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大学院部会(第82回) 議事録

1.日時

平成29年10月31日(火曜日)9時30分~11時30分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 学校教育法及び専門職大学院設置基準の一部見直しについて(報告)
  2. 専門職大学院に関する教員組織の見直しについて(審議)
  3. 卓越大学院の検討状況について(報告)
  4. 大学院教育の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

(委員)
有信睦弘(部会長),室伏きみ子(副部会長),五神真

文部科学省

(臨時委員)
池尾恭一,井上眞理,大島まり,岡島礼奈,樫見由美子,加納敏行,川嶋太津夫,川端和重,神成文彦,車谷暢昭,小西範幸,迫田雷蔵,高橋真木子,田中明彦,永里善彦,沼上幹,堀切川一男,湊長博,宮浦千里

オブザーバー

義本高等教育局長,瀧本大臣官房審議官,中川統括審議官,松永専門教育課長,蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,平野大学改革推進室長,大月専門職大学院室長,川崎専門職大学院室長補佐

5.議事録

【有信部会長】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第82回になりますけれども,大学院部会を開催します。御多忙中のところ,御出席いただきまして,まことにありがとうございます。

 今回は,第9期の中で2回目ということで,なかなか開催が十分にできず,久々という感じを受けているかもしれません。

 本日,初参加の方々もいらっしゃいます。それから,天野委員,佐久間委員,大島委員につきましては,本日,御欠席という連絡を頂いています。

 それでは,今回初参加の方々から,一言挨拶と言っても,しょっぱなの五神さんがまだ来ていないので,次,沼上委員から,よろしくお願いします。

【沼上委員】  一橋大学の沼上です。教育,学生,経営戦略を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【有信部会長】  よろしくお願いします。

 それでは,湊委員,お願いします。湊委員は,まだ来ていないんだっけ。

【湊委員】  京大の湊でございます。

【有信部会長】  よろしくお願いします。

 それでは,五神先生が来られたら,また一言お願いするということにしたいと思います。

 それから,文部科学省で異動があったということなので,事務局から紹介をお願いします。

【平野大学改革推進室長】  失礼します。文部科学省の異動を御紹介いたします。今,着席しております中川大臣官房総括審議官でございます。

【 中川総括審議官】  中川でございます。

【平野大学改革推進室長】  7月11日に着任いたしております。

 今,席におりませんけれども,義本高等教育局長,同じく7月11日に着任,瀧本大臣官房審議官高等教育局担当,7月11日着任,蝦名高等教育企画課長,同日着任,三浦大学振興課長でございます。

【三浦大学振興課長】  三浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【平野大学改革推進室長】  7月18日に着任してございます。

 松永専門教育課長,7月11日に着任してございます。

 最後に,私,平野でございます。大学改革推進室長,7月25日に着任いたしました。よろしくお願いいたします。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 それでは,事務局から配付資料について,確認をお願いします。

【平野大学改革推進室長】  一番上の机上の議事次第に書かれているとおりに御用意してございますが,抜けている資料にお気付きの場合には,いつでも事務局にお声をお掛けください。

 また,本資料以外の参考資料や机上資料については,お手元のタブレットに入れてございます。参考資料の3として,最近の1つの動きとしまして,基礎科学力の強化に向けてということで,タスクフォースを文部科学省で設定して議論した結果をお手元に置いております。お手すきの際にごらんいただければと思います。

【有信部会長】  資料については,今のとおりでよろしくお願いします。

 それでは,議事に入りたいと思います。議題1の学校教育法及び専門職大学院設置基準の一部改正についてということと,議題の2に挙げられております専門職大学院に関する教員組織の見直しについて。これは,審議事項になっていますが,最初の第1議題は報告事項ということで,双方について,お互いに関連する事項もありますので,事務局からまとめて説明いただいて,その後,審議に入りたいと思います。

 では,事務局から説明をよろしくお願いします。

【大月専門職大学院室長】  専門教育科の大月と申します。

 それでは,学校教育法及び専門職大学院設置基準の一部改正について御報告申し上げます。お手元に資料1を御用意願います。

 まず,1ポツにあります「学校教育法の改正」についてです。1つ目の丸にありますとおり,本部会の下に設置されました専門職大学院ワーキンググループの昨年8月の報告書におきまして,各専門職大学院が掲げる養成人材等と関連が深い者や,有識者等からなるアドバイザリーボードを設置することを義務付けるべき旨,提言を頂きました。

 これを受け,専門職大学の制度化を図るための学校教育法の改正案に,専門職大学院に係る第99条の第3項「専門職大学院は,文部科学大臣の定めるところにより,その高度の専門性が求められる職業に就いている者,当該職業に関連する事業を行う者その他の関係者の協力を得て,教育課程を編成し,及び実施し,並びに教員の資質の向上を図るものとする」が盛り込まれ,先の通常国会で成立しました。

 次に,この法律改正を受けて行った,2ポツにありますが,「専門職大学院設置基準の改正」について,御説明いたします。

 (1)の「改正の概要」にありますとおり,専門職大学院における教育課程の編成方針として,その教育上の目的を達成するために,専攻分野に応じ,必要な授業科目を産業界等と連携しつつ開設し,体系的に教育課程を編成すること。さらに,状況の変化に対応した教育課程の構成等の不断の見直し,そのための適切な体制の整備等に関する事項が追加されました。

 その体制整備について,(2)にありますとおりに,「教育課程連携協議会」を設けることとされました。

 その構成員は,資料の2ページ目にあります。まず,アの部分でございますが,学長又は研究科長が指名する教員や,イの部分でございますが,当該専門職大学員の課程に係る職業に就いている者等による,広範囲の地域で活動する団体の関係者であって,当該職業の実務に関し豊富な経験を有する者等で構成することとなっております。

 丸3にありますとおり,教育課程連携協議会は,産業界等との連携による授業科目の開発や教育課程の編成や実施に関する基本的な事項や実施状況の評価に関する事項について審議し,学長や研究科長等に意見を述べることとしております。

 (3)の「施行期日」でございます。この改正は,平成31年4月1日から施行されるものでございます。

 なお,本省令を含めまして,学校教育法の一部を改正する法律等が9月に公布される際,本改正の趣旨,留意点等について,関係機関に通知しておりまして,本資料の8ページ目から10ページ目に通知の抜粋を添付しているところでございます。

 資料1に関する御報告は以上でございます。

 続きまして,資料2を御用意願います。「専門職大学院に関する教員組織の見直しについて」,こちらは審議事項でございます。

 まず,専門職大学院の制度について,教員の必要数等について,6ページ目をごらんください。6ページ目の下段にありますけれども,既存の大学の修士課程が研究者と高度専門職業人の養成を目的としているのに対し,専門職大学院が高度専門職業人の養成を目的とし,そのための実践的な教養を行うこととして,平成15年度に制度化されております。

 それで,丸1に「必要な専任教員」とありますけれども,専門職大学院に必要な専任教員数は,同分野の修士課程の研究指導教員数の1.5倍プラス同分野の修士課程と同じ数の研究指導補助教員とされ,右側の③にありますけれども,他の課程との兼務,ダブルカウントについて,既存の修士課程の専任教員は,博士課程と学士課程を兼務できるのに対して,専門職大学院の教員は,他の課程との兼務は博士課程のみとされております。

 また,左下にあります「実務家教員」でございます。専門職大学院には,必要専任教員数のうちの3割は,実務家教員を配置することとされております。右側の丸4にありますけれども,実務家教員の3分の2の範囲内においては,1年について6単位以上の授業科目を担当し,教育課程の編成と組織の運営に責任を負うもので足りるとされているところでございます。

 続きまして,1ページ目をごらんください。1の「経緯」のところでございます。先ほども申し上げましたが,本部会の下に設置された専門職大学院ワーキンググループが,昨年8月の報告書において結論を出した部分と,今後,引き続き検討とされた部分があります。資料にありますとおり,教員組織については,3つの事項が引き続き検討事項とされたところでございます。

 まず,1つ目の丸でございますが,実務家教員の3分の2以内に認められているみなし専任教員については,最新の知識を有する実務家教員になってもらえるよう,みなし専任教員の担当科目数,先ほど申し上げたように,最低6単位となっているものですが,運営について責任を負うことを前提として,緩和することを検討すべきとされました。

 2つ目の丸です。社会や地域のニーズに対応するための新たな取組や,自らの強みや特徴を伸ばすための取組を促進し,高度専門職業人養成機能の強化を図るため,教育の質保証を前提として,専門職大学の必置教員が他の課程の専任教員を兼務することを一定程度認めることを検討すべきとされました。

 3つ目の丸でございます。修士課程の教員基準,具体的には教員数のことですけれども,法学分野について,複数専攻を設ける場合,緩和措置が設けられていることから,専門職学位課程においても,法学分野においても,一研究科に複数の専攻がある場合,必置教員数を一定程度緩和することを検討すべきとされました。

 一番下にありますけれども,2つ目の大きな丸のところでございますが,これを受けて,専門職大学院ワーキンググループにおいては,本年1月より検討を再開しまして,教員組織に関する制度改正の方針について,計4回にわたる審議を重ねて取りまとめたところでございます。

 5ページ目の概要をごらんください。まず,丸1の「ダブルカウント(専門職学位課程と他の課程との兼務)」についてでございます。

 まず,真ん中にありますけれども,「兼務イメージ図」をごらんください。左の「恒常的措置」という図にありますように,既存の修士課程の専任教員は,現行は博士課程,学士課程との兼務が全員認められているところでございます。

 一方で,専門職学位課程の専任教員は,繰り返しの説明になりますけれども,現行では,博士課程の兼務は全員が認められる一方で,学士課程との兼務は全く認められておりません。改正案の「恒常的措置」としては,専門職学位課程と修士課程の必要教員数の比較図にありますとおり,学士課程との連携強化や他分野との連携促進による高度専門職業人養成機能を強化するため,専門職学位課程についても,同分野の修士課程で必要となる教員数については兼務を認める一方で,教育の質を確保する観点から,専門職学位課程が修士課程から上乗せで必要となる教員については,学士課程との兼務は認めないとするものでございます。

 また,「移行措置」の部分でございます。各大学の研究科のポリシーとして,高度専門職業人養成を掲げ,修士課程から専門職学位課程への移行等について検討している大学もありますけれども,現行では円滑な移行ができないという声がかなり上がっております。つきましては,改正案の「移行措置」として,修士課程又は専門職学位課程から新たな専門職学位課程に移行する際には,開設後5年に限り,先ほどと同じ算定の基礎となる修士課程の必要教員数の範囲内で兼務可とするものでございます。

 続いて,6ページ目をごらんください。丸2の「法学分野における専門職学位課程間の教員基準の緩和」でございます。グローバル化対応やリカレント教育の必要性にかんがみ,法科大学院以外の法学分野の専門職大学院が開設促進されるように,法学分野における修士課程の教員基準について,研究指導教員数は5以上置くこととされておりますが,公法,私法等に分割したときには,3以上置くこととし,軽減されていることを踏まえまして,改正案については,研究科に法科大学院以外の法学関係の専門職学位課程を設ける場合,法科大学院を除いて,研究指導教員は3以上置くこととすればよいとするものでございます。

 続いて,丸3の「みなし専任教員の要件緩和」でございます。各分野の第一線で活躍している者等に大学教育に積極的に参画することを促すため,改正案は「みなし専任教員」の要件の担当単位数の下限を現行の6単位から4単位にするものでございます。

