とか経済学とか,人社系とも言えないし理工系の部分もあると,データサイエンスも全ての領域で必要ですし,少し文言が人社・理工という,この二者択一的になっているので,新たな幅広の,新たな融合領域,あるいは新領域を形成するというSociety5.0の目標を少しにじませて,二者択一的なところを緩めてもいいかなというのが印象です。
 例えば,Society5.0を考えますと,やはり産業界の産業構造の変化というのが最も重要ですので,考えますと,産業界の経営者の方は恐らく,今の統計は分からないのですけれども,人文社会学系出身の経営者の方が多いと思います。理工系の方より。ある意味,産業界はトップが人文社会系が多くて,それを支えている理工系と一緒に成り立っているというのがグローバル企業の1つのパターンかと思うので,いろいろと産業界の方はそのあたりをうまくフュージョンさせてやっているのかなと思いますので,大学教育システムとしてもそこのフュージョンというのを学生目線から少し理工系ですか,人文系ですかというところを,二者択一でAがBに寄る,BがAに寄るのではなくて,ABを作るというような雰囲気を出してもいいのではないかなというふうに思います。
 以上です。


【有信部会長】  

 それは,そういう趣旨で書いてあるつもりなのですけれどもね。実は。何となく人文社会系の人たちに,要するに従来の枠を超えてこういうことも必要だし,それはもう,大もとでは初めから人文社会系の人がいるという前提で書いてあるわけではなくて,これから選ぶときにそういうふうになってということが,余りよく読めないかもしれないですね。だからそれをもうちょっと読めるようにすれば。初めから分けて,最初は人社系にいますけれども,理系の学問もこれから重要なのですよみたいな書き方に見えたとしたら,多分,若干そこは趣旨をは違う話になっていると思うのです。
 はい,どうぞ。


【迫田委員】  

 2点申し上げたいのですが,1点は先ほどから議論に出ていた,企業が必要かどうかという点で言うと,明らかに必要なので,これは誤解のないようにと言いますと,私どもの会社でも8割以上が修士以上でありますし,あともう1つ大きな変化は,近年人手不足と言われる中で,人材の流動化も相当進んできていまして,経験者採用の比率も相当上がっていると思います。余り人数を発表している企業がないのですけれども,実態から言うと相当な数が移動しつつあるので,そこはもう,実際に獲得競争になっているという御理解の方が,全般的には正しいのではないかなという気がします。
 そういう意味では,先ほど神成先生からありましたように,リーディング大学院に対するニーズも相当高くて,特に文・理両方やっているような方について言うと,気付いている企業の取り合いになっている状態で,本当に取れない,来てほしくても取れない状態であります。そういうニーズは明らかにあるので,そこは御理解いただきたいなという点と。
 もう1つの点は,そこからさらに踏み込んでいくと,結局,大学,学士なのか修士なのかドクターなのかでなくて,個人を必要かどうかということになってくるのですね。そうなると,今までのシステム,日本でやってきた新卒一括採用的なシステムが,これは壊すというふうに決めていかないといけない。多分,企業はそれは余りノーとは言わないと思うのですけれども,本当に入社の面接の時期をちょっとずらしただけでバッシングを受けたりとか,大学の方からも相当クレームがあったりとか,そういう中で,本当にそこを壊すという覚悟がどこまであるのか,そこの内容に対しても踏み込んでいかないといけない。やはり,諸外国で言うと,ほとんどのところは大学の学士か修士かとか余り興味もなくて,あくまで個別で,同じ大学の修士であってもAIをやっている人と、それ以外とでは大きな差がある。例えば、中国でもAIをやっている人は日本よりも高給になっています。それをどこまで覚悟してやれるかということなのだと思うのですね。社会がどこまで受け入れるのかというところを見ながら,あるいは今後の社会の変化をどう織り込んで提言していくのかというところが,非常にポイントになってくるのではないかなという気がします。あくまでも個別だというのが諸外国の状況ではないかなというふうに思います。
 以上です。


【有信部会長】  

 個別だという点に関して言えば,外資系の企業は一括採用をやっていないのですよね。通年で個別,個別に採用しているので,それが不可能だというわけではなくて,これはむしろ永里さんの経団連がきちんと決心すれば,少なくとも大企業がそれで一括採用をやめるという話に持っていければ,1つは解決するのでしょうけれども。
 いずれにしても,今のようなやり方はもうそんなに続かないということは確かで,状況も変わっているので,現実に変わっている状況はそれぞれ沼上先生のおっしゃったように,大学の中の教育のやり方も,従来の経済学部の教育とは全然変わってきているというようなことをそれぞれ見ながらやはり考えていって,その先を見て教育の充実を図るということで,随分貴重な御意見をいろいろ頂きましたので,事務局サイドでこれをもう一度整理をして取りまとめたいと思います。
 はい。課長,どうぞ。


【三浦大学振興課長】  

 失礼します。御質問が幾つかありましたので,簡単にお答えしたいと思います。
 まず,学位プログラムの話,将来構想部会で今,御議論いただいていいますけれども,学部段階ではいろいろな大学で教育組織と教員組織を分離しているような大学が増えてきている中で,どういった教育課程が組めるのかという背景,あるいは大学院レベルでは,まさにお話がありましたとおり,リーディングプログラム,学際融合領域を進めていくのだという前提のもとにはじめられたリーディングプログラムだからこその課題でございますけれども,様々な大学で学生の所属する研究科とリーディングプログラムとの単位の認定の仕方ですとか,学位の出し方を非常に苦労されているということを踏まえて,組織の枠を超えた形での学位プログラムというのを出しやすくすることができないかどうかということで,今,御議論を頂いているという状況でございます。もちろん,将来構想部会での議論の後ということになるのですが,スケジュール的に申し上げますと,秋口,9月ぐらいにはそちらの方の答申が出るという……


【義本高等教育局長】  

 もう少し後みたいだけど。


【三浦大学振興課長】  

 もう少し後みたいですけれども,秋口にはまとめられた折には,その答申を踏まえた形で速やかに制度改正を事務局としてはしたいと思っています。
 それから,ダブルディグリー,ジョイントディグリーの話等もございました。ジョイントディグリーは基本的には1つの学位を出すという制度にしておりますので,海外とのダブルディグリーができていて,国内としづらいというお話もございました。海外とのダブルディグリーにつきましては,基本的には日本側で出す学位について日本の法制度が担保されていれば,あとは海外側のルールでございますので,そこは余り海外の学位の出し方について,日本として余りコメントしていないということが背景としてありますので,結果的にやりやすいというところはあるのかもしれません。日本の大学で修士と博士の学位を取るというようなこと,今,様々な大学で非常に御苦労をされてやっていただいている実例も承知しておりますので,また具体的な,どのような制度改正が必要かということも含めて,またいろいろ御指導いただければと思っています。
 それから,人社系,理工系,あるいは人と社も違うのだと,様々な御意見をいただきましたけれども,1点だけ事務局として主査と御相談をさせていただいた上での整理でございますけれども,これまで大学院教育につきましては,どちらかと言うと,5年以下,博士課程としての課題というのがずっとフォーカスをされてきておりました。したがいまして,人社系についても博士の学位が出ないとか,学位授与率が低いとか,年数が掛かるとかということが大きなテーマになっていたのですが,この後の御議論とも関係ありますけれども,規模の話とも関係ありますが,人社系の博士よりもっと手前にマスターコース,修士課程レベルの規模が,例えば諸外国と比べて圧倒的に少ないのはなぜなのだという問題意識のもとに,あえて,御批判があるかもしれません。人社系のマスターコースについての記述というのをあえて増やしたところもございます。きょうの様々な御意見をまた踏まえまして,主査と御相談をさせていただきながら,整理をさせていただきたいなと思います。
 以上でございます。失礼しました。


