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資料 7

我が国における大学評価の現状

1.自己点検・評価
   自己点検・評価は、各大学が自らの教育研究の理念・目標に照らして、教育活動及び研究活動の状況を点検・評価することである。
   大学が教育研究水準の向上や活性化に努めるとともに、その社会的責任を果たしていくためには、不断の自己点検・評価を行い、改善への努力を行っていくことが重要である。このため、平成3年の大学設置基準の大綱化に併せて、大学の自己点検・評価を努力義務化した。
   さらに、平成11年には、自己点検・評価の実施と結果の公表を義務化し、自己点検・評価の学外者による検証を努力義務化した。
 
各大学における自己点検・評価への取組状況(平成11年10月現在)
 
調査項目 実施校数(割合%)
自己点検・評価を実施 合      計 567校( 91%)
国      立   99校(100%)
公      立   52校( 79%)
私      立 416校( 91%)
実施結果を公表 合      計 444校( 71%)
国      立   99校(100%)
公      立 42校( 64%)
私      立 303校( 66%)
結果の第三者による検証を実施 合      計 136校( 22%)
国      立   57校( 58%)
公      立   11校( 17%)
私      立   68校( 15%)
 
   (参考)大学設置基準における規定

(自己評価等)
第二条   大学は、その教育研究水準の向上を図り、当該大学の目的及び社会的使命を達成するため、当該大学における教育研究活動等の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
   前項の点検及び評価を行うに当たつては、動向の趣旨に則し適切な項目を設定するとともに、適当な体制を整えて行うものとする。
   大学は第一項の点検及び評価の結果について、当該大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならない。
 
2.大学評価・学位授与機構による大学評価
(1) 大学評価・学位授与機構
  第三者による専門的な判断を基礎とした信頼性・透明性の高い大学評価を実施するため、平成12年4月に、「学位授与機構」を「大学評価・学位授与機構」に改組。
   
(2) 評価の目的
  評価結果を大学等にフィードバックすることにより、各大学等の教育研究活動の改善に役立てるとともに、大学等の諸活動の状況や成果を社会に分かりやすく示すことにより、公共的な機関としての大学等に対する国民の理解と支持が得られるよう支援・促進する。
   
(3) 評価対象機関
  大学、大学共同利用機関(当分の間私立大学は対象外)
   
(4) 評価の概要
 
種類 評価対象 評価単位 評価時期
全学テーマ別評価 全学的な課題
(教養教育、国際交流、産学連携等)
大学等の全体 毎年度を基本
分野別教育評価 学問分野ごとの教育活動等 大学の学部・研究科 5年ごとを基本
分野別研究評価 学問分野ごとの研究活動等 大学の学部・研究科・附置研究所、大学共同利用機関 5年ごとを基本
   
(5) 評価の実施方法等
  以下の資料等に基づき、大学関係者及び学識経験者からなる大学評価委員会の委員、テーマ別又は専門分野別に置かれた専門委員会の委員、評価員が、書面調査及び訪問調査またはヒアリングにより実施。
 
  機構が示すフォーマットに基づき各大学が行う自己評価
  各大学が実施している自己点検・評価報告書
  機構が独自に調査・収集する資料
   
(6) 評価結果
  各大学に通知するとともに広く公表する。
   
(7) 当面の評価の実施予定
  平成12年度から14年度までは対象分野や大学数を絞って段階的に実施し、必要な体制を整えた上で、平成15年度から本格実施。
   
(8) 平成12年度着手の大学評価の内容について
 
   目的及び目標に即した評価
     大学等の個性や特色が十二分に発揮できるよう、当該大学等の設定する目的及び目標に即して実施。そのため、大学等の設置の趣旨、歴史や伝統、規模や資源などの人的あるいは物的条件、地理的条件さらには将来計画などを考慮して、明確かつ具体的な目的及び目標が設定されていることが前提となる。
   具体的には、当該大学等の行う諸活動が目的及び目標の実現に貢献するものであるか、また、諸活動の結果がそれを達成しているのかなどの視点から評価を実施。
   
