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大学院部会(第86回) 議事録

1.日時

平成30年7月3日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学院教育の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(部会長)有信睦弘部会長
(副部会長)室伏きみ子副部会長
(臨時委員)池尾恭一、井上眞理、岡島礼奈、加納敏行、川嶋太津夫、神成文彦、小西範幸、迫田雷蔵 、高橋真木子、田中明彦、永里善彦、沼上幹、堀切川一男、湊長博、宮浦千里の各臨時委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官、義本高等教育局長、藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、蝦名高等教育企画課長、三浦大学振興課長、石橋高等教育政策室長、平野大学改革推進室長、大月専門職大学院室長、石丸人材政策推進室長、髙橋大学院振興専門官 他

5.議事録

【有信部会長】  

 それでは,所定の時刻になりましたので,第86回の大学院部会を開催したいと思います。御多忙の中,またこの暑さの中,御参集いただきましてありがとうございます。
 本日は,五神委員,天野委員,大島委員,樫見委員,川端委員,車谷委員,佐久間委員,藤原委員が御欠席と伺っております。
 それから,本日は,議題1の大学院教育の在り方について議論をする予定でありますけれども,それに関連して,博士論文の研究基礎力審査,いわゆるQE,Qualifying Examinationについて取組事例を御紹介いただくことにしています。実際には広島大学から宮谷真人理事が説明をしていただけるということで,本日御出席いただいております。また,リカレント教育推進の観点から,履修証明プログラムの取組事例を東北大学より藤本雅彦教授,それから同じく金沢工業大学の修士課程の取組について高橋委員からも御紹介いただく予定にしております。よろしくお願いします。
 それでは,事務局から,本日の配付資料の説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。机上の議事次第のとおり,配付資料と参考資料を用意してございます。机上資料はタブレットの方に入れてございますが,抜けている資料などありました場合には事務局にお知らせくださいますようお願い申し上げます。


【有信部会長】  

 それでは,そのように。よろしくお願いします。
 それでは,議事に入りたいと思いますが,議題の1であります大学院教育の在り方についてということで,参考資料2で大学院部会の審議の進め方(案)というのを付けてあると思いますけれども,これは3月にお示しした審議事項ですが,本日はこのうちの(6)の修士課程及び博士課程における教育の充実について議論を行いたいと思っています。
 本日は,まず修士課程及び博士課程における教育の充実についてということで,関連する取組事例等について,資料1から3に基づいて有識者の方々から御説明を頂き,その後事務局から本日の論点を説明した上で,委員の皆様方から御意見を伺うという進め方にさせていただければと思います。
 それからその後,中央教育審議会大学分科会の将来構想部会の中間報告,これはいろいろ議論を呼んでいるのでお聞き及びと思いますけれども,これについて報告をお願いして,最後に科学技術・学術審議会の人材委員会と,それから大学分科会大学院部会の合同部会というのを設定していますけれども,これの論点整理について,これも事務局から説明していただいて,またこれも併せて皆様方から御意見を伺いたいというふうに思っています。よろしくお願いします。
 それでは,まず博士論文基礎力審査の取組事例について,広島大学の宮谷真人理事から御紹介いただきたいと思います。宮谷理事,よろしくお願いします。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 広島大学の宮谷でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は,現在,広島大学の2つの博士課程教育リーディングプログラムで実施しておりますQEについて紹介させていただきます。2つのプログラムはそれぞれ,フェニックスプログラム,たおやかプログラムと呼ぶことにいたします。
 QEについては,大学院設置基準の改正を受けて,広島大学大学院規則を改正し,さらに平成24年9月に定めた広島大学大学院博士課程リーダー育成プログラム規則で定義しております。さらに細かい実施要領等については,各プログラムの履修細則で規定してございます。
 次のスライドに参ります。フェニックスプログラムには,5年制の2つのコースと,それから4年制の1コースがございます。QEは,5年制課程においては入学後2年が修了する時点で,4年制の課程においては入学後1年半が修了する時点で実施しております。
 次に参りまして,たおやかプログラムの方は,5年課程の3コースから成ります。このプログラムでは,学生は2年次修了までに大学内,オンキャンパス教育において,平和共生基礎科目やリバースイノベーション専門科目を受講するほかに,オンサイト教育としまして,条件不利地域での実地体験としてオンサイト・コースローテーションやオンサイト研修を履修いたします。また,たおやかプログラムでは,入学後2年目に行う博士論文研究基礎力審査のみでなく,4年目に実施する博士候補者試験と最終的に学位論文試験もQEというふうに表現しまして,学生にとってのステップアップの過程が明確になるようにしております。
 次のスライドですが,2つのプログラムともQEの審査についてはプログラム内の審査委員会,それから2つのプログラムを統括するリーディングプログラム機構運営会議,学生が所属する研究科という3つの段階を経ます。プログラム内の審査委員会では,次のスライドで紹介しますように,筆記試験,口頭試問,ラーニングポートフォリオによる学修成果の確認という3つの観点から合否の原案を作成します。その原案に基づいてリーディングプログラム機構運営会議で合否の審査を行い,学生の所属する研究科に判定を依頼します。最終的な合否判定は各研究科で行い,合格者に対しては修士号の授与と後期の履修が認められます。
 次に,QEの具体的な内容について紹介いたします。まず筆記試験ですけれども,これはプログラムによって内容が少し異なります。フェニックスプログラムでは,所属する研究科の学修内容を問う筆記試験と,このプログラムで開設する全ての講義が出題範囲となる筆記試験の2つを実施します。この試験では学生自身の所属するコースから2題,その他のコースから1題ずつ,合計4問に答えることになります。また,これに加えまして特定の課題を解決するための研究計画を英語で作成,提出させて,研究の基礎力等についての審査を行っています。
 たおやかプログラムでは,スライドにございますように,多文化共生実践科目とリバースイノベーション専門科目のそれぞれについて筆記試験があります。多文化共生実践科目と申しますと,その中にはオンサイト・コースローテーションやオンサイト研修が含まれてございます。そこの出題例をスライドには示してございます。
 次に,口頭試問でございます。口頭試問については,学生が提出した博士論文研究計画について,英語による発表と質疑応答を行います。たおやかプログラムでは,博士論文研究計画書とともにオンサイト・リサーチプロポーザルというものを提出させて,専門知識,研究力,それから,たおやかプログラムについての理解・意欲などについて,3名以上が審査いたします。スライドにはその評価表の例を載せております。
 続きまして,ラーニングポートフォリオでは,日々の学修の成果物や,あるいは学生の活動などについて確認をいたします。次のスライドに示しますような5つの学修目標に対する到達度について,学生が自己評価をいたします。そして,それに対する指導グループの評価を受けるというふうになってございます。
 このスライドは字が非常に小さくて,ほとんど見えなくて申し訳ございませんけれども,学修成果の評価の具体的なことなんですけれども,自主性,実行力,多角的思考力,創造力,専門性という学修目標それぞれについて,学生はセメスターごとに自己評価を入力いたします。その指導グループは,単位の修得状況や,あるいは学生が提出した報告書等を基にして審査をすることになります。このスライドに示しておりますのがラーニングポートフォリオの審査報告書ということになります。それぞれの学修目標に対して,例えば実行力ですと課題発見,計画実行,検証というように複数の到達目標を設定しております。到達目標は全部で15項目でございます。
 このスライドですけれども,これは学修目標や到達度を評価する際の基礎となるカリキュラムマップと,それからルーブリックの一部を示しております。右側をごらんいただきますと,先ほど申しましたようにQE1,QE2,QE3それぞれの時点での到達基準を,それぞれ黄色,緑,茶色で示しております。学生にとっては,これを見ることによって,自分がどの段階にあるかということを自分で評価できるようにということの意図もございます。
 QEに合格しなかったときの取り扱いなんですけれども,QEに不合格であった場合には,1回に限り,1年以内に――原則半年以内なんですけれども――再審査を受けることができます。今までの合格,不合格の状況ですけれども,今までにQEに不合格であった者が2名ございました。そのうち1名については現在,再審査を受ける準備を進めております。もう1名につきましては,所属する研究科の方のプログラムに移りまして――つまり,このリーディングプログラムから抜けまして,研究科の方のプログラムに移って修士号の取得を現在目指しております。
 最後のスライドなんですが,QEの効果と課題について。まず効果につきましては,分野の異なる教員や外部の審査員が審査に当たることで多角的な評価ができるということで,教育の質保証につながっていると思います。またカリキュラムマップやルーブリックを設定することで,客観的かつ明確な基準を可視化できているというふうに考えております。
 課題としては,これは当初からあった意見なんですが,修士論文を課さないということで,論文作成能力が十分に育たないのではないかというふうな心配がございました。この点に関しては,多くの主任指導教員が修士論文相当の執筆を指導しているというのが現状でございます。また,学生によっては進路について迷いまして,時期によって,QEの準備をするのか,あるいはプログラムを移って修士論文を書くのか,あるいは,この時期ちょうど就職活動のこともありまして,なかなか対応が困難なケースもこれから出てくるのかなというふうに考えております。さらに,教員にとりましては,かなり手間暇を掛けておりますし,それから,研究科が異なる教員の口頭試問の日程調整がなかなか難しいというふうな実際的な問題もございます。
 ちょっと早口になりましたけれども,以上で広島大学におけるQEの紹介を終わらせていただきます。御清聴いただきありがとうございました。


【有信部会長】  

 端的に説明いただいてありがとうございます。それでは,今の御説明に対して質問等ありましたら,どうぞお願いします。
 では最初に,ここで,QEに合格したら修士論文を与えると,不合格の場合は研究科のコースに戻るという御説明だったんですけれども,この場合はリーディングプログラムで独自に学位を出すということになっているわけですか。つまり学生は元々研究科に所属しているわけですね,どこかの。本来はそのどこかの研究科から学位をもらうというのが通常の大学院のコースですけど,リーディングプログラムの場合は完全にリーディングプログラムで独自に,例えば修士という学位を出し,あるいは博士という学位を出すと,こういう仕組みになっていると理解してよろしいですか。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 修士の学位を出すのは研究科になります。したがいまして,修士相当という判断はこのプログラムの中の審査委員会なりで判断して,先ほど申しましたように全学的なリーディングプログラム運営機構会議というところで判定まではするわけですけれども,最終的に修士号を与えるかどうかということは研究科でやっておりますので,現在のシステムでは修士号は研究科の方で出すということになっております。


【有信部会長】  

 やはり最後は研究科に行くわけですね。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 現在はそうなっております。