【有信部会長】  

では,そういうことで進めたいと思いますので,よろしくお願いします。 何かあればどうぞ。


【天野委員】  

先程の迫田委員の意見に全面的に賛成です。それで,1つだけ参考に申し上げたいのですけれども,今,企業が,以前にも申し上げましたけれども,必要な技術は研発法人と連携して社会人を教育するということをかなり始めています。AIに関しては理研さんにかなり送り込んでいますし,環境研とか,いろいろな研発法人で社会人としてキーワードを持った人間に新しい分野のことを植え付けたいというときには,研発法人は成果が社会実装と言われていますので,その場を利用するということがかなり始まってきているのだと思うのですね。なので,よく産と学と言われるのですが,官に研発法人という場もありまして,ここを利用するということも少しお考えになったらいいのではないかなというふうに思います。


【有信部会長】  

 それでは,引き続いて今後の大学院の修士課程・博士課程の規模の在り方についてということで議論を進めたいと思います。
 それでは,最初に事務局から説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 量的な規模ということでございます。資料2をごらんください。7月25日の将来構想部会において,大学院も含めまして,国公私を通じた課程,機関に着目した規模の在り方について御審議がされたところでございます。本部会ではこのことも受けまして,大学院の量的規模について御議論いただきたいと思いますが,きょう,机上資料4として,先だっての将来構想部会における議論というものを配らせていただいてございます。こちらの方,まだ議事録の作成中ということで,机上資料という扱いでございます。
 資料2の御説明をさせていただきます。資料2という部分につきましては,大学院の量的な規模に関する考え方ということで,様々なデータをお示ししてございます。
 まず1ページ目でございます。一応,過去の整理ということで申し上げますと,平成3年の答申におきまして,平成12年時点で大学院の規模を平成3年次の2倍程度にするということの必要性というものが提言されたという時代があったわけでございますが,平成17年度の答申以降の整理といたしましては,大学院の規模については社会の諸要請を的確に踏まえつつ,学部の量的な構成も含めて,各大学の責任において判断すべき事項ということで整理がされているわけでございます。
 2ページ目,3ページ目,4ページ目の上までが,各課程を通じたデータというものをお示ししてございます。博士課程というところがございますが,1つ目のポツというものにつきましては,一般学生,いわゆる社会人,留学生以外の学生という者の入学者は平成15年の1.2万人をピークとして大幅に減少し,平成30年度は半数の0.6万人ということになっております。
 14ページをごらんいただきたいのですが,図5というものがございます。博士課程入学者の推移ということでございますが,先だって発表されました学校基本統計の平成30年度の速報値というものも含めてお示しをしてございますので,これは初見の資料になるかと思いますが,平成30年につきましては,大学院生の数としては,平成29年度14,766人に対し,14,904人ということで,若干回復したと。ここ何年かでは久しぶりにその数が増えているということになっておりますが,増えているのは見ていただきますと分かりますように,社会人と留学生ということでございまして,それ以外の一般学生というものにつきましては,6,271人から6,015人という減少の傾向が続いているという状況でございます。
 2ページの方に戻っていただきまして,入学者数その他についていろいろ書いてございます。また,2つ目のポツについて,専攻規模,分野別の入学者数を示しております。こちらにつきましては,先ほど来,何度も議論に出ているわけでございますが,実は図の7から10というあたりをごらんいただきますと,いろいろと入学者数の数字なども書いてありますのでごらんいただきたいのですが,私どもの統計の方が,全ていわゆる人文学,社会学,理学,工学,農学,保健,教育,芸術,家政,その他という分類で取っているということでございまして,一応,その数字の枠組みでお示しせざるを得ないということについては,改めてお断りをしておきたいわけでございますが,一応そういう数字を,関係するものをお示ししてございます。
 重要なところになります。3ページの一番上でございます。人口100万人当たりの学位取得者数の国際比較ということでございます。博士課程につきまして,丸1,我が国は諸外国に比較すると半分以下であると。丸2,2008年度,2013年度を比較をすると,日本だけこの割合というもの,数が低下しているということでございます。丸3でございますが,分野の比率という意味で言うと,人社系の割合が非常に低いということでございます。これは図18をごらんいただきたいと思います。こちらにつきましては,合わせて図18でございまして,ページで言うと,見にくいのですが27ページでございます。諸外国に比べまして,我が国の学位取得者の比率,博士というものについては大変低いということが出ているという数値でございます。
 次,また3ページの方に戻っていただきまして,3ページが修士課程ということでございます。1ポツ,入学者数については平成22年度のピーク時に8万2,310人であったのが,平成30年度には7万4,096人ということで減ってきてございます。平成22年度はリーマン・ショックの次の年ということで,少し数が上振れしているのではないかということの指摘もされているところでございます。また,入学定員との関係での充足率,修了者の状況,社会人学生,留学生という状況もお示しさせていただいてございます。
 3ページの一番下から2つ目のポツでございますが,人口100万人当たりの学位取得者の国際比較ということにつきましては,今度は図31というところで修士レベルをお示ししております。41ページでございます。先ほど三浦の方からも申し上げましたけれども,諸外国に比べて極めて少ないと。米国,ドイツ,フランス,イギリス,韓国と比較をすると3分の1程度ということが図31からも読み取れるわけでございます。また,諸外国につきましては,基本的には数が増えている。人口100万人当たりの取得者が増えているという状況であるにも関わらず,我が国においては横ばい微減という傾向が見てとれるわけでございます。
 その上で丸3でございますが,我が国においては自然科学の割合が多いわけでございまして,この図で申し上げますと緑の部分,人文,社会の割合というものが非常に低いと,こういう現状にあるということになります。
 4ページをごらんください。4ページにつきましては専門職大学院の規模ということになってございます。専門職大学院の入学者については,平成23年度と平成29年度を比較すると,8,274人から7,033人に減少しているわけでございますが,このうちの減少のほとんどに寄与しているのは法科大学院の減少,1,916名ということでございまして,その他の分野という部分については増加が見られているという状況でございます。
 このようなデータにつきましては添付してございますのでごらんいただきたいというふうに思うわけでございますけれども,論点ということで挙げさせていただいてございます。
 1つ目につきましては,国の役割ということでございます。大学院の規模につきましては,これまでの答申というものを踏まえまして,その定員規模というものは各大学の責任において判断するということが引き続き基本であるべきではないかと,その上で国という側からすると,これは情報の収集・公表,また政策上の期待を示す,このような役割を果たすよう努めていくべきではないかという論点でございます。
 全体の方向性というところでございます。1つ目の丸,諸外国に比べて修士,博士の学位を持つ者の割合が2分の1から3分の1にとどまっている。特に,人文,社会科学分野の取得者の割合が極端に低いという現状にございます。諸外国と遜色のない水準で知のプロフェッショナルというものを育成していかなければいけないということでございまして,高度人材の確保,我が国の国際競争力の確保・向上という部分に大いに問題が生じるというような状況にあるのではないかという提起でございます。
 方向性の2つ目の丸,一方で現行の大学院教育については,もちろん学問分野の継承の観点から設定されたごく小規模の専攻というものについて,やむを得ず未充足が発生するというケースというのは考えられるわけでございますけれども,小規模専攻の全てがそうとは限らないわけでありまして,また比較的規模の大きい専攻においても未充足が発生しているというケースが見られてございます。諸外国と比較して,修士レベルを中心として大学院修了者の割合が極めて低いということにもあるにも関わらず,なぜこのような状況というものが生じているのかについては,早急に改善を図っていくということが必要ではないかという提起でございます。
 4ページの下から5ページにかけては,これまで議論したところと重複する部分もございますけれども,やはりなぜこういうことが起こっているかということの1つと合わせては,高度な専門知識と合わせて普遍的なリテラシー・スキルというものの幅広い能力を求めているという社会のニーズというものに対して,大学院の教育というものにギャップが生じているのではないかという指摘,また,博士後期課程についてはこれが根強く指摘をされているわけでございます。こうしたようなギャップというものが若手研究者のポストの確保の困難さという問題と相まって,非常に進学者の伸び悩みというものを招いているということが考えられるのではないかということでございます。
 5ページの1個目の丸でございます。このような形で,諸外国と遜色のない水準で大学院において今後人材養成の需要に応えていくという観点からは,未充足の問題,人材養成上の要請,ギャップの問題,このような問題に同時並行的にアプローチをしていくということが必要と考えられるわけでありまして,これまでこの部会で御議論いただきましたとおり,しっかり機能を踏まえつつ,3つのポリシーを設定して,大学院教育の質の向上を図っていくということが必要ではないかということでございます。
 合わせて,3つのポリシーというものに付けられた専攻の性格に応じた定員の設定の見直し,社会のニーズの一層の対応する観点からの教育組織・課程の在り方,教育体制・研究体制の再点検というものの点検や見直しを行うこと,課程との関係,このようなことについても点検を行うことが必要ではないかという論点でございます。その際,学部・研究科の枠を超えた学位プログラム,このようなものも含めて積極的に活用することが考えられるのではないかということでございます。
 下から3つ目の丸でございます。リカレント教育につきましては,先ほど来,前回以降もまた触れているわけでございますけれども,しっかりとこういうところも焦点を合わせて在り方を考えていくということが必要ではないかということ。下から2つ目の丸が,このような社会のニーズに対して大学院として積極的に対応していくということが,2040年の社会に求められるような需要にしっかり対応して,大学院が役割を果たしていくという好循環を行う上で,やはり出発点となるという意識を持つということが必要ではないかということでございます。
 一番下につきましては,大学院というものにつきましては,やはり学生の進路というものについて一定の責任を負うという観点からも,しっかり各専攻・研究科で養成する人材の需要について調査・把握を行うということに努めるということが必要ではないか。また,博士課程については,研究者,教員の需要というもの,また,減少の状況,ポスドクの雇用の増加や減少の状況ということについても留意した上で,規模というのは考えていくことが必要ではないか,このような論点をお示しさせていただいているところでございます。
 以上でございます。