 なお,専門職大学院ワーキンググループでは,第一線で活躍している者がみなし教員となることの障害となっているのは,教授会の構成員となるなど,責任ある立場で大学院の運営について参画することであるとの意見も出されました。しかしながら,そのような立場で参画してもらうことが大事なので,その点は維持することとしております。

 なお,専門職大学院ワーキングの議論の大半について,ダブルカウントの議論が行われました。それをまとめたものが,資料の2ページ目から3ページ目になります。

 1つ目の「現行制度及び改正の必要性」の下にある1つ目の丸は,専門職大学院の制度の発足時の考え方です。

 2つ目の丸は,制度発足時から暫定的に学士課程との兼務等について認めたことについて記載しているところです。

 3つ目の丸が,今回,改正していこうという趣旨が書かれております。学士課程とのダブルカウントを認めないことによって,専門職大学院における教育に専念する教員の確保が図られる一方で,学部との連携や学際連携が図りづらいため,高等教育機関としての発展が阻害されているとの指摘があるとのことです。

 その下の丸でございますが,このように教員組織が分断されたことにより,同分野の学部と専門職大学院との教育課程における連携が促進されず,教授会の縦割りが構築され,学部生が専門職大学院に進学する機会を狭めているとともに,専門職大学院の実践的な教育手法等を学部教育にも活用することが進まない一因となっています。

 その下の丸が,個別の専門職大学院の事情でございます。法科大学院や教職大学院,臨床心理系など,職業資格に関係する専門職大学院については,中央教育審議会やその他の委員会でも,学部との連携が不可欠であるとの指摘がなされている中で,現行制度では,教員組織が分断されていることから,連携できる範囲に限界があるということです。先ほど申し上げたように,算定の基礎となる修士課程の必要教員数の範囲内で兼務することによって,学部教育に対しても専門職大学院で行われている質の高い実践的な教育手法等を還元することができ,専門職大学院のみならず,学部教育の質的向上も期待できるとしております。

 3ページ目でございます。一番上の丸でございますが,現在でも専門職大学院の教員が関連する学部において兼担教員として授業を担当することは一般的に行われているところでございます。しかし,当該学部の専任教員でないため,教授会のメンバーとして学部の運営に参画することは困難となっており,また,大学の中には,専任教員でなければ学部のゼミ等を担当することができないとしているところもあるということです。

 1つ飛ばしまして,学部との兼務を一定程度認めることにより,教育の質の低下が懸念されるのではないかという部分でございます。「なお」の下から2つ目の丸でございます。既に専門職大学院については,5年に一度,認証評価を受けることになっておりますけれども,各分野別の認証評価機関の評価基準において,教育負担が過度にならないように確認する基準が設けられております。

 また,先ほど御説明,御報告いたしましたように,新たに教育課程連携協議会というものの設置が義務付けられまして,教育課程の編成に関する基本的な事項や教育課程の実施状況の評価に関する事項を審議することから,複数の外部からの視点による教育の質の保証に関する仕組みが設けられることになったということになっており,大学の判断によって,学部との兼務について,一定程度認めることが適当という形でまとめられたところでございます。

 説明は以上でございます。御審議のほど,よろしくお願い申し上げます。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 五神委員が来られたので,一言挨拶を。

【五神委員】  東京大学の五神です。

 大学院教育の充実は,本部会においても長年の課題だと認識しております。まだ達成できていないことも多いので,是非有意義な議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 最初の資料1の報告に関しては,学校教育法及び設置基準の改正ということで,連携協議会を設置する。既に専門職大学院の中には,法科大学院のようにアドバイザリーボードという形で大学外の専門家を含めて,教育課程等について議論,助言をもらうという仕組みができているものを,より専門職大学院の中で一般化して,法律的にこれを位置付ける。設置基準にもこれを入れるという報告です。

 特に注意すべきは,別にこの連携協議会が教育課程を決めるわけではなくて,意見を述べるということで,あくまで大学の教育課程は大学が独自に決めるものだという基本的なところは崩していません。これが報告の内容です。

 それから,2番目は,極めてテクニカルで,初めてお聞きになる方はなかなか理解し難いと思います。専門職大学院は,もともと設置のときに,本来の目的を達成するために,従来の研究者養成の大学院の課程とは独立に,様々な条件を設けていました。その中で,教員の通常の課程との兼務を禁止するということがあります。博士課程については兼務してもよろしいということで認められています。法科大学院等々をはじめとして,やはり学部との連携が極めて重要なので,学部と法科大学院との間で教員の兼務を認めてほしいという意見が出,専門職大学院ごとに事情は違うんですけれども,基本的には専門職大学院では,必置教員数を通常の大学院よりは数多く定めていますので,通常の修士課程の大学院の必置教員数の段階ぐらいまでならば,兼務を認めてもいいのではないかと。ざっくり言うと,こういうことであります。

 それから,法科大学院以外に,専門職課程を設けるというのは,法科大学院はもともとの設計が日本の法曹を育成するという建前で設計されていますので,現代の必要度が高まってきている。例えば海外でのロイヤーのような形で活躍する人たちを育成するために,既に社会に出て活躍している人たちをさらに再教育するという課程の設置も必要になってきているということもあります。

 そういう新しい法科大学院以外の専門職課程を法律に関して設置したいという,後半の兼務を認めるかどうかという話と,法科大学院以外に法律についての専門職課程を設けるというのは審議事項であります。前半の連携協議会については,もう既に法律が決まっています。 特に後半の部分について,皆様方から様々な観点で御意見,あるいは今の説明で分かりにくかった点について御質問等がありましたら,よろしくお願いします。

【池尾委員】  はい。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【池尾委員】  池尾でございます。私,実は長年,慶應のビジネススクールで,社会人向けのMBAコースを教えてまいりました。そこでは,実務家向けに議論を中心としたケースディスカッションをやってきたわけですけれども,数年前に慶應を定年になりまして,明治学院で学部を教えております。その学部で,MBA向けのようなケースディスカッション教育をやってみたら,結構評判がいいんですね。ただ,もちろん学部の学生には実務経験がないわけで,非常に丁寧な説明をしないと議論が成り立たない。

 そこで,こうした丁寧な説明をした方がよいのかなということで,今度は社会人教育でも丁寧な説明をするとやはり議論は活性化するわけです。実はMBAの学生も分かっていなかったかもしれないということにも気付きました。したがって,社会人教育のやり方を学部教育に持ち込むというのは,教師にとっても非常によい気がします。

 それから,もう一つは,社会人の学生と学部の学生と交流会を設けてやると,よいインタラクションが生まれます。慶應の頃は,30位のMBAの学生と,40位の3か月コースの参加者を交流させても非常によいインタラクションが生まれました。今は,組織は違うんですけれども,MBA取得者と学部の学生の交流をやると,学部の学生には非常によい刺激になるようです。

 1つ問題があるとすると,教員の負担の問題だと思うんです。これは,1つには必要こま数の管理と,ここにもありましたような実務家の非常勤の方に委ねるというやり方で,ある程度解決するのではないかと思います。

 ついでに,もう一つだけ申し上げますと,ビジネススクールで来ていただきたい実務家の方というのは,現役ばりばりの方々なんですね。ただ,現役のばりばりというのは,当然お忙しいわけですから,そういう方を,ここにありますようなみなし専任にするというあたりも,是非御検討いただければと思いました。

 以上です。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 先ほど,一言言い忘れたんですけれども,実務家教員に関しても,ばりばりの方に来てもらうために,今6単位というのを必要条件にしているものを,多少緩和してもいいのではないかという議論も併せてやってほしいということでした。

 ほかに御意見ありましたら。はい,どうぞ。

【小西委員】  今,青山学院大学の会計専門職大学院に在籍しておりますので,一言。

 教育課程の連携協議会は,非常にいい制度だなと思っています。当研究科も,監査法人や企業の方などにいろいろな働き掛けをしてご協力を頂いておりますので,ある意味で内部に入っていただくということで,非常に有り難い制度だと思っております。

 もっと有り難いのは,今審議しているダブルカウントの件でございます。ロースクールとMBAが非常に話題になって,あまり会計大学院は話題にならないのですが,簡単に実情と,どうしてダブルカウントが有り難いかということをお話ししたいと思います。

 皆様御存じのように,IFRSという国際財務報告基準が世界各国で導入されていて,日本においてもその大部分が導入されているということでございます。これによって,どういうことが起こるかというと,将来的には,どこの国で会計士の資格を取っても,どこの国でも仕事ができるということが,近い将来起こってきます。世界を見渡すと,現在でも,そういうことが徐々に行われつつあります。残念ながら,日本の場合は,日本で会計士の資格を取っても,日本でしか仕事ができないというのが現状でございます。

 会計大学院では,これまで育成ばかりで,資格に合格させることを中心に教育をやってきたわけですが,当研究科は,一昨年から育成とリカレントの2両面から教育を行っております。

 育成に関しましては,例えばアメリカの場合は,日本の会計士より試験は簡単だと言われておりますが,大学あるいは大学院で相当数の会計士試験に関わる科目を履修していないと,受験できないということになっています。つまり,大学および大学院教育をベースにして,会計士試験が成り立っているということでございます。

 リカレント教育に関しましては,国際的な機関の国際会計士連盟(IFAC)というところがあって,世界で通用する会計士には,こういう育成教育およびリカレント教育が必要だという働き掛けが既に行われております。

 それで,日本の会計専門職大学院では,育成とリカレントの両方の教育をやらなければならないということになるのですが,学部を卒業したばかりの学生と,社会人,会計士,および税理士さんを一緒の枠で教育するというのは,なかなか限界があるということでございます,学部との一貫教育が育成には特に必要だろうということを,本学の学長とともに再確認してるところでございます。

 このダブルカウントが認められますと,学部との一貫教育,すなわち学部の3年プラス大学院の2年という5年一貫の会計専門職教育が非常に推進しやすくなるということになります。

 専門職大学院の立場から言わせてもらいますと,既存の学部と連携するという方法もあるのですが,会計専門職大学院が学部を作って,そして5年一貫で会計専門職教育を行うことを考えていければと思っているところです。今回審議されているダブルカウントというのは,非常に有り難い制度だと思いますので,是非決めていただきたいというお願いでございます。

 以上です。

【有信部会長】  今のように学部,大学院一貫の専門職課程というのは,もともと学部で広範な基本的な知識を教育した上で専門職を育成するという考え方で専門職大学院ができていたので,多分,スコープには入っていないと思うんですけれども,そういうやり方というのは,実際には可能ですよね。事務局はどうなんですか。

【大月専門職大学院室長】  可能だと思います。

【有信部会長】  ということなので,一応,文部科学省当局の見解はそういう設計も可能だということなので,そういう設計でやれば効果がある。特に国際的に同等性を持った会計士を育てるというのは,今後極めて重要になってくると思いますし,国際会計基準がどんどん入り込んできているという実情を考えても,きちんとした形で会計士が育成されるのは重要と思っています。

【小西委員】  もう一つ。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【小西委員】  すみません。もう一つ,我々が考えているのは,国際ビジネスの共通言語は,英語とITと会計ですので,英語は当然のこととして,ITとの連携を考えていきたいということです。本学には,理工学部とか社会情報学部がありますので,連携を模索しているところでございます。理系の先生にも協力していただけるという意味で,ダブルカウントは有り難いなと思っています。

