本審議会では,第2節の制度的な見直しに加え,コミュニティ・スクールの拡大・充実のための総合的な推進方策について審議を重ねた。
全ての公立学校をコミュニティ・スクールとしていくことは容易ではない。教育委員会や学校が抱いている不要感や不安感,負担感など,様々な課題に対して,真摯に向き合い,解決に向けた働き掛けや支援を行っていくとともに,社会総掛かりでの教育の実現に向けた大きなうねりを巻き起こしていく必要がある。
なぜコミュニティ・スクールとしていく必要があるのか,どんなメリットがあり,導入によって,子供たちがどう変わっていくのか。教育委員会や学校が動くための糸口は「共感」を得ることであり,関係者が熟議を重ね,コミュニティ・スクールの導入によって,子供たちが変わり,学校が変わっていくという成功体験を積み重ねていくことが重要である。このためにも「地域とともにある学校づくり」のために重視してきた「熟議」,「協働」,「マネジメント」の視点(※1)を大切にしていく必要がある。
コミュニティ・スクールをはじめとした地域とともにある学校づくりに関わる当事者にとって,それぞれの立場から関わる魅力は,以下のように整理することができる。
コミュニティ・スクールの拡大・充実のための推進方策として,有効と考えられる方策を以下に示す。国は,これらの推進方策を着実に実行するとともに,各地方公共団体等においても,これらの方策を踏まえた積極的な取組が進むことを期待する。
コミュニティ・スクール未指定の教育委員会において,導入していない理由の多くが,学校評議員制度や類似制度があるから,地域連携がうまく行われているからといったコミュニティ・スクールに対する不要感である。
学校支援等の取組や学校評議員,学校関係者評価,その他自治体独自の類似の仕組みは,学校と地域の協働関係・信頼関係の土台となる大切な取組である。学校支援等の取組や学校評議員,類似の仕組みを基盤とし,段階的にコミュニティ・スクールに発展していくことで,組織的・継続的な体制が構築され,従来の取組も一層充実していく。また,コミュニティ・スクールの機能として学校評価の機能を位置付け,学校運営協議会と学校関係者評価を一体的に推進することは,学校運営の評価・改善サイクルの充実につながる。このように,コミュニティ・スクールの推進に当たっては,これまで各学校が培ってきた実践の内容や方法,組織を効果的・効率的に生かしていく視点が必要である。
地域独自の取組も含め,類似の仕組みは様々な形式があり,一概に比較することはできないが,類似の仕組みからコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度を導入した学校)に発展することによる主な魅力やメリットは以下のように整理できる。
学校や教育委員会が自らコミュニティ・スクールの意義や成果等を理解し,コミュニティ・スクールの道を選ぶことが最も大切なことである。ある県では,コミュニティ・スクールの導入に当たって,各学校が学校支援等の取組を通じ,家庭や地域と連携・協働しながら地域に開かれた学校づくりの推進に努めている現状を踏まえ,まずは,コミュニティ・スクールに指定されていない学校が主体的に地域住民や保護者等が参画する協議会を設置し,協議を通じて教育課題を共有し,その課題の解決に向けて一体となって教育活動に当たる仕組みを設け,段階的にコミュニティ・スクールへの移行につなげている。こうした学校の自主的・自律的な動きを後押ししていくなど,学校や教育委員会の主体的な環境整備を促していくことが必要であり,類似の仕組みを有している地域において,持続可能な仕組みとして,コミュニティ・スクールが推進されるよう,財政面等の支援を行っていくことが有効である。
また,コミュニティ・スクールの裾野を広げていくことを目指して,平成23年度より「地域とともにある学校づくり」をもとに推進してきたコミュニティ・スクールの普及・振興策を継承し,一層発展させていく必要がある。
コミュニティ・スクールを核として地域とともにある学校づくりを一層推進するためには,各学校が地域住民や保護者等に対する説明責任を果たし,地域の人々から一層信頼される学校運営を進めていく必要がある。そのためには,これからの学校は,地域との関係を構築し,地域の人々と一体となった取組を進めることができるマネジメント力(※2)を備える必要があり,学校が組織としてのマネジメント力を最大限発揮できるよう,体制整備を図っていく必要がある。この視点は,学校が「チーム学校」として教育力・組織力を向上させ,一人一人の子供の状況に応じた教育を実現させる観点からも重要な視点である。