【有信部会長】  

 ありがとうございました。将来構想部会で議論されている学部課程までの話は,18歳人口が減少する中で,基本的な教育をどういう形できちんと18歳と言うか,適切な年齢の人たちに与えるべきかと,どういう教育体制を作るべきかという観点で議論されているように思いますけれども,大学院に関して言うと,それとは若干違って,世の中で必要とされている専門性を持った人たちの育成が十分に行われているかという,逆向きの発想で見て検討した結果を説明してもらいました。
 つまり,諸外国との比較というのは,諸外国でこれだけの学位を持った人たちが生み出されているのは,当然ながらその必要性があるから生み出されているわけで,それに対して,日本の場合は人口当たりの内容が極めて,諸外国と言いますか先進国に比べて少ないというのは,それで本当に要求されている専門性を持った人材が供給できているのかという,こういうまた別の観点での問題提起になっています。
 ということで,是非御意見をお聞かせください。
 はい,どうぞ。


【湊委員】  

 大学院の問題,いろいろ議論されてどれももっともなのですが,比較的言われていない観点が,大学院教員,指導教員と言いますけれども,と学生との関係という非常に大きな問題で,大学院教育ではこれがここへ来て破綻が見えてきているように思われます。例えば大学院教育のコースワークがきちんとしたものがない,あるいはいわゆる「タコつぼ化」ですね。今,多くは制度面から議論されているのだけれども,こういう形の日本特有の大学院の問題がどうして出てきたかということを考える必要があるのだろうと思うのですね。それは実はさかのぼると, 1つはポスドク問題に至ります。日本の大学教員は当然研究者として研究をするわけですが、同時に教育もする。そのときに,ポスドクに相当する人材が日本の大学ではほとんど使えなかったのですね。ですから,多くの場合,大学教員は、学生を研究要員として使う,悪く言えば手足として使わざるを得ない,よく言えばオン・ザ・ジョブ・トレーニングということになりますけれども。ポスドクは日本でうまく制度的に機能しなかった。例えば欧米でも若手研究者が大学で独立したときにはまず研究費を取りますね。研究費を取る主な理由は,まず一緒に研究するポスドクを採用するためです。ポスドクを取るために研究費を取る。日本の若手研究者も公的研究費を取りに行きますが,研究費を取ったとしてもポスドクは取れません。欧米では、まずポスドクを採用して自分の研究を進めると同時に,大学では大学院教育というものをきちんと行う。それらはうまく分けられてきたのだけれども,日本はそれがごちゃごちゃにされてきたのですね。若手教員は、大学院生しか取れませんから,これはお金は掛かりませんから,学生と一緒に研究をする一方でその教育を要求されるということで,非常に曖昧にやってきたことがここへ来て,大きな問題になっているのだと思うのですね。ポスドク人材が大学の中でうまく制度的に位置付けられていないと、それが次にどういう問題を起こしてきたかと言うと,ポスドク,つまり学位を取った人たちをどう処遇するのだという問題です。本来,ポスドクというのはPI(独立研究者)の準備段階として、個別のPIの研究費で雇用されるべき人材です。例えば,欧米の公的研究費のかなりの部分はポスドクの経費,つまり人件費です。しかし、日本の公的研究費の多くは人件費を出せない。そうなると,ポスドクの処遇を何とかしないといけない,それが全国的に溜まってきたというので,国策のような大型研究プロジェクトで採用したりする、つまり個々の研究者ではなくプロジェクトとして採用するようになったわけですね。そうすると、PI養成というよりは、むしろ高給テクニシャンのようにしか使えないのですが、特任教員という名前だけを付与してどんどん回してきたわけです。ポスドク制度がうまく機能しなかった原因の1つに,公的研究費制度に日本が決定的な問題を抱えていたというところに行き着きます。ヨーロッパの公的科研費審査はしばしば海外へ回します。私も数日前、イギリスの科研費申請の審査を依頼されましたが,例えば若手PIが3年で4,500万円の研究費を申請したとします。日本だとその半分程度は大型機器に充てられますが、向こうではその7割が人件費、ポスドク2人分に充てられます。消耗費は非常に少ないのですね。向こうの若手PIがそれでは大型機器を買わないで研究できるのかと言うと,そもそも買う理由がないのです。大型機器のコア・ファシリティーとそのオープン・アクセスがしっかりしているので、若いPIが自分で大型機器を買うなんていうことはない。そういうことが全部ぐるぐるお互いに繋がっているわけです。このポスドクの身分の不安定性が大学院博士課程進学者減少にも繋がっている。ポスドク問題、大学院教育と教員の関係、公的研究費制度,ポスドクの次の若手教員の問題に加え、研究人材の流動性の問題もあります。かつてのポスドクは,海外の個別の研究者に手紙を書いて,その研究費で雇用してもらいPIのためのトレーニングをしてきたわけです。今のポスドクはあまり海外へ行かない。それはしようがない、向こうが余り採らなくなりましたから。では,彼らを日本の大学のどれだけの研究室が採用できるかと言うと,現状では極めて限定的です、研究費から人件費を出せないからです。