【有信部会長】  いいですね。是非いろいろ工夫をしていただければ。

 ほかに御意見があれば。

 はい,どうぞ。

【樫見委員】  金沢大学の樫見でございます。法科大学院からも少し意見を述べさせていただきます。

 まず1つは,法科大学院は特に学部と設置の段階から独立させるということで設置されました。その点が,まずもって,法科大学院への進学者,あるいは志望者数を少なくさせたのではないかという反省がありました。なので,この点は,学部教育と専門職大学院である法科大学院をある程度連携させる,あるいは密接に関係させるということ。それを,学生だけではなくて,教員の面でも結び付けるということは非常に大事であると考えております。

 あとは,学生が法科大学院へ進学する際に,教員・研究者が中心である学部教育よりは,実務家を入れることによって,法曹というもの,あるいは実務に対する理解が深まりますし,私どもの大学も兼担といいますか,学内非常勤として,実務家の方に授業をしていただいているのですが,正直申しまして,学生は実務家の先生については,非常に興味を持っているということです。それによって,学生が法科大学院への進学,あるいは法曹への理解という点が非常に進んでいるということなので,その点を手続的,あるいは法令上も認めていただけるというのは,非常に有り難い点です。

 それから,もう一点は,リカレントの点でございます。最近では,私は専門が民法でございますが,民法の債権法の改正,非常に大きな,それこそ民法設置以来,百二,三十年以来の大改正ということで,それは民法だけではなくて,ほかの法分野におきましても非常に法改正が激しい。

 さらに,グローバルな社会の中で,実際に職に就いている方に対しても,新しい知見といいますか,専門的な知見を与える機会をより広く提供するということが,これからの大学院なり,あるいは学部においても聴講という形で社会人が来られる場合には,門戸を広く開いて,リカレント教育をきちんとしていくということが,恐らく法による支配というところを広めていくためにも必要かと思います。その点でも,実務家の教育への参加という点は非常に必要なことだと思っております。

 以上でございます。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 特に法律に関しては,例えば,最近の個人情報保護法の改正や,これから研究分野でゲノムをどう考えるとか,極めて難しい局面に来ていて,法律を理解した人が,実際に研究現場にもいないと,しかも,法律そのものがいろいろな仕分けの上に成り立っているものですから,とても分かりにくいんですね。しかも,企業と国立研究所とそれぞれで扱いが違うという問題もあって,今後,相当大変なことになるなと思いながら聞いていたことがあります。そういう意味でも,法科大学院のようなところでリカレント教育をきちんとやっていただいて,いろいろなところで活躍できる法曹といいますか,専門家が生まれるのは重要だと思うんですね。

 ほかに御意見ありますでしょうか。

 はい,どうぞ。

【川端委員】  専門職大学院に関して,余りよく分からないんですけれども,今の6ページのところで,先ほど少し言われたITの学部との相乗りなど,そういうことも重要になってくるというおっしゃられ方をされていました。

 今の6ページを見ていて,ダブルカウントというところがよく分からない。要するに設置審のときに兼務教員として入っているのか,それとも両方専任教員としてダブルカウントしますよと言っているのかが分からなくて,一般的な大学院においても,専任教員としてはダブルのカウントは禁止されているはず。だから,みんなヒーヒー言いながら作っている。その中で,ここのダブルカウントは,それを言っているんですか。そうではない,ただの兼務教員を言っているんですか。

【有信部会長】  兼務というか,もともと学部大学院の専任教員で,従来は専門職大学院の教員は,学部の教員であるとできなかった。

【川端委員】  そこは結構。ほかの部局の専任教員が,こちらの専任教員にもなれるということを言っているのか,「いや,そうではないんだよ」と言っていただければ,それはそれで……。

【有信部会長】  今の流れの中では,ほかの部局の教員がなることを禁止はしていないですよね。

【川端委員】  ということは,2つの大学院の専任教員になれるということを言われているんですか。

【川嶋委員】  よろしいですか。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【川嶋委員】  ここで言う専任教員というのは,設置基準上の必置教員数の話であります。ですから,設置申請するときに,2つの部局の必置教員数としてカウントできるという意味ということです。広い意味での専任は,御指摘のとおり,今でも工学部と理学部で教授会に参加する専任教員として兼務することは可能ですけれども,設置基準上の専任教員としては,工学部と理学部で両方カウントはできない。

【川端委員】  ですよね。

【川嶋委員】  はい。

【川端委員】  はい。それが,専門職大学院だと,可能にしようと言っておられる。

【有信部会長】  そこまでは言っていない。

【川端委員】  そこまでは言っていない。

【有信部会長】  ちょっと事務局に。はい,どうぞ。

【大月専門職大学院室長】  現行制度では,学部と修士課程,博士課程については,それぞれ1カウントずつできることになっています。1人の教員が3つの課程の専任教員としてカウントできるのが現行制度でございます。専門職大学院は,学部との兼務を全く認めていないところを,今回,緩和しようということになります。

【川端委員】  だから,例えばほかの情報科,研究科の専任教員をこちらの専任教員にもできるかというと,それはできないという話でいいんですか。

【有信部会長】  いやいや,もともと専門職大学院は学部を持っていないわけだから。

【川端委員】  いや,学部の話ではなくて,大学院。大学院として,ほかの大学院の両方の専任教員になれるか。

【有信部会長】  それは,また別の話だね。

【川崎専門職大学院室室長補佐】  同じ課程,例えば,修士課程,修士課程というような,同レベルの課程の専任教員のダブルカウントは,現行制度上できないことになっております。

【有信部会長】  それはできない。

【川端委員】  では,いいです。はい。

【有信部会長】  いろいろ,これはかなりテクニカルな問題なので,理解が難しいかもしれません。全体的には,ダブルカウントに関しては,ポジティブな意見が多かったわけですけれども,ネガティブな意見はないですかね。こういうことをやると問題だという意見はありませんかね。

 それから,法科大学院とは別に法律系の専門職課程を設けるという点についても,これは,もう専門家の方しか分からない話なんですが,樫見委員からは,そういうことはやるべきであるという御意見が出ています。

【川嶋委員】  1点,よろしいですか。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【川嶋委員】  1点だけ,補足というか,是非事務局からも強調していただきたいのは,先ほど,大月室長がスキップされたんですけれども,3ページの上から2つ目の白丸のところにありますように,今回の移行措置のところでは,専任教員数は1.5倍必要ということで,なかなか専門職大学院に移行するのをためらっている従来の修士課程が幾つかあるということです。今回,移行措置として,発足当時と同じようなダブルカウントを認めるという緩和措置を取ることによって,専門職大学院への移行を促進するというのも,今回の改正の趣旨の重要な柱の1つだったと。

【有信部会長】  というのも含まれています。

 それから,もう一つ,先ほどから出ています,ばりばり働いている,活躍している実務家を実務家教員として迎えるのに,現行は6単位必要ということになっていますが,これを緩和するという点に対しては,何か御意見がありますでしょうか。もともと4単位にしたらどうかという意見があって,6単位を4単位にして何が変わるんだという意見もあります。だから,緩和するという方向については,どういう御意見かということです。

 はい,どうぞ。

【田中委員】  緩和するということがよろしいのではないかと,私は思います。今は,6単位やらなければいけないという話で,4単位を下限にして,4単位以上をやれる人は,もっとやってもらえばいいわけですよね。

 そういうことだと思うんですが,1つ,それに関連して質問なんですけれども,現行で「教育課程の編成その他専門職学位課程を置く組織の運営について責任を担う者」というのがあるんですけれども,これは,実際上は相当柔軟に行われていると考えていいんですか。それとも,教授会に必ず出席しなければいけないという,非常にきつい規定になっているんですか。

【有信部会長】  教授会に出席するのがきつい規定だと言われると,なかなか難しいんですけれども,一応,大学の運営に必置教員としては参画するということで,教授会には参加してもらうというぐらいのことは考えてはいたんですけれども,何か意見ありますか。

【大月専門職大学院室長】  そのとおり,教授会のメンバーとして大学の運営に責任を頂くということでございます。

 なお,みなし専任教員については,3分の2まで認めることができるとされておりますが,実際上は,大体分野によって異なりますけれども,法科大学院で12%,教職大学院でも12%,会計専門職大学院でも十三,四%ということであります。すなわち,大学の運営に参画するということが求められていることから,みなし専任教員というのは,実際にはそれほど置かれていないということでございます。

【川嶋委員】  よろしいですか。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【川嶋委員】  今の御質問について補足しますと,結局,4単位ということは,非常勤の場合でも十分あり得る授業負担なんですね。ただ,非常勤とみなし専任教員の違いということは,今御指摘,御説明があったように,やはりその研究科の専任教員であるということで,教授会を含むマネジメントにきちんと参画してほしい。非常勤は,大学によって運用が違うのかもしれません。基本的には教授会に参加せず,運営にはコミットしないということになっていますので,そこが非常勤とみなし専任教員の考え方の違いだと思います。

【有信部会長】  だから,いずれにしても,これは結構大変なんですよね。各大学で,本当に必要な実務家教員をどう呼んでくるかというのは,大変難しい話だと思いますけれども,是非努力をということです。

 何か,特に反対とか……。これは,一応,この部会の下に設けられていますワーキンググループで議論をして,そういう方向でやりたいということをここで審議をしているという位置付けなので,もしこれで大体賛同を得られれば……。

 はい,どうぞ。

【永里委員】  賛成なんですけれども,目覚ましく環境が変わっているときに,産業界から見たら,リカレント教育というのは,非常に重要だろうと思っています。ですから,専門職大学院が非常に魅力ある大学院になってもらって,産業界から人が行くということは重要です。

 それから,もう一つ,先ほどから出ていますけれども,教員も産業界から送るということが重要だろうと思います。その場合,技術はどんどん陳腐化しますから,いつまでも産業界から同じ人が行っているというのはおかしな話なので,これはまた人事交流が必要です。そういうことも含めて,今,この動きを是非加速してほしい。これが私の要望です。

 以上です。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 それでは,頂いた御意見は全体としてポジティブな方向の御意見なので,ワーキンググループでの議論もそういう方向で整理してまとめていきたいと思いますので,よろしくお願いします。

 それでは,引き続いて,次の議題であります。これは,報告になりますが,現在検討が進んでおります卓越大学院制度について,これも事務局から説明をお願いします。

【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。資料3-1番と3-2番をごらんください。

 3-1番は,卓越大学院プログラムに関する概算要求の内容でございます。本日は,説明の時間が限られてございますので,資料3-2の日本学術振興会においてまとめてくださっている「卓越大学院プログラム 公募の方向性について-中間報告-」について御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして,目次でございます。目次の下の部分に四角がございます。今,こういう時期でございますので,この報告書というのは,文部科学省が行っている概算要求の内容に基づいて作られているということでございます。また,予算編成というものがあるわけでございますけれども,今はこれを前提にしているということについて,御留意を賜りたいと思います。

 2ページでございます。この報告書の経緯を記載してございます。「日本再興戦略」において形成が提言されているところの卓越大学院につきましては,従来から大学院部会において御議論いただきますとともに,卓越大学院の構想に関する基本的な考え方について,有識者会議でおまとめいただいてございます。

 日本学術振興会では,こちらを引き継ぐ形で,文部科学省から委託を受けまして,有識者会議を立ち上げまして,今度,丸1番にありますけれども,どういう形でこのプログラムを進めていくのか。また,公募審査の在り方についてどう考えていくのかということを議論いただいております。