【有信部会長】  

 ありがとうございます。
 ほかに質問ありましたら,どうぞ。


【堀切川委員】  

 非常に先進的な取組をされていて感銘を受けた次第でありますが,1つ,非常に現実的な質問をさせてください。このコースの中で博士の,後期課程というか,学位論文まで行く場合には,多分問題は少ないなと思ったんですけれど,修士論文を課さないで修士号を与えるとなりますと,仮にその学生が途中でちょっとやめて,他大学の後期課程を受けたりする場合,我々のところでは修士論文の研究についてプレゼンをさせるということを,社会人にも他大学の修士が終わった人にもさせているんですけれど,そういう場合には受けにきてもらえなくなるなという感じがあって,逆に修士論文を課さなくても修士号を与えるのが一般的になってくれば,それに合わせた後期課程の学生の採り方ができるんですが,現状では少し,修士で終わってしまった学生について,その後のケアが必要かなという気もしたんですけど,いかがでしょうか。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 今おっしゃっていただいたようなケースは,幸いなことにまだ,修士の段階でちょっと進路を変えたいというケースはあるんですが,例えば他の大学とか,あるいは他のプログラムのいわゆる博士課程後期の方に移動したいというふうなケースはたしか今までないと思いますので,その問題には直面していないんですけど,今おっしゃったようなケースが出てきたときに,大学によっては修士論文相当というふうな表現で,修士論文そのものでなくてもいいとは思うんですけど,多少そういう配慮が必要なケースも出てくる可能性はあるなというのは,おっしゃるとおりだと思います。


【堀切川委員】  

 逆に言うと,4年間とか5年間,ほかの方にとられないで自分らのところできちんと育て上げるという意味では,うまい方法だなという感じもした次第でございます。ありがとうございました。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 ありがとうございます。


【有信部会長】  

 どうぞ。


【川嶋委員】  

 リーディングプログラムについては,かなり手間暇掛かるというのは本学でもそうなんですけれども,QEの仕組みについてはリーディング大学院から始めるということですが,その当時,考え方としては,それ以外の専攻,研究科でも,修士論文の過重な負担というか,そういうものを避けるために同様の仕組みを導入していくという方向性だと思うんですが,広島大学の場合はリーディングプログラム以外の専攻でのQE導入の状況はいかがでしょうか。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 実際的には,このリーディングプログラム以外でQEを実行しているというところは,たしかないです。ただ,この2つのプログラムで,法務研究科を除く全ての研究科が関わっておりますので,そういう意識付けというんでしょうか,そういう制度があるのだという意識は共有できていると思いますので,今後そういう議論も出てくるのではないかというふうに思います。


【有信部会長】  

 ほかには。どうぞ。


【井上委員】  

 御説明ありがとうございました。1つ質問したいのですけれども,これに連携している研究科の大学院生の総数に対して,このQEの大学院生の割合というのは?簡単に言うのは難しいかもしれないですけれども,その数字を教えていただきたいということと,それから,奨励金があるかないかということと,あと学生のアンケート等をとられた結果,どういう回答が得られたかということをお聞かせいただければと思います。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 このプログラムの定員が,フェニックスの方は10人,最終的には7人まで減らしたんですけれども,それからたおやかの方が,元々が18名,ただこれも現在減らすことを予定しているんですけれども,そういう人数ですので,研究科の中での割合というのは,本当に微々たるものになります。
 そして,済みません,そのアンケートというのは,どういうアンケート。


【井上委員】  

 例えば,どういうところに効果があったとか,あと課題は何であるかと。教員に対するアンケートと同じような内容になるかと思うんですけれども。


【広島大学宮谷理事・副学長】  

 QEそのものに対するアンケートというのは,済みません,きょうは資料を持ってきていないんですけれども,ポートフォリオの中に示しておりますような学修の到達段階に関しては,それをはっきりと,自分がどこまでできているんだということと,それから自分の評価と教員側の評価のずれというのもそこで見えてくるわけですので,そこら辺のメリットについては学生も意識をしているというふうには認識しております。正確にどの調査でということは,済みません,今申し上げられないんですけれども。


【有信部会長】  

 ほかには。
 それでは,宮谷先生,どうもありがとうございました。
 それでは,次の御紹介をお願いしたいと思いますけれども,これはリカレント教育の推進という観点から,履修証明プログラムの取組事例について,東北大学の藤本先生から御紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。


【東北大学藤本教授】  

 東北大学の藤本でございます。よろしくお願いいたします。
 私どものプログラムは,本学の中で,社会にインパクトのある研究群という,幾つかの研究プロジェクトの拠点が認定されております。その中の1つでございます。
 まず,このプロジェクトそのものの目的は,地域企業の事業革新を通して,どうやって地域を再生していくかというテーマでございます。特に本学は仙台市にございまして,震災の影響がまだ色濃く残っているということで,地域の事業再生ということが目的で始まった事業でございます。
 その背景について簡単に触れておきますと,これまでの地域の再生であるとか雇用の問題というのは,ここにございますように,どちらかというと,戦後しばらく大手企業の企業誘致と,それから公共事業の投資と,これによって地域の経済が支えられてきたと。ただ,御承知のように,今グローバル化の中で大手企業が,企業誘致というのはほとんど今効果がなくなっている。さらに東北でも顕著なことに,震災復興の建設需要がもうピークアウトいたしまして,公共事業というのにも頼れない。そうすると,今までの外発的な経済・雇用政策から,内発的な経済・雇用政策に変えていかなければいけないというのが大きな背景でございます。
 そうしますと,内発型に変えるということは,地元の経済,地域企業を中心に見ていくわけですけれども,地元はほとんど大半が,やはり中小企業が占めている。実は東北6県で上場企業は六十数社しかないんです。そのうちの3分の1ぐらいが金融機関という,こういう状況の中で,いかに中小企業を活性化していくかということがテーマになるわけでありますが,では中小企業がどのぐらい雇用創出力を持っているのかというのは,先行研究を少し題材にいたしますと,例えば五百数十社ぐらいある中小企業で,10年間で9.5人ぐらいの雇用を平均すると生み出すわけでありますが,実はこれは非常に偏っていまして,この上位の5.6%,30社ぐらいで実は雇用数全体の64%を占めていると。すなわち地域においては,中小企業全部を支援しても余り意味がなくて,中小企業の中でも高成長するような企業を発掘して,彼らに集中的に支援をしていくというところが非常に地域の経済に対するインパクトが大きいというふうに考えたわけです。
 それで,解決のコンセプトとして我々が取り組んだのが,まずそういう将来性のある中小企業を発掘するということ,それから,そういう会社に対して,革新的な事業計画の実現まで支援することによって,事業イノベーションを支援していきましょうというコンセプトに達したわけでございます。これで今現在どんなカリキュラムが作られているかというのが,こちらです。最大の特徴は,実は最初,2012年から地域イノベーションプロデューサー塾という,事業者を対象に,事業イノベーションの計画を立案して実現する事業計画のところまで作って卒業するという,こういう枠組みで始まっているんですが,その後,3年後の2015年からは,その事業イノベーションを支援する支援者も一緒に入塾させて,彼らと共同学習をさせながら,ある意味では中小企業の経営者には左腕とか右腕が非常に不足しています。その左腕になるような仕組みをここで実現すると。その後,卒塾した後にそれぞれのOBで結び付きながら事業を実現していただくと,これが最大の特徴でございます。それで,このプロデューサー塾とアドバイザー塾というのが今現在同時に走っているということです。
 カリキュラムは,それぞれ30人ぐらいずつ毎年入塾しております。今現在は,3か月間のベーシックコースの後,この中から進級するのが,事業者が20人ぐらい,支援者も20人ぐらいであります。これはやはり,最初は6か月間のプログラムをやっていたんですが,結構地元の経営者からすると,やれるんだろうかという非常に精神的な抵抗も大きくて,それを途中から3か月,3か月に分けて,ここで様子を見て,このまま是非事業計画の立案までやりたいというところを,我々もここで選別します。やれそうだというところの経営者をこちらに集めています。支援者も同じように,主に金融機関でありますけど,本格的に具体的な支援をしていきたいという人をここで選抜して,最終的に事業実現まで行うというスキームに達しているわけです。
 これは実際には,あとは発掘というところが実はこの事業の大きな課題でありまして,どうやって中小企業の経営者を集めるかと。実はこの事業を始める直前に,全国の地方の経営者の育成,MBAも含めて,行脚して調査をしてまいったところ,大体地方において普通にMBAをやると,3年で定員割れしてしまうというのがだんだん明らかになってきました。続いているところというのは,大体金融機関が支店を総動員しながら経営者を発掘できているところということで,この金融機関を巻き込んでいくというところが,実はこの発掘というところに大きく貢献をしていただいた。それからあとは,事業の実現に向けて,例えば本学の農学研究科であるとか教育学研究科,工学研究科と,いろいろな研究科のネットワークをうまく結び付けながら支援をしているというのが大きな特徴でございます。
 プロジェクトの成果といたしましては,これもこれだけ見るとなかなか分かりにくいんですが,政策金融公庫の中小企業と,同じぐらいの時期に,どのぐらい売り上げ利益,それから融資が増えたのかというのを比較しますと,大体我々,統計的にもかなり有意な結果は出ているのかなというところでございます。
 最後,これの体制でありますが,地域イノベーション推進コンソーシアムというコンソーシアムを作りまして,産官学金の取組として今現在進めているところでございます。
 簡潔ではございますが,以上でございます。


【有信部会長】  

 関連する内容なので,引き続き説明を頂いた後,まとめて質疑応答をさせていただければと思います。
 それでは,金沢工業大学の修士課程の取組事例について高橋委員から,よろしくお願いします。