とりわけ,校長は,学校運営の最終責任者として,リーダーシップを発揮するために,まず,子供たちや地域の実態を踏まえ,学校のビジョンを策定し,教職員のみならず,地域住民や保護者等に対して,意識や取組の方向性の共有を図ることが重要である。その上で,校長は,子供の育ちを軸に据え,地域住民や保護者等の力を学校運営に生かし,地域との連携・協働を推進していく意識と能力を備えていくことが重要である。
また,コミュニティ・スクールを通じ,地域住民や保護者等の力を学校運営に生かしていくことが,子供たちの学びを豊かにし,学校の組織としての力を高め,学校を一層活性化していく基盤となることを,現場の教職員全体の共通認識としていく必要がある。すなわち,学校運営が個人の能力に依存するのではなく,学校が組織として力を発揮していけるよう,教職員の負担軽減の視点を持ちながらも,コミュニティ・スクールに教職員全体が関わるという意識を醸成する必要があり,学校と地域の連携・協働を円滑に行うための資質を養成していくとともに,教職員に対する研修内容の充実が求められる。この際,課題を抱える子供たちを見守り支える観点からも,保健福祉部局等との連携・協働の視点や家庭状況を理解する視点等も求められる。
一方,学校と地域の人々が全体として目標を共有し,役割分担を進めながら,取組にふさわしい組織的な体制を構築していく必要があり,学校の中で学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネート機能の充実が重要となる。学校内の体制整備の事例として,学校と地域の連携に関する職務を担当する教職員を置く例や校務分掌に位置付ける例,事務職員をコミュニティ・スクールの運営の中心的役割に位置付けている例,社会教育主事有資格者の教員を地域連携担当に位置付けることを積極的に推進している県もある。こうした事例では,地域との協働による授業や体験活動等の調整が円滑に行われ,地域連携に関する情報発信が積極的に行われるなど効果を発揮している。また,教職員がチームとして学校運営に関わるという観点等から,事務職員が学校運営に積極的に関わっていく視点が求められる。
コミュニティ・スクールが実効力をもって機能するためには,学校運営協議会の委員として,自らが学校の運営に積極的に参画することによって,学校をより良いものにしていくという当事者意識と意欲を持ち,学校と共に行動していける人材を確保していく必要がある。
小規模の自治体等においては,学校運営協議会の委員の確保が難しいという声や,地域の会議に出てくる人はいつも固定化されているといった話が聞かれる。学校運営協議会が活力を持ち,持続的に運営されていくためには,委員の流動性を確保しつつ,継続的に人材を確保していく仕組みを構築することが必要である。
学校運営協議会の委員としての資質を備えた人材を最初から求めることは難しいが,地域には学校に協力的で,子供たちとの関わりに熱心な人材は少なからず存在する。そうした人材を将来の学校運営協議会の委員の候補として,熟議や研修等を通じて資質の向上を図ることにより,育てることができる。例えば,学校行事に積極的に参加・協力している者や,地域イベントの実施に携わり子供たちの育ちを見守る者,PTAの役員等を協議会の委員候補としていくことで,人材を確保すること等も有効である。また,各地域で活躍している地域コーディネーター等が学校運営協議会の委員として参画することが有効であり,学校運営協議会に対する理解を深め,推進の要となっていくことが期待される。
取組が継続的・安定的に発展し,活性化していくためには,関係者間で目標や課題意識を共有し,その地域の特色を生かしたコミュニティ・スクールの文化を地域に定着させていくことが重要であり,学校運営協議会の委員が,学校関係者や地域住民,保護者等と共に学び合い,教育の当事者としての意識を醸成する研修等の機会や熟議の場の充実が必要である。
コミュニティ・スクールを核に,地域とともにある学校づくりを一層推進していくためには,学校運営協議会の委員のみならず,地域住民や保護者等にも,自らが学校の運営に積極的に参画することによって,自分たちの力で学校をより良いものにしていくという当事者意識を高め,学校と地域住民や保護者等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが重要である。