 ページで言いますと,少し飛びますが,12ページに,この構想をまとめていただいた委員の方々のお名前が掲載されているところでございます。大学院部会の先生からも何人か御参加を頂いて,御議論いただいたところでございます。

 2ページに戻っていただきまして,ローマ数字の2でございます。「調査の方法」ということで,メンバーと内容については非公開ということで,3回議論を行っていただきました。8月3日,8月30日,9月14日といった形で議論を頂きましてまとめていただいたのが,この中間報告でございます。

 3ページでございます。ローマ数字の3のところに書いてございます。この事業が我が国をリードする大学院プログラムとして,各大学における大学院の特色を生かした独自の構想作りに期待している。それぞれの自由な発想を生かした提案を求めるという基本的なコンセプトの下で,申請者にどのような事項を示すべきか。いわゆる公募に当たって,どのようなことを示すべきかについておまとめいただいたということでございます。

 1ポツ,「事業の目的と背景」でございます。事業の目的,背景については,従来の議論を踏襲していただきながら,また御議論いただいたところでございます。

 1)「目的」でございます。博士課程において,新たな知の創造と活用を主導し,次代を牽引する人材,新たな価値を創造するとともに,将来の社会の課題に挑戦したイノベーションをもたらすことのできる人材等,高度な「知のプロフェッショナル」の育成を目的としているということでございます。

 2)の「背景」でございます。こちらは,かいつまんで御説明いたしますけれども,1つ目の丸については,我が国の博士課程取得者の増加や研究環境の一定の改善が進む一方で,経済成長が低下する中で,学術研究,科学技術イノベーションにおけるプレゼンスが揺らいでいるということ。

 2つ目,「博士離れ」の問題が,国際競争力の地盤の沈下をもたらしかねない深刻な事態であるということ。

 3つ目の丸。我が国が今後豊かさを維持していくために,将来の新たな基幹産業を我が国が主導して創出すること,Society5.0社会への対応というものが求められており,大学院は,その源となる知と技術を生み出すとともに,それらを社会的価値につながる人材輩出が求められているということ。

 4つ目の丸。こちらについては,研究者,起業家,企業人,また,政策立案をリードする人材など,あらゆるセクターを牽引する卓越した博士人材,高度な「知のプロフェッショナル」を育成することが必要であり,我が国の大学院が我が国の未来社会を支える国際的な競争力を備える,上記のようなすぐれた博士人材の場として形成していくことが必要であるということ。

 最後の丸でございますが,卓越大学院プログラムというものが,我が国大学院システム全体の見直し,また大学改革を加速することが期待されるという背景について述べていただいてございます。

 2ポツが「事業の概要」でございます。1)の「対象となる事業」という部分でございます。こちらについては,全ての卓越大学院プログラムの対象となる事業に求められる要件ということで書いていただいているものでございます。

 1つ目の丸については,博士課程前期・後期一貫した質の保証された学位プログラムを構築・展開する取組が対象であること。

 2つ目,養成すべき人材像を明確に設定していること。

 3つ目,各大学のそれぞれの特色,強みを生かした独自の構想に基づく提案であること。

 4つ目,学長の責任の下で大学本部が主体的に関わる体制を構築し,申請大学の大学院全体の改革を実現する観点から,プログラムの構築・実施,成果の波及,継続性・発展性の確保等を図る必要があること。継続性・発展性については,事業期間終了後にとどまらず,事業を始めている途中といいますか,事業執行中からしっかり継続性・発展性を確保していくということでございます。

 また,事業終了後には,質が下がることがないようにということでありますとか,高度な「知のプロフェッショナル」にふさわしい俯瞰力,独創力,また高度な専門性が養えるような広範かつ一貫した教育課程を構築するものでなることが対象となる事業でございます。

 また,次の丸でございますが,先般の平成28年4月の「『卓越大学院(仮称)』構想に関する基本的な考え方について」で示されている期待される取組につきましては,以下に示す例示を参考といたしまして,各大学のプログラムの内容に応じて適切な取組を進めていただくことが期待されるものであることが述べられてございます。

 こちらの内容につきましては,詳細は省略いたしますが,例えば,既存の研究科等や機関の枠を超えて,どのような高度な研究を通じた組織的な教育を実施するのか。卓越した人材を育成していくのか。こういったところが述べられているものでございます。

 5ページでございます。2)「事業の期間」については,概算要求上,10年間を想定しているところでございます。

 「公募の領域」につきましては,4つ,従来より設定されているところでございます。この領域については,複数領域を設定すること,選択することが可能。その際には,「最も重視する領域」を1つ選択することになってございます。

 5ページの4)からが,「審査の方針」でございます。審査につきましては,事業の目的に照らしまして,プログラムが卓越しているかどうか,構想の実現可能性があるかどうか,プログラムの継続性及び発展性が確保されているかどうか,実効性があるプログラムなのかどうかという点について,教育研究の観点のみならず,マネジメントの観点から総合的に勘案することをされております。

 6ページの上の方に行っていただきまして,大学には申請に当たり,「人材養成上の課題を明確にすること」,「明確にされた課題の解決に向けて検証可能かつ明確な目標を,プログラムの目的に相応しい水準で自ら設定すること」,「目標達成のために申請大学全体で大学院システムをどう変革するか明確にすること」を求めるということを頂いてございます。

 5)は,「申請者等」でございます。こちらについては,従来の大学院の支援施策と大きく変わるわけではございませんが,いろいろ学位プログラムの申請単位とすること,その他,記述があるところでございます。

 6)「事業規模」ということでございます。こちらについては,事業期間を最大10年間想定している中で,適切な規模の所要経費を算出していただきたいということについて述べられているところでございます。

 また,7ページの一番上でございます。平成30年に公募がなされる場合にあっては,遅くとも平成31年4月には学生の受け入れを開始してくださいということを述べているものでございます。

 7ページの3ポツでございます。「審査方法等」でございます。こちらについては,競争的な環境の下で公募・選定を行うこと。

 卓越した博士課程教育プログラムに関する知見を持つ有識者により構成される審査委員会を設けること。

 審査は,書面審査及び面接審査の二段階審査とすること。

 面接審査においては,学長その他申請内容に関して責任を持つ者が対応すること。このような点について御提言を頂いてございます。

 4ポツ,「申請内容・方法等」でございます。こちらは,具体的にどのような内容を申請していただくのかということについて触れているところでございます。ここにつきましては,今回,委員会の議論の中で,記載事項につきまして,大きく2つに分けることを御提言いただいてございます。

 これにつきましては,(1)番にあるような,各大学の構想の根幹となる事項については,「全般的事項」ということで,必ず記載していただくことにしてございます。

 (2)の部分,「個別記載事項」につきましては,あくまで参考であって,全てを記載する必要はない。あくまで申請者が独自の構想を提案してくることを前提に,その構想の内容に応じて,例えば「全般的事項」を具体的に説明する観点から必要なもの,若しくは内容について御検討いただいた上で記載いただくということを想定しているものでございます。

 「全般的事項」は,必須で記載事項でございます。7ページの(1)でございます。国内外の優秀な学生を高度な「知のプロフェッショナル」,すなわち,あらゆるセクターを牽引する卓越した博士人材へ育成するため,国際的に通用する博士課程前期・後期一貫した質の保証された学位プログラムを構築・展開する取組内容を御説明いただくということでございます。

 2つ目,先ほどの5ページの4つの領域の中で「最も重視する領域」を1つ選んでいただくことになっているわけでございますが,この領域を中心に,申請プログラムが国際的な観点から見て有している特色,卓越性,優位性について御説明いただくということでございます。

 3つ目,学長を中心として構築される責任あるマネジメント体制の内容,大学全体の中長期的な改革構想の中での当該申請の戦略的な位置付け,高度な「知のプロフェッショナル」を輩出する仕組みの継続性の担保と発展性の見込みについて御説明いただく。この3つについては,必須記載事項ということでございます。

 一方で,8ページから掲げられておりますところの「個別記載事項」は,括弧で囲ってございますけれども,例示として示すものでございまして,これは一律に記載を求めるという趣旨のものではございません。これにつきましては,各大学の構想の内容に応じて記載いただくという趣旨でございます。

 1つ目の丸,「マネジメントに関する事項」ということで,「プログラム」という部分でございますと,学内でプログラムに対する理解,学内の協力体制がしっかり確立されているかどうかといったもの。

 また,申請大学や連携機関との間でプログラムに関する理念が共有されているかどうか。

 3つ目,学生に対する適切かつ柔軟で継続性が見込める経済的支援の内容。

 4つ目,学位プログラムの継続・発展のための多様な学内外の資金の確保・活用方策。このようなことを例示として挙げさせていただいてございます。

 「大学全般」というところにまいりますと,プログラム実施による学内への波及効果。

 プログラム実効性確保のための外部評価体制,PDCAサイクルの確立等によるプログラムの検証・改善の仕組み。このようなことを例示として挙げてございます。

 「教育・研究に関する事項」といたしまして,養成する人材像が解決に寄与することが期待される社会的課題。

 2つ目,特に優秀な学生を育成するための特筆すべき教育プログラムの質保証や教育研究指導体制の体制構築についての事項。

 学生に独創的な研究を計画,実践させるための工夫。

 優秀な教員の確保,若手教員を活用する観点からの取組。

 プログラム担当者の国際的水準から見た教育研究実績。

 修了者のキャリアパスの構築も見据えた人材育成・交流,新たな共同研究の創出等が継続的に展開される環境構築のための取組。

 プログラムの内容に応じた連携機関との連携。

 国内外の優秀な学生を確保するための工夫。具体的に申し上げますと,アドミッション体制の整備や学生のリクルートの手法。

 社会人の博士号取得を促進する観点からの工夫。

 プログラムの履修に当たって,学生に過度の負担が生じないような配慮の内容。このようなことでございます。

 最後,「その他の事項」といたしまして,各大学のこれまでの取組。これは,いわゆる博士課程教育という観点からの博士課程教育リーディングプログラム,また,グローバルCOE,21世紀COE等となってございます。この中には,過去,文部科学省が行ってまいりました様々な事業が含まれるわけでございますけれども,教育改革支援事業,また,教育という観点にとどまらず,世界トップレベル研究拠点形成プログラム(WPI),産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA),センター・オブ・イノベーション(COI)等々,研究支援の事業といったものも含め,また,その他大学独自の取組も含めて,全体としてどのような連携や成果,実績を活用していただくのか。

 また,産学共同研究を行う場合においては,その合意の内容。このようなことは,あくまで「個別記載事項」,例示ということでございますけれども,この内容にとどまらず,各大学の構想,独自性を説明していただく観点から,ある程度自由度を持って記載していただくことを想定しているものと称してございます。

 9ページでございます。2)「申請資格」でございます。これは,いわゆる私ども文部科学省高等教育局で行っている国公私立の横断的な補助金について,一般的な規定でございます。大学として,外部評価や運営その他に関し,極めて低い評価を受けている場合は申請ができませんということ。また,その他既存の事業の公募を参考として定められた申請資格を持たない。これは,申請資格を持たない場合は申請できないということでございます。

 3)「申請書類」については,これまでの「全般的記載事項」,「個別記載事項」を踏まえて,様式はこれからまた御検討いただくということでございますけれども,大学の構想を過不足なく記載していただきたいということでございます。

 「その他留意事項」ということでございます。この事業の評価については,毎年度フォローアップを行うということ。また,各大学の設定した目標の達成状況については,しっかり把握をするということ。