評価の対象時期
  原則として過去5年間の状況の分析を通じて評価を行う。
   
評価の内容
 
(1) 全学テーマ別評価
  大学等の設定した目的及び目標に即して、次に掲げる3項目の項目別評価と総合的評価により実施する。
 
目的及び目標を達成するための取組
目的及び目標の達成状況
改善のためのシステム
   
(2) 分野別教育評価
     学部や研究科の教育活動の状況について、教育目的及び目標に即して、次に掲げる6項目の項目別評価と総合的評価により実施する。
 
アドミッション・ポリシー(学生受入方針)
教育内容面での取組
教育方法及び成績評価面での取組
教育の達成状況
学生に対する支援
教育の質の向上及び改善のためのシステム
   
(3) 分野別研究評価
     学部、研究科、研究所、大学共同利用機関の研究活動等の状況について、研究目的及び目標に即して、次に掲げる5項目の項目別評価と総合的評価により実施する。
 
研究体制及び研究支援体制
諸施策及び諸機能の達成状況
研究内容及び水準
社会(社会・経済・文化)的貢献
研究の質の向上及び改善のためのシステム
 
4   評価の結果
   評価結果は、項目別評価結果、総合的評価結果によって示される。項目別評価結果は、各項目ごとの水準を分かりやすく示すような方法をもって行うとともに、優れた取組、改善を要する点、問題点の背景・原因等を記述する。
 
【参考:大学評価・学位授与機構の行う評価のテーマ、分野】
  平成12年度 平成13年度
全学テーマ別評価
教育サービス面における社会貢献
教養教育
教教育(継続分)
研究活動面における社会との連携及び協力(仮称)
分野別教育評価
理学系
医学系(医学)
法学系
教育学系
工学系
分野別研究評価
理学系
医学系(医学)
法学系
教育学系
工学系
※   分野別教育評価・研究評価については、1分野当たり6機関を対象として実施
 
3.各種団体の行う大学評価
(1) 大学基準協会による大学評価
 
大学基準協会
     昭和22年7月に創設された、国公私立の大学を会員校とする団体(財団法人)で、大学の教育研究の質の維持向上と改善を進める目的で「大学基準」等を定めるとともに、基準等に基づく評価活動(アクレディテーション)等を実施している。
   
大学基準協会の会員校数(平成12年5月現在)
 
正会員校     国立:34校、公立:15校、私立:198校     合計:247校(37.9%)
賛助会員校     国立:63校、公立:29校、私立:181校     合計:273校(41.9%)
上記計     国立:97校、公立:44校、私立:379校     合計:520校(79.9%)
   
評価の概要(平成8年度〜)
     大学の質的向上を目的として大学基準協会が定める「大学基準」【参考1】等に基づき、正会員校及び新たに正会員校となることを希望する大学を対象として評価を実施。
 
種類 評価対象 評価単位 評価時期
加盟判定審査 新たに正会員となることを希望する大学 大学全体 加盟時
相互評価 正会員校 大学全体 原則10年ごと
   
評価の実施方法等
     大学基準協会に設置される判定委員会又は相互評価委員会(共に委員数20名)が、大学から提出される資料等を基に原則として書面調査により実施。(特に必要と認められる場合には、ヒアリング・実地視察を実施。)
   ただし、相互評価については、平成11年にヒアリング・実地視察、平成12年からは全て実地視察を実施している。
   
主要点検・評価項目
     大学・学部等の理念・目的、教育研究上の組織、学生の受け入れ、教育課程、教員組織、施設・設備等、図書等の資料及び図書館、学生生活への配慮、管理運営、自己点検・評価の組織体制
   