コミュニティ・スクールの導入・運営に当たっての課題の一つに,「学校運営協議会の存在や活動が保護者・地域にあまり知られていない」といった認識がある。また,地域人材による参画も学校支援ボランティアなど一部の人々に限られており,必ずしも地域全体の動きに発展していない状況もある。地域の一部の人々だけが参画し,協力するのではなく,地域全体で子供たちの学びを展開していくために,地域住民や保護者,関係機関・団体など多様な主体の参画を促進していくとともに,当事者意識の醸成を促していくことが必要である。
例えば,幼児期から中学校卒業程度までの子供たちの育ちや学びを地域ぐるみで見守り,支援するための取組を県全体で推進するなど,学校を核として,地域の様々な人材や資源を結びつける動きが各地で広がっている。地域のボランティアや保護者など個人としての関わりにとどまらず,自治会やPTA,おやじの会等の地域の団体や,企業,大学,NPO,地域人材を中心として構成する家庭教育支援チーム(※3)など,地域の多様な主体との連携を深めることにより,地域とともにある学校づくりに対し,参加から参画へ,協力から協働へと,具体的な行動を働き掛けていくことが求められる。また,多言語・多文化社会の理解に資する観点から,日本語指導が必要な外国人児童生徒の保護者等が参画することも重要である。
また,コミュニティ・スクールの取組は,学校運営の改善のみならず,地域コミュニティを持続的に発展していく観点からも有効である。例えば,コミュニティ・スクールを基盤とし,ふるさとの未来を託せる人材の育成を目標に,村役場や農協等の関係機関等との連携を図りながら,村の特産物生産の体験学習や,村の課題を探求する学習等を取り入れている事例や,高等学校において,コミュニティ・スクールを基盤に地元自治体との協働関係を築き,地元企業やNPO,町役場等との協働による課題解決型学習を実践し,地域の課題解決・活性化に大きく寄与している事例もある。
地方創生という課題をはじめ,教育委員会・学校と首長部局等の関係者が,地域と地域の将来を担う子供たちの将来像を共有した上で,協働により課題解決の取組を推進していくことで,活力ある学校づくりと地域の活性化を図っていくことも重要である。この際,小・中学校における取組にとどまらず,高等学校においても,地元自治体や地元企業・団体等とのつながりを深め,地域課題の解決に貢献する取組を支援すること等を通じ,小・中学校で育まれた地域への愛着や興味・関心を更に発展させ,地域を担う人材へと成長していくことを促進していくことも重要である。
さらに,子供たちが地域の一員としての自覚と意識を高める観点から,地元の大学生や高校生等の若者を積極的に巻き込み,主体的・実践的な活躍の機会・場を設けていくことも重要である。コミュニティ・スクールを通じて地域に育てられ,成長した若者が,次の世代の子供たちを育成する担い手となっていくことで,自身も育ち成熟していく「人づくりと地域づくりの好循環」につながっていくことが期待される。これは,学校運営協議会の委員の育成・確保の観点からも有効である。
前述のとおり,コミュニティ・スクールの導入・運営に当たっての課題認識として,管理職や担当教職員の勤務負担が大きい,委員謝礼や活動費等の資金が十分でないといった課題が示されている。学校運営協議会の設置に伴い,会議の開催そのものの業務のほか,委員との連絡調整や協議事項等の調整など,運営に係る様々な業務が生じることから,課題を踏まえた適切な支援が求められる。
コミュニティ・スクールの推進に当たり,継続的・安定的な運営を可能とするためには,教職員の勤務負担の軽減も含め,教職員体制の整備等の人材面や財政面での支援の充実を図っていく必要がある。導入の状況には地域差もあることから,とりわけ,未導入の地域を中心とした支援を着実に推進することが必要である。また,継続的・安定的な取組を保障するための財政支援の仕組みが必要である。