 また,例えば10年間ということであれば,4年目,7年目の中間評価を実施するということ。最終評価を実施するというスキームでございます。

 「その他の留意事項」でございます。ここは,従来の事業と異なる点でございますが,事業期間が修了した10年間,つまり事業を行っていただいた後に,当然,博士の修了者が輩出されるわけでございますけれども,修了したらおしまいということではなくて,事業の終了後10年間ということでございますが,それまでの間は大学においてプログラム修了者について追跡調査を実施していただいて,その実績を毎年度文部科学省に報告していただくということ。

 また,プログラムの海外渡航などを行うものがあるわけでございますが,こういったところについては,しっかり安全確保に配慮するということを述べております。

 こちらにつきましては,今,中間報告ということでございますので,今後,日本学術振興会の委員会で本報告の内容も踏まえながら,公募要領や申請書類をどのようなものにしていくのか,審査基準をどうしていくのかということについて,引き続き御検討いただくということになっているわけでございます。

 以上が,資料3-2の説明でございます。ありがとうございました。

【有信部会長】  どうもありがとうございました。

 文章になると,ぽろぽろ抜け落ちたり,誤解を呼んだりするところもあるかもしれませんので,いろいろ御質問があればどうぞ。

 はい,どうぞ。

【五神委員】  この博士課程教育の強化については,まさに本部会で長年にわたり議論してきたことです。私は以前から専門委員として参加していたので,その経緯が頭にあります。この場で博士課程教育について議論するのであれば,大学院部会として,今までどのような議論が行われてきたのかということをきちんとリストにして出してほしいです。「知のプロフェッショナル」という言葉を用いたのは,2015年9月の大学分科会審議まとめ「未来を牽引する大学院教育改革~社会と協働した「知のプロフェッショナル」の育成~」です。それに至るまで,いつ,どのような議論があったのか,今御説明いただいた資料とは別紙でも結構ですので整理して共有していただきたいと思います。それがないと,委員が変わるたびに過去の議論と同じことを,同じフェーズで繰り返すということになり,非常に大きな時間のロスになります。

 「知のプロフェッショナル」という言葉は,当時,ちょうど私が入学式で使った言葉です。それが引用されたので,よく覚えているのですけれども,先ほど述べたように,それを用いた報告書があります。その前には,グローバルCOEの成果を検証したものとして,たしか有信部会長がヘッドで,私も協力させていただいたのですが,かなり詳細にその成果をフォローアップした資料があります。それは,データを基にどのような成果が上がったかということを検証しています。その前には,21世紀COEプログラムがありました。21世紀COE,G-COEの後には,博士課程教育リーディングプログラム,卓越した大学院拠点形成支援補助金事業もありました。これらの経緯を踏まえて,今回,この卓越大学院という事業がどのような位置付けなのかを明確にする必要があります。

 今の説明は,今までやってきたのと同じような位置づけで,グッドプラクティスを募ってやってみましょうと聞こえ,それでは,これまでと同じで,トライ・アンド・エラーをまたやるのですかという話になりかねません。少なくとも私が参加した2015年の報告書では,今度こそきちんと制度として定着させるという観点で議論しました。そしてそのために,かなり弾力的な制度設計をしようという配慮がなされていました。その部分自体は今回の卓越大学院の検討にも活かされていると思うのですが,その根本的な立ち位置を最初にきちんと委員間で共有しないと,今後また同じ議論が繰り返されてしまうと危惧しています。

 博士課程教育の強化をめぐる過去の議論の中で,たしかこれは有信部会長とも,GCOEのフォローアップをした頃に議論したのですが,これからは修士課程教育の見直しもきちんとやらなければならないというような結論に至ったことを覚えています。しかし今回は,博士課程のプログラムとして議論が引き継がれる中で,そのときの積み残し課題であった修士課程教育の見直しの部分が,先ほど議論のあった専門職大学院の議論の方にシフトしてしまった印象を受けます。

 まずは,日本全体の大学院教育を考えるという視点で,修士課程1学年は約7万5,000人,博士課程は約1万5,000人という規模感を認識し,どういう人材を育てるために,どのプログラムの中で,どのぐらいの規模をカバーしていくのかという全体のポートフォリオの整理をすべきです。その上で,それを達成するために,今回は新しい事業としてなにを目指すのかという議論を,最初のところできちんとしていただきたいと思います。

 例えば,博士課程で言えば,1学年1万5,000人ぐらいが在籍する中で,この事業は何人ぐらいをカバーするものだという具体的なイメージをもった施策になることを,私は前回の議論のときに期待していたのです。しかし,今回の議論ですと,様々な観点で博士課程の強化へのきっかけになるようなグッドプラクティスをまた募りましょう,という議論に後退してしまったようにも見えるので,そこの基本的なスタンスは,是非具体の議論が始まる前に確認していただきたいと思います。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 今,おっしゃるとおりの話で,一応歴史的には,それをしょって議論はしているんですが,少なくとも卓越大学院構想というのは,前期の大学院部会で,五神委員も参加された報告書に基づいて,次の施策として出てきた。おっしゃるように,同じことの繰り返しではないという意識では来ているんだけれども,表現上,どうしてもそういうふうになるということと,従来は示してあった場合もありましたけれども,今までの施策の経緯がグローバルCOEからリーディング大学院を経て,ここに至ると。その間にもいろいろありましたけれども,もともと大学院教育改革プログラムから始まって,延々とやってきているわけですよね。

 だから,卓越大学院というのが,いわばほとんど最後の施策というんですかね。これで決定的に大学院改革をやらないと,先が見えないというところぐらいまで来ているという意識ではあるわけですけれども,それは余り今の説明ではよく見えなかったということもある。

 はい,何か。

【五神委員】   改めて質問をさせていただきます。1学年1万5,000人いる博士課程の規模の中で,今回の施策によって,全体の何割ぐらいをカバーするか,という規模感の議論は,大学院教育全体のサポートのシステムをどのように設計していくか,という議論にもつながる重要な議論です。この規模感について議論はされたのでしょうか?

【有信部会長】  規模感は議論したんだけれども,結果的にどれくらいという話までは行っていないですね。

 実際に,例えば今の大学院のリーディングプログラムでカバーしている大学院生の数は,大体4,000人程度と言われています。ドクターコースの学生は1学年1万5,000人掛ける3で数えるのか,あるいは修士課程から含めて考えるのか。それだと掛ける5ですね。だから,1万5,000人掛ける5で,その中の4,000人ぐらいの割合ということになりますね。

 だから,恐らく規模的には,今,概算要求で出している予算との絡みと,今回のものについては,実際に大学側の様々な工夫によってマルチファンディングも含めて申請を認めるということになっているので,規模感はなかなか分かりにくいところがあるんですけれども,ざっくり言って,その流れの中で決まる,これは文部科学省側の予算ベースで何か考えがあればというところもあるんですけれども,何かありますかね。

【三浦大学振興課長】  一番最初に御説明させていただいたとおり,概算要求中のものでございまして,その結果がどうなるのかということにも,結果的には大きく影響されるということでございます。我々の当初の構想としましては,まさに今,座長がおっしゃっていただいた,リーディングプログラムというのは,やはり5年一貫で優秀な学生に後期課程まで進んでもらおうというコンセプトで始まって,結果的に4,000人規模ということでやっているわけでございます。

 もちろん,今回の卓越大学院プログラムは,今御説明させていただいたとおり,できるだけ限定しないで,自由な発想で申請していただこうというコンセプトもございます。したがいまして,様々な分野から出てくることを想定しますと,これぐらいというのを外形的に申し上げるのは難しいとは思いますけれども,少なくともその半数程度は何とかカバーしたいとは思っています。結果的に,どのようになるのかというのは,今後の様々な折衝次第かなと思っております。

【有信部会長】  正直な話,学審での議論の前の有識者会議というものが組織されて,卓越大学院制度についてどうあるべきかという議論をやったときには,規模感の議論もかなり出たんですけれども,結局,規模感そのものについては,いろいろな観点から詰め切れなかったというのが正直なところですね。

 ただ,それは,今おっしゃるように,施策上は日本全体の中でどれぐらいの人間をこうやって育成していくのかというぐらいの目安は持っていなければいけないという指摘は,確かに謙虚に受け止めます。

【五神委員】  

 財務省がどう査定するかというのは,順番としては後の話であるべきです。やはり国全体でどう博士課程教育を強化するかという議論をまずは行うべきです。博士課程が年間1万5,000人いるということですから,ご指摘のようにリーディングプログラムでカバーされているのが4,000人ということですと,1学年で千数百人となりますから,全体の10%ぐらいです。その1割ぐらいの学生をこの施策とリンクさせることによって,博士課程教育全体をどう強化するかという議論がベースにあるべきです。議論の出発点として委員の間でこうした共通理解が必要だと思います。

 その上で,財源が幾ら必要かは,そのプログラムの作り方,施策の作り方によります。マルチファンディングの話もあります。また,今までのような給付ベースに近いような学生の支援まで全て財源に積み上げると,財源は即プログラムの規模を規定するということになりますが,そこは発想を変えればもっと柔軟にいろいろなことができるはずです。

 ですから,まず国家戦略の中に博士人材をどのように位置付けるかという議論が必要です。学位プログラムという,達成すべき能力が非常に明確化された形の学位を博士課程教育リーディングプログラムでせっかく作ったので,それを広げていこうとする中で,卓越大学院をどう位置付けるか,と議論するのが筋だろうと思うのです。

 そうであれば,財務省との交渉の事情と関係なく,規模については我々が主体的にこの場で決定できるのではないかと思ったので,そういう言い方をさせていただきました。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【川端委員】  有識者会議についても,これに少し入っていたんですけれども,今言われた話が1つのゴールで,しょせん事業費で賄った人間だけを育成するという時代は終わっていて,これがスモールスタートアップとなって,大学ごとに,個性によっては社会人にもっと特化する大学もあるだろうし,中から入ってくるのを特化するのもあるし,海外を特化するかもしれない。そういうものを徹底的に強くしていくように裾をどう広げるかという大学院教育改革を,この事業費でスモールスタートアップしましょう。

 だから,全体として,1万6,000人の中のどの割合になるかは,各大学の個性化によって決まっていくというのが大きいストーリーだと,我々はそういう意識の中でこれを作り上げていったという意味で,五神先生が言われる話と,そんなには食い違っていない基軸の中でこれが作られていると,少し補足させてもらいます。

【有信部会長】  五神委員の御指摘はおっしゃるとおりだと思います。実際,今後,また具体的に積み上げていく中で,それを考慮しながら全体像を描ければと思います。

 なかなか難しいんですよね。はっきり言って,規模を明らかにして,人数を全体に示すと,またそれにわっと群がるという構図は作りたくないということもあります。できるだけ,有識者会議で議論した精神のところが生きるような形で全体をまとめていきたいと思います。

【五神委員】  何度も申し訳ありません。この点は難しいことはよく分かっていて,その上でなお議論をきっちりされたことも,私は分かっています。しかし,だからといって,最後の難しいところで腰砕けになると,いつもと同じ結果になってしまいます。今回危惧しているのは,卓越大学院のターゲットがあいまいなために,各大学の現場で募集・応募合戦のような状態になるのではないかということです。その書類作成のために,先生たちの貴重な研究時間を大量に奪うということにならないようにするために,あえてそこは難しいことを承知で共有したいと思って発言させていただきました。【有信部会長】  ということで,心して,今後進めていく。検討のメンバーの方々もこの中に何人かおられますので,よく頭に入れて進めていければと思います。