【高橋委員】  

 ありがとうございます。それでは,私,金沢工業大学イノベーションマネジメント研究科の教員として、弊学の研究科自体の取組について御説明させていただきます。
 今,東北大の藤本先生が,先端的な取組ということでプロジェクトのお話を頂いたんですけれども,目的自体は比較的近いと思いますが,私からの御説明は研究科自体のシステムについて,特徴的なところをピンポイントで御紹介いたしたいと思います。
 頂いたお題,リカレントということなんですが,少し調べてみたところ,OECDのそもそもの定義より,日本語のいうリカレントというのが少し軽く,ある種趣味的な勉強プラスアルファというようなイメージがあるかもしれないと感じました。そういう意味では弊学の取り組みは,社会人が能動的に新しい仕事にチャレンジしていくときの基礎固めという形,本気で取り組むリカレントを目指しております。
 それでは,お手元の資料に基づいてご説明します。研究科の取り組みの特徴をこの1枚物にまとめてみました。上から見ますと,定員が40名で,2004年からスタートしております。修士が2004年から現在471名。その下ですけれども,知財とMBAを通じてイノベーションを起こしていく人材の育成を目指し,学生は全員社会人経験者になります。研究科専任が現在12名,全体のカリキュラム,年間約100講座を,非常勤70名の教員ととともに運営しております。
 特徴としまして,まず1点目,社会人の本気のリカレントを支えるシステムとして,単位授業料と完全クオーター制について御説明いたします。学生層ですが、2004年以来の学生を年齢層で分けたものです。当初は20代,30代の若手の社会人が学びにきたということが多かったんですけれども,現在は明らかに30代,40代が増えております。
 完全クオーター制,単位授業料制についてですが,弊学は1,2,3,4と1年間をクオーターに分けて,4学期制にしております。完全に一単位に対して授業料をチャージするという形になっております。こちらがその計算方法ですが,1学期に在籍した基本料金,プラス受けた単位のお金を加算していくというシステムです。小さいことではありますが,企業の社員として,例えば半年は地方の工場に突然長期出張となり全く学校に来られないですとか,国外の支社の方に転勤になってしまったので,どうしても休学せざるを得ないというような事情の方が結構いらっしゃいます。そういう方たちにとっては一単位,1学期を休学して,またそこから復学するときに,実際の金銭的な負担をできるだけ小さくするという意味で大きな効果を持っております。ですので,最短1年間で卒業ができるんですけれども,その1年間で集中し必要最低限の単位を取って素早く出たい人と,最大在籍期間の3年間在学し,半年、1年と休んでしまったとしても,自分の取りたい単位に応じて授業料を払える、両方のニーズに対応したシステムになっております。
 これがまず1点目の授業料のお話。2点目はより重要な,カリキュラムの更新と教員の評価について,ポイントのみお話しいたします。
 この図でいいますと,この部分です。ポイントで御説明したいので,投影版を見ていただいた方がいいかと思います。
 アンケート形式の授業評価に基づき,教員の評価とカリキュラムの評価を行なっています。アンケートのクエスチョネアに関しては,お手元の方が少し大きくしてありますけれども,いろいろな観点から,1単位ごとに,受講生に充実度を聞いており、それを基に集計いたします。具体的には、受講生数と,その満足度について4段階で満足度を聞いております。4段階の最上位の4番目だけをとった人と,4番目と3番目の合計の両方を指標としています。要は、授業の内容が興味深く満足したというのと,内容自体は理解が難しい、例えば法律関連の講座のように、おもしろくはないけれど目的に合致したいい授業だったというときに,最高点4は付けないものの3の満足はできたと,そういうようなことが結構ありますので,4段階だけのものと4と3の合計の両方で学生の満足度でとっております。それ以外にも受講生数自体は重要な指標になります。当然ですが,休講は論外です。また、我々,知財とMBAの掛け算ですので,やはり実学の,現役の講師の方からのレクチャーというのは非常に価値があります。しかし、実務家教員の講義も単にフレッシュな知見というだけでは賞味期限があるかということも数字に表れてきます。このような点を全部勘案した上で,人気がない法律のような難しい授業においても,それなりのバランスを持って評価できるようにということで,この6の評価軸をとっているというふうに聞いております。
 こちらは全体感だけ見ていただければ結構です。これが1年のほぼ100科目の授業に対して,その満足度を,係数も掛けてとったものです。ポイントは,単年度の評価は、教員と学生の相性もあり数値としてブレがあるので、複数年の平均値をとるという点,1科目ごとの満足度というのがこういうような形で出ております。目立っておりますけれども,赤字というのは,その満足度全体の評価係数が,80%を下回っているもの,複数年この状態にあった場合は,それなりの検討が入るということになります。
 最終的には,どの講師がいいということではなくて,全ての講義に対して8割以上の満足度が与えられるようなカリキュラムを提供するのが我々のミッションだと思っております。
 以上,私からはイノベーションマネジメント研究科の骨子を支える授業料の制度と評価システムについて御紹介いたしました。
 以上です。


【有信部会長】  

 どうもありがとうございました。それでは,今のお二方の説明に対して質問等ありましたら,どうぞよろしくお願いします。


【池尾委員】  

 藤本先生にお伺いしたいのですが,こういう中小企業支援では,スタートアップのときのマネジメント課題と,ちょっとたってからのマネジメント課題が変わってくると思います。特にスタートアップがうまくいっても,3年ぐらいでしぼんでしまうようなケースがある。そのときに,かなり専門的な知識が要求されると思うのですが,そのあたりはどういうふうに扱っていらっしゃるのでしょうか。


【東北大学藤本教授】  

 実は,事業者の方の受講者のプロファイルの7割から8割が既存の中小企業の経営者で,事業イノベーションを希望して入ってくる方で,新規創業の方というのは2割から3割弱しかおりません。そういう意味では,基本的には既存の,おやじの代からずっと受け継いだ事業を,このまま行くともう市場がどんどんシュリンクしていく中で見通しがたたないと,だから新しく事業をリノベーションするという,そういうニーズが大半でありまして,どっちかというと,そちら側に今シフトして教育をしているというのが現状でございます。


【有信部会長】  

 ほかにありますでしょうか。


【沼上委員】  

 藤本先生にお伺いしたいんですけど,先ほどのようなプログラムというのは,例えば地元にいろいろとほかにも中小企業の支援の仕組みがあると思うんですね,よろず支援拠点とか。そういうのとの連動というのは考えていらっしゃるんでしょうか。


【東北大学藤本教授】  

 大きな特徴が事業イノベーション,事業イノベーションがメインにはなっているんですが,卒塾した後の展開,例えば中小企業基盤機構,中小企業大学とか,あとはそこの専門のコンサルタントにだんだん,かなり各論に入っていくに従って,我々の手にはだんだん負えなくなっていきますので,そういうところに紹介をしながら,連携をして,最後,事業実現まで行っていくというような連携が,先ほどの最後のコンソーシアムを中心に作られていると,そんな仕組みでございます。


【有信部会長】  

 ほかにありますでしょうか。
 藤本先生にばかり質問が集中して申し訳ないんですけど,たしか東北にはインテリジェント・コスモスという組織体があって,そこは東北大学の技術シーズというか,研究シーズを基に,いろいろな新しい起業が行われているような気がするんですけど,それとの連携のようなものはあるんですか。


【東北大学藤本教授】  

 正直言って,ほとんどありません。どちらかというと,我々がターゲットにしている地元の中小企業になりますと,やはりかなり温度差がありまして,こんなことを言うと総長に怒られてしまうんですけど,今後はやはりそこもターゲットに入れながらいくというのは,これからの展開でございます。


【堀切川委員】  

 済みません,同じ大学なので,ごまをするようなコメントになる可能性はありますが,研究科が違うので。
 実は前からこれに注目していまして,個人的には,そのプロデューサー塾で中小企業の,地元の経営者のマインドを変えて前向きに雇用創出,新製品開拓できる人材育成ということかなと思うんですけど,個人的には非常にいい結果が出ていまして,藤本先生の14ページに卒塾生の声というところがありますけど,この中のお一人は,先生に鍛えられて,やる気十分で,初めて自社製品を持とうということで,今度,私の方に転がり込んできまして,ついでにアドバイザー塾の人も一緒に転がり込んできたんですけれど,今までにないデザイン性と機能性を持った自社製品,初めて,今年成功しまして,うまくいったんですが,実はその社長さんが相談に来たときに,うちの若手教員とか大学院の学生を同席させてQ&Aをやりまして,アドバイスもしたんですけれど,結果的にはうちの学生にとって非常にいい成果になりました。現実の,目先の社会の問題をどうやってみんなで議論しながら解決して自社製品を持たせていくかという,そういう現場の問題を介して,工学部の学生,工学研究科の学生の方が非常に勉強になったという意味で,個人的には,正式な一般の学生のほかに,こういう社会人で鍛えられた人が教育の現場にいろいろ入ってくることは,非常に,普通の学生にとっても教育効果が大きいなという感想を持ったというところで,ぎりぎりごまをすらないコメントでございます。ありがとうございました。


【有信部会長】  

 どうぞ。


【室伏副部会長】  

 ありがとうございます。とてもすばらしい取組を2つ御紹介いただきましたが,まず藤本先生に伺いたいのですけれども,2011年の震災後にJSTとか中小企業がかなり積極的に東北地方に入って,中小企業の立て直しに力を尽くしていたということを見聞きしておりますが,そういったところとの連携はどうなっておりますか。


【東北大学藤本教授】  

 今現在特にはありません。既存の経営者の育成は結構単発が多かったんですね。やはり継続しないと,ある一定の効果を生み出すところまで時間が掛かりますから,そこら辺が単発で終わるものというのはいっぱい実はできたんですけど,今,多分残っているのは我々ぐらいではないかなと思います。そういう意味では,当初からそんなに頻繁に連携があったというわけではございません。


【室伏副部会長】  

 そうですか。この二、三年の様子は知らないのですが、多分中小企業機構などはかなり長期間にわたってやってきていると思いますので,もしそういったところとも連携できると,事業が更に拡大できるのではないかなという気がいたしましたので,一言申し上げました。


【東北大学藤本教授】  

 もちろん今後の展開の中で,我々も実は財源の問題を抱えていまして,今,実は1,800万ぐらいは自己収入であります。そのほかに今,当初は震災復興の特別経費が4年間で,その後は内閣府で地方創生の財源が半分入っています。全部で4,000万ぐらいランニングコストが掛かりまして,そのうちの半分が自己収入でございます。
 この後の展開については,3年ぐらいはストックが多少あって,やれるんですが,その後は中小基盤機構と連携を深めながら,あちらを通して全国のこのモデルを広げていきたいということを今考えているところでございます。


【室伏副部会長】  

 ありがとうございます。
 それでは,高橋先生にお聞きしてよろしいでしょうか。この金沢工業大学の研究科,非常に財政基盤などもしっかりとお考えになって進められているので,びっくりしたのですけれども,80%以上の満足度がないと,その講座というのは閉じてしまうのですか。それとも新たな方を入れて,新しく始めるのですか。


【高橋委員】  

 ありがとうございます。一概には申し上げられないですが,まず1年目は,担当講師にフィードバックが掛かります。当然,次の年のかなりの改善を求められます。それが複数年度続いたときには,やはり講師あっての講座という面もあるので,別の方にということを考えるというふうな流れになります。


【室伏副部会長】  

 ありがとうございます。定員が40名ということですけれど,これは応募者はいつもどのくらいあるのでしょうか。


【高橋委員】  

 昨年度再編いたしましたんですけれども,昨年度で言うと1.5まではいかない、1.数倍です。


【室伏副部会長】  

 そうですか,すばらしいですね。ありがとうございました。


【有信部会長】  

 どうぞ。


【川嶋委員】  

 藤本先生と高橋先生にお聞きしたいと思います。例えば東北大学の例ですと、支援のプログラムは金融機関からの推薦,派遣ということですが,この30万円の入塾料というのは,派遣する企業が負担するのか自己負担なのかということを確認したいと思います。


【東北大学藤本教授】  

 これはもう100%機関派遣ですから,機関からの収入になります。事業者は本人がもちろん負担します。


【川嶋委員】  

 次に高橋先生にも同じ事をお聞きしたいのですが,社会人ということで企業にお勤めの方がほとんどだと思うのですが,企業派遣といいますか,授業料を企業が負担されている例というのはあるのでしょうか。