学校の中で学校と地域の人々をつなぐ役割を担うコーディネート機能として,教職員を地域連携担当として校務分掌に位置付ける事例以外にも,地域人材をコーディネーターとして校内に配置する例や,学校支援地域本部の地域コーディネーターを学校運営協議会の委員と位置付け,両者の橋渡し役を担うだけでなく,運営の中核も担っている例もある。こうした学校では,地域との連携・協働が円滑に行われるだけでなく,教員が子供と向き合う時間を確保する観点でも有効であると感じており,こうした取組も含め,体制面での支援の充実を図っていく必要がある。平成27年度予算から,学校運営協議会の運営に係る様々な業務を担う地域人材として,CSディレクターの仕組みを創設したところであり,積極的な活用を一層促進する必要がある。
さらに,学校が複雑化・困難化した課題を解決し,子供たちに力を身に付けさせていくためには,学校や教職員一人一人の業務を見直し,改善していくことが求められる。文部科学省では,平成27年7月,各教育委員会における学校現場の業務改善に向けた支援に資するよう,「学校現場における業務改善のためのガイドライン」を作成・公表した。国や教育委員会は,このガイドラインも活用し,教職員が業務を効率的・効果的に進めることができるような支援を行うことが必要である。
このほか,コミュニティ・スクールの運営をより効果的なものとするためには,学校の創意工夫を生かした様々な取組が可能となるよう,校長裁量予算や学校財務における校長権限の拡大など,校長の裁量権を拡大することが重要である。
前述のとおり,コミュニティ・スクール未指定の教育委員会において,導入していない理由として,コミュニティ・スクールに対する不要感や,任命権者の人事権が制約される,特定の委員の発言で学校運営が混乱するといった不安感を挙げる声がある。
こうした指摘に対し,コミュニティ・スクールが学校と地域との連携・協働体制を持続可能にする仕組みとして有効な手段であるという意義や,法的な権限についての正確な解釈のみならず,校長がリーダーシップを一層発揮し,特色ある学校づくりを進めていく上でも有効な手段であることなど,その付加価値や成果,運営上の課題に対する工夫等について丁寧に説明し理解を促していく必要がある。
特に,コミュニティ・スクール指定の決め手として,「教育委員会からの働きかけ」を指摘する学校は約8割と,教育委員会の姿勢,とりわけ,教育長の姿勢が鍵となる。コミュニティ・スクールは,地域住民や保護者等の参画によって学校の意識や力を高め,組織的・継続的に学校運営の改善等を果たす有効な仕組みであり,子供たちや学校の抱える様々な課題の解決に生きてくる仕組みであるということを,教育長の意識にこそ働き掛けていく必要がある。
さらに,コミュニティ・スクールは,地域コミュニティの再生,まちづくりにもつながる取組であり,市民参画の有効な手段として,首長にも働きかけていくことが求められる。
他方,これまで小・中学校においてコミュニティ・スクールが進んできた状況であったが,小・中学校のみならず,幼稚園,高等学校及び特別支援学校におけるコミュニティ・スクールの推進を積極的に働きかけていく必要がある。
このほか,コミュニティ・スクールの更なる発展のためには,子供たち,教職員,保護者,地域の変容等の観点から,各校の取組を客観的に評価し,その結果を共有・発信する必要がある。
これまでの提言を踏まえ,今後,各地方公共団体は,全ての学校がコミュニティ・スクールとなることを目指し,一層の拡大・充実が必要との認識に立って,積極的な姿勢で取組を推進していくことが求められる。
そのためには,教育長をはじめとする教育委員会関係者や校長の意識が重要である。地域住民や保護者等の参画を得ることが学校運営の改善,教育改革の実現のための大きな力となるというビジョンと,学校や地域の理解を得るためのリーダーシップの発揮が不可欠である。
コミュニティ・スクールに対する不要感や不安感等の課題認識は,指定により大きく解消され,その先に新しい学校の姿を見いだすことができる。課題認識を乗り越え,未来に視点を持って一歩を踏み出すことを期待したい。踏み出さなければ,何も変わらない。
コミュニティ・スクールを核に地域とともにある学校づくりを一層推進していくためには,都道府県,市町村における学校教育部局と社会教育部局の連携・協働の強化が不可欠であり,両者の連携・協働による取組の推進が必要となるとともに,総合教育会議の活用等を通じた首長部局とのパートナーシップを構築していくことも重要である。
なお,各教育委員会及び校長においては,コミュニティ・スクールの取組が学校運営の改善・充実に生かされ,子供たちの成長につながっていくよう,実効性のある運営に力を尽くすことが必要である。