 実は,五神委員が指摘されたようなことは,この後の議論でもやるつもりでいて,今後の大学院教育をどうしていくかということと併せながら議論して,その結果を,ある部分は卓越大学院にも反映するし,ある部分は,今検討されている,大学分科会の将来構想部会の中で,将来の高等教育の在り方を検討するということで議論が進められていて,その中にもできるだけ生かしていくということでやっていきたいと思います。卓越大学院に関しては,まだ今後もいろいろ不明な点について質問を受け付けながら,それを即時に公開しつつ,できるだけ誤解なく進めていけるようにしていきたいと思っています。これも,よろしく御対応をお願いできればと思います。

 では,次の平野さん,大学院教育の在り方について,簡単によろしくお願いします。

【平野大学改革推進室長】  失礼いたします。

 前回の第81回で御議論いただいた資料を,もう一度,簡単に御説明いたします。資料5でございます。こちらを前回,事務局より御提示をいたしまして,各委員の一部の先生から御意見を頂いたところでございます。

 資料5はお手すきの際にごらんいただきたいんですが,きょうは時間が限られてございますので,資料4で前回どのような意見があったのかということを中心に御説明させていただきます。

 大きく分けますと,入学,修了といった入口,出口の観点に関する御意見がかなり多ございました。次に,教育内容,カリキュラム関係の議論。また,その他という重み付けになってございます。

 資料4の1ページ目でございます。「入学・修了関係」ということで言いますと,まず入口の部分で,博士離れ,志願者の確保ということについての御意見を頂いてございます。

 例えば,2つ目の丸,博士の志願者が減り,選抜が機能していないおそれがあるのではないか。アカデミア,研究者というものの魅力が低下しているのではないか。

 3つ目の丸でございます。博士に進学してもらう上でのリクルーティングやマーケティングがなされていないのではないか。優秀な学生をリクルート合戦してもおかしくないのに,当然のように優秀者が進学してくるはずだという前提で課題を捉えるのはいかがなものかといった御議論もございました。

 また,5つ目の丸でございます。日本型の教育は修士から研究を軸にしてしまって,博士もその延長線上になっている。修士はスクーリング中心で博士になったら研究する,このようなことも考えられるのではないか。

 次に,出口の議論でございます。キャリアパスの多様化というところも含んでいるわけでございますが,1点目,リーディング大学院と一般の博士課程の進路の違いについて分析が必要ではないか。

 例えば,3つ目,外資系企業は,ドクターをプラスに捉えて評価してくれた。日本企業はもっと頑張るべきではないか。

 5つ目の丸。これからリーダーになるべき人材をどう育成していくのかというハウツーのところを,もっと産業界と大学とで議論すべきではないか。

 1ページ目,一番下の丸。博士の経歴の多様化が博士の有用性を理解することにつながるのではないか。このような御意見がございました。

 2ページに移ってまいります。「博士の活躍状況の可視化」。これは,前回の取りまとめにおいても御議論があったかと存じておりますけれども,日本社会全体として,博士課程がどのぐらい役に立っているかというのを示さねばいけないのではないか。

 2つ目の丸。Ph.Dの取得が「知のプロフェッショナル」としての称号を与えられることだという認識を学生が持てていないのではないか。

 3つ目。グローバル企業におけるPh.Dホルダーの数であるとか,採用時の処遇について具体的なデータが必要ではないか。

 次に,「人材流動性の向上」というところで,例えば,2つ目の丸。やはり,まだセクター間の流動性が非常に低いのではないか。このような入口,出口に関する御議論を多数頂いたところでございます。

 また,2ページの2ポツ,「教育内容・カリキュラム関係」という意味で言いますと,グローバル化対応について遅れているのではないか。欧米について,地頭では負けていないけれども,即戦力という意味で厳しい状況があるのではないか。

 下の方,「組織の枠を超えた人材育成」という意味で言いますと,教育機関以外の機関も一体となって人を育てていく体制が必要ではないか。

 3ページに移りまして,生産性を向上するという観点から,部局の壁を取り払って生産性を高める仕組みを考えていくということが必要ではないか。

 「人文・社会科学系の課題」も挙げていただいてございまして,文化系の博士が,3つ目の丸でございますけれども,教員以外の進路が見えてこないという中で,留学生ばかりになっているという状況をしっかり踏まえるべきである。

 最後の丸でございますが,リーディング大学院にも関与しているけれども,人文系はメーンストリームになっていないので,人文系として何をすべきかを見えてくるようにすることは大変重い課題である。

 「その他」というところについては,専門職大学院について御意見を頂いたところと,リーディングについては,リーディングプログラムの修了後に元に戻ってしまうのではないかという危惧。

 リーディング大学院のオールラウンドプログラムについて評判がいいということについて,御言及を頂いているということでございます。

 また,最後,4ページ目でございます。リーディング大学院についてなみならずでしょうけれども,この10年間,博士課程に集中的に予算等を投下してきたが,なかなか対象以外への波及がないのではないか。

 また,波及という意味で言いますと,リーディングのうまく行っている取組を,ほかの大学にどう展開していくかといったことが非常に重要ではないか。前回は,このような御意見を頂いたところでございます。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 何せ司会の議事運営がなかなかうまくなくて,時間がだんだん迫ってきています。今回は,特に前回,それぞれ御意見を頂いた結果を,今ざっと説明していただきましたが,前回御出席の方で御意見を頂いていない方,あるいは今回初めて出席された方の御意見を一通り伺って,その上で具体的な議論に進みたいと思います。

 前回,御意見を伺っていないのは,井上委員,樫見委員,加納委員,小西委員,高橋委員,田中委員,堀切川委員,それから,今回初参加が五神委員,湊委員,沼上委員ということなので,どうしますかね。今言った順番で,1人3分くらいかな。

 では,井上委員から,よろしくお願いします。

【井上委員】  九州大学の井上です。よろしくお願いします。確かに前回,発言しておりませんでした。

 前回の議事録をまとめて拝見させていただいたんですけれども,私が常々考えていることを,たしか2015年にIDEに意見を書かせていただいたことがあります。例えば,博士離れで優秀な学生がなかなか博士課程に進学しないというのは,やはり就職に対するリスク,将来への不安というのが一番大きいわけで,それを解消する方法として,官公庁も含めてというのが一番理想なんですけれども,修士の2年生のときに,3年後の就職先を内定という形で,ある意味テニュアトラックみたいなもので,企業に籍をキープしておき,社会人博士という意味ではなくて,ドクターコースに進むと研究に集中することができます。もし企業がある程度の働きに見合った給与を出していただけるんでしたら,授業料に相当する程度でもいいかと思うんですけれども,それにより,仕事も研究もしっかりできるし,かつ優秀な人が定着してくれる。かつ,3年たったときに,本当に全ての人を採用するというわけではなくて,もちろんそれは見習い期間みたいなものですので,その人材をよく見ていれば,この人を採用しよう,採用するのは辞めようというのは見えてくるわけです。そのような採用時期や給与のゆとりの幅を制度として考えていただければ,博士課程に進む優秀な学生はかなり増えていくのではないかと思います。

 もう一つ,バーチャル研究所みたいなイメージを考えているのがあって,これは学振のポスドクに相当するようなものなんです。例えば,国の予算の規模で言ったら,100億円とは言いませんけれども,60億円ぐらいの予算で,学振と違って,この事業で採択された各機関がポスドク(テニュアトラック型)として採用していくということで,総計1,000人規模の研究費とお給料も含めて考えていただければ,将来有望な研究者としての安定した足掛かりを作ることができる。日本のドクターの学生のデータベースが充実しないというのが文部科学省の悩みでもあると思うんですけれども,ドクターの学生やポスドクのデータベース,ここにまず登録することによって実数をつかむことができる。そういうバーチャル研究所から各大学へ,各研究所へテニュアトラックとして採用できるチャンスが出てくるということが実現するようになったら,かなりうまく進んでいくのではないかと思っています。それほど大きな予算ではないと思っていますので,是非,先に繋がるような研究とポスト,若い人が夢を持てるようなポストを作るための足掛かりを具体的に考えていく必要があるのではないかと思っています。

 以上です。

【有信部会長】  今の前半の話は,産業界サイドとも議論したことがあって,これは結構可能性はあると思います。むしろ個別にいろいろやれば,可能性はあるのではないかと思っています。

 では,樫見委員,よろしくお願いします。

【樫見委員】  前回の議論をお聞きしながら,かつ今回の3ページのところに「人文・社会科学系の課題」ということで書いてあることが,専門からしますと非常に重いと感じました。やはり理系,あるいは医系ですと,産業界との連携というのは結構見えやすい。あるいは,どのような人材が必要かということも見えやすいのですが,人文・社会科学系のところで,よく一般的には新しい価値,あるいは知の創造と言われるのですが,具体的に何を生み出し,それを生み出す人材として,どういう具体的な人材像を考えるのかというところが非常に重いなと。

 他面と言いますか,文理融合ということも言うのですが,どういう形で融合させることが日本の将来にとって我々に求められているのか。ここのところは,かなり知恵を絞らなければいけないのかなと。

 前回の議論をお聞きしていましたら,リーディングプログラムについては,企業側からも委員の方からもかなり肯定的な意見を頂いたのですが,その点,人文・社会科学系に対して,こういう新しい価値観や知を求めているということを提言していただければ,こちらの方もそれに対応した何かを創造するということとができるのかなと。

 この議論については,前回初めて参加させていただいたので,まだ理解が足りないところもございますけれども,ここのところが私たちにとっては非常に重い課題だなと受け止めさせていただきました。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 それでは,加納委員,お願いします。

【加納委員】  すみません。前回は発言をさせていただかなかったんですけれども,いろいろ議論をお伺いしている中で,学生にとって大学院になぜ入るのかというところが,いろいろバリエーションが多過ぎて,大学院単位での色が余り見えないなという気がしています。

 例えば,カナダのウォータールー大学だと,大学学部の4年生から,企業への就職,エンジニアを目指す大学院というので,6年,あるいは博士後期課程を含めた9年間の課程,カリキュラムの中で,卒業した時点で企業人として働ける人材を出していく。つまりどういうことかというと,修士課程の後半から博士課程の3年間というのは,基本的には企業との共同研究や企業とのプロジェクトに参加するということがカリキュラムの中にきちんと入っているんですね。

 一方で,例えば,パデュー大学ですと,大学院の5年間を掛けて研究者としての基礎をきちんと養うという目標を大学の入学のときに示しているわけです。これは,いわゆる大学院にしろ,学部にしろ,大学のプロセス全てが,そこを卒業したら,学生にとって,自分が何のポジションを得られるのかということを明確に示しているというのがある。このあたりを,それぞれ大学の中の大学院でもあるでしょうし,大学の色もあるでしょうし,こういう明確な色を示すというのも,1つの学生が大学院に入っていくという目標感というか,目的感を持たせるには非常にいい制度になるのではないかなと感じました。

 以上です。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 それでは,小西委員,お願いします。

【小西委員】  先ほど発言しましたので,2分以内でということで。

 専門職と言えば,修士の議論しかされないわけですが,先ほどお話ししましたように,学部との5年一貫教育を育成の立場から考えています。

 あともう一つ,連携を考えていますのが,博士後期課程との一貫教育ということでございます。当研究科は,博士後期課程は専門職ではない形で設置しており,専門職修士との一貫性をいかに考えるかということに苦心しております。