 こういうふうに考えると,博士課程進学者減少、大学院教育問題,ポスドク問題,若手の国際化,公的研究費,若手教員ポスト,研究人材,これは全部お互いにつながって今の形になっているわけです。文科省では人材委員会と大学院部会の合同部会で、これらについていろいろな面から議論されてはいますが、私の希望は,大学院部会で出てきたいろいろな議論を、最終的にはこういった全ての課題の中にきちんと組み込んだ形で有機的にまとめていただきたいということです。そうしてもらわないと,単に大学院でいろいろな教育コースワークをきちんと設定し大学院教育のタコつぼ化を排する,領域を超えて学位プログラムを作る、という一方で、徹底的な研究力の強化をはかる、というだけでは、教員はなかなか身動きが取れない。大学院教育コースワークを作って教員が効果的に大学院教育に関与しつつ、なおかつ研究活動を進めるためには,どういう周辺制度を担保すべきか、正しいポスドク制度や公的研究費の在り方を含め,きちんとお互いが全体的につながるような議論へ,まとめていただきたい。そうしないと,各々個別な課題ごとに理想論がまとめられても,これはちょっと悲観的になりますけれども,下手をすると全体的にとりかえしがつかない、ということになりかねないと思っています。


【有信部会長】  

 ありがとうございます。今のような問題,構造的な問題もあり,なおかつ大学自身が抱えている構造的な問題もあって,私が理研に3年半ほどいましたけれども,今,皆さんの言われたような問題は,理研ではかなりの部分が解決されている。だから,その差はどこにあるかと言うと,今の大学の諸制度の中にあるという部分もあります。だから,その辺のところはよく見ながら,恐らく今の研究費から人件費が出せないというような問題もあるのだけれども,これは一部はTRA経費が認められるようになったりとかいうこともあり,多少それぞれ議論はされているのだけれども,今おっしゃったように体系的にきちんと議論がされ尽くしていないという問題は多分あると思います。
 はい,どうぞ。


【義本高等教育局長】  

 皆さん,御指摘ありがとうございました。それぞれでおっしゃるように,例えば研究力の強化という観点から若手に対して科研費をどうしようかとか,あるいはそれを支える支援人材をどうするかという議論をしているのですが,やはりどうしても部分部分になって,総合的にこの問題が循環してくるのだという視点を,やはりもう少し意識して,その整理をこれまで人材委員会と合同でやっていたところがありますけれども,我々としてはこの会合でも提供させていただくような工夫を,部会長とも相談させていただきながら,研究振興局ですとか,科政局とともに少し整理してみたいと思います。
 ありがとうございました。


【有信部会長】  

 ほかにどうぞ。


【井上委員】  

 いいですか。


【有信部会長】  

 はい,どうぞ。


【井上委員】  

 今,御説明いただいた資料2の一番最後の丸のところなのですけれども,大学院はこれまで学生の進路や(5ページです),進路や就職などに対する意識も低くというのは,これは主語は教員のことを書いているのかなというふうに思うのですけれども,この文章,大体ネガティブなイメージを受けています。特に一番最後にこれを持ってきているというのは,学生をサポートする,支援するというような立場からすると,もう少し,別の書き方もあると思います。
 それと,実際に例えば学部やマスターの場合は,就職先調査を2か月に1回か,確か1か月に1回か,ずっと聞いてきますよね。卒業するまで。ですけれども,ドクターの場合は確かそれが制度的に必要ないということで,事務系を通して教員へ聞いてきていないというのが現状だと思います。
 事務系が就職率や就職先を知っておく,教員が把握しておくというのは当然のことであるわけで,そういう取組が進んでいないということを前提に書かれるというのは少し間違っているのではないかというふうに思います。教員が間違っているのか,制度が間違っているのか。そこをよくやはり根本,要するに原因のところに戻って考えれば,このようなことというのは簡単に解決できる問題で,各教員にドクターの学生の進路というのを毎回聞いていれば,せめて修了する年に何回か聞けば解決する問題だと思います。
 それから,その下の方のアンダーラインの,「若手教員・研究者の雇用の状況,ポストドクターの分野」留意すべきとか活用すべきといろいろ書いてありますけれども,当然留意すべきであって,留意した上で何をするかということをやはり書くべき内容であると思います。
 この同じページの一番上に,「キャリアパスに対する不安を招く」と,若手研究者ポストの確保の困難さの説明なのですけれども,例えば既にテニュアトラック制度が導入されて,現在それがどういうふうに各大学で定着しているのかとか,そういうフィードバックというのが,私がきちんとチェックしていないのかもしれないのですけれども,そういううまくいっている取組というのをできるだけ全国に公表してもらいたい。リーディング大学院でもそうなのですけれども,留意すべきであるとか,参考にすべきということは言いますけれども,実際にリーディング大学院で採択されて,事後評価が悪かったり良かったり,Sを取ったりBを取ったりというのがあるわけで,どこが悪くてどこがいいのかというのは,各大学でホームページで示しているのを見ても,実際にはよく分からないわけです。そのノウハウというのは,やはり生の声を聞くべきだと思いますので,自己評価のヒアリングが終わった後にでも,一度こういう場所を文科省が提供していただいて,悪い評価を受けたところも学長や総長クラスの先生も来ていただいて,その理由を受け止め,他大学のシステムのいいところは取り込むということをすると,もっと実質的にその事業の効果が表れるのではないかというふうに思っています。
 以上です。