【高橋委員】  

 企業派遣も最近は増えてきたと聞いていますが,弊学の場合は、ほとんどの方は自己負担です。実は私も藤本先生に伺いたかったことなんですけれども,こういう、やる気がある社会人の方の職場環境がどの程度の通学を応援するものかどうか、というところが実は課題と、学生の生の声として聞いております。学費というよりも,こういう時間を平日の夜と土日に割くことによって,職場の周りや,特に直属の上司がどう受け取るか、という点です。組織の上の方たちは,社長、経営執行部レベルは、是非そういう形で新しい知識獲得を、と大学院通学を応援してくださることが多いそうなんですが,直属の上司や同僚の方たちが,学びに行くなら目の前の仕事をせよと,そういう話が出てきてしまうというの実際あるところだそうです。
 藤本先生の受講生層を拝見すると,半分ぐらいが社長,それから経営層ということですので,学びに来ること自体の弊害というか困難というものは特に,受講生の方からは聞いていらっしゃらないでしょうか。


【東北大学藤本教授】  

 では,お答えします。経営者が来る場合は,特に従業員から文句が出るというのはほとんど考えられないです。ただ支援者は,大半がやはり金融機関の方ですから,それは金融機関の対応がまちまちでございまして,かなり配慮をして,土曜日を,例えば遠くの,鶴岡から来るとなると前泊しなければいけないとか,これに配慮をしてくれる金融機関もあれば,配慮はしないから両方ちゃんと完璧にやれという金融機関もあって,これは一概には言えないのではないかなと思います。


【有信部会長】  

 どうぞ。


【宮浦委員】  

 ありがとうございます。高橋先生にお尋ねいたします。入学者の年齢層ですけれども,過去10年ぐらいの推移を拝見しますと,以前は20代の方が3割近くいて,7割は20代と30代という感じだったんですけれども,ここ四,五年は40代の方がむしろ多いように見受けるんですけれども,何か学生,社会人の方のニーズが変わってきたとか,あるいは出られた後のアクションが変わってきたとか,そのあたり,もし何かお感じになっていることがあれば教えてください。


【高橋委員】  

 私もそこは気になりまして,在職の長い事務方に聞いてみました。まず学生さんの大学院通学に対するスタンスなんですけれども,2004年,2005年頃というのは,非常に向学心が高くて,大学院の 1年,2年間は,家庭も,職場の飲み会等,もうとにかくかなぐり捨ててやってくるという人たちが多かったと聞いております。一方で,昨今の方たちは,むしろ大学院の同級生同士で可能になるネットワークに期待もしていて,学生さん同士のコミュニケーションとか,異分野の方たちと学校を通じて知り合うということ自体も通学の目的になっているというふうに聞いています。その上で,やはり2017,18年あたりの30代,40代の方たちの,このままだとまずいという危機感は,やはり以前とは全く違う真剣さがあるというふうに聞いております。