 博士後期課程を研究者育成で考えるというのは,当然できるのですが,リカレント教育でどうやって博士後期課程につなげた教育を実践するかが非常に難しい点でございます。

 先ほどお話ししましたように,会計の領域では,国際的なレベルで物事が決まってきていますので,先ほどのIFRSを設定する機関(IASB)や国連などでは会計の領域で経済的な事象を取り扱うだけではなくて,社会的な側面や環境的な側面なども考慮した非常に広範囲な辞表が会計の領域で取り扱われるようになっております。そういういろいろな国際的な機関へ日本の会計専門職が出ていかなければならず,そうしたときには,やはり博士号の肩書のある非常に高度な専門家が必要になります。

 しかし,今の専門職の修士だけでは,博士後期課程との連携がうまく保たれているとは言い難いのが現状ですので,是非ここでも専門職の博士後期課程について,お知恵を頂ければと思います。

 以上です。

【有信部会長】  博士課程が作れないというわけではなくて,例えば,パブリックヘルスのようなところは,マスター・オブ・パブリックヘルスと併せて,ドクター・オブ・パブリックヘルスという学位を出しているんだけれども,設計上は,たしかおっしゃるように専門職大学院の設計ではなくて,学位としてつながっているという格好になっているので,その辺は検討事項だと思いますね。

 では,次に高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】  育てるべき人材をもう少し明確にしないと,もう間に合わないという認識をいろいろな面で持っております。

 論点ですとか,どういう人材があるべきだというところは,もう既にこれまでの委員会でいろいろなことを御指摘なさっていて,ほぼほぼ論点抽出はされているのではないかという認識をしています。

 それに対して,例えば,この議論で「知のプロフェッショナル」だとか,アカデミア以外に博士人材がどういうところでやっていくかというところを,今回の卓越大学院プログラムを使ってどうしていくかということを考えるときに,私が思っているのは,教育手法や大学院というものを取り囲む社会情勢が大きく変わっているので,今後,いつでも,どこでも,世界最高のプログラムがほぼ無償で取られると言ったときに,最後に価値が残るのは,恐らくラボレベルで,生の人たちが時間を供してやり取りする。そこが,多分こういう卓越大学院プログラムが現場でフェイス・トゥー・フェイスでできるところの魅力になるんだと思います。

 そのときに,1つ思うんですけれども,コンセプトベースでは公募要綱を始めいろいろな文章で,事業設計の目的や方向性などが書いてあると思うんです。ここで課題は,各現場での,このプログラムを実装する方たちが,どの程度そこが分かっているかによって,大きくその効果や,事業の果実が変わってくる,という点です。一番心配しているのは,「各大学の特徴を生かしたプログラム」と書かれているにも関わらず,現場で教えていらっしゃる方たちが,まだ研究者,アカデミックに行くことが大学院のドクターコースのメーンストリームだという前提に閉じてしまうことによって,授業が運営レベルで変換されてしまうことが,結構もったいない1つのロスではないかと思っています。

 なので,せっかくチャンスの卓越大学院プログラムでは,規則で縛ることではなくて,各現場の先生方に,ここの議論と同様な問題意識を持って,アカデミックではない,うちの大学であれば,社会,企業で活躍するドクターを専ら育てるというような特徴出しのところを自ら実施していただく,それを後押ししていただければなと思っています。

 以上です。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 そのとおりだと思いますけれども,なかなか難しい話です。そういう方向で進めたいと思います。

 では,次,田中委員,お願いします。

【田中委員】  私,前回話したような気もするんだけれども,しゃべっていいですか。

【有信部会長】  どうぞ。しゃべっていないことになっているんだけど。

【田中委員】  1つ,やや細かいことなんですけれども,「人文・社会科学系の課題」の中で,何と言ったらいいのか,英語の問題。これを言うと,一部の学問分野の人からは大変不評なんですけれども,人文・社会科学系の中で,博士号を持った人たちが,グローバルにコミュニケーションがうまくできるか,できないかというのは,今後の日本にとって非常に大事だと思うんですね。ですから,日本の最高水準の人文・社会科学系の学問業績が,ちゃんとコミュニケートできるか,できないか。これは,今後の日本の将来を左右するのではないかと思います。

 その中で,社会科学系は,特に経済などは,比較的英語は問題ないですね。それから,外国研究をやっている方は,その国の言葉はかなりできる。ただ,外国研究をやっている方に,「英語もやってね」と言うと非常に不評で,「英語帝国主義だ」と言われるんですね。

 ですから,その辺は非常に微妙なところはあるんですけれども,私がこの頃,非常に痛感しているのは,人文・社会科学系で日本を研究しているすぐれた研究者の人のグローバルなコミュニケーション能力なんです。日本を研究している人は,日本人で,日本の大学で,日本を研究しているわけだから,世界で言えば,多分世界最高水準なんですよ。だから,往々にして,日本研究をやるなら,自分のところに学びに来るんだから,日本語を習えよなと,ずっとやってきているわけですね。

 それは,留学生を教えるのに関しては正しいんですけれども,世界から日本の人文・社会科学系に求められている中で言うと,世界最高水準にある日本研究の状況を世界に教えてくださいねという話なんですね。

 これが,なかなかうまく行かなくて,日本の文学をやっている人や日本社会をやっている人,日本経済,日本の行政もそうなんですけれども,「英語で何とかやってくれませんか」とお願いに行くと,「いや,英語なんか習いたくないから日本をやったんだ」とおっしゃるんです。

 そうは言わないでほしいということで,これが具体的に,日本をちゃんとやっている,日本の大学で育てた研究者が英語ができないとどうなるかというと,結局,東大でもそうです。外国人やインターナショナルプログラムで,日本のことを教えないとぐあいが悪いんですよ。「日本のことを教えてくれ」と頼みに行くと,「では,誰が教えるんだ」と言うと,なかなか文学部の先生や教育学部の先生や法学部の先生は,例外を除くと尻込みする。そうなると,アメリカで,日本研究のPh.Dを取った中国人の先生や韓国人の先生に,こちらに来てもらって教えてもらうということになっているわけですね。

 ですから,別に国籍でいろいろ言う必要はないんですけれども,日本の大学院教育の中で,もう少し人文・社会系で,とりわけ日本をやる場合の博士課程のレベルで,英語で議論,討論,その他,授業ができるぐらいのところまでやってもらわないとぐあいが悪いかなと,私は思います。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 確かに重要な問題だと思います。

 それでは,堀切川委員,お願いします。

【堀切川委員】   大学院の教育をこれからどうしていくか。特にドクターコース,「知のプロフェッショナル」を養成していくのに云々というのは,理想像は見えているかもしれないんですけれども,実際にはお金が掛かるので難しいのかなと思っています。

 例えば,若手の教員をたくさん確保したいといっても,人件費の問題があって,教員数の問題があって,ドクターコースを増やそうとしても,今度はそれを産業界がなかなか採ってくれない。それを,全部同時に解決していかないといけないというのが,非常に難しいところかなと思うんですけれども,基本,お金が掛かるので,そのお金をうまい方法で手に入れる作戦をここで練ってもいいのかなと,実は思いました。

 例えばですが,文部科学省に各大学が「教員の枠を増やしてくれ」と言われてもお金はないわけです。現状,それに対応できる1つの制度が,多分,寄附講座なんだろうと思います。産業界のニーズに合わせた研究をして,人材を育成するという意味でも,これは機能しているとは思うんですけれども,今は会社もなかなか大変で,大型のお金を何年間も用意するというのは,そう簡単には行かない。

 文部科学省以外の省庁のお金を使ってドクターコースを充実させるという意識を持たれたらいかがかというのを,私は前から考えています。

 例えば,寄附講座のようなものを経済産業省さんが,ある部分を強化したいといって講座設置に必要なお金をどんと出していただいて,産業界からそれに合う優秀な人材を出してもらうという意味で,私は官民が連携した新しい講座のスタイルを設置するのがいいのかなと。あるいは,既存の寄附講座の枠組み内でもできるとは思うんですけれども,ネーミングがいい方がいいなと思っていて,例えば,「産学官連携講座」とか,「官民連携講座」という言葉を作って,国のほかの省庁,例えば農水省さんが,今後こういう研究が必要だというのであれば,農水省さんが大学を選んで,そこにある分野で講座を設置してもらって,そこに大学の内部と産業界から人材が入っていけるとなると,産業界は,多分人件費は持つような気がするんですよ。

 あと,国のほかの省庁が,その部分を強化したいのであれば,例えば農水省がお金を出して,産業界が人材も出して,一緒になって講座を作るというのをあちこちでやれば,私は若手教員の枠もその間増えますので,行けるのではないかなと,実は思っております。

 うまく行けば,地方創生という議論も多分されるんだろうと思うんですけれども,地方自治体さんが,うちの地域はこれで行きたいというのであれば,地方自治体が講座を作って,そこに見合う人材を大学,あるいは産業界が一緒になって見つけてやっていく。例えば,3年,5年でやっていくというふうにやると,長い目で見れば,教員の枠も広がって,お金は外からやってくるということになるのではないかと思っている次第でございます。

 ちなみに,「官民連携講座」,「国土交通省講座」というような名称にすればいいと思います。それぞれが,これから必要な産業のキーワードを付けたようなものを作れば,文部科学省さんのお金をできるだけ節約して,大学院ドクターコースが充実するという意識を持ってもいいのではないかなと思う次第であります。

 以上です。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 それでは,前回,御欠席だった,まず,五神委員からお願いします。

【五神委員】  やはり国全体として,スピード感を持って,何ができるかということを見定めて行動に移すことが重要です。その中で,日本の大学教育,大学院教育の価値やストックをきちんと可視化して,それを活用することが必要だという方向で主張していくことが重要です。

 科学技術の急速な発展とともに,産業における価値の源泉が,物から知識,情報に移っていき,産業構造自体のパラダイムシフトが起こっています。これは,地方と都市の格差が解消に向かうとか,高齢者含め幅広い世代が価値創造に参加できるとか,男女共同参画についても明らかにプラスになるゲームチェンジを起こす可能性を持っています。そのときに,47都道府県全てに大学が立地し,そこには知識集約型へ経済・社会の変革を駆動するために必要な人材と知と高度な情報インフラなどもそろっているという状況は有効に活用すべきです。さらに,ゲームチェンジを先導する人材を育成する仕組みとして大学院も全県に揃っていることも重要な資産です。

 そういう切り口で見れば,例えば,北海道で一次産業のスマート化を行おうと考えると,この間,見学に行ったのですが,そこに北見工大という工業大学があることが極めて重要な価値を帯びてくるのです。つまり,現代の知識集約型へのパラダイムシフトの文脈でみると,大学院というインフラの価値が5年前,10年前とまるで違う重要性を帯びると思うのです。ですから,それをどう生かすかという観点で博士課程の強化の重要性を主張し,その制度・施策の設計を議論する必要があると思います。

 そういう意味で,120万人の18歳人口のうち,60万人が大学に行き,修士が7万5,000人ぐらい,博士が1万5,000人ぐらいという規模で,それぞれの中でどのようなポートフォリオで人材を育成すればよいのかという議論をし,スピーディーに結論を出さなければなりません。