【有信部会長】  

 最初の方の話は,井上先生のところは非常に立派にやっておられると思いますが,やっていないところが圧倒的に多いのですね。実は。それで,卒業生の進路等々についても,大学のホームページできちんと公開をして,それぞれどういうところに毎年,就職したということをきちんと載せている大学もありますけれども,かなりのところは追跡調査のデータなども全くないと。だから,卒業生がどこでどうしているかと,最近は特に同窓会名簿も個人情報の問題で明確になっていないので,つかみ切れていないのですね。最近やっと,つかもうという努力が始まって,一方,政策研でもJGRADというシステムを作って,博士課程の修了生については追跡調査をやるということで,登録が始まっていると,こういう段階なのですね。実は。だから,ごく一部のところではきちんとやられていて,それは承知していますけれども,そういうことが少しは分かるような書き方にしないと,やっているところまで一緒くたに非難をされるのは少し気の毒だという気がしますので,そこのところは考えます。
 はい,どうぞ。


【大島委員】  

 大学院教育で,先ほどの議論にもありましたが,おそらく修士課程の位置付けが非常に難しいというふうに思いました。特に理工系,ここで言う人文社会に対して,いわゆる自然科学系は,修士課程を含めた,学部と修士課程2年の合計6年の教育プログラムというような認識になりつつあります。一方で,人文社会の方々は,どちらかと言うと,修士課程進学より大学で卒業することが多いため,修士課程の捉え方が違うようにと思いました。
 そういう中で,例えば人文社会の方が,先ほどSTEAM教育や文理融合の話が出てきていましたが,理工系の方々にもいえることで,大体の学生は学部教育が大学院教育でも引きずられる傾向にあります。ですから専攻を変えて,全く異なる研究科に進むということはなかなかできにくいというのが,多分日本の現状だと思います。一方,例えばアメリカでは,文学部の方が医学部に行ったりなど,学部教育と大学院教育での専攻を変えるということは比較的容易にできます。そういうところが,日本の大学教育でなぜできないのかということを,きちんと分析した方がいいのではないかと思います。アメリカの大学院ですと,専攻を変えた方々向けにきちんと大学院で学部での教育を取り直すことができるなど,そのためにまた1年余分に掛かるということもあります。ただ,日本の場合には大学院教育で修士課程は2年となっていますので,期間に対する柔軟性があまりないということもありますので,ある程度,年限も含めて,修士課程2年,博士課程3年というよりは,大学院全体で,もう少し柔軟に対応できるような形を考えていただいてもいいのではないかというふうに思いました。
 以上です。


【有信部会長】  

 修士課程の話を一律に議論するのは極めて難しくて,今,大島先生が言われたアメリカの例だと,アメリカの場合はプロフェッショナルスクールができていて,例えば医学部だとメディカルスクールで,初めから医学教育を受けていくということではなくて,メディカルスクールの中で育成するということになっています。様々な制度的な差があるので,ここで出しているデータを見ながら,例えば人文社会系でマスターの数が多いのは,例えばMBAなどがきちんと,MBAだとかロースクールだとか,そういう部分も皆,人文系に組み込まれているのではないかという気がするのですね。だから,MBAの数ってべらぼうに多いですよね。日本に比べると,アメリカとかほかの国は。
 それからあともう1つは教員養成のところの修士課程の部分,これもアメリカなどだと相当多いと思いますし,アメリカの教員養成がどういう仕組みになっているかというのも,これもプロフェッショナルスクール的になっているのか,少し教員の資格制度は多分違うと思いますけれども,ただ,マスターは結構な数がいるような気がします。
 それにしても,逆に言うと,MBAのようなものの数が,日本はこれだけ少ないという,それを含めても少ないというのはかなり深刻な問題ではあるので,ここで出している問題提起は決して間違いではないのだけれども,少し論点をきちんと見ていった方がいいような気がします。
 はい,どうぞ。


【永里委員】  

 資料1,それから資料2に書かれていることで,欧米に比べて修士・博士課程への進学率は非常に少ないということが出ていますね。特に人社系は少ないと。産業界の欲しい人材像をここに提示してあります。産業界として欲しい人材であったら,産業界はそれを採用するだろうということでもありますが,産業界の欲しい人材像としては,産業界に評判のよい「博士課程教育リーディングプログラム」における優れた取組や成果にそれを見ることができます。
 すなわち,それは“高度な専門職と合わせて,大学院修了者にふさわしい普遍的なスキル・リテラシー等の幅広い能力の養成”を期待するものと言えると思います。資料1の方で議論がありましたけれども,Society5.0に適した人材を出してほしいということなのですが,もともとオン・ザ・ジョブ・トレーニングで産業界は自分たちで人材を養成していたのですけれども,とてもそういう状態でないということは,もう皆さん御存じのとおりです。そのときに,産業界としてはその辺が弱いので,知のプロフェッショナルである大学に期待しているわけです。大学としては, 2030年,2040年の社会はどうあるべきかということについて,そういうことを研究している人たちがいるかどうかは余り産業界としては知る必要はありません。そうではなくて,研究してほしいということなのです。産業界としてはそういう人材が欲しいのだということであって,それはお金も出しましょうというようなことを,経団連としてはインダストリー4.0が言われた頃から言い出して,このままではいかんということで,Society5.0という新しい概念を日本は作って,今まさにそのための人材育成をするということで,産業界としてはそういうところを求めているわけです。ここで,あえて私が言いたい,強調したいのは,例えば,“産業界の欲しい人材,博士人材を養成してほしい,そうすれば採用する”ということでは今までと全く同じで,実際の採用は進まないのではないかと危惧します。産業界が率先して採用し,厚遇することを,産業界自らが実践すべきだと考えるのです。そうすれば,学生が自らの将来を考えて就職に有利ということで,修士課程・博士課程に進んで行くのではないでしょうか。それは,修士などというのは,今は工学系は当たり前なのですけれども,人社系でもそういうことになってくるのではなかろうかと思います。能力のある優秀な学生が博士課程に進むので,喜んで産業界は採用すると思います。
 これはトップの理解と決断が重要で,例示としては,女性の活用などというのが考えられますね。例えば経団連事務局の実働部隊の長である本部長というのがあるのですけれども,その本部長の約2割が今,女性になっています。これはトップが決断し実行していけばいいことなのですね。
 そういう例で言いますと,日本の伝統や文化は容易に変えられませんが,それは政策や制度で変えられます。それによって人の行動も変わります。そのような一例を紹介します。残念ながらグローバルな経済競争の観点から見ると,日本人の英語力は足りないと。そのことにより,日本の会社が中国や韓国などの会社に負けることは少なくないと言えます。競争力を高めるために英語力を高める必要があると思います。日本の文化を変えなくても,新しいポリシーを実施すれば,英語力を高めることができます。例えば,日本の会社がいろいろな大学から採用するということよりも,TOEFLなどの点が高くて留学経験を持つ人を採用していけば,留学する日本人が増えていくと思います。留学すれば英語力も必ず上達します。これをなぜ言うかと言うと,韓国がそうなのです。管理職であれば韓国の大手企業は英語力の高い留学経験者を可能な限り雇います。英語力がなければ出世できないと考えています。だから,留学する韓国人が非常に多くなっている。これは1つの例なのです。
 要するに,何が言いたいかと言うと,“博士は,例えば専門性にこだわり,柔軟性に欠ける”という,これまでの既成概念を封じ,企業は積極的に博士を採用し,厚遇すべきだと。これは,“大学の方がいろいろとそういう人材教育をやってほしいと,いい人材ができたら採用しますよ”ということではなくて,先ず隗より始めよではないですけれども,産業界が率先して博士課程を採って行けば,それは就職に有利だということから,学生がそちらに進んでいくのではないかという私の考えを言いました。
 以上です。