【宮浦委員】  

 ありがとうございます。


【有信部会長】  

 よろしいですか。
 それでは,大分時間も押してきていますので,このまま進めていきたいと思います。
 それでは,事務局から,本日の議論の論点についての説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。資料4で御説明させていただきます。ちょっとお聞き苦しいところがあるかもしれませんけれども,御容赦いただければと思います。
 本日議論する項目と,今後,具体的に言いますと次回ということになるわけですが,掲げさせていただいてございます。本日は修士課程の教育,QE,留学等,またリカレント,プレFD,こういった話題について取り上げますが,次回は枠組みというよりは,リーディングプログラムや卓越大学院のプログラムで取り組まれているもの,また米国におけるPSMやSTEM教育なども含めた研究科の枠を超えた学位プログラムなどといった,いわゆる具体的なコンテンツの部分の話をしていただくということとともに,学位授与の在り方,人社系大学院における教育の充実について次回はお話を頂くことにしてございます。
 今回の内容について御説明させていただきます。1ページの下の丸でございます。これは何度か御説明させていただいている大学院の4つの人材養成機能ということでございます。この後,高度専門職業人の養成ということで,さらっと出てくる場面が幾つかあるんですが,2ページ目の方をごらんいただきますと,高度専門職業人という場合にあっても,いわゆる修士課程で育成する専門職業人,博士課程で育成する専門職業人,専門職大学院で育成する専門職業人というのはちょっと違った定義というのがあります。こういったことも留意しながら御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。
 2ページの上の丸からでございますが,これまで4つの機能というものについて,しっかり各大学が強み,特色を生かして,比重を置いて教育研究を展開しているとは必ずしも言えないのではないかということについてはお示しをさせていただいているところでありますが,その次の丸でございます。人材養成目的というものを各大学院がしっかりと意識いたしまして,特に学位授与の方針というところから3つの方針を明確に設定すること,また,この3つの方針というものに照らした上で適切に教育研究指導というものを行っていくということが必要なわけであります。
 次の丸でございますが,その際,各大学院が人材養成目的を踏まえて3つの方針を作るときに,その人材養成目的に照らした人材を修士課程で育成するのか,博士課程で育成するのか,専門職大学院の課程で育成するのか,このようなみずからの教育活動をどの課程で展開していくのかということについても,やはり,これまでの経緯にとらわれることなく考えていく,点検することも必要ではないかということでございます。
 2ページの下,コースワークということでございます。コースワークについては,従来からその重要性という部分については強調され続けているわけでございますが,ちょっと聞き方の問題もあるのかもしれませんけれども,下から3行目あたり,平成28年度時点でコースワークを実施していますかということを大学院の専攻・課程に聞きますと,約半数ということでございまして,伸びてはきているんですが,まだ取組が全国的に進んでいるとは言えない状況があるのではないかということでございます。
 3ページの上の丸でございます。これから俯瞰的な視点や国際的な感覚,切磋琢磨を促す観点から,海外留学,また海外とのダブルディグリー,ジョイントディグリー等も重要になってくるということでありますが,なかなかこの数というものが,今,ダブルディグリーが74大学,ジョイントディグリーが7大学という少ない状況にあるということ。また留学者数というのも,工学分野では増えてきているんですが,その他の分野では日本人大学院生が外国に行く機会の拡大というのは見られていない状況にございます。前回の議論でもお話あったかと思いますが,国際機関や海外企業において一定レベル以上の職に就くためには,やはり修士,博士の学位取得が求められてございます。こういった観点から,我が国においても国際的な高度人材のニーズというものを満たす観点も必要でございます。
 QEについては,先ほど広島大学の方から御説明いただきましたが, QEの1個目の丸でございますが,現状,QEに合格した者には,各大学は,修士課程修了と同等として修士学位を授与することができるということになってございます。この制度を平成24年に作ったときに,次の丸に書いてございますが,例えばどんなことが想定されますかということでいいますと,筆記等による試験,また口頭試問等を挙げているわけでございますが,平成26年度の実績を見ますと,QEをやっている課程・専攻が,理工系ですと1割,人社系はまだ3%で,そのうち筆記試験を実施しているものが6割,筆記試験と口頭試問をともに実施しているものは4割にとどまっているという状況にございます。後ろの方の,ページで言いますと,通し番号で25ページというところがあるわけでございますが,こちらの方にQEの審査内容を掲げさせていただいておりますので,ごらんいただきたいのですが,筆記試験をやっていないところ,口頭試験をやっていないところ,こういったところもあるわけでございまして,その実態をどう考えていくのか。また国の方としても,QEを通じて修士の学位をどのぐらいの者が取得しているのかということについては,区別して把握していないという現状にあるわけでございます。
 3ページに戻っていただきながらでございますが,大学院におけるリカレント教育ということでございます。リカレント教育,先ほど関係する御発表も頂いたわけでございますけれども,やはり高度専門職業人の養成というのをミッションの1つとしている大学院がこの話題に向き合っていくということは極めて重要な課題になっているわけでございますが,4ページの一番上の丸でございます。従業員が大学等で学ぶことを認めている企業と認めていない企業というのは大体拮抗しているというデータがあるわけでございますが,認めていない理由というのは,本業に支障を来すという場合,また現在の業務に生かせないと,こういったことが挙げられているわけでございます。実際には5割の労働者が学び直しを実施しているんですが,大学・大学院の講座を受講している人は1%にとどまるという状況であります。一方で,社会人教育の未経験者が学び直しをする際に,非常に高度なもの,深く追求したもの,こういったものを求めているというデータもありまして,より高度な大学院レベルの需要というものは一定程度存在することが示唆されているわけであります。
 3つ目の丸でございますが,何せやはり問題としていいますと,時間がない,仕事が忙しくて余裕がないということと,お金が掛かるということが2つの大きな課題になってございます。厚生労働省の雇用保険の教育訓練給付というものの対象となる講座は増加しているんですが,実はその多くが昼間の課程でありまして,一方で受講者は夜間,土日,通信という部分に偏っているといったことでございます。これはやはり時間の問題というものが非常に大きく偏りを生んでいるということでございます。
 下から2つ目の丸,下から1つ目の丸のあたりは文部科学省の制度ということでございますが,1つは,先ほども御紹介いただいたような話に類するわけでございますが,短期のプログラムということで,履修証明制度というものを創設しているということでございまして,この大学というのは115大学まで増加してきているわけでございます。また,実際に社会人や企業のニーズを踏まえた実践的,応用的なプログラムというものを,職業実践力育成プログラム,BPとして認定する仕組みが平成27年度から始まっておりまして,5ページの上にあるような数字,222件のプログラムの認定が進んでおります。この2つ目の丸の部分に書いてございますが,やはり社会人がリカレントというところを考える上では,内容の面の改善,特に実践的な教育を行っていくということに加えて,多忙な社会人の時間的・空間的な障壁を低下させるというところの展開が必要になってくるわけでございます。
 こういったプログラムを提供していくということに当たっては,修士課程レベルにおける教育課程そのものをリカレントという部分にしっかり最適化することも考えられるわけでありまして,教員その他の学内の資源を大きくシフトしていくということが必要になってくるケースもあるわけでございます。
 6ページからが本日の論点でございます。きょうは多岐にわたって盛り込んでございますので,なるべく簡潔に説明したいと思うんですが,これ以降,各課程に応じて,課程のいわば1つの理念形といいますか,こういった形で各課程の目的に照らしての教育を行うことが考えられるのではないかということを整理させていただいたわけでございます。
 各大学院は,やはり3つの方針,人材養成目的に照らしまして,最適な教育課程を選択・編成していただくということが必要なわけでありまして,各大学が養成する人材目的,そういったものに照らして,どのような形でしっかりと体系的なものを整理していくのかということを説明していっていただくことが必要なわけでありますが,その際には,以降に御説明するような各課程の考え方というものについても踏まえていただきたい,参考にしていただきたいと思うわけでございます。
 コースワークにつきましては,博士課程教育リーディングプログラムという部分で,すぐれた取組を普及する,また卓越大学院プログラム等を通じて,引き続きすぐれた事例の創出と普及を進めるということが必要ではないかと思ってございます。また各大学院において,コースワークというものを,研究科に閉じた形ではなくて,また専攻に閉じた形ではなくて行えるように,しっかり専攻,研究科の枠を超えた体制を作っていくことを促進する必要があるのではないかということでございます。
 6ページの真ん中以降,修士課程でございます。修士課程は元々2年間で完結するということが想定されている課程でございまして,一般的には,昨今,極めて高い水準の研究能力が求められる研究者とか大学教員,こういった方々を養成することを修士課程で行うということはなかなか想定されないということになりますので,修士課程は,主としては高度専門職業人,高度で知的な素養のある人材の養成というものを主たる目的としていくことが考えられるわけでございます。一方で,修士課程と専門職大学院の課程というものをこの高度専門職業人養成の場として,差別化が不明確ではないかという指摘については,専門職大学院ワーキンググループなどにおいて随時触れられているわけでございます。
 そのようなことを考えまして,7ページでございますが,やはり修士課程というものをどう考えていくのかということを考えますと,修士課程において高度専門職業人の養成を行う場合には,修士課程は研究指導というものが行われることが制度上予定されてございますので,そうした研究を通じて得られる知見や経験を必要とする職業に就く者を対象とした教育をする。逆から言いますと,特定の職業と深く結び付いた知識や技能の習得,こういったものを行う専門職大学院では行うことができないような,行うことが予定されていないような教育というものを行っていくことが必要ではないかということでございます。
 具体的には,ポツで3つ挙げてございますけれども,特定の職業に結び付くわけではないけれども,様々な職業を担う上で必要となる高度かつ広範な専門能力,高度な汎用能力,コミュニケーション能力であるとかデータを分析する力,最先端の知にアクセスできる能力等々でございますが,こういったものを重点的に培うことを考えていってはどうだろうかと。2つ目のポツは,研究指導というものがあるわけでございますので,職業生活で活用可能性のある研究能力を養成していくということ。3つ目は再教育,社会人の再教育という場合であっては,研究指導というものがありますので,職業現場における現実の課題の解決というものをしっかり志向していく,こういったことが必要ではないかということでございます。
 2つ目の丸はちょっと違った観点でございまして,修士課程において,現在,このような御時世において,社会経済の高度化・複雑化ということがありますので,要求される知識量が非常に増えてきているわけでございます。そのような観点から,学部4年間ということで収まり切らないという部分も出てくるわけでございますので,学部段階と修士2年間というのをしっかり連結して考えていくということも考えられるのではないか。具体的には,リベラルアーツを学部段階で展開しているような場合には,高度な汎用的な能力と,またメジャー・マイナーというものをさらに引き続いて修士課程で深めていくということ。また,特定の専攻分野,例えば工学,こういったものを有する学部の中においても,複数の専攻分野を履修していく,幅広い力を身に付けていくという観点から考えられるわけでございますけれども,そういったものや,また普遍的なスキル,リテラシーというものを図ってきた場合に,さらにそれを深めていく,こういったことを修士課程で行っていくことが考えられるのではないか,しっかり学部と修士の連携というのをこういう観点で図っていくことはどうであろうかということでございます。その際,大学院を活性化するという観点から,他の大学・大学院の出身者に引き続き門戸を開いておくということについては留意すべきではないかということを挙げさせていただいてございます。
 8ページでございます。一番上の丸でございますが,特に修士課程においてはコースワークと研究指導の両者を適切に組み合わせていく必要があるわけでございますが,大学院設置基準で30単位ということが最低の要件として定められているわけでございますが,この30単位という数字はあくまで要件でありまして,そこが天井ということではございませんので,各大学が設定するようなカリキュラムポリシーというものに応じて,その30単位というところに過度にとらわれることなく教育課程を編成していくということについても,しっかりと考えていく必要があるのではないかということでございます。
 また,専門職業人養成において,非常にコースワークというものは重要になってくるわけでありますし,また実際には,実務の経験を有する教員による実践的な教育が必要となってくるわけであります。一方で,現行の大学院設置基準においては,研究指導教員と研究指導補助教員というものの配置だけが規定されているわけでありまして,いわゆる高度専門職業人を養成する修士課程において実務家教員を積極的に配置していくというインセンティブは,基準上は乏しいということになってございます。今後,大学院の教員組織の在り方として,研究指導教員と補助教員に加えて,実務の教員というものについて,その位置付けも含めて検証,検討していく必要があるのではないかということでございます。
 また専門職大学院の見直しの過程において,産業界をメンバーとする,産業界との連携による事業の実施等について審議をする教育課程連携協議会というものを専門職大学院の方においては置くことになってございます。修士課程で職業人養成を志向するものについても,こういった枠組みを自発的に取り入れていくということが考えられるのではないかということでございます。
 8ページの下,博士課程でございます。博士課程は,区分制の場合には博士前期課程と後期課程とあるわけですが,博士前期課程というのはあくまで5年一貫の課程の一部をなすもてのでありまして,本来は修士課程という2年完結の課程とは違うということについては,理念としては1つ留意をする必要があるであろうと。また,次でございますが,実態としては博士前期課程の定員が後期課程に比べて著しく多いというようなことがあるわけでございますが,博士後期課程まで進学する学生と,博士前期課程で修了する学生というのが別れていくわけでございます。この際,博士前期で修了する学生と,博士後期まで進んでいく学生の,人材養成の目的とか,前期2年間で特に何を行うかといったことは,本当は完全に一致するということは考えにくいのではないかと思ってございます。
 そういった意味では,9ページの1個目の丸でございますが,博士後期に進学することが見込まれない部分については,前期課程の定員の一部を修士課程として切り出して,残りの部分を5年一貫の課程として整理をすると。そこまでしない場合にあっても,しっかり内部において,人材養成目的に応じてプログラム分けというものを適切に行う,こういったような対応が考えられるわけでございますが,人材養成目的というものをやはり主軸に置いた上で最適な教育課程を編成することが必要ではないかということでございます。また,後期課程のみの博士課程については,複数の修士課程を基礎とした学際領域,このようなところで教育研究を行うということで活用されてきたわけでございますが,その在り方の検討も引き続き必要ではないかということでございます。
 9ページの下の部分は,研究者・大学教員を養成する博士課程についてまとめてございます。時間が限られてございますので簡潔に説明いたしますが,1つ目の丸は,これまでの研究者養成の良さというものは生かしながら,基礎となるコースワーク,QE,研究指導,このようなものをしっかり組み合わせていく必要があること。2つ目は,大学教員となる可能性を見据えて,TA,RAとして従事する機会や,プレFDといった教授法の素養を学ぶ機会が必要ではないか,こういったものを法的に位置付けることを検討すべきではないかということでございます。また今後の研究者人生における競争や協働を見据えて,また切磋琢磨を進めていく観点から,長期留学やJD,DDの取組を推進していくべきではないかということでございます。
 10ページでございます。一番上でございますが,研究者とか大学教員ということを念頭に置いてまいりますと,博士後期課程を終えた後も,研究者人生,教員人生というものは続くわけでありまして,そこにおける研究者養成とか教員養成のプロセスとしっかりと結び付けていく,こういったことも必要ではないかということでございます。また,1つ飛ばしますが,3つ目の丸,研究者・大学教員を目指す博士課程学生は,やはり学修に専念するという観点から,フェローシップの支援制度が有効に活用されるように支援の制度設計を見直していくべきではないか,前回,前々回に出てまいりましたように,学生の意思決定のタイミングを踏まえた制度設計とする必要があるということでございます。
 ここまでは教員とか研究者ということで,伝統的といいますか,博士後期課程の養成対象者ということでございましたが,今後は,博士後期課程レベルにおいて高度専門職業人を養成するといったことについてもウインドーを広げて考えていく必要があるということを述べたいということでございますけれども,やはり研究者・大学教員を養成する博士課程とは一定異なるものとして枠組みを考えていく必要があるのではないか,区別して取り扱うことが必要ではないかと,議論するに当たってはということでございます。また先々には,専門職大学院というものが十数年たちましたということで,後期課程レベルにおける,そういったものも含めた新たな課程の創設を将来的に考えていく段階に来ているのではないかということでございます。
 10ページの下の部分ですが,博士後期課程レベルの職業人養成については,リーディングプログラムにおける成果,例えば企業との協働のカリキュラム作成,プロジェクトベースドの学修,11ページに参りまして,企業経験者の実務経験を有する教員による授業とか,メンターとしての活用,長期的なインターンシップや共同研究,こういったものを普及していく必要があります。また,修士課程部分からの再掲でございますが,当面現行の枠組みの中で高度専門職業人を博士課程で育成していくことを考えるに当たっては,実務家の教員の配置の在り方を考える必要がありますし,連携協議会のような枠組みを自発的に取り入れていくということも考えられるわけでございます。また,下から3つ目の丸ですが,博士後期課程においてもしっかりとコースワークを行っていくことが必要になってくるケースというのも考えられるわけでありまして,その際には,先ほど申し上げた30単位という部分に過度にとらわれることなく,必要な科目を開設していくということについてはしっかり考えていくべきではないかということでございます。
 11ページ下から2つ目の丸でございますが,博士後期課程に在学する学生で高度専門職業人を志向していく方については,早い段階から実社会との接点を多様に確保していくことが有意義であるということで,経済的支援という観点からも学修活動と相乗効果が認められるような中小企業とか大企業において,その知見を生かしたような形でしっかりと有償のインターンシップを行っていくであるとか,また地域の課題を解決するという観点から,自らの専門性を生かした形で専門家として派遣する枠組みであるとか,また学内のワークスタディーというものを通じて,しっかりと職と結び付いたようなところも含めた検討が必要ではないかということでございます。
 12ページに行かせていただきます。QEについてでございます。QEについては,その趣旨を踏まえて活用していっていただくことが必要なわけでありますが,修士課程の修了と同等の位置付けというものが与えられるわけでございますので,安易に修士学位を授与する手段として利用されるべきではなくて,審査等はやはり厳格に行われる必要があることを改めて確認しておく必要があるのではないかということでございます。また,QEは博士後期課程に進学することを前提に適切に運用されるべきものであるということでございますので,そういうものであるということをしっかり学生に周知する,また学生と教員の認識を一致させておく必要があるのではないかと思っております。また大学としても,QEの導入状況について,またQEでどのようなことを確認しているのかということについては,しっかり公表していくべきでありますし,国としてもQEでどのような形で修士学位が授与されているのか,またそういった者が引き続きしっかり博士の学位を授与されているのかといったことを調査する必要があるのではないかと思ってございます。
 リカレントの部分でございます。1つ目の丸は,先ほど企業との一種のミスマッチがあるということもありますので,やはり大学がどのような内容を提供しているか分からない,実践的でないといったことが言われないように,しっかり内容の公表,広報に努めていく必要がありますし,また,2つ目の丸で言いますと,実際,先ほど高橋先生からも,自腹で払って来ているというような話がありましたけれども,ユーザーである社会人大学院生は,一般的には学部生などよりも知見を有しているということが考えられるわけでありまして,そのようなユーザーである社会人大学院生とか学生を派遣する企業の意見というものをしっかりと踏まえて,教育の改善に生かしていくことが必要であります。また,3つ目の丸でございますが,夜間・土日の授業科目の開設や通信教育課程の設置の促進,こういった形で,社会人が時間や場所を選ばずに働きながら学べる環境というのを作っていく必要があるのではないか。その際には学内の資源をしっかり振り向けていく必要があるわけでありまして,土日に講義を実施した教員は月曜日はお休みするといったようなことも含めて,学内の経営資源の配分の在り方も考えていく必要があるわけであります。
 そのような意味で,一番下の丸でございますが,教員との間ではしっかり,リカレント教育というものを契約の中に位置付ける,また,その中でリカレント教育に係る取組もしっかりと評価されるといったような形で行っていく必要があるというふうに考えてございます。
 最後,13ページの下から2つ目の丸でございますが,このように,各課程ごとに理念形的なものもある程度整理してまいったわけでありますけれども,やはり今後,本当にこの各課程の在り方が最適なのかということについては,将来的には検討していく必要があるのだろうと。特に修了までに必要な単位数が,5年一貫の場合,大学院は30単位になっているわけでございます。それは戦後ずっとそういうことになっているわけでございますが,いわゆる大学院の役割というものが研究者養成という部分から,かなり多様になってきている,職業人の養成というのも踏まえてこれからは考えていかなければいけない,こういう中で,本当にその在り方が適切なのかどうか。また,実務家教員というものを含めて,教員組織をどう構築していくべきなのか,このような点について改めて整理,検討して,必要に応じて制度の見直しを図っていくということも必要になってきているのではないかということを論点として挙げさせていただいてございます。
 説明としては以上でございます。ありがとうございました。


