平成18年度[下半期]調査報告(規制の特例措置用)
1.規制所管省庁名
文部科学省
2.特定事業の番号
816
3.特定事業名
学校設置会社による学校設置事業
4.弊害の発生に関する調査
1 |
調査内容 |
学校設置会社による学校設置事業の実施状況について |
2 |
調査方法 |
書面(アンケート及びデータ収集)による調査 (なお、実地調査を別途実施しているところ) |
3 |
調査対象 |
平成16~18年度に開始された学校設置事業に関して、以下の対象に調査票を送付。
- 学校設置会社(及び設置された学校、学校の教職員)
- 学校の児童生徒の保護者(高校以下)、学生本人(大学・大学院)
- 認定地方公共団体
- 当該認定地方公共団体が所在する都道府県
|
4 |
実施スケジュール |
平成18年10月上旬 調査票配付
平成18年10月下旬 調査票回収 (なお、11月17日時点で、5校、3認定地方公共団体からの回答が未提出であり、適切な調査の実施に支障が生じている) |
5 |
調査結果 |
(回答が提出された学校、認定地方公共団体についてのみ、分析を実施)
(1)学校経営面
- 多くの学校設置会社の学校部門で、収支状況が赤字となっている。
- 多くの学校で、大幅な定員割れが生じている(逆に一部に、著しい超過状態で適切な定員管理を行えていない学校が見られる)。
- 複数の学校で、特区法で義務付けられた業務状況書類等の公開体制に不備が見られるなど、ガバナンス面の問題が確認された。
- 株主が学校事業からの撤退を求める等の事例は生じていないが、今後、株式が幅広い層に保有されたようなケースも含めて、慎重に検討を行う必要がある。
(2)教育研究面
- 一部に不適切な授業形態や指導体制が確認され、早急な改善が必要である。
- 施設設備について、殆どの学校において、今後在籍者数が増加していった場合の対応能力が懸念される。
- 大学・大学院での研究活動についても、ハード面・ソフト面ともに環境整備が十分とは言えず、目立った研究成果は確認できていない。
- 法律で定められた各学校の事後評価(大学は認証評価、高校以下は認定地方公共団体による評価)については、実施されていないか、実施されているとは言いがたい状態であり、現在の教育研究活動について適切に分析する材料を欠いている。
(3)認定地方公共団体の責務
- セーフティネットの整備状況については、認定地方公共団体としての責務が明確に認識・履行されていないと思われるものが散見された。
- 高校以下の学校段階では、各認定地方公共団体に毎年度の学校評価が義務付けられているが、殆ど実施されていない。
(4)その他
- 本特例措置の全国化については、認定地方公共団体の48パーセントが「引き続き検証が必要」(前提として全国化に肯定的なもの、否定的なものの双方を含む)、36パーセントが「わからない」としている(合計84パーセント)。
- 特区による地域の優位性の観点などから、「全国化すべきでない」とする意見もあった。
|
6 |
特区において適用された規制の特例措置による弊害の発生の有無 |
以下の理由により、現段階においては、学校種を問わず、弊害の有無の検証に必要な情報が、依然十分に得られていないと判断する。
- 平成18年4月の時点で、卒業生を輩出した学校は1校(1大学の1専門職学位課程)にとどまっており、殆どの学校では未だ卒業生を輩出していない(編入学生等は除く)。
- 法律で定められた各学校の事後評価(大学は認証評価、高校以下は認定地方公共団体による評価)が、実施されていないか、実施されているとは言いがたい状態であり、現在の教育研究活動について適切に分析する材料を欠いている。
- 一部の学校設置会社に不適切なガバナンスが見られたほか、学校設置会社の多くが、教育関連事業を既に行っている、オーナー株主である、といった共通の特徴を有しており、今後、より多様な学校設置会社が参入した場合の動向などを慎重に分析する必要がある。
- 各認定地方公共団体からの見解でも、「引き続き検証が必要」とするものが多数を占めている。
|
7 |
全国展開により発生する弊害の有無 |
前述のとおり、本特例措置については、依然、全国展開の可能性を検証する段階に至っていないと考えている。 |