【有信部会長】  

 どうもありがとうございました。
 では,堀切川さん。


【堀切川委員】  

 大学院の修士・博士の出口の就職がないことには増やせないわけで,それがキャリアパスの問題かなというふうには思います。昔だとプロジェクトでお金をどんと取って,とりあえず学位をあげて出口がないというのでいっぱいたまった時代もあったわけで,やはり変な話ですが,少し中長期的にがっつりやっていかないといけないなというふうに思っています。
 実は,例えば工学系の学生が製造業とかITとか,先端の分野にはもう修士欲しいというのはいっぱい就職できているのですけれども,産業界によっては,もう大学院を出てくる必要はないという意識を持っているところは非常にたくさんあるので,ここを変えていかなければいけないだろうと思うのですね。大学側としてやれる地道な作戦としては,修士とか博士を出た学生を余り採らない産業界の社会人教育を大学院でやるということで理解してもらえるのが一番,ゆっくりですがいいのかなというふうに思っています。
 例えば,ある地方大学の私の知り合いがやっているのは,金融機関,銀行などの人を大学院に集めて社会人の学び直しをやっている人たちがいるのですけれども,適当に,確か産学連携コーディネーターなどと言う勝手な資格のイメージを与えて釣っているのですが,もう200人ぐらい受講しておられます。そういう金融機関は,いずれは修士を出た人を,では採ろうというふうに変わっていくのだろうと思うので,大学院に社会人になってからでも教育して,大学院を出るのがいいことだというのをその産業界に理解させるというのは,大学側で1つやらなければいけないのかなというふうに思っています。
 もう1つなのですけれども,少子化してくると,どうしても学歴としては親の方が,修士まで出せる余裕が若干出てくる,場合によってはドクターまでというふうになっていくのだと思うのですけれども,日本全国田舎規模で考えますと,お役所に採ってもらうのが多分一番いいと思っております。都道府県庁,市町村,田舎のキャリアが一番狙うのは役場でございます。役所が全く大学院を出てくることにメリットのない入社試験と言うか採用試験をやっているうちは直らんというふうに思っているところでございます。
 ある県庁の方が,ある専門の分野が全然受験してくれないと相談に来たのですけれども,その分野もほとんど修士へ行ってしまって,大企業で行ってしまうということで,その分野を採りたければ,もう修士を出た人はほとんど目をつぶってでも合格できるような採用システムにすればいいだけの話だと,実は思っています。そういう意味で,役所に理解してもらって,いい人を採って,政策・施策のレベルを上げていってもらうというのが一番大事かなというふうに,実は思っております。
 私が今兼業している県庁で言うと,その県職員は修士を,社会人で文系の分野で取りました。理系か。の分野で取ったのですけれども,今はもう政策立案の要に戻ってやっているのです。経産省の経産局の人も博士号を取って,リーダーシップをもって今産業振興をやっています。そういう形なので,実は役所の人たちに高学歴を増やしたいと,ついては文科省はじめ国が率先して,大学院を出た人を,キャリアの試験を簡単にしてぽこぽこ採るようになりますと,日本は明るくなるのではないかというふうに,かなり本気で思っているところでございます。
 以上でございます。


【有信部会長】  

 もう半分以上いるんだよな。


【義本高等教育局長】  

 堀切川委員からお話を頂いたので,実態を申し上げますと,文科省も事務系の一種職員の大体半分近くはもう大学院,学部卒とほぼ同じくらい。その中でも,公共政策を学ぶだけではなくて,例えばロースクール,残念ながら法曹の司法試験に合格しなくても,目指したという方をかなり採っていまして,評価も非常に高いということで。理系・技術系については,もうかなり修士は当然ですし,博士もちらほら見られるということで,その取組をどう今後強化していくか。人事院の試験についても,いわゆる大学院のカテゴリーを設けましたので,そういう方向を今後強化していければと思っております。
 それから,大島先生から頂いたところなのですけれども,おっしゃるように,日本とアメリカにおいてはプロフェッショナルスクール化,あるいは学部という違いがありますけれども,やはりここで再三にわたって学位プログラムの話を,学部とか研究科を超えたという話をしているのは,どちらかと言うと日本の場合は同じ専攻分野をずっとやはり学部から修士に上がっていく,そうするとおのずからやはり自分たちの後継者養成になってしまうよねというところを,もう少し変えられないか。先ほどの神成先生からお話がありましたように,企業もそうですし,世の中としては,できれば複数の分野においてのいろいろなそういう専門性を深めるというところの方が,むしろ今後Society5.0とかいろいろな形において柔軟に対応できるのではないかという,そういう話がありますので,むしろ学部と,あるいは修士が違う分野でということをもっと奨励していけないか。そうすると,先ほどのお話にありましたように,コースワークを修士でどういうふうに考えていくのか,学部との連携をどうしていくのかということを考えられないかというふうな問題意識が背景にあると思っております。ですから,そういうことの観点から御議論をもう少し深めていただければありがたいなというふうに,事務局として思っております。


【有信部会長】  

 最後の点はすごく重要なところで,それぞれの段階ごとに自分の専門・専攻が変えられれば,それはそれで非常にいいことだというふうに思いますけれども,これがなかなか難しいのですよね。そうは言っても,そういう方向も一応フレキシブルにやっていた方がいいと思います。
 堀切川先生,かつて事務次官も2人修士卒を知っていますけれども,私は。


【堀切川委員】  

 いや,文科省は優秀ですね。地方自治体にその情報を是非宣伝していただきたいなというふうに思います。実際に,大学院を出られて役所におられる人が活躍している人,何人も知っているので,そういう人たちが増えていくことで,やはり基盤が強化されるかなというふうに思います。