【有信部会長】  

 ありがとうございました。様々な観点での問題,課題を詳細に分析して,今までの議論のまとめ等も入れながら説明をしていただきました。すぐ後でまた説明があると思いますけれども,中教審の大学分科会の将来構想部会の中では,2040年における高等教育の在り方ということで,今年生まれた人が大学を卒業する時点で高等教育はどうあるべきかという議論を進めています。ここでの議論もその中で,では大学院がどういう形であるかということを,この新しい将来構想部会の中に織り込んでいかなければいけないということで,大学院の個別の課題が極めて精緻に分析されていますけれども,ややもすると,群盲象をなでるではないけど,象の鼻を詳細に見たりとか,象の耳はどうだとか,そういう話の議論が,かなり細かくなり過ぎるのも問題なので,将来の,2040年時点でどういう人材が要求されていて,それに向けてどういう形で高等教育があるべきか,その中で大学院教育の在り方,つまり多様な人材をそれぞれどういう形で育成していくか。その中で,今の大学院制度の在り方,つまり5年一貫の在り方,あるいは専門職課程の在り方,それから修士課程と5年一貫の在り方がどうかというようなことが,どういう形で人材育成のプロセスとして整備されていけばいいのかというような観点を是非頭に入れて議論を進めていただければと思います。
 先を見ながら,特に高度な知のプロフェッショナルを育成するということで,卓越大学院のプログラムもスタートしたところであります。それはそれで直近の未来に向けて活躍する人材を,高度な知のプロフェッショナルという言い方をしました,社会的には,例えばITだとかAIだとか様々なことが言われていますけれども,その中で,今度は文理という分け方が本当に適切なのかというようなこともありますし,ベーシックな教育体系と先端的な教育をどういうふうにして,どういうふうに人材を育成するか,そのときの割合がどれぐらいになればいいのかとかいうようなことも多分様々問題になると思います。
 そういう問題の中で,現状の大学院が抱えている様々な問題,それの具体的な分析,分解がここに全部きちんと整理されていると思いますので,そういうことも踏まえて,それから先ほど説明があった東北大学,金沢工大の例,広島大学の例等も踏まえて,是非,どなたからでも御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。


【小西委員】  

 6ページの下の方に(4)で,修士課程等との役割分担が不明確ということで,特に,高度専門職業人の養成に関しては修士課程と専門職大学院の役割の分担がだんだん不明確になってきているのかなという意味におきまして,このあたり,私の頭の中で1回整理したいなと思っています。
 といいますのは,専門職大学院では,リカレント教育に力を入れているのですが,リカレント教育でも,さらに高度な専門知識を習得しようとする方は,修士だけではなくて,博士課程でも学び直したいと希望する方は少なくありません。専門職大学院,会計の場合は,我々のところのように,専門職大学院の教員がメインとなって博士課程を持っているところがあり,したがいまして,専門職大学院と博士課程が連携して教育が行われているということになります。それに対して多くの会計専門職大学院は,博士課程を持っていなくて,既存の大学院の博士課程の中で教育するという意味で,専門職大学院と博士課程が,ある意味,密に連携していないという場合があります。博士課程も含めた上で,一度,専門職大学院と修士課程のすみ分けをするのか,もしかすると同じ枠組みの中で再考した方がいいのかというところも含めて,今日いろいろと問題提起していただきましたので,考えてみたいと思います。


【有信部会長】  

 では,そちらから順番に,沼上委員,田中委員,それから池尾委員,よろしくお願いします。


【沼上委員】  

 今のに関連しているところがあるので,この差別化が不明確であるという部分については私もまだこれから考えたいなと思っているんですが,実はうちの大学で最近,社会科学の発展を考えるための円卓会議というのをやっていて,そこで企業の方々からいろいろと,どういう能力を必要としているんですかというのを伺うと,やはり一番重要だというのは,社会科学系の人間に対しては現場で問題を発見する能力だと。どういう改革が必要だとか,どういう変革が必要なのかというと,問題を立てる力が一番重要なんだというふうに,現場のというか,企業のトップの方々が口々におっしゃるわけです。
 それをどうやって育てたらいいのかというところで,慶應の清家先生がおっしゃったのがすごく印象的で,たとえ学部レベルであっても卒業論文でオリジナルな研究をさせると,そこに学問的厳密性を要求して,しっかりと書かせるということが極めて重要なんだということをおっしゃったんです。それはある意味で卓見だなというふうに思いまして,ある意味ではMBAのようなものをやるときにも,実は長いものを書かせるということがすごく重要なのかもしれないというのが1つのポイントです。
 もう一つ,我々が今,AACSBという国際認証をビジネススクールで取ろうとすると,評価基準の1つが,学術的なジャーナル論文を書いている先生の比率,それを厳しく言われます。その意味で言うと,国際的な標準的なビジネススクールになるためには,アカデミックなパブリケーションをいっぱい増やさないといけない,そういう先生を増やさなければいけないというところももう一方で絡んでくる問題なので,ここの両者の区別が難しくなっているというのは国際的な環境の中でも実は結構難しくなっているということを,一応一言だけ申し上げたいと思います。
 以上です。


【有信部会長】  

 今の話は,いわば教員側に対するリクワイアメントとしてということですよね。
 では,田中委員,よろしくお願いします。


【田中委員】  

 ここの論点整理は,それぞれの項目を一つ一つ区分けして,修士課程,専門職の修士課程,博士課程,それも博士課程の研究,大学教員養成と高度専門職というふうに,機能をかなり峻別してそれぞれ整理なさっているというのはよいことだと大前提として申し上げた上で,それだけだとちょっとぐあい悪いかなというふうに思っているところを申し上げます。つまり,余りにも細かくカテゴライズ分けしてしまうというのは,21世紀,それも2040年,50年の研究環境とか,それから高度職業人の在り方とか高度な実務家の在り方とうまく合うのかという話です。例えば博士課程で研究職,大学教員養成というのを切り分けて,そのためにはどうするべきかと考えているわけですが,長期的に言うと,仮に研究職を一生の仕事だとし,あるいは大学教員を一生の仕事だとしても,そういう大学教員は,いずれは高度専門職の博士課程になる人間を教育しなければいけなくなる。他方,高度専門職の博士課程に修学した人が博士号を取ったその人は,その後,ただ普通の実務家になってしまって終わりになるという可能性は,少ないかもしれない。現在実務家の教員を増やせという主張があります。大学で学部生にも修士課程にも博士課程にも教育できるような,実務家に入ってもらいなさいと言っているわけです。そうすると,今私どもが高度専門職で博士号をあげたような人というのは,その後実務経験をやったら,もうしばらくしたらそういう人たちに大学にもう1回来てもらって先生をやってもらうのが一番望ましいかもしれない。
 そうすると,高度専門の博士号を取る人だからといって,通常の意味での研究能力とか大学教員としての適性とかがなくていいということにならない。海外からの評価という意味では,今,沼上先生がおっしゃったように,学術論文を数多く書いている方がいい。とすると高度専門的な博士号を取ってもらって実務家になってもらうにしても,そういう人たちにも高度なアカデミックリサーチペーパーを書く能力を持ってもらった方がいいわけです。
 そうすると,大学院の博士課程とか修士課程とかというのを余り峻別し過ぎてしまうとぐあい悪いところが出てくるのではないか。そのあたりをどういうふうに整理していくか,その辺少し知恵を絞っていかなければいけない。元々大学というのはユニバーシティーで,いろいろなことをやる人が,いろいろなことをやっているのでユニバーシティーなので,それを余り単機能的に,分節化してしまうというのが本当にいいかどうかという問題は常にあると思います。


【有信部会長】  

 非常に重要なポイントだと思いますけど,ただ,得てして議論がごく少数の,極めてすぐれた人たちの部分に集中するというところもあって,世の中で要求されているのは,実はもっとマスとして必要な人たち。マスとして必要な人たちという言い方はおかしいんだけれども,例えば日常的な企業の中で活躍する人たちが,本当に全て高度な教育を受けていなければいけないかという意味での峻別の仕方と,さっき言ったように,ある意味高度な教育の部分をより細かく峻別していって分けるというのと,それが余りごちゃごちゃにならないようにした方が本当はよくて,修士課程の議論のところは,いわば世の中で要求されているような,ある程度の専門的知識を持った人たちが実はマスとして必要とされている部分の教育をどうするかということを頭に置きながら整理をしていただいているので,この辺はもうちょっと分かりやすくした方が本当はいいかなという気がします。