評価結果
     評価結果に関する報告書を各大学に送付する。
   
今後の評価の在り方について
     平成12年5月に評価内容・方法の見直しについて提言が出されており、現在その具体化に向けて検討中。(平成13年度に部分的試行、平成14年度に本格的移行の予定。)
  【参考2】
   
  【参考1:大学基準協会の定める「大学基準」】
   大学は、その理念・目的を明らかにし、最も適切な教育研究活動を行うため、教育研究上の組織・制度とそれを全うさせるための人的、物的、財的条件を整備充実するとともに、充分な教育研究上の成果を挙げるための適切な配慮を払わなければならない。
   
   大学は、学生の多様な個性と能力を伸ばしその資質の向上を図り、教育上の成果を挙げるために教育指導上の配慮をすることが必要である。同時に、学生が安んじて学修にはげみ、充実した学園生活を通して豊かな人間性を育むことができるよう学生生活についても充分な配慮をするよう努めなければならない。
   
   大学は、管理運営・人事を適切に行い、特に教員に対してはその職責にふさわしい地位と身分を保障しなければならない。また、財政運営を適切に行うとともに、充分な財政的基盤の確立のために努力を払わなければならない。
   
   大学は、その教育研究活動を発展・向上させるために、その組織・活動について不断に点検し評価しなければならない。
   
  【参考2:大学基準協会における大学評価システムの新旧比較表】
加盟判定審査
 
  現      行 新構想のシステム 実施年
評価者の在り方 正会員校の教員 現行に加え、外部有識者の参加 H14
財政に関する評価体制 大学審査分科会で部分的に審査 大学財政評価分科会の設置 H14
異議申立手続 無し 異議申立審査会の設置 H14
   
相互評価
 
  現      行 新構想のシステム 実施年
評価の周期 10年 初回のみ5年、2回目以降7年 H14
評価の単位 大学全体 現行に加え、部局(学部・研究科)単位の申請も可 H15
評価者の在り方 正会員校の教員 現行に加え、外部有識者の参加 H14
財政に関する評価体制 大学審査分科会で部分的に審査 大学財政評価分科会の設置 H14
異議申立手続 無し 異議申立審査会の設置 H14
   
(2) 日本技術者教育認定機構(JABEE)による技術者教育の認定
 
日本技術者教育認定機構(JABEE)
     平成11年に、(社)日本工学教育協会、(社)日本工学会を中心として、技術系学会等の協力により設立。
   目的は、1)技術者教育の質の向上、2)技術者教育の国際的通用性・共通性の担保、3)将来的なエンジニア資格の国際的相互承認に向けた条件整備、である。
   
評価の概要
     JABEEによる外部認定は、認定を希望する大学等で実施されている技術者教育プログラムについて、JABEEの定める基準(具体的には、学習・教育目標、学習・教育の量、学習・教育目標達成度の評価と証明、教育改善等の全分野共通に適用される基準と、化学系、機械系等の各分野ごとに適用される分野別要件とで構成。)を満たしているかを、自己点検書(JABEEが示すフォーマットに基づき大学等が作成。)の審査及び実地審査(審査担当学会等から選定される審査員3名以上で実施。)により審査し、一定水準に達しているプログラムを認定する。
   認定期間は原則5年間の予定。
   
当面の評価の実施予定
     現在、大学等の協力により試行審査(平成12年度は9分野20教育プログラム、平成13年度は14分野51教育プログラムを予定。)を実施。
   平成13年度中にも、試行作業を終了した一部分野から、順次本格認定を実施予定。
   なお、米国、英国、カナダ等の認定団体が認定の相互承認を行っている協定(ワシントンアコード:現在8カ国・地域の団体が加盟)に、本年6月に暫定加盟。
 
(参考)
   現在、大学分科会の大学院部会や法科大学院部会においては、専門大学院、通信  制大学院及び法科大学院に関する第三者評価の在り方について議論されている。

 

(高等教育局高等教育企画課)

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