第3節 幼児教育を支える基盤等の強化

1 地域の人材等の積極的活用

 地域の多様な人材等を活用するなど外部人材等の活用により幼児教育を支援するための方策を講ずる。

(1)幼稚園等施設における地域の人材等の活用

  • 特別な支援を必要とする幼児に対する教員等へのアドバイス,子育てに不安を抱える保護者へのカウンセリングなどに関し,地方公共団体等が教員と保護者を支援する「保育カウンセラー」を導入し,活用しやすくなるような方策を検討する必要がある。
  • 地域の実情に応じて,児童館・公民館等の施設を幼稚園等施設の活動の場として活用していくとともに,地域の多様な人材(民生・児童委員,保護司,育児経験者,中高・大学生,退職者等)を外部人材として幼児教育においても活用する必要がある。
  • 幼稚園等施設を利用する幼児の保護者もまた,地域の教育資源である。親をはじめとする保護者やPTAの関わりを,授業等の「参観」から始めて,施設の行事への「参加」,さらには施設の計画の策定や外部評価等への「参画」へと高めていくことが必要である。また,園児の卒園後も保護者が継続的に幼稚園等施設を支える関係を構築することも望まれる。
  • 幼児の多様な体験の機会を増やすため,幼稚園等施設において地域の人材や専門分野の外部人材を活用しやすくするような制度を検討する必要がある。

(2)幼児教育にかかわる地域の人材等の育成

  • 幼児教育に係るボランティア人材バンクの整備など,ネットワークの形成の促進を図るとともに,講座・研修等による幼児教育を支える人材の育成を図ることが求められる。

2 幼稚園等施設を地域社会で支える基盤等の充実・強化

 幼稚園等施設を地域に開かれたものにしていくとともに,地域社会での幼児教育の振興の取組を支援するために,各幼稚園等施設及び幼児教育全体の持続的な改善を促すための基盤を整備し強化していく。

(1)幼稚園における自己評価・外部評価と情報提供等の推進

  • 幼稚園においては,その教育の水準の維持・向上のため,自己点検・自己評価を充実するとともに,関係者による評価や第三者評価等,外部からの評価の導入を検討していくことが必要である。
     また,自己評価等の結果の公表等,保護者や地域への情報提供,情報公開に努めることが望まれる。
  • 地域に開かれた信頼される幼稚園とするため,公立・私立の幼稚園において学校評議員制度等を積極的に活用することが必要である。
    また,同様の趣旨から,公立幼稚園においては地域の実情に応じて学校運営協議会制度の活用も検討されることが望まれるとともに,制度の趣旨にかんがみ,私立幼稚園や他の施設においても,同様の取組が行われることが期待される。

(2)幼児教育を支援する拠点機能(センター機能)の整備

  • 幼稚園等施設や,家庭・地域社会における教育力を支えるため,各地域の実情に応じ,幼稚園等施設や家庭・地域の取組を支援する機能を集約した拠点を整備する必要がある。
     支援の主体としては,市町村等地方公共団体,教員養成系大学等,幼稚園関係団体等が考えられる。
     活動内容としては,例えば,カウンセラー等専門家の派遣,カリキュラムの編成支援,教員等への研修,調査研究,外部からの評価の推進,保護者の相談事業,子育て講座等の実施などが求められる。

(3)幼児の状況等に関する国及び地方を通じた実証的な調査研究の推進

  • 幼児の状況に関する国及び地方を通じた実証的な調査研究を推進・継続することにより,幼児を取り巻く環境,発達の課題等を明らかにするとともに,研究成果を蓄積し,継続して社会に提供する必要がある。
     国の取組としては,例えば,幼児にとって望ましい教育時間等についてはどの程度が適切かなど,幼児教育の課題をテーマとして,大学・研究機関との連携による各種調査,そのデータベース化,脳科学・発達心理学などの成果を踏まえた学際的アプローチによる調査研究手法等の開発,大学・研究機関・研究者による子どもに関する調査研究の支援等が考えられる。
     地方公共団体の取組としては,幼児を取り巻く環境,発達の課題等に関する定点調査の実施等が考えられる。

(4)幼児教育を推進しやすい行政体制づくり

 公立幼稚園に係る事務は都道府県・市町村の教育委員会が所管し,私立幼稚園に係る事務は都道府県知事が所轄していることが多い。このような現状を踏まえつつ,公立・私立の幼稚園等施設を通じた行政の体制の整備について検討する必要がある。

  • 幼稚園教育事務についての都道府県と市町村の役割

 地域に身近な市町村が幼児教育の中心的な役割を担い,公立幼稚園のみならず私立幼稚園も含めてその地域全体の幼児教育の水準の維持向上を図るべきである。この点,都道府県は地方自治法に基づき,事務の一部を市町村に委譲することも可能とされている。これらを踏まえ,都道府県と市町村それぞれの幼稚園教育事務の役割の在り方について,総合施設における検討状況も踏まえながら,中長期的に検討していく必要がある。

  • 幼児教育事務における教育委員会の役割

 公立・私立の幼稚園などに共通する横断的・総合的な施策(幼児教育に関する政策プログラムの策定,幼児教育と小学校教育との連携など)の円滑な実施を図るため,法令上の取扱を含め,教育委員会の役割を明確化することを検討する必要がある。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成21年以前 --