【田中委員】  

 私は基本的には賛成だと申し上げた上で,留意点を申し上げたということです。


【有信部会長】  

 はい,よく分かります。
 それでは,池尾委員,どうぞ。


【池尾委員】  

 今のお話と絡むのですけれども,やはり修士課程と専門職大学院と博士前期課程の区別がかなり難しい。先ほど沼上さんが言われたように,ビジネススクールであっても,きちんとした修士論文は書くべきだと思います。そこでは,やはりアカデミシャンとしての教員が教えるべきだと思います。他方でダブルディグリーという話があります。ちょうど今から10年前ですけれども,フランスのエセックとダブルディグリーを結びました。ダブルディグリーというのは2年間で修士号が2つもらえるわけですね。ですから非常にお得なコースなわけですが,卒業要件をそろえなければいけない。エセックの場合は修士論文がないのです。実は同時にドイツのWHUともやっていたのですが,ドイツの方は修士論文が必要だということで,我々は非常に頭を悩ませたわけです。修士論文というと,どうしても文化系の場合には論文を書く作法みたいなものを教えなくてはいけない。引用はきちんとしなくてはいけない,あるいは方法論的なこともしっかりやりなさい,実証はこうやってやりなさいという作法みたいなものが必要になってくる。論文としての作法をきちんとするということと,アカデミックにきちんとした論文を書くということは,必ずしも同じではない。ですので、修了要件の論文のところをできるだけフレキシブルにしていただけるとよろしいのではないかと思います。
 実際,先ほどAACSBの話がありましたけれども,確かにAACSBでは教員に対しては論文を書けということを言っているわけですけれども,御承知のようにアメリカのビジネススクールのほとんどは修士論文は課していないわけです。先ほどの修士課程の修了要件ですけれども,アカデミックな水準を達成した論文であるという条件のもとで、どのような形があり得るのかについてちょっと御議論いただけるとありがたいのではないかと思っております。
 以上です。


【有信部会長】  

 教育者の水準と,そこを出ていく学生の水準と,そこの部分は必ずしも同じメジャーでは測れないので,それはきちんとやらなければいけないということですね。
 では,永里委員,どうぞ。


【永里委員】  

 論点整理に記述されていることは,総論としては大いに賛成です。
 ところで,11ページの5番目に,高度専門職業人を養成する博士課程は,研究者,大学教員を養成する博士課程からの転換を検討すべきと述べてありますけれど,私は転換の必要があるかということを考えたいと思います。というのは,ページ9の丸の3番目にあります研究者・大学教員を養成する博士課程の項目で,グローバル企業の幹部候補生,例えば研究企画とか,あるいは経営戦略部門のこういう人たちも,その人材の対象となると思うんです。ということは,転換をする必要はなく,そのまま自然とカリキュラムをやって実行していけばいいんじゃないかと,こういうふうに思います。
 以上です。


【有信部会長】  

 では,堀切川委員,それから室伏委員。


【堀切川委員】  

 毎度聞いているうちにだんだん理解が深まってきた論点整理でございますが,少しコメントさせてください。
 2ページ目の下の方で,インターンシップとかコースワーク等を通じて専門分野の枠を超えて俯瞰的な能力云々というところがある。こういう能力育成のためには各大学努力していると思うんですけれど,結構なかなか成果を上げるのは大変なんですが,まだ大学全体の半分ぐらいにとどまっているという話なので,私として思いますのは,先発でいろいろな取組をして結構成果が出ているプログラムというかコースワークがありますよというのを1回調べて,そこを書かれてはいかがかなと思いました。
 例えばですが,私のいる専攻は,幾つか複数の専攻が一緒になっていますが,修士1年の終わり,あるいはドクター,後期課程1年の終わりに,たくさん集めておいて,修士論文とか博士論文の計画の発表をさせるんですけれど,そこにはいろいろな研究室の若手教員だけを付けてアドバイスさせます。不思議なことに教授は出席できないというルールになっております。教授がいると若手教員がちょっと自由に発言できないということで,教授抜きでがんがんいじめてもらって,先輩的な年齢差なので,そうすると,研究室が違うと別な研究のアプローチの仕方のアドバイスとかが非常に効果的に得られるということもあるので,そういった取組を少し調べてみられたらいかがかなと思いました。ちなみに,我々のところは若手教員の教育になっているという部分がありまして,非常にうまくいくんです。教授は出たくても出られないので,後から学生から聞くと,随分厳しいこと言われたなというのですが,非常にいい制度と個人的には思っています。
 あと,社会人の学び直し関連で,職業実践力育成プログラム,きょうも金沢工業大学さんのすばらしい取組の御発表を頂いて,すごくよかったなと個人的には思っています。このプログラム立ち上げのときにお手伝いさせていただいたので,進化して,すごいうれしいなと思っているんですけれど,個人的には民間の企業の職業を持っておられる人だけではなくて,特に地方におりますと,地方自治体の職員とか地方自治体の外郭財団の職員の人が今の新しいことを知りたいというときに,大学院のこういうプログラムを活用できるかなと思っています。理系よりは文系の方が多分非常にやりやすいですけれど,そういう自治体の職員のリカレント教育にも力を注いでもらえればありがたいなと思っていまして,たしか最後の方で,13ページ上の1つ目の丸に非常にいいことが書いてあって,120時間以上から60時間以上に緩和することを検討中と。是非是非前向きに検討していただければ,120時間だと,やはり人を送り出す方がハードルが,ちょっと制限が高いものですから,60時間にしていただければありがたいなというふうに思います。
 さらにですが,特に職業実践力育成プログラムに認定されたプログラムに対しては,もしできましたら,スズメの涙でも結構ですので金銭的サポートがあると,各大学の取組が,頑張りようがより上がると思っていまして,何とかひねり出してでも,こういう社会人の教育に,大臣認定プログラムなので,そういうことをやられているところには,やはり国としても頑張れという何か資金的な援助の仕組みも検討していただければありがたいなというふうに思います。そんなに高いお金でなくても,回していくときには非常に便利かなと思いますので,前向きに検討していただければありがたいです。


【有信部会長】  

 それでは,室伏委員,どうぞ。


【室伏副部会長】  

 ありがとうございます。きちんとまとめていただいて,頭の整理にも役に立ちますし,これからの論議にも非常に役に立つと思って読ませていただきました。
 2点,申し上げたいことがあります。9ページ目の一番下の丸に関係してですけれども,やはりこれからの日本ではボーダーレス化がどんどん進み,世界の中で日本の大学あるいは日本の人材が認められて国際的な機関で活躍するためには海外との交流が非常に大事だと思っております。学生たちが留学する機会の拡大や,ジョイントディグリーですとかダブルディグリーといった取組はもっともっと進められるべきではないかと思っております。もう十数年前になりますが,フランスの三十幾つかの大学と日本の20ぐらいの大学との間で日仏共同博士課程という制度を作りました。その際に,制度を作るときからお手伝いさせていただいたのですが,お互いの国の事情で10年間だけ経済的な支援を頂いて終わってしまったのですけれども,それは非常によかったと思っています。ジョイントディグリーがそのときの制度では無理でしたので,ダブルディグリーを取るという形で進められましたが,そこで育った若い人たちは、今,世界的に活躍しております。こういう制度がきっかけとなって,その後それぞれの大学で,自前でこういった事業を続けているということもありますので,是非ジョイントディグリーやダブルディグリーがもっとスムースに進むような支援もしていただけるとよいのではないかと思っています。
 それから,もう1点はリカレント教育ですけれども,12ページ,13ページでリカレント教育についていろいろな提案が述べられておりますが,リカレント教育はキャリアアップとキャリアチェンジ,それらだけではなくて,実は,やむを得ない事情で職を離れなければならなかった非常に優秀な人材がかなりおります。そういった人たちの仕事への復帰のためのリカレント教育も非常に重要ですので,その点を,もしできましたら書き込んでいただけるとよいのではないかと思っています。特に女性の場合,すばらしい研究者が,いろいろなライフイベントのために仕事を離れるということがあって,そういった方たちが復帰したいと思ったときに,学問・研究の進行が速いのでかなり大きなハードルができてしまいます。そのハードルを取り除くためにも,復帰したい人達のためのリカレント教育がもっとスムースにできるといいのではないかと思っています。
 ヨーロッパの大学などに行きますと,卒業したり修了した後で,かなり自由に大学に戻って教育を受けることのできるシステムがありますので,日本でもリカレント教育がもっと普通になるような,そういう環境ができるといいなと思っております。そのために,できれば企業や自治体などと連携してプログラムを作るということも考えられるのではないかと思いますし,それらのプログラムを利用して財政的な支援も受けられるようになるのではないかと思っています。是非文科省の皆様にもそういった取組について支援を頂ければと思います。経済的な支援は難しいとしても,企業や自治体などにも呼び掛けていただけると,かなり状況は変わってくるのではないかと思っています。よろしくお願いいたします。


【有信部会長】  

 話を伺っていて,1つはグローバル化対応の話が,ある意味ちょっと抜けていたなというのと,それから,今,職を離れてとかいう話があったんですけれども,離れないで済むような手当てというのも実は本当は重要なので,例えば子供を連れて大学に来るようなことが全然異様でも何でもないというような状況が作れるかということと,それから一方で,18歳人口がどんどん減ると言われている中で,大学院はメインがどうしても国立大学なものだから,余りそういう危機感はないんですよね。だからその辺は,危機感ということよりは,いわばグローバル化の観点で,JDとかDDということだけではなくて,その辺の視点も必要かなというのは,確かにおっしゃるとおりだと思います。
 ほかに御意見ありますか。


【岡島委員】  

 意見というよりコメントなんですけれども,10ページの最後の丸のところと,11ページの下から2つ目の丸のところの博士課程後期の人が企業でインターンをする話でしたり,それを学生さんたちがきちんと利用していて経験にしていくというところなんですけれども,弊社もそのような取組を行っておりまして,まず大学の研究室と共同で研究開発をして事業をいろいろ進めているところがあります。そして,実は私たちの会社のメンバーを社会人大学院生,博士課程の社会人として送らせていただいたりですとか,あと,博士課程に経済的な事情で進みにくかった人に奨学金をお支払いすることによって,博士課程に入っていただいて,一緒に研究開発を進めさせていただいたりですとか,あと別の大学の人は,学生さんの,リーディング大学院か何かのプログラムで,企業のインターンで単位が取れるみたいなので来てくれたんですけれども,すごくワークしていて,非常に弊社にとっても,こういう中小企業というより零細企業みたいな私みたいなところでいくと,そういう方々が来てくれていろいろな知見を下さるというのと,あと人材の交流ができるというのが非常に重要なので,ここはすごい,もっと進めていただけるとうれしいところで,本当にこの項目にはすごい賛成しますというコメントです。