【有信部会長】  

 ということです。すみません。私の不手際でちょっと時間を勘違いしていまして,もう大分時間が押してしまって,あともう1件残っているのですけれども,将来構想部会に関する答申(案)について,事務局から説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。資料3でございます。今回と次回,2回にわたって御議論いただくという予定にしてございますけれども,将来構想に関する答申と。将来構想部会の答申に,大学院部分の記載をどういうふうに考えていくのかということについての記載のイメージでございます。
 なぜこれを記載のイメージとしているかということを申し上げますと,将来構想部会の方はまた議論が進展をしていて,将来構想部会の答申というものを書く際に,一体どこまでどの程度のものにどれだけ分量を割けるのかという部分は,また向こうの部会の議論というものを踏まえる必要があるわけでございます。そのような意味では,今回,大学院部会の取りまとめということではなくて,将来構想部会の取りまとめということになってまいりますので,要素としてこのようなものは最低限,将来構想部会の方に打ち込んでいくべきではないかという観点で整理をしたものという形でごらんをいただければと思います。
 次回,また議論を頂く予定でございますけれども,今日言ったような内容,どのような能力というものを大学院生に求めていくのか,また量的な規模をどう考えていくのか,特に2040年を見据えて,このような議論というものを,今日お配りしているものにまたくっつけた形で,次回8月末というときには完成版に近いような形でということでお示しをできるかと思いますが,今回お示しをしているものは,前回までの議論を踏まえた内容ということになってございますので,一部の内容で,何か頭の部分がつながりが悪いなというのは,そういう部分がまだ入っていないからということで御理解いただければと思います。
 書いてある内容自体は,これまで部会で御議論いただいた内容でございます。丸ごとに,ごく簡単に御説明してまいります。
 1ページ目の1個目の丸については,各大学院の課題という点でございます。これは今日の議論で内容と盛り込まれているものとほぼ同じでございますが,各大学院が養成すべき人材像を明確に設定して焦点を当てた教育を行っているとは言えないのではないか。また,社会の求める幅広いニーズというものに対して,大学院のカリキュラムというものにはギャップがあるのではないか。こうした課題というものが若手研究者ポストの確保の困難度と相まって,進学を躊躇させているのではないかということでございます。
 2つ目の丸,このようなことも踏まえまして,大学院教育の質の向上というものを図るためには,4つの人材養成機能というものを踏まえながら,人材養成の目的というものを明確に意識して,3つのポリシーにこれを明確に設定して落とし込んでいくということが必要であり,また3つの方針に従って,2ページに参りますけれども,コースワークと研究指導を適切に組み合わせるということが必要であると。このような観点から,この3つの方針を出発点として,大学院教育の充実を図るというために,この策定・公表を法令上義務付けるということが考えられるのではないかということでございます。
 2ページ目の1つ目の丸,これに合わせまして,各大学は専攻の性格に応じた最適な定員の設定,社会のニーズに対応する観点からの教育組織,課程や教育研究体制の再点検・見直しを行うべきではないか。また,人材養成目的と各過程というものが適切に対応しているかどうかということについても点検が必要ではないかということでございます。
 2つ目の丸につきましては,知のプロフェッショナルにふさわしい高度な専門的知識と,普遍的リテラシーというものを身に付けさせるためには,研究科の組織の枠を超えたコースワーク,このようなものの充実が必要であるということから,本日も御議論いただきましたが,研究科の枠を超えた学位プログラム,また,一法人複数大学も含めましたような連携の仕組み,大学院において積極的に活用していくことが重要ではないかということでございます。また,ジョイントディグリー,ダブルディグリーという取組も効果的ではないか。
 下から2つ目の丸につきましては,リーディング大学院の成果,また課題というものを踏まえた取組を行うことが必要であるということでございます。
 2ページ目から3ページ目の丸にかけましては,リカレント教育というものについて,大学院が真剣に向き合っていくことが必要であるという趣旨のことでございます。その際,いわゆる学位を授与する課程のみならず,社会人の多様なニーズに対応するという観点からの,ノンディグリーのプログラムというものの開発というものを積極的に進めていくということが必要ではないか。留意すべきであるということでございます。
 3ページ目の1つ目の丸,それに引き続きまして,社会人,学生を派遣する産業界のニーズというものを踏まえたカリキュラムの改善などを行うことによりまして,実践的なリカレント教育プログラムを展開するということ。国は履修証明制度の見直しなどを通じて,各大学の取組を後押しできないかということでございます。
 3ページの後半,2つの丸につきましては,いわゆる博士課程に優秀な学生が進学しなくなっているという問題に対してどのように対応していくのかということでありまして,下の丸でございますが,これまでもキャリアパスの多様化,経済的支援というものに取り組んでまいったわけでありますが,各大学といたしましても,この部会で御議論いただきましたように,組織的・戦略的に学生に対する情報発信を行って,優秀な学生を獲得していく。具体的なロールモデルというものの提供などをはじめとして。
 また,2つ目のポツは,企業とのミスマッチを解消する観点から,相互理解が進むような取組というものを進めていくべきではないか。
 3つ目,民間の取組というものも活用した博士人材のキャリア構築に係る組織的な取組,このようなものを進めていくべきではないかと。国はこういったものを支援するとともに,新たな経済的支援に関する施策が,学生の進学の意思決定のタイミングにしっかりフィットした形になるように,制度を見直すべきではないか。経済的支援の見通しというものが分かりやすくなるように,ファイナンシャルプランの提示というものを努めるということを法令上検討すべきではないか。
 企業における博士号取得者の活用・処遇というものの改善を促進するという観点から,情報収集やすぐれた取組を行っている企業等の取組の発掘・顕彰等を行うべきではないか。このようなことが必要ではないかということでございます。
 4ページの下,最後の丸でございますが,卓越大学院プログラムというものを通じて,各大学のすぐれた取組というものをしっかり支援すべきである。これまでの政策の蓄積,人材,研究の強みというものを生かすということでございます。このプログラムというものにつきましては,単に個別大学の個別プログラムというものにつきましてよくなればよいということではなく,我が国全体の大学院改革,大学院システム全体の改革や,各大学の大学院全体の教育改革の加速化につなげていくということが必要であるということでございます。
 最後の丸につきましては,今後さらにまだ検討すべき事項ということで申し上げますと,博士後期レベルの高度専門職業人養成にふさわしい新たな課程,これは例でございますが,そのようなことも含めた上で,本日も幾つか御指摘ございましたけれども,大学院全体の課程の在り方というものを,本当にこのまま,今まで制度的な枠組みというものを含めて考えていくべきなのかということを,今後検討すべきであるということについて言及しているという内容を,将来構想部会の方に盛り込むということで考えるということについていかがであろうかということで,イメージを示させていただいているわけでございます。
 よろしくお願いいたします。