都道府県教育委員会(以下,本項目において「都道府県」という。)においては,広域人事など市町村間の調整や小規模市町村に対する支援にその役割を重点化し,市町村の自主性を尊重しつつ,教育の質の保証・向上に責任を果たしていくことが求められる。
その前提の上で,都道府県の中には,教育振興基本計画にコミュニティ・スクールの推進目標を掲げ,県下100%の指定を目指し,域内市町の教育委員会を積極的に支援しているところもある。また,まずは学校と地域との信頼関係の構築から始めるために,学校を主体とした類似の仕組みを設けつつ,コミュニティ・スクールへの移行を促すなど,段階的な取組を進めているところもある。さらに,域内市町村の教育委員会や学校関係者等を対象とした協議会を開催したり,学校経営の基準として,コミュニティ・スクールの視点を位置付け,新任校長の研修等の充実を図るなど,コミュニティ・スクールを積極的に推進しているところがあるが,そうした取組は一部にとどまっている。
今後,都道府県においては,コミュニティ・スクールをはじめ,地域とともにある学校づくりを一層推進するため,教育振興基本計画への位置付けをはじめ,都道府県としてのビジョンと推進目標を明確に示すことが必要である。また,域内市町村の教育長等への研修の充実を図るとともに,「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」(仮称)等の開催により,域内市町村の教育委員会や学校・家庭・地域の関係者等に対し,広くコミュニティ・スクール等への理解促進を図ることが求められる。また,学校の管理職等への研修会の企画・実施,マネジメント力をもった管理職・教職員の育成及び配置とその積極的な評価等を推進することが求められる。
さらに,地方公共団体内の学校教育担当者と社会教育担当者との連携・協働を密にしながら,コミュニティ・スクールと「地域学校協働本部(仮称)」等の一体的・効果的な取組を促すとともに,地域コーディネーター等の地域関係者と学校運営協議会委員等の研修を合同で開催するなど,関係者が共に学び合い,課題や目標等を共有し,ネットワークを深めることができる機会を充実していくことが求められる。
子供たちに最も身近なところで教育活動を担っているのは学校であり,市町村である。市町村教育委員会(以下,本項目において「市町村」という。)においては,自身の設置している学校の将来像を校長と共有するとともに,地域との連携・協働体制を確立するため,コミュニティ・スクールの推進を支援することが求められる。地域住民や保護者等に対しても,取組の必要性や成果を広く周知するなど,学校への理解と参画を促す環境づくりが重要である。
また,都道府県と同様,地方公共団体内の学校教育担当者と社会教育担当者との連携・協働を密にしながら,まずは地域住民による学校支援,学校・家庭・地域の連携・協働体制の構築から始め,学校運営への参画に発展していく,あるいは,学校評議員を機能化・活性化し学校運営への参画に発展していくなど,コミュニティ・スクールを核とした地域とともにある学校づくりを推進していくことが求められる。
このため,市町村は,国による実践研究の支援を積極的に活用するなどにより,教職員と地域の人々,保護者との熟議を重ね,校内及び地域との協働体制づくりを進めることが求められる。
今後の少子化の更なる進行に伴い,学校統合や小規模校の存続など,活力ある学校づくりを目指した市町村の主体的な検討がなされることとなるが,コミュニティ・スクールを導入し,学校と地域のより密接な連携・協働関係を構築することは,魅力ある学校と地域づくりの推進につながる大きな契機となり得る。また,学校と地域が連携・協働した取組や,地域資源を生かした教育活動を進めること等により,地域に誇りを持つ人材の育成を図ることも求められる。
なお,中学校区内の複数の学校が連携した運営体制は,地域とともにある学校の運営体制としてふさわしいものと考えられる。このため,コミュニティ・スクールの推進に当たっては,中学校区を運営単位として捉え,複数の小・中学校間の連携・接続に留意した運営体制づくりを進めていくことが期待される。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
-- 登録:平成28年01月 --