【有信部会長】  

 ありがとうございます。
 それでは,井上委員。次,川嶋委員に。


【井上委員】  

 高度専門職業人を養成する博士課程という,この分け方,カテゴリーとしての分け方なんですけれども,大学の研究者,教育者と分けて,2つあえて分けてあります。この中を見ていると,例えば11ページの上から3つ目の丸に関するところですけれども,ほとんど内容というのは修士課程における,具体的には8ページの一番上の丸の部分が,高度専門職業人を養成する博士課程と,後半の部分はもう全く同じ文言が書いてあり,ということは,なかなかやはり修士課程の高度専門職業人というところとそれほど分けられないということを表している1つの例になるのではないかと思います。ですから,ドクターコースを出た時点で必ずしも教育者,研究者になれない学生たちもたくさんいるわけですが,少なくとも単位取得退学という形で単位を取って,博士課程を出たということが認められて,3年以内に博士論文を出せば学位も取れるわけです。それと並行して,私は九州大学なんですけれども,ほかの大学も恐らく同様に副専攻とか,ほかの,大学院共通科目というのをとる制度がたくさんできていると思いますので,そういうことを通してコースワークとインターンシップということも経験することは可能ですので,やはり博士課程の中でこの2つに分けて議論するというのは,少々無理があるのではないかなというふうに思います。
 やはり,卒論もそうですけれども,修論を通してでも論文を書いていく,英語の論文を書いていって,投稿してレフリーとのやりとり,それは基本的には英語でのやりとりをして,締め切りを守る経験をさせる,プレゼンもさせるということは,これは大学院を出る上での,基本的な技量というのを養成するためには必要最小限ではないかというふうに,やはり今の議論を通してでも思うところです。
 以上です。


【有信部会長】  

 では,川嶋委員,どうぞ。


【川嶋委員】  

 いろいろ課題や論点を整理していただいているのですが,私が思うに結局,これは次の報告事項になっている将来像のまとめにもキーワードとして,多様性という言葉が出てくるように、大学院も多様化してしまっているということです。そのため,多様化したわが国の大学院の現実が制度と合わないという中で,今後どうしましょうかというのが議論のポイントだと思います。その場合,現実を制度に合わせていくのか,現実に合わせて制度を変えていくのか,あるいは両方とも変えていくのか,いろいろな選択肢があると思うのですが,日本の場合,高等教育については設置基準などの制度で、それぞれの高等教育機関の目的とか要件を定めてきたがために,現在のような様々な問題が出てきているんだろうと思います。
 本日の論点整理でいけば,2ページの四角囲みの下の1つ目と2つ目かな,基本的には制度がどうであろうと,やはり各大学院,研究科,専攻が,それぞれの人材養成目的を明確に定めて,それを実現する,そういう人材を育成するためにどういうカリキュラムを編成するのか,あるいはどういう教員組織を作っていくのかというところが,やはり原理原則なので,そういうところを今後さらに重視するような制度に,もし改革するのであれば,そういう方向に変えていただければというふうに思いました。
 以上です。


【有信部会長】  

 ほかに。
 なかなか難しい議論なんですが,基本はやはり,どういう人材を育成しなければいけないか,そのためにどういうシステムが重要かで,ただし人材育成に関しては,いわば現在の問題点を踏まえつつ,未来に向けてどういう人材を育成するかという観点で具体的な仕組みを考えるべきだろうと思いますし,現実にみんな苦労していて,アメリカのように,いわゆる学部教育と,その先のリサーチユニバーシティーとしての大学院,グラデュエートスクールと,それからプロフェッショナルスクールに分けるという分け方,大枠の分け方。その中でそれぞれの学位の決め方というのもやられていますし,ヨーロッパのように学位そのものを標準化して,いわばリファレンス学位,ボローニャ学位というのを作って,それぞれの要件を決めてやるというようなやり方で進んでいるところもある。
 ただ,我々はその両方を眺めながら,将来的に国際的に通用するような教育システムを作っていくということと,将来日本を支える人材をどう育成するかということで,まだもう少しその議論を詰めていければというふうに思いますので,よろしくお願いします。
 時間がもう随分押してしまいまして,申し訳ありません。それでは引き続き,将来構想部会の話をしましたけれども,その現状について,かいつまんで説明をお願いします。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。資料5をごらんください。
 将来構想部会においては,28日付けで中間まとめをまとめたところでございます。資料5の方にパワーポイントで1枚付いているものが概要でございます。内容の詳細については御説明をいたしませんけれども,下の方にありますように,幾つかの柱に分けた上で,具体的な今後の方向性というものを掲げているということでございます。本体の方の目次に対応した形になっているわけでございますけれども,社会の変化に対応できる人材と,その成長の場となる高等教育というものにどのように転換していけばいいのか。下の部分,多様性ということをキーワードにしてございますけれども,高等教育機関の教育研究体制というものをどのように考えていけばいいのか。教育の質と保証と情報公表というものをどのように進めていけばいいのか。また,18歳人口の減少を踏まえた大学の規模や地域配置をどのように進めていけばいいのか,このようなことについて方向を出しているというものでございます。
 また,これとは別に各高等教育機関の役割等についても整理いたしておりまして,本体の方をごらんいただきますと,いわゆる4年制の大学以外のことについて触れている部分が36ページからございます。このうち大学院につきましては37ページから40ページに,ほかの学校種に比べると,今の段階でも手厚く書かれているわけでございます。
 この内容については後ほどごらんいただければと思うんですが,これまでの大学院部会の審議を踏まえまして,各学校種において整理をするということでございますけれども,38ページ真ん中の丸の部分に,中間まとめ,この将来構想部会の中間まとめとして据えている方向性に照らして,大学院の教育というものをどのように考えていくのかという観点でセレクションして,項目を盛り込んでいるというのが現状でございます。ただ,これにつきましては次回,また次々回において,将来構想部会の最終的な案にどのようなものを盛り込むのかということを,本日までの大学院部会での議論も踏まえながら,また案を提示させていただきまして,御議論する時間を設けていただくということを予定しておりますので,お知らせ申し上げたいと思います。
 雑駁な説明でございますが,以上でございます。


【有信部会長】  

 それでは,今こういう状況で将来構想部会で議論が進んでいるということを御理解いただければと思います。
 何か御質問があれば受け付けますけど,これだけ漠と説明して,質問しろというのもなかなか難しいかもしれませんので,それでは3番目の,科学技術・学術審議会の人材委員会と大学院部会との合同の部会の審議状況について,これも事務局から説明をお願いします。


【髙橋大学院振興専門官】  

 失礼いたします。資料としましては,資料6-1,6-2になります。時間もございませんので,6-1の概要の方で説明させていただければと思います。
 こちらは,3月から大学分科会と科学技術・学術審議会の人材委員会の方で合同部会を立ち上げさせていただいて,今まで5回開催させていただいております。メンバーとしましては,室伏副部会長をはじめ,宮浦先生,湊先生,沼上先生,きょう欠席ですけれども川端先生にお入りいただいて,議論を進めていただいているものでございます。
 内容としましては,研究人材の育成確保に関するものということで,私どもの大学院部会の関係ですと,博士課程への入学者数,在籍者数が減少していることを踏まえ,あとは若手の割合が減っている,論文の割合というものがなかなか上がらない,研究エフォート減少傾向にあるという種々の研究をめぐる課題に対しまして,今後の取組の方向性として研究者コミュニティーというものとして,それを持続可能性という観点でどのように確保していくか,研究者の生産性をどのように向上していくか,あとは若手の研究者に対してどのような処遇をしていくかというような形で論点をまとめているものでございます。
 内容的には,研究者コミュニティーの持続可能性の確保の3つ目の丸のところというのが,主に私ども大学院部会の議論というものを受けて作成していただいているようなものになります。大学におけるリクルーティングの改善・強化,外部資金等を活用した経済的支援の充実,あるいは効果的なインセンティブ付与のための運用改善というようなことにより,優秀な人材を博士課程に進学させるように促進を図るべきというような内容が書いてございます。
 こちらの内容なんですけれども,現在,合同部会の方の論点整理の案という形でございます。本日この大学院部会,及び7月5日,あさってでございますが,人材委員会がございますので,そこにこの審議経過の案を報告させていただいて,意見を頂いて,それを基に合同部会として取りまとめを行うという形になっております。ですので,こちらの内容を後でごらんいただいてという形で,気になりましたらメール等でも御意見を頂戴できればというふうに思っております。
 あと,参考でございますけれども,参考資料3ということで配っておりますものの一番後ろのページ,22ページでございますが,こちらに合同部会においてどのような意見が出てきたかというものも付けてございますので,併せてごらんになってください。
 以上でございます。


【有信部会長】  

 済みません,不手際で,最後のところはもうちょっときちんと説明をしていただきたかったんですけれども,なかなか中途半端になってしまいました。何か御質問,御意見等ありましたら,最後の2件について,よろしくお願いします。
 世界的に見て,日本のPh.D.の取得者が,大学院の博士課程への進学者が少ないということと関連して,比率的に言えばまだまだ全然少ないということと,それから人口はどんどん減っているとはいえ,同じように,どこかのデータにありましたけれども,それぞれの,例えばドイツとかフランスと比べると,人口の少なさに比べて,生産性,個人当たりのGDPは日本よりみんなそれぞれ高いという状況が出ていて,これは単純に高等教育の成果かどうかという短絡的な結び付きはできませんけれども,これからますます要求されている知的水準,あるいは知識,新しいものに対する対応のスキルだとか,そういうものの教育が多分日本の中で十分に行われていない,あるいは浸透していないために,個々人の生産性が十分に上がっていないという評価にもなっているような部分がありますので,そういうことも頭に入れながら,我々としては,できるだけ日本を高学歴社会にしたい。その全体の体制としてどういう形があり得べきかということで議論を進めたいと思います。
 それでは事務局から,最後に。


【平野大学改革推進室長】  

 失礼いたします。本日は御議論いただきまして,本当にありがとうございました。次回が8月6日ということを予定してございます。今日、説明させていただいた資料の,次回,今後御議論いただく事項というところについて御議論いただくとともに,先ほど申し上げた将来構想部会の最終取りまとめに向けた,打ち込み案というものについても御議論いただきたいというふうに思ってございます。詳細はまた御連絡を差し上げたいと思います。
 いつものお願いでございますが,資料の郵送を希望される委員の方々は,附箋等に郵送希望される旨御記載いただきました場合には,特に記載がない場合には勤務先の方に送らせていただきたいと思います。また,きょうの机上資料の答申に向けた今後のスケジュールについて(案)というものがありますが,これは非公表の資料ということでございますので,取り扱いに御留意いただきたいと思います。また,本日まだ意見が言い切れなかったとか,またごらんいただいた上でお気付きの点等があれば,事務局にお知らせいただければと思います。
 本当にありがとうございました。


【有信部会長】  

 最後の方は多少,はしょりぎみにしてしまって申し訳ありませんでした。
 では,本日の議論はこれでおしまいということで,これで閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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