【有信部会長】  

 ということで,すみません。時間が押していますので,若干延長させていただければと思います。
 基本的には学部の上に煙突状に大学院があることによって生まれている様々な弊害を,将来的に見て新しい形に組み直すためにこういうことが必要であろうということで,幾つか,これ全てが将来構想部会の提案にこの形で組み込まれるわけではありませんが,こういう構想で行きたい。ここでいろいろ御意見を伺った上で,まだ今回に限らずもう1回やるんだっけ。もう一度ありますので,とりあえず今気になることがあれば言っておいていただければ,次回までに。
 はい。


【川嶋委員】  

 次回もあるということなので手短にお話ししますと,これはお願いなのですけれども,将来構想部会の方では18歳人口の減少に伴って,非常に緻密な学生数のシミュレーションをされているのですが,当然,18歳人口が減って学部学生が減れば,パイプラインで修士もドクターも当然影響を受けるわけなので,是非この大学院についてもシミュレーションをして,そういうデータを出していただきたいということです。
 どうも,将来構想部会の議論では,学部の方は非常に力が入っているという感じがします。もっとも、この大学院部会が力が入っていないというわけではないのですが,そういう形で,せっかくああいうデータを学部については提供されているので,大学院の方にも是非お願いしたいということと,大学も入試を含めて学部の方は大学として取り組んでいるところが多いのですけれども,大学院については研究科・専攻任せというところがあって,なかなか大学として組織的に大学院教育に取り組むという体制もできていない。アメリカの話が先ほど出てきましたけれども,グラデュエート・スクールという組織があって,アンブレラ組織があって,そこにきちんと委員がいて責任者がいるとなっているのですけれども,日本は残念ながら一部の大学を除けばそういう全学的に大学院教育を運営するという仕組みがないというところもあるので,そういうところも含めて是非今後検討していただければと。
 以上です。


【有信部会長】  

 すみません。人数に関しては,大学に関しては,基本的に学部とは全然違うアプローチをとるということで。


【川嶋委員】  

 最初,おっしゃっていましたね。


【有信部会長】  

 ええ。と言うのは,大体,大学への進学者が年間60万人,これが50万人から40万人ぐらいに減ると,将来的に,こう言われています。現在,60万人のうちの修士課程に進学しているのが七万七,八千人ぐらいですね。その七万七,八千人の中で,さらにドクターコースに進学しているのが,多分7,000人ちょいぐらいです。そのままで行くと。したがって,幾らこれが40万人になったって,7万人が全然枯渇するわけではないので,大学院の側は,むしろ将来の日本にとって必要な人材を何が何でも確保しなければいけないと,こういう観点でやはり議論しようと思っていましたが,この点に関しても是非,次回もし御意見があれば。基本的なスタンスはそういうスタンスで,少なくとも18歳人口は減るということの延長上に大学院の規模は考えないと,こういうスタンスでいますが,これについても御意見を伺いたいと思います。


【川端委員】  

 今の点が一番僕も気になっていて,大学院の量的規模に対する考え方という,これが出るに当たって,一番最初にあるのが各大学の責任においてという考え方になっていて,その後に,海外と比較したって非常に少ないではないかと,こういう論調になっていて,結局これは何が言いたくてここに置いているか。今,先生が言われたみたいに,やはり18歳人口がどうのこうのではない世界がここにあってという,何かそのようなメッセージがここのどこかにあってほしいという,そのような気がしました。


【有信部会長】  

 はい,どうぞ。


【樫見委員】  

 3点ございます。私は法律の方が専門なので,少し狭い視野かもしれないのですが,やはり人材養成と言うときに,学部生だけではなくて,もっと下の高校レベルの方から,自分がなりたいもの,あるいは企業が求めているイメージをもう少し具体的に示していただきたいと。
 例えば,最近,今まで臨床心理士という民間の資格でやっていたものを,今度は公認心理士ですか,国家資格にしましたときに,たまたまそれに関わったときには,その国家資格を得るためには大学院まで必要であると,大学院まで修める必要があり,かつ修めるべき学問の内容ですね。医学系から法律,それから当然心理学関係と,非常に具体的な修めるべき専門知識の中身がはっきりしています。なので,自分がなりたいものを,学部生もそうなのですが,もっと早い段階の高校生からイメージをするときに,自分はこんなものになりたいということを高校生の段階からイメージできるような,それは大学院の場合も研究科の方できちんと,こういうふうなものを修めればこういうものになれますと。かつ,当然のことながら,先ほどからもございましたけれども,企業の方も,こういう能力を,学問を修めてくれるなら採りますよというようなメッセージがもう少し明確になされないと,なかなか進学,大学院に行こうという気にはなれない。
 これは実は,私は専門職の方の法科大学院をやっておりますけれども,アンケートを取りましても,やはり本当に志と言いますか,それができてくるのはむしろ高校生の方が早くて,高校の進学指導の先生などは,あれになっても食っていけないからとかと言われると,もうその段階で学生の志望の中から消えていきますので,やはり少しスパンを長い目で,高校,それから大学に入った段階でも,学部が自由に動けるのであれば,早期に学生の進路についての考え方をきちんと構築できるようなものを,我々大学なり大学院が提供していかなければいけないというのが1点です。
 それからもう1つは,経済的な面で言いますと,私自身が大学に入ったときには奨学金をもらえて,将来は研究職に就けば免除できると,それがあるので,つまり,ある程度将来に対する借金を背負わなくてもいいのではないかという見込み的なところがかなり強かったのです。ところが,今は奨学金を例えば免除するというのは,出た段階で優秀であったらという話で,もう少し早い段階で経済的な基盤,あるいは借金をしなくても学業が修められるという経済的な状況を,もう少し学生に安心感を与える意味で作らないと,恐らく学生は乗ってきてくれないだろうなということを思います。
 以上2点です。


【有信部会長】 

 はい。
 ほかに。
 それでは,またこの件に関してはもう一度詰めて議論を行いたいと思います。
 それでは,今までの御意見を踏まえて,また事務局と検討させて,次回の資料に反映さえたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 では,最後に事務局から。


【平野大学改革推進室長】  

 本日はありがとうございました。次回は8月27日を予定してございます。内容といたしましては,専門職大学院を中心とした話題と,本日お示しをしている将来構想部会への内容の案のイメージというものの肉付けをしたものというものを御説明・御議論いただく予定にしてございます。
 いつものお願いではございますけれども,また本日の内容につきまして御意見等がございましたら,事務局の方にメールなりでお知らせをいただければと思います。また,本日の資料につきまして郵送を希望される委員の先生におかれましては,机上に置いてある附箋等に郵送希望される旨御記載いただいて,机の上に残してくださいますようお願いいたします。記載が特にない場合には,職場の方に郵送ということになると思います。
 ありがとうございました。


【有信部会長】  本日はどうも遅れて申し訳ありませんでした。ありがとうございました。これで閉会にさせていただきます。

―― 了 ――

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