 スピード感が極めて重要です。なぜなら今,団塊世代の方が六十八,九歳ですから,2025年には後期高齢者になるからです。団塊世代の方が長い間元気で生産活動に参加できるような新しい社会システムを早急に作らなければ,貴重な労働力である団塊ジュニア世代の多くが介護離職をすることになり,日本の活力は大きく減退してしまいます。それまでに働き方改革や,知識集約型への転換をしなければ,そこで勝負が付いてしまいます。加えて,ここ五,六年の間に確実に成果を出せることは何かと考えると,これから育つ人の育成ももちろん重要ですが,それだけではなくて,既に社会へ送り出した層へのリカレント教育の高度化は,極めて急務で重要です。そういう意味で,今までの21世紀COE,GCOE,リーディングなど,いろいろ講じてきたストックを,どう最大活用して,パラレルにあらゆる世代を価値ある転換へ総動員できるか,そのための施策を考えなければなりません。

 今回の卓越大学院も,それを後押しできるような仕掛けを込めるということが極めて重要です。スピード感をもってこうした切り口で必要性を打ち出せば,産業界などの信頼も得て財源の多様化も進むだろうと思っていますので,是非そういう議論を進めていただきたいと思います。

【有信部会長】  ありがとうございました。

 それでは,湊委員,お願いします。

【湊委員】  湊でございます。前回は欠席で申し訳ございませんでした。2点ほどお話をさせていただきます。

 1点は,少し戻りますが,先ほど五神委員が言われたように,これまで大学院制度は21世紀COE,それから,グローバル,リーディングと来て,これは卓越大学院に引き継がれようとしているわけですけれども,これが本当に日本の大学院制度の骨格を変えていくようなものなのか。そういう意識があるのかどうかというのは,かなり現場的には大きな問題だと思っています。下手をすると,単に付加的,あるいは補助的なものであって,これまでの大学院制度はずっと維持されたままで,その都度,新しいプログラムが補助的,あるいは追加的に重なってくるということなのかという点は,実はまだ大きな問題として残っているように思います。

 本当に日本の大学院の根幹や在り方が,いろいろなプログラムに応じた学位等へシフトする動きなのかどうかというと,現場に近いところから見る限り,どうもそういうふうにはまだ見えない。そこのところのコンセンサスがどのように取れるかというのは,大きな課題として残っているのではないかという気がします。

 それから,もう一点は,これもかなり情緒的な話になりますけれども,大学院,とりわけ博士課程の問題点というのは,数が減ってきている等々の数字上のことはあるにしても,加えていわゆる大学院生のマインドの変化というのが,実はかなり大きくて,これに対してどう対応していくか,どうすべきかどうかも含めて,考えていくべきだろうと思うのですね。どう違ってきているかというと,まず非常に均質化しているのですね。制度的には多様化しているけれども,主体の学生側が非常に均一化していて,昔のように切磋琢磨という雰囲気がないのですね。それは,外から入ってくる要素が余りないからだと思うわけです。

 今,ヨーロッパの大学では,例えば東欧,北アフリカ,ロシアから,優秀な若者がどんどん入ってきています。非常にコンピティティブな状況になっている。アメリカでは,依然として中国,アジアからの若者がたくさん入ってきており,アメリカもコンピティティブになっている。日本だけがコンピティティブな状況にはないように私には見え,これが非常に大きな質的な停滞を起こしているように思います。

 昔は,大学院修了後において留学というステップがあったのですね。ここで,若手研究者は非常にコンピティティブな状況を経験した。私なんかの世代もそうです。外国でもまれもまれて日本へ帰ってくる。今は,大学院が終わって,留学というステップ,ポスドクというステップが,余り大きな要素になっていないのですね。何となしに大学院が終わって企業などへ,ということが続いている。

 こういうコンピティティブな,敢えて言えば,修羅場をくぐるようなプロセスが,現在の大学院ではメンタルに余りないような気がします。そういうところが,日本の,少なくとも我々の領域では弱さになっている。そこにどう対応していくかというのが,非常に情緒的ですけれども,大きな問題のような気がしています。

 少しまとまりのない話ですけれども,その2点について,どこかで講義があればいいかなという気がしています。

【有信部会長】  はい。どうもありがとうございました。

 では,沼上委員,お願いします。

【沼上委員】  前回欠席して,大変申し訳ありません。

 前回の議事録というか,主な意見というところで,先ほど,樫見先生もおっしゃっていましたけれども,人文・社会科学系の課題がいろいろあるということをおっしゃっていたと思います。

 実は,社会科学系のドクターも少し変化しつつあるということを申し上げておきたいと思います。やはりファイナンスというか,金融系の世界とか,今,公務員も極めて博士号が必要になっている状態になってきているのではないかと思っていますので,社会科学系も徐々にドクターがすごく重要になってきている時代になっているというのが私の理解です。

 規模はまだ小さいですけれども,政策的に対応するときには,規模も重要ですが,変化の兆しの部分をどう捉えて促進していくかという発想も重要ではないかと考えています。

 もう一つ,卓越のような博士のプログラムもすごく重要ではあるんですけれども,我々からすると,やはり修士のプログラムについても,この場でもう少し議論をしていただけたらと思っております。

 前回配っていただいて,今回も参考資料には付いているんですが,ドクターとマスターと学位の推移を表している棒グラフがあるんです。それを見ると,平成23年のピークから平成28年の段階まで,実はドクターは,98.76%に減っているだけです。それに対して,修士は90.42%に減っているので,実際には修士の落ち込みがかなり大きいという問題があるのではないかと思っています。恐らく,ドクターはリーディング等の効果もあって保っているということなのかもしれません。

 社会科学系は,特にマスターの落ち込みが大きいのではないかと思っていますが,よく見ると,農学部なども結構マスターの落ち込みが大きいとか,いろいろ見ていると,いろいろなところに問題が起こっているのではないかと思われます。

 我々,マネジメント系のお話では,先ほど,池尾先生もそういうことをお話ししていましたが,国内で夜間のMBAがかなり商売繁盛している最中であります。国際的に見ると,実は海外の,特にヨーロッパでは,マスター・オブ・サイエンス・イン・マネジメントとか,マスター・イン・マネジメントという学部新卒が4割ぐらいを占めていないといけないという新しいプログラムが急成長していて,MBAよりも,そちらの方が成長産業になっているという状況にあります。

 だから,親の経済負担の間に修士まで取って金融機関に勤めるなど,そういう人たちが結構出てきているということなんだと思います。その意味で言うと,社会科学系も,かなり修士のプログラムについては,相当のエネルギーを割いていかないといけないなと思っているところです。

 実は,私は工学系教育の在り方の検討委員会に出ていたんですけれども,その中間まとめを見てみると,社会科学系ばかりでなく,理系も6年一貫というのをすごく重要な問題として捉えています。その意味では,修士の問題というのは,理系でも重要な問題なのかなと。

 東工大なんかは,もう自分でやられているんだろうと思うんですが,そういうところで出てくるベストプラクティスが社会に浸透していくということも,もう一つ考えないといけない問題なのかなと感じております。

 以上です。

【有信部会長】  修士の減り分の方が大きいというのは,結構深刻だと思っています。ただ,詳細はまだ分析していないので,この辺は今後とも重要な問題として扱うつもりでいます。

 学位の問題に関して言うと,修士という学位が世界で通用している学位と,通用していない学位とあって,そこのところは非常によく注意してやらないといけないということだと思います。

 特に工学系で,工学修士という学位がどれだけ通用するのかというのは問題で,恐らく日本だけだと思いますね。だから,それをグローバルに持っていくということを考えるのであれば,もう少し検討が必要かなとも思っています。もちろん,そういう多様な教育をやるということは,非常に重要なことだと思います。

 ほかに,若干まだ時間があります。それから,今後,卓越大学院の話が進み出すと,みんなそちらに引きずられて,何となくおろそかになるんですけれども,実際はもう少し大学の在り方そのものをきちんと考えて検討していく必要があると思っています。

 きょうもいろいろな委員から御意見が出ましたように,将来の日本の在り方を踏まえて,日本の大学院がどうあるべきか,どういう形で人材育成すべきか。今,最後に沼上委員が言われた修士課程の問題も含めて,我々は「知のプロフェッショナル」としてのPh.D,あるいは博士という学位を持った人たちが世界で活躍することが重要だというところに重点を置いてずっと検討してきましたけれども,それだけではないということも,併せて検討していかなければいけない。

 それから,プロフェッショナルスクールといいますか,専門職大学院の話もありますし,将来を見ながら大学院の在り方を検討するということは必要だろうと思います。

 特に何か御意見があれば。

 事務局は,もう一回これを整理して,今後の検討項目を少し抽出した上で,具体的に検討を進めていくということで,卓越大学院の進行と並行しながら,できれば両方,お互いの結果がうまく生かせるような格好になればいいと思います。

 はい,どうぞ。

【藤原委員】  一言だけ。そんなに長くないです。

【有信部会長】  はい。

【藤原委員】  せっかく重要なキーワードが出たので,是非継続して検討していただきたい。「ダブルカウント」,「知のプロフェッショナル」,「大学院のシステム改革」をリンクさせて考えると,例えば,卓越大学院で国際マーケットで勝ち抜ける「知のプロフェッショナル」を養成するためには,日本で強い分野を新たに作るか強化するしかなくて,例えばジェロントロジーか,あるいは災害復興など,外国よりは明らかに卓越している部分を融合分野で作っていくというのが,1つの戦略だと思います。

 そのときに,現場ではいろいろなところが制約になります。例えば,工学部,文学部,理学部の教員が共同で新しく老年学の分野融合学位プログラムを作っても,主担当以外の部局では学位を出すことができないわけです。あるいはダブルカウントの読み方によっては,担当さえできないケースも起こります。もし卓越大学院を大学システム改革として位置づけるのであれば,こうした制約条件を取り除きオープンな教育システムを構築する提案を受け入れるような仕組みを作るといいのではないかと思います。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 重要な御指摘だと思いますし,リーディングプログラムの実行中にも,そういう制限事項がいろいろ明らかになってきていますので,引き続き今の御意見を含めて検討ということだと思います。

 ほかに特に。

【川嶋委員】  よろしいですか。

【有信部会長】  はい,どうぞ。

【川嶋委員】  今の御意見に関連して,昨日は制度教育改革ワーキングが開催されまして,懸案であった学位プログラム化ということで,名称としては区別するために「学修プログラム」という形で表現されていました。今,藤原委員が御指摘のように,複数の学部研究科をまたいで,新たな学位を出せる教育プログラムを作る方向で,設置基準の水準そのものは変えないけれども,そういう柔軟な取組も認めてはどうかということの第1回の検討が昨日行われたと。

【有信部会長】  ありがとうございます。

 ということで,一応,設置基準上の問題はさんざん言われていて,それをベースに検討していただいているんだと思います。もともと設置基準というのは,箱ベースで設計していますから,箱にみんな足を取られているわけで,その辺が徐々に変わっていくということだろうと思います。

 ほかに御意見何かなければ,事務局サイドから,何か最後にありますか。

【平野大学改革推進室長】  本日はありがとうございました。

 きょう,部会長からも御指示がありましたように,本日の議論,また御意見も取りまとめさせていただいて,今後の展開についてはよく御相談していきたいと思います。

 次回の開催については,調整の上,追って御連絡いたします。

 本日の資料につきまして,郵送を希望される委員の先生におかれましては,机上に置いてございます附箋などに郵送を希望するという旨を御記載いただいて,机の上に残しておいていただきますれば,数日で郵送させていただきます。特に記載がない場合は,御勤務先に郵送させていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

【有信部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは,これで閉会とさせていただきます。どうも御苦労さまでした。

── 了